説明

ホスホジエステラーゼ阻害剤としての1−フェニル−2−ピリジニルアルキルアルコールの誘導体

本発明は、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)酵素の阻害剤に関する。さらに詳細には、本発明は、1−フェニル−2−ピリジニルアルキルアルコールの誘導体である化合物、このような化合物を調製する方法、それを含有する組成物、およびその治療的使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)酵素の阻害剤に関する。さらに詳細には、本発明は、1−フェニル−2−ピリジニルアルキルアルコールの誘導体である化合物、このような化合物を調製する方法、それを含有する組成物、およびその治療的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
気道閉塞は、喘息および慢性閉塞性肺疾患(COPD)を含めて、いくつかの重症な呼吸器疾患の特徴を示す。気道閉塞に至る事象としては、気道壁の浮腫、粘液産生の増加、および炎症が挙げられる。
【0003】
喘息やCOPDなどの呼吸器疾患を治療するための薬物は、現在吸入によって投与される。全身経路に比べて吸入経路の利点の1つは、薬物を作用部位に直接送達し、いずれの全身性副作用も回避し、したがって臨床効果がより迅速になり、かつ治療可能比がより大きくなるという可能性である。
【0004】
吸入コルチコステロイドは、喘息に対する現在の維持療法として選択され、急性症状緩和用の気管支拡張薬であるβ2−アゴニストと共に、これらは疾患に対する現在の治療の中心をなす。現在のCOPD管理は、吸入抗コリン薬および吸入β2−アドレナリン受容体アゴニストを用いた気管支拡張療法による主に対症的なものである。しかし、コルチコステロイドは、喘息における炎症反応を低減するようにはCOPDにおける炎症反応を低減しない。
【0005】
喘息やCOPDなどの炎症性呼吸器疾患の治療について、抗炎症作用を考えて広く検討された治療剤の別のクラスは、酵素であるホスホジエステラーゼ(PDE)、特にホスホジエステラーゼ4型(以下、PDE4と呼ぶ)の阻害剤で表される。
【0006】
PDE4阻害剤として働く様々な化合物は、先行技術で開示されている。しかし、ロリプラムやピクラミラストなど第1世代のいくつかのPDE4阻害剤の有用性は、その望ましくない副作用のために限定されている。前記作用としては、中枢神経系におけるPDE4に対するその作用による悪心および嘔吐、ならびに腸の壁細胞におけるPDE4に対するその作用による胃酸分泌が挙げられる。
【0007】
前記副作用の原因が広く検討された。
【0008】
PDE4は、異なる立体配座を表す2つの異なる形態で存在することが明らかになった。これらは、特に中枢神経系および壁細胞に存在する高親和性ロリプラム結合部位もしくはHPDE4と、免疫および炎症細胞において見られる低親和性ロリプラム結合部位もしくはLPDE4(Jacobitz, Sら、Mol.Pharmacol、1996年、50巻、891〜899頁)と命名された。形態は両方とも、触媒活性を発現するようであるが、阻害剤に対するそれらの感受性に関して異なる。特に、LPDE4に対してより高い親和性を有する化合物は、悪心、嘔吐、および胃液分泌の増加などの副作用を誘発する傾向が少ないようである。
【0009】
LPDE4を標的にする試みによって、シロミラストやロフルミラストなど第2世代のPDE4阻害剤の選択性についてわずかな改善がもたらされた。しかし、これらの化合物でさえLPDE4への選択性が良好でない。
【0010】
PDE4阻害剤として働く化合物の他のクラスは、先行技術で開示されている。
【0011】
例えば、欧州特許出願公開第1634606号(特許文献1)に、特にベンゾフランなどのケトン誘導体または1,3−ベンゾジオキソール誘導体が開示されている。
【0012】
国際公開第9402465号(特許文献2)に、特に次の一般式のケトン誘導体
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、R1は低級アルキルであり、R2は、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、シクロチオアルキル、またはシクロチオアルケニルとすることができる]
が開示されている。
【0015】
Celltech Therapeutics名義の国際公開第9535281号(特許文献3)は、三置換フェニル誘導体に関する。
【0016】
両方の出願とも、HPDE4の阻害に関連した副作用の問題について触れておらず、HPDE4およびLPDE4への親和性に関するデータも報告していない。
【0017】
したがって、今までにいくつかのPDE4阻害剤が開示されてきたものの、より効果的でかつより良好な忍容性が認められる化合物がなお求められている。
【0018】
特に、その阻害に関連した副作用を減弱または回避するために、選択性のより高い化合物、例えばHPDE4への親和性に比べてLPDE4への親和性がより高い化合物を提供することは非常に有利であろう。
【0019】
これらの課題に対処するために、本発明は、LPDE4への選択性が改善されたPDE4阻害剤を提供する。
【0020】
実際には、今回、PDE4の活性部位と相互作用する追加の部分を有するPDE4阻害剤を提供して、阻害剤のLPDE4への選択性が改善されることがわかった。
【0021】
本発明のPDE4阻害剤は、吸入投与に効果的に働き、肺における持続性が良好であること、および全身における持続時間が短いことを特徴とすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1634606号明細書
【特許文献2】国際公開第94/02465号パンフレット
【特許文献3】国際公開第95/35281号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明は、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)酵素の阻害剤として働く化合物、前記化合物を調製する方法、それを含有する組成物、およびその治療的使用を対象とする。
【0024】
特に、本発明は、一般式(I)の1−フェニル−2−ピリジニルアルキルアルコールの誘導体:
【0025】
【化2】

