説明

ポジ型レジスト材料並びにこれを用いたパターン形成方法

【解決手段】カルボキシル基の水素原子が下記一般式(1)で示される酸不安定基によって置換されている樹脂をベース樹脂にしていることを特徴とするポジ型レジスト材料。


(式中、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基又はアルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。mは1〜4の整数である。)
【効果】本発明のポジ型レジスト材料は、露光前後のアルカリ溶解速度コントラストが大幅に高く、高解像性を有し、露光後のパターン形状とラインエッジラフネスが良好で、その上特に酸拡散速度を抑制し、優れたエッチング耐性を示す。従って、特に超LSI製造用あるいはフォトマスクの微細パターン形成材料、EUV露光用のパターン形成材料として好適なポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型レジスト材料、特に化学増幅ポジ型レジスト材料のベース樹脂として好適な高分子化合物を用いたポジ型レジスト材料、及びパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールの微細化が急速に進んでいる。特にフラッシュメモリー市場の拡大と記憶容量の増大化が微細化を牽引している。最先端の微細化技術としてはArFリソグラフィーによる65nmノードのデバイスの量産が行われており、次世代のArF液浸リソグラフィーによる45nmノードの量産準備が進行中である。次世代の32nmノードとしては、水よりも高屈折率の液体と高屈折率レンズ、高屈折率レジスト膜を組み合わせた超高NAレンズによる液浸リソグラフィー、波長13.5nmの真空紫外光(EUV)リソグラフィー、ArFリソグラフィーの2重露光(ダブルパターニングリソグラフィー)などが候補であり、検討が進められている。
【0003】
電子ビーム(EB)やX線などの非常に短波長な高エネルギー線においてはレジスト材料に用いられている炭化水素のような軽元素は吸収がほとんどなく、ポリヒドロキシスチレンベースのレジスト材料が検討されている。
EB用レジスト材料は、実用的にはマスク描画用途に用いられてきた。近年、マスク製作技術が問題視されるようになってきた。露光に用いられる光がg線の時代から縮小投影露光装置が用いられており、その縮小倍率は1/5であったが、チップサイズの拡大と、投影レンズの大口径化共に1/4倍率が用いられるようになってきたため、マスクの寸法ズレがウエハー上のパターンの寸法変化に与える影響が問題になっている。パターンの微細化と共に、マスクの寸法ズレの値よりもウエハー上の寸法ズレの方が大きくなってきていることが指摘されている。マスク寸法変化を分母、ウエハー上の寸法変化を分子として計算されたMask Error Enhancement Factor(MEEF)が求められている。45nm級のパターンでは、MEEFが4を超えることも珍しくない。縮小倍率が1/4でMEEFが4であれば、マスク制作において実質等倍マスクと同等の精度が必要であることが言える。
マスク製作用露光装置は線幅の精度を上げるため、レーザービームによる露光装置からEBによる露光装置が用いられてきた。更にEBの電子銃における加速電圧を上げることによってよりいっそうの微細化が可能になることから、10keVから30keV、最近は50keVが主流であり、100keVの検討も進められている。
【0004】
ここで、加速電圧の上昇と共に、レジスト膜の低感度化が問題になってきた。加速電圧が向上すると、レジスト膜内での前方散乱の影響が小さくなるため、電子描画エネルギーのコントラストが向上して解像度や寸法制御性が向上するが、レジスト膜内を素抜けの状態で電子が通過するため、レジスト膜の感度が低下する。マスク露光機は直描の一筆書きで露光するため、レジスト膜の感度低下は生産性の低下につながり好ましいことではない。高感度化の要求から、化学増幅型レジスト材料が検討されている。
【0005】
マスク製作用EBリソグラフィーのパターンの微細化と共に、高アスペクト比による現像時のパターン倒れ防止のためにレジスト膜の薄膜化が進行している。光リソグラフィーの場合、レジスト膜の薄膜化が解像力向上に大きく寄与している。これはCMPなどの導入により、デバイスの平坦化が進行したためである。マスク作製の場合、基板は平坦であり、加工すべき基板(例えばCr、MoSi、SiO2)の膜厚は遮光率や位相差制御のために決まってしまっている。薄膜化するためにはレジスト膜のドライエッチング耐性を向上させる必要がある。
【0006】
ここで、一般的にはレジスト膜の炭素の密度とドライエッチング耐性について相関があるといわれている。吸収の影響を受けないEB描画においては、エッチング耐性に優れるノボラックポリマーをベースとしたレジスト材料が開発されている。
特許第3865048号公報(特許文献1)に示されるインデン共重合、特開2006−169302号公報(特許文献2)に示されるアセナフチレン共重合は炭素密度が高いだけでなく、シクロオレフィン構造による剛直な主鎖構造によってエッチング耐性の向上が期待される。
【0007】
また、F2露光と並んで70nm、あるいはそれ以降の微細加工における露光方法として期待される波長5〜20nmの軟X線(EUV)露光において、炭素原子の吸収が少ないことが報告されている。炭素密度を上げることがドライエッチング耐性の向上だけでなく、軟X線波長領域における透過率向上にも効果的である(N. Matsuzawa et al. ; Jp. J. Appl. Phys. Vol. 38 p7109−7113 (1999):非特許文献1)。
微細化の進行と共に、酸の拡散による像のぼけが問題になっている(SPIE Vol. 5039 p1 (2003):非特許文献2)。寸法サイズ45nm以降の微細パターンでの解像性を確保するためには、従来提案されている溶解コントラストの向上だけでなく、酸拡散の制御が重要であることが提案されている(SPIE Vol. 6520 65203L−1 (2007):非特許文献3)。しかしながら、化学増幅型レジスト材料は、酸の拡散によって感度とコントラストを上げているため、ポストエクスポージャベーク(PEB)温度や時間を短くして酸拡散を極限まで抑えようとすると感度とコントラストが著しく低下する。
インダン、テトラヒドロナフタレンの(メタ)アクリル酸エステルの酸不安定基が提案されている。特開2007−279699号公報(特許文献3)では、エステルの結合部分が2級あるいは3級のものが示されており、ヒドロキシスチレンと共重合されたレジスト材料が提案されている。また、下層膜形成材料の出願であるが、特開2007−171893号公報(特許文献4)にはメタクリル酸のインダン、アセナフテン及びフルオレンエステルが例示されている。
バルキーな酸が発生する酸発生剤を添加して酸拡散を抑えることは有効である。そこで、ポリマーに重合性オレフィンを有するオニウム塩の酸発生剤を共重合することが提案されている。特開平4−230645号公報(特許文献5)、特開2005−84365号公報(特許文献6)、特開2006−45311号公報(特許文献7)には、特定のスルホン酸が発生する重合性オレフィンを有するスルホニウム塩、ヨードニウム塩が提案されている。特許第3613491号公報(特許文献8)、特開2006−178317号公報(特許文献9)、特開2008−133448号公報(特許文献10)には、スルホン酸が主鎖に直結したスルホニウム塩が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3865048号公報
【特許文献2】特開2006−169302号公報
【特許文献3】特開2007−279699号公報
【特許文献4】特開2007−171893号公報
【特許文献5】特開平4−230645号公報
【特許文献6】特開2005−84365号公報
【特許文献7】特開2006−45311号公報
【特許文献8】特許第3613491号公報
【特許文献9】特開2006−178317号公報
【特許文献10】特開2008−133448号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】N. Matsuzawa et al. ; Jp. J. Appl. Phys. Vol. 38 p7109−7113 (1999)
【非特許文献2】SPIE Vol. 5039 p1 (2003)
【非特許文献3】SPIE Vol. 6520 65203L−1 (2007)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、従来のポジ型レジスト材料を上回る高解像度でラインエッジラフネスが小さく、露光後のパターン形状が良好であり、更に優れたエッチング耐性を示すレジスト膜を与えるポジ型レジスト材料、特に化学増幅ポジ型レジスト材料のベース樹脂として好適な高分子化合物を用いたポジ型レジスト材料、及びパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、近年要望される高解像度、エッジラフネス(LWR、LER)、露光後の形状が良好で、優れたエッチング耐性を示すポジ型レジスト材料を得るべく鋭意検討を重ねた結果、これにはアセナフテンで置換されたカルボキシル基を有する、特に(メタ)アクリル酸及びその誘導体、スチレンカルボン酸、ビニルナフタレンカルボン酸から選ばれる繰り返し単位を有するポリマーをポジ型レジスト材料、特に化学増幅ポジ型レジスト材料のベース樹脂として用いれば極めて有効であることを知見し、本発明を完成させたものである。
【0012】
以上のことから、本発明者らは、酸拡散を抑えて溶解コントラストとエッチング耐性を向上させるために上記ポリマーをポジ型レジスト材料、特に化学増幅ポジ型レジスト材料のベース樹脂として用いることにより、露光前後のアルカリ溶解速度コントラストが大幅に高く、酸拡散を抑える効果が高く、高解像性を有し、露光後のパターン形状とエッジラフネスが良好であり、更に優れたエッチング耐性を示す、特に超LSI製造用あるいはフォトマスクの微細パターン形成材料として好適なポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料が得られることを知見したものである。
【0013】
本発明のポジ型レジスト材料は、特に、レジスト膜の溶解コントラストが高く、酸拡散を抑える効果が高く、高解像性を有し、露光余裕度があり、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状が良好で、より優れたエッチング耐性を示すものとなる。従って、これらの優れた特性を有することから実用性が極めて高く、超LSI用レジスト材料及びマスクパターン形成材料として非常に有効である。
【0014】
即ち、本発明は、下記ポジ型レジスト材料並びにこれを用いたパターン形成方法を提供する。
請求項1:
カルボキシル基の水素原子が下記一般式(1)で示される酸不安定基によって置換されている樹脂をベース樹脂にしていることを特徴とするポジ型レジスト材料。
【化1】


