説明

フェルラ酸レスベラトロール化合物、それらの化合物を含有する組成物およびそれらの使用方法。

本発明は、局所的に許容される担体中にフェルラ酸レスベラトロールを含有する化粧用組成物に関する。このような組成物は皮膚の明色化およびアンチエージング適用に特に有効であり、優れた色安定性と長い貯蔵寿命を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化学化合物ならびにこのような新規な化合物を含有する化粧用または医薬組成物に関する。より具体的には、本発明は、皮膚の明色化、アンチエージングおよび抗酸化作用を達成するための、フェルラ酸レスベラトロール化合物および化粧学上または薬学上許容される担体中にこのような化合物を含有する組成物に関する。本発明の組成物は優れた皮膚の明色化、アンチエージングおよび抗酸化作用だけでなく、驚くべき、予期されない色安定性および長い貯蔵寿命を示す。
【背景技術】
【0002】
ヒトの皮膚は様々な色を持ち、人種群の中であっても個々の変動を示す。皮膚の外観は主として、表皮の基底細胞に見られるメラノサイトによって生産される色素であるメラニンによって決まる。
【0003】
メラニンは、アミノ酸チロシンに由来する種々の化合物の水に不溶なポリマーである。メラニンはヒトの皮膚および毛髪に見られる2つの色素のうちの1つであり、皮膚の色に褐色を加える。もう一方の色素はカロテンであり、黄色を付与する。メラニンの合成反応は酵素チロシナーゼによって触媒される。チロシナーゼは唯一の特殊な細胞種メラノサイトでしか見られず、この細胞で、メラニンはメラノソームと呼ばれる膜結合体で見られる。ヒトの皮膚に見られる色素沈着の種々の特性および程度はメラノサイトおよび他の細胞内のメラノソームの数、大きさおよび分布に直接関係している。色素沈着におけるその役割の他、紫外線を吸収するメラニンは、皮膚が有害な太陽光線に曝された際に保護的な役割を果たす。それはUV光の刺激に応答して生産されるメラニンであり、皮膚の日焼けを担っている。
【0004】
例えば、そばかすまたはほくろの形の皮膚におけるメラニンの不均一な分布は、「ほくろ(beauty marks)」など、美しい皮膚の特徴を定義するものとして考える人もいる一方で、これらの皮膚の黒ずんだ領域を明色化したいと考える人にとってはあまり望ましいものではないと見られる。皮膚が一様に黒い場合でさえ、皮膚の全体的な明色化が望まれる場合が多い。
【0005】
異なる皮膚明色化機構および効果を有する種々のクラスの美白剤が知られている。例えば、コウジ酸などのチロシナーゼ阻害剤は、皮膚のメラノサイトにおけるメラニンの合成を妨げ、従って、皮膚におけるメラニンの総量を低減する。過酸化水素、ヒドロキノン、4−イソプロピルカテコールおよびヒドロキノンモノベンジルエーテルなどのある種の漂白剤は、皮膚においてすでに形成されたメラニンを分解または低減することにより皮膚を明色化する。スコルビン酸(scorbic acid)、サリチル酸および乳酸などのある種の皮膚摩擦剤も美白剤として使用されており、それらは皮膚の上層を落とさせることによって皮膚の明色化効果を達成する。さらに、サッカロミセス属に属す酵母抽出物または酵母生菌はメラニン分解またはメラニン抑制効果を示すことが示されているので、美白組成物に用いられている。
【0006】
3,5,4’−トリヒドロキシスチルベンとも呼ばれるレスベラトロールは、レッドグレープ、ラズベリー、ブルーベリーおよびその他のある種の植物果または抽出物に見られるポリヒドロキシ置換化合物である。レスベラトロールは種々の抗癌、抗ウイルス、アンチエージング、皮膚美白および抗酸化作用を示すという報告があり、皮膚用クリームなどの種々の化粧配合物に配合されている。しかしながら、レスベラトロールに伴う1つの問題は、化粧配合物では一般に不安定であるということである。従って、化粧配合物で用いる場合には、それはごく少量でしか用いることができない。量が多すぎると、レスベラトロールはそれが配合されている化粧配合物を加水分解し、脱色させてしまう。
【0007】
フェルラ酸はその皮膚美白および抗酸化作用に関して長い間認識されてきた。しかしながら、フェルラ酸は比較的低温で容易に望ましくない分解を受け、長期安定性を欠く。従って、化粧用組成物へのフェルラ酸の配合は、製品安定性と貯蔵寿命に関する問題のために一般に難しいことが分かっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高い皮膚明色化、アンチエージングおよび抗酸化作用だけでなく、有意に高い色安定性および長い貯蔵寿命を有し、局所的、経口、経皮、静脈内、筋肉内、腹腔内、幹内(intrastemal)、皮下、関節内、鼻腔内、舌下、肺または直腸投与用の種々の化粧用または医薬組成物に容易に配合可能な新規な化学化合物を提供することである。
【0009】
本発明のさらなる目的は、商業的に入手可能な、美的に(aesthically)満足のいく、安定な化粧用組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様において、本発明は、式:
【化1】

[式中、X、YおよびZは水素またはフェルロイルからなる群から独立に選択される(ただし、X、YおよびZの少なくとも1つはフェルロイルである)]
を有する化合物に関する。
【0011】
別の態様において、本発明は、化粧学上または薬学上許容される担体中にフェルラ酸レスベラトロールを含んでなる化粧用または医薬組成物に関する。
【0012】
別の態様において、本発明は、化粧学上または薬学上許容される担体中にフェルラ酸レスベラトロールを含んでなる化粧用または医薬組成物を皮膚に適用することを含む、皮膚の明色化、皮膚加齢の予防もしくは軽減、および/または皮膚における反応性酸素種の低減のための方法に関する。
【0013】
さらに別の態様において、本発明は、化粧学上または薬学上許容される担体中にレスベラトロールエステルと脂肪族または芳香族カルボン酸を含んでなる化粧用または医薬組成物に関する。
【0014】
さらに別の態様において、本発明は、化粧学上または薬学上許容される担体中にレスベラトロールエステルと脂肪族または芳香族カルボン酸を含んでなる化粧用または医薬組成物を皮膚に適用することを含む、皮膚の明色化、皮膚加齢の予防もしくは軽減、および/または例えば一重項酸素消去能による皮膚における反応性酸素種の低減のための方法に関する。
【0015】
本発明の他の態様および目的は、以下の記載、実施例および特許請求の範囲からさらに明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】種々の濃度のフェルラ酸レスベラトロールで処理された正常ヒト上皮ケラチノサイト(NHEK)細胞培養物における内因性反応性酸素種(ROS)の、非処理NHEK細胞培養物(対照)またはレスベラトロールで処理されたNHEK細胞培養物と比較した際の相対的レベルを示すチャートである。
【図2】種々の濃度のフェルラ酸レスベラトロール(RF)で処理されたNHEK細胞培養物の、非処理NHEK細胞培養物(対照)またはレスベラトロールで処理されたNHEK細胞培養物と比較した際の相対的細胞生存率を示すチャートである。
【図3】メチルグリオキサール(MG)単独またはUV光と組み合わせたメチルグリオキサール(UV+MG)のいずれかに曝す前および曝した後に種々の濃度のフェルラ酸レスベラトロールで処理されたNHEK細胞培養物の相対的細胞生存率を示すチャートである。
【図4】メチルグリオキサール(MG)単独またはUV光と組み合わせたメチルグリオキサール(UV+MG)のいずれかに曝す前および曝した後に種々の濃度のレスベラトロールで処理されたNHEK細胞培養物の相対的細胞生存率を示すチャートである。
【図5】メチルグリオキサール(MG)単独またはUV光と組み合わせたメチルグリオキサール(UV+MG)のいずれかに曝す前および曝した後に種々の濃度のフェルラ酸で処理されたNHEK細胞培養物の相対的細胞生存率を示すチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の組成物は液体、固体または半固体の形態であり得る。本発明の組成物は、水性系であり得、すなわち、水相構造化剤の他、水またはその他の極性非水性溶媒、例えば、モノ−、ジ−もしくは多価アルコール、グリコールまたは以下に示されているように保湿剤と呼ばれる成分を含んでなり得る。組成物が水性系組成物の形態である場合、組成物は全組成物の重量に対し約0.0001〜99%、好ましくは約0.5〜90%、より好ましくは約0.5〜85%のフェルラ酸レスベラトロールを含み得る。あるいは、本発明の組成物は油中水型または水中油型エマルションの形態を有してもよく、すなわち、油相と水相の双方を含み得る。このような場合、水の量は、全組成物の約0.1〜99重量%、好ましくは約5〜85重量%、より好ましくは約7〜75重量%の範囲であり得る。油の量は好ましくは、全組成物の約1〜95重量%、好ましくは約5〜85重量%、より好ましくは約7〜65重量%である。より具体的には、フェルラ酸レスベラトロールは水性基剤またはエマルションの油相のいずれかに可溶化または分散させることができる。さらに、本発明の組成物は非水性または無水型であってもよい。無水組成物は、フェルラ酸レスベラトロールがエタノール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの極性非水性溶媒または非極性油などに可溶化または分散される際に形成される。
【0018】
本発明の組成物は、唇、顔、手、まぶたまたはその他の体表などの皮膚またはケラチン性表面に局所適用するために特に設計された化粧用または医薬組成物であり得る。局所的化粧用組成物の例として、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、リップライナーおよびネイルカラーなどのカラー化粧品;クリーム、ローション、漿液、ゲル、ミストおよびトーナーなどの種々の皮膚処理製品;ならびにクレンザー、スプレー、マスクおよびコンディショナーなどの種々のリンスオフ製品が挙げられる。あるいは、本発明の組成物は、塗布剤、ローション、軟膏、クリームまたはペーストまたは眼、耳もしくは鼻への投与に好適な滴剤などの液体または半液体調製物を含む、局所投与に好適な医薬組成物であり得る。
【0019】
本発明の化粧用または医薬組成物はまた、(1)例えば、リザーバーおよび多孔質膜型または固体マトリックス種のいずれかのパッチ剤の形態での経皮投与;(2)例えば、錠剤、丸剤、カプセル、粉末、顆粒、懸濁液または液体の形態での経口投与;または(3)例えば、理学上許容される無菌水溶液もしくは非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルションおよび無菌注射溶液または分散液へと再構成するための無菌粉末の形態での非経口注射剤用に設計することもできる。以上は単に本発明の例であり、本発明は開示されている送達機構に限定されるものではないことを注記しておく。当業者に自明のバリエーションおよび変更は、添付の特許請求の範囲に定義される本発明の範囲および特徴の範囲内にあるものとする。
【0020】
I.フェルラ酸レスベラトロール
本発明のフェルラ酸レスベラトロール化合物は一般式:
【化2】

