説明

ビーム入射角検出センサユニット、ビーム入射角測定ユニット、ビーム入射角検出装置および移動装置

【課題】ビーム入射角を高精度で検出することができる小形軽量のビーム入射角検出センサユニット、ビーム入射角測定ユニット、ビーム入射角検出装置および移動装置を提供する。
【解決手段】ビームを遮蔽する第1のビーム遮蔽層本体に、ビームが入射可能の第1のスリット11Cbを形成した第1のビーム遮蔽層11Cと、この第1のビーム遮蔽層11Cに所定間隔を置いて対向配置される第2のビーム遮蔽層本体に、その平面方向に沿う横方向へ前記第1のスリット11Cbに対して相対的にずれた位置にて第2のスリット12Cbを形成した第2のビーム遮蔽層12と、前記第1,第2のスリット11Cb,12Cbから入射されたビームを検出するセンサ素子を有するセンサ層13Cと、を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザビーム、電子ビーム、イオンビーム等のビームの入射角を検出するビーム入射角検出センサユニット、ビーム入射角測定ユニット、ビーム入射角検出装置およびこれらを搭載した移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細で精密な加工にはプラズマ放電やスパッタリング、レーザビーム、電子ビーム、イオンビームなどの荷電粒子ビームが用いられることがある。これらは荷電粒子の照射方向やエネルギーを制御することにより精密な加工ができるので、半導体装置の製造技術に適用されることが多い。近年の半導体産業の成長は機械加工では得られない精度の加工技術の成長を推進したが、これらはビームとしての性質を利用するためにビームの照射方向を制御することにより用いられる。
【0003】
また、ビームは加工技術だけでなく、観測や測定にも用いられる。レーザビーム、X線ビーム、赤外線ビームなどは位置や方位の測定に用いられる。そのときにビームの照射方向や入射方向を精密に測定することが重要になる。
【0004】
従来、この種の荷電粒子の入射角モニタ素子の一例としては、下記特許文献1に記載されたものがある。これは、メンブレンに開口部を設けてあり、ここから入射したイオンビームが予めその下部に作製してあるパタン形成部に当り、そのパタンを変形させる。この後、メンブレンを取り去り、変形したパタンを観察することによりビームの角度を知るという方法である。
【特許文献1】特開2008−27614号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の荷電粒子の入射角モニタ素子では、そのパタン形成部にイオンビームが入射された後は、メンブレンを破壊して除去するので、繰返し使用することができないうえに、入射角検出精度が低いという課題がある。また、この方式は、破壊的であり、精密さにかける欠点がある。本方式はスリットとセンシングパタンの貼合せ精度を測定する手法がなく、目視や金属顕微鏡で判別できる様な変形を与えるビームに使用方法が限定される。また、ビーム入射角を観察(目視)で判別できる簡便性はあるが、1度以下のビーム入射角度を問題にするときは不十分である。
【0006】
図1(A)〜(C)は従来のX線ビームの角度観察方法の一例であるすだれコリメータKの原理図である。このすだれコリメータKは、すだれ1と2を所定の間隔Dを置いて対向配置し、X線を遮蔽するすだれ本体1a,2aに、スリット等のX線が通過(入射)する複数の通過部1b,1b,…、2b,2b,…を面方向(図1中長手方向)に所要の等ピッチaによりそれぞれ配設している。すだれ2の背後にはすだれ2の長手方向の長さとほぼ等しい長さのシンチレータ等の複数のX線検出器3,3,…をそれぞれ設けている。
【0007】
したがって、図1(A)に示すようにコリメータKに垂直に入射したX線は矢線で示すようにすだれ1、2のスリット等通過部1b,1b,…、2b,2b,…をそれぞれ通過してX線検出器3に入射される。このときX線は透過したので見えることになる。また、図1(B)に示すように、X線がある角度に傾くと、すだれ2の遮蔽部2a,2a,…が邪魔してX線がX線検出器3に入射されないので、見えない。さらに、(C)のようにX線がさらに傾くとまたX線源が見える。
【0008】
このように、等間隔のすだれ1,2により、X線の入射角度を検出できる。
【0009】
図2はX線の入射角度とすだれ1,2の透過率を模式的に示す。X線検出器3の検出出力の隣り合うピークPaとピークPb間の角度は角度の分解指標a/Dを与える。すだれコリメータ分解指標はすだれの隔たりDに対するすだれ1のスリット16のピッチaの割合で定義できる。
【0010】
しかしながら、このような従来のすだれコリメータKは、すだれ1,2を金属加工により形成するので、これら両者1,2間の間隔Dが例えば200μmくらいの大きい間隔があるうえに、すだれ1,2は、堅牢な基板と構造でできているので、コリメータK全体は10cm以上で10Kgのオーダーの大きさと重さになる。
【0011】
このために、すだれコリメータKの小型化のためには、すだれ1,2自身を例えば薄膜で作る必要がある。しかしながら、例えば、設計上必要な1μm以下の薄膜の上に金属のラインを配置させ、それをすだれ層として、2枚の薄膜層を対向配置しても、振動や熱膨張、ストレスなどで薄膜は変形してしまうので2枚の薄膜を安定に固定できないという堅牢さの課題がある。
【0012】
(ビーム入射角度の検出限界と加工精度の課題)
また、従来のすだれコリメータKには、その全体を小型化するために、仮にすだれ1,2同士の対向間隔Dを小さくすると、高い分解指標を維持するために、すだれ1のX線通過部(スリット)1b,1b,…のピッチaも小さくしなくてはならない。機械加工でこれを行うのは困難である。
【0013】
例えばすだれ1,2の対向間隔を1mmにすれば、1度のビーム入射角度検出でも100分の2mmの通過部1b,1b,…のピッチaが必要であり、0.1度では1000分の2mmのピッチaの加工が必要になる。
【0014】
ところで、すだれ1,2の横方向の加工精度を上げるには半導体の微細加工技術を使用できるが、横方向の微細加工をする場合には、縦方向の凹凸や高低があると精度の高い微細パタンの加工は非常に困難である。すなわち、すだれ1,2同士の対向間隔Dは大きくできない。よって、分解指標が制限されてしまうため、入射角度の測定精度が低下することになる。
【0015】
(微細すだれのパタン近接の課題)
さらに、すだれ1,2の通過部1b,1b,…、2b,2b,…の微細なすだれパタン100nmを加工する場合、すだれパタンの転写が困難であるという課題がある。すなわち、微細なスリットパタンを転写するときに、横方向で互いに隣り合う通過部1b,1b、2b,2b同士間に露光時の光の干渉が生じて精密転写が困難であり、近接させたスリットパタンの形に制限がある。
【0016】
(すだれ1,2の位置合せずれが生じるという課題)
またすだれ1,2の形状の微細化ができたとしても、すだれ1,2の位置合わせ精度が課題になる。すなわち、例えば100nmの加工をすると、すだれ1,2の製造時の位置ずれは20〜50nmにもなる。このために、例えばビーム入射角度の検出精度を0.1度程度を設定するときは、これが課題になる。
【0017】
例えば、すだれ1,2の両層が相互に接触していれば上記の範囲で位置ずれを許容できるが、10倍も離れるとさらに位置合わせの精度が悪くなる。
【0018】
このような位置合わせずれをなくすことができないので、微細な角度を測定するのは補正する機構が必要である。
【0019】
(パタン倒れの課題)
仮に、微細パタンをすだれ状にして、すだれ1,2の層を形成するときには、まず、レジストパタンをすだれ状に作る必要がある。しかし、現像液がレジストパタン同士を吸着してパタンを倒してしまう。また、ゴミを洗浄するために使う薬品でも表面張力によるパタン倒れが起きる。
【0020】
(コストの課題)
さらに、従来のすだれコリメータKは大型重量であるという課題のほかに、他の幅広い応用を目指す場合には、製造コストを低減することが必要である。人工衛星に搭載する目的の場合でもコストは課題である。民間の応用拡大を考えると桁違いの小型化とコストダウンが必要であるので、これも課題である。
