説明

ペプチダーゼ阻害剤

本発明は、式(I)を有する一連の新規化合物に関する。式中、Xは、NR3又はOであり、nは、1又は2であり、Aは、二環式炭素環であり、R1及びR2は、本明細書に記載されるものである。化合物は、DPP−IVの阻害剤として有用であり、例えば糖尿病の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)の阻害剤である一連の新規化合物、それらの塩、異性体、これらを含有する製薬処方物及びその使用法、特に糖尿病の治療法に関する。
【背景技術】
【0002】
腸管由来インクレチンホルモンである、グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)及び胃抑制ポリペプチド(GIP)は、栄養による刺激でのインシュリン放出の>50%に関与し、かつβ−細胞グルコース受容能、β−細胞の成長、分化、増殖への刺激及び細胞寿命において役割を有する。これらのホルモンは、放出時に、生体内のあらゆる所に存在するセリンプロテアーゼである、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)により迅速に不活性化される(GLP−1;t1/2=1.5分)。DPP−IVは、Pro又はAla末端アミノ酸残基を特異的に切断することによって作用する。DPP−IVの阻害は、インシュリン分泌の刺激、グルカゴン放出の阻害及び緩慢な胃内容排出に好ましい効果を有するGLP−1の半減期が延長されることで示される。
【0003】
活性GLP−1レベルを保持することによるDPP−IVの阻害では、インシュリン遺伝子発現と生合性とを刺激し、β−細胞のグルコース−センシング機構の発現を増加させ、かつβ−細胞の分化に関与する遺伝子を促進することにより、II型糖尿病の進行を遅らせるか又は阻止すらすることができる。GLP−1のグルコース低下効果は、上昇された血液グルコースに依存し、グルコースレベルが正常値に戻るにつれ減退するので、DPP−IV阻害剤による治療の間、低血糖の可能性は非常に低いことが予想される。事実、DPP−IVの長期にわたる阻害に関する、DPP−IVノックアウトマウスを用いた研究は、有害反応を示さなかった。
【0004】
DPP−IV阻害剤の適用は、GIP及びGLP−1の不活性化を遅延させ、そのことによりインシュリンの分泌を増加させ、血液グルコースのコントロールを改良することができる。動物モデル及び糖尿病患者において、適切なインシュリン分泌及び作用の回復により身体の全血糖値のコントロールが改良されることを示すことができた。そのような作用様式は、この治療原理に特有である。前記研究により、DPP−IV阻害剤を用いるII型糖尿病の長期にわたる安全な治療の可能性が示唆される。
【発明の開示】
【0005】
本発明の第一の態様は、式I:
【化1】

[式中、
Xは、NR3(式中、R3は、下に記載のものである)又はOであり、
nは、1又は2であり、
Aは、原子数5〜20の二環式又は三環式炭素環であり、二環の各ブリッジは少なくとも1つの原子を有し、
1は、
【化2】

(式中、
p及びqは、独立して0又は1であり、
Yは、CH2、CHF、CF2、O又はS(O)mであり、
W及びZは、独立して、CH2、CHF又はCF2であり、かつ
N、W、Y、Z及びこれらが結合されている炭素原子から形成される環は、飽和であるか又は場合により2重結合1つを含む)であり、
2は、下に詳細に記載される有機基であり、
8は、H又はシアノであり、
mは0、1又は2である]の化合物、その薬学的に許容可能な塩又はそのプロドラッグである。
【0006】
本発明の第二の態様は、本明細書中に記載の化合物を薬学的に許容可能な担体と組み合わせて含む製薬組成物である。
【0007】
本発明の第三の態様は、その必要のある被験者においてDPP−IVを阻害する方法であって、この方法は、前記被験者に、DPP−IVを阻害するのに有効な量で本明細書に記載の化合物を投与することを含む。
【0008】
本発明の第四の態様は、その必要のある被験者の糖尿病(特にII型糖尿病)を治療する方法であって、この方法は、前記糖尿病の治療に有効な量で本明細書に記載の化合物を前記被験者に投与することを含む。
【0009】
本発明の第五の態様は、本明細書に記載の使用方法又は治療方法に有用な医薬の調製のために、本明細書に記載の化合物又は活性化合物を使用することである。
【0010】
一部の実施態様では、投与ステップは、経皮投与ステップ(例えば、能動的(active)経皮投与ステップ、例えばイオントホレーゼ、電気穿孔法、超音波導入法、熱エネルギー、もしくは磁気泳導法(magnetophoresis)、又は前記活性剤を含有するパッチを前記被験者の皮膚に適用するステップ)である。
【0011】
一部の実施形態では、投与ステップは、吸入投与により実施される(例えば、鼻腔内スプレーにより、及び/又は、前記被験者の肺への吸入により)。
【0012】
本発明のもう一つの態様は、本明細書に記載の活性化合物をデバイス中の活性剤として使用することを含む、経皮薬物送達デバイスにおける改良である。そのようなデバイスは、パッチ(例えば、裏張りと、前記裏張りにより担持された接着層少なくとも1つとを含み、前記接着層に更に前記活性剤が含まれるパッチ;裏張りと、前記裏張りに結合したレザバーと、接着層とを含み、前記レザバーに更に前記活性剤が含まれるパッチ;裏張りと、前記裏張りに結合したマトリックスと、接着層とを含み、前記マトリックスに更に前記活性剤が含まれるパッチ)を含み、一部の実施形態では、場合により更に、それに動作可能に結合され、被験者の皮膚を横切る前記活性剤の流量を増加させるように構成された複数の極微針を含む。
【0013】
本発明のもう一つの態様は、本明細書に記載の活性剤をデバイス中の活性剤として使用することを含む、吸入薬物送達デバイスにおける改良である。好適なデバイスは、鼻内スプレーデバイス及び肺投与デバイスを含む。
【0014】
本発明の前記及び他の目的並びに態様は、下記の本明細書中で更に詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本明細書中で使用される「ハロ」は、−F、−Cl、−Br及び−Iを含む任意の好適なハロゲンを示す。本明細書中で使用される「メルカプト」は、−SH基を示す。本明細書中で使用される「アジド」は、−N3基を示す。本明細書中で使用される「シアノ」は、−CN基を示す。本明細書中で使用される「ヒドロキシル」は、−OH基を示す。本明細書中で使用される「ニトロ」は、−NO2基を示す。
【0016】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「アルキル」は、炭素原子1〜10個を含む直鎖又は分岐鎖の炭化水素を示す。アルキルの代表例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、3−メチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルペンチル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル等を含むが、これらに限定はされない。本明細書中に使用される「低級アルキル」は、好ましくは一部の実施形態では、アルキルの亜集団であり、炭素原子1〜4個を含有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を示す。低級アルキルの代表例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、tert−ブチル等を含むが、これらに限定はされない。用語「アルキル」又は「低級アルキル」は、他に指示が無ければ、置換及び非置換両方のアルキル又は低級アルキルを含むことを意図とし、これらの基は、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、メルカプト、アルキル−S(O)m、ハロアルキル−S(O)m、アルケニル−S(O)m、アルキニル−S(O)m、シクロアルキル−S(O)m、シクロアルキルアルキル−S(O)m、アリール−S(O)m、アリールアルキル−S(O)m、ヘテロシクロ−S(O)m、ヘテロシクロアルキル−S(O)m、アミノ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ハロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホンアミド、ウレア、アルコキシアシルアミノ、アミノアシルオキシ、ニトロ又はシアノから選択される基により置換されていてもよく、但しm=0、1又は2である。
【0017】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「アルケニル」は、炭素原子1〜10個を含む(又は低級アルケニルでは炭素原子1〜4個)直鎖又は分岐鎖の炭化水素を示し、正鎖中に二重結合1〜4個を含む。アルケニルの代表例は、ビニル、2−プロペニル、3−ブテニル、2−ブテニル、4−ペンチル、3−ペンチル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、2,4−ヘプタジエン等を含むが、これらに限定はされない。用語「アルケニル」又は「低級アルケニル」は、他に指示が無ければ、置換及び非置換両方のアルケニル又は低級アルケニルを含むことを意図とし、これらの基は、前記のアルキル及び低級アルキルに関連して記載された基により置換されていてよい。
【0018】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「アルキニル」は、炭素原子1〜10個を含む(又は低級アルキニルでは炭素原子1〜4個)直鎖又は分岐鎖の炭化水素を示し、正鎖中に三重結合1個を含む。アルキニルの代表例は、2−プロピニル、3−ブチニル、2−ブチニル、4−ペンテニル、3−ペンテニル等を含むが、これらに限定はされない。用語「アルキニル」又は「低級アルキニル」は、他に指示が無ければ、置換及び非置換両方のアルキニル又は低級アルキニルを含むことを意図とし、これらの基は、前記のアルキル及び低級アルキルに関連して記載されたのと同一の基により置換されていてよい。
【0019】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「アルコキシ」は、酸素基−O−を介して親分子部分に結合された、本明細書に記載のアルキル又は低級アルキルを示す。アルコキシの代表例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2−プロポキシ、ブトキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等を含むが、これらに限定はされない。
【0020】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「アシル」は、−C(O)Rラジカルを示し、式中、Rは、任意の好適な置換基、例えばアリール、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又は本明細書中に記載の他の好適な置換基である。
【0021】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「ハロアルキル」は、本明細書中に定義されたアルキル基を介して親分子部分に結合された、本明細書中に定義された、少なくとも1つのハロゲンを示す。ハロアルキルの代表例は、クロロメチル、2−フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2−クロロ−3−フルオロペンチル等を含むが、これらに限定はされない。
【0022】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「アルキルチオ」は、本明細書中に定義されたチオ部分を介して親分子部分に結合された、本明細書中に定義されたアルキル基を示す。アルキルチオの代表例は、メチルチオ、エチルチオ、tert−ブチルチオ、ヘキシルチオ等を含むが、これらに限定はされない。
【0023】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「アリール」は、単環式環状炭素系又は芳香環1つ以上を有する二環式縮合炭素環系を示す。アリールの代表例は、アズレニル、インダニル、インデニル、ナフチル、フェニル、テトラヒドロナフチル等を含む。用語「アリール」は、他に指示が無ければ、置換及び非置換両方のアリールを含むことを意図し、これらの基は、前記のアルキル及び低級アルキルに関連して記載されたのと同じ基により置換されていてよい。
【0024】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「アリールアルキル」は、本明細書中に定義されたアルキル基を介して親分子部分に結合された、本明細書中に定義されたアリール基を示す。アリールアルキルの代表例は、ベンジル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、2−ナフチ−2−イルエチル等を含むが、これらに限定はされない。
【0025】
本明細書中に使用される「アミノ」は、ラジカル:−NH2を意味する。
【0026】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「アルキルアミノ」は、ラジカル:−NHRを意味し、式中、Rは、アルキル基である。
【0027】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「アリールアルキルアミノ」は、ラジカル:−NHRを意味し、式中、Rは、アリールアルキル基である。
【0028】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「二置換アミノ」は、ラジカル:−NRabを意味し、式中、Ra及びRbは、独立して、群:アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキルから選択される。
【0029】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「アシルアミノ」は、ラジカル:−NRabを意味し、式中、Raは、本明細書中に定義されたアシル基であり、Rbは、群:水素、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキルから選択される。
【0030】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「アシルオキシ」は、ラジカル:−ORを意味し、式中、Rは、本明細書中に定義されたアシル基である。
【0031】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「エステル」は、−C(O)ORラジカルを示し、式中、Rは、任意の好適な置換基、例えば、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールである。
【0032】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「アミド」は、−C(O)NRabラジカルを示し、式中、Ra及びRbは、任意の好適な置換基、例えば、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールである。
【0033】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「スルホンアミド」は、−S(O)2NRabラジカルを示し、式中、Ra及びRbは、任意の好適な置換基、例えば、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールである。
【0034】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「ウレア」は、−N(Rc)C(O)NRabラジカルを示し、式中、Ra、Rb及びRcは、任意の好適な置換基、例えば、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールである。
【0035】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「アルコキシアシルアミノ」は、−N(Ra)C(O)ORbラジカルを示し、式中、Ra、Rbは、任意の好適な置換基、例えば、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールである。
【0036】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「アミノアシルオキシ」は、−OC(O)NRabラジカルを示し、式中、Ra及びRbは、任意の好適な置換基、例えば、H、アルキル、シクロアルキル、アルケニル、アルキニル又はアリールである。
【0037】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「シクロアルキル」は、炭素3、4又は5から6、7又は8個までを含有する、飽和又は部分的に不飽和の環状炭化水素基を示す(後に記載の複素環基で置き換えてもよい)。シクロアルキルの代表例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル及びシクロオクチルを含む。これらの環は、場合により、ハロ又は低級アルキルにより置換されていてよい。
【0038】
本明細書中に、単独で又は他の基の一部として使用される「複素環基」又は「複素環」は、単環式環系又は二環式環系を示す。単環式環系は、酸素、窒素及び硫黄から独立して選択されるヘテロ原子1、2、3又は4個を含む任意の5又は6員環により例示される。5員環は、二重結合0〜2個を有し、6員環は、二重結合0〜3個を有する。単環式環系の代表例は、アゼチジン、アゼピン、アジリジン、ジアゼピン、1,3−ジオキソラン、ジオキサン、ジチアン、フラン、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、イソチアゾール、イソチアゾリン、イソチアゾリジン、イソオキサゾール、イソオキサゾリン、イソオキサゾリジン、モルホリン、オキサジアゾール、オキサジアゾリン、オキサジアゾリジン、オキサゾールオキサゾリン、オキサゾリジン、ピペラジン、ピペリジン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、テトラジン、テトラゾール、チアジアゾール、チアジアゾリン、チアジアゾリジン、チアゾール、チアゾリン、チアゾリジン、チオフェン、チオモルホリン、チオモルホリンスルホン、チオピラン、トリアジン、トリアゾール、トリチアン等を含むが、これらに限定はされない。二環式環系は、本明細書に定義されたアリール基、本明細書に定義されたシクロアルキル基又は本明細書に定義された他の単環式環系に融合された前記単環式環系のいずれかにより例示される。二環式環系の代表例は、例えばベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾチアジアゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾフラン、ベンゾピラン、ベンゾチオピラン、ベンゾジオキシン、1,3−ベンゾジオキソール、シンノリン、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、ナフチリジン、イソベンゾフラン、イソベンゾチオフェン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、フタラジン、プリン、ピラノピリジン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、キナゾリン、テトラヒドロイソキノリン、テトラヒドロキノリン、チオピラノピリジン等を含むが、これらに限定はされない。これらの環は、場合により、ハロ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、アルケニルオキシ、アルキニルオキシ、ハロアルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、メルカプト、アルキル−S(O)m、ハロアルキル−S(O)m、アルケニル−S(O)m、アルキニル−S(O)m、シクロアルキル−S(O)m、シクロアルキルアルキル−S(O)m、アリール−S(O)m、アリールアルキル−S(O)m、ヘテロシクロ−S(O)m、ヘテロシクロアルキル−S(O)m、アミノ、アルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、ハロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホンアミド、ウレア、アルコキシアシルアミノ、アミノアシルオキシ、ニトロ又はシアノから選択された基により置換されていてよく、但し、m=0、1又は2である。
【0039】
本明細書中で使用される「治療」は、(例えば、1つまたは複数の症状において)患者の病態の改善、疾患の進行の遅延など、罹患患者に利益を与えるあらゆる種類の治療をいう。
【0040】
本明細書中で使用される「薬学的に許容可能な」は、化合物または組成物が、本明細書中に記載の治療を達成するために、疾患の重症度および治療の必要性に照らして過度に有害な副作用を起こすことなく、被験者へ投与するのに適切であることを意味する。
【0041】
本明細書中で使用される「薬学的に許容可能なプロドラッグ」は、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、炎症、アレルギー反応等無しでヒト及び下等動物の組織に接触して使用するのに好適であり、リスク/利益の適正な割合に見合い、かつ意図された用途に有効である、本発明の化合物のプロドラッグのことであり並びに可能な場合には本発明の化合物の双性イオン形も示す。用語「プロドラッグ」は、例えば血液中での加水分解により、生体内で迅速に変形されて、前記製剤の親化合物を生じる化合物のことである。徹底的な議論が、T.Higuchi and V.Stella,Prodrugs as Novel delivery Systems, Vol.14 of the A.C.S.Symposium Series及びEdward B.Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987の中で行われている。その両方とも参照することにより、本明細書の一部を構成している。US特許No.6680299も参照。US特許No.6680324及びUS特許No.6680322に記載されているように、例は、被験者により生体内で代謝されて、本明細書中に記載の活性化合物の活性を有する活性薬物となるプロドラッグを含み、但し、プロドラッグは、そのような基が化合物中に存在するならば、アルコールもしくはカルボン酸基のエステルであり;そのような基が化合物中に存在するならば、アルコール基のアセタールもしくはケタールであり;そのような基が化合物中に存在するならば、アミン基のN−マンニッヒ塩基もしくはイミンであり;又はそのような基が化合物中に存在するならば、カルボニル基のシッフ塩基、オキシム、アセタール、エノールエステル、オキサゾリジンもしくはチアゾリジンである。
【0042】
本発明のプロドラッグは、その開示全体が、参照することにより本明細書の一部を構成する、Adams et al.へのUS特許No.6548668、Adams et al.へのUS特許No.6083903又はPlamondon et al.へのUS特許No.669835に記載されるエステル又は組成物を含む。
【0043】
1.活性化合物
本発明の活性化合物(この用語は、薬学的に許容可能なその塩とそのプロドラッグを含む)は、公知技術(例えばVillhauer et al.へのU.S.特許No.6166063を参照)又は本明細書中に提供される開示に基づいて当業者には明白であろう公知技術の変法により製造することができる。
【0044】
従って、本発明の化合物又は活性化合物は、式I:
【化3】

