説明

ハイブリッド自動車

【課題】走行用のモータに電力を供給するバッテリと、このバッテリを充電するモータジェネレータを駆動し得るエンジンとを備え、モータ及びエンジンを駆動した走行時におけるバッテリの電力残量の収支が放電側の状態の報知を、安全且つ確実に運転者に行い、環境に配慮した運転を可能とするハイブリッド自動車の提供。
【解決手段】運転者の所望する走行状態を得るために該運転者によって操作される被操作部材40、61と、バッテリの充放電状態を判定するバッテリ状態判定手段60とを備え、バッテリ状態判定手段60により判定された状態が車両のアクセル踏込中に充電状態から放電状態へ移行するとき及び/又は放電状態にあると判定されたときに、被操作部材40、61の操作感を変更すべく駆動する駆動手段45を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行用のモータと、このモータに電力を供給するバッテリと、このバッテリを充電するモータジェネレータを駆動し得るエンジンとを備えたハイブリッド自動車に関する。
【背景技術】
【0002】
かかるハイブリッド自動車は、一般に、モータを駆動して走行するいわゆるEVモードと、モータ及びエンジンを駆動して走行するいわゆるハイブリッドモードとを有している(たとえば、〔特許文献1〕参照)。
【0003】
一方、ハイブリッド自動車には、ハイブリッドモードによる走行時において、加速操作などによって走行に要する駆動負荷が高まると、バッテリの電力残量の収支が放電側となり、最もエネルギー消費が大きい状態となる場合がある。かかる状態とならないようにするための1つの方策として、モータやエンジンの出力を示すパワーメータを用いることが挙げられる。すなわち、かかる状態は、アクセルを大きく踏み込むことによって生じることが多いため、パワーメータを見ながらかかる状態とならないようにアクセル操作を行うものである。そして、このようなアクセル操作を行えば、環境に配慮した運転が行われることとなる。
【0004】
しかし、パワーメータを見ながらアクセル操作を行うと、運転の安全性に問題が生じ得る。よってパワーメータ等を用いた表示により運転者の視覚を介してかかる状態となることを報知すると、安全性の問題が生じ得る。また、音声等により運転者の聴覚を介してかかる状態となることを報知すると、報知の確実性問題の他、やはり安全性の問題等も生じ得る。
【0005】
なお、運転者が、EVモードからハイブリッドモードに移行することを認識したい場合があることに鑑み、EVモードからハイブリッドモードに移行する旨を、アクセルペダルを介した体感フィードバックにより運転者に報知する技術が提案されている(たとえば、〔特許文献1〕参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−107619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような事情があるにもかかわらず、未だ、モータ及びエンジンを駆動した走行時におけるバッテリの電力残量の収支が放電側の状態の報知を、安全且つ確実に運転者に行い、環境に配慮した運転を可能とする技術は知られていない。
【0008】
本発明は、走行用のモータと、このモータに電力を供給するバッテリと、このバッテリを充電するモータジェネレータを駆動し得るエンジンとを備え、モータ及びエンジンを駆動した走行時におけるバッテリの電力残量の収支が放電側の状態の報知を、安全且つ確実に運転者に行い、環境に配慮した運転を可能とするハイブリッド自動車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、車両に搭載される走行用のモータと、該モータに電力を供給するバッテリと、該バッテリに電力を供給するジェネレータを駆動するエンジンと、運転者の所望する走行状態を得るために該運転者によって操作される被操作部材と、前記バッテリの充放電状態を判定するバッテリ状態判定手段とを備え、前記バッテリ状態判定手段により判定された状態が前記車両のアクセル踏込中に充電状態から放電状態へ移行するとき及び/又は前記放電状態にあると判定されたときに、前記被操作部材の操作感を変更すべく駆動する駆動手段を有するハイブリッド自動車にある。
【0010】
請求項2記載の発明は、前記車両の速度を検出する速度検出手段と、前記車両のアクセル踏込量を検出するアクセル踏込量検出手段と、前記車両の速度と前記アクセル踏込量とに基づいて要求出力を算出する要求出力算出手段と、を更に有し、前記バッテリ状態判定手段は、前記要求出力と前記アクセル踏込量とを基準とする領域内で、前記検出されたアクセル踏込量が所定の第1踏込量以上又は前記算出された要求出力が所定の第1要求出力値以上である場合に前記エンジン及び前記モータが駆動される前記放電状態と判定し、前記領域内で、前記検出されたアクセル踏込量が前記所定の第1踏込量未満であって前記算出された要求出力が前記所定の第1要求出力値未満の場合に前記エンジン及び前記モータのうち少なくともエンジンが駆動される前記充電状態と判定することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車にある。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記バッテリ状態判定手段は、前記領域内で、前記検出されたアクセル踏込量が前記所定の第1踏込量より小さい踏込量である所定の第2踏込量未満であって前記算出された要求出力が所定の第1要求出力値より小さい所定の第2要求出力値未満の場合に前記エンジンを停止させて前記モータを駆動させる電気走行モード放電状態と判定し、前記バッテリ状態判定手段により判定された状態が前記電気走行モード放電状態から前記充電状態へ移行すると判定されたときに、前記駆動手段が前記被操作部材の操作感を変更することを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド自動車にある。
