説明

プラズマ処理装置

【課題】容量結合型のプラズマ処理装置において基板を支持する電極と反対側の対向電極にデポや酸化膜が付くのを効率よく防止してプロセスの安定性や再現性の向上を図る。
【解決手段】サセプタ16には、下部高周波電源36より下部整合器40および下部給電棒44を介して主としてプラズマの生成に寄与する所定の周波数たとえば40MHzの下部高周波RFHが印加されるとともに、下部低周波電源38より下部整合器42および下部給電棒46を介して主としてサセプタ16上の半導体ウエハWに対するイオンの引き込みに寄与する所定の周波数たとえば3.2MHzの下部低周波RFLBが印加される。上部電極48には、上部低周波電源66より上部整合器68および上部給電棒70を介して主として上部電極48に対するイオンの引き込みに寄与する所定の周波数たとえば380kHzの上部低周波RFLTが印加される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマを利用して被処理基板に所望の微細加工処理を施すプラズマ処理装置に係り、特に処理容器内で基板を支持する電極にプラズマ生成用の高周波を印加する方式のプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスやFPD(Flat Panel Display)の製造プロセスにおけるエッチング、堆積、酸化、アッシング、スパッタリング等の処理では、処理ガスに比較的低温で良好な反応を行わせるためにプラズマがよく利用されている。従来より、枚葉式のプラズマ処理装置、特にプラズマエッチング装置の中では、容量結合型のプラズマ処理装置が主流となっている。
【0003】
一般に、容量結合型プラズマ処理装置は、真空チャンバとして構成される処理容器内に上部電極と下部電極とを平行に配置し、下部電極の上に被処理基板(半導体ウエハ、ガラス基板等)を載置し、両電極間に高周波電圧を印加する。この高周波電圧によって両電極間に形成される電界により電子が加速され、電子と処理ガスとの衝突電離によってプラズマが発生し、プラズマ中のラジカルやイオンによって基板表面に所望の微細加工たとえばエッチング加工が施される。
【0004】
基板を支持する側の電極つまり下部電極に高周波を印加する下部カソードタイプの容量結合型プラズマ処理装置においては、下部電極に生じる自己バイアス電圧を利用してプラズマ中のイオンを基板にほぼ垂直に引き込むことにより、方向性にすぐれた異方性エッチングを可能としている。最近は、下部電極にプラズマ生成に適した通常13.56MHz以上の高周波とイオン引き込みに適した通常13.56MHz以下の低周波とを重畳的に印加する下部2周波印加方式も多用されてきている。従来の下部2周波印加方式は、概して上部電極をアノード電極として接地する構成を採り、処理容器の天井に直付けで一体に上部電極を組み込むか、あるいは処理容器の天井を上部電極に用いている(たとえば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−156370
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、プラズマ処理装置においては、プラズマ処理中に生成される気相の反応生成物あるいは反応副生成物が処理容器内の各部、特にプラズマと直接対面する上部電極やチャンバ側壁に付着し、そこで固化して堆積物(デポジション、以下“デポ”と略称する。)となる。また、上部電極がプラズマにより酸化すると電極表面に酸化膜が形成され、たとえば上部電極の材質がシリコン(Si)の場合は電極表面にSiO2膜が形成される。このようなプラズマと対向する部材の表面に付着したデポや酸化膜が膜剥がれなどで離脱すると、パーティクルとなって、デバイスの歩留まりを悪化させる。そこで、定期的または必要に応じてクリーニングプロセスを実施して、処理容器内の各部材からデポや酸化膜を取り除くようにしている。
【0006】
しかしながら、上記のような下部2周波印加方式を採る従来の容量結合型プラズマ処理装置においては、接地電位の上部電極に自己バイアスが現れないため、そこに入射(衝突)するイオンのエネルギーは低く、スパッタ効果が弱い。このため、上部電極に多量のデポや酸化膜が付きやすく、これがプロセスの安定性や再現性を下げる原因となっている。また、クリーニングプロセスにプラズマクリーニングが多用されているが、チャンバ側壁のデポを短時間で効率よく取り除くことが困難であった。
【0007】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、基板を支持する電極と反対側の対向電極にデポや酸化膜が付くのを効率よく防止してプロセスの安定性や再現性の向上を図る容量結合型のプラズマ処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の別の目的は、対向電極側からプラズマ電位の制御あるいはプラズマ密度の制御を行えるようにした容量結合型のプラズマ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の観点におけるプラズマ処理装置は、真空排気可能な処理容器と、前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で被処理基板を支持する第1の電極と、前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で前記第1の電極と平行に向かい合う第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間の処理空間に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、主として前記処理空間で前記処理ガスのプラズマを生成するために、前記第1の電極に所定周波数の高周波を印加する高周波給電部と、主として前記プラズマから前記第1の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第1の電極に前記高周波よりも低い周波数の第1の低周波を印加する第1の低周波給電部と、主として前記プラズマから前記第2の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第2の電極に前記第1の低周波よりも低い周波数の第2の低周波を印加する第2の低周波給電部とを有する。
