説明

バイオメディカル装置用の放射線不透過性コーティング

【課題】良好なX線コントラスト、生体適合性、および耐腐食性を付与する十分な厚みの放射線不透過性コーティングを有する医療装置を提供すること。
【解決手段】医療装置であって、剥離することなくこの医療装置の使用に固有の大きな歪みに耐えることができる放射線不透過性コーティングを備えている。ステントなどの医療装置の熱機械特性に悪影響を及ぼさないように、蒸着によりステントにTaコーティングを施す。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願〕
本願は、米国仮特許出願第60/538,749号の恩典を請求するものである。
【0002】
〔発明の分野〕
本発明は、医療装置に関する。
【0003】
〔発明の背景〕
ステントは、心血管疾患の治療において極めて重要な装置になった。ステントは、動脈内に配置でき、その動脈を開存させて十分な血流を維持する小さなメッシュ「足場」である。一般に、ステントは、上腕動脈または大腿動脈を介して患者の器官内に導入され、ガイドワイヤを用いて所定の位置まで送られる。この低侵襲性処置は、外科手術の代替法であり、患者の看護およびコスト面で大きな利点が得られるため、現在では、広く用いられるようになってきた。
【0004】
ステントを配置する際は、所望の位置まで送達できるように通常の直径の数分の1まで圧縮しなければならない。したがって、多くのステントおよびガイドワイヤは、特殊な超弾性特性および形状記憶特性を有するニチノールとして知られているニッケルチタン合金から形成されている。これらの特性はともに、ニチノールが、Mfとして知られている第1の変態温度未満のマルテンサイト相およびAfとして知られている第2の変態温度よりも高いオーステナイト相で存在するという事実に起因する。MfおよびAfはともに、合金におけるチタンに対するニッケルの比率によって操作することができる。マルテンサイト相では、ニチノールは、高い延性を有し、容易に変形させることができるが、オーステナイト相では、高い弾性係数を有する。応力がかかると、Afよりも温度が高いある種のマルテンサイト物質になり、応力が除去されるとこの物質が元の形状に戻る。これにより、超弾性特性と呼ばれるニチノールの極めて高い弾性が得られる。さらに、Mf未満の低い温度に下げられてニチノールが変形された場合、温度がAfよりも上昇すると元の形状に戻る。これが、形状記憶特性である。
【0005】
超弾性特性および形状記憶特性を有するステントは、小さな直径に圧縮して所定の位置に移動させてから、完全な大きさに戻せるように配置する。通常の体温よりも低いAfを有する合金組成を選択することにより、一旦配置されると、ステントは大きな力で拡張状態が維持される。驚くべきことに、ニチノールは、この手順の際に通常は8%もの歪み変形に耐えなければならない。
【0006】
図1は、この圧縮と拡張を容易にするために用いられる多数のステントデザインの1つを例示している。このデザインは、リング型「ストラット」10を用いている。各ストラットは、小さな直径に収縮可能にする波形構造を有する。ノードとも呼ぶブリッジ20が、ストラット10を連結している。このブリッジ20も、使用の際に屈曲しなければならない。様々な他のタイプの拡張可能な形状が、当分野で知られており、様々な目的で用いられている。
【0007】
ニチノールから形成されるステントの1つの問題は、ニッケルおよびチタンの原子番号がともに小さいため、X線の吸収が比較的弱い。したがって、通常の寸法のニチノールステントは、操作する際および所定の位置にある際にX線で視認するのが困難であるかまたは不可能である。ステントをX線イメージで視認できると、多くの利点が得られる。例えば、いわゆる放射線不透過性により、初めにステントを正確に配置することができ、ステントが所定の位置に配置されたら、医学的に重要な症状を反映しうる形状の変化を確認することができる。
【0008】
