説明

ブラシの洗浄方法

【課題】ブラシに付着した異物を十分に除去し得るブラシの洗浄方法を提供する。
【解決手段】スクラブ洗浄に用いられたブラシ14を洗浄槽22内に貯留された洗浄液44に浸漬し、洗浄液に超音波振動を印加するステップと、ブラシを洗浄槽内に設けられた洗浄用基板24に接触させながら回転させるステップとを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシの洗浄方法に係り、特にスクラブ洗浄に用いられるブラシを洗浄するブラシの洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造プロセスにおいては、半導体基板の裏面側に異物が付着する場合がある。
【0003】
半導体基板の裏面側に異物が付着している状態で様々なプロセスを実施すると、異物が半導体基板の裏面側から離れて、半導体基板の表面側に付着してしまう場合がある。
【0004】
そうすると、半導体装置の信頼性の低下や製造歩留まりの低下を招いてしまう。
【0005】
そこで、半導体基板の裏面側を、ブラシを用いてスクラブ洗浄することが提案されている。
【0006】
半導体基板の裏面側をブラシを用いてスクラブ洗浄した場合には、半導体基板の裏面側から除去された異物(パーティクル)がブラシに付着する。異物が付着したままのブラシを用いて新たな半導体基板をスクラブ洗浄した場合には、過去にスクラブ洗浄を行った半導体基板に付着していた異物が、新たにスクラブ洗浄される半導体基板に付着してしまう虞がある。
【0007】
このため、ブラシに付着した異物を適宜除去することが好ましい。従来は、スクラブ洗浄に用いられたブラシに純水を噴射することにより、異物の除去が試みられていた。
【特許文献1】特開2006−278956号公報
【特許文献2】特開2000−208462号公報
【特許文献3】特開平6−333895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、ブラシに純水を噴射しても、ブラシに付着した異物は必ずしも十分に除去し得ない場合がある。
【0009】
本発明の目的は、ブラシに付着した異物を十分に除去し得るブラシの洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の一観点によれば、スクラブ洗浄に用いられたブラシを洗浄槽内に貯留された洗浄液に浸漬し、前記洗浄液に超音波振動を印加するステップと、前記ブラシを前記洗浄槽内に設けられた洗浄用基板に接触させながら回転させるステップとを有することを特徴とするブラシの洗浄方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
実施形態によれば、ブラシに付着している異物を超音波洗浄よりブラシから遊離させ、この後、ブラシを洗浄用基板に接触させながら回転させるため、ブラシに付着した異物を十分に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態によるブラシの洗浄方法を図1乃至図11を用いて説明する。
【0013】
(半導体製造装置)
まず、本実施形態において用いられる半導体製造装置を図1を用いて説明する。図1は、本実施形態において用いられる半導体製造装置を示す概略図である。図1(a)は半導体製造装置の平面図であり、図1(b)は半導体製造装置の一部を示す断面図である。
【0014】
本実施形態において用いられる半導体製造装置(基板処理装置、基板洗浄装置)は、半導体基板(半導体ウェハ)20(図3参照)を回転させる回転台12と、半導体基板に対してスクラブ洗浄を行うためのブラシ14と、ブラシ14を支持するアーム16と、ブラシ14を待機させておくブラシ待機部18とを有している。
【0015】
図1(a)に示すように、基台10には、円盤状の回転台12が設けられている。回転台12上には、半導体基板(図参照)20(図3参照)が載置される。回転台12には、半導体基板20を回転台12に固定するための固定手段(図示せず)が設けられている。固定手段としては、例えばピンチャック等が用いられる。
【0016】
回転台12の上方には、ノズル(図示せず)が設けられている。ノズルは、回転台12上に載置される半導体基板20上に薬液等を適宜供給するためのものである。
【0017】
