説明

マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤

式(I)(式中、Qは、場合により置換されていてもよい5員または6員のアリール環またはヘテロアリール環を表し;Xは、O、S、NR5、またはCR6R7を表し;Yは、CHOH、CHSH、NOR8、CNR8、またはCNOR8を表し;Zは、結合、CR10R11、O、S、SO、SO2、NR10、OCR10R11、CR10R11Oを表すか、あるいは、Z、R4およびQは、互いに一緒になって、場合により置換されていてもよい縮合三環式基を形成し;R1、R1'、R3およびR3'は、互いに独立して、H、C1-6アルキル、またはC1-4アルキルアリールを表し;R2は、CO2R8、CONR5OR9、またはNR5COR9を表し;R4は、場合により置換されていてもよい5員または6員のアリールまたはヘテロアリールを表し;R5は、HまたはC1-3アルキルを表し;R6およびR7は、互いに独立して、H、C1-3アルキル、またはハロゲンを表し;R8は、HまたはC1-2アルキルを表し;R9は、HまたはC1-3アルキルを表し;R10およびR11は、互いに独立して、H、C1-6アルキル、またはC1-4アルキルアリールを表す)で表される化合物およびその生理学上機能的な誘導体、それらの調製方法、それらを含有する製剤、ならびにマトリックスメタロプロテイナーゼ酵素(MMP)の阻害剤としてのそれらの使用を記載する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な化学化合物、それらの調製方法、それらを含有する医薬製剤、および治療におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の化合物は、マトリックスメタロプロテイナーゼ酵素(MMP)の阻害剤である。
【0003】
マトリックスメタロプロテイナーゼ酵素は、細胞外マトリックス成分の分解と再構築において重要な役割を果たしている。MMPの例としては、コラゲナーゼ1、2および3、ゼラチナーゼAおよびB、ストロメリシン1、2および3、マトリリシン、マクロファージメタロエラスターゼ、エナメリシン、ならびに膜型1MMP、2MMP、3MMPおよび4MMPが挙げられる。これらの酵素は、結合組織細胞と炎症細胞によって分泌される。酵素活性化は、組織損傷を引き起こすだけでなく、炎症性細胞の組織への浸潤増大を誘発し、その結果、酵素がさらに生産され、その後組織損傷をもたらす。例えば、MMP分解によって産生されるエラスチン断片は、MMP活性の部位にマクロファージを誘引することにより炎症を刺激すると考えられている。このため、MMPを阻害することにより、不適切なメタロプロテアーゼ活性が結合組織分解と炎症を引き起こしている疾患状態を治療するための手段が得られる。
【発明の開示】
【0004】
一態様では、本発明は、式(I):
【化1】

【0005】
(式中、
Qは、場合により置換されていてもよい5員または6員のアリール環またはヘテロアリール環を表し;
Xは、O、S、NR5、またはCR6R7を表し;
Yは、CHOH、CHSH、NOR8、CNR8、またはCNOR8を表し;
Zは、結合、CR10R11、O、S、SO、SO2、NR10、OCR10R11、CR10R11Oを表すか、あるいは、Z、R4およびQは、互いに一緒になって、場合により置換されていてもよい縮合三環式基を形成しており;
R1、R1'、R3およびR3'は、互いに独立して、H、C1-6アルキル、またはC1-4アルキルアリールを表し;
R2は、CO2R8、CONR5OR9、またはNR5COR9を表し;
R4は、場合により置換されていてもよい5員または6員のアリールまたはヘテロアリールを表し;
R5は、HまたはC1-3アルキルを表し;
R6およびR7は、互いに独立して、H、C1-3アルキル、またはハロゲンを表し;
R8は、HまたはC1-2アルキルを表し;
R9は、HまたはC1-3アルキルを表し;
R10およびR11は、互いに独立して、H、C1-6アルキル、またはC1-4アルキルアリールを表す)
で表される化合物およびその生理学上機能的な誘導体(但し、6H-ジベンゾ[b,d]ピラン-3-ペンタン酸(1-ジヒドロキシ-6,6,9-トリメチル)を除き、但し、以下を条件とする:
Qがフェニルを表し;XがO、SまたはCR6R7(式中、R6およびR7は、互いに独立して、HまたはC1-3アルキルを表す)であり;Zが、結合、C2-4アルキレン、S、SO、SO2、OCH2、またはCH2Oを表し;YがCHOHを表す場合、R4は、置換基X'W'(式中、X'は、-NR1C(O)NR2-、-NR1C(O)-、-NR1C(O)O-、-C(O)NR2-、または-OC(O)NR2-(式中、R1およびR2は、独立して、水素、C1-4アルキルおよびC1-4ハロアルキルから選択される)であり、W'は、水素、または水素、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシ、C1-4ハロアルキル、およびC1-4ハロアルコキシから独立して選択される1個または複数個の基によって場合により置換されていてもよいC1-12ヒドロカルビル基である)によりオルト位が置換されているフェニルではなく;かつ、
R4、ZおよびQが一緒になって基:
【化2】