ステントまたはその一部に放射線不透過性を付与する様々な方法が従来技術に開示されている。このような従来技術には、ステントのキャビティを放射線不透過材料で充填する(米国特許第6,635,082号、同第6,641,607号)、放射線不透過性マーカーをステントに取り付ける(米国特許第6,293,966号、同第6,312,456号、同第6,334,871号、同第6,361,557号、同第6,402,777号、同第6,497,671号、同第6,503,271号、同第6,554,854号)、放射線不透過性が異なる複層材料を含むステント(米国特許第6,638,301号、同第6,620,192号)、ステントに放射線不透過性構造要素を含める(米国特許第6,464,723号、同第6,471,721号、同第6,540,774号、同第6,585,757号、同第6,652,579号)、放射線不透過粒子を含む結合剤でコーティングする(米国特許第6,355,058号)、およびステントに放射線不透過性材料をスプレーコーティングする方法(米国特許第6,616,765号)が含まれる。ステントに放射線不透過性を付与するこれらの全ての従来技術の方法では、製造コストおよび複雑さが大幅に増大し、かつ/またはステントの放射線不透過性がほんの一部にしか付与されない。
【0009】
最も効率的な方法は、ステントの全ての表面に、十分に密度の高い放射線不透過性材料のコンフォーマルコーティングを施すことである。このようなコーティングは、良好なX線コントラスト、生体適合性、および腐食耐性が得られるように十分な厚みを有する必要がある。しかしながら、より困難なことに、このようなコーティングは、クラックや剥離が起こることなく、使用の際に生じる極端な歪みに耐えることができ、かつステントの重要な熱機械特性が維持される十分な延性を有していなければならない。
【0010】
スパッタリング、熱蒸着、および陰極アーク析出(cathodic arc deposition)などの物理的な蒸着技術により、金、プラチナ、タンタル、およびタングステンなどのような放射性不透過性材料の密度の高いコンフォーマルコーティングを施すことができる。物理的蒸着は、広く使用されており、信頼できるものである。しかしながら、このような方法で形成されるコーティングは通常、本明細書で要求するように、最大8%の歪みを受ける基材に十分に付着していることができない。この問題は、米国特許第6,174,329号で指摘されており、ステントの使用中に放射線不透過性コーティングが剥離するのを防止するべく放射線不透過性コーティングの上に保護コーティングを施す必要性について言及している。
【0011】
物理蒸着によって蒸着される放射線不透過性コーティングの別の重要な制限は、ニチノールの温度感受性である。上記したように、形状記憶バイオメディカル装置は、通常の体温よりも僅かに低いAfの値で形成されている。ニチノールが、過度に長い時間に亘って過度に高い温度に持続されると、ニチノールのAf値が上昇し、300℃〜400℃を超える温度の持続により、ステントに一般的に用いられるAf値に悪影響が及ぼされる。したがって、コーティング中のステントの時間と温度の履歴が極めて重要である。従来技術では、このような場合、特にステントなどの極めて低い熱質量(thermal mass)を有するような基材の温度を直接制御するのが慣習である。これは通常、温度を制御する大きな質量すなわちヒートシンクに熱接触するように基材を配置して行われる。ステントの形状および構造から、コーティングの際のステントの温度制御は困難である。さらに、ヒートシンクに接触するステントの一部がコーティングされないため、得られるX線写真の解釈が困難となる。
【0012】
したがって、当技術分野では、良好なX線コントラスト、生体適合性、および耐腐食性を付与する十分な厚みの放射線不透過性コーティングを有するバイオメディカル装置が要望されている。さらに、コーティングは、クラックや剥離が起こることなく使用の際に極端な歪みに耐え、装置の熱機械特性が維持されるように十分な延性を有する必要がある。
【0013】
〔発明の概要〕
本発明は、剥離することなく装置の使用で生じる歪みに耐えることができる放射線不透過性外側コーティングを有する医療装置に関する。
【0014】
本発明に従った医療装置は、少なくとも部分的にニッケルチタン合金を含む本体と、その本体の少なくとも一部に設けられたTaコーティングを含むことができる。Taコーティングは、医療装置が放射線不透過性となるように十分に厚く、かつ剥離することなく装置の使用で生じる歪みに耐えることができる。Taコーティングは、主にbcc結晶相から構成することができる。Taコーティングの厚みは、好ましくは約3μm〜10μmの範囲である。医療装置は、例えば、ステントやガイドワイヤとすることができる。
【0015】
