説明

ハイブリッド車両における回生システム

【課題】クラッチの接続・非接続にかかわらずフリクションを抑えて回生量を十分に大きくとることができるハイブリッド車両における回生システムを提供する。
【解決手段】エンジン22と、モータ106と、エンジン22からの動力を後輪WRに伝達させるかを切り換えるクラッチ104と、クラッチ104を制御して、該クラッチ104の接続、非接続を行うクラッチアクチュエータ120と、エンジン22及びモータ106の駆動制御を行うとともに、クラッチアクチュエータ120を制御するMG−ECU102とを備えたハイブリッド車両における回生システム100において、MG−ECU102は、クラッチ104が接続の状態の場合は、モータ106を駆動制御してモータ106に回生を行わせるとともに、エンジン22を駆動制御して運転状態にし、クラッチ104が非接続の状態の場合は、モータ106を駆動制御して前記モータ106に回生を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回生量を十分に得ることができるハイブリッド車両における回生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記に示す特許文献1には、回生効率を向上させるハイブリッドシステムが記載されている。詳しくは、ハイブリッドシステムは、エンジンと、駆動輪に接続されたモータと、モータとエンジンとの間に介装されたクラッチとを有し、回生要求が発生した際に、クラッチが接続されている場合は、フリクションが大きくならないようにモータの回生量を小さくし、クラッチが切り離されている(非接続)場合は、モータの回生量を大きくすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3826637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、クラッチの接続・非接続のそれぞれの場合におけるモータの回生量を作成する必要があり、該回生量の作成に多大な工数を要してしまう。逆に、クラッチが接続・非接続の場合であっても、回生量を同じにすれば工数が削減されるが、クラッチが非接続のときの回生量を用いる場合は、クラッチが接続されているときの回生によってフリクションが過大になり、逆にクラッチが接続のときの回生量を用いる場合は、クラッチが接続されていないときの回生量を十分に大きくとることができなくなってしまう。
【0005】
そこで、本発明は、係る従来の問題点に鑑みてなされたものであり、クラッチの接続・非接続にかかわらずフリクションを抑えて回生量を十分に大きくとることができるハイブリッド車両における回生システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、車両の第1駆動源であるエンジン(22)と、バッテリ(126)から電力が供給され、前記車両の駆動及び回生を行う前記車両の第2駆動源であるモータ(106)と、接続、非接続を行うことで前記エンジン(22)からの動力を駆動輪(WR)に伝達させるか否かを切り換えるクラッチ(104)と、該クラッチ(104)の接続、非接続の制御を行うクラッチアクチュエータ(120)と、前記クラッチ(104)が接続されているか否かを検出するクラッチ接続状態検出手段(138)と、前記エンジン(22)及び前記モータ(106)の駆動制御を行うとともに、前記車両に回生要求が発生した場合には、前記クラッチアクチュエータ(120)を制御して、前記クラッチ(104)を断接する制御手段(102)と、を備えたハイブリッド車両における回生システム(100)において、前記制御手段(102)は、前記クラッチ(104)が接続の状態の場合は、前記モータ(106)を駆動制御して前記モータ(106)に回生を行わせるとともに、前記エンジン(22)を駆動制御して運転状態にし、前記クラッチ(104)が非接続の状態の場合は、そのときの運転状態における略最大の回生量を得るように前記モータ(106)を駆動制御して前記モータ(106)に回生を行わせることを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、前記制御手段(102)は、前記クラッチ(104)が接続の状態の場合は、少なくとも前記エンジン(22)によるフリクションを打ち消すように前記エンジン(22)を駆動制御することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、前記制御手段(102)は、前記車両が減速状態のときに前記エンジン(22)のフリクションを打ち消すように前記エンジン(22)を駆動制御することを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、前記制御手段(102)は、前記クラッチ(104)が接続の状態の場合は、前記エンジン(22)内に流入する空気の量を調整する吸入空気量調整手段を開制御することを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、運転者が前記車両の加速を指示するためのアクセルグリップの開度を検出するアクセル開度検出手段(130)を備え、前記制御手段(102)は、前記アクセルグリップの開度が所定値以下の場合は、前記クラッチアクチュエータ(120)を制御して、前記クラッチ(104)を非接続の状態にすることを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、前記エンジン(22)の水温を検出する水温検出手段(134)を備え、前記制御手段(102)は、前記エンジン(22)の水温が、所定水温以下の場合は、前記クラッチ(104)を接続の状態のままにすることを特徴とする。