【0021】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、ビーム入射角を高精度で検出することができる小形軽量のビーム入射角検出センサユニット、ビーム入射角測定ユニット、ビーム入射角検出装置および移動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
請求項1に係る発明は、ビームを遮蔽する第1のビーム遮蔽層本体に、ビームが入射可能の第1の入射部を形成した第1のビーム遮蔽層と、この第1のビーム遮蔽層本体に所定間隔を置いて対向配置される第2のビーム遮蔽層本体に、その平面方向に沿う横方向へ前記第1のビーム入射部に対して相対的にずれた位置にて第2のビーム入射部を形成した第2のビーム遮蔽層と、前記第1,第2のビーム入射部から入射されたビームを検出するセンサ素子を有するセンサ層と、を具備していることを特徴とするビーム入射角検出センサユニットである。
【0023】
請求項2に係る発明は、前記第1,第2のビーム入射部は、前記第1,第2のビーム遮蔽層本体の厚さ方向にそれぞれ貫通するスリットであることを特徴とする請求項1記載のビーム入射角検出センサユニットである。
【0024】
請求項3に係る発明は、前記第1,第2のビーム入射部同士の相対的位置ずれは、これら第1,第2のビーム入射部の配置ピッチの差により設定されていることを特徴とする請求項1または2記載のビーム入射角検出センサユニットである。
【0025】
請求項4に係る発明は、前記第1の入射部と第2の入射部との間、またはこれら第1,第2の入射部同士と前記センサ素子との間に、第1の入射部の幅と同等以上の空洞を形成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のビーム入射角検出センサユニットである。
【0026】
請求項5に係る発明は、前記空洞は、その少なくとも一部が電気絶縁体により包囲されていることを特徴とする請求項5記載のビーム入射角検出センサユニットである。
【0027】
請求項6に係る発明は、前記空洞は、前記第1の入射部の形成の前に、前記第1のビーム遮蔽層本体をエッチングして前記空洞とすべき空間を形成し、その中にウエットエッチング速度もしくは等方性ドライエッチング速度が第1のビーム遮蔽層本体より速い材料により充填し、この充填材料を第1の入射部を形成してからウエットエチングもしくは等方性ドライエッチングにより除去することにより形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のビーム入射角検出センサユニットである。
【0028】
請求項7に係る発明は、前記請求項1〜6のいずれか1項記載のビーム入射角検出センサユニットの複数個を一平面上に一体に並設し、これらビーム入射角検出センサユニットの前記第1,第2のビーム入射部同士の相対的位置ずれを、前記第1または第2のビーム入射部の短手方向の幅のn(整数)分割の値を最小単位としたとき、ゼロを含み少なくとも当該最小単位のマイナスn倍からプラスn倍までの間の位置ずれを有するように構成したことを特徴とするビーム入射角測定ユニットである。
【0029】
請求項8に係る発明は、前記複数の第1,第2の各ビーム入射部は、前記第1,第2の各ビーム遮蔽層において、斜め方向に所要の間隔を置いてそれぞれ孤立して配置されていることを特徴とする請求項7記載のビーム入射角測定ユニットである。
【0030】
請求項9に係る発明は、請求項7または8記載のビーム入射角測定ユニットと、このビーム入射角測定ユニットの同一平面上に一体に並設されて、前記第1ビーム入射部と第1ビーム入射部との相対的位置と目標値とのずれを検出する参照センサユニットと、を具備していることを特徴とするビーム入射角検出装置である。
【0031】
請求項10に係る発明は、前記参照ユニットは、前記ビーム入射角検出センサユニットにおける第1のビーム遮蔽層に第2のビーム遮蔽層を密着させて形成されていることを特徴とする請求項9記載のビーム入射角検出装置である。
【0032】
請求項11に係る発明は、請求項9または10のビーム入射角検出装置を搭載した移動可能の移動装置本体と、前記ビーム入射角検出装置により検出されたビーム入射角に基づいて前記移動装置の移動を制御する移動制御装置と、を具備していることを特徴とする移動装置である。
【0033】
請求項12に係る発明は、前記ビーム入射角検出装置により検出されたビーム入射角に基づいて前記移動装置本体の姿勢を制御する姿勢制御装置を、具備していることを特徴とする請求項11記載の移動装置である。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、センサ層に入射されるビームは、第1のビーム遮蔽層のスリット等の第1の入射部と、この第1の入射部に対して相対的にずれた位置にある第2のビーム遮蔽層のスリット等の第2の入射部とを経て入射されるので、そのビーム入射角は、第1,第2の入射部の相対的ずれにより規定され、求められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。なお、これら添付図面中、同一または相当部分には同一符号を付している。
【0036】
上記したように従来のコリメータKのすだれ1のスリット1b,1b,…のピッチaを縮小を半導体露光技術の解像能力だけで縮小することは容易ではない。例えば140nmのピッチaをレジストのリソグラフィーで転写するには、現在なら例えば50〜80億円の高価なArF露光装置を使用する方法もあるが、これではコストが高過ぎる。また、転写ができたとしても、エッチング加工工程も高額になりもコスト高となる。
【0037】
そこで、本発明は、すだれ1,と2の各通過部1b,2bのピッチaをずらすというマスク作製のときのパタン配置のずらしの方法を使う。
【0038】
図3(A),(B),(C)は、そのパタン配置のずらし方法を使用した本発明の第1の実施形態に係るビーム入射角検出センサユニット10の原理を模式的に示す。図3(A)は第1すだれ層11、第2すだれ層12、ビーム検出器であるセンサ層13の配置例を示す模式平面図である。第1,第2すだれ層11,12の本体はX線等のビームを遮蔽する遮蔽材よりなり、相互に所定の間隔Dを置いて対向配置されている。これら第1,第2すだれ層11,12は、その平面方向(図3では長手方向)に、所要の等ピッチaを置いて、例えば平面矩形の複数のスリット11b,11b,…、12b,12b,…をビーム入射部の一例としてそれぞれ形成し、これらスリット11b,11b,…、12b,12b,…の間にビームを遮蔽する遮蔽部11a,11a,…、12a,12a,…をそれぞれ形成している。これら第1すだれ層11の各第1スリット11b,11b,…と、第2すだれ層12の各第2スリット12b,12b,…は、その平面方向(図3(A),(B)では横方向(長手方向))で相対的に所定量ずれている。このずれは第1すだれ11bと第2すだれ12の一方の全体を横方向に所定量ずらして形成することにより実現される。すなわち、これは上述したマスク作成時のパタン配置のずらしの方法が使用される。
【0039】
例えば、所定長の第1すだれ11を、9個の第1スリット11b,11b,を設けるよう分割し、同長の第2すだれ層12を、10個の第2スリット12b,12b,…を設けるように分割することにより、これら第1スリット11b,11b,…と第2スリット12b,12b,…とを、相対的にずらすことができる。この相対的な位置ずれ(ピッチずれ)は、第2すだれ層12の各スリット12bの背後に、各々独立した複数のセンサ層13,13,…をそれぞれ一致させて配設することにより実現している。
【0040】
