説明

ペリレン−イミド半導体ポリマー

ペリレン−イミドコポリマーから製造される新規な半導体材料が開示される。かかるポリマーは、高n型担体移動度及び/又は良好な電流変調特性を示すことができる。更に、本教示の化合物は、特定の処理効果、例えば、周囲条件における溶液処理性及び/又は良好な安定性を有することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年2月5日に出願の米国仮特許出願整理番号第61/026,322号;2008年2月5日に出願の第61/026,311号;2008年5月2日に出願の第61/050,010号;2008年8月12日に出願の第61/088,236号、2008年8月12日に出願の第61/088,246号;2008年8月12日に出願の第61/088,215号;及び2008年11月7日に出願の第61/112,478号に対する優先権及びそれらの利益を主張するものであって、それらのそれぞれの開示内容全体が、参考として本明細書で援用される。
【0002】
有機薄膜トランジスタ(OTFT)、有機発光ダイオード(OLED)、プリンタブル回路、有機光起電性素子、キャパシタ、センサ等の新世代の光電子素子は、有機半導体上にそれらの能動部品として構築される。高速性能及び効率的な作動を達成するため、これらの有機半導体系素子におけるp型半導体材料及びn型半導体材料は、周囲条件下で高い電荷担体移動度(μ)及び安定性を示し、費用効果的な方法で処理され得ることが望ましい。
【0003】
幾つかのpチャネル分子半導体及びnチャネル分子半導体は、許容し得る素子性能及び安定性を達成した。例えば、一定のアセン、オリゴチオフェン(pチャネル)及びペリレン(nチャネル)に基づくOTFTは、周囲条件下で約0.5cm2/Vs超の担体移動度(μ’s)を示すことができる。しかし、分子半導体は、ポリマー半導体よりもあまり望ましくない溶液膜処理性を有する傾向がある。更に、約0.1cm2/Vs超のμを有する高性能pチャネルポリマーが報告されているが、現在までのOTFT用nチャネルポリマーは、周囲条件での劣った処理性及び/又はわずかな電子移動度を欠点としている。
【0004】
従って、本技術分野は、新規なポリマー半導体、特に周囲条件下で良好な安定性、処理性及び/又は電荷輸送特性を有するn型ポリマー半導体を所望する。
【0005】
上記に鑑みて、本教示は、上記で概説したものを含む先行技術の各種の欠陥及び欠点に対処し得るペリレン系半導体ポリマーを提供するものである。また、これらのポリマーの製造及び使用のための関連素子及び関連方法も提供される。本ポリマーは、周囲条件下で優れた電荷輸送特性、化学的安定性、低温処理性、共通溶媒における大きな溶解性、処理多用性(例えば印刷適性)等の特性を示すことができる。その結果、半導体層として本ポリマーの内の1種以上を組み込む薄膜トランジスタ等の電界効果素子は、周囲条件下で高性能を示すことができ、例えば、大きな電子移動度、低閾値電圧及び高電流オン/オフ比の内の1つ以上を示す。同様に、OPV、OLET、OLED等の他の有機半導体に基づく素子は、本明細書に記載されるポリマー材料を使用して効率的に製造され得る。
【0006】
特に、本ポリマーは、これらに限定されないが、下記式:
【化1】

[式中、
π−1、π−1’、Ar、R1、R2、R5、U、m、及びnは、本明細書に定義される通りである]によって表され得るポリマーを含み得る。
【0007】
また、本教示は、かかるポリマー及び半導体材料並びに本明細書に開示されるポリマー及び半導体材料を組み込む各種の組成物、複合物及び素子の製造方法をも提供する。
【0008】
本教示の上記並びに他の特徴及び効果は、以下の図、説明、実施例及び請求項からより完全に理解されるであろう。
【0009】
以下に記載する図面が例示目的だけのためであることを理解するべきである。図面は、一般に本教示の原理を例示することに重点を置くものであって、必ずしも一定の縮尺であるというわけではない。図面は、いかなる形であれ本教示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ガラス基板上にスピンコートされた薄膜の形態の本教示の代表的ポリマー(P(PDI2OD−T2))の紫外可視スペクトルを示す図。
【図2】内部標準としてフェロセンによりv=80mV/sの走査速度でTFH−TBAPF6電解質溶液において対向電極として銀を有するPt作用電極上に析出された本教示の代表的ポリマー(P(PDI2OD−T2))のサイクリックボルタモグラムを示す図(0.54V)。
【図3】薄膜トランジスタの4種の異なる構成を示す図:ボトムゲートトップコンタクト(左上)、ボトムゲートボトムコンタクト(右上)、トップゲートボトムコンタクト(左下)及びトップゲートトップコンタクト(右下);それらのそれぞれは、本教示のポリマーを組み込むために使用され得る。
【図4】本教示の代表的ポリマー(P(PDI2OD−T2))を組み込むボトムゲートトップコンタクトTFTについての電流対VSGのTFT伝送プロットを示す図。
【図5】本教示の代表的ポリマー(P(PDI2OD−T2))を組み込むトップゲートボトムコンタクトTFTについての電流対VSGのTFT伝送プロット(上)及び電流対VSDの出力プロット(下)をそれぞれ示す図。
【図6】本教示の代表的ポリマー(P(PDI2OD−TZ2))を組み込むトップゲートボトムコンタクトTFTについての電流対VSGのTFT伝送プロットを示す図。
【図7】供与体及び/又は受容体材料として本教示の1種以上のポリマーを組み込むことができるバルク−ヘテロ接合有機光起電力素子(太陽電池としても知られている)の代表的構造を示す図。
【図8】電子輸送材料及び/又は電子放射材料及び/又は正孔輸送材料として本教示の1種以上のポリマーを組み込むことができる有機発光素子の代表的構造を示す図。
【0011】
本教示は、1種以上のペリレン系半導体ポリマーを含む有機半導体材料並びに関連の組成物、複合物及び/又は素子を提供するものである。本教示のポリマーは、電界効果素子における高担体移動度及び/又は良好な電流変調特性、光起電力素子における光吸収/電荷分離、及び/又は発光素子における電荷輸送/再結合/発光等の半導体挙動を示すことができる。更に、本ポリマーは、周囲条件における溶液処理性及び/又は良好な安定性(例えば空気安定性)等の一定の処理効果を有することができる。本教示のポリマーを使用してp型半導体材料又はn型半導体材料のいずれかを製造することができ、更に前記材料を使用して電界効果トランジスタ、単極回路、相補型回路、光起電力素子及び発光素子を含む各種の有機電子品、構造及び素子を製造することができる。
【0012】
従って、本教示の一態様は、半導体活性を有するポリマーと、これらのポリマーから製造される半導体材料とを提供するものである。更に具体的には、前記ポリマーは、芳香族イミド(例えば、ペリレンイミド又はそのヘテロ原子類似体)を含む第1の反復単位(モノマーA、M1)と1個以上の環状部分を含む第2の反復単位(モノマーB、M2)とを含むA−Bコポリマーであり得る。各種の実施態様において、モノマーA及びモノマーBの両方は、芳香族或いは高度に共役した環状(炭素環状又は複素環状)部分を含むことができ、かかる環状部分は、場合により1個以上の電子求引性基又は電子供与性基で置換又は官能化され得る。モノマーA及びBの対形成、モノマーAのイミド位置での官能化、いずれかのモノマー上の任意の更なる官能化は、以下の要件:1)空気中における半導体処理のための電子吸引能及び安定した電荷輸送作用;2)モノマーA及びBの電子構造に依存する多数担体型の変調;3)位置規則性ポリマーを生じさせる可能性のある重合の位置化学;4)ポリマー鎖のコア平面性及び直線性;5)π共役コアの更なる官能化の能力;6)溶液処理のためのポリマーの溶解性の増加の可能性;7)強いπ−π相互作用/分子間電子結合の達成;及び8)電子不足(受容体)及び電子過剰(供与体)A−B又はB−A反復単位の電子供与体−受容体結合を介したバンドギャップ変調、の内の1つ以上に影響を受ける可能性がある。得られたポリマー及び関連方法を用いて、関連の素子(例えば、有機電界効果トランジスタ、発光トランジスタ、太陽電池等)の性能を高めることができる。
【0013】
更に具体的には、本ポリマーのモノマーAは、一般に、場合により置換(コア置換及び/又はイミド置換)されたペリレンジイミド又はモノイミドを含むが、一方でモノマーBは、一般に、1個以上の場合により置換された芳香族単環状部分を含む。特定の実施態様において、モノマーBは、1個以上の単環状部分の他に1個以上のリンカー及び/又は1個以上の多環状部分を含むことができる。各種の実施態様において、モノマーBは、全体として高度な共役系を含むことができる。また、本教示は、モノマーAのホモポリマーにも関する。
【0014】
本明細書の全体に亘って、組成物が、特定の成分を有する(having)、含む(including)又は含有する(comprising)として記載される場合、或いは方法が、特定の方法工程を有する、含む又は含有するとして記載される場合、本教示の組成物はまた、列挙された成分から本質的に成り又は成り、且つ、本教示の方法はまた、列挙された方法工程から本質的に成る又は成ると考えられる。
【0015】
本明細書において、元素又は成分が、列挙された元素又は成分の一覧に含まれる及び/又はから選択されると考えられる場合、元素又は成分は、列挙された元素又は成分のいずれか1種あり得、且つ、列挙された元素又は成分の内の2種以上から成る群から選択され得ることを理解するべきである。更に、本明細書に記載される元素及び/又は組成物の特徴、装置又は方法は、本明細書において明示的であるにせよ黙示的であるにせよ、本教示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な方法で組み合わせることが可能であることを理解するべきである。
【0016】
一般に、「含む(include)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」又は「有する(having)」という用語の使用は、特記しない限りオープンエンド及び非限定的であると理解されるべきである。
【0017】
本明細書における単数の使用は、特記しない限り複数を含む(及びその逆も同じ)。更に、「約」という用語の使用が定量値の前にある場合、本教示はまた、特記しない限り特定の定量値自体をも含む。本明細書で用いられる場合、「約」という用語は、公称値から±10%の偏差を指す。
【0018】
本教示が実施可能なままである限り、工程の順序又は一定の活動を行う順序は重要でなないことを理解するべきである。更に、2つ以上の工程又は活動は、同時に行うことが可能である。
【0019】
本明細書で用いられる場合、「ポリマー」又は「ポリマー化合物」は、共有化学結合により連結される複数の1個以上の反復単位を含む分子(例えば高分子)を指す。ポリマーは、一般式:
【化2】

[式中、Mは反復単位又はモノマーであり、及びnはポリマー中のMの数である]により表すことが可能である。例えば、nが3である場合、上記のポリマーは:
【化3】

であると理解される。ポリマー又はポリマー化合物は、1種の反復単位のみ、並びに、2種以上の異なる反復単位を有することができる。前者の場合、ポリマーは、ホモポリマーと呼ばれ得る。後者の場合、とりわけポリマーが化学的に著しく異なる反復単位を含む場合に「コポリマー」又は「コポリマー化合物」という用語が代わりに使用され得る。ポリマー又はポリマー化合物は、直鎖状又は分枝鎖状であり得る。分枝鎖状ポリマーは、樹枝状ポリマー、例えば、デンドリマ化ポリマー、超分枝鎖状ポリマー、ブラシポリマー(ボトルブラシとも呼ばれる)等を含むことができる。特記しない限り、コポリマーの反復単位の構築は、頭−尾、頭−頭、又は尾−尾であり得る。更に、特記しない限り、コポリマーは、ランダムコポリマー、交互コポリマー又はブロックコポリマーであり得る。
【0020】
本明細書で用いられる場合、「環状部分」は、1個以上の(例えば1〜6個)の炭素環又は複素環を含むことができる。環状部分は、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基であり得(即ち、飽和結合のみを含むことができるか、又は、芳香族性に関係なく1個以上の不飽和結合を備えることができ)、それぞれは、例えば3〜24個の環原子を含み、本明細書に記載されるように場合により置換され得る。実施態様において、環状部分が「単環状部分」である場合、「単環状部分」は、3〜14員芳香族環又は非芳香族環、炭素環又は複素環を含むことができる。単環状部分は、例えばフェニル基或いは5又は6員環ヘテロアリール基を含むことができ、それらのそれぞれは、本明細書に記載されるように場合により置換され得る。実施態様において、環状部分が「多環状部分」である場合、「多環状部分」は、互いに縮合した(即ち、共通の結合を共有する)及び/又はスピロ原子又は1個以上の架橋原子を介して互いに連結した2個以上の環を含むことができる。多環状部分は、8〜24員芳香族環又は非芳香族環、炭素環又は複素環、例えばC8-24アリール基又は8〜24員環ヘテロアリール基を含むことができ、それらのそれぞれは、本明細書に記載されるように場合により置換され得る。
【0021】
本明細書で用いられる場合、「縮合環」又は「縮合環部分」は、環の内の少なくとも1つが芳香族であり、且つ、かかる芳香族環(炭素環又は複素環)が、芳香族又は非芳香族並びに炭素環式又は複素環式であり得る少なくとも1個の他の環と共通する結合を有する少なくとも2個の環を有する多環状系を指す。これらの多環状系は、高度にπ共役であり得、且つ、式:
【化4】