[式中、X、YおよびZは水素または式:
【化3】

を有するフェルロイル基のいずれかである(ただし、X、YおよびZの少なくとも1つはフェルロイル基である)]
を有する。
【0021】
よって、本発明のフェルラ酸レスベラトロールとしては、(1)3−フェルレート−5,4’−ジヒドロキシスチルベン、5−フェルレート−3,4’−ジヒドロキシスチルベンおよび4’−フェルレート−3,5−ジヒドロキシスチルベンなどの一フェルラ酸塩;(2)3,5−ジフェルレート−4’−ヒドロキシスチルベン、3,4’−ジフェルレート−5−ヒドロキシスチルベンおよび4’,5−ジフェルレート−3−ヒドロキシスチルベンなどの二フェルラ酸塩;(3)三フェルラ酸塩、すなわち、3,5,4’−トリフェルレート−ヒドロキシスチルベン、および(4)一、二、および/または三フェルラ酸塩の混合物が挙げられる。必ずしも必要ではないが好ましくは、本発明の化粧用組成物は一、二、および/または三フェルラ酸塩の混合物を含んでなる。
【0022】
本発明のフェルラ酸レスベラトロールは、レスベラトロールまたはフェルラ酸またはその単純な混合物のいずれと比べても有意に高い色安定性および長い貯蔵寿命を有する。特定の理論に縛られるものではないが、ヒト皮膚に適用した際、上記のようなフェルラ酸レスベラトロールはヒト皮膚の内因性エステラーゼ酵素により容易に加水分解されて活性なレスベラトロールとフェルラ酸を遊離し得ると考えられる。さらに、この酵素的加水分解反応は律速段階であるので、レスベラトロールおよびフェルラ酸は本発明の化粧用組成物から経時的にゆっくり遊離して長期の皮膚明色化効果を達成する。
【0023】
本発明のフェルラ酸レスベラトロールは、当技術分野で周知の種々のプロセスによって合成することができる。例えば、フェルラ酸レスベラトロールは、硫酸、リン酸、スルホン酸またはp−トルエンスルホン酸などの液相の酸を触媒として用いる、レスベラトロールとフェルラ酸の間の液相エステル化反応によって形成され得る。別の例では、フェルラ酸レスベラトロールは、カップリング剤と弱性求核塩基性触媒の存在下でのレスベラトロールとフェルラ酸の間の縮合反応によって形成され得る。ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのカップリング剤は、フェルラ酸を等価の無水物に変換することにより、それを活性化する働きをする。4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの塩基性触媒は、レスベラトロールのヒドロキシル基と無水フェルラ酸のカルボン酸基の間の反応を触媒する働きをする。さらに別の例では、レスベラトロールを、塩化フェルロイルまたはフェルラ酸の無水形態などの、比較的反応性の高いフェルラ酸誘導体と反応させ、アルカリ水溶液中での周知のSchotten−Baumann反応によりフェルラ酸レスベラトロールを形成することができる。このようなアルカリ水溶液は一般に、触媒と、この反応により生じる無機酸副生成物のトラップの双方として働く塩基を含む(例えば、塩化フェルロイルを用いる場合にはHCl)。具体的には、レスベラトロールを可溶化または分散させるためにピリジンを使用することできるが、これはピリジンが反応溶媒、触媒および反応により遊離される酸のトラップとして同時に働くことができるからである。ピリジンを用いる場合、反応は周囲温度、十分な振盪下で容易に起こり得る。さらなる例では、レスベラトロールをまず、クロロホルムまたは塩化メチレンなどの塩素を含む溶媒を含有する液体媒体に可溶化または分散させた後、DMAPなどの有機塩基の存在下で低沸点の脂肪族第三級アミン(例えば、トリエチルアミンまたはTEA)を加えることができる。その後、この混合物に比較的低温(例えば、40℃未満)で振盪下、塩化フェルロイルをゆっくり導入し、フェルラ酸レスベラトロールを形成することができる。
【0024】
必ずしも必要ではないが好ましくは、本発明で用いるフェルラ酸レスベラトロールは、触媒としてp−トルエンスルホン酸を用いるレスベラトロールとフェルラ酸の間の液相エステル化反応により形成される。
【0025】
フェルラ酸レスベラトロールは、全組成物の約0.001〜95重量%、好ましくは約0.005〜90重量%、より好ましくは約0.1〜20重量%の範囲で存在し得る。
【0026】
本発明のフェルラ酸レスベラトロールの生物活性は、例えば、好適な好気条件下、酵母または他の好適な微生物の存在下で十分な時間フェルラ酸レスベラトロールをインキュベートするなどの、生物変換プロセスによってさらに増進または増強することができる。この生物変換プロセスは2つのアプローチのうちいずれか1つを採り得る。第一のアプローチは、微生物を本発明のフェルラ酸レスベラトロールとだけではなく、従来の培養栄養素ともインキュベートし、これにより微生物が所望の生物変換を行うためだけでなく、増殖するためにも好適な条件を提供するプロセスである。第二の好ましいアプローチでは、微生物を水性環境中、フェルラ酸レスベラトロールのみの存在下、フェルラ酸レスベラトロール以外の付加的栄養素の実質的不在下でインキュベートする。この処理方法では、微生物は増殖せず、フェルラ酸レスベラトロールの異化処理にのみ携わる。この生物変換を生物活性の平衡到達、例えばpHの横ばいの徴候に関して定期的にモニタリングした後、系の温度を約30〜50℃、好ましくは約40〜45℃の間に少なくとも約24時間を引き上げる。一実施形態では、その後、温度を約5〜10分間、一時的に90〜95℃に引き上げ、これにより微生物を破壊し、細胞内容物を放出させる。あるいは、細胞を音波処理により破壊することもできる。その後、この系全体を室温まで冷却し、酵母残渣を除去し、非発酵フェルラ酸レスベラトロールに比べて高レベルの生物活性を有するフェルラ酸レスベラトロールの発酵抽出物が残るように段階的に孔径を小さくして濾過する。このようなフェルラ酸レスベラトロールの生物変換に用いる微生物は、生物変換目的で通常用いられるいずれの微生物であってもよい。特に有用な微生物は標準的な醸造酵母サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)である。しかしながら、限定されるものではないが、アスペルギルス・ニデュランス(Aspergillus nidulans)、サッカロミセス・ポンベ(Saccharomyces pombe)、サーマス・アクアチクス(Thermus aquaticus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、シアノバクテリアまたは始原細菌を含む他の好気性微生物も使用可能である。
【0027】
必ずしも必要ではないが好ましくは、フェルラ酸レスベラトロールは1以上の小胞、マイクロスフェア、ナノスフェア、カプセルまたはそれらの混合物に封入される。このような小胞、マイクロスフェア、ナノスフェアまたはカプセルは、皮膚の表皮層から真皮層へのフェルラ酸レスベラトロールのより有効な送達のための経皮送達系をなす。さらに、このような送達系は、例えば皮膚の真皮層などの活性部位におけるフェルラ酸レスベラトロールの標的化送達および持続放出を提供し得る。
【0028】
リポソームは1以上の脂質層に封入された水性核からなる顕微鏡的小胞であり、フェルラ酸レスベラトロールを封入してその真皮への送達を促進するために使用することができる。リン脂質およびスフィンゴミエリンなどの天然膜脂質はリポソームの形成に広く用いられている。水溶液に添加した際にリポソームを自発的形成することができるある種の合成脂質も最近開発された。例えば、二ミリスチン酸PEG−12グリセロール、二オレイン酸PEG−12グリセロール、二パルミチン酸PEG−23グリセロール、二ステアリン酸PEG−12グリセロールおよび二ステアリン酸PEG−23などのジアシルグリセロール−ポリエチレングリコール(PEG)化合物が、米国特許第7,150,883号、同第6,958,160号および同第6,610,322号(これらの内容は目的を問わず、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)に詳細に記載されているように、非リン脂質系リポソームの自発的形成に用いられている。このような非リン脂質系リポソームはCorwood Laboratories(Hauppauge, NY)から商標QuSomes(商標)として市販されている。
【0029】
生体適合性(より好ましくは、生分解性)材料から形成されるマイクロスフェアおよび/またはナノスフェアも、その標的化送達および/または持続放出を達成するために本発明のフェルラ酸レスベラトロールを封入するのに使用することができる。本明細書において「生体適合性」とは、任意の材料、組成物、構造または物品が接触する生組織または生物系に本質的に有毒または有害な影響を持たず、このような生組織または系において免疫応答を本質的にもたらさない材料、組成物、構造または物品を指す。より詳しくは、この材料、組成物、構造または物品は、成長およびその材料、組成物、構造または物品と接触する生組織または生物系の細胞の他の所望の特徴に本質的に悪影響を持たない。一般に、材料、組成物、構造または物品の生体適合性を試験するための方法は当技術分野で周知である。本明細書において「生分解性」とは、生物の身体における酵素作用、加水分解反応および/または類似の機構により経時的に分解する材料、組成物、構造または物品について言う。
【0030】
例えば、米国特許出願公開番号2004/0109894(その内容は目的を問わず、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)は、良好な生体適合性と疎水性ナノスフェアの形成に十分なバリア特性を有する種々のマトリックス材料を記載している。このようなマトリックス材料としては、例えば、天然ワックス、合成ワックス、脂肪、脂肪酸およびその誘導体、グリセリド材料、リン脂質、ステロイド、トコフェロールおよびその誘導体、硬化または誘導体化油が挙げられる。それにはまた、pH感受性または塩感受性マイクロスフェアの形成に使用することができる種々のpHおよび塩感受性マトリックス材料を記載している。pHおよび塩感受性マトリックス材料の例としては、限定されるものではないが、アミノ置換基を有するアクリル酸ポリマーのコポリマー、アクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、フタル酸誘導体(炭水化物の酸フタレート、酢酸フタル酸アミロース、酢酸フタル酸アミロース、酢酸フタル酸セルロース、他のフタル酸セルロースエステル、フタル酸セルロースエーテル、フタル酸ヒドロキシプロピルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルエチルセルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸メチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、酢酸水素フタル酸ポリビニル、酢酸フタル酸セルロースナトリウム、デンプン酸フタレートなど)、スチレン−マレイン酸ジブチルフタレートコポリマー、スチレン−マレイン酸ポリビニルアセテートフタレートコポリマー、スチレンとおよびマレイン酸コポリマー、ホルマリン処理ゼラチン、グルテン、セラック、サロール、ケラチン、ケラチンサンダラック−トルー、アンモニアセラック、サリチル酸ベンゾフェニル、酢酸トリメリト酸セルロース、酢酸セルロースとセラックのブレンド、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酸化セルロース、アクリル酸とアクリル酸エステルのコポリマーなどのポリアクリル酸誘導体、メタクリル酸およびそのエステル、酢酸ビニルとクロトン酸のコポリマーが挙げられる。さらに、米国特許出願公開番号2004/0109894は、水感受性マイクロスフェアの形成のための種々の水溶性ポリマーの使用を記載している。水溶性ポリマーの例としては、限定されるものではないが、ポリビニルピロリドン(PVP)、水溶性セルロース、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン無水マレイン酸コポリマー、メチルビニルエーテル無水マレイン酸コポリマー、ポリエチレンオキシド、水溶性ポリアミドまたはポリエステル、ポリアクリル酸などのアクリル酸のコポリマーまたはホモポリマー、ポリスチレンアクリル酸コポリマーまたはデンプン誘導体、ポリビニルアルコール、多糖類、親水コロイド、天然ガム、タンパク質およびそれらの混合物が挙げられる。このようなナノスフェア、マイクロスフェアまたはナノスフェアとマイクロスフェアの組合せはSalvona Technology(Dayton, NJ)から商標SalSeal(商標)、HydroSal(商標)、NanoSal(商標)およびMultiSal(商標)として市販されている。
【0031】
ヒアルロン酸は全ての生物体に天然に存在するムコ多糖であり、本発明のフェルラ酸レスベラトロールの封入のためのマイクロスフェア中に処方することができる。具体的には、米国特許第6,969,531号(その内容は目的を問わず、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)は、分子内および分子間架橋のためにグルクロン酸部位においてホモ二官能性架橋剤で官能基化されたヒアルロン酸により形成されたマイクロスフェアを記載している。このようなヒアルロン酸充填マイクロスフェアはBASF(Florham Park, NJ)から市販されており、元々脱水状態にある皮膚に提供および送達される。皮膚の水分とひと度接触すると、このようなマイクロスフェアは再水和し、体積が増し、皮膚の表皮層の伸縮を助け、それによりしわ軽減硬化を達成する。
【0032】
シクロデキストリンおよびその誘導体もまた、本発明のフェルラ酸レスベラトロールの封入のためのミセルまたはナノ粒子を形成するために使用可能である。具体的には、米国特許第6,524,595号(その内容は目的を問わず、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)は、その中に封入されている有効成分の標的化送達のための優れた組織または膜浸透特性を有するナノ粒子を形成するために使用可能な非ヒドロキシアルキル化シクロデキストリン誘導体群を記載している。このようなシクロデキストリン系ナノ粒子は、BASF(Florham Park, NJ)から商標Cyclocaps(登録商標)として市販されている。
【0033】
また、デオキシリボ核酸(DNA)分子、リボ核酸(RNA)分子またはオリゴヌクレオチドも、本発明のフェルラ酸レスベラトロールの封入のためのマイクロスフェアまたはマイクロカプセルを形成するために使用可能である。このような生体高分子はUV照射に感受性があり、従って、米国特許出願公開番号2004/0121019(その内容は目的を問わず、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)に記載されているように、UV照射の際の有効成分の標的化送達のためのUV感受性マイクロスフェアまたはマイクロカプセルを形成するために使用することができる。このようなUV感受性送達系は、BASF(Florham Park, NJ)から商標SmartVector(登録商標)UVとして市販されている。
【0034】
米国特許第5,736,161号は、陽イオン性多糖コーティングを有するゲル化親水コロイド核を含んでなる送達系を記載している。親水コロイド核はシリカまたはデンプンを含み得るが、陽イオン性多糖コーティングはデキストリンまたはその誘導体からなり得る。このような送達系は、LipoTec(Barcelona, Spain)から商標Thermospheres−15として市販されている。
【0035】
BASF(Florham Park, NJ)から商標Phytosphere(登録商標)、Thalasphere(登録商標)、Thalachitosphere(登録商標)およびCollasphere(登録商標)として市販されている種々の生体高分子系マイクロスフェアも本発明のフェルラ酸レスベラトロールの封入および送達に使用可能である。
【0036】
II.その他のレスベラトロールエステル
本発明の化粧用または医薬組成物には、フェルラ酸レスベラトロールに加えて、レスベラトロール由来の他のレスベラトロールエステルおよびフェルラ酸と同等の皮膚明色化および/または抗酸化作用を示すその他のカルボン酸も使用可能である。例えば、本発明の組成物は、レスベラトロールエステルを、限定されるものではないが、桂皮酸、グリコール酸、リポ酸、グルコン酸、クエン酸、乳酸、アゼライン酸、ヒドロキシ置換安息香酸、ゲニスチン酸、ヒドロキシカプリル酸、リノール酸、サリチル酸、5−オクタノイルサリチル酸、トラネキサム酸およびその誘導体をはじめとする、皮膚美白またはその他の目的で使用されることが知られている1以上のカルボン酸を含み得る。このような他のレスベラトロールエステルは、本発明の組成物中で上記のフェルラ酸レスベラトロールに加えて使用することができる。
【0037】
III.その他の成分
本発明の化粧用または医薬組成物は、構造化剤、オイル、保存剤および保湿剤などをはじめとする他の成分も含み得る。これらの組成物は無水形態またはエマルション、ゲル、漿液、溶液または懸濁液の形態であり得る。エマルション形態であれば、油中水型または水中油型エマルションが好適である。水性形態であれば、全組成物の約0.1〜99重量%、好ましくは約0.5〜90重量%、より好ましくは約1〜85重量%の範囲の量で水が存在し得る。
【0038】
A.水相構造化剤
本発明の局所用組成物が水相を含む場合、これらの組成物は、組成物の水相の粘度を増す、または増粘する薬剤である少なくとも1種類の水相構造化剤を含み得る。水相構造化剤はこの配合物中のフェルラ酸レスベラトロール化合物およびその他の成分と適合する。好適な範囲は全組成物の約0.01〜30重量%、好ましくは約0.1〜20重量%、より好ましくは約0.5〜15重量%である。このような薬剤の例としては、種々のアクリル酸系増粘剤、天然または合成ガムおよび多糖類などが挙げられる。
【0039】
1.多糖類
種々の多糖類は好適な水相増粘剤であり得る。このような多糖類の例としては、寒天、アガロース、アルカリゲネス多糖類、アルギン、アルギン酸、アラビアガムガム、アミロペクチン、キチン、デキストラン、カッシアガム、セルロースガム、ゼラチン、ゲランガム、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ペクチン、スクレロチウムガム(sclerotium gum)、キサンタンガム、ペクチン、トレハロースおよびゼラチンなどの天然由来材料が挙げられる。
【0040】
2.アクリル酸ポリマー
例えば、モノマーAおよびB(ここで、Aはアクリル酸、メタクリル酸およびそれらの混合物からなる群から選択され、Bはアクリル酸C1−22アルキル、メタクリル酸C1−22アルキル(C1-22 alky methacrylate)およびそれらの混合物からなる群から選択される)からなるアクリル系ポリマー増粘剤が好適である。一実施形態において、Aモノマーは1以上のアクリル酸またはメタクリル酸を含んでなり、Bモノマーはアクリル酸C1−10、最も好ましくはC1−4アルキル、メタクリル酸C1−10、最も好ましくはC1−4アルキルおよびそれらの混合物からなる群から選択される。最も好ましくは、Bモノマーは1以上のアクリル酸またはメタクリル酸メチルまたはエチルである。アクリル系コポリマーは、ポリマーの約10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは25〜45重量%の範囲の固体含量を有する(残りは水)水溶液で供給することができる。このアクリル系コポリマー組成物は、約0.1〜99部のAモノマーと約0.1〜99部のBモノマーを含み得る。アクリル系ポリマー溶液としては、Seppic, Inc.により商標Capigelとして販売されているものが挙げられる。
【0041】
また、A、BおよびCモノマー(ここで、AおよびBは上記で定義された通りであり、Cは一般式:
【化4】