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項5又は6に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、前記制御手段(102)は、前記アクセル開度検出手段(130)により前記アクセルグリップの開度が前記所定値以下と判断された時間が、所定時間より短い場合は、前記クラッチ(104)を接続の状態のままにすることを特徴とする。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項5〜7のいずれか1項に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、前記制御手段(102)は、前記エンジン(22)の回転数が、所定回転数以上の場合は、前記クラッチ(104)を接続の状態のままにすることを特徴とする。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、前記所定回転数は、少なくとも前記モータ(106)のトルクが、前記エンジン(22)のトルクより小さくなる回転数であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、クラッチが接続の状態の場合は、モータを駆動制御してモータに回生を行わせるとともにエンジンを運転状態にし、クラッチが非接続の状態の場合は、モータを駆動制御してモータに回生を行わせるので、クラッチの接続状態にかかわらずモータの回生量を十分に得ることができる。また、エンジンを運転状態にすることでエンジンによるフリクションの発生を抑えることができ、クラッチの接続状態にかかわらず、車両の減速度が略一定になり、運転者に異和感を与えることがない。さらに、回生量の目標値を一つで済ませることができるので、目標量のセッティングにかかる工数を削減することができる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、クラッチが接続の状態の場合は、エンジンによるフリクションを打ち消すようにエンジンを運転するので、クラッチの接続状態にかかわらず、モータのみによるフリクション(回生ブレーキ)しか発生しないので、回生量をより大きく得ることができるとともに、車両の減速度が略一定になり、運転者に異和感を与えることがない。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、車両が減速状態のときに、クラッチが接続状態の場合に、エンジンによるフリクションを打ち消すようにエンジンを運転するので、効率よく回生を行うことができ、運転者が異和感を感じることがない。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、吸入空気量調整手段(スロットルバルブ、IACV等)によってエンジンの出力をコントロールすることができるので、特殊な構成を設ける必要がない。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、アクセルグリップの開度が所定値以下の場合は、クラッチを非接続の状態にするので、車両が減速しているときに回生を行うことができる。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、水温が所定温度以下の場合は、クラッチを接続の状態のままにするので、エンジンの暖気運転中にクラッチを非接続の状態にすることがなく、燃費の低下を防ぐことができる。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、アクセルグリップの開度が所定値以下と判断された時間が、所定時間より短い場合は、クラッチを接続の状態のままにするので、例えば、単に車両の姿勢制御を行うために、アクセルグリップの開度を短時間0度にする場合があるが、かかる場合に再びアクセルグリップの開度を開けたときに駆動力を直ちに駆動輪に伝達することができ、ドライバビリティが向上する。
【0022】
請求項8及び9に記載の発明によれば、エンジンの回転数が所定回転数以上の場合は、クラッチを接続の状態のままにするので、アクセルグリップが操作され、再加速する場合であっても、アクセルグリップの操作に応じた加速の回転駆動力を直ちに駆動輪に伝達することができ、ドライバビリティが低下することがない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ハイブリッド車両における回生システムを有する自動二輪車の側面図である。
【図2】ハイブリッド車両における回生システムを示すブロック図である。
【図3】ハイブリッド車両における回生システムの動作を示すフローチャートである。
【図4】エンジン回転数及びモータ回転数とトルクとの関係を示すグラフである。
【図5】アクセルグリップの開度が0度になったときの、スロットルバルブの開度、モータ回転数、エンジン回転数、及びモータのトルクのタイミングチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係るハイブリッド車両における回生システムについて、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0025】
図1は、ハイブリッド車両における回生システムを有する自動二輪車10の側面図である。自動二輪車10は、車体フレーム12と、車体フレーム12の前端部に設けられたヘッドパイプ14と、該ヘッドパイプ14に回転自在に軸支される左右一対のフロントフォーク16と、フロントフォーク16の上端部を支持するトップブリッジ18に取り付けられたハンドル20と、フロントフォーク16に取り付けられた前輪WFと、車体フレーム12に支持された自動二輪車10の駆動源であるエンジン22と、エンジン22の図示しない排気管を介して連結された排気マフラー24と、車体フレーム12の後下部のピボット軸26に揺動可能に支持されたスイングアーム28と、このスイングアーム28の後端部に取り付けられた後輪(駆動輪)WRとを備える。