[式中、
Xは、NR3又はOであり、
nは、1又は2であり、
Aは、原子数5〜20の二環式又は三環式炭素環であり、二環の各ブリッジは少なくとも1つの原子を有し、
1は、
【化4】

(式中、
p及びqは、独立して0又は1であり、
Yは、CH2、CHF、CF2、O又はS(O)mであり、
W及びZは、独立して、CH2、CHF又はCF2であり、かつ
N、W、Y、Z及びこれらが結合されている炭素原子から形成される環は、飽和であるか又は場合により2重結合1つを含む)であり、
XがNR3である場合には、R2は、R4−SO2−、R5−SO2−NH−C(O)−、R67N−SO2−又は非置換複素環基もしくは場合によりハロ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、メルカプト、アルキル−S(O)m、ハロアルキル−S(O)m、シクロアルキル−S(O)m、シクロアルキルアルキル−S(O)m、アリール−S(O)m、アリールアルキル−S(O)m、ヘテロシクロ−S(O)m、ヘテロシクロアルキル−S(O)m、アミノ、アルキルアミノ、ハロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホンアミド、ウレア、アルコキシアシルアミノ、アミノアシルオキシ、ニトロ又はシアノで置換された複素環基であり、
XがOである場合には、R2は、非置換複素環基又は場合によりハロ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、メルカプト、アルキル−S(O)m、ハロアルキル−S(O)m、シクロアルキル−S(O)m、シクロアルキルアルキル−S(O)m、アリール−S(O)m、アリールアルキル−S(O)m、ヘテロシクロ−S(O)m、ヘテロシクロアルキル−S(O)m、アミノ、アルキルアミノ、ハロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホンアミド、ウレア、アルコキシアシルアミノ、アミノアシルオキシ、ニトロ又はシアノで置換された複素環基であり、
3は、H、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ及びヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
4は、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ及びヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、好ましくはアリール、ヘテロシクロ及びヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
5は、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ及びヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
6及びR7は、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ及びヘテロシクロアルキルからなる群から選択されるか又はR6及びR7は一緒になってC3〜C7アルキレンを形成し、
8は、H又はシアノであり、
mは0、1又は2である]により図示される。
【0045】
好適な基「A」の例は、アダマンチル、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン及びビシクロ[3.3.1]ノナンを含むが、これらに限定はされず、前記は、場合により二重結合を1つ以上含んでもよい。
【0046】
本発明を実施するのに好適なアダマンチル基「A」の連鎖を備えた例は、以下:
【化5】