[式中、Zは−(CHであり、ここで、mは1〜10、nは2〜3、oは2〜200であり、RはC10−30直鎖または分枝型アルキルである]
を有する)のコポリマーであるアクリル系ポリマー増粘剤も好適である。上記の第二の増粘剤の例としては、AおよびBが上記で定義された通りであり、CがCOであり、n、oおよびRが上記で定義された通りであるコポリマーがある。このような第二の増粘剤の例としては、Rohm & Haasにより商標Acrysol ICS−1として販売されているアクリレート/ステアレス−20メタクリレートコポリマーが挙げられる。
【0042】
また、少なくとも1つの親水性単位と脂肪鎖を含む少なくとも1つのアリルエーテルとを含むアクリレート系陰イオン両親媒性ポリマーも好適である。親水性単位がエチレン性不飽和陰イオンモノマー、より具体的にはアクリル酸、メタクリル酸またはそれらの混合物などのビニルカルボン酸を含むもの、および脂肪鎖を含むアリルエーテル単位が式CH=CR’CHOBR(式中、R’はHまたはCHを表し、Bはエチレンオキシ基を表し、nは0または1〜100の範囲の整数を表し、Rは、8〜30個の炭素原子、好ましくは10〜24個、さらにより詳しくは12〜18個の炭素原子を含むアルキル、アリールアルキル、アリール、アルキルアリールおよびシクロアルキル基から選択される炭化水素基を表す)のモノマーに相当するものが好ましい。R’がHを表し、nが10に相当し、Rがステアリル(C18)基を表す場合がさらに好ましい。この種の陰イオン両親媒性ポリマーは米国特許第4,677,152号および同第4,702,844号(双方とも、参照により本明細書に組み入れられる)に記載され、好ましいとされている。これらの陰イオン両親媒性ポリマーとしては、20〜60重量%のアクリル酸および/またはメタクリル酸、5〜60重量%の低級アルキルメタクリレート、上記のような脂肪酸を含む2〜50重量%のアリルエーテル、および周知のコポリマー形成ポリエチレン系不飽和モノマー、例えば、フタル酸ジアリル、(メタ)クリル酸アリル、ジビニルベンゼン、二メタクリル酸(ポリ)エチレングリコールおよびメチレンビスアクリルアミドである0〜1重量%の架橋剤からなるポリマーである。このようなポリマーの1つの市販例が、メタクリル酸、アクリル酸エチル、ステアリルアルコールまたはステアレス−10のポリエチレングリコール(10個のEO単位を有する)エーテルの架橋三元コポリマー、特に、メタクリル酸、アクリル酸エチルおよびステアレス−10アリルエーテル(40/50/10)の架橋三元コポリマー30%を含有する水性エマルションである、Allied Colloids社によりSALCARE SC80およびSALCARE SC90の名称で販売されているものである。
【0043】
また、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メチルスチレンイソプロピルイソシアネートおよびPEG−40ベヘネートモノマーのコポリマーであるポリアクリレート−3;ナトリウムアクリロイルジメチルタウレート、アクリル酸ナトリウム、アクリルアミドおよびビニルピロリドンモノマーのコポリマーであるポリアクリレート−10;またはナトリウムアクリロイルジメチルアクリロイルジメチルタウレート、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ブチルおよびアクリルアミドモノマーのコポリマーであるポリアクリレート−11などのアクリレートコポリマーも好適である。
【0044】
また、1以上のアクリル基が長鎖アルキル(例えば、6〜40、10〜30など)基で置換されていてもよい架橋アクリレート系ポリマー、例えば、C10−30アクリル酸アルキルとアクリル酸、メタクリル酸、またはスクロースのアリルエーテルもしくはoペンタエリトリトールのアリルエーテルで架橋されたそれらの単純なエステルの1以上のモノマーのコポリマーであるアクリレート/C10−30アルキルアクリレート架橋ポリマーも好適である。このようなポリマーは一般に、CarbopolまたはPemulenの商標で販売され、CTFA名はカルボマーである。
【0045】
水相増粘剤が、ClariantによりAristoflex AVC(アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/VPコポリマー);Aristoflex AVL(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、トリラウレス−4、およびポリグリセリル−2セスキイソステレートを含有する混合物中のAVC分散物に見られる同じポリマー);またはAristoflex HMB(アンモニウムアクリロイルジメチルタウレート/ベヘネス−25メタクリレート架橋ポリマー)などのAristoflex商標として販売されているアクリレート系ポリマー増粘剤であることが特に好適である。
【0046】
3.高分子量PEGまたはポリグリセリン
また、水相増粘剤が、重合度が1,000〜200,000の範囲の種々のポリエチレングリコール(PEG)誘導体であることが好適である。このような成分は、PEG−45M(45,000の繰り返しエチレンオキシド単位を有するPEGを意味する)など、「PEG」の後に重合度(1000)という表記により示される。好適なPEG誘導体の例としては、PEG 2M、5M、7M、9M、14M、20M、23M、25M、45M、65M、90M、115M、160Mおよび180Mなどが挙げられる。
【0047】
また、繰り返し部分の数が15〜200、好ましくは約20〜100の範囲である繰り返しグリセリン成分であるポリグリセリンも好適である。好適なポリグリセリンの例としては、CFTA名ポリグリセリン−20およびポリグリセリン−40などを有するものが含まれる。
【0048】
B.油相構造化剤
組成物がエマルションまたは無水型である場合の化粧用組成物の油相には所望により種々の油相構造化剤が存在してよい。「油相構造化剤」とは、油相の粘度または構造を増強する、油相中に可溶または分散可能な成分または成分の組合せを意味する。油相構造化剤はレスベラトロール誘導体およびその配合物の残りの成分と適合する。「適合する」とは、油相構造化剤とレスベラトロール誘導体が、一般に安定な化粧品へと配合可能であることを意味する。構造化剤は、高い粘度を有する液体組成物、半固体または場合によっては自立し得る固体組成物を提供するのに十分な量で存在し得る。構造化剤はそれ自体、液体、半固体または固体形態で存在し得る。示唆される構造化剤の範囲は全組成物の約0.01〜70重量%、好ましくは約0.05〜50重量%、より好ましくは約0.1〜35重量%である。好適な油相構造化剤には、シリコーン系または有機系のものが含まれる。それらはポリマーまたは非ポリマー、合成、天然または両者の組合せであり得る。
【0049】
1.シリコーン構造化剤
種々の油相構造化剤は、シリコーン系、例えば、シリコーンエラストマー、シリコーンガム、シリコーンワックス、化粧用組成物に配合した際に油相の粘度を高め得るような粘度を有するシリコーンを提供する重合度を有する直鎖シリコーンであり得る。シリコーン構造化剤の例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
【0050】
(a).シリコーンエラストマー
本発明の組成物において用いるのに好適なシリコーンエラストマーとしては、白金金属触媒の存在下、SiH含有ジオルガノシロキサンと末端オレフィン不飽和を有するオルガノポリシロキサンまたはαωジエン炭化水素を反応させることによる付加反応硬化によって形成されるものが挙げられる。このようなエラストマーはまた、ヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンとSiH含有ジオルガノポリシロキサンまたはαωジエンの間の脱水素反応による、オルガノ錫化合物の存在下での縮合硬化オルガノポリシロキサン組成物;またはヒドロキシル末端ジオルガノポリシロキサンと加水分解性オルガノシロキサンの間の縮合反応を用いた、オルガノ錫化合物またはチタン酸エステルの存在下での縮合硬化オルガノポリシロキサン組成物;オルガノ過酸化物触媒の存在下で熱硬化する過酸化物硬化オルガノポリシロキサン組成物など、他の反応方法によっても形成可能である。
【0051】
好適であり得るエラストマーの一種は、各分子またはαωジエンにつき少なくとも2個の低級アルケニル基を有するオルガノポリシロキサン;および各分子につき少なくとも2個のシリコーン結合水素原子を有するオルガノポリシロキサン;および白金型触媒を付加反応硬化することにより製造される。ビニルなどの低級アルケニル基は分子内のいずれの位置に存在してもよいが、一方または双方の分子末端が末端オレフィン不飽和であることが好ましい。この成分の分子構造は、直鎖、分枝直鎖、環状または網状であり得る。これらのオルガノポリシロキサンは、メチルビニルシロキサン、メチルビニルシロキサン−ジメチルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルポリシロキサン、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン−ジフェニルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー、トリメチルシロキシ末端ジメチルシロキサン−メチルフェニルシロキサン−メチルビニルシロキサンコポリマー、ジメチルビニルシロキシ末端メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)ポリシロキサンおよびジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサン−メチル(3,3,−トリフルオロプロピル)シロキサンコポリマー、デカジエン、オクタジエン、ヘプタジエン、ヘキサジエン、ペンタジエンまたはテトラジエンまたはトリジエンで例示される。
【0052】
硬化は、本明細書に記載の触媒を用いた触媒作用下でシロキサンまたはαωジエンを用いた、ジメチルメチル水素シロキサンのケイ素結合水素原子の付加反応によって進行する。架橋度の高い構造を形成するには、メチル水素シロキサンは、架橋剤としての機能を至適化するために各分子につき少なくとも2個のケイ素結合水素原子を含まなければならない。
【0053】
ケイ素結合水素原子とアルケニル基の付加反応に用いられる触媒は、アルコールまたはケトンに溶け得るクロロプラチン酸(この溶液を所望により熟成させる)、クロロ白金酸−オレフィン複合体、クロロ白金酸−アルケニルシロキサン複合体、クロロ白金酸−ジケトン複合体、白金黒、および担体により支持された白金により具体的に例示される。
【0054】
本発明の組成物に用いるのに好適なシリコーンエラストマーの例は、粉末型、または例えば、揮発性もしくは不揮発性シリコーン、またはパラフィン系炭化水素もしくはエステルなどのシリコーン適合性ビヒクルといった溶媒中の分散物または可溶化物であり得る。シリコーンエラストマー粉末の例としては、ビニルジメチコン/メチコンシレスキオキサン架橋ポリマー(Shin−EtsuのKSP−100、KSP−101、KSP−102、KSP−103、KSP−104、KSP−105など)、フルオロアルキル基を含むハイブリッドシリコーン粉末(フルオロ−シリコーンエラストマーであるShin−EtsuのKSP−200など)およびフェニル基を含むハイブリッドシリコーン粉末(フェニル置換シリコーンエラストマーであるShin−EtsuのKSP−300など);およびDow ComingのDC9506が挙げられる。シリコーン適合性ビヒクル中のシリコーンエラストマー粉末分散物としては、Dow Corning Corporation(商標9040または9041として)、GE Silicones(商標SFE839として)またはShin−Etsu Silicones(商標KSG−15、16、18として)を含む様々な供給者により供給されているジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマーが含まれる。KSG−15のCTFA名はシクロペンタシロキサン/ジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマーである。KSG−18のINCI名はフェニルトリメチコン/ジメチコン/フェニルビニルジメチコン架橋ポリマーである。シリコーンエラストマーはまた、Grant Industriesから商標Gransilとして購入することもできる。また、Shin Etsuにより商標KSG−31、KSG−32、KSG−41、KSG−42、KSG−43およびKSG−44として供給されるラウリルジメチコン/ビニルジメチコン架橋ポリマーなど、長鎖アルキル置換を有するシリコーンエラストマーも好適である。本発明で有用な架橋オルガノポリシロキサンエラストマーおよびその製造方法は、1990年11月13日に発行されたSakutaらの米国特許第4,970,252号、1998年6月2日発行されたKilgourらの米国特許第5,760,116号、1997年8月5日発行されたSchulz, Jrらの米国特許第5,654,362号およびPola Kasei Kogyo KKに発行された日本国特許出願JP61−18708にさらに記載されている(これらはそれぞれ参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)。
【0055】
(b).シリコーンガム
また、1種類以上のシリコーンガムも油相構造化剤として用いるのに好適である。「ガム」とは、ガム様のテクスチャーを有するシリコーンを提供するのに十分な重合度を有するシリコーンポリマーを意味する。ある特定の場合では、ガムを形成するシリコーンポリマーは架橋されていてもよい。シリコーンガムは一般に25℃で約500,000〜100×10cst、好ましくは約600,000〜20×10、より好ましくは約600,000〜12×10cstの範囲の粘度を有する。本明細書に記載される範囲は全て、あらゆる部分範囲を含む(例えば、550,000;925,000;3.5×10)。
【0056】
組成物に用いられるシリコーンガムとしては、限定されるものではないが、一般式:
【化5】

[式中、R〜Rはそれぞれ独立に1〜30の炭素原子を有するアルキル、アリールまたはアラルキルであり;XはOHまたはC30アルキルまたはビニルであり;x、yまたはzは0であってよい(ただし、x、yまたはzのうち同時に0となるのは2個だけであり、さらにX、YおよびZはシリコーンガムが少なくとも約500,000cst、約100×10センチストークまでの範囲となるようなものである)]
のものが含まれる。RはメチルまたはOHであることが好ましい。
【0057】
このようなシリコーンガムはWacker−ChemieまたはDow Corningなどをはじめとする様々なシリコーン製造者から純粋な形態で購入することができる。このようなシリコーンガムとしては、Wacker−Belsilにより商標CM3092、Wacker−Belsil 1000またはWacker−Belsil DM 3096として販売されているものが挙げられる。XがOHであるシリコーンガム(ジメチコノールを指す)もまた、Dow Corning Corporationから商標1401として入手可能である。シリコーンガムはまた、揮発性または不揮発性シリコーンなどのシリコーン適合性ビヒクル中の溶液または分散液の形態で購入することもできる。このような混合物の例は、Barnet Siliconesから商標HL−88(INCI名はジメチコン)として購入することができる。
【0058】
(c).シリコーンワックス
別種の油相構造化剤として、一般にアルキルシリコーンワックスと呼ばれる、室温で半固体または固体のシリコーンワックスが含まれる。「アルキルシリコーンワックス」とは、シロキサンに半固体または固体特性を付与する置換長鎖アルキル(C16〜30など)を有するポリジメチルシロキサンを意味する。このようなシリコーンワックスの例としてはステアリルジメチコンが挙げられ、DeGussa Care & Surface Specialtiesから商標Abil Wax 9800として、またはDow Corningから商標2503として購入することができる。別の例としてビス−ステアリルジメチコンがあり、Gransil Industriesから商標Gransil A−18、すなわち、ベヘニルジメチコン、ベヘンオキシジメチコンとして購入することことができる。
【0059】
(d).ポリアミドまたはシリコーンポリアミド
また、油相構造化剤として、ポリアミドまたはシリコーンポリアミドなどの種々のタイプのポリマー化合物も好適である。
【0060】
シリコーンポリアミドとは、本明細書にさらに記載されるように、シリコーンモノマーとアミド基を含有するモノマーからなるポリマーを意味する。シリコーンポリアミドは好ましくは一般式:
【化6】