[式中、a0は、0〜3の範囲の整数で得る]を有するリレン(又は1個以上のヘテロ原子を含むそれらの類似体);式:
【化5】

[式中、b0は、0〜3の範囲の整数であり得る]を有するコロネン(又は1個以上のヘテロ原子を含むそれらの類似体);式:
【化6】

[式中、c0は、0〜4の範囲の整数であり得る]を有する直鎖状アセン(又は1個以上のヘテロ原子を含むそれらの類似体)等の多環式芳香族炭化水素を含むことができる。縮合環部分は、本明細書に記載されるように場合により置換され得る。
【0022】
本明細書で用いられる場合、「ハロ」又は「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを指す。
【0023】
本明細書で用いられる場合、「オキソ」は、二重結合酸素(即ち、=O)を指す。
【0024】
本明細書で用いられる場合、「アルキル」は、直鎖状又は分枝鎖状飽和炭化水素基を指す。アルキル基の例としては、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(例えば、n−プロピル及びイソ−プロピル)、ブチル(例えば、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)、ペンチル基(例えば、n−ペンチル、イソ−ペンチル、ネオペンチル)、ヘキシル基等が挙げられる。各種の実施態様において、アルキル基は、1〜40個の炭素原子(即ち、C1-40アルキル基)、例えば1〜20個の炭素原子(即ち、C1-20アルキル基)を有することができる。幾つかの実施態様において、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有することができ、「低級アルキル基」と呼ぶことができる。低級アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、プロピル基(例えば、n−プロピル及びイソ−プロピル)、ブチル基(例えば、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル)が挙げられる。幾つかの実施態様において、アルキル基は、本明細書に記載されるように置換され得る。一般に、アルキル基は、別のアルキル基、アルケニル基又はアルキニル基により置換されない。
【0025】
本明細書で用いられる場合、「ハロアルキル」は、1個以上のハロゲン置換基を有するアルキル基を指す。各種の実施態様において、ハロアルキル基は、1〜40個の炭素原子(即ち、C1-40ハロアルキル基)、例えば1〜20個の炭素原子(即ち、C1-20ハロアルキル基)を有することができる。ハロアルキル基の例としては、CF3、C25、CHF2、CH2F、CCl3、CHCl2、CH2Cl、C2Cl5等が挙げられる。ペルハロアルキル基、即ち水素原子の全てがハロゲン原子により置換されるアルキル基(例えば、CF3及びC25)は、「ハロアルキル」の定義の中に含まれる。例えば、C1-40ハロアルキル基は、式−Cz2z+1-t0t[式中、X0は、それぞれ存在する場合に、F、Cl、Br又はIであり、zは、1〜40の範囲の整数であり、tは、1〜81の範囲の整数であるが、但しtは2z+1以下である]を有することができる。ペルハロアルキル基でないハロアルキル基は、本明細書に記載されるように置換され得る。
【0026】
本明細書で用いられる場合、「アルコキシ」は、−O−アルキル基を指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基(例えば、n−プロポキシ基及びイソプロポキシ基)、t−ブトキシ基、ペントキシル基、ヘキソキシル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。−O−アルキル基の中のアルキル基は、本明細書に記載されるように置換され得る。
【0027】
本明細書で用いられる場合、「アルキルチオ」は、−S−アルキル基(幾つかの場合において、−S(O)w−アルキル[式中、wは0である]として表される)を指す。アルキルチオ基の例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基(例えば、n−プロピルチオ基及びイソプロピルチオ基)、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。−S−アルキル基の中のアルキル基は、本明細書に記載されるように置換され得る。
【0028】
本明細書で用いられる場合、「アリールアルキル」は、定義された化学構造にアリールアルキル基がアルキル基を介して共有結合する−アルキル−アリール基を指す。アリールアルキル基は、−Y−C6-14アリール基(Yは本明細書で定義される通りである)の定義の中にある。アリールアルキル基の例は、ベンジル基(−CH2−C65)である。アリールアルキル基は、場合により置換され得、即ちアリール基及び/又はアルキル基は、本明細書に開示されるように置換され得る。
【0029】
本明細書で用いられる場合、「アルケニル」は、1個以上の炭素−炭素二重結合を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基を指す。アルケニル基の例としては、エテニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ブタジエニル基、ペンタジエニル基、ヘキサジエニル基等が挙げられる。1個以上の炭素−炭素二重結合は、内部(例えば、2−ブテンにおける)又は末端(例えば、1−ブテンにおける)にある可能性がある。各種の実施態様において、アルケニル基は、2〜40個の炭素原子(即ち、C2-40アルケニル基)、例えば2〜20個の炭素原子(即ち、C2-20アルケニル基)を有することができる。幾つかの実施態様において、アルケニル基は、本明細書に記載されるように置換され得る。一般に、アルケニル基は、別のアルケニル基、アルキル基又はアルキニル基により置換されない。
【0030】
本明細書で用いられる場合、「アルキニル」は、1個以上の炭素−炭素三重結合を有する直鎖状又は分枝鎖状アルキル基を指す。アルキニル基の例としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等が挙げられる。1個以上の炭素−炭素三重結合は、内部(例えば、2−ブチンにおける)又は末端(例えば、1−ブチンにおける)にある可能性がある。各種の実施態様において、アルキニル基は、2〜40個の炭素原子(即ち、C2-40アルキニル基)、例えば2〜20個の炭素原子(即ち、C2-20アルキニル基)を有することができる。幾つかの実施態様において、アルキニル基は、本明細書に記載されるように置換され得る。一般に、アルキニル基は、別のアルキニル基、アルキル基又はアルケニル基により置換されない。
【0031】
本明細書で用いられる場合、「シクロアルキル」は、環化したアルキル基、アルケニル基及びアルキニル基を含む非芳香族炭素環基を指す。各種の実施態様において、シクロアルキル基は、3〜24個の炭素原子、例えば3〜20個の炭素原子(例えば、C3-14シクロアルキル基)を有することができる。シクロアルキル基は、単環式(例えばシクロヘキシル)又は多環式(例えば、縮合、架橋及び/又はスピロ環系を含む)であり得、ここで炭素原子は環系の内部又は外部に位置する。シクロアルキル基の任意の適切な環位置は、定義された化学構造に共有結合することができる。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基、シクロヘプタトリエニル基、ノルボルニル基、ノルピニル基、ノルカリル基、アダマンチル基、スピロ[4.5]デカニル基、並びにそれらの同族体、異性体等が挙げられる。幾つかの実施態様において、シクロアルキル基は、本明細書に記載されるように置換され得る。
【0032】
本明細書で用いられる場合、「ヘテロ原子」は、炭素や水素以外の任意の元素の原子を指し、例えば、窒素、酸素、ケイ素、硫黄、リン及びセレンを含む。
【0033】
本明細書で用いられる場合、「シクロヘテロアルキル」は、O、S、Se、N、P及びSiから選択される少なくとも1種の環ヘテロ原子(例えば、O、S及びN)を含み、且つ、場合により1個以上の二重結合又は三重結合を含む非芳香族シクロアルキル基を指す。シクロヘテロアルキル基は、3〜24個の環原子、例えば3〜20個の環原子(例えば、3〜14員環シクロヘテロアルキル基)を有することができる。シクロヘテロアルキル環における1個以上のN、P、S又はSe原子(例えば、N又はS)は、酸化され得る(例えば、モルホリンN−オキシド、チオモルホリンS−オキシド、チオモルホリンS,S−ジオキシド)。幾つかの実施態様において、シクロヘテロアルキル基の窒素原子又はリン原子は、置換基、例えば、水素原子、アルキル基、又は本明細書に記載される通りの他の置換基を担持することができる。また、シクロヘテロアルキル基は、1個以上のオキソ基、例えばオキソピペリジル、オキソオキサゾリジル、ジオキソ−(1H,3H)−ピリミジル、オキソ−2(1H)−ピリジル等を含むこともできる。シクロヘテロアルキル基の例としては、とりわけ、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、オキサゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジニル、ピローリニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、ピペラジニル等が挙げられる。幾つかの実施態様において、シクロヘテロアルキル基は、本明細書に記載されるように置換され得る。
【0034】
本明細書で用いられる場合、「アリール」は、2個以上の芳香族炭化水素環が共に縮合する(即ち、共通する結合を有する)か、又は、少なくとも1個の芳香族単環式炭化水素環が1個以上のシクロアルキル環及び/又はシクロヘテロアルキル環に縮合する芳香族単環式炭化水素環系又は多環状系を指す。アリール基は、多数の縮合環を含み得るその環系の中に6〜24個の炭素原子を有することができる(例えば、C6-20アリール基)。幾つかの実施態様において、多環式アリール基は、8〜24個の炭素原子を有することができる。アリール基の任意の適切な環位置は、定義された化学構造に共有結合することができる。芳香族炭素環だけを有するアリール基の例としては、フェニル、1−ナフチル(二環式)、2−ナフチル(二環式)、アントラセニル(三環式)、フェナントレニル(三環式)、ペンタセニル(五環式)等の基が挙げられる。少なくとも1個の芳香族炭素環が1個以上のシクロアルキル環及び/又はシクロヘテロアルキル環に縮合する多環状系の例としては、とりわけ、シクロペンタンのベンゾ誘導体(即ち、5,6−二環式シクロアルキル/芳香族環系であるインダニル基)、シクロヘキサン(即ち、6,6−二環式シクロアルキル/芳香族環系であるテトラヒドロナフチル基)、イミダゾリン(即ち、5,6−二環式シクロヘテロアルキル/芳香族環系であるベンズイミダゾリニル基)、ピラン(即ち、6,6−二環式シクロヘテロアルキル/芳香族環系であるクロメニル基)が挙げられる。アリール基の他の例としては、ベンゾジオキサニル基、ベンゾジオキソリル基、クロマニル基、インドリニル基等が挙げられる。幾つかの実施態様において、アリール基は、本明細書に記載されるように置換され得る。幾つかの実施態様において、アリール基は、1個以上のハロゲン置換基を有することができ、「ハロアリール」基と呼ばれ得る。ペルハロアリール基、即ち水素原子の全てがハロゲン原子により置換されるアリール基(例えば、−C65)は、「ハロアリール」の定義の中に含まれる。特定の実施態様において、アリール基は、別のアリール基で置換され、ビアリール基と呼ばれ得る。ビアリール基におけるアリール基のそれぞれは、本明細書に開示されるように置換され得る。
【0035】
本明細書で用いられる場合、「ヘテロアリール」は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、ケイ素(Si)及びセレン(Se)から選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む芳香族単環式環系を指すか、或いは、環系中に存在する環の内の少なくとも1つが芳香族であり、且つ、少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む多環状系を指す。多環式ヘテロアリール基としては、共に縮合する2個以上のヘテロアリール環を有するもの、並びに、1個以上の芳香族炭素環、非芳香族炭素環及び/又は非芳香族シクロヘテロアルキル環に縮合する少なくとも1個の単環式ヘテロアリール環を有するものが挙げられる。ヘテロアリール基は、概して、例えば、5〜24個の環原子を有することができ、且つ、1〜5個の環ヘテロ原子を含むことができる(即ち、5〜20員環ヘテロアリール基)。ヘテロアリール基は、安定な構造となる任意のヘテロ原子又は炭素原子で定義された化学構造に結合することができる。一般に、ヘテロアリール環は、O−O、S−S又はS−O結合を含まない。しかし、ヘテロアリール基における1個以上のN原子又はS原子は、酸化され得る(例えば、ピリジンN−オキシド、チオフェンS−オキシド、チオフェンS,S−ジオキシド)。ヘテロアリール基の例としては、例えば、以下に示される5又は6員単環式環系及び5〜6員二環式環系:
【化7】