【0006】
(式中、
R1'は、H、C1-6アルキル、C1-4アルコキシC1-4アルキル、C1-6アルカノイル、C1-4アルカノイルC1-4アルキル、アリール、アリールC1-4アルキル、アリール-C1-4アルコキシC1-4アルキル、アリールC1-4アルカノイル、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールC1-4アルキル、ヘテロアリールC1-4アルコキシC1-4アルキル、ヘテロアリールC1-4アルカノイル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルC1-4アルキル、ヘテロシクリルC1-4アルコキシC1-4アルキル、ヘテロシクリルC1-4アルカノイル、ヘテロシクリルカルボニル、カルボシクリル、カルボシクリルC1-4アルキル、カルボシクリルC1-4アルコキシC1-4アルキル、カルボシクリルC1-4アルカノイル、カルボシクリルカルボニル、C1-4アルキルスルホニル、N,N-ジ-C1-4アルキルアミノスルホニル、またはN-C1-4アルキルアミノスルホニルであり、ここで、R1'は、C1-4アルキル(3個以下のフルロ(fluro)置換基によって場合により置換されていてもよい)、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、N-C1-4アルキルアミノ、N,N-ジ-C1-4アルキルアミノ、C1-4アルカノイルアミノ、メルカプト、C1-4アルキルスルホニル、C1-4アルキルスルフィニル、C1-4アルキルスルファニル、ニトロ、ヘテロアリールC1-4アルカノイルアミノ、またはC1-4アルコキシカルボニルから独立して選択される3個以下の置換基によって場合により置換されていてもよく;
R2'は、水素、C1-4アルキル(ヒドロキシにより場合により置換されていてもよい)、C1-4アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロゲン、アミノ、N-C1-4アルキルアミノ、またはN,N-ジアルキルアミノから選択され;
R4'は、水素、C1-4アルキル、ハロゲン、またはニトロから選択される)
を形成している場合、
Xは、NHまたはCR6R7であり;
Yは、CHOHであり;
R2は、CO2R8(式中、R8はC1-2アルキルである)ではない)
を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
「アリール」という記載には、単環炭素環式芳香族環(例えば、フェニル)および二環炭素環式芳香族環(例えば、ナフチル)が含まれ、また「ヘテロアリール」という記載には、窒素、酸素および硫黄から選択される1〜3個のヘテロ原子を含有する単環および二環ヘテロ環式芳香族環が含まれる。単環ヘテロ環式芳香族環の例としては、例えば、ピリジニル、ピリミジニル、チオフェニル、フラニル、ピロリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、またはイミダゾリルが挙げられ、また二環ヘテロ環式芳香族環の例としては、例えば、ベンゾイミダゾリル、キノリニル、またはインドリルが挙げられる。炭素環式芳香族環およびヘテロ環式芳香族環は、例えば、1個または複数個のC1-6アルキル、C2-6アルケニル、ハロゲン、(CH2)0-4OR6、(CH2)0-4SR6、SO2R6、COR6、アリールオキシ、チオアリール、シアノ、ヒドロキシ、ニトロ、NR6R7、-NR6COR7、-OCF3、-CF3、COOR7、-OCHCF2、-SCF3、-CONR6R7、-SO2NR6R7等の基によって場合により置換されていてもよい。
【0008】
アルキルという記載には、対応するアルキルの直鎖および分枝鎖の両方の脂肪族異性体が含まれる。アルキレンおよびアルコキシの記載についても同様に判断すべきであることは理解されよう。
【0009】
好ましくは、R1およびR1'は互いに水素を表す。
【0010】
好ましくは、R2はCO2R8を表し、さらに好ましくはCO2Hを表す。
【0011】
好ましくは、R3およびR3'は互いに水素を表す。
【0012】
好ましくは、R4は、場合により置換されていてもよいフェニルまたはヘテロアリールを表す。
【0013】
好ましくは、XはCH2を表す。
【0014】
好ましくは、YはCHOHを表す。
【0015】
好ましくは、Zは結合を表すか、あるいは、Z、R4およびQが一緒になって縮合三環式基を表す。
【0016】
式(I)で表される好ましいサブグループの化合物は、式(Ia):
【化3】

【0017】
(式中:
Tは存在しないか、あるいはO、S、NR17またはCR17R18を表し;
---は任意の結合を表し;
R15およびR16は、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、OR17、SR17、COR17、NR18COR17、CONR17R18、場合により置換されていてもよいフェノキシ、またはOR17によって場合により置換されていてもよいC1-6アルキルを表し;
R17は、H、C1-6アルキルまたはC1-4アルキルアリールを表し;
R18は、HまたはC1-6アルキルを表し;
mおよびnは、互いに独立して、0または1、2もしくは3の整数を表わし;
但し、以下を条件とする:Tが存在しない場合、R15はオルト位のNR18COR17またはCONR17R18ではない)
ならびにその生理学上機能的な誘導体により表される。
【0018】
好ましくは、nは0であり、mは1である。
【0019】
好ましくは、R15は、NO2、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ハロゲン、SC1-6アルキル、CN、またはCOC1-6アルキルから選択されるパラ置換基を表す。
【0020】
「生理学上機能的な誘導体」という用語には、例えば、生体内で式(I)に変換可能であることによって、式(I)の遊離化合物と同様の生理機能を有する式(I)の化合物の化学的誘導体という意味があり、服用者へ投与した場合に、式(I)の化合物またはその活性代謝物または残基を直接的または間接的に提供し得る、式(I)の化合物の任意の製薬上許容可能なエステル、アミドおよびカルバメート、塩ならびに溶媒和物が含まれる。
【0021】
式(I)の化合物の適切な塩としては、生理学上許容可能な塩、ならびに生理学上許容可能でないかもしれないが、式(I)の化合物およびその生理学上許容可能な塩の調製に有用であり得る塩が挙げられる。適切ならば、酸付加塩は、無機酸または有機酸、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、メタンスルホン酸塩、ギ酸塩またはトリフルオロ酢酸塩等から誘導することができる。
【0022】
溶媒和物の例としては、水和物が挙げられる。
【0023】
式(I)の化合物がキラル中心を含有する場合、本発明は、エナンチオマー(ラセミ混合物を含む)およびジアステレオ異性体の混合物、ならびに個々のエナンチオマーまで包含する。一般に、式(I)の化合物は精製された単一のエナンチオマーの形態で使用するのが好ましい。
【0024】
式(I)の化合物ならびにその塩および溶媒和物は、下に記載の方法によって調製することができるが、これは、本発明のさらなる態様を構成する。
【0025】
式(I)(式中、Zは結合を表す)の化合物を調製することを目的とした本発明による第1の方法(A)は、式(II):
【化4】