したがって、図3に示すように、これらビーム入射角検出センサユニット10に、図中矢線で示すようにX線やレーザ光等、所要のビームBが垂直に照射されると、これらビームBは第1,第2のすだれ層11,12の各遮蔽部11a,11a,…,12a,12a,…により遮蔽される一方、各スリット11b,11b,…、12b,12b,…を通過して各センサ層13−1,13−10に入射され、検出される。このときのビームBの相対的透過率の模式図は、図3(C)に示すようにセンサ層13−1,13−10の配列中心部分が影になり、その中心部分のセンサ層13−6の検出出力が最低を示し、いわば負のピーク−Pを生じる。
【0041】
図4はこの入射角検出センサユニット10にビームBが所定角度傾斜して入射されたときの模式図を示す。図4(A)はその断面を示し、図4(B)はセンサ層13−1,13−10の応答の模式図(検出出力の分布図)である。負のピーク−Pは左(例えば第2番のセンサ層13−2)に移り、正のピーク+Pが右側の例えば第7番のセンサ層13−7に現れる。このモデルではビーム入射角度を変えると、それに応じてセンサ層13Cの検出出力のピークの分布も変化する。
【0042】
これに対して、図1で示すコリメータKは、第1スリット1の第m番目のスリット1bmと第2スリット2の第m番目のスリット2bmの位置が対向方向で一致し、かつ横方向にもずれていないので、各センサ層3の応答(検出出力の分布)はみな殆ど一致し、変化しない。この点が図3で示すビーム入射角検出センサユニット10とは相違する。
【0043】
また、上述したように第1,第2すだれ層11C,12Cの上記ピッチずれは、露光装置の転写により実現することは解像力の限界により、著しく困難であるが、一定間隔を分割する数で区別することはマスク作製のときに可能である。KrFやArFの露光装置用マスクは一般的に4倍の大きさで電子ビームによってパタンが転写されて作製される。マスク上での位置ずれはパタンの縮小投影転写されたウエハ上においては1/4に軽減される。このため問題としているピッチずれは同じマスク製造装置では精度は高く横方向の検出器の位置の順番決定データとして使うことができる。
【0044】
このように第1スリット11bと第2スリット12bのピッチずれを有する2層のビーム入射角検出センサユニット10では各センサ層13の検出出力にピークが分布するビームの入射角度に個別対応させる。これによりピッチずれのない図1に示したコリメータKよりも小さい角度ずれ幅で山谷の検出を可能にする。これを模式的にピークの高さは考慮しないで図5に示す。検出出力のピークはセンサ層13の位置に対応し、その位置はビーム入射角度に対応している。ピッチずれのないコリメータKの場合のビーム透過率が曲線A−1のときの分解指標は、すだれ1,2の各スリット1b,2bの均一ピッチをaとすると、隣り合うピークPa−Pb間の角度に対応する指標はa/Dである。ピッチずれを与えた第1,第2すだれ層11,12を有するビーム入射角検出センサユニット10のビーム透過率が曲線10Kの場合は、隣り合うピークPa,Pb間の角度に相当する指標a/nDが対応する分解指標である。なお、nは一定の周期長Cを等間隔でピッチをずらした数を示す。
【0045】
(ピッチずらし2層すだれの設計)
次に、図6で示すビーム入射角検出センサユニット10Cのスリットのピッチずらしによる分解指標改善について説明する。このビーム入射角検出センサユニット10Cは、前記図4で示すビーム入射角検出センサユニット10の第1すだれ層11のスリット11bを、所定の周期長C内でn個(例えば10個)設けることにより第1すだれ層11Cを形成し、同様に前記第2すだれ層12のスリット12bをn+1個(例えば11個)設けることにより、第2すだれ層12Cを形成し、この第2すだれ層12Cのスリット12b内にセンサ層13を嵌合することにより、線状のセンサライン13を形成した点に特徴がある。
【0046】
図6(A),(B)は本発明の他の実施形態に係るビーム入射角検出センサユニット10Cを示す。すなわち、図6(A)はこのビーム入射角検出センサユニット10Cの第1,第2のすだれ層11Cと12Cを所定間隔Dを置いて対向配置した状態の模式平面図、同(B)は同断面図である。すなわち、第1すだれ層11Cのスリット11CbのピッチP1はCa/n,第2すだれ層12Cのスリット12CbのピッチP2はCa/(n+1)である。
【0047】
その差(P1−P2)はCa/n(n+1)である。この差がスリット11Cb,12Cbの横方向のずれ量の単位刻みになる。第1すだれ層11Cと第2とすだれ層12Cのスリット11Cb,12Cbは、その一端から第m番目11Cb−mで1単位のセンサユニットセルSUを構成する。第m番目のスリット11Cb−mの位置ずれはmCa/n(n+1)であるから、すだれ層間隔をDとすれば、m番目のセンサ層13Cはtan(θ)=mCa/n(n+1)Dの角度θで最もよく応答する。隣同士のセンサ層13Cの最もよく応答する角度の差Δθはtan(Δθ)=Ca/n(n+1)Dで与えられる。
【0048】
センサ層13Cは第2すだれ層12Cのスリット12Cbの下方に位置するだけでもよいが、スリット12Cb内に嵌合される方が好ましい。即ち、センサ層13Cのセンサ面は第2すだれ層12Cのスリット12Cbの図中上面と面一であるのが望ましい。
【0049】
図7(B)は第1すだれ層11Cの前記第m番目のスリット11Cbmを、第2すだれ層12Cの1ピッチP1相当分横方向へずらしてオフセットOFを与えたときの断面を示す。図7(A)はそのずらし量(オフセット)OFを与える前の断面である。そのずらし量は任意でよい。仮に、ずらし量OFがピッチP1の整数倍の場合は、ピッチずらしビーム入射角検出センサユニット10Cの分解能を保ちながら、測定できる角度の拡張ができる。すなわち、図5で示すPaは、この位置ずらしとピッチずれを与えたビーム入射角検出センサユニット10の透過率の拡張に当り、この点線で示す領域までビームを検出できる。
【0050】
図7(B)に示すように、第1すだれ層11Cのm番目のスリット11Cbを有するセンサユニットSUOも第1,第2すだれ層11C,12Cのスリット対応がずれるので、このセンサユニットセルSUOはオフセットOF量だけずれたスリットの対応になる。
【0051】
図8は、センサユニットSUのセンサ層13と第2すだれ層12のスリット12bの3つの異なる構造を示す。図8(A)はセンサ層13と第2すだれ層12が分離している例を示し、同(B)はセンサ層13Cの一部を第2すだれ層12Cのスリット12Cb内に嵌入させた構造例、(C)はセンサ層13Cのほぼ全体を第2すだれ層12Cのスリット12Cb内に嵌合させた例を示す。これらセンサユニットSUを、後述するように半導体製造技術で実際に製造する場合は、工程数を減らしCMP(化学機械研磨)法で細いセンサライン13Cを形成するので、(C)の構造が作り易い。
【0052】
(ピッチずらしビーム入射角検出センサユニットの製造方法)
図9(A),(B),(C)はピッチずらしを施した図6のセンサユニット10Cや図7で示す基本的なビーム入射角検出センサユニットSU(10Cに相当)を半導体製造技術により製造する例を示す。図9(A)はライン状のセンサ層13Cの平面図、図9(B)は第2すだれ層12Cの平面図、図9(C)は第1すだれ層11Cの平面図を示す。
【0053】
第2すだれ層12Cの第m番目のスリット12Cb−mに設けるセンサ層13Cは例えば1個であり、その幅は0.2μmの幅で長さは52μmである。ライン状のセンサ層13Cは図9(A)中、上下一対の矩形状の第m番目の電極リード14と15に架け渡すようにそれぞれ一体に接続されている。これら電極リード14,15は、図中上下一対の電極16,17にそれぞれ接続され、これら一対の電極16,17の長手方向両端には矩形状のパッド16a,16bと、17a,17bにそれぞれ接続される。例えば電極リード14,15の幅WSLは0.5μm、各電極16,17の長手方向で隣り合う電極リード14同士と、15同士のスペースWSSは0.5μmである。各電極16,17の幅WDは30μmである。各パッド16a,16b,17a,17bは例えば一辺100μmの正方形であり、図中上下方向で隣り合うパッド16aと17a、16bと17bのスペースは2μmである。図中上下一対の電極16,17間のピッチLpは例えば102μmである。
【0054】