【0012】
請求項4記載の発明は、前記被操作部材はアクセルペダルであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載のハイブリッド自動車にある。
【0013】
請求項5記載の発明は、前記駆動手段は、前記アクセルペダルの踏力を増加させるように駆動すること及び/又は前記アクセルペダルを振動させるように駆動することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載のハイブリッド自動車にある。
【0014】
請求項6記載の発明は、前記被操作部材はハンドルであり、前記駆動手段は前記ハンドルを振動させるように駆動することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つに記載のハイブリッド自動車にある。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、車両に搭載される走行用のモータと、該モータに電力を供給するバッテリと、該バッテリに電力を供給するジェネレータを駆動するエンジンと、運転者の所望する走行状態を得るために該運転者によって操作される被操作部材と、前記バッテリの充放電状態を判定するバッテリ状態判定手段とを備え、前記バッテリ状態判定手段により判定された状態が前記車両のアクセル踏込中に充電状態から放電状態へ移行するとき及び/又は前記放電状態にあると判定されたときに、前記被操作部材の操作感を変更すべく駆動する駆動手段を有するハイブリッド自動車にあるので、充電状態から放電状態に移行する旨及び/又は放電状態にある旨の報知を安全且つ確実に運転者に行い、運転者の注意を喚起することで環境に配慮した運転を可能とするハイブリッド自動車を提供することができる。
【0016】
前記車両の速度を検出する速度検出手段と、前記車両のアクセル踏込量を検出するアクセル踏込量検出手段と、前記車両の速度と前記アクセル踏込量とに基づいて要求出力を算出する要求出力算出手段と、を更に有し、前記バッテリ状態判定手段は、前記要求出力と前記アクセル踏込量とを基準とする領域内で、前記検出されたアクセル踏込量が所定の第1踏込量以上又は前記算出された要求出力が所定の第1要求出力値以上である場合に前記エンジン及び前記モータが駆動される前記放電状態と判定し、前記領域内で、前記検出されたアクセル踏込量が前記所定の第1踏込量未満であって前記算出された要求出力が前記所定の第1要求出力値未満の場合に前記エンジン及び前記モータのうち少なくともエンジンが駆動される前記充電状態と判定することとすれば、アクセル踏込量、要求出力を用いて放電状態、充電状態の判定を行い、充電状態から放電状態に移行する旨及び/又は放電状態にある旨の報知を安全且つ確実に運転者に行い、運転者の注意を喚起することで環境に配慮した運転を可能とするハイブリッド自動車を提供することができる。
【0017】
前記バッテリ状態判定手段は、前記領域内で、前記検出されたアクセル踏込量が前記所定の第1踏込量より小さい踏込量である所定の第2踏込量未満であって前記算出された要求出力が所定の第1要求出力値より小さい所定の第2要求出力値未満の場合に前記エンジンを停止させて前記モータを駆動させる電気走行モード放電状態と判定し、前記バッテリ状態判定手段により判定された状態が前記電気走行モード放電状態から前記充電状態へ移行すると判定されたときに、前記駆動手段が前記被操作部材の操作感を変更することとすれば、アクセル踏込量、要求出力を用いて放電状態、充電状態に加えて電気走行モード放電状態の判定を行い、充電状態から放電状態に移行する旨及び/又は放電状態にある旨に加えて電気走行モード放電状態から充電状態に移行する旨の報知を安全且つ確実に運転者に行い、運転者の注意を喚起することで環境に配慮した運転を可能とするハイブリッド自動車を提供することができる。
【0018】
前記被操作部材はアクセルペダルであることとすれば、充電状態から放電状態に移行する旨及び/又は放電状態にある旨の報知を、アクセルペダルの踏力を用いて体感的に行うことで、かかる旨の報知を分かり易く安全且つ確実に運転者に行い、運転者の注意を喚起することで環境に配慮した運転を可能とするハイブリッド自動車を提供することができる。
【0019】
前記駆動手段は、前記アクセルペダルの踏力を増加させるように駆動すること及び/又は前記アクセルペダルを振動させるように駆動することとすれば、充電状態から放電状態に移行する旨及び/又は放電状態にある旨の報知を、アクセルペダルの踏力の比較的簡易且つ分かり易い変化を用いて体感的に行うことで、かかる旨の報知を分かり易く安全且つ確実に運転者に行い、運転者の注意を喚起することで環境に配慮した運転を可能とするハイブリッド自動車を提供することができる。
【0020】
前記被操作部材はハンドルであり、前記駆動手段は前記ハンドルを振動させるように駆動することとすれば、充電状態から放電状態に移行する旨及び/又は放電状態にある旨の報知をハンドルの振動を用いて安全且つ確実に運転者に行い、運転者の注意を喚起することで環境に配慮した運転を可能とするハイブリッド自動車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明を適用したハイブリッド自動車の駆動系に関する概略構成を示したブロック図である。
【図2】図1に示したハイブリッド自動車のアクセルペダル周りの概略構成を示したブロック図である。
【図3】図1に示したハイブリッド自動車の制御系に関する概略構成を示したブロック図である。
【図4】図1に示したハイブリッド自動車の走行モードの態様を示したマップである。
【図5】図1に示したハイブリッド自動車において運転者への報知を行う態様の一例を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1に本発明を適用した車両の駆動系に関する概略構成を示す。
