マイクロメカニカル素子、マイクロメカニカル素子を監視するためのセンサ、マイクロメカニカル素子を操作する方法、マイクロメカニカル素子の監視方法、これらの方法を実施するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラムおよびマイクロメカニカル素子の機械的固有共振に影響を与える方法
【課題】改良された特性を有するマイクロメカニカル素子およびマイクロメカニカル素子を監視するための空間を節約するセンサを提供する。
【解決手段】マイクロメカニカル素子100は、可動機能素子110と、第1から第4の保持素子120、130、140、150とを備える。第1の保持素子および機能素子が第1の接合122で接続され、第2の保持素子および機能素子が、第2の接合132で接続され、第3の保持素子および機能素子が、第3の接合142で接続され、かつ第4の保持素子および機能素子が、第4の接合152で接続される。また、第1の保持素子および第2の保持素子は、各々圧電駆動素子124、134を含み、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子が、電気励起により機能素子を動かすよう構成される。
【解決手段】マイクロメカニカル素子100は、可動機能素子110と、第1から第4の保持素子120、130、140、150とを備える。第1の保持素子および機能素子が第1の接合122で接続され、第2の保持素子および機能素子が、第2の接合132で接続され、第3の保持素子および機能素子が、第3の接合142で接続され、かつ第4の保持素子および機能素子が、第4の接合152で接続される。また、第1の保持素子および第2の保持素子は、各々圧電駆動素子124、134を含み、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子が、電気励起により機能素子を動かすよう構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、マイクロメカニカル素子およびマイクロメカニカル素子を監視するためのセンサに関し、かつマイクロメカニカル素子の操作方法およびマイクロメカニカル素子を監視する方法に関する。
【0002】
本発明の他の実施例は、コンパクトドライブおよび/または圧電ドライブ(圧電駆動素子)を有するマイクロメカニカル装置に関する。
【背景技術】
【0003】
たとえば、マイクロメカニカル傾斜ミラーにおいて、ねじりばねに懸垂されたミラー板は、1つの(1Dスキャナ)または2つの(2Dスキャナ)軸により偏向させる。たとえば、このドライブは、櫛状に配列された電極により実現することが可能で、これは、非特許文献1等に示すような装置の基板レベルにおいて形成される。静電駆動装置の欠点は、たとえば、高い駆動電流をたびたび必要とすることおよび電気機械的不安定状態の発生である。
【0004】
ほかにマイクロメカニカル装置用ドライブを実現するために可能なものとしては、磁気ドライブがある。これによれば、磁界において、電流を保持する導体に作用する力を利用する。この場合、大きな力またはトルクそれぞれを発生できる。この原理の欠点は、消費電力が比較的高いことと高い技術的努力(装置上で交差を実現)を要する点である。
【0005】
他には、制御可能な固有材料応力を利用する方法が考えられる。この方法によれば、機械的な偏向を、層システムにおいて、適当な材料の組み合わせにより実現する。機械的応力をたとえば、熱線形拡張(熱機械的効果、バイメタルの原理)の異なる係数によるかまた逆圧電効果により導入する。マイクロメカニカル傾斜ミラーの場合、たとえば実現された曲げモーメントをトルクに変換して、マイクロミラーを偏向できるようにするという問題がある。既存の解決法の多くは、大きな空間を要件とする特徴がある。このため、装置に要する空間が増大し、ひいては生産コストの上昇を招き、集積性が制限されてしまう。
【0006】
マイクロメカニカル素子の例としては、さらに、非特許文献2から4、特許文献1および2などに示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE10 2005 033800 A1公報、A・ウォルター、T・クローゼの「反射面を有するマイクロメカニカル光学素子およびその使用」と題するドイツ公開公報(Mikromechanisches optisches Element mit einer reflektierenden Flache sowie dessen Verwendung, Offenlegungsschrift DE 10 2005 033 800 A1)
【特許文献2】EP0.743.541 A1公報、A・G・M・サフロノフ、「多層圧電可変バイモルフィックミラー」と題するヨーロッパ公開公報(Safronov, A.G.M.: Multiple layer piezoelectric deformable bimorphic mirror, Offenlegungsschrift EP 0.743.541 A1.)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】シェンク・Hによる「光の1次元または二次元屈折に対する新しいマイクロアクチュエータ」、論文2000年、ゲルハルト・メルカトル総合大学、デュースブルグ(Schenk, H: Ein neuartiger Mikroaktor zur ein- und zweidimensionalen Ablenkung von Licht, Dissertation 2000, Gerhard-Mercator-Universitat-Gesamthochschule-Duisburg)
【非特許文献2】S・シュヴィツァー、S・カルマス、M・ラウドン、P・ルノーによる、「大きい角度で低消費の熱アクチュエートされる光学マイクロスキャナ」、センサとアクチュエータ76(1999年)、470ページから477ページ(Schweizer, S.; Calmes, S.; Laudon, M.; Renaud, P.: Thermally actuated optical microscanner with large angle and low consumption, Sensors and Actuators 76 (1999) S. 470-477)
【非特許文献3】S・トッド、A・ジェイン、H・ク、H・シエによる「逆直列接続バイモルフアクチュエータを用いる多自由度系マイクロミラー」、ジャーナル・オブ・オプティクスA、純粋および応用光学8(2006年)、352ページから359ページ(Tood, S.; Jain, A.; Qu, H.; Xie, H: A multi-degree-of-freedom micromirror utilizing inverted-series-connected bimorph actuators, Journal of Optics A; Pure and applied Optics 8 (2006) S. 352-359)
【非特許文献4】ブラザー工業株式会社、「ブラザーがメガネ型着用可能網膜走査ディスプレイを開発」、テクニカル・レポート(2008年)(Brother Industries, Ltd.: Brother Develops Spectacle-type Wearable Retinal Imaging Display, Technical Report (2008) http://www.brother.com/en/news/2008/rid/)
【発明の開示】
【0009】
本発明の目的は、改良された特性を有するマイクロメカニカル素子およびマイクロメカニカル素子を監視するための空間を節約するセンサを提供することである。
【0010】
この目的は、請求項1、10または19に記載の装置および請求項25または29に記載の方法により解決される。
【0011】
本発明の実施例は、可動機能素子と、第1から第4の保持素子とを含むマイクロメカニカル素子を提供する。第1の保持素子はおよび機能素子が、第1の接合で相互に接続され、第2の保持素子および機能素子が、第2の接合で相互に接続され、第3の保持素子および機能素子が、第3の接合で相互に接続され、かつ第4の保持素子および機能素子が、第4の接合で相互に接続される。さらに、第1の保持素子および第2の保持素子は、各々1つの圧電駆動素子を含む。第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子は、電気励起により機能素子を動かすよう構成される。
【0012】
本発明の他の実施例は、可動機能素子と、第1から第4の保持素子とを含むマイクロメカニカル素子を提供する。第1の保持素子および機能素子が、第1の接合で相互に接続され、第2の保持素子および機能素子が、第2の接合で相互に接続され、第3の保持素子および機能素子が、第3の接合で相互に接続され、第4の保持素子および機能素子が第4の接合で相互に接続される。第1から第4の接合が、1平面内に存在し、第1の接合が、対称軸に関して第3の接合と対称に配設され、第2の接合が、対称軸に関して第4の接合と対称に配設される。また、第1から第4の保持素子の各々が、少なくとも1部分で、対称軸に対して平行に延在する。第1の保持素子および第2の保持素子が、各々1つの駆動素子を含み、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子が、励起によって機能素子を動かすよう構成される。
【0013】
本発明の他の実施例は、マイクロメカニカル素子を監視するためのセンサを提供し、マイクロメカニカル素子が、可動機能素子と保持素子とを有する。接合で、保持素子が機能素子に接続される。こうして、保持素子が機能素子の動きに際して変形される。マイクロメカニカル素子を監視するためのセンサが、センサ素子を含み、このセンサ素子が保持素子内または上に配設され、かつ保持素子の変形を検出するよう構成される。これにより、マイクロメカニカル素子の機能素子の動きの監視が可能になる。
【0014】
本発明の他の実施例は、マイクロメカニカル素子を操作する方法を提供し、マイクロメカニカル素子が、可動機能素子と、第1から第4の保持素子とを有する。これにより、第1の保持素子および機能素子が、第1の接合で相互に接続され、第2の保持素子および機能素子が、第2の接合で相互に接続され、第3の保持素子および機能素子が、第3の接合で相互に接続され、第4の保持素子および機能素子が、第4の接合で相互接続される。さらに、第1の保持素子および第2の保持素子が、各々1つの圧電駆動素子を含み、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子が、電気励起によって機能素子を動かすよう構成される。
【0015】
マイクロメカニカル素子の操作方法は、第1の保持素子の駆動素子の部分上および第2の保持素子の駆動素子の部分上で、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子の電気励起によって、機能素子の動きを励起させるステップを含む。
【0016】
本発明の他の実施例が、マイクロメカニカル素子の監視方法を提供し、マイクロメカニカル素子が、可動機能素子および保持素子を含む。保持素子が、接合で機能素子に接続される。こうして、保持素子が機能素子の動きに際して変形される。これにより、マイクロメカニカル素子を監視する方法が、センサ素子の部分上の保持素子の変形を検出するステップを含み、センサ素子が保持素子内まはた上に配設されて、マイクロメカニカル素子の機能素子の動きの監視を可能にする。
【0017】
本発明のいくつかの実施例は、圧電ドライブをマイクロメカニカル素子の機能素子の保持素子内または上に統合することで、マイクロメカニカル素子のドライブに必要な空間を最小限にするという基本的思想に基づく。空間要件が低い以外にも、逆圧電効果に基づくドライブは電力損失が非常に低く、必要なドライブ電圧が、静電ドライブ等の他の駆動構成に比べて低い。
【0018】
本発明の他の実施例は、対称に配設されたいくつかの保持素子は、マイクロメカニカル素子の機能素子の動的変形を抑えることができ、かつマイクロメカニカル素子の機能素子のドライブを機能素子の保持素子内または上に統合することで、マイクロメカニカル素子の空間要件を減らすことができるとする基本的思想に基づく。これにより、高品質のマイクロメカニカル素子をコンパクトにかつまた費用効果的に設けることができる。
【0019】
本発明のいくつかの他の実施例は、センサ素子をマイクロメカニカル素子の機能素子の保持素子に統合することにより、マイクロメカニカル素子を監視するためのセンサを実現できるとする基本的思想に基づく。機能素子の動きが、保持素子の変形を引き起こすので、保持素子内または上に配設したセンサ素子により保持素子の変形を検出することができ、ひいては機能素子の動きを監視することができる。保持素子内または上にセンサ素子を統合することにより、追加の空間要件を最小にすることができる。
【0020】
本発明のいくつかの実施例は、駆動素子がマイクロメカニカル素子を監視するためのセンサ素子としても使用されるマイクロメカニカル素子に関連する。
【0021】
本発明のいくつかの他の実施例は、センサのセンサ素子をマイクロメカニカル素子のためのドライブとしても使用するマイクロメカニカル素子を監視するためのセンサに関連する。
【0022】
本発明の実施例を、添付の図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子100の模式図である。マイクロメカニカル素子100は、可動機能素子110、第1の保持素子120、第2の保持素子130、第3の保持素子140、および第4の保持素子150を備える。これにより、第1の保持素子120および機能素子110が第1の接合122で接続され、第2の保持素子130および機能素子110が第2の接合132で接続され、第3の保持素子140および機能素子110が第3の接合142で接続され、かつ第4の保持素子150および機能素子110が第4の接合152で接続される。さらに、第1の保持素子120および第2の保持素子130はそれぞれ1つの圧電駆動素子124および134を有する。第1の保持素子120の駆動素子124および第2の保持素子130の駆動素子134は、機能素子110を電気励起により動かすことで実現できる。
【0024】