[式中、Tは、O、S、NH、N−アルキル、N−アリール、N−(アリールアルキル)(例えば、N−ベンジル)、SiH2、SiH(アルキル)、Si(アルキル)2、SiH(アリールアルキル)、Si(アリールアルキル)2又はSi(アルキル)(アリールアルキル)である]が挙げられる。かかるヘテロアリール環の例としては、ピロリル基、フリル基、チエニル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、ピラジニル基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、イソチアゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサゾリル基、オキサジアゾリル基、インドリル基、イソインドリル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、キノリル基、2−メチルキノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、キナゾリル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、ベンズイソオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、シンノリニル基、1H−インダゾリル基、2H−インダゾリル基、インドリジニル基、イソベンゾフリル基、ナフチリジニル基、フタラジニル基、プテリジニル基、プリニル基、オキサゾロピリジニル基、チアゾロピリジニル基、イミダゾピリジニル基、フロピリジニル基、チエノピリジニル基、ピリドピリミジニル基、ピリドピラジニル基、ピリドピリダジニル基、チエノチアゾリル基、チエノオキサゾリル基、チエノイミダゾリル基等が挙げられる。ヘテロアリール基の更なる例としては、4,5,6,7−テトラヒドロインドリル基、テトラヒドロキノリニル基、ベンゾチエノピリジニル基、ベンゾフロピリジニル基等が挙げられる。幾つかの実施態様において、ヘテロアリール基は、本明細書に記載されるように置換され得る。
【0036】
本教示のポリマーは、本明細書において他の2つの部分と共有結合を形成し得る連結基であると定義される「二価基」を含むことができる。例えば、本教示のポリマーは、二価のC1-20アルキル基(例えば、メチレン基)二価のC2-20アルケニル基(例えば、ビニル基)、二価のC2-20アルキニル基(例えば、エチニル基)、二価のC6-14アリール基(例えば、フェニルイル基);二価の3〜14員環シクロヘテロアルキル基(例えば、ピロリジル)及び/又は二価の5〜14員環ヘテロアリール基(例えば、チエニル基)を含むことができる。一般に、化学基(例えば、−Ar−)は、その基の前後に2つの結合を含むことにより二価であると理解される。
【0037】
全ての一般的な種類の置換基を反映する数百の最も一般的な置換基の電子供与性又は電子吸引性が決定され、定量され、公開された。電子供与性及び電子吸引性の最も一般的な定量化は、ハメットσ値に関する。水素はゼロのハメットσ値を有するが、一方で他の置換基は、それらの電子求引性又はまたは電子供与性に対して直接的に正又は負に増加するハメットσ値を有する。負のハメットσ値を有する置換基は電子供与性であると考えられるが、一方で正のハメットσ値を有するものは電子吸引性であると考えられる。Lange’s Handbook of Chemistry,12th ed.,McGraw Hill,1979,Table3−12,pp.3−134 to 3−138を参照すること。それは、多数の一般に生じる置換基についてのハメットσ値の一覧を示しており、参考として本明細書で援用される。
【0038】
「電子受容基」という用語は、本明細書において「電子受容体」及び「電子求引性基」と同義的に使用され得ることを理解するべきである。特に、「電子求引性基」(「EWG」)又は「電子受容基」又は「電子受容体」は、それ自体に電子を吸引する官能基を指し、分子中に同じ位置を占める場合、1個超の水素原子である。電子求引性基の例としては、ハロゲン又はハロ(例えば、F、Cl、Br、I)、−NO2、−CN、−NC、−S(R02+、−N(R03+、−SO3H、−SO20、−SO30、−SO2NHR0、−SO2N(R02、−COOH、−COR0、−COOR0、−CONHR0、−CON(R02、C1-40ハロアルキル基、C6-14アリール基、5〜14員環の電子不足のヘテロアリール基が挙げられるが、これらに限定されるものではなく;ここでR0は、C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C1-20ハロアルキル基、C1-20アルコキシ基、C6-14アリール基、C3-14シクロアルキル基、3〜14員環シクロヘテロアルキル基及び5〜14員環ヘテロアリール基であり、それらのそれぞれは、本明細書に記載されるように場合により置換され得る。例えば、C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C1-20ハロアルキル基、C1-20アルコキシ基、C6-14アリール基、C3-14シクロアルキル基、3〜14員環シクロヘテロアルキル基及び5〜14員環ヘテロアリール基のそれぞれは、場合により1〜5個の小さい電子求引性基、例えば、F、Cl、Br、−NO2、−CN、−NC、−S(R02+、−N(R03+、−SO3H、−SO20、−SO30、−SO2NHR0、−SO2N(R02、−COOH、−COR0、−COOR0、−CONHR0、−CON(R02で置換され得る。
【0039】
「電子供与性基」という用語は、本明細書において「電子供与体」と同義的に使用され得ることを理解するべきである。特に、「電子供与性基」又は「電子供与体」は、電子を隣接する原子に供与する官能基を指し、分子中に同じ位置を占める場合、1個超の水素原子である。電子供与性基の例としては、−OH、−OR0、−NH2、−NHR0、−N(R02、5〜14員環の電子過剰のヘテロアリール基が挙げられるが、ここでR0は、C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、C6-14アリール基又はC3-14シクロアルキル基である。
【0040】
各種の非置換ヘテロアリール基は、電子過剰(又はπ過剰)又は電子不足(又はπ不足)であると記載され得る。かかる分類は、ベンゼンにおける炭素原子と比較した各環原子上の平均電子密度に基づく。電子過剰系の例としては、フラン、ピロール、チオフェン等の1個のヘテロ原子を有する5員環ヘテロアリール基;ベンゾフラン、ベンゾピロール、ベンゾチオフェン等のそれらのベンゾ縮合した対応物が挙げられる。電子不足系の例としては、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン等の1個以上のヘテロ原子を有する6員環ヘテロアリール基;並びにキノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、フェナントリジン、アクリジン、プリン等のそれらのベンゾ縮合した対応物が挙げられる。混合芳香族複素環は、環中の1個以上のヘテロ原子の種類、数及び位置に応じていずれかの種類に属することができる。Katritzky,A.R and Lagowski,J.M.,Heterocyclic Chemistry(John Wiley & Sons,New York,1960)を参照すること。
【0041】
本明細書における各種の箇所で、モノマーA及びBの置換基は、群又は範囲において開示される。具体的には、記載が、かかる群及び範囲のメンバーのいずれの個々のサブコンビネーションをも含むことが意図される。例えば、具体的には、「C1-6アルキル」という用語は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1〜C6、C1〜C5、C1〜C4、C1〜C3、C1〜C2、C2〜C6、C2〜C5、C2〜C4、C2〜C3、C3〜C6、C3〜C5、C3〜C4、C4〜C6、C4〜C5及びC5〜C6アルキルを個別に開示することが意図される。他の例として、0〜40の範囲の整数は、具体的には、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39及び40を個別に開示することが意図され、並びに1〜20の範囲の整数は、具体的には、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19及び20を個別に開示することが意図される。更なる例は、「場合により1〜5個の置換基で置換される」というフレーズが、具体的には、0、1、2、3、4、5、0〜5、0〜4、0〜3、0〜2、0〜1、1〜5、1〜4、1〜3、1〜2、2〜5、2〜4、2〜3、3〜5、3〜4及び4〜5個の置換基を含み得る化学基を個別に開示することが意図されることを含む。
【0042】
本明細書に記載されるポリマーは不斉原子(キラル中心とも呼ばれる)を含むことができ、化合物の一部は2個以上の不斉原子又は不斉中心を含むことができ、それらはしかるに光学異性体(鏡像異性体)及びジアステレオマー(幾何異性体)を生じることができる。本教示は、かかる光学異性体及びジアステレオマーを含み、それらは、それらのそれぞれ分割された鏡像異性体的又はジアステレオマー的に純粋な異性体(例えば、(+)又は(−)立体異性体)及びそれらのラセミ混合物並びに鏡像異性体及びジアステレオマーの他の混合物を含む。幾つかの実施態様において、光学異性体は、例えばキラル分離、ジアステレオマー塩形成、速度論的光学分割、不斉合成を含む当業者に既知の標準手法により鏡像異性体的に濃縮された又は純粋な形態で得ることが可能である。また、本教示は、アルケニル部分(例えば、アルケン、アゾ、イミン)を含むポリマーのシス異性体及びトランス異性体をも包含する。また、本教示のポリマーが純粋形態の全ての可能な位置異性体及びそれらの混合物を包含することをも理解するべきである。幾つかの実施形態において、本ポリマーの製造は、当業者に既知の標準分離手法を用いて、例えば、カラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、擬似移動床クロマトグラフィー及び高速液体クロマトグラフィーの内の1つ以上を用いてかかる異性体を分離する段階を含むことができる。しかし、位置異性体の混合物が、本明細書に記載される通りの、及び/又は、当業者に既知の本教示の個別の位置異性体の使用と同様に使用され得る。
【0043】
特記しない限り、ある位置異性体の記述が他のいずれの位置異性体及びいずれの位置異性体の混合物をも含むことが具体的に考えられる。
【0044】
本明細書で用いられる場合、「脱離基」(「LG」)は、例えば置換反応又は脱離反応の結果として安定した種として置換され得る荷電した又は荷電していない原子(又は原子団)を指す。脱離基の例としては、ハロゲン(例えば、Cl、Br、I)、アジド(N3)、チオシアネート(SCN)、ニトロ(NO2)、シアネート(CN)、水(H2O)、アンモニア(NH3)、スルホネート基(例えば、OSO2−R[式中、Rは、C1-10アルキル基及び電子求引性基から独立して選択される1〜4個の基で場合によりそれぞれが置換されるC1-10アルキル基又はC6-14アリール基である])、例えば、トシレート(トルエンスルホネート、OTs)、メシレート(メタンスルホネート、OMs)、ブロシレート(p−ブロモベンゼンスルホネート、OBs)、ノシレート(4−ニトロベンゼンスルホネート、ONs)、トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート、OTf)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
本明細書で用いられる場合、「p型半導体材料」又は「p型半導体」は、多数の電流担体として正孔を有する半導体材料を指す。幾つかの実施態様において、p型半導体材料が基板上に成膜される場合、約10-5cm2/Vsを上回る正孔移動度が提供され得る。電界効果素子の場合、p型半導体は、約10超の電流オン/オフ比を示すこともできる。
【0046】
本明細書で用いられる場合、「n型半導体材料」又は「n型半導体」は、多数の電流担体として電子を有する半導体材料を指す。幾つかの実施態様において、n型半導体材料が基板上に成膜される場合、約10-5cm2/Vsを上回る電子移動度が提供され得る。電界効果素子の場合、n型半導体は、約10超の電流オン/オフ比を示すこともできる。
【0047】
本明細書で用いられる場合、「電界効果移動度」は、電荷担体、例えば、p型半導体材料の場合は正孔(又は正電荷の単位)、n型半導体材料の場合は電子が、電界の影響下で材料中を移動する速度の測定値を指す。
【0048】
本明細書で用いられる場合、化合物が一定期間に亘って周囲条件、例えば空気、周囲温度、湿度に曝露される際に化合物の担体移動度又は還元電位がほぼその初期測定値で維持される場合、化合物は「周囲安定」又は「周囲条件で安定」であると考えることができる。例えば、化合物は、3日間、5日間又は10日間の期間に亘る空気、湿度及び温度を含む周囲条件に対する曝露の後、その担体移動度又は還元電位がその初期値から20%超又は10%超変化しない場合、周囲安定であると記載され得る。
【0049】
本明細書で用いられる場合、「溶液処理可能」は、スピンコーティング、印刷(例えば、インクジェット印刷、スクリーン印刷、パッド印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、リソグラフ印刷、大量印刷等)、スプレーコーティング、エレクトロスプレーコーティング、ドロップキャスティング、浸漬コーティング及びブレードコーティングを含む各種溶相プロセスにおいて使用され得る化合物(例えば、ポリマー)、材料又は組成物を指す。
【0050】
本明細書の全体に亘って、構造は、化学名と共に示されるかもしれないし、又は示されないかもしれない。命名法に関して何らかの疑義が生じた場合、構造が優先する。
【0051】
各種の実施態様において、本ポリマーは、式:
【化8】

[式中、
1は:
【化9】

から選択される場合により置換されるペリレンイミドであり;
2は:
【化10】

から選択される式を有し;
nは、2以上の整数であり;及び
1、R2、R5、π−1、π−1’、π−2、Ar、Z、及びmは、本明細書に定義される通りである]で表すことができる。
【0052】
更に具体的には:
【化11】

から選択されるM1の式中;
π−1は、a)電子求引性基及びb)場合により1〜5個の電子求引性基で置換されるC1-40アルキル基から独立して選択される1〜6個の置換基で場合により置換され得るペリレニル基又はそのヘテロ原子類似体であってよく;
π−1’は、a)電子求引性基及びb)場合により1〜5個の電子求引性基で置換されるC1-40アルキル基から独立して選択される1〜8個の置換基で場合により置換されるペリレニル基又はそのヘテロ原子類似体であってよく;及び
1、R2及びR5は、独立して、H、C1-40アルキル基、C2-40アルケニル基、C1-40ハロアルキル基及び1〜4個の環状部分から選択されてよく、
ここで:
1-40アルキル基、C2-40アルケニル基及びC1-40ハロアルキル基のそれぞれは、ハロゲン、−CN、NO2、OH、−NH2、−NH(C1-20アルキル)、−N(C1-20アルキル)2、−S(O)2OH、−CHO、−C(O)−C1-20アルキル、−C(O)OH、−C(O)−OC1-20アルキル、−C(O)NH2、−C(O)NH−C1-20アルキル、−C(O)N(C1-20アルキル)2、−OC1-20アルキル、−SiH3、−SiH(C1-20アルキル)2、−SiH2(C1-20アルキル)及び−Si(C1-20アルキル)3から独立して選択される1〜10個の置換基で場合により置換されてよく;
1-40アルキル基、C2-40アルケニル基及びC1-40ハロアルキル基のそれぞれは、任意のリンカーを介してイミド窒素原子に共有結合してよく;及び
1〜4個の環状部分のそれぞれは、同一又は異なってよく、任意のリンカーを介して互いに又はイミド窒素に共有結合してよく、ハロゲン、オキソ、−CN、NO2、OH、=C(CN)2、−NH2、−NH(C1-20アルキル)、−N(C1-20アルキル)2、−S(O)2OH、−CHO、−C(O)OH、−C(O)−C1-20アルキル、−C(O)−OC1-20アルキル、−C(O)NH2、−C(O)NH−C1-20アルキル、−C(O)N(C1-20アルキル)2、−SiH3、−SiH(C1-20アルキル)2、−SiH2(C1-20アルキル)、−Si(C1-20アルキル)3、−O−C1-20アルキル、−O−C1-20アルケニル、−O−C1-20ハロアルキル、C1-20アルキル基、C1-20アルケニル基及びC1-20ハロアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で場合により置換されてよい。
【0053】
各種の実施態様において、π−1は、それぞれ存在する場合に:
【化12】