回転台12の側部には、アーム16が設けられている。アーム16の基部16aには、アームを駆動するための駆動機構(図示せず)が設けられている。アーム16の先端部16bには、スクラブ洗浄を行う際に用いられるブラシ14が取り付けられる。アーム16の先端部16bには、ブラシ14を回転させるための回転機構(図示せず)が設けられている。半導体基板20をスクラブ洗浄する際には、アーム16は、ブラシ14を半導体基板20上に移動させ、半導体基板20の上面にブラシ14を押しつけながら、ブラシ14を回転させる。半導体基板20に対してスクラブ洗浄を行わない際には、アーム16は、ブラシ14をブラシ待機部18に移動させて待機させる。
【0018】
ブラシ14は、例えば多孔質体により形成されている。ブラシ14の材料としては、例えばポリビニルアルコール(PVA:PolyVinyl Alcohol)が用いられている。
【0019】
ブラシ待機部18には、スクラブ洗浄に用いられたブラシ14を洗浄するための洗浄槽22が設けられている(図1(b)参照)。
【0020】
洗浄槽22内には、ブラシ14を洗浄する際に用いられる洗浄用基板24が設けられる。洗浄用基板24としては、例えばシリコン基板が用いられる。洗浄用基板24は、洗浄用基板24を支持するための基台26により支持される。
【0021】
洗浄用基板24の上面、即ち、ブラシ14を洗浄する際にブラシ14が接触する面には、後述するように、鏡面処理が施されていることが好ましい。
【0022】
洗浄槽22内には、超音波発振器28が設けられている。超音波発振器28は、洗浄槽22内に貯留される液体に超音波振動を印加するためのものである。
【0023】
洗浄槽22には、洗浄液を供給するための配管30が接続されている。また、洗浄槽22には、純水を供給するための配管32が接続されている。また、洗浄槽22には、洗浄槽22内から液体を排液するための配管34が接続されている。各々の配管30,32,34には、それぞれバルブ36,38,40が設けられている。
【0024】
洗浄槽22には、ブラシ14に純水を高圧で噴射するためのノズル42が複数設けられている。
【0025】
こうして、本実施形態において用いられる半導体製造装置2が構成されている。
【0026】
(ブラシの洗浄方法)
次に、本実施形態によるブラシの洗浄方法を図2乃至図9を用いて説明する。図2は、本実施形態によるブラシの洗浄方法を示すフローチャートである。図3乃至図9は、本実施形態によるブラシの洗浄方法を示す工程図である。
【0027】
半導体基板(半導体ウェハ)20に対するスクラブ洗浄は、以下のようにして行われる。
【0028】
図3(a)は、待機状態を示している。図3(a)に示すように、ブラシ14は、ブラシ待機部18に位置している。
【0029】
次に、図3(b)に示すように、スクラブ洗浄が行われる半導体基板20を、回転台12上に載置する。ここでは、半導体基板20の裏面側に付着した異物をスクラブ洗浄により除去する場合を例に説明する。このため、半導体基板20の裏面側が上側になるように半導体基板20を回転台12上に載置する。半導体基板20は、回転台12に設けられた固定手段(図示せず)により回転台12に固定される。
【0030】
なお、半導体基板20の表面側に付着した異物をスクラブ洗浄により除去する場合には、半導体基板20の表面側が上側になるように、半導体基板20を回転台12上に載置すればよい。
【0031】
次に、図4(a)に示すように、アーム16を駆動することにより、ブラシ14を半導体基板20上に位置させる。この際、図4(b)に示すように、洗浄槽22内には、洗浄液等は特に貯留されていない。
【0032】
次に、図5(a)に示すように、アーム16を駆動することにより、半導体基板20の上面にブラシ14の下部を接触させながら、ブラシ14を回転させる。より具体的には、ブラシ14の下部を半導体基板20の上面に押しつけながら、ブラシ14を回転させる。この際、回転台12を駆動することにより、半導体基板20も回転させる。半導体基板20上には、半導体基板20を洗浄するための洗浄液(図示せず)が供給される。洗浄液としては、例えば、純水、APM(Ammonia-Hydrogen Peroxide Mixture)液、炭酸水、オゾン水、水素水、イオン水等の機能水等が用いられる。半導体基板20を洗浄する際には、半導体基板20の上面が満遍なく洗浄されるよう、ブラシ14の位置を水平方向に適宜移動させる。こうして、半導体基板20に対するスクラブ洗浄が行われる(ステップS1)。
【0033】
