説明

ポンプ装置

【課題】 円筒ばねにより振動・騒音の発生を低減しつつ、円筒ばねの機能低下を防止できるポンプ装置を提供すること。
【解決手段】 モータ出力軸21が径方向に所定量だけ変位したとき出力軸21の端部214の外周に当接して出力軸21の径方向変位を規制するガイド部142をモータ2のケーシング2cまたはポンプハウジング1に形成し、このガイド部142と出力軸21の端部214の外周との間のクリアランスβを、円筒ばね4の径方向変位量が弾性領域内となる大きさに設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置に関し、特にポンプ駆動用モータの出力軸の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載のポンプ装置が知られている。このポンプ装置は、ハウジングにモータが取り付けられ、モータには、プランジャを駆動する出力軸が設けられている。プランジャはハウジングに収容されてポンプ作動を行う。出力軸の2ヵ所に設けられた被支持部は、モータのケーシングに設けられた支持用穴とハウジングに形成された支持用穴とにそれぞれ支持されている。そして、1つの被支持部と該被支持部を支持する支持用穴との間に円筒ばねを介在させている。円筒ばねにより、出力軸の径方向(軸直交方向)の振動を減衰し、振動・騒音の発生を低減している。
【特許文献1】特開2003−214491号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1のポンプ装置は、出力軸から径方向の入力を受ける円筒ばねに対し、円筒ばねの弾性領域以上の負荷が作用すると、円筒ばねのへたり(負荷方向への塑性変形)やクラック(破壊)が生じやすくなり、円筒ばねの振動減衰機能が損なわれるおそれがあった。本発明は上述の従来の問題点に着目して成されたもので、円筒ばねにより振動・騒音の発生を低減しつつ、円筒ばねの機能低下を防止できるポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するため、本発明のポンプ装置は、モータ出力軸が径方向に所定量だけ変位したときモータ出力軸の端部の外周に当接してモータ出力軸の径方向変位を規制するガイド部をモータのケーシングまたはポンプハウジングに形成し、このガイド部とモータ出力軸の端部の外周との間のクリアランスを、円筒ばねの径方向変位量が弾性領域内となる大きさに設定した。
【発明の効果】
【0005】
よって、本発明のポンプ装置にあっては、円筒ばねにより振動・騒音の発生を低減しつつ、円筒ばねの径方向変位量を弾性領域内に制限することで、円筒ばねの機能低下を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明のポンプ装置を実現する最良の形態を、図面に基づき説明する。
【実施例1】
【0007】
[実施例1の構成]
図1は、実施例1のポンプ装置の部分断面図であり、モータ2及びモータ出力軸21に取り付けられた各部品を除く部分について、モータ出力軸21を通る平面で切った断面を示す。以下、説明のため、出力軸21の軸方向にx軸を設定し、モータ2に対してハウジング1の側を正方向とする。また、出力軸21に対して直交する方向(出力軸21の軸直交方向ないし径方向)にy軸を設定する。図2は、ポンプ装置のモータ2をx軸負方向側から見た図であり、ハウジング1を省略して描いている。図3は、ハウジング1(ポンプ3)を除いた部分のポンプ装置の断面図であり、出力軸21を除く部分について、出力軸21を通る平面で切った断面を示す。
【0008】
ポンプ装置は、いわゆるアンチロックブレーキ(ABS)制御や、能動的なブレーキ制御を実行可能な車両用ブレーキ装置(液圧制御装置)に適用されている。ブレーキ装置はいわゆる機電一体型であり、ポンプ装置とカバーを有している。カバーは、ポンプ装置のハウジング1のx軸正方向側の端面(カバー取付面100)に装着されている。カバー内には、電子制御ユニットや電磁弁等のアクチュエータが収容されている。
【0009】
図1に示すように、ポンプ装置は、ハウジング1とモータ2を有している。
ハウジング1は金属や樹脂により略直方体形状に形成されており、その内部にはブレーキ液が流通するブレーキ回路が形成されるほか、液圧源となるポンプ3が収容されている。ポンプ3はプランジャ式であり、第1ポンプ3aと第2ポンプ3bを有している。ハウジング1のx軸負方向側の端面(モータ取付面101)には、ポンプ3を駆動するモータ2が取り付けられている。
【0010】
ハウジング1の内部には、軸収容穴10が、モータ取付面101からx軸正方向に向かって形成されており、カバー取付面100の近くまで穿設されている。軸収容穴10は、モータ取付用穴11と、カム収容穴12と、支持用穴13と、先端支持用穴14とを有している。
【0011】