この車両100は、駆動源として、電動機としての走行用のモータとしてのフロントモータであるモータ10及びリアモータであるモータ50と、内燃機関としてのエンジン20とを搭載したハイブリッド自動車(HEV)である。
【0023】
車両100はまた、かかる駆動源のほかに、モータ10、50に電力を供給する蓄電池としての大容量バッテリである高電圧バッテリを用いたバッテリ30と、バッテリ30の電力を所定の出力でモータ10に供給するインバータであるフロントモータ用インバータとしてのFrモータインバータ70と、バッテリ30の電力を所定の出力でジェネレータ34に供給するインバータであるジェネレータ用インバータとしてのジェネレータインバータ71と、DC/DCコンバータ72と、DC/DCコンバータ72に接続された12Vのバッテリ39とを有している。
【0024】
車両100はまた、モータ10によって回転駆動される駆動軸32及び車輪である駆動輪33と、エンジン20の駆動力によって駆動可能でありかかる駆動力による駆動によって発電してバッテリ30に電力を供給しバッテリ30を充電する発電機であるモータジェネレータとしてのジェネレータ34と、エンジン20と従動軸32との間を接断するクラッチ37とを有している。
【0025】
車両100はまた、バッテリ30の電力を所定の出力でモータ50に供給するインバータであるリアモータ用インバータとしてのRrモータインバータ73と、モータ50によって回転駆動される駆動軸35及び車輪である駆動輪36と、エンジン20に供給される燃料を蓄えた燃料タンク38と、エンジン20から排出された排気ガスを触媒により浄化する浄化部21と、浄化部21に接続されたマフラー22とを有している。
【0026】
車両100はまた、駆動輪33の回転速度を検知することで車両100の車速を検知し検知した車速をECU60に入力する車輪速センサである車速検知センサとしての速度検出手段たる車速検知手段63を有している。
【0027】
車両100はまた、図示しない運転席の前方に配設され運転者によって踏み込み動作によって操作される、図2に示すアクセルペダル40と、アクセルペダル40を支持したアクセルペダル支持部材としてのアクセルレバー41と、アクセルレバー41を車両100の本体に回動自在に支持したアクセルペダル支持軸としての軸42とを有している。
【0028】
車両100はまた、軸42を中心にしてアクセルレバー41の反対側に延設されたバー43と、バー43の位置言い換えると軸42を回転中心としたバー43の位相を検知してアクセルペダル40の踏み込み量であるアクセル踏込量を検知するアクセル踏込量検出手段である踏み込み量検知手段としてのエンコーダ44と、バー43、軸42、アクセルレバー41を介してアクセルペダル40に後述する負荷変動を付与する負荷変動付与手段45とを有している。
【0029】
車両100はまた、アクセルレバー41に係合しアクセルレバー41を介してアクセルペダル40を同図に示す位置であるホームポジションに向けて軸42を中心に同図における時計方向に付勢するための付勢手段としての付勢部材である引っ張りバネとしてのバネ46と、アクセルペダル40がホームポジションを占めた状態でアクセルレバー41に係合しバネ46の付勢力に抗してアクセルペダル40がホームポジションを占めた状態を維持するようにアクセルレバー41の回り止めを行うピン47とを有している。
【0030】
車両100はその他、図示を省略する、外部電源を接続される給電部と、給電部によって外部電源から供給された電力によりバッテリ30を充電する充電器74とを有しており、プラグインハイブリッド車となっている。
【0031】
車両100はまた、車両100の制御系の概略を示した図3に示すように、モータ10、50、エンジン20等、車両100に備えられた各構成を駆動制御する制御手段としてのECU60と、図示しない運転席の前方に配設され運転者によって車両100の操舵を行うための操舵動作によって操作されるハンドル61と、バッテリ30の充電状態であるSOC(State of Charge)を検知し検知したSOCをECU60に入力するSOC検知手段62とを有している。
【0032】
アクセルペダル40、ハンドル61はそれぞれ、運転者の所望する走行状態を得るために運転者によって操作される被操作部材である。
バー43は、アクセルペダル40の踏み込み量を検知するためにエンコーダ44によって検知される被検知部材であるとともに、負荷変動付与手段45によって与えられる負荷変動をアクセルペダル40に伝達する負荷変動伝達部材となっている。
エンコーダ44は、アクセルペダル40がホームポジションを占めているときのバー43の位置を基準位置とし、アクセルペダル40の踏み込み量を、かかる基準位置からの、軸42を中心としたバー43の回転角と等価のAPS[θ]により検知する。
SOCは、バッテリ30に残存している電力残量を意味し、値が大きいほど充電状態が良好であるものとする。
【0033】
ECU60は、CPU、メモリを備えている。図4に示すように、ECU60は、エンコーダ44によって検知されたAPS、SOC検知手段62によって検知されたSOC、車速検知手段63によって検知された車速を適宜組み合わせた条件に基づいて、車両100の走行モードとして、次に述べるEV走行モード、ハイブリッド走行モードであるシリーズ走行モード、ハイブリッド走行モードであるパラレル走行モードの何れかを選択する走行モード選択手段として機能する。このため、走行モード選択手段として機能するECU60のメモリには、図4に対応するマップが記憶されている。すなわち、かかるメモリには、同図に示した種々の条件に対応するように、EV走行モード、シリーズ走行モード、パラレル走行モードの各走行モードが記憶されており、かかる種々の条件に応じて、走行モード選択手段として機能するECU60によって、EV走行モード、シリーズ走行モード、パラレル走行モードの各走行モードが選択されるようになっている。この点、ECU60は、走行モード選択条件記憶手段として機能する。