[Xは約1〜30の炭素原子を有する直鎖または分枝型アルキレンであり;
、R、RおよびRはそれぞれ独立に、1以上のヒドロキシルまたはハロゲン基で置換されていてもよいC1−30直鎖または分枝型アルキル;1以上のC1−30アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシルまたはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル;または一般式:
【化7】

を有するシロキサン鎖であり;
Yは、
(a)(i)一般式RCONRを有する1以上のアミド基、または(ii)C5−6環式環、または(iii)1以上のC1−10アルキル基で置換されていてもよいフェニレン、または(iv)ヒドロキシ、または(v)C3−8シクロアルカン、または(vi)1以上のヒドロキシ基で置換されていてもよいC1−20アルキル、または(vii)C1−10アルキルアミンで置換されていてもよい約1〜40の炭素原子を有する直鎖または分枝型アルキレン;または
(b)TR
(式中、R、RおよびRはそれぞれ独立にC1−10直鎖または分枝型アルキレンであり、TはCRであり、Rは水素、三価原子N、PもしくはAl、または1以上のヒドロキシルまたはハロゲン基で置換されていてもよいC1−30直鎖または分枝型アルキル;1以上のC1−30アルキル基、ハロゲン、ヒドロキシルもしくはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル;または一般式:
【化8】

を有するシロキサン鎖である)
である]
で示される部分を含む。
【0061】
、R、RおよびRがC1−10、好ましくはメチルであり、XおよびYが直鎖または分枝型アルキレンである場合が好ましい。一般式:
【化9】

[式中、aおよびbはそれぞれ独立に、約60〜120℃の範囲の融点、および約40,000〜500,000ダルトンの範囲の分子量を有するシリコーンポリアミドポリマーを提供するのに十分なものである]
を有するシリコーンポリアミドが好ましい。本発明の組成物で使用可能なシリコーンポリアミドの一種は、Dow Corning Corporationから商標Dow Corning 2−8178ゲル化剤(CTFA名はナイロン−611/ジメチコンコポリマー、PPG−3ミリスチルエーテルを含有する組成物中の固体)として購入することができる。
【0062】
また、Arizona Chemicalから商標UniclearおよびSylvaclearとして購入されるものなどのポリアミドも好適である。このようなポリアミドはエステル末端型またはアミド末端型であり得る。エステル末端ポリアミドとしては、限定されるものではないが、一般式:
【化10】

[式中、nは、エステル基の数がエステル基およびアミド基の総数の約10%〜50%となるようなアミド単位の数を表し;Rはそれぞれ独立に、少なくとも4個の炭素原子を含むアルキルまたはアルケニル基であり;Rはそれぞれ独立にC4−42炭化水素基であり(ただし、R基の少なくとも50%はC30−42炭化水素である);Rはそれぞれ独立に、少なくとも2個の炭素原子と水素原子と所望により1以上の酸素または窒素原子を含む有機基であり;Rはそれぞれ独立に水素原子、C1−10アルキル基またはRまたは別のRに対する直接結合であり、これにより、RとRの双方が結合している窒素原子はR−N−Rで定義される複素環式構造の一部を形成し、基Rの少なくとも50%は水素原子を表す]
を有するものが挙げられる。
【0063】
油相ゲル化剤として使用可能なエステルおよびアミド末端ポリアミドの一般例としては、Arizona Chemicalにより商標Sylvaclear A200VまたはA2614V(双方ともCTFA名はエチレンジアミン/水素化ダイマージリノレートコポリマー/ビス−ジ−C14−18アルキルアミド);Sylvaclear AF1900V;Sylvaclear C75V(CTFA名はビス−ステアリルエチレンジアミン/ネオペンチルグリコール/ステアリル水素化ダイマージリノレートコポリマー;Sylvaclear PA1200V(CTFA名はポリアミド−3);Sylvaclear PE400V;Sylvaclear WF1500V;またはUniclear、例えば、Uniclear 100VG(INCI名はエチレンジアミン/ステアリルダイマージリノレートコポリマー);またはエチレンジアミン/ステアリルダイマージタレートコポリマーとして販売されているものが挙げられる。他の好適なポリアミドの例としては、Henkelにより商標Versamid(Versamid 930、744、1655など)またはOlin Mathieson Chemical Corp.により商標Onamid SまたはOnamid Cとして販売されているものが挙げられる。
【0064】
(f).天然または合成有機ワックス
また、油相構造化剤として、動物、植物または無機物ワックスなどの1以上の天然または合成ワックスも好適である。好ましくは、このようなワックスは約60〜150℃、より好ましくは約65〜100℃などの高融点を有する。このようなワックスの例としては、ポリエチレンまたは合成ワックスなどのFischer−Tropsch合成により製造されたワックス;またはヤマモモ(bayberry)、カンデリラ、オゾケライト、アラビアガム、蜜蝋、セレシン、セチルエステル、花蝋、柑橘蝋、カルナウバ蝋、ホホバ蝋、木蝋(japan wax)、ポリエチレン、微晶質、米糠、ラノリンワックス、ミンク、モンタン、ヤマモモ(bayberry)、オーリクリー(ouricury)、オゾケライト、パーム核蝋、パラフィン、アボカド蝋、リンゴ蝋、セラック蝋、サルビア蝋、醸造粕蝋、ブドウ蝋およびそのポリアルキレングリコール誘導体(PEG6−20蜜蝋またはPEG−12カルナウバ蝋など)などの種々の植物ワックス;または脂肪酸もしくは脂肪アルコール(ヒドロキシステアリン酸(例えば、12−ヒドロキシステアリン酸)、トリステアリン、トリベヘニンなどのようなそれらのエステルを含む)が挙げられる。
【0065】
(g).モンモリロナイト鉱物
本組成物に使用可能な構造化剤の一種は天然または合成モンモリロナイト鉱物、例えば、ヘクトライト、ベントナイト、およびその鉱物をステアラルコニウムベントナイト、ヘクトライト、第四級化ヘクトライト(Quaternium−18ヘクトライトなど)、アタパルジャイト、炭酸塩(炭酸プロピレンなど)およびベントンなどの第四級アンモニウム化合物と反応させることにより得られるその第四級化誘導体を含んでなる。
【0066】
(h).シリカおよびシリケート
本組成物の油相に使用可能な別種の構造化剤は、シリカ、シリケートまたはシリル化シリカおよびそのアルカリ金属またはアルカリ土類金属誘導体である。これらのシリカおよびシリケートは一般に特定の形態で見られ、シリカ、シリル化シリカおよびケイ酸マグネシウムアルミニウムなどが含まれる。
【0067】
C.油
本発明の化粧用組成物は不揮発性シリコーン油、揮発性シリコーン、エステル、植物油または合成油などの1種類以上の油を含む油相を含む。本発明の組成物に用いられる油は好ましくは室温で注流可能な液体である。
【0068】
1.不揮発性シリコーン油
組成物がエマルションの形態である実施形態では、油相は好ましくは1種類以上の不揮発性シリコーン油を含む。「不揮発性」とは、そのシリコーン油の蒸気圧が25℃水銀約2mm未満であることを意味する。このシリコーン油は水溶性または水不溶性でるが、好ましくは、水不溶性である。好適な範囲は全組成物の約0.01〜80重量%、好ましくは約0.1〜60%、より好ましくは約0.5〜40重量%を含む。このようなシリコーンは好ましくは、25℃で約5を超え800,000cstまでの範囲、好ましくは10〜200,000cstの粘度を有する。好適なシリコーンとしては、アモジメチコンなどのアミン官能性シリコーン;ビスフェニルヘキサメチコン、トリメチルシロキシフェニルジメチコン、フェニルトリメチコンまたはポリフェニルメチルシロキサンなどのフェニル置換シリコーン;ジメチコン、セチルジメチコンなどのC2−30アルキル基で置換されたジメチコン、またはトリフルオロプロピルなどのジメチコンフッ素化シリコーンが挙げられる。
【0069】
不揮発性シリコーンは下記の一般式:
【化11】

[式中、RおよびR’はそれぞれ独立にC1−30直鎖または分枝型、飽和または不飽和アルキル、フェニルまたはアリール、トリアルキルシロキシであり、xおよびyはそれぞれ独立に0〜1,000,000であり(ただし、xまたはyの少なくとも1つが存在する)、Aはアルキルシロキシエンドキャップ単位である]
を有し得る。Aがメチルシロキシエンドキャップ単位、特に、トリメチルシロキシであり、RおよびR’がそれぞれ独立にC1−30直鎖もしくは分枝型アルキル、フェニルまたはトリメチルシロキシ、より好ましくは、C22アルキル、フェニルまたはトリメチルシロキシ、最も好ましくは、メチル、フェニルまたはトリメチルシロキシであり、結果として得られるシリコーンがジメチコン、フェニルジメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルトリメチコンまたはトリメチルシロキシフェニルジメチコンエンドキャップ単位である場合が好ましい。他の例としては、少なくとも1つのRが脂肪アルキル(C12、C14、C16、C18、C20またはC22)であり、他のRがメチルであり、Aがトリメチルシロキシエンドキャップ単位である(ただし、このようなアルキルジメチコンは室温で注流可能な液体である)場合のセチルジメチコンなどのアルキルジメチコンが挙げられる。フェニルトリメチコンはDow Corning Corporationから商標556 Fluidとして購入することができる。トリメチルシロキシフェニルジメチコンはWacker−Chemieから商標PDM−1000として購入することができる。セチルジメチコンは液体シリコーンワックスとも呼ばれ、Dow CorningからFluid 2502として、またはDeGussa Care & Surface Specialtiesから商標Abil Wax 9801または9814として購入することができる。
【0070】
2.揮発性シリコーン
「揮発性」とは、その油が測定可能な蒸気圧、または20℃で水銀少なくとも約2mmの蒸気圧を有することを意味する。本組成物に使用可能な好適な揮発性油は一般に25℃で約0.5〜5センチストークの範囲の粘度を有し、直鎖シリコーン、環状シリコーン、パラフィン系炭化水素またはそれらの混合物が含まれる。
【0071】
環状シリコーンは一般式:
【化12】