【0026】
(式中、R1、R1'、R2、R3、R3'、Q、X、およびYは、式(I)について前に定義したとおりであり、Lは脱離基を表す)で表される化合物と、基R4Zを導入するのに適した試薬(例えば、化合物R4ZB(OH)2)と、好適には触媒(貴金属触媒等、例えばパラジウム)および適切な塩基(アルカリ金属カーボネート等、例えばセシウムカーボネート)の存在下で、反応させることを含む。この反応は、極性有機溶媒(例えばジメチルホルムアミド)などの適切な溶媒中で行なうのが都合がよい。Lによって表される適切な脱離基としては、ハロゲン化物、特に臭化物またはヨウ化物が挙げられる。
【0027】
式(I)(式中、YはNOHを表す)の化合物を調製することを目的とした別法(B)は、式(III):
【化5】

【0028】
(式中、R4、Z、Q、X、R1、R1'、R3、R3'、およびR2は、式(I)について前に定義したとおりである)
で表される化合物を酸化することを含む。適切な酸化剤としては、適当な溶媒(ジクロロメタンまたはトルエン等)中のメタ-クロロ過安息香酸またはt-ブチルヒドロペルオキシドが挙げられる。この反応は、好適には、室温(例えば約18〜25℃)にて行なう。
【0029】
また、式(I)(式中、XはOまたはSを表し、かつYはCHOHを表す)の化合物を調製することを目的とする別法(C)は、塩基の存在下、式(IV):
【化6】

【0030】
(式中、R4、ZおよびQは、式(I)について前に定義したとおりであり、Xは、OまたはSを表す)
で表される化合物を、式(VA)または(VB):
【化7】

【0031】
(式中、R1、R1'、R3、R3'、およびR2は、式(I)について前に定義したとおりであり、Lは脱離基である)
で表される化合物と反応させ、必要に応じて、その後還元を行なうことを含む。適切な塩基としては、温度約15〜50℃で適切な溶媒(ジメチルホルムアミド等)に溶解したアルカリ金属アルコキシド(カリウムt-ブトキシド等)が挙げられる。Lによって表される適切な脱離基としては、ハロゲン化物、特に臭化物およびヨウ化物が挙げられる。適切な還元剤は当業者には容易に明らかとなるであろうが、例えば、水素化ホウ素ナトリウムが挙げられる。
【0032】
また式(I)の化合物が、合成化学の分野の標準的な方法(酸化、還元、置換、脱保護等)を用いる相互変換によって式(I)の別の化合物から調製され得ることは、当業者には明らかであろう。
【0033】
式(II)(式中、XはCR6R7(式中、R6およびR7は、各々独立して、HまたはC1-3アルキルを表す)である)で表される化合物は、適切な塩基の存在下、式(VI):
【化8】

【0034】
(式中、LおよびQは、式(II)について定義したとおりであり、Xは、CR6R7(式中、R6およびR7は、各々独立して、HまたはC1-3アルキルを表し、L2は、Lよりも置換活性の高い脱離基を表す)
で表される化合物を、式(X):
【化9】

【0035】
(式中、R1、R1'、R2、R3およびR3'は、式(I)について前に定義したとおりである)
で表される化合物と反応させることにより調製することができる。適切な塩基としては、アルカリ金属水素化物(水素化ナトリウム等)およびアルキルリチウム(n-ブチルリチウム等)が挙げられる。この反応は、好適には、低温(例えば約0℃)にて無水有機溶媒(テトラヒドロフラン等)中で行なわれる。式(II)の他の化合物は市販品を購入可能であるか、あるいは、当業者に周知の方法により市販化合物から得ることができる。
【0036】
式(III)の化合物は、適切な有機溶媒(ジメチルホルムアミド等)中、塩基(アルカリ金属アルコキシド等、例えばカリウムブトキシド)の存在下、式(VII):
【化10】