【0026】
[式中、
Zは、
(CH2m(m=0、1または2);
(CH2nO(n=1、2または3);
O(CH2p(p=0、1、2または3);
CH2SO2
CHNR6
CH2NR6
NR6(R6は、H、または直鎖状もしくは分枝状(C1〜C4)アルキルである);
OCOR45;および
CR45
からなる群から選択され、式中、
4は独立に、H、または(C1〜C4)シクロアルキルで場合によって置換されている直鎖状もしくは分枝状(C1〜C4)アルキル、好ましくはメチルから選択され、
5は独立に、直鎖状または分枝状(C1〜C4)アルキル、好ましくはメチル;フェニル;ベンジル;NH2;およびHNCOOR’(R’は、直鎖状または分枝状(C1〜C4)アルキル、好ましくはt−ブチルである)からなる群から選択され、
1およびR2は異なるかまたは同じであり、独立に、
−H;
−(C3〜C7)シクロアルキルまたは(C5〜C7)シクロアルケニルから選択された1個または複数の置換基で場合によって置換されている直鎖状または分枝状(C1〜C6)アルキル;
−(C3〜C7)シクロアルキル;
−(C5〜C7)シクロアルケニル;
−直鎖状または分枝状(C2〜C6)アルケニル;および
−直鎖状または分枝状(C2〜C6)アルキニル
からなる群から選択され、
3は、H、CN、NO2、CF3、およびハロゲン原子からなる群から独立に選択された1個または複数の置換基であり、
Aは、環系、すなわちアリール、(C3〜C8)シクロアルキル、またはヘテロアリールなど飽和、部分不飽和、または不飽和とすることができる単環式または二環式の環であり、前記環系Aは5〜10個の環原子を有し、少なくとも1個の環原子はヘテロ原子(例えば、N、S、またはO)であり、A環系上の場合による置換基RXは、1個または複数とすることができ、同じでも異なってもよく、独立に、
−1個または複数の(C3〜C7)シクロアルキルで場合によって置換されている直鎖状または分枝状(C1〜C6)アルキル;
−1個または複数の(C3〜C7)シクロアルキルで場合によって置換されている直鎖状または分枝状(C2〜C6)アルケニル;
−1個または複数の(C3〜C7)シクロアルキルで場合によって置換されている直鎖状または分枝状(C2〜C6)アルキニル;
−(C5〜C7)シクロアルケニル;
−フェニル;
−(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル;
−OR7(R7は、H;1個または複数の(C3〜C7)シクロアルキルで場合によって置換されている(C1〜C10)アルキル;(C3〜C7)シクロアルキル;(C1〜C4)アルキル−(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル;CO(C1〜C6)アルキル;−COO(C1〜C6)アルキル;−フェニル;−ベンジル;−(C1〜C10)アルキル−NR89(R8およびR9は独立に、H、直鎖状または分枝状(C1〜C6)アルキルからなる群から選択され、これらは、結合している窒素原子と一緒に、飽和環、部分飽和環、または不飽和環を形成し、好ましくはNR89は(C1〜C10)アルキルに結合して、例えば飽和、部分飽和、または不飽和のピペリジン環、オキサジン環、イミダゾール環を形成し、これらの環は、(C1〜C4)アルキルで場合によって置換されている)、からなる群から選択される;および
−ハロゲン原子;
−CN;
−NO2
−NR1011(R10およびR11は、異なるかまたは同じであり、かつ独立に、
−H;
−フェニルまたは(C3〜C7)シクロアルキルで場合によって置換されている直鎖状または分枝状(C1〜C6)アルキル;
−COC65
−CO−(C1〜C4)アルキル;
−COO−(C1〜C4)アルキル;
−CONH−(C1〜C6)アルキル−R12(R12は、
−H;
−(C1〜C4)アルキル;
−OR45からなる群から選択される);および
−CONH(C1〜C4)アルキル−N(C1〜C4)アルキル
からなる群から選択され、
あるいは、これらは、結合している窒素原子と一緒に、飽和または部分飽和環、好ましくはピペリジル環を形成する;
−(C1〜C4)アルキル−NR1011
−COR12(R12は、フェニル、または直鎖状もしくは分枝状(C1〜C6)アルキルである);
−オキソ;
−HNSO213(R13は、(C1〜C4)アルキル、またはハロゲン原子もしくは(C1〜C4)アルキル基で場合によって置換されているフェニルである);
−SO214(R14は、(C1〜C4)アルキル、OH、またはNR1011であり、R10およびR11は上記に定義した通りである);
−SOR15(R15は、フェニルまたは(C1〜C4)アルキルである);
−SR16(R16は、H、フェニルまたは(C1〜C4)アルキルである);
−COOR17(R17は、H、(C1〜C4)アルキル、フェニルまたはベンジルである);および
−(CH2qOR18(q=1、2、3または4、かつR18は、Hまたは(C1〜C4)シクロアルキルである);
からなる群から選択される]
ならびにその薬学的に許容される塩およびそのピリジン環のN−オキシドを対象とする。
【0027】
本発明はその薬学的に許容される塩および/または溶媒和物も包含する。
【0028】
本発明は対応するピリジン環のN−オキシドもさらに含む。
【0029】
本発明は一般式(I)の化合物の調製方法をさらに含む。
【0030】
本発明はまた、一般式(I)の化合物の医薬組成物を単独または1種もしくは複数の薬学的に許容される担体と組み合わせもしくは混合して提供する。
【0031】
別の態様において、本発明は一般式(I)の化合物の医薬品としての使用を提供する。
【0032】
別の態様において、本発明は医薬品を製造するための一般式(I)の化合物の使用を提供する。
【0033】
特に、本発明は、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)の過活性を特徴とし、かつ/またはPDE4活性の阻害が望ましい任意の疾患を予防および/または治療するための一般式(I)の化合物の使用を提供する。
【0034】
特に、一般式(I)の化合物を単独または他の有効成分と組み合わせて、喘息やCOPDなどの気道閉塞を特徴とする気道の疾患を予防および/または治療するために投与してもよい。
【0035】
別の態様において、本発明は、望ましくない炎症性免疫応答を特徴とし、もしくはそれを伴い、またはTNF−αおよびPDE4の過剰分泌によって誘発され、もしくはそれを伴う炎症性疾患、障害、または病態の予防および/または治療用の医薬品を調製するための一般式(I)の化合物の使用を提供する。
【0036】
さらに、本発明は、PDE4阻害が必要である任意の疾患を予防および/または治療する方法であって、このような治療を必要とする患者に治療上有効量の一般式(I)の化合物を投与することを含む方法も提供する。
【0037】
定義
「ハロゲン原子」という用語は、本明細書ではフッ素、塩素、臭素、およびヨウ素、好ましくは塩素を包含する。
【0038】
本明細書では、「直鎖状または分枝状(C1−Cx)アルキル」(式中、xは1を超える整数である)という表現は、構成要素の炭素原子の数が1〜xの範囲である直鎖状および分枝状のアルキル基を意味する。具体的なアルキル基は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、およびt−ブチルである。
【0039】
場合によっては、前記基において、1個または複数の水素原子をハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素で置換することができる。
【0040】
派生表現の「(C2〜C6)アルケニル」および「(C2〜C6)アルキニル」は、同様に解釈されるべきである。
【0041】
本明細書では、「(C3〜Cx)シクロアルキル」(式中、xは3を超える整数である)という表現は、3〜x個の環炭素原子を含む非芳香族環状炭化水素基を意味する。例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが挙げられる。
【0042】
場合によっては、前記基において、1個または複数の水素原子をハロゲン原子、好ましくは塩素またはフッ素で置換することができる。
【0043】
本明細書では、「(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル」という表現は、1個または複数の(C1〜C4)アルキルで場合によって置換されている、1個または複数のヘテロ原子(例えば、N、SまたはO)を含む非芳香族環状炭化水素基を意味する。
【0044】
派生表現の「(C1〜Cx)シクロアルコキシル」は、同様に解釈されるべきである。
【0045】
派生発現の「(C5〜Cx)シクロアルケニル」(式中、xは5を超える整数である)は、同様に解釈されるべきである。
【0046】
本明細書では、「環系」という表現は、アリール、(C3〜C8)シクロアルキル、またはヘテロアリールなど飽和、部分不飽和、または不飽和とすることができ、5〜10個の環原子を有し、少なくとも1個の環原子はヘテロ原子(例えば、N、SまたはO)である単環式または二環式の環系を意味する。
【0047】
適当な単環系の例としては、フェニル、ピリジル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル、ジオキサン、イミダゾール、およびイミダゾリジンが挙げられる。
【0048】
適当な二環系の例としては、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、インデニル、フルオレン、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾリジン、キサンチン、およびその部分または完全水素化誘導体が挙げられる。
【発明を実施するための形態】
【0049】
発明の詳細な説明
本発明は、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)酵素の阻害剤として働く化合物のクラスを対象とする。
【0050】
前記化合物のクラスは、環状ヌクレオチド、特に環状アデノシン一リン酸(cAMP)のその不活性な5’−モノヌクレオチドの形への変換を阻害する。
【0051】
気道では、環状ヌクレオチド、特にcAMPの細胞内レベルの上昇に対する生理反応によって、肥満細胞、マクロファージ、Tリンパ球、好酸球、および好中球などの免疫および炎症誘発細胞(pro-inflammatory cell)の活性の抑制がもたらされ、IL−1、IL−3、および腫瘍壊死因子α(TNF−α)などのサイトカインを含む炎症性メディエータの放出の低減が引き起こされる。
【0052】
また、気道平滑筋弛緩および浮腫の低減ももたらされる。
【0053】
PDE4の触媒部位は、以前に特定された。触媒部位は、主として2つのサブポケット(sub-pocket)、例えばS0およびS1が存在する疎水性領域と、金属イオンZn2+およびMg2+を含有する親水性領域とを含み、親水性領域は、金属イオンの周りに広がるサブポケットS2、および疎水性ポケットの真中から約90°分岐するサブポケットS3を含む。
【0054】
先行技術の化合物の大部分には、置換カテコール基など疎水性領域のサブポケットS0およびS1と相互作用することができる部分と、サブポケットS2の金属イオンと間接的に相互作用することができる別の部分、例えばピリジンまたはピロリドンなどのヘテロ環とが設けられている。
【0055】
本発明は、他の周知のPDE4阻害剤のように置換カテコール部分によるサブポケットS0およびS1との相互作用、ならびにピリジン環による金属イオン領域との相互作用を維持し得るように設計されたが、サブポケットS3との追加の相互作用を確立することができるさらなる基の存在によって異なる化合物を対象にする。
【0056】
特に、本発明は、一般式(I)の1−フェニル−2−ピリジニルアルキルアルコールの誘導体に関する。
【0057】
【化3】