【0010】
上記の装置構成においては、プラズマ生成ないしプラズマ密度の主たる制御を第1の電極(通常下部電極)に印加する高周波により行い、第1の電極に入射するイオンエネルギーの主たる制御を第1の電極に印加する第1の低周波により行い、第2の電極(通常上部電極)に入射するイオンエネルギーの主たる制御を第2の電極に印加する第2の低周波により行うので、それら高周波および第1,第2の低周波の各周波数およびパワーを適宜選定することで、プラズマ密度特性および各イオンエネルギー特性の同時的な最適化を実現することができる。特に、第2の電極に入射するイオンエネルギーを高めることで、第2の電極にデポや酸化膜が付くのを効率よく防止することができる。
【0011】
本発明の好適な一態様によれば、第1の低周波がイオンのプラズマ周波数よりも高い周波数に設定され、第2の低周波がイオンのプラズマ周波数よりも低い周波数に設定される。この場合は、プラズマのイオンは、第1の電極に対しては第1の電極に生じる自己バイアス電圧に応じたシースの直流電界により加速されて第1の電極に入射する一方で、第2の電極に対しては第2の低周波のRF電界に追従して半周期毎に第2の電極に入射する。
【0012】
本発明の第2の観点におけるプラズマ処理装置は、真空排気可能な処理容器と、前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で被処理基板を支持する第1の電極と、前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で前記第1の電極と平行に向かい合う第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間の処理空間に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、主として前記処理空間で前記処理ガスのプラズマを生成するために、前記第1の電極に所定周波数の高周波を印加する高周波給電部と、主として前記プラズマから前記第1の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第1の電極に前記高周波よりも低い周波数の第1の低周波を印加する第1の低周波給電部と、主として前記プラズマから前記第2の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第2の電極に前記第1の低周波と同じ周波数の第2の低周波を印加する第2の低周波給電部とを有する。
【0013】
この装置構成においては、第1の電極に印加する第1の低周波と第2の電極に印加する第2の低周波の周波数を同じにすることで、低周波給電部の効率化を図ることができる。特に好ましい一態様として、第1および第2の低周波給電部に共通の低周波電源を用いることができる。この場合、第1および第2の低周波給電部が第1および第2の低周波を個別に増幅するための第1および第2の増幅器をそれぞれ有するのが好ましい。また、第1の低周波給電部が、給電ラインの途中で低周波電源側のインピーダンスと第1の電極側のインピーダンスとのマッチングをとるための第1の整合回路を有してよい。第2の低周波給電部も、給電ラインの途中で低周波電源側のインピーダンスと第2の電極側のインピーダンスとのマッチングをとるための第2の整合回路を有してよい。
【0014】
また、この装置構成においては、好ましい一態様として、第1の低周波と第2の低周波との間の相対的な位相差を任意に可変制御するための位相差制御部を用いることができる。この場合は、両低周波間の位相差を可変することで、プラズマ電位を可変制御することができる。したがって、たとえば処理容器の内壁に付着した堆積膜を除去するためのプラズマクリーニングを行うときは、位相差を最大またはその近辺の値に設定することで、プラズマ電位を常に高くして、容器内壁に対するイオンスパッタを強め、容器内壁のデポ膜を短時間で効率よく取り除くことができる。
【0015】
本発明の第3の観点におけるプラズマ処理装置は、真空排気可能な処理容器と、前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で被処理基板を支持する第1の電極と、前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で前記第1の電極と平行に向かい合う第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間の処理空間に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、主として前記処理空間で前記処理ガスのプラズマを生成するために、前記第1の電極に所定周波数の高周波を印加する高周波給電部と、主として前記プラズマから前記第1の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第1の電極に前記高周波よりも低い周波数の第1の低周波を印加する第1の低周波給電部と、主として前記プラズマから前記第2の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第2の電極に前記第1の低周波よりも高くて前記高周波よりも低い周波数の第2の低周波を印加する第2の低周波給電部とを有する。