保持素子120,130内または上に駆動素子124,134(または励起素子)を統合することにより、追加で必要となる空間は皆無か非常に小さいものになる。したがって、マイクロメカニカル素子のドライブをほとんど追加の表面積を必要とせずに集積することができる。マイクロメカニカル素子(またはマイクロエレクトロメカニカル素子)を、こうして、かなり小型に製造することが可能になる。
【0025】
圧電ドライブを使用することにより、たとえば電力の損失を非常に低く抑えることができ、かつ必要な駆動電圧は、他の駆動構成における駆動電圧に比べて比較的小さいものとなる。保持素子は、たとえばねじりばねまたは梁形状のばねとして実現可能なため、ねじ素子と呼ぶことが多い。駆動素子をねじ素子に統合することにより、ねじ率(ねじ定数)に影響が生じ得る。
【0026】
また、2を超える数の保持素子を使用することにより、機能素子110の動的な変形を抑えることができる。駆動素子を保持素子に統合することにより、駆動素子をそれぞれ制御することにより、動的変形をさらに積極的に抑えることができる。
【0027】
また、たとえば、機能素子110の位置および/または動きの状態を検出するために、圧電駆動素子を使用することもできる。したがって、駆動素子が機能素子の動きを駆動するために使用されていないときには、機能素子に動きがあった場合に、関連の保持素子の変形により、圧電ドライブが自動的発生した信号を、読み出しかつ評価することができる。変形をこのように検出することで、機能素子110の位置または動きの状態を決定することができ、これはたとえば、駆動素子の電気励起をそれぞれ適合することにより、機能素子110の動きの最適化を図るために利用することができる。
【0028】
一般に、多くの接合は剛性接合である。多くの場合、機能素子と保持素子とが同じ基板に構成されるので、機能素子と保持素子との間の接合での移行は円滑である。
【0029】
基本的に、マイクロメカニカル素子のこのような構成または構造は、傾斜ミラー等の機能素子の低静電偏向を発生するのにも適している。しかしながら、これは、典型的には、保持素子または梁構造が比較的厚いため、非常にまれである。しかしながら、局所的または全体的に構造上より薄いジオメトリは、使用することができる。これらは、たとえば静電アクチュエータ(静電駆動素子)として使用することができる。
【0030】
図2Aと図2Bは、駆動素子270のさまざまな構成200およびそれぞれの保持素子260の考えられる変形状態を示す模式図である。このように、駆動素子270のさまざまな構成を図2Aに、かつ保持素子260の可能な変形状態の例を図2Bに示す。こうして、保持素子260を、それぞれ破断図および側面図に示す。
【0031】
第1の構成210においては、保持素子260が、左上領域(第1の主表面上および保持素子の第1の端縁)に圧電駆動素子270を備える。圧電駆動素子270に電圧を付与することによって、引っ張り応力(s>0)または圧縮応力(s<0)を発生させることができ、かつこれにより保持素子260を上方または下方に偏向させることができる。駆動素子270の電圧ΔUを変更することで、機械的応力に変化が生じΔs(ΔU → Δs)、これにより、たとえば引っ張り応力(Δs>0)または圧縮応力(Δs<0)が生じる。たとえば、第1の構成210の保持素子260の変形については、引っ張り応力の発生を図示しており、これが保持素子を下方に偏向させる。
【0032】
圧電駆動素子を使用する場合、たとえば付与する電圧の極性を変換させることにより、保持素子を異なる方向に偏向させることができる。
【0033】
第2の構成220では、保持素子260の左端縁の上側および下側(第1の主表面上および保持素子の第1の端縁)に駆動素子270を示す。一方の駆動素子の電圧は、引っ張り応力が生じるように選択し、他方の電圧は、圧縮応力が生じるように選択すれば、保持素子260を、第1の構成210と同様に、ただし、かなり強く上方と下方に偏向させることができる。
【0034】
第3の構成230では、保持素子260の上側の左右端縁各々(保持素子の第1の端縁の第1の主表面上および第2の端縁の第1の主表面上)に1つの圧電駆動素子270を示す。これら2つの駆動素子270の一方が引っ張り応力を発生し、他方が圧縮応力を生じるように、これら駆動素子に電圧を付与すると、保持素子を一方端で上方へ変形させ、他方端で下方に変形させることができ、またはその逆も可能である。
【0035】
駆動素子の第4の構成240により保持素子の同様の変形が得られ、駆動素子270が、左上(保持素子の主表面上および第1の端縁)と右下(保持素子の第2の主表面上および第2の端縁)に配設される。しかしながら、引っ張り応力または圧縮応力の両方を駆動素子270に発生させるように、付与電圧を選ぶ必要がある。
【0036】
同様に、保持素子260のこの変形も、保持素子260の下側の左右端縁(保持素子の第2の主表面の第1の端縁および第2の端縁)に駆動素子270を配設することによりまたはひとつの駆動素子270を左下(保持素子の第2の主表面の第1の端縁)および1つの駆動素子270を右上(保持素子の第1の主表面の第2の端縁上)に配設することにより得ることができる。
【0037】
第5の構成で250は、一方の保持素子260において4つの駆動素子270を統合するための例を示す。これにより、異なる駆動素子に付与される電圧に応じて、第1の構成210および第2の構成220または第3の構成230および第4の構成により得られるとおり、保持素子の変形が得られるが、この場合最大偏向はより高度である。
【0038】
図示される実施例は、保持素子に統合されるドライブの選択肢であり、保持素子は梁構造と称することもできる。
【0039】
基本的には、図2Aに示すとおり、駆動素子270を保持素子に統合させるか、またはたとえば保持素子上に配設することもできる。
【0040】
圧電ドライブの場合、アクチュエータ構造(機能層)とも呼ばれる駆動素子を、モノモルフまたはバイモルフおよびマルチモルフ構造として実現することができ、後者は、圧電機能層の直列または並列接続において実現できる。
【0041】
図3は、例として、圧電駆動素子300の可能な構造の模式図を示す。圧電駆動素子300は、保持素子260内に統合され、いくつかの層を含む。圧電材料310と絶縁層320(非圧電)とが交互に存在する。圧電材料層310の2つの対向する面上に電極330が1つずつ配設される。圧電材料層310のそれぞれ同じ側面の電極330は、配線340および/またはボンディングにより相互に接続される。図示した例は、圧電トリモフ構造を並列に接続したものである。
【0042】
図4は、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子400の模式図である。マイクロメカニカル素子は、可動機能素子410、第1の保持素子420、第2の保持素子430、第3の保持素子440、および第4の保持素子450を備える。この場合、第1の保持素子420および機能素子410が第1の接合422で相互に接続され、第2の保持素子430および機能素子410が第2の接合432で相互に接続され、第3の保持素子440および機能素子410が第3の接合442で相互に接続され、かつ第4の保持素子450および機能素子410が第4の接合452で相互に接続される。
【0043】
さらに、第1から第4の接合は、ある平面内に存在し、第1の接合422は、第3の接合442と、対称軸460に関して(各々距離Aで)対称に配設される。同様に、第2の接合432は、第4の接合452と、対称軸460に関して(各々距離Bで)対称に配設される。
【0044】
さらに、第1から第4の保持素子の各々が、少なくとも一部分で、対称軸460に並行に延在する。第1および第2の保持素子420および430は、それぞれ1つの駆動素子424および434を有し、第1の保持素子420の駆動素子424および第2の保持素子430の駆動素子434は、励起により機能素子410を動かすよう構成される。
【0045】
2を超える数の保持素子を使用することで、慣性により生じ得る機能素子410の動的変形を最小限にすることができる。これにより、機能素子410を有する保持素子の接合の構成を、機能素子410のジオメトリに適合させることが有効である。機能素子410がたとえば、矩形、方形、または円形の場合、距離AおよびBはほぼ同じ大きさで選択されることになる。たとえば、機能素子410が三角形や滴状であった場合、異なる大きさで距離AおよびBを選択することが有効である。
【0046】
たとえば少なくとも一部分で対称軸に各々平行な保持素子によれば、対称軸を中心とする機能素子の回転運動(したがってこの軸は回転軸とも呼ぶ)を緩和することができかつ/または保持素子を分布ばねとして使用することができる。これにより、機能素子の主表面の重心が対称軸の上に来るはずである。
【0047】
マイクロメカニカル素子400の駆動素子(または励起素子も)については、たとえば熱機械的効果、圧電効果、ピエゾ磁気効果、電気歪み効果および/または磁気歪み効果を利用することができる。こうして、たとえば、図2にすでに示した配列および動きのパターンを実現することができる。この場合、図示のとおり、機械引っ張り応力(Δs>0)または圧縮応力(Δs<0)を(保持素子の)梁の容量のある領域内で、熱機械的効果または逆圧電効果(または電気歪み効果もしくは磁気歪み効果)により発生させる。これにより、構造の偏向を制御可能にできる。
【0048】
熱機械的ドライブと圧電ドライブの動作モードおよび基本特性の両方は同程度なので熱機械的および圧電マルチモルフドライブは、同じ原理に基づく。サーマルドライブと比べて消費電力がより低くかつ外的影響(環境温度等)への依存がより低いため、逆圧電効果に基づくドライブの使用は有利である。
【0049】
また、保持素子に駆動素子を統合するため、必要な空間は少なくて済む。
【0050】
本発明によるいくつかの実施例では、マイクロメカニカル素子の機能素子は、第2の対称軸を有し、この軸は第1の対称軸に直角をなす。この場合、第1の対称軸の同じ側に配設される2つの接合は、第2の対称軸に関して相互に対称に配設される。接合を対称に配設することにより、たとえば機能素子の動的変形を抑えることができる。
【0051】
図5は、発明の実施例に対応するマイクロメカニカル素子を監視するためのセンサ500を示す模式図である。監視されるマイクロメカニカル素子は、可動機能素子510と保持素子520とを含み、保持素子520が接合522で機能素子510と接続される。この場合、保持素子520が機能素子510の動きに際して変形する。
【0052】
マイクロメカニカル素子を監視するためのセンサ500は、センサ素子530を備え、センサ素子530は、保持素子520内または上に配設される。こうして、センサ素子530は、保持素子520の変形を検出して、マイクロメカニカル素子の機能素子510の動きを監視できるように構成される。
【0053】
保持素子520内または上にセンサ素子530を統合することにより、マイクロメカニカル素子を監視するためのセンサのために必要な追加の空間が最小限になる。
【0054】
保持素子520の変形を検出することで、たとえば機能素子510の位置または動きの状態を決定することができる。
【0055】
いくつかの保持素子内または上にいくつかのセンサ素子を配設することで、いくつかの検出位置または動きの検出状態を得ることができ、これら複数の検出位置または検出された動きの状態に基づいて、機能素子510の変形が決定できる。この情報で、マイクロメカニカル素子の駆動素子の電気励起を適合させることにより機能素子510の動的変形をさらに抑えることができる。
【0056】
たとえば圧電センサ素子として、センサ素子が実現されれば、このセンサ素子を、センサとして使用されていない時は、それぞれ電気励起によって、駆動素子として使用することができ、こうして機能素子510を動かすことができる。
【0057】
図6Aおよび6Bは、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子600の模式図を示す。マイクロメカニカル素子600の構造は、基本的に図4に示すマイクロメカニカル素子の構造に相当する。ただし、機能素子610には、4を超える数の保持素子620が使用される。これにより、保持素子の各々が、対称軸460に沿って延びる2つの中央保持素子から離れたところに駆動素子630を備える。
【0058】
図6Aは、マイクロメカニカル素子の平面図であり、図6Bは、その側面図である。図では、明瞭にするために、中央の保持素子のみを断面で示す。対称軸に素って平行に延在する他の保持素子の部分については、図示していない。
【0059】
追加の保持素子を使用することにより、機能素子610の動的変形をさらに抑えることが可能である。
【0060】
これにより、保持素子の対称軸460と平行に延在する部分を、ねじりばねと称することもでき、かつ残りの部分を梁構造と呼ぶことができる。たとえば、プレートやミラープレート等の機能素子に作用する、リセットする機械素子が機能素子(たとえばミラープレート)に生じさせる変形が最小限になるような態様で、梁構造およびねじりばねが配設される。梁構造は、ミラープレートの輪郭に従うので、たとえばこのサスペンションの空間要件は、比較的低いものとなる。
【0061】
記載の構造(保持素子の構成)の目的は、たとえば機能素子(ミラープレート)の慣性に誘導された動的変形を抑えることにある。保持素子を分布ばねとして考えることもできる。
【0062】
これらの分布ばねの梁構造には、たとえばアクチュエータとも呼ばれる熱機械的駆動素子または圧電駆動素子を設けることができる。この方法では、その曲げまたは剛性に影響を与え得る。同時に、たとえば圧電アクチュエータの場合には、機能原理を逆転させることにより(構造の)機能素子の偏向を検出することができる。
【0063】
機械素子600のドライブを、順に、(ミラープレートの)機能素子610の保持素子またはサスペンション内にも統合する。保持素子の特定の構造(特定の構成)により、機械特性等が向上する。
【0064】
図7は、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子700の模式図である。原則として、マイクロメカニカル素子700は、図6に示すマイクロメカニカル素子に相当する。相違点は、機能素子610の形状および保持素子620の形状と数である。
【0065】
また、いくつかの保持素子を対称に配設して、機能素子610の動的変形を抑える。また、駆動素子630を保持素子620内または上に統合する。
【0066】
梁構造(保持素子)のうちいくつかまたは全部に、ドライブ(駆動素子)を設けてもよい。この場合、電気接点という観点からの費用と達成され得る偏向等の利益の間での妥協を図る必要がある。