【0058】
薬学的に許容される塩としては、塩基として機能する主化合物と無機または有機酸を反応させて、塩、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、およびクエン酸塩を生成することによって得られたものが挙げられる。
【0059】
一般式(I)の化合物が不斉中心を含み得ることは、当業者には明らかであろう。したがって、本発明はその光学立体異性体および混合物も含む。
【0060】
本発明による化合物は、少なくとも1つの不斉中心を有する場合、それに応じてエナンチオマーとして存在することがある。本発明による化合物は、2つ以上の不斉中心を有する場合、さらにジアステレオ異性体として存在することがある。このような異性体、および任意の割合のその混合物はすべて、本発明の範囲内に包含されると理解されるべきである。
【0061】
一般式(I)の化合物は、nMの範囲でPDE4酵素に対してin vitro阻害活性を示すことがわかり、COPDの動物モデルにおいて気管内投与後に肺で良好な活性を有することが判明した。
【0062】
また、これらは、一部の例では肺において肺レベルの持続を示した一方、検出可能な血漿レベルは認められず、これは、全身作用が短期である(short systemic action)ことを示唆する。
【0063】
これらの化合物のLPDE4への選択性がHPDE4への選択性に比べて予想外に高いことについて考え得る1つの説明は、これらの化合物はすべて、A置換基によってPDE4酵素の触媒部位のS3サブポケットに適合することができる部分を特徴とするということである。
【0064】
実施例13に報告された結果から理解することができるように、本発明を代表する化合物は、HPDE4への選択性に対してLPDE4への選択性が実に約1319倍高いことがわかった。
【0065】
一般式(I)の化合物の好ましい一群は、2−ピリジニル環が3および5において2個の塩素原子で置換されている、一般式(II)によるもの
【0066】
【化4】

【0067】
であり、式中、R1、R2、Z、およびAは上記に定義した通りである。
【0068】
1またはR2がHであるとき、カテコール基上の他の置換基はHと異なることが有利である。
【0069】
好ましくは、R1およびR2はどちらもHと異なる。
【0070】
一般式(II)のより好ましい化合物の第1群は、
1およびR2が上記に定義した通りであり、
Zが(CH2nであり、式中、nは0であり、かつ
Aが上記に定義した通りであるものである。
【0071】
より好ましい化合物の第2群は、
1およびR2が上記に定義した通りであり、
ZがCHR5であり、式中、R5は直鎖状または分枝状(C1〜C4)アルキル、好ましくはメチルであり、かつ
Aが上記に定義した通りであるものである。
【0072】
より好ましい化合物の第3群は、
1およびR2が上記に定義する通りであり、
ZがCR45であり、式中、R4およびR5は共に、直鎖状または分枝状(C1〜C4)アルキルであり、これらは、結合している炭素原子と一緒に、3、4、5、または6個の炭素原子、好ましくは3個の炭素原子を有する環を形成し、かつ
Aが上記に定義した通りであるものである。
【0073】
好ましい実施形態の1つにおいて、Aは置換されており、かつRxは、直鎖状もしくは分枝状(C1〜C6)アルキル、直鎖状もしくは分枝状(C2〜C6)アルケニル、直鎖状もしくは分枝状(C2〜C6)アルキニル、またはOR7(式中、R7は上記に定義した通りである)からなる群から選択される。
【0074】
別の好ましい実施形態において、Aは置換されており、かつRxは、NR1011またはHNSO213などの全分子(式中、R10、R11、およびR13は上記に定義した通りである)の水溶性を改善することができる基である。
【0075】
本発明の特定の実施形態において、Aがヘテロアリール環であるとき、環は、好ましくはピロール、ピラゾール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、およびピラン、イミダゾール、イミダゾリジンからなる群から選択され、より好ましくはピリジンである。
【0076】
好ましい実施形態によれば、本発明は下記に報告する化合物を提供する。
【0077】
【表1−1】