【0026】
車体フレーム12は、ヘッドパイプ14から左右に分岐して後斜め下方に延びる左右の一対のメインフレーム30と、メインフレーム30の後部に接続される左右一対のピボットプレート32と、ピボットプレート32の前部及び後部から後方斜め上方に延びる左右一対のシートフレーム34とを有する。メインフレーム30の上方に燃料タンク36が設けられ、シートフレーム34の上部には、運転者シート38、同乗者シート40が取り付けられ、同乗者シート40の後方には、グラブレール42及びトランクボックス44が取り付けられている。
【0027】
車体フレーム12のピボットプレート32には、運転者シート38に着座した運転者用の左右一対のステップ46と、同乗者シート40に着座した同乗者用の左右一対のステップ48とが取り付けられている。
【0028】
車体フレーム12には、車体カウリング50が取り付けられ、車体カウリング50は、車体前方を覆うフロントカバー52と、車体側部を覆う左右一対のサイドカバー54と、車体下部を覆うアンダーカバー56と、車体後部を覆うリアシートカウル58とを備えており、リアシートカウル58には、左右一対のサドルバック60が一体に形成されている。また、前輪WFを覆うフロントフェンダ62がフロントフォーク16に取り付けられ、後輪WRを覆うリアフェンダ64がリアシートカウル58に取り付けられている。フロントカバー52の前面には、ヘッドライト66が取り付けられ、その上部には風防68が取り付けられ、左右端には、サイドミラー70が取り付けられている。なお、自動二輪車10は、図示しないモータも有するハイブリッド車両である。
【0029】
図2は、ハイブリッド車両における回生システム(以下、回生システム)100を示すブロック図である。回生システム100は、エンジン22、MG−ECU102(管理制御部)、クラッチ104、モータ106、DCT108、インジェクタ110、FI−ECU112、TBW装置114、スロットル開度センサ116、回転数センサ118、クラッチアクチュエータ120、アクチュエータ駆動部122、モータ駆動部124、バッテリ126、TM−ECU128、アクセル開度センサ130、車速センサ132、水温センサ134、ブレーキセンサ136、クラッチ接続状態センサ138、ギアポジションセンサ140、モータ回転数センサ142、及びスロットル開度マップ記憶部144を有する。
【0030】
MG−ECU(制御手段)102は、回生システム100全体を制御するものである。クラッチ104は、エンジン22及び後輪WR間で動力を伝達させるかを切り換えるものであり、エンジン22とモータ106とはクラッチ104を介装して接続されている。モータ106はDCT108を介して後輪WRに接続されている。クラッチ104が接続の状態の時には、エンジン22と後輪WRとの間で動力の伝達が可能な状態になる。つまり、エンジン22から後輪WRへの動力の伝達、及び、後輪WRからエンジン22への動力の伝達が可能となる。クラッチ104が非接続の状態(接続されていない状態)の時には、エンジン22と後輪WRとの間で動力の伝達が不可能な状態になる。
【0031】
モータ106は、自動二輪車10の駆動源であり、例えば、ブラシレスモータであってもよく、モータ駆動部124から供給される3相の交流電流によって図示しないモータ106の回転軸が回転する。この回転軸の回転が後輪WRに伝達されることで後輪WRが回転する。また、モータ106は、後輪WRの動力によってモータ106の前記回転軸が回転させられるときは、後輪WRの運動エネルギーを電気エネルギーに変換する発電機としても機能する。モータ106の前記回転軸の回転数がモータ回転数となる。
【0032】
DCT(Dual Clutch Transmission)108は、後輪WRに伝達される動力を変速させるものである。詳しくは、奇数段のギアセット(例えば、1速ギア段、3速ギア段)と偶数段のギアセット(例えば、2速ギア段、4速ギア段)を2つのクラッチで切り換えるトランスミッションであり、前記2つのクラッチを交互に繋ぎ変えることで瞬時に変速を行う。例えば、現在の接続されているギアポジションが3速ギア段の場合は、2速ギア段又は4速ギア段が待機している状態となり、他方のクラッチに切り換えることで瞬時に変速を行うことができる。接続させるギア段を変えることでDCT108の変速比が変わる。なお、1速ギア段、2速ギア段、3速ギア段、4速ギア段は互いに減速比が異なる。
【0033】
インジェクタ(燃料噴射装置)110は、エンジン22に備えられ、エンジン22内の図示しない燃焼室に流入される混合気を生成するために燃料を噴射する。この燃料と空気とが混合された混合気が前記燃焼室に流入し、点火プラグ(点火装置)111が前記燃焼室の混合気に点火することで該混合気が爆発し、エンジン22の図示しないピストンが往復運動して運動エネルギーを発生する。点火プラグ111の点火タイミングは、MG−ECU102によって制御される。
【0034】
FI−ECU(燃料噴射制御部)112は、MG−ECU102の制御下でインジェクタ110を駆動制御する。詳しくは、FI−ECU112は、アクセル開度センサ(アクセル開度検出手段)130が検出した自動二輪車10のハンドル20の図示しないアクセルグリップの開度等に応じて、インジェクタ110が噴射する燃料の噴射量及び噴射タイミングを制御する。
【0035】