【0067】
マイクロメカニカル素子の機能素子610の可能な動きのパターンの1つは、対称軸460を中心とする回転動作である。ミラープレートのような機能素子の、平面からはみ出す(機能素子の半分が上方に、残りの半分が下方に動く等)非対称な動きによって、対称軸(回転軸)に関して各々の場合において対向するドライブ(駆動素子)が、反対の方向に作用する。これは、材料の異なる組み合わせまたは(たとえば時間的に)異なる制御プロセスによるものが考えられる。
【0068】
上記のとおり、図8は、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子800の模式図を示す。マイクロメカニカル素子800の基本設計は図7のマイクロメカニカル素子に相当する。しかしながら、保持素子620については、最も外側の保持素子(対称軸から最も遠くに位置する保持素子)のみを駆動に使用する。残りの保持素子は、受動構造を構成し、たとえば動的変形を抑える役割をし、かつ分布ばねとして使用されてもよい。
【0069】
また、第1タイプ730の駆動素子またはアクチュエータと第2タイプ740の駆動素子またはアクチュエータは、区別する。タイプ1のアクチュエータはタイプ2のアクチュエータと反対の方向に作用する。このように、対称軸460(回転軸とも呼ぶ)を中心とする回転動作を発生させることができる。
【0070】
図9は、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子900の他の模式図である。マイクロメカニカル素子900の基本設計は図8のマイクロメカニカル素子に相当する。ただし、保持素子620のうち外側の4つの保持素子のみを駆動に使用するだけではなく、中心に配設された保持素子を除く保持素子の全てが駆動に使用される。
【0071】
対称軸460の一方側の駆動素子の全てが第1タイプ730の素子であり、対称軸460の他方の側は、第2のタイプ740の素子である。
【0072】
タイプ1の駆動素子またはアクチュエータは、タイプ2の駆動素子またはアクチュエータと反対の方向に作用する。上に述べたとおり、これは、材料の異なる組み合わせまたは異なる制御プロセスによりそうすることができる。製造または制御に関して生じる費用が大きすぎる場合には、ミラー等の機能素子610の一方側にのみドライブを設けるか、または前記機能素子610の一方側のみを制御することも可能である。
【0073】
上記にしたがい、図10は、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子1000の模式図である。マイクロメカニカル素子1000の基本設計は既出の図8のマイクロメカニカル素子に相当する。しかしながら、対称軸460の一方側の保持素子620にのみ駆動素子730を装備する。
【0074】
結果として、製造または制御に関する費用は、図8のマイクロメカニカル素子に比べて抑えることができる。しかしながら、達成され得る偏向は明らかにより小さいものとなる。
【0075】
本発明のいくつかの実施例においては、偏向は圧電ドライブ(駆動素子)の場合、機能原理を逆転させることにより検出することができる。この場合、たとえば、(機能素子の)装置の偏向を達成する同じ構造(駆動素子)(アクチュエータ)をセンサとして使用してもよい。
【0076】
1つの可能な方法は、追加の機能層(センサ素子)を統合すること、すなわち、(保持素子の)ジオメトリの部品を専用センサとして使用することである。
【0077】
上記にしたがい、図11は、マイクロメカニカル素子を監視するための統合されたセンサを備えるマイクロメカニカル素子1100の模式図を示す。マイクロメカニカル素子1100の基本設計も図8のマイクロメカニカル素子に相当する。また、外側の保持素子には異なるタイプ730および740の駆動素子を備える。しかしながら、図8に示すマイクロメカニカル素子とは異なり、4つの新たな保持素子は、各々センサ素子1110を備える。
【0078】
センサ素子は、たとえば圧電素子でよい。
【0079】
駆動素子730および740に加えて配設された専用センサ素子1110により、駆動素子の部分上の機能素子610の動きを励起している間、たとえば機能素子610の位置または動きの状態を検出することができる。
【0080】
しかしながら、この構成では、たとえばセンサ(センサ素子)に別々に接触しなければならないので、装置(マイクロメカニカル素子)内の配線の量がかなり増加する。代替的には、アクチュエータ構造(駆動素子)自体をたとえばセンサとしても使用できる。これは、たとえば共振装置内では可能である。応じて配設される圧電機能層を、たとえばセンサ動作とアクチュエータ動作の間で切り替えればよい。
【0081】
この場合、たとえば、最初、圧電機能層(単数または複数)は、(マイクロメカニカル素子の)装置の機械的自己共振に近い励起周波数で共振ドライブとして制御される。これにより、装置内で発振が開始される。
【0082】
その後、ドライブをたとえば、発振期間の4分の1、2分の1、1発振期間または数発振期間の間中断する。一方、装置の時間的偏向は、圧電効果等により測定される。同じ電源線を使用して、ドライブについては、センサ電圧を読み出すことができる。
【0083】
その後、事前に行った測定により訂正できるパラメータで、共振ドライブとしての圧電機能層(単数または複数)を制御して、たとえば、発振度合を調整する。さらにドライブを停止して、時間的偏向を測定することによりこのプロセスを繰り返してもよい。
【0084】
図12は、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子を操作する方法のフローチャート1200である。マイクロメカニカル素子は、可動機能素子および第1から第4の保持素子を備える。第1の保持素子と機能素子とは、第1の接合で相互に接続され、第2の保持素子と機能素子とは第2の接合で相互に接続され、第3の保持素子と機能素子とは第3の接合で相互に接続され、かつ第4の保持素子と機能素子とは第4の接合で相互に接続される。第1および第2の保持素子は、各々、圧電駆動素子を有し、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子は、電気励起により機能素子を動かすよう構成される。
【0085】
マイクロメカニカル素子の操作方法は、励起ステップ1210、すなわち第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子の電気励起による第1の保持素子の駆動素子の部分と第2の保持素子の駆動素子の部分上での機能素子の動きの励起ステップを備える。
【0086】
たとえば、第1の保持素子は、機能素子が動くと変形し、第1の保持素子の駆動素子を選択的にセンサ素子として使用するように構成することが可能である。
【0087】
したがって、マイクロメカニカル素子の操作方法には、第1の保持素子の駆動素子の部分上での機能素子の動きの励起を中断するステップ1220と、第1の保持素子の駆動素子の部分上の保持素子の変形を検出するステップ1230とを任意に含み、これにより機能素子の位置または動きの状態を、検出された変形に基づき検出することができる。
【0088】
マイクロメカニカル素子は、駆動素子の電気励起を制御するよう構成される制御手段を任意に備えてもよい。
【0089】
マイクロメカニカル素子を操作する方法は、したがって、機能素子の検出位置または検出した動きの状態に基づいて、駆動素子の電気励起を制御するステップ1240を任煮に備えてもよい。
【0090】
本発明のいくつかの実施例では、保持素子に統合された駆動素子が、梁構造(保持素子)の剛性に影響を与えることによって装置(マイクロメカニカル素子)の機械的自己共振に影響を与え得る。このようにして、傾斜ミラー等の共振して動作するマイクロメカニカル素子の周波数を同調(周波数を一致)させることができる。
【0091】
本発明の他の実施例においては、傾斜ミラー等のマイクロメカニカル素子の機械的自己共振に近い周波数で梁構造内(駆動素子の部分上の保持素子内で)に交流負荷を発生させることにより、機械的発振を直接的に励起してもよい。
【0092】
本発明のいくつかの実施例においては、たとえば駆動素子を対応して制御することにより、ミラープレート等のマイクロメカニカル素子の機能素子の動的変形に対して積極的に影響を与えかつ/またはこれを減らすことも可能である。
【0093】
本発明の他の実施例においては、動作原理を逆転させることにより、(マイクロメカニカル素子の機能素子の)構造の偏向を時間分解検出することができる。たとえば、これは、圧電効果または逆圧電効果であってもよい。そして、圧電駆動素子を圧電センサ素子として使用してもよい。
【0094】
本発明のいくつかの実施例において、たとえば動的変形を抑えるために使用する構造(保持素子)がすでに存在する場合には、保持素子内に駆動素子を統合することにより、追加のスペースは不要かまたは必要でも非常に少ないスペースで済む。
【0095】
本発明の他の実施例においては、逆圧電効果を適用する。結果として、ドライブの電力損失が非常に少なくなる。流れる電力は、たとえば電極を再ロードするための変位電流のみである。
【0096】
本発明のいくつかの実施例においては、必要な駆動電圧は、たとえば静電ドライブに比べて小さい(数十ボルトまでの範囲)。
【0097】
本発明の他のいくつかの実施例においては、アクチュエータ(逆圧電効果)およびセンサ(圧電効果)として、統合された圧電変換器構造の時間置換利用が可能である。
【0098】
本発明の他の実施例においては、静電および共振ドライブ(方形電気励起電圧の場合が多い)に比べて、純粋に高調波電圧曲線で励起を実行し得る。これにより、発振系(マイクロメカニカル素子)は、線形振動子に相当することになる。また、機械的共振周波数fmに合わせた電気共振周波数fe、すなわちfm=feで、電気共振回路により駆動電圧を発生させることができる。結果として、電気的駆動回路の消費電力を明確に抑えることができる。
【0099】
本発明のいくつかの実施例は、記載の構造の統合(保持素子からなる構成)、すなわち、可傾式ジオメトリ(ミラープレート等)の対向する側に配設されるばね素子からなるサスペンション等に関連し、かつ熱機械的または圧電アクチュエータ(駆動素子)を、ドライブとして、統合された位置センサシステムとして、1次元ねじり発振器(1D傾斜ミラー等)、二次元ねじり発振器(2D傾斜ミラー等)、(準)静電偏向可能傾斜ミラー等の共振または非共振マイクロシステム(マイクロメカニカル素子)内に含めて、サスペンションのばね率(周波数同調、周波数一致等)に影響を与えるか、またはミラープレート等のマイクロメカニカル素子の機能素子の動的変形を積極的に抑える。
【0100】
本発明のいくつかの実施例においては、ミラープレート等のマクロメカニカル素子の機能素子の動的変形を抑えるための構造(保持素子)を、同時に駆動素子を収納するために使用してもよい。その結果、ドライブに新たな空間が不要となる。
【0101】
本発明の他の実施例において、この構造(駆動素子の統合)の実現は、分布ばねの梁構造(保持素子)のいくつかまたは全部内において実現されてもよい。
【0102】
本発明の他のいくつかの実施例においては、(ドライブの)構造は、1つまたは2つの独立のドライブ(駆動素子)を用いて実現してもよい。その結果、異なる駆動素子の反対の動きが可能となり、その結果、たとえば回転動作が可能になる。
【0103】
本発明のいくつかの実施例においては、熱機械的効果、圧電効果、ピエゾ磁気効果、電気歪み効果または磁気歪み効果を、アクチュエータとして活性な素子(ドライブ、駆動素子)のために使用する。
【0104】
本発明の他のいくつかの実施例においては、機械的共振周波数に適合する電気的共振回路を、共振駆動された装置の高調波電圧または電流を与えるために使用する。
【0105】
本発明の他の実施例においては、圧電機能層を含む構造を、時間的に連続した態様で、アクチュエータおよびセンサとして使用してもよい。
【0106】
本発明のいくつかの実施例は、マイクロメカニカル素子に関連し、いくつかの構造(保持素子)は、圧電機能層で実現され、いくつかはドライブとして構成され、かつまた1つまたは複数の構造がセンサとして構成される。
【0107】
本発明の他のいくつかの実施例は、1Dスキャナ、2Dスキャナ等、顕微鏡において、またレーザディスプレイ、レーザプリンタもしくはレーザイルミネータ等のデータ出力において、または圧力センサ、加速センサもしくは粘度センサを使用してのデータ取得に対する、分布ばねおよび統合されたアクチュエータ構造を備えるマイクロメカニカル装置の可能な応用に関する。
【0108】
本発明の他の実施例は、マイクロメカニカル素子およびマイクロメカニカル素子の制御手段に関連し、同制御手段は、マイクロメカニカル素子の駆動素子の電気励起を制御するよう構成される。この場合、たとえば駆動素子の電気励起を、マイクロメカニカル素子の機能素子の検出された位置または動きの状態に基づき適合させてもよい。
【0109】
本発明のいくつかの実施例において、保持素子は、ばね素子として実現される。たとえば、それらはねじりばねや梁ばねであってもよい。梁ばね内または上に駆動素子を配設することにより、たとえばこの保持素子のばね定数に積極的に影響を与えてもよい。
【0110】
本発明の他の実施例においては、マイクロメカニカル素子の機能素子の位置または動きの状態を、複数のセンサ素子の変形検出により決定してもよく、かつ機能素子の動的変形を、決定された複数の位置または動きの状態に基づき決定してもよい。決定された機能素子の動的変形に基づき、駆動素子の電気励起を適合して、たとえば、機能素子の動的変形を抑えるようにしてもよい。
【0111】
本発明のいくつかの実施例においては、回転軸を中心とする回転動作または並進運動は、マイクロメカニカル素子の保持素子内または上の統合された駆動素子により行ってもよく、保持素子の接合は、機能素子と同じ平面にあり、かつ並進運動は、この平面に直角をなす方向に実行される。
【0112】
本発明の他の実施例において、機能素子の監視の感度および/または精度を、いくつかのセンサ素子を用いることによって向上させてもよい。このため、センサ素子を直列に接続してもい。いくつかのセンサ素子を1つの保持素子の上および/または様々な保持素子の上に配設してもよい。
【0113】
本出願においては、同じまたは類似する機能特性を含むものおよび機能単位については、一部同じ参照番号を使用する。
【0114】