モータ取付用穴11はモータ取付面101の略中央に開口している。モータ取付用穴11のx軸正方向側に連続して、モータ取付用穴11よりも小径のカム収容穴12が、ハウジング1の2/3程度の深さまで形成されている。カム収容穴12のx軸正方向側に連続して、カム収容穴12よりも小径の支持用穴13が、ハウジング1の(x軸方向)所定深さまで形成されている。支持用穴13のx軸正方向側に連続して、軸収容穴10の最も奥側には、支持用穴13よりも小径の先端支持用穴14が、ハウジング1の(カバー取付面100に近い)所定深さまで形成されている。
【0012】
また、ハウジング1の内部には、カム収容穴12に連通して、ポンプ用穴15(15a,15b)がy軸方向に貫通形成されている。カム収容穴12を挟んでy軸正方向側のポンプ用穴15aには第1ポンプ3aが設けられ、y軸負方向側のポンプ用穴15bには第2ポンプ3bが設けられている。以下、第1ポンプ3aの構成について説明する。
【0013】
ポンプ用穴15aには、シリンダ30が、きつく嵌合されている。シリンダ30には、プランジャ31がy軸方向に摺動自在に挿入されている。プランジャ31のy軸負方向側の基端部311は、カム収容穴12の内部に突出している。プランジャ31のy軸正方向側の先端部312とシリンダ30のy軸正方向側の底部301との間に、ポンプ室32が形成されている。ポンプ室32には、シリンダ30の底部301とプランジャ31の先端部312(に設置されたスプリングリテーナ)との間に、スプリング33が設置されている。プランジャ31は、スプリング33によりy軸負方向側へ付勢されており、基端部311でカム22に当接している。
【0014】
プランジャ31の内部には吸入通路313が設けられている。吸入通路313は、シリンダ30の連通穴302を介してハウジング1側の通路103と連通するとともに、ポンプ室32に連通している。プランジャ31の先端部312には、吸入通路313とポンプ室32とを連通・遮断可能に設けられ吸入行程時に開弁する一方弁構造の吸入弁34が設けられている。
【0015】
また、シリンダ30の底部301には連通穴303が設けられており、連通穴303はポンプ室32と(ポンプ用穴15aをy軸正方向側から塞ぐプラグ34に設けられた)吐出通路340とを連通している。シリンダ30の底部301はプラグ34のy軸負方向側の面に当接しており、底部301には、連通穴303を連通・遮断可能に設けられ吐出行程時に開弁する一方弁構造の吐出弁35が設けられている。
【0016】
第2ポンプ3bも第1ポンプ3aと同様の構成であり、出力軸21に関して第1ポンプ3aと対称に設けられている。
【0017】
モータ2の外周は、金属や樹脂により形成された有底円筒状のケーシング2cにより覆われている。このケーシング2cのx軸正方向側の開口部の外周には、フランジ2fが設けられている。図2に示すように、フランジ2fの3カ所がボルト2gによりハウジング1(モータ取付面101)に固定されている。(図2の下側の)2ヶ所のボルト2gは、(出力軸に対してプランジャ31からの反力が作用する)y軸方向において、モータ2(出力軸21)の軸心Oからの距離(モーメント長)が最も長くなるように、軸心Oを挟んで対称位置に設けられている。
【0018】
(出力軸Oの回転方向における)ケーシング2cの内周には、マグネットリテーナ2mが装着されている。マグネットリテーナ2mには、永久磁石Mが保持されている。マグネットリテーナ2mの内周側で、出力軸21のx軸負方向側の端には、ロータ2aが固定されている。ロータ2aの外周にはコア2kが装着されている。コア2kにはコイル2jが巻き付けられており、コイル2jはマグネットリテーナ2m(永久磁石)の内周面に対向している。
【0019】
ケーシング2cのx軸負方向側の端面における中央部には、支持部としての軸受部23が、x軸負方向側に突出する有底円筒状に形成されている。(出力軸21の回転方向における)軸受部23の内周には、ボールベアリングであるリアベアリング71の外輪710が嵌合されて支持されている。
【0020】
また、ケーシング2cのx軸正方向側の開口端(ハウジング1への取付側)には、開口端を塞ぐようにフロントカバー2dが設置されている。フロントカバー2dの中央部には貫通孔2eが形成されているとともに、貫通孔2eを取り囲んで支持部としての凸部24が、x軸正方向側に膨出する有底環状に形成されている。凸部24の外周は、ハウジング1の軸収容穴10の(x軸負方向側)開口端部に形成された段部1e(図1参照)の内周、すなわちモータ取付用穴11に嵌合している。凸部24の内周には、ボールベアリングであるフロントベアリング72の外輪720が嵌合されて支持されている(図3参照)。
【0021】
次に、図3の断面図により出力軸21の支持構造について説明する。モータ2の出力軸21は、ケーシング2cの内部からフロントカバー2dの貫通孔2eを通ってハウジング1の内部に突出している。この突出する出力軸21は、軸収容穴10に収容されている。
【0022】