を含む。
【0047】
本発明を実施するのに好適な基「A」の連鎖を備えた具体例は、以下:
【化6】

を含む。
【0048】
本発明の活性化合物の例は、
【化7】

を含むが、これらに限定はされない。
【0049】
本発明の化合物の追加例は、
【化8】

【化9】

【化10】

【化11】

を含むが、これらに限定はされない。
【0050】
本明細書に記載の特定の化合物は、1つ以上のキラル中心を有するか、又はさもなければ、多重の立体異性体として存在することができる。本発明の範囲は、純粋立体異性体も、立体異性体の混合物も含み、例えば、精製されたエナンチオマー/ジアステレオマー、エナンチオマー/ジアステレオマーに富んだ混合物又はラセミ体を含む。
【0051】
本明細書に開示された活性化合物は、前記されたように、その薬学的に許容可能な塩の形で調製することができる。薬学的に許容可能な塩は、親化合物の所望の生物学的活性を保持し、望ましくない毒性効果を与えない塩である。そのような塩の例は、(a)無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等、と共に形成された酸付加塩;及び有機酸、例えば酢酸、シュウ酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルコン酸、クエン酸、リンゴ酸、アルコルビン酸、安息香酸、タンニン酸、パルミチン酸、アルギン酸、ポリグルタミン酸、ナフタレンスルホン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、ポリガラクツロン酸等、と共に形成された塩;(b)元素のアニオン、例えば塩素、臭素及びヨウ素から形成された塩;(c)塩基から誘導された塩、例えばアンモニウム塩、アルカリ金属塩、例えばナトリウム及びカリウムの塩、アルカリ土類金属塩、例えばカルシウム及びマグネシウムの塩、並びに有機塩基、例えばジシクロヘキシルアミン及びN−メチル−D−グルカミン、との塩である。
【0052】
2.製薬処方物
前記活性化合物は、公知技術により製薬担体中で、投与用に製剤することができる。例えば、Remington,The Science And Practice of Pharmacy(9th Ed.1995)参照。本発明による製薬処方物の製造において、活性化合物(その生理的許容可能な塩を含む)は、通常、特に、許容可能な担体と混合される。担体は、無論、処方物の任意の他成分と適合できる意味において、許容性でなくてはならず、患者に有害であってはならない。担体は固体または液体または両方であってよく、化合物と共に、単位投与剤形、例えば錠剤として製剤されることが好ましい。該剤形は約0.01または0.5重量%から、95重量%又は99重量%までの活性化合物を含み得る。活性化合物を1つ以上、本発明の処方物中に組み入れることができ、この処方物は、任意に1つ以上の副成分を含む成分を混合するステップから本質的になる薬学の充分公知の技術のいずれかにより調製することができる。
【0053】
本発明の処方物は、経口、直腸、局所、口内(例えば、舌下)、膣、非経口(例えば、皮下、筋内、皮内又は静脈内)、局所(即ち、気道面を含む皮膚及び粘膜の両面)及び経皮投与に適した処方物を含むが、所与の任意の事例で最も適切な経路は、治療される病態の性質および重症度ならびに使用される特定の活性化合物の性質に依存するだろう。
【0054】
経口投与に適した処方物は、カプセル、カシェ剤、ロゼンジ、または錠剤などの個別単位で提供することができる。該単位のそれぞれは、粉末もしくは顆粒として;水性もしくは非水性の液体の溶液もしくは懸濁液として;又は水中油エマルジョンもしくは油中水エマルジョンとして、所定量の活性化合物を含む。このような処方物は、活性化合物と適切な担体(上記の1つ以上の副成分を含み得る)とを結び付けるステップを含む任意の適切な薬学方法により調製することができる。一般に、本発明の処方物は、活性化合物を液体担体または微細に分割された固体担体または両方と均一に且つ密に混合した後、必要な場合は、生じた混合物を成形することにより調製する。例えば、錠剤は、任意に1つ以上の副成分とともに、活性化合物を含む粉末または顆粒を圧縮または成形することにより調製することができる。圧縮錠剤は、任意に、結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、及び/又は界面活性剤/分散剤と混合された粉末または顆粒など、フリーフロー形の化合物を適切な機械で圧縮することにより調製することができる。成形錠剤は不活性液体結合剤で湿した粉末化合物を適切な機械で成形することにより作製することができる。
【0055】
口内(舌下)投与に適した処方物は、風味付けされた基剤、通常、ショ糖及びアカシア又はトラガカントの中に活性化合物を含むロゼンジと、不活性基剤、例えばゼラチンおよびグリセリン又はショ糖及びアカシアの中に化合物を含むトローチとを含む。
【0056】
非経口投与に適した本発明の処方物は、活性化合物の水性および非水性の滅菌注射溶液を含む。この調製物は対象とするレシピエントの血液と等張であることが好ましい。これらの調製物は、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤、及び該処方物を対象レシピエントの血液と等張にさせる溶質を含み得る。水性及び非水性の滅菌懸濁液は懸濁剤および増粘剤を含み得る。処方物は、単回投薬(unit/dose)または複数回投薬(multi−dose)の容器、例えば密閉されたアンプルおよびバイアル、で提供することができる。処方物は、滅菌液体担体、例えば生理食塩水または注射用水、の添加だけが使用直前に必要である、フリーズドライ(凍結乾燥)状態で保存することができる。即席の注射溶液及び懸濁液は、前述した種類の滅菌粉末、顆粒及び錠剤から調製できる。例えば、本発明の一態様において、式(I)の化合物又はその塩を含む注射可能な安定した滅菌組成物は、密閉容器に入れて単位投与剤形の形で提供される。化合物又は塩は、被験者への注射に適した液体組成物を形成するために、薬学的に許容し得る適切な担体を用いて再構成できる凍結乾燥の剤形で提供される。単位投与剤形は通常約10mgから約10gの化合物又は塩を含む。化合物又は塩が実質的に水に不溶性である場合、充分な量の、生理学的に許容される乳化剤が、水性担体に、化合物又は塩を乳化するのに充分な量で使用され得る。このような有用な乳化剤の1つはホスファチジルコリンである。
【0057】
直腸投与に適した処方物は単位投与座薬として提供されるのが好ましい。これらは、1つ以上の慣用の固体担体、例えばココアバター、と活性化合物とを混合した後、生じた混合物を成形することにより調製できる。
【0058】
皮膚への局所適用に適した処方物は、軟膏、クリーム、ローション、ペースト、ジェル、スプレー、エアロゾル、または油の剤形をとることが好ましい。使用され得る担体は、ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、アルコール、経皮エンハンサー、及びそれらの二つ以上の組み合わせを含む。
【0059】
経皮投与に適した処方物は、レシピエントの表皮と長時間密に接触したままであるように適応された個別パッチとして提供され得る。経皮投与に適した処方物はイオントホレーゼ(例えば、Pharmaceutical Research 3(6):318(1986)参照)によっても送達され得る。該処方物は、通常、必要に応じて緩衝された活性化合物の水溶液の剤形をとる。適切な処方物はクエン酸塩又はビス/トリス緩衝液(pH6)又はエタノール/水を含み、0.1Mから0.2Mの活性成分を含有する。
【0060】
更に、本発明は、本明細書中に開示された化合物及びその塩のリポソーム製剤を提供する。リポソーム懸濁液の形成技術は、当業者に公知である。化合物又はその塩が水溶性塩である場合は、慣用のリポソーム技術を使用して、脂質ベシクル中にこれを導入することができる。そのような例では、化合物又はその塩が水溶性であるために、化合物又は塩は実質的にリポソームの親水性中心又はコアの中に取り込まれるであろう。使用された脂質層は、任意の慣用の組成物からできていてよく、コレステロールを含んでも、コレステロールを含まなくてもよい。当該化合物又は塩が水に不溶である場合は、再度慣用のリポソーム形成技術を使用し、塩は、リポソーム構造を形成する疎水性脂質二重層内に、実質的に取り込まれ得る。どちらの例においても、製造されるリポソームは、標準超音波処理及び均一化技術を使用したように、サイズが減じられ得る。本明細書中に開示された化合物又はその塩を含有するリポソーム製剤は、凍結乾燥されて凍結乾燥物を生じ、これは、薬学的に許容可能な担体、例えば水、を用いて再構成され、リポソーム懸濁液を再生できる。
【0061】
他の製薬組成物は、本明細書中に開示される水不溶性化合物又はその塩、例えば水性塩基エマルジョン、から調製することができる。そのような場合には、組成物は、所望量の化合物又はその塩を乳化させるのに充分な量の薬学的に許容可能な乳化剤を含むであろう。特に有用な乳化剤は、ホスファチジルコリン及びレシチンを含む。
【0062】
製薬組成物は、活性化合物の他に、他の添加剤、例えばpH−調整添加物を含むことができる。有用なpH−調整剤は、具体的には、酸、例えば塩酸、塩基又は緩衝液、例えば乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム又はグルコン酸ナトリウムを含む。更に、組成物は、微生物保存剤を含有してよい。有用な微生物保存剤は、メチルパラベン、プロピルパラベン及びベンジルアルコールを含む。微生物保存剤は、一般に、複数回投与に使用するためにデザインされたバイアル中に、処方物を挿入する場合に使用される。もちろん、示されたように、本発明の製薬組成物は、当業者に公知の技術を使用して凍結乾燥されていてよい。
【0063】
3.被験者
本発明は、主に、ヒト被験者の治療に関するが、獣医学的目的並びに薬物スクリーニングと薬物開発目的のために、動物被験者、特に哺乳動物被験者、例えば、マウス、ラット、犬、猫、家畜及び馬にも実施することができる。被験者は、男性又は女性であってよく、また任意の好適な年齢であってよく、幼児、年少者、若者及び成人被験者を含む。
【0064】
本発明の活性化合物で治療すべき又は活性化合物を投与すべき被験者は、一般に、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)を阻害すべき被験者である。
【0065】
そのような治療を必要とする被験者は、糖尿病、特にII型糖尿病、並びに損なわれたグルコースホメオスタシス、損なわれたグルコース耐性、不妊症、多のう胞性卵巣症、成長障害、脆弱さ、関節炎、移植における同種移植拒絶反応、自己免疫疾患、AIDS、腸疾患、炎症性腸症候群、神経性食欲不振、骨粗鬆症、高血糖症、シンドロームX、糖尿病合併症、高インスリン血症、肥満症、アテローム硬化症及び関連疾病、並びに種々の免疫調節疾患及び慢性炎症性腸疾患(例えばクローン病及び潰瘍性大腸炎)、糖尿、代謝性アシードシス、白内障、I型糖尿病、高血圧症、高脂血症、オステオペニア、骨減少、骨折、急性冠症候群、短腸症候群、不安症、うつ病、不眠症、慢性疲労、てんかん、慢性疼痛、アルコール嗜癖、潰瘍、過敏性腸症候群を患う被験者を含むが、限定はされない。そのような疾病を患う被験者に、本発明の活性化合物(その塩を含む)を、単独で又は前記疾病を治療するために使用される他の化合物と併用して、疾病と戦う又は治療するのに有効な量で投与する。
【0066】
本発明の方法により治療する疾病の特に好ましいカテゴリーはII型糖尿病である。
【0067】
4.用量及び投与経路
前記されたように、本発明は、経口、直腸、局所、口内、非経口、筋肉内、皮内又は静脈内及び経皮投与用に、薬学的に許容可能な担体中に活性化合物(薬学的に許容可能なその塩を含む)を含有する製薬処方物を提供する。
【0068】
その使用が本発明の範囲内にある任意の特定の化合物の治療に有効な用量は、化合物毎に、患者毎に、若干変化し、患者の病態ならびに送達経路に左右されるであろう。一般的に、被験者の体重1kg当たり、約0.05又は0.1から約20又は50mgまでの用量を、本発明を実施するのに使用することができる。例えば、約0.1mg/kgから約50mg/kgまでの用量は経口投与に用いることができる。又は、約0.05mg/kgから20mg/kgまでの用量は筋内注射に使用できる。治療は、2〜3週間の間又は病態がコントロール又は治療されるまで、1日あたり1又は2用量で続けることができる。一部の実施形態では、より少ない頻度でより低い用量を、治療される病態の再発を防止又は減じるために、予防的に使用することができる。
【0069】
経皮送達
活性剤の経皮送達のための多数の異なるシステムが公知である。経皮送達システムは、受動的なデバイス(passive device)、例えば薬剤含有接着(drug−in−adhesive)経皮パッチ及び「能動的な」経皮技術、例えばイオントホレーゼ、電気穿孔法、超音波導入法、磁気泳動法、極微針デバイス及び熱エネルギーを使用して皮膚を一層浸透性にするデバイスを含むが、これらに限定はされない。
【0070】
経皮薬物送達デバイスは、3M Drug Delivery Systems Division(St.Paul,Minnesota,USA)、Noven Pharmaceuticals,Inc.(Miami,Florida,USA)、ImaRx(Tucson,Arizona,USA)、Elan Corporation(Dublin,Ireland)、Novosis AG(Miesbach,Germany)、Ultrasonic Technologies(St.Albans,Vermont,USA)、Antares Pharma(Exton,Pennsylvania,USA)、Altea Therapeutics(Tucker,Georgia,USA)、Iomed,Inc.(Salt Lake City,Utah,USA)、Macro Chem Corp(Lexington,Massachusetts,USA)、Sontra Medical Corporation(Franklin,Massachusetts,USA)、Vyteris,Inc.(Fair Lawn,New Jersey,USA)、Bio Chemics,Inc.(Danvers,Massachusetts,USA)、A.P Pharma(Redwood,City,California,USA)、MIKA Pharma GmbH(Limburgerhof,Germany)、NexMed,Inc.(Robbinsville,New Jersey,USA)、Encapsulation Systems,Inc.(Springfield,Pennsylvania,USA)、Acrux Ltd(Elgin,Illinois,USA)、Jenapharm GmbH(Berlin,Germany)、Norwood Abbey(Victoria,Australia)、Novavax(Columbia,Maryland,USA)、Genetronics Biomedical Corporation(San Diego,California,USA)、Adherex Technologies(Research Triangle Park,North Carolina,USA)及びAlphaRx(Ontario,Canada)から入手できる。
【0071】
パッチ技術を使用する経皮薬物送達は、通常は、受容者の所望の薬物送達部位に貼付される経皮パッチデバイスの形のカバー部材を使用することにより果たされる。代表的経皮パッチ構造は、不浸透性の裏材と剥離ライナーとの間にサンドイッチされた薬物含有接着層を含む。使用時に、剥離ライナーを除去するのは容易であり、パッチを接着側を下にして受容体に貼付することができる。従って、不浸透性裏材は、裏材と受容者の貼付部位との間に、薬物含有接着層を捕捉する。所望の治療上の処置に従い、時と共に、薬物が受容者の中に浸透するか又は局所的に活性化する。場合により、薬物含有接着処方物は、被験者への薬物の送達を増加させる浸透促進剤として公知の化合物1つ以上を含んでよい(U.S.特許No.6627216参照)。
【0072】
経皮パッチ技術の幾つかの例は、U.S.特許No.6592893、Fuji etal.へのU.S.特許No.6267983、Luther et al.へのU.S.特許No.6238693、Takayasu et al.へのU.S.特許No.6211425、LaPrade et al.へのU.S.特許No.6159497、Cordes et al.へのU.S.特許No.6153216、Burton et al.へのU.S.特許No.5948433、Wang et al.へのU.S.特許No.5508035、Lee et al.へのU.S.特許No.5284660、Bondi et al.へのU.S.特許No.4942037及びCleary et al.へのU.S.特許No.4906463中に記載されるものを含むが、これらに限定はされない。
【0073】
能動的な経皮技術である、イオントホレーゼは、装填された薬物を皮膚を通して送り込むのに低電圧電流を使用する。正電荷を有するこれらの分子は、陽極で皮膚中に送り込まれ、負電荷を有する分子は、陰極で皮膚中に送り込まれる。KasamoへのU.S.特許No.6622037を参照。活性剤の経皮送達のためのイオントホレーゼによる送達デバイスのさらなる例は、Ostrow et al.へのU.S.特許No.6564903、Gory et al.へのU.S.特許No.5387189、SibalisへのU.S.特許No.5358483、Gross et al.へのU.S.特許No.5356632、SibalisへのU.S.特許No.5312325、Gross et al.へのU.S.特許No.5279544、SibalisへのU.S.特許No.5167479、Gross et al.へのU.S.特許No.5156591、Sibalis et al.へのU.S.特許No.5135479、SibalisへのU.S.特許No.5088977、PhippsへのU.S.特許No.5057072、Reller et al.へのU.S.特許No.5053001及びNewmanへのU.S.特許No.4942883中に記載されるものを含むが、これらに限定はされない。
【0074】
電気穿孔法は、イオントホレーゼと同様に、電場を使用して、角質層を横断する分子の輸送を促進する。しかしながら、電気穿孔法は、皮膚を通して分子を送り込むのではなく、高電圧電場パルスを使用して、角質層(SC)を透過性にする一過性の孔を製造する(Prausnitz et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.90:10504−10508(1993);Murthy et al.J.Control.Release 98:307−315(2004);U.S.特許No.5947921)。経皮送達のための電気穿孔法の技術例は、Eppstein et al.へのU.S.特許No.6692456、Ostrow et al.へのU.S.特許No.6564093、Orup Jacobsen et al.へのU.S.特許No.6517864、Li et al.へのU.S.特許No.6512950、HofmannへのU.S.特許No.5968006及びZewart et al.へのU.S.特許No.5749847に記載されるものを含むが、これらに限定はされない。
【0075】
超音波導入法の技術は、超音波を利用して、角質層を崩壊させ、空洞化を作り、そのことにより脂質二重層を乱して、薬物送達を増加させる結果を生む。様々な超音波条件を超音波導入法に使用するが、最も一般的に使用される条件は、1MHzと3MHzとの間の範囲の周波数及び0より上から2W/cm2までの範囲の強度に相当する(Kost et al.へのU.S.特許No.4767402)。他のデバイスは、1MHz未満の低周波数超音波を使用する(U.S.特許No.6234990)。超音波導入デバイスの他の例は、Rowe et al.へのU.S.特許No.6491657、Weimann et al.へのU.S.特許No.6487447、Kost et al.へのU.S.特許No.6190315、Kost et al.へのU.S.特許No.6041253、Johnson et al.へのU.S.特許No.5947921、Kline−Schoder et al.へのU.S.特許No.5906580及びEppstein et al.へのU.S.特許No.5445611中に記載されるものを含むが、これらに限定はされない。
【0076】
角質層を横切る化合物の輸送を促進するために使用される更なる方法は、熱エネルギーの使用である。角質層を横切る化合物の輸送を促進する熱エネルギー技術の使用例は、Zhang et al.へのU.S.特許No.6780426、Zhang et al.へのU.S.特許No.6613350、Zhang et al.へのU.S.特許No.6465006、Zhang et al.へのU.S.特許No.6284266、Stanley et al.へのU.S.特許No.6261595、SvedmanへのU.S.特許No.6048337、Latzke et al.へのU.S.特許No.4898592、Konno et al.へのU.S.特許No.4685911及びHarwoodへのU.S.特許No.4230105に記載のものを含むが、これらに限定はされない。
【0077】
磁気エネルギーを使用する磁気泳動法は、角質層を横切る薬物輸送を増加させるために使用される更なる方法である。磁気泳動法による送達デバイスの幾つかの例はOstrow et al.へのU.S.特許No.6564093、OstrowへのU.S.特許No.5983134、Johnson et al.へのU.S.特許No.5947921、Powers et al.へのU.S.特許No.4702732に開示されたものを含むが、これらに限定はされない。
【0078】
極微針又は、微細構造アレイを使用して、薬物流束が皮膚を横切るのを支援する微小孔を、角質層中に製造する。極微針技術の例は、Roser et al.へのU.S.特許No.6331310及びH.Sebastien,et al,J.Pharm.Sci.87:922−925(1998)に開示されたものを含むが、これらに限定はされない。
【0079】
吸入式送達
肺又は鼻腔への活性剤の吸入送達用デバイスは、公知であり、例えば、Allen et al.への6080762に記載されている。例えば、乾燥粉末処方物は、一般的に、活性剤を乾燥状態で含み、通常は、凍結乾燥された、適切な粒径又は適切な粒径範囲内の形状で含むであろう。肺内に沈積するのに適切な最小の粒径は、一般に0.5μmの空気動力学的中央粒子径(mass median equivalent aerodynamic diameter:MMEAD)であるが、好ましくは1μm MMEADであり、最も好ましくは、2μm MMEADである。肺内に沈積するのに適切な最大の粒径は、一般に10μm MMEADであるが、好ましくは8μm MMEADであり、最も好ましくは、4μm MMEADである。約3μm MMEADの粒径が最も好ましい。鼻内に沈積するのに適切な最小の粒径は、一般に0.5μm MMEADであるが、好ましくは3μm MMEADであり、最も好ましくは、5μm MMEADである。鼻内に沈積するのに適切な最大の粒径は、一般に100μm MMEADであるが、好ましくは50μm MMEADであり、最も好ましくは、20μm MMEADである。好ましいサイズ範囲内の活性剤の呼吸域粉末は、様々な慣用の技術、例えばジェットミル、スプレー乾燥、溶媒沈殿、超臨界流体凝縮等、により製造することができる。粒径は鼻腔送達においてあまり重要では無いので、溶液からの晶出で足り得る。満足いくものでない場合は、ジェットミル又はボールミルにより増大させることができよう。
【0080】
適切なMMEADのこれらの乾燥粉末は、吸入時に、患者の呼吸を利用し、粉末を噴霧量(aerosolized amount)に分散させる慣用のドライパウダー吸入器(DPI’s)を介して患者に投与することができる。あるいは、外部動力源を使用して、粉末を噴霧量に分散させる空気支援デバイス、例えばピストンポンプ、を介して乾燥粉末を投与することができる。
【0081】
ドライパウダーデバイスは、一回噴霧用量(「パフ:puff」)を生じるのに、一般に、約1mg〜20mgの範囲の粉末質量を必要とする。以下に議論されるように、活性剤の必要又は所望用量が、この量よりも低い場合には、活性剤粉末は、製薬乾燥増量粉末(pharmaceutical dry bulking powder)と一緒にして、必要とされる合計粉末質量を提供するであろう。好ましい乾燥増量粉末は、スクロース、ラクトース、デキストロース、マンニトール、グリシン、トレハロース、ヒト血清アルブミン(HSA)及びデンプンを含む。他の好適な乾燥増量粉末は、セロビオース、デキストラン、マルトトリオース、ペクチン、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム等を含む。
【0082】
乾燥粉末が溶媒沈殿により調製される場合、粒子形成前に溶液中で活性剤を安定させるために、緩衝液及び塩が一般に使用される。好適な緩衝液は、代表的には約5mM〜50mMの濃度であり、限定はしないが、アスコルビン酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、酢酸塩及びtris−HClを含む。好適な塩は、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化カルシウム等を含む。
【0083】
ネブライザーシステム、例えば圧縮エアージェット−、超音波−及び圧電性ネブライザー、で使用される活性剤の液体処方物は、活性剤を、製薬溶媒、例えば水、エタノール又はこれらの混合物に溶解するか、又は懸濁させて使用することができる。典型的には、溶解された/懸濁された活性剤の最小濃度は、約1mg/mLであるが、好ましくは5mg/mLであり、最も好ましくは10mg/mLである。一般に、溶解された/懸濁された活性剤の最大濃度は、約100mg/mLであるが、好ましくは60mg/mLであり、最も好ましくは20mg/mLである。噴霧量を送達するのに必要とされるネブライズされた液体の全容量は、一般に、約0.1mL〜5mLの範囲にある。
【0084】
使用される製薬溶媒は、僅かに酸性(pH4〜6)の緩衝水溶液であってもよい。好適な緩衝液は前記のものである。化学的安定性を増す又は保持するために、防腐剤、界面活性剤、分散剤又はガスを含む他の成分を添加することができる。好適な防腐剤は、フェノール、メチルパラベン、パラベン、m−クレゾール、チオメルサール、塩化ベンジルアルコニムム(benzylalkonimum chloride)などを含むが、これらに限定はされない。好適な界面活性剤は、オレイン酸、ソルビタントリオレエート、ポリソルベート、レシチン、ホスファチジルコリン及び多様な長鎖ジグリセリド及びリン脂質を含むが、これらに限定はされない。好適な分散剤は、エチレンジアミンテトラ酢酸等を含むが、これらに限定はされない。好適なガスは、窒素、ヘリウム、二酸化炭素、空気等を含むが、これらに限定はされない。
【0085】
活性剤の呼吸及び/又は経鼻送達用スプレー系は、ネブライザーについて記載されたのと同様の処方物を使用する。そのような肺システムについての記述及び本明細書中に記載の他のものについては、例えば、Wolff,R.K.and Niven,R.W.,“Generation of Aerosolized Drugs,”J.Aerosol Med.,7:89,1994を参照。経鼻送達システムは、その教示が、参照することにより本明細書の一部を構成する、Transdermal Systemic Medication,Y.W.Chien Ed.,Elsevier Publishers,New York,1985及びU.S.特許No.4778810に記載されていた。
【0086】
MDI’sへの使用のために、活性剤を好適なエアロゾール噴射剤、例えばクロロフルオロカーボン(CFC)又はハイドロフルオロカーボン(HFC)中に溶解又は懸濁させてよい。そのような懸濁液は、エアロゾ−ル用量当たり10mg〜100mgの活性剤を含有するであろう。好適なCFCは、トリクロロモノフルオロメタン(噴射剤11)、ジクロロテトラフルオロメタン(噴射剤114)及びジクロロジフルオロメタン(噴射剤12)を含む。好適なHFCは、テトラフルオロエタン(HFC−134a)及びヘプタフルオロプロパン(HFC−227)を含む。
【0087】
エアロゾール噴射剤中へ装入するために、活性剤は、好ましくは、乾燥粉末処方物に関して前記したサイズの粒子に加工される。次いで粒子は、噴射剤中にそのままで懸濁できるが、典型的には、その分散を強化/促進するために界面活性剤でコートされる。好適な界面活性剤は、液体処方物について前に記載されたものである。噴射剤処方物は、更に、化学的安定性及び生理的許容性を保持又は強化するために、低級アルコール、例えばエタノール(30重量%まで)及び他の添加剤を含んでよい。噴射剤処方物に好適な添加剤は、前記の界面活性剤、例えばソルビタール、オレイン酸及びレシチンを含む。そのような添加剤に関する詳細な情報については、G.W.Hallworth.“The formulation and evaluation of pressurised metered−dose inhalers,”Drug Delivery to the Lung,D.Ganderton and T.Jones(eds),Ellis Horword,Chichester,U.K.87−118頁を参照。
【0088】
活性剤の正確な用量は、被験者の年齢、サイズ、性別及び病態、治療すべき障害の性質及び重症度等と共に必然的に変わろう。従って、正確な有効量は、介護士により決定されるべきである。しかしながら、障害の治療のための活性剤の総噴霧用量は、一般に、1日当たり、約1又は2mgから20、50又は100mgまでの範囲にあるであろう。一般に、活性剤の全用量は、数個の独立した噴霧投与量で送達されよう。
【0089】
本発明を、以下の非限定的な実施例でより詳細に説明する。
【実施例】
【0090】
例1
(S)−1−[(3−メタンスルホンアミド−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジン
【化12】