【0078】
【表1−2】

【0079】
【表1−3】

【0080】
【表1−4】

【0081】
【表1−5】

【0082】
【表1−6】

【0083】
【表1−7】

【0084】
本発明の化合物は、そのIC50の測定により得られたLPDE4への選択性がHPDE4への選択性より高いことを特徴とすることが有利である。
【0085】
LPDE4の場合、IC50は、Cortijo Jら、Br J Pharmacol、1993年、108巻、562〜568頁に記載されているように評価して、試験化合物がcAMP消失の50%阻害をもたらすモル濃度であり、HPDE4の場合、IC50は、Duplantier AJら、J Med Chem、1996年、39巻、120〜125頁に記載されているように評価して、試験化合物が[H3]ロリプラムの結合の50%阻害をもたらすモル濃度である。
【0086】
好ましくは、本発明の化合物のHPDE4/LPDE4のIC50比は、5を超え、好ましくは10を超え、より好ましくは20を超え、さらにより好ましくは100を超える。
【0087】
一般式(I)の化合物は、当技術分野で開示された方法に従って、従来通り調製することができる。使用することができる方法の一部を下記に述べ、スキームで報告するが、本発明の化合物の調製に利用することができる合成方法の範囲を限定するものと見なすべきではない。
【0088】
スキーム
【0089】
【化5】