出力軸21は、x軸負方向側から順に、第1端部210と、ロータ取付部211と、カム取付部212と、第2端部213とを有している。ロータ取付部211の直径は最も大きく、カム取付部212の直径は、ロータ取付部211よりも若干小さく設けられている。第1及び第2端部210,213の直径は、カム取付部212よりも小さく設けられている。尚、第1端部210の直径は第2端部213よりも僅かに小さい。第1端部210、ロータ取付部211、及び第2端部213の軸心Oは同一である一方、カム取付部212の軸心Pは他の軸部の軸心Oに対して(y軸負方向に)距離αだけ偏心して設けられている。
【0023】
第1端部210はケーシング2cの軸受部23に配置されている。ロータ取付部211のx軸負方向側はケーシング2cの内部に配置されるとともに、ロータ取付部211のx軸正方向側はハウジング1の内部(モータ取付用穴11及びカム収容穴12)に突出して配置されている。カム取付部212はカム収容穴12の内部に配置されている。第2端部213は支持用穴13及び先端支持用穴14の内部に配置されている。
【0024】
第1端部210の外周には、リアベアリング71の内輪711が嵌合されている。すなわち、出力軸21は、第1端部210において、リアベアリング71によって回転自在にケーシング2c(軸受部23)に支持されている。
【0025】
ロータ取付部211のx軸正方向側の外周には、フロントベアリング72の内輪721が嵌合されている。すなわち、出力軸21は、ロータ取付部211のx軸正方向側において、フロントベアリング72によって回転自在にケーシング2c(凸部24)に支持されている。
ロータ取付部211のx軸正方向側の端部には、フロントベアリング72にx軸正方向側で隣接して、バランサウェイト25が設置されている。バランサウェイト25の軸心(重心)は出力軸21の軸心Oに対してy軸正方向側に偏倚している。
【0026】
カム取付部212のx軸負方向側の外周には、ボールベアリングにより構成されたカム22(の内輪221)が装着されている。カム22の軸心はカム取付部212の軸心Pと一致しており、カム22は軸心Oに対して偏心して設置されている。カム22(外輪220)の外周には、ポンプ用穴15a,15bに往復移動可能に支持された第1及び第2ポンプ3a,3bの各プランジャ31の基端部311が当接している。カム取付部212及びカム22の質量の(軸心Oに対する)偏心は、バランサウェイトの質量の(軸心Oに対する)偏心により相殺されるため、カム22の偏心による回転振動が防止されている。
【0027】
第2端部213のx軸負方向側の外周には、ボールベアリングである先端ベアリング73の内輪731が装着されている。先端ベアリング73は、ハウジング1の支持用穴13に収容されている。すなわち、出力軸21は、第2端部213において、先端ベアリング73によって回転自在に、支持用穴13を形成するハウジング1の部分(以下、支持部131という。)に支持されている。図1に示すように、支持用穴13の内周(支持部131)と先端ベアリング73の外周(外輪730)との間には、減衰手段としての円筒ばね4が介在されている。円筒ばね4は、先端ベアリング73の外周(外輪730)に装着されている。
【0028】
第2端部213のx軸正方向側は、ハウジング1の先端支持用穴14に収容されている。
【0029】
図4は円筒ばね4を示し、同図(a)は径方向(y軸方向)から見た側面図、同図(b)は軸方向(x軸方向)から見た正面図である。
円筒ばね4は、金属材料により円筒状に形成された弾性部材であり、径方向での弾性変形に応じて同方向に弾性力を発生する。円筒ばね4は、細長い長方形の帯状部材の両端をつなぎ合わせることで円筒状になる。尚、図4(a)では円筒ばね4が全体としてうねるように描かれているが、円筒ばね4は実際には略円筒形状の状態で取り付けられる。
【0030】
円筒ばね4には、その全周に亘って、内径方向に半円弧状に突出する多数の凸部41が略等間隔に形成されている。円筒ばね4の軸方向における一端部には、内径方向に突出する4つの爪部42が略等間隔に形成されている。その他、円筒ばね4として、例えば、ばね材料に波形形状(ウェーブ)が成形されたトレランスリングを用いることができる。
【0031】
図5は、ハウジング1の支持用穴13及び先端支持用穴14に収容された出力軸の第2端部213を示す。円筒ばね4は、先端ベアリング73の外周(外輪730)に巻き付いて装着されている。円筒ばね4の爪部42は、先端ベアリング73(外輪730)のx軸正方向側の端面と係合している(図示せず)。爪部42は、先端ベアリング73に対して円筒ばね4がx軸負方向側(カム収容穴12の側)に移動することを規制し、先端ベアリング73から円筒ばね4が脱落すること(これによる騒音の発生)を防止している。
【0032】
円筒ばね4は、その外周面が支持用穴13の内周に当接するように設置されているとともに、円筒ばね4の内周側では、各凸部41の内径方向先端が外輪730の外周に当接し、各凸部41が僅かに変形した状態で外輪730に弾接している。
【0033】