(式中、n=3〜6)
のものである。
【0072】
本発明による直鎖揮発性シリコーンは一般式:
【化13】

(式中、n=0、1、2、3、4または5、好ましくは、0、1、2、3または4)
を有する。
【0073】
直鎖および環状揮発性シリコーンは、Dow Corning CorporationおよびGeneral Electricを含む種々の商業供給者から入手することができる。Dow Corning揮発性シリコーンは、商標Dow Corning 244、245、344および200流体として販売されている。これらの流体はオクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンおよびドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどを含んでなる。また、ヘキサメチルジシロキサン(粘度0.65センチストーク(略号cst))、オクタメチルトリシロキサン(1.0cst)、デカメチルテトラシロキサン(1.5cst)、ドデカメチルペンタシロキサン(2cst)およびそれらの混合物などの直鎖揮発性シリコーンも好適である。
【0074】
3.揮発性パラフィン系炭化水素
また、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20の炭素原子、より好ましくは8〜16の炭素原子を有する種々の直鎖または分枝型パラフィン系炭化水素も揮発性油として好適である。好適な炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トリデカンおよび米国特許第3,439,088号および同第3,818,105号(双方とも参照により本明細書に組み入れられる)に開示されているようなC8−20イソパラフィンが挙げられる。
【0075】
好ましい揮発性パラフィン系炭化水素は70〜225、好ましくは160〜190の分子量と、30〜320、好ましくは60〜260℃の範囲の沸点と、25℃で約10cst未満の粘度を有する。このようなパラフィン系炭化水素はEXXONから商標ISOPARSとして、また、Permethyl Corporationから入手可能である。好適なC12イソパラフィンはPermethyl Corporationにより商標Permethyl 99Aとして製造されている。イソヘキサデカン(商標Permethyl R)などの市販の種々のC16イソパラフィンも好適である。
【0076】
4.非シリコーン系不揮発性油
シリコーン以外の種々の不揮発性油も、本発明の化粧用組成物に用いるのに好適である。不揮発性油は一般に25℃で約5〜10センチストークを超える粘度を有し、粘度範囲は25℃で約1,000,000センチポアズまでである。不揮発性油の例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
【0077】
(a).エステル
好適なエステルはモノ−、ジ−、およびトリエステルである。本組成物はこの群またはそれらの混合物から選択される1以上のエステルを含み得る。
【0078】
(i)モノエステル
モノエステルは、式R−COOH(式中、Rは2〜45の炭素原子を有する直鎖または分枝型飽和または不飽和アルキル、またはフェニルである)を有するモノカルボン酸と、式R−OH(式中、Rは2〜30の炭素原子を有する直鎖または分枝型飽和または不飽和アルキル、またはフェニルである)を有するアルコールとの反応により形成されるエステルと定義される。このアルコールおよび酸は1以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。この酸またはアルコールの一方または双方は「脂肪」酸またはアルコールであってよく、直鎖または分枝型、飽和または不飽和型の約6〜30の炭素原子、より好ましくは12、14、16、18または22の炭素原子を有してよい。本発明の組成物で使用可能なモノエステル油の例としては、ラウリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸ヘキサデシル、パルミチン酸セチル、ネオペンタン酸イソステアリル、ヘプタン酸ステアリル、イソノナン酸イソステアリル、乳酸ステアリル、オクタン酸ステアリル、ステアリン酸ステアリルおよびイソノナン酸イソノニルなどが挙げられる。
【0079】
(ii).ジエステル
好適なジエステルは、ジカルボン酸と、少なくとも2個の置換ヒドロキシル基を有する脂肪族もしくは芳香族アルコールまたは脂肪族もしくは芳香族アルコールと、モノカルボンとの反応生成物である。ジカルボン酸は2〜30の炭素原子を含んでよく、直鎖または分枝型、飽和または不飽和型であり得る。ジカルボン酸は1以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。脂肪族または芳香族アルコールはまた2〜30の炭素原子を含んでよく、直鎖または分枝型、飽和または不飽和型であり得る。好ましくは、酸またはアルコールの1以上が脂肪酸またはアルコールであり、すなわち、12〜22の炭素原子を含む。ジカルボン酸はまたαヒドロキシ酸であり得る。エステルはダイマーまたはトリマー型であり得る。本発明の組成物で使用可能なジエステル油の例としては、リンゴ酸ジイソテアリール、二オクタン酸ネオペンチルグリコール、セバシン酸ジブチル、二リノール酸ジセテアリールダイマー、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジイソセチル、アジピン酸ジイソノニル、二リノール酸ジイソステアリルダイマー、フマル酸ジイソステアリル、リンゴ酸ジイソステアリルおよびリンゴ酸ジオクチルなどが挙げられる。
【0080】
(iii).トリエステル
好適なトリエステルは、トリカルボン酸と脂肪族もしくは芳香族アルコールとの反応生成物、あるいはまた、3以上の置換ヒドロキシル基を有する脂肪族もしくは芳香族アルコールとモノカルボン酸との反応生成物を含んでなる。上記のモノおよびジエステルの場合と同様に、この酸およびアルコールは2〜30の炭素原子を含み、飽和または不飽和、直鎖または分枝型であってよく、1以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい。好ましくは、酸またはアルコールの1以上が12〜22の炭素原子を含む脂肪酸またはアルコールである。トリエステルの例としては、アラキドン酸、クエン酸またはベヘン酸のエステル、例えば、トリアラキジン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリイソステアリル、クエン酸トリC1213アルキル、トリカプリリン、クエン酸トリカプリリル、ベヘン酸トリデシル、クエン酸トリオクチルドデシル、ベヘン酸トリデシル;またはココア酸トリデシルおよびイソノナン酸トリデシルなどが挙げられる。
【0081】
本組成物で用いるのに好適なエステルは、the C.T.F.A. Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook, Eighth Edition, 2000(参照によりそのまま本明細書に組み入れられる)の1670〜1676頁にさらに記載されている。
【0082】
(b).炭化水素油
本組成物に1種類以上の不揮発性炭化水素油を配合することが望ましい場合がある。好適な不揮発性炭化水素油としては、パラフィン系炭化水素およびオレフィン、好ましくは、約20を超える炭素原子を有するものが含まれる。このような炭化水素油の例としては、C24−28オレフィン、C30−45オレフィン、C20−40イソパラフィン、水素化ポリイソブテン、ポリイソブテン、ポリデセン、水素化ポリデセン、鉱油、ペンタヒドロスクアレン、スクアレン、スクアランおよびそれらの混合物が挙げられる。好ましい一実施形態では、このような炭化水素は約300〜1000ダルトンの範囲の分子量を有する。
【0083】
(c).脂肪酸のグリセリルエステル
脂肪酸の合成または天然グリセリルエステル、またはトリグリセリドも本組成物に用いるのに好適である。植物源と動物源の双方が使用可能である。このような油の例としては、ヒマシ油、ラノリン油、C10−18トリグリセリド、カプリル酸/カプリン酸/トリグリセリド、スィートアーモンド油、杏核油、ゴマ油、ナガミノアマンズナ(camelina sativa)油、タマヌシード油(tamanu seed oil)、ココナツ油、トウモロコシ油、綿実油、亜麻仁油、インクオイル、オリーブ油、パーム油、イリーペバター、ナタネ油、ダイズ油、グレープシードオイル、ヒマワリ種実油およびクルミ油などが挙げられる。
【0084】
また、合成または半合成グリセリルエステル、例えば、改質された天然油脂である脂肪酸モノ−、ジ−およびトリグリセリド、例えば、グリセリンなどのポリオールのモノ−、ジ−またはトリエステルも好適である。一例では、脂肪(C12−22)カルボン酸を1以上の繰り返しグリセリル基と反応させる。ステアリン酸グリセリル、二イソステアリン酸ジグリセリル、ポリグリセリル−3イソステアレート、ポリグリセリル−4イソステアレート、ポリグリセリル−6リシノレート、二オレイン酸グリセリル、グリセリルジイソテアレート(glyceryl diisotearate)、四イソステアリン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、二ステアリン酸ジグリセリル、リノール酸グリセリル、ミリスチン酸グリセリル、イソステアリン酸グリセリル、PEGヒマシ油、PEGオレイン酸グリセリル、PEGステアリン酸グリセリルおよびPEG牛脂脂肪酸グリセリルなど。
【0085】
(d).フッ素化油
限定されるものではないが、フッ素化シリコーン、フッ素化エステルまたはペルフルオロポリエーテルをはじめとする種々のタイプのフッ素化も本組成物に用いるのに好適であり得る。特に、トリメチルシリルエンドキャップ型フルオロシリコーン油、ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサン、および参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,118,496号に開示されているものなどの類似のシリコーンといったフルオロシリコーンが好適である。ペルフルオロポリエーテルとしては、米国特許第5,183,589号、同第4,803,067号、同第5,183,588号(全て参照により本明細書に組み入れられる)に開示されているものが挙げられ、Montefluosから商標Fomblinとして市販されている。
【0086】
D.界面活性剤
本組成物は1以上の界面活性剤を含んでもよく、これらはシリコーンまたは有機系であり得る。これらの界面活性剤は、油中水型または水中油型のいずれかの安定なエマルションの形成を助ける。無水配合物に界面活性剤が存在する場合、それらは色素または他の極性材料の分散を助ける。存在する場合、界面活性剤は全組成物の約0.001〜30重量%、好ましくは約0.005〜25重量%、より好ましくは約0.1〜20重量%の範囲であり得る。
【0087】
1.シリコーン界面活性剤
好適なシリコーン界面活性剤としては、例えば親水基と親油基を含むなど、両親媒性の特性を有するポリオルガノシロキサンポリマーが挙げられる。これらのシリコーン界面活性剤は室温で液体または固体であり得る。
【0088】
(a).ジメチコンコポリオールまたはアルキルジメチコンコポリオール
使用可能なシリコーン界面活性剤の一種は一般に、ジメチコンコポリオールまたはアルキルジメチコンコポリオールと呼ばれる。この界面活性剤は、約2〜18の範囲の親水性/親油性バランス(HLB)を有する油中水型または水中油型いずれかの界面活性剤である。好ましくは、シリコーン界面活性剤は、約2〜12、好ましくは約2〜10、最も好ましくは約4〜6の範囲のHLBを有する非イオン性界面活性剤である。「親水基」とは、オルガノシロキサンポリマー主鎖上で置換した際に、そのポリマーの置換部分に親水性の特性を付与する基を意味する。親水性を付与する基の例としては、ヒドロキシ−ポリエチレンオキシ、ヒドロキシル、カルボン酸塩およびそれらの混合物が挙げられる。「親油基」とは、オルガノシロキサンポリマー主鎖上で置換した際に、そのポリマーの置換部分に親油性の特性を付与する有機基を意味する。親油性を付与する有機基の例としては、C1−40直鎖もしくは分枝型アルキル、フルオロ、アリール、アリールオキシ、C1−40ヒドロカルビルアシル、ヒドロキシ−ポリプロピレンオキシまたはそれらの混合物が挙げられる。
【0089】
好適なシリコーン界面活性剤の一種は、一般式:
【化14】

[式中、pは0〜40(2、3、4、13、14、15、16、17、18など、間および部分範囲の全ての数字を含む範囲)であり、PEは(−CO)−(−CO)−Hであり、ここで、aは0〜25であり、bは0〜25であり(ただし、aとbは双方とも同時に0となることはできない)、xおよびyはそれぞれ独立に0〜1,000,000の範囲である(ただし、それらは双方とも同時に0となることはできない)]
を有する。好ましい一実施形態では、x、y、z、aおよびbは、そのポリマーの分子量が約5,000〜約500,000、より好ましくは約10,000〜100,000、最も好ましくはおよそ約50,000の範囲となるようなものであり、このポリマーは一般にジメチコンコポリオールと呼ばれる。
【0090】
シリコーン界面活性剤の一種として、pが、長鎖アルキルがセチルまたはラウリルとなるようなものがあり、この界面活性剤は一般にそれぞれセチルジメチコンコポリオールまたはラウリルジメチコンコポリオールと呼ばれる。
【0091】
場合によっては、ジメチコンコポリオール(シロキサン主鎖に15のエチレングリコール単位および10のプロピレングリコール単位を含む置換基を有するジメチコンを表す、PEG−15/PPG−10ジメチコンとも呼ばれる)などのように、ポリマー中の繰り返しエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド単位の数も明示される。上記の一般構造中の1以上のメチル基はより長鎖のアルキル(例えば、エチル、プロピル、ブチルなど)またはメチルエーテル、エチルエーテル、プロピルエーテルおよびブチルエーテルなどのエーテルで置換されていてもよい。
【0092】
シリコーン界面活性剤の例としては、Dow Corningにより販売されている商標Dow Corning 3225C Formulation Aid(CTFA名はシクロテトラシロキサン(および)シクロペンタシロキサン(および)PEG/PPG−18ジメチコン);または5225C Formulation Aid(CTFA名はシクロペンタシロキサン(および)PEG/PPG−18/18ジメチコン);またはDow Coming 190界面活性剤(CTFA名はPEG/PPG−18/18ジメチコン);またはDow Corning 193 Fluid、Dow Corning 5200(CTFA名はラウリルPEG/PPG−18/18メチコン);またはGoldschmidtにより販売されているAbil EM 90(CTFA名はセチルPEG/PPG−14/14ジメチコン);またはGoldschmidtにより販売されているAbil EM 97(CTFA名はビス−セチルPEG/PPG−14/14ジメチコン);またはポリグリセリル−4イソステアレートおよびラウリン酸ヘキシルも含有する混合物中のAbil WE 09(CTFA名はセチルPEG/PPG−10/1ジメチコン);またはShin−Etsu Siliconesにより販売されているKF−6011(CTFA名はPEG−11メチルエーテルジメチコン);Shin−Etsu Siliconesにより販売されているKF−6012(CTFA名はPEG/PPG−20/22ブチルエーテルジメチコン);またはShin−Etsu Siliconesにより販売されているKF−6013(CTFA名はPEG−9ジメチコン);またはShin−Etsu Siliconesにより販売されているKF−6015(CTFA名はPEG−3ジメチコン);またはShin−Etsu Siliconesにより販売されているKF−6016(CTFA名はPEG−9メチルエーテルジメチコン);またはShin−Etsu Siliconesにより販売されているKF−6017(CTFA名はPEG−10ジメチコン);またはShin−Etsu Siliconesにより販売されているKF−6038(CTFA名はラウリルPEG−9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)がある。
【0093】
(b).架橋シリコーン界面活性剤
また、乳化エラストマーと呼ばれる種々のタイプの架橋シリコーン界面活性剤も好適である。それらは一般に、シリコーンエラストマーがポリオキシアルキレン化基などの少なくとも1つの親水部分を含むこと以外は、「シリコーンエラストマー」の節で上記に示されたように製造される。一般に、これらのポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーは、ケイ素に結合した少なくとも1つの水素を含んでなるジオルガノポリシロキサンと少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含んでなるポリオキシアルキレンとの架橋付加反応により得られる架橋オルガノポリシロキサンである。少なくとも1つの実施形態では、ポリオキシアルキレン化架橋オルガノ−ポリシロキサンは、例えば、米国特許第5,236,986号、同第5,412,004号、同第5,837,793号および同第5,811,487号(これらの内容は参照により本明細書に組み入れられる)に記載されているように、所望により白金触媒の存在下での、それぞれケイ素に結合した少なくとも2つの水素を含んでなるジオルガノポリシロキサンと少なくとも2つのエチレン性不飽和基を含んでなるポリオキシアルキレンとの架橋付加反応により得られる。
【0094】
本発明の少なくとも1つの実施形態で使用可能なポリオキシアルキレン化シリコーンエラストマーとしては、Shin−Etsu Siliconesにより商標KSG−21、KSG−20、KSG−30、KSG−31、KSG−32、KSG−33;ジメチコン中のジメチコン/PEG−10/15架橋ポリマー分散物であるKSG−210;PEG−15ラウリルジメチコン架橋ポリマーであるKSG−310;イソドデカン中のPEG−15ラウリルジメチコン架橋ポリマー分散物であるKSG−320;KSG−330(トリエチルヘキサノイン中の前者の分散物);PEG−10ラウリルジメチコン架橋ポリマーとPEG−15ラウリルジメチコン架橋ポリマーの混合物であるKSG−340として販売されているものが挙げられる。
【0095】
また、参照によりそのまま本明細書に組み入れられるPCT/WO2004/024798に開示されているものなどのポリグリセロール化シリコーンエラストマーも好適である。このようなエラストマーとしては、Shin−EtsuのKSG系、例えば、ジメチコン中のジメチコン/ポリグリセリン−3架橋ポリマー分散物であるKSG−710;またはShin−Etsu商標KSG−810、KSG−820、KSG−830またはKSG−840として販売されている、イソドデカン、ジメチコン、トリエチルヘキサノインなどの種々の溶媒中のラウリルジメチコン/ポリグリセリン−3架橋ポリマー分散物が挙げられる。また、Dow Corningにより商標9010およびDC9011として販売されているシリコーンも好適である。
【0096】
1つの好ましい架橋シリコーンエラストマー乳化剤が、ジメチコン/PEG−10/15架橋ポリマーである。
【0097】
2.有機非イオン性界面活性剤
本組成物は1以上の非イオン性有機界面活性剤を含み得る。好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコールとアルキレンオキシド、通常はエチレンまたはプロピレンオキシドとの反応により形成されるアルコキシル化アルコールまたはエーテルが含まれる。好ましくは、アルコールは6〜30の炭素原子を有する脂肪アルコールのいずれかである。このような成分の例としては、ステアリルアルコールとエチレンオキシドの反応により形成され、エチレンオキシド単位の数が2〜100の範囲であるステアレス2−100;ベヘニルアルコールとエチレンオキシドの反応により形成され、繰り返しエチレンオキシド単位の数が5〜30であるベヘンス5−30;セチルアルコールとステアリルアルコールの混合物とエチレンオキシドの反応により形成され、分子中の繰り返しエチレンオキシド単位の数が2〜100であるセテアレス2−100;セチルアルコールとエチレンオキシドの反応により形成され、繰り返しエチレンオキシド単位の数が1〜45であるセテス1−45などが挙げられる。
【0098】
他のアルコキシル化アルコールは、脂肪酸およびモノ−、ジ−または多価アルコールとアルキレンオキシドの反応により形成される。例えば、C6−30脂肪カルボン酸および多価アルコール(グルコース、ガラクトースおよびメチルグルコースなどの単糖類である)とアルコキシル化アルコールとの反応生成物。例としては、オレイン酸PEGグリセリル、ステアリン酸PEGグリセリルなどのグリセリル脂肪酸エステル;または繰り返しエチレングリコール単位の数が3〜1000の範囲であるPEGジポリヒドロキシステアレートなどのPEGポリヒドロキシアルカノートと反応させたポリマーアルキレングリコールが挙げられる。
【0099】
また、カルボン酸とアルキレンオキシドまたはポリマーエーテルの反応により形成される非イオン性界面活性剤も好適である。得られる生成物は、RCOがカルボキシル系エステル基であり、Xが水素または低級アルキルであり、nが重合したアルコキシ基の数である一般式を有する。ジエステルの場合には、2つのRCO基は同一である必要はない。好ましくは、RはC6−30直鎖または分枝型、飽和または不飽和アルキルであり、nは1〜100である。
【0100】
モノマー型、ホモポリマー型またはブロックコポリマー型エーテルも非イオン性界面活性剤として好適である。一般に、このようなエーテルはモノマーアルキレンオキシド、一般にはエチレンまたはプロピレンオキシドの重合によって形成される。このようなポリマーエーテルは、RがHまたは低級アルキルであり、nが繰り返しモノマー単位の数であり、1〜500の範囲である一般式を有する。
【0101】
他の好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化ソルビタンおよびアルコキシル化ソルビタン誘導体が挙げられる。例えば、ソルビタンのアルコキシル化、特にエトキシル化により、ポリアルコキシル化ソルビタン誘導体が得られる。ポリアルコキシル化ソルビタンのエステル化では、ポリソルベートなどのソルビタンエステルが得られる。例えば、ポリアルコキシル化(polyalkyoxylated)ソルビタンを、C6−30、好ましくはC12−22脂肪酸でエステル化することができる。このような成分の例としては、ポリソルベート20−85、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタンおよびステアリン酸ソルビタンなどが挙げられる。
【0102】
ある種の両性、双極性または陽イオン性界面活性剤も本組成物で使用可能である。このような界面活性剤については、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる米国特許第5,843,193号に示されている。
【0103】
E.保湿剤
また、本組成物に1以上の保湿剤を含むことが望ましい場合がある。存在する場合、このような保湿剤は全組成物の約0.001〜25%、好ましくは約0.005〜20%、より好ましくは約0.1〜15重量%の範囲であり得る。好適な保湿剤の例としては、モノ−、ジ−または多価アルコールが含まれる。一価アルコールの例としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールおよびヘキサノールなどのC2−10アルカノールが挙げられる。C2−6アルキレングリコールなどのグリコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールおよびペンチレングリコールなどが挙げられる。また、糖類グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノースなどの多価アルコールも好適である。好適なグリコールはまたモノマーまたはポリマー型であってよく、ポリエチレンおよびポリプロピレングリコール、例えば、4〜200の繰り返しエチレンオキシド単位を有するポリエチレングリコールであるPEG4−200;ならびにC1−6アルキレングリコール、例えば、プロピレングリコール、ブチレングリコールおよびペンチレングリコールなどが含まれる。好適な糖類(そのいくつかは多価アルコールでもある)も好適な保湿剤である。このような糖類のさらなる例としては、フルクトース、蜂蜜、水素化蜂蜜、イノシトール、マルトース、マンニトール、マルチトール、ソルビトール、スクロース、キシリトールおよびキシロースなどが挙げられる。好ましくは、本発明の組成物で用いられる保湿剤は、C1−6、好ましくはC2−4アルキレングリコールであり、最も詳しくはブチレングリコールである。
【0104】
F.植物抽出物
本組成物に1以上の植物抽出物を含むことが望ましい場合がある。その場合、提案される範囲は全組成物の約0.0001〜10重量%、好ましくは約0.0005〜8重量%、より好ましくは約0.001〜5重量%である。好適な植物抽出物としては、花、果実、栄養体などの植物(葉、根、花、果実、種子)からの抽出物を含み、酵母発酵抽出物、パディカ・パボニカ(padica pavonica)抽出物、サーマス・サーモフィルス(thermus thermophilus)発酵抽出物、カメリナ・サティバ(camelina sativa)種実油、ボスウェリア・セラータ(boswellia serrata)抽出物、オリーブ抽出物、アリボドプシス・サリアナ(aribodopsis thaliana)抽出物、フサアカシア(acacia dealbata)抽出物、アケル・サッカラム (acer saccharinum)(サトウカエデ)、アシドフォルス(acidopholus)、ショウブ属(acorus)、トチノキ属(aesculus)、アガリクス(agaricus)、リューゼツラン(agave)、アグリモニア(agrimonia)、藻類(algae)、アロエ、柑橘、アブラナ科(brassica)、桂皮、オレンジ、リンゴ、ブルーベリー、クランベリー、モモ、セイヨウナシ、レモン、ライム、エンドウ、海草、カフェイン、緑茶、カミツレ、ウィローバーク(willowbark)、クワの実、ケシおよびCTFA Cosmetic Ingredient Handbook,第8版第2巻の1646〜1660頁に示されているものが挙げられる。さらなる具体例としては、限定されるものではないが、カンゾウ(Glycyrrhiza Glabra)、ブラックウィロー(Salix Nigra)、マクロシクスティス・ピリフェラ(Macrocycstis Pyrifera)、リンゴ(Pyrus Malus)、ユキノシタ(Saxifraga Sarmentosa)、ブドウ(Vilis Vinifera)、クロミクワ(Morus Nigra)、コガネバナ(Scutellaria Baicalensis)、ローマカミツレ(Anthemis Nobilis)、クラリセージ(Salvia Sclarea)、ローズマリー(Rosmarinus Officianalis)、レモン(Citrus Medica Limonum)、オタネニンジン(Panax Ginseng)およびそれらの混合物が挙げられる。
【0105】
G.日焼け止め剤
本発明の組成物に1以上の日焼け止め剤を含むことが望ましい場合がある。このような日焼け止め剤としては、化学的UVAもしくはUVB日焼け止め剤または粒子形態の物理的日焼け止め剤が含まれる。
【0106】
1.UVA化学的日焼け止め剤
所望により、本組成物は1以上のUVA日焼け止め剤を含み得る。「UVA日焼け止め剤」とは、約320〜400nmの範囲の波長のUV線を遮断する化学化合物を意味する。
【0107】
UVA日焼け止め剤の1つの好ましい群は、一般式:
【化15】

