説明

フッ素含有コポリマー、ホトレジスト、及び基板上にホトレジスト画像を作製する方法

【課題】本発明の目的は、193nm以下、特に157nm用であって、このような短波長でも高透明性であるばかりでなく、例えば優れたプラズマエッチング耐性および接着性を含むその他鍵となる特性をも有する別の新規なレジスト組成物の提供である。
【解決手段】本発明は、フッ素含有コポリマーであって、(i)エチレン性不飽和炭素原子に共有結合している少なくとも1個のフッ素原子を含む少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物から誘導された反復単位と、(ii)CH2=CHO2CR15、CH2=CHOCH215およびCH2=CHOR15からなる群から誘導された反復単位であり、式中、R15は、炭素原子が約4個から約20個の飽和アルキル基であり、炭素原子対水素原子の比が0.58より大きいかまたは同じであるという条件付きで、1個または複数のエーテル酸素を任意で含有している反復単位と、を含むことを特徴とするフッ素含有コポリマーに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
(1.発明の分野)
本願は、日本国特許出願No.2000−571312の分割出願であり、特に、フッ素含有コポリマー等に関するものである。
本発明は、光画像形成に関し、特に、半導体装置の製造における画像形成のためのホトレジスト(ポジ加工および/またはネガ加工)の使用に関する。本発明はまた、レジストのベース樹脂として有用であり且つその他多くの応用の可能性を持った新規なフッ素含有ポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の説明)
ポリマー製品は画像形成成分として、感光性システム、特に、L.F.Thompson,C.G.Willson および M.J.Bowdenの共著「Introduction to Microlithography.Second Edition」、ワシントン DC、アメリカ化学会、1994年発行に記載されているものなど、光画像形成システムに使用される。そのようなシステムにおいては、紫外(UV)光またはその他の電磁放射線が光活性成分を含む物質に当たってその物質に物理的または化学的変化をひき起こす。有用な像または潜像がそれにより生成し、それを加工処理して半導体装置の製作に有用な像とすることができる。
【0003】
ポリマー製品それ自体が光活性である場合もあるが、一般に感光性組成物はポリマー製品以外に1個または複数の光活性成分を含有する。電磁放射線(たとえば紫外光)に露光すると、上記のThompsonらの出版物に記載されているように、光活性成分が作用して感光性組成物のレオロジー状態、溶解性、表面特性、屈折率、色相、電磁特性、その他物理的または化学的特性を変化させる。
【0004】
半導体装置におけるミクロン以下の非常に細かい形状を画像形成するには、遠紫外線または極紫外線(UV)の電磁放射線が必要である。半導体の製造には一般にポジ加工のレジストが利用される。ノボラックポリマーと溶解防止剤としてジアゾナフトキノンを使用し365nm(I−ライン)の紫外線で行うリソグラフィは、最近確立されたチップ技術であり、約0.35μm〜0.30μmの解像限界を有する。p−ヒドロキシスチレンポリマーを使用し248nmの遠紫外線で行うリソグラフィが知られており、0.35nm〜0.18nmの解像限界を有する。波長が減少するにつれて解像限界は減少する(すなわち、193nmの画像形成では解像限界は0.18μm〜0.12μm)ので、将来に向けてはさらに短波長でのホトリソグラフィが強く求められる。193nmの露光波長(アルゴンフッ素(ArF)エキシマーレーザーから得られる)を用いるホトリソグラフィは、0.18μmおよび0.13μmの設計定規を使用する将来のマイクロエレクトロニクス製作の主要な候補である。157nmの露光波長(F2レーザー光源を用いて得られる)を用いるホトリソグラフィは、0.100μm以下の設計定規を使用する将来のマイクロエレクトロニクス製作用として使用されることになろう。従来の近紫外線および遠紫外線用有機ホトレジストは193nm以下の短波長においては不透明であるために、このような波長における単層機構でのそれら使用が妨げられている。
【0005】
193nmでの画像形成に適したレジスト組成物はいくつか知られている。例えば、シクロオレフィン−無水マレイン酸交互コポリマーを含むホトレジスト組成物が193nmでの半導体の画像形成に有用であることが示されている(F.M.Houlihan等、Macromolecules,30,pp.6517−6534 (1997); T.Wallow等、SPIE,Vol.2724,pp.355−364; およびF.M.Houlihan等、Journal of Photopolymer Science and Technology,10,No.3,pp.511−520 (1997)を参照されたい)。出版物のいくつかは、193nmのレジストに集中している(すなわち、U.Okoroanyanwu等、SPIE,Vol.3049,pp.92−103; R.Allen等、SPIE,Vol.2724,pp.334−343; および、Semiconductor International,1997年9月号、pp.74−80)。付加重合体および/または官能化ノルボルネンのROPM(開環メタセシス重合)を含む組成物が開示されている(例えば、B.F.GoodrichのPCTWO97/33198(9/12/97))。ノルボルナジエンのホモポリマーおよび無水マレイン酸とのコポリマーと193nmリソグラフィにおけるそれらの使用が開示されている(J.NiuおよびJ.Frechet,Angew.Chem.Int.Ed.,37,No.5,(1998),pp.667−670)。157nmでの画像形成用レジスト組成物は開示がない。
【0006】
フルオロオレフィンモノマーと環状不飽和モノマーのコポリマーが知られている(ダイキン工業社の米国特許第5,177,166号および米国特許第5229473号)。これらの特許は、これらのコポリマーを感光性組成物に使用することは何ら開示していない。特定のフッ化オレフィンと特定のビニルエステルおよびビニルエーテルとのコポリマーが知られている。例えば、TFEのシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルエステルとのコポリマー(大日本インキ化学工業の日本国特許出願特開平03−281664号)およびシクロヘキシルビニルエーテルとのコポリマー(旭硝子(株)の日本国特許出願特開昭54−046286号)が知られている。TFEと酢酸ビニルのようなビニルエステルとのコポリマーおよびこれらコポリマーを屈折率画像形成用(例えば、ホログラフィ)の感光性組成物に使用することが知られている(デュポンの米国特許第4,963,471号)。フッ化オレフィンと式CH2=CHO2CRのビニルエステルおよび式CH2=CHOCH2RまたはCH2=CHORのビニルエーテルとを含むコポリマーに関する従来技術はすべてC:Hの比が比較的小さく0.58より小さいRの基を有する。
【0007】
環状であることおよびフッ素を含有することの両方の性質を持ついくつかのモノマーのホモポリマーとコポリマーが、光を当てて鮮明な像を形成することができるフッ素含有ポリマーフィルムの成分としてそれらが応用されることと共に知られている(日本国特開平9(1997)−43856号)。この参照文献には、多環式コモノマーからなるホモポリマーまたはコポリマーをホトレジスト成分とする教示はない。さらに、この日本の公開公報に開示されている組成物が180nmより小さい遠紫外線波長で有効な画像形成能を有するホトレジストに使用できうるという教示はない。
【0008】
米国特許第5,665,527号には、ペンタフルオロプロピルメタクリレート−t−ブチルメタクリレートのコポリマーを溶媒に溶かしたレジスト溶液でシリコンウェーハを被覆し、次いで193nmで露光し、二酸化炭素臨界流体で現像して陰画のレジスト像を生成する方法が開示されている。
1997年8月13日発行の欧州特許第0789278A2号には、下記の一般式1および一般式2から選択した脂環式骨格構造を含有する樹脂と放射線感応性酸発生剤とを含むホトレジストが開示されている。
【0009】
【化1】

【0010】
【化2】

【0011】
式中、nは0または1であり、AおよびBは独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子1個〜10個を有する一価の炭化水素基または炭素原子1個〜10個を有する一価のハロゲン化炭化水素基を表し、XおよびYは独立に、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子1個〜10個を有する一価の炭化水素基、炭素原子1個〜10個を有する一価のハロゲン化炭化水素基または、XとYの少なくとも1つが酸開裂性基であれば、酸開裂性基である。ホトレジストパターンは、このホトレジストを、KrFエキシマーレーザー(波長248nm)またはArFエキシマーレーザー(波長193nm)など遠UV光線に露光することによって形成されてもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、193nm以下、特に157nm用であって、このような短波長でも高透明性であるばかりでなく、例えば優れたプラズマエッチング耐性および接着性を含むその他鍵となる特性をも有する別の新規なレジスト組成物が緊急に求められる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
(発明の概要)
本発明のいくつかの実施形態におけるホトレジストは、
(a)少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物から誘導された反復単位を含むフッ素含有コポリマーであって、少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物は多環式であり、かつ少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物はエチレン性不飽和炭素原子に共有結合している少なくとも1個のフッ素原子を含むことを特徴とするフッ素含有コポリマーと、
(b)少なくとも1個の光活性成分と、
を含むホトレジストであって、前述のフッ素含有コポリマーは芳香族官能基を含有せず、前述のホトレジストを、365nmより小さい波長を有する紫外線の像露光によりレリーフ像を生成するように現像可能にするのに十分な官能基を含有する。
【0014】
1つの好ましい実施形態において、少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物は下記の群から選択する。
【0015】
【化3】

【0016】
式中、mおよびnはそれぞれ0、1または2であり、pは3以上の整数であり、
aおよびbは独立に1から3であり、bが2の場合aは1でなく、その逆も同じであり、
1からR14は同一かまたは異なるものであり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、C1からC14の二級または三級カルボキシレート、炭化水素基または置換炭化水素基を表し、
15は、炭素原子約4から約20の飽和アルキル基であり、炭素原子対水素原子の比が0.58より大きいかまたは同じという条件下で、1個または複数のエーテル酸素を任意で含有し、
16からR21は、R18からR21の少なくとも1つはCO2Aであるという条件下で、各々独立に、水素原子、C1からC12のアルキル、(CH2qCO2A、CO2(CH2qCO2AまたはCO2Aであり、ここでqは1から12であり、Aは水素または酸保護基である。
【0017】
本発明の他の実施形態におけるホトレジストは、
(a)フッ素原子、ペルフルオロアルキル基およびペルフルオロアルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の原子または基を有する少なくとも1個の多環式エチレン性不飽和化合物から誘導された反復単位を含むフッ素含有コポリマーであり、少なくとも1個の原子または基は、環構造中に含有されており、少なくとも1個の共有結合している炭素原子によって、該エチレン性不飽和化合物の各エチレン性不飽和炭素原子から離れている炭素原子に共有結合していることを特徴とするフッ素含有コポリマーと、
(b)少なくとも1個の光活性成分とを含み、
該フッ素含有コポリマーは芳香族の官能性を含有せず、該ホトレジストを、365nmより小さい波長を有する紫外線の像露光によりレリーフ像を生成するように現像可能にするのに十分な官能基を含有する。
【0018】
もう1つの実施形態において、本発明は基板上にホトレジスト画像を作製する方法であって、順に、
(W)基板上にホトレジスト組成物を塗布する工程であって、前述のホトレジスト組成物が、
(a)少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物から誘導された反復単位を含むフッ素含有コポリマーであり、少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物は多環式であり、かつ少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物はエチレン性不飽和炭素原子に共有結合している少なくとも1個のフッ素原子を含むことを特徴とし、
前述のホトレジストを、365nmより小さい波長を有する紫外線の像露光によりレリーフ像を生成するように現像可能にするのに十分な官能基を含有するフッ素含有コポリマーと、
(b)少なくとも1個の光活性成分と、
(c)溶媒と
を含む塗布する工程と、
(X)塗布したホトレジスト組成物を乾燥して本質的に溶媒を除去し、それによって基板上にホトレジスト層を形成する工程と、
(Y)ホトレジスト層を像露光して、画像領域と非画像領域を形成する工程と、
(Z)画像領域と非画像領域を有する露光したホトレジスト層を現像し、基板上にレリーフ像を形成する工程と、を含む。
【0019】
もう1つの実施形態において、本発明は基板上にホトレジスト画像を作製する方法であって、順に、
(W)基板上にホトレジスト組成物を塗布する工程であって、該ホトレジスト組成物が
(a)フッ素原子、ペルフルオロアルキル基、およびペルフルオロアルコキシ基からなる群から選んだ少なくとも1個の原子または基を有する少なくとも1個の多環式エチレン性不飽和化合物から誘導された反復単位を含むフッ素含有コポリマーであって、少なくとも1個の原子または基は、環構造中に含有されており、少なくとも1個の共有結合している炭素原子によって、該エチレン性不飽和化合物の各エチレン性不飽和炭素原子から離れている炭素原子に共有結合していることを特徴とするコポリマーであり、フッ素含有コポリマーは、芳香族官能基を含有せず365nmより小さい波長を有する紫外線の像露光により前述のホトレジストがレリーフ像を生成するように現像可能にするのに十分な官能基を含有するフッ素含有コポリマーと、
(b)少なくとも1個の光活性成分と、
(c)溶媒と、
を含む塗布する工程と、
(X)塗布したホトレジスト組成物を乾燥して本質的に溶媒を除去し、それによって基板上にホトレジスト層を形成する工程と、
(Y)ホトレジスト層を像露光して、画像領域と非画像領域を形成する工程と、
(Z)画像領域と非画像領域を有する露光したホトレジスト層を現像し、基板上にレリーフ像を形成する工程と、を含む。
【0020】
上記の方法において、現像段階(Z)は、ネガ加工またはポジ加工のいずれであってもよい。
【0021】
もう1つの実施形態において、本発明は、
(i)エチレン性不飽和炭素原子に共有結合している少なくとも1個のフッ素原子を含有する少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物から誘導された反復単位と、
(ii)CH2=CHO2CR15、CH2=CHOCH215、およびCH2=CHOR15からなる群から誘導される反復単位であって、式中、R15が、炭素原子約4〜約20の飽和アルキル基であり、炭素原子対水素原子の比が0.58より大きいかまたは同じという条件下で、1個または複数のエーテル酸素を任意で含有する反復単位とを含むフッ素含有コポリマーである。
【0022】
さらにもう1つの実施形態において、本発明は、
(i)エチレン性不飽和炭素原子に共有結合している少なくとも1個のフッ素原子を含む少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物から誘導した反復単位と、
(ii)構造式
【0023】
【化4】

