説明

フルオレン誘導体を含む電界発光材料

一般構造:B−S−A−S−BのOLED化合物において、棒状核Aは、縮合芳香族環構造を含んでおり、そしてこの縮合芳香族環構造は、少なくとも1つのさらなるフルオレン環構造と縮合されたフルオレン環構造を含んでおり、この縮合芳香族構造を構成するフルオレン環系は、9位で置換されており、このフルオレンの9位は、酸化に対して感受性がないことを特徴とするOLED化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界発光材料に関する。
【背景技術】
【0002】
一般式:

(式中、Aは、直線状芳香族分子核を表し、Sは、柔軟なスペーサー単位を表し、そしてBは、架橋基(例えば、メタクリレート基)を表す)の一部の反応性メソゲン(ポリマーマトリックスへと化学的に架橋されることができる液晶性材料)は、有機電子デバイスの製造において有用であり得ることが知られている。Bが光架橋性基である場合は特にそうである。なぜなら、そのときこの材料は、本質的にフォトレジストとして機能するからであり、すなわち、この材料の薄層が、光(特にUV光)のパターン形成露光によって有用な電子構造物へとパターン形成され得るからである。
【0003】
さらに、直線状芳香族核Aが本質的にルミネセンス性である場合、この反応性メソゲン材料は、電界発光デバイス(例えば、有機発光ダイオード(organic light emitting diodes:OLEDS)および有機ダイオードレーザー)中の活性発光層へとパターン形成され得る。
【0004】
このような材料の1つの例は、構造:

によって表わされる。ここで、核芳香族構造Aは、フルオレン環系:

が、2および7環位で芳香族(フェニルチエニル)基により置換され、9位で2つのアルキル基(この場合はn−プロピル基)により置換されたものである。B基は、この材料を架橋するのに有用な、ペンタ−1,4−ジエン−3−イル基である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
Aが9,9−ジアルキルフルオレン構造を含有する一般構造

の材料のこれまでに製造された全ての実用のOLEDデバイスは、残念ながら、低寿命であった。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明は、商業的に有用な寿命を有するその一般構造の材料を提供する。
【0007】
本発明は、一般構造:

のOLED化合物において、棒状核Aは、縮合芳香族環構造を含んでおり、そしてこの縮合芳香族環構造は、少なくとも1つのさらなるフルオレン環構造と縮合されたフルオレン環構造を含んでおり、この縮合芳香族構造を構成するフルオレン環系は、9位で置換されており、このフルオレンの9位は、酸化に対して感受性がないことを特徴とするOLED化合物を含む。
【0008】
好ましくは、その1つまたは複数のフルオレン環系のいずれもその9位に対するα位に水素がない。
【0009】
さらなるフッ素(fluorine)環系は、ベンゼン、ナフタレン、インデン、または他のフルオレン環系を含み得る。
【0010】
これらの材料において、Sは、単結合原子の鎖を含む柔軟なスペーサーを表し得る。この鎖は、アルキル鎖を含み得る。このアルキル鎖は、1個以上のヘテロ原子を含有し得る。
【0011】
Bは、架橋化学基を表し得、メタクリレート基、1,4−ペンタジエン−3−イル基、エタクリレート基、ビニルオキシ基、アルキルビニルオキシ基、エチルマレアト(ethylmaleato)基、エチルフマラト(ethylfumarato)基、N−マレイミド(maleimido)基、ビニルマレアト基、ビニルフマラト基、またはN−(2−ビニルオキシマレイミド)基であり得る。
【0012】
Aは、実質的に直線状の、共有結合鎖を表し得、一般式:

によって表わされる芳香族またはヘテロ芳香族ジラジカルの鎖であり得る。式中、Arは、各々、芳香族またはヘテロ芳香族ジラジカルから独立して選択され得、1,4−フェニレン、ビフェニル−4,4’−ジイル、テルフェン−4,4’’−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ペリレン−3,10−ジイル、ピレン−2,7−ジイル、2,2’−ジチオフェン−5,5’−ジイル、オキサゾール−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−2,6−ジイル、チアゾロ[5,4−d]チアゾール−2,5−ジイル、オキサゾロ[5,4−d]オキサゾール−2,5−ジイル、チアゾロ[5,4−d]オキサゾール−2,5−ジイル、チアゾロ[4,5−d]チアゾール−2,5−ジイル、オキサゾロ[4,5−d]オキサゾール−2,5−ジイル、チアゾロ[4,5−d]オキサゾール−2,5−ジイル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル、もしくはイミダゾ[4,5−d]イミダゾール−2,5−ジイルジラジカル、単結合を含み得、式:

を有するジラジカルを含み、式中、置換基

は、この構造の出現ごとに、以下のスピロまたは二環式スピロ基:



のうちの1つから独立して選択され得る。
【0013】
これらのスピロ二環式置換基およびスピロ置換基において、Rは、アルキル基であり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−アミル、3−アミル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−3−アミル、3−エチル−3−アミル、またはネオ−ペンチルから選択され得、そしてXは、=CH−、=N−から独立して選択され得る。
【0014】
Arはまた、ジラジカル:







からも選択され得、各Flは:


から独立して選択され得、ここで、置換基

は、独立して、上記からの構造10〜26のうちの1つであり得る。
【0015】
これらのスピロ二環式材料およびスピロ材料において、Rは、アルキル基であり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−アミル、3−アミル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−3−アミル、3−エチル−3−アミル、またはネオ−ペンチルから選択され得る。
【0016】
好ましくは、Aについての式中の下付き文字nは、1と6との間であり得、好ましくは3〜6であり、そしてXは、=CH−または=N−から選択され得る。
【0017】
上に示されたスピロ構造およびスピロ二環式構造が好ましいが、この基準を満たす他の置換基も可能である。例えば、縮合芳香族環系中のフルオレン環残基の1つ以上が、下に示されるとおりに置換され得:

ここで、Rは、フルオロ(トリフルオロメチル置換基を生じる)、分岐、環状、もしくは直鎖のアルキル基、いくつかのフッ素基で置換されたアルキル基、または1つ以上の炭素がヘテロ原子で置換されているアルキル基である。
【0018】
あるいは、縮合芳香族環系中のフルオレン環残基の1つ以上は、下に示される2つの例において示されるとおりに置換され得:

ここで、Rは、アルキル、フルオレン置換アルキル、分岐アルキル、環状アルキル、または1つ以上の炭素がヘテロ原子で置換されているアルキルであり、そして

は、上に示された例と同じ意味を有する。
【0019】
これらの本発明の材料の実施例構造は、以下である。



【0020】
本発明はまた、一般構造:

の発光材料または電荷輸送材料も含み、
ここで、Aは、一般式:

によって表わされる芳香族またはヘテロ芳香族ジラジカルの鎖を含む、実質的に剛性の、棒状分子核であり、
式中、Flは、フルオレン環上の9位で脂環式環系によりスピロ置換されたフルオレン−2,7−ジイルジラジカルを含み、この脂環式置換基は、フルオレン環系中の9位の炭素原子に直接隣接する2つの炭素原子上に置換水素を有さず、
式中、Arは、芳香族もしくはヘテロ芳香族ジラジカルまたは単結合から独立して選択され、
そしてSは、柔軟なスペーサー単位である。
【0021】
この材料は、液晶性であり得る。
【0022】
「n」は、1と10との間であり得る。
【0023】
この材料は、ポリマーであり得る。
【0024】
本発明はまた、一般構造:

の発光ポリマーまたは電荷輸送ポリマーも含み、ここで、Aは、一般式:

によって表わされる芳香族またはヘテロ芳香族ジラジカルの鎖を含む、実質的に直線状の、共有結合鎖である。
【0025】
式中、Arは、各々、芳香族またはヘテロ芳香族ジラジカルから独立して選択され得、1,4−フェニレン、ビフェニル−4,4’−ジイル、テルフェン−4,4’’−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ペリレン−3,10−ジイル、ピレン−2,7−ジイル、2,2’−ジチオフェン−5,5’−ジイル、オキサゾール−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−2,6−ジイル、チアゾロ[5,4−d]チアゾール−2,5−ジイル、オキサゾロ[5,4−d]オキサゾール−2,5−ジイル、チアゾロ[5,4−d]オキサゾール−2,5−ジイル、チアゾロ[4,5−d]チアゾール−2,5−ジイル、オキサゾロ[4,5−d]オキサゾール−2,5−ジイル、チアゾロ[4,5−d]オキサゾール−2,5−ジイル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4,7−ジイル、もしくはイミダゾ[4,5−d]イミダゾール−2,5−ジイルジラジカル、単結合を含み得、式:

を有するジラジカルを含み、式中、置換基

は、この構造の出現ごとに、以下のスピロまたは二環式スピロ基:



のうちの1つから独立して選択され得る。
【0026】
これらのスピロ二環式置換基およびスピロ置換基において、Rは、アルキル基であり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−アミル、3−アミル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−3−アミル、3−エチル−3−アミル、またはネオ−ペンチルから選択され得、そしてXは、=CH−、=N−から独立して選択され得る。
【0027】
Arはまた、ジラジカル:






からも選択され得、各Flは:


から独立して選択され得、ここで、置換基

は、独立して、上記からの構造10〜26のうちの1つであり得る。
【0028】
これらのスピロ二環式材料およびスピロ材料において、Rは、アルキル基であり、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−アミル、3−アミル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−3−アミル、3−エチル−3−アミル、またはネオ−ペンチルから選択され得る。
【0029】
好ましくは、Aについての式中の下付き文字nは、1と6との間であり得、好ましくは3〜6であり、そしてXは、=CH−または=N−から選択され得る。ここで、Tは、ポリマー鎖末端単位である。
【0030】
Tは、水素、ハロゲン、アリール、またはシアノ、ヒドロキシル、グリシジルエーテル、アクリレートエステル、メタクリレートエステル、エテニル、エチニル、マレイミド、ナジイミド(nadimide)、トリアルキルシロキシ、もしくはトリフルオロビニルエーテル部分で置換されているアリールから独立して選択され得る。
【0031】
上記の材料の3次元モデルは、フルオレンの9位が直鎖アルキル基で置換された類似の材料と同様、それらも嵩高くないことを示す。したがって、これらの材料におけるネマチック相は、これまでの材料におけると同程度に安定であるはずである。
【0032】
上記の材料の好ましい実施形態は、全てのR基がアルキルである実施形態である。これは、こうした材料が、フルオレン環系に対するα位に水素置換基を有さないからである。これらの位置にある水素は、少なくとも部分的に性質がベンジル性であり、9位における酸化に関わると考えられる。また、これらの好ましい完全にアルキル置換された材料において、この9位は、反応性化学種による侵食に対する最大の立体シールドを有する。
【0033】
また、スピロ[シクロペンタン−1,9’−フルオレン]−2’,7’ジイル(構造22)、スピロ[シクロヘキサン−1,9’−フルオレン]−2’,7’ジイル(構造23)、スピロ[シクロヘプタン−1,9’−フルオレン]−2’,7’ジイル(構造24)、スピロ[ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−7,9’−フルオレン]−2’,7’ジイル(構造10)、またはスピロ[ビシクロ[3,3,1]ノナン−9,9’−フルオレン]−2’,7’ジイル(構造11)ジラジカルが、それらの対称性および合成の容易性ゆえに、本発明の一般式におけるFl単位として選択されることも好ましい。
【0034】
なおさらに、全てのR置換基が同じであることが好ましい。これは、R置換基が異なる分子は、これらの材料に要求される電子レベルでの精製を複雑にする、位置異性または立体異性を示すであろうからである。
【0035】
構造10〜26を有するジラジカルFlを含有する本発明の化合物は、フルオレン環構造にその9位で連結された脂環式環および二脂環式環上の複数の位置(R基で既に置換されている位置以外)でさらに置換され得る。しかしながら、こうした他の位置に置換基を有する化合物は、それらの精製を複雑にする幾何異性または立体異性の可能性のため、好ましさは劣る。1つの例外は、構造