(式中、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基又はアルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。mは1〜4の整数である。)
請求項2:
下記一般式(2)で示される式(1)の酸不安定基で置換された(メタ)アクリル酸及びその誘導体、スチレンカルボン酸、ビニルナフタレンカルボン酸から選ばれる繰り返し単位aを有する重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物をベース樹脂にしていることを特徴とする請求項1記載のポジ型レジスト材料。
【化2】


(式中、R1、mは前述の通りである。X1は単結合、又は−C(=O)−O−R3−、フェニレン基又はナフチレン基であり、R3は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基又はラクトン環を有していてもよい。R2は水素原子又はメチル基である。)
請求項3:
一般式(2)で示される式(1)の酸不安定基で置換された(メタ)アクリル酸及びその誘導体、スチレンカルボン酸、ビニルナフタレンカルボン酸から選ばれる繰り返し単位aに加えて、ヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シアノ基から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位bを共重合した重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物(但し、0<a<1.0、0<b<1.0、0.05≦a+b≦1.0の範囲である。)をベース樹脂にしていることを特徴とする請求項2記載のレジスト材料。
請求項4:
繰り返し単位bが、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位である請求項3記載のレジスト材料。
請求項5:
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位が、下記一般式(3)で示されるb1〜b8から選ばれることを特徴とする請求項4記載のレジスト材料。
【化3】


(式中、X2、X3は単結合、又は−C(=O)−O−R5−であり、X4、X5は−C(=O)−O−R5−であり、R5は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基である。R4は同一又は異種で水素原子又はメチル基である。Y1、Y2はメチレン基又はエチレン基、Aはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子、nは1又は2である。)
請求項6:
高分子化合物が、更に下記一般式(4)で示されるインデン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン及びこれらの誘導体c1〜c5から選ばれる繰り返し単位を共重合してなることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のレジスト材料。
【化4】


(式中、R9〜R13は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、一部又は全てがハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基又はアルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基である。Zはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子である。)
請求項7:
高分子化合物が、一般式(2)で示される式(1)の酸不安定基で置換された(メタ)アクリル酸及びその誘導体、スチレンカルボン酸、ビニルナフタレンカルボン酸から選ばれる繰り返し単位a、ヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シアノ基から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位bに加えて、下記一般式(5)で示されるスルホニウム塩d1〜d3のいずれかを共重合してなることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のレジスト材料。
【化5】


(式中、R20、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又はアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又はアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦d1≦0.3、0≦d2≦0.3、0≦d3≦0.3、0<d1+d2+d3≦0.3の範囲である。)
請求項8:
更に、有機溶剤及び酸発生剤を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のポジ型レジスト材料。
請求項9:
更に、溶解制御剤を含有するものであることを特徴とする請求項8記載のポジ型レジスト材料。
請求項10:
更に、添加剤として塩基性化合物及び/又は界面活性剤を配合してなることを特徴とする請求項8又は9記載のポジ型レジスト材料。
請求項11:
請求項1〜10のいずれか1項に記載のポジ型レジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後、高エネルギー線で露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
請求項12:
現像液がテトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、又はテトラブチルアンモニウムヒドロキシドを1〜10質量%含む水溶液であることを特徴とする請求項11記載のパターン形成方法。
【0015】
以上のような本発明のポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料の用途としては、例えば、半導体回路形成におけるリソグラフィーだけでなく、マスク回路パターンの形成、あるいはマイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド回路形成にも応用することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のポジ型レジスト材料は、露光前後のアルカリ溶解速度コントラストが大幅に高く、高解像性を有し、露光後のパターン形状とエッジラフネス(LWR、LER)が良好で、その上特に酸拡散速度を抑制し、優れたエッチング耐性を示す。従って、特に超LSI製造用あるいはフォトマスクの微細パターン形成材料、EUV露光用のパターン形成材料として好適なポジ型レジスト材料、特には化学増幅ポジ型レジスト材料を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明に係るレジスト材料は、カルボキシル基の水素原子が少なくとも下記一般式(1)で示される酸不安定基によって置換されている樹脂をベース樹脂にしていることを特徴とするレジスト材料である。
【化6】


(式中、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基又はアルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。mは1〜4の整数である。)
【0018】
この場合、R1として具体的には、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、アセトキシ基、メトキシカルボニル基等が例示され、水素原子、メチル基、メトキシ基、アセトキシ基、メトキシカルボニル基が好ましい。
【0019】
一般式(1)で示される酸不安定基は、好ましくは(メタ)アクリル酸もしくはその誘導体(以下、(メタ)アクリレートと総称する。)、スチレンカルボン酸、ビニルナフタレンカルボン酸のカルボキシル基の水素原子を置換したものであり、下記一般式(2)の重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物であることが好ましい。
【化7】


(式中、R1、mは前述の通りである。X1は単結合、又は−C(=O)−O−R3−、フェニレン基又はナフチレン基であり、R3は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はラクトン環を有していてもよい。R2は水素原子又はメチル基である。なお、ラクトン環を有する炭素数1〜10のアルキレン基としては、下記式
【化8】