【0034】
モータ10、エンジン20のうち、EV走行モードではモータ10のみが駆動され、ハイブリッド走行モードであるシリーズ走行モード及びパラレル走行モードではモータ10及びエンジン20が駆動される。なお、モータ50は、走行中に駆動輪33がスリップしたとき、大きな加速力が必要なとき、急な車線変更時、車両100のスタビリティが求められる場合などに作動し、4WDとするために駆動される。
【0035】
EV走行モードは、エンコーダ44によって検知されたAPSがθ<θ1の範囲にあってパワー要求が無く、SOC検知手段62によって検知されたSOCが大きくバッテリ残量が大きく、車速検知手段63によって検知された車速が低車速である場合に選択される。なお、車速が低車速である場合とは車速が高車速でない場合をいい、車速が低速あるいは中速である場合を含む。EV走行モードでは、モータ10あるいはこれに加えてモータ50の駆動力すなわち出力のみ言い換えるとバッテリ30の電力のみによって車両100を走行させる。そのため、エンジン20は停止しており、またクラッチ37は開放されている。減速時は4輪で回生する。すなわち車両100の運動エネルギーを、駆動輪33、駆動軸32、モータ10、インバータ31を介して電気エネルギーに変換するとともに、駆動輪36、駆動軸35、モータ50、インバータ51を介して電気エネルギーに変換し、バッテリ30に蓄電する。
【0036】
シリーズ走行モードは、エンコーダ44によって検知されたAPSがθ<θ1の範囲にあってパワー要求が無く、SOC検知手段62によって検知されたSOCが小さくバッテリ残量が小さい場合、または、SOC検知手段62によって検知されたSOCの大小によらずエンコーダ44によって検知されたAPSがθ≧θ1の範囲にあってパワー要求が有る場合であって、車速検知手段63によって検知された車速が低車速である場合に選択される。シリーズ走行モードでは、モータ10あるいはこれに加えてモータ50の駆動力すなわち出力言い換えるとバッテリ30の出力が目標の所定値となるように、エンジン20を作動させ、ジェネレータ34を回転駆動してバッテリ30に給電を行いながらモータ10を駆動して車両100を走行させる。クラッチ37は開放されている。減速時はEV走行モードと同様にして4輪で回生する。
【0037】
パラレル走行モードは、エンコーダ44によって検知されたAPS、パワー要求の有無、SOC検知手段62によって検知されたSOCの大小によらず、車速検知手段63によって検知された車速が高車速である場合に選択される。パラレル走行モードでは、モータ10あるいはこれに加えてモータ50の駆動力すなわち出力言い換えるとバッテリ30の電力及びエンジン20の駆動力すなわち出力によって車両100を走行させる。そのため、クラッチ37は結合される。パラレル走行モードは高車速であるときに選択されるが、これは高速域では比較的負荷が大きくエンジン20の熱効率が高いためである。よってパラレル走行モードではエンジン20主体で走行するが、モータ10の出力とエンジン20の出力とを互いに補完しながら使用するため、長距離走行に適しているとともに、モータ10あるいはこれに加えてモータ50によるトルクアシスト等も可能となっている。また、エンジン20の出力が出すぎた場合には、ジェネレータ34、インバータ31を介してバッテリ30に給電し、さらには充電することも可能である。減速時はEV走行モードと同様にして4輪で回生する。
【0038】
ただし、ハイブリッド走行モードによる走行時において、加速操作などによって走行に要する駆動負荷が高まると、SOCの収支が放電側となり、最もエネルギー消費が大きい状態となるという場合がある。この状態すなわちSOCの収支が放電側の第1の領域となる状態は、ハイブリッド走行モードすなわちシリーズ走行モード及びパラレル走行モードにおいて、APSが、θ≧θ2となることによって生じる。
【0039】
これは、図5に示すように、APSがθ≧θ2となると、シリーズ走行モードでは、ジェネレータ34の発電限界が生じた状態となり、バッテリ30への給電量よりも走行に要する電力量が上回り、SOCを低下させながら走行することとなり、またパラレル走行モードでは、エンジン20によるモータ10へのアシストが限界の状態となり、バッテリ30の電力を消費し続けることによって走行を維持し、SOCを低下させながら走行することとなるためである。
【0040】
車両100の走行状態が、第1の領域にあると、環境に配慮した運転を行っているとはいえず、燃費も低下した状態であるため、運転者に、第1の領域と異なる他の領域から第1の領域に移行するときや、第1の領域にあるときには、この旨を運転者に報知し、環境に配慮した運転、燃費の良い運転を促すことが望ましい。また、この報知は、運転の安全性を保ちつつ確実に行うことが望ましい。
【0041】
そこで、車両100では、走行モード選択手段として機能するECU60を、ハイブリッド走行モードにおける車両100の走行状態が、第1の領域にあるか、かかる他の領域にあるかと判定する領域判定手段として機能させ、かかる判定すなわち領域判定によってかかる他の領域から第1の領域に移行すると判定されたとき及び第1の領域にあると判定されたときに、負荷変動付与手段45を動作させて、図5に示すようにアクセルペダル40に負荷変動を付与し、この旨を運転者に報知するようになっている。
【0042】