【0090】
例えば、本発明の特定の実施形態(スキーム)によれば、一般式(5)の化合物は、次のステップを含む方法に従って調製することができる。
【0091】
第1ステップ:一般式(1)のエタノン誘導体を還元して、一般式(2)のアルコール誘導体を生成する(経路A)。
【0092】
この反応は、窒素雰囲気下、室温でメタノールなどの溶媒中、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)を使用することによって実施することができる。
【0093】
第2ステップ:式AZCOOHの適当な酸を一般式(2)のアルコール誘導体の溶液に添加して、一般式(5)の化合物を生成する。
【0094】
この反応は、窒素雰囲気下、ジクロロメタンなどの溶媒中で、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、NaH、ジメチルアミノピリジン(DMAP)などの適当な強塩基の存在下、および1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩(EDC)やN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)などの縮合剤の存在下で実施される。ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、ジオキサン、および当業者に知られている他の任意の非プロトン性溶媒など他の溶媒を使用してもよい。特定の実施形態において、反応を溶媒の非存在下でも実施することができる。
【0095】
カルボン酸A−Z−COOHがヒドロキシル基、カルボキシル基、チオ基、またはアミノ基のような反応性基を有する場合、これらをt−ブトキシカルボニル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、メチル、トリメチルシリル、および同類(similar)などの保護基によって保護し、合成のあるステップにおいて、脱保護して、再び遊離の反応性基を得る必要があり得る。次いで、脱保護した基とアルキル化剤、アシル化剤、スルホニル化剤、または同類のような適当な試薬を反応させることができる。
【0096】
官能基の保護および脱保護については、「Protective Groups in Organic Chemistry」、第3版、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Wiley-Interscience(1999年)および「Protecting Groups」、P.J.Kocienski、Georg Thieme Verlag(1994年)に述べられている。
【0097】
一般式(5)の化合物は、当業者によく知られている手順に従って、適当な一般式A−Z−COClの塩化アシルまたは適当な一般式A−Z−NCOのイソシアネートを、化学量論量または触媒量の適当な塩基を含む一般式(2)のアルコール誘導体の溶液に添加することによって調製することもできる。
【0098】
一般式(2)のアルコール誘導体は、代替として、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LiHMDS)または同類の強塩基およびテトラヒドロフラン(THF)または他の非プロトン性溶媒などの溶媒を使用して、式(3)のベンズアルデヒド(benzaldheyde)誘導体と式(4)のメチルピリジン誘導体(経路B)を反応させることによって調製することができる。
【0099】
一般式(3)および(4)の中間体は市販されており、または文献に記載され当業者によく知られている方法に従って調製することができる。
【0100】
一般式(5)の化合物の2−ピリジニル環のN−オキシドは、文献に記載され当業者によく知られている方法に従って調製することができる。例えば、これらは、一般式(5)の化合物をCH2Cl2またはCHCl3に溶解し、次いで得られた溶液に、m−クロロ過安息香酸(mCPBA)などの酸化剤を添加することによって調製することができる。使用することができる他の酸化剤は、過酸化水素、過安息香酸、および過酢酸である。
【0101】
Aが酸化に感受性を示す官能基で置換されている環である化合物の場合、対応するN−オキシドは、代替として、経路Aの第2ステップの前に酸化ステップを実施することによって調製される。
【0102】
本発明は、1種または複数の薬学的に許容される担体、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences Handbook、第17版、Mack Pub.、米国ニューヨークに述べられているものと混合した一般式(I)の化合物の医薬組成物も提供する。
【0103】
本発明の化合物の投与は、患者ニーズに応じて、例えば経口、経鼻、非経口(皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、および注入)、吸入、直腸内、膣内、局所(topically)、局所(locally)、経皮、および経眼投与を行うことができる。本発明の化合物を投与するために、錠剤、ゲルキャップ剤、カプセル剤、カプレット剤、顆粒剤、ロゼンジ剤、および原薬粉末のような固形剤形を含めて様々な固体経口剤形を使用することができる。本発明の化合物は、単独、または様々な薬学的に許容される担体、希釈剤(スクロース、マンニトール、ラクトース、デンプンなど)、および当技術分野で知られている賦形剤(限定されないが、懸濁剤、可溶化剤、緩衝剤、結合剤、崩壊剤、保存剤、着色剤、香味剤(flavorant)、滑沢剤などを含む)と組み合わせて投与することができる。持続放出性カプセル剤、錠剤、およびゲル剤も、本発明の化合物を投与する際に有利である。
【0104】
本発明の化合物を投与するために、水性および非水性溶液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤を含めて様々な液体経口剤形も使用することができる。このような剤形は、水などの当技術分野で知られている適当な不活性希釈剤、および保存剤、湿潤化剤、甘味剤、香味剤などの当技術分野で知られている適当な賦形剤、ならびに本発明の化合物を乳化および/または懸濁するための作用剤を含有することができる。本発明の化合物を等張滅菌溶液の形で、例えば静脈内注射することができる。他の調製物も可能である。
【0105】
本発明の化合物を直腸内投与するための坐剤は、化合物とカカオバター、サリチラート、およびポリエチレングリコールなどの適当な賦形剤を混合することによって調製することができる。
【0106】
膣内投与用の製剤は、有効成分に加えて、当技術分野で知られているような適当な担体を含有するクリーム剤、ゲル剤、ペースト剤、フォーム剤、またはスプレーフォーミュラ剤の形とすることができる。
【0107】
局所投与では、医薬組成物は、皮膚、眼、耳、または鼻への投与に適したクリーム剤、軟膏剤、リニメント剤、ローション剤、乳剤、懸濁剤、ゲル剤、溶液剤、ペースト剤、粉末剤、スプレー剤、および滴剤の形とすることができる。局所投与は、経皮貼付剤などの手段による経皮投与も含み得る。
【0108】
気道の疾患の治療では、本発明による化合物を好ましくは吸入投与する。
【0109】
吸入可能調製物としては、吸入可能粉末剤、噴射剤含有定量式エアゾール剤(propellant-containing metering aerosol)、または噴射剤不含吸入可能製剤が挙げられる。
【0110】
乾燥粉末剤として投与する場合、先行技術から知られている単回または多数回投与用吸入器を利用してもよい。その場合、ゼラチン、プラスチック、もしくは他のカプセル、カートリッジ、またはブリスターパック、あるいはリザーバーに粉末剤を充填することができる。
【0111】
一般に非毒性でかつ本発明の化合物に対して化学的に不活性である希釈剤または担体、例えばラクトースまたは吸入性画分(respirable fraction)を改善するのに適した他の任意の添加剤を、本発明の粉末化合物に添加してもよい。
【0112】
ヒドロフルオロアルカンなどの噴射剤ガスを含有する吸入エアゾール剤は、本発明の化合物を溶液または分散した形で含有することがあり得る。噴射剤駆動型製剤(propellant-driven formulation)は、共溶媒、安定化剤、および場合によっては他の賦形剤などの他の成分も含有することがある。
【0113】
本発明の化合物を含む噴射剤不含吸入可能製剤を水性、アルコール性、またはヒドロアルコール性媒体中の溶液剤または懸濁剤の形とすることができ、先行技術から知られているジェットもしくは超音波ネブライザー、またはRespimat(登録商標)などのソフトミストネブライザーによって送達することができる。
【0114】
本発明の化合物は、単独の活性剤として、あるいは呼吸器障害の治療で現在使用されているもの、例えばβ2−アゴニスト、コルチコステロイド、および抗コリン剤または抗ムスカリン剤(antimuscarinic agent)を含めて他の医薬有効成分と組み合わせて投与することができる。
【0115】
本発明の化合物の用量は、治療対象の特定の疾患、症状の重症度、投与経路、投与間隔の頻度(the frequency of the dosage interval)、利用する特定の化合物、その化合物の有効性、毒性学プロファイル、および薬物動態プロファイルを含めて種々の因子で決定される。
【0116】
一般式(I)の化合物を、例えば0.001〜1000mg/日、好ましくは0.1〜500mg/日に含まれる用量で投与できることは有利である。
【0117】
一般式(I)の化合物を吸入経路で投与するとき、用量が0.01〜20mg/日、好ましくは0.1〜10mg/日に含まれることは有利である。
【0118】
好ましくは、喘息、慢性気管支炎、および慢性閉塞性肺疾患(COPD)など任意の閉塞性呼吸器疾患を予防および/または治療するために、一般式(I)の化合物を単独または他の有効成分と組み合わせて投与することができる。
【0119】
しかし、一般式(I)の化合物を、PDE4阻害が必要である任意の疾患の予防および/または治療のために投与することができる。前記疾患としては、アトピー性皮膚炎、じんま疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、好酸球性肉芽腫、乾癬、炎症性関節炎、関節リウマチ、敗血症性ショック、潰瘍性大腸炎、クローン病、心筋および脳の再潅流傷害、慢性糸球体腎炎、内毒素ショック、嚢胞性線維症、動脈再狭窄、アテローム性動脈硬化症(artherosclerosis)、角化症、リウマチ様脊椎炎、骨関節炎、ピレシス(pyresis)、糖尿病、塵肺症、毒性およびアレルギー性接触湿疹、アトピー性湿疹、脂漏性湿疹、単純性苔癬、日焼け、肛門性器そう痒症(pruritus in the anogenital area)、円形脱毛症、肥厚性瘢痕、円板状エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、毛包性および広域性膿皮症(follicular and wide-area pyodermias)、内因性および外因性ざ瘡、酒さ性ざ瘡、ベーチェット病(Beghet's disease)、アナフィラクトイド紫斑病性腎炎、炎症性腸疾患、白血病、多発性硬化症、胃腸疾患、自己免疫疾患などのアレルギー性病態(allergic disease state)が挙げられる。
【0120】
これらには、アルツハイマー病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(amylolaterosclerosis)(ALS)、多系統萎縮症(multiple systems atrophy)(MSA)、統合失調症、パーキンソン病、ハンチントン病、ピック病、うつ病、発作、および脊髄損傷などの神経障害および精神障害も含まれる。
【0121】
次に、次の非限定的な例によって、本発明をさらに説明する。
【実施例】
【0122】
(実施例1) 3,5−ジクロロ−4−メチルピリジン(スキームの中間体(4))の調製
ジイソプロピルアミン(70mL、500mmol)を乾燥テトラヒドロフラン(THF)(500mL)に溶解し、溶液を−10℃に冷却し、撹拌下、ブチルリチウム(ヘキサン中2.5N、210mL、525mmol)を滴下した。30分後、溶液を−20℃に冷却し、テトラヒドロフラン(200mL)中3,5−ジクロロピリジン(66.6g、450mmol)を滴下した。溶液を−10℃で30分間撹拌し、−70℃に冷却し、テトラヒドロフラン(100mL)中ヨードメタン(50mL、1.6mol)を滴下した。反応混合物を室温にまで温め、水(100mL)でクエンチし、ジエチルエーテルで抽出(3回×100mL)した。有機層を合わせて、硫酸ナトリウム(5g)で乾燥し、蒸発乾固した。粗生成物を、含水エタノール、次いでヘキサンから2回結晶化して、3,5−ジクロロ−4−メチルピリジン(49.9g、306mmol、収率68%)を白色固体として得た
MS/ESI+ 162〜164〜166 m/z [MH]+
【0123】
(実施例2) 2−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エタノン(スキームの中間体(1))の調製
3,5−ジクロロ−4−メチル−ピリジン(2.06g、12.7mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(30ml)溶液を−78℃に冷却し、次いで撹拌下、温度を−70℃未満に維持しながら、1.8M リチウムジイソプロピルアミドのテトラヒドロフラン溶液(7.4ml、13.3mmol)を滴下した。得られた溶液を30分間撹拌し、次いで温度を−70℃未満に維持しながら、3,4−ジメトキシ−ベンゾイルクロリド(2.55g、12.7mmol)の乾燥テトラヒドロフラン(20ml)溶液を滴下した。15分間撹拌した後、氷(20g)を添加し、続いて水をさらに500mlを添加した。混合物を酢酸エチルで抽出(2回×50ml)し、有機層を合わせて、硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下で蒸発させて、オイルを得た。このオイルをフラッシュクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/石油エーテル、10/90から30/70(体積:体積))で精製した
2.1g(6.4mmol、収率52%)の表題化合物が白色固体として得られた。
【0124】
MS/ESl+ 326−328〜330 m/z[MH]+1H NMR(CDCl3、7.26ppmで較正)、3.91および3.95(2s,6H)、4.62(s,2H)、6.91−6.95(d,1H)、7.53−7.54(d,1H)、7.67−7.75(dd,1H)、8.49(s,2H)
適当な溶媒を用いて、次の中間体を前記経路で調製した。
【0125】
【表2】