トリエチルアミン(210μL、1.5mmol)を有するアセトニトリル4mL中の(S)−1−[(3−アミノ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジン(280mg、0.93mmol)の溶液を製造し、フリーザー中で0℃まで冷却した。メタンスルホニルクロリドを乾燥THFの1M溶液として予め調製した。メタンスルホニルクロリド溶液(1.5mL、1.5mmol)を攪拌中の冷却アミン溶液に滴下し、反応物を、一晩室温まで暖かくなるにまかせた。粗反応混合物をLC/MSにより分析した。生成物への完全な変換が示された。粗反応混合物を蒸発乾固し、アセトニトリル:水(3/1)中に3mLまで希釈した。サンプルは、アセトニトリル/水勾配及び調節剤(modifier)としてのTFAを使用し、質量対象フラクショネーション(mass directed fractionation)を用いる逆相HPLCにより精製した。凍結乾燥後、モノ−TFA塩260mgが単離された。収率71%。1H NMR(CD3N,400MHz)δ 5.36(bs,1H),4.72(t,1H,J=5.3Hz),3.93(s,2H),3.65(m,1H),3.47(m,1H),3.0(s,3H),2.1−2.4(m,9H),1.9(m,7H),1.63(m,1H)。
【0091】
例2
(S)−1−[(3−エタンスルホンアミド−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジン
【化13】

トリエチルアミン(56μL、0.4mmol)を有するアセトニトリル1mL中の(S)−1−[(3−アミノ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジン(60mg、0.2mmol)の溶液を製造し、フリーザー中で0℃まで冷却した。2,2,2−トリフルオロエタンスルホニルクロリドを乾燥THFの0.3M溶液として予め調製した。スルホニルクロリド溶液(1.0mL、0.3mmol)を攪拌中の冷却アミン溶液に滴下し、反応物を、一晩室温まで暖かくなるにまかせた。粗反応混合物をLC/MSにより分析した。生成物への完全な変換が示された。粗反応混合物を蒸発乾固し、アセトニトリル:水(3/1)中に3mLまで希釈した。サンプルは、調節剤としてのTFAとアセトニトリル/水勾配を使用し、質量対象フラクショネーションを用いる逆相HPLCにより精製した。凍結乾燥後、モノ−TFA塩15mgが単離された。収率15%。1H NMR(CD3N,400MHz)δ 5.25(bs,1H),4.71(t,1H,J=5.5Hz),3.91(s,2H),3.65(dt,1H,J=5.8,9.7Hz),3.48(dt,1H,J=9.66,6.6Hz),3.042(q,2H,J=7.3Hz),2.1−2.4(m,1H),1.9(m,5H),1.64(m,2H),1.3(t,3H,J=7.3Hz)。
【0092】
例3
(S)−1−[(3−(2,2,2−トリフルオロ)−エタンスルホンアミド−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジン
【化14】

トリエチルアミン(56μL、0.4mmol)を有するアセトニトリル1mL中の(S)−1−[(3−アミノ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジン(60mg、0.2mmol)の溶液を製造し、フリーザー中で0℃まで冷却した。エタンスルホニルクロリドを乾燥THFの0.3M溶液として予め調製した。エタンスルホニルクロリド溶液(1.0mL、0.3mmol)を攪拌中の冷却アミン溶液に滴下し、反応物を、一晩室温まで暖かくなるにまかせた。粗反応混合物をLC/MSにより分析した。生成物への完全な変換が示された。粗反応混合物を蒸発乾固し、アセトニトリル:水(3/1)中に3mLまで希釈した。サンプルは、調節剤としてのTFA及びアセトニトリル/水勾配を使用し、質量対象フラクショネーションを用いる逆相HPLCにより精製した。凍結乾燥後、モノ−TFA塩10mgが単離された。収率10%。1H NMR(CD3N,400MHz)δ 5.96(bs,1H),4.72(t,1H,J=5.7Hz),4.05(q,2H,J=9.38Hz),3.92(s,2H),3.65(dt,1H,J=5.9, 9.75),3.49(dt,1H,J=9.64,7.7),2.0−2.3(m,8H),1.72−1.94(m,8H),1.65(m,2H)。
【0093】
例4
(S)−1−[(3−(4−フルオロフェニル)スルホンアミド−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジン
【化15】

トリエチルアミン(105μL、0.75mmol)を有するアセトニトリル3mL中の(S)−1−[(3−アミノ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジン(150mg、0.5mmol)の溶液を製造し、フリーザー中で0℃まで冷却した。乾燥THFの0.5M溶液として、4−フルオロフェニルスルホニルクロリドを予め調製した。スルホニルクロリド溶液(1.5mL、0.75mmol)を攪拌中の冷却アミン溶液に滴下し、反応物を、一晩室温まで暖かくなるにまかせた。粗反応混合物をLC/MSにより分析した。生成物への完全な変換が示された。粗反応混合物を蒸発乾固し、アセトニトリル:水(3/1)中に3mLまで希釈した。サンプルは、調節剤としてのTFA及びアセトニトリル/水勾配を使用し、質量対象フラクショネーションを用いる逆相HPLCにより精製した。凍結乾燥後、モノ−TFA塩112mgが単離された。収率39%。1H NMR(CD3N,400MHz)δ 7.9(dd,2H,J=5.2,9.9Hz),7.27(d,2H,J=8.8Hz),5.85(s,1H),4.675(t,1H,J=5.75Hz),3.8(s,1H),3.59(dt,1H,J=5.49,9.7Hz),3.44(dt,1H,J=9.4,7.7Hz),2.0−2.3(m,7H),1.5−1.85(m,11H)。
【0094】
例5
6−(3−(2−((S)−2−シアノピロリジン−1−イル)−2−オキソエチルアミノ)−アダマンチルアミノ)ニコチノニトリル
【化16】