言い換えると、車両100では、走行モード選択手段、領域判定手段として機能するECU60を、バッテリ30のSOCを低下させながら走行する放電状態にあるか、バッテリ30のSOCを増加あるいは維持させながら走行する充電状態にあるかの、バッテリ30の充放電状態を判定するバッテリ状態判定手段として機能させ、かかる判定すなわちバッテリの充放電状態判定によってかかる充電状態からかかる放電状態に移行すると判定されたとき及び/又はかかる放電状態にあると判定されたときに、ECU60が負荷変動付与手段45を動作させて、図5に示すようにアクセルペダル40に負荷変動を付与してアクセルペダル40の操作感を変更することで、この旨を運転者に報知するようになっている。
【0043】
そのため、ECU60は、車速検知手段63によって検知された車両100の速度と、エンコーダ44によって検知されたアクセル踏込量とに基づいて運転者による車両100に対する要求出力を算出する要求出力算出手段として機能するようになっているとともに、バッテリ状態判定手段として機能するECU60は、図5に示すように、要求出力値算出手段として機能するECU60によって算出された要求出力が、所定の第1要求出力値以上であるか同第1要求出力値未満であるかの判断、及び、エンコーダ44によって検知されたアクセル踏込量が、同図に示したθ2に相当する所定の第1踏込量以上であるか同第1踏込量未満であるかの判断を行う。かかる第1要求出力値は、上述の、シリーズ走行モードにおけるジェネレータ34の発電限界、パラレル走行モードにおけるエンジン20によるモータ10へのアシストの限界に対応している。
【0044】
そして、バッテリ状態判定手段として機能するECU60は、図5に示した、要求出力算出手段として機能するECU60によって算出された要求出力と、エンコーダ44によって検知されたアクセル踏込量とを基準とする領域内で、要求出力算出手段として機能するECU60によって算出された要求出力が第1要求出力値以上である、又は、エンコーダ44によって検知されたアクセル踏込量が第1踏込量以上であると判断した場合に、モータ10又はこれに加えてモータ50とエンジン20とが駆動されるハイブリッド走行モードにおいて放電状態であると判定し、またかかる領域内で、要求出力算出手段として機能するECU60によって算出された要求出力が第1要求出力値未満であって、エンコーダ44によって検知されたアクセル踏込量が第1踏込量未満であると判断した場合に、上述の駆動源すなわちモータ10、50とエンジン20とのうち少なくともエンジン20が駆動される状態において充電状態であると判定する。
【0045】
このため、APSが、θ<θ2の状態からθ=θ2となり、バッテリ状態判定手段として機能するECU60によって充電状態であると判定されている状態から放電状態であると判定される状態となると、領域判定手段としてのECU60は車両100の走行状態がかかる他の領域から第1の領域に移行すると判定し、また、バッテリ状態判定手段として機能するECU60は充電状態から放電状態に移行すると判定し、付加変動付与手段45により、アクセルペダル40に、ホームポジションに向かう向きの負荷を瞬間的に増加させる負荷変動を付与する。このとき、運転者は、アクセルペダル40を踏み込む動作を行っているため、アクセルペダル40の位置を維持するためにはかかる負荷変動に見合った大きさの力を踏み込み動作に加える必要がある。すなわち、運転者は、アクセルペダル40の位置を維持するためには、かかる負荷変動に見合った大きさの踏力を加える必要がある。このように、負荷変動付与手段45は、車両100の走行状態がかかる他の領域から第1の領域に移行し、充電状態から放電状態に移行する旨を、アクセルペダル40の踏力を増加させるようにアクセルペダル40を駆動し、アクセルペダル40の操作感を変更することで、運転者に報知する。
【0046】
運転者は、かかる他の領域から第1の領域に移行すること、充電状態から放電状態に移行することを、かかる負荷変動言い換えると踏力の変動によって報知され、認識するため、パワーメータ等を用いた表示により視覚を介してかかる状態となることを認識したり、音声等により聴覚を介してかかる状態となることを認識したりすることを要しない。よって、運転者は、安全に、車両100の走行状態がかかる他の領域から第1の領域に移行すること、充電状態から放電状態に移行することを認識する。また、かかる認識が、アクセルペダル40からのフィードバックという形式を持って、体感的に、確実になされる。
【0047】
運転者が、かかる負荷変動に見合った踏力を加えた後さらに踏力を増加させて、APSがθ>θ2となると、領域判定手段としてのECU60は、車両100の走行状態が第1の領域にあり、放電状態にあると判定し、付加変動付与手段45により、アクセルペダル40に、ホームポジションに向かう向きの負荷を周期的に増減させる負荷変動を付与する。このとき、運転者は、アクセルペダル40を踏み込む動作を行っているため、車両100の走行状態が第1の領域にあり、放電状態にあることを、アクセルペダル40の振動によって認識することとなり、パワーメータ等を用いた表示により視覚を介して車両100の走行状態が第1の領域にあることを認識したり、音声等により聴覚を介して車両100の走行状態が第1の領域にあることを認識したりすることを要しない。よって、運転者は、安全に、車両100の走行状態が第1の領域にあり、放電状態にあることを認識する。また、かかる認識が、アクセルペダル40からのフィードバックという形式を持って、確実になされる。
【0048】
また、図5に示されているように、アクセルペダル40の振動は、車両100の走行状態が第1の領域にあり、放電状態にある限り継続されるため、運転者は、車両100の走行状態が第1の領域にあり、放電状態にあって、SOCが低下し続けていることを、報知され続け、認識し続ける。さらに、図5に示されているように、アクセルペダル40の振動の振幅が、APSが大きくなるに連れて大きくなるため、運転者は、車両100の走行状態が第1の領域にあり、放電状態にあって、アクセルペダル40を大きく踏み込むほどSOCが速く低下することを報知されていることを直感し、認識する。
【0049】