【0016】
上記の装置構成においては、第2の低周波の周波数を高くすることで、第2の電極に生じる自己バイアス電圧は小さくなり、第2の電極に対するイオンスパッタ効果は弱まる反面、第2低周波のプラズマ生成に寄与する度合いは大きくなり、プラズマ密度の向上を図れる。
【0017】
本発明の第4の観点におけるプラズマ処理装置は、真空排気可能な処理容器と、前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で被処理基板を支持する第1の電極と、前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で前記第1の電極と平行に向かい合う第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間の処理空間に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、主として前記処理空間で前記処理ガスのプラズマを生成するために、前記第1の電極に所定周波数の第1の高周波を印加する第1の高周波給電部と、主として前記プラズマから前記第1の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第1の電極に前記第1の高周波よりも低い周波数の低周波を印加する低周波給電部と、主として前記プラズマから前記第2の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第2の電極に前記第1の高周波と同じ周波数の第2の高周波を印加する第2の高周波給電部とを有する。
【0018】
上記の装置構成においては、第2の低周波の周波数を一層高くするので、上記第3の観点における装置構成よりも、第2の電極に対するイオンスパッタ効果は一層弱まる反面、第2の低周波のプラズマ生成に寄与する度合いは一層大きくなる。
【0019】
本発明の第5の観点におけるプラズマ処理装置は、真空排気可能な処理容器と、前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で被処理基板を支持する第1の電極と、前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で前記第1の電極と平行に向かい合う第2の電極と、前記第1の電極と前記第2の電極との間の処理空間に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、主として前記処理空間で前記処理ガスのプラズマを生成するために、前記第1の電極に所定周波数の高周波を印加する高周波給電部と、主として前記プラズマから前記第2の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第2の電極に前記高周波よりも周波数の低い低周波を印加する低周波給電部とを有する。
【0020】
上記の装置構成においても、第1の電極に印加される高周波および第2の電極に印加される低周波により、上記第1の観点によるプラズマ処理装置における上記高周波および上記第2の低周波にそれぞれ相当する作用が得られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のプラズマ処理装置によれば、上記のような構成および作用により、基板を支持する電極と反対側の対向電極にデポや酸化膜が付くのを効率よく防止してプロセスの安定性や再現性の向上を図ることができる。また、対向電極側からプラズマ電位の制御あるいはプラズマ密度の制御を行うことも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0023】
図1に、本発明の第1の実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す。このプラズマ処理装置は、下部2周波/上部1周波印加方式の容量結合型(平行平板型)プラズマエッチング装置として構成されており、たとえば表面がアルマイト処理(陽極酸化処理)されたアルミニウムからなる円筒形の真空チャンバ(処理容器)10を有している。チャンバ10は保安接地されている。
【0024】
チャンバ10の底部には、セラミックなどの絶縁板12を介して円柱状のサセプタ支持台14が配置され、このサセプタ支持台14の上にたとえばアルミニウムからなるサセプタ16が設けられている。サセプタ16は下部電極を構成し、この上に被処理基板としてたとえば半導体ウエハWが載置される。
【0025】
サセプタ16の上面には、半導体ウエハWを静電吸着力で保持するための静電チャック18が設けられている。この静電チャック18は導電膜からなる電極20を一対の絶縁層または絶縁シートの間に挟み込んだものであり、電極20には直流電源22がスイッチ24を介して電気的に接続されている。直流電源22からの直流電圧により、半導体ウエハWをクーロン力で静電チャック18に吸着保持できるようになっている。静電チャック18の周囲でサセプタ16の上面には、エッチングの面内均一性を向上させるためのたとえばシリコンからなるフォーカスリング26が配置されている。サセプタ16およびサセプタ支持台14の側面にはたとえば石英からなる円筒状の内壁部材28が貼り付けられている。
【0026】
サセプタ支持台14の内部には、たとえば円周方向に延びる冷媒室または冷媒通路30が設けられている。この冷媒通路30には、外付けのチラーユニット(図示せず)より配管32a,32bを介して所定温度の冷媒たとえば冷却水が循環供給される。冷媒の温度によってサセプタ16上の半導体ウエハWの処理温度を制御できるようになっている。さらに、伝熱ガス供給機構(図示せず)からの伝熱ガスたとえばHeガスが、ガス供給ライン34を介して静電チャック18の上面と半導体ウエハWの裏面との間に供給される。