を有し、ここで、Rが上記のとおりであり、かつR’が好ましくは鎖長がCH−からC11−までのアルキルから選択される化合物は有用であることである。
【0036】
Aについての式中の下付き文字nが3と6との間である本発明のエミッタ材料が好ましい。より小さいnの値は、より低い発光効率を有する分子につながる。より大きいnの値は、合成がより困難な、かつ/または精製がより困難な分子につながる。
【0037】
本発明に従う材料は、一緒に混合されて液晶性混合物を形成し得る。これは、その材料の特性を最適化する観点から非常に有利であり得る。例えば、本発明の個々の化合物は、それらの融点よりはるかに低い、液晶−等方性液体転移温度(モノトロピック液晶相)を有し得る。デバイス製造用途において、これは、薄膜内での結晶化およびそれに続く有用な電子特性の破壊の危険につながるのに十分なほど熱力学的に不安定な材料のガラス質または過冷却液体の薄膜につながり得る。複数の構成化合物を一緒に混合することで、結果として生じる混合物の融点を液晶−等方性液体転移温度より下に下げ得るか、または少なくともこの問題を解消するのに十分なほど結晶化を抑制し得る。
【0038】
本発明の材料の混合物を使用することの別の利点は、そうすることで、たとえある材料がそれを純粋な材料として使用できなくする特定の特性を有していても、さもなければ非常に有用なデバイス用途特性を有するその材料の使用を可能にし得ることである。例えば、ネマチック液晶構造を有する発光ポリマー薄膜の調製が望まれることがあり得る。本発明の化合物は、非常に高い効率を有する発光材料であり、他の有用な特性を有し得るが、同時にネマチック液晶相ではなくスメクチック液晶相を有することが判明し得る。当該望ましい化合物を、ネマチック相を有する本発明の他の化合物の混合物中に溶解させることにより、ネマチック相構造と組み合わされたその最初の非常に望ましい材料の発光特性を有する混合物が生じ得る。
【0039】
有機ルミネセンス材料による発光の自己吸収を低減することもまた、多くの場合に望ましい。この自己吸収は、有機ルミネセンス材料のスペクトル吸収帯および放出帯が、種々の材料で多かれ少なかれ重複しているために起こる。例えば色素レーザーの分野においてよく知られているこの問題に対する解決策は、ルミネセンス材料を、ルミネセンス溶質よりも短い波長の光を吸収するホスト中に溶解させることである。この溶液が例えば1〜2パーセントの希釈である場合、そのルミネセンス溶質の自己吸収はほぼ完全に抑制される。本発明の種々の化合物の容易な相互混和性は、この種の溶液の調製を非常に容易にする。
【0040】
有機発光デバイス用途においては、ホスト材料から溶質ルミネセンス材料への容易な励起エネルギー移動があることが必要である。これは、電荷担体(電子および正孔)が、ホスト媒体を通って輸送されて再結合して、光を放射する励起子(電気的に励起された分子軌道状態)を形成しなければならないからである。構成ホスト分子から主としてなる混合物において、この再結合および励起子形成は、ホスト分子内で主として起こる。次いで、励起子エネルギーは、ホスト分子からルミネセンス溶質分子内へと移動される必要がある。ホスト材料の1つもしくは複数のスペクトルルミネセンス放出帯がルミネセンス溶質の吸収帯と重複することが、このエネルギー移動に必要な条件である。したがって、本発明の重要な態様は、構成成分間にこのスペクトル関係を有する本発明の化合物の混合物の調製である。例えば、スペクトルの青色領域において放出する化合物28は、緑光エミッタである化合物27のためのホストとして機能し得る。化合物28中の5%化合物27の溶液のUV誘導架橋により調製されたポリマー薄膜は、純粋な27のUV架橋により調製された薄膜よりも著しく少ない、27により発せられる緑光の自己吸収を示すであろう。
【0041】
本発明の別の態様は、バランスのとれた、デバイスの電気的に活性な領域または層への正電荷担体および負電荷担体の輸送ならびに注入に関する。一例として、典型的な(先行技術の)OLEDの構成を図1に示す。このデバイスは、ガラス基板上に導電性インジウム−スズ酸化物薄膜として通常調製されるアノード110、正孔輸送層130への正孔の容易な注入を助ける正孔注入層120を含有する。本発明の場合の正孔輸送層130は、正孔についてのその高い移動度のために選択される本発明の化合物または本発明の化合物の混合物の重合薄膜である。このデバイスは、電子輸送層150へと電子を注入するカソード160からさらになる。カソード160と電子輸送層150との間には、任意選択の電子注入層(図示せず)があり得る。電子輸送層150および正孔輸送層130は、それぞれ電子および正孔を発光層140に注入し、ここでそれらは再結合して励起子を形成し、次いで光を形成する。本発明の電子輸送層150は、電子についてのその高い移動度のために選択される本発明の化合物または本発明の化合物の混合物の重合薄膜である。本発明の発光層もまた、本発明の化合物または本発明の化合物の混合物の重合薄膜である。
【0042】
電子輸送層150のさらなる機能は、140に注入された正孔が進み続けて140のもう一方の側に出てしまい、ついには非発光事象においてカソードの表面で電子と再結合してしまうのを防ぐことである。これを成し遂げるために、150の1つもしくは複数の材料は、発光層140のHOMO(最高被占分子軌道)エネルギーレベルと比較して極めて低いHOMOエネルギーレベルを有するように選択される。通常、140の材料についての真空下約5.25電子ボルト(ev)に対して、真空下約6.5evである。この結果、正孔が150に入るのを妨げる非常に高いエネルギー障壁が存在する。この種の電子輸送層材料は、正孔阻止性であると言われる。本発明の正孔阻止性の、電子輸送性反応性メソゲン材料は、

である。
【0043】
この材料は、

型に属すると理解され得、Aは、上記のとおりの構造

を有するが、Arは、ここでは3,4,5−トリアリール置換1,2,4−トリアゾール

を包含する。
【0044】
デバイス100の発光層140は、材料中の電子移動度および正孔移動度がほぼ同じである場合に最適に機能する。残念ながら、本発明に従う最も好ましい発光材料のほとんどは、電子移動度よりも著しく高い正孔移動度を有している。しかしながら、本発明の材料の混合物を生成する能力は、化合物37および類似の化合物が本発明の発光材料へとブレンドされて、実質的に等しい正孔移動度および電子移動度を有する混合物を形成するのを可能にする。次いで、この混合物は、UV曝露により重合されて、最適化された発光層を形成し得る。
【0045】
本発明の材料の混合物を使用することのさらに別の利点は、それが、イオン開始またはフリーラジカル開始に対するものとして、光開始される電子供与体−受容体相互作用が重合を開始するために使用される、反応性メソゲン材料の混合物の使用を可能にすることである。これは、メタクリレートベースの系におけるよりも(寿命に関して)さらにより安定な反応性メソゲン材料をもたらすと同時に、低いUV架橋フルエンスを維持する結果をもたらし得る。これらの混合物において、反応性メソゲン材料のうちの少なくとも1つは電子富有架橋基で置換されており、少なくとも1つの他の構成反応性メソゲン材料は電子不足架橋基で置換されている。材料への紫外線入射は、一部の反応性メソゲン分子上の電子不足架橋基を電子的に励起された状態へと促進する。次いで、この励起された状態の、電子不足架橋基は、他の反応性メソゲン分子上の電子富有(電子供与体)架橋基から電子を引き抜き、共重合架橋反応を開始する。このような光重合のやり方ついての記載は、例えば、「Photoinitiated radical polymerization of vinyl ether−maleate systems(ビニルエーテル−マレエート系の光開始ラジカル重合)」,Polymer 38,(9)pp.2229−37(1997);および「Co−Polymerization of Maleimides and Vinyl Ethers:A Structural Study(マレイミドおよびビニルエーテルの共重合:構造研究)」,Macromolecules 1998,(31)pp.5681−89において見出され得る。
【0046】
電子不足架橋基としては、マレイミド、マレエート、フマレート、および他の不飽和エステルが挙げられる。電子供与体基としては、ビニルエーテル、1−プロペニルエーテルおよび他の類似のアルケニルエーテルが挙げられる。これらなどの混合物は、個々の成分が熱的および光化学的に安定であり、優れた寿命を有する点で有利である。しかしながら、これらの材料が組み合わされる場合、この混合物は、高い光化学的感受性を有し、架橋のために比較的少ないUV放射線量しか必要としない。電子不足架橋基および電子供与体架橋基の両方を含有する本発明の反応性メソゲン混合物の1つの例は、化合物38および化合物39の50:50混合物である。この種類の混合物は、この例の場合と同じ分子核構造を有する成分を含有する必要はない。