車両100においては、走行モードがEV走行モードからハイブリッド走行モードに移行する場合も、この旨をアクセルペダル40の操作感を変更することで運転者に報知するようになっている。静かな運転、低ランニングコストの運転を望むとき、その他燃料タンク38内の燃料が残り少なくなっているとき等には、EV走行モードによる走行を維持することが望ましい場合があるためである。
【0050】
そこで、車両100では、領域判定手段として機能するECU60は、領域判定において、かかる他の領域として、ハイブリッド走行モードにおいてSOCの収支が充電側の第2の領域にあるか、バッテリ30の電力によって走行する第3の領域にあるかの判定を行うことが可能となっており、車両100の走行状態が、第3の領域から第2の領域に移行すると判定されたときにも、負荷変動付与手段45を動作させて、図5に示すようにアクセルペダル40に負荷変動を付与し、この旨を運転者に報知するようになっている。
【0051】
そのため、車両100では、バッテリ状態判定手段として機能するECU60は、図5に示すように、要求出力値算出手段として機能するECU60によって算出された要求出力が、第1要求出力値より小さい所定の第2要求出力値以上であるか同第2要求出力値未満であるかの判断を行うとともに、エンコーダ44によって検知されたアクセル踏込量が、第1踏込量より小さい所定の第2踏込量以上であるか同第2踏込量未満であるかの判断を行う。なお、かかる第2要求出力値は、EV走行モードにおけるバッテリ30のみによる走行の限界言い換えるとバッテリ30の放電による出力の限界に対応している。また、かかる第2踏込量は、同図に示されているθ1及びかかる限界に相当している。
【0052】
バッテリ状態判定手段として機能するECU60は、図5に示した上述の領域内において、かかる要求出力が第2要求出力値未満であってかかるアクセル踏込量が第2踏込量未満であると判断した場合に、EV走行モードにおける放電状態すなわちエンジン20を停止させてモータ10あるいはこれに加えてモータ50を駆動させる電気走行モード放電状態と判定する。
【0053】
そして、バッテリ状態判定手段として機能するECU60によって電気走行モード放電状態と判定されている状態から充電状態であると判定される状態となると、ECU60が負荷変動付与手段45を動作させて、図5に示すようにアクセルペダル40に負荷変動を付与してアクセルペダル40の操作感を変更することで、この旨を運転者に報知する。
【0054】
このため、APSが、θ<θ1の状態からθ=θ1となると、領域判定手段としてのECU60は車両100の走行状態が第3の領域から第2の領域に移行すると判定し、また、バッテリ状態判定手段として機能するECU60は電気走行モード放電状態から充電状態に移行すると判定し、付加変動付与手段45により、アクセルペダル40に、ホームポジションに向かう向きの負荷を瞬間的に増加させる負荷変動を付与する。このとき、運転者は、アクセルペダル40を踏み込む動作を行っているため、アクセルペダル40の位置を維持するためにはかかる負荷変動に見合った大きさの力を踏み込み動作に加える必要がある。すなわち、運転者は、アクセルペダル40の位置を維持するためには、かかる負荷変動に見合った大きさの踏力を加える必要がある。このように、負荷変動付与手段45は、車両100の走行状態が第3の領域から第2の領域に移行し、電気走行モード放電状態から充電状態に移行する旨を、アクセルペダル40の踏力を増加させるようにアクセルペダル40を駆動し、アクセルペダル40の操作感を変更することで、運転者に報知する。
【0055】
運転者は、第3の領域から第2の領域に移行すること、電気走行モード放電状態から充電状態に移行することを、かかる負荷変動言い換えると踏力の変動によって報知され、認識するため、パワーメータ等を用いた表示により視覚を介してかかる状態となることを認識したり、音声等により聴覚を介してかかる状態となることを認識したりすることを要しない。よって、運転者は、安全に、車両100の走行状態がかかる第3の領域から第2の領域に移行すること、電気走行モード放電状態から充電状態に移行することを認識する。また、かかる認識が、アクセルペダル40からのフィードバックという形式を持って、体感的に、確実になされる。
【0056】
なお、領域判定手段として機能するECU60は、θ1をしきい値として第2の領域か、第3の領域かの領域判定を行い、第2の領域は、SOCの収支が充電側のハイブリッド走行モードの領域となっているが、電気走行モード放電状態から充電状態に移行する場合でのかかるハイブリッド走行モードはシリーズ走行モードとパラレル走行モードとのうちのシリーズ走行モードによって構成されている。これは、すでに述べたように、高車速である場合にはAPSによらずパラレル走行モードが選択され、θ1の前後何れにおいてもSOCの収支は充電側だからである。
【0057】
以上述べたように、図5に示した例では、領域判定手段として機能するECU60は、θ1、θ2をしきい値として、車両100の走行状態が第1の領域、第2の領域、第3の領域の何れにあるかの領域判定を行い、第3の領域から第2の領域に移行すると判定したとき、及び、第2の領域から第1の領域に移行すると判定したときに、付加変動付与手段45により、アクセルペダル40を、踏力を増加させるように駆動するとともに、第1の領域にあると判定したときに、付加変動付与手段45により、アクセルペダル40を振動させるように駆動する。
【0058】
言い換えると、バッテリ状態判定手段として機能するECU60は、図5に示した上述の領域内において、第1要求出力値、第2要求出力値、第1踏込量、第2踏込量を閾値として、車両100の走行状態が放電状態、充電状態、電気走行モード放電状態の何れにあるかの状態判定を行い、電気走行モード放電状態から充電状態に移行すると判断したとき、及び、充電状態から放電状態に移行すると判断したときに、付加変動付与手段45により、アクセルペダル40を、踏力を増加させるように駆動するとともに、放電状態にあると判定したときに、付加変動付与手段45により、アクセルペダル40を振動させるように駆動する。