【0024】
を有するコモノマーから誘導された反復単位であり、
式中、R16〜R20は、R18〜R20の少なくとも1つはCO2Aであるという条件付きで、各々独立に、水素原子、C1〜C12のアルキル、(CH2qCO2A、CO2(CH2qCO2AまたはCO2Aであり、ただしqは1〜12であり、Aは水素または酸保護基である反復単位とを含むフッ素含有コポリマーである。
【0025】
本発明のコポリマー(および該コポリマーからなるホトレジスト)の基本的特質は、多環式の反復単位と、フッ素を含有する同一または異なる反復単位と、さらには、芳香族官能基を含有しないコポリマーにおけるすべての反復単位とが、連絡し合って結びついている点である。コポリマー中に多環式の反復単位が存在することは、コポリマーがプラズマエッチング(例えば、反応性イオンエッチング)に対して高い耐性を保持するために重要である。多環式の反復単位はまた、レジストフィルムの寸法安定性を維持するために重要な、高いガラス転移温度を付与する傾向がある。フッ素を含有する反復単位の存在は、コポリマーが高い光学透明度を保持するために、つまり、極紫外線および遠紫外線において低い光学的吸収作用を持つために重要である。コポリマーの反復単位中に芳香族の官能基が存在しないこともまたポリマーが高い光学透明度を保持するために必要である。
【0026】
本発明の実施形態のいくつかにおいて、フッ素含有コポリマーは、環構造中に含まれている炭素原子に共有結合しているフッ素原子、ペルフルオロアルキル基およびペルフルオロアルコキシ基からなる群から選んだ少なくとも1個の原子または基を有する少なくとも1個の多環式エチレン性不飽和化合物から誘導された反復単位からなっているものと思われる。フッ素原子、ペルフルオロアルキル基およびペルフルオロアルコキシ基は、これらの基がエチレン性不飽和炭素原子に直接結びついている場合は、金属を触媒とする付加重合またはメタセシス重合による環式エチレン性不飽和化合物の重合を抑制する傾向がある。そのため、この場合、少なくとも1個のフッ素原子、ペルフルオロアルキル基およびペルフルオロアルコキシ基は、少なくとも1個の共有結合している炭素原子によって、エチレン性不飽和化合物の各エチレン性不飽和炭素原子から離されていることが重要である。さらに、この原子および/または基を環に直接結合することは、望ましくない非フッ素化脂肪族炭素原子の存在を最小にすることになる。
【0027】
本発明のコポリマーは、半導体に適用するためのホトレジスト組成物に必要な特性を付与するために重要な特性バランスを驚くほど有している。第1に、これらのコポリマーは、193nmおよび157nmの波長を含む極紫外線および遠紫外線において予想外に低い光吸収性を有する。光吸収性の低いコポリマーを有することは高い露光速度(photospeed)のレジストを調合するのに重要であり、そこでは、大部分の紫外光が光活性成分に吸収され、コポリマー(レジストのマトリックス)の吸収による損失はない。第2に、本発明のフッ素含有ポリマーを含むレジストは、好ましいことに、プラズマエッチングの速度が非常に遅い。この後者の特性は、半導体の作製に必要な高い解像精度のレジストを与えるために重要である。157nmで画像形成をするには、これらの特性の適切な値を同時に達成することが特に重要である。この場合、超薄膜のレジストが高い解像度を得るために必要となるが、それにもかかわらず、この薄いレジストには、エッチングの間、画像形成した基板上にとどまって、下にある基板の面域を保護するために、高度なエッチング耐性がなければならない。
【発明の効果】
【0028】
本発明のホトレジスト組成物は、特に優れたバランスよく望ましい特質、例えば、極紫外線、遠紫外線、および近紫外線に対する高い透明性、高いプラズマエッチング耐性、0.18μmと0.13μmの設計定規を使用するマイクロエレクトロニクス装置加工に適合する突出した高解像度特性などを有する。本発明のホトレジスト組成物は、特に、157nmにおける優れた光学透明度を有する。本発明の新規なコポリマーもまた、157nmおよびその他の紫外線波長において予想される高い透明性等の優れた特質を有する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】2つの発明ポリマー(実施例2からのTFE/NBジポリマーおよび実施例17からのTFE/NB/NB−CO2tBuターポリマー)の193nm付近の極紫外領域での低い吸光度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
本発明は、フッ素含有コポリマーおよび少なくとも1個の光活性成分を含むマイクロリソグラフィ用のホトレジストであって、該フッ素含有コポリマーは該ホトレジストを365nm以下の波長を有する紫外線で像露光を行うことによって、レリーフ像生成の現像を可能にするのに十分な官能基を含有するものである。いくつかの好ましい実施形態において、その十分な官能基は、365nm以下の波長を有する十分な紫外線に露光すると、露光してない部分は塩基性溶液中に不溶であるがホトレジストの露光部分は塩基性溶液に可溶となるように、酸(例えばカルボン酸)および/または酸保護基から選択する。このようにしてレリーフ像はホトレジストを使用して形成することができる。本発明のホトレジストは、365nm(I−ライン)、248nm(KrFレーザー)、および特に193nm(ArFレーザー)並びに157nm(F2レーザー)マイクロリソグラフィ向けに有用である。これらのホトレジストは、0.10マイクロメータ以下の範囲の大きさの形状を画像形成しようと思うときに重要である。
【0031】
本発明の好ましい実施形態において、ホトレジスト組成物は、少なくとも1個の多環式コモノマー(すなわち、例えばノルボルネンのような少なくとも2個の環を含むコモノマー)から誘導される反復単位を含むコモノマーを含む。このことは3つの主な理由、1)多環式モノマーは比較的高い炭素対水素の比(C:H)を有しており、その結果これら多環式モノマーの反復単位からなるベースポリマーは一般に優れたプラズマエッチング耐性を有すること、2)好ましくは重合した時点で完全に飽和の状態にすることができる多環式モノマーから誘導される反復単位を有するポリマーは、一般に優れた透明度特性を有すること、および3)多環式モノマーから調製したポリマーは通常比較的高いガラス転移温度を有し工程中の寸法安定性向上のために良いこと、から重要である。エチレン性不飽和基はノルボルネンにおけるように多環式部位中に含有されているかまたは1−アダマンタンカルボン酸ビニルエステルにおけるように多環式部位にペンダントしている。多環式コモノマーから誘導された反復単位からなるポリマーは、高いC:H比を有し、比較的低いオオニシナンバー(O.N.)を有する。ただし、 O.N.=N/(NC−NO)式中、Nはポリマーの反復単位中の原子数であり、NCはポリマーの反復単位中の炭素原子数であり、NOはポリマーの反復単位中の酸素原子数である。オオニシ等によって発見された経験則があり(J.Electrochem.Soc.,Solid−State Sci.Technol.,130,143 (1983))、それによれば、ポリマーの反応性イオンエッチング(RIE)速度はオオニシナンバー(O.N.)の一次関数である。一例として、ポリ(ノルボルネン)は式(C710nを有し、O.N.=17/7=2.42である。主として炭素と水素からなり、多環式部位を有し、酸素を含有する官能基が比較的少ないポリマーは、比較的低いO.N.を持ち、オオニシの経験則に従えば、相応した低い(ほぼ一次式にのった)RIEを有する。
【0032】
ポリマー業界の技術者にはよく知られているように、エチレン性不飽和化合物はフリーラジカル重合するとエチレン性不飽和化合物から誘導された反復単位を有するポリマーを与える。具体的には、次の構造式を有するエチレン性不飽和化合物は
【0033】
【化5】

【0034】
フリーラジカル重合して次の反復単位を有するポリマーを与える。
【0035】
【化6】

【0036】
式中、P、Q、S、およびTは、独立に、H、F、Cl、Br、アルキル、アリール、アラルキル、シクロアルキルを示すことができるがこれらに限定はしない。
【0037】
一種類だけのエチレン性不飽和化合物が重合する場合は、得られるポリマーはホモポリマーである。2個以上の別のエチレン性不飽和化合物が重合する場合は、得られるポリマーはコポリマーである。
【0038】
エチレン性不飽和化合物およびそれと対応する反復単位の代表的な例を以下に示す。
【0039】
【化7】

【0040】
以下の項では、本発明のホトレジスト組成物を成分ごとに説明する。
【0041】
フッ素含有コポリマー
本発明のホトレジストは、少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物から誘導された反復単位を含むフッ素含有コポリマーであって、少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物は多環式であり、少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物はエチレン性不飽和炭素原子に共有結合している少なくとも1個のフッ素原子を含むことを特徴とするコポリマーを含む。本発明のフッ素含有コポリマーに適合する代表的なエチレン性不飽和化合物としては、限定するものではないが、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ペルフルオロ−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、ペルフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン、CF2=CFO(CF2tCF=CF2(式中、tは1または2である)および、式RfOCF=CF2(式中、Rfは炭素原子1〜約10個の飽和フルオロアルキル基である)が挙げられる。本発明のフッ素含有コポリマーは、限定はしないが、上に掲げたものを含む追加のフッ素含有コモノマーを任意で整数個含有することができる。より好ましいコモノマーは、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、および、式RfOCF=CF2(式中、Rfは炭素原子1〜約10個の飽和フルオロアルキル基である)である。より好ましいコモノマーは、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびRfOCF=CF2(式中、Rfは、炭素原子1から約10個の飽和ペルフルオロアルキル基)である。最も好ましいコモノマーはテトラフルオロエチレンおよびクロロトリフルオロエチレンである。
【0042】
いくつかの好ましい実施形態において、本発明に関わるホトレジストのフッ素含有コポリマーはさらに構造式H〜Nの群から選択する少なくとも1個の不飽和化合物から誘導された反復単位を含む。
【0043】
【化8】

【0044】
式中、mおよびnはそれぞれ0、1、または2であり、pは3以上の整数であり、
aおよびbは、独立に1から3であり、bが2の場合aは1でなく、その逆も同じであり、
1からR14は同一かまたは異なるものであり、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、カルボキシル基、C1からC14の二級または三級アルキルカルボキシレート、炭化水素基または置換炭化水素基を表し、
15は、炭素原子約4から約20の飽和アルキル基であって、炭素原子対水素原子の比が0.58より大きいかまたは同じという条件下で、1個または複数のエーテル酸素を任意で含有し、
16からR21は、R18からR21の少なくとも1つはCO2Aであるという条件下で、各々独立に、水素原子、C1からC12のアルキル、(CH2qCO2A、CO2(CH2qCO2AまたはCO2Aであり、ここでqは1〜12であり、Aは水素または酸保護基である。上記の構造式H〜Nは本発明のホトレジスト中のフッ素含有ポリマーに追加して使用が可能なコモノマーを示している。
【0045】
構造式Hを有する代表的なコモノマーとしては、以下のものに限定するものではないが、
【0046】
【化9】