DMF0.5mL中の(S)−1−[(3−アミノ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジン(220mg、0.73mmol)の溶液に2−クロロ−5−シアノピリジン(350mg、2.53mmol)を攪拌しながら添加した。反応物を90℃まで加熱し、この温度で18時間保持した。反応物をLC/MSにより分析した。生成物への変換は、ほぼ50%であった。粗反応混合物を高真空下に3時間乾燥させ、次いでフラッシュクロマトグラフィーにより精製した。過剰の2−クロロ−5−シアノピリジンは、ジクロロメタンで溶離し、6−(3−(2−((S)−2−シアノピロリジン−1−イル)−2−オキソエチルアミノ)−アダマンチルアミノ)−ニコチノニトリルは、10%メタノール/ジクロロメタンで、淡いオレンジ色の吸湿性固体として溶離した(66mg、収率22.4%)。1H NMR(CD3N,400MHz)δ 8.322(d,1H,J=1.5Hz),7.57(dd,1H,J=2.35,8.98Hz),6.54(d,1H,J=8.98Hz),4.7(dd,1H,J=5.4,6.0Hz),3.9(d,2H,J=2.28Hz),3.64(dt,1H,J=5.89,9.74Hz),3.46(dt,1H,J=9.6,7.7Hz),2.42(m, 6H),2.26(m,6H),2.15(m,3H),1.19(m,3H)。
【0095】
例6
N’−(3−(2−((S)−2−シアノピロリジン−1−イル)−2−オキソエチルアミノ)−アダマンチル)−N,N−ジメチル−スルフアミド
【化17】

トリエチルアミン(105μL、0.75mmol)を有するアセトニトリル3mL中の(S)−1−[(3−アミノ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジン(150mg、0.5mmol)の溶液を製造し、フリーザー中で0℃まで冷却した。乾燥THFの0.5M溶液として、ジメチルスルファモイルクロリドを予め調製した。スルファモイルクロリド溶液(1.5mL、0.75mmol)を攪拌中の冷却アミン溶液に滴下し、反応物を、一晩室温まで暖かくなるにまかせた。粗反応混合物をLC/MSにより分析した。生成物への完全な変換が示された。粗反応混合物を蒸発乾固し、アセトニトリル:水(3/1)中に3mLまで希釈した。サンプルは、調節剤としてのTFAとアセトニトリル/水勾配とを使用し、質量対象フラクショネーションを用いる逆相HPLCにより精製した。凍結乾燥後、モノ−TFA塩72mgが単離された。収率27%。1H NMR(CD3N,400MHz)δ 5.1(bs,1H),4.69(t,1H,J=5.4Hz),3.874(s,2H),3.62(dt,1H,J=5.6,9.6Hz),3.44(dt,1H,J=9.8,7.7Hz),2.77(s,1H),2.7(s,6H),2.08−2.35(m,9H),1.58−1.9(m,9H)。
【0096】
例7
1−(3−(2−((S)−2−シアノピロリジン−1−イル)−2−オキソエチルアミノ)アダマンチル)−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)ウレア
【化18】

トリエチルアミン(56μL、0.4mmol)を有するアセトニトリル1mL中の(S)−1−[(3−アミノ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジン(60mg、0.2mmol)の溶液を製造し、フリーザー中で0℃まで冷却した。乾燥THFの0.3M溶液として、4−フルオロベンゼンスルホニルイソシアネートを予め調製した。スルホニルイソシアネート溶液(1.0mL、0.3mmol)を攪拌冷却アミン溶液に滴下し、反応物を、一晩室温まで加温するにまかせた。粗反応混合物をLC/MSにより分析した。生成物への完全な変換が示された。粗反応混合物を蒸発乾固し、アセトニトリル:水(3/1)中に3mLまで希釈した。サンプルは、調節剤としてのTFAとアセトニトリル/水勾配とを使用し、質量対象フラクショネーションを用いる逆相HPLCにより精製した。凍結乾燥後、モノ−TFA塩20mgが単離された。収率20%。
【0097】
例8〜9
中間体及び追加の活性化合物
例8
1−アミノ−4−(ジメチルアミノスルホニルアミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン
【化19】

無水アセトニトリル(150mL)中の1,4−ジアミノビシクロ[2.2.2]オクタン(7.01g、50mmol)(下記例24に記載のようにして製造)及びトリエチルアミン(20mL、144mmol)の溶液を窒素下で炭酸カリウム(40g、29mmol)で処理し、氷浴上で冷却し、ジメチルスルファモイルクロリド(4.31g、30mmol)で液滴処理をした。混合物を室温まで加温し、18時間攪拌し、次いで塩化メチレン(250mL)で希釈し、DOWEX(登録商標名)550A−OHヒドロキシド樹脂(添加前に先ずアセトニトリル及び塩化メチレンで濯いだもの20g)で処理した。溶液を1時間攪拌し、Celite(登録商標名)で濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残分を塩化メチレンに溶解し、シリカゲルカラム(〜400cc)に装填し、まず7%メタノール/塩化メチレンで溶離させて、1,4−ビス(ジメチルアミノスルホニルアミノ)−ビシクロ[2.2.2]オクタン(2.42g)を得、次いで90:9:1の塩化メチレン/−メタノール/水酸化アンモニウムで溶離させて、1−アミノ−4−(ジメチルアミノスルホニル−アミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン(3.31g)を得た。次いで60:30:10の塩化メチレン/−メタノール/水酸化アンモニウムで溶離させて、1,4−ジアミノビシクロ[2.2.2]オクタン(3.90g)を回収できた。標題物質の収率は、回収された出発物質に基づき60%であった。[M+H]+=248.4。1H NMR(CDCl3)δ 4.22(br s,1H),2.73(s,6H),1.88(m,6H),1.60(m,6H)。
【0098】
例9
(S)−2−シアノ−1−(1−ジメチルアミノスルホニルアミノ)ビシクロ[2.2.2]オクチ−4−イル)アミノアセチル)ピロリジン
【化20】

無水N,N−ジメチルホルムアミド(60mL)中の、1−アミノ−4−(ジメチルアミノスルホニルアミノ)ビシクロ[2.2.2]オクタン(3.66g、14.8mmol)(前記例8に記載のようにして製造)と、炭酸カリウム(20.7g、150mmol)と、ヨウ化カリウム(0.50g、3.0mmol)との混合物を窒素下で(S)−1−クロロアセチル−2−シアノピロリジン(2.68mg、15.5mmol)で処理し、室温で18時間攪拌し、次いで、塩化メチレン(180mL)及びトリエチルアミン(8mL)と合わせた。数分間の攪拌後に、混合物をCelite(登録商標)で濾過し、濾液を真空中で濃縮し(徹底的に行って、DMFを除去する)、粗製淡黄色固体を得た。これをアセトニトリル(20mL)に溶解し、エーテル(25mL)で希釈し、しばらく攪拌して、沈殿を得た。これは、冷却して濾過した。固体は、冷エーテル/アセトニトリル(3:1)で数回濯ぎ、真空中で乾燥させて、白色固体3.56gが得られた。濾液を合わせて、真空中で濃縮し、シリカゲル(〜200cc)のクロマトグラフにかけ、7%メタノール/酢酸エチルで溶離させ、次に7%メタノール/塩化メチレンで溶離させて、追加の標題物質を得た(1.97g)。(S)−2−シアノ−1−(1−ジメチルアミノスルホニルアミノ)ビシクロ[2.2.2]オクチ−4−イル)アミノアセチル)ピロリジンの総収量は、5.53g(97%)であった。[M+H]+=384.4。1H NMR(CDCl3)δ 4.70−4.82(m,1H),4.08(s,1H),3.30−3.70(m,4H),2.75(s,6H),2.00−2.35(m,4H),1.90(m,6H),1.65(m,6H)。
【0099】
例10〜19
活性化合物の追加例
例10
(S)−2−シアノ−1−(1−(4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ)ビシクロ[2.2.2]オクチ−4−イル)アミノアセチル)ピロリジン
【化21】

無水塩化メチレン(1.5mL)中の(S)−(1−(1−アミノビシクロ[2.2.2]オクチ−4−イル)アミノアセチル)−2−シアノピロリジン(83mg、0.30mmol)及びトリエチルアミン(0.21mL、1.5mmol)の氷冷溶液を、無水塩化メチレン(0.5mL)中の4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(64mg、0.33mmol)で液滴処理した。混合物を室温で2.5時間攪拌し、次いで真空中で濃縮した。残分を塩化メチレンに再溶解し、シリカゲルカラム(〜15cc)に装填し、最初に2%、次いで4%、その後6%のメタノール/塩化メチレンで溶離させ、(S)−2−シアノ−1−(1−(4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ)ビシクロ[2.2.2]オクチ−4−イル)アミノアセチル)ピロリジン87mg(67%)が白色発泡体として得られた。
[M+H]+=435.4。1H NMR(CDCl3)δ 7.87(dd,2H,J=9Hz,6Hz),7.15(t,2H,J=9Hz),4.71−4.76(m,1H), 4.56(s,1H),3.20−3.70(m,4H),2.05−2.35(m,4H),1.78(m,6H),1.56(m,6H)。
【0100】
例11
(S)−2−シアノ−1−(1−(4−シアノベンゼンスルホニルアミノ)ビシクロ[2.2.2]オクチ−4−イル)アミノアセチル)ピロリジン及びHCl塩
【化22】

無水塩化メチレン(2.0mL)中の(S)−(1−(1−アミノビシクロ[2.2.2]オクチ−4−イル)アミノアセチル)−2−シアノピロリジン(83mg、0.30mmol)及びトリエチルアミン(0.21mL、1.5mmol)の氷冷溶液を無水塩化メチレン(1.0mL)中の4−シアノベンゼンスルホニルクロリド(66.5mg、0.33mmol)により液滴処理した。混合物を5℃で4時間攪拌し、次いで真空中で濃縮した。残分を塩化メチレンに再溶解させ、シリカゲルカラム(〜20cc)に装填し、5%、次いで10%のメタノール/酢酸エチルで溶離させ、(S)−2−シアノ−1−(1−(4−シアノベンゼンスルホニルアミノ)ビシクロ−[2.2.2]オクチ−4−イル)アミノアセチル)ピロリジン64mg(48%)が白色固体として得られた。
[M+H]+=442.4。1H NMR(CDCl3)δ 7.95−8.01(m,2H),7.76−7.82(m,2H),4.78−4.84(m,1H),4.73(br s,1H),3.20−3.70(m,4H),2.05−2.35(m,4H),1.80(m,6H),1.60(m,6H)。
【0101】
無水THF(1mL)中の標題遊離塩基(64mg、0.145mmol)の溶液/懸濁液を、0.25Nエーテル含有HCl(0.7mL、0.175mmol)で処理し、エーテルで希釈した。これは、数分間攪拌し、濾過し、固体をエーテルで濯ぎ、集め、真空中で乾燥させて、標題HCl塩が白色固体として51mg(74%)得られた。
【0102】
例12
(S)−2−シアノ−1−(1−(ジメチルアミノスルホニルアミノ)ビシクロ[3.2.1]オクチ−3−イル)アミノアセチル)ピロリジン
【化23】

無水塩化メチレン(2mL)中の(S)−(1−(1−アミノビシクロ[3.2.1]オクチ−3−イル)アミノアセチル)−2−シアノピロリジン(69mg、0.35mmol)の冷却(5℃)溶液を、窒素下に炭酸カリウム(210mg、1.5mmol)で処理し、次いでジメチルスルファモイルクロリド(50.3mg、0.35mmol)で処理した。混合物を5℃で6時間攪拌し、更にジメチルスルファモイルクロリド(35mg、0.25mmol)で処理し、更に1時間攪拌し、トリエチルアミン(0.14mL、1.0mmol)で処理し、次いで室温で15時間攪拌した。混合物をCelite(登録商標名)で濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残分を塩化メチレンに溶解し、シリカゲルカラム(〜20cc)に装填し、7%のメタノール/酢酸エチルで溶離させ、次いで7%のメタノール/塩化メチレンで溶離させて、(S)−2−シアノ−1−(1−(ジメチルアミノスルホニルアミノ)ビシクロ[3.2.1]オクチ−3−イル)アミノアセチル)ピロリジンが無色ガラスとして得られた(28mg、29%)。[M+H]+=384.4。1H NMR(CDCl3)δ 4.70−4.85(m,1H),4.59(s,1H),3.35−3.70(m,4H),2.75(s, 6H),2.10−2.30(m, 4H),1.90−2.02(m,2H),1.63−1.85(m,5H),1.40−1.63(m,5H)。
【0103】
例13
(S)−2−シアノ−1−(1−(ジメチルアミノスルホニルアミノ)ビシクロ[3.1.1]ヘプチ−3−イル)アミノアセチル)ピロリジン
【化24】