半導体基板20に対してスクラブ洗浄を行っている際には、図5(b)に示すように、ブラシ待機部18に設けられた洗浄槽22内に洗浄液44を供給し、洗浄槽22内に設けられた洗浄用基板24を洗浄液44に浸漬する(ステップS1)。洗浄槽22内への洗浄液44の供給は、配管30に設けられたバルブ36を開くことにより行われる。洗浄液44としては、例えばアルカリ性の洗浄液が用いられる。アルカリ性の洗浄液としては、例えば、アンモニアと過酸化水素と水とを含む薬液であるAPM(Ammonia-Hydrogen Peroxide Mixture)液を用いる。洗浄槽22に貯留された洗浄液44により、洗浄用基板24が洗浄される。本実施形態では、半導体基板20に対してスクラブ洗浄を行っている際に、洗浄槽22に洗浄液44を供給し、洗浄用基板24を洗浄するため、スループットの向上に寄与し得る。洗浄液44の供給は、洗浄槽22内に所定量の洗浄液44が貯留されるまで行われる。所定量の洗浄液44が貯留された際には、配管30に設けられているバルブ36を閉じる。
【0034】
半導体基板20に対するスクラブ洗浄が完了した後には、図6に示すように、アーム16を駆動することにより、ブラシ14をブラシ待機部18に移動させ、洗浄槽22内に貯留された洗浄液44にブラシ14を浸漬する(ステップS2)。ブラシ14を洗浄液44に浸漬する際には、ブラシ14全体を洗浄液44に浸漬してもよいし、ブラシ14の一部を洗浄液44に浸漬してもよい。但し、ブラシ14のうちの汚れている部分は、少なくとも洗浄液44に浸漬することが望ましい。ブラシ14の下部は、スクラブ洗浄を行った際に異物が付着する可能性が高い。従って、ブラシ14の少なくとも下部は、洗浄液44に浸漬される。
【0035】
次に、ブラシ14と洗浄用基板24とが洗浄液44に浸漬されている状態で、超音波発振器28により洗浄液44に超音波振動を印加する(ステップS3)。これにより、ブラシ14と洗浄用基板24とが超音波洗浄法により洗浄される。ブラシ14と洗浄用基板24とに対して超音波洗浄を行うのは、ブラシ14や洗浄用基板24に付着している異物を、ブラシ14や洗浄用基板24から遊離させるためである。なお、ブラシ14と洗浄用基板24とに対して超音波洗浄を行う際には、ブラシ14の下面と洗浄用基板24の上面とが互いに接触していない状態で超音波洗浄を行うことが好ましい。ブラシ14の下面と洗浄用基板24の上面とを互いに接触させた状態で超音波洗浄を行った場合には、ブラシ14と洗浄用基板24とが接触している部分において異物の遊離が十分にできない場合があるためである。
【0036】
アルカリ性の洗浄液中においては、ブラシ14と異物とは同じ極性に帯電すると考えられる。このため、アルカリ性の洗浄液中においては、ブラシ14から遊離した異物がブラシ14と反発し、ブラシ14に異物が再付着しにくいと考えられる。このような理由により、洗浄液44としてはアルカリ性の洗浄液を用いることが好ましい。
【0037】
次に、図7(a)に示すように、アーム16を駆動させることにより、ブラシ14の下面を洗浄用基板24の上面に接触させながら、ブラシ14を回転させる(ステップS4)即ち、ブラシ14のこすり洗いを行う。ブラシ14のこすり洗いを行う際には、ブラシ14を回転させるのみならず、ブラシ14を水平方向にも適宜移動させる。ブラシ14を回転させるのみならず、水平方向にも移動させるのは、ブラシ14に付着した異物を効果的に除去するためである。こうして、ブラシ14に付着していた異物が、洗浄用基板24の上面に付着するか、又は、洗浄液44中に浮遊する状態になる。ブラシ14の回転数は、例えば100回転/分程度とする。ブラシ14を洗浄用基板24に押しつける圧力は、例えば10〜100g重/cm程度とする。
【0038】
次に、アーム16を駆動することにより、ブラシ14を洗浄用基板24の上方に移動させ、ブラシ14と洗浄用基板24とを離間させる(図7(b)参照)。この際、ブラシ14を回転させながら、ブラシ14に高圧で純水46を噴射する(ステップS5)。純水46は、ノズル42から噴射される。この際、洗浄槽22に貯留されていた洗浄液44を、配管34を介して排液する。洗浄液44の洗浄槽22からの排液は、配管34に設けられているバルブ40を開くことにより行われる。洗浄液44を洗浄槽22から排液する際には、図8(a)及び図8(b)に示すように洗浄液44の水位が徐々に低くなるため、洗浄液44の表面に浮遊している異物が表面張力によりブラシ14に再付着することもあり得る。しかし、ブラシ14に高圧で純水を噴射しながら、洗浄液44を洗浄槽22から排液するため、ブラシ14に再付着した異物は高圧で噴射した純水46により十分に洗い流される。洗浄槽22内からの洗浄液44の排液が完了した後、配管34に設けられているバルブ40を閉じる。