【0047】
を含む。
【0048】
構造式Iを有する代表的なコモノマーとしては、以下のものに限定するものではないが、
【0049】
【化10】

【0050】
を含む。
【0051】
構造式Jを有する代表的なコモノマーとしては、以下のものに限定するものではないが、
【0052】
【化11】

【0053】
を含む。
【0054】
構造式Kを有する代表的なコモノマーとしては、以下のものに限定するものではないが、
【0055】
【化12】

【0056】
を含む。
【0057】
構造式Lを有する代表的なコモノマーとしては、以下のものに限定するものではないが、
【0058】
【化13】

【0059】
を含む。
【0060】
構造式Mを有する代表的なコモノマーとしては、以下のものに限定するものではないが、
【0061】
【化14】

【0062】
を含む。
【0063】
構造式K、L、およびMを持つコモノマーを含む本発明のコポリマーはすべて、フッ素化オレフィンおよび式CH2=CHO2CRのビニルエステルまたは式CH2=CHOCH2RまたはCH2=CHORのビニルエーテルを含むコポリマーであって、大きいC:H比は優れたプラズマエッチング耐性を反映することから、比較的大きく、0.58より大きいC:H比を有するR基を持つことを特徴としている。これに対して、フッ素化オレフィンおよび式CH2=CHO2CRのビニルエステルまたは式CH2=CHOCH2RまたはCH2=CHORのビニルエーテルを含む従来技術のコポリマーはすべて、比較的小さく、0.58より小さいC:H比を有するR基を持つ。
【0064】
構造式Nを有する代表的なコモノマーとしては、以下のものに限定するものではないが、
【0065】
【化15】

【0066】
を含み、式中Aは、H、(CH33C、または(CH33Siである。
【0067】
2番目に列挙したコモノマーである構造式H〜Nの不飽和化合物の少なくとも1個を有する上記の好ましい実施形態において、もし(仮に)そのフッ素含有コポリマーがカルボン酸および保護酸基から選んだ官能基を有している追加のコモノマーを含有していない場合は、2番目のコモノマーには制限がある。この場合、このフッ素含有コポリマーは、2種類だけのコモノマーを持つ(列挙した2種類のコモノマーであって列挙してない追加のコモノマーは持たない)。この場合、フッ素含有ポリマーを含有する本発明のホトレジストが以下でさらに詳細に説明する像露光によって現像が可能となるように、少なくとも1個の不飽和化合物(すなわち2番目に列挙したコモノマー)中にカルボン酸および保護酸基から選ばれる十分な官能基が存在しなければならない。2つだけのコモノマーを有するフッ素含有コポリマーの実施形態においては、コポリマー中の2つのコモノマーのモルパーセントは、フルオロモノマー(最初に列挙したモノマー)および2番目のコモノマーを、それぞれ、90%と10%から10%と90%の範囲とすることができる。好ましくは、2つのコモノマーのモルパーセントは、フルオロモノマー(最初に列挙したモノマー)および2番目のコモノマーを、それぞれ、60%と40%から40%と60%の範囲とする。
【0068】
本発明のホトレジストに含めるフッ素含有コポリマーは、いくつかの実施形態に対して、列挙した2種類のコモノマー(すなわち、(i)エチレン性不飽和炭素原子に共有結合している少なくとも1個のフッ素原子を含む少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物、および、(ii)構造式H〜Nの群から選択された少なくとも1個の不飽和化合物)以外に無制限で任意の整数個の追加のコモノマーを含有することができる。追加のコモノマーとして挙げることができる代表例としては、これらに限定するものではないが、アクリル酸、メタクリル酸、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、t−アミルアクリレート、t−アミルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、エチレン、酢酸ビニル、イタコン酸、およびビニルアルコール等がある。フッ素含有コポリマーを列挙した2種類のコモノマーを有し且つ3個以上のコモノマーを含有する実施形態においては、2番目に列挙したコモノマー(すなわち、(ii)構造式H〜Nの群から選択される少なくとも1個の不飽和化合物)のモルパーセントは、約20モル%から約80モル%の範囲、好ましくは、約30モル%から約70モル%の範囲、より好ましくは、約40モル%から約70モル%の範囲であり、さらに最も好ましいのは、約50モル%から約70モル%である。コポリマーを構成する他の全てのコモノマーのモルパーセントの合計は、2番目に列挙したコモノマーのモルパーセントにその他すべてのコモノマーを加えたときのモルパーセントを加算すると全体で100%となるようなバランスをなす。2番目に列挙したコモノマー以外でコポリマー中に存在するその他すべてのコモノマーのモルパーセント和は、おおまかに、約80モル%から約20モル%の範囲内である。好ましくは、その他すべてのコモノマーのモルパーセントの和は、約70モル%から約30モル%の範囲内である。より好ましくは、その他すべてのコモノマーのモルパーセントの和は、約60モル%から約30モル%の範囲内であり、そして、さらにより好ましくは、その他すべてのコモノマーのモルパーセントの和は、約50モル%から約30モル%の範囲内である。フッ素含有ポリマーがターポリマーであるときは、フルオロモノマー(最初に列挙したモノマー)対追加のコモノマーの適当な比は、大まかに、5:95〜95:5の範囲とすることができる。フッ素含有コポリマーが、現像を可能にするために必要な十分量の酸基または保護酸基の官能基を有する追加のコモノマーを含有するときは、2番目に列挙したコモノマー中にこの官能基はあってもよいし無くてもよく、制約は無い。
【0069】
エチレン性不飽和炭素原子に結合している少なくとも1個のフッ素原子を有するコモノマーから誘導した反復単位を含有する、本発明のホトレジスト組成物の、ある所与のフッ素含有コポリマーは、フリーラジカル重合によって調製することができる。ポリマーは、アゾ化合物または過酸化物など、フリーラジカル開始剤を使用して、当業者に知られている、バルク重合、溶液重合、懸濁または乳化重合の技術によって調製することができる。
【0070】
全て環状のコモノマーから誘導された反復単位だけを含み、かつエチレン性不飽和炭素原子に結びついている1個または複数のフッ素原子を持つコモノマーから誘導される反復単位を完全に欠く、本発明のホトレジスト組成物の、所与のフッ素含有コポリマーもまた、フリーラジカル重合によって調製することができるが、さらに、ビニル付加重合および開環メタセシス重合(ROMP)を含むその他の重合方法でも調製することができる。後者の重合方法は両方とも当業者には知られている。ニッケル触媒およびパラジウム触媒を使用するビニル付加重合は、以下の参照文献に記載されている;1)Okoroanyanwu U.; Shimokawa,T.; Byers,J.D.,Willson,C.G.J.Mol.Catal.A: Chemical 1998,133,93、2)B.F.Goodrichに与えられたPCT特許WO97/33198号(9/12/97)、3)Reinmuth,A.; Mathew,J.P.; Melia,J.; Risse,W.Macromol.Rapid Commun.1996,17,173、および、4)Breunig,S.; Risse,W.Macromol.Chem.1992,193,2915に開示されている。開環メタセシス重合は、ルテニウム触媒とイリジウム触媒を使用するものが上記参照文献1)と2)に、および5)Schwab,P.; Grubbs,R.H.; Ziller,J.W.J.Am.Chem.Soc.1996,118,100、および、6)Schwab,P.; France,M.B.; Ziller,J.W.; Grubbs,R.H.Angew.Chem.Int.Ed.Engl.1955,34,2039。
【0071】
フルオロモノマー(例えば、TFE)および環状オレフィン(例えば、ノルボルネン)を含有する、本発明のレジスト組成物のフッ素含有ニポリマーのいくつかは、限定するものではないが、以下に示す構造を有する交互または交互に近い二ポリマーであるものと思われる。
【0072】
【化16】

【0073】
その場合、本発明は、これらの交互または交互に近いコポリマーを含むが、いかなる態様においても、交互コポリマー構造そのものに限定するものではない。
【0074】
光活性成分(PAC)
本発明の組成物は、化学線に露光すると通常酸または塩基のいずれかを与える化合物である少なくとも1個の光活性成分(PAC)を含有している。化学線に露光して酸が生成する場合は、そのPACは光酸発生剤(PAG(photoacid generator))と称する。化学線に露光して塩基が生成する場合は、そのPACは光塩基発生剤(PBG(photobase generator))と称する。
【0075】
本発明向けに適した光酸発生剤としては、限定するものではないが、1)スルホニウム塩(構造式I)、2)ヨードニウム塩(構造式II)、および、3)構造式IIIのようなヒドロキサム酸エステル等がある。
【0076】
【化17】

【0077】
構造式I〜IIの中でR1〜R3は、独立に、置換または非置換のアリール、もしくは、置換または非置換のC1〜C20のアルキルアリール(アラルキル)である。代表的なアリール基には、限定するものではないが、フェニルおよびナフチルがある。適当な置換基としては、限定するものではないが、ヒドロキシル(−OH)およびC1〜C20のアルキルオキシ(例えば、C1021O)がある。構造式I〜IIの中のアニオンX−は、限定するものではないが、SbF6−(ヘキサフルオロアンチモネート)、CF3SO3−(トリフルオロメチルスルホネート=トリフラート)、および、C49SO3−(ペルフルオロブチルスルホネート)であり得る。
【0078】
PAC触媒作用によって除去される保護基
本発明に関わるレジスト組成物のフッ素含有コポリマーは、光活性化合物(PAC)から光分解によって発生する酸または塩基の触媒作用によって、レジスト被覆物の現像を可能にする親水性の酸基または塩基を生ずることができる保護酸基を有する1個または複数の成分を含有してもよい。所与の保護酸基は、像露光で光酸が生成したときに、その酸が、水性条件下での現像に必要な親水性酸基の脱保護および生成の触媒となるように、通常酸に不安定であることを基準にして選ぶものである。さらに、このフッ素含有コポリマーはまた、保護してない酸官能基を含有していてもよい。
【0079】
光で発生した酸に曝されたときに親水基としてカルボン酸を生じる保護酸基を有する成分の例としては、限定するものではないが、A)第三級カチオンを形成または第三級カチオンに転位が可能なエステル類、B)ラクトンエステル、C)アセタールエステル、D)β−環状ケトンエステル、E)α−環状エーテルエステル、および、F)MEEMA(メトキシエトキシエチルメタクリレート)および近接性補助によって容易に加水分解するその他のエステル類が挙げられる。A)のカテゴリーに入る特定例は、t−ブチルエステル、2−メチル−2−アダマンチルエステル、およびイソボルニルエステルである。B)のカテゴリーに入る特定例は、γ−ブチロラクトン−3−イル、γ−ブチロラクトン−2−イル、マバロニックラクトン、3−メチル−γ−ブチロラクトン−3−イル、3−テトラヒドロフラニル、および、3−オキソシクロヘキシルである。C)のカテゴリーに入る特定例は、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、および、2,3−プロピレンカルボネート−1−イルである。C)のカテゴリーに入るさらなる例としては、例えば、エトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、およびアセトキシエトキシエチルビニルエーテルのようなビニルエーテルを付加して得られる様々なエステルが含まれる。
【0080】
光で発生した酸または塩基に曝されたときに親水基であるアルコールを生じる保護酸基を有する成分の例としては、限定するものではないが、t−ブトキシカルボニル(t−BOC)、t−ブチルエーテル、および3−シクロヘキセニルエーテルが挙げられる。
【0081】
本発明においては、常にではないが多くの場合、保護基を有する成分は、(上で述べたようにして)組成物のベースコポリマー樹脂中に組み込まれた保護酸基を有する反復単位となっている。多くの場合、この保護酸基は、1個または複数のコモノマー中に存在し、それが重合して本発明の所与のコポリマーベース樹脂を形成する。これに代わるものとして、本発明においては、コポリマーベース樹脂を酸含有コモノマーとの共重合によって形成することが可能で、その後続いて、得られた酸含有コポリマー中の酸官能基を一部または全部、適当な方法で保護酸基を有する誘導体に変換することもできる。1つの特定例としては、TFE/NB/t−BA(テトラフルオロエチレン、ノルボルネン、およびt−ブチルアクリレートのコポリマー)が、保護酸基としてt−ブチルエステル基を有する本発明の領域に入るコポリマーベース樹脂である。
【0082】
溶解防止剤および添加剤
本発明では様々な溶解防止剤を利用することができる。理想的には、遠紫外線および極紫外線レジスト(例えば、193nmレジスト)用の溶解防止剤(DI)は、所定のDI添加剤を含有するレジスト組成物の溶解防止性、プラズマエッチング耐性、接着挙動等を含む材料に求められる多様な必要性能を満足するように設計/選択すべきである。溶解防止性化合物の中にはレジスト組成物の可塑剤として役立つものもある。
【0083】
様々な胆汁酸塩エステル(すなわち、コール酸塩エステル)が、本発明の組成物中のDIとして特に有用である。胆汁酸塩エステルは、1983年のReichmanis等による研究が始めであるが、ディープUVレジスト用の効果的な溶解防止剤であることが知られている。(E.Reichmanis 等の論文「The Effect of Substituents on the Photosensitivity of 2−Nitrobenzyl Ester Deep UV Resists」,J.Electrochem.Soc.1983年、130,1433−1437)。胆汁酸塩エステル類は、いくつかの理由、例えば、天然資源から得られること、高い脂環式炭素含量を保有すること、および特に、電磁スペクトルのディープUV領域および真空紫外領域(
これは基本的には遠紫外線領域および極紫外線領域でもある)において透明であること(例えば、一般的にそれらは193nmで非常に透明である)によって、DIの選択対象として特に魅力的である。さらには、この胆汁酸塩エステル類はまた、ヒドロキシル置換およびヒドロキシル官能基化によって疎水性から親水性までの広範な適合性を有するように設計することができるのでDIの選択対象として魅力的である。
【0084】
本発明のための添加剤および/または溶解防止剤として適当な胆汁酸および胆汁酸誘導体の代表例としては、限定するものではないが、以下に図示するものがあり、それらは、コール酸(IV)、デオキシコール酸(V)、リトコール酸(VI)、t−ブチルデオキシコレート(VII)、t−ブチルリトコレート(VIII)、およびt−ブチル3−α−アセチルリトコレート(IX)である。化合物VII〜IXを含む胆汁酸エステルが本発明の好ましい溶解防止剤である。
【0085】
【化18】