医療装置上にTa層を堆積させるための方法であって、Taスパッタターゲットを含むスパッタコーティングシステムにおける不活性ガスの背景圧力を維持するステップと、このTaターゲットに電圧を加えてスパッタリングを起こすステップと、所与の時間スパッタリングして所望の厚みのコーティングを形成するステップと、からなる。この医療装置は、好ましくは直接加熱または冷却するのではなく、堆積の際の医療装置の平衡温度をこの方法によって間接的に制御する。この平衡温度は、好ましくは150℃〜450℃の範囲である。この方法の際に、医療装置にACまたはDC電圧を加えることができる。好ましくは1分〜20分の範囲である第1の時間に亘って、好ましくは300V〜500Vの範囲である初期高電圧を加えて医療装置を予備清浄することができる。所定の時間、好ましくは1時間〜3時間に亘って、好ましくは50V〜200Vの範囲である第2の低電圧を加えることができる。好ましくは、不活性ガスは、Ar、Kr、およびXeを含む群から選択される。好ましくは、ターゲットにおける電圧により、1μm/時間〜4μm/時間の堆積速度が得られる。このターゲットは、好ましくは円柱またはプレートである。
【0016】
医療装置は、外層を有する本体と、この外層の少なくとも一部の上に設けられた放射線不透過性コーティングを含む。このコーティングは、物理蒸着技術を用いて施される。
【0017】
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、および添付の図面からより良く理解できるであろう。
【0018】
〔詳細な説明〕
本発明は、バイオメディカル装置に放射線不透過性を付与し、かつ層間剥離が起こることなくこのような装置の使用に固有の極端に大きな歪みに耐えるコーティングに関する。詳細には、本発明は、このような特性を有するTaコーティング、ならびにステントの熱機械特性に悪影響を与えないTaコーティングの施工方法に関する。
【0019】
タンタルは、原子番号が大きく、生物医学的に不活性であり、耐腐食性であるため、本願では、放射線不透過性コーティングの魅力的な材料である。3μm〜10μmの厚みのTaコーティングがステントに十分な放射線不透過性を付与することが分かっている。しかしながら、Taはほぼ3000℃の融点を有するため、上記したステントのAf値を維持するために全てのコーティング工程を低い同相温度(融解温度に対する蒸着温度(ケルビン)の比)で行なわなければならない。物理蒸着の分野では、相同コーティング温度が低いとコーティング特性が低下する場合が多いことが知られている。それにもかかわらず、適切な条件下で堆積された放射線不透過性Taコーティングが、剥離することなくステントの使用に固有の歪みに耐えることができることを予期せず見出した。
【0020】
さらに注目すべきは、実質的にAfに影響を与えることなく、ステントの温度を直接制御せずに高速でこのような粘着コーティングを堆積させることができるという事実である。断熱された基材の場合、平衡温度が、コーティング材料の凝縮熱、基材に衝当する原子のエネルギー、コーティング速度、周囲チャンバの放射冷却、および基材の熱質量などの因子によって決まる。驚くべきことに、このエネルギーバランスにより、許容範囲を超えて温度が上昇することなく、ステントなどの感温性低質量物の高速コーティングが可能となる。ステントの直接的な温度管理が不要になると、コーティング工程が著しく単純になる。これは、製造工程の特に重要な要素である。
【0021】
当分野で知られている反転円筒型マグネトロンスパッタリングシステム(inverted cylindrical magnetron sputtering system)を用いてコーティングを蒸着した。このタイプのシステムの一例が、「サーフェス・アンド・コーティングス・テクノロジー(Surface and Coatings Technology)146〜147」(2001年、p457〜462)に開示されている。1つの円筒型マグネトロンを用いる円筒型マグネトロンスパッタリングシステムは、Taを堆積させるためにDC電源で駆動される。陰極は、直径が19cm、高さが10cmである。図2は、ここに開示したステントを取り囲んでいるTaターゲットを例示している。真空室、真空ポンプ、電源、ガス流量計、および圧力測定器などの当分野で知られている他の装置は、見やすくするために省略した。
【0022】
ステントは、コーティングの前に、超音波槽内で温かい水溶性洗浄剤で洗浄し、超音波水槽で2回すすいだ。次いで、このステントに窒素を当てて乾燥させ、さらに熱風で乾燥させた。
【0023】