特に、状況に応じて、発明の構成は、ソフトウェアで実現してもよい点に留意されたい。特に、それぞれの方法を実行するよう、プログラマブルなコンピュータ系と協働し得る、電気的に読み出し可能な制御信号を有するディスクまたはCD等のデジタル記憶媒体上で実現してもよい。したがって、一般には、本発明は、機械で読み出し可能なキャリア上に記憶され、コンピュータ上で実行されて、発明の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品においても実現される。言い換えれば、本発明は、同コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されると、同方法を実行するプログラムコードを有するコンピュータプログラムとして実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】マイクロメカニカル素子の模式図である。
【図2】駆動素子のさまざまな配列およびそれぞれの保持素子の可能な変形状態を示す模式図である。
【図3】圧電駆動素子の模式図である。
【図4】マイクロメカニカル素子の模式図である。
【図5】マイクロメカニカル素子を監視するためのセンサの模式図である。
【図6】マイクロメカニカル素子の模式図である。
【図7】マイクロメカニカル素子の模式図である。
【図8】マイクロメカニカル素子の模式図である。
【図9】マイクロメカニカル素子の模式図である。
【図10】マイクロメカニカル素子の模式図である。
【図11】マイクロメカニカル素子を監視するための統合されたセンサを有するマイクロメカニカル素子の模式図である。
【図12】マイクロメカニカル素子の使用方法のフロー図である。
【符号の説明】
【0116】
100 マイクロメカニカル素子
110 機能素子
120 保持素子
122 接合
124 駆動素子
410 可動機能素子
500 センサ
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、マイクロメカニカル素子およびマイクロメカニカル素子を監視するためのセンサに関し、かつマイクロメカニカル素子の操作方法およびマイクロメカニカル素子を監視する方法に関する。
【0002】
本発明の他の実施例は、コンパクトドライブおよび/または圧電ドライブ(圧電駆動素子)を有するマイクロメカニカル装置に関する。
【背景技術】
【0003】
たとえば、マイクロメカニカル傾斜ミラーにおいて、ねじりばねに懸垂されたミラー板は、1つの(1Dスキャナ)または2つの(2Dスキャナ)軸により偏向させる。たとえば、このドライブは、櫛状に配列された電極により実現することが可能で、これは、非特許文献1等に示すような装置の基板レベルにおいて形成される。静電駆動装置の欠点は、たとえば、高い駆動電流をたびたび必要とすることおよび電気機械的不安定状態の発生である。
【0004】
ほかにマイクロメカニカル装置用ドライブを実現するために可能なものとしては、磁気ドライブがある。これによれば、磁界において、電流を保持する導体に作用する力を利用する。この場合、大きな力またはトルクそれぞれを発生できる。この原理の欠点は、消費電力が比較的高いことと高い技術的努力(装置上で交差を実現)を要する点である。
【0005】
他には、制御可能な固有材料応力を利用する方法が考えられる。この方法によれば、機械的な偏向を、層システムにおいて、適当な材料の組み合わせにより実現する。機械的応力をたとえば、熱線形拡張(熱機械的効果、バイメタルの原理)の異なる係数によるかまた逆圧電効果により導入する。マイクロメカニカル傾斜ミラーの場合、たとえば実現された曲げモーメントをトルクに変換して、マイクロミラーを偏向できるようにするという問題がある。既存の解決法の多くは、大きな空間を要件とする特徴がある。このため、装置に要する空間が増大し、ひいては生産コストの上昇を招き、集積性が制限されてしまう。
【0006】
マイクロメカニカル素子の例としては、さらに、非特許文献2から4、特許文献1および2などに示されるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】DE10 2005 033800 A1公報、A・ウォルター、T・クローゼの「反射面を有するマイクロメカニカル光学素子およびその使用」と題するドイツ公開公報(Mikromechanisches optisches Element mit einer reflektierenden Flache sowie dessen Verwendung, Offenlegungsschrift DE 10 2005 033 800 A1)
【特許文献2】EP0.743.541 A1公報、A・G・M・サフロノフ、「多層圧電可変バイモルフィックミラー」と題するヨーロッパ公開公報(Safronov, A.G.M.: Multiple layer piezoelectric deformable bimorphic mirror, Offenlegungsschrift EP 0.743.541 A1.)
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】シェンク・Hによる「光の1次元または二次元屈折に対する新しいマイクロアクチュエータ」、論文2000年、ゲルハルト・メルカトル総合大学、デュースブルグ(Schenk, H: Ein neuartiger Mikroaktor zur ein- und zweidimensionalen Ablenkung von Licht, Dissertation 2000, Gerhard-Mercator-Universitat-Gesamthochschule-Duisburg)
【非特許文献2】S・シュヴィツァー、S・カルマス、M・ラウドン、P・ルノーによる、「大きい角度で低消費の熱アクチュエートされる光学マイクロスキャナ」、センサとアクチュエータ76(1999年)、470ページから477ページ(Schweizer, S.; Calmes, S.; Laudon, M.; Renaud, P.: Thermally actuated optical microscanner with large angle and low consumption, Sensors and Actuators 76 (1999) S. 470-477)
【非特許文献3】S・トッド、A・ジェイン、H・ク、H・シエによる「逆直列接続バイモルフアクチュエータを用いる多自由度系マイクロミラー」、ジャーナル・オブ・オプティクスA、純粋および応用光学8(2006年)、352ページから359ページ(Tood, S.; Jain, A.; Qu, H.; Xie, H: A multi-degree-of-freedom micromirror utilizing inverted-series-connected bimorph actuators, Journal of Optics A; Pure and applied Optics 8 (2006) S. 352-359)
【非特許文献4】ブラザー工業株式会社、「ブラザーがメガネ型着用可能網膜走査ディスプレイを開発」、テクニカル・レポート(2008年)(Brother Industries, Ltd.: Brother Develops Spectacle-type Wearable Retinal Imaging Display, Technical Report (2008) http://www.brother.com/en/news/2008/rid/)
【発明の開示】
【0009】
本発明の目的は、改良された特性を有するマイクロメカニカル素子およびマイクロメカニカル素子を監視するための空間を節約するセンサを提供することである。
【0010】
この目的は、請求項1、10または19に記載の装置および請求項25または29に記載の方法により解決される。
【0011】
本発明の実施例は、可動機能素子と、第1から第4の保持素子とを含むマイクロメカニカル素子を提供する。第1の保持素子はおよび機能素子が、第1の接合で相互に接続され、第2の保持素子および機能素子が、第2の接合で相互に接続され、第3の保持素子および機能素子が、第3の接合で相互に接続され、かつ第4の保持素子および機能素子が、第4の接合で相互に接続される。さらに、第1の保持素子および第2の保持素子は、各々1つの圧電駆動素子を含む。第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子は、電気励起により機能素子を動かすよう構成される。
【0012】
本発明の他の実施例は、可動機能素子と、第1から第4の保持素子とを含むマイクロメカニカル素子を提供する。第1の保持素子および機能素子が、第1の接合で相互に接続され、第2の保持素子および機能素子が、第2の接合で相互に接続され、第3の保持素子および機能素子が、第3の接合で相互に接続され、第4の保持素子および機能素子が第4の接合で相互に接続される。第1から第4の接合が、1平面内に存在し、第1の接合が、対称軸に関して第3の接合と対称に配設され、第2の接合が、対称軸に関して第4の接合と対称に配設される。また、第1から第4の保持素子の各々が、少なくとも1部分で、対称軸に対して平行に延在する。第1の保持素子および第2の保持素子が、各々1つの駆動素子を含み、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子が、励起によって機能素子を動かすよう構成される。
【0013】
本発明の他の実施例は、マイクロメカニカル素子を監視するためのセンサを提供し、マイクロメカニカル素子が、可動機能素子と保持素子とを有する。接合で、保持素子が機能素子に接続される。こうして、保持素子が機能素子の動きに際して変形される。マイクロメカニカル素子を監視するためのセンサが、センサ素子を含み、このセンサ素子が保持素子内または上に配設され、かつ保持素子の変形を検出するよう構成される。これにより、マイクロメカニカル素子の機能素子の動きの監視が可能になる。
【0014】
本発明の他の実施例は、マイクロメカニカル素子を操作する方法を提供し、マイクロメカニカル素子が、可動機能素子と、第1から第4の保持素子とを有する。これにより、第1の保持素子および機能素子が、第1の接合で相互に接続され、第2の保持素子および機能素子が、第2の接合で相互に接続され、第3の保持素子および機能素子が、第3の接合で相互に接続され、第4の保持素子および機能素子が、第4の接合で相互接続される。さらに、第1の保持素子および第2の保持素子が、各々1つの圧電駆動素子を含み、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子が、電気励起によって機能素子を動かすよう構成される。
【0015】
マイクロメカニカル素子の操作方法は、第1の保持素子の駆動素子の部分上および第2の保持素子の駆動素子の部分上で、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子の電気励起によって、機能素子の動きを励起させるステップを含む。
【0016】
本発明の他の実施例が、マイクロメカニカル素子の監視方法を提供し、マイクロメカニカル素子が、可動機能素子および保持素子を含む。保持素子が、接合で機能素子に接続される。こうして、保持素子が機能素子の動きに際して変形される。これにより、マイクロメカニカル素子を監視する方法が、センサ素子の部分上の保持素子の変形を検出するステップを含み、センサ素子が保持素子内まはた上に配設されて、マイクロメカニカル素子の機能素子の動きの監視を可能にする。
【0017】
本発明のいくつかの実施例は、圧電ドライブをマイクロメカニカル素子の機能素子の保持素子内または上に統合することで、マイクロメカニカル素子のドライブに必要な空間を最小限にするという基本的思想に基づく。空間要件が低い以外にも、逆圧電効果に基づくドライブは電力損失が非常に低く、必要なドライブ電圧が、静電ドライブ等の他の駆動構成に比べて低い。
【0018】
本発明の他の実施例は、対称に配設されたいくつかの保持素子は、マイクロメカニカル素子の機能素子の動的変形を抑えることができ、かつマイクロメカニカル素子の機能素子のドライブを機能素子の保持素子内または上に統合することで、マイクロメカニカル素子の空間要件を減らすことができるとする基本的思想に基づく。これにより、高品質のマイクロメカニカル素子をコンパクトにかつまた費用効果的に設けることができる。
【0019】
本発明のいくつかの他の実施例は、センサ素子をマイクロメカニカル素子の機能素子の保持素子に統合することにより、マイクロメカニカル素子を監視するためのセンサを実現できるとする基本的思想に基づく。機能素子の動きが、保持素子の変形を引き起こすので、保持素子内または上に配設したセンサ素子により保持素子の変形を検出することができ、ひいては機能素子の動きを監視することができる。保持素子内または上にセンサ素子を統合することにより、追加の空間要件を最小にすることができる。
【0020】
本発明のいくつかの実施例は、駆動素子がマイクロメカニカル素子を監視するためのセンサ素子としても使用されるマイクロメカニカル素子に関連する。
【0021】
本発明のいくつかの他の実施例は、センサのセンサ素子をマイクロメカニカル素子のためのドライブとしても使用するマイクロメカニカル素子を監視するためのセンサに関連する。
【0022】
本発明の実施例を、添付の図面を参照しながら、以下に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1は、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子100の模式図である。マイクロメカニカル素子100は、可動機能素子110、第1の保持素子120、第2の保持素子130、第3の保持素子140、および第4の保持素子150を備える。これにより、第1の保持素子120および機能素子110が第1の接合122で接続され、第2の保持素子130および機能素子110が第2の接合132で接続され、第3の保持素子140および機能素子110が第3の接合142で接続され、かつ第4の保持素子150および機能素子110が第4の接合152で接続される。さらに、第1の保持素子120および第2の保持素子130はそれぞれ1つの圧電駆動素子124および134を有する。第1の保持素子120の駆動素子124および第2の保持素子130の駆動素子134は、機能素子110を電気励起により動かすことで実現できる。
【0024】