のものが挙げられる。)
【0020】
一般式(2)で表される繰り返し単位aは、下記一般式(6)中のa1〜a4で表すことができる。
【化9】


(式中、R1、R2、R3、mは前述と同様である。0<a1+a2+a3+a4<1.0の範囲である。)
これらの酸脱離基は、特にはKrF、EB、EUVリソグラフィーに適用することができる。
【0021】
一般式a1〜a4に示される繰り返し単位を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化10】

【0022】
本発明の繰り返し単位a1を得るための重合性酸不安定エステル化合物は、1−ヒドロキシアセナフテンとメタクリル酸クロリドとの反応によって得ることができる。また、他の繰り返し単位a2〜a4を得るためのエステル化合物も同様にして得ることができる。
【0023】
本発明に係る上記式(1)の酸不安定基を有する高分子化合物は、上記式(2)の(メタ)アクリレート、スチレンカルボン酸、ビニルナフタレンカルボン酸の繰り返し単位aに加えて、ヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シアノ基から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位bが共重合されたものであることが好ましい。この場合、この繰り返し単位bとしては、電子ビーム及びEUV露光によって増感効果があるフェノール性水酸基を有するものが好ましく、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位としては、下記一般式(3)で示されるb1〜b8から選ばれることが好ましい。
【0024】
【化11】


(式中、X2、X3は単結合、又は−C(=O)−O−R5−であり、X4、X5は−C(=O)−O−R5−であり、R5は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基である。R4は同一又は異種で水素原子又はメチル基である。Y1、Y2はメチレン基又はエチレン基、Aはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子、nは1又は2である。)
【0025】
上記フェノール性水酸基を有する繰り返し単位b1〜b8を得るためのモノマーは、下記に示すことができる。
【化12】

【0026】
また、フェノール性水酸基以外のヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル基、エステル基、カルボニル基、又はシアノ基を有する密着性基を有する繰り返し単位bを得るためのモノマーとしては、具体的には下記に例示することができる。
【0027】
【化13】

【0028】
【化14】

【0029】
【化15】

【0030】
【化16】

【0031】
【化17】

【0032】
【化18】

【0033】
ヒドロキシ基を有するモノマーの場合、重合時にヒドロキシ基をエトキシエトキシ基などの酸によって脱保護し易いアセタールで置換しておいて、重合後に弱酸と水によって脱保護を行ってもよいし、アセチル基、ホルミル基、ピバロイル基等で置換しておいて重合後にアルカリ加水分解を行ってもよい。
【0034】
本発明に係る高分子化合物は、更に下記一般式(4)で示されるインデン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン及びこれらの誘導体c1〜c5から選ばれる繰り返し単位を共重合してなることが好ましい。
【0035】
【化19】


(式中、R9〜R13は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、一部又は全てがハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基又はアルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基である。Zはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子である。)
【0036】
この場合、インデン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン及びこれらの誘導体c1〜c5を得るためのモノマーは、具体的には下記に例示することができる。
【化20】

【0037】
更に、重合性オレフィンを有するオニウム塩の酸発生剤dを共重合することもできる。
特開平4−230645号公報、特開2005−84365号公報、特開2006−45311号公報には、特定のスルホン酸が発生する重合性オレフィンを有するスルホニウム塩、ヨードニウム塩が提案されている。特開2006−178317号公報には、スルホン酸が主鎖に直結したスルホニウム塩が提案されている。
【0038】
本発明では、下記一般式(5)で示されるスルホニウム塩を持つ繰り返し単位d1〜d3を共重合することができる。
【化21】


(式中、R20、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又はアルケニレン基であり、カルボニル基(−CO−)、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又はアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦d1≦0.3、0≦d2≦0.3、0≦d3≦0.3、0≦d1+d2+d3≦0.3の範囲である。)
【0039】
-の非求核性対向イオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネート、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド、ビス(パーフルオロブチルスルホニル)イミド等のイミド酸、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド、トリス(パーフルオロエチルスルホニル)メチドなどのメチド酸を挙げることができる。
【0040】
ポリマー主鎖に酸発生剤を結合させることによって酸拡散を小さくし、酸拡散のぼけによる解像性の低下を防止できる。また、酸発生剤が均一に分散することによってエッジラフネス(LWR、LER)が改善される。
【0041】
本発明は酸不安定基を有する繰り返し単位としてaの繰り返し単位を有することを必須とするが、下記一般式(7)で示される酸不安定基R15で置換された(メタ)アクリル酸エステルの繰り返し単位e、酸不安定基R17で置換されたヒドロキシスチレンの繰り返し単位fを追加共重合することもできる。
【化22】


(式中、R14、R16は水素原子又はメチル基を表し、R15、R17は一般式(1)で示される基以外の酸不安定基である。pは1又は2である。)
【0042】
繰り返し単位a、b、c、d、e、f以外に共重合できる繰り返し単位gとしては、スチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルピレン、メチレンインダンなどに由来する繰り返し単位が挙げられる。
【0043】
酸不安定基(一般式(7)のR15、R17の酸不安定基)は、種々選定されるが、同一でも異なっていてもよく、特に下記式(A−1)〜(A−3)で置換された基で示されるものが挙げられる。
【0044】
【化23】

【0045】
式(A−1)において、RL30は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の3級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(A−3)で示される基を示し、3級アルキル基として具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基等が挙げられ、トリアルキルシリル基として具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が挙げられ、オキソアルキル基として具体的には、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が挙げられる。A1は0〜6の整数である。
【0046】
式(A−2)において、RL31、RL32は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。RL33は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
【0047】
【化24】

【0048】
L31とRL32、RL31とRL33、RL32とRL33とは結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するRL31、RL32、RL33はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示し、好ましくは環の炭素数は3〜10、特に4〜10である。
【0049】
上記式(A−1)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
【0050】
更に、下記式(A−1)−1〜(A−1)−10で示される置換基を挙げることもできる。
【化25】

【0051】
ここで、RL37は互いに同一又は異種の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基、RL38は水素原子、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基である。
また、RL39は互いに同一又は異種の炭素数2〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のアリール基である。
A1は上記の通りである。
【0052】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、直鎖状又は分岐状のものとしては、下記式(A−2)−1〜(A−2)−35のものを例示することができる。
【化26】

【0053】
【化27】

【0054】
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、環状のものとしては、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が挙げられる。
【0055】
また、一般式(A−2a)あるいは(A−2b)で表される酸不安定基によってベース樹脂が分子間あるいは分子内架橋されていてもよい。
【化28】

【0056】
式中、RL40、RL41は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。又は、RL40とRL41は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するRL40、RL41は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。RL42は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、B1、D1は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数、C1は1〜7の整数である。Aは、(C1+1)価の炭素数1〜50の脂肪族もしくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基又はヘテロ環基を示し、これらの基はヘテロ原子を介在してもよく、又はその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、カルボニル基又はフッ素原子によって置換されていてもよい。Bは−CO−O−、−NHCO−O−又は−NHCONH−を示す。
【0057】
この場合、好ましくは、Aは2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基、炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基はヘテロ原子を介在していてもよく、またその炭素原子に結合する水素原子の一部が水酸基、カルボキシル基、アシル基又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、C1は好ましくは1〜3の整数である。
【0058】
一般式(A−2a)、(A−2b)で示される架橋型アセタール基は、具体的には下記式(A−2)−36〜(A−2)−43のものが挙げられる。
【化29】

【0059】
次に、式(A−3)においてRL34、RL35、RL36は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基等の1価炭化水素基であり、酸素、硫黄、窒素、フッ素などのヘテロ原子を含んでもよく、RL34とRL35、RL34とRL36、RL35とRL36とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に、炭素数3〜20の環を形成してもよい。
【0060】
式(A−3)で示される3級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基等を挙げることができる。
【0061】
また、3級アルキル基としては、下記に示す式(A−3)−1〜(A−3)−18を具体的に挙げることもできる。
【化30】