【0086】
【化19】

【0087】
本発明は、溶解防止剤として、胆汁酸エステルおよびそれと関連する化合物の使用に限定するものではない。様々なジアゾナフトキノン類(DNQs)およびジアゾクマリン類(DCs)等、異なるタイプの溶解防止剤を、適用の仕方によっては本発明に利用することができる。ジアゾナフトキノン類およびジアゾクマリン類は、一般に、より高波長のUV光(例えば、365nmおよび多分248nmでも)での画像形成用として設計するレジスト組成物に適している。これらの溶解防止剤は通常193nmまたはそれ以下の波長のUV光で画像形成するように設計したレジスト組成物には好ましくない。それは、これらの化合物はUVのこの領域を強く吸収し、このような低いUV波長での殆どの適用に対して大抵は十分に透明ではないからである。
【0088】
ネガ加工ホトレジスト実施形態用組成物
本発明の実施形態のいくつかはネガ加工のホトレジストである。これらネガ加工のホトレジストは、少なくとも1個の酸に不安定な基を含有する結合剤ポリマーおよび少なくとも1個の光で発生する酸を与える光活性成分を含む。レジストを像露光すると、光で発生する酸を与え、これが、前述の酸に不安定な基を極性官能基に変換する(例えば、エステル官能基(わずかな極性)を酸官能基(より大きい極性)に変換)。次いで有機溶媒中または臨界流体(中位から低位の極性を有する)中で現像を行い、その結果、露光部分が残り、未露光部分が除去されてネガ加工システムができあがる。
【0089】
本発明のネガ加工組成物中には、必要または任意による光活性成分として様々に異なる架橋剤を採用することができる。(橋かけによって現像液中での不溶化が起こるようにする実施形態においては架橋剤が必要であるが、有機溶媒中および中位/低位の極性を有する臨界流体中に不溶性の極性基が露光部分に形成される結果、現像液中の不溶化を伴う好ましい実施形態においては架橋剤は任意のものとなる)。適当な架橋剤としては、限定するものではないが、4,4′−ジアジドジフェニルスルフィド、3,3′−ジアジドジフェニルスルホン等様々なビス−アジ化物がある。架橋剤を含有するネガ加工のレジスト組成物は、UVに露光した際発生する反応性の種(例えば、ナイトレン)と反応して、現像液に溶解したり、分散したり、あるいは実質上膨潤したりしない橋かけポリマーを生成し
、その結果として、その組成物にネガ加工特性を付与することができる適当な官能基(例えば、不飽和C=C結合)をも含有することが好ましい。
【0090】
その他の成分
本発明の組成物は、任意に追加の成分を含有させることができる。添加できる追加の成分としては、限定するものではないが、解像度向上剤、接着促進剤、残分減少剤、塗装助剤、可塑剤およびTg(ガラス転位温度)調節剤等がある。
【0091】
工程段階
像露光
本発明のホトレジスト組成物は、電磁スペクトルの紫外領域、特に、365nm以下の波長に対して感光性を有する。本発明に関わるレジスト組成物の像露光は、限定するものではないが、365nm、248nm、193nm、157nm、およびそれより低波長のものを含む多くの異なるUV波長で行うことが可能である。像露光は、好ましくは、248nm、193nm、157nm、またはそれより低波長の紫外光で行い、より好ましくは、193nm、157nm、またはそれより低波長の紫外光で行い、そしてさらにより好ましくは、157nm、またはそれより低波長の紫外光で行う。像露光は、レーザーまたは同等の装置によるディジタル方式またはフォトマスクを用いる非ディジタル方式のいずれでも可能である。レーザーを用いるディジタル方式の画像形成が好ましい。本発明の組成物のディジタル画像形成用に適するレーザー装置としては、限定するものではないが、193nmのUVを発光するアルゴン−フッ素エキシマーレーザー、248nmのUVを発光するクリプトン−フッ素エキシマーレーザー、および157nmで発光のフッ素(F2)レーザーを含む。上で述べたように、像露光に低波長のUV光を使用することは高い解像度(解像限界値が低い)につながるので、より低い波長(例えば、193nm、または157nm、またはそれ以下)を使用する方がより高い波長(例えば、248nmまたはそれ以上)を使用するよりも通常は好ましい。特に、157nmでの画像形成は、この理由により、193nmでの画像形成よりも好ましい。
【0092】
現像
本発明のレジスト組成物中のフッ素含有ポリマーは、UV光への像露光に続く現像のために、十分な官能基を含有していなければならない。官能基は、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、または水酸化アンモニウム溶液のような塩基性現像液を使用する水系の現像が可能なように酸または保護酸であることが好ましい。本発明のレジスト組成物中の好ましいフッ素含有ポリマーのいくつかは、少なくとも1個の次式の構造単位からなる酸含有モノマーを含む酸含有コポリマーまたはホモポリマーである。
【0093】
【化20】

【0094】
式中、E1はHまたはC1〜C12のアルキルであり、E2はCO23、SO3E、またはその他の酸性官能基であり、EおよびE3はHまたは非置換またはヒドロキシル置換のC1〜C12のアルキルである。アルキル基は1個から12個、好ましくは1個から8個、の炭素原子を含有できる。使用にあたっての水系での操作性(水系現像)にとって好ましい酸含有結合剤ポリマーは、カルボン酸含有コポリマーである。カルボン酸基の量は、水性アルカリ現像液中の良好な現像に必要な量を最適化することによって、所定の組成物に対して決定する。
【0095】
水系で処理が可能なホトレジストを基板に塗布または適用し、UV光に像露光するとき、このホトレジスト組成物を現像するには、そのホトレジスト(またはその他の光像形成性のコーティング組成物)を水性アルカリ現像液中で処理できるようにするために、結合剤材料は、十分な酸基(例えば、カルボン酸基)および/または露光によって少なくとも一部が脱保護される保護酸基を含有することが当然必要となろう。ポジ加工のホトレジスト層の場合、そのホトレジスト層は、UV放射光に露光した部分については現像中に除去されるが未露光の部分については現像中に本質的な影響を受けない。この現像は、0.262Nの水酸化テトラメチルアンモニウム(25℃で普通は120秒以下の現像)または重量で1%の炭酸ナトリウム(30℃の温度で普通は2分以下の現像)を含有する完全水性溶液のような水性アルカリ液による。ネガ加工のホトレジスト層の場合は、そのホトレジスト層は、UV放射光に未露光の部分については現像中に除去されるが、露光した部分については、臨界流体または有機溶媒のいずれかを使用する現像中に、本質的な影響を受けない。
【0096】
臨界流体は、本明細書で用いられているように、その臨界温度近くまたはその上の温度まで加熱し、その臨界圧の近くまたはその上の圧力まで加圧されている1個または複数の実体である。本発明における臨界流体は、少なくともその流体の臨界温度以下15℃よりも高い温度にあり、少なくともその流体の臨界圧以下5気圧よりも高い圧力にある。本発明では、二酸化炭素を臨界流体として使用することができる。様々な有機溶媒もまた本発明で現像液として使用することができる。これらには、限定するものではないが、ハロゲン化溶媒および非ハロゲン化溶媒が含まれる。ハロゲン化溶媒が好ましく、フッ素化溶媒はより好ましい。
【0097】
用語解説
化学物質/モノマー類
AA アクリル酸
アルドリッチケミカルカンパニー、 ウイスコンシン州
ミルウォーキー
AdVE 1−アダマンタンメチルビニルエーテル
AIBN 2,2′−アゾビスイソブチロニトリル
アルドリッチケミカルカンパニー、 ウイスコンシン州
ミルウォーキー
CFC−113 1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン
(イーアイデュポンドゥヌムールアンドカンパニー、
デラウェア州 ウィルミントン)
MAA メタクリル酸
アルドリッチケミカルカンパニー、 ウイスコンシン州
ミルウォーキー
MEK 2−ブタノン
アルドリッチケミカルカンパニー、 ウイスコンシン州
ミルウォーキー
TFE テトラフルオロエチレン
(イーアイデュポンドゥヌムールアンドカンパニー、
デラウェア州 ウィルミントン)
NB ノルボルネン=ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン
アルドリッチケミカルカンパニー、 ウイスコンシン州
ミルウォーキー
E エチレン
NB−CO2H 5−ノルボルネン−2−カルボン酸=ビシクロ[2.2.1]
ヘプト−5−エン−2−カルボン酸
(アルドリッチケミカルカンパニー)
NB−CO2tBu 5−ノルボルネン−2−カルボン酸t−ブチルエステル=
t−ブチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2
−カルボキシレート
THF テトラヒドロフラン
アルドリッチケミカルカンパニー、 ウイスコンシン州
ミルウォーキー
Perkadox(登録商標)16N
ジ−(4−t−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート
ノーリーケミカルコーポレーション、 ニューヨーク州 バート
TBA t−ブチルアクリレート
TCB トリクロロベンゼン
アルドリッチケミカルカンパニー、 ウイスコンシン州
ミルウォーキー
VAc 酢酸ビニル
アルドリッチケミカルカンパニー、 ウイスコンシン州
ミルウォーキー
VOH ビニルアルコール
Vazo(登録商標)52 2,4−ジメチル−2,2′−アゾビス
(ペンタンニトリル)
(イーアイデュポンドゥヌムールアンドカンパニー、
デラウェア州 ウィルミントン)
PGMEA プロピレングリコールメチルエーテルアセテート
アルドリッチケミカルカンパニー、 ウイスコンシン州
ミルウォーキー
【0098】
全般
極UV 10ナノメーターから200ナノメーターまでの範囲を
とる紫外電磁スペクトル領域
遠UV 200ナノメーターから300ナノメーターまでの範囲を
とる紫外電磁スペクトル領域
UV 10ナノメーターから390ナノメーターまでの範囲を
とる電磁スペクトル紫外領域
近UV 300ナノメーターから390ナノメーターまでの範囲を
とる紫外電磁スペクトル領域
n 所与のポリマーの数平均分子量
w 所与のポリマーの重量平均分子量
P=Mw/Mn 所与のポリマーの多分散性
【0099】
ポリマー類
P(TFE/NB) ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ノルボルネン)
=テトラフルオロエチレンとノルボルネンのコポリマー
P(TFE/NB−CO2H) ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ノルボルネン
カルボン酸)=テトラフルオロエチレンとノルボルネン
カルボン酸のコポリマー、ここでCO2H部分はポリマー
のNB−CO2Hコモノマーのどの位置にも置換できる
P(TFE/NB/NB−CO2H) ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ノルボル
ネン−co−ノルボルネンカルボン酸)=テトラフルオロ
エチレン、ノルボルネンおよびノルボルネンカルボン酸の
コポリマー、ここでCO2H部分はポリマーの
NB−CO2Hコモノマーのどの位置にも置換できる
P(TFE/NB/AA) ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ノルボルネン
−co−アクリル酸)
P(TFE/NB/E) ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ノルボルネン
−co−エチレン)
P(TFE/NB/MAA) 1ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ノルボルネン
−co−メタクリル酸)
P(TFE/NB/tBA) ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ノルボルネン
−co−t−ブチルアクリレート)
P(TFE/NB/tBA/AA) ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ノルボル
ネン−co−t−ブチルアクリレート−co−アクリル酸)
P(TFE/NB/tBA/MAA) ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ノル
ボルネン−co−t−ブチルアクリレート−co−メタクリル酸)
P(TFE/NB/VAc) ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ノルボルネン
−co−酢酸ビニル)
P(TFE/NB/VOH) ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ノルボルネン
−co−ビニルアルコール)
P(TFE/NB/5−NB−2−CO2tBu)
ポリ(テトラフルオロエチレン−co−ノルボルネン
−co−5−ノルボルネン−2−カルボン酸t−
ブチルエステル)
P(TFE/1−AdCO2CH=CH2
ポリ(テトラフルオロエチレン−co−1−
アダマンタン−カルボキシレートビニルエステル)
P(TFE/AdVE) ポリ(テトラフルオロエチレン−co−1−
アダマンタンメチルビニルエーテル)
P(TFE/NBVether) ポリ(テトラフルオロエチレン−co−2
−ノルボルネンメチルビニルエーテル)
【0100】
化学構造
ペルフルオロ−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)
【0101】
【化21】