個々のステントを、一端に取り付けられたバネクリップによってコーティング室の中心に保持した。このシステムを、0.13ミリパスカル(1.0×10-6トル)以下の基準圧力まで減圧した。スパッタリングガスとして、0.53パスカル(4.0ミリトル)の圧力のKrまたはXeを用いた。円筒型マグネトロン陰極は、コーティングの間ずっと、1.0kWの電力で動作させた。商業的に純粋(99.5%)なTaターゲットを用いた。
【0024】
このターゲットを、工程電力で予備調整し、10分間圧力をかけた。このステップの際に、シャッターでステントとターゲットを分離した。シャッターを開けると、最初の数分間のコーティングは、ステントに−400Vのバイアス電圧を加えて施した。残りのコーティングは、ステントに−150Vのバイアス電圧を加えて施した。2時間15分のコーティングにより、約10μmの厚みのコーティングが得られた。これは、製造工程として十分に許容されるコーティング速度である。ステントは、堆積の際にいかなる加熱や冷却も行わないため、ステントの時間と温度の履歴は、全てコーティング工程によって決まる。
【0025】
図3は、約10μmの厚みのコーティングを示す、ストラット10に設けられたTaコンフォーマルコーティング30の断面を例示している。このようにコーティングされたステントは、様々な方法で評価することができる。まず、ステントに粘着テープを押し付けて、ステントの表面からコーティングが剥がれないことを確認した。また、ステントが歪んだ後に室温で元の形状に戻り、Afがコーティング工程で著しい影響を受けていないことを確認した。次いで、ステントを、ドライアイス/アルコール槽内で−46℃に冷却し、この温度で最大長さまで伸長させた。ステントのデザインのため、この伸長により、ストラットの一部が、使用の際に曲がるのとほぼ同程度に同じ要領で曲がった。次いで、ステントを室温に戻して、顕微鏡で検査した。最大屈曲点でも剥離やクラックは観察されなかった。この手順を2回繰り返し、同じ結果が得られた。
【0026】
この説明に限定することを望むものではないが、このような驚くべき結果の一要因が、このような条件が実質的にα Taで構成されているコーティングを生成することであると考えられる。スパッタされるTaは通常、正方格子(β相として知られている)かまたは体心立方格子(bcc)(α相として知られている)の2種類の結晶相の一方である。Taのα相は、β相よりも大幅に延性が高いため、より大きな歪みに耐えることができる。当分野では、基板バイアス(substrate bias)によりKrまたはXe中でTaをスパッタリングすることにより、僅か200℃の温度でα相を堆積できることが分かっている。例えば、「サーフェス・アンド・コーティングス・テクノロジー(Surface and Coatings Technology)146〜147」(2001年、p344〜350)を参照されたい。この説明がたとえ正しいとしても、従来技術またはこれまでの経験では、厚みが10μmのα Taコーティングが、剥離やコーティング欠損が起こることなくステントの使用に固有の極めて大きな歪みに耐えうることを示すものが存在しなかった。また、従来技術は、このような高速コーティング処理が、基材の温度を許容できないレベルまで上げずに、ステントなどのデリケートな基材で可能であることを示していない。
【0027】
本発明は、特定の好適な形態を用いてかなり詳細に説明してきたが、他の形態も可能である。例えば、ステント以外の装置を、Taまたは別の放射線不透過性材料でコーティングすることができる。したがって、添付の特許請求の概念および範囲は、ここで開示した好適な形態の説明に限定されるべきものではない。
【0028】
添付の特許請求の範囲、要約書、および添付の図面を含む本明細書に開示した全ての特徴、ならびに開示した全ての方法および工程における全てのステップは、少なくとも一部のこのような特徴および/またはステップが相互に排他的である場合の組合せを除き、任意の組合せに組み合わせることができる。添付の特許請求の範囲、要約書、および添付の図面を含む本明細書に開示した全ての特徴は、特段の記載がない限り、同一、同等、または類似の目的を果たす代替の特徴と置換することができる。したがって、特段の記載がない限り、開示した全ての特徴は、一般的な一連の同等または類似の特徴の単なる一例である。
【0029】
特定の機能を果たすための「手段」または特定の機能を果たすための「ステップ」を明確に規定していない特許請求の範囲における全ての要素は、米国特許法第112条に記載されている「手段」または「ステップ」と解釈されるべきものではない。