【0039】
次に、配管32を介して純水48を洗浄槽22内に供給する。洗浄槽22内への純水48の供給は、配管32に設けられているバルブ38を開くことにより行われる。純水48の洗浄槽22内への供給は、洗浄槽22内に所定量の純水48が貯留されるまで行われる。所定量の純水28が貯留された際には、配管32に設けられているバルブ38を閉じる。こうして、図9(a)に示すように、洗浄槽22に貯留された純水48によりブラシ14が浸漬される(ステップS6)。洗浄槽22に貯留された純水48にブラシ14を浸漬するため、ブラシ14に付着していた洗浄液44(図7参照)が純水48により洗浄される。また、洗浄槽22も純水48により洗浄される。
【0040】
次に、図9(b)に示すように、アーム16を駆動することにより、ブラシ14を上方に移動させる。これにより、洗浄槽22に貯留された純水48中からブラシ14が引き上げられる(ステップS7)。
【0041】
この後、洗浄槽22内に貯留されている純水48を排液する(ステップS8)。洗浄槽22内からの純水48の排液は、配管34に設けられたバルブ40を開くことにより行われる。純水48の排液が完了した際には、配管34に設けられたバルブ40を閉じる。
【0042】
こうして、本実施形態によるブラシ14の洗浄が完了する。
【0043】
この後、新たな半導体基板(図示せず)に対してスクラブ洗浄を行う際には、洗浄が完了した清浄なブラシ14(図9(b)参照)が用いられる。新たな半導体基板に対してスクラブ洗浄を行う際に、異物が十分に除去された清浄なブラシ14が用いられるため、過去のスクラブ洗浄においてブラシ14に付着した異物が、新たな半導体基板に付着してしまうのを防止し得る。
【0044】
(評価結果)
次に、本実施形態によるブラシの洗浄方法の評価結果を図10を用いて説明する。
【0045】
図10は、ブラシの洗浄方法と異物数との関係を示すグラフである。縦軸は、半導体基板に付着した異物数、即ち、一枚の半導体基板に付着した異物の総数を示している。
【0046】
比較例1は、一の半導体基板に対してブラシを用いてスクラブ洗浄を用い、この後、ブラシの洗浄を行うことなく、他の半導体基板にブラシを回転させながら接触させた場合を示すものである。図10に示すように、他の半導体基板には大量の異物が付着した。
【0047】
比較例2は、一の半導体基板に対してブラシを用いてスクラブ洗浄を用い、この後、ブラシを純水により洗浄し、この後、他の半導体基板にブラシを回転させながら接触させた場合を示すものである。比較例2の場合にも、比較例1の場合と同様に、他の半導体基板に大量の異物が付着した。
【0048】
比較例3は、一の半導体基板に対してブラシを用いてスクラブ洗浄を用い、この後、ブラシをアルカリ性の洗浄液により洗浄し、この後、他の半導体基板にブラシを回転させながら接触させた場合を示すものである。アルカリ性の洗浄液としては、アンモニアと過酸化水素と水とを含む洗浄液であるAPM液を用いた。比較例3の場合にも、比較例1,2の場合と同様に、大量の異物が付着した。
【0049】
実施例1は、本実施形態によるブラシの洗浄方法の場合である。即ち、一の半導体基板に対してブラシを用いてスクラブ洗浄を行い、アルカリ性の洗浄液によりブラシを超音波洗浄し、アルカリ性の洗浄液中でブラシを洗浄用基板に接触させながら回転させ、この後、他の半導体基板にブラシを回転させながら接触させた場合を示すものである。
【0050】
図10に示すように、実施例1の場合には、他の半導体基板に付着する異物が極めて少なくなる。このことから、本実施形態によれば、過去のスクラブ洗浄においてブラシ14に付着した異物が、新たな半導体基板に付着してしまうのを十分に抑制し得ることが分かる。
【0051】
図11は、洗浄用基板の表面状態と異物数との関係を示すグラフである。
【0052】
比較例4は、一の半導体基板に対してブラシを用いてスクラブ洗浄を用い、この後、ブラシの洗浄を行うことなく、他の半導体基板にブラシを回転させながら接触させた場合を示すものである。図11に示すように、他の半導体基板には大量の異物が付着した。
【0053】
実施例2は、一の半導体基板に対してスクラブ洗浄を行い、アルカリ性の洗浄液により超音波洗浄を行い、洗浄用基板の鏡面処理が施されていない面にブラシを接触させながら回転させ、他の半導体基板にブラシを回転させながら接触させた場合を示している。なお、鏡面処理が施された面の光沢度を100とすると、鏡面処理が施されていない面の光沢度は例えば40程度である。