【0027】
サセプタ16には、下部高周波電源36および下部低周波電源38がそれぞれ下部整合器40,42および下部給電棒44,46を介して電気的に接続されている。下部高周波電源36は、プラズマの生成に主として寄与する所定の周波数たとえば40MHzの下部高周波RFHを所定のパワーで出力する。一方、下部低周波電源38は、サセプタ16上の半導体ウエハWに対するイオンの引き込みに主として寄与する所定の周波数たとえば3.2MHzの下部低周波RFLBを所定のパワーで出力する。
【0028】
サセプタ16の上方には、このサセプタと平行に対向して上部電極48が設けられている。この上部電極48は、多数のガス噴出孔50aを有するたとえばSi、SiCなどの半導体材料からなる電極板50と、この電極板50を着脱可能に支持する導電材料たとえば表面がアルマイト処理されたアルミニウムからなる電極支持体52とで構成されており、チャンバ10の上部にリング状の絶縁体54を介して取り付けられている。この上部電極48とサセプタ16との間にプラズマ生成空間または処理空間PSが設定されている。リング状絶縁体54は、たとえばアルミナ(Al23)からなり、上部電極48の外周面とチャンバ10の側壁との間の隙間を気密に塞いでおり、上部電極48を非接地で物理的に支持している。
【0029】
電極支持体52は、その内部にガスバッファ室56を有するとともに、その下面にガスバッファ室56から電極板50のガス噴出孔50aに連通する多数のガス通気孔52aを有している。ガスバッファ室56にはガス供給管58を介して処理ガス供給源60が接続されており、ガス供給管58にマスフローコントローラ(MFC)62および開閉バルブ64が設けられている。処理ガス供給源60より所定の処理ガスがガスバッファ室56に導入されると、電極板50のガス噴出孔50aよりサセプタ16上の半導体ウエハWに向けて処理空間PSに処理ガスがシャワー状に噴出されるようになっている。このように、上部電極48は処理空間PSに処理ガスを供給するためのシャワーヘッドを兼ねている。
【0030】
上部電極48には、上部低周波電源66が上部整合器68および上部給電棒70を介して電気的に接続されている。上部低周波電源66は、上部電極48に対するイオンの引き込みに主として寄与する所定の周波数たとえば380kHzの上部低周波RFLTを所定のパワーで出力する。
【0031】
サセプタ16およびサセプタ支持台14とチャンバ10の側壁との間に形成される環状の空間は排気空間となっており、この排気空間の底にはチャンバ10の排気口72が設けられている。この排気口72に排気管74を介して排気装置76が接続されている。排気装置76は、ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを有しており、チャンバ10の室内、特に処理空間PSを所望の真空度まで減圧できるようになっている。また、チャンバ10の側壁には半導体ウエハWの搬入出口78を開閉するゲートバルブ80が取り付けられている。
【0032】
このプラズマエッチング装置において、エッチングを行なうには、先ずゲートバルブ80を開状態にし、加工対象の半導体ウエハWをチャンバ10内に搬入して、静電チャック18の上に載置する。そして、処理ガス供給源60より所定の処理ガスつまりエッチングガス(一般に混合ガス)を所定の流量および流量比でチャンバ10内に導入し、排気装置76による真空排気でチャンバ10内の圧力を設定値にする。さらに、下部高周波電源36および下部低周波電源38よりそれぞれ所定のパワーで下部高周波RFH(40MHz)および下部低周波RFLB(3.2MHz)を重畳してサセプタ(下部電極)16に印加し、上部低周波電源66より所定のパワーで上部低周波RFLT(380kHz)を上部電極48に印加する。また、スイッチ24をオンにし、静電吸着力によって、静電チャック18と半導体ウエハWとの間の接触界面に伝熱ガス(Heガス)を閉じ込める。シャワーヘッド(上部電極)48より吐出されたエッチングガスは両電極16,48間で高周波の放電によってプラズマ化し、このプラズマで生成されるラジカルやイオンによって半導体ウエハWの主面の膜がエッチングされる。このプラズマエッチングにおいて、半導体ウエハWの主面上で生成される揮発性反応生成物の殆どは排気口72の外へ排出されるが、一部は上部電極48の電極板50やチャンバ10の側壁などに付着して皮膜またはデポ膜を形成する。また、電極板50がプラズマの下で酸化すると、電極表面に酸化膜(たとえばSiO2膜)が形成される。
【0033】
図2につき、このプラズマエッチング装置における下部2周波/上部1周波印加方式の作用を説明する。図2において、C40,C42,C68は整合器40,42,68内にそれぞれ設けられるブロッキング・キャパシタである。
【0034】
プラズマ処理が行われる時は、高周波電源36からの下部高周波RFH(40MHz)がサセプタ16に印加され、サセプタ16より高周波電流iが処理空間PSに供給されることで、処理ガスの分子・原子が解離・電離を起こしてプラズマPRが生成される。プラズマPR中のラジカルは拡散してサセプタ16上の半導体ウエハWの表面に到達すると、被加工材の原子と反応し、反応生成物は揮発する。また、下部低周波電源38からの下部低周波RFLB(3.2MHz)がサセプタ16に印加されることで、この下部低周波RFLBの印加電圧の振幅値に応じた大きさの自己バイアス電圧VDBがサセプタ16に生じる。プラズマPR中の正イオンは、イオンのプラズマ周波数(通常1〜2MHzの範囲内)よりも高い周波数に設定される下部低周波RFLB(3.2MHz)のRF電界には追従できないが、サセプタ16とプラズマPRとの間のシースSHBに生じる直流の電圧差または電界により加速されて半導体ウエハWの表面に衝突し(図2中の矢印J)、表面反応ないし反応生成物の離脱を促進させる。また、イオン衝撃で発生した二次電子は、シースSHBの直流電界により加速されてプラズマPRに撃ち込まれる。