TBW(Throttle-By-Wire)装置114は、エンジン22の図示しないスロットルバルブ(吸入空気量調整手段)をMG−ECU102の制御下で動作させる。詳しくは、TBW装置114は、アクセル開度センサ130が検出した前記アクセルグリップの開度等に応じて、エンジン22の前記スロットルバルブを動作させるものであり、該アクセルグリップの開度に応じて該スロットルバルブの開度を大きくさせる。前記スロットルバルブはエンジン22の前記燃焼室へ流入する空気の量を調整するものである。インジェクタ110は、前記スロットルバルブを介して流入した空気に燃料を噴射することで混合気を生成する。エンジン22内へ流入する混合気の量が多くなれば、その分エンジン22内での爆発は大きくなり、より大きな運動エネルギーを得ることができる。スロットル開度センサ(スロットル開度検出手段)116は、前記スロットルバルブの開度を検出するセンサである。なお、アクセル開度センサ130及びスロットル開度センサ116は、TBW装置114の中に設けられてもよい。また、前記スロットルバルブの代えて、IACV(アイドルエアーコントロールバルブ)(吸入空気量調整手段)等を用いてもよい。
【0036】
回転数センサ(回転数検出手段)118は、エンジン22の回転数(エンジン回転数)を検出するセンサである。エンジン回転数とは、エンジン22の出力軸であるクランク軸(回転軸)の回転数のことをいう。回転数センサ118は、ホールICを用いたセンサであってもよく、ロータリエンコーダであってもよい。クラッチアクチュエータ120は、例えば、油圧アクチュエータであり、クラッチ104を動作させて、クラッチ104の接続、非接続を切り換える。アクチュエータ駆動部122は、MG−ECU102の制御下で該クラッチアクチュエータ120を駆動させるものであり、例えば、作動油をクラッチアクチュエータ120に供給することでクラッチアクチュエータ120を動作させる。
【0037】
原則として、回生要求があった場合(アクセルグリップの開度が所定値以下で、車速が所定速度以下の場合)は、MG−ECU102は、クラッチ104を切り離す(断接する)ように、アクチュエータ駆動部122を制御するが、所定の条件(エンジン回転数が所定回転数より小さい、水温が所定温度より大きい、アクセルグリップの全閉時間が所定時間以上)が満たされていない場合は、クラッチ104を断接させない。つまり、クラッチ104を接続の状態のままにする。
【0038】
モータ駆動部124は、MG−ECU102の制御下でモータ106を駆動させるものであり、詳しくは、モータ106の力行トルク及び回生トルク(回生量)を制御する。モータ駆動部124によって、モータ106に力行トルクが発生している場合は、バッテリ126から供給される直流電流がモータ駆動部124によって、例えば、3相の交流電流に変換され、該3相の交流電流がモータに供給される。また、モータ106に回生トルクが発生している場合には、モータ106に発生した3相の交流電流がモータ駆動部124によって直流電流に変換され、該直流電流がバッテリ126に充電される。
【0039】
TM−ECU128は、MG−ECU102の制御下でDCT108の変速比を制御するものである。車速センサ(車速検出手段)132は、例えば、ロータリエンコーダであり、自動二輪車10の車速を検出する。水温センサ(水温検出手段)134は、例えば、サーミスタ、又は、熱電対であり、エンジン22の水温を検出する。ブレーキセンサ136は、自動二輪車10の走行に対して制動力を発生させるブレーキが操作されたか、また、その操作量を検出する。前記ブレーキの操作量(ブレーキ操作量)が大きいほど、大きい制動力が発生する。
【0040】
クラッチ接続状態センサ(クラッチ接続状態検出手段)138は、クラッチ104の接続状態(接続か非接続か)を検出する。クラッチ接続状態センサ138は、クラッチのアウター及びインナーに設けられた検出部と被検出部を有する。ギアポジションセンサ(ギアポジション検出手段)140は、現在接続されているギア段を検出する。モータ回転数センサ(モータ回転数検出手段)142は、現在のモータ106のモータ回転数を検出する。
【0041】
スロットル開度マップ記憶部144は、DCT108の各変速比に適した前記スロットルバルブの開度が記されたスロットル開度マップ、つまり、各ギア段に対応する該スロットルバルブの開度が記されたスロットル開度マップを複数記憶している。スロットル開度マップは、エンジン回転数と、該エンジン回転数に対応する前記スロットルバルブの開度が記憶されたマップである。スロットル開度マップは、エンジン22のフリクション(エンジンブレーキ)を打ち消すのに必要な前記スロットルバルブの開度とエンジン回転数との関係を示すマップである。エンジン22のフリクションは、エンジン回転数に依存し、エンジン22の出力は、エンジン回転数に依存する。また、エンジン22の出力は、前記スロットルバルブの開度に依存するので、これらの関係からスロットル開度マップを作成することができる。
【0042】
次に、回生システム100の動作を図3のフローチャートに従って説明する。なお、自動二輪車10が力行している状態のときは、クラッチ104は接続されている。最初に、MG−ECU102は、アクセル開度センサ130が直近に検出した前記アクセルグリップの開度を取得し(ステップS1)、取得した前記アクセルグリップの開度が0度であるか否か(運転者が前記アクセルグリップを操作していないか否か)を判断する(ステップS2)。つまり、ユーザが前記アクセルグリップを非操作状態にして減速している状況か否かを判断する。なお、前記アクセルグリップの開度が0度である必要はなく、ステップS2では、前記アクセルグリップの開度が、殆どグリップ操作が行われていない開度(所定値)以下であるか否かを判断してもよい。
【0043】
ステップS2で、前記アクセルグリップの開度が0度でないと判断するとステップS1に戻る。前記アクセルグリップの開度が0度でない場合には、自動二輪車10は力行しているので(減速状態ではないので)、回生動作を行わない。
【0044】
一方で、ステップS2で、前記アクセルグリップの開度が0度であると判断すると、MG−ECU102は、タイマーをスタートさせる(ステップS3)。既にタイマーがスタートされている場合は、ステップS3の動作は行わない。なお、MG−ECU102は、クロック回路を有し、タイマーとしても機能する。