【0030】
〔実施の態様〕
(1)医療装置において、
(a)ニッケルチタン合金を少なくとも部分的に含む本体と、
(b)前記本体の少なくとも一部に設けられたTaコーティングと、
を含み、
前記Taコーティングが、前記医療装置が放射線不透過性となる十分な厚みを有しており、かつ剥離することなく前記医療装置の使用中に生じる歪みに耐えることができる、
医療装置。
(2)実施態様(1)に記載の医療装置において、
前記Taコーティングが主にbcc結晶相からなる、医療装置。
(3)実施態様(1)に記載の医療装置において、
前記Taコーティングの厚みが3μm〜10μmの範囲である、医療装置。
(4)実施態様(1)に記載の医療装置において、
前記医療装置がステントである、医療装置。
(5)実施態様(1)に記載の医療装置において、
前記医療装置がガイドワイヤである、医療装置。
【0031】
(6)医療装置上にTa層を堆積させるための方法において、
(a)Taスパッタターゲットを含むスパッタコーティングシステムにおける不活性ガスの背景圧力を維持するステップと、
(b)前記Taターゲットに電圧を加えてスパッタリングを起こすステップと、
(c)所与の時間スパッタリングして所望の厚みのコーティングを形成するステップと、
からなる、方法。
(7)実施態様(6)に記載の方法において、
前記医療装置を直接加熱または冷却するのではなく、堆積の際の前記医療装置の平衡温度を前記方法によって間接的に制御する、方法。
(8)実施態様(7)に記載の方法において、
前記平衡温度が150℃〜450℃の範囲である、方法。
(9)実施態様(6)に記載の方法において、
前記方法の際に前記医療装置に電圧を加える、方法。
(10)実施態様(9)に記載の方法において、
前記電圧が、第1の時間に亘って前記医療装置を予備清浄するための初期高電圧を含む、方法。
【0032】
(11)実施態様(10)に記載の方法において、
前記初期高電圧が300V〜500Vの範囲である、方法。
(12)実施態様(10)に記載の方法において、
前記第1の時間が1分〜20分の範囲である、方法。
(13)実施態様(9)に記載の方法において、
前記電圧が、第2の時間に亘って加えられる第2の低電圧を含む、方法。
(14)実施態様(13)に記載の方法において、
前記低電圧が50V〜200Vの範囲である、方法。
(15)実施態様(13)に記載の方法において、
前記第2の時間が1時間〜3時間の範囲である、方法。
【0033】
(16)実施態様(6)に記載の方法において、
前記不活性ガスが、Ar、Kr、およびXeを含む群から選択される、方法。
(17)実施態様(6)に記載の方法において、
前記電圧により、1μm/時間〜5μm/時間の堆積速度が得られる、方法。
(18)実施態様(6)に記載の方法において、
前記電圧が直流である、方法。
(19)実施態様(6)に記載の方法において、
前記電圧が交流である、方法。
(20)実施態様(6)に記載の方法において、
前記電圧がパルスで加えられる、方法。
【0034】
(21)実施態様(6)に記載の方法において、
前記ターゲットが円柱である、方法。
(22)実施態様(6)に記載の方法において、
前記ターゲットがプレートである、方法。
(23)医療装置において、
(a)外層を有する本体と、
(b)前記外層の少なくとも一部に設けられた放射線不透過性コーティングと、
を含み、
前記コーティングが物理蒸着技術を用いて施される、
医療装置。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来技術のステントを例示する図である。
【図2】ステントを取り囲んでいるTaターゲットを例示する斜視図である。
【図3】図1のステントのストラット10に設けられたTaコンフォーマルコーティングを例示する断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療装置において、
(a)ニッケルチタン合金を少なくとも部分的に含む本体と、
(b)前記本体の少なくとも一部に設けられたTaコーティングと、
を含み、
前記Taコーティングが、前記医療装置が放射線不透過性となる十分な厚みを有しており、かつ剥離することなく前記医療装置の使用中に生じる歪みに耐えることができる、
医療装置。
【請求項2】
請求項1に記載の医療装置において、