図6は、円筒ばね4に径方向で作用する負荷と同方向での円筒ばね4の変位量との関係を示す。変位量がδ以下では、負荷を取り去ると形状が元に戻り変位量がゼロに戻る。この弾性領域内では、負荷(力)と変位量(変形の度合い)が比例する。一方、変位量がδを超えると、弾性限界(負荷Δ、変位量δ)を超えることとなり、円筒ばね4の材料の挙動が弾性から塑性に切り替わる。この塑性領域では、変形が回復されなくなり、円筒ばね4のへたりやクラックが生じやすくなる。
【0034】
図5に示すように、第2端部213のx軸方向長さは、先端ベアリング73のx軸正方向側の端面を越えて突出する寸法に設定されている。このx軸正方向側に突出した第2端部213(以下、突出部214という。)は、ハウジング1の軸収容穴10の最も奥に形成された先端支持用穴14に収容されている。
【0035】
突出部214の外周と先端支持用穴14の内周との間には、y軸方向(径方向)にクリアランスβが設けられている。クリアランスβは、図6に示すように、円筒ばね4の弾性限界となる変位量δよりも(所定の安全率を掛けた)小さい値に設定されている。
【0036】
突出部214のx軸正方向側の端面と先端支持用穴14のx軸正方向側の底面141との間には、軸方向(x軸方向)にクリアランスγが設けられている。クリアランスγは、できるだけ小さく、かつ、出力軸21が(遊びの範囲内で)x軸方向に僅かに移動しても、モータ2の駆動によりポンプ3が作動するとき、突出部214のx軸正方向側の端面と先端支持用穴14の底面141とが接触しない大きさに設定されている。
【0037】
先端支持用穴14のx軸方向深さL1は、できるだけ深く、かつ、ハウジング1のx軸方向寸法を従来のハウジングと同等に保ちつつハウジング1の強度を十分に確保できる範囲内に設定されている。言い換えると、(先端支持用穴14における)突出部214のx軸方向長さL2(=L1−γ)が、できるだけ長くなるように設定されている。このように、先端支持用穴14や突出部214のx軸方向寸法L1,L2は、x軸方向で突出部214と先端支持用穴14とが重なる範囲(L2)ができるだけ大きくなるように設けられている。
【0038】
[実施例1の作用]
以上のように構成した実施例1のポンプ装置にあっては、モータ2が出力軸21を回転駆動すると、カム22に押圧された各ポンプ3a,3bのプランジャ31がy軸方向に往復移動する。このプランジャ31の往復移動によりポンプ室32の容積が変化する。容積が拡大されたときには、吐出弁35が閉弁するとともに吸入弁34が開弁し、吸入通路313からブレーキ液がポンプ室32内に吸入される。逆に、ポンプ室32の容積が縮小されたときには、吸入弁34が閉弁するとともに吐出弁35が開弁して、ポンプ室32内の流体が吐出通路340に吐出される。このとき、出力軸21には、カム22を介してプランジャ31から径方向(y軸方向)の反力が作用する。
【0039】
実施例1のポンプ装置では、出力軸21を、第1端部210、ロータ取付部211、及び第2端部213の3カ所について、それぞれベアリング71,72,73を介してケーシング2cおよびハウジング1で支持した構造としている(図3参照)。すなわち、出力軸21をその両端で両持ち支持しているため、高い支持剛性を得ることができ、プランジャ31から反力が作用しても、出力軸21の径方向(軸直交方向)への比較的大きな振幅の振動を防止することができる。
【0040】
ここで、出力軸21の第2端部213のx軸負方向側では、円筒ばね4を介在させているため、(第2端部213のx軸負方向側に嵌合された)先端ベアリング73の外周と支持用穴13の内周との間には、径方向に隙間がある。また、第2端部213のx軸正方向側(突出部214)では、突出部214の外周と先端支持用穴14の内周との間に、径方向にクリアランスβが設けられている。よって、上記隙間及びクリアランスβにより、ケーシング2cとハウジング1と出力軸21との軸心位置のずれをある程度許容できる。
【0041】
また、円筒ばね4を出力軸21の(ハウジング1の側の)第2端部213に装着しているため、出力軸21をモータ2のケーシング2cにきつくアッセンブリした後に、モータ2をハウジング1に組み付ける際、円筒ばね4の弾性変形により軸直交方向の寸法誤差を吸収することができるものであり、組付作業性に優れる。
【0042】
尚、以下では、上記のような寸法誤差や軸心位置のずれは考慮しないこととし、ポンプ非作動時に、出力軸21の軸心Oは軸収容穴10の軸心と一致しているものとする。すなわち、突出部214の軸心Oは先端支持用穴14の軸心と一致しており、突出部214の外周と先端支持用穴14の内周との間のクリアランスβは(軸心Oの周りで)等しいものとする。
【0043】
上記のように、実施例1のポンプ装置は、出力軸21の両持ち支持構造により大振幅の振動を防止することができる一方、円筒ばね4により、先端ベアリング73の外周と支持用穴13の内周との間の径方向隙間を埋めている。このため、出力軸21が径方向(軸直交方向)に比較的小さな振幅で振動した場合でも、円筒ばね4の弾性力(変形に比例した反発力)により、この小振幅の振動を減衰させることができる。また、振動に伴う騒音の発生も防止することができる。
【0044】