センサ層13の本数nは,第1,第2すだれ層11C,12Cの図中左右両端のスリット11Cbと11Cb、12Cbと12Cb間の距離Caはうなり周期長であり、分解能に関係する設計パラメータである。
【0055】
図9(C)で示す第1すだれ層11Cの第m番目のスリット11Cb−mは孤立したスリットであり、これ以外の点線で描いたスリット11Cbはピッチの違いを示すだけの目的で仮想的に配置して示しただけにすぎなく、実際には存在しない。第1すだれ層11Cの長手方向両端部には図示しないプローブを挿通するパッド孔の一部18a,18bを形成している。
【0056】
また、第2すだれ層12Cについても、第1すだれ層11Cと同様に、第m番目のスリット12Cb−mは孤立したスリットであり、これ以外の点線で描いたスリット11Cbはピッチの違いを示すだけの目的で仮想的に配置して示しただけにすぎなく実際には存在しない。
【0057】
図10は、これら3層11C,12C,13Cを重ねることにより構成されたセンサユニットセルSUの一例であるビーム入射角検出センサユニットが形成されるときの透視平面図である。これにより、図10に示すように上下一対の電極16,17の間には一つのセンサユニットSUが配置されている。こうすることで、すだれ状のパタンを転写する必要がないために、光の干渉によるパタンの歪やオーバー露光、また薬品や洗浄液の表面張力にパタンの倒れという課題を解決することができる。この実施形態では1つビーム入射角検出センサユニット(センサユニットセルSU)を配置したが、ビーム照射面積を広く確保するために、パタン倒れという課題が発生しない範囲で複数のセンサユニットセルSUを近接配置して各対の電極16,17の間に複数配置することによりビーム入射角測定ユニットに構成してもよい。
【0058】
そして、図10中、点線で示す第m番目のセンサユニットセルSUであるビーム入射角検出センサユニット10Cが一対の電極16,17間に一つある。ただし、ここでは対応する隣のセンサユニットの電極リードやセンサの一部は示してない。このセルSUが電極16,17を介してパッド16a,16b,17a,17bに接続されてパッド孔18a,18bに通じる。4つのパッド孔18a,18bを点線で囲まれる点線で示した測定電極ユニット19が第m番目のセンサの測定電極ユニットである。隣の(m+1)番目の電極ユニットの番号は数字を一つ増やした関係にある。
【0059】
図11はこの測定電極ユニット19を1番からn番までのn個を横方向に並設した単方向のビーム入射角測定ユニット20の平面模式図である。図11中、各スリット11Cbの背後にはセンサ層13Cがそれぞれ配設される。ここでは、センサユニットが電極を共有して直列に接続させて配置した平面図をしめしたが、各センサユニットが電極を共有しない独立した配置も信号の測定方式に応じて自由に設計できる。図示の都合上、各測定電極ユニット19の2本の電極15,16を1本で図示し、片側2個一対のパッド16a,16bまたは17a,17bをそれぞれ1個で図示している。隣り合う測定電極ユニット19,19同士のパッド16a,16b,17a,17bのピッチLpにより、これら複数の測定電極ユニット19の並列長さLaが決まる。
【0060】
図12はこの単方向ビーム角度測定ユニット20の例えば2つを、その上下を反転させて左右に並設することにより構成した双方向ビーム角度ユニット20Aの平面図である。この双方向ビーム角度測定ユニット20Aは、例えば図12中、左右の双方向からのビームB,Bの入射角をそれぞれ検出できる。この双方向測定ユニット20Aは、その測定電極ユニット19の個数n=50とすれば、図9に示したセンサユニットセルSUの設計値を入れると、その長さLbは例えば10.3mm、幅は固定で0.4mmとした。単方向ビーム角度測定ユニット20の長さLaは同じパッドピッチで5.2mmである。
【0061】
製造上の課題を解決するために、以上のように、センサユニットセルSUを孤立させて平面の設計を行った。その理由を補足として次に述べる。
【0062】
すなわち、図13(A)に示すように第1すだれ層11Cの複数のスリット11Cb,11Cb,…が、例えば四角の同じパタンで図中横方向に列状に隣接して配置する場合、KrFという露光技術により、そのスリットピッチPSを例えば0.2μmのスリットパタンで作ると、図13(B)に示すように隣り合うスリット11Cb,11Cb,…同士が丸くなってつながって一体になってしまうという課題がある。またこれらスリット11Cb,11Cb,…は、ArF露光や電子ビーム露光などによりピッチの狭いスリットパタンを作ることは可能であるが、必要な深度での加工が困難である。さらに、ラインエッジラフネスが線幅のブロードニングになるので精度を悪くさせる。また、レジストパタンができたとしても、薬品洗浄ができない。このようにすだれであることのために横方向に微細なスリットパタンを横方向や縦方向に並設することは技術的に難易度が高く実現したとしても高価なプロセスとなる。
【0063】
しかし、図14に示すように複数のスリット11Cb,11Cb,…を、その対角線方向等斜め方向に所要のピッチPSを置いて配設することにより、各スリット11Cbを孤立させると、図13(B)に示すように隣り合うスリット11Cb,11Cb同士の一体的な連結を防止できるうえに、光の干渉効果を防止または低減できる。また、これらスリットパタン同士が薬品による表面張力で倒れることがない。さらに、図14(A)のようにスリットピッチPSは自由に短くしてもスリットパタンは、同(B)に示すように転写できる。なお、図4(A)はスリット11Cbの露光パタンのマスク上の配置例の平面模式図、同(B)はスリット11Cbのエッチングパタンの配置例の平面模式図である。
【0064】
(堅牢なセンサユニットSUを実現する空洞構造の作製)
図15は図10等で示すセンサユニットセルSUの構造の一例を示す縦断面図である。このセンサユニットセルSUは、シリコン基板21上に熱シリコン窒化膜22を例えば厚さ200nm成長させ、その上にシランSiH4とN2Oを用いた熱CVD酸化膜23を第2すだれ層12として、例えば厚さ300nm成長させる。センサ層13Cの例えば設計幅200nmのセンサ層パタンは、レジストとKrF露光により転写してセンサ層13Cと第2すだれ層12Cの2層を兼ねたパタンを、溝パタンとして転写して熱CVD酸化膜23をエッチングして溝パタン24を作る。
【0065】
そして、この熱CVD酸化膜23上に、熱CVDシリコン窒化膜25を、例えば厚さ50nm成長させて、ポリシリコンを例えば200nm成長させる。このとき電極16,17とパッド16a,16b,17a,17bの部分は凹んでいる。さらに例えばTi5nm,TiN10nmの積層膜をバリアメタルとして成膜後、タングステンWをCVD法で、例えば厚さ200nm成長させて,熱シリコン窒化膜25をストッパーとしてCMPで平坦にする。
【0066】
この段階で、電極16,17とパッド16a,16b,17a,17bの上にはタングステンが残り、センサ層13Cと電極リード14,15の部分にはタングステンが残っていない。パッド16a,16b,17a,17bと電極16,17はタングステンにより積層されてポリシリコンよりも、少なくとも例えば1/100以下の低抵抗層となる。
【0067】
この熱CVDシリコン窒化膜25上には、熱減圧CVDシリコン窒化膜26を例えば厚さ10nm成長させて、後で行うHFウエットエッチングの保護膜として形成する。このあとTEOS(テトラエトキシシラン)から成長させたCVD酸化膜27を例えば1μm成長させる。熱減圧CVDシリコン窒化膜26はHFエッチングのストッパーであればよくプラズマシリコンカーバイド膜でも良い。厚さはストッパーとして働くようにエッチング工程にあわせて調整する。
【0068】
この後、例えば厚さ100nmのチタンナイトライドと例えば厚さ200nmのCVDタングステン膜を積層成長させた積層膜により第1すだれ層28を形成する。この第1すだれ層28は光の遮光と表面に溜まる電荷を漏洩させて表面帯電の防止を図ることができる。
【0069】
第1スリット11Cbとパッド孔18a,18bは、これを含む第1すだれ層11Cのパタンをレジスト転写し、かつ第1すだれ層28とCVD酸化膜27をエッチグすることにより形成される。