【0126】
(実施例3) 2−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エタノール(スキームの中間体(2))の調製
経路A
水素化ホウ素ナトリウムNaBH4(45.2mg、2.5当量)を、窒素雰囲気下、室温で2−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エタノン(150mg、1当量)のCH3OH(5ml)懸濁液に添加する。混合物を室温で終夜撹拌し、次いで反応を水でクエンチし、EtOAcで抽出する。有機層をNa2SO4で乾燥し、溶媒を蒸発させる。粗生成物を、石油エーテル/EtOAc:9/1(体積/体積)から石油エーテル/EtOAc:7/3(体積/体積)への勾配溶離によってシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製して、75mgの表題化合物を得る(収率50%)。
【0127】
MS/ESI+ 328〜330〜332[MH]+
適当な溶媒を用いて、次の中間体を前記経路で調製した。
【0128】
【表3】

【0129】
(実施例4) 2−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エタノール(スキームの中間体(2))の調製
経路B
3,5−ジクロロ−4−メチルピリジン(500mg、1当量)を、窒素雰囲気下、−60℃で乾燥THF(2mL)に溶解する。温度を−55℃未満に維持しながら、LiN(TMS)2(THF中1.0M、3.38mL、1.1当量)をシリンジで滴下する。混合物は黄色になり、−60℃で約30分間撹拌する。次いで、温度を−55℃未満に維持しながら、3,4−ジメトキシベンズアルデヒド(513mg、1当量)の乾燥THF(2mL)溶液をシリンジで滴下する。滴下後、混合物を室温までゆっくり温め、室温で約2時間撹拌する。次いで、これを水でクエンチし、EtOAcで抽出する。有機層をNa2SO4で乾燥し、溶媒を蒸発させる。粗生成物をEt2Oで粉末にし、濾過して、741mgの表題化合物を白色固体として得る(収率73%)。MS/ESI+ 328〜330〜332[MH]+
【0130】
(実施例5) (S)−2−(4−イソブチル−フェニル)−プロピオン酸2−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)エチルエステル(化合物1)の調製
(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩)(EDC.HCl)(345mg、3当量)を、窒素雰囲気下、室温で2−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)−エタノール(200mg、1当量)、(S)−2−(4−イソブチル−フェニル)−プロピオン酸(148mg、1.2当量)、および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(37mg、0.5当量)の乾燥CH2Cl2(8mL)溶液に添加する。混合物を室温で終夜撹拌し、次いでNH4Cl飽和溶液(20ml)で処理し、EtOAcで抽出(2回×20ml)する。有機層を合わせて、Na2SO4で乾燥し、溶媒を蒸発させる。粗生成物を、勾配溶離(石油エーテル/EtOAc:9/1(体積/体積)から石油エーテル/EtOAc:7/3(体積/体積))によってシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製して、259mgの純粋な化合物を得る。
【0131】
適当な試薬を用いて、次の化合物を前記経路で調製した。
【0132】
【表4−1】

【0133】
【表4−2】

【0134】
【表4−3】

【0135】
【表4−4】

【0136】
(実施例6) (S)−2−(4−イソブチル−フェニル)−プロピオン酸2−(3,5−ジクロロ−1−オキシ−ピリジン−4−イル)−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)エチルエステル(化合物13)の調製
化合物1(51.5mg、0.1mmol)をCH2Cl2(1mL)に溶解する。m−クロロ過安息香酸(mCPBA、15mg、0.12mmol)を添加し、得られた溶液を室温で2時間撹拌する。次いで、混合物をCH2Cl2(5mL)で希釈し、1N NaOH(5ml)で抽出する。有機相をNa2SO4で乾燥し、溶媒を蒸発させる。粗生成物を分取HPLCで精製して、37mgの表題化合物を得る。
【0137】
適当な試薬を用いて、次の化合物を同じ経路に従って調製した。
【0138】
【表5−1】

【0139】
【表5−2】

【0140】
試薬を適切に選択し、かつ以前に記載した一般合成に従って、次の化合物を以前の例ですでに記載の方法に類似した方式で調製した。
【0141】
【表6−1】

【0142】
【表6−2】

【0143】
【表6−3】

【0144】
【表6−4】

【0145】
【表6−5】

【0146】
【表6−6】

【0147】
(実施例7) 2−(4−アミノ−フェニル)−プロピオン酸2−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)エチルエステル(化合物16)の調製
化合物10(50mg、0.1mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)(3mL)に溶解する。塩化スズ(SnCl2×2H2O、113mg、0.5mmol)を添加し、得られた混合物を室温で17時間撹拌する。次いで、混合物を水(15mL)で希釈し、Et2Oで抽出(2回×30mL)する。有機相をNa2SO4で乾燥し、溶媒を蒸発させる。粗生成物を分取HPLCで精製して、10mgの表題化合物を得る。
【0148】
【表7】

【0149】
(実施例8) 2−(4−メタンスルホニルアミノ−フェニル)−プロピオン酸2−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)−1−(3,4−ジメトキシ−フェニル)エチルエステル(化合物17)の調製
化合物16(26mg、0.05mmol)を、窒素雰囲気下、乾燥CH2Cl2(10mL)に溶解する。溶液を0℃に冷却し、トリエチルアミン(0.009mL、0.066mmol)およびメタンスルホニルクロリド(0.0052mL、0.06mmol)を添加する。次いで、混合物を室温で17時間反応させる。次いで、反応混合物を水(15mL)で希釈し、AcOEt(2回×30mL)で抽出する。有機相をNa2SO4で乾燥し、溶媒を蒸発させる。粗生成物を分取HPLCで精製して、10mgの表題化合物をジアステレオ異性体の混合物として得る。
【0150】
【表8】

【0151】
(実施例9) 1−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−1−オキシ−ピリジン−4−イル)−エタノール(化合物18)の調製
中間体2b(100mg、0.25mmol)をCHCL3(3mL)に溶解する。m−クロロ過安息香酸(mCPBA、80mg、0.46mmol)を添加し、得られた溶液を終夜、0℃に維持する。
【0152】
次いで、混合物をCHCl3(5mL)で希釈し、1N NaOH(5ml)で洗浄する。有機相をNa2SO4で乾燥し、溶媒を蒸発させる。
【0153】
粗生成物をエタノールで結晶化することによって精製する。白色固体を濾過し、石油エーテルで洗浄して、70mgの表題化合物を得る。
【0154】
適当な試薬を用いて、次の化合物を同じ経路に従って調製した。
【0155】
【表9】