【0102】
ペルフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)
【0103】
【化22】

【実施例】
【0104】
他に特定しない限り、温度はすべて摂氏温度、質量測定はすべてグラム、パーセントはすべて重量パーセントである。
【0105】
インヘレント粘度は、Cannon Auto Visc II 自動粘度計測システム(キャノンインスツルメントカンパニー、ペンシルバニア州ステートカレッジ 16804)を使用して、指定の溶媒中で、通常は、35℃、濃度1%で測定し、単位dl/gで報告した。ガラス転位温度(Tg)はDSC(示差走査熱量計)によって加熱速度20℃/minを用いて測定し、データは2度目の加熱から得られたものを報告している。使用したDSC装置は、デラウェア州ウィルミントンのTAインスツルメント社製、モデルDSC2910である。
【0106】
実施例1
TFE/ノルボルネンコポリマー=P(TFE/NB)の合成
1リットルの撹拌できるヘイストロイ(Hastelloy)オートクレーブにノルボルネン28.2g(0.30モル)のCFC−113の300mlの溶液を仕込んだ。このオートクレーブを閉めて、窒素で3回200psi(約1,380kPa)まで加圧し、冷却し、そしてガスを抜いた。TFE(35g、0.35モル)を加え、混合物をかき混ぜながら40℃まで加熱した。60%ジ(sec−ブチル)ペルオキシジカーボネート5.0gのCFC−113の50ml溶液の25ml分を5分間かけて注入した。得られた混合物を約18時間かきまぜた。反応器を冷却し、口をあけ、そしてCFC−113をすすぎに使い、透明な無色の溶液を取り出した。このCFC−113溶液を過剰のメタノール中に入れて沈殿させ、ポリマーを単離した。この白色固体を濾過し、約45℃の真空炉で一晩乾燥させた。単離した収量は、白色ポリマーが7.4gであり、GPC(MEK)によるMw=2800、Mn=1700、Mw/Mn=1.59、インヘレント粘度=0.0271(MEK溶液)であった。分析値は、C=54.27、H=5.28、F=30.81であり、Hの%からポリマーの組成は、TFEが49モル%、ノルボルネンが51モル%と計算された。
【0107】
実施例2
TFE/ノルボルネンコポリマー=P(TFE/NB)の合成
400mlのステンレススチールの圧力容器に、ノルボルネン33g(0.35モル)のCFC−113の120mlの溶液を仕込み、Perkadox(登録商標)16N(1.20g)を添加した。容器を閉めて窒素でパージし、冷却して脱気し、そしてTFE40g(0.40モル)を仕込んだ。この容器を振とうしながら50℃まで加熱し、18時間保持すると内部圧は200psi(約1380kPa)から167psi(約1150kPa)まで減少した。容器を冷却し、口をあけ、そして追加のCFC−113をすすぎに使って液体内容物を回収した。このCFC−113溶液を過剰のメタノール中に入れて沈殿させ、ポリマーを単離した。この白色固体を濾過し、約65℃の真空炉で一晩乾燥させた。単離した収量は、白色ポリマーが29.7g(41%)であり、GPC(MEK)によるMw=10000、Mn=2900、Mw/Mn=3.57、インヘレント粘度=0.0130(MEK)であった。分析値は、C=54.60、H=5.05、F=31.21であった。Cの%からポリマーの組成は、TFEが52モル%、ノルボルネンが48モル%と計算された。
【0108】
実施例3
TFE/ノルボルネンコポリマー=P(TFE/NB)の合成
ノルボルネン47g(0.5モル)、CFC−113を120ml、Perkadox(登録商標)16N1.6gおよびTFE50g(0.50モル)を使用して、実施例2の手順にしたがって、40℃、18時間の重合を行った。白色ポリマー19.7g(20%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=10600、Mn=3700、Mw/Mn=2.89、インヘレント粘度=0.0195(MEK)、Tg=152℃(DSC)であった。分析値は、C=58.33、H=5.63、F=33.13であった。C%分析からポリマーの組成は、TFEが46モル%、ノルボルネンが54モル%と計算された。
【0109】
実施例4
TFE/ノルボルネンコポリマー=P(TFE/NB)の合成
実施例3の手順と試薬はそのままで、重合を50℃で行った。白色ポリマー34g(35%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=6000、Mn=2500、Mw/Mn=2.38、インヘレント粘度=0.048(MEK)、Tg=151℃(DSC)であった。分析値は、C=56.60、H=5.38、F=31.57であった。C%分析からポリマーの組成は、TFEが49モル%、ノルボルネンが51モル%と計算された。
【0110】
実施例5
TFE/ノルボルネンコポリマー=P(TFE/NB)の合成
ノルボルネン42.3g(0.45モル)、CFC−113の100ml、Perkadox(登録商標)16N1.5gおよびTFE50g(0.50モル)を使用して、実施例2の手順にしたがった。白色ポリマー36g(39%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=6700、Mn=2800、Mw/Mn=2.37、インヘレント粘度=0.035(MEK)、Tg=151℃(DSC)であった。分析値は、C=54.11、H=5.36、F=32.83であった。C%分析からポリマーの組成は、TFEが52モル%、ノルボルネンが48モル%と計算された。
【0111】
実施例6
TFE/ノルボルネンコポリマー=P(TFE/NB)の合成
ノルボルネン28.2g(0.30モル)、CFC−113の100ml、Perkadox(登録商標)16N1.5gおよびTFE70g(0.70モル)を使用して、実施例2の手順にしたがった。白色ポリマー58.7g(60%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=24200、Mn=8700、Mw/Mn=2.79、インヘレント粘度=0.037(MEK)、Tg=146.5℃(DSC)であった。分析値は、C=50.60、H=4.51、F=37.34であった。C%分析からポリマーの組成は、TFEが58モル%、ノルボルネンが42モル%と計算された。
【0112】
実施例7
TFE/ノルボルネン/VAcターポリマー=P(TFE/NB/VAc)の合成
ノルボルネン37.6g(0.40モル)、VAc8.6g(0.1モル)、CFC−113の120ml、Perkadox(登録商標)16N1.6gおよびTFE50gを使用して、実施例2の手順にしたがった。白色ポリマー45.9g(48%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=16600、Mn=4300、Mw/Mn=3.84、インヘレント粘度=0.0489(MEK)、Tg=124.3℃(DSC)であった。分析値は、C=53.07、H=4.99、F=29.63であった。13C NMR(δ,TCB)は、168(C=O)、112から126(CF2)、62から80(CH)、20から50(残りの炭素)。このスペクトル中で当てはまるピークの積分から、このポリマーは、TFE41モル%、ノルボルネン46モル%およびVAc12モル%を含有することがわかった。
【0113】
実施例8
TFE/ノルボルネン/VAcターポリマー=P(TFE/NB/VAc)の合成
ノルボルネン28.2g(0.30モル)、VAc12.9g(0.15モル)、CFC−113の100ml、Perkadox(登録商標)16N1.5gおよびTFE50gを使用して、実施例2の手順にしたがった。白色ポリマー55.1g(60%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=15200、Mn=6300、Mw/Mn=2.4、インヘレント粘度=0.0531(MEK)、Tg=101.3℃(DSC)であった。分析値は、C=50.98、H=5.00、F=31.59であった。13C NMR(δ,TCB)は、168(C=O)、112〜126(CF2)、62〜80(CH)、20〜50(残りの炭素)。このスペクトル中で当てはまるピークの積分から、このポリマーは、TFE43モル%、ノルボルネン38モル%およびVAc20モル%を含有することがわかった。
【0114】
実施例9
TFE/ノルボルネン/VAcターポリマー=P(TFE/NB/VAc)の合成
ノルボルネン21.2g(0.225モル)、VAc19.4g(0.225モル)、CFC−113の100ml、Perkadox(登録商標)16N1.5gおよびTFE50gを使用して、実施例2の手順にしたがった。白色ポリマー57.2g(63%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=22000、Mn=7900、Mw/Mn=2.8、インヘレント粘度=0.0694(MEK)、Tg=91.7℃(DSC)であった。分析値は、C=48.62、H=4.74、F=29.98であった。13C NMR(δ,TCB)は、168(C=O)、112から126(CF2)、62から80(CH)、20から50(残りの炭素)。このスペクトル中で当てはまるピークの積分から、このポリマーは、TFE43モル%、ノルボルネン28モル%およびVAc29モル%を含有することがわかった。
【0115】
実施例10
TFE/ノルボルネン/VAcターポリマー=P(TFE/NB/VAc)の合成
ノルボルネン14.1g(0.15モル)、VAc25.8g(0.30モル)、CFC−113の100ml、Perkadox(登録商標)16N1.5gおよびTFE50gを使用して、実施例2の手順にしたがった。白色ポリマー72.7g(81%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=34600、Mn=12300、Mw/Mn=2.8、インヘレント粘度=0.156(MEK)、Tg=75.6℃(DSC)であった。分析値は、C=44.24、H=3.99、F=36.90であった。
【0116】
実施例11
TFE/ノルボルネン/エチレンターポリマー=P(TFE/NB/E)の合成
400mlのステンレススチールの圧力容器に、ノルボルネン14.1g(0.15モル)、CFC−113の100ml、Perkadox(登録商標)16Nの1.13gを仕込んだ。容器を閉めて窒素でパージし、冷却して脱気した後、エチレン4.2g(0.15モル)およびテトラフルオロエチレン45g(0.45モル)を仕込んだ。この容器を50℃まで加熱し、18時間振とうした。容器を室温まで冷却し、口をあけて、追加のCFC−113をすすぎに使って内容物を透き通った液体として回収した。このCFC−113溶液を過剰のメタノール中に加えて沈殿させ、ポリマーを単離した。この固体を濾過し、約65℃の真空炉で一晩乾燥させた。白色ポリマー33.8g(53%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=18600、Mn=8600、Mw/Mn=2.17、インヘレント粘度=0.0892(MEK)、Tg=92.1℃であった。分析値は、C=50.15、H=4.73、F=39.91であった。
【0117】
実施例12
TFE/ノルボルネン/エチレンターポリマー=P(TFE/NB/E)の合成
ノルボルネン18.8g(0.20モル)、CFC−113の100ml、Perkadox(登録商標)16Nの1.5g、エチレン5.6g(0.20モル)およびテトラフルオロエチレン60g(0.60モル)を使用して、実施例11の手順にしたがった。生成混合物は乳状溶液で、これを過剰のメタノールに加えてポリマーを沈殿させた。白色ポリマー55.9g(66%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=22200、Mn=10300、Mw/Mn=2.15、インヘレント粘度=0.0940(MEK)、Tg=98.7℃であった。分析値は、C=47.80、H=4.39、F=42.79であった。
【0118】
実施例13
TFE/ノルボルネン/エチレンターポリマー=P(TFE/NB/E)の合成
ノルボルネン28.2g(0.20モル)、CFC−113の100ml、Perkadox(登録商標)16Nの1.5g、エチレン2.8g(0.10モル)およびテトラフルオロエチレン60g(0.60モル)を使用して、実施例11の手順にしたがった。生成混合物は透き通った溶液で、これを過剰のメタノールに加えてポリマーを沈殿させた。白色ポリマー41.0g(45%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=16400、Mn=7000、Mw/Mn=2.3、インヘレント粘度=0.0660(MEK)、Tg=131.9℃であった。分析値は、C=52.01、H=4.85、F=34.55であった。
【0119】
実施例14
TFE/ノルボルネン/エチレン/t−ブチルアクリレートテトラポリマー=P(TFE/NB/E/tBA)の合成
ノルボルネン23.5g(0.25モル)、t−ブチルアクリレート6.4g(0.05モル)、CFC−113の100ml、Perkadox(登録商標)16Nの1.5g、エチレン2.8g(0.10モル)およびテトラフルオロエチレン60g(0.60モル)を使用して、実施例11の手順にしたがった。生成混合物は透き通った溶液で、これを過剰のメタノールに加えてポリマーを沈殿させた。白色ポリマー35.8g(39%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=13700、Mn=7000、Mw/Mn=1.96、インヘレント粘度=0.0830(MEK)、Tg=108℃であった。分析値は、C=57.47、H=6.11、F=24.40であった。共鳴の重なり合いのために13CNMRによる完全なポリマー組成は測定できなかったが。しかしながら、112ppmから124ppm(CF2)のピークと80ppm(CH)のピークを対比した積分からTFE対t−ブチルアクリレートのモル比は3.0対1.0であることが見出された。
【0120】
実施例15
TFE/ノルボルネン/t−ブチルアクリレートターポリマー=P(TFE/NB/tBA)の合成
ノルボルネン33.9g(0.35モル)、t−ブチルアクリレート6.4g(0.05モル)、CFC−113の100ml、Perkadox(登録商標)16Nの1.5g、およびテトラフルオロエチレン60g(0.60モル)を使用して、実施例2の手順にしたがった。生成混合物は透き通った溶液で、これを過剰のメタノールに加えてポリマーを沈殿させた。白色ポリマー27.8g(28%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=11100、Mn=5600、Mw/Mn=1.99、インヘレント粘度=0.0462(MEK)、Tg=130℃であった。分析値は、C=60.39、H=6.72、F=28.00であった。13C NMR(δ,TCB)は、166から178(C=O)、112から124(CF2)、80(CH)、22から54(残りの炭素)。当てはまる共鳴の積分から、このポリマー組成物は、TFE36モル%、t−ブチルアクリレート17モル%およびノルボルネン47モル%であることがわかった。
【0121】
実施例16
TFE/ノルボルネン/t−ブチルアクリレートターポリマー=P(TFE/NB/tBA)の合成
ノルボルネン28.2g(0.30モル)、t−ブチルアクリレート12.8g(0.05モル)、CFC−113の100ml、Perkadox(登録商標)16Nの1.5g、およびテトラフルオロエチレン60g(0.60モル)を使用して、実施例2の手順にしたがった。生成混合物は透き通った溶液で、これを過剰のメタノールに加えてポリマーを沈殿させた。白色ポリマー28.8g(29%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=16100、Mn=7500、Mw/Mn=2.15、インヘレント粘度=0.0862(MEK)、Tg=115℃(DSC)であった。分析値は、C=62.32、H=7.53、F=18.98であった。13C NMR(δ,TCB)は、166〜178(C=O)、112から124(CF2)、80(CH)、22から54(残りの炭素)。当てはまる共鳴の積分から、このポリマー組成物は、TFE28モル%、t−ブチルアクリレート34モル%およびノルボルネン38モル%であることがわかった。
【0122】
実施例17
TFE/ノルボルネン/5−ノルボルネン−2−カルボン酸t−ブチルエステルターポリマー=P(TFE/NB/5−NB−2−CO2tBu)の合成
以下の手順を用いて、このポリマー合成用のコモノマーとして、5−ノルボルネン−2−カルボン酸t−ブチルエステルを調製した。300mlの1つ口丸底フラスコにクラッキングしたばかりのシクロペンタジエン(15.5g、230ミリモル)とt−ブチルアクリレート(29.4g、229ミリモル)のキシレン(85g)溶液を加えた。反応混合物を、窒素雰囲気のもと、還流温度で8時間加熱し、生成物を次にスピニングバンド蒸留カラム(0.4mmHg〜0.5mmHgで沸点44℃〜46℃)を用いて分別蒸留した。5−ノルボルネン−2−カルボン酸t−ブチルエステルの収量は30g(67%)であった。
【0123】
ノルボルネン37.6g(0.40モル)、5−ノルボルネン−2−カルボン酸t−ブチルエステル19.4g(0.10モル)、Perkadox(登録商標)16N1.6g、CFC−113の120ml、およびTFE50g(0.50モル)を使用して、実施例2の重合手順にしたがった。生成混合物は透き通った溶液で、これを過剰のメタノールに加えてポリマーを沈殿させた。白色ポリマー18.6g(17%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=4300、Mn=2300、Mw/Mn=1.9、インヘレント粘度=0.040(MEK)、Tg=171℃であった。分析値は、C=59.26、H=6.00、F=29.16であった。当てはまる13C NMR共鳴の積分から、このポリマー組成物は、TFE42モル%、5−ノルボルネン−2−カルボン酸t−ブチルエステル17モル%およびノルボルネン41モル%であることがわかった。
【0124】
実施例18
TFE/ノルボルネン/5−ノルボルネン−2−カルボン酸ターポリマー=P(TFE/NB/5−NB−2−CO2H)の合成
ノルボルネン37.6g(0.40モル)、5−ノルボルネン−2−カルボン酸13.8g(0.10モル)、CFC−113の120ml、Perkadox(登録商標)16N1.6g、およびTFE50g(0.50モル)を使用して、実施例2の手順にしたがった。生成混合物は透き通った溶液で、これを元の容積の約2/3まで真空で濃縮し、過剰のメタノールに加えてポリマーを沈殿させた。この白色固体をいくらかのメタノールで洗浄し乾燥した。白色ポリマー6.8g(6.7%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=3800、Mn=2400、Mw/Mn=1.6、インヘレント粘度=0.0373(MEK)、Tg=166℃であった。分析値は、C=58.07、H=5.59、F=30.73であった。当てはまる13C NMR共鳴の積分から、このポリマー組成物は、TFE41モル%、5−ノルボルネン−2−カルボン酸8モル%およびノルボルネン51モル%であることがわかった。
【0125】
実施例19
TFE/ノルボルネン/アクリル酸ターポリマー=P(TFE/NB/AA)の合成
ノルボルネン37.6g(0.040モル)、アクリル酸7.2g(0.10モル)、Perkadox(登録商標)16N1.5g、CFC−113の100ml、およびTFE50g(0.50モル)を使用して、実施例2の手順にしたがった。生成混合物は、透き通った液体と下部には濁った液体と表面には白色固体とからなっていた。よくかき混ぜた混合物を少量づつ過剰のヘキサン中に加えてポリマーを沈殿させた。白色ポリマー18.9g(20%)が単離され、GPC(MEK)によるMw=9700、Mn=5300、Mw/Mn=1.8、インヘレント粘度=0.157(MEK)、Tg=165.3℃であった。分析値は、C=58.60、H=6.20、F=18.95であった。
【0126】
実施例20
TFE/1−アダマンタンカルボキシレートビニルエステルジポリマー=P(TFE/1−AdCO2CH=CH2)の合成
1−アダマンタンカルボキシレートビニルエステルの合成法については、S.Nozakura等による論文、J.Polym.Sci.,Polym.Chem.Ed.,Vol.11,pp.1043−11051 (1973) に記載されている。この化合物は、F.J.Wallerの米国特許第5,214,172号(1993)に開示されている手順にしたがって、1−アダマンタンカルボン酸(アルドリッチケミカルカンパニー)と酢酸ビニルから、ビピリジンパラジウム二酢酸塩とエチルベンゼンスルホン酸の触媒を使用して調製した。
【0127】
200mlのステンレススチール製圧力容器に、1−アダマンタンカルボン酸ビニルエステル8.2g(0.04モル)、t−ブタノール40ml、酢酸メチル20ml、および、Vazo(登録商標)52の0.1gを仕込んだ。この容器を閉じて、窒素でパージし、冷却、脱気した後、テトラフルオロエチレン6g(0.06モル)を仕込んだ。容器の内容物を50℃で18時間撹拌した。この容器を室温まで冷却し口を開けた。容器の内容物をアセトンをすすぎに使ってガラスジャーに移した。生成物の混合物はゴム状の固体を含有し濁った溶液であった。この混合物を過剰のメタノールに加え、沈殿した白色固体を濾別し、真空炉で一夜乾燥した。白色ポリマー3.7g(26%)が単離され、GPC(THF)によるMw=48700、Mn=23400、Mw/Mn=2.08、Tg=151℃であった。分析値は、C=63.85、H=6.98、F=16.82であった。C%分析からポリマーの組成は、TFEが38モル%、アダマンタンカルボン酸ビニルエステルが62モル%と計算された。
【0128】
実施例21
TFE/ノルボルネン/ビニルアルコールターポリマー=P(TFE/NB/VOH)の合成
実施例8で調製したポリマーの20g分をTHF200mlにかき混ぜながら溶解し、約60℃まで加熱した。水酸化ナトリウムのペレット5gを水15mlとメタノール15ml中に入れた溶液を分割しながら0.5時間かけて添加した。得られた溶液をゆるく還流させて4時間加熱した。室温で一夜放置した後、この溶液を過剰の1N塩酸水溶液と氷の中に加えた。沈殿したポリマーを濾過し、いくらかの水で洗浄し、窒素パージした真空炉中70℃〜75℃で一夜乾燥した。白色ポリマー16.7gが単離され、GPC(THF)によるMw=11700、Mn=3600、Mw/Mn=3.25、インヘレント粘度=0.0901(THF)、Tg=115.8℃であった。分析値は、C=52.92、H=5.34、F=33.52であった。
【0129】
実施例22
プラズマエッチング速度の測定
ポリマー試料をPGMEAまたはクロロベンゼンに溶解し、シリコンウェーハに3000rpmで1分間スピン塗装し、塗装したウェーハは次にホットプレート上で90℃にて50秒の焼き付けを行った。スピン塗装したポリマーのプラズマエッチング耐性を、次にCF4/O2プラズマ(圧力=150mTorr(約20Pa)、CF4/O2=40/7.1sccm、電源=300W、483V直流バイアス)に暴露して評価した。プラズマエッチングの速度は、塗装したウェーハ部分を顕微鏡のスライドまたはカバーグラスで保護し、ウェーハを次にCF4/O2プラズマに一定時間暴露し、保護してないレジスト対ガラススライドで保護したレジストの厚さの変化を、先端に5μの探針がついたアルファ−ステップ200型スタイラスプロフィルメーターを使用して測定した。このエッチング速度は、大抵、2つの異なる暴露時間(例えば、1.5分および3.0分)で測定し若干異なることがわかった。比較の目的で、2つの異なる暴露時間において市販のノボラック樹脂(Borden Inc.)に対して得られた結果を含めた。ノボラックと対比して報告したエッチング速度は、2つのノボラックエッチング速度で「良い方」(すなわち、1716Å/min)を使用している。
【0130】
【表1】