【0070】
次に、レジストをアッシングした後、HFの希釈液で酸化膜27をエッチングして横方向に少なくとも、例えば1μmエッチングを進行させて止める。これにより空洞29が形成される。この空洞29がセンサユニットセルSUに必要なセンサ層13Cとスリット11Cbを含み、他のセンサユニットセルSUとは酸化膜27により電気的に絶縁された状態で隔離されて孤立している。なお、図15中、符号30は耐腐食や反応防止の保護層であるシリコン窒化膜である。
【0071】
したがって、このセンサユニットセルSUによれば、スリット11Cbを通過したビームBを、空洞29の中にある一本のライン状のセンサ層13Cを特定の角度で最も高い効率で照射する孤立したセンサユニットセル構造を形成することかできる。さらに、空洞29の構造は他のセンサユニットセルSUとの干渉を防止することができる。また、第1すだれ層28(11C)は空洞29の部分のみがメンブレンであり、他の領域は酸化膜27によれ支持されて固定されているので、構造が堅牢である。
【0072】
(合わせずれの補正構造の形成)
第1,第2すだれ層11C,12C製の複数層を積層する半導体の製造ではこれら複数層の合わせずれは必ず発生する。そこで、半導体の製造では、各層に位置合わせマークをいれて、光学的に合わせずれが最小になるようにして2つのすだれ層11C,12Cの位置合わせを行う。第1,第2すだれ層11C,12Cの位置ずれはビーム入射角度測定の誤差を与える。誤差をなくすることは出来ないが、ずれた量をモニターできれば、その値で補正して精度の高いビーム入射角度データを得ることが可能である。
【0073】
そこで、2つの第1,第2すだれ層11C,12Cを離さずに一体に配置すれば、主な誤差はパタン転写装置性能とレチクル(ホトマスク基板)の合わせずれの合計で支配される。しかし、ビーム入射角度測定精度を求める本構造においては2つの第1,第2すだれ層11C,12Cを離間して配置する必要があるので合わせずれが大きくなるのを避けることは困難である。
【0074】
そこで、2つの第1,第2すだれ層11C,12Cの合わせずれを測定し、そのずれ量により補正する必要がある。ビームの入射角度に依存しないセンサ構造の参照セルユニットFUにより合わせずれ量を測定するビーム入射角測定ユニット31を次に説明する。
【0075】
図16〜図18はこの参照セルユニットFUを具備したビーム入射角測定ユニット31の製造工程をそれぞれ示す縦断面図であり、図16(A)は、第1,第2すだれ層11C,12Cのレジストパタンをレジスト層32に転写した工程を示す。
【0076】
図16(B)はそのレジスト層32のパタンをマスクにして第1すだれ層28(11C)をエッチングし、酸化膜27を途中までハ−フエッチングしてハーフエッチスリット33,34をビーム入射角測定ユニットSUと参照セルユニットFU毎にそれぞれ形成する工程を示す。
【0077】
図17(A)は参照セルユニットFUのハーフエッチングのスリット34を第1すだれ層11Cのスリット11Cbよりも大きく拡張することにより拡張スリットパタン34aを第1すだれ層28(11C)のエッチパタンとして転写し、酸化膜27を途中までエッチングしたところまでの工程を示す。
【0078】
この後、リンをシリコン窒化膜26を通過させて所定量、例えば1014/cm注入する。これにより、センサ層13Cには、第2すだれ層12のパタン35の位置合わせずれを反映したリンが注入される。この工程で合わせずれデータがセンサ層13Cにドーズ量データとして移植されたことになる。これを例えば800℃で5分間アニールし、リンを活性化させると位置ずれに応じて異なる抵抗値をもつポリシリコンのセンサ層13Cが形成される。
【0079】
図17(B)は参照セルユニットFUをレジスト36で保護しながらビーム入射角測定ユニットSUの酸化膜27をエッチングしてスリット33の底部をシリコン窒化膜26の上面上まで形成したところまでの工程を示す。
【0080】
図18は参照セルユニットFUをレジストで保護しながらHFの希釈液でセンサユニットSUの酸化膜27を少なくとも横方向に所定量、例えば1μmエッチングして空洞29を形成した工程の断面を示す。これにより、センサユニットSUには第1すだれ層11Cのスリット11Cbよりも大きい空洞29が形成され、参照ユニットセルFUには大きく開いた拡張スリット34aが形成される。参照セルユニットFUは、第1すだれ層11Cに、そのスリット11Cbよりも大きく開口した拡張スリット34aを有するので、ビームの入射角度依存の特性は持たない。これにより、位置合わせずれ情報データを持つ参照セルユニットFUとそれを持たないセンサユニットSUが形成される。
【0081】
図19(A),(B)は参照セルユニットFUの構造を模式的に示す縦断面図である。図19(A)は相互にピッチずれのある第1すだれ層11Cと第2すだれ層12Cのセンサ層13Cの例えば図中中心のセンサ層13Cmの中心と、第1すだれ層11Cのスリット11Cb−mと一致し、第1すだれ層11Cと、センサ層13Cを有する第2すだれ層12Cとのずれがない場合の参照セルユニットFUoを示す。
【0082】
図19(B)は第1すだれ層11Cと、センサ層13Cを有する第2すだれ層12Cが横方向に位置合わせずれMAがある参照セルユニットFUmを示す。この参照セルユニットFUmでは、第2すだれ層12Cの例えばm−3番目のセンサ層13m−3の中心が第1すだれ層11Cのm−3番目のスリット11Cbm−3の中心に一致している。
【0083】
図19(C)は、このときのビーム透過率を模式的に示す。この場合、第2すだれ層12Cとセンサ層13Cが重なって一体に形成されているので、ビームB1とビームB2の入射角度の依存性はなく、位置合わせずれMAに応じてピークの位置がずれる。
【0084】
これにより参照セルユニットFUo,FUmのピークのセンサ位置に相当する合わせずれMAがあったことが分かる。したがって、センサ層13Cのピーク位置データを参照して測定ユニットSUのデータを測定することにより、ビームBの正味の入射角度を知ることになる。
【0085】
図20は図12で示す双方向ビーム入射角測定ユニット20Aの測定データのモデルを示す。図中左端の電極16(17)を電源37に接続する。他端の電極16,17を電源37の反対電極のアース38に接続する。センサ層13Cはビームが照射されると抵抗が高くなる特性を有する。このとき、任意の隣り合う2本の電極15a,15bの間の電圧を電圧計39で測定する。一本の電流が直列接続された各センサ層13Cを通過して電源37に戻る。電流は一つの値なので、電圧計39の読みはセンサ層13Cの抵抗値を与える。
【0086】
したがって、ビーム入射角測定ユニット20Aの測定電圧カーブ40のピークから測定されるビームのtanθ41が得られる。参照セルユニットの電圧カーブ42のピークから位置あわせずれのtanθr43が得られる。θ−θrがビームBの入射角度を与える。
【0087】
(堅牢なセンサユニットSUを実現する空洞構造と合わせずれの補正構造製造の派生プロセス)
堅牢なセンサユニットSUと合わせずれの補正構造を有するビーム入射角検出装置の製造派生プロセスを以下に示す。合わせずれの補正は上記参照セルユニットFUと同様のものを使う。また、第1すだれ層11Cのスリット11Cbのスリットパタンは幅をセンサ層13Cのセンサパタンの幅より十分大きなサイズとする。
【0088】
図21は第1すだれ層11Cのスリット11Cbとセンサ層13Cの合わせずれ補正後のセンサ層13Cの位置とその検出信号の相対的な強度Woの関係を示す。スリット11Cbの開口幅Wの左端部Wl近傍と同右端部Wr近傍のセンサ層13Cではすだれ層12Cで遮蔽されるビームの検出強度変化位置がビーム入射角度のため開口部端部よりずれて検出される。
【0089】
図22に示す様にスリット左端部近傍データWldと右端部近傍データWrdをスリット端部位置が一致する様データを平行移動させる。これら左右の信号データWld,Wrdの交点51は一意的に決まる。スリット端部位置52と交点51との間隔doがビームBの傾きによって得られた信号のピーク差となりビーム角度に変換できる。また、本派生プロセスはすだれスリットパタンを大きく取ることにより空洞構造の形成が容易となる。