【0062】
式(A−3)−1〜(A−3)−18中、RL43は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のフェニル基、ナフチル基等のアリール基を示す。RL44、RL46は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。RL45は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基を示す。
【0063】
更に、下記式(A−3)−19、(A−3)−20に示すように、2価以上のアルキレン基、アリーレン基であるRL47を含んで、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていてもよい。
【化31】

【0064】
式(A−3)−19、(A−3)−20中、RL43は前述と同様、RL47は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、又はフェニレン基等のアリーレン基を示し、酸素原子や硫黄原子、窒素原子などのヘテロ原子を含んでいてもよい。E1は1〜3の整数である。
【0065】
特に(A−3)の酸不安定基としては下記(A−3)−21に示されるエキソ体構造を有する(メタ)アクリル酸エステルの繰り返し単位が好ましく挙げられる。
【化32】


(式中、R14は前述の通り、Rc3は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示す。Rc4〜Rc9及びRc12、Rc13はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい1価の炭化水素基を示し、Rc10、Rc11は水素原子を示す。あるいは、Rc4とRc5、Rc6とRc8、Rc6とRc9、Rc7とRc9、Rc7とRc13、Rc8とRc12、Rc10とRc11又はRc11とRc12は互いに環を形成していてもよく、その場合には炭素数1〜15のヘテロ原子を含んでもよい2価の炭化水素基を示す。またRc4とRc13、Rc10とRc13又はRc6とRc8は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい。また、本式により、鏡像体も表す。)
【0066】
ここで、一般式(A−3)−21に示すエキソ構造を有する繰り返し単位を得るためのエステル体のモノマーとしては特開2000−327633号公報に示されている。具体的には下記に挙げることができるが、これらに限定されることはない。
【0067】
【化33】

【0068】
次に式(A−3)に示される酸不安定基としては、下記式(A−3)−22に示されるフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する(メタ)アクリル酸エステルの酸不安定基を挙げることができる。
【化34】


(式中、R14は前述の通りである。Rc14、Rc15はそれぞれ独立に炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。又は、Rc14、Rc15は互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に脂肪族炭化水素環を形成してもよい。Rc16はフランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルから選ばれる2価の基を示す。Rc17は水素原子又はヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の1価炭化水素基を示す。)
【0069】
フランジイル、テトラヒドロフランジイル又はオキサノルボルナンジイルを有する酸不安定基で置換された繰り返し単位を得るためのモノマーは下記に例示される。なお、Acはアセチル基、Meはメチル基を示す。
【0070】
【化35】