【0131】
実施例23
248nmおよび193nmにおける光透明度の測定
実施例2からのP(TFE/NB)コポリマーおよび実施例17からのP(TFE/NB/NB−CO2tBu)ターポリマーのフィルムを、クロロベンゼンの溶液にして、石英基板に3500rpm〜5500rpmの速度でスピン塗装し、そして紫外線を強く吸収する残留溶媒(クロロベンゼン)を除去するために、100℃の真空炉で16時間乾燥した。フィルム厚さは、フィルムを回転した速度とは無関係に、約2μmであった。2つのフィルムのUV吸光度スペクトル(μm-1)は、図1に示した。両樹脂の光学吸収は248nmでは無視できる。両樹脂とも193nmでも非常に低い吸収性を有し(フィルム厚さ1μm当たり0.2より小)、この程度であればそれらおよび/または関連する材料をこの波長でホトレジストとして使用することが可能であろう。
【0132】
実施例24
固形分量を32.3%にしてホトレジスト組成物を作製し、以下にまとめたようにした。
【0133】
成分 重量(g)
(実施例15からのコポリマー)
TFE/NB/tBA=36/47/17(モル%) 9.9
クロロベンゼン 19.5
混合トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩:
4−チオフェノキシフェニルジフェニルスルホニウム
ヘキサフルオロアンチモネートおよびビス(4−
(ジフェニルスルフォニオ)−フェニル)−スルフィド−
ビス−ヘキサフルオロアンチモネートを混合したもの
[Sartomer SarCat(商標)CD−1010、
50%固形分の炭酸プロピレン溶液、
Sartomer Co.,Exton,PA] 1.2
メチルエチルケトン(MEK) 2.0
【0134】
この溶液を、一夜マグネティックスターラーでかき混ぜた。スピン塗装は、スピンコーター/ホットプレートが組み合わせになっているブルワーサイエンスインク(Brewer Science Inc.)のModel−100CBを用い、直径6インチ(約15cm)のシリコンウェーハ、「P」型、配向1.00、上に行った。現像は、リソテックジャッパン(Litho Tech Japan)のレジストディベロプメントアナライザー(Resist Development Analyzer)(RDA−790)で行った。
【0135】
ウェーハは、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)のプライマー6.0mlをたらし、1000rpmで5秒間回転させて調製した。続いて、上記の溶液6.0mlをたらし、4500rpmで60秒回転させ、90℃で60秒間焼き付けた。塗膜を、オーリエル(ORIEL)82421型ソーラーシミュレーター(Solar Simulator)(1000ワット)によって、幅広のUV光(350nm〜450nm)に15秒間像露光した。これが19.7mJ/cm2の線量を与え、その後石英によるUVホトマスク(マスクした部分のUV光をUV全体にわたって遮断する効果のあるマスク)を通して90℃で90秒間焼き付けた。画像形成した塗膜をTMAH溶液(ONKA NMD−3、TMAHが2.38重量%)中で23℃、15秒間現像し、ポジの画像を与えた。
【0136】
実施例25
クロロベンゼン中33%の固形分量にして、塗装溶液たるホトレジスト組成物を作製する。この組成物の固形物成分は、実施例15のP(TFE/NB/tBA)(70.5グラム)と、t−ブチルデオキシコレート(28グラム)ならびにトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート(1.5グラム)である。このレジスト溶液は、直径が6インチ(約15cm)のシリコンウェーハにスピン塗装し、150℃で乾燥する。このレジストは、193nmのUV光を5mJ/cm2のレベルで出力するArFレーザーを用いてディジタル方式で画像形成し、次いで90℃で90秒間焼付けする。こうして得られた像露光したレジスト試料は、次に、0.262Nの水酸化テトラブチルアンモニウムを用いる現像に1分間かける。現像によって、UV露光したレジスト部分は除去され、一方UV未露光部分は残留することになり、それによって高解像度および高いコントラストをもつポジ加工レジストのレリーフ像を与える。
【0137】
実施例26
本実施例は、P(TFE/NB/tBA)の代わりに、実施例17のP(TFE/NB/5−NB−2−CO2tBu)を使用する以外は実施例25と同じである。このポジ加工レジストのレリーフ像が高解像度および高いコントラストで得られる。
【0138】
実施例27
TFE36モル%、t−ブチルアクリレート17モル%、アクリル酸10モル%、およびノルボルネン37%の組成を持つP(TFE/NB/tBA/AA)コポリマーを、実施例15で行ったものと概略同じ手順にしたがって、TFE、tBA、AAおよびNBの4つのコモノマーを使用して合成する。本実施例は、P(TFE/NB/tBA)の代わりに、P(TFE/NB/tBA/AA)を使用する以外は実施例25と同じである。高解像度および高いコントラストをもつこのポジ加工レジストのレリーフ像が結果として得られる。
【0139】
実施例28〜30
これらの実施例は、それぞれの実施例において(193nmUV光ではなくて)5mJ/cm2量のF2エキシマーレーザーからの157nmUV光を使用して画像形成を果たすこと以外は、実施例25〜27と同様であり且つ対応する。高解像度および高いコントラストをもつこのポジ加工レジストのレリーフ像が結果として得られる。
【0140】
実施例31
本実施例は、TFE/NB/tBAコポリマーを含むレジストを用いるシリコンウェーハのネガ加工の画像形成を説明するものであり、このレジストは有機溶媒で現像する。
【0141】
成分 重量(グラム)
(実施例15および16からのコポリマーと同様にして調製したコポリマー)
TFE/NB/tBA=22/36/42(モル%) 2.6
プロピレングリコールメチルエーテル酢酸エステル(PGMEA) 8.3
0.45μのPTFE製注射器フィルターで濾過した
サートマーサーキャット(Sartomer SarCat)
CD−1012のPGMEA5%(重量)溶液 2.8
[サーキャットCD−1012は、固体のジアリール
ヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩−
[4−(2−ヒドロキシ−1−テトラデシルオキシ)フェニル]
フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートである]
【0142】
上記の組成物を混合し、得られた溶液を、マグネティックスターラーで一夜かき混ぜた。スピン塗装は、スピンコーター/ホットプレートが組み合わせになっているブルワーサイエンスインク(Brewer Science Inc.)のModel−100CBを用い、直径5インチ(約13cm)のシリコンウェーハ、「P」型、配向1.00、上に行った。このシリコンウェーハは、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)のプライマー6.0mlをたらし、1000rpmで5秒間、次いで3500rpmで10秒間回転させて調製した。続いて、上記の溶液6.0mlをたらし、2000rpmで60秒回転させ、110℃で60秒間焼き付けた。オーリエル(ORIEL)82421型ソーラーシミュレーター(Solar Simulator)(1000ワット)からの幅広のUV光を、248nmのところでエネルギーの約30%を通過する248nm干渉フィルターを通過させて得た248nmの光に、塗装したウェーハの半分を60秒間露光した。このウェーハを次に110℃で120秒間焼き付けた。そのウェーハを雰囲気温度のクロロベンゼンに60秒間浸して現像し、ネガ加工画像の生成を得た(すなわち、塗装ウェーハのうち248nmの光を露光した部分は、現像液に不溶でウェーハ上に残留し、一方、塗装ウェーハのうち248nmの光を露光してない部分は、現像液に可溶/分散性で現像が進行している間に除去され、その結果ネガ加工の画像が生成した)。
【0143】
実施例32
本実施例は、TFE/NB/tBAコポリマーを含むレジストを用いるシリコンウェーハのネガ加工の画像形成をさらに説明するものであり、このレジストは有機溶媒で現像する。
【0144】
成分 重量(グラム)
(実施例15および16からのコポリマーと同様にして調製したコポリマー)
TFE/NB/tBA=20/51/29(モル%) 3.8
シクロヘキサノン 12.1
0.45μのPTFE製注射器フィルターで濾過した
サートマーサーキャット(Sartomer SarCat)
CD−1012のシクロヘキサン5%(重量)溶液 4.1
[サーキャットCD−1012は、固体のジアリールヨードニウムヘキサフルオロアンチモン酸塩−[4−(2−ヒドロキシ−1−テトラデシルオキシ)フェニル]フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートである]
【0145】
上記の成分を混合し、得られた溶液を、クロロベンゼン中の現像も含めて、実施例31と同様にして処理した。クロロベンゼン中の現像により、ネガ加工画像の生成を得た。
【0146】
実施例33
テトラフルオロエチレン(TFE)とt−ブチルアクリレート(tBA)と下に示す部分フッ素化二環式コモノマー「A」が45/5/50(モル%)のコポリマーを、実施例15で行ったものと概略同じ手順にしたがって合成する。このコポリマーは、これを25重量%溶液になるようにクロロベンゼン溶媒中に溶解し、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートである光酸発生剤1重量%(コポリマーに対して)を加えることによって調合しホトレジストとする。このレジスト溶液を、直径6インチ(約15cm)のシリコンウェーハにスピン塗装し、150℃で乾燥する。このレジスト組成物を193nmのUV光に(ArFレーザから5mJ/cm2のレベルで)マスクを通して露光する。露光したウェーハを次に90℃で90秒間焼き付け、続いて4000psi(約281.2kg/cm2)の圧力と80℃の臨界二酸化炭素中に10分間入れて現像する。現像すると未露光部分が除去され、一方UV露光部分が残留し、それによって高解像度および高いコントラストのネガ加工像が与えられる。
【0147】
【化23】