保持素子120,130内または上に駆動素子124,134(または励起素子)を統合することにより、追加で必要となる空間は皆無か非常に小さいものになる。したがって、マイクロメカニカル素子のドライブをほとんど追加の表面積を必要とせずに集積することができる。マイクロメカニカル素子(またはマイクロエレクトロメカニカル素子)を、こうして、かなり小型に製造することが可能になる。
【0025】
圧電ドライブを使用することにより、たとえば電力の損失を非常に低く抑えることができ、かつ必要な駆動電圧は、他の駆動構成における駆動電圧に比べて比較的小さいものとなる。保持素子は、たとえばねじりばねまたは梁形状のばねとして実現可能なため、ねじ素子と呼ぶことが多い。駆動素子をねじ素子に統合することにより、ねじ率(ねじ定数)に影響が生じ得る。
【0026】
また、2を超える数の保持素子を使用することにより、機能素子110の動的な変形を抑えることができる。駆動素子を保持素子に統合することにより、駆動素子をそれぞれ制御することにより、動的変形をさらに積極的に抑えることができる。
【0027】
また、たとえば、機能素子110の位置および/または動きの状態を検出するために、圧電駆動素子を使用することもできる。したがって、駆動素子が機能素子の動きを駆動するために使用されていないときには、機能素子に動きがあった場合に、関連の保持素子の変形により、圧電ドライブが自動的発生した信号を、読み出しかつ評価することができる。変形をこのように検出することで、機能素子110の位置または動きの状態を決定することができ、これはたとえば、駆動素子の電気励起をそれぞれ適合することにより、機能素子110の動きの最適化を図るために利用することができる。
【0028】
一般に、多くの接合は剛性接合である。多くの場合、機能素子と保持素子とが同じ基板に構成されるので、機能素子と保持素子との間の接合での移行は円滑である。
【0029】
基本的に、マイクロメカニカル素子のこのような構成または構造は、傾斜ミラー等の機能素子の低静電偏向を発生するのにも適している。しかしながら、これは、典型的には、保持素子または梁構造が比較的厚いため、非常にまれである。しかしながら、局所的または全体的に構造上より薄いジオメトリは、使用することができる。これらは、たとえば静電アクチュエータ(静電駆動素子)として使用することができる。
【0030】
図2Aと図2Bは、駆動素子270のさまざまな構成200およびそれぞれの保持素子260の考えられる変形状態を示す模式図である。このように、駆動素子270のさまざまな構成を図2Aに、かつ保持素子260の可能な変形状態の例を図2Bに示す。こうして、保持素子260を、それぞれ破断図および側面図に示す。
【0031】
第1の構成210においては、保持素子260が、左上領域(第1の主表面上および保持素子の第1の端縁)に圧電駆動素子270を備える。圧電駆動素子270に電圧を付与することによって、引っ張り応力(s>0)または圧縮応力(s<0)を発生させることができ、かつこれにより保持素子260を上方または下方に偏向させることができる。駆動素子270の電圧ΔUを変更することで、機械的応力に変化が生じΔs(ΔU → Δs)、これにより、たとえば引っ張り応力(Δs>0)または圧縮応力(Δs<0)が生じる。たとえば、第1の構成210の保持素子260の変形については、引っ張り応力の発生を図示しており、これが保持素子を下方に偏向させる。
【0032】
圧電駆動素子を使用する場合、たとえば付与する電圧の極性を変換させることにより、保持素子を異なる方向に偏向させることができる。
【0033】
第2の構成220では、保持素子260の左端縁の上側および下側(第1の主表面上および保持素子の第1の端縁)に駆動素子270を示す。一方の駆動素子の電圧は、引っ張り応力が生じるように選択し、他方の電圧は、圧縮応力が生じるように選択すれば、保持素子260を、第1の構成210と同様に、ただし、かなり強く上方と下方に偏向させることができる。
【0034】
第3の構成230では、保持素子260の上側の左右端縁各々(保持素子の第1の端縁の第1の主表面上および第2の端縁の第1の主表面上)に1つの圧電駆動素子270を示す。これら2つの駆動素子270の一方が引っ張り応力を発生し、他方が圧縮応力を生じるように、これら駆動素子に電圧を付与すると、保持素子を一方端で上方へ変形させ、他方端で下方に変形させることができ、またはその逆も可能である。
【0035】
駆動素子の第4の構成240により保持素子の同様の変形が得られ、駆動素子270が、左上(保持素子の主表面上および第1の端縁)と右下(保持素子の第2の主表面上および第2の端縁)に配設される。しかしながら、引っ張り応力または圧縮応力の両方を駆動素子270に発生させるように、付与電圧を選ぶ必要がある。
【0036】
同様に、保持素子260のこの変形も、保持素子260の下側の左右端縁(保持素子の第2の主表面の第1の端縁および第2の端縁)に駆動素子270を配設することによりまたはひとつの駆動素子270を左下(保持素子の第2の主表面の第1の端縁)および1つの駆動素子270を右上(保持素子の第1の主表面の第2の端縁上)に配設することにより得ることができる。
【0037】
第5の構成で250は、一方の保持素子260において4つの駆動素子270を統合するための例を示す。これにより、異なる駆動素子に付与される電圧に応じて、第1の構成210および第2の構成220または第3の構成230および第4の構成により得られるとおり、保持素子の変形が得られるが、この場合最大偏向はより高度である。
【0038】
図示される実施例は、保持素子に統合されるドライブの選択肢であり、保持素子は梁構造と称することもできる。
【0039】
基本的には、図2Aに示すとおり、駆動素子270を保持素子に統合させるか、またはたとえば保持素子上に配設することもできる。
【0040】
圧電ドライブの場合、アクチュエータ構造(機能層)とも呼ばれる駆動素子を、モノモルフまたはバイモルフおよびマルチモルフ構造として実現することができ、後者は、圧電機能層の直列または並列接続において実現できる。
【0041】
図3は、例として、圧電駆動素子300の可能な構造の模式図を示す。圧電駆動素子300は、保持素子260内に統合され、いくつかの層を含む。圧電材料310と絶縁層320(非圧電)とが交互に存在する。圧電材料層310の2つの対向する面上に電極330が1つずつ配設される。圧電材料層310のそれぞれ同じ側面の電極330は、配線340および/またはボンディングにより相互に接続される。図示した例は、圧電トリモフ構造を並列に接続したものである。
【0042】
図4は、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子400の模式図である。マイクロメカニカル素子は、可動機能素子410、第1の保持素子420、第2の保持素子430、第3の保持素子440、および第4の保持素子450を備える。この場合、第1の保持素子420および機能素子410が第1の接合422で相互に接続され、第2の保持素子430および機能素子410が第2の接合432で相互に接続され、第3の保持素子440および機能素子410が第3の接合442で相互に接続され、かつ第4の保持素子450および機能素子410が第4の接合452で相互に接続される。
【0043】
さらに、第1から第4の接合は、ある平面内に存在し、第1の接合422は、第3の接合442と、対称軸460に関して(各々距離Aで)対称に配設される。同様に、第2の接合432は、第4の接合452と、対称軸460に関して(各々距離Bで)対称に配設される。
【0044】
さらに、第1から第4の保持素子の各々が、少なくとも一部分で、対称軸460に並行に延在する。第1および第2の保持素子420および430は、それぞれ1つの駆動素子424および434を有し、第1の保持素子420の駆動素子424および第2の保持素子430の駆動素子434は、励起により機能素子410を動かすよう構成される。
【0045】
2を超える数の保持素子を使用することで、慣性により生じ得る機能素子410の動的変形を最小限にすることができる。これにより、機能素子410を有する保持素子の接合の構成を、機能素子410のジオメトリに適合させることが有効である。機能素子410がたとえば、矩形、方形、または円形の場合、距離AおよびBはほぼ同じ大きさで選択されることになる。たとえば、機能素子410が三角形や滴状であった場合、異なる大きさで距離AおよびBを選択することが有効である。
【0046】
たとえば少なくとも一部分で対称軸に各々平行な保持素子によれば、対称軸を中心とする機能素子の回転運動(したがってこの軸は回転軸とも呼ぶ)を緩和することができかつ/または保持素子を分布ばねとして使用することができる。これにより、機能素子の主表面の重心が対称軸の上に来るはずである。
【0047】
マイクロメカニカル素子400の駆動素子(または励起素子も)については、たとえば熱機械的効果、圧電効果、ピエゾ磁気効果、電気歪み効果および/または磁気歪み効果を利用することができる。こうして、たとえば、図2にすでに示した配列および動きのパターンを実現することができる。この場合、図示のとおり、機械引っ張り応力(Δs>0)または圧縮応力(Δs<0)を(保持素子の)梁の容量のある領域内で、熱機械的効果または逆圧電効果(または電気歪み効果もしくは磁気歪み効果)により発生させる。これにより、構造の偏向を制御可能にできる。
【0048】
熱機械的ドライブと圧電ドライブの動作モードおよび基本特性の両方は同程度なので熱機械的および圧電マルチモルフドライブは、同じ原理に基づく。サーマルドライブと比べて消費電力がより低くかつ外的影響(環境温度等)への依存がより低いため、逆圧電効果に基づくドライブの使用は有利である。
【0049】
また、保持素子に駆動素子を統合するため、必要な空間は少なくて済む。
【0050】
本発明によるいくつかの実施例では、マイクロメカニカル素子の機能素子は、第2の対称軸を有し、この軸は第1の対称軸に直角をなす。この場合、第1の対称軸の同じ側に配設される2つの接合は、第2の対称軸に関して相互に対称に配設される。接合を対称に配設することにより、たとえば機能素子の動的変形を抑えることができる。
【0051】
図5は、発明の実施例に対応するマイクロメカニカル素子を監視するためのセンサ500を示す模式図である。監視されるマイクロメカニカル素子は、可動機能素子510と保持素子520とを含み、保持素子520が接合522で機能素子510と接続される。この場合、保持素子520が機能素子510の動きに際して変形する。
【0052】
マイクロメカニカル素子を監視するためのセンサ500は、センサ素子530を備え、センサ素子530は、保持素子520内または上に配設される。こうして、センサ素子530は、保持素子520の変形を検出して、マイクロメカニカル素子の機能素子510の動きを監視できるように構成される。
【0053】
保持素子520内または上にセンサ素子530を統合することにより、マイクロメカニカル素子を監視するためのセンサのために必要な追加の空間が最小限になる。
【0054】
保持素子520の変形を検出することで、たとえば機能素子510の位置または動きの状態を決定することができる。
【0055】
いくつかの保持素子内または上にいくつかのセンサ素子を配設することで、いくつかの検出位置または動きの検出状態を得ることができ、これら複数の検出位置または検出された動きの状態に基づいて、機能素子510の変形が決定できる。この情報で、マイクロメカニカル素子の駆動素子の電気励起を適合させることにより機能素子510の動的変形をさらに抑えることができる。
【0056】
たとえば圧電センサ素子として、センサ素子が実現されれば、このセンサ素子を、センサとして使用されていない時は、それぞれ電気励起によって、駆動素子として使用することができ、こうして機能素子510を動かすことができる。
【0057】
図6Aおよび6Bは、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子600の模式図を示す。マイクロメカニカル素子600の構造は、基本的に図4に示すマイクロメカニカル素子の構造に相当する。ただし、機能素子610には、4を超える数の保持素子620が使用される。これにより、保持素子の各々が、対称軸460に沿って延びる2つの中央保持素子から離れたところに駆動素子630を備える。
【0058】
図6Aは、マイクロメカニカル素子の平面図であり、図6Bは、その側面図である。図では、明瞭にするために、中央の保持素子のみを断面で示す。対称軸に素って平行に延在する他の保持素子の部分については、図示していない。
【0059】
追加の保持素子を使用することにより、機能素子610の動的変形をさらに抑えることが可能である。
【0060】
これにより、保持素子の対称軸460と平行に延在する部分を、ねじりばねと称することもでき、かつ残りの部分を梁構造と呼ぶことができる。たとえば、プレートやミラープレート等の機能素子に作用する、リセットする機械素子が機能素子(たとえばミラープレート)に生じさせる変形が最小限になるような態様で、梁構造およびねじりばねが配設される。梁構造は、ミラープレートの輪郭に従うので、たとえばこのサスペンションの空間要件は、比較的低いものとなる。
【0061】
記載の構造(保持素子の構成)の目的は、たとえば機能素子(ミラープレート)の慣性に誘導された動的変形を抑えることにある。保持素子を分布ばねとして考えることもできる。
【0062】
これらの分布ばねの梁構造には、たとえばアクチュエータとも呼ばれる熱機械的駆動素子または圧電駆動素子を設けることができる。この方法では、その曲げまたは剛性に影響を与え得る。同時に、たとえば圧電アクチュエータの場合には、機能原理を逆転させることにより(構造の)機能素子の偏向を検出することができる。
【0063】
機械素子600のドライブを、順に、(ミラープレートの)機能素子610の保持素子またはサスペンション内にも統合する。保持素子の特定の構造(特定の構成)により、機械特性等が向上する。
【0064】
図7は、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子700の模式図である。原則として、マイクロメカニカル素子700は、図6に示すマイクロメカニカル素子に相当する。相違点は、機能素子610の形状および保持素子620の形状と数である。
【0065】
また、いくつかの保持素子を対称に配設して、機能素子610の動的変形を抑える。また、駆動素子630を保持素子620内または上に統合する。
【0066】