前記Taコーティングが主にbcc結晶相からなる、医療装置。
【請求項3】
請求項1に記載の医療装置において、
前記Taコーティングの厚みが3μm〜10μmの範囲である、医療装置。
【請求項4】
請求項1に記載の医療装置において、
前記医療装置がステントである、医療装置。
【請求項5】
請求項1に記載の医療装置において、
前記医療装置がガイドワイヤである、医療装置。
【請求項6】
医療装置上にTa層を堆積させるための方法において、
(a)Taスパッタターゲットを含むスパッタコーティングシステムにおける不活性ガスの背景圧力を維持するステップと、
(b)前記Taターゲットに電圧を加えてスパッタリングを起こすステップと、
(c)所与の時間スパッタリングして所望の厚みのコーティングを形成するステップと、
からなる、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、
前記医療装置を直接加熱または冷却するのではなく、堆積の際の前記医療装置の平衡温度を前記方法によって間接的に制御する、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
前記平衡温度が150℃〜450℃の範囲である、方法。
【請求項9】
請求項6に記載の方法において、
前記方法の際に前記医療装置に電圧を加える、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法において、
前記電圧が、第1の時間に亘って前記医療装置を予備清浄するための初期高電圧を含む、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法において、
前記初期高電圧が300V〜500Vの範囲である、方法。
【請求項12】
請求項10に記載の方法において、
前記第1の時間が1分〜20分の範囲である、方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法において、
前記電圧が、第2の時間に亘って加えられる第2の低電圧を含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記低電圧が50V〜200Vの範囲である、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、
前記第2の時間が1時間〜3時間の範囲である、方法。
【請求項16】
請求項6に記載の方法において、
前記不活性ガスが、Ar、Kr、およびXeを含む群から選択される、方法。
【請求項17】
請求項6に記載の方法において、
前記電圧により、1μm/時間〜5μm/時間の堆積速度が得られる、方法。
【請求項18】
請求項6に記載の方法において、
前記電圧が直流である、方法。
【請求項19】
請求項6に記載の方法において、
前記電圧が交流である、方法。
【請求項20】
請求項6に記載の方法において、
前記電圧がパルスで加えられる、方法。
【請求項21】
請求項6に記載の方法において、
前記ターゲットが円柱である、方法。
【請求項22】
請求項6に記載の方法において、
前記ターゲットがプレートである、方法。
【請求項23】
医療装置において、
(a)外層を有する本体と、
(b)前記外層の少なくとも一部に設けられた放射線不透過性コーティングと、
を含み、
前記コーティングが物理蒸着技術を用いて施される、
医療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−518528(P2007−518528A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551204(P2006−551204)
【出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/001572
【国際公開番号】WO2005/072189
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(506250538)イソフラックス・インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】Isoflux, Inc.
【住所又は居所原語表記】10 Vantage Point Drive,Suite 4,Rochester,NY 14624,United States of America
【Fターム(参考)】