[式中、RはH、ORおよびNRRであり、ここで、各Rは独立にH、C1−20直鎖または分枝型アルキルであり;RはHまたはOHであり;RはH、C1−20直鎖または分枝型アルキルである]
を有するジベンゾイルメタン化合物である。
【0108】
がORであり、RがC1−20直鎖または分枝型アルキル、好ましくはメチルであり;RがHであり;RがC1−20直鎖または分枝型アルキル、より好ましくはブチルである場合が好ましい。
【0109】
この一般式の好適なUVA日焼け止め化合物の例としては、4−メチルジベンゾイルメタン、2−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2,4−ジメチルジベンゾイルメタン、2,5−ジメチルジベンゾイルメタン、4,4’ジイソプロピルベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、4,4’−ジイソプロピルベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン(2-methyl-5-isopropyl-4'-methoxydibenzoymethane)および2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンなどが挙げられる。アボベンゾンとも呼ばれる4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタンが特に好ましい。アボベンゾンはGivaudan−Roureから商標Parsol 1789として、また、Merck & Co.から商標Eusolex 9020として市販されている。
【0110】
本組成物は約0.001〜20重量%、好ましくは0.005〜5重量%、より好ましくは約0.005〜3重量%のUVA日焼け止め組成物を含み得る。本発明の好ましい実施形態では、UVA日焼け止め剤はアボベンゾンであり、それは全組成物の約3重量%以下で存在する。
【0111】
2.UVB化学的日焼け止め剤
「UVB日焼け止め剤」とは、約290〜320nmの範囲の波長のUV線を遮断する化学化合物を意味する。参照によりそのまま本明細書に組み入れられる米国特許第3,215,724号に示されているようなα−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エステルをはじめ、様々なUVB化学的日焼け止め剤が存在する。α−シアノ−β,β−ジフェニルアクリル酸エステルの1つの特定の例が、2−エチルヘキシル2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレートであるオクトクリレンである。特定の場合、本組成物は全組成物の約110重量%以下のオクトクリレンを含み得る。好適な量は約0.001〜10重量%である。オクトクリレンはBASFから商標Uvinul N−539として購入することができる。
【0112】
他の好適な日焼け止め剤としては、参照によりそのまま本明細書に組み入れられる米国特許第3,781,417号に示されているようなベンジリデンカンファー誘導体が挙げられる。このようなベンジリデンカンファー誘導体は一般式:
【化16】

(式中、Rはp−トリルまたはスチリル、好ましくはスチリルである)
を有する。Merckにより商標Eusolex 6300として販売されている脂溶性UVB日焼け止め化合物である4−メチルベンジリデンカンファーが特に好ましい。
【0113】
また、一般式:
【化17】

(式中、RおよびRはそれぞれ独立にC1−20直鎖または分枝型アルキルである)
を有する好適な桂皮酸誘導体も好適である。Rがメチルであり、Rが分枝型C1−10、好ましくはCアルキルである場合が好ましい。好ましい化合物は、オクトキシネートまたはオクチルメトキシシンナメートとも呼ばれるエチルヘキシルメトキシシンナメートである。この化合物はGivaudan Corporationから商標Palsol MCXとして、またはBASFから商標Uvinul MC80として購入することができる。また、ジエタノールアミンメトキシシンナメートをはじめとするこのようなメトキシシンナメートのモノ−、ジ−およびトリエタノールアミン誘導体も好適である。上記の化合物の芳香族エーテル誘導体であるシノキセートも許容される。存在する場合、シノキセートは全組成物の約3重量%以下で見られるべきである。
【0114】
また、UVB日焼け止め剤として、R〜Rがそれぞれ独立にH、OH、NaOS、SOH、SONa、Cl、R’’、OR’’であり、R’’がC1−20直鎖または分枝型アルキルである一般式を有する種々のベンゾフェノン誘導体も好適である。このような化合物の例としては、ベンゾフェノン1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11および12が挙げられる。ベンゾフェノン誘導体がベンゾフェノン3(オキシベンゾンとも呼ばれる)、ベンゾフェノン4(スリソベンゾンとも呼ばれる)およびベンゾフェノン5(スリソベンゾンナトリウムとも呼ばれる)などである場合が特に好ましい。ベンゾフェノン3が最も好ましい。
【0115】
また、一般式:
【化18】

(式中、R、R、RおよびRはそれぞれ独立にH、OH、NHまたはC1−20直鎖もしくは分枝型アルキルである)
を有するある種のサリチル酸メチル誘導体も好適である。R、RおよびRがメチルであり、RがヒドロキシルまたはNHである場合(この化合物の名称はサリチル酸ホモメンチル(ホモサラートとしても知られる)またはアンスラニル酸メンチル)が特に好ましい。ホモサラートはMerckから商標Eusolex HMSとして市販され、アンスラニル酸メンチルはHaarmann & Reimerから商標Heliopanとして市販されている。存在する場合、ホモサラートは全組成物の約15重量%以下で見られるべきである。
【0116】
一般式:
【化19】