【0037】
(式中、R4、Z、Q、X、R1およびR1'は、式(I)について前に定義したとおりである)
で表される化合物を、式(VIII):
【化11】

【0038】
(式中、R2、R3およびR3'は、式(I)について前に定義したとおりである)
で表される化合物と反応させることによって調製することができる。
【0039】
式(IV)、(VII)および(IX)で表される化合物は既知であるか、あるいは既知の方法、例えば、N MiyauraおよびA Suzuki(Chem. Rev., 1995, 95, 2457-2483)ならびにA. Suzuki(J. Oranometallic Chem., 1999, 576, 147-168)により報告されている方法によって調製することができる。
【0040】
式(VA)、(VB)、(VIII)および(X)で表される化合物は既知であるか、あるいは当業者によく知られている方法によって既知の化合物から調製することができる。例えば、式(VA)のエポキシドは、例えばメタクロロ過安息香酸を用いた酸化によって対応するアルケンから調製することができる。
【0041】
本発明のエナンチオマー化合物は、(a)対応するラセミ混合物の成分の分離によって、例えば、キラルクロマトグラフィー、酵素的分割方法、または好適なジアステレオ異性体の調製および分離によって、(b)上述の方法により適当なキラル出発原料から直接合成することによって、あるいは、(c)キラル試薬を用いた上述の方法と同様の方法によって得ることができる。
【0042】
式(I)の化合物の対応する塩への任意変換は、好ましくは、適当な酸または塩基との反応により行うことができる。式(I)の化合物の対応する溶媒和物または他の生理学上機能的な誘導体への任意変換は、当業者に既知の方法により行うことができる。
【0043】
式(I)の化合物は、マトリックスメタロプロテイナーゼの阻害が有効なすべての症状の治療において、特に、炎症性疾患および自己免疫障害の治療において有用であり得る。
【0044】
本発明の化合物が薬効を有し得る炎症性症状および自己免疫障害の例としては、呼吸器疾患、例えば、喘息(アレルゲン誘発型喘息反応を含む)、嚢胞性繊維症、気管支炎(慢性気管支炎を含む)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人型呼吸窮迫症候群(ARDS)、慢性経肺炎症、鼻炎および上気道炎症性障害(URID)、ベンチレーター誘発型肺損傷、珪肺症、肺サルコイドーシス、特発性肺線維症、気管支肺異形成、関節炎、例えば、慢性関節リウマチ、骨関節炎、感染性関節炎、乾癬性関節炎、外傷性関節炎、風疹関節炎、ライター症候群、痛風性関節炎および人工器官関節機能不全、痛風、急性滑膜炎、脊椎炎および非関節炎症症状、例えば、椎間板ヘルニア/破損椎間板/脱出椎間板症候群、粘液嚢炎、腱炎、腱滑膜炎、結合組織炎症候群ならびに靭帯捻挫および限局性筋骨格損傷に随伴する他の炎症性症状、胃腸管の炎症性疾患、例えば、潰瘍性大腸炎、憩室炎、クローン病、炎症性腸疾患、過敏性大腸症候群および胃炎、多発性硬化症、全身性紅斑性狼瘡、硬皮症、自己免疫性外分泌腺症、自己免疫性脳脊髄炎、糖尿病、腫瘍血管形成および転移、乳癌、結腸癌、直腸癌、肺癌、腎癌、卵巣癌、胃癌、子宮癌、膵臓癌、肝癌、口腔癌、喉癌および前立腺癌をはじめとする癌、黒色腫、急性白血病および慢性白血病、歯槽膿漏症、神経変性障害、アルツハイマー病、パーキンソン病、てんかん、筋変性、鼡径ヘルニア、網膜変性、糖尿病性網膜症、黄斑変性、眼球炎症、骨吸収疾患、骨粗鬆症、大理石骨病、移植片対宿主反応、同種異系移植片拒絶反応、敗血症、内毒素血症、毒素性ショック症候群、結核、通常型間質性器質化肺炎および特発性器質化肺炎、細菌性髄膜炎、全身性悪液質、感染または悪性腫瘍続発性悪液質、後天性免疫不全症候群(AIDS)続発性悪液質、マラリア、ハンセン病、皮膚リーシュマニア症、ライム病、糸球体腎炎、糸球体硬化症、腎線維症、肝臓線維症、膵臓炎、肝炎、子宮内膜症、疼痛、例えば、炎症および/または外傷に伴う疼痛、皮膚の炎症性疾患、例えば、皮膚炎、皮膚病、皮膚潰瘍、乾癬、湿疹、全身性脈管炎、血管性認知症、血栓症、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、再潅流傷害、プラーク石灰化、心筋炎、動脈瘤、卒中、肺高血圧症、左心室リモデリング、および心不全が挙げられる。
【0045】
重要な主たる疾患としては、COPDおよび呼吸器官の炎症性疾患、ならびに関節疾患および血管疾患が挙げられる。
【0046】
治療に関する本明細書の記載が所定の疾患の予防並びに治療にまで及ぶことは、当業者には明らかであろう。
【0047】
従って、本発明のさらなる態様として、薬剤で使用するための式(I)の化合物またはその生理学上許容可能な誘導体を提供する。
【0048】
本発明の別の態様によれば、炎症性症状または自己免疫障害治療用薬剤の製造における式(I)の化合物またはその生理学上許容可能な誘導体の使用を提供する。
【0049】
また、さらなる態様または代替の態様では、自己免疫疾患または炎症性疾患に罹患しているか、または罹患しやすいヒトまたは動物の被験体の治療方法であって、前記ヒトまたは動物被験体に、有効量の式(I)の化合物またはその生理学上機能的な誘導体を投与することを含む、前記方法を提供する。
【0050】
本発明による化合物は、任意の都合のよい方法で投与用に製剤化することができる。従って、本発明はその範囲内に、式(I)の化合物またはその生理学上許容可能な誘導体を、所望の場合、1種または複数の生理学上許容可能な希釈剤または担体とともに含む医薬組成物も包含する。
【0051】
さらにまた、それらの成分を混合することを含んでなる、かかる医薬製剤の調製方法も提供する。
【0052】
本発明による化合物は、例えば、経口投与、吸入投与、鼻腔内投与、局所投与、口腔内投与、非経口投与、または直腸内投与用に、好ましくは経口投与用に製剤化することができる。
【0053】
経口投与用の錠剤およびカプセルは、慣用の添加剤、例えば結合剤、例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカントゴム、デンプン粘液、セルロース、またはポリビニルピロリドン;充填剤、例えば、ラクトース、微結晶性セルロース、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、またはソルビトール;滑沢剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ポリエチレングリコール、またはシリカ;崩壊剤、例えば、ジャガイモデンプン、クロスカルメロースナトリウム、またはデンプングリコール酸ナトリウム;あるいは湿潤剤、例えば、ラウリル硫酸ナトリウムを含み得る。錠剤は、当技術分野で周知の方法によりコーティングすることができる。経口液体製剤は、例えば、水性または油性の懸濁液、溶液、乳剤、シロップ剤、またはエリキシル剤の形態であってよい。あるいは、使用前に水または他の好適なビヒクルで構成するための乾燥製品として提供することができる。かかる液体製剤は、慣用の添加剤、例えば沈澱防止剤、例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロース、グルコース/糖シロップ、ゼラチン、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、または水素化食用脂;乳化剤、例えば、レシチン、ソルビタンモノオレエート、またはアラビアゴム;非水性ビヒクル(食用油を含み得る)、例えば、アーモンド油、精製ヤシ油、油状エステル、プロピレングリコール、またはエチルアルコール;あるいは保存剤、例えば、メチルまたはプロピルp-ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸が含まれ得る。これらの調製物には、必要に応じて、緩衝塩、着香剤、着色剤および/または甘味剤(例えばマンニトール)も含み得る。