無水アセトニトリル(1.5mL)中の、(S)−(1−(1−アミノビシクロ[3.1.1]ヘプチ−3−イル)アミノアセチル)−2−シアノピロリジン(52.5mg、0.20mmol)、トリエチルアミン(0.14mL、1.0mmol)及び炭酸カリウム(0.30g、2.2mmol)の冷却(5℃)溶液を、窒素下にジメチルスルファモイルクロリド(36mg、0.25mmol)で処理し、5℃で1時間、室温で3時間攪拌し、塩化メチレン(6mL)で希釈した。混合物を濾過し、濾液を真空中で濃縮し、塩化メチレン中に再溶解し、シリカゲルカラム(〜20cc)に装填した。次いでこれを2%、3%、4%及び5%のメタノール/塩化メチレンで溶離させ、(S)−2−シアノ−1−(1−(ジメチルアミノスルホニルアミノ)ビシクロ[3.1.1]ヘプチ−3−イル)アミノアセチル)ピロリジンが、無色ガラスとして得られた(39mg、53%)。[M+H]+=370.3。1H NMR(CDCl3)δ 4.70−4.90(m,2H),3.30−3.70(m,4H),2.73(s,6H),2.00−2.30(m,8H),1.70−1.90(m,6H)。
【0104】
例14
(S)−2−シアノ−1−(1−(4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ)ビシクロ[3.2.1]オクチ−3−イル)アミノアセチル)ピロリジン
【化25】

無水塩化メチレン(1mL)中の(S)−(1−(1−アミノビシクロ[3.2.1]オクチ−3−イル)アミノアセチル)−2−シアノピロリジン(55.3mg、0.20mmol)の冷却(5℃)溶液を、窒素下にトリエチルアミン(0.14mL、1.0mmol)で処理し、次いで4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(59mg、0.30mmol)で処理し、室温で2.5時間攪拌した。混合物を真空中で濃縮し、残分を塩化メチレンに再溶解させ、シリカゲルカラム(〜15cc)に装填し、次いで2%メタノール/酢酸エチルで溶離させ、その後、7%のメタノール/酢酸エチルで溶離させて、(S)−2−シアノ−1−(1−(4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ)ビシクロ[3.2.1]オクチ−3−イル)アミノアセチル)ピロリジンが白色発泡体として得られた(57mg、66%)。[M+H]+=435.4。1H NMR(CDCl3)δ 7.89(m,2H),7.16(m,2H),4.90−5.00(m,1H),4.70−4.78(m,1H),3.30−3.65(m,4H),2.05−2.35(m,4H),1.40−1.90(m,12H)。
【0105】
例15
(S)−2−シアノ−1−(1−(4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ)ビシクロ[3.1.1]ヘプチ−3−イル)アミノアセチル)ピロリジン
【化26】

無水塩化メチレン(1.5mL)中の(S)−(1−(1−アミノビシクロ[3.1.1]ヘプチ−3−イル)アミノアセチル)−2−シアノピロリジン(52.5mg、0.20mmol)の冷却された(5℃)溶液を、窒素下にトリエチルアミン(0.14mL、1.0mmol)で処理し、次いで塩化メチレン(0.5mL)中の4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(43mg、0.22mmol)で処理し、5℃で1.5時間攪拌した。混合物を真空中で濃縮し、残分を塩化メチレンに再溶解させ、シリカゲルカラム(〜15cc)に装填し、次いで3%メタノール/塩化メチレンで溶離させ、その後、5%のメタノール/塩化メチレンで溶離させて、(S)−2−シアノ−1−(1−(4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ)ビシクロ[3.1.1]ヘプチ−3−イル)アミノアセチル)ピロリジンが白色発泡体として得られた(80mg、95%)。[M+H]+=421.3。1H NMR(CDCl3)δ 7.87(dd,2H,J=9Hz,6Hz),7.16(t,2H,J=9Hz),5.35−5.50(m,1H),4.68−4.77(m,1H),3.25−3.65(m,4H),2.05−2.35(m,4H),1.85−2.00(m,5H),1.55−1.80(m,5H)。
【0106】
例16
1−[(3−(4−フルオロフェニル)スルホンアミド−1−アダマンチル)アミノ]−1−(チアゾリジン−3−イル)エタノン
【化27】

4mlのTHF及びトリエチルアミン(1ml)中の2−(3−アミノアダマンチル)−1−(チアゾリジン−3−イル)エタノン(100mg、0.339mmol)の氷浴で冷却された溶液に4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(80mg、0.41mmol)を添加した。反応混合物を18時間攪拌し、次いでLCMS(M+1=454)により確認した。粗製物を濃縮し、調節剤としてのTFAとアセトニトリル/水勾配とを用いる質量対象フラクショネーションにより精製した。フラクションの凍結乾燥後、モノTFA塩63mgが単離された(収率32.8%)。1H NMR(CD3CN)δ 7.955−7.90(m,2H),7.29(t,2H,J=8.4),5.9(b,1H),4.54(s,1H),4.49(s,1H),3.88(s,1H),3.865(s,1H),3.8−3.75(m,1H),3.71(t,1H,J=6.16),3.151(t,1H,J=6.12),3.05(t,1H,J=6.16),2.25(b,2H),2.02(s,2H),2.01−1.93(m,4H),1.84−1.65(m,7H),1.53−1.50(m,2H)。
【0107】
例17
1−[(3−(4−フルオロフェニル)スルホンアミド−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−3,3−ジフルオロピロリジン
【化28】

4mlのTHF及びトリエチルアミン(1ml)中の2−(3−アミノアダマンチル)−1−(3,3−ジフルオロピロリジン−1−イル)エタノン(80mg、0.26mmol)の氷浴で冷却された溶液に4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(50mg、0.26mmol)を添加した。反応混合物を18時間攪拌し、次いでLCMSにより確認した。生成物M+1=472への完全な変換が示された。次いで粗物質を濃縮し、溶離剤としてDCM/MeOHを使用するシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製し、1−[(3−(4−フルオロフェニル)スルホンアミド−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−3,3−ジフルオロピロリジン50mgが得られた(収率42%)。1H NMR(CD3CN、400MHz)δ 7.951−7.896(m,2H),7.285(t,2H,J=8.793),6.006(s,1H),3.902−3.621(m,6H),2.572−2.344(m,3H),2.243(b,2H),1.988(s,1H),1.831(s,4H),1.798−1.648(m,5H),1.523(b,2H)。
【0108】
例18
1−[(3−(4−フルオロフェニル)スルホンアミド−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−4−シアノチアゾリジン
【化29】

この化合物は、1−[(3−(4−フルオロフェニル)スルホンアミド−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−3,3−ジフルオロピロリジンについて記載されたのと同じようにして合成した。粗化合物を濃縮し、調節剤としてのTFA及びアセトニトリル/水勾配を用いて質量対象フラクショネーションにより精製した。MS(ESI)m/z =479(M+H)+。収率9%。
【0109】
例19−22
活性化合物の追加例
例19
(S)−1−[(3−アミノスルファモイル−1−アダマンチル)−アミノ]アセチル−2−シアノピロリジン
【化30】

塩化メチレン7ml中の(S)−1−[3−(tert−ブチル−メチルカルバモイルスルファモイル−1−アダマンチル)−アミノ]アセチル−2−シアノピロリジン(200mg、0.41mmol)の溶液にTFA2mlを添加した。反応混合物を2時間攪拌した。粗製物は、LCMSにより確認し、生成物M+1=382への完全な変換が示された。粗製物を濃縮し、調節剤としてのTFA及びアセトニトリル/水勾配を用いて質量対象フラクショネーションにより精製した。フラクションの凍結乾燥後、モノTFA塩160mgが単離された(収率77.7%)。1H NMR(CD3CN、400MHz),δ 5.40(b,2H),4.72(t,1H,J=5.56Hz),3.92(s,2H),3.65(dt,1H,J=4.9,J=9.38),3.47(dt,1H,J=7.62,J=9.38),2.78(b,2H),2.35(t,2H,J=2.3),2.26−2.08(m,7H),2.0−1.82(m,3H),1.67−1.55(m,2H)。
【0110】
例20
N’−(3−(2−((S)−2−シアノピロリジン−1−イル)−2−オキソエチルアミノ)−アダマンチル)−スルホニルピロリジン
【化31】

トリエチルアミン(28μl、0.2mmol)を有するアセトニトリル1ml中のN’−(3−(2−((S)−2−シアノピロリジン−1−イル)−2−オキソエチルアミノ)−アダマンチル)−スルホニルオキサゾリジノン(50mg、0.11mmol)の溶液。180rpmで振とうさせながら、90℃まで18時間加熱したこの溶液に、ピロリジン(10μl、0.12mmol)を添加した。粗製物をLCMSにより確認し、生成物M+1=436への完全な変換が示された。粗製物を蒸発乾固し、アセトニトリル:水(3/1)中へ1mlまで希釈した。サンプルは、調節剤としてのTFA及びアセトニトリル/水勾配を用い、質量対象フラクショネーションにより精製した。フラクションの凍結乾燥後、モノTFA塩20mgが単離された(収率33%)。1H NMR(CD3N、400MHz)δ 5.19(bs,1H),4.71(t,1H,J=5.3Hz),3.90(s,2H),3.64(m,1H),3.47(q,1H,J=8.0Hz),3.23(s,4H),2.35(bs,4H),2.25(m,2H),2.18(m,4H),1.89(m,9H),1.6(s,2H)。
【0111】
例21
N’−(3−(2−((S)−2−シアノピロリジン−1−イル)−2−オキソエチルアミノ)−アダマンチル)−N−(4−フルオロベンジル)スルフアミド
【化32】

トリエチルアミン(28μl、0.2mmol)を有するアセトニトリル1ml中のN’−(3−(2−((S)−2−シアノピロリジン−1−イル)−2−オキソエチルアミノ)−アダマンチル)−スルホニルオキサゾリジノン(50mg、0.11mmol)の溶液。180rpmで振とうさせながら、90℃で18時間加熱したこの溶液に、4−フルオロベンジルアミン(14μl、0.12mmol)を添加した。粗製物は、LCMSにより確認し、生成物M+1=490への完全な変換が示された。粗製物を蒸発乾固し、アセトニトリル:水(3/1)中で1mlまで希釈した。サンプルは、調節剤としてのTFA及びアセトニトリル/水勾配を用い、質量対象フラクショネーションにより精製した。フラクションの凍結乾燥後、モノTFA塩20mgが単離された(収率30%)。1H NMR(CD3N、400MHz)δ 7.41(t,2H,J=6.4Hz),7.12(t,2H,J=8.9Hz),4.71(t,1H,J=5.2Hz),4.14(s,2H),3.90(s,2H),3.62(m,1H),3.46(q,1H,J=8.2Hz),2.23(m,6H),2.14(m,2H),1.89(m,9H),1.62(s,2H)。
【0112】
例22
N’−(3−(2−((S)−2−シアノピロリジン−1−イル)−2−オキソエチルアミノ)−アダマンチル)−N−(4−フルオロフェネチル)スルフアミド
【化33】

トリエチルアミン(28μl、0.2mmol)を有するアセトニトリル1ml中のN’−(3−(2−((S)−2−シアノピロリジン−1−イル)−2−オキソエチルアミノ)−アダマンチル)−スルホニルオキサゾリジノン(50mg、0.11mmol)の溶液。180rpmで振とうさせながら、90℃で18時間加熱したこの溶液に、4−フルオロフェネチルアミン(16μl、0.12mmol)を添加した。粗製物をLCMSにより確認し、生成物M+1=504への完全な変換が示された。粗製物を蒸発乾固し、アセトニトリル:水(3/1)中へ1mlまで希釈した。サンプルは、調節剤としてのTFA及びアセトニトリル/水勾配を用い、質量対象フラクショネーションにより精製した。フラクションの凍結乾燥後、モノTFA塩20mgが単離された(収率30%)。1H NMR(CD3N、400MHz)δ 7.30(t,2H,J=6.2Hz),7.08(t,2H,J=8.9Hz),4.70(t,1H,J=5.3Hz),3.89(s,2H),3.63(m,lH),3.46(q,1H,J=9.2Hz),3.19(bs,2H),2.85(t,2H,J=6.8Hz),2.32−2.20(m,6H),2.18(m,2H),1.86(m,9H),1.59(s,2H)。
【0113】
例23〜33
中間体又は前駆化合物の合成
例23
1,4−ジカルボキシビシクロ[2.2.2]オクタン
【化34】

テトラヒドロフラン(200mL)及びイソプロパノール(70mL)中の1,4−ジカルボメトキシビシクロ[2.2.2]オクタン(31.7g、0.14mol)の攪拌溶液を、水酸化リチウム水和物(17.7g、0.42mol)の水(200mL)溶液で処理し、混合物を攪拌しながら、60℃〜70℃まで2.5時間加熱した。有機溶媒を真空除去し、アルカリ性水溶液を濾過した。次いで濾液を氷浴上で冷却し、濃塩酸(40mL)で酸性にした。固体を濾別し、冷水で濯ぎ、部分的に一晩空気乾燥させた。次いで、真空下に更に乾燥させ、アセトニトリルにいれて粉砕し、真空中で再度乾燥させ、白色固体として、標題物質27.19g(98%)を得た。MSは得ることができなかった。1H NMR(d6−DMSO)δ 12.09(br s,2H),1.66(s,12H)。
【0114】
例24
1,4−ジアミノビシクロ[2.2.2]オクタンジヒドロクロリド
【化35】