[式中、R、RおよびRはそれぞれ独立にH、C1−20直鎖または分枝型アルキル(1以上のヒドロキシ基で置換されていてもよい)である]
を有するものをはじめとする種々のアミノ安息香酸誘導体は好適なUVB吸収剤である。RがHまたはC1−8直鎖もしくは分枝型アルキルであり、RおよびRがHまたはC1−8直鎖もしくは分枝型アルキルである場合が特に好ましい。PABA、エチルヘキシルジメチルPABA(パディメートO)およびエチルジヒドロキシプロピルPABAなどが特に好ましい。存在する場合、パディメートOは全組成物の約8重量%以下で見られるべきである。
【0117】
サリチル酸誘導体も許容されるUVB吸収剤である。このような化合物は、Rが直鎖または分枝型アルキルである一般式を有し、モノ−、ジ−またはトリエタノールアミンから形成された上記化合物の誘導体を含む。サリチル酸オクチル、サリチル酸TEA、サリチル酸DEAおよびそれらの混合物が特に好ましい。
【0118】
一般に、UVB化学的日焼け止め剤の存在量は全組成物の約0.001〜45重量%、好ましくは0.005〜40重量%、より好ましくは約0.01〜35重量%の範囲であり得る。
【0119】
所望により、本発明の組成物は、約1〜50、好ましくは約2〜45、最も好ましくは約5〜30の範囲の特定のSPF(日光防止指数)値を有するように配合することができる。SPF値の算出は当技術分野で周知である。好ましくは、特許請求される組成物は4を超えるSPF値を有する。
【0120】
H.特定の材料
本発明の組成物は色素、不活性粒子またはそれらの混合物の形で粒子材料を含み得る。存在する場合、提案される範囲は全組成物の約0.1〜75重量%、好ましくは約0.5〜70重量%、より好ましくは約0.1〜65重量%である。本組成物が色素と粉末の混合物を含み得る場合には、好適な範囲としては約0.01〜75%の色素と0.1〜75%の粉末を含む(全組成物の重量に対する重量)。
【0121】
1.粉末
この粒子物質は有色または無色(例えば、白色)の非着色性粉末であり得る。好適な非着色性粉末としては、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン(titanated mica)、発煙シリカ、球状シリカ、ポリメチルメタクリレート、微粉テフロン、窒化ホウ素、アクリレートコポリマー、ケイ酸アルミニウム、アルミニウムデンプンオクテニルスクシネート、ベントナイト、ケイ酸カルシウム、セルロース、チョーク、コーンスターチ、珪藻土、フラー土、グリセリルデンプン、ヘクトライト、水和シリカ、カオリン、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、三ケイ酸マグネシウム、マルトデキストリン、モンモリロナイト、微晶質セルロース、米デンプン、シリカ、タルク、雲母、二酸化チタン、ラウリン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ロジン酸亜鉛、アルミナ、アタパルジャイト、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、デキストラン、カオリン、ナイロン、シリル酸シリカ、シルク粉末、絹雲母、きな粉、酸化錫、水酸化チタン、リン酸三マグネシウム、クルミ殻粉末またはそれらの混合物が挙げられる。上記の粉末はレシチン、アミノ酸、鉱油、シリコーンまたは種々の他の薬剤単独で、または組み合わせて表面処理を施してもよく、これにより粉末表面がコーティングされ、粒子が本質的により親油性となる。
【0122】
2.色素
粒子材料は種々の有機および/または無機色素を含み得る。有機色素は一般に、D&CおよびFD&Cブルー、ブラウン、グリーン、オレンジ、レッド、イエローなどとして表されるアゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントロキノン(anthroquinone)およびキサンチン色素をはじめとする種々の芳香族種である。有機色素は一般に、レーキと呼ばれる認可された着色添加物の不溶性金属塩からなる。無機色素としては、酸化鉄、ウルトラマリン、クロム、水酸化クロム色およびそれらの混合物が挙げられる。赤、青、黄、茶、黒の酸化鉄およびそれらの混合物が好適である。
【0123】
I.保存剤
本組成物は全組成物の0.001〜8重量%、好ましくは0.01〜6重量%、より好ましくは0.05〜5重量%の保存剤を含み得る。安息香酸、ベンジルアルコール、ベンジルヘミホルマール、ベンジルパラベン、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、ブチルパラベン、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ジアゾリジニル尿素、安息香酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、カプリリルグリコール、ビグアニド誘導体、フェノキシエタノール、カプタン、二酢酸クロルヘキシジン、二グルコン酸クロルヘキシジン、二塩酸クロルヘキシジン、クロロアセトアミド、クロロブタノール、p−クロロ−m−クレゾール、クロロフェン、クロロチモール、クロロキシレノール、m−クレゾール、o−クレゾール、DEDMヒダントイン、DEDMヒダントインジラウレート、デヒドロ酢酸、ジアゾリジニル尿素、二イセチオン酸ジブロモプロパミジンおよびDMDMヒダントインなどをはじめとする種々の保存剤が好適である。好ましい一実施形態では、本組成物はパラベン不含である。
【0124】
J.ビタミンおよび抗酸化剤
本発明の組成物はビタミンおよび/または補酵素、ならびに抗酸化剤と含み得る。その場合、全組成物の0.001〜10重量%、好ましくは0.01〜8重量%、より好ましくは0.05〜5重量%が提案される。好適なビタミンとしては、アスコルビン酸およびその誘導体、ビタミンB(チアミン、リボフラビンおよびピリドキシンなど)、ならびに補酵素(ピロリン酸チアミン、フラビンアデニンジヌクレオチド、葉酸、リン酸ピリドキサールおよびテトラヒドロ葉酸など)が挙げられる。また、ビタミンAおよびその誘導体も好適である。例としては、ビタミンAパルミテート、アセテートまたはその他のそのエステル、ならびにβカロテンの形のビタミンAがある。また、ビタミンEおよびその誘導体、例えば、ビタミンEアセテート、ニコチネートまたはその他のそのエステルも好適である。さらに、ビタミンDおよびKも好適である。
【0125】
好適な抗酸化剤は損傷の予防または遅延を助ける成分である。本発明の組成物で用いるのに好適な抗酸化剤の例としては、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、没食子酸プロピル、塩酸システイン、ブチル化ヒドロキシトルエンおよびブチル化ヒドロキシアニソールなどがある。
【0126】
III.化粧用または医薬組成物
フェルラ酸レスベラトロール化合物を含有する局所的化粧用組成物は、水性配合物、エマルション、無水配合物、皮膚用クリーム、ゲル、ローションまたはカラー化粧用組成物(メークアップファンデーション、口紅、リップライナー、頬紅、アイシャドウなど)といった種々の形態で見られる。局所的化粧用組成物がエマルションの形態である場合、フェルラ酸レスベラトロールはエマルションの水相または油相のいずれに見られてもよい。組成物が無水配合物の形態である場合、フェルラ酸レスベラトロールはまた、無水配合物の非水性極性溶媒相に分散または可溶化され得る。典型的な皮膚用クリームまたはローションは約5〜98%の水、1〜85%の油および約0.1〜20%の1以上の界面活性剤を含んでなる。好ましくは、界面活性剤は非イオン性であり、シリコーンまたは有機非イオン性界面活性剤であり得る。ファンデーション、頬紅およびアイシャドウなどの典型的なカラー化粧用組成物は好ましくは、色素または色素と粉末の組合せである約0.1〜65%の粒子の他、約5〜98%の水、1〜85%の油および約0.1〜20%の1以上の界面活性剤を含む。本発明の化粧用組成物は局所適用に好適な多様な他の形態で見られる。
【0127】
経口投与では、フェルラ酸レスベラトロールを含有する組成物は、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、粉末、懸濁液または液体の形態であり得る。より具体的には、本発明のフェルラ酸レスベラトロールは、ラクトース、スクロース、デンプン粉末、アルカン酸のセルロースエステル、セルロースアルキルエステル、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、マグネシウムオキシド、リン酸および硫酸のナトリウムおよびカルシウム塩、ゼラチン、アラビアガムガム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドンおよび/またはポリビニルアルコールなどの経口投与に適当な1以上のアジュバントと組み合わせ、その後、より容易な投与のために錠剤化またはカプセル化することができる。
【0128】
経皮投与では、本発明のフェルラ酸レスベラトロール含有組成物は、リザーバーおよび多孔質膜種または固体マトリックス種のいずれかのパッチに配合することができる。いずれの場合でも、フェルラ酸レスベラトロールを含む有効成分は、リザーバーまたはマイクロカプセルから膜を経、有効成分に対して浸透性であり、レシピエントの皮膚または粘膜と直接接触する接着層へ継続的に送達される。
【0129】
非経口投与では、フェルラ酸レスベラトロール含有組成物は水性または非水性の等張性無菌注射溶液または懸濁液の形態であり得る。これらの溶液または懸濁液は、非経口注射用として周知の1以上の担体または希釈剤を用い、無菌の粉末または顆粒から製造することができる。
【0130】
肺投与では、本発明のフェルラ酸レスベラトロール含有組成物は、エアゾールの形態であるか、または乾燥粉末エアゾールを含む吸入器を用い得る。
【0131】
IV.適用方法
本発明における適用方法は、本組成物の最終的に意図される使用によって異なる。局所的化粧用組成物は、選択された色素過剰の皮膚領域に、このような選択領域において色素過剰の軽減およびアンチエージング効果を達成するため、または他の利益を提供するために局所適用することができる。局所的化粧用組成物はまた、一般に顔面の皮膚またはヒト身体の他の部分に、このような部分において全般的な皮膚明色化、アンチエージングまたは他の所望の効果を達成するために適用することができる。
【0132】
本発明の局所的化粧用組成物は、必要に応じて、または予め設定された計画に従って、皮膚に適用することができる。本発明の局所的化粧用組成物は、任意のモイスチャライザー、ファンデーション、メークアップなどの適用前に皮膚を清浄にするために直接適用することができる。あるいは、このような組成物はモイスチャライザーの上から、また、所望によりファンデーションおよび/またはメークアップの上からも適用することができる。各場合の適用量、適用面積、適用期間および適用頻度は、使用者の具体的な必要に応じて広く異なり得る。例えば、本局所的化粧用組成物は、数日から数ヶ月、さらには数年の期間、1週間に約1回から1日に約5回の範囲の頻度で適用することができる。別の例では、本組成物は約6か月の期間、1週間に約3回から1日に約3回の範囲、好ましくは1日に約1回または2回の頻度で適用することができる。
【0133】
本発明の特定の一実施形態では、本発明の局所的化粧用組成物は、就寝前または身体的リセット期間の前に個々の顔に適用することができる夜用クリームまたは夜用修復漿液として配合することができる。本発明の別の特定の実施形態では、本発明の局所的化粧用組成物は、就寝または身体休息前に顔に適用し、その上で十分な時間(例えば一晩)放置した後、洗い流すことができるフェイシャルマスクとして配合される。
【0134】
本発明を以下の実施例に関してさらに説明する。なお、これらの実施例は単に説明のために示されるものである。
【実施例】
【0135】
実施例1:液相エステル化によるフェルラ酸レスベラトロール合成
まず、91.3グラムのレスベラトロール(およそ0.4M)を300mlのテトラヒドロフラン(THF)に溶かし、第一の溶液を形成した。77.7グラムのフェルラ酸(およそ0.4M)を300mlのTHFに溶かし、第二の溶液を形成した。0.1グラムのp−トルエン硫酸を20mlのTHFに溶かし、第三の溶液を形成した。次に、この第一、第二および第三の溶液を、冷却器を付けた1000mlの丸底フラスコに移した後、10mlのベンゼンを加えた。この液体混合物を沸騰するまで加熱し、還流下で5時間沸騰を続け、50mlの留出物を回収した。次に、この液体混合物に50mlのTHFと10mlのベンゼンを加え、還流下でさらに5時間加熱を続け、さらに50mlの留出物を回収した。この液体混合物にさらに50mlのTHFと10mlのベンゼンを加えた後、還流下でさらに5時間この液体混合物の加熱を続けた。このようにして回収した全ての留出物を廃棄し、フラスコ内の液体混合物が粘稠となり、その中で固相が形成され始める前まで液体混合物の沸騰を続け、さらなる溶媒を留去した(もし固相が形成され始めたら、液体混合物に若干のTHFを加えてこれを溶解させる)。その後、加熱を止め、フラスコの内容物をゆっくり冷まし、それにより液体混合物中に固体結晶が形成された。
【0136】
このような固体結晶を液体混合物から分離した後、THFで手早くすすいだ。その後、得られた固体を乾燥させ、粉砕して粉末とし、温度を100℃に上げ、連続通気下で、溶媒が完全に蒸発し、得られる生成物が無臭となるまで乾燥を続けた。
【0137】
残った液体混合物からさらなる固体生成物を回収するため、このような液体混合物に500mlのベンゼンを加えた後、冷凍庫で冷却し、さらなる固体結晶を形成させた。このような固体結晶も液体混合物から分離し、乾燥させ、上記に従って粉砕した。
【0138】
次に、これらの固体結晶を、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。HPLCチャートからいくつかの明瞭なピークが得られ、これらはレスベラトロールの一フェルラ酸塩、二フェルラ酸塩および/または三フェルラ酸塩とそれらの個々の異性体を表すものと考えられた。言い換えれば、上記の反応によって形成された最終生成物は一フェルラ酸レスベラトロール、二フェルラ酸レスベラトロールおよび/または三フェルラ酸レスベラトロールとそれらの個々の異性体の混合物であった。従って、このような混合物をひとまとめに「フェルラ酸レスベラトロール」とし、下記のように種々の局所的または化粧用組成物へと配合した。
【0139】
実施例2:フェルラ酸レスベラトロールの抗酸化活性
本発明のフェルラ酸レスベラトロールは、正常ヒト上皮ケラチノサイト(NHEK)細胞培養において内因性反応性酸素種(ROS)、主として過酸化水素(H)の軽減に驚くべき、予期された有効性を示した。
【0140】
具体的には、NHEK細胞を培養し、プレーティングした後、約10μM、25μMおよび50μM濃度のフェルラ酸レスベラトロールで処理した。比較例として、一部のNHEK細胞を分離し、約25μMのレスベラトロールで処理した。さらに対照実験として、一部のNHEK細胞をフェルラ酸レスベラトロールまたはレスベラトロールで処理せずに維持した。各処理につき4サンプルのNHEK細胞を設けた。細胞培養を一晩インキュベートした後、そこに二酢酸ジクロロジヒドロフルオレセインを加えた。二酢酸ジクロロジヒドロフルオレセインは、細胞中の反応性酸素種を検出するために有用な蛍光性試薬である。反応性酸素種により酸化されると、二酢酸ジクロロジヒドロフルオレセインは高い緑色蛍光のジクロロフルオレセインとなり、蛍光分光法により容易に検出できる。例えば、カリフォルニア州サンベールのMolecular Devicesから市販されているGemini EMマイクロプレート分光蛍光計を、5.5時間時点での細胞培養物の蛍光(Ex450、Em525)を測定するために用い、これを細胞中の反応性酸素種(主としてH)の量の指標として用いた。
【0141】
図1に示されるように、対照サンプル(すなわち、非処理NHEK細胞)において測定された平均ROSレベルを100%とした。10μM、25μMおよび50μMのフェルラ酸レスベラトロールで処理したサンプルは、対照サンプルならびに25μMレスベラトロールで処理したサンプルと比較して有意に低下したROSレベルを示した。具体的には、10μMレスベラトロールで処理したサンプルは、対照サンプルと比較して平均約62.0%のROSレベル低下を有し、25μMレスベラトロールで処理したサンプルは、対照サンプルと比較して平均約69.5%のROSレベル低下を有する。したがって、本発明のフェルラ酸レスベラトロールがNHEK細胞において用量依存的にROSレベルを効果的に低下させ、皮膚のROSレベルを低下させるために局所適用用の化粧用または皮膚保護組成物で有効な酸化剤として使用可能であることが明らかである。より重要なことには、本発明のフェルラ酸レスベラトロールは、スベラトロール単独よりもROSレベルの低下に有意に高い有効性(例えば、同じ濃度で2倍を超える)を示し、これは驚くべきことであるとともに予期されないことであった。
【0142】
実施例3:フェルラ酸レスベラトロールの非細胞傷害性
生存力のある細胞における代謝はNADHまたはNADPHなどの「還元等価物」を生じる。これらの還元化合物はそれらの電子を中間電子伝達試薬に渡し、これはテトラゾリウム生成物、MTS[(3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−5−(3−カルボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルホフェニル−1)−2H−テトラゾリウム]を水溶性ホルマザン生成物へと還元することができる。死滅すると細胞はテトラゾリウム生成物還元能を急速に失う。従って、有色のホルマザン生成物の生産は生存力のある培養細胞の数に比例する。言い換えれば、細胞培養物において生産されたホルマザンによる吸光度が細胞生存率の指標として使用可能である。
【0143】
具体的には、NHEK細胞を培養し、プレーティングした後、約10μM、25μMおよび50μM濃度のフェルラ酸レスベラトロールで処理した。比較例として、一部のNHEK細胞を分離し、約25μMおよび50μM濃度のレスベラトロールで処理した。さらに対照実験として、一部のNHEK細胞をフェルラ酸レスベラトロールまたはレスベラトロールによる処理なしで維持した。各処理につき4サンプルのNHEK細胞を設けた。細胞培養を一晩インキュベートした後、これらの細胞にMTS溶液を加え、混合物を約37℃で約3時間インキュベートし、その後、MTSの細胞還元からNHEK細胞により産生されたホルマザンの量を、490nmで吸光度を読み取ることによって測定した。このようにして測定されたホルマザンの量は、個々のNHEK細胞培養物の相対的生存率の指標となる。
【0144】
図2に示されるように、対照サンプル(すなわち、非処理NHEK細胞)について上記のように測定された相対的細胞生存率を100%とした。10μMおよび25μMのフェルラ酸レスベラトロールで処理されたこれらのサンプルは対照サンプルと同等または類似の細胞生存率を維持し、フェルラ酸レスベラトロールが10μMおよび25μMで細胞傷害性がないことを示す。
【0145】
実施例4:フェルラ酸レスベラトロールは、メチルグリオキサール単独またはメチルグリオキサールとUV光の組合せにより引き起こされる急性糖酸化ストレスからNHEK細胞を保護した
正常ヒト上皮ケラチノサイト(NHEK)を低用量のメチルグリオキサール(MG)に曝すとUVにより誘発される細胞死に対する感受性が高まることはこれまでに見出されていた。ストレス関連遺伝子チップ分析を用い、このような曝露下で抗酸化剤防御能が低下すると見られるとともに、細胞増殖の休止と熱ショックタンパク質(HSP)に関連する遺伝子がアップレギュレーションされることも見出された。フェルラ酸レスベラトロールは強力な抗酸化活性を有することが示されているので、ここではそれらをNHEK細胞に対するMG単独またはMGとUV光の組合せ曝露からの保護効果に関して評価した。本発明のフェルラ酸レスベラトロールはレスベラトロールとフェルラ酸の間の反応によって形成されたエステルであることから、レスベラトロールとフェルラ酸の双方を同じ試験条件下で別々に試験し、NHEK細胞に対するMG単独またはMGとUVの組合せ曝露からの相対的保護効果を測定した。
【0146】
NHEK細胞を、37℃、5%COで、EGF 0.25ng/ml、脳下垂体抽出物25μg/mlおよびゲンタマイシン25μg/mlを添加したSFM培地中で培養した。サブコンフルエント時に、培養培地を、個々の活性(すなわち、フェルラ酸レスベラトリル、レスベラトロールおよびフェルラ酸)を種々の濃度(すなわち、0、5または25μM)で含有する培養培地に置き換え、1時間プレインキュベートした。インキュベーション後、細胞の一部を1mMのメチルグリオキサール(MG)で1時間処理した。MGで処理しなかった細胞を対照サンプルとした。次に、このMG処理細胞の一部にUVB(200mJ/cm)およびUVA(2J/cm)を照射した。非照射細胞は暗所で維持した。上記の各処置につき6サンプルのNHEK細胞を設けた。UV照射後、プレートを37℃、5%COで24時間インキュベートした。次に、標準的MTT(チアゾリルブルーテトラゾリウムブロミド)アッセイを用い、すなわち、細胞にMTT溶液を加え、混合物を37℃、5%COで約3〜4時間インキュベートした後、MTTの細胞代謝からNHEK細胞により産生されたホルマザンの量を560nmでの光学密度(OD)を読み取り、670nmでのバックグラウンドを差し引くことより測定することで、生存率を評価した。このようにして各処理6サンプルから測定された平均ODは処理後の個々のNHEK細胞培養物の相対的生存率の直接的指標となる。
【0147】
図3は、MG単独またはMGとUVの組合せのいずれかに曝す前後で測定された、0、5および25μMの濃度のフェルラ酸レスベラトロールで処理されたNHEK細胞の相対的生存率を示す。図4は、MG単独またはMGとUVの組合せのいずれかに曝す前後で測定された、0、5および25μMの濃度のレスベラトロールで処理されたNHEK細胞の相対的生存率を示す。図5は、MG単独またはMGとUVの組合せのいずれかに曝す前後で測定された、0、5および25μMの濃度のフェルラ酸で処理されたNHEK細胞の相対的生存率を示す。全ての処理について、MG単独またはMGとUVの組合せに曝す前に測定されたNHEK細胞の生存率を任意に100%とした。
【0148】
保護率(%)の値は、各処理について以下の図3〜5に示される相対的生存率に基づいて算出した。
【数1】