上記振動減衰機能を発揮する際、円筒ばね4が径方向(y軸方向)に(弾性)変形すると、突出部214も先端支持用穴14の内部で同方向に変位する。ここで、円筒ばね4が設置されている部位(先端ベアリング73)と突出部214との間の軸方向(x軸方向)距離は短いため、突出部214の上記径方向変位量は、円筒ばね4の径方向変位量に略等しいとみなせる。
【0045】
突出部214が先端支持用穴14の軸心からクリアランスβの分だけ径方向に変位すると、先端支持用穴14の内周面が突出部214の外周面に当接し、突出部214がそれ以上径方向に変位することが規制される。このように、先端支持用穴14の内周面を形成するハウジング1の部分142は、出力軸21(突出部214)の径方向移動をガイド(規制)するガイド部として設けられている。
【0046】
円筒ばね4の径方向変位量は、ガイド部142によって、クリアランスβの大きさ以下に抑制されるため、円筒ばね4は常に弾性領域内で使用されることとなる(図6参照)。よって、円筒ばね4が出力軸21から受ける負荷の大きさに関わらず、円筒ばね4の振動減衰機能を確保することが可能となる。言い換えると、円筒ばね4は、円筒ばね4の負荷が弾性領域となる範囲(変位量)に限って使用されるため、塑性領域に至ることがない。よって、円筒ばね4のへたり及びクラックの発生を極力抑えることができる。また、先端ベアリング73から(破壊された)円筒ばね4が乖離することによる騒音の発生を防止することができる。
【0047】
ここで、円筒ばねが設置される支持部はガイド部に隣接して設けられており、上記のように、突出部214の径方向変位量は、円筒ばね4の径方向変位量に略等しいとみなせるため、クリアランスβの設定が容易かつ正確になり、円筒ばねの振動減衰機能の低下をより確実に防止することができる。
【0048】
また、ガイド部により径方向移動が規制される出力軸の部位は、突出部、すなわち出力軸の振幅が最大となる端部である。このため、(突出部よりも出力軸の中央側に設置された)円筒ばね4の径方向変位量はクリアランスβ以下となる。よって、加工や組付の誤差があっても、より確実に円筒ばね4を弾性領域内で使用することができる。
【0049】
また、(ガイド部に対向して径方向移動が規制される)突出部を出力軸の端部に設けているため、従来の支持用穴に連続して先端支持用穴14を形成するだけで、容易にガイド部を設けることができる。(尚、径方向移動が規制される部分をケーシング2c側の出力軸端部に設けた場合であっても、軸受部23の形状を若干変化させるだけでよい。)すなわち、加工が簡単である。また、径方向移動が規制される部分を出力軸端部以外の部位に設けた場合に比べ、位置決め等が容易であり、組付性もよい。
【0050】
このように、出力軸21に高負荷(クリアランスβに対応する負荷Βよりも大きな負荷)が径方向に作用した場合、この負荷に対して先端支持用穴14がストッパの機能を発揮する。すなわち、突出部214の外周と先端支持用穴14の内周(ガイド部142)が接触する。ここで、上記のように突出部214は可能な限り長く設定され、また先端支持用穴14はできるだけ深く設定されており、x軸方向で突出部214と先端支持用穴14とが重なる範囲L2は、(ハウジング1のx軸方向厚さを余分に厚くする必要がない範囲内で、)できるだけ大きく設けられている。すなわち、突出部214と先端支持用穴14とが接触しうる面積が可能な限り増加するように設けられている。よって、突出部214がガイド部142に当接する際、両者に加えられる負荷が分散され、突出部214及びハウジング1(ガイド部142)の単位面積当たりの負荷を低減できるため、耐摩耗性や強度の点で有利である。
【0051】
一方、出力軸21に径方向に作用する負荷が、先端支持用穴14で支持する必要がない程度に小さい(負荷Β以下である)場合には、径方向(y軸方向)において、突出部214の外周と先端支持用穴14の内周(ガイド部142)は接触しない。このとき、軸方向(x軸方向)においても、突出部214のx軸正方向側の端面と先端支持用穴14の底面141との間にクリアランスγが設けられているため、突出部214と先端支持用穴14の底面141は接触することがない。したがって、モータ(ポンプ)性能の安定化を図ることができるだけでなく、両者の接触による音振が発生せず、騒音の発生をより効果的に防止することができる。
【0052】
[実施例1の効果]
以下、実施例1のポンプ装置の効果を列挙する。
【0053】
(1)ハウジング1にモータ2が取り付けられ、モータ2には、ハウジング1に収容されてポンプ作動を行う部材(プランジャ31)を駆動する出力軸21が設けられ、出力軸21の2ヵ所に設けられた被支持部(第1端部210,第2端部213)が、モータ2のケーシング2cに設けられた支持部(軸受部23)とハウジング1に形成された軸収容穴10の内周に設けられた支持部(支持用穴13ないし支持部131)とにそれぞれ支持され、少なくとも1つの被支持部(第2端部213)と該被支持部を支持する支持部131との間に円筒ばね4を介在させたポンプ装置において、出力軸21が径方向に所定量だけ変位したとき出力軸21の端部(突出部214)の外周に当接して出力軸21の径方向変位を規制するガイド部142をハウジング1に形成し、ガイド部142と出力軸端部(突出部214)の外周との間のクリアランスβを、円筒ばね4の径方向変位量が弾性領域内となる大きさに設定した。