【0059】
その他、領域判定手段として機能するECU60は、車両100の走行状態が第3の領域、第2の領域にあると判定したときには、図5に示されているように、付加変動付与手段45により、アクセルペダル40を、APSの値θに比例して踏力を増加させるように駆動する。
【0060】
言い換えると、バッテリ状態判定手段として機能するECU60は、車両100の走行状態が電気走行モード放電状態、充電状態にあると判定したときには、図5に示されているように、付加変動付与手段45により、アクセルペダル40を、APSの値θ、要求出力に比例して踏力を増加させるように駆動する。
【0061】
なお、領域判定手段として機能するECU60は、車両100の走行状態が第1の領域にあると判定したときにも、図5において破線で示されているように、付加変動付与手段45により、アクセルペダル40を、APSの値θに比例して踏力を増加させるように駆動してもよい。言い換えると、バッテリ状態判定手段として機能するECU60は、車両100の走行状態が放電状態にあると判定したときにも、図5に示されているように、付加変動付与手段45により、アクセルペダル40を、APSの値θ、要求出力に比例して踏力を増加させるように駆動してもよい。
【0062】
また、領域判定手段として機能するECU60は、第3の領域から第2の領域に移行すると判定したとき、及び/又は、第2の領域から第1の領域に移行すると判定したときに、付加変動付与手段45により、アクセルペダル40を振動させるように駆動するようにしてもよい。言い換えると、バッテリ状態判定手段として機能するECU60は、電気走行モード放電状態から充電状態に移行すると判定したとき、及び/又は、充電状態から放電状態に移行すると判定したときに、付加変動付与手段45により、アクセルペダル40を振動させるように駆動してもよい。車両100の走行状態が第1の領域、放電状態にあると判定したときにこの旨の報知を行う場合には、第1の領域、放電状態に移行すると判定したときの報知は行わないようにしても良い。
【0063】
ハイブリッド走行モードにおいてSOCの収支が充電側となるか放電側となるかは、SOCに応じて変化する。すなわち、SOCが小さい場合にはSOCの収支が充電側となりやすく、SOCが大きい場合にはSOCの収支が放電側となりやすい。そこで、領域判定手段として機能するECU60は、領域判定に用いるθ2の値を、SOC検知手段62によって検知されたSOCの値に応じて変化させ、バッテリ状態判定手段として機能するECU60は、状態判定に用いる第1要求出力値、第1踏込量を、SOC検知手段62によって検知されたSOCの値に応じて変化させる。この点、領域判定手段として機能するECU60は、領域判定条件設定手段として機能し、バッテリ状態判定手段として機能するECU60は、状態判定条件設定手段として機能する。
【0064】
領域判定条件設定手段として機能するECU60はまた、同様の理由により、領域判定に用いるθ1の値も変化させる。とくに、SOCが大きい場合には、θ1の値がθ2の値に一致するところまで第3の領域すなわちEV走行モードが拡大し、第3の領域から第1の領域に直接移行する場合もある。この場合には、第1の領域と異なる他の領域は、第3の領域となり、領域判定手段として機能するECU60は、領域判定において、かかる他の領域として、ハイブリッド走行モードにおいてSOCの収支が充電側の第3の領域にあると判定することとなる。このように、領域判定手段として機能するECU60は、領域判定において、かかる他の領域として、第2の領域と第3の領域とのうち、SOCに応じて、第2の領域又は第3の領域にあるとの判定を行うときと、第3の領域にあるとの判定を行うときとがある。よって、領域判定手段として機能するECU60が行う領域判定には、車両100の走行状態が第1の領域にあるか、これと異なる他の領域にあるかとの判定を含むものとなっている。
【0065】
言い換えると、バッテリ状態判定手段として機能するECU60はまた、同様の理由により、状態判定に用いる第2要求出力値、第2踏込量の値も変化させる。とくに、SOCが大きい場合には、第2踏込量の値が第1踏込量に一致するところまで、また、第2要求出力値の値が第1要求出力値の値に一致するところまで電気走行モード放電状態が拡大し、電気走行モード放電状態から放電状態に直接移行する場合もある。このように、バッテリ状態判定手段として機能するECU60は、状態判定において、かかる他の状態として、充電状態と電気走行モード放電状態とのうち、SOCに応じて、充電状態又は電気走行モード放電状態にあるとの判定を行うときと、電気走行モード放電状態にあるとの判定を行うときとがある。よって、バッテリ状態判定手段として機能するECU60が行う状態判定には、車両100の走行状態が放電状態にあるか、これと異なる他の領域にあるかとの判定を含むものとなっている。
【0066】
負荷変動付与手段45は、アクセルペダル40を駆動することに加えて、あるいはこれに代えて、ハンドル61を駆動しハンドル61の操作感を変更するようにしても良い。この場合には、ハンドル61を振動させるように駆動することで、かかる他の領域、他の状態から第1の領域、放電状態に移行することすなわち第2の領域あるいは第3の領域すなわち充電状態あるいは電気走行モード放電状態から第1の領域、放電状態に移行すること、第1の領域、放電状態にあること、その他第3の領域から第2の領域に移行することすなわち電気走行モード放電状態から充電状態に移行することを運転者に報知するようにする。よって、運転者は、安全に、車両100の走行状態がかかる第3の領域から第2の領域に移行すること、電気走行モード放電状態から充電状態に移行すること等を認識する。また、かかる認識が、ハンドル61の振動という形式を持って、体感的に、確実になされる。なお、負荷変動付与手段45によるハンドル61の振動は車両100の操舵に影響を与えないようになっている。