【0054】
局所投与用の本発明による化合物は、クリーム剤、ゲル剤、軟膏剤またはローション剤として、あるいは経皮貼布剤として製剤化することができる。かかる組成物は、例えば、好適な粘稠化剤、ゲル化剤、乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤および/または着色剤を添加して、水系基剤または油系基剤と一緒に製剤化することができる。
【0055】
ローション剤は水系基剤または油系基剤を用いて製剤化することができるが、一般には、1種または複数の乳化剤、安定化剤、分散剤、懸濁化剤、粘稠化剤または着色剤も含有し得る。またローション剤は保存剤を含有していてもよい。
【0056】
口腔内投与では、本組成物は慣用の方法で製剤化した錠剤またはトローチ剤の形態であってよい。
【0057】
また本化合物は、ココアバターまたは他のグリセリド等の慣用の坐剤用基剤を含有する坐剤としても製剤化することができる。
【0058】
本発明による化合物は、ボーラス注射または連続注入による非経口投与用として製剤化することもでき、例えば、アンプル、バイアル、少量輸液、または予充填注射器としての単位投与形態で、あるいは追加保存剤が入った多回投与容器で提供することができる。本組成物は、水性ビヒクルまたは非水性ビヒクルに溶解した溶液、懸濁液または乳剤などの形態であってよく、酸化防止剤、バッファー、抗菌剤、および/または等張化剤等の製剤化剤(formulatory agent)を含有していてもよい。あるいは、本有効成分は、使用前に好適なビヒクル(例えば、殺菌済みの発熱物質非含有水)を用いて構成することを目的とした粉末形態であってよい。本乾燥固形物形態は、殺菌済み粉末を無菌的に個々の滅菌容器に充填することによって、あるいは無菌液を無菌的に各容器に充填して凍結乾燥することによって調製することができる。
【0059】
また本発明による医薬組成物は、他の治療薬、例えば、抗炎症剤(コルチコステロイド等、(例えば、プロピオン酸フルチカゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、フランカルボン酸モメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、もしくはブデソニド)またはNSAID(例えば、クロモグリク酸ナトリウム、ネドクロミルナトリウム、PDE-4阻害剤、ロイコトリエンアンタゴニスト、CCR-3アンタゴニスト、iNOS阻害剤、トリプターゼ阻害剤およびエラスターゼ阻害剤、β-2インテグリンアンタゴニストおよびアデノシン2aアゴニスト))、またはβアドレナリン作動薬(例えば、サルメテロール、サルブタモール、ホルモテロール、フェノテロールもしくはテルブタリンおよびそれらの塩)、または抗感染薬(例えば、抗生物質、抗ウイルス薬)と組み合わせて用いることができる。
【0060】
本発明の化合物を、通常吸入または鼻腔経路によって投与される他の治療薬と組み合わせて投与する場合、その得られる医薬組成物は吸入または鼻腔経路により投与され得ることは理解されよう。
【0061】
本発明の化合物は、例えば、0.01〜100mg/kg体重、好ましくは0.1〜25mg/kg体重、さらに好ましくは0.3〜5mg/kg体重の量で投与するのが好都合である。本化合物は、全日用量に等しくなるよう1日2回以上投与することができる。正確な用量は、当然、患者の年齢および症状、並びに選択した特定の投与経路に応じて変わるが、最終的には担当医師の判断による。
【0062】
本発明による化合物を上述の用量範囲内で投与する場合、毒性作用はないものと思われる。
【0063】
本発明の化合物は、以下のアッセイに従ってin vitro活性について試験することができる。
【0064】
MMP-12アッセイで用いられる蛍光性ペプチド基質は、FAM-Gly-Pro-Leu-Gly-Leu-Phe-Ala-Arg-Lys(TAMRA)である。式中、FAMはカルボキシフルオレセインを表し、TAMRAはテトラメチルローダミンを表す。MMP12触媒ドメイン(残基106〜268)タンパク質は、大腸菌内で不溶性封入体の形態で発現させ、変性条件(8Mの塩酸グアニジン)下、濃縮溶液中に保管した。酵素は、アッセイ反応開始してから直接稀釈によりin situで活性型へリフォールディングした。反応液51μLを、NUNC(商標)の黒色で正方形の384ウェルプレート(各ウェルは、50mM HEPES、pH 7.5、150mM NaCl、10mM CaCl2、1μM ZnAc、0.6mM CHAPS、および2% DMSOに溶解した2μMの基質、20nMの酵素および0.001〜100μMの阻害剤を含有する)に注入する。ポジティブコントロールのウェルは阻害剤を含んでいない。ネガティブコントロールのウェルは、EDTAクエンチングを事前に施すか(下記を参照されたい)、または酵素を除くことにより行なう。室温にて120分間、反応液をインキュベートし、次いで、100mM EDTAを15μL添加することによってクエンチングする。各ウェル中の生成物形成は、Molecular Devices Acquestを用いて蛍光を測定することにより定量する。励起波長は485nMで設定し、発光波長は530nMである。IC50値は、まず、各阻害剤濃度における阻害パーセント(%I)((%I = 100*(1-(I-C2)/(C1-C2))(式中、C1はポジティブコントロールの平均値であり、C2はネガティブコントロールの平均値である)を算出し、次いで、次式:%I = A+((B-A)/(1+((C/[I]^D)))(式中、Aは下方漸近線であり、Bは上方漸近線であり、CはIC50値であり、Dはスロープファクターである)に、%I対阻害剤濃度[I]データを挿入することによって取得した。このアッセイで試験したところ、実施例6〜28の化合物は、IC50が100ミクロモル未満であった。
【0065】
本発明を以下の実施例を参照することにより説明するが、本発明がこれらに限定されるものと解釈すべきではない。
【実施例】
【0066】
一般的な実験の詳細
LC/MSデータは下記の条件下で取得した:
・カラム:3.3cm×4.6mm ID、3μm ABZ+PLUS
・流速:3ml/分
・注入容量:5μl
・温度:室温
・UV検出範囲:215〜330nm
・溶媒: A: 0.1% ギ酸+10mM 酢酸アンモニウム
B: 95% アセトニトリル+0.05% ギ酸
・勾配: 時間 A% B%
0.00 100 0
0.70 100 0
4.20 0 100
5.30 0 100
5.50 100 0
1H NMRスペクトルは、Bruker-Spectrospin Ultrashield 400分光光度計にて400MHzで得た。
【0067】
実施例1
【化12】