トルエン(225mL)中の1,4−ジカルボキシビシクロ[2.2.2]オクタン(9.91g、50mmol)の懸濁液を、ディーン・スターク・トラップ下で、共沸させて、乾燥させた。次いで窒素下に室温まで冷却し、トリエチルアミン(20mL、143mmol)及びジフェニルホスホリルアジド(33.0g、120mmol)で処理した。溶液をゆっくりと、慎重に80℃まで加温し(多少の発熱と大量のガスの発生が観察された)、80〜90℃で3時間攪拌し、次いで真空中で濃縮し、トルエンを除去した。残分を氷浴上で冷却し、6N塩酸(150mL、900mmol)で処理した。浴をはずし、混合物を室温で3時間攪拌し、次いで、ある程度濃縮して大半の水を除去した。アセトニトリル(600mL)を添加し、懸濁液を冷蔵庫で1時間冷却した。これを濾過し、固体をアセトニトリルで濯ぎ、真空乾燥させ、白色固体として、標題物質9.31g(87%)が得られた。[M+H]+=141.3。1H NMR(d6−DMSO)δ 8.24(br s,6H),1.81(s,12H)。
【0115】
例25
1,3−ジカルボメトキシビシクロ[3.2.1]オクタン
【化36】

マグネチックスターラー、添加漏斗及びガス注入口/温度計を装備した500mLの3口丸底フラスコ中にいれた、無水THF(60mL)中の乾性ジイソプロピルアミン(11.0mL、78mmol)の冷却(−67℃)溶液を、シリンジにより、ポット温度<−50℃を保持する速度で、2.4Nn−ブチルリチウム/ヘキサン(30mL、72mmol)で処理し、0℃まで5分間加温し、次いで再度冷却した(−67℃)。1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU、36.3mL、300mmol、分子篩で乾燥)を、ポット温度<−60℃を保持するように、滴下し、次いで、無水THF(20mL)中のジメチルシクロヘキサン−1,3−ジカルボキシレート(12.01g、60mmol)の溶液を同様に滴下した。−67℃で1時間の後、無水THF(15mL)中の1−ブロモ−2−クロロエタン(12.05g、84mmol)の溶液を、ポット温度<−50℃を保持するように、滴下し、1.5時間にわたり、混合物を室温まで加温した。これを、室温で18時間攪拌し、次いで、氷浴上で冷却し、かつ塩化アンモニウム飽和水溶液(50mL)でクエンチした。有機溶媒を真空除去し、水性残分を9:1ヘキサン/酢酸エチル(150mL、100mL、2×50mL)で抽出した。集めた有機抽出物を水(100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空濃縮した。残分を塩化メチレンに溶解させ、60mLガラス製濾過器中のアルミナパッドを通過させ(塩化メチレンでの溶離)、15.36g(理論の97%)の淡黄色の油状物が得られ、これは本質的に、微量の不純物を含む所望の中間体であった。
【0116】
マグネチックスターラー、添加漏斗、及びガス注入口/温度計を装備した500mLの3口フラスコ中に入れた、無水THF(150mL)中の、1−(2−クロロエチル)−1,3−ジカルボメトキシシクロヘキサン(ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジカルボキシレート60mmolから半精製したもの全部)及びDMPU(36.3mL、300mmol)の溶液を窒素下に−67℃まで冷却した。その一方で、無水THF(75mL)中の乾性ジイソプロピルアミン(11.0mL、78mmol)の冷却(−67℃)溶液を窒素下で、シリンジを介して、2.4Nn−ブチルリチウム/ヘキサン(30mL、72mmol)で処理した。混合物は、0℃で5分間加温し、次いで再度冷却した(−67℃)。LDA溶液は、ポット温度<−60℃を保持する速度で、カニューレを使用して、もう一方の溶液に少量宛(〜6)装入し、次いで混合物を−67℃で30分間攪拌し、室温まで1.5時間にわたり加温し、次いで室温で18時間攪拌し、氷浴で冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液(50mL)でクエンチした。有機溶媒を真空除去し、水性残分を9:1ヘキサン/酢酸エチル(150mL、100mL、2×50mL)で抽出した。集めた有機抽出物を水(100mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空濃縮した。残分を塩化メチレンに溶解させ、60mLガラス製濾過器中のアルミナパッドを通過させ(塩化メチレンでの溶離)、粗製標題物質が、淡黄色油状物として得られた(9.52g)。シリカゲル(〜400cc)のクロマトグラフィーにより40%、次いで50%の塩化メチレン/ヘキサンで溶離させ、次いで塩化メチレンのみで、その後10%酢酸エチル/塩化メチレンで溶離させて、非常に薄い黄色の油状物として、精製された標題物質が8.32g得られた(ジメチルシクロヘキサン−1,3−ジカルボキシレートから2段階の収率61%)。[M+H]+=226.9。1H NMR(CDCl3)δ 3.66(s,6H),2.20−2.30(m,lH),2.00−2.10(m,2H),1.70−1.80(m,5H),1.55−1.65(m,4H)。
【0117】
例26
1,3−ジカルボキシビシクロ[3.2.1]オクタン
【化37】

テトラヒドロフラン(50mL)及びイソプロパノール(16mL)中の1,3−ジカルボキシメトキシビシクロ[3.2.1]オクタン(8.26g、36.5mmol)の攪拌溶液を、水(50mL)中の水酸化リチウム水和物(4.20g、100mmol)の溶液で処理し、混合物を攪拌しながら、60℃〜70℃まで2時間加熱した。有機溶媒を真空除去し、アルカリ性水溶液を氷浴上で冷却し、濃塩酸(10mL)で酸性にした。固体を濾別し、冷水で濯ぎ、一晩かけてある程度空気乾燥させた。次いで、真空下に更に乾燥させ、アセトニトリルで粉砕し、真空中で再度乾燥させ、白色固体として、標題物質6.25g(86%)を得た。MSは得ることができなかった。1H NMR(CDCl3+drop d6−DMSO)δ 2.15−2.25(m,1H),1.95−2.05(m, 2H),1.40−1.70(m,9H)。
【0118】
例27
1,3−ジアミノビシクロ[3.2.1]オクタンジヒドロクロリド
【化38】

トルエン(150mL)中の1,3−ジカルボキシビシクロ[3.2.1]オクタン(6.15g、31mmol)の懸濁液を、ディーン・スターク・トラップ下で、共沸させて、乾燥させた。次いで窒素下に室温まで冷却し、トリエチルアミン(12.2mL、87.5mmol)及びジフェニルホスホリルアジド(20.4g、74mmol)で処理した。溶液をゆっくりと、慎重に80℃まで加温し(多少の発熱と大量のガスの発生が観察された)、80〜90℃で3時間攪拌し、次いで真空中で濃縮し、トルエンを除去した。残分を氷浴上で冷却し、6N塩酸(60mL、360mmol)で処理した。浴をはずし、混合物を室温で3時間攪拌し、次いである程度濃縮して大半の水を除去した。アセトニトリル(150mL)を添加し、懸濁液を冷蔵庫で1時間冷却した。これを濾過し、固体をアセトニトリルで濯ぎ、真空乾燥させ、白色固体として、標題物質5.25g(79%)を得た。[M+H]+=141.3。1H NMR(d6−DMSO)δ 8.55 (br s,6H),2.23(m,1H),1.91(m,2H),1.55−1.75(m,9H)。
【0119】
例28
1,3−ジカルボメトキシビシクロ[3.1.1]ヘプタン
【化39】

無水THF(20mL)中の乾性ジイソプロピルアミン(3.65mL、26mmol)の冷却(−67℃)溶液を、窒素下でシリンジにより、2.5Nn−ブチルリチウム/ヘキサン(9.6mL、24mmol)で処理し、0℃まで5分間加温し、次いで再度冷却した(−67℃)。DMPU(12.1mL、100mmol)を、ポット温度<−60℃を保持するように、添加漏斗を介して滴下し、次いで無水THF(10mL)中のジメチルシクロヘキサン−1,3−ジカルボキシレート(4.00g、20mmol)の溶液を同様に滴下した。−67℃で1時間後、THF(10mL)中のジヨードメタン(7.23g、27mmol)を滴下し、次いで混合物を室温まで1時間にわたり加温し、1時間攪拌し、氷浴上で冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液(20mL)でクエンチした。有機溶媒を真空除去し、水(30mL)を添加し、水性分をヘキサン(100mL、次いで2×50mL)で抽出した。集めた有機抽出物を水(75mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空濃縮した。次いで塩化メチレンに溶解させ、ガラス製濾過器(30mL)中のアルミナパッドを通過させた。濃縮された濾液をシリカゲルのクロマトグラフ(〜200cc、1:1ヘキサン/塩化メチレンで溶離)にかけ、無色油状物として、1−ヨードメチル−1,3−ジカルボメトキシシクロヘキサンが4.65g得られた(68%)。
【0120】
無水THF(30mL)中の前記中間体(4.59g、13.5mmol)及びDMPU(7.25mL、60mmol)を窒素下に−67℃まで冷却した。その一方で、無水THF(20mL)中の乾性ジイソプロピルアミン(2.6mL、18mmol)の冷却(−67℃)溶液を、窒素下で、シリンジを介して、2.4Nn−ブチルリチウム/−ヘキサン(6.25mL、15mmol)で処理し、0℃まで5分間加温し、再度冷却した(−67℃)。LDA溶液は、ポット温度<−60℃を保持する速度で、カニューレを使用して、もう一方の溶液中に少量宛移し、かつ集めた溶液を−67℃で30分間攪拌し、75分にわたり室温まで加温し、室温で4時間攪拌した。混合物を氷浴上で冷却し、塩化アンモニウム飽和水溶液(20mL)でクエンチし、次いである程度まで真空濃縮して、有機物を除去し、ヘキサンで抽出した(3×50mL)。集めた抽出物を水(50mL)で洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、真空濃縮した。これを塩化メチレンに溶解させ、30mLガラス製濾過器中のアルミナパッドを通して濾過した。濃縮された濾液を、シリカゲルのクロマトグラフ(〜120cc、10%酢酸エチル/ヘキサンで溶離)にかけ、無色油状物として標題物質が1.97g(69%)得られた。[M+H]+=213.2。1H NMR(CDCl3)δ 3.66(s,6H),2.45−2.55(m,2H),1.75−2.00(m,8H)。
【0121】
例29
1,3−ジカルボキシビシクロ[3.1.1]ヘプタン
【化40】

テトラヒドロフラン(25mL)及びイソプロパノール(8mL)中の1,3−ジカルボメトキシビシクロ[3.1.1]ヘプタン(1.90g、8.95mmol)の攪拌溶液を、水(25mL)中の水酸化リチウム水和物(2.1g、50mmol)の溶液で処理し、混合物を攪拌しながら、60℃〜70℃まで3時間加熱した。有機溶媒を真空除去し、アルカリ性水溶液を氷浴上で冷却し、6N塩酸(10mL)で酸性にした。固体を濾別し、冷水で濯ぎ、一晩かけてある程度空気乾燥させた。次いで、真空下に更に乾燥させ、白色固体として、標題物質6.25g(86%)を得た。MSは得ることができなかった。1H NMR(CDCl3)δ 2.40−2.50(m,2H),1.90−2.00(m,4H),1.80−1.90(m,2H),1.70−1.80(m,2H)。
【0122】
例30
1,3−ジアミノビシクロ[3.1.1]ヘプタンジヒドロクロリド
【化41】

無水トルエン(35mL)中の1,3−ジカルボキシビシクロ[3.1.1]ヘプタン(1.00g、5.43mmol)の懸濁液を、窒素下にトリエチルアミン(2.65mL、19mmol)及びジフェニルホスホリルアジド(3.72g、13.5mmol)で処理し、80℃まで加温し、80℃〜90℃で3時間攪拌した。溶液を真空濃縮し、氷浴上で冷却し、6N HCl(16mL)で処理した。混合物を室温で16時間攪拌し、エーテルで抽出し(2×25mL)、真空中で濃縮した。次いで残分をアセトニトリルで粉砕し、乾燥させて、白色固体として、標題物質560mg(52%)を得た。[M+H]+=127.5。1H NMR(d6−DMSO)δ 8.66(br s,6H),2.30−2.40(m,2H),1.90−2.00(m,2H),1.70−1.90(m,6H)。
【0123】
例31
ジアミン遊離塩基の一般的製造手順
ジヒドロクロリド塩から:1,4−ジアミノビシクロ[2.2.2]オクタン
DOWEX(登録商標)550A−OHヒドロキシド樹脂(Aldrich、75g)をメタノール中に懸濁させ、濾過し、メタノールで濯ぎ、ある程度空気乾燥させた。1,4−ジアミノビシクロ[2.2.2.]オクタンジヒドロクロリドの一部(10g、46.8mmol)をメタノール(200mL)中にとり、次いで前記ヒドロキシル樹脂で処理し、30分間攪拌した(白色凝集塊が全て溶解したことを確認)。混合物を濾過し、樹脂をメタノールで濯ぎ、濾液を真空濃縮し、白色固体として、1,4−ジアミノビシクロ[2.2.2]オクタン遊離塩基6.46g(98%)を得た(注意:化合物は空気中で容易に炭酸塩となるので、窒素下に保管せねばならない)。
【0124】
例32
【化42】