【0054】
実施例3は、本実施形態によるブラシの洗浄方法の場合を示している。即ち、一の半導体基板に対してスクラブ洗浄を行い、アルカリ性の洗浄液により超音波洗浄を行い、洗浄用基板の鏡面処理が施された面にブラシを接触させながら回転させ、他の半導体基板にブラシを回転させながら接触させた場合を示している。
【0055】
実施例2から分かるように、洗浄用基板の鏡面処理が施されていない面にブラシを押しつけながら回転させた場合でも、異物数はある程度少なくなる。
【0056】
実施例3から分かるように、洗浄用基板の鏡面処理が施された面にブラシを押しつけながら回転させた場合には、異物数を著しく減少させることが可能となる。
【0057】
このように、本実施形態では、ブラシ14に付着している異物を超音波洗浄よりブラシ14から遊離させ、この後、ブラシ14を洗浄用基板24に接触させながら回転させることによりブラシ14から異物を除去する。このため、本実施形態によれば、ブラシ14に付着した異物を十分に除去することが可能となる。
【0058】
そして、本実施形態では、新たな半導体基板に対してスクラブ洗浄を行う際には、洗浄が完了した清浄なブラシ14が用いられる。新たな半導体基板に対してスクラブ洗浄を行う際に、異物が十分に除去された清浄なブラシ14が用いられるため、過去のスクラブ洗浄においてブラシ14に付着した異物が、新たな半導体基板に付着してしまうのを防止し得る。
【0059】
[第2実施形態]
第2実施形態によるブラシの洗浄方法を図12乃至図14を用いて説明する。図12は、本実施形態によるブラシの洗浄方法を示すフローチャートである。図13及び図14は、本実施形態によるブラシの洗浄方法を示す工程図である。図1乃至図11に示す第1実施形態によるブラシの洗浄方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0060】
本実施形態によるブラシの洗浄方法は、ブラシ14を洗浄用基板24に押しつけながら回転させることによりブラシ14を洗浄した後、洗浄液44を洗浄槽22から排液しながら洗浄槽22内に純水48を供給することにより、洗浄槽22に貯留されている液体を洗浄液44から純水48に置換することに主な特徴がある。
【0061】
まず、半導体基板20に対してスクラブ洗浄を行う工程は、図3乃至図5を用いて上述したスクラブ洗浄の工程を同様であるので説明を省略する。なお、半導体基板20に対してスクラブ洗浄を行っている際には、図5を用いて上述した第1実施形態のステップS1と同様に、ブラシ待機部18に設けられた洗浄槽22内に洗浄液44を供給し、洗浄槽22内に設けられた洗浄用基板24を洗浄液44により洗浄する(ステップS11)。
【0062】
この後の、洗浄槽22内に貯留された洗浄液44にブラシ14を浸漬する工程(ステップS12)、ブラシ14を超音波洗浄する工程(ステップS13)、及び、ブラシ14を洗浄用基板24に接触させながら回転させる工程(ステップS14)は、図6乃至図7(a)を用いて上述した第1実施形態によるブラシの洗浄方法(ステップS2〜S4)と同様であるので説明を省略する。なお、図13(a)は、ブラシ14を洗浄用基板24に接触させながら回転させる工程が完了した状態を示している。
【0063】
次に、図13(b)に示すように、アーム16を駆動することにより、ブラシ14を洗浄用基板24の上方に移動させ、ブラシ14と洗浄用基板24とを離間させる。
【0064】
次に、洗浄槽22に貯留されていた洗浄液44を配管34を介して排液するとともに、配管32を介して洗浄槽22内に純水48を供給する。洗浄液48の洗浄槽22からの排液は、配管34に設けられているバルブ40を開くことにより行われる。洗浄槽22内への純水48の供給は、配管32に設けられているバルブ38を開くことにより行われる。洗浄槽22内から排液する液体の単位時間当たりの量と、洗浄槽22内に供給する純水48の単位時間当たりの量とは、等しくすることが好ましい。洗浄槽22内から排液する液体の単位時間当たりの量と洗浄槽22内に供給する純水48の単位時間当たりの量とが等しいため、洗浄槽22に貯留されている液体の水位は変化せず、洗浄槽22内に貯留されている液体の浮いている異物がブラシ14に再付着するのを防止することが可能となる。やがて、図14(a)に示すように、洗浄槽22内が純水48により置換されることとなる(ステップS15)。洗浄槽22内の洗浄液44が純水48に置換した後には、配管32,34に設けられているバルブ38,40をそれぞれ閉じる。
【0065】