【0045】
次いで、MG−ECU102は、車速センサ132が直近に検出した自動二輪車10の車速を取得し(ステップS4)、該取得した車速が所定速度(例えば、5km/h)より大きいか否かを判断する(ステップS5)。
【0046】
ステップS5で、該取得した車速が所定速度より大きくないと判断するとステップS1に戻る。自動二輪車10の車速が所定速度以下の場合は、回生量は少ないので回生を行わない。
【0047】
一方、ステップS5で、該取得した車速が所定速度より大きいと判断すると、MG−ECU102は、車両に回生要求が発生したと判断し、ギアポジションセンサ140によって直近に検出されたギアポジション(選択されているギア段)を取得する(ステップS6)。
【0048】
次いで、MG−ECU102は、スロットル開度マップ記憶部144に記憶されている複数のスロットル開度マップから、取得したギアポジションに対応するスロットル開度マップを選択する(ステップS7)。例えば、現在選択されているギアポジションが2速ギア段の場合は、該2速ギア段に対応するスロットル開度マップを選択する。
【0049】
次いで、MG−ECU102は、クラッチ104が接続されているか否かを判断する(ステップS8)。この判断は、クラッチ接続状態センサ138が検出した検出信号に基づいて行う。
【0050】
ステップS8で、クラッチ104が接続されていると判断すると、MG−ECU102は、回転数センサ118が直近に検出したエンジン回転数を取得し(ステップS9)、取得したエンジン回転数が所定回転数より小さいか否かを判断する(ステップS10)。所定回転数は、仮にクラッチ104が非接続の状態の時に、前記アクセルグリップが回動された場合に、モータ106のみで、該アクセルグリップの開度に応じた回転駆動力を出力することができない回転数である。
【0051】
図4は、エンジン回転数及びモータ回転数とトルクとの関係を示すグラフであり、図4を用いて所定回転数の決定方法を説明する。グラフの横軸は、回転数を示しており、縦軸は、エンジン22のトルク(エンジントルク)及びモータ106のトルク(モータトルク)を示す。エンジン22とモータ106とはクラッチ104によって接続されると、エンジン22の出力軸回転数とモータ106の出力軸回転数は同じになるので、図4では、エンジン回転数=モータ回転数、としている。
【0052】
図4に示すように、低回転数領域では、エンジントルクは小さくなり、モータトルクは大きくなる。したがって、低回転数領域では、クラッチ104により、エンジン22とモータ106とを切り離した方が好ましい。しかしながら、モータ回転数が回転数A以上となる高回転数領域では、逆に、エンジントルクは大きくなり、モータトルクは小さくなる。エンジン回転数がこのような高回転数領域にある場合にクラッチ104を非接続の状態にしてしまうと、駆動源としてモータ106のみが後輪WRに接続されている状態となるので、運転者により前記アクセルグリップが操作された場合、該アクセルグリップの開度に応じた回転駆動力を直ちに出力することができない。つまり、モータ106では、前記アクセルグリップの開度に応じた駆動力を出力することができない。したがって、モータ回転数が回転数A以上の場合では、クラッチ104を接続の状態にした方が好ましい。したがって、回転数AをステップS10で用いる所定回転数とする。この回転数A(所定回転数)は、少なくともモータトルクがエンジントルクより小さくなる回転数である。
【0053】
図3のフローチャートに戻り、ステップS10で、エンジン回転数が所定回転数より小さいと判断すると、MG−ECU102は、水温センサ134が直近に検出したエンジン22の水温を取得し(ステップS11)、該取得した水温が所定温度(エンジン22の暖気運転をしなくても良い温度であり、例えば、65℃)より高いか否かを判断する(ステップS12)。水温が所定温度より大きいか否かを判断する理由は、水温が所定温度以下の場合は、暖気するためにエンジン22を運転状態にする必要があり、暖気のための運転状態時にクラッチ104を非接続にすると、エンジン22の動力が無駄になり、燃費の低化に繋がると共にエンジンに負荷を与えられず暖気時間の延びに繋がるからである。
【0054】
ステップS12で、取得した水温が所定温度より高いと判断すると、MG−ECU102は、前記アクセルグリップの全閉時間(前記アクセルグリップが操作されていない時間)が所定時間(例えば、1秒)より短いか否かを判断する(ステップS13)。つまり、前記アクセルグリップの開度が0度と検出されたときから所定時間(例えば、1秒)が経過していないか否かを判断する。この判断は、タイマーが計時した時間に基づいて判断する。
【0055】
ステップS10でエンジン回転数が所定回転数より小さくない(エンジン回転数が所定回転数以上)と判断された場合、ステップS12で検出された水温が所定温度より大きくない(水温が所定温度以下)と判断された場合、ステップS13で前記アクセルグリップの全閉時間が所定時間より短いと判断された場合は、MG−ECU102は、選択したスロットル開度マップを用いて、前記スロットルバルブの開度、回生トルクを決定し、該決定した開度及び回生トルクとなるように、前記スロットルバルブの開閉及びモータ106を制御して(ステップS14)、ステップS1に戻る。
【0056】
スロットル開度マップは、エンジン回転数と該エンジン回転数に対応する前記スロットルバルブの開度とが記憶されたマップであることから、MG−ECU102は、ステップS9で取得したエンジン回転数に対応する開度をスロットル開度マップから取得し、該取得した開度を前記スロットルバルブの開度として決定する。そして、MG−ECU102は、TBW装置114を制御することで、該決定した開度となるように前記スロットルバルブの開閉を制御する。これにより、エンジン22は、現在のエンジン回転数まで駆動されるので、エンジン22によるフリクション(エンジンブレーキ)を無くすことができる。ここで、エンジンブレーキによるフリクションを打ち消すのに必要最小限の回転駆動力を発生するようにエンジン22を運転させれば十分であり、それ以上の回転駆動力でエンジン22を運転させる必要はない。