【0068】
5-ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-ペンタン酸
ジクロロメタン(20%;10mL)中のトリフルオロ酢酸溶液を5-ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-ペンタン酸tert-ブチルエステル(中間体3、244mg、0.748mmol)に添加し、得られた溶液を室温で45分間撹拌した。揮発物を減圧下で蒸発させ、白色固形物として表題化合物5(189mg、94%)を得た。
【0069】
LC/MS: 3.24分; z/e 271, 計算値 (M+1) 271。1H NMR (400 MHz: DMSO-d6): 7.65 (2 H), 7.55 (2 H), 7.43 (2 H), 7.31 (3 H), 4.79 (1 H), 3.85 (1 H), 2.70 (2 H), 2.35 (2 H), 1.71 (2 H)。
【0070】
実施例2
【化13】

【0071】
5-(9H-フルオレン-2-イル)-3-ヒドロキシ-ペンタン酸
実施例1と同様にして調製した。LC/MS: 3.22分; z/e 281, 計算値(M-1) 281。
【0072】
実施例3
【化14】

【0073】
3-ヒドロキシ-5-(4-フェノキシ-フェニル)-ペンタン酸
実施例1と同様にして調製した。LC/MS: 3.11分; z/e 285, 計算値(M-1) 285。
【0074】
実施例4
【化15】

【0075】
5-(4-ベンジルオキシ-フェニル)-3-ヒドロキシ-ペンタン酸
実施例1と同様にして調製した。LC/MS: 3.08分; z/e 299, 計算値(M-1) 299。
【0076】
実施例5
【化16】

【0077】
5-ジベンゾフラン-3-イル-3-ヒドロキシ-ペンタン酸
実施例1と同様にして調製した。LC/MS: 3.22分; z/e 283, 計算値(M-1) 283。
【0078】
実施例6
【化17】

【0079】
5-ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-1-チアゾリジン-3-イル-ペンタン-1-オン
ジイソプロピルエチルアミン(32μL、0.19mmol)を、窒素下で室温にて、ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解した5-ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-ペンタン酸(実施例1、25mg、93μmol)とO-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(70mg、0.19mmol)の撹拌溶液に添加した。5分間撹拌した後、チアゾリジン(11μL、0.14mmol)を添加し、次いで、撹拌をさらに2時間継続した。揮発物を減圧下で蒸発により除去し、残渣をジクロロメタン(5mL)と水(5mL)の間に分配した。これらの相を分離し、有機相を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフイーにより精製し(1:1酢酸エチル:40〜60石油エーテル)、白色固形物として表題化合物(15mg、47%)を得た。LC/MS: 3.22分; z/e 342, 計算値 (M+1) 342。1H NMR (400 MHz: CDCl3): 7.59 (2 H), 7.51 (2 H), 7.42 (2 H), 7.30 (3 H), 4.57, 4.42, 4.12, 3.85, 3.68, 3.09, 3.01, 2.90. 2.76, 2.47 (2 H), 1.93 (1 H), 1.78 (1 H)。
【0080】
実施例7
【化18】

【0081】
5-ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-2-メチルペンタン酸
ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸溶液(20%;10mL)を5-ビフェニル-4-イル-2-メチル-3-オキソ−ペンタン酸tert-ブチルエステル(中間体7、130mg、0.382mmol)に添加し、得られた溶液を室温にて1.5時間撹拌した。揮発物を減圧下で蒸発させ、残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフイーにより精製し(1:2酢酸エチル:40〜60石油エーテル)、白色固形物のジアステレオ異性体混合物として表題化合物(60mg、56%)を得た。LC/MS: 3.22分; z/e 302, 計算値 (M+NH4) 302。1H NMR (400 MHz: CDCl3): 7.59 (2 H), 7.51 (2 H), 7.40 (2 H), 7.28 (3 H), 4.21, 4.01 3.75, 2.91, 2.76, 2.62, 1.88, 1.25。
【0082】
実施例8
【化19】

【0083】
2-ベンジル-5-ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-ペンタン酸
実施例7(ジアステレオ異性体混合物)と同様にして調製した。LC/MS: 3.54分および3.61分; z/e 378, 計算値 (M+NH4) 378。
【0084】
実施例9
【化20】

【0085】
5-ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-2-フェネチル-ペンタン酸
実施例7(ジアステレオ異性体混合物)と同様にして調製した。LC/MS: 3.59分および3.66分; z/e 373, 計算値 (M-1) 373。
【0086】
実施例10
【化21】

【0087】
5-ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-2-(3-フェニル-プロピル)-ペンタン酸
実施例7(ジアステレオ異性体混合物)と同様にして調製した。LC/MS: 3.71分および3.79分; z/e 387, 計算値 (M-1) 387。
【0088】
実施例11
ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-ペンタン酸−エナンチオマー1
5-ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-ペンタン酸(実施例1)のラセミ体試料を、13.5分間、分取キラルHPLC(Chiralpak-ADカラム、15%エタノール: ヘプタン(0.1%トリフルオロ酢酸)、15mL/分)を用いて分割した。
【0089】
実施例12
ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-ペンタン酸−エナンチオマー2
5-ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-ペンタン酸(実施例1)のラセミ体試料を、15.2分間、分取キラルHPLC(Chiralpak-ADカラム、15%エタノール:ヘプタン(0.1%トリフルオロ酢酸)、15mL/分)を用いて分割した。
【0090】
実施例13
【化22】

【0091】
3-ヒドロキシ-5-(3'-ニトロ-ビフェニル-4-イル)-ペンタン酸
3-ヒドロキシ-5-(4-ヨード-フェニル)-ペンタン酸(中間体10、16mg、50μmol)、炭酸セシウム(40mg、125μmol)、3-ニトロフェニルボロン酸(10mg、60μmol)およびFibreCat(商標)1001(20mg、2.7%w/w パラジウム)をジメチルホルムアミド(200μL)中に懸濁し、次いで、100℃にて1時間加熱した。この反応物を室温まで冷却し、溶媒を減圧下で除去した。残渣を10%メタノール/ジクロロメタンと2MのHClの間に分配し、次いで、それらの相を分離した。有機相を減圧下で蒸発させ、質量誘導(mass directed)HPLCにより精製し、白色固形物として表題化合物(5mg、32%)を得た。LC/MS: 3.18分; z/e 314, 計算値 (M-1) 314。1H NMR (400 MHz: DMSO-d6): 8.4 (1 H), 8.15 (2 H), 7.7 (3 H), 7.35 (2 H), 3.85 (1 H), 2.7 (2 H), 2.32 (2 H), 1.7 (2 H)。
【0092】
実施例14
【化23】