【0035】
一方、上部低周波電源66からの上部低周波RFLT(380kHz)が上部電極48に印加されることで、この上部低周波RFLTの印加電圧の振幅値に応じた大きさの自己バイアス電圧VDTが上部電極48に生じる。プラズマPR中の正イオンは、イオンのプラズマ周波数よりも低い周波数に設定される上部低周波RFLT(380kHz)の電界に追従して半周期毎に上部電極48の表面に衝突して(図2中の矢印K)、上部電極48表面のデポ膜または酸化膜をスパッタ(除去)する。また、正イオンが上部電極48の表面に衝突した際に発生した二次電子は、上部電極48とプラズマPRとの間のシースSHTで直流電界により加速されてプラズマPRに撃ち込まれる。さらに、半周期毎に上部電極48よりプラズマPRに電子電流が供給される。
【0036】
上記のように、この実施形態の下部2周波/上部1周波印加方式においては、主に下部高周波(40MHz)に応じた両電極16,48間の高周波放電によりプラズマPRが生成・維持されるが、上部低周波RFLT(380kHz)も下部低周波RFLB(3.2MHz)と共にプラズマ密度の向上に寄与する。そして、サセプタ16上の半導体ウエハWに対しては主に下部高周波RFH(40MHz)のパワーで律速されるラジカルエッチングおよび主に下部低周波RFLB(3.2MHz)のパワーで律速されるイオンアシストエッチングが行われる一方で、上部電極48に対しては主に上部低周波RFLT(380kHz)のパワーで律速されるスパッタリングが行われる。
【0037】
上部低周波RFLT(380kHz)は、周波数が低いために、比較的小さなパワーでも十分大きなイオンエネルギーを発生することができる。このため、上部低周波電源66には小型・低コストの電源を用いることができる。
【0038】
上記のように、上部電極48は、プラズマ処理中にスパッタされることにより、デポ付着や酸化膜形成の無いまたは非常に少ないきれいな電極表面を保つことができる。これにより、プロセスが安定化し、プロセスの再現性も向上する。
【0039】
また、電極板50の材質がSiを含む場合、レジストマスクをエッチングする余分なFラジカルを捕獲して反応生成物のSiF4を処理空間へ返す作用がある。電極表面をクリーンに保つことで、このFラジカル捕獲作用を促進し、選択比を向上させることができる。
【0040】
図3に、本発明の第2の実施形態におけるプラズマ処理装置の構成を示す。図中、上記第1の実施形態における構成要素と同様の構成または機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0041】
この第2の実施形態は、下部2周波/上部1周波印加方式において下部低周波と上部低周波を同一の周波数に設定し、両低周波間の位相差を任意に可変制御できるようにしている。共通の低周波発振器(電源)82より出力される一定周波数(たとえば2MHz)の低周波は、下部低周波RFLBとして下部低周波給電ライン84のパワーアンプ86、下部整合器88、ローパス・フィルタ(LPF)90、下部給電棒46を介してサセプタ16に印加されると同時に、上部低周波RFLTとして上部低周波給電ライン92の位相推移器(フェーズ・シフタ)94、パワーアンプ96、上部整合器98、ローパス・フィルタ(LPF)100、上部給電棒70を介して上部電極48に印加される。
【0042】
下部低周波給電ライン84において、パワーアンプ86は、低周波発振器82から伝送されてくる下部低周波RFLBのパワーをたとえば数mWから数100Wまで増幅する。LPF90は、下部整合器88からの下部低周波RFLBをサセプタ16側へ通し、サセプタ16を経由して下部低周波給電ライン84に入ってきた高周波ノイズ(40MHz)を遮断する。
【0043】
上部低周波給電ライン92において、位相推移器(フェーズ・シフタ)94は、たとえばボリューム抵抗または可変コンデンサを含むRC回路からなり、低周波発振器82から送られてくる上部低周波RFLTの位相を制御部102の制御の下でたとえば0°〜180°の範囲内で任意に変えることができる。パワーアンプ96は、上部低周波RFLTのパワーをたとえば数mWから数10Wまで増幅する。LPF100は、上部低周波RFLTを上部電極48側へ通し、上部電極48側から上部低周波給電ライン92に入ってくる高周波ノイズ(40MHz)を遮断する。
【0044】
なお、下部高周波給電ラインに設けられるハイパス・フィルタ(HPF)104は、整合器40からの下部高周波RFH(たとえば40MHz)をサセプタ16側へ通し、サセプタ16を経由して入ってきた低周波ノイズ(2MHz)を遮断するためのものである。既述した第1の実施形態においても各フィルタ(HPF104、LPF90,LPF100)を用いることができる。
【0045】
この実施形態においては、位相推移器94を用いて上部低周波RFLTおよび下部低周波RFLBとの間の位相差を可変することにより、上部電極48およびサセプタ16にそれぞれ生じる自己バイアス電圧VDT,VDBおよびプラズマPRの電位(プラズマポテンシャル)Vpを可変制御することができる。
【0046】
図4に、このプラズマエッチング装置において両自己バイアス電圧VDT,VDBおよびプラズマ電位Vpに関係する部分の等価回路を示す。この等価回路において、ZBは、サセプタ16とプラズマPRとの間に形成されるシースSHBのインピーダンスであり、コンデンサCBとダイオードDBの並列回路で表される。ZTは、上部電極48とプラズマPRとの間に形成されるシースSHTのインピーダンスであり、コンデンサCTとダイオードDTの並列回路で表される。ZWは、チャンバ10の側壁とプラズマPRとの間に形成されるシースSHWのインピーダンスであり、コンデンサCWとダイオードDWの並列回路で表される。この等価回路の電源は、下部電極16側に下部低周波RFLBを与える電源82と、上部電極48側に上部低周波RFLTを与える電源(82,94)とで構成されている。自己バイアス電圧やプラズマ電位に対する高周波RFHの作用(影響)は相対的に小さく無視できるので、高周波電源36を省いている。