(S)−(1−(1−アミノビシクロ[2.2.2]オクチ−4−イル)アミノアセチル)−2−シアノピロリジン
無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、15mL)中の1,4−ジアミノビシクロ[2.2.2]オクタン遊離塩基(1.07g、7.6mmol)及び炭酸カリウム(4.5g、32.6mmol)の溶液を窒素下に(S)−1−クロロアセチル−2−シアノ−ピロリジン(690mg、4.0mmol)で処理し、室温で16時間攪拌した。混合物を塩化メチレン(50mL)と一緒にし、Celite(登録商標)を通して濾過し、フィルターケーキを塩化メチレンで濯ぎ、濾液を真空中で濃縮した(徹底的に行って、DMFを除去する)。粗残分をシリカゲルカラム(〜125cc)に装填し、塩化メチレン/メタノール(4:1)で溶離して、(S,S)−1,4−ビス[(2−(2−シアノピロリジン−1−イル)−2−オキソ)エチルアミノ]ビシクロ[2.2.2]−オクタンを白色固体として得た(160mg、10%)。次いで、塩化メチレン/メタノール/水酸化アンモニウム(83:15:2)で溶離して、(S)−(1−(1−アミノビシクロ[2.2.2]オクチ−4−イル)アミノアセチル)−2−シアノピロリジンが、ろう様の白色固体として得られた(715mg、65%)。最後に、カラムを塩化メチレン/メタノール/水酸化アンモニウム(70:23:7)で溶離して、1,4−ジアミノビシクロ[2.2.2.]オクタン遊離塩基373mgが回収された。
(S,S)−1,4−ビス[(2−(2−シアノピロリジン−1−イル)−2−オキソ)エチルアミノ]ビシクロ[2.2.2]−オクタン:[M+H]+=413.4。1H NMR(CDCl3)δ 4.70−4.90(m,2H),3.25−3.75(m,8H),2.00−2.40(m,8H),1.60(br s,12H)。
(S)−(1−(1−アミノビシクロ[2.2.2]オクチ−4−イル)アミノアセチル)−2−シアノピロリジン:[M+H]+= 277.3。1H NMR(d6−DMSO)δ 4.70(m,1H),3.57(m,1H),3.37(m,lH),3.24(m,2H),1.85−2.20(m,4H),1.45(br s,12H)。
【0125】
例33
(S)−(1−(1−アミノビシクロ[3.2.1]オクチ−3−イル)アミノアセチル)−2−シアノピロリジン
【化43】

無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF、10mL)中の1,3−ジアミノビシクロ[3.2.1]オクタン遊離塩基(743mg、5.3mmol)及び炭酸カリウム(3.18g、23mmol)の溶液を窒素下に(S)−1−クロロアセチル−2−シアノ−ピロリジン(483mg、2.8mmol)で処理し、室温で18時間攪拌した。混合物を塩化メチレン(35mL)と一緒にし、Celite(登録商標)を通して濾過し、フィルターケーキを塩化メチレンで濯ぎ、濾液を真空中で濃縮した(徹底的に行って、DMFを除去する)。粗残分をシリカゲルカラム(〜100cc)に装填し、塩化メチレン/メタノール(4:1)で溶離して、(S,S)−1,3−ビス[(2−(2−シアノピロリジン−1−イル)−2−オキソ)エチルアミノ]ビシクロ[3.2.1]−オクタンを淡黄色発泡体として得た(204mg、18%)。次いで、塩化メチレン/メタノール/水酸化アンモニウム(83:15:2)で溶離して、(S)−(1−(1−アミノビシクロ[3.2.1]オクチ−3−イル)アミノアセチル)−2−シアノピロリジンが、淡黄色油状物として得られた(568mg、73%)。最後に、カラムを塩化メチレン/メタノール/水酸化アンモニウム(70:23:7)で溶離して、1,3−ジアミノビシクロ[3.2.1]オクタン遊離塩基が回収された(210mg)。
(S,S)−1,3−ビス[(2−(2−シアノピロリジン−1−イル)−2−オキソ)エチルアミノ]ビシクロ[3.2.1]オクタン:[M+H]+=413.3。1H NMR(CDCl3)δ4.70−4.85(m,2H),3.30−3.70(m,8H),2.00−2.40(m,8H),1.40−1.80(m,12H)。
(S)−(1−(1−アミノビシクロ[3.2.1]オクチ−3−イル)アミノアセチル)−2−シアノピロリジン:[M+H]+=277.4。1H NMR (CDCl3)δ 4.70−4.85(m,1H),3.30−3.70(m,4H),2.00−2.40(m,4H),1.40−1.80(m,12H)。
【0126】
例34
(S)−l−[(3−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)スルホンアミド−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジン
【化44】

テトラヒドロフラン2mL中の(S)−l−[(3−アミノ−l−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジン(100mg、0.33mmol)の溶液に、トリエチルアミン(100μl、1mmol)を添加した。4−(トリフルオロメチル)フェニルスルホニルクロリドを0.33M乾燥THF溶液として予め調製した。スルホニルクロリド溶液(1.0mL、0.33mmol)を攪拌アミン溶液に滴下し、反応を室温で18時間実施した。粗反応混合物を蒸発乾固し、1mLまでCH2Cl2中に希釈し、シリカゲル5gに装填した。3カラム容量のCH2Cl2、次に3カラム容量のCH2Cl2中の10%MeOHを使用して、生成物を溶離した(81mg、収率48.1%)。MS(ESI)m/z =511(M+H)+
【0127】
例35
2−(3−(2−((S)−2−シアノピロリジン−1−イル)−2−オキソエチルアミノ)−アダマンチルアミノ)−4−ブロモピリミジン
【化45】

2−クロロ−4−ブロモピリミジン(253mg、1.32mmol)に、DMF0.25mL中の(S)−1−[(3−アミノ−1−アダマンチル)アミノ]アセチル−2−シアノ−ピロリジン(100mg、0.33mmol)を添加した。反応物を90℃まで加熱し、この温度に18時間保持した。粗反応混合物を蒸発乾固し、アセトニトリル:水(3/1)中、2mLまで希釈した。サンプルは、調節剤としてのTFAとアセトニトリル/水勾配を使用し、質量対象フラクショネーションを用いる逆相HPLCにより精製した。凍結乾燥後、モノ−TFA塩1.0mgが単離された。収率0.5%。MS(ESI)m/z=459/461(M+H)+
【0128】
例36〜62
追加活性化合物の合成
以下の化合物は、前記の手順、特に例4、例10、例39及び例40に記載の手順、と類似の手順により製造された。
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【0129】
例63
ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)活性の阻害
ブタのジペプチジルペプチダーゼIV(Sigma,D−7052)を使用する。テスト化合物及び/又は賦形剤は、酵素(70μU/ml)と共にTris−HCl(pH8.0)中で、37℃で15分間、予備インキュベートする。次いで、Ala−Pro−AFC(20μM)を添加し、更に30分間インキュベートする。次いで、タンパク質分解産物、AFC、の濃度を分光蛍光法により読み取る。2通りの8ポイント濃度カーブを使用して、IC50値を計算するか、あるいは、2つの用量レベルで、%による阻害を2度測定する。
【0130】
【表6】

【0131】
【表7】

【0132】
上記は本発明の例示であり、本発明を限定するものと解釈すべきではない。本発明は、以下の特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲の等価物が本発明に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中、
Xは、NR3又はOであり、
nは、1又は2であり、
Aは、原子数5〜20の二環式又は三環式炭素環であり、二環の各ブリッジは少なくとも1つの原子を有し、
1は、
【化2】

(式中、
p及びqは、独立して0又は1であり、
Yは、CH2、CHF、CF2、O又はS(O)mであり、
W及びZは、独立して、CH2、CHF又はCF2であり、かつ
N、W、Y、Z及びこれらが結合している炭素原子から形成される環は、飽和であるか又は場合により2重結合1つを含む)であり、
XがNR3である場合には、R2は、R4−SO2−、R5−SO2−NH−C(O)−、R67N−SO2−又は非置換複素環基もしくは場合によりハロ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、メルカプト、アルキル−S(O)m、ハロアルキル−S(O)m、シクロアルキル−S(O)m、シクロアルキルアルキル−S(O)m、アリール−S(O)m、アリールアルキル−S(O)m、ヘテロシクロ−S(O)m、ヘテロシクロアルキル−S(O)m、アミノ、アルキルアミノ、ハロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホンアミド、ウレア、アルコキシアシルアミノ、アミノアシルオキシ、ニトロ又はシアノで置換された複素環基であり、又は、
XがOである場合には、R2は、非置換複素環基又は場合によりハロ、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ、ヘテロシクロアルキル、ヒドロキシル、アルコキシ、ハロアルキルオキシ、シクロアルキルオキシ、シクロアルキルアルキルオキシ、アリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロシクロオキシ、ヘテロシクロアルキルオキシ、メルカプト、アルキル−S(O)m、ハロアルキル−S(O)m、シクロアルキル−S(O)m、シクロアルキルアルキル−S(O)m、アリール−S(O)m、アリールアルキル−S(O)m、ヘテロシクロ−S(O)m、ヘテロシクロアルキル−S(O)m、アミノ、アルキルアミノ、ハロアルキルアミノ、シクロアルキルアミノ、シクロアルキルアルキルアミノ、アリールアミノ、アリールアルキルアミノ、ヘテロシクロアミノ、ヘテロシクロアルキルアミノ、二置換アミノ、アシルアミノ、アシルオキシ、エステル、アミド、スルホンアミド、ウレア、アルコキシアシルアミノ、アミノアシルオキシ、ニトロ又はシアノで置換された複素環基であり、
3は、H、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ及びヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
4は、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ及びヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
5は、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ及びヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、
6及びR7は、それぞれ独立して、H、アルキル、ハロアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロシクロ及びヘテロシクロアルキルからなる群から選択されるか又はR6及びR7は一緒になってC3〜C7アルキレンを形成し、
8は、H又はシアノであり、
mは0、1又は2である]の化合物、その薬学的に許容可能な塩又はそのプロドラッグ。
【請求項2】
Aが、アダマンチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが、
【化3】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、場合により二重結合を1つ以上含んでもよい、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン及びビシクロ[3.3.1]ノナンからなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Aが、
【化4】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
XがNR3であり、R2がR4−SO2−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
XがNR3であり、R2がR5−SO2−NH−C(O)−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
XがNR3であり、R2がR67N−SO2−である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
XがNR3であり、R2が複素環基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
XがOであり、R2が複素環基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
nが1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
nが2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
Yが、CHF、CF2、O及びS(O)mからなる群から選択されるか、又は
qが1で、WがCHF及びCF2からなる群から選択されるか、又は
pが1で、ZがCHF及びCF2からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
Yが、CHF、CF2、O及びS(O)mからなる群から選択され、
qが1であり、WがCH2であり、かつ
pが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
Yが、CHF、CF2、O及びS(O)mからなる群から選択されるか、又は
qが0であり、かつ
pが1であり、ZがCH2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
YがCH2であり、
qが1で、WがCHF及びCF2からなる群から選択され、かつ
pが0である、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
YがCH2であり、
qが0であり、かつ
pが1で、ZがCHF及びCF2からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
【化5】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩及びそのプロドラッグ。
【請求項19】
【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩及びそのプロドラッグ。
【請求項20】
【化10】

【化11】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩及びそのプロドラッグ。
【請求項21】
【化12】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物、その薬学的に許容可能な塩及びそのプロドラッグ。
【請求項22】
【化13】

【化14】

からなる群から選択される、請求項1に記載の化合物及びその薬学的に許容可能な塩。
【請求項23】
請求項1に記載の化合物を薬学的に許容可能な担体と組み合わせて含む、製薬組成物。
【請求項24】
前記組成物が錠剤又はカプセルの形状にある、請求項23に記載の製薬組成物。
【請求項25】
前記組成物が、非経口注入可能組成物である、請求項23に記載の製薬組成物。
【請求項26】
その必要のある被験者において、DPP−IVを阻害する方法であって、前記被験者のDPP−IVを阻害するのに有効な量で、請求項1に記載の化合物を前記被験者に投与することを含む、方法。
【請求項27】
前記被験者が、ヒト被験者である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
その必要のある被験者の糖尿病を治療する方法であって、前記糖尿病を治療するのに有効な量で、請求項1に記載の化合物を前記被験者に投与することを含む、糖尿病の治療法。
【請求項29】
前記被験者が、ヒト被験者である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記糖尿病が、II型糖尿病である、請求項28に記載の方法。

【公表番号】特表2008−507541(P2008−507541A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522735(P2007−522735)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/025837
【国際公開番号】WO2006/012395
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(507023418)
【出願人】(507023430)
【出願人】(507023360)
【出願人】(507023407)
【出願人】(507023441)
【出願人】(507023429)
【出願人】(507023452)
【出願人】(507023511)
【Fターム(参考)】