【0071】
【化36】

【0072】
これら高分子化合物を合成するには、1つの方法としては、繰り返し単位a〜gを与えるモノマーのうち所望のモノマーを、有機溶剤中、ラジカル重合開始剤を加え加熱重合を行い、共重合体の高分子化合物を得ることができる。
【0073】
重合時に使用する有機溶剤としてはトルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン等が例示できる。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等が例示でき、好ましくは50〜80℃に加熱して重合できる。反応時間としては2〜100時間、好ましくは5〜20時間である。
【0074】
ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレンを共重合する場合は、ヒドロキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレンの代わりにアセトキシスチレン、アセトキシビニルナフタレンを用い、重合後上記アルカリ加水分解によってアセトキシ基を脱保護してポリヒドロキシスチレン、ヒドロキシポリビニルナフタレンにする方法もある。
【0075】
アルカリ加水分解時の塩基としては、アンモニア水、トリエチルアミン等が使用できる。また反応温度としては−20〜100℃、好ましくは0〜60℃であり、反応時間としては0.2〜100時間、好ましくは0.5〜20時間である。
【0076】
ここで、繰り返し単位a〜gの割合は、下記の通りである。
aは0<a<1.0、好ましくは0.05≦a≦0.8、更に好ましくは0.08≦a≦0.7、
bは0<b<1.0、好ましくは0.1≦b≦0.9、更に好ましくは0.15≦b≦0.8、
cは0≦c<1.0、好ましくは0≦c≦0.9、更に好ましくは0≦c≦0.8、
dは0≦d≦0.5、好ましくは0≦d≦0.4、更に好ましくは0≦d≦0.3、
eは0≦e≦0.5、好ましくは0≦e≦0.4、更に好ましくは0≦e≦0.3、
fは0≦f≦0.5、好ましくは0≦f≦0.4、更に好ましくは0≦f≦0.3、
gは0≦g≦0.5、好ましくは0≦g≦0.4、更に好ましくは0≦g≦0.3
であり、0.2≦a+b+c≦1.0、特に0.3≦a+b+c≦1.0であることが好ましく、a+b+c+d+e+f+g=1である。
なお、例えば、a+b+c=1とは、繰り返し単位a、b、cを含む高分子化合物において、繰り返し単位a、b、cの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%であることを示し、a+b+c<1とは、繰り返し単位a、b、cの合計量が全繰り返し単位の合計量に対して100モル%未満でa、b、c以外に他の繰り返し単位を有していることを示す。
【0077】
本発明のレジスト材料に用いられる高分子化合物は、それぞれ重量平均分子量が1,000〜500,000、好ましくは2,000〜30,000である。重量平均分子量が小さすぎるとレジスト材料が耐熱性に劣るものとなり、大きすぎるとアルカリ溶解性が低下し、パターン形成後に裾引き現象が生じ易くなってしまう。
なお、重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いたポリスチレン換算による測定値である。
【0078】
更に、本発明のポジ型レジスト材料に用いられる高分子化合物においては、多成分共重合体の分子量分布(Mw/Mn)が広い場合は低分子量や高分子量のポリマーが存在するために、露光後、パターン上に異物が見られたり、パターンの形状が悪化したりする。それ故、パターンルールが微細化するに従ってこのような分子量、分子量分布の影響が大きくなり易いことから、微細なパターン寸法に好適に用いられるレジスト材料を得るには、使用する多成分共重合体の分子量分布は1.0〜2.0、特に1.0〜1.5と狭分散であることが好ましい。
また、組成比率や分子量分布や分子量が異なる2つ以上のポリマーをブレンドすることも可能である。
【0079】
本発明の高分子化合物は、ポジ型レジスト材料、特に化学増幅ポジ型レジスト材料のベース樹脂として好適で、このような高分子化合物をベース樹脂とし、これに有機溶剤、酸発生剤、溶解制御剤、塩基性化合物、界面活性剤等を目的に応じ適宜組み合わせて配合してポジ型レジスト材料を構成することによって、露光部では前記高分子化合物が触媒反応により現像液に対する溶解速度が加速されるので、極めて高感度のポジ型レジスト材料とすることができ、レジスト膜の溶解コントラスト及び解像性が高く、露光余裕度があり、プロセス適応性に優れ、露光後のパターン形状が良好でありながら、より優れたエッチング耐性を示し、特に酸拡散を抑制できることから粗密寸法差が小さく、これらのことから実用性が高く、超LSI用レジスト材料として非常に有効なものとすることができる。特に、酸発生剤を含有させ、酸触媒反応を利用した化学増幅ポジ型レジスト材料とすると、より高感度のものとすることができると共に、諸特性が一層優れたものとなり極めて有用なものとなる。
【0080】
また、ポジ型レジスト材料に溶解制御剤を配合することによって、露光部と未露光部との溶解速度の差を一層大きくすることができ、解像度を一層向上させることができる。
【0081】
更に、塩基性化合物を添加することによって、例えばレジスト膜中での酸の拡散速度を抑制し解像度を一層向上させることができるし、界面活性剤を添加することによってレジスト材料の塗布性を一層向上あるいは制御することができる。
【0082】
本発明のポジ型レジスト材料には、本発明のパターン形成方法に用いる化学増幅ポジ型レジスト材料を機能させるために酸発生剤を含んでもよく、例えば、活性光線又は放射線に感応して酸を発生する化合物(光酸発生剤)を含有してもよい。光酸発生剤の成分としては、高エネルギー線照射により酸を発生する化合物であればいずれでも構わない。好適な光酸発生剤としてはスルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミド、オキシム−O−スルホネート型酸発生剤等がある。以下に詳述するが、これらは単独であるいは2種以上混合して用いることができる。
酸発生剤の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0122]〜[0142]に記載されている。
【0083】
本発明のレジスト材料は、更に、有機溶剤、塩基性化合物、溶解制御剤、界面活性剤、アセチレンアルコール類のいずれか1つ以上を含有することができる。
有機溶媒の具体例としては、特開2008−111103号公報の段落[0144]〜[0145]、塩基性化合物としては段落[0146]〜[0164]、界面活性剤は段落[0165]〜[0166]、溶解制御剤としては特開2008−122932号公報の段落[0155]〜[0178]、アセチレンアルコール類は段落[0179]〜[0182]に記載されている。特開2008−239918号公報記載のポリマー型のクエンチャーを添加することもできる。このものは、コート後のレジスト表面に配向することによってパターン後のレジストの矩形性を高める。ポリマー型クエンチャーは、液浸露光用の保護膜を適用したときのパターンの膜減りやパターントップのラウンディングを防止する効果もある。
【0084】
なお、酸発生剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し0.01〜100質量部、特に0.1〜80質量部とすることが好ましく、有機溶剤の配合量は、ベース樹脂100質量部に対し50〜10,000質量部、特に100〜5,000質量部であることが好ましい。また、ベース樹脂100質量部に対し、溶解制御剤は0〜50質量部、特に0〜40質量部、塩基性化合物は0〜100質量部、特に0.001〜50質量部、界面活性剤は0〜10質量部、特に0.0001〜5質量部の配合量とすることが好ましい。
【0085】
本発明のポジ型レジスト材料、例えば有機溶剤と、一般式(1)で示される酸脱離基を有する高分子化合物と、酸発生剤、塩基性化合物を含む化学増幅ポジ型レジスト材料を種々の集積回路製造に用いる場合は、特に限定されないが公知のリソグラフィー技術を適用することができる。
【0086】
例えば、本発明のポジ型レジスト材料を、集積回路製造用の基板(Si、SiO2、SiN、SiON、TiN、WSi、BPSG、SOG、有機反射防止膜等)あるいはマスク回路製造用の基板(Cr、CrO、CrON、MoSi、SiO2等)上にスピンコート、ロールコート、フローコート、ディップコート、スプレーコート、ドクターコート等の適当な塗布方法により塗布膜厚が0.1〜2.0μmとなるように塗布する。これをホットプレート上で60〜150℃、10秒〜30分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間プリベークする。次いで、紫外線、遠紫外線、電子線、X線、エキシマレーザー、γ線、シンクロトロン放射線、真空紫外線(軟X線)等の高エネルギー線から選ばれる光源で目的とするパターンを所定のマスクを通じてもしくは直接露光を行う。露光量は1〜200mJ/cm2程度、好ましくは10〜100mJ/cm2、又は0.1〜100μC/cm2、好ましくは0.5〜50μC/cm2程度となるように露光することが好ましい。次に、ホットプレート上で60〜150℃、10秒〜30分間、好ましくは80〜120℃、30秒〜20分間ポストエクスポージャベーク(PEB)する。
【0087】
更に、0.1〜10質量%、好ましくは2〜10質量%、特に2〜5質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド(TPAH)、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、3秒〜3分間、好ましくは5秒〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像することにより、光を照射した部分は現像液に溶解し、露光されなかった部分は溶解せず、基板上に目的のポジ型のパターンが形成される。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でも電子線、真空紫外線(軟X線)、X線、γ線、シンクロトロン放射線による微細パターニングに最適である。
一般的に広く用いられているTMAH水溶液よりも、アルキル鎖を長くしたTEAH、TPAH、TBAHは現像中の膨潤を低減させてパターンの倒れを防ぐ効果がある。テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)現像液は2.38質量%の水溶液が最も広く用いられている。これは0.26Nに相当し、TEAH、TPAH、TBAH水溶液も同じ規定度であることが好ましい。0.26NとなるTEAH、TPAH、TBAHの質量は、それぞれ3.84質量%、5.31質量%、6.78質量%である。
【実施例】
【0088】
以下、合成例、比較合成例及び実施例、比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いたポリスチレン換算による測定値である。
【0089】
[モノマー合成例]
本発明の重合性酸不安定化合物を以下のように合成した。
[モノマー合成例1]メタクリル酸 アセナフテニル(モノマー1)の合成
【化37】

【0090】
メタクリル酸クロリド120g、1−ヒドロキシアセナフテン170gとトルエン1,500gの混合物に、氷冷、撹拌下、トリエチルアミン111gを添加した。その後、室温にて16時間撹拌した。通常の水系後処理(aqueous work−up)、溶媒留去により粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィーにより精製を行い、目的物のメタクリル酸 アセナフテニルを得た。
同様の方法でモノマー2〜4を得た。
【0091】
【化38】


モノマー1:メタクリル酸 アセナフテニル
モノマー2:メタクリル酸 7−(1−アセナフテニルオキシカルボニル)−2−オキソ
ヘキサヒドロ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イ

モノマー3:4−ビニル安息香酸 アセナフテニル
モノマー4:5−ビニルナフタレンカルボン酸 アセナフテニル
【0092】
また、下記の合成例で用いたPAGモノマー1〜3は以下の通りである。
【化39】


PAGモノマー1:4−メタクリル酸オキシフェニルジフェニルスルホニウム パーフル
オロブタンスルホネート
PAGモノマー2:トリフェニルスルホニウム 2,3,5,6−テトラフルオロ−4−
メタクリロイルオキシベンゼンスルホナート
PAGモノマー3:トリフェニルスルホニウム 1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−
2−メタクリロイルオキシプロパン−1−スルホネート
【0093】
[ポリマー合成例]
[ポリマー合成例1]
2Lのフラスコにモノマー1の6.2g、4−アセトキシスチレン12.2g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体をメタノール100mL、テトラヒドロフラン200mLに再度溶解し、トリエチルアミン10g、水10gを加え、70℃で5時間アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン100mLに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:4−ヒドロキシスチレン=0.26:0.74
重量平均分子量(Mw)=8,400
分子量分布(Mw/Mn)=1.90
この高分子化合物を(ポリマー1)とする。
【0094】
【化40】

【0095】
[ポリマー合成例2]
2Lのフラスコにモノマー1の7.1g、メタクリル酸3−ヒドロキシフェニル12.5g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸3−ヒドロキシフェニル=0.30:0.70
重量平均分子量(Mw)=8,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.97
この高分子化合物を(ポリマー2)とする。
【0096】
【化41】

【0097】
[ポリマー合成例3]
2Lのフラスコにモノマー1の7.1g、メタクリル酸(5−ヒドロキシインダン−2−イル)15.3g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸(5−ヒドロキシインダン−2−イル)=0.30:0.70
重量平均分子量(Mw)=8,200
分子量分布(Mw/Mn)=1.82
この高分子化合物を(ポリマー3)とする。
【0098】
【化42】