【0156】
(実施例10) 4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−安息香酸1−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−1−オキシ−ピリジン−4−イル)エチルエステル塩酸塩(化合物25)の調製
(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩)(EDC.HCl)(55mg、当量)を、窒素雰囲気下、室温で化合物18(60mg、0.14mmol)、4−(2−ピペリジン−1−イル−エトキシ)−安息香酸(81mg、0.28当量)、および4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(37mg、0.5当量)の乾燥DMF(4mL)溶液に添加する。混合物を室温で終夜撹拌し、次いでNH4Cl飽和溶液(20ml)で処理し、EtOAcで抽出(2回×20ml)する。有機層を合わせて、Na2SO4で乾燥し、溶媒を蒸発させる。粗生成物を分取HPLCで精製する。油状残渣を酢酸エチル(2ml)に溶解し、わずかに過剰の1M 乾燥HClの酢酸エチル溶液を添加する。溶媒が蒸発した後、残渣をメタノール/ジエチルエーテルから結晶化して、14mgの塩酸塩を得る。
【0157】
【表10】

【0158】
記号の説明
*NMR
s=一重線
d=二重線
t=三重線
q=四重線
dd=二重線の二重線
m=多重線
br=ブロード
ESI=エレクトロスプレー。
【0159】
本発明の化合物の薬理活性
(実施例11) 無細胞アッセイにおけるPDE4阻害活性のin vitro測定
U937ヒト単球細胞株をPDE4酵素の供給源として使用した。基本的にTorphy TJら、J.Pharmacol.Exp.Ther.、1992年、263巻、1195〜1205頁に記載されているように、細胞を培養し、収穫し、上清画分を調製した。
【0160】
インキュベーション混合物からのcAMP消失をアッセイすることによって、細胞上清のPDE4活性を測定した。1.6μM cAMPの存在下、試験化合物(50μl)を用いてまたは用いないで、50μlの細胞上清を30℃、終体積200μlで30分間インキュベートした。
【0161】
試験化合物の濃度は10-12M〜10-6Mの範囲であった。反応を熱失活(100℃で2.5分間)によって止め、残留cAMPを電気化学発光(ECL)による免疫測定法で測定した。
【0162】
結果は、試験化合物がcAMP消失の50%阻害をもたらすモル濃度の平均±95%信頼限界(IC50)として表し、例12の表9に報告する。
【0163】
PDE4活性の阻害の百分率は、阻害剤の非存在下におけるcAMP消失を100%、および熱失活した検体におけるcAMP消失を0%と仮定して算出した。
【0164】
本発明を代表する試験化合物のIC50値は、すべて0.2μM未満であった。
【0165】
(実施例12) 末梢血単核細胞(PBMC)アッセイにおけるPDE4阻害活性のin vitro測定
PDE4阻害剤がリポ多糖(LPS)誘導性腫瘍壊死因子αに及ぼすことが知られている阻害活性(末梢血単核細胞(PBMC)でのTNF−α放出)に基づくアッセイは、以前に述べられた方法(Hatzelmann Aら、J.Pharmacol.Exp. Ther.、2001年、297巻、267〜279頁; Draheim Rら、J.Pharmacol.Exp.Ther.、2004年、308巻、555〜563頁)に従って行った。
【0166】
凍結保存したヒトPBMC(100μl/ウェル)を、試験化合物(その濃度は、10-12M〜10-6Mの範囲であった)(50μl)の存在下または非存在下、96ウェルプレート(細胞105個/ウェル)で30分間インキュベートした。続いて、LPS(3ng/ml)を添加した。
【0167】
加湿したインキュベータ中で、95%空気および5%CO2の雰囲気中、37℃で18時間インキュベートした後、培地を回収し、TNF−αをELISAで測定した。
【0168】
結果は、試験化合物がLPS誘導性TNF−α放出の50%阻害をもたらすモル濃度の平均±95%信頼限界(IC50)として表し、表9に報告する。
【0169】
試験化合物の効果は、阻害剤化合物の非存在下におけるLPS誘導性TNF−α産生量を100%、およびLPSの非存在下におけるPBMCでのTNF−α基礎産生量(basal TNF-α production)を0%と仮定して、TNF−α放出の阻害の百分率として算出した。
【0170】
【表11】

【0171】
(実施例13) 低親和性LPDE4を阻害する能力対高親和性HPDE4を競合する能力の評価
LPDE4およびHPDE4への親和性を、それぞれCortijo Jら、Br J Pharmacol、1993年、108巻、562〜568頁、およびDuplantier AJら、J Med Chem、1996年、39巻、120〜125頁に以前述べられたように評価した。
【0172】
試験化合物の濃度は、10-12M〜10-5Mの範囲であった。
【0173】
IC50で表した結果を、表10に報告する。
【0174】
LPDE4の場合、IC50は、試験化合物がcAMP消失の50%阻害をもたらすモル濃度であり、HPDE4の場合、IC50は、試験化合物が[H3]ロリプラムの結合の50%阻害をもたらすモル濃度である。
【0175】
結果から、本発明の化合物はLPDE4をナノモル未満の親和性で阻害したとともに、HPDE4への選択性に対してLPDE4への選択性がかなり高いことが示唆される。
【0176】
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)の化合物
【化1】