【0047】
例示的なOLEDデバイス100は、次のとおりに製造され得る。インジウム−スズ酸化物被覆ガラス(30オーム/スクエア)の基板は、フォトレジストをその基板上にコーティングし、それにフォトマスクを介したUV露光でパターン形成し、その材料を現像し、次いでITOを20%HCl/5%HNOでエッチングするという標準的な方法で、画素またはマルチ画素パターンへとパターン形成される。フォトレジストを、ITOから剥離し;このITOを脱イオン水ですすぎ、次いで酸素プラズマで清浄にする。正孔注入層120は、H.C.Starck GmbHから入手可能なBaytron P(AI 4083)ポリエチレンジオキシチオフェンポリスチレンスルホネート(PEDT/PSS)の1.6%水溶液を、基板ガラス上のパターン形成されたITO上にスピンコーティングすることにより形成される。次いで、この基板は、120℃でベーキングされる。次に、正孔輸送層130を形成するために、クロロホルム中の化合物34の0.75%溶液が、PEDT/PSS上にスピンコーティングされる。この材料は50℃にて30分間乾燥され、90℃にて1分間アニールされる。次いで、この材料は、30ジュール/cmのフルエンスでアルゴンイオンレーザーからの351nmの放射を用いて光硬化される。次いで、発光層140が、0.40%化合物37、0.35%化合物35および0.05%化合物36からなるクロロホルム溶液を層130上にスピンコーティングすることにより形成される。この層は乾燥され、層130と同様にして架橋UV曝露に曝される。次に、電子輸送層150が、化合物37の0.75%クロロホルム溶液を層140上にスピンコーティングすることにより形成される。次いで、この層は乾燥され、先の層と同様にして光硬化される。最後に、アルミニウムカソードが層150上に真空蒸着され、図面に示されたデバイス100が得られる。
【0048】
先行技術の手法を用いることにより、図2に示されるとおり、液晶光整列材料(photoalignment material)をデバイス100に挿入することが可能である。この新規デバイス200において、正孔輸送光整列層210は、スピンコーティングされた液晶層中の分子の分子長軸を整列させ、この液晶層から光架橋により正孔注入層130が形成される。この130内の整列は、この層を構成するポリマーマトリックス内の液晶分子核単位の長軸が、互いに、かつデバイス基板表面に、平行となるようになされている。130中の分子核の均一な整列は、整列テンプレートとして機能することにより、それから発光層140が形成される液晶分子の長分子軸を整列させる。同様に、この層140の整列は、それから電子輸送層150が形成される液晶分子の整列のためのテンプレートとして機能する。したがって、この新規デバイス200を構成する整列層210の挿入によって、最終的に全ての3つの液晶ポリマー層130、140および150が均一に整列されるに至る。
【0049】
210のような正孔輸送性の光整列層の形成については、米国特許第7,118,787号明細書に記載されている。これらの層は、溶液流延により、例えば商用光整列ポリマー(例えば、構造40を有する材料のようなクマリン置換ポリメチルメタクリレート)と市販の正孔輸送材料(例えば、トリアリール置換アミン材料(構造41))とのブレンドのシクロペンタノン中の0.5%溶液から、形成される。層210は、溶液流延によって電子注入層上に形成され、次の層の液晶分子を整列させるのに必要な表面エネルギーバイアスは、例えばアルゴンイオンレーザーの300nmスペクトル線からの、偏光されたUV光への曝露により誘導される。

【0050】
140のような本発明の発光性の液晶性ポリマー層は、デバイス200におけるようにそのルミネセンス分子核を均一に整列させている場合は高度に偏光された光を発するので、デバイス200のようなデバイスは、有用である。この結果、デバイス200は、高度に偏光された光を発するOLEDである。200のようなOLEDは、液晶ディスプレイバックライトとして、三次元ディスプレイにおいて、および高度に偏光された光の効率的な放出が有利である任意の他の用途において使用を見出し得る。デバイス200において使用される種類の整列発光液晶性層は、他のデバイス(例えば、フォトルミネセンス偏光子)においても有利に使用され得る。
【0051】
本発明の発光材料および電荷輸送材料は、通常のフォトレジストと同様に光パターン形成され得るので、それらは容易にかつ費用効果的にマルチカラー画素化デバイスを製造するために使用され得る。例えば、各々が別個のデバイス100の構造を有する複数の緑色発光素子のマトリックスアレイが、1つのガラス基板上に作られ得る。次いで、同数の青色発光素子の第2のアレイが、100と同じ構造で、しかし上記の例におけるような層140についての配合を用いるのではなく、0.40%化合物37、0.35%化合物42および0.05%化合物35からなるクロロホルム溶液を層130上にスピンコーティングすることによって層140を形成することにより作られ得る。最後に、緑色発光画素と数が等しい赤色発光素子のアレイが、100と同じ構造で、しかし0.40%化合物37、0.35%化合物35および0.05%化合物43からなるクロロホルム溶液を層130上にスピンコーティングすることによって層140を形成することにより作られ得る。これらの3つの異なる色の発光素子のアレイは、カラーフラットパネルディスプレイにおいて使用される場合、1つの緑色発光素子、1つの青色発光素子および1つの赤色発光素子の複数の群が1つのフルカラー画素群を形成するというような具合に配置され得る。一部のデバイス層(例えば、正孔注入層120、正孔輸送性の光整列層210、およびカソード160)が3色すべての発光素子に共通であり得ることは、明白であるはずである。