【0099】
[ポリマー合成例4]
2Lのフラスコにモノマー1の7.1g、メタクリル酸(5−ヒドロキシインダン−2−イル)8.7g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル6.7g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸(5−ヒドロキシインダン−2−イル):メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル=0.30:0.40:0.30
重量平均分子量(Mw)=8,400
分子量分布(Mw/Mn)=1.84
この高分子化合物を(ポリマー4)とする。
【0100】
【化43】

【0101】
[ポリマー合成例5]
2Lのフラスコにモノマー1の6.3g、インデン1.7g、4−アセトキシスチレン10.4g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体をメタノール100mL、テトラヒドロフラン200mLに再度溶解し、トリエチルアミン10g、水10gを加え、70℃で5時間アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン100mLに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:インデン:4−ヒドロキシスチレン=0.26:0.10:0.64
重量平均分子量(Mw)=8,600
分子量分布(Mw/Mn)=1.74
この高分子化合物を(ポリマー5)とする。
【0102】
【化44】

【0103】
[ポリマー合成例6]
2Lのフラスコにモノマー1の7.1g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル5.3g、4−アセトキシスチレン6.5g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体をメタノール100mL、テトラヒドロフラン200mLに再度溶解し、トリエチルアミン10g、水10gを加え、70℃で5時間アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン100mLに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:4−ヒドロキシスチレン=0.30:0.30:0.40
重量平均分子量(Mw)=8,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.95
この高分子化合物を(ポリマー6)とする。
【0104】
【化45】

【0105】
[ポリマー合成例7]
2Lのフラスコにモノマー1の6.2g、メタクリル酸1−ヒドロキシナフタレン−5−イル6.8g、メタクリル酸テトラヒドロ−2−オキソフラン−3−イル6.8g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸1−ヒドロキシナフタレン−5−イル:メタクリル酸テトラヒドロ−2−オキソフラン−3−イル=0.30:0.30:0.40
重量平均分子量(Mw)=6,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.85
この高分子化合物を(ポリマー7)とする。
【0106】
【化46】

【0107】
[ポリマー合成例8]
2Lのフラスコにモノマー1の6.2g、4−アセトキシスチレン10.4g、アセナフチレン1.7g、溶媒としてテトラヒドロフランを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体をメタノール100mL、テトラヒドロフラン200mLに再度溶解し、トリエチルアミン10g、水10gを加え、70℃で5時間アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン100mLに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:4−ヒドロキシスチレン:アセナフチレン=0.26:0.64:0.10
重量平均分子量(Mw)=5,600
分子量分布(Mw/Mn)=1.69
この高分子化合物を(ポリマー8)とする。
【0108】
【化47】

【0109】
[ポリマー合成例9]
2Lのフラスコにモノマー1の6.7g、7−アセトキシインデン2.0g、4−アセトキシスチレン10.0g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体をメタノール100mL、テトラヒドロフラン200mLに再度溶解し、トリエチルアミン10g、水10gを加え、70℃で5時間アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン100mLに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:7−ヒドロキシインデン:4−ヒドロキシスチレン=0.28:0.10:0.62
重量平均分子量(Mw)=6,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.64
この高分子化合物を(ポリマー9)とする。
【0110】
【化48】

【0111】
[ポリマー合成例10]
2Lのフラスコにモノマー1の6.0g、4−アセトキシスチレン8.1g、6−ヒドロキシクマリン2.7g、クマリン1.5g、溶媒としてテトラヒドロフランを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体をメタノール100mL、テトラヒドロフラン200mLに再度溶解し、トリエチルアミン10g、水10gを加え、70℃で5時間アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン100mLに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:4−ヒドロキシスチレン:6−ヒドロキシクマリン:クマリン=0.25:0.50:0.15:0.10
重量平均分子量(Mw)=5,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.75
この高分子化合物を(ポリマー10)とする。
【0112】
【化49】

【0113】
[ポリマー合成例11]
2Lのフラスコにモノマー1の6.0g、メタクリル酸(5−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル)15.1g、クロモン1.6g、溶媒としてテトラヒドロフランを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸(5−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル):クロモン=0.25:0.65:0.10
重量平均分子量(Mw)=6,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.64
この高分子化合物を(ポリマー11)とする。
【0114】
【化50】

【0115】
[ポリマー合成例12]
2Lのフラスコにモノマー3の7.5g、4−アセトキシスチレン10.5g、クロモン1.6g、溶媒としてテトラヒドロフランを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体をメタノール100mL、テトラヒドロフラン200mLに再度溶解し、トリエチルアミン10g、水10gを加え、70℃で5時間アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン100mLに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー3:4−ヒドロキシスチレン:クロモン=0.25:0.65:0.10
重量平均分子量(Mw)=6,400
分子量分布(Mw/Mn)=1.70
この高分子化合物を(ポリマー12)とする。
【0116】
【化51】

【0117】
[ポリマー合成例13]
2Lのフラスコにモノマー4の8.8g、4−アセトキシスチレン10.2g、クマリン1.8g、溶媒としてテトラヒドロフランを20g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体をメタノール100mL、テトラヒドロフラン200mLに再度溶解し、トリエチルアミン10g、水10gを加え、70℃で5時間アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン100mLに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー4:4−ヒドロキシスチレン:クマリン=0.25:0.63:0.12
重量平均分子量(Mw)=6,200
分子量分布(Mw/Mn)=1.71
この高分子化合物を(ポリマー13)とする。
【0118】
【化52】

【0119】
[ポリマー合成例14]
2Lのフラスコにモノマー1の7.1g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル5.3g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル6.7g、PAGモノマー1の6.5g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー1=0.30:0.30:0.30:0.10
重量平均分子量(Mw)=7,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.88
この高分子化合物を(ポリマー14)とする。
【0120】
【化53】

【0121】
[ポリマー合成例15]
2Lのフラスコにモノマー1の7.1g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル5.3g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル6.7g、PAGモノマー2の5.7g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー2=0.30:0.30:0.30:0.10
重量平均分子量(Mw)=7,700
分子量分布(Mw/Mn)=1.88
この高分子化合物を(ポリマー15)とする。
【0122】
【化54】

【0123】
[ポリマー合成例16]
2Lのフラスコにモノマー1の7.1g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル5.3g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル6.7g、PAGモノマー3の5.6g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー3=0.30:0.30:0.30:0.10
重量平均分子量(Mw)=7,600
分子量分布(Mw/Mn)=1.59
この高分子化合物を(ポリマー16)とする。
【0124】
【化55】

【0125】
[ポリマー合成例17]
2Lのフラスコにモノマー1の3.6g、メタクリル酸−3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル4.1g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル5.3g、メタクリル酸−2,7−ジヒドロ−2−オキソベンゾ[C]フラン−5−イル6.5g、PAGモノマー3の5.6g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸−3−エチル−3−エキソテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸−2,7−ジヒドロ−2−オキソベンゾ[C]フラン−5−イル:PAGモノマー3=0.15:0.15:0.30:0.30:0.10
重量平均分子量(Mw)=7,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.79
この高分子化合物を(ポリマー17)とする。
【0126】
【化56】