【0067】
負荷変動付与手段45の構成としては、アクセルペダル40、ハンドル61を、上述の態様によって駆動するようになっていればどのようなものでも良い。たとえば、APSに比例して踏力が増加するとともに、APSがθ1、θ2のときにホームポジションに向かう向きの負荷を瞬間的に増加させるようにアクセルペダル40を駆動する構成においては、複数本のバネを用い、この複数のバネが、θ1、θ2に対応する位置においてバー43に適宜の組み合わせで係脱するように負荷変動付与手段45を構成することが可能である。また、アクセルペダル40、ハンドル61を振動するように駆動する構成においては、モータ軸に偏心カムを設け、モータの駆動により振動が発生するようにし、この振動がアクセルペダル40、ハンドル61に適宜のタイミングで伝達されるように負荷変動付与手段45を構成することが可能である。
【0068】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0069】
たとえば、SOCが大きく低下した場合には、APSがθ2となる位置よりもθが大きくならないようにアクセルペダル40の回動を負荷変動付与手段45によって規制するようにしても良い。
【0070】
領域判定は、上述の第1の領域と、他の領域との判定を含むものであれば良く、第1ないし第3の領域と異なる領域の判定を行うものであっても良い。また、状態判定は、上述の放電状態と、充電状態との判定を含むものであればよく、放電状態、充電状態、電気走行モード放電状態と異なる状態の判定を行うものであっても良い。
エンジンは水素燃料電池であっても良い。
【0071】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0072】
10、50 モータ
20 エンジン
30 バッテリ
34 モータジェネレータ
40 被操作部材、アクセルペダル
44 アクセル踏込量検出手段
45 駆動手段
60 バッテリ状態判定手段、要求出力算出手段
61 被操作部材、ハンドル
100 ハイブリッド自動車

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される走行用のモータと、
該モータに電力を供給するバッテリと、
該バッテリに電力を供給するジェネレータを駆動するエンジンと、
運転者の所望する走行状態を得るために該運転者によって操作される被操作部材と、
前記バッテリの充放電状態を判定するバッテリ状態判定手段とを備え、
前記バッテリ状態判定手段により判定された状態が前記車両のアクセル踏込中に充電状態から放電状態へ移行するとき及び/又は前記放電状態にあると判定されたときに、前記被操作部材の操作感を変更すべく駆動する駆動手段を有する
ことを特徴とするハイブリッド自動車。
【請求項2】
前記車両の速度を検出する速度検出手段と、
前記車両のアクセル踏込量を検出するアクセル踏込量検出手段と、
前記車両の速度と前記アクセル踏込量とに基づいて要求出力を算出する要求出力算出手段と、を更に有し、
前記バッテリ状態判定手段は、前記要求出力と前記アクセル踏込量とを基準とする領域内で、前記検出されたアクセル踏込量が所定の第1踏込量以上又は前記算出された要求出力が所定の第1要求出力値以上である場合に前記エンジン及び前記モータが駆動される前記放電状態と判定し、前記領域内で、前記検出されたアクセル踏込量が前記所定の第1踏込量未満であって前記算出された要求出力が前記所定の第1要求出力値未満の場合に前記エンジン及び前記モータのうち少なくともエンジンが駆動される前記充電状態と判定する
ことを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド自動車。
【請求項3】
前記バッテリ状態判定手段は、前記領域内で、前記検出されたアクセル踏込量が前記所定の第1踏込量より小さい踏込量である所定の第2踏込量未満であって前記算出された要求出力が所定の第1要求出力値より小さい所定の第2要求出力値未満の場合に前記エンジンを停止させて前記モータを駆動させる電気走行モード放電状態と判定し、
前記バッテリ状態判定手段により判定された状態が前記電気走行モード放電状態から前記充電状態へ移行すると判定されたときに、前記駆動手段が前記被操作部材の操作感を変更する
ことを特徴とする請求項2に記載のハイブリッド自動車。
【請求項4】
前記被操作部材はアクセルペダルである
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載のハイブリッド自動車。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記アクセルペダルの踏力を増加させるように駆動すること及び/又は前記アクセルペダルを振動させるように駆動する
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1つに記載のハイブリッド自動車。
【請求項6】
前記被操作部材はハンドルであり、前記駆動手段は前記ハンドルを振動させるように駆動する
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1つに記載のハイブリッド自動車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−16972(P2012−16972A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−154059(P2010−154059)
【出願日】平成22年7月6日(2010.7.6)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】