【0148】
コモノマーAは、ペリフルオロプロピルビニルエーテル(1当量)とノルボルナジエン(4当量)を、密閉した金属圧力容器内で、190℃で24時間反応させて調製する。液状生成物をスピニングバンド蒸留にかけて精製し、純粋な二環式コモノマーAの留分(99mmにおいて118℃の沸点を有する)を取る。
【0149】
実施例34
実施例33から得たレジスト溶液を、直径6インチ(約15cm)のシリコンウェーハにスピン塗装し、150℃で乾燥する。このレジスト組成物を193nmのUV光に(ArFレーザーから5mJ/cm2のレベルで)マスクを通して露光する。露光したウェーハを次に90℃で90秒間焼き付け、続いて、CF3CFHCFHCF2CF3(VertrelXF(登録商標)、デラウェア州ウィルミントンのイーアイデュポンドゥヌムールアンドカンパニーからの市販)中、25℃で1分間現像する。現像すると未露光部分が除去され、一方UV露光部分が残留することにより、このネガ加工ホトレジストから高解像度および高いコントラストの像が与えられる。
【0150】
実施例35
1−アダマンタンメチルビニルエーテルの合成
1−アダマンタンメタノール(71g、0.43モル)(アルドリッチケミカルカンパニー)と酢酸第二水銀1.0gのエチルビニルエーテル150g中の懸濁液を窒素下で一夜還流した。得られた混合物を0.5mmおよび50℃で固体になるまで濃縮した。この固体を酢酸第二水銀1.0gと共にエチルビニルエーテル150g中に懸濁し、約72時間還流して透明な溶液とした。これを上のように濃縮し、別のエチルビニルエーテル150g分と混ぜて一夜還流した。この溶液を上のように濃縮した。残留物をヘキサン250mlに溶解し、炭酸カリウム5%水溶液2×50mlで洗浄した。このヘキサン溶液を硫酸マグネシウム上で乾燥、濾過し、そして水素化カルシウム1.5gで処理して残留していたアルコールをすべて不揮発性の塩に転化した。その溶液をロータリーエバポレーターにより濃縮し、残留物をクーゲルロール(Kugelrohr)装置中0.5mmおよび65℃〜75℃で蒸留し、mp41℃〜42℃の白色固体67.2g(81%)を得た。1HNMR(δ,CD2CL2)は、1.5(s)、1.6(m)および1.8(m)(15H)、3.2(s、2H)、3.9(d、1H)、4.1(d、1H)、6.5(dd、1H)。分析結果は、C1320Oの計算値がC=81.20%、H=10.48%、O=8.32%に対し実測値はC=81.22%、H=9.85%、O=8.07%であった。
【0151】
実施例36
2−ノルボルナンメチルビニルエーテルの合成
コンデンサー、熱電対、マグネチックスターラーを備えた乾燥した1リットル丸底フラスコを窒素置換し、2−ノルボルナンメタノール(アルドリッチケミカルカンパニー)76.8g(0.61モル)と、エチルビニルエーテル(アルドリッチケミカルカンパニー)93.6g(1.3モル)と、酢酸第二水銀2.23gとを仕込んだ。得られた混合物を48時間還流するままに維持した。過剰のエチルビニルエーテルを減圧下で蒸発させた。残留物をヘキサンに溶かし5.5×35cmのシリカゲルカラムを通してヘキサンで溶出した。所望の留分を合わせて減圧下で濃縮した。残ったものをクーゲルロール(Kugelrohr)装置中0.1mmの圧および45℃で蒸留し、無色の液体49g(53%)を得た。1HNMR(δ,CD2CL2)は、0.56〜3.6(複雑な多重線、13H)、3.98(d、1H)、4.21(d、1H)、6.47(dd、1H)。分析結果は、C1016Oの計算値がC=78.90、H=10.59、O=10.51であり、実測値はC=78.70%、H=10.67%、O=10.21%であった。
【0152】
実施例37
TFE/1−アダマンタンメチルビニルエーテルコポリマー=P(TFE/AdVE)の合成
1−アダマンタンメチルビニルエーテル19.0g(0.10モル)と、炭酸カリウム0.1gと、t−ブタノール60mlと、Vazo(登録商標)52の0.3gと、TFE15g(0.15モル)とを用いて実施例20の手順にしたがった。濁った液体中に白色の固体が生成した。この液体をデカンテーションして固体をTHF200mlに溶解した。このTHF溶液を過剰のメタノールにゆっくり加えてポリマーを沈殿させた。この白色固体を濾過し、メタノールで洗浄し、そして室温の真空炉中で一夜乾燥した。白色ポリマー21.1g(62%)が単離され、GPC(THF)によるMn=37300、Mw=240600、Mw/Mn=6.5、Tg=121.4℃であった。分析:実測値は、C=61.04、H=6.69、F=22.32%であった。炭素の百分率からこのポリマーは、TFE51モル%と、AdVE49モル%と計算された。
【0153】
実施例38
TFE/2−ノルボルナンメチルビニルエーテルコポリマー=P(TFE/NbVエーテル)の合成
2−ノルボルナンメチルビニルエーテル15.2g(0.10モル)と、炭酸カリウム0.1gと、t−ブタノール60mlと、Vazo(登録商標)52の0.3gと、TFE15g(0.15モル)とを用いて実施例20の手順にしたがった。濁った液体中に白色の固体が生成した。この液体をデカンテーションして固体をTHF150mlに溶解した。このTHF溶液を過剰のメタノールにゆっくり加えてポリマーを沈殿させた。この白色固体を濾過し、メタノールで洗浄し、室温の真空炉中で一夜乾燥した。白色ポリマー23.7g(74%)が単離され、GPC(THF)によるMn=57400、Mw=247000、Mw/Mn=4.3、Tg=66℃であった。分析;実測値は、C=56.57%、H=6.32、F=23.97%であった。炭素の百分率からこのポリマーは、TFE51モル%と、AdVE49モル%と計算された。
【0154】
実施例39
TFEとノルボルネンと
【0155】
【化24】