【0047】
図5に、上部低周波RFLTと下部低周波RFLB間の位相差を零にした場合の各部の電位または電位変化を示す。この場合は、両低周波RFLT,RFLBの電圧が上部電極48および下部電極16に同位相でそれぞれ印加されることにより、プラズマ電位Vpが接地電位(0V)付近の最小値とそれより相当高い最大値VMAXとの間で大きく振動する。
【0048】
この場合、両低周波RFLT,RFLBの印加電圧が正極性のピーク値に達する時にその時の(最大値VMAXになっている)プラズマ電位Vpに最も近くなり、電子電流がプラズマPRから両電極48,16へ供給される。また、両低周波RFLT,RFLBの印加電圧が負極性の値をとる期間中は、プラズマ電位Vpが数10Vまで下がっている。プラズマPR中の正イオンは、各シースSHT,SHB,SHWの電圧降下に応じた加速度で両電極48,16およびチャンバ10側壁に衝突または入射する。
【0049】
この位相差零(同位相)のモードにおいては、プラズマポテンシャルVpの最大値VMAXは大きく、最小値VMINは小さい。すなわち、Vpが高いときと低いときとがあるので、平均的にチャンバ10側壁へのスパッタ力は小さくなる。
【0050】
図6に、上部低周波RFLTと下部低周波RFLB間の位相差を最大(180°)にした場合の各部の電位または電位変化を示す。この場合は、両低周波RFLT,RFLBの電圧が上部電極48および下部電極16に逆位相で印加されることにより、プラズマ電位Vpが最大値VMAXとそれと殆ど違わない最小値VMINとの間で極僅かに振動する。
【0051】
この位相差最大(逆位相)のモードにおいては、両低周波RFLT,RFLBの印加電圧がそれぞれ正極性のピーク値に達する時にプラズマ電位Vpは最大となり、プラズマPRから高速電子の電子電流が正電位の電極48または電極16へ流入する。また、両低周波RFLT,RFLBのどちらかが負極性になっている時は、シースSHTまたはSHBには大きな自己バイアス電圧VDT,VDBが得られ、プラズマPR中の正イオンが電極48または電極16に非常に強い衝撃で入射する。一方、プラズマ電位Vpは常に(RFLTが正の時、RFLBが正の時)どちらかの電極より持ち上げられているので、チャンバ10側壁付近のシースSHWの電圧降下は大きく、プラズマPRからチャンバ10側壁に入射するイオンのエネルギーは高い。このように、プラズマポテンシャルVpの最大値VMAXは大きく、最小値VMINも大きい。すなわち、Vpが相対的に高いままであるので、平均的にチャンバ10側壁へのスパッタ力は大きくなる。
【0052】
上記のような位相差零(同位相)と位相差最大(逆位相)のモードは両極端であり、その間(0°〜180°)で位相差を任意に調節することにより所望のバランスで両極端モードの中間の作用効果を得ることができる。
【0053】
図7に、この実施形態による位相可変制御方式を好適に適用できる一例を示す。このエッチング加工は、レジスト110をマスクにして反射防止膜112、シリコン酸化膜(SiO2)114、下地膜116をこの順にマルチステップで連続的にエッチングしてビアホール118を形成するものであり、各ステップ毎にエッチング条件を切り換える。その際、エッチング条件の1つに上部低周波RFLTと下部低周波RFLB間の位相差を含めてよく、各ステップ毎に位相差を切り換えてよい。もっとも、いずれのステップにおいても、低イオンエネルギーでのエッチング処理を行う場合は、位相差を最小(同位相)寄りに設定するのが好ましく、これによって半導体ウエハWへのイオンの入射エネルギーを下げることができる。そして、全ステップの終了後に処理済の半導体ウエハWをチャンバ10から搬出してプラズマクリーニングを実施する際には、位相差を最大(逆位相)またはその近辺に設定するのが好ましく、これによってプラズマ電位Vpを高くしてチャンバ10側壁に対するイオンのスパッタを強め、チャンバ10側壁からデポを効果的に短時間で除去することができる。また、チャンバ10側壁の母材を保護するために適度な膜厚のデポを残しておくのが好ましい場合も、位相差の調整によりデポ膜の最適制御を容易に行うことができる。
【0054】
図8および図9に、上記した第2の実施形態における一変形例の装置構成を示す。図8の装置構成は、低周波電源82より出力される低周波パワーを中間タップ接地が可変の変圧器118で分圧し、変圧器118の二次側端子より互いに逆相の上部低周波RFLTおよび下部低周波RFLBを上部電極48および下部電極16にそれぞれ可変パワーで印加するようにしたものである。図示の構成例では、変圧器118において、タップ位置TをL側に近づけるほど相対的に上部低周波RFLTのパワーが増し、反対にタップ位置TをH側に近づけるほど相対的に下部低周波RFLBのパワーが増す。なお、整合器120は一次側に1つだけ設ければよい。
【0055】
図9の装置構成は、低周波電源82より出力される低周波を独立した2つの変圧器122,124で個別に分圧し、両変圧器118の二次側端子より互いに同相の上部低周波RFLTおよび下部低周波RFLBを上部電極48および下部電極16にそれぞれ印加するようにしたものである。
【0056】