【0090】
(実施例1)
図23は第1実施例に係るセンサユニットSUの作製時のパラメータを表1で示す。第1,第2すだれ層11C,12Cのスリット本数(チャンネル数)は各々50本とした。第1すだれ層11Cと第2すだれ層12C(この場合はセンサ層13Cと一体に形成した)の層間の間隔Dは露光装置の合わせの能力や合わせマークの明瞭さの限界、焦点深度に影響を与えるCVD酸化膜の平坦度、大きなゴミの発生確率、基板ウエハの反りなどから例えば1μmという値を選んだ。測定を容易にするために、パッド16a,16b,17a,17bの大きさとして例えば100μmを選んだ。これらパッド間隔を例えば2μmとして102μmがパッドのピッチとなり、センサユニットSUの横幅は例えば10.4mmとした。第1すだれ層11Cのスリット11Cbとセンサ層13Cが再び重なるまでの周期(うなりの周期長Ca)はすだれ本数が与えられると分解能を決定する。ここではマスクの設計としてうなり周期長Caは例えば5μmと1μmを選んだ。うなり周期長Caが与えられると、1周期のずれaがCa/nで与えられる。スリット11Cbとラインの隔たりの最大値が最大の角度θ(tanθ)を与える。第1すだれ層11Cのスリット11Cbとセンサ層13Cの最小の位置ずれはチャンネル数nが大きいのでC/nで与えられる。そのときのビーム入射角度ΔθはtanΔθ=a/n=Ca/nDで与えられる。設計分解能指標としてはうなり周期長Caが5と1μmに対してtanΔθ=0.002と0.0004が得られる。センサユニットSUの種類を与えるパラメータとして、第1すだれ層11Cと第2すだれ層12C(この場合はセンサ層13Cと一体)の重ね合わせのオフセット角度θAOFを選んだ。tan(θAOF)=ma*Ca/nDとしてmaが0、1、2、3の種類をえらんだ。こうすることで、分解能指標を同じに保ちつつ、測定する角度の区間をθAOFを区間単位として連続させてma倍まで増加させる設計が可能になる。
【0091】
センサ層13Cの横幅はリソグラフィーが作る溝幅と内張り(ライナー)膜としての減圧CVDシリコン窒化膜の厚みで決まるので、設計では決まらない。第1すだれ層11Cのスリット11Cbの横幅は設計値だけでなくレジストの太りやエッチング時の減りなどで決まる。これらの仕上がり幅は細い方が検出値のピークの位置が狭い幅に現れるが、その分だけ検出値ピークの信号と雑音比が小さくなる。
【0092】
図24は上記センサユニットSUの要部立体斜視図である。センサユニットSUは基板21上に形成され、その空洞29は一つであり他のセンサユニットの空洞29から孤立している。イオンビームやレーザー等のビームBは、第1すだれ層28(11C)のスリット11Cbからその内方へ入射し、通過してセンサ層13Cに入射される。
【0093】
図25は参照セルユニットFUの模式的立体斜視図である。この参照セルユニットFUでは、大きく開口した拡張スリッット34aからその内方へ入射したビームBは、その入射角度に依存せずに、第2すだれ層25(12C)のスリット12Cbからその内方のセンサ層13Cに到達する。したがって、第1すだれ層11Cとセンサ層13Cとの位置合わせずれだけが反映したセンサ層13Cの検出信号が得られる。
【0094】
(実施例2)
図26は第2実施例に係るセンサユニットSUAの下部構造の平面図、同(B)は同(A)のXI−XI断面図である。このセンサユニットSUAの下部構造はセンサ層13Cをpn接合ダイオードにより形成する点で主な特徴を有する。すなわち、センサユニットSUAの下部構造は、p型シリコン基板301の中にn型拡散層を形成し、これをセンサライン61とした。基板60を酸化してシリコン酸化膜62を例えば200nm形成する。センサラインパタンをレジスト露光で転写してシリコン酸化膜62をエッチングしてセンサ層13Cのラインパタンの溝24を作る。この後、レジストを剥離して洗浄したあと、酸化してスルー酸化膜63を例えば50nmの厚さで成長させ、リンを例えば1014/cmのドーズで打ち込み、例えば800℃で10分間アニールして活性化させてn型拡散層61を形成する。このn型拡散層61がセンサ層13Cになる。これにより、pn接合ダイオードのセンサ層13Cを形成する。
【0095】
次にセンサ層13Cのラインとコンタクトするためのコンタクトホール64をあける。リンドープしたポリシリコンを例えば580℃で例えば200nmの厚さで成長させ、電極16,17のレジストパタンでポリシリコンをエッチングしてポリシリコン層65からなる電極16,17を形成する。さらにこのポリシリコン電極65の抵抗を下げる目的で窒化チタンとの積層構造で例えばコバルトを例えば厚さ10nmスパッタリングで成長させコバルトシリサイド層66を例えば470℃ランプアニールで形成する。シリサイド以外のコバルトをAPM+HPMで除去した後、例えば600℃ランプアニールで低抵抗化を行う。これによりセンサ層13cのラインに接続するコバルトシリサイド層66の電極16,17を形成する。
【0096】
図27(A)は、図26(A),(B)で示すセンサユニットSUAの下部構造上にシリコン酸化膜27を介して第1すだれ層11Cを形成したセンサユニットSUAの平面図であり、図27(B)は第1すだれ層11Cのスリット11Cbを横断するX2−X2の縦断面図である。すなわち、センサユニットSUAは、HF薬品の保護膜となるプラズマシリコン窒化膜を例えば50nmの厚さで成長させ、その膜上にシリコン酸化膜27を例えば1μmの厚さで成長させる。さらに、この酸化膜27上に、バリアー膜としてTiNを例えば100nm厚でスパッタリングで成長させて、その上にタングステンを例えば200nm成長させてメタル製の第1すだれ層11Cを形成する。スリットパタンとパッドパタンをレジスト転写して第1すだれ層11Cと酸化膜27をエッチングしてスリット11Cbを形成する。次にHFの希釈液で酸化膜27を横方向に例えば、1μm以上エッチングすることで空洞29を形成する。
【0097】
そして、センサ層13Cのpn接合に逆バイアスを印加しておくと、光子の侵入によりキャリアーが生成されて光電流が流れる。このために、設計されたセンサ層13Cの角度で光子が侵入したとき他のセンサよりも大きい電流が流れるのでこれを信号として光子の入射角度を測定できる。光子はX線であっても、可視光であってもよく、それらの強度が一定値を超えるとアバランシェホト電流が流れるのでセンサ層13Cはアバランシェホトダイオード67の機能をもつ。
【0098】
図28(A),(B),(C)はセンサ層13Cの変形例を示す。図28(A)は基板21上の酸化膜70上に、ポリシリコン71をセンサ層13Cとして形成した点に主な特徴がある。このセンサ層13C上にはビームを透過させるシリコン窒化膜72をマスクにしてセンサ層13Cを保護し、電極16,17とパッド16a,16b,17a,17b、電極リード14,15の部分を前述の方法によるコバルトシリサイドにより低抵抗化する。このポリシリコン製のセンサ層13Cはイオンビームの入射角度に応じた抵抗値を示す。
【0099】
図28(B)はセンサ層13CをCdTe等の光導電材料73により形成し、このセンサ層13Cを光透過性の誘電体74内に埋設した点に主な特徴を有する。このために、光は光透過性の誘電体74を透過してセンサ層13Cに到達する。センサ層13CのCdTeは赤外線に応答して抵抗が低下する。また、センサ層13Cとして、ZnSを採用すると紫外線に応答してセンサ層13Cの抵抗が低下する。この場合はイオンビームと違い、光が切れるとまた抵抗値は元に戻るので、センサ層13Cの抵抗データは実時間で利用する例である。
【0100】
図28(C)はセンサ層13Cをオープンで断線状態75に形成した点に主な特徴を有する。この場合は金属粒子のビームが当るとメタル電極16,17は付着金属によりリークする。
【0101】
(実施例3)