【0093】
3-ヒドロキシ-5-(4'-メチル-ビフェニル-4-イル)-ペンタン酸
実施例13と同様にして調製した。LC/MS: 3.43分; z/e 283, 計算値 (M-1) 283。
【0094】
実施例15
【化24】

【0095】
3-ヒドロキシ-5-(4'-ヒドロキシメチル-ビフェニル-4-イル)-ペンタン酸
実施例13と同様にして調製した。LC/MS: 2.71分; z/e 299, 計算値 (M-1) 299。
【0096】
実施例16
【化25】

【0097】
3-ヒドロキシ-5-(3'-メチル-ビフェニル-4-イル)-ペンタン酸
実施例13と同様にして調製した。LC/MS: 3.36分; z/e 283, 計算値 (M-1) 283。
【0098】
実施例17
【化26】

【0099】
3-ヒドロキシ-5-(3'-ヒドロキシ-ビフェニル-4-イル)-ペンタン酸
実施例13と同様にして調製した。LC/MS: 2.86分; z/e 285, 計算値 (M-1) 285。
【0100】
実施例18
【化27】

【0101】
5-(4'-アセチル-ビフェニル-4-イル)-3-ヒドロキシ-ペンタン酸
実施例13と同様にして調製した。LC/MS: 3.02分; z/e 311, 計算値 (M-1) 311。
【0102】
実施例19
【化28】

【0103】
5-(3'-アセチルアミノ-ビフェニル-4-イル)-3-ヒドロキシ-ペンタン酸
実施例13と同様にして調製した。LC/MS: 2.71分; z/e 326, 計算値 (M-1) 326。
【0104】
実施例20
【化29】

【0105】
5-(3'-フルオロ-ビフェニル-4-イル)-3-ヒドロキシ-ペンタン酸
実施例13と同様にして調製した。LC/MS: 3.27分; z/e 287, 計算値 (M-1) 287。
【0106】
実施例21
【化30】

【0107】
3-ヒドロキシ-5-(4'-メチルスルファニル-ビフェニル-4-イル)-ペンタン酸
実施例13と同様にして調製した。LC/MS: 3.44分; z/e 315, 計算値 (M-1) 315。
【0108】
実施例22
【化31】

【0109】
5-(4'-エチル-ビフェニル-4-イル)-3-ヒドロキシ-ペンタン酸
実施例13と同様にして調製した。LC/MS: 3.60分; z/e 297, 計算値 (M-1) 297。
【0110】
実施例23
【化32】

【0111】
5-(4'-エトキシ-ビフェニル-4-イル)-3-ヒドロキシ-ペンタン酸
実施例13と同様にして調製した。LC/MS: 3.40分; z/e 313, 計算値 (M-1) 313。
【0112】
実施例24
【化33】

【0113】
5-(4'-シアノ-ビフェニル-4-イル)-3-ヒドロキシ-ペンタン酸
実施例13と同様にして調製した。LC/MS: 3.08分; z/e 294, 計算値 (M-1) 294。
【0114】
実施例25
【化34】

【0115】
5-(3'-シアノ-ビフェニル-4-イル)-3-ヒドロキシ-ペンタン酸
実施例13と同様にして調製した。LC/MS: 3.05分; z/e 294, 計算値 (M-1) 294。
【0116】
実施例26
【化35】

【0117】
5-(4'-フルオロ-ビフェニル-4-イル)-3-ヒドロキシ-ペンタン酸
実施例13と同様にして調製した。LC/MS: 3.26分; z/e 287, 計算値 (M-1) 287。
【0118】
実施例27
【化36】

【0119】
3-ヒドロキシ-5-(4'-フェノキシ-ビフェニル-4-イル)-ペンタン酸
実施例13と同様にして調製した。LC/MS: 3.73分; z/e 361, 計算値 (M-1) 361。
【0120】
実施例28
【化37】

【0121】
3-ヒドロキシ-5-(4'-メトキシ-ビフェニル-4-イル)-ペンタン酸
実施例13と同様にして調製した。LC/MS: 3.19分; z/e 299, 計算値 (M-1) 299。
【0122】
中間体1
【化38】

【0123】
4-ブロモメチルビフェニル
四臭化炭素(8.99g、27.1mmol)およびトリフェニルホスフィン(7.11g、27.1mmol)を、室温にて、ジクロロメタン(100mL)に溶解したビフェニル-4-イルメタノール(5.00g、27.1mmol)の撹拌溶液に添加した。室温にて1.5時間撹拌を継続し、次いで、溶媒を減圧下で蒸発により除去した。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフイー(1:20のジエチルエーテル:シクロヘキサン)により精製し、白色固形物として表題化合物(6.37g、95%)を得た。1H NMR (400 MHz: CDCl3): 7.6 (4 H), 7.45 (4 H), 7.35 (1 H), 4.55 (2 H)。
【0124】
中間体2
【化39】

【0125】
5-ビフェニル-4-イル-3-オキソ-ペンタン酸tert-ブチルエステル
テトラヒドロフラン(20mL)中のt-ブチルアセトアセテート(1.84mL、11.1mmol)溶液を、窒素下で0℃にてテトラヒドロフラン(10mL)に溶解した水素化ナトリウム(488mg、12.2mmol)の撹拌懸濁液に添加した。10分間撹拌した後、n-ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M; 7.3mL、11.6mmol)を2分間かけて滴下しながら添加し、次いで、10分間撹拌をさらに継続した。テトラヒドロフラン(6mL)中の4-ブロモメチル-ビフェニル(中間体1、3.00g、12.2mmol)の溶液を10分間かけて滴下しながら添加し、得られた溶液を0℃にて1.5時間撹拌した。6Mの塩酸(15mL)を添加し、次いで、その粗製反応混合物をジエチルエーテル(3×50mL)で抽出した。有機相を合わせ、食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)させた後、次いで、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフイー(1:20ジエチルエーテル:シクロヘキサン)により精製し、黄色固形物として表題化合物(1.37g、38%)を得た。LC/MS: 3.78分; z/e 342, 計算値 (M+NH4) 342。1H NMR (400 MHz: CDCl3): 7.55 (2 H), 7.50 (2 H), 7.43 (2 H), 7.32 (1 H), 7.25 (2 H), 3.34 (2 H), 2.95 (4 H), 1.45 (9 H)。
【0126】
中間体3
【化40】