次に、図14(b)に示すように、アーム16を駆動することにより、ブラシ14を上方に移動させる。これにより、洗浄槽22に貯留された純水48中からブラシ14が引き上げられる(ステップS16)。
【0066】
この後、洗浄槽22内から純水48を排液する(ステップS17)。洗浄槽22内からの純水48の排液は、配管34に設けられたバルブ40を開くことにより行われる。純水48の排液が完了した際には、配管34に設けられたバルブ40を閉じる。
【0067】
こうして、本実施形態によるブラシ14の洗浄が完了する。
【0068】
この後、新たな半導体基板に対してスクラブ洗浄を行う際には、洗浄が完了した清浄なブラシ14が用いられる。本実施形態においても、新たな半導体基板に対してスクラブ洗浄を行う際に、異物が十分に除去された清浄なブラシ14が用いられるため、過去のスクラブ洗浄においてブラシ14に付着した異物が、新たな半導体基板に付着してしまうのを防止し得る。
【0069】
このように、ブラシ14を洗浄用基板24に押しつけながら回転させることによりブラシ14を洗浄した後、洗浄液44を洗浄槽22から排出しながら洗浄槽22内に純水48を供給することにより、洗浄液44を純水48に置換するようにしてもよい。本実施形態によれば、洗浄槽22の水位を下げることなく洗浄槽22内の洗浄液44が純水48に置換されるため、洗浄液44の表面に浮遊している異物がブラシ14に付着するのを防止することができる。
【0070】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0071】
例えば、上記実施形態では、洗浄槽22内に貯留する洗浄液44として、APM液を用いる場合を例に説明したが、他のアルカリ性の洗浄液を洗浄液44として適宜用いてもよい。例えば、洗浄槽22内に貯留する洗浄液44として、アンモニアを含む洗浄液、水酸化テトラメチルアンモニウムを含む洗浄液、又は、コリンを含む洗浄液等を用いてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、洗浄槽22内に貯留する洗浄液44としてアルカリ性の洗浄液を用いる場合を例に説明したが、洗浄液44はこれに限定されるものではない。例えば、水素を溶解させた純水である水素水を、洗浄槽22内に貯留する洗浄液44として用いてもよい。水素を溶解させた純水を洗浄液44として用いた場合にも、ブラシ14の洗浄を効果的に行うことが可能である。
【0073】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0074】
(付記1)
スクラブ洗浄に用いられたブラシを洗浄槽内に貯留された洗浄液に浸漬し、前記洗浄液に超音波振動を印加するステップと、
前記ブラシを前記洗浄槽内に設けられた洗浄用基板に接触させながら回転させるステップと
を有することを特徴とするブラシの洗浄方法。
【0075】
(付記2)
付記1記載のブラシの洗浄方法において、
前記ブラシを前記洗浄用基板に接触させながら回転させるステップの後に、前記ブラシに純水を噴射しながら、前記洗浄液を排液するステップを更に有する
ことを特徴とするブラシの洗浄方法。
【0076】
(付記3)
付記1記載のブラシの洗浄方法において、
前記ブラシを前記洗浄用基板に接触させながら回転させるステップの後に、前記洗浄槽内に貯留された前記洗浄液を純水に置換するステップを更に有する
ことを特徴とするブラシの洗浄方法。
【0077】
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載のブラシの洗浄方法において、
前記洗浄液は、アルカリ性の洗浄液である
ことを特徴とするブラシの洗浄方法。
【0078】
(付記5)
付記4記載のブラシの洗浄方法において、
前記アルカリ性の洗浄液は、アンモニアと過酸化水素と水とを含む洗浄液、アンモニアを含む洗浄液、水酸化テトラメチルアンモニウムを含む洗浄液、又は、コリンを含む洗浄液である
ことを特徴とするブラシの洗浄方法。
【0079】
(付記6)
付記1乃至3のいずれかに記載のブラシの洗浄方法において、
前記洗浄液は、水素を溶解させた純水である
ことを特徴とするブラシの洗浄方法。
【0080】
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載のブラシの洗浄方法において、
前記ブラシを前記洗浄用基板に接触させながら回転させるステップでは、前記洗浄用基板のうちの鏡面処理が施された面に前記ブラシを接触させる