梁構造(保持素子)のうちいくつかまたは全部に、ドライブ(駆動素子)を設けてもよい。この場合、電気接点という観点からの費用と達成され得る偏向等の利益の間での妥協を図る必要がある。
【0067】
マイクロメカニカル素子の機能素子610の可能な動きのパターンの1つは、対称軸460を中心とする回転動作である。ミラープレートのような機能素子の、平面からはみ出す(機能素子の半分が上方に、残りの半分が下方に動く等)非対称な動きによって、対称軸(回転軸)に関して各々の場合において対向するドライブ(駆動素子)が、反対の方向に作用する。これは、材料の異なる組み合わせまたは(たとえば時間的に)異なる制御プロセスによるものが考えられる。
【0068】
上記のとおり、図8は、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子800の模式図を示す。マイクロメカニカル素子800の基本設計は図7のマイクロメカニカル素子に相当する。しかしながら、保持素子620については、最も外側の保持素子(対称軸から最も遠くに位置する保持素子)のみを駆動に使用する。残りの保持素子は、受動構造を構成し、たとえば動的変形を抑える役割をし、かつ分布ばねとして使用されてもよい。
【0069】
また、第1タイプ730の駆動素子またはアクチュエータと第2タイプ740の駆動素子またはアクチュエータは、区別する。タイプ1のアクチュエータはタイプ2のアクチュエータと反対の方向に作用する。このように、対称軸460(回転軸とも呼ぶ)を中心とする回転動作を発生させることができる。
【0070】
図9は、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子900の他の模式図である。マイクロメカニカル素子900の基本設計は図8のマイクロメカニカル素子に相当する。ただし、保持素子620のうち外側の4つの保持素子のみを駆動に使用するだけではなく、中心に配設された保持素子を除く保持素子の全てが駆動に使用される。
【0071】
対称軸460の一方側の駆動素子の全てが第1タイプ730の素子であり、対称軸460の他方の側は、第2のタイプ740の素子である。
【0072】
タイプ1の駆動素子またはアクチュエータは、タイプ2の駆動素子またはアクチュエータと反対の方向に作用する。上に述べたとおり、これは、材料の異なる組み合わせまたは異なる制御プロセスによりそうすることができる。製造または制御に関して生じる費用が大きすぎる場合には、ミラー等の機能素子610の一方側にのみドライブを設けるか、または前記機能素子610の一方側のみを制御することも可能である。
【0073】
上記にしたがい、図10は、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子1000の模式図である。マイクロメカニカル素子1000の基本設計は既出の図8のマイクロメカニカル素子に相当する。しかしながら、対称軸460の一方側の保持素子620にのみ駆動素子730を装備する。
【0074】
結果として、製造または制御に関する費用は、図8のマイクロメカニカル素子に比べて抑えることができる。しかしながら、達成され得る偏向は明らかにより小さいものとなる。
【0075】
本発明のいくつかの実施例においては、偏向は圧電ドライブ(駆動素子)の場合、機能原理を逆転させることにより検出することができる。この場合、たとえば、(機能素子の)装置の偏向を達成する同じ構造(駆動素子)(アクチュエータ)をセンサとして使用してもよい。
【0076】
1つの可能な方法は、追加の機能層(センサ素子)を統合すること、すなわち、(保持素子の)ジオメトリの部品を専用センサとして使用することである。
【0077】
上記にしたがい、図11は、マイクロメカニカル素子を監視するための統合されたセンサを備えるマイクロメカニカル素子1100の模式図を示す。マイクロメカニカル素子1100の基本設計も図8のマイクロメカニカル素子に相当する。また、外側の保持素子には異なるタイプ730および740の駆動素子を備える。しかしながら、図8に示すマイクロメカニカル素子とは異なり、4つの新たな保持素子は、各々センサ素子1110を備える。
【0078】
センサ素子は、たとえば圧電素子でよい。
【0079】
駆動素子730および740に加えて配設された専用センサ素子1110により、駆動素子の部分上の機能素子610の動きを励起している間、たとえば機能素子610の位置または動きの状態を検出することができる。
【0080】
しかしながら、この構成では、たとえばセンサ(センサ素子)に別々に接触しなければならないので、装置(マイクロメカニカル素子)内の配線の量がかなり増加する。代替的には、アクチュエータ構造(駆動素子)自体をたとえばセンサとしても使用できる。これは、たとえば共振装置内では可能である。応じて配設される圧電機能層を、たとえばセンサ動作とアクチュエータ動作の間で切り替えればよい。
【0081】
この場合、たとえば、最初、圧電機能層(単数または複数)は、(マイクロメカニカル素子の)装置の機械的自己共振に近い励起周波数で共振ドライブとして制御される。これにより、装置内で発振が開始される。
【0082】
その後、ドライブをたとえば、発振期間の4分の1、2分の1、1発振期間または数発振期間の間中断する。一方、装置の時間的偏向は、圧電効果等により測定される。同じ電源線を使用して、ドライブについては、センサ電圧を読み出すことができる。
【0083】
その後、事前に行った測定により訂正できるパラメータで、共振ドライブとしての圧電機能層(単数または複数)を制御して、たとえば、発振度合を調整する。さらにドライブを停止して、時間的偏向を測定することによりこのプロセスを繰り返してもよい。
【0084】
図12は、本発明の実施例によるマイクロメカニカル素子を操作する方法のフローチャート1200である。マイクロメカニカル素子は、可動機能素子および第1から第4の保持素子を備える。第1の保持素子と機能素子とは、第1の接合で相互に接続され、第2の保持素子と機能素子とは第2の接合で相互に接続され、第3の保持素子と機能素子とは第3の接合で相互に接続され、かつ第4の保持素子と機能素子とは第4の接合で相互に接続される。第1および第2の保持素子は、各々、圧電駆動素子を有し、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子は、電気励起により機能素子を動かすよう構成される。
【0085】
マイクロメカニカル素子の操作方法は、励起ステップ1210、すなわち第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子の電気励起による第1の保持素子の駆動素子の部分と第2の保持素子の駆動素子の部分上での機能素子の動きの励起ステップを備える。
【0086】
たとえば、第1の保持素子は、機能素子が動くと変形し、第1の保持素子の駆動素子を選択的にセンサ素子として使用するように構成することが可能である。
【0087】
したがって、マイクロメカニカル素子の操作方法には、第1の保持素子の駆動素子の部分上での機能素子の動きの励起を中断するステップ1220と、第1の保持素子の駆動素子の部分上の保持素子の変形を検出するステップ1230とを任意に含み、これにより機能素子の位置または動きの状態を、検出された変形に基づき検出することができる。
【0088】
マイクロメカニカル素子は、駆動素子の電気励起を制御するよう構成される制御手段を任意に備えてもよい。
【0089】
マイクロメカニカル素子を操作する方法は、したがって、機能素子の検出位置または検出した動きの状態に基づいて、駆動素子の電気励起を制御するステップ1240を任煮に備えてもよい。
【0090】
本発明のいくつかの実施例では、保持素子に統合された駆動素子が、梁構造(保持素子)の剛性に影響を与えることによって装置(マイクロメカニカル素子)の機械的自己共振に影響を与え得る。このようにして、傾斜ミラー等の共振して動作するマイクロメカニカル素子の周波数を同調(周波数を一致)させることができる。
【0091】
本発明の他の実施例においては、傾斜ミラー等のマイクロメカニカル素子の機械的自己共振に近い周波数で梁構造内(駆動素子の部分上の保持素子内で)に交流負荷を発生させることにより、機械的発振を直接的に励起してもよい。
【0092】
本発明のいくつかの実施例においては、たとえば駆動素子を対応して制御することにより、ミラープレート等のマイクロメカニカル素子の機能素子の動的変形に対して積極的に影響を与えかつ/またはこれを減らすことも可能である。
【0093】
本発明の他の実施例においては、動作原理を逆転させることにより、(マイクロメカニカル素子の機能素子の)構造の偏向を時間分解検出することができる。たとえば、これは、圧電効果または逆圧電効果であってもよい。そして、圧電駆動素子を圧電センサ素子として使用してもよい。
【0094】
本発明のいくつかの実施例において、たとえば動的変形を抑えるために使用する構造(保持素子)がすでに存在する場合には、保持素子内に駆動素子を統合することにより、追加のスペースは不要かまたは必要でも非常に少ないスペースで済む。
【0095】
本発明の他の実施例においては、逆圧電効果を適用する。結果として、ドライブの電力損失が非常に少なくなる。流れる電力は、たとえば電極を再ロードするための変位電流のみである。
【0096】
本発明のいくつかの実施例においては、必要な駆動電圧は、たとえば静電ドライブに比べて小さい(数十ボルトまでの範囲)。
【0097】
本発明の他のいくつかの実施例においては、アクチュエータ(逆圧電効果)およびセンサ(圧電効果)として、統合された圧電変換器構造の時間置換利用が可能である。
【0098】
本発明の他の実施例においては、静電および共振ドライブ(方形電気励起電圧の場合が多い)に比べて、純粋に高調波電圧曲線で励起を実行し得る。これにより、発振系(マイクロメカニカル素子)は、線形振動子に相当することになる。また、機械的共振周波数fmに合わせた電気共振周波数fe、すなわちfm=feで、電気共振回路により駆動電圧を発生させることができる。結果として、電気的駆動回路の消費電力を明確に抑えることができる。
【0099】
本発明のいくつかの実施例は、記載の構造の統合(保持素子からなる構成)、すなわち、可傾式ジオメトリ(ミラープレート等)の対向する側に配設されるばね素子からなるサスペンション等に関連し、かつ熱機械的または圧電アクチュエータ(駆動素子)を、ドライブとして、統合された位置センサシステムとして、1次元ねじり発振器(1D傾斜ミラー等)、二次元ねじり発振器(2D傾斜ミラー等)、(準)静電偏向可能傾斜ミラー等の共振または非共振マイクロシステム(マイクロメカニカル素子)内に含めて、サスペンションのばね率(周波数同調、周波数一致等)に影響を与えるか、またはミラープレート等のマイクロメカニカル素子の機能素子の動的変形を積極的に抑える。
【0100】
本発明のいくつかの実施例においては、ミラープレート等のマクロメカニカル素子の機能素子の動的変形を抑えるための構造(保持素子)を、同時に駆動素子を収納するために使用してもよい。その結果、ドライブに新たな空間が不要となる。
【0101】
本発明の他の実施例において、この構造(駆動素子の統合)の実現は、分布ばねの梁構造(保持素子)のいくつかまたは全部内において実現されてもよい。
【0102】
本発明の他のいくつかの実施例においては、(ドライブの)構造は、1つまたは2つの独立のドライブ(駆動素子)を用いて実現してもよい。その結果、異なる駆動素子の反対の動きが可能となり、その結果、たとえば回転動作が可能になる。
【0103】
本発明のいくつかの実施例においては、熱機械的効果、圧電効果、ピエゾ磁気効果、電気歪み効果または磁気歪み効果を、アクチュエータとして活性な素子(ドライブ、駆動素子)のために使用する。
【0104】
本発明の他のいくつかの実施例においては、機械的共振周波数に適合する電気的共振回路を、共振駆動された装置の高調波電圧または電流を与えるために使用する。
【0105】
本発明の他の実施例においては、圧電機能層を含む構造を、時間的に連続した態様で、アクチュエータおよびセンサとして使用してもよい。
【0106】
本発明のいくつかの実施例は、マイクロメカニカル素子に関連し、いくつかの構造(保持素子)は、圧電機能層で実現され、いくつかはドライブとして構成され、かつまた1つまたは複数の構造がセンサとして構成される。
【0107】
本発明の他のいくつかの実施例は、1Dスキャナ、2Dスキャナ等、顕微鏡において、またレーザディスプレイ、レーザプリンタもしくはレーザイルミネータ等のデータ出力において、または圧力センサ、加速センサもしくは粘度センサを使用してのデータ取得に対する、分布ばねおよび統合されたアクチュエータ構造を備えるマイクロメカニカル装置の可能な応用に関する。
【0108】
本発明の他の実施例は、マイクロメカニカル素子およびマイクロメカニカル素子の制御手段に関連し、同制御手段は、マイクロメカニカル素子の駆動素子の電気励起を制御するよう構成される。この場合、たとえば駆動素子の電気励起を、マイクロメカニカル素子の機能素子の検出された位置または動きの状態に基づき適合させてもよい。
【0109】
本発明のいくつかの実施例において、保持素子は、ばね素子として実現される。たとえば、それらはねじりばねや梁ばねであってもよい。梁ばね内または上に駆動素子を配設することにより、たとえばこの保持素子のばね定数に積極的に影響を与えてもよい。
【0110】
本発明の他の実施例においては、マイクロメカニカル素子の機能素子の位置または動きの状態を、複数のセンサ素子の変形検出により決定してもよく、かつ機能素子の動的変形を、決定された複数の位置または動きの状態に基づき決定してもよい。決定された機能素子の動的変形に基づき、駆動素子の電気励起を適合して、たとえば、機能素子の動的変形を抑えるようにしてもよい。
【0111】
本発明のいくつかの実施例においては、回転軸を中心とする回転動作または並進運動は、マイクロメカニカル素子の保持素子内または上の統合された駆動素子により行ってもよく、保持素子の接合は、機能素子と同じ平面にあり、かつ並進運動は、この平面に直角をなす方向に実行される。
【0112】
本発明の他の実施例において、機能素子の監視の感度および/または精度を、いくつかのセンサ素子を用いることによって向上させてもよい。このため、センサ素子を直列に接続してもい。いくつかのセンサ素子を1つの保持素子の上および/または様々な保持素子の上に配設してもよい。
【0113】
本出願においては、同じまたは類似する機能特性を含むものおよび機能単位については、一部同じ参照番号を使用する。
【0114】