【0057】
逆に、エンジン22を駆動しないと、後輪WRの動力によってエンジン22が回転され続け、これにより、エンジン22がフリクションとして機能する。このため、クラッチ104が接続の状態の時は、モータ106によるフリクション(回生ブレーキ)と併せて大きなフリクションが発生してしまい、回生ブレーキとエンジンブレーキによって、車両の減速が大きくなり、運転者に異和感を与えてしまう。また、クラッチ104が接続の状態から非接続の状態に切り替ったときのフリクションの変動が大きくなってしまい、運転者に異和感を与えてしまう。しかしながら、上述したように、エンジン22によるフリクションを打ち消すように、エンジン22を運転させるので回生時にはエンジンブレーキが発生せずに、回生ブレーキのみが発生する。したがって、大きなフリクションの発生を抑えることができるとともに、運転者に異和感を与えることがない。
【0058】
また、クラッチ104が接続の状態の時には、エンジン22によるフリクションを打ち消すようにエンジン22を運転させるので、モータ106の回生量を抑える必要がない。つまり、クラッチ104が接続の状態の場合に、エンジンブレーキが発生しないので、モータ106の回生量を大きくとることができる。逆に、クラッチ104が接続の状態であって、エンジン22を運転させないと、エンジンブレーキと回生ブレーキとが発生してしまうので、フリクションを可及的に小さくするためにはモータ106の回生量を減少させる必要がある。しかしながら、上述したようにエンジンブレーキを打ち消すようにエンジン22を運転させるので、モータ106の回生量を小さくする必要がなく、大きな回生量を得ることができる。
【0059】
回生には、惰性運転(前記アクセルグリップを全閉にし、前記ブレーキをかけていない状態での走行運転)により発生するクルーズ回生と、前記アクセルグリップを全閉にし、前記ブレーキをかけた状態での走行運転により発生するブレーキ回生とがある。MG−ECU102は、ブレーキセンサ136からの検出信号に基づいて前記ブレーキがかけられていないと判断したときは、クルーズ回生と判断し、前記スロットルバルブの開度と現在の車速(又は、エンジン回転数)とから回生トルクを求める。また、MG−ECU102は、ブレーキセンサ136からの検出信号に基づいて前記ブレーキがかけられていると判断したときには、ブレーキ回生と判断し、前記スロットルバルブの開度と現在の車速(又は、エンジン回転数)とブレーキ操作量とから回生トルクを求める。
【0060】
前記スロットルバルブの開度はスロットル開度マップを用いて決定され、車速は、車速センサ132から得られ、ブレーキ操作量はブレーキセンサ136から得ることができる。なお、エンジン回転数は、回転数センサ118から得ることができる。MG−ECU102は、前記スロットルバルブの開度、車速(又は、エンジン回転数)、ブレーキ操作量から回生トルクを求める。MG−ECU102は、該求めたトルクをモータ106の回生トルクとして決定し、モータ駆動部124を制御する。なお、回生トルクの求め方は周知技術なので説明を割愛する。
【0061】
前記アクセルグリップが全閉(前記アクセルグリップの開度が0度)のときは、エンジン22はフリクションを打ち消すように運転されているだけなので、エンジン回転数は、時間の経過とともに所定回数より小さくなる。また、エンジン22の水温も、エンジン22の運転により徐々に上昇し、前記アクセルグリップの全閉時間は、時間の経過とともに所定時間以上になる。したがって、最初はステップS14の動作に移行する場合もあるが、時間の経過とともにステップS14の動作へと移行することになる。
【0062】
一方、ステップS13で、前記アクセルグリップの全閉時間が所定時間より短くない(全閉時間が所定時間以上)と判断されると、MG−ECU102は、クラッチ104を非接続の状態にする(ステップS15)。つまり、クラッチ104を切り離す。MG−ECU102は、アクチュエータ駆動部122を制御することで、クラッチ104を切り離す。
【0063】
次いで、MG−ECU102は、TBW装置114を制御することで、前記スロットルバルブを全閉にして(前記スロットルバルブの開度を0度にして)(ステップS16)、ステップS17に進む。これにより、エンジン22の運転が停止し、燃費の低化を防止することができる。
【0064】
一方、ステップS8で、クラッチ104が接続されていないと判断するとそのままステップS17に進む。
【0065】
ステップS17に進むと、MG−ECU102は、モータ回転数(又は、現在の車速)から回生トルクを決定し、モータ106を駆動制御して、ステップS1に戻る。ステップS17では、前記スロットルバルブは全閉となっているので、クルーズ回生の場合はモータ回転数(又は、現在の車速)から、ブレーキ回生の場合はモータ回転数(又は、現在の車速)とブレーキ操作量とから、回生トルクを求める。これにより、そのときの運転状態における略最大の回生量を得ることができる。
【0066】
図5は、前記アクセルグリップの開度が0度になったときの、前記スロットルバルブの開度、モータ回転数、及びエンジン回転数のタイミングチャートを示す図である。
【0067】