式中、RVU/Nは、非処理、非曝露NHEK細胞の相対的生存率であり(すなわち、個々の活性濃度は0μMであり、生存率はMGまたはMGとUVの組合せのいずれかに曝す前に測定された)、RVU/Eは、非処理、曝露NHEK細胞の相対的生存率であり(すなわち、個々の活性濃度は0μMであり、生存率はMGまたはMGとUVの組合せのいずれかに曝す前に測定された)、RVT/Eは、処理、曝露NHEK細胞の相対的生存率である(すなわち、細胞は個々の活性、すなわち、5または25μMのフェルラ酸レスベラトロール、レスベラトロールまたはフェルラ酸で処理され、生存率はMGまたはMGとUVの組合せのいずれかに曝した後に測定された)。得られたデータを因子分散分析(ANOVA)により分析し、因子内の効果が有意とみなされた場合には、次に、Tukey HSD(Honestly Significantly Different)post−hoc検定を用いて、どの群が他と異なるか特定した。図3〜5の1個のアスタリスク()はp<0.05(すなわち、有意)を表し、図3〜5の2個のアスタリスク(**)はp<0.01(すなわち、極めて有意)を表す。
【0149】
フェルラ酸レスベラトロールは、NHEK細胞がMG単独に曝された場合、処理濃度5μMで約18%、処理濃度25μMで約53%の保護率値を示した。NHEK細胞がMGとUVの組合せに曝された場合は、フェルラ酸レスベラトロールは処理濃度5μMで約31%、処理濃度25μMで約68%の保護率値を示した。これに対し、NHEK細胞がMG単独またはMGとUVの組合せのいずれかに曝された場合、5および25μMのレスベラトロールおよびフェルラ酸に関する保護率値は全て25%未満であり、フェルラ酸レスベラトロールは、レスベラトロールまたはフェルラ酸よりも、MG単独またはMGとUVの組合せのいずれに対しても有意に強い保護を提供したことを示す。
【0150】
実施例5:フェルラ酸レスベラトロールを含有する化粧用またはスキンケア組成物
配合物1および2
皮膚処理用水中油型(1)およびシリコーン油中水中油型(2)のクリームを次のように製造した。
【表1】


【0151】
本組成物は水相および油相成分をそれぞれ合わせた後、乳化させてエマルションを形成させることにより製造した。
【0152】
配合物3
シリコーン油水型エマルション皮膚用漿液を次のように製造した。
【表2】

【0153】
本組成物は油相成分と水相成分をそれぞれ合わせた後、よく混合して乳化させることにより製造した。
【0154】
配合物4
エマルション型メークアップファンデーション組成物を次のように製造した。
【表3】

【0155】
水、油および色素相をそれぞれ低剪断混合により作製した。これらの相を高剪断混合により合わせ、メークアップファンデーション組成物型を形成した。
【0156】
配合物5
油中水型皮膚処理用組成物を次のように製造した。
【表4】

【0157】
油相と水相を80℃に加熱し、水相を油相にゆっくり加え、よく混合し、40℃まで冷ました後、相3、4および5を加える。
【0158】
配合物6
油性無水皮膚処理用組成物を以下のように製造した。
【表5】

【0159】
相1の全ての成分を合わせ、攪拌しながら透明になるまで80℃に加熱し、55℃まで冷まし、相2を加えてよく混合し、50℃で適当な容器に注ぐ。
【0160】
配合物7
油およびシリコーン系無水皮膚処理用組成物を次のように製造した。
【表6】

【0161】
相1を75℃に加熱し、攪拌しながら冷まし、30℃で相2を加える。攪拌しながら冷まし、混合物をホモジナイズする。
【0162】
配合物8
シリコーン系無水皮膚処理用組成物を次のように製造した。
【表7】

【0163】
室温で相1をよく混合し、必要であればホモジナイズした後、混合しながら相2および3を加える。
【0164】
配合物9
水中シリコーン型皮膚処理用組成物を次のように製造した。
【表8】

【0165】
相1の成分をメインケトルに加え、全ての固体が溶解し、混合物が透明になるまで、約65℃にてGreercoミキサーで混合した。次に、相2の成分をメインケトルに加え、混合物が透明になるまで65℃にてGreercoミキサーで混合した。サポートケトル内に、相3の成分を加え、透明な混合物が形成するまで65℃にてプロペラミキサーで混合し、その後これをメインケトルに加え、65℃にてGreercoミキサーDEKオン合資、均質な混合物を形成した。補助ケトル内で、相4の成分を一緒に、60℃にてプロペラミキサー、その後、Silversonミキサーで均質な混合物が形成するまで混合し、その後これをメインケトルのバッチに加え、Greercoミキサーで混合を続けた。得られた混合物を30℃まで冷ました。サイドワイプを交換した後、均質な混合物が形成するまで混合を続けた。この混合物に相5の成分を加え、均質な混合物が得られるまでサイドワイプで混合を続けた。
【0166】
本発明を好ましい実施形態に関して記載してきたが、本発明の範囲は示されている特定の形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲に定義されている本発明の精神および範囲内に含まれ得るこのような変更、改変および等価物を包含するものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】


[式中、X、YおよびZは水素またはフェルロイルからなる群から独立に選択される(ただし、X、YおよびZの少なくとも1つはフェルロイルである)]
を有する化合物。
【請求項2】
3−フェルレート−5,4’−ジヒドロキシスチルベン、5−フェルレート−3,4’−ジヒドロキシスチルベン、4’−フェルレート−3,5−ジヒドロキシスチルベン、3,5−ジフェルレート−4’−ヒドロキシスチルベン、3,4’−ジフェルレート−5−ヒドロキシスチルベン、4’,5−ジフェルレート−3−ヒドロキシスチルベンおよび3,5,4’−トリフェルレート−ヒドロキシスチルベンからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
化粧学上許容される担体中にフェルラ酸レスベラトロールを含んでなる、局所的化粧用組成物または医薬組成物。
【請求項4】
フェルラ酸レスベラトロールが一フェルラ酸レスベラトロール、二フェルラ酸レスベラトロール、三フェルラ酸レスベラトロールおよびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項3に記載の化粧用組成物。
【請求項5】
フェルラ酸レスベラトロールが化粧用組成物の総重量の約0.001%〜約20%の範囲の量で存在する、請求項3に記載の化粧用組成物。
【請求項6】
フェルラ酸レスベラトロールが1以上の小胞、マイクロスフェア、ナノスフェア、カプセルまたはそれらの混合物に封入されている、請求項3に記載の化粧用組成物。
【請求項7】
化粧学上許容される担体が水相と油相を含んでなるエマルションである、請求項3に記載の化粧用組成物。
【請求項8】
フェルラ酸レスベラトロールがエマルションの水相に分散または可溶化されている、請求項7に記載の化粧用組成物。
【請求項9】
フェルラ酸レスベラトロールがエマルションの油相に分散または可溶化されている、請求項7に記載の化粧用組成物。
【請求項10】
化粧学上許容される担体が無水である、請求項3に記載の化粧用組成物。
【請求項11】
未発酵のフェルラ酸レスベラトロールに比べて高い生物活性を示すフェルラ酸レスベラトロール含有発酵抽出物を含んでなる、請求項3に記載の化粧用組成物。
【請求項12】
構造化剤をさらに含んでなる、請求項3に記載の化粧用組成物。
【請求項13】
前記構造化剤がシリコーンガム、非乳化シリコーンエラストマー、シリコーンワックス、高融点ワックス、ポリアミド、シリコーンポリアミドおよびそれらの混合物からなる群から選択される油相構造化剤である、請求項12に記載の化粧用組成物。
【請求項14】
前記構造化剤が多糖類、アクリル酸ポリマーおよびコポリマー、高分子量ポリエチレングリコール(PEG)、ポリグリセリンおよびそれらの混合物からなる群から選択される水相構造化剤である、請求項12に記載の化粧用組成物。
【請求項15】
20℃で水銀約1mm未満の蒸気圧を有し、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、ジフェニルジメチコン、ジメチコンおよびセチルジメチコンからなる群から選択される、少なくとも1種類の不揮発性シリコーンをさらに含んでなる、請求項3に記載の化粧用組成物。
【請求項16】
ジメチコンコポリオール、アルキルジメチコンコポリオールおよび乳化シリコーンエラストマーからなる群から選択される少なくとも1種類のシリコーン界面活性剤をさらに含んでなる、請求項3に記載の化粧用組成物。
【請求項17】
少なくとも1種類の直鎖または分枝型の揮発性またはほぼ揮発性シリコーンをさらに含んでなる、請求項3に記載の化粧用組成物。
【請求項18】
色素、粉末およびそれらの混合物からなる群から選択される粒子をさらに含んでなる、請求項3に記載の化粧用組成物。
【請求項19】
化粧学上許容される担体中にフェルラ酸レスベラトロールを含んでなる局所用組成物を皮膚に適用することを含む、皮膚の明色化、皮膚加齢の予防もしくは軽減、および/または皮膚における反応性酸素種の低減のための方法。
【請求項20】
化粧用組成物が色素過剰の皮膚の選択された領域に、このような選択領域における色素過剰を軽減するために適用される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
化粧用組成物が顔面の皮膚に、その上で皮膚の明色化、アンチエージングおよび抗酸化作用を達成するために適用される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
化粧学上許容される担体中に脂肪族または芳香族カルボン酸とともにレスベラトロールエステルを含んでなり、該組成物酸が皮膚明色化効果を有する、化粧用組成物。
【請求項23】
カルボン酸がフェルラ酸、桂皮酸、グリコール酸、グルコン酸、クエン酸、乳酸、アゼライン酸、ヒドロキシ置換安息香酸、ゲニスチン酸、ヒドロキシカプリル酸、リノール酸、サリチル酸、5−オクタノイルサリチル酸、トラネキサム酸およびその誘導体からなる群から選択される、請求項22に記載の化粧用組成物。
【請求項24】
局所的に許容される担体中に脂肪族または芳香族カルボン酸とともにレスベラトロールエステルを含んでなる化粧用組成物を皮膚に適用することを含む、皮膚の明色化、皮膚加齢の予防もしくは軽減、および/または皮膚における反応性酸素種の低減のための方法。
【請求項25】
化粧用組成物が色素過剰の皮膚の選択された領域に、このような選択領域における色素過剰を軽減するために適用される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
化粧用組成物が顔面の皮膚に、皮膚の明色化、アンチエージングおよび/または一重項酸素消去特性を達成するために適用される、請求項24に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公表番号】特表2010−538079(P2010−538079A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−524133(P2010−524133)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際出願番号】PCT/US2008/075210
【国際公開番号】WO2009/032896
【国際公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(598100128)イーエルシー マネージメント エルエルシー (112)
【Fターム(参考)】