【0127】
[ポリマー合成例18]
2Lのフラスコにモノマー1の7.1g、6−アセトキシ−2−ビニルナフタレン6.4g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル6.7g、PAGモノマー3の5.6g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体をメタノール100mL、テトラヒドロフラン200mLに再度溶解し、トリエチルアミン10g、水10gを加え、70℃で5時間アセチル基の脱保護反応を行い、酢酸を用いて中和した。反応溶液を濃縮後、アセトン100mLに溶解し、上記と同様の沈殿、濾過、60℃で乾燥を行い、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:6−ヒドロキシ−2−ビニルナフタレン:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー3=0.30:0.30:0.30:0.10
重量平均分子量(Mw)=8,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.93
この高分子化合物を(ポリマー18)とする。
【0128】
【化57】

【0129】
[ポリマー合成例19]
2Lのフラスコにモノマー1の7.1g、メタクリル酸(5−ヒドロキシインダン−2−イル)6.5g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル6.7g、PAGモノマー3の5.6g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸(5−ヒドロキシインダン−2−イル):メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー3=0.30:0.30:0.30:0.10
重量平均分子量(Mw)=8,200
分子量分布(Mw/Mn)=1.93
この高分子化合物を(ポリマー19)とする。
【0130】
【化58】

【0131】
[ポリマー合成例20]
2Lのフラスコにモノマー1の7.1g、メタクリル酸(5,8−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル)7.4g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル6.7g、PAGモノマー3の5.6g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸(5,8−ジヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル):メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー3=0.30:0.20:0.40:0.10
重量平均分子量(Mw)=8,600
分子量分布(Mw/Mn)=1.98
この高分子化合物を(ポリマー20)とする。
【0132】
【化59】

【0133】
[ポリマー合成例21]
2Lのフラスコにモノマー1の7.1g、メタクリル酸(6−ヒドロキシクマリン−3−イル)7.4g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル6.7g、PAGモノマー3の5.6g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸(6−ヒドロキシクマリン−3−イル):メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー3=0.30:0.20:0.40:0.10
重量平均分子量(Mw)=8,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.82
この高分子化合物を(ポリマー21)とする。
【0134】
【化60】

【0135】
[ポリマー合成例22]
2Lのフラスコにモノマー2の12.5g、メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル5.3g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル6.7g、PAGモノマー3の5.6g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー2:メタクリル酸4−ヒドロキシフェニル:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー3=0.30:0.30:0.30:0.10
重量平均分子量(Mw)=7,900
分子量分布(Mw/Mn)=1.52
この高分子化合物を(ポリマー22)とする。
【0136】
【化61】

【0137】
[ポリマー合成例23]
2Lのフラスコにモノマー1の7.1g、メタクリル酸−4−ヒドロキシ−1−ナフタレン7.1g、メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル6.7g、PAGモノマー3の5.6g、溶媒としてテトラヒドロフランを40g添加した。この反応容器を窒素雰囲気下、−70℃まで冷却し、減圧脱気、窒素ブローを3回繰り返した。室温まで昇温後、重合開始剤としてAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)を1.2g加え、60℃まで昇温後、15時間反応させた。この反応溶液をイソプロピルアルコール1L溶液中に沈殿させ、得られた白色固体を濾過後、60℃で減圧乾燥し、白色重合体を得た。
得られた重合体を13C,1H−NMR、及び、GPC測定したところ、以下の分析結果となった。
共重合組成比(モル比)
モノマー1:メタクリル酸−4−ヒドロキシ−1−ナフタレン:メタクリル酸3−オキソ−2,7−ジオキサトリシクロ[4.2.1.04,8]ノナン−9−イル:PAGモノマー3=0.30:0.20:0.40:0.10
重量平均分子量(Mw)=8,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.74
この高分子化合物を(ポリマー23)とする。
【0138】
【化62】

【0139】
[比較合成例1]
上記ポリマー合成例と同様の方法で下記ポリマーを合成した。
共重合組成比(モル比)
ヒドロキシスチレン:メタクリル酸1−エチルシクロペンチルエステル=0.70:0.30
重量平均分子量(Mw)=9,300
分子量分布(Mw/Mn)=1.86
この高分子化合物を(比較ポリマー1)とする。
【化63】

【0140】
[比較合成例2]
上記ポリマー合成例と同様の方法で下記ポリマーを合成した。
共重合組成比(モル比)
ヒドロキシスチレン:メタクリル酸1−エチルアダマンチルエステル=0.77:0.23
重量平均分子量(Mw)=8,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.96
この高分子化合物を(比較ポリマー2)とする。
【化64】

【0141】
[比較合成例3]
上記ポリマー合成例と同様の方法で下記ポリマーを合成した。
共重合組成比(モル比)
ヒドロキシスチレン:メタクリル酸1−エチルシクロペンチルエステル:インデン=0.73:0.17:0.10
重量平均分子量(Mw)=8,100
分子量分布(Mw/Mn)=1.79
この高分子化合物を(比較ポリマー3)とする。
【化65】

【0142】
[比較合成例4]
上記ポリマー合成例と同様の方法で下記ポリマーを合成した。
共重合組成比(モル比)
ヒドロキシスチレン:メタクリル酸1−エチルシクロペンチルエステル:アセナフチレン=0.75:0.15:0.10
重量平均分子量(Mw)=7,200
分子量分布(Mw/Mn)=1.79
この高分子化合物を(比較ポリマー4)とする。
【化66】

【0143】
[比較合成例5]
上記ポリマー合成例と同様の方法で下記ポリマーを合成した。
共重合組成比(モル比)
ヒドロキシスチレン:メタクリル酸テトラヒドロナフタレン−1−イル=0.70:0.30
重量平均分子量(Mw)=7,200
分子量分布(Mw/Mn)=1.71
この高分子化合物を(比較ポリマー5)とする。
【化67】

【0144】
[実施例、比較例]
上記で合成した高分子化合物を用いて、界面活性剤として住友スリーエム(株)製界面活性剤のFC−4430を100ppm溶解させた溶剤に表1,2に示される組成で溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してポジ型レジスト材料を調製した。
下記表中の各組成は次の通りである。
ポリマー1〜23:上記ポリマー合成例1〜23で得られた高分子化合物
比較ポリマー1〜5:上記比較合成例1〜5で得られた高分子化合物
有機溶剤:PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
CyH(シクロヘキサノン)
PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)
酸発生剤:PAG1、PAG2(下記構造式参照)
塩基性化合物:Amine1、Amine2、Amine3(下記構造式参照)
溶解制御剤:DRI1、DRI2(下記構造式参照)
【0145】
【化68】

【0146】
電子ビーム描画評価
得られたポジ型レジスト材料をHMDS(ヘキサメチルジシラザン)ベーパープライムされた直径6インチφのSi基板上に、クリーントラックMark 5(東京エレクトロン(株)製)を用いてスピンコートし、ホットプレート上で110℃,60秒間プリベークして100nmのレジスト膜を作製した。これに、(株)日立製作所製HL−800Dを用いてHV電圧50keVで真空チャンバー内描画を行った。
描画後直ちにクリーントラックMark 5(東京エレクトロン(株)製)を用いてホットプレート上で60秒間ポストエクスポージャベーク(PEB)を行い、2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間パドル現像を行い、ポジ型のパターンを得た。
得られたレジストパターンを次のように評価した。
120nmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量における、最小の寸法を解像力とし、120nmLSのエッジラフネス(LWR)をSEMで測定した。
レジスト組成とEB露光における感度、解像度の結果を表1,2に示す。
【0147】
【表1】