【0054】
よって、出力軸21の少なくとも2カ所をハウジング1の側とケーシング2cの側とで両持ち支持して出力軸21の大振幅の振動を防止する一方、小振幅の振動が発生したときは円筒ばね4によりこれを減衰させることで、振動・騒音を効果的に低減することができる。
また、ガイド部142を設けてクリアランスβを設定したことにより、円筒ばね4の径方向変位量が弾性領域内となるため、円筒ばね4のへたりやクラックの発生を抑制し、円筒ばね4の振動減衰機能を確保することできる、という効果を有する。
【0055】
(2)円筒ばね4が設置される支持部(支持用穴13ないし支持部131)を、ガイド部142に隣接して設けた。
よって、クリアランスβを容易かつ正確に設定でき、円筒ばね4の振動減衰機能の低下をより確実に防止することが可能である。
【実施例2】
【0056】
実施例2のポンプ装置は、出力軸21の端部(突出部214)とガイド部142との間に軸受部材が設置されている。以下、実施例1と共通する構成については説明を省略し、相違する構成のみについて説明する。
【0057】
図7は、図1と同様、ポンプ装置の軸方向部分断面を示す。図8は、図5と同様、出力軸21の第2端部213を示す。先端支持用穴14には、出力軸21の端部である突出部214が収容されている。ガイド部142と突出部214との間には、径方向に、軸受部材である最先端ベアリング5が介在されている。最先端ベアリング5は、耐摩耗性に優れた滑り軸受、具体的には(例えば金属材料からなる)オイルレスベアリングであり、その内周が圧入により突出部214の外周に嵌合されている。
【0058】
図8に示すように、最先端ベアリング5の外周とガイド部142(先端支持用穴14)の内周との間には、径方向に、クリアランスβが設けられている。クリアランスβは、実施例1と同様、円筒ばね4の弾性限界となる径方向変位量δよりも小さい値に設定されている(図6参照)。また、突出部214のx軸正方向側の端面と先端支持用穴14の底面141との間には、実施例1と同様、軸方向にクリアランスγが設けられている。
【0059】
最先端ベアリング5のx軸方向幅は、先端支持用穴14における突出部214のx軸方向長さL2と略等しく設けられており、最先端ベアリング5は、先端支持用穴14において突出部214が(x軸方向で)占める全範囲にわたって(すなわち突出部214をできるだけカバーするように)設置されている。先端支持用穴14のx軸方向深さL1、及び(先端支持用穴14における)突出部214のx軸方向長さL2は、実施例1と同様、(ハウジング1のx軸方向寸法を従来のハウジングと同等に保ちつつハウジング1の強度を十分に確保できる範囲内で、)突出部214と先端支持用穴14とが重なる範囲(L2)ができるだけ大きくなるように設けられている。
【0060】
但し、本実施例2においては、寸法L1,L2は、ともに実施例1よりも短く設定されている。また、先端支持用穴14のy軸方向幅、すなわち直径は、最先端ベアリング5を収容している分だけ、実施例1よりも大きく設定されている。
【0061】
(実施例2の作用)
ガイド部142を設けてクリアランスβを設定したことにより、出力軸21が径方向に変位する際、最先端ベアリング5の外周とガイド部142の内周が当接することで、出力軸21の端部において、クリアランスβ以上の出力軸21の径方向変位が規制される。よって、実施例1と同様、円筒ばね4の径方向変位量が弾性領域内となるため、円筒ばね4のへたりやクラックの発生を抑制し、円筒ばね4の振動減衰機能を確保することできる。
【0062】
また、出力軸21の径方向移動を規制する際、出力軸21が直接ガイド部142の内周に接触するのではなく、耐摩耗性を有する最先端ベアリング5の外周がガイド部142の内周に当接する。このため、ガイド部142の内周と出力軸21の端部(突出部214)との間の摩擦による両者の摩耗や、この摩耗による粉塵でいわゆるコンタミ(夾雑物の混入)が発生することを抑制することができる。
【0063】
さらに、出力軸21の径方向移動により最先端ベアリング5がガイド部142に当接する際、上記のように摩耗が抑制されるため、両者に加えられる負荷は実施例1より大きくてもよい。すなわち、最先端ベアリング5及びハウジング1(ガイド部142)の単位面積当たりの負荷が実施例1より大きくても、耐摩耗性や強度を確保できる。このため、実施例1よりも軸方向長さL1,L2を短くでき、ハウジングの軸方向寸法の抑制を図る点で有利である。
【0064】
[実施例2の効果]