時刻t1で前記アクセルグリップの開度が0度になると、前記スロットルバルブの開度は、現在のエンジン回転数に応じた開度に設定される(図3のステップS14)。このとき、後輪WRの動力によってモータ106が回転させられている状態なので、モータ106のフリクションのみによってモータ回転数は徐々に低下する。このとき、クラッチ104は接続されている(クラッチ104がON)状態なので、エンジン回転数とモータ回転数とは同じになる。なお、エンジン22は、エンジン22によるフリクションを打ち消すように運転されているので、エンジン22によるフリクションが発生しないことは言うまでもない。
【0068】
その後、エンジン回転数が所定回転数より小さくなると、又は、エンジン22の水温が所定温度より大きくなると、又は、前記アクセルグリップの全閉時間が所定時間以上になると、クラッチ104を切り離す(クラッチ104をOFFにする)とともに(図3のステップS15)、前記スロットルバルブを全閉にすることで(図3のステップS16)で、エンジン22の運転が停止する。これにより、エンジン回転数が0になる。時刻t2は、クラッチ104が切り離されるタイミングを示す。
【0069】
なお、クラッチ104が非接続の状態であっても、前記アクセルグリップが操作されると、MG−ECU102は、クラッチ104を再接続して、エンジン22を運転させることで、エンジン22及びモータ106を用いて、前記アクセルグリップの操作量に応じた駆動力を出力する。
【0070】
このように、クラッチ104が接続・非接続の状態であっても、後輪WRの動力がモータ106にのみ伝達されることで、モータ106のフリクションのみによって車速が減速するので、車両の減速度(減速方向の加速度)が略一定になり、運転者に異和感を与えることがない。また、クラッチ104が接続・非接続の状態であっても、後輪WRの動力がモータ106にのみに伝達されるので、モータ106の回生量を大きくとることができ、回生量の時間的変化を略一定にすることができる。また、クラッチ104が接続・非接続の状態であっても、回生量は変わらないので(回生量の目標値は1つなので)、目標量のセッティングにかかる工数を削減することが可能となる。
【0071】
前記アクセルグリップの開度が0度の場合であっても、水温が暖気運転をする必要がある所定温度(一定の温度)より大きくない場合は、クラッチ104を接続の状態のままにするので、燃費の低化と暖気時間の延びを防止することができる。つまり、エンジン22の温度が所定温度以下の場合は、エンジン22を暖気運転する必要があり、暖気運転時にクラッチ104を非接続の状態にすると、エンジン22の動力が無駄になり、燃費の低化に繋がり、エンジンへ負荷を与えることができずに暖気時間の延びに繋がるからである。
【0072】
前記アクセルグリップの開度が0度の場合であっても、エンジン回転数が所定回転数より大きい場合は、クラッチ104を接続の状態のままにするので、前記アクセルグリップが操作され、再加速する場合であっても、該アクセルグリップの操作に応じた加速の回転駆動力を直ちに出力することでき、ドライバビリティが低下することがない。
【0073】
前記アクセルグリップの開度が0度の場合であっても、該アクセルグリップの全閉時間が所定時間より小さい場合は、クラッチ104を接続の状態のままにするので、ドライバビリティを向上させることができる。例えば、ユーザが減速、又は停止する意志がなく、単に車両の姿勢制御を行うために、前記アクセルグリップの開度を短時間0度にする場合があるが、かかる場合に再びアクセルグリップの開度を開けたとき駆動力を直ちに駆動輪に伝達する事ができ、ドライバビリティが向上する。
【0074】
なお、本実施の形態では、ギア段に応じて複数のスロットルマップ及び回生マップを用いた例を示したが、ギア段に関わらず単一のマップを用いてもよい。この場合、マップのセッティングに係る工数の削減を図ることができる。
【0075】
また、車両の運転中にアクセルグリップの開度が0度に戻された場合には、クラッチを切断した状態で、エンジンを停止し、モータのみで惰性走行させるようにしてもよい。この惰性走行状態のときには、トルク要求が所定値(アクセルグリップの開度が所定値)以下の場合には、エンジンを始動せず、モータのみによって駆動させてもよい。このようにすることで、エンジンの不要な始動を抑えることができ燃費を向上させることが期待できる。
【0076】
上記実施の形態は、以下のように変形可能である。
【0077】
(変形例1)
上記実施の形態では、クラッチ104が非接続の状態の時は、前記スロットルバルブを全閉にしたが(図3のステップS16)、クラッチ104が非接続の状態であっても、前記スロットルバルブを全閉にしなくてもよい。この場合は、図3のステップS17では、ステップS14と同様に、選択したスロットル開度マップを用いて、前記スロットルバルブの開度、及び回生トルクを決定して、該スロットルバルブの開度及びモータ106を制御してもよい。これにより、燃費は低下するが、前記アクセルグリップが操作され、クラッチ104を再接続して再加速する場合であっても、該アクセルグリップの操作に応じた加速の回転駆動力を直ちに出力することでき、ドライバビリティが低下することがない。
【0078】
(変形例2)
回生システム100は、エンジンオイルの油温を検出する油温センサを備え、MG−ECU102は、油温センサが検出した油温が所定温度より大きくないと判断した場合も、ステップS14に進み、選択したスロットル開度マップを用いて、前記スロットルバルブの開度、回生トルクを決定し、該決定した開度及び回生トルクとなるように、前記スロットルバルブの開閉及びモータ106を制御ししてもよい。油温が所定温度以下の場合は、油温を温めるために、エンジン22を運転状態にする必要があり、エンジン22の運転状態時にクラッチ104を非接続にすると、エンジン22の動力が無駄になり、燃費の低化に繋がるからである。
【0079】
以上、本発明について好適な実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、特許請求の範囲に記載された括弧書きの符号は、本発明の理解の容易化のために添付図面中の符号に倣って付したものであり、本発明がその符号をつけた要素に限定して解釈されるものではない。