[式中、a、b、d、e、f、g及びhは、独立してCRd、SiRd、N又はPであり;及びRdは、それぞれ存在する場合に、a)H、b)電子求引性基、及びc)場合により1〜5個の電子求引性基で置換されるC1-40アルキル基から独立して選択される]から独立して選択され得る。幾つかの実施態様において、a、b、d、e、f、g及びhのそれぞれは、CRdであってよい。従って、例えば、π−1は、それぞれ存在する場合に:1〜4個のRd基で場合により置換され得る
【化13】

[式中、Rdは、本明細書で定義される通りである]から独立して選択され得る。
【0054】
各種の実施態様において、π−1’は、それぞれ存在する場合に:
【化14】

[式中、a、b、d、e、f、g、h、i及びjは、独立してCRd、SiRd、N又はPであり;及びRdは、それぞれ存在する場合に、a)H、b)電子求引性基、及びc)場合により1〜5個の電子求引性基で置換されるC1-40アルキル基から独立して選択される]から独立して選択され得る。幾つかの実施態様において、a、b、d、e、f、g、h、i及びjのそれぞれは、独立してCRdであってよい。従って、例えば、π−1’は、それぞれ存在する場合に:1〜6個のRd基で場合により置換され得る
【化15】

[式中、Rdは、本明細書で定義される通りである]から独立して選択され得る。
【0055】
各種の実施態様において、Arは、それぞれ存在する場合に:
【化16】

[式中:
k、l、u及びvは、−O−、−S−、−CR3=CR4−、−CR3=、=CR3−、−C(O)−、−C(C(CN)2)−、−N=、=N−、−NR3−及び−CR3=N−から独立して選択され;
3及びR4は、それぞれ存在する場合に、独立して、a)H、b)ハロゲン、c)−CN、d)−NO2、e)−OH、f)−CHO、g)−C(O)−C1-10アルキル、h)−C(O)−C6-14アリール、i)−C(O)OH、j)−C(O)−OC1-10アルキル、k)−C(O)−OC6-14アリール、l)−C(O)NH2、m)−C(O)NH−C1-10アルキル、n)−C(O)N(C1-10アルキル)2、o)−C(O)NH−C6-14アリール、p)−C(O)N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、q)−C(O)N(C6-14アリール)2、r)C1-40アルキル基、s)C2-40アルケニル基、t)C2-40アルキニル基、u)C1-40アルコキシ基、v)C1-40アルキルチオ基、w)C1-40ハロアルキル基、x)−Y−C3-14シクロアルキル基、y)−Y−C6-14アリール基、z)−Y−3〜14員環シクロヘテロアルキル基、及びaa)−Y−5〜14員環ヘテロアリール基から選択され、ここでC1-40アルキル基、C2-40アルケニル基、C2-40アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員環シクロヘテロアルキル基及び5〜14員環ヘテロアリール基のそれぞれは、ハロゲン、−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC1-6ハロアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で場合により置換され;及び
Yは、それぞれ存在する場合に、二価のC1-6アルキル基、二価のC1-6ハロアルキル基及び共有結合から独立して選択される]から独立して選択され得る。
【0056】
ポリマー主鎖の中に位置するのか、或いはポリマーの末端基の内の1つを構成するのかに応じて、Arは、二価又は一価であり得る。特定の実施態様において、各Arは、独立して5又は6員環アリール基又はヘテロアリール基であってよい。例えば、各Arは、フェニル基、チエニル基、フリル基、ピロリル基、イソチアゾリル基、チアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基及び1,2,5−チアジアゾリル基から選択され得るが、ここで各基は、二価又は一価であってよく、且つ、ハロゲン、−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ハロアルキル基から独立して選択される1〜4個の置換基で場合により置換されてよい。特定の実施態様において、各Arは、チエニル基、イソチアゾリル基、チアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、1,2,5−チアジアゾリル基から選択され得るが、ここで各基は、ハロゲン、−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6ハロアルキル基から独立して選択される1〜2個の置換基で場合により置換されてよい。各種の実施態様において、Arは、非置換である。幾つかの実施態様において、Arは、1〜2個のC1-6アルキル基で置換されてよい。
【0057】
例えば、(Ar)mは、
【化17】

[式中、R3及びR4は、本明細書に定義される通りである]から選択される。特定の実施形態において、
【化18】

は:
【化19】

から選択され得るが;
ここでRcは,それぞれ存在する場合に、H、C1-6アルキル基、及びY−C6-14アリール基から独立して選択される]から選択され得る。
【0058】
各種の実施態様において、リンカーZは、それ自体で共役系であり得るか(例えば、2個以上の二重結合又は三重結合を含む)、若しくは共役系をその隣接する成分と共に形成することができる。例えば、Zが直鎖状リンカーである実施態様において、Zは、二価のエテニル基(即ち、二重結合を有する)、二価のエチニル基(即ち、1個の三重結合を有する)、2個以上の共役二重結合又は三重結合を含むC4-40アルケニル基又はアルキニル基、又はSi、N、P等のヘテロ原子を含み得る幾つかの他の非環状共役系であってよい。例えば、Zは:
【化20】

[式中、R4は、本明細書で定義される通りである]から選択され得る。特定の実施態様において、Zは:
【化21】

から選択され得る。
【0059】
各種の実施態様において、π−2は、場合により置換される多環状部分であってよい。幾つかの実施態様において、π−2は、平面及び高度に共役の環状コアを有することができる。適切な環状コアの例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ペリレン、ピレン、コロネン、フルオレン、インダセン、インデノフルオレン、テトラフェニレン、並びに1個以上の炭素原子がO、S、Si、Se、N、P等のヘテロ原子で置換され得るそれらの類似体が挙げられる。更に、平面及び高度に共役の環状コアのそれぞれは、本明細書に記載されるように場合により置換され得る。
【0060】
特定の実施態様において、π−2は、2個以上(例えば、2〜5個)の5、6及び/又は7員環を有する場合により置換される多環状部分(例えば、縮合環部分)であってよい。例えば、π−2は、場合により置換されるC6-24アリール基又は場合により置換される6〜24員環ヘテロアリール基であってよい。
【0061】
幾つかの実施態様において、π−2は、1〜6個のRf基で場合により置換されてよく、ここで:
fは、それぞれ存在する場合に、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)=C(Rg2、g)C1-40アルキル基、h)C2-40アルケニル基、i)C2-40アルキニル基、j)C1-40アルコキシ基、k)C1-40アルキルチオ基、l)C1-40ハロアルキル基、m)−Y−C3-10シクロアルキル基、n)−Y−C6-14アリール基、o)−Y−C6-14ハロアリール基、p)−Y−3〜12員環シクロヘテロアルキル基、及びq)−Y−5〜14員環ヘテロアリール基から選択され、ここでC1-40アルキル基、C2-40アルケニル基、C2-40アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C6-14アリール基、C6-14ハロアリール基、3〜12員環シクロヘテロアルキル基及び5〜14員環ヘテロアリール基のそれぞれは、1〜4個のRg基で場合により置換され;及び
gは、それぞれ存在する場合に、独立して、a)ハロゲン、b)−CN、c)−NO2、d)オキソ、e)−OH、f)−NH2、g)−NH(C1-20アルキル)、h)−N(C1-20アルキル)2、i)−N(C1-20アルキル)−C6-14アリール、j)−N(C6-14アリール)2、k)−S(O)wH、l)−S(O)w−C1-20アルキル、m)−S(O)2OH、n)−S(O)w−OC1-20アルキル、o)−S(O)w−OC6-14アリール、p)−CHO、q)−C(O)−C1-20アルキル、r)−C(O)−C6-14アリール、s)−C(O)OH、t)−C(O)−OC1-20アルキル、u)−C(O)−OC6-14アリール、v)−C(O)NH2、w)−C(O)NH−C1-20アルキル、x)−C(O)N(C1-20アルキル)2、y)−C(O)NH−C6-14アリール、z)−C(O)N(C1-20アルキル)−C6-14アリール、aa)−C(O)N(C6-14アリール)2、ab)−C(S)NH2、ac)−C(S)NH−C1-20アルキル、ad)−C(S)N(C1-20アルキル)2、ae)−C(S)N(C6-14アリール)2、af)−C(S)N(C1-20アルキル)−C6-14アリール、ag)−C(S)NH−C6-14アリール、ah)−S(O)wNH2、ai)−S(O)wNH(C1-20アルキル)、aj)−S(O)wN(C1-20アルキル)2、ak)−S(O)wNH(C6-14アリール)、al)−S(O)wN(C1-20アルキル)−C6-14アリール、am)−S(O)wN(C6-14アリール)2、an)−SiH3、ao)−SiH(C1-20アルキル)2、ap)−SiH2(C1-20アルキル)、aq)−Si(C1-20アルキル)3、ar)C1-20アルキル基、as)C2-20アルケニル基、at)C2-20アルキニル基、au)C1-20アルコキシ基、av)C1-20アルキルチオ基、aw)C1-20ハロアルキル基、ax)C3-10シクロアルキル基、ay)C6-14アリール基、az)C6-14ハロアリール基、ba)3〜12員環シクロヘテロアルキル基、及びbb)5〜14員環ヘテロアリール基から選択され;
Yは、それぞれ存在する場合に、二価のC1-6アルキル基、二価のC1-6ハロアルキル基及び共有結合から独立して選択され;及び
wは、0、1又は2である。
【0062】
幾つかの実施態様において、π−2は:
【化22】

[式中:
q、q’、q’’及びq’’’は、−CR8=、=CR8−、−C(O)−及び−C(C(CN)2)−から独立して選択されてよく;
o、o’p及びp’は、−CR8=、=CR8−、−C(O)−、−C(C(CN)2)−、−S−、−N=、=N−、−NR8−、−SiR8=、=SiR8−、−SiR88−及び−CR8=CR8から独立して選択されてよく;
r及びsは、独立して−CR88−及び−C(C(CN)2)−であってよく;及び
8は、それぞれ存在する場合に、独立してH又はRfであってよい]から選択され得る。
【0063】
各種の実施態様において、π−2は、約−2.6Vより大きな(即ち、より正の)還元電位を有することができる。特定の実施態様において、π−2は、約−2.2V以上の還元電位を有することができる。特定の実施態様において、π−2は、約−1.2V以上の還元電位を有することができる。特定の実施態様において、π−2は、少なくとも1個の電子求引性基を含むことができる。例えば、π−2は、カルボニル基、シアノ基及びジシアノビニリデニル基から独立して選択される1個以上の電子求引性基を含むことができる。幾つかの実施態様において、π−2は、スピロ原子(例えば、スピロ炭素原子)を介して第2の単環状環又は多環系に共有結合する単環状環(例えば1,3−ジオキソラン基或いは任意の置換基及び/又は環ヘテロ原子を含むその誘導体)を含む多環状部分であってよい。
【0064】
幾つかの実施態様において、π−2は:
【化23】

[式中、o、o’、p、p’、q、q’、r、s及びR8は、本明細書で定義される通りである]から選択され得る。例えば、o、o’、p及びp’のそれぞれは、−S−、−CR8=、=CR8−、−SiR8=及び=SiR8−であってよく;q及びq’のそれぞれは、−CR8=、=CR8−、−N=及び=N−であってよく;r及びsのそれぞれは、CR88であってよく;ここでR8は、それぞれ存在する場合に、H、ハロゲン、−CN、C1-40アルキル基、C1-40アルコキシ基及びC1-40ハロアルキル基から独立して選択され得る]から選択され得る。
【0065】
特定の実施態様において、π−2は、
【化24】

[式中、R8は、本明細書で定義される通りである]から選択され得る。
【0066】
幾つかの実施態様において、M2は、(Ar)mであってよく、ここでAr及びmは、本明細書で定義される通りである。従って、本ポリマーは:
【化25】

[式中、π−1、π−1’、Ar、R1、R2、R5、m及びnは、本明細書で定義される通りである]から選択される式を有することができる。
【0067】
特定の実施態様において、本教示のポリマーは:
【化26】