特に、状況に応じて、発明の構成は、ソフトウェアで実現してもよい点に留意されたい。特に、それぞれの方法を実行するよう、プログラマブルなコンピュータ系と協働し得る、電気的に読み出し可能な制御信号を有するディスクまたはCD等のデジタル記憶媒体上で実現してもよい。したがって、一般には、本発明は、機械で読み出し可能なキャリア上に記憶され、コンピュータ上で実行されて、発明の方法を実行するためのプログラムコードを有するコンピュータプログラム製品においても実現される。言い換えれば、本発明は、同コンピュータプログラム製品がコンピュータ上で実行されると、同方法を実行するプログラムコードを有するコンピュータプログラムとして実現してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】マイクロメカニカル素子の模式図である。
【図2】駆動素子のさまざまな配列およびそれぞれの保持素子の可能な変形状態を示す模式図である。
【図3】圧電駆動素子の模式図である。
【図4】マイクロメカニカル素子の模式図である。
【図5】マイクロメカニカル素子を監視するためのセンサの模式図である。
【図6】マイクロメカニカル素子の模式図である。
【図7】マイクロメカニカル素子の模式図である。
【図8】マイクロメカニカル素子の模式図である。
【図9】マイクロメカニカル素子の模式図である。
【図10】マイクロメカニカル素子の模式図である。
【図11】マイクロメカニカル素子を監視するための統合されたセンサを有するマイクロメカニカル素子の模式図である。
【図12】マイクロメカニカル素子の使用方法のフロー図である。
【符号の説明】
【0116】
100 マイクロメカニカル素子
110 機能素子
120 保持素子
122 接合
124 駆動素子
410 可動機能素子
500 センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロメカニカル素子であって、
可動機能素子と、
第1の保持素子と、
第2の保持素子と、
第3の保持素子と、
第4の保持素子とを備え、
第1の保持素子および機能素子は、第1の接合で接続され、
第2の保持素子および機能素子は、第2の接合で接続され、
第3の保持素子および機能素子は、第3の接合で接続され、
第4の保持素子および機能素子は、第4の接合で接続され、
第1の保持素子および第2の保持素子は、各々圧電駆動素子を含み、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子は、電気励起により機能素子を動かすよう構成される。
【請求項2】
機能素子が、少なくとも1つの対称軸を含む形状を呈し、かつ第1の接合が、対称軸に関して第3の接合に対称に配設され、第2の接合が、対称軸に関して第4の接合に対称に配設される、請求項1に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項3】
新たな保持素子をさらに備え、その新たな保持素子が、新たな接合で機能素子に接続され、いずれの場合も、2つの新たな接合が対称軸に関して相互に対称かまたは第1の対称軸に直角をなす新たな対称軸に関して相互に対称に配設されて、動きに際しての機能素子の動的変形を抑えるようになっている、請求項1または2に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項4】
第1の保持素子が、機能素子の動きに際して変形し、第1の保持素子の駆動素子が、センサ素子として使用されかつ保持素子の変形を検出するよう構成され、それにより検出された変形に基づき、機能素子の位置まはたは動きの状態を検出できる、請求項1から3のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項5】
制御手段さらに備え、この制御手段が駆動素子の電気励起を制御するよう構成され、かつ機能素子の検出された位置または動きの状態に基づき駆動素子の電気励起を適合させるよう構成される、請求項1から4のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項6】
制御手段が、複数の検出位置または動きの状態に基づき、機能素子の動的変形を決定し、かつ駆動素子の電気励起を適合させて、機能素子の動的変形を抑えるように構成される、請求項5に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項7】
制御手段が、電気共振回路を含みかつ機能素子の固有周波数に電気共振回路の周波数を適合させるよう構成され、電気共振回路の適合された周波数に基づき、駆動素子の電気励起が行われる、請求項5または6に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項8】
第1の保持素子が、ばね素子であり、かつ第1の保持素子の駆動素子が、第1の保持素子のばね定数に影響を与えるよう構成される、請求項1から7のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項9】
保持素子がセンサ素子を含み、センサ素子が保持素子の変形を検出するよう構成される、請求項1から8のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項10】
マイクロメカニカル素子であって、
可動機能素子と、
第1の保持素子と、
第2の保持素子と、
第3の保持素子と、
第4の保持素子とを備え、
第1の保持素子および機能素子が第1の接合で接続され、
第2の保持素子および機能素子が第2の接合で接続され、
第3の保持素子および機能素子が第3の接合で接続され、
第4の保持素子および機能素子が第4の接合で接続され、
第1から第4の接合が、1平面内に存在し、第1の接合が、対称軸に関して第3の接合と対称に配設され、第2の接合が、対称軸に関して第4の接合と対称に配設され、第1から第4の保持素子の各々が、少なくとも1部分で、対称軸に対して平行に延在し、
第1の保持素子および第2の保持素子が各々駆動素子を含み、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子が、励起によって機能素子を動かすよう構成される、マイクロメカニカル素子。
【請求項11】
第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子が、圧電駆動素子、ピエゾ磁気駆動素子、熱機械的駆動素子、電気歪駆動素子または磁気歪駆動素子である、請求項10に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項12】
新たな保持素子を含み、これら新たな保持素子が、新たな接合で、機能素子に接続され、各々の場合、2つの新たな接合が対称軸に関して相互に対称に配設されるかまたは第1の対称軸に直角をなす新たな対称軸に関して相互に対称に配設され、動きに際して機能素子の動的変形を抑えるようになっている、請求項10または11に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項13】
第1の保持素子が、機能素子の動きに際して変形し、第1の保持素子の駆動素子がセンサとして使用され、かつ保持素子の変形を検出するよう構成され、検出された変形に基づき、機能素子の位置または動きの状態を決定できるようになっている、請求項10から12のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項14】
制御手段をさらに備え、この制御手段が駆動素子の電気励起を制御するよう構成され、かつ機能素子の検出位置または動きの状態に基づき駆動素子の電気励起を適合させるよう構成される、請求項10から13のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項15】
制御素子が、複数の検出位置または動きの状態に基づき、機能素子の動的変形を決定し、かつ駆動素子の電気励起を適合させて、機能素子の動的変形を抑えるよう構成される、請求項14に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項16】
制御手段が、電気共振回路を含みかつ機能素子の固有周波数に、電気共振回路の周波数を適合させるよう構成され、駆動素子の励起が、電気共振回路の適合後の周波数に基づき行われる、請求項14または15に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項17】
第1の保持素子がばね素子であり、かつ第1の保持素子の駆動素子が、第1の保持素子のばね定数に影響を与えるよう構成される、請求項10から16のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項18】
保持素子がセンサ素子を含み、センサ素子が、保持素子の変形を検出するよう構成される、請求項10から17のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項19】
第1の駆動素子と第2の駆動素子が、第1の保持素子および第2の保持素子を曲げるよう構成される、請求項1から15のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項20】
マイクロメカニカル素子を監視するためのセンサであって、マイクロメカニカル素子が、可動機能素子と保持素子とを備え、接合で、保持素子が機能素子に接続され、かつ保持素子が機能素子の動きに際して変形され、センサが、
センサ素子を備え、このセンサ素子が保持素子内または上に配設され、かつ保持素子の変形を検出して、マイクロメカニカル素子の機能素子の動きの監視を可能にするよう構成される、センサ。
【請求項21】
保持素子の検出された変形に基づき機能素子の位置または動きの状態を決定するよう構成される、請求項20に記載のマイクロメカニカル素子を監視するためのセンサ。
【請求項22】
センサ素子が圧電センサ素子であり、かつ駆動素子として使用され、電気励起によって、機能素子を動かすように構成される、請求項20または21に記載のマイクロメカニカル素子を監視するためのセンサ。
【請求項23】
新たな保持素子を備え、この保持素子が、駆動素子を含み、この駆動素子が励起によって機能素子を動かすよう構成される、請求項20から22のいずれかに記載のセンサ。
【請求項24】
マイクロメカニカル素子が、1Dねじり発振器、2Dねじり発振器、準静的偏向可能傾斜ミラー、1Dスキャナ、または2Dスキャナとして使用されるかまたは顕微鏡、レーザディスプレイ、レーザプリンタ、レーザイルミネータ、圧力センサ、加速センサまたは粘度センサにおいて使用されるよう構成される、請求項1から18のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項25】
センサ素子が、1Dねじり発振器、2Dねじり発振器、準静的偏向可能傾斜ミラー、1Dスキャナ、2Dスキャナ、顕微鏡、レーザディスプレイ、レーザプリンタ、圧力センサ、加速センサまたは粘度センサにおいて使用されるよう構成される、請求項20または21のいずれかに記載のセンサ。
【請求項26】
マイクロメカニカル素子を操作する方法であって、
マイクロメカニカル素子が、可動機能素子と、第1の保持素子と、第2の保持素子と、第3の保持素子と、第4の保持素子とを備え、第1の保持素子および機能素子が、第1の接合で接続され、第2の保持素子および機能素子が、第2の接合で接続され、第3の保持素子および機能素子が、第3の接合で接続され、第4の保持素子および機能素子が、第4の接合で接続され、第1の保持素子および第2の保持素子が、各々圧電駆動素子を含み、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子が、電気励起によって機能素子を動かすよう構成され、方法が、
第1の保持素子の駆動素子の部分上および第2の保持素子の駆動素子の部分上で、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子の電気励起によって、機能素子の動きを励起させるステップを含む、方法。
【請求項27】
第1の保持素子が、機能素子の動きに際して変形され、かつ第1の保持素子の駆動素子が、センサ素子として使用されるよう構成され、方法がさらに、
第1の保持素子の駆動素子の部分上の機能素子の動きの励起を中断するステップと、
検出された変形に基づき、機能素子の位置または動きの状態の決定を可能にするよう、第1の保持素子の駆動素子の部分上の保持素子の変形を検出するステップとを含む、請求項の26に記載のマイクロメカニカル素子の操作方法。
【請求項28】
マイクロメカニカル素子が、駆動素子の電気励起を制御するよう構成される制御手段を備え、方法が、
機能素子の検出された位置または動きの状態に基づき駆動素子の電気励起を制御するステップをさらに含む、請求項27に記載のマイクロメカニカル素子の操作方法。
【請求項29】
制御手段が電気共振回路を含み、方法がさらに、
電気共振回路の周波数を機能素子の固有周波数に適合させるステップをさらに含み、駆動素子の電気励起が、電気共振回路の周波数に基づき行われる、請求項28に記載のマイクロメカニカル素子の操作方法。
【請求項30】
マイクロメカニカル素子の監視方法であって、マイクロメカニカル素子が、可動機能素子および保持素子を備え、保持素子が、接合で機能素子に接続され、かつ保持素子が機能素子の動きに際して変形され、方法が、
センサ素子の部分上の保持素子の変形を検出するステップを含み、センサ素子が、マイクロメカニカル素子の機能素子の動きを監視するよう保持素子内まはた上に配設される、方法。
【請求項31】
機能素子の位置または動きの状態を、検出された変形に基づき決定する、請求項30に記載のマイクロメカニカル素子の監視方法。
【請求項32】
機能素子の動きの励起を、検出された変形に基づき制御する、請求項30または31に記載のマイクロメカニカル素子の監視方法。
【請求項33】
マイクロメカニカル素子が、電気共振回路を含み、方法が、
電気共振回路の周波数を検出した変形に基づき機能素子の固有周波数に適合させるステップをさらに含み、マイクロメカニカル素子の駆動素子の電気励起が、電気共振回路の周波数に基づき行われる、請求項30から32のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子の監視方法。
【請求項34】
コンピュータまたはマイクロコントローラ上で実行され、請求項26または30に記載の方法を実施するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラム。