図示省略するが、別の実施形態として、上部低周波RFLTを下部低周波RFLBよりも高くて下部高周波RFLBよりも低い周波数に設定することも可能である。一例として、RFLT=27MHz、RFLB=3.2MHz、RFH=40MHzである。この場合、上部低周波RFLTの周波数が比較的高くなっているので、上部電極48に生じる自己バイアス電圧VDBは小さくなる。しかも、プラズマPR中の正イオンは上部低周波RFLTのRF電界には追従できない。このため、上部電極48に対するイオンスパッタは弱くなる。反面、上部低周波RFLTのプラズマ生成に寄与する度合いは大きくなり、プラズマ密度の向上を図れる。
【0057】
この発展型として、図示省略するが、上部電極48に下部高周波RFHBと同じ周波数の高周波RFHTを印加する形態も可能である。この一例は、RFHT=40MHz、RFLB=3.2MHz、RFHB=40MHzである。この場合は、上部電極48に対するイオンスパッタが一層弱まる反面、プラズマ密度の一層の向上を図れる。
【0058】
また、別の実施形態として、図示省略するが、下部電極16に低周波RFLBと高周波RFHBを重畳させて印加し、上部電極48にも低周波RFLTと高周波RFHTを重畳させて印加する形態も可能である。その一例は、RFLT=380kHz、RFHT=60MHz、RFLB=3.2MHz、RFHB=40MHzである。この場合は、プラズマ密度の向上を図れると同時に上部電極48に対するイオンスパッタの強化も図れる。
【0059】
また、別の実施形態として、図示省略するが、下部電極16に単一周波数で高周波RFHBのみを印加し、上部電極48には単一周波数で低周波RFLTのみを印加する形態も可能である。その一例は、RFLT=380kHz、RFHB=40MHzである。
【0060】
また、上記した実施形態において、上部電極48または下部電極16に印加する各低周波または各高周波の周数数を連続的または段階的に可変制御または切換制御する構成も可能である。
【0061】
本発明は、プラズマエッチングに限定されず、プラズマCVD、プラズマ酸化、プラズマ窒化、アッシング、スパッタリングなどの他のプラズマ処理を行う装置にも適用可能である。また、本発明における被処理基板は半導体ウエハに限るものではなく、フラットパネルディスプレイ用の各種基板や、フォトマスク、CD基板、プリント基板等も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施形態における容量結合型プラズマエッチング装置の構成を示す縦断面図である。
【図2】図1のプラズマエッチング装置における下部2周波/上部1周波印加方式の作用を説明するための図である。
【図3】本発明の第2の実施形態における容量結合型プラズマエッチング装置の構成を示す縦断面図である。
【図4】図3のプラズマエッチング装置において自己バイアス電圧およびプラズマ電位に関係する部分の等価回路を示す図である。
【図5】図4の等価回路において両低周波の位相差を零(同位相)にした場合の作用を説明するための図である。
【図6】図4の等価回路において両低周波の位相差を最大(逆位相)にした場合の作用を説明するための図である。
【図7】図3のプラズマエッチング装置を好適に適用可能なエッチング加工例を示す断面図である。
【図8】第2の実施形態の一変形例による容量結合型プラズマエッチング装置の構成を示す縦断面図である。
【図9】別の変形例による容量結合型プラズマエッチング装置の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0063】
10 チャンバ(処理容器)
12 絶縁板
16 下部電極(サセプタ)
36 下部高周波電源
38 下部低周波電源
48 上部電極(シャワーヘッド)
60 処理ガス供給源
66 上部低周波電源
76 排気装置
82 低周波発振器(電源)
88,98 整合器
94 位相推移器
102 制御部
118,122,124 変圧器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空排気可能な処理容器と、
前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で被処理基板を支持する第1の電極と、
前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で前記第1の電極と平行に向かい合う第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の処理空間に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
主として前記処理空間で前記処理ガスのプラズマを生成するために、前記第1の電極に所定周波数の高周波を印加する高周波給電部と、
主として前記プラズマから前記第1の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第1の電極に前記高周波よりも低い周波数の第1の低周波を印加する第1の低周波給電部と、
主として前記プラズマから前記第2の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第2の電極に前記第1の低周波よりも低い周波数の第2の低周波を印加する第2の低周波給電部と
を有するプラズマ処理装置。
【請求項2】
前記第1の低周波がイオンのプラズマ周波数よりも高い周波数であり、前記第2の低周波がイオンのプラズマ周波数よりも低い周波数である請求項1記載のプラズマ処理装置。
【請求項3】
真空排気可能な処理容器と、
前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で被処理基板を支持する第1の電極と、
前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で前記第1の電極と平行に向かい合う第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の処理空間に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