【化27】

【化28】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、Rd、m及びm’は、本明細書で定義される通りである]から選択される1個以上の反復単位(及びそれらの位置異性体)を含むことができる。例えば、mは、1、2、4及び6であってよく;及びm’は、1、2又は3であってよい。
【0068】
従って、幾つかの実施態様において、本ポリマーは:
【化29】

【化30】

【化31】

[式中:
xは、実数及び0≦x<1であり;
x’、x’’及びx’’’は、実数及び0≦x’+x’’+x’’’≦1であり;及び
1、R2、R3、R4、R5、Rd、m、m’及びnは、本明細書で定義される通りである]から選択される式により表され得る。
【0069】
特定の実施態様において、本ポリマーは:
【化32】

[式中、xは、実数及び0≦x<1であり;及びR1、R2、R3、R4及びnは、本明細書で定義される通りである]から選択される式を有することができる。
【0070】
幾つかの実施態様において、M2は、1個以上の場合により置換される単環式アリール基又はヘテロアリール基の他にリンカーを含むことができる。例えば、M2は、式:
【化33】

[式中、mは、1、2、4又は6から選択され;Ar及びZは、本明細書で定義される通りである]を有することができる。特定の実施態様において、M2は:
【化34】

[式中、R4及びRcは、本明細書で定義される通りである]から選択され得る。
【0071】
幾つかの実施態様において、M2は、1個以上の場合により置換される単環式アリール基又はヘテロアリール基の他に1個以上の場合により置換される多環状部分を含むことができる。例えば、M2は、式:
【化35】

[式中、mは、1、2、4又は6から選択され;Ar及びπ−2は、本明細書で定義される通りである]を有することができる。特定の実施態様において、M2は:
【化36】

[式中、R3、R4及びR8は、本明細書で定義される通りである]から選択され得る。
【0072】
幾つかの実施態様において、本ポリマーは:
【化37】

[式中、Uは、Z又はπ−2であり;及びπ−1、π−1’、π−2、Ar、R1、R2、R5、Z及びnは、本明細書で定義される通りである]から選択される式を有することができる。
【0073】
特定の実施態様において、本ポリマーは:
【化38】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、Rd、U、x及びnは、本明細書で定義される通りである]から選択される式を有することができる。
【0074】
例えば、本式の特定の実施態様は、式:
【化39】

[式中、R1、R2、R3、R4、x及びnは、本明細書で定義される通りである]を有することができる。
【0075】
本ポリマーの他の実施態様は、
【化40】

[式中、mは、それぞれ存在する場合に、独立して1、2、3又は4であってよく;及びAr、π−2及びZは、本明細書で定義される通りである]から選択されるM2を含む。特定の実施態様において、M2は:
【化41】

[式中、R4は、本明細書で定義される通りである]から選択され得る。
【0076】
本教示のポリマーは、典型的にはイミド位置で置換される。置換基は、上記の他の要件の中で、例えばポリマーの溶解性を改変するそれらの能力に従って選択され得る。従って、幾つかの実施態様において、R1、R2及びR5は、H、C1-40アルキル基、C2-40アルケニル基、C2-40アルキニル基、C1-40ハロアルキル基、−L−Ra、−L−Ar1、−L−Ar1−Ar1−、−L−Ar1−Ra、−L−Ar1−Ar1−Ra、−L−Cy1、−L−Cy1−Cy1、−L−Cy1−Ra及び−L−Cy1−Cy1−Raから独立して選択することができ;
ここで:
Lは、それぞれ存在する場合に、−Y−O−Y−、−Y−[S(O)w]−Y−、−Y−C(O)−Y−、−Y−[NRcC(O)]−Y−、−Y−[C(O)NRc]−、−Y−NRc−、−Y−[SiRc2]−Y−、二価のC1-20アルキル基、二価のC1-20アルケニル基、二価のC1-20ハロアルキル基及び共有結合から独立して選択され;
Ar1は、それぞれ存在する場合に、独立して一価又は二価のC6-14アリール基又は5〜14員環ヘテロアリール基であり、それぞれは、ハロゲン、−CN、オキソ、=C(CN)2、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC1-6ハロアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で場合により置換され;
Cy1は、それぞれ存在する場合に、独立して一価又は二価のC3-14シクロアルキル基又は3〜14員環シクロヘテロアルキル基であり、それぞれは、ハロゲン、−CN、オキソ、=C(CN)2、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC1-6ハロアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で場合により置換され;及び
aは、それぞれ存在する場合に、C1-40アルキル基、C2-40アルケニル基、C2-40アルキニル基、C1-40ハロアルキル基、C1-40アルコキシ基、−L’−Rb、−L’−Ar2、−L’−Ar2−Ar2、−L’−Ar2−Rb、−L’−Ar2−Ar2−Rb、−L’−Cy2、−L’−Cy2−Cy2、−L’−Cy2−Rb、−L’−Cy2−Cy2−Rbから独立して選択され;
ここで:
L’は、それぞれ存在する場合に、−Y−O−Y−、−Y−[S(O)w]−Y−、−Y−C(O)−Y−、−Y−[NRcC(O)]−Y−、−Y−[C(O)NRc]−、−Y−NRc−、−Y−[SiRc2]−Y−、二価のC1-20アルキル基、二価のC1-20アルケニル基、二価のC1-20ハロアルキル基及び共有結合から独立して選択され;
Ar2は、それぞれ存在する場合に、独立して一価又は二価のC6-14アリール基又は5〜14員環ヘテロアリール基であり、それぞれは、ハロゲン、−CN、オキソ、=C(CN)2、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC1-6ハロアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で場合により置換され;
Cy2は、それぞれ存在する場合に、独立して一価又は二価のC3-14シクロアルキル基又は3〜14員環シクロヘテロアルキル基であり、それぞれは、ハロゲン、−CN、オキソ、=C(CN)2、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC1-6ハロアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で場合により置換され;
bは、それぞれ存在する場合に、C1-40アルキル基、C2-40アルケニル基、C2-40アルキニル基、C1-40ハロアルキル基及びC1-40アルコキシ基から独立して選択され;
cは、それぞれ存在する場合に、H、C1-6アルキル基及び−Y−C6-14アリール基から独立して選択され;
Yは、それぞれ存在する場合に、二価のC1-6アルキル基、二価のC1-6ハロアルキル基及び共有結合から独立して選択され;及び
wは、0、1又は2である。
【0077】
例えば、上記で提供される各種の式において、R1、R2及びR5は、直鎖状又は分枝鎖状C6-40アルキル基又はアルケニル基、直鎖状又は分枝鎖状C6-40アルキル基又はアルケニル基で場合により置換されるアリールアルキル基、直鎖状又は分枝鎖状C6-40アルキル基又はアルケニル基で置換されるアリール基(例えば、フェニル基)、或いは直鎖状又は分枝鎖状C6-40アルキル基又はアルケニル基で場合により置換されるビアリール基(例えば、ビフェニル基)から独立して選択されてよく、ここでこれらの基のそれぞれは、1〜5個のハロ基(例えば、F)で場合により置換されてよい。幾つかの実施態様において、R1は、2個のアリール基がリンカー(L’)を介して共有結合するビアリール基であってよい。例えば、リンカーは、二価のC1-6アルキル基又はカルボニル基であってよい。特定の実施態様において、R1は、それぞれ存在する場合に:
【化42】

から独立して選択され得る。
【0078】
幾つかの実施態様において、一方又は両方のイミド窒素原子上のアルキル鎖(及び同様の基、例えば、ハロアルキル基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基等)の置換は、有機溶媒中のポリマーの溶解性を向上させることができる。従って、特定の実施態様において、R1、R2及びR5は、直鎖状又は分枝鎖状C3-40アルキル基であってよく、その例としては、n−ヘキシル基、1−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、1−メチルペンチル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルプロピル基、1−エチルブチル基、1−3,ジメチルブチル基、2−オクチルドデシル基が挙げられる。特定の実施態様において、R1、R2及びR5は、直鎖状又は分枝鎖状C3-40アルケニル基であり得る。特定の実施態様において、R1、R2及びR5は、分枝鎖状C3-20アルキル基又は分枝鎖状C3-20アルケニル基であり得る。例えば、R1、R2及びR5は、それぞれ存在する場合に、以下の:
【化43】

から独立して選択され得る。
【0079】
幾つかの実施態様において、R1は、場合により置換されるC6-14シクロアルキル基であってよい。例えば、R1は、それぞれ存在する場合に:
【化44】

から独立して選択され得る。
【0080】
各種の実施態様において、本ポリマーは、非置換ペリレン部分を含むことができ、即ち、Rdは、Hである。他の実施態様において、本ポリマーは、本明細書に記載される通りの1つ以上の置換ペリレン部分を含むことができる。例えば、1つ以上のペリレン部分は、1〜2個のRd基で置換されてよく、ここでRdは、それぞれ存在する場合に、独立して、電子求引性基、又は場合により1〜5個の電子求引性基で置換されるC1-30アルキル基であってよい。例えば、Rdは、ハロゲン、−CN及びC1-10ハロアルキル基から独立して選択され得る。幾つかの実施態様において、Rdは、それぞれ存在する場合に、F、Cl及びBrを含むハロゲン、及び−CNから独立して選択され得る。例えば、Rdは、それぞれ存在する場合に、独立してF又はCNであってよい。
【0081】
幾つかの実施態様において、M2は、1個以上の非置換Ar基を含んでよく、即ち、上記で提供された式におけるR3及びR4はHであってよい。他の実施態様において、M2は、本明細書に記載されるように置換され得る1個以上のAr基を含むことができる。例えば、上記で提供された式におけるR3及びR4の内の少なくとも1つは、ハロゲン、−CN、C1-30アルキル基、C1-30アルコキシ基及びC1-30ハロアルキル基から独立して選択され得る。特定の実施態様において、R3及びR4の内の少なくとも1つは、C1-30アルキル基、C1-30アルコキシ基及びC1-30ハロアルキル基から独立して選択され得る。
【0082】
上記の各種ポリマーについて、nは、2〜5,000の範囲の整数であり得る。例えば、nは、2〜1,000、2〜500、2〜400、2〜300又は2〜200であり得る。特定の実施態様において、nは、2〜100であり得る。幾つかの実施態様において、nは、3〜1,000の間の整数であり得る。特定の実施態様において、nは、4〜1,000、5〜1,000、6〜1,000、7〜1,000、8〜1,000、9〜1,000又は10〜1,000であり得る。例えば、nは、8〜500、8〜400、8〜300又は8〜200であり得る。特定の実施態様において、nは、8〜100であり得る。
【0083】
本教示の化合物は、当業者に既知の標準的合成方法及び手法を用いることにより、例えばスキーム1及び2に記載される中間物により製造され得るペリレン中間物を介して、或いは、市販の出発材料、前記文献において既知の化合物から、或いは他の容易に製造される中間物を介して、下記のスキーム1及び2に記載されるものと同様の手法に従って製造され得る。有機分子の製造のための標準的合成方法及び手法、並びに官能基の変換及び操作は、関連の科学文献から、又は本技術分野の標準的テキストから容易に得ることが可能である。典型的な又は好ましいプロセス条件(即ち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力等)が所与である場合、特に明記しない限り他のプロセス条件を用いることもできることは言うまでもない。最適な反応条件は、使用される特定の反応物又は溶媒によって変化する可能性があるが、かかる条件は、通常の最適化手法により当業者によって決定され得る。有機合成分野の当業者は、示される合成工程の内容及び順序を、本明細書に記載されるポリマーの形成を最適化する目的のために変更することができることを認識するであろう。
スキーム1
【化45】

【0084】
スキーム1に示されるように、ポリ{[N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−3,4:9,10−ペリレンジイミド−(1,7&1,6)−ジイル]−alt−5,5’−(2,2’−ビチオフェン)}(P(PDI2OD−T2))は、Pdにより触媒されるStille重合を介して合成され得る。具体的には、(1,7&1,6)−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PDA−Br2)は、3,4:9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物(PDA)のブロム化により製造され得る。PDA−Br2を、対応する一級アミンとの反応のために使用して、Stille重合においてP(PDI2OD−T2)を製造するために使用され得る(1,7&1,6)−ジブロモ−[N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−3,4:9,10−ペリレンジイミド(PDI2OD−Br2)が提供され得る。
スキーム2
【化46】