(3)ハウジング1にモータ2が取り付けられ、モータ2には、ハウジング1に収容されてポンプ作動を行う部材(プランジャ31)を駆動する出力軸21が設けられ、出力軸21の2ヵ所に設けられた被支持部(第1端部210,第2端部213)が、モータ2のケーシング2cに設けられた支持部(軸受部23)とハウジング1に形成された軸収容穴10の内周に設けられた支持部(支持用穴13ないし支持部131)とにそれぞれ支持され、少なくとも1つの被支持部(第2端部213)と該被支持部を支持する支持部131との間に円筒ばね4を介在させたポンプ装置において、
出力軸21の端部(突出部214)の径方向変位を規制するガイド部142をハウジング1に形成し、ガイド部142と出力軸端部(突出部214)との間で径方向に軸受部材(最先端ベアリング5)を介在させ、軸受部材の外周とガイド部142との間のクリアランス(図8ではβ)、及び軸受部材の内周と出力軸端部の外周との間のクリアランス(図8ではゼロ)の合計βを、円筒ばね4の径方向変位量が弾性領域内となる大きさに設定した。
【0065】
よって、実施例1の(1)と同様の効果を得ることができるとともに、ガイド部142と出力軸21の側の部材(突出部214)における摩擦による摩耗や、この摩耗によるコンタミの発生を抑制することができる。
【0066】
尚、本実施例2では、軸受部材(最先端ベアリング5)の内周を突出部214の外周に圧入し、軸受部材の外周とガイド部142の内周との間にクリアランスβを設けることとしたが、軸受部材の外周をガイド部142の内周に圧入し、軸受部材の内周と突出部の外周との間にクリアランスβを設けることとしてもよい。また、軸受部材を突出部214の外周とガイド部142の内周との間に遊嵌状態で設置してもよい。要は、軸受部材の外周とガイド部142との間のクリアランス、及び軸受部材の内周と出力軸端部(突出部214)の外周との間のクリアランスの合計βが、円筒ばね4を弾性領域内で使用する大きさとなればよい。尚、本実施例2のように軸受部材(最先端ベアリング5)の内周を突出部214の外周に圧入することとすれば、組み付け性を向上できる。
【0067】
(4)円筒ばね4が設置される支持部(支持用穴13ないし支持部131)を、ガイド部142に隣接して設けた。
よって、実施例1の(2)と同様の効果を得ることができる。
【0068】
[他の実施例]
以上、本発明を実施するための最良の形態を、実施例1,2に基づいて説明してきたが、本発明の具体的な構成は実施例1,2に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
【0069】
例えば、実施例1,2ではプランジャタイプのポンプに本発明のポンプ装置を適用することとしたが、ポンプ作動を行う部材からの反力により出力軸の振動が生じるおそれがあるポンプであれば何でもよく、例えばギヤポンプ等に適用することとしてもよい。
【0070】
実施例1,2では、支持部と被支持部との間に介在させる軸受部材として、転がり軸受(ボールベアリング)を用いたが、オイルレスベアリング等の滑り軸受を用いてもよい。
【0071】
実施例1,2では、円筒ばねを軸受部材(先端ベアリング73の外輪730)と支持部との間に設けることとしたが、軸受部材(先端ベアリング73の内輪731)と被支持部(出力軸21の第2端部213)との間に設けることとしてもよい。尚、実施例1,2のように円筒ばねを軸受部材と支持部との間に設けることとした場合、ポンプ装置の組み付け性を向上できる。
【0072】
実施例1,2では、円筒ばね(が設置される被支持部及び支持部)をハウジング側に設けることとしたが、円筒ばねを設ける部位はこれに限らず、ケーシング側(例えば軸受部23とリアベアリング71の間や、凸部24とフロントベアリング72の間)に設けることとしてもよい。また、ハウジング側とケーシング側の両方に設けることとしてもよい。
【0073】
実施例1,2では、出力軸の径方向変位を規制するガイド部(出力軸の端部)をハウジング側に設けることとしたが、ハウジング側でなくケーシング側に設けることとしてもよい。また、ハウジング側とケーシング側の両方に設けることとしてもよい。尚、これらの場合でも、円筒ばね(が設置される被支持部及び支持部)を、ガイド部に近接して(望ましくは隣接して)設けることが、円筒ばねの機能確保の点から好ましい。
【0074】
実施例1,2では、出力軸の端部(突出部214)とハウジング(先端支持用穴14の底面141)との間に軸方向クリアランスγを設けたが、クリアランスγを設ける代わりに、底面141に対向する突出部214の先端形状を(半)球面状に形成することとしてもよい。この場合、突出部214と底面141とが接触したとしてもその接触面積は小さい。よって、クリアランスγをなくしてハウジングのx軸方向厚み増大をより抑制しつつ、実施例1,2と同様の効果を得ることができる。それだけでなく、ガイド部142(先端支持用穴14)の軸心と出力軸の軸心Oとを自動調心させ、出力軸の振れを抑制することも可能になる。
【0075】
実施例1,2では、円筒ばねとして、帯状部材に複数の凸部を有する金属材料のものを用いたが、形状や材料はこれに限定されるものではなく、径方向での弾性変形に応じて同方向に弾性力を発生する部材であれば何でもよい。例えば、弾性力を発生する波形形状は、本実施例1のように複数の凸部41による以外にも適宜形成できる。また、コイルばね等を用いてもよい。また、ばね材料として、金属に限らず、ゴムや樹脂等を用いることとしてもよい。尚、本実施例1のように複数の凸部を有する金属材料の円筒ばねを用いた場合、弾性力の設定や管理がより容易である。