【0052】
より従来的なOLEDエミッタ材料および電荷輸送材料にまさる本発明に記載された材料のさらなる利点は、複数の層が流延され、次いで光硬化されて、順に重ねられた不溶性の固定された液晶性ポリマー材料になる能力である。他のポリマーOLEDエミッタおよび電荷輸送材料は、デバイス基板上への堆積後も溶剤可溶性のままであり、その結果、溶剤からの次の材料堆積がそれらを洗い流すことになるであろう。これは、デバイス100におけるような多層構造の製造を不可能にする。デバイス100よりもさらに多くの層を有するデバイスがより多くの堆積および硬化工程を加えることによって容易に製造され得ることは、明白であるはずである。
【0053】
隣接する層が異なる最高被占分子軌道または最低空分子軌道(HOMOおよびLUMO)のエネルギーレベルならびに異なる電荷担体移動度を有する多層デバイスを安価にかつ経済的に製造する能力は、プラスチック電子機器において一般的な有用性がある。例えば、pn接合に相当するものが本発明の材料および方法を使用して形成され得、これらはダイオード、トランジスタ、および光起電力デバイスにおいて有用性を見出し得る。本発明の材料のフォトリソグラフィによりパターン形成される能力は、実質的に任意の大きさおよび種類のプラスチック電子デバイスの大規模なアレイが製造されることを可能にする。
【0054】
本発明の耐酸化性材料の合成は、脂環式および二環式化合物のケトジエステル誘導体(例えば、下記のVIII、XVIII、およびXXVII)を介して行われる。これらの材料は、アセトンジカルボン酸エステル(VIおよびXVI)のエノールのアルキル化によって製造される。次いで、これらのケト化合物は、対応するブロモ化合物(X、XX、およびXXIX)に変換される。次いで、これらの臭化物は、Miyauraボリル化反応を経て、アルキルボロン酸ピナコールエステル(XI、XXI、およびXXX)を生じる。次いで、これらの化合物は、適切なビフェニル誘導体Vとカップリングされる。Suzukiカップリング反応は、競合するβ脱離反応のため、この種のボロネートを用いては、通常成功しない。しかしながら、この場合のボロネートは、β置換水素を有さないため、この競合反応は起こり得ない。結果として生じる中間体は、次いで閉環されて、対応する9−スピロ置換フルオレンジエステル(XIV、XXIV、およびXXXIII)になる。これらのジエステルは、還元によって、またはグリニャールもしくはアルキルリチウム試薬との反応後の還元によって、所望のアルキル置換環系(例えば、XVII、XXVI、またはXXXVI)に変換され得る。
【0055】
次いで、スピロ置換フルオレンは、反応性メソゲン主鎖への組み込みに向けてそれを準備するためにジハロゲン化される(スキーム5)。スキーム6、8、7、および9は、一連のStilleカップリング反応およびSuzukiカップリング反応を用いた反応性メソゲンLVIIの合成を描いている。
【0056】
本発明の耐酸化性材料の合成は、脂環式および二環式化合物のケトジエステル誘導体(例えば、下記のVIII、XVIII、およびXXVII)を介して行われる。これらの材料は、アセトンジカルボン酸エステル(VIおよびXVI)のエノールのアルキル化によって製造される。次いで、これらのケト化合物は、対応するブロモ化合物(X、XX、およびXXIX)に変換される。次いで、これらの臭化物は、Miyauraボリル化反応を経て、アルキルボロン酸ピナコールエステル(XI、XXI、およびXXX)を生じる。次いで、これらの化合物は、適切なビフェニル誘導体Vとカップリングされる。Suzukiカップリング反応は、競合するβ脱離反応のため、この種のボロネートを用いては、通常成功しない。しかしながら、この場合のボロネートは、β置換水素を有さないため、この競合反応は起こり得ない。生じる中間体は、次いで閉環されて、対応する9−スピロ置換フルオレンジエステル(XIV、XXIV、およびXXXIII)になる。これらのジエステルは、還元によって、またはグリニャールもしくはアルキルリチウム試薬との反応後の還元によって、所望のアルキル置換環系(例えば、XVII、XXVI、またはXXXVI)に変換され得る。
【0057】
次いで、スピロ置換フルオレンは、反応性メソゲン主鎖への組み込みに向けてそれを準備するためにジハロゲン化される(スキーム5)。スキーム6、8、7、および9は、一連のStilleカップリング反応およびSuzukiカップリング反応を用いた反応性メソゲンLVIIの合成を描いている。
【0058】
スキーム1:ビフェニル−2−イルトリフレート(triflate)の合成

【0059】
スキーム2:1,4−ジメチルスピロ[ビシクロ[2,2,1]ヘプタン−7,9’−フルオレン]の合成

【0060】
スキーム3:1,5−ジプロピルスピロ[ビシクロ[3,3,1]ノナン−9,9’−フルオレン]の合成

【0061】
スキーム4:2,2,5,5−テトラメチルスピロ[シクロペンタン−1,9’−フルオレン]の合成

【0062】
スキーム5:1,5−ジメチルスピロ[ビシクロ[3,3,1]ノナン−9,9’−フルオレン]の合成

スキーム5:ジハロフルオレンの合成

【0063】
スキーム6:重要中間体である2’,7’−ビス(2,5−ジ[トリ−n−ブチルスタンニル]チエノ[4,5−b]チエニル)−1,5−ジプロピルスピロ[ビシクロ[3,3,1]ノナン−9,9’−フルオレン]の合成

【0064】
スキーム7:スペーサー/架橋剤の合成

【0065】
スキーム8:重要中間体である7−([4−オクチルオキシフェニル]チエン−2−イル)2−(7−ブロモ{1,5−ジメチルスピロ[ビシクロ[3,3,1]ノナン−9,9’−フルオレン]}−2’−イル)スピロ[ビシクロ[3,3,1]ノナン−9,9’−フルオレン]の合成

【0066】
スキーム9:電界発光性反応性メソゲンの合成

【0067】
スキーム10:電子輸送性反応性メソゲンの合成

【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般構造:

のOLED化合物において、棒状核Aは、縮合芳香族環構造を含んでおり、そして前記縮合芳香族環構造は、少なくとも1つのさらなるフルオレン環構造と縮合されたフルオレン環構造を含んでおり、前記縮合芳香族構造を構成するフルオレン環系は、9位で置換されており、前記フルオレンの9位は、酸化に対して感受性がないことを特徴とする化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物において、前記1つまたは複数のフルオレン環系のいずれも前記9位に対するα位に水素がないことを特徴とする化合物。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の化合物において、前記さらなるフッ素(fluorine)環系は、ベンゼン、ナフタレン、インデン、および他のフルオレン環系のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする化合物。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載の化合物において、Sは、単結合原子の鎖を含む柔軟なスペーサーを表すことを特徴とする化合物。
【請求項5】
請求項4に記載の化合物において、前記鎖は、アルキル鎖を含むことを特徴とする化合物。
【請求項6】
請求項5に記載の化合物において、前記アルキル鎖は、1個以上のヘテロ原子を含有することを特徴とする化合物。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の化合物において、Bは、架橋化学基を表すことを特徴とする化合物。
【請求項8】
請求項7に記載の化合物において、前記架橋化学基は、メタクリレート基を含むことを特徴とする化合物。
【請求項9】
請求項6に記載の化合物において、前記架橋化学基は、1,4−ペンタジエン−3−イル基を含むことを特徴とする化合物。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の化合物において、Aは、実質的に直線状の、共有結合鎖を表すことを特徴とする化合物。
【請求項11】
請求項10に記載の化合物において、前記鎖は、一般式:

によって表わされる芳香族またはヘテロ芳香族ジラジカルの鎖を含むことを特徴とする化合物。
【請求項12】
請求項11に記載の化合物において、Arは、芳香族またはヘテロ芳香族ジラジカルであることを特徴とする化合物。
【請求項13】
請求項11に記載の化合物において、Arは、1,4−フェニレン、ビフェニル−4,4’−ジイル、テルフェン−4,4’’−ジイル、ナフタレン−1,4−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリミジン−2,5−ジイル、ペリレン−3,10−ジイル、ピレン−2,7−ジイル、2,2’−ジチオフェン−5,5’−ジイル、オキサゾール−2,5−ジイル、チエノ[3,2−b]チオフェン−2,5−ジイル、ジチエノ[3,2−b:2’,3’−d]チオフェン−2,6−ジイル、もしくはイミダゾ[4,5−d]イミダゾール−2,5−ジイルジラジカル、または単結合を含むことを特徴とする化合物。
【請求項14】
請求項11乃至13の何れか1項に記載の化合物において、Flは、前記フルオレン環上の前記9位で脂環式環系によりスピロ置換されたフルオレン−2,7−ジイルジラジカルを含み、前記脂環式置換基は、前記フルオレン環系中の9位の炭素原子に直接隣接する2つの炭素原子上に置換水素を有さないことを特徴とする化合物。
【請求項15】
請求項11乃至14の何れか1項に記載の化合物において、Flは:








から選択されるジラジカルを含み、ここで、Xは、CH、N、OR’またはCFから独立して選択され得、かつR’=C2n+1であり、ここでnは、1乃至5から独立して選択される値を有し得;YおよびZは、CH、CHR’’、CR’’、NH、NR’’、O、S、S=O、O=S=O、およびC=Oから独立して選択され、かつR’’=C2n+1であり、ここでnは、1乃至5から独立して選択される値を有し得;そしてRは、HまたはC2n+1から独立して選択され、ここでnは、1乃至5から独立して選択される値を有し得ることを特徴とする化合物。
【請求項16】
請求項15に記載の化合物において、X=CHであり、Y=Z=CHであり、そしてRは、メチル、エチルまたはプロピル基から独立して選択されることを特徴とする化合物。
【請求項17】
請求項15に記載の化合物において、X=CHであり、Y=CHであり、Z=CHR’’であり、R’’およびRは、メチル、エチル、およびプロピル基から独立して選択されることを特徴とする化合物。
【請求項18】
請求項15に記載の化合物において、X=CHであり、Y=Z=CHであり、そしてRは水素であることを特徴とする化合物。
【請求項19】
請求項15に記載の化合物において、Rはアルキル基であり、かつ前記フルオレン核中の前記9位は、反応性化学種による侵食に対する立体シールドを有することを特徴とする化合物。
【請求項20】
請求項15に記載の化合物において、前記R基は全て同じであることを特徴とする化合物。
【請求項21】
請求項1乃至20の何れか1項に記載の化合物において、Aについての前記式中の下付き文字nは、3乃至6であることを特徴とする化合物。
【請求項22】
一般式

を有する化合物において、式中、R’は同じでありかつエチルおよびプロピルの何れかであり、Rはメチルおよびエチルから独立して選択され、Xは光架橋基であり、そしてn=1または2であることを特徴とする化合物。
【請求項23】
一般式