【0085】
同様に、スキーム2に示されるように、本教示の化合物は、Pdにより触媒されるStill重合を介して、種々のコモノマー、例えばビチアゾール化合物を用いて製造され得る。更に、スキーム1及び2の両方は、ペリレンモノマーが典型的には位置異性体の混合物であり、その結果、本明細書で開示されるポリマーが位置異性体の混合物でもあり得ることを示す。
【0086】
例えば、上記で提供される各種式において、xは、約0.4未満、例えば、約0.35未満、約0.30未満、約0.20未満、約0.15未満、約0.10未満又は約0.05未満であり得る。
【0087】
いかなる特定の理論によっても束縛されるものではないが、位置規則性ポリマー主鎖を有する本教示のポリマーは、より高い分子量と、よりπ共役の構造と、従ってより良好な電荷輸送効率とをもたらすことができると考えられる。従って、本ポリマーの製造において、本教示は、可能なジアステレオアイソマーの内の1つを濃縮する段階及び/又は単離する段階を含むことができる。例えば、上記のスキーム1及び2に記載されるように、本ポリマーは、ジブロモペリレン無水物(又は対応するジブロモペリレンジカルボキシイミド)から製造され得る。スキーム1及び2に記載される合成手法の下では、1,7−ジアステレオアイソマーが優位を占めており、従って、本ポリマーは、1,6−ジアステレオアイソマー反復単位よりも高い割合の1,7−ジアステレオアイソマー反復単位を含むことができる。しかし、臭素化中間物は、1,7−ジアステレオアイソマー又は1,6−ジアステレオアイソマーの内の1つとして濃縮又は精製され得る。
【0088】
本明細書に記載の方法は、本技術分野で知られている任意の適切な方法に従ってモニタされ得る。例えば、生成物形成は、分光学的手段、例えば、核磁気共鳴スペクトル法(NMR、例えば、1H又は13C)、赤外分光法(IR)、スペクトロフォトメトリ(例えば、紫外可視)、質量分析(MS)により、又はクロマトグラフィー、例えば、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、ガスクロマトグラフィー(GC)、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)によりモニタされ得る。
【0089】
本明細書に記載される反応又はプロセスは、有機合成分野の当業者によって容易に選択され得る適切な溶媒中で実施され得る。典型的には、適切な溶媒は、反応が行われる温度、即ち、溶媒の凍結温度から溶媒の沸騰温度までの範囲であり得る温度で反応物、中間物及び/又は生成物と実質的に非反応性である。所定の反応は、1種の溶媒中又は1種超の溶媒の混合物中で行うことが可能である。特定の反応工程に応じて、特定の反応工程に適切な溶媒を選択することが可能である。
【0090】
本ポリマーの特定の実施態様は、周囲条件で安定で(「周囲安定」)、且つ、共通溶媒に可溶であり得る。本明細書で用いられる場合、ポリマーが一定期間に亘って周囲条件、例えば空気、周囲温度及び湿度に曝露される際にポリマーの担体移動度又は還元電位がほとんどその初期測定値で維持される場合、ポリマーは電気的に「周囲安定」又は「周囲条件で安定」であると考えることができる。例えば、本教示によるポリマーは、3日間、5日間又は10日間の期間に亘る空気、湿度及び温度を含む周囲条件に対する曝露の後、その担体移動度又はレドックス電位がその初期値から20%超又は10%超変化しない場合、周囲安定であると記載され得る。更に、ポリマーは、3日間、5日間又は10日間の期間に亘る空気、湿度及び温度を含む周囲条件に対する曝露の後、対応する膜の光吸収量がその初期値から20%超変化しない(好ましくは10%超変化しない)場合、周囲安定であると考えることができる。
【0091】
いかなる特定の理論によっても束縛されることなく、nチャネル輸送が望ましい場合、本ポリマーの位置規則性高π共役ポリマー主鎖と共に強電子欠乏M2反復単位と共重合させたM1によって可能になる強電子欠乏電子構造は、更なる強電子吸引性官能性のπ−コア官能化(即ち、芳香族イミド部分のコア置換)を必要とすることなく本ポリマーを周囲安定なnチャネル半導体材料とすることができると考えられる。大きな光吸収量(吸光係数)が望ましい場合、本ポリマーは、高π共役ポリマー主鎖を有することが可能であり、且つ、プッシュプル構造を可能にするために電子供与M2コモノマーと共重合させたM1単位を有することにより提供され得る。例えば発光トランジスタの適用において両極性ポリマーが望ましい場合、本ポリマーは、M1及び電子中性又は電子供与(電子過剰)M2単位のコポリマーを含む高π共役ポリマー主鎖を有することができる。
【0092】
本ポリマーに基づくOTFTは、周囲条件における長期運転可能性及び持続的な高性能を有することができる。例えば、本ポリマーの特定の実施態様に基づくOTFTは、高湿潤環境において充分な素子性能を維持することができる。また、本ポリマーの特定の実施態様は、広範囲のアニール温度に亘って優れた熱安定性を示すこともできる。光起電力素子は、長期間に亘って充分な電力変換効率を維持することができる。
【0093】
本教示のポリマーは、一種以上の共通溶媒において、良好な溶解性を有することができる。本明細書で用いられる場合、少なくとも0.1mgの化合物が1mLの溶媒に溶解され得る場合、化合物は溶媒に可溶であると考えることができる。一般有機溶媒の例としては、石油エーテル;アセトニトリル;芳香族炭化水素、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン;ケトン、例えば、アセトンやメチルエチルケトン;エーテル、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテル;アルコール、例えば、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール;脂肪族炭化水素、例えば、ヘキサン;エステル、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル;アミド、例えば、ジメチルホルムアミドやジメチルアセトアミド;スルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシド;ハロゲン化脂肪族及び芳香族炭化水素、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、トリクロロベンゼン;環式溶媒、例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−メチルピロリドンが挙げられる。
【0094】
本ポリマーは、蒸着等の他のより高価な方法の他に溶液処理技術を用いて各種の製品に製造され得る。各種の溶液処理技術が有機電子部品と共に使用されてきた。一般的な溶液処理技術としては、例えば、スピンコーティング、ドロップキャスティング、ゾーンキャスティング、浸漬コーティング、ブレードコーティング、スプレーが挙げられる。溶液処理技術の別の例は、印刷である。本明細書で用いられる場合、「印刷」としては、非接触方法、例えば、インクジェット印刷、マイクロディスペンスや、接触方法、例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、リソグラフ印刷、パッド印刷、ミクロ接触印刷等が挙げられる。
【0095】
本教示のポリマーを用いて半導体材料(例えば、組成物や複合物)を製造することができ、次に、その半導体材料を用いて、各種の製品、構造及び素子を製造することができる。幾つかの実施態様において、本教示の1種以上のポリマーを組み込む半導体材料は、n型半導体活性、両極活性、光吸収及び/又は発光を示すことができる。
【0096】
従って、本教示は、更に半導体材料の製造方法を提供する。前記方法は、溶媒や溶媒の混合物等の液体媒質に溶解又は分散される本明細書で開示される1種以上のポリマーを含む組成物を製造する段階と、基板上に組成物を成膜させて半導体材料前駆体を提供する段階と、半導体前駆体を処理(例えば加熱)して本明細書で開示されるポリマーを含む半導体材料(例えば薄膜半導体)を提供する段階とを含むことができる。各種の実施態様において、液体媒質は、有機溶媒、水等の無機溶媒、又はそれらの組み合わせであり得る。幾つかの実施態様において、前記組成物は、粘度調整剤、洗剤、分散剤、結合剤、相溶化剤、硬化剤、開始剤、保湿剤、消泡剤、湿潤剤、pH調節剤、殺生物剤及び静菌剤から独立して選択される1種以上の添加剤を更に含むことができる。例えば、界面活性剤及び/又はポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリイソブテン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート)は、分散剤、結合剤、相溶化剤及び/又は消泡剤として含まれ得る。幾つかの実施態様において、成膜工程は、インクジェット印刷及び各種接触印刷技術(例えば、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、パッド印刷、リソグラフ印刷、フレキソ印刷、ミクロ接触印刷)を含む印刷により行うことが可能である。他の実施態様において、成膜工程は、スピンコーティング、ドロップキャスティング、ゾーンキャスティング、浸漬コーティング、ブレードコーティング又はスプレーにより行うことが可能である。
【0097】
本明細書で開示されるポリマーを使用する薄膜半導体、電界効果トランジスタ(例えば、薄膜トランジスタ)、光電装置、光検出器、有機発光素子、例えば、有機発光ダイオード(OLED)や有機発光トランジスタ(OLETs)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、相補型インバータ、ダイオード、コンデンサ、センサ、Dフリップフロップ、整流器、リング発振器等の電子素子、光学素子及び光電子素子を含む各種製品は、同じものを製造する方法と同様の本教示の範囲内である。本ポリマーは、これらの素子の製造及び/又は使用における処理及び操作の利点を提供することができる。
【0098】
例えば、本明細書に記載される各種素子等の製品は、本教示の半導体材料と基板成分及び/又は誘電性成分とを有する複合物を含むことができる。基板成分は、ドープされたケイ素、インジウムスズ酸化物(ITO)、ITOコーティングガラス、ITOコーティングポリイミド又は他のプラスチック、単独或いはポリマー又は他の基板にコーティングされたアルミニウム又は他の金属、ドープされたポリチオフェン等から選択され得る。誘電性成分は、無機誘電性材料、例えば、各種の酸化物(例えば、SiO2、Al23、HfO2)、有機誘電材料、例えば、各種のポリマー材料(例えば、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリハロエチレン、ポリアクリレート)、及び自己組織化超格子/自己組織化ナノ誘電性(SAS/SAND)材料(例えば、その開示内容全体が参考として本明細書で援用されるYoon,M−H.et al.,PNAS,102(13):4678−4682(2005)に記載される通り)、並びにハイブリッド有機/無機誘電材料(例えば、その開示内容全体が参考として本明細書で援用される米国特許出願整理番号第11/642,504号に記載される通り)から製造され得る。幾つかの実施態様において、誘電性成分は、それらの開示内容全体が参考として本明細書で援用される米国特許出願整理番号第11/315,076号、第60/816,952号及び第60/861,308号に記載される架橋ポリマー混合物を含むことができる。また、複合物は、1つ以上の電気接点を含むことができる。ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極のための適切な材料としては、金属(例えば、Au、Al、Ni、Cu)、透明導電酸化物(例えば、ITO、IZO、ZITO、GZO、GIO、GITO)、導電性ポリマー(例えば、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)、ポリアニリン(PANI)、ポリピロール(PPy))が挙げられる。本明細書に記載される複合物の内の1種以上が、各種の有機電子素子、光学素子及び光電子素子、例えば、有機薄膜トランジスタ(OTFT)、具体的には有機電界効果トランジスタ(OFET)、並びにセンサ、コンデンサ、単極回路、相補型回路(例えば、インバータ回路)等の中に具体化され得る。
【0099】
従って、本教示の一態様は、本教示の半導体材料を組み込む有機電界効果トランジスタの製造方法に関する。本教示の半導体材料は、トップゲートトップコンタクトコンデンサ構造、トップゲートボトムコンタクトコンデンサ構造、ボトムゲートトップコンタクトコンデンサ構造及びボトムゲートボトムコンタクトコンデンサ構造を含む様々な種類の有機電界効果トランジスタを製造するために使用され得る。図3は、4つの一般的種類のOFET構造:(左上)ボトムゲートトップコンタクト構造、(右上)ボトムゲートボトムコンタクト構造、(左下)トップゲートボトムコンタクト構造、(右下)トップゲートトップコンタクト構造を示す。図3に示すように、OFETは、誘電層(例えば、8、8’、8’’及び8’’’として示される)、半導体層(例えば、6、6’、6’’及び6’’’として示される)、ゲート接点(例えば、10、10’、10’’、及び10’’’として示される)、基板(例えば、12、12’、12’’、及び12’’’として示される)、及びソース接点及びドレイン接点(例えば、2、2’、2’’、2’’’、4、4’、4’’及び4’’’として示される)を含むことができる。
【0100】
特定の実施態様において、OTFT素子は、ドープされたシリコン基板上に、誘電体としてSiO2を使用して、トップコンタクト形状で本ポリマーによって製造され得る。特定の実施態様において、本教示の少なくともポリマーを組み込む活性半導体層は、室温又は高温で成膜され得る。他の実施態様において、本教示の少なくとも1種のポリマーを組み込む活性半導体層は、本明細書で記載される通りのスピンコーティング又は印刷により塗布され得る。トップコンタクト素子について、金属接触は、シャドウマスクを用いて膜の上にパターン形成され得る。
【0101】
特定の実施態様において、OTFT素子は、プラスチック箔上に、誘電体としてポリマーを使用して、トップゲートボトムコンタクト形状で本ポリマーによって製造され得る。特定の実施態様において、本教示の少なくともポリマーを組み込む活性半導体層は、室温又は高温で成膜され得る。他の実施態様において、本教示の少なくともポリマーを組み込む活性半導体層は、本明細書で記載される通りのスピンコーティング又は印刷により塗布され得る。ゲート接点及びソース/ドレイン接点は、Au、他の金属又は導電性ポリマーで作製され得、蒸着及び/又は印刷により成膜され得る。
【0102】
本教示のポリマーが有用である他の製品は、光電装置又は太陽電池である。本教示のポリマーは、幅広い光吸収性及び/又は調整されたレドックス特性及び大きな担体移動度を示すことができ、それらにより、前記ポリマーは、かかる適用に所望となる。従って、本明細書に記載されるポリマーは、pn接合を形成する隣接するp型又はn型半導体材料をそれぞれ含む、光電装置設計におけるM2単位の性質に依存する受容体(n型)半導体又は供与体(p型)半導体として使用され得る。ポリマーは、薄膜半導体の形態であることが可能であり、それは、基板上に成膜されて複合物を形成することができる。かかる素子における本教示のポリマーの活用は、当業者の知識の範囲内である。
【0103】
従って、本教示の別の一態様は、本教示の1種以上の半導体材料を組み込む有機発光トランジスタ、有機発光ダイオード(OLED)又は有機光起電力素子の製造方法に関する。図7は、供与体及び/又は受容体材料として本教示の1種以上のポリマーを組み込むことができるバルク−ヘテロ接合有機光起電力素子(太陽電池としても知られている)の代表的構造を示す。示されるように、代表的な太陽電池は、一般に、基板20(例えば、ガラス)と、陽極22(例えば、ITO)と、陰極26(例えば、アルミニウム又はカルシウム)と、電子供与体(pチャネル)及び/又は電子受容体(nチャネル)材料として本教示の1種以上のポリマーを組み込むことができる陽極及び陰極の間の活性層24とを含む。図8は、電子輸送材料及び/又は電子放射材料及び/又は正孔輸送材料として本教示の1種以上のポリマーを組み込むことができるOLEDの代表的構造を示す。示されるように、OLEDは、一般に、基板30(図示せず)と、透明陽極32(例えば、ITO)と、陰極40(例えば、金属)と、正孔輸送(nチャネル)材料(示される通りの層34)及び/又は電子放射材料(示される通りの層36)及び/又は電子輸送(pチャネル)材料(示される通りの層38)として本教示の1種以上のポリマーを組み込むことができる1種以上の有機層とを含む。
【0104】
以下の実施例は、更に例証するため、且つ、本教示の理解を容易にするために提供されるものであって、いかなる形であれ本発明を限定することを意図するものではない。
【0105】
全ての試薬は、市販の供給源から購入され、特記しない限り更に精製することなく使用された。具体的には、誘電体調合物及び半導体調合物のために使用されたジオキサン、ジクロロベンゼン(DCB)、クロロホルム(CHCl3)及び他の塩素化炭化水素(CHC)は、Sigma Aldrichから購入され、使用前に蒸留された。無水テトラヒドロフラン(THF)は、Na/ベンゾフェノンから蒸留された。従来のシュレンク技術が用いられ、反応は、特記しない限りN2下で行われた。化合物5,5’−ビス(トリメチルスタンニル)−2,2’−ビチオフェンは、Goto et al.,Angew.Chem.Int.Ed.,vol.44:4322(2005)に記載される手法に従って製造された。
【0106】
特性評価データは、場合によっては、1H−NMR、13C−NMR及び/又は元素分析により提供される。NMRスペクトルは、Inova 500 NMRスペクトロメータ(1H、500MHz)で記録された。元素分析は、Midwest microlab,LLCにより行われた。ポリマー分子量は、ポリスチレン標準に対して室温でTHFにおいてWaters GPCシステム(Waters Pump 510)で決定された。
【0107】
実施例1:ポリ{[N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−3,4:9,10−ペリレンジイミド−(1,7&1,6)−ジイル]−alt−5,5’−(2,2’−ビチオフェン)}[P(PDI2OD−T2)]の調製
N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−(1,7&1,6)−ジブロモペリレン−3,4:9,10−ビス(ジカルボキシアミド)(PDI2OD−Br2)の調製
PDA−Br2(0.44g、0.80mmol)と、2−オクチルドデシルアミン(0.71g、2.4mmol)と、o−キシレン(3mL)と、プロピオン酸(1mL)との混合物を140℃で2時間撹拌した。室温に冷却し、即座にほとんどの溶媒を真空で除去し、溶離液としてクロロホルム:ヘキサン(1:1、v/v、徐々に2:1まで)の混合物でシリカゲル上でカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製し、生成物として赤色の固体を得た(0.63g、0.57mmol、収率71.5%)。