[式中、
Zは、
(CH2m(m=0、1、または2);
(CH2nO(n=1、2、または3);
O(CH2p(p=0、1、2、または3);
CH2SO2
CHNR6
CH2NR6
NR6(R6は、H、または直鎖状もしくは分枝状(C1〜C4)アルキルである);
OCOR45;および
CR45
からなる群から選択され、式中、
4は独立に、H、または(C1〜C4)シクロアルキルで場合によって置換されている直鎖状もしくは分枝状(C1〜C4)アルキル、好ましくはメチルから選択され、
5は独立に、直鎖状または分枝状(C1〜C4)アルキル、好ましくはメチル;フェニル;ベンジル;NH2;およびHNCOOR’(R’は、直鎖状または分枝状(C1〜C4)アルキル、好ましくはt−ブチルである)からなる群から選択され、
1およびR2は異なるかまたは同じであり、独立に、
H;
(C3〜C7)シクロアルキルまたは(C5〜C7)シクロアルケニルから選択された1個または複数の置換基で場合によって置換されている直鎖状または分枝状(C1〜C6)アルキル;
(C3〜C7)シクロアルキル;
(C5〜C7)シクロアルケニル;
直鎖状または分枝状(C2〜C6)アルケニル;および
直鎖状または分枝状(C2〜C6)アルキニル
からなる群から選択され、
3は、H、CN、NO2、CF3、およびハロゲン原子からなる群から独立に選択された1個または複数の置換基であり、
Aは、環系、すなわちアリール、(C3〜C8)シクロアルキル、またはヘテロアリールなど飽和、部分不飽和、または不飽和とすることができる単環式または二環式の環であり、前記環系Aは5〜10個の環原子を有し、少なくとも1個の環原子はヘテロ原子(例えば、N、S、またはO)であり、A環系上の場合による置換基RXは、1個または複数とすることができ、同じでも異なってもよく、独立に、
1個または複数の(C3〜C7)シクロアルキルで場合によって置換されている直鎖状または分枝状(C1〜C6)アルキル;
1個または複数の(C3〜C7)シクロアルキルで場合によって置換されている直鎖状または分枝状(C2〜C6)アルケニル;
1個または複数の(C3〜C7)シクロアルキルで場合によって置換されている直鎖状または分枝状(C2〜C6)アルキニル;
(C5〜C7)シクロアルケニル;
フェニル;
(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル;
OR7(R7は、H;1個または複数の(C3〜C7)シクロアルキルで場合によって置換されている(C1〜C10)アルキル;(C3〜C7)シクロアルキル;(C1〜C4)アルキル−(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル;CO(C1〜C6)アルキル;COO(C1〜C6)アルキル;フェニル;ベンジル;(C1〜C10)アルキル−NR89(R8およびR9は独立に、H、直鎖状または分枝状(C1〜C6)アルキルからなる群から選択され、R8およびR9は、これらが結合している窒素原子と一緒に、飽和環、部分飽和環、または不飽和環を形成し、好ましくはNR89は(C1〜C10)アルキルに結合して、例えば飽和、部分飽和、または不飽和のピペリジン環、オキサジン環、イミダゾール環を形成し、これらの環は、(C1〜C4)アルキルで場合によって置換されている、からなる群から選択される);および
ハロゲン原子;
CN;
NO2
NR1011(R10およびR11は、異なるかまたは同じであり、かつ独立に、
H;
フェニルまたは(C3〜C7)シクロアルキルで場合によって置換されている直鎖状または分枝状(C1〜C6)アルキル;
COC65
CO−(C1〜C4)アルキル;
COO−(C1〜C4)アルキル;
CONH−(C1〜C6)アルキル−R12(R12は、
H;
(C1〜C4)アルキル;
OR45からなる群から選択される);および
CONH(C1〜C4)アルキル−N(C1〜C4)アルキル
からなる群から選択され、
あるいは、R10およびR11は、これらが結合している窒素原子と一緒に、飽和または部分飽和環、好ましくはピペリジル環を形成する;
(C1〜C4)アルキル−NR1011
COR12(R12は、フェニル、または直鎖状もしくは分枝状(C1〜C6)アルキルである);
オキソ;
HNSO213(R13は、(C1〜C4)アルキル、またはハロゲン原子もしくは(C1〜C4)アルキル基で場合によって置換されているフェニルである);
SO214(R14は、(C1〜C4)アルキル、OH、またはNR1011であり、R10およびR11は上記に定義した通りである);
SOR15(R15は、フェニルまたは(C1〜C4)アルキルである);
SR16(R16は、H、フェニルまたは(C1〜C4)アルキルである);
COOR17(R17は、H、(C1〜C4)アルキル、フェニルまたはベンジルである);および
(CH2qOR18、式中、q=1、2、3または4、かつR18は、Hまたは(C1〜C4)シクロアルキルである);
からなる群から選択される]
ならびにその薬学的に許容される塩およびそのピリジン環のN−オキシド。
【請求項2】
Aが、1個または複数のRX基で場合によって置換されているフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Aが、1個または複数のRX基で場合によって置換されているヘテロアリール環である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Aが、ピロール、ピラゾール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、およびピランからなる群から選択されたヘテロアリール環である、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
3がハロゲン原子である、請求項1から4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
3が塩素である請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
一般式(II)を有する請求項6に記載の化合物。
【化2】

【請求項8】
Zが(CH2mであり、式中、mは0に等しい、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−安息香酸1−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−1−オキシ−ピリジン−4−イル)エチルエステル(化合物14)である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−安息香酸1−(3−シクロプロピルメトキシ−4−ジフルオロメトキシ−フェニル)−2−(3,5−ジクロロ−ピリジン−4−イル)エチルエステル(化合物11)である、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
ZがCHR5であり、式中、R5は直鎖状または分枝状C1〜C4アルキル、好ましくはメチルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項12】
ZがCR45であり、式中、R4およびR5は共に、直鎖状または分枝状C1〜C4アルキルであり、これらは、結合している炭素原子と一緒に、3、4、5、または6個の炭素原子、好ましくは3個の炭素原子を有する環を形成する、請求項7に記載の化合物。
【請求項13】
前記請求項のいずれかに記載の化合物の調製方法であって、式AZCOOHの酸または式AZCOClの塩化アシルまたは式AZNCOのイソシアネート(式中、AおよびZは上記に定義した通りである)を、一般式(2)のアルコール誘導体の溶液
【化3】

(式中、R1、R2、およびR3は上記に定義した通りである)に添加するステップを含む方法。
【請求項14】
有効成分として請求項1から12のいずれかに記載の化合物を1種または複数の薬学的に許容される担体および/または賦形剤と混合して含む医薬組成物。
【請求項15】
吸入投与に適している請求項20に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記組成物が、β2−アゴニスト、コルチコステロイド、および抗コリン剤または抗ムスカリン剤のクラスから選択された追加の有効成分をさらに含む、請求項14または15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
請求項1から12のいずれかに記載の化合物の医薬品としての使用。
【請求項18】
医薬品を製造するための請求項1から12のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項19】
ホスホジエステラーゼ4(PDE4)の過活性を特徴とし、かつ/またはPDE4活性の阻害が望ましい任意の疾患の予防および/または治療用の医薬品を製造するための請求項1から12のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項20】
疾患が、気道閉塞を特徴とする気道の疾患である、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
疾患が、喘息または慢性気管支炎または慢性閉塞性肺疾患からなる群から選択される、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
望ましくない炎症性免疫応答を特徴とし、もしくはそれを伴い、またはTNF−αおよびPDE4の過剰分泌によって誘発され、もしくはそれを伴う炎症性疾患、障害、または病態を治療する方法であって、それを必要とする対象に、治療上有効量の請求項1から12のいずれかに記載の化合物を投与することを含む方法。

【公表番号】特表2010−535722(P2010−535722A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519351(P2010−519351)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際出願番号】PCT/EP2008/005843
【国際公開番号】WO2009/018909
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(304037234)シエシー ファルマセウティチィ ソシエタ ペル アチオニ (24)
【Fターム(参考)】