【0076】
実施例1,2では、円筒ばねの軸方向一端部に4つの爪部42を設けることとしたが、爪部の数や形状は適宜変更可能である。また、爪部は必ずしも設けなくてもよい。
【0077】
実施例2では、ガイド部と出力軸端部(突出部214)との間に介在する軸受部材(最先端ベアリング5)として滑り軸受を適用し、オイルレスベアリングを用いたが、耐摩耗性に優れ、かつクリアランスβの管理が容易な滑り軸受であれば何でもよい。
【0078】
実施例2では、ガイド部と出力軸端部(突出部214)との間に介在する軸受部材(最先端ベアリング5)として滑り軸受(オイルレスベアリング)を用いたが、ボールベアリング等の転がり軸受を用いてもよい。この場合、ベアリング外輪をガイド部の内周に圧入し(ベアリング内輪の内周と突出部214の外周との間のクリアランスをβとし)てもよいし、ベアリング内輪を出力軸端部(突出部214)の外周に圧入し(ベアリング外輪の外周とガイド部142の内周との間のクリアランスをβとし)てもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】実施例1のポンプ装置(ハウジング)の軸方向断面図である。
【図2】実施例1のポンプ装置のモータの正面図である。
【図3】実施例1のポンプ装置(モータ出力軸の軸受部)の軸方向断面図である。
【図4】実施例1の円筒ばねを示し、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【図5】実施例1の出力軸の第2端部(ガイド部)を示す。
【図6】実施例1の円筒ばねの負荷と変位量の関係を示す。
【図7】実施例2のポンプ装置(ハウジング)の軸方向断面図である。
【図8】実施例2の出力軸の第2端部(ガイド部)を示す。
【符号の説明】
【0080】
1 ハウジング
10 軸収容穴
13 支持用穴
131 支持部
142 ガイド部
2 モータ
2c ケーシング
23 軸受部(支持部)
21 出力軸
210 第1端部(被支持部)
213 第2端部(被支持部)
214 突出部(出力軸の端部)
31 プランジャ(ポンプ作動を行う部材)
4 円筒ばね
β クリアランス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングにモータが取り付けられ、
前記モータには、前記ハウジングに収容されてポンプ作動を行う部材を駆動する出力軸が設けられ、
前記出力軸の2ヵ所に設けられた被支持部が、前記モータのケーシングに設けられた支持部と前記ハウジングに形成された軸収容穴の内周に設けられた支持部とにそれぞれ支持され、
少なくとも1つの前記被支持部と該被支持部を支持する前記支持部との間に円筒ばねを介在させた
ポンプ装置において、
前記出力軸が径方向に所定量だけ変位したとき前記出力軸の端部の外周に当接して前記出力軸の径方向変位を規制するガイド部を前記ケーシングまたは前記ハウジングに形成し、
前記ガイド部と前記出力軸端部の外周との間のクリアランスを、前記円筒ばねの径方向変位量が弾性領域内となる大きさに設定した
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
ハウジングにモータが取り付けられ、
前記モータには、前記ハウジングに収容されてポンプ作動を行う部材を駆動する出力軸が設けられ、
前記出力軸の2ヵ所に設けられた被支持部が、前記モータのケーシングに設けられた支持部と前記ハウジングに形成された軸収容穴の内周に設けられた支持部とにそれぞれ支持され、
少なくとも1つの前記被支持部と該被支持部を支持する前記支持部との間に円筒ばねを介在させた
ポンプ装置において、
前記出力軸の端部の径方向変位を規制するガイド部を前記ケーシングまたは前記ハウジングに形成し、
前記ガイド部と前記出力軸端部との間で径方向に軸受部材を介在させ、
前記軸受部材の外周と前記ガイド部との間のクリアランス、及び前記軸受部材の内周と前記出力軸端部の外周との間のクリアランスの合計を、前記円筒ばねの径方向変位量が弾性領域内となる大きさに設定した
ことを特徴とするポンプ装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のポンプ装置において、前記円筒ばねが設置される前記支持部を、前記ガイド部に隣接して設けたことを特徴とするポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−116809(P2010−116809A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−289505(P2008−289505)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】