ことを特徴とするブラシの洗浄方法。
【0081】
(付記8)
付記1乃至7のいずれかに記載のブラシの洗浄方法において、
半導体基板に対して前記ブラシを用いて前記スクラブ洗浄を行っている際に、前記洗浄槽内に前記洗浄液を供給し、前記洗浄用基板を前記洗浄液に浸漬する
ことを特徴とするブラシの洗浄方法。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態において用いられる半導体製造装置を示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の第1実施形態によるブラシの洗浄方法を示すフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の第1実施形態によるブラシの洗浄方法を示す工程図(その1)である。
【図4】図4は、本発明の第1実施形態によるブラシの洗浄方法を示す工程図(その2)である。
【図5】図5は、本発明の第1実施形態によるブラシの洗浄方法を示す工程図(その3)である。
【図6】図6は、本発明の第1実施形態によるブラシの洗浄方法を示す工程図(その4)である。
【図7】図7は、本発明の第1実施形態によるブラシの洗浄方法を示す工程図(その5)である。
【図8】図8は、本発明の第1実施形態によるブラシの洗浄方法を示す工程図(その6)である。
【図9】図9は、本発明の第1実施形態によるブラシの洗浄方法を示す工程図(その7)である。
【図10】図10は、ブラシの洗浄方法と異物数との関係を示すグラフである。
【図11】図11は、洗浄用基板の表面状態と異物数との関係を示すグラフである。
【図12】図12は、本発明の第2実施形態によるブラシの洗浄方法を示すフローチャートである。
【図13】図13は、本発明の第2実施形態によるブラシの洗浄方法を示す工程図(その1)である。
【図14】図14は、本発明の第2実施形態によるブラシの洗浄方法を示す工程図(その2)である。
【符号の説明】
【0083】
2…半導体製造装置
10…基台
12…回転台
14…ブラシ
16…アーム
16a…基部
16b…先端部
18…ブラシ待機部
20…半導体基板
22…洗浄槽
24…洗浄用基板
26…基台
28…超音波発振器
30…配管
32…配管
34…配管
36…バルブ
38…バルブ
40…バルブ
42…ノズル
44…洗浄液
46…純水
48…純水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクラブ洗浄に用いられたブラシを洗浄槽内に貯留された洗浄液に浸漬し、前記洗浄液に超音波振動を印加するステップと、
前記ブラシを前記洗浄槽内に設けられた洗浄用基板に接触させながら回転させるステップと
を有することを特徴とするブラシの洗浄方法。
【請求項2】
請求項1記載のブラシの洗浄方法において、
前記ブラシを前記洗浄用基板に接触させながら回転させるステップの後に、前記ブラシに純水を噴射しながら、前記洗浄液を排液するステップを更に有する
ことを特徴とするブラシの洗浄方法。
【請求項3】
請求項1記載のブラシの洗浄方法において、
前記ブラシを前記洗浄用基板に接触させながら回転させるステップの後に、前記洗浄槽内に貯留された前記洗浄液を純水に置換するステップを更に有する
ことを特徴とするブラシの洗浄方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のブラシの洗浄方法において、
前記洗浄液は、アルカリ性の洗浄液である
ことを特徴とするブラシの洗浄方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のブラシの洗浄方法において、
前記ブラシを前記洗浄用基板に接触させながら回転させるステップでは、前記洗浄用基板のうちの鏡面処理が施された面に前記ブラシを接触させる
ことを特徴とするブラシの洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−21457(P2010−21457A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−182324(P2008−182324)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【出願人】(308014341)富士通マイクロエレクトロニクス株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】