【0148】
【表2】

【0149】
耐ドライエッチング性評価
耐ドライエッチング性の試験では、上記各ポリマー2gにシクロヘキサノン10gを溶解させて0.2μmサイズのフィルターで濾過したポリマー溶液をSi基板にスピンコートで成膜し、300nmの厚さの膜にし、以下のような条件で評価した。
CHF3/CF4系ガスでのエッチング試験:
東京エレクトロン(株)製ドライエッチング装置TE−8500Pを用い、エッチング前後のポリマー膜の膜厚差を求めた。
エッチング条件は下記に示す通りである。
チャンバー圧力 40.0Pa
RFパワー 1,000W
ギャップ 9mm
CHF3ガス流量 30ml/min
CF4ガス流量 30ml/min
Arガス流量 100ml/min
時間 60sec
この評価では、膜厚差の少ないもの、即ち減少量が少ないものがエッチング耐性があることを示している。
耐ドライエッチング性の結果を表3に示す。
【0150】
【表3】

【0151】
EUV露光評価
上記で合成した高分子化合物を用いて、表4に示される組成で溶解させた溶液を、0.2μmサイズのフィルターで濾過してポジ型レジスト材料を調製した。
得られたポジ型レジスト材料をHMDSベーパープライム処理した直径4インチφのSi基板上にスピンコートし、ホットプレート上で105℃,60秒間プリベークして50nmのレジスト膜を作製した。これに、NA0.3、ダイポール照明でEUV露光を行った。
露光後直ちにホットプレート上で60秒間ポストエクスポージャベーク(PEB)を行い、実施例1と比較例1では2.38質量%のTMAH水溶液で30秒間パドル現像を行い、実施例2では3.84質量%のTEAH水溶液で30秒間パドル現像を行い、実施例3では5.31質量%のTPAH水溶液で30秒間パドル現像を行い、実施例4では6.78質量%のTBAH水溶液で30秒間パドル現像を行い、ポジ型のパターンを得た。
得られたレジストパターンを次のように評価した。
35nmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量における、最小の寸法を解像力とし、35nmLSのエッジラフネス(LWR)をSEMで測定した。
レジスト組成とEUV露光における感度、解像度の結果を表4に示す。
【0152】
【表4】

【0153】
表1,2の結果より、本発明の高分子化合物を用いたレジスト材料は、十分な解像力と感度とエッジラフネスを満たし、また、表3の結果より、エッチング後の膜厚差が小さいことから優れた耐ドライエッチング性を有していることがわかった。更に、表4の結果より、現像液を従来のTMAHからTEAH、TPAH、TBAHに変更することによってパターン倒れを防止することによって解像力とラフネスを改善できることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボキシル基の水素原子が下記一般式(1)で示される酸不安定基によって置換されている樹脂をベース樹脂にしていることを特徴とするポジ型レジスト材料。
【化1】


(式中、R1は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基又はアルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又はシアノ基である。mは1〜4の整数である。)
【請求項2】
下記一般式(2)で示される式(1)の酸不安定基で置換された(メタ)アクリル酸及びその誘導体、スチレンカルボン酸、ビニルナフタレンカルボン酸から選ばれる繰り返し単位aを有する重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物をベース樹脂にしていることを特徴とする請求項1記載のポジ型レジスト材料。
【化2】


(式中、R1、mは前述の通りである。X1は単結合、又は−C(=O)−O−R3−、フェニレン基又はナフチレン基であり、R3は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基であり、エステル基、エーテル基又はラクトン環を有していてもよい。R2は水素原子又はメチル基である。)
【請求項3】
一般式(2)で示される式(1)の酸不安定基で置換された(メタ)アクリル酸及びその誘導体、スチレンカルボン酸、ビニルナフタレンカルボン酸から選ばれる繰り返し単位aに加えて、ヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シアノ基から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位bを共重合した重量平均分子量が1,000〜500,000の範囲である高分子化合物(但し、0<a<1.0、0<b<1.0、0.05≦a+b≦1.0の範囲である。)をベース樹脂にしていることを特徴とする請求項2記載のレジスト材料。
【請求項4】
繰り返し単位bが、フェノール性水酸基を有する繰り返し単位である請求項3記載のレジスト材料。
【請求項5】
フェノール性水酸基を有する繰り返し単位が、下記一般式(3)で示されるb1〜b8から選ばれることを特徴とする請求項4記載のレジスト材料。
【化3】


(式中、X2、X3は単結合、又は−C(=O)−O−R5−であり、X4、X5は−C(=O)−O−R5−であり、R5は単結合、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基である。R4は同一又は異種で水素原子又はメチル基である。Y1、Y2はメチレン基又はエチレン基、Aはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子、nは1又は2である。)
【請求項6】
高分子化合物が、更に下記一般式(4)で示されるインデン、アセナフチレン、クロモン、クマリン、ノルボルナジエン及びこれらの誘導体c1〜c5から選ばれる繰り返し単位を共重合してなることを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載のレジスト材料。
【化4】


(式中、R9〜R13は水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、一部又は全てがハロゲン原子で置換されたアルキル基、アルコキシ基、アルカノイル基又はアルコキシカルボニル基、炭素数6〜10のアリール基、ハロゲン原子、又は1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール基である。Zはメチレン基、酸素原子又は硫黄原子である。)
【請求項7】
高分子化合物が、一般式(2)で示される式(1)の酸不安定基で置換された(メタ)アクリル酸及びその誘導体、スチレンカルボン酸、ビニルナフタレンカルボン酸から選ばれる繰り返し単位a、ヒドロキシ基、ラクトン環、エーテル基、エステル基、カルボニル基、シアノ基から選ばれる密着性基を有する繰り返し単位bに加えて、下記一般式(5)で示されるスルホニウム塩d1〜d3のいずれかを共重合してなることを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載のレジスト材料。
【化5】


(式中、R20、R24、R28は水素原子又はメチル基、R21は単結合、フェニレン基、−O−R33−、又は−C(=O)−Y−R33−である。Yは酸素原子又はNH、R33は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又はアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。R22、R23、R25、R26、R27、R29、R30、R31は同一又は異種の炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、カルボニル基、エステル基又はエーテル基を含んでいてもよく、又は炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基又はチオフェニル基を表す。Z0は単結合、メチレン基、エチレン基、フェニレン基、フッ素化されたフェニレン基、−O−R32−、又は−C(=O)−Z1−R32−である。Z1は酸素原子又はNH、R32は炭素数1〜6の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基、フェニレン基又はアルケニレン基であり、カルボニル基、エステル基、エーテル基又はヒドロキシ基を含んでいてもよい。M-は非求核性対向イオンを表す。0≦d1≦0.3、0≦d2≦0.3、0≦d3≦0.3、0<d1+d2+d3≦0.3の範囲である。)
【請求項8】
更に、有機溶剤及び酸発生剤を含有する化学増幅ポジ型レジスト材料であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のポジ型レジスト材料。
【請求項9】
更に、溶解制御剤を含有するものであることを特徴とする請求項8記載のポジ型レジスト材料。
【請求項10】
更に、添加剤として塩基性化合物及び/又は界面活性剤を配合してなることを特徴とする請求項8又は9記載のポジ型レジスト材料。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載のポジ型レジスト材料を基板上に塗布する工程と、加熱処理後、高エネルギー線で露光する工程と、現像液を用いて現像する工程とを含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項12】
現像液がテトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、又はテトラブチルアンモニウムヒドロキシドを1〜10質量%含む水溶液であることを特徴とする請求項11記載のパターン形成方法。

【公開番号】特開2010−237661(P2010−237661A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48984(P2010−48984)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000002060)信越化学工業株式会社 (3,361)
【Fターム(参考)】