【0108】
ポリ{[N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−3,4:9,10−ペリレンジイミド−(1,7&1,6)−ジイル]−alt−5,5’−(2,2’−ビチオフェン)}[P(PDI2OD−T2)]の調製
アルゴン下で、無水トルエン(6mL)におけるPDI2OD−Br2(113.9mg、0.103mmol)と、5,5’−ビス(トリメチルスタンニル)−2,2’−ビチオフェン(50.5mg、0.103mmol)と、Pd(PPh32Cl2(3.1mg、0.004mmol)との混合物を90℃で2日間撹拌した。次いで、ブロモベンゼン(0.2mL)を添加し、反応混合物を90℃で更に12時間維持した。室温に冷却し、即座に水(2mL)におけるフッ化カリウム(1g)の溶液を添加した。この混合物を室温で2時間撹拌した後、クロロホルム(150mL)で希釈した。得られた混合物を水(100mL×3)で洗浄し、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣をクロロホルム(25mL)で取り、メタノール(50mL)及びアセトン(50mL)において順番に沈殿させた。単離した暗色の固体をクロロホルム(25mL)に溶解させ、加熱して沸騰させた。室温に冷却し、即座にクロロホルム溶液を5μmのフィルタにより濾過し、濾液をメタノール(50mL)に徐々に添加した。沈殿物を濾過により回収し、メタノールで洗浄し、真空で乾燥させ、生成物として濃青色の固体を得た(105.0mg、収率91.5%)。

【0109】
実施例2:ポリ{[N,N’−ビス(2−オクチルドデシル)−3,4:9,10−ペリレンジイミド−(1,7&1,6)−ジイル]−alt−5,5’−(2,2’−ビチアゾール)}[P(PDI2OD−TZ2)]の調製
アルゴン下で、無水トルエン(7mL)におけるPDI2OD−Br2(123.8mg、0.112mmol)と、5,5’−ビス(トリメチルスタンニル)−2,2’−ビチアゾール(55.1mg、0.112mmol)と、Pd(PPh32Cl2(2.4mg、0.003mmol)との混合物を90℃で1日間撹拌した。次いで、ブロモベンゼン(0.3mL)を添加し、得られた混合物を更に12時間撹拌した。室温に冷却後、水(2mL)におけるフッ化カリウム(1g)の溶液を添加した。この混合物を室温で1時間撹拌及び振盪した後、クロロホルム(150mL)で希釈した。得られた混合物を水(100mL×3)で洗浄し、無水Na2SO4上で乾燥させ、ロータリーエバポレーターで濃縮した。残渣をクロロホルム(25mL)で取り、メタノール(50mL)において沈殿させた。この手法を、クロロホルム及びアセトンを用いて繰り返し、粗生成物として暗色の固体を得た。この粗生成物は、アセトンによるソックスレー抽出により48時間精製した。単離した固体をクロロホルム(50mL)に溶解させ、加熱して沸騰させた。室温に冷却し、即座にこのクロロホルム溶液をシリンジフィルタ(5μm)に通し、濾液をメタノール(50mL)において沈殿させた。沈殿物を濾過により回収し、メタノールで洗浄し、真空で乾燥させ、暗色の固体を得た(97.8mg、78.5%)。

【0110】
実施例3:電気化学、光吸収度、MOエネルギーの決定
CH Instruments Model 660A電気化学的ワークステーションを用いて、電気化学的測定を行った。溶媒は、0.1M テトラ−n−ブチルアンモニウムヘキサフルオロホスフェイト電解質を含む乾燥テトラヒドロフラン(THF)であった。1.0mm径白金ディスク電極と、白金ワイヤ対向電極と、Ag/AgxO参照電極とを用いた。全ての測定について、内部基準としてフェロセン/フェロセニウム(Fc/Fc+、0.54V対SCE)を使用した。Cary 1 Ultraviolet/Visible Spectrometerにより薄膜(ガラス上で約30nm)上で光学吸収スペクトルを得た。ELUMOを:クープマンズの定理が成立する(EAred≒−ELUMO)と仮定して、−(E1/2red-1+4.44eV)と算出する。SCEエネルギー準位は、真空準位より下の−4.44eVであるとみなす。EHOMOを:HOMO=LUMO−Eg(光学吸収スペクトルから推定)から算出する。
【0111】
P(PDI2OD−T2)の光学吸収スペクトルは、λmax=594/540/360nmに位置する3つの主要な吸光度を示した(図1)。いかなる特定の理論に束縛されるものではないが、対応する(光学)エネルギーギャップ(Eg)は、スペクトル低吸収バンド端から約1.65eVであると推定した。ポリマー薄膜サイクリックボルタンメトリプロットは、P(PDI2OD−T2)について−0.44/−0.80Vに位置する第1/第2の還元電位で2つの可逆的還元を示した(図2)。P(PDI2OD−TZ2)について、同様のレドックスプロセスを、より負の電位に約0.2Vシフトしたにもかかわらず測定した。いかなる特定の理論に束縛されるものではないが、固体状態の光学及び電気化学データを組み合わせることにより、P(PDI2OD−T2)について、HOMO/LUMOエネルギー(EH/EL)を−5.61/−3.96eVと推定した。
【0112】
実施例4:FET素子の製造及び測定
ボトムゲートトップコンタクト素子
トップコンタクト構成を用いてP(PDI2OD−T2)によりTFT素子[25〜100μmのチャネル長(L)及び1000〜5000μmのチャネル幅(W)]を製造した。オクタデシルトリクロロシラン(OTS)で前処理されたnドープSi/SiO2(Ci=11.5nF/cm2)基板上にジクロロベンゼン/クロロホルム(2:98、w/w、3〜10mg/mL)における溶液をスピンコーティングすることにより半導体膜を製造した後、真空下で110℃で4時間アニールした。なお、半導体膜を種々の温度(110℃〜240℃)でアニールした際、トランジスタ性能はあまり変化しなかった(<10%)。シャドウマスクにより半導体層上にAuソース接点及びドレイン接点を蒸着させた。オーム接点によりゲート領域をSiに接近させた。
【0113】
トップゲートボトムコンタクト素子
ガラス(PGOガラス)基板上にTFTを製造した。それらを受けられた又は最初に平坦化された後に熱的に蒸着したAuソース−ドレイン接点(30nm厚)として用いた。これらの基板に対して、スピンコーティング(ジクロロベンゼン/クロロホルム:2:98、w/w、3〜10mg/mL)により成膜された半導体層をコートした。典型的な半導体膜の厚さは、約40nm〜約120nmの間である。次に、誘電層をスピンコートし、400〜1200nm厚の膜を得た。膜誘電率(ε)は、約3.0〜3.2である。シャドウマスクによる、パターン形成されたAuゲート接点(約30nm厚)の蒸着により、素子構造を完成した。チャネル長及びチャネル幅はそれぞれ25〜75μm及び0.5〜1.5mmであり、W/L=20を得る。
【0114】
高真空下及び周囲条件下の両方で電気測定を行った。図4〜6に典型的な電流電圧プロットを示すが、方程式μ=(2ISDL)/[WCi(VSG−Vth2]から飽和におけるμを算出する。正のゲート及びソース−ドレイン電圧は、本教示のポリマーがnチャネル半導体であり得ることを示した。ボトムゲートトップコンタクトP(PDI2OD−T2)系TFTについての約0.002cm2-1-1の電子移動度を真空中で測定した。トップゲートボトムコンタクトP(PDI2OD−T2)系TFTについての約0.02cm2-1-1の電子移動度を周囲条件下で測定した。トップゲートボトムコンタクトP(PDI2OD−TZ2)系TFTについての約0.001cm2-1-1の電子移動度を周囲条件下で測定した。電流オン/オフ比は、>105である。
【0115】
本教示は、その趣旨又は主要な特徴から逸脱することなく他の特定の形で実施態様を包含する。従って、上記実施態様は、全ての点で、本明細書に記載される本教示において、限定的ではなく、例証を示すものと考えられる。従って、本発明の範囲は、上記記載によってではなく添付の特許請求の範囲によって示され、請求項の均等論の意味及び範囲の中の全ての変更は、その中に包含されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