【0156】
の共重合
【0157】
200mlの圧力容器に、ノルボルネン14.1g(0.15モル)と、ヘキサフルオロイソプロパノール置換ノルボルネン45.6g(0.15モル)と、1,1,2−トリクロロトリフルオロエタン75mlと、Perkadox(登録商標)16Nの1.2gとを仕込んだ。この容器を密閉し、ドライアイスで冷却し、空気を抜いて、テトラフルオロエチレン45g(0.45モル)を仕込んだ。容器の内容物を撹拌しながら50℃まで加熱し、18時間持続した。容器を室温まで冷却し、口を開けた。このポリマー溶液を過剰のヘキサンにゆっくりと加えた。沈殿物を約50℃の真空炉で乾燥するとポリマーは3.5gとなった。1HNMR(δ,THF−d8)は、0.6〜4.0(複合パターン)。19F NMR(δ,THF−d8)は、−78.8(s、CF3基)、−100〜−125(m、CF2)。19F吸収の積分比から、ポリマー中のテトラフルオロエチレン単位とヘキサフルオロイソプロパノール置換ノルボルネンの反復単位とのモル比は、1.76:1であると判定された。
【0158】
実施例40
157nmにおける光学透明度の測定
下記表に示した各ポリマー試料をスピン塗装したフィルム試料を用いて、157nmにおける光学透明度のデータを測定した。各フィルム試料に対して、フィルム厚1ミクロン当たりの吸光度を測定し、下記の表にABS/MICRON@157NMとして示した。コポリマーの組成は、表示した順序で各コモノマーのモルパーセントを以下に示した。
【0159】
【表2】

【0160】
実施例41
157nmにおける光学透明度の測定
下記表に示した各ポリマー試料をスピン塗装したフィルム試料を用いて、157nmにおける光学透明度のデータを測定した。各フィルム試料に対して、フィルム厚1μm当たりの吸光度を測定し、下記の表にABS/MICRON@157NMとして示した。コポリマーの組成は、表示した順序で各コモノマーのモルパーセントを以下に示した。
【0161】
実施例 ポリマー ABS/MICRON@157NM
37 P(TFE/AdVE)(51:49) 2.1
【0162】
実施例42
TFE/1−アダマンタンメチルビニルエーテル/CH2=CHOCH2CH
2OCH2C(CF32OH/t−ブチルアクリレートテトラポリマーの合成
200mlの圧力容器に、1−アダマンタンメチルビニルエーテル15.4g(0.08モル)と、CH2=CHOCH2CH2OCH2C(CF32OH(このコモノマーのために用いた合成法は下に提供する)21.4g(0.08モル)と、t−ブチルアクリレート5.1g(0.04モル)と、炭酸カリウム0.5gと、t−ブタノール60mlと、イソプロパノール15mlとの溶液を仕込んだ。Vazo(登録商標)52(0.4g)を添加した。この容器を密閉し、窒素でパージし、ガス抜きし、そしてテトラフルオロエチレン24g(0.24モル)を仕込んだ。容器の内容物を50℃で18時間撹拌したところ、その間に内部圧が329psi(約2270kPa)から179psi(約1230kPa)まで低下した。容器を室温まで冷却し、開口して、アセトンをすすぎに使用して内容物を回収した。この混合物を濾過し、ロータリーエバポレーターにより初期容積の約60%まで濃縮し、12倍過剰のヘキサンにゆっくりと加えた。粘着性の沈殿物を集め、室温で空気乾燥した。それをTHF160mlに溶解し、この溶液をブレンダー中の過剰の冷水にゆっくりと加えて沈殿させた。沈殿したポリマーを集め、真空炉に入れて65℃〜70℃で一夜乾燥させた。収量はポリマーフォーム36.7g(56%)であった。GPC(THF)によるMn=59000、Mw=130300、Mw/Mn=2.21。1HNMR(δ,THF−d8)は、1.43(s、C(CH33)、1.5〜2.1(m、アダマンタン水素+t−ブチルアクリレートからのCH2CH)、2.3〜2.8(ブロード、ビニルエーテルモノマーからの主鎖CH2基)、3.2および3.35(m、AdCH2)、3.7(s、CH2C(CF32)、3.9(s、OCH2CH2O)、4.1〜4.4(m、ビニルエーテルからの主鎖CH)。19F NMR(δ,THF−d8)は、−75.7(s、CF3)、−108から−125(M、CF2)。NMRスペクトルで適合する共鳴の積分から、このポリマーは、およそ、TFE38モル%と、1−アダマンタンメチルビニルエーテル22モル%と、CH2=CHOCH2CH2OCH2C(CF32OH22モル%と、t−ブチルアクリレート17モル%とからなるものと計算された。分析:実測値はC=47.94、H=5.05、F=35.13である。
【0163】
CH2=CHOCH2CH2OCH2C(CF32OH(2)の合成 機械かくはん機と、コンデンサーと、添加漏斗を装着した乾燥した5リットルの丸底フラスコ内を窒素で置換し、95%水素化ナトリウム14.2g(0.59モル)と、無水DMF400mlを仕込んだ。この混合物を10℃まで冷却し、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル41.6g(0.47モル)を1/2時間かけて滴下しながら加えた。追加のDMF250mlを加え、1時間かきまぜた。1,1−ビス(トリフルオロメチル)エチレンオキシド(1,ヘキサフルオロイソブチレンエポキシド)(85g、0.47モル)を20℃〜23℃で1時間かけて加えた。得られた懸濁液を22時間かきまぜた。それを次に一口フラスコに移し、DMFの殆どを、0.1mm、29℃のロータリーエバポレーターにより除去した。残留物を水250mlに溶解し、溶液のpHが約8になるまで10%塩酸を注意しながら加えた。分離した油分を集め、水洗し、そして無水硫酸ナトリウムと炭酸カリウムの混合物上で乾燥した。混合物を濾過し、濾液をクーゲルロール(Kugelrohr)装置内で、0.5mm、50℃〜59℃で少量の無水炭酸カリウムから蒸留し、油分89g(71%)を得、炭酸カリウム上に保存し、化合物2であることを同定した。1HNMR(δ,C66)は、3.12(d、2H)、3.28(d、2H)、3.60(s、2H)、3.90(d、1H)、4.07(d、1H)、6.20(dd、1H)。19F NMR(δ,C66)は、−76.89(s)。
【0164】
実施例43
以下の溶液を調製し、マグネティックスターラーで一夜かきまぜた。
【0165】
成分 重量(グラム)
実施例42のTFEテトラポリマー 1.30
プロピレングリコールメチルエーテル酢酸エステル(PGMEA)12.1
t−ブチルリトコレート 0.45
シクロヘキサノンに溶解し、0.45μPTFE注射器フィルター
を通して濾過したトリフェニルスルホニウムトリフラートの
5%(重量)溶液 1.12
【0166】
上記溶液のスピン塗装を、スピンコーター/ホットプレートが組み合わせになっているブルワーサイエンスインク(Brewer Science Inc.)のModel−100CBを用い、直径4インチ(約10cm)のシリコンウェーハ、「P」型、配向1.00、上に行った。現像は、リソテックジャッパン(Litho Tech Japan)のレジストディベロプメントアナライザー(Resist Development Analyzer)(モデル−790)によって行った。
【0167】
ウェーハは、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)のプライマー6mlをたらし、1000rpmで5秒間、次いで3500rpmで10秒間回転させて調製した。続いて、0.45μPTFE注射器フィルターを通して濾過した後の上記の溶液6mlをたらし、5000rpmで60秒回転させ、120℃で60秒間焼き付けた。この塗装ウェーハを、オーリエル(ORIEL)82421型ソーラーシミュレーター(Solar Simulator)(1000ワット)からの幅広のUV光を、248nmのところでエネルギーの約30%を通過する248nm干渉フィルターを通過させて得た248nmの光に、露光した。露光時間は30秒で、様々な露光線量を可能にする中性光学密度の異なる場所を18有するマスクを通して、20.5mJ/cm2の線量を与えた。露光したウェーハを次いで120℃で120秒間焼き付けた。このウェーハをテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(ONKA NMD−W、TMAHが2.38重量%溶液)中で23℃、60秒間現像し、ポジの画像を与えた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素含有コポリマーであって、
(i)エチレン性不飽和炭素原子に共有結合している少なくとも1個のフッ素原子を含む少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物から誘導された反復単位と、
(ii)CH2=CHO2CR15、CH2=CHOCH215およびCH
2=CHOR15からなる群から誘導された反復単位であり、式中、R15は、炭素原子が約4個から約20個の飽和アルキル基であり、炭素原子対水素原子の比が0.58より大きいかまたは同じであるという条件付きで、1個または複数のエーテル酸素を任意で含有している反復単位と、
を含むことを特徴とするフッ素含有コポリマー。
【請求項2】
フッ素含有コポリマーであって、
(i)エチレン性不飽和炭素原子に共有結合している少なくとも1個のフッ素原子を含む少なくとも1個のエチレン性不飽和化合物から誘導された反復単位と、
(ii)構造式
【化25】

を有するコモノマーから誘導された反復単位であって、
式中、R16からR21は、R18からR21の少なくとも1つはCO2Aであるという条件付きで、各々独立に、水素原子、C1からC12のアルキル、(CH2qCO2A、CO2(CH2qCO2AまたはCO2Aであり、ただしqは1から12であり、Aは水素または保護酸基である反復単位と、
を含むことを特徴とするフッ素含有コポリマー。
【請求項3】
16からR20は水素であり、R21はAが水素または保護酸基であるCO2Aであることを特徴とする請求項2に記載のフッ素含有コポリマー。
【請求項4】
エチレン性不飽和炭素原子に共有結合している少なくとも1個のフッ素原子を含有する前記エチレン性不飽和化合物は、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、フッ化ビニル、ペルフルオロ−(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、ペルフルオロ−(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)、CF2=CFO(CF2tCF=CF2、(tは1または2である)、およびRfOCF=CF2(Rfは炭素原子1個から約10個の飽和フルオロアルキル基である)からなる群から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載のフッ素含有コポリマー。
【請求項5】
(a)フッ素原子、ペルフルオロアルキル基およびペルフルオロアルコキシ基からなる群から選択される少なくとも1個の原子または基を有する少なくとも1個の多環式エチレン性不飽和化合物から誘導された反復単位を含むフッ素含有コポリマーであり、少なくとも1個の原子または基は、環構造中に含有されており、少なくとも1個の共有結合している炭素原子によって、該エチレン性不飽和化合物の各エチレン性不飽和炭素原子から離れている炭素原子に共有結合していることを特徴とするフッ素含有コポリマーと、
(b)少なくとも1個の光活性成分と、
を含むホトレジストであって、前記フッ素含有コポリマーは芳香族官能基を含有せず、前記ホトレジストを、365nmより小さい波長を有する紫外線の像露光によりレリーフ像を生成するように現像可能にするのに十分な官能基を含有することを特徴とするホトレジスト。
【請求項6】
前記光活性成分を、光酸発生剤および光塩基発生剤からなる群から選択することを特徴とする請求項5に記載のホトレジスト。
【請求項7】
前記官能基を、カルボン酸および保護酸基からなる群から選択することを特徴とする請求項5に記載のホトレジスト。
【請求項8】
基板上にホトレジスト画像を作製する方法であって、順に、
(W)基板上にホトレジスト組成物を塗布する工程であって、前記ホトレジスト
組成物が
(a)フッ素原子、ペルフルオロアルキル基、およびペルフルオロアルコキシ基からなる群から選んだ少なくとも1個の原子または基を有する少なくとも1個の多環式エチレン性不飽和化合物から誘導された反復単位を含むフッ素含有コポリマーであり、少なくとも1個の原子または基は、環構造中に含まれており、少なくとも1個の共有結合している炭素原子によって、該エチレン性不飽和化合物の各エチレン性不飽和炭素原子から離れている炭素原子に共有結合していることを特徴とするコポリマーであって、前記フッ素含有コポリマーは芳香族官能基を含有せず、前記ホトレジストが365nmより小さい波長を有する紫外線の像露光によりレリーフ像を生成するように現像可能にするのに十分な官能基を含有するフッ素含有コポリマーと、
(b)少なくとも1個の光活性成分と、
(c)溶媒と、
を含む塗布する工程と、
(X)被覆したホトレジスト組成物を乾燥して本質的に溶媒を除去し、それによって基板上にホトレジスト層を形成する工程と、
(Y)ホトレジスト層を像露光して、画像領域と非画像領域を形成する工程と、
(Z)画像領域と非画像領域を有する露光したホトレジスト層を現像し、基板上にレリーフ像を形成する工程と、
を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−161770(P2009−161770A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−94338(P2009−94338)
【出願日】平成21年4月8日(2009.4.8)
【分割の表示】特願2000−571312(P2000−571312)の分割
【原出願日】平成11年9月21日(1999.9.21)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】