主として前記処理空間で前記処理ガスのプラズマを生成するために、前記第1の電極に所定周波数の高周波を印加する高周波給電部と、
主として前記プラズマから前記第1の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第1の電極に前記高周波よりも低い周波数の第1の低周波を印加する第1の低周波給電部と、
主として前記プラズマから前記第2の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第2の電極に前記第1の低周波と同じ周波数の第2の低周波を印加する第2の低周波給電部と
を有するプラズマ処理装置。
【請求項4】
前記第1および第2の低周波給電部が共通の低周波電源を有する請求項3に記載のプラズマ処理装置。
【請求項5】
前記第1および第2の低周波給電部が前記第1および第2の低周波を個別に増幅するための第1および第2の増幅器をそれぞれ有する請求項4に記載のプラズマ処理装置。
【請求項6】
前記第1の低周波給電部が、給電ラインの途中で前記低周波電源側のインピーダンスと前記第1の電極側のインピーダンスとのマッチングをとるための第1の整合回路を有し、
前記第2の低周波給電部が、給電ラインの途中で前記低周波電源側のインピーダンスと前記第2の電極側のインピーダンスとのマッチングをとるための第2の整合回路を有する請求項4または請求項5に記載のプラズマ処理装置。
【請求項7】
前記第1の低周波と前記第2の低周波との間の相対的な位相差を任意に可変制御するための位相差制御部を有する請求項4〜6のいずれか一項に記載のプラズマ処理装置。
【請求項8】
前記処理容器の内壁に付着した堆積膜を除去するためのプラズマクリーニングを行うときは、前記位相差を最大またはその近辺の値に設定する請求項7に記載のプラズマ処理装置。
【請求項9】
真空排気可能な処理容器と、
前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で被処理基板を支持する第1の電極と、
前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で前記第1の電極と平行に向かい合う第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の処理空間に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
主として前記処理空間で前記処理ガスのプラズマを生成するために、前記第1の電極に所定周波数の高周波を印加する高周波給電部と、
主として前記プラズマから前記第1の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第1の電極に前記高周波よりも低い周波数の第1の低周波を印加する第1の低周波給電部と、
主として前記プラズマから前記第2の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第2の電極に前記第1の低周波よりも高くて前記高周波よりも低い周波数の第2の低周波を印加する第2の低周波給電部と
を有するプラズマ処理装置。
【請求項10】
真空排気可能な処理容器と、
前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で被処理基板を支持する第1の電極と、
前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で前記第1の電極と平行に向かい合う第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の処理空間に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
主として前記処理空間で前記処理ガスのプラズマを生成するために、前記第1の電極に所定周波数の第1の高周波を印加する第1の高周波給電部と、
主として前記プラズマから前記第1の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第1の電極に前記第1の高周波よりも低い周波数の低周波を印加する低周波給電部と、
主として前記プラズマから前記第2の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第2の電極に前記第1の高周波と同じ周波数の第2の高周波を印加する第2の高周波給電部と
を有するプラズマ処理装置。
【請求項11】
真空排気可能な処理容器と、
前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で被処理基板を支持する第1の電極と、
前記処理容器に絶縁物を介して取り付けられ、前記処理容器内で前記第1の電極と平行に向かい合う第2の電極と、
前記第1の電極と前記第2の電極との間の処理空間に所望の処理ガスを供給する処理ガス供給部と、
主として前記処理空間で前記処理ガスのプラズマを生成するために、前記第1の電極に所定周波数の高周波を印加する高周波給電部と、
主として前記プラズマから前記第2の電極に入射するイオンのエネルギーを制御するために、前記第2の電極に前記高周波よりも周波数の低い低周波を印加する低周波給電部と
を有するプラズマ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−244103(P2008−244103A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−81844(P2007−81844)
【出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】