図29は図1で示す単方向ビーム入射角測定ユニットSU20の複数個を、そのビームの入射方向が図中縦方向に交互に変えるように並設し、その一端(図中上端)から他端(図中下端)へ向けて、オフセットパラメータmaを0,1,2と順次変化させて配置したビーム入射角検出装置のチップ80の平面的模式図である。このチップ80のサイズの一例は基板21が約5mm□である。
【0102】
図30は複数のビーム入射角測定ユニットSU20と複数の参照セルユニットFUを図中縦方向に交互に配置し、図12で示す双方向のビーム入射角測定ユニット20Aに形成し、このビーム入射角測定ユニット20Aのオフセットパラメータmaを0,1,2,3と変化させて,さらに分解能指標の異なる複数のビーム入射角測定ユニット20Aを配置したビーム入射角検出装置のチップ80の平面的模式図である。このチップ81のサイズの一例はその基板21が約10.3mm□である。
【0103】
図31は図30で示すチップ81とそれを90度回転させたチップ82をあわせて配置したビーム入射角検出装置チップ83の平面的模式図である。このチップ83のサイズの一例は10.6×21.2mmである。このチップ83またはセンサユニットSUに特定の色(波長)を通過させるフィルターをかぶせることは目的に応じて自由にできる。
【0104】
(実施例4)
図32は上記ビーム入射角度を検出するビーム入射角検出装置のチップ80〜83のいずれか、例えば83を搭載した移動装置90の模式図である。この移動装置90は装置本体91を移動させる図示しない移動装置と、装置本体90aの姿勢を制御する図示しない姿勢制御装置と、を具備している。この姿勢制御装置は、対象物91からのビームの入射角度をビーム入射角検出装置チップ83により、その法線軸92との角度Qaとして検出させ、その検出された検出結果に基づいて駆動力を使い、方向角度を小さくするか、または大きくするように姿勢を制御する。方向角度を小さくするときは対象物91に正面を向くことであり、大きくすることは対象物に向かわない姿勢制御である。姿勢を制御して移動することで移動装置90は対象物91に近づくことができる。高速で近づくと衝突になるが、それがゆっくりだと呼び寄せる動作になる。
【0105】
対象物91が発射するビームBはレーザー光線であっても、赤外線、可視光、X線反射ビームであってもよい。移動装置90は自動車等の車両や家電製品、ロボット、介護ロボット、撮像装置、ディスプレイ装置、測定装置、飛翔体、人工衛星であってもよい。
【0106】
ビームBは移動装置90から発射されるビームBの反射ビームであってもよい。またビーム入射角検出装置チップ80〜83のいずれかを振動させて、その振動数と位相を参照して角度測定チップの信号を検波する方式で、雑音を排除して感度をよくするようにしてもよい。
【0107】
そして、このビーム入射角検出装置チップ80〜83のいずれかにより反射ビームの角度を測定すると、移動装置90と対象物91との距離を測定できる。距離を測定する目的で使うことも自由である。ところで、一般に、鏡面の表面にゴミがあると、この鏡面への垂直入射の光や電子ビームが乱反射する。したがって、ビーム入射角検出装置チップ80〜83に近接してビームを照射することにより、パーティクルやコンタミネーション等の汚染物質の有無を検出する目的にも使用できる。さらに、ビームの反射面の傾きを反射ビームの角度で測定できるので、この目的に使用することも装置設計で自由にできる。
【0108】
(実施例5)
図33は、シリコン等の基板21上に形成されたLSI回路層100上に、上記ビーム入射角検出装置チップ層101を一体に形成したLSI102の縦断面図である。このLSI102によれば、ビーム入射角検出装置チッブ層101により検出したビーム入射角検出信号をLSI回路層100により所要の目的に応じたデータ処理を行うことができ、これらを1チップにより構成することができる。
【0109】
図34はセンサユニットSUに微分回路110を接続した回路図を示す。すなわち、隣り合うセンサユニットSUの一部の電極のうちの隣り合う電極端子15x,15yに差動増幅器111の二つのゲートをそれぞれ接続する。差動増幅器111のコモン電極は高インピーダンスの電流源トランジスタ112に接続される。差動増幅器111のゲートは平衡入力端子であり、電極の電位に対して追随して浮遊している。電極端子15x,15y間にわずかの電圧が生じると二つの差動増幅器111のトランジスタの抵抗が急激に互いに反対方向に変化して電流源トランジスタ112から供給される電流の平衡が非対称に崩れて流路が変わる。この電流の変化が負荷トランジスタ113で電圧に変換されて差動出力端子114から電圧として出力される。
【0110】
すなわち、電極端子15x,15yに差動増幅器111を接続したので、出力端子114の出力の電位は図12に示したセンサユニットSUの電圧カーブの傾きを測定したことになる。即ち、電圧カーブを微分したことになる。このために、正と負の電圧ピークが現れるので、これらピーク間の中心のセンサ層13Cがビームの入射角度に相当する。この回路を使うことでビーム入射角度に相当するピークの位置を電圧カーブの微分で決められるので決定精度が高まる。さらにこのデータを角度に直すなどのデータ処理を行うLSIを設計することは自由である。なお、上記各実施例において、第1すだれ層11,11Cのスリット11b,11bcはビームの透過体や透過層によりビーム透過可能に閉じてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】従来のすだれコリメータの原理を説明する模式図であり、(A)はX線源がそのX線入射角に応じてX線検出器により検出される状態を示し、同(B)はX線源がそのX線入射角に応じてX線検出器により検出されない状態を示し、(C)は再びX線源がそのX線入射角に応じてX線検出器により検出される状態を示す。
【図2】図1で示すすだれコリメータの透過率の角度依存性のモデル図。
【図3】本発明の一実施形態に係るビーム入射角検出センサユニットの原理を示す模式図であり、(A)はその平面を示し、(B)は同縦断面を示し、(C)は同検出器が測定する透過率を示す。
【図4】(A)は図3で示すビーム入射角検出センサユニットに対してビームが斜めに入射された状態を示す模式図、(B)は同センサ層の位置により異なる透過率を示すグラフ。
【図5】図3で示すセンサユニットの透過率の角度依存性のモデル図。
【図6】(A)は本発明の他の実施形態に係るセンサユニットの平面図、(B)は同断面図。
【図7】(A)は第1,第2すだれ層のスリットピッチのオフセット無しのビーム入射角検出センサユニットの縦断面を示す模式図、(B)は同オフセットを有するビーム入射角測定ユニットの縦断面図を示す模式図。
【図8】本発明に係るセンサユニット構造の変形例の要部を縦断面で示す模式図であり、(A)は3層が分離した構造例を示し、(B)は第2すだれ層にとセンサを接触させた構造例を示し、(C)は第2すだれ層にセンサ層を一体に形成した構造例を示す。
【図9】(A)は図8(C)で示すビーム入射角検出センサユニットのセンサ層の平面図、(B)は同第2すだれ層の平面図、(C)は同第1すだれ層の平面図。
【図10】図9で示すビーム入射角検出センサユニットの各層を重ね合せた透視平面図。
【図11】図9で示すビーム入射角検出センサユニットの複数を一列状に並設した単方向ビーム角度測定ユニットの平面図。
【図12】双方向ビーム入射角測定ユニットの平面図。
【図13】図10等で示すすだれ層をKrF露光でピッチ0.2μmを解像して酸化膜をエッチングしたときの平面模式図であって、(A)はすだれ層のスリットを並設したときの露光パタンのマスク平面模式図、(B)は同スリットのエッチングパタンの平面模式図。
【図14】図10等で示すすだれ層をKrF露光でピッチ0.2μmの孤立パタンを解像して酸化膜をエッチングしたときの模式的平面図であって、(A)はすだれ層のスリットを孤立列形成したときの露光パタンのマスク上配置例の平面図、(B)は同孤立スリットのエッチングパタンの配置例の平面図。
【図15】本発明に係るセンサユニットを半導体製造装置により形成したときの縦断面図。
【図16】ビーム入射角検出装置の製造工程をそれぞれ示す縦断面図であって、(A)は第1すだれ層のレジストパタン転写工程、(B)は酸化膜のハーフエッチ工程を示す。