を有する化合物において、式中、R’は同じでありかつエチルおよびプロピルの何れかであり、Rはメチルおよびエチルから独立して選択され、Xは光架橋基であり、そしてn=1または2であることを特徴とする化合物。
【請求項24】
請求項11に記載の化合物において、Arは、多環式芳香族炭化水素を含むことを特徴とする化合物。
【請求項25】
請求項11に記載の化合物において、Arは、多環式芳香族複素環を含むことを特徴とする化合物。
【請求項26】
請求項11に記載の化合物において、Arは、3,4,5−トリアリール置換1,2,4−トリアゾールを含むことを特徴とする化合物。
【請求項27】
請求項1に記載の化合物において、熱力学的に安定な、またはモノトロピックな、液晶相を有することを特徴とする化合物。
【請求項28】
請求項1に記載の化合物において、熱力学的に安定な、またはモノトロピックな、ネマチック相を有することを特徴とする化合物。
【請求項29】
請求項1に記載の化合物において、熱力学的に安定な、またはモノトロピックな、スメクチック相を有することを特徴とする化合物。
【請求項30】
請求項1に記載の化合物において、蛍光エミッタであることを特徴とする化合物。
【請求項31】
請求項1に記載の化合物において、燐光エミッタであることを特徴とする化合物。
【請求項32】
請求項1に記載の化合物である成分を少なくとも1つ含む2つ以上の成分を有する混合物。
【請求項33】
請求項11に記載の化合物である成分を少なくとも1つ含む2つ以上の成分を有する混合物。
【請求項34】
請求項32に記載の混合物において、前記混合物は、液晶相を有することを特徴とする混合物。
【請求項35】
請求項32に記載の混合物において、前記液晶相は、熱力学的に安定であることを特徴とする混合物。
【請求項36】
請求項32に記載の混合物において、前記液晶相は、モノトロピックであることを特徴とする混合物。
【請求項37】
請求項32に記載の混合物において、前記液晶相は、ネマチックであることを特徴とする混合物。
【請求項38】
請求項32に記載の混合物において、前記液晶相は、スメクチックであることを特徴とする混合物。
【請求項39】
請求項32に記載の混合物において、前記混合物は、異なる正孔移動度を有する2つの構成成分を含み、前記混合物は、前記2つの成分の移動度の間の中間の正孔移動度を有するように配合されていることを特徴とする混合物。
【請求項40】
請求項32に記載の混合物において、前記混合物は、異なる電子移動度を有する2つの構成成分を含み、前記混合物は、前記2つの成分の移動度の間の中間の電子移動度を有するように配合されていることを特徴とする混合物。
【請求項41】
請求項32に記載の混合物において、前記混合物は、2つの構成成分を含み、前記2つの構成成分の第1の構成成分は、第2の構成成分より短い波長の光を発し、前記第1の成分のスペクトル放出帯は、前記第2の成分のスペクトル吸収帯と重複し、前記吸収帯の波長の前記第2の成分によるエネルギー吸収が、蛍光またはルミネセンス発光につながることを特徴とする混合物。
【請求項42】
請求項32に記載の混合物において、前記混合物は、ともに請求項5に記載の化合物である2つの成分を含み、前記2つの化合物の架橋基Bは異なっており、第1の化合物の前記B基は、第2の化合物の前記B基と比較して電子不足であり、前記混合物の重合は、光誘導された前記第2の化合物から前記第1の化合物への電子の移動によって開始され得ることを特徴とする混合物。
【請求項43】
請求項42に記載の混合物において、前記電子不足基は、マレイミド、マレエート、またはフマレートであることを特徴とする混合物。
【請求項44】
請求項42に記載の混合物において、前記電子富有基は、ビニルエーテル、プロペニルエーテル、または何か他のアルケニルエーテルであることを特徴とする混合物。
【請求項45】
請求項1に記載の化合物を含む材料を架橋することによって形成されるポリマー。
【請求項46】
請求項11に記載の化合物を含む材料を架橋することによって形成されるポリマー。
【請求項47】
請求項46に記載のポリマーにおいて、前記架橋材料は、請求項33に記載の混合物であることを特徴とするポリマー。
【請求項48】
請求項46に記載のポリマーにおいて、前記架橋は、放射線誘導されることを特徴とするポリマー。
【請求項49】
請求項46に記載のポリマーにおいて、前記架橋は、熱誘導されることを特徴とするポリマー。
【請求項50】
請求項49に記載のポリマーにおいて、前記放射線は、電磁放射線であることを特徴とするポリマー。
【請求項51】
請求項49に記載のポリマーにおいて、前記放射線は、紫外線であることを特徴とするポリマー。
【請求項52】
請求項49に記載のポリマーにおいて、前記放射線は、粒子線であることを特徴とするポリマー。
【請求項53】
請求項46に記載のポリマーの2つの隣接する層を含む構造物。
【請求項54】
請求項53に記載の構造物において、前記ポリマー層の各々は、少なくとも1つの異なる請求項1に記載の化合物から形成されるため、互いと異なる組成を有することを特徴とする構造物。
【請求項55】
請求項53に記載の構造物において、請求項46に記載のポリマーの層の間にpn接合を含むことを特徴とする構造物。
【請求項56】
請求項53に記載の構造物において、前記構造物は、ダイオードであることを特徴とする構造物。
【請求項57】
請求項53に記載の構造物を含むトランジスタ。
【請求項58】
請求項46に記載のポリマーを含むトランジスタ。
【請求項59】
請求項46に記載のポリマーの2つの領域を含む構造物。
【請求項60】
請求項59に記載の構造物において、前記2つの領域は、互いに隣接していることを特徴とする構造物。
【請求項61】
請求項60に記載の構造物において、前記2つの領域における請求項44に記載のポリマーは、それらが少なくとも1つの異なる請求項1に記載の化合物から形成されるため、互いと異なる組成を有することを特徴とする構造物。
【請求項62】
請求項60に記載の構造物であって、pn接合を含むことを特徴とする構造物。
【請求項63】
請求項61に記載の構造物を含む光起電力デバイス。
【請求項64】
請求項46に記載のポリマーを含む発光デバイス。
【請求項65】
請求項64に記載の発光デバイスを含むディスプレイデバイス。
【請求項66】
アノード、カソード、および前記アノードと前記カソードとの間に設けられた発光層を含む有機発光ダイオードにおいて、前記発光層は、請求項46に記載のポリマーを含むことを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項67】
アノード、カソード、および前記アノードと前記カソードとの間に設けられた発光層を含む有機発光ダイオードにおいて、前記発光層は、請求項47に記載のポリマーを含むことを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項68】
アノード、カソード、および前記アノードと前記カソードとの間に設けられた発光層を含む有機発光ダイオードにおいて、前記発光層は、請求項48に記載のポリマーを含むことを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項69】
請求項66乃至68の何れか1項に記載の有機発光ダイオードにおいて、前記アノードと前記発光層との間に正孔注入層をさらに含むことを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項70】
請求項66乃至68の何れか1項に記載の有機発光ダイオードにおいて、前記発光層と前記アノードとの間に正孔輸送層をさらに含むことを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項71】
請求項70に記載の有機発光ダイオードにおいて、前記正孔輸送層は、請求項46に記載のポリマーを含むことを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項72】
請求項66乃至68の何れか1項に記載の有機発光ダイオードにおいて、前記発光層と前記カソードとの間に電子輸送層をさらに含むことを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項73】
請求項72に記載の有機発光ダイオードにおいて、前記電子輸送層は、請求項46に記載のポリマーを含むことを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項74】
請求項71に記載の有機発光ダイオードにおいて、前記電子輸送層は、正孔阻止層でもあることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項75】
請求項46に記載のポリマーにおいて、請求項1に記載の化合物は、整列した液晶相にある間に重合されることを特徴とするポリマー。
【請求項76】
請求項46に記載のポリマーにおいて、前記ポリマー材料は、液晶構造を有しており、前記ポリマーを構成する前記直線状分子核は、同方向に均一に整列した長軸を有することを特徴とするポリマー。
【請求項77】
請求項76に記載のポリマーからなる材料の層において、前記分子核の長軸は、層表面に接して整列していることを特徴とする層。
【請求項78】
請求項66乃至68の何れか1項に記載の有機発光ダイオードにおいて、前記アノードと前記電子輸送層との間に液晶光整列層をさらに含むことを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項79】
請求項66乃至68の何れか1項に記載の有機発光ダイオードにおいて、前記アノードと前記発光層との間に液晶光整列層をさらに含むことを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項80】
請求項64に記載の発光デバイスにおいて、偏光を発するように構成されていることを特徴とする発光デバイス。
【請求項81】
請求項66乃至68の何れか1項に記載の有機発光ダイオードにおいて、偏光を発するように構成されていることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項82】
請求項78に記載の有機発光ダイオードにおいて、偏光を発するように構成されていることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項83】
請求項78に記載の有機発光ダイオードにおいて、偏光を発するように構成されていることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項84】
請求項78または請求項79に記載の有機発光ダイオードにおいて、前記液晶光整列層は、請求項1に記載の液晶性材料の分子を、前記材料が前記正孔輸送層を形成するために架橋される前に、整列させることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項85】
請求項78または請求項79に記載の有機発光ダイオードにおいて、前記液晶光整列層は、請求項1に記載の液晶性材料の分子を、前記材料が前記発光層を形成するために架橋される前に、整列させることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項86】
請求項78または請求項79に記載の有機発光ダイオードにおいて、前記正孔輸送層の前記液晶構造は、請求項1に記載の液晶性材料の層の分子を、前記材料が前記発光層を形成するために架橋される前に、整列させることを特徴とする有機発光ダイオード。
【請求項87】
請求項66乃至68の何れか1項に記載の構造を有する、パターン形成された有機発光ダイオード素子のアレイを含むドットマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項88】
請求項87に記載のドットマトリックスディスプレイデバイスにおいて、前記パターン形成された有機発光ダイオード素子は、異なる色の光を発するように異なる組成の発光層を用いて構成された2組以上の組の素子を含むことを特徴とするドットマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項89】
請求項88に記載のドットマトリックスディスプレイデバイスにおいて、前記パターン形成された有機発光ダイオード素子は、それぞれ赤色、緑色、および青色の光を発するように、異なる組成の発光層を用いて構成された3組の素子を含むことを特徴とするドットマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項90】
請求項88または請求項89に記載のドットマトリックスディスプレイデバイスにおいて、偏光を発するように構成されていることを特徴とするドットマトリックスディスプレイデバイス。
【請求項91】
請求項90に記載のドットマトリックスディスプレイデバイスを含み、かつ前記ディスプレイデバイスから発せられる光を通過させるように配向された直線偏光子を発光表面に近接して含む、デバイス。
【請求項92】
請求項91に記載のドットマトリックスディスプレイデバイスを含み、かつ前記ディスプレイデバイスから発せられる光を通過させるように配向された直線偏光子を発光表面に近接して含む、デバイス。
【請求項93】
請求項82に記載の有機発光ダイオードを含み、かつ前記有機発光ダイオードから発せられる光を通過させるように配向された直線偏光子を前記有機発光ダイオードの発光表面に近接して含む、デバイス。
【請求項94】
一般構造:

の発光材料または電荷輸送材料において、
Aは、一般式:

によって表わされる芳香族またはヘテロ芳香族ジラジカルの鎖を含む、実質的に剛性の、棒状分子核であり、
式中、Flは、フルオレン環上の9位で脂環式環系によりスピロ置換されたフルオレン−2,7−ジイルジラジカルを含み、前記脂環式置換基は、前記フルオレン環系中の9位の炭素原子に直接隣接する2つの炭素原子上に置換水素を有さず、
式中、Arは、芳香族もしくはヘテロ芳香族ジラジカルまたは単結合から独立して選択され、
そしてSは、柔軟なスペーサー単位である
ことを特徴とする発光材料または電荷輸送材料。
【請求項95】
請求項94に記載の材料において、前記材料は、液晶性であることを特徴とする材料。
【請求項96】
請求項94に記載の材料において、nは、1と10との間であることを特徴とする材料。
【請求項97】
請求項94に記載の材料において、前記材料は、ポリマーであることを特徴とする材料。
【請求項98】
一般構造:

の発光ポリマーまたは電荷輸送ポリマーにおいて、
Aは、一般式:

によって表わされる芳香族またはヘテロ芳香族ジラジカルの鎖を含む、実質的に直線状の、共有結合鎖であり、
式中、Flは、フルオレン環上の9位で脂環式環系によりスピロ置換されたフルオレン−2,7−ジイルジラジカルを含み、前記脂環式置換基は、前記フルオレン環系中の9位の炭素原子に直接隣接する2つの炭素原子上に置換水素を有さず、
式中、Arは、芳香族もしくはヘテロ芳香族ジラジカルまたは単結合から独立して選択され、そして
Tは、ポリマー鎖末端単位である
ことを特徴とする発光ポリマーまたは電荷輸送ポリマー。
【請求項99】
請求項98に記載のポリマーにおいて、Tは、水素、ハロゲン、アリール、またはシアノ、ヒドロキシル、グリシジルエーテル、アクリレートエステル、メタクリレートエステル、エテニル、エチニル、マレイミド、ナジイミド(nadimide)、トリアルキルシロキシ、もしくはトリフルオロビニルエーテル部分で置換されているアリールから独立して選択されることを特徴とするポリマー。
【請求項100】
請求項1乃至請求項99の何れか1項に記載の耐酸化性OLED化合物を合成するための方法において、
脂環式および二環式の化合物からなる群より選択される化合物のケトジエステル誘導体を、アセトンジカルボン酸エステルのエノールのアルキル化によって生成するステップと、
前記ケト化合物をブロモ化合物に変換するステップと、
前記ブロモ化合物を、Miyauraボリル化反応によってアルキルボロン酸ピナコールエステルに変換するステップと、
前記エステルをビフェニル誘導体とカップリングするステップと、
前記誘導体を閉環して9−スピロ置換環系を形成するステップと、
結果として生じたスピロ置換フルオレンをジハロゲン化するステップと、
前記ジハロゲン化化合物を反応性メソゲン主鎖に組み込むステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項101】
請求項100に記載の方法において、前記ジエステルは、還元によりアルキル置換環系に変換されることを特徴とする方法。
【請求項102】
請求項10に記載の方法において、前記ジエステルは、グリニャールまたはアルキルリチウム試薬との反応後の還元によりアルキル置換環系に変換されることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2013−506647(P2013−506647A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−531493(P2012−531493)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/GB2010/001818
【国際公開番号】WO2011/039506
【国際公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【出願人】(512078683)ロモックス リミテッド (2)
【氏名又は名称原語表記】LOMOX LIMITED
【Fターム(参考)】