[式中、
1は、場合により
【化2】

から選択される置換されるペリレンイミドであり、
ここで:
π−1は、a)電子求引性基及びb)場合により1〜5個の電子求引性基で置換されるC1-40アルキル基から独立して選択される1〜6個の置換基で場合により置換され得るペリレニル基であり;
π−1’は、a)電子求引性基及びb)場合により1〜5個の電子求引性基で置換されるC1-40アルキル基から独立して選択される1〜8個の置換基で場合により置換されるペリレニル基であり;
1、R2及びR5は、独立して、H、C1-40アルキル基、C2-40アルケニル基、C1-40ハロアルキル基及び1〜4個の環状部分から選択され、
ここで、
1-40アルキル基、C2-40アルケニル基及びC1-40ハロアルキル基のそれぞれは、ハロゲン、−CN、NO2、OH、−NH2、−NH(C1-20アルキル)、−N(C1-20アルキル)2、−S(O)2OH、−CHO、−C(O)−C1-20アルキル、−C(O)OH、−C(O)−OC1-20アルキル、−C(O)NH2、−C(O)NH−C1-20アルキル、−C(O)N(C1-20アルキル)2、−OC1-20アルキル、−SiH3、−SiH(C1-20アルキル)2、−SiH2(C1-20アルキル)及び−Si(C1-20アルキル)3から独立して選択される1〜10個の置換基で場合により置換されてよく;
1-40アルキル基、C2-40アルケニル基及びC1-40ハロアルキル基のそれぞれは、任意のリンカーを介してイミド窒素原子に共有結合してよく;並びに
1〜4個の環状部分のそれぞれは、同一又は異なってよく、任意のリンカーを介して互いに又はイミド窒素に共有結合してよく、かつハロゲン、オキソ、−CN、NO2、OH、=C(CN)2、−NH2、−NH(C1-20アルキル)、−N(C1-20アルキル)2、−S(O)2OH、−CHO、−C(O)OH、−C(O)−C1-20アルキル、−C(O)−OC1-20アルキル、−C(O)NH2、−C(O)NH−C1-20アルキル、−C(O)N(C1-20アルキル)2、−SiH3、−SiH(C1-20アルキル)2、−SiH2(C1-20アルキル)、−Si(C1-20アルキル)3、−O−C1-20アルキル、−O−C1-20アルケニル、−O−C1-20ハロアルキル、C1-20アルキル基、C1-20アルケニル基及びC1-20ハロアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で場合により置換されてよく;
2は:
【化3】

から選択される1個以上の単環状部分を含む反復単位であり、
ここで:
Arは、それぞれ存在する場合に、独立して場合により置換される単環式アリール又はヘテロアリール基であり;
π−2は、場合により置換される多環状部分であり;
Zは、共役直鎖状リンカーであり;並びに
mは、それぞれ存在する場合に、独立して1、2、3、4、5又は6であり;並びに
nは、2以上の整数である]のポリマー。
【請求項2】
Arが、それぞれ存在する場合に:
【化4】

[式中:
k、l、u及びvは、−O−、−S−、−CR3=CR4−、−CR3=、=CR3−、−C(O)−、−C(C(CN)2)−、−N=、=N−、−NR3−及び−CR3=N−から独立して選択され;
3及びR4は、それぞれ存在する場合に、独立して、a)H、b)ハロゲン、c)−CN、d)−NO2、e)−OH、f)−CHO、g)−C(O)−C1-10アルキル、h)−C(O)−C6-14アリール、i)−C(O)OH、j)−C(O)−OC1-10アルキル、k)−C(O)−OC6-14アリール、l)−C(O)NH2、m)−C(O)NH−C1-10アルキル、n)−C(O)N(C1-10アルキル)2、o)−C(O)NH−C6-14アリール、p)−C(O)N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、q)−C(O)N(C6-14アリール)2、r)C1-40アルキル基、s)C2-40アルケニル基、t)C2-40アルキニル基、u)C1-40アルコキシ基、v)C1-40アルキルチオ基、w)C1-40ハロアルキル基、x)−Y−C3-14シクロアルキル基、y)−Y−C6-14アリール基、z)−Y−3〜14員環シクロヘテロアルキル基、及びaa)−Y−5〜14員環ヘテロアリール基から選択され、ここでC1-40アルキル基、C2-40アルケニル基、C2-40アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員環シクロヘテロアルキル基及び5〜14員環ヘテロアリール基のそれぞれは、ハロゲン、−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC1-6ハロアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で場合により置換され;並びに
Yは、それぞれ存在する場合に、二価のC1-6アルキル基、二価のC1-6ハロアルキル基及び共有結合から独立して選択される]から独立して選択される、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
(Ar)mが:
【化5】

[式中、R3及びR4は、請求項2で定義される通りである]から選択される、請求項2に記載のポリマー。
【請求項4】
各Arが、チエニル基、イソチアゾリル基、チアゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基及び1,2,5−チアジアゾリル基から選択され、ここで各基が、ハロゲン、−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC1-6ハロアルキル基から独立して選択される1〜2個の置換基で場合により置換される、請求項1又は2に記載のポリマー。
【請求項5】
式:
【化6】

【化7】

【化8】

[式中:
dは、それぞれ存在する場合に、独立してH、F又はCNであり;
3及びR4は、それぞれ存在する場合に、独立して、a)H、b)ハロゲン、c)−CN、d)−NO2、e)−OH、f)−CHO、g)−C(O)−C1-10アルキル、h)−C(O)−C6-14アリール、i)−C(O)OH、j)−C(O)−OC1-10アルキル、k)−C(O)−OC6-14アリール、l)−C(O)NH2、m)−C(O)NH−C1-10アルキル、n)−C(O)N(C1-10アルキル)2、o)−C(O)NH−C6-14アリール、p)−C(O)N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、q)−C(O)N(C6-14アリール)2、r)C1-40アルキル基、s)C2-40アルケニル基、t)C2-40アルキニル基、u)C1-40アルコキシ基、v)C1-40アルキルチオ基、w)C1-40ハロアルキル基、x)−Y−C3-14シクロアルキル基、y)−Y−C6-14アリール基、z)−Y−3〜14員環シクロヘテロアルキル基、及びaa)−Y−5〜14員環ヘテロアリール基から選択され、ここでC1-40アルキル基、C2-40アルケニル基、C2-40アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員環シクロヘテロアルキル基及び5〜14員環ヘテロアリール基のそれぞれは、ハロゲン、−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC1-6ハロアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で場合により置換され;
Yは、それぞれ存在する場合に、二価のC1-6アルキル基、二価のC1-6ハロアルキル基及び共有結合から独立して選択され;
xは、実数及び0≦x<1であり;
x’、x’’及びx’’’は、実数及び0≦x’+x’’+x’’’≦1であり;及び
1、R2、R5、m及びnは、請求項1で定義される通りである]から選択される請求項1から4のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項6】
式:
【化9】

[式中:
3及びR4は、それぞれ存在する場合に、独立して、a)H、b)ハロゲン、c)−CN、d)−NO2、e)−OH、f)−CHO、g)−C(O)−C1-10アルキル、h)−C(O)−C6-14アリール、i)−C(O)OH、j)−C(O)−OC1-10アルキル、k)−C(O)−OC6-14アリール、l)−C(O)NH2、m)−C(O)NH−C1-10アルキル、n)−C(O)N(C1-10アルキル)2、o)−C(O)NH−C6-14アリール、p)−C(O)N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、q)−C(O)N(C6-14アリール)2、r)C1-40アルキル基、s)C2-40アルケニル基、t)C2-40アルキニル基、u)C1-40アルコキシ基、v)C1-40アルキルチオ基、w)C1-40ハロアルキル基、x)−Y−C3-14シクロアルキル基、y)−Y−C6-14アリール基、z)−Y−3〜14員環シクロヘテロアルキル基、及びaa)−Y−5〜14員環ヘテロアリール基から選択され、ここでC1-40アルキル基、C2-40アルケニル基、C2-40アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員環シクロヘテロアルキル基及び5〜14員環ヘテロアリール基のそれぞれは、ハロゲン、−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC1-6ハロアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で場合により置換され;
Yは、それぞれ存在する場合に、二価のC1-6アルキル基、二価のC1-6ハロアルキル基及び共有結合から独立して選択され;
xは、実数及び0≦x<1であり;並びに
1、R2及びnは、請求項1で定義される通りである]から選択される請求項1から4のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項7】
3及びR4が、独立して、H、C1-30アルキル基、及びC1-30ハロアルキル基から選択される、請求項2から6のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項8】
式:
【化10】

[式中:
3及びR4は、それぞれ存在する場合に、独立して、a)H、b)ハロゲン、c)−CN、d)−NO2、e)−OH、f)−CHO、g)−C(O)−C1-10アルキル、h)−C(O)−C6-14アリール、i)−C(O)OH、j)−C(O)−OC1-10アルキル、k)−C(O)−OC6-14アリール、l)−C(O)NH2、m)−C(O)NH−C1-10アルキル、n)−C(O)N(C1-10アルキル)2、o)−C(O)NH−C6-14アリール、p)−C(O)N(C1-10アルキル)−C6-14アリール、q)−C(O)N(C6-14アリール)2、r)C1-40アルキル基、s)C2-40アルケニル基、t)C2-40アルキニル基、u)C1-40アルコキシ基、v)C1-40アルキルチオ基、w)C1-40ハロアルキル基、x)−Y−C3-14シクロアルキル基、y)−Y−C6-14アリール基、z)−Y−3〜14員環シクロヘテロアルキル基、及びaa)−Y−5〜14員環ヘテロアリール基から選択され、ここでC1-40アルキル基、C2-40アルケニル基、C2-40アルキニル基、C3-14シクロアルキル基、C6-14アリール基、3〜14員環シクロヘテロアルキル基及び5〜14員環ヘテロアリール基のそれぞれは、ハロゲン、−CN、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基及びC1-6ハロアルキル基から独立して選択される1〜5個の置換基で場合により置換され;
Yは、それぞれ存在する場合に、二価のC1-6アルキル基、二価のC1-6ハロアルキル基及び共有結合から独立して選択され;
xは、実数及び0≦x<1であり;並びに
1、R2及びnは、請求項1で定義される通りである]から選択される請求項1に記載のポリマー。
【請求項9】
1、R2、及びR5が、
【化11】

から独立して選択される、請求項1から8のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項10】
1、R2及びR5が、独立して、分枝鎖状C3-30アルキル基又は分枝鎖状C3-30アルケニル基である、請求項1から8のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項11】
1、R2及びR5が、n−ヘキシル基、1−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、1−メチルペンチル基、1−メチルヘキシル基、1−エチルプロピル基、1−エチルブチル基、1−3,ジメチルブチル基及び2−オクチルドデシル基から独立して選択される、請求項1から8のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項12】
nが、4〜1,000の間の整数である、請求項1から11のいずれか1項に記載のポリマー。
【請求項13】
液体媒質中で溶解又は分散する請求項1から12のいずれか1項に記載の1種以上のポリマーを含む組成物。
【請求項14】
前記液体媒質が水又は有機溶媒を含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が、1種以上の添加剤を更に含む、請求項13又は14に記載の組成物。
【請求項16】
前記添加剤が、粘度調整剤、洗剤、分散剤、結合剤、相溶化剤、硬化剤、開始剤、保湿剤、消泡剤、湿潤剤、pH調節剤、殺生物剤及び静菌剤から独立して選択される、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
請求項1から12のいずれか1項に記載の1種以上のポリマーを含む製品。
【請求項18】
前記製品が、電子素子、光学素子又は光電子素子である、請求項17に記載の製品。
【請求項19】
請求項1から12のいずれか1項に記載の1種以上のポリマーを含む薄膜半導体。
【請求項20】
基板と、該基板上に成膜された請求項19に記載の薄膜半導体とを含む複合物。
【請求項21】
請求項19に記載の薄膜半導体を含む電界効果トランジスタ素子。
【請求項22】
請求項20に記載の複合物を含む電界効果トランジスタ素子。
【請求項23】
前記電界効果トランジスタが、トップゲートボトムコンタクト構造、ボトムゲートトップコンタクト構造、トップゲートトップコンタクト構造及びボトムゲートボトムコンタクト構造から選択される構造を有する、請求項21又は請求項22に記載の電界効果トランジスタ素子。
【請求項24】
誘電材料を含む請求項21から23のいずれか1項に記載の電界効果トランジスタ素子であって、前記誘電材料が、有機誘電材料、無機誘電材料又はハイブリッド有機/無機誘電材料を含む、電界効果トランジスタ素子。
【請求項25】
請求項19に記載の薄膜半導体を含む光起電力素子。
【請求項26】
請求項20に記載の複合物を含む光起電力素子。
【請求項27】
前記1種以上のポリマーに隣接してp型半導体材料を含む、請求項25又は請求項26に記載の光起電力素子。
【請求項28】
請求項19に記載の薄膜半導体を含む有機発光素子。
【請求項29】
請求項20に記載の複合物を含む有機発光素子。
【請求項30】
請求項17又は18に記載の製品の製造方法であって、基板上に請求項13から16のいずれか1項に記載の組成物を成膜することを含む方法。
【請求項31】
前記組成物の成膜が、印刷、スピンコーティング、ドロップキャスティング、ゾーンキャスティング、浸漬コーティング、ブレードコーティング及びスプレーの内の少なくとも1つを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
印刷が、グラビア印刷、インクジェット印刷及びフレキソ印刷から選択される、請求項31に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2011−515505(P2011−515505A)
【公表日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545462(P2010−545462)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際出願番号】PCT/EP2009/051311
【国際公開番号】WO2009/098250
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【出願人】(510214148)ポリエラ コーポレイション (4)
【氏名又は名称原語表記】Polyera Corporation
【住所又は居所原語表記】8045 Lamon Avenue, Suite 140, Skokie, IL 60077, United States of America
【Fターム(参考)】