【図17】(A)は図16(B)の工程の次の工程である参照ユニットのスリット拡張工程図、(B)はビーム入射角測定ユニットのスリットのエッチング工程図。
【図18】図17(B)の次の工程であるビーム入射角測定ユニットの酸化膜をHF希釈液でエッチングして空洞を形成する工程、をそれぞれ示す。
【図19】(A)は本発明の一実施形態に係るビーム入射角検出装置であって、第1すだれ層とセンサ層が位置ずれしてない構造の縦断面図、(B)は同位置合わせずれがある構造の縦断面図、(C)はこれら両者の透過率をそれぞれ示すグラフ。
【図20】図12で示す双方向の測定データのモデルの模式図。
【図21】第1すだれのスリット幅を拡張させたときにビーム入射角測定ユニットの検出信号強度との関係。
【図22】本発明に係るビーム入射角測定ユニットの拡張した第1すだれスリット左右端部データ補正によるビーム入射角度算出モデル図。
【図23】本発明に係るビーム入射角測定ユニットの所要のパラメータを表1で示す図。
【図24】本発明の一実施形態に係るビーム入射角検出装置のビーム入射角測定ユニットの概略立体斜視図。
【図25】本発明に係るビーム入射角検出装置の参照ユニットセルの模式的立体斜視図。
【図26】(A)は基板の中にセンサ層を埋設した本発明に係るビーム入射角測定ユニットの他の一例の下部構造の平面図、(B)は同下部構造の縦断面図。
【図27】(A)はセンサ層が基板の中に埋設されたセンサユニットの平面図、(B)は同(A)のX2−X2断面図。
【図28】本発明に係るビーム入射角測定ユニットのセンサ層構造の変形例をそれぞれ示す縦断面図であって、(A)はポリシリコンのセンサ層を示し、(B)は光導電材料のセンサ層を示し、(C)は断線のセンサを示す。
【図29】本発明に係る単方向ビーム入射角測定ユニットを形成したチップの平面模式図。
【図30】本発明に係るビーム入射角検出装置を形成したチップの平面模式図。
【図31】本発明に係るビーム入射角検出装置の他の実施形態のチップの平面模式図。
【図32】本発明に係るビーム入射角検出装置のチップを搭載した移動装置と対象物を示す模式図。
【図33】LSI回路層に、本発明のビーム入射角測定ユニットやビーム入射角検出装置チップ層を一体的に形成したLSIチップの縦断面図。
【図34】本発明に係るビーム入射角測定ユニットやビーム入射角検出装置の電極に微分回路を接続した一例の模式図。
【符号の説明】
【0112】
1 第1すだれ
2 第2すだれ
3 X線検出器
10,10C ビーム入射角検出センサユニット
11,11C 第1すだれ層
11a,11Ca 第1すだれ層のビーム遮蔽部
11b,11Cb 第1すだれ層のスリット
12,12C 第2すだれ層
12a,12Ca 第2すだれ層のビーム遮蔽部
12b,121Cb 第2すだれ層のスリット
13 センサ
13C センサ層
14,15 電極リード
16,17 電極
16a,16b,17a,17b 電極パッド
18a,18b 電極パッド孔
20 単方向ビーム入射角測定ユニット
20A 双方向ビーム入射角測定ユニット
21 基板
22 熱シリコン窒化膜
23 熱CVD酸化膜
24 溝パタン
25 熱CVDシリコン窒化膜
26 熱減圧CVDシリコン窒化膜
27 CVD酸化膜
28 第1すだれ層
30 シリコン窒化膜(保護膜)
80,81,82,83 ビーム入射角検出装置チップ
90 移動装置
100 LSI回路層
101 ビーム入射角検出装置層
102 LSIチップ
110 微分回路
111 差動増幅器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームを遮蔽する第1のビーム遮蔽層本体に、ビームが入射可能の第1の入射部を形成した第1のビーム遮蔽層と、
この第1のビーム遮蔽層本体に所定間隔を置いて対向配置される第2のビーム遮蔽層本体に、その平面方向に沿う横方向へ前記第1のビーム入射部に対して相対的にずれた位置にて第2のビーム入射部を形成した第2のビーム遮蔽層と、
前記第1,第2のビーム入射部から入射されたビームを検出するセンサ素子を有するセンサ層と、
を具備していることを特徴とするビーム入射角検出センサユニット。
【請求項2】
前記第1,第2のビーム入射部は、前記第1,第2のビーム遮蔽層本体の厚さ方向にそれぞれ貫通するスリットであることを特徴とする請求項1記載のビーム入射角検出センサユニット。
【請求項3】
前記第1,第2のビーム入射部同士の相対的位置ずれは、これら第1,第2のビーム入射部の配置ピッチの差により設定されていることを特徴とする請求項1または2記載のビーム入射角検出センサユニット。
【請求項4】
前記第1の入射部と第2の入射部との間、またはこれら第1,第2の入射部同士と前記センサ素子との間に、第1の入射部の幅と同等以上の空洞を形成していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のビーム入射角検出センサユニット。
【請求項5】
前記空洞は、その少なくとも一部が電気絶縁体により包囲されていることを特徴とする請求項5記載のビーム入射角検出センサユニット。
【請求項6】
前記空洞は、前記第1の入射部の形成の前に、前記第1のビーム遮蔽層本体をエッチングして前記空洞とすべき空間を形成し、その中にウエットエッチング速度もしくは等方性ドライエッチング速度が第1のビーム遮蔽層本体より速い材料により充填し、この充填材料を第1の入射部を形成してからウエットエチングもしくは等方性ドライエッチングにより除去することにより形成されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のビーム入射角検出センサユニット。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれか1項記載のビーム入射角検出センサユニットの複数個を一平面上に一体に並設し、これらビーム入射角検出センサユニットの前記第1,第2のビーム入射部同士の相対的位置ずれを、前記第1または第2のビーム入射部の短手方向の幅のn(整数)分割の値を最小単位としたとき、ゼロを含み少なくとも当該最小単位のマイナスn倍からプラスn倍までの間の位置ずれを有するように構成したことを特徴とするビーム入射角測定ユニット。
【請求項8】
前記複数の第1,第2の各ビーム入射部は、前記第1,第2の各ビーム遮蔽層において、斜め方向に所要の間隔を置いてそれぞれ孤立して配置されていることを特徴とする請求項7記載のビーム入射角測定ユニット。
【請求項9】
請求項7または8記載のビーム入射角測定ユニットと、
このビーム入射角測定ユニットの同一平面上に一体に並設されて、前記第1ビーム入射部と第1ビーム入射部との相対的位置と目標値とのずれを検出する参照センサユニットと、
を具備していることを特徴とするビーム入射角検出装置。
【請求項10】
前記参照ユニットは、前記ビーム入射角検出センサユニットにおける第1のビーム遮蔽層に第2のビーム遮蔽層を密着させて形成されていることを特徴とする請求項9記載のビーム入射角検出装置。
【請求項11】
請求項9または10のビーム入射角検出装置を搭載した移動可能の移動装置本体と、
前記ビーム入射角検出装置により検出されたビーム入射角に基づいて前記移動装置の移動を制御する移動制御装置と、
を具備していることを特徴とする移動装置。
【請求項12】
前記ビーム入射角検出装置により検出されたビーム入射角に基づいて前記移動装置本体の姿勢を制御する姿勢制御装置を、
具備していることを特徴とする請求項11記載の移動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2009−266593(P2009−266593A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114398(P2008−114398)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(305054854)株式会社フィルテック (45)
【Fターム(参考)】