【0127】
5-ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-ペンタン酸tert-ブチルエステル
水素化ホウ素ナトリウム(51mg、1.4mmol)を、窒素下で0℃にてメタノール(5mL)中の5-ビフェニル-4-イル-3-オキソ-ペンタン酸tert-ブチルエステル(中間体2、400mg、1.23mmol)の撹拌溶液に一度に添加した。30分間撹拌を継続し、次いで、1Mの塩酸(5mL)を添加した。その粗製反応混合物をジエチルエーテル(3×20mL)で抽出し、得られた有機相を合わせ、乾燥(MgSO4)させ、次いで溶媒を減圧下で蒸発により除去して、無色油状物として表題化合物(375mg、93%)を得た。LC/MS: 3.67分; z/e 344, 計算値 (M+NH4) 344。1H NMR (400 MHz: CDCl3): 7.55 (2 H), 7.50 (2 H), 7.43 (2 H), 7.38 (3 H), 4.01 (1 H), 3.25 (1 H), 2.80 (2 H), 2.44 (2 H), 1.82 (2 H), 1.45 (9 H)。
【0128】
中間体4
【化41】

【0129】
5-ビフェニル-4-イル-3-メトキシ-ペンタン酸tert-ブチルエステル
水素化ナトリウム(60%;7.0mg、0.17mmol)を、窒素下で0℃にて、ジメチルホルムアミド(0.5mL)中の5-ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-ペンタン酸tert-ブチルエステル(中間体3、50mg、0.15mmol)撹拌溶液に添加した。5分間撹拌した後、ヨウ化メチル(14μL、0.23mmol)を添加し、撹拌を12時間継続した。揮発物を減圧下で蒸発させ、残渣をジクロロメタン(5mL)と水(5mL)の間に分配した。これらの相を分離し、有機相を乾燥(MgSO4)させ、次いで、溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフイー(1:8ジエチルエーテル:シクロヘキサン)により精製し、無色ゴム状物として表題化合物(18mg、35%)を得た。LC/MS: 3.87分; z/e 358, 計算値 (M+NH4) 358。1H NMR (400 MHz: CDCl3): 7.59 (2 H), 7.53 (2 H), 7.42 (2 H), 7.28 (3 H), 3.68 (1 H), 3.40 (3 H), 2.77 (2 H), 2.56 (1 H), 2.38 (1 H), 1.88 (2 H), 1.47 (9 H)。
【0130】
中間体5
【化42】

【0131】
3-アセトキシ-5-ビフェニル-4-イル-ペンタン酸tert-ブチルエステル
無水酢酸(40μL、0.42mmol)を、窒素下で室温にて、ジクロロメタン(1mL)中の5-ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-ペンタン酸tert-ブチルエステル(中間体3、54mg、0.17mmol)、4-ジメチルアミノピリジン(5.0mg、41μmol)およびピリジン(54μL、0.66mol)の撹拌溶液に添加した。室温で12時間撹拌を継続した後、2Mの塩酸(5mL)およびジクロロメタン(5mL)を添加した。これらの相を分離し、水相をジクロロメタン(3×5mL)で抽出した。有機相を合わせ、食塩水(5mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)させた。溶媒を減圧下で蒸発させて除去し、無色ゴム状物として表題化合物(45mg、74%)を得た。LC/MS: 3.91分; z/e 386, 計算値 (M+NH4) 386。1H NMR (400 MHz: CDCl3): 7.59 (2 H), 7.52 (2 H), 7.42 (2 H), 7.33 (1 H), 7.25 (2 H), 5.29 (1 H), 2.70 (2 H), 2.53 (2 H), 2.05 (3 H), 1.97 (2H), 1.42 (9 H)。
【0132】
中間体6
【化43】

【0133】
5-ビフェニル-4-イル-2-メチル-3-オキソ-ペンタン酸tert-ブチルエステル
ジメチルホルムアミド(1.5mL)中の5-ビフェニル-4-イル-3-オキソ-ペンタン酸tert-ブチルエステル(中間体2、0.30g、0.93mmol)溶液を、窒素下で0℃にて、ジメチルホルムアミド(1mL)中の水素化ナトリウム(60%;38mg、0.94mmol)の懸濁液に添加した。20分間撹拌した後、ヨウ化メチル(58μL、0.93mmol)を添加し、その反応物を室温まで温め、その温度にて2時間撹拌を継続した。0.5Mの塩酸(5mL)を添加し、クエンチングした反応混合物をジエチルエーテル(3×5mL)で抽出した。有機相を合わせ、食塩水(5mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)させた。揮発物を減圧下で蒸発により除去し、残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフイー(1:6ジエチルエーテル:40〜60石油エーテル)により精製し、無色油状物として表題化合物(163mg、52%)を得た。LC/MS: 3.81分; z/e 356, 計算値 (M+NH4) 356。1H NMR (400 MHz: CDCl3): 7.59 (2 H), 7.51 (2 H), 7.42 (2 H), 7.32 (1 H), 7.22 (2 H), 3.42 (1 H), 2.97 (3 H), 2.83 (1 H), 1.42 (9 H), 1.28 (3 H)。
【0134】
中間体7
【化44】

【0135】
5-ビフェニル-4-イル-3-ヒドロキシ-2-メチル-ペンタン酸tert-ブチルエステル
水素化ホウ素ナトリウム(17mg、0.44mmol)を、窒素下で0℃にて、メタノール(3mL)中の5-ビフェニル-4-イル-2-メチル-3-オキソ-ペンタン酸tert-ブチルエステル(中間体6、135mg、0.399mmol)の撹拌溶液に添加した。