【請求項35】
マイクロメカニカル素子の機械的固有共振に影響を与える方法であって、
マイクロメカニカル素子の機械的固有共振に影響を与えるよう、保持素子に統合される駆動素子の部分上のマイクロメカニカル素子の保持素子の剛性に影響を与えるステップを含む、方法。
【請求項1】
マイクロメカニカル素子であって、
可動機能素子と、
第1の保持素子と、
第2の保持素子と、
第3の保持素子と、
第4の保持素子とを備え、
第1の保持素子および機能素子は、第1の接合で接続され、
第2の保持素子および機能素子は、第2の接合で接続され、
第3の保持素子および機能素子は、第3の接合で接続され、
第4の保持素子および機能素子は、第4の接合で接続され、
第1の保持素子および第2の保持素子は、各々圧電駆動素子を含み、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子は、電気励起により機能素子を動かすよう構成される。
【請求項2】
機能素子が、少なくとも1つの対称軸を含む形状を呈し、かつ第1の接合が、対称軸に関して第3の接合に対称に配設され、第2の接合が、対称軸に関して第4の接合に対称に配設される、請求項1に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項3】
新たな保持素子をさらに備え、その新たな保持素子が、新たな接合で機能素子に接続され、いずれの場合も、2つの新たな接合が対称軸に関して相互に対称かまたは第1の対称軸に直角をなす新たな対称軸に関して相互に対称に配設されて、動きに際しての機能素子の動的変形を抑えるようになっている、請求項1または2に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項4】
第1の保持素子が、機能素子の動きに際して変形し、第1の保持素子の駆動素子が、センサ素子として使用されかつ保持素子の変形を検出するよう構成され、それにより検出された変形に基づき、機能素子の位置まはたは動きの状態を検出できる、請求項1から3のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項5】
制御手段さらに備え、この制御手段が駆動素子の電気励起を制御するよう構成され、かつ機能素子の検出された位置または動きの状態に基づき駆動素子の電気励起を適合させるよう構成される、請求項1から4のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項6】
制御手段が、複数の検出位置または動きの状態に基づき、機能素子の動的変形を決定し、かつ駆動素子の電気励起を適合させて、機能素子の動的変形を抑えるように構成される、請求項5に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項7】
制御手段が、電気共振回路を含みかつ機能素子の固有周波数に電気共振回路の周波数を適合させるよう構成され、電気共振回路の適合された周波数に基づき、駆動素子の電気励起が行われる、請求項5または6に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項8】
第1の保持素子が、ばね素子であり、かつ第1の保持素子の駆動素子が、第1の保持素子のばね定数に影響を与えるよう構成される、請求項1から7のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項9】
保持素子がセンサ素子を含み、センサ素子が保持素子の変形を検出するよう構成される、請求項1から8のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項10】
マイクロメカニカル素子であって、
可動機能素子と、
第1の保持素子と、
第2の保持素子と、
第3の保持素子と、
第4の保持素子とを備え、
第1の保持素子および機能素子が第1の接合で接続され、
第2の保持素子および機能素子が第2の接合で接続され、
第3の保持素子および機能素子が第3の接合で接続され、
第4の保持素子および機能素子が第4の接合で接続され、
第1から第4の接合が、1平面内に存在し、第1の接合が、対称軸に関して第3の接合と対称に配設され、第2の接合が、対称軸に関して第4の接合と対称に配設され、第1から第4の保持素子の各々が、少なくとも1部分で、対称軸に対して平行に延在し、
第1の保持素子および第2の保持素子が各々駆動素子を含み、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子が、励起によって機能素子を動かすよう構成される、マイクロメカニカル素子。
【請求項11】
第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子が、圧電駆動素子、ピエゾ磁気駆動素子、熱機械的駆動素子、電気歪駆動素子または磁気歪駆動素子である、請求項10に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項12】
新たな保持素子を含み、これら新たな保持素子が、新たな接合で、機能素子に接続され、各々の場合、2つの新たな接合が対称軸に関して相互に対称に配設されるかまたは第1の対称軸に直角をなす新たな対称軸に関して相互に対称に配設され、動きに際して機能素子の動的変形を抑えるようになっている、請求項10または11に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項13】
第1の保持素子が、機能素子の動きに際して変形し、第1の保持素子の駆動素子がセンサとして使用され、かつ保持素子の変形を検出するよう構成され、検出された変形に基づき、機能素子の位置または動きの状態を決定できるようになっている、請求項10から12のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項14】
制御手段をさらに備え、この制御手段が駆動素子の電気励起を制御するよう構成され、かつ機能素子の検出位置または動きの状態に基づき駆動素子の電気励起を適合させるよう構成される、請求項10から13のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項15】
制御素子が、複数の検出位置または動きの状態に基づき、機能素子の動的変形を決定し、かつ駆動素子の電気励起を適合させて、機能素子の動的変形を抑えるよう構成される、請求項14に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項16】
制御手段が、電気共振回路を含みかつ機能素子の固有周波数に、電気共振回路の周波数を適合させるよう構成され、駆動素子の励起が、電気共振回路の適合後の周波数に基づき行われる、請求項14または15に記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項17】
第1の保持素子がばね素子であり、かつ第1の保持素子の駆動素子が、第1の保持素子のばね定数に影響を与えるよう構成される、請求項10から16のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項18】
保持素子がセンサ素子を含み、センサ素子が、保持素子の変形を検出するよう構成される、請求項10から17のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項19】
第1の駆動素子と第2の駆動素子が、第1の保持素子および第2の保持素子を曲げるよう構成される、請求項1から15のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項20】
マイクロメカニカル素子を監視するためのセンサであって、マイクロメカニカル素子が、可動機能素子と保持素子とを備え、接合で、保持素子が機能素子に接続され、かつ保持素子が機能素子の動きに際して変形され、センサが、
センサ素子を備え、このセンサ素子が保持素子内または上に配設され、かつ保持素子の変形を検出して、マイクロメカニカル素子の機能素子の動きの監視を可能にするよう構成される、センサ。
【請求項21】
保持素子の検出された変形に基づき機能素子の位置または動きの状態を決定するよう構成される、請求項20に記載のマイクロメカニカル素子を監視するためのセンサ。
【請求項22】
センサ素子が圧電センサ素子であり、かつ駆動素子として使用され、電気励起によって、機能素子を動かすように構成される、請求項20または21に記載のマイクロメカニカル素子を監視するためのセンサ。
【請求項23】
新たな保持素子を備え、この保持素子が、駆動素子を含み、この駆動素子が励起によって機能素子を動かすよう構成される、請求項20から22のいずれかに記載のセンサ。
【請求項24】
マイクロメカニカル素子が、1Dねじり発振器、2Dねじり発振器、準静的偏向可能傾斜ミラー、1Dスキャナ、または2Dスキャナとして使用されるかまたは顕微鏡、レーザディスプレイ、レーザプリンタ、レーザイルミネータ、圧力センサ、加速センサまたは粘度センサにおいて使用されるよう構成される、請求項1から18のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子。
【請求項25】
センサ素子が、1Dねじり発振器、2Dねじり発振器、準静的偏向可能傾斜ミラー、1Dスキャナ、2Dスキャナ、顕微鏡、レーザディスプレイ、レーザプリンタ、圧力センサ、加速センサまたは粘度センサにおいて使用されるよう構成される、請求項20または21のいずれかに記載のセンサ。
【請求項26】
マイクロメカニカル素子を操作する方法であって、
マイクロメカニカル素子が、可動機能素子と、第1の保持素子と、第2の保持素子と、第3の保持素子と、第4の保持素子とを備え、第1の保持素子および機能素子が、第1の接合で接続され、第2の保持素子および機能素子が、第2の接合で接続され、第3の保持素子および機能素子が、第3の接合で接続され、第4の保持素子および機能素子が、第4の接合で接続され、第1の保持素子および第2の保持素子が、各々圧電駆動素子を含み、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子が、電気励起によって機能素子を動かすよう構成され、方法が、
第1の保持素子の駆動素子の部分上および第2の保持素子の駆動素子の部分上で、第1の保持素子の駆動素子および第2の保持素子の駆動素子の電気励起によって、機能素子の動きを励起させるステップを含む、方法。
【請求項27】
第1の保持素子が、機能素子の動きに際して変形され、かつ第1の保持素子の駆動素子が、センサ素子として使用されるよう構成され、方法がさらに、
第1の保持素子の駆動素子の部分上の機能素子の動きの励起を中断するステップと、
検出された変形に基づき、機能素子の位置または動きの状態の決定を可能にするよう、第1の保持素子の駆動素子の部分上の保持素子の変形を検出するステップとを含む、請求項の26に記載のマイクロメカニカル素子の操作方法。
【請求項28】
マイクロメカニカル素子が、駆動素子の電気励起を制御するよう構成される制御手段を備え、方法が、
機能素子の検出された位置または動きの状態に基づき駆動素子の電気励起を制御するステップをさらに含む、請求項27に記載のマイクロメカニカル素子の操作方法。
【請求項29】
制御手段が電気共振回路を含み、方法がさらに、
電気共振回路の周波数を機能素子の固有周波数に適合させるステップをさらに含み、駆動素子の電気励起が、電気共振回路の周波数に基づき行われる、請求項28に記載のマイクロメカニカル素子の操作方法。
【請求項30】
マイクロメカニカル素子の監視方法であって、マイクロメカニカル素子が、可動機能素子および保持素子を備え、保持素子が、接合で機能素子に接続され、かつ保持素子が機能素子の動きに際して変形され、方法が、
センサ素子の部分上の保持素子の変形を検出するステップを含み、センサ素子が、マイクロメカニカル素子の機能素子の動きを監視するよう保持素子内まはた上に配設される、方法。
【請求項31】
機能素子の位置または動きの状態を、検出された変形に基づき決定する、請求項30に記載のマイクロメカニカル素子の監視方法。
【請求項32】
機能素子の動きの励起を、検出された変形に基づき制御する、請求項30または31に記載のマイクロメカニカル素子の監視方法。
【請求項33】
マイクロメカニカル素子が、電気共振回路を含み、方法が、
電気共振回路の周波数を検出した変形に基づき機能素子の固有周波数に適合させるステップをさらに含み、マイクロメカニカル素子の駆動素子の電気励起が、電気共振回路の周波数に基づき行われる、請求項30から32のいずれかに記載のマイクロメカニカル素子の監視方法。
【請求項34】
コンピュータまたはマイクロコントローラ上で実行され、請求項26または30に記載の方法を実施するためのプログラムコードを含むコンピュータプログラム。
【請求項35】
マイクロメカニカル素子の機械的固有共振に影響を与える方法であって、
マイクロメカニカル素子の機械的固有共振に影響を与えるよう、保持素子に統合される駆動素子の部分上のマイクロメカニカル素子の保持素子の剛性に影響を与えるステップを含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−134432(P2010−134432A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−225184(P2009−225184)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(597159765)フラウンホーファーゲゼルシャフト ツール フォルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシユング エー.フアー. (68)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225184(P2009−225184)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(597159765)フラウンホーファーゲゼルシャフト ツール フォルデルング デル アンゲヴァンテン フォルシユング エー.フアー. (68)
【Fターム(参考)】
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