【符号の説明】
【0080】
10…自動二輪車 102…MG−ECU
104…クラッチ 106…モータ
108…DCT 110…インジェクタ
111…点火プラグ 112…FI−ECU
114…TBW装置 116…スロットル開度センサ
118…回転数センサ 120…クラッチアクチュエータ
122…アクチュエータ駆動部 124…モータ駆動部
126…バッテリ 128…TM−ECU
130…アクセル開度センサ 132…車速センサ
134…水温センサ 136…ブレーキセンサ
138…クラッチ接続状態センサ 140…ギアポジションセンサ
142…モータ回転数センサ 144…スロットル開度マップ記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の第1駆動源であるエンジン(22)と、
バッテリ(126)から電力が供給され、前記車両の駆動及び回生を行う前記車両の第2駆動源であるモータ(106)と、
接続、非接続を行うことで前記エンジン(22)からの動力を駆動輪(WR)に伝達させるか否かを切り換えるクラッチ(104)と、
該クラッチ(104)の接続、非接続の制御を行うクラッチアクチュエータ(120)と、
前記クラッチ(104)が接続されているか否かを検出するクラッチ接続状態検出手段(138)と、
前記エンジン(22)及び前記モータ(106)の駆動制御を行うとともに、前記車両に回生要求が発生した場合には、前記クラッチアクチュエータ(120)を制御して、前記クラッチ(104)を断接する制御手段(102)と、
を備えたハイブリッド車両における回生システム(100)において、
前記制御手段(102)は、前記クラッチ(104)が接続の状態の場合は、前記モータ(106)を駆動制御して前記モータ(106)に回生を行わせるとともに、前記エンジン(22)を駆動制御して運転状態にし、前記クラッチ(104)が非接続の状態の場合は、そのときの運転状態における略最大の回生量を得るように前記モータ(106)を駆動制御して前記モータ(106)に回生を行わせる
ことを特徴とするハイブリッド車両における回生システム(100)。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、
前記制御手段(102)は、前記クラッチ(104)が接続の状態の場合は、少なくとも前記エンジン(22)によるフリクションを打ち消すように前記エンジン(22)を駆動制御する
ことを特徴とするハイブリッド車両における回生システム(100)。
【請求項3】
請求項2に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、
前記制御手段(102)は、前記車両が減速状態のときに前記エンジン(22)のフリクションを打ち消すように前記エンジン(22)を駆動制御する
ことを特徴とするハイブリッド車両における回生システム(100)。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、
前記制御手段(102)は、前記クラッチ(104)が接続の状態の場合は、前記エンジン(22)内に流入する空気の量を調整する吸入空気量調整手段を開制御する
ことを特徴とするハイブリッド車両における回生システム(100)。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、
運転者が前記車両の加速を指示するためのアクセルグリップの開度を検出するアクセル開度検出手段(130)を備え、
前記制御手段(102)は、前記アクセルグリップの開度が所定値以下の場合は、前記クラッチアクチュエータ(120)を制御して、前記クラッチ(104)を非接続の状態にする
ことを特徴とするハイブリッド車両における回生システム(100)。
【請求項6】
請求項5に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、
前記エンジン(22)の水温を検出する水温検出手段(134)を備え、
前記制御手段(102)は、前記エンジン(22)の水温が、所定水温以下の場合は、前記クラッチ(104)を接続の状態のままにする
ことを特徴とするハイブリッド車両における回生システム(100)。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、
前記制御手段(102)は、前記アクセル開度検出手段(130)により前記アクセルグリップの開度が前記所定値以下と判断された時間が、所定時間より短い場合は、前記クラッチ(104)を接続の状態のままにする
ことを特徴とするハイブリッド車両における回生システム(100)。
【請求項8】
請求項5〜7のいずれか1項に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、
前記制御手段(102)は、前記エンジン(22)の回転数が、所定回転数以上の場合は、前記クラッチ(104)を接続の状態のままにする
ことを特徴とするハイブリッド車両における回生システム(100)。
【請求項9】
請求項8に記載のハイブリッド車両における回生システム(100)において、
前記所定回転数は、少なくとも前記モータ(106)のトルクが、前記エンジン(22)のトルクより小さくなる回転数である
ことを特徴とするハイブリッド車両における回生システム(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−166695(P2012−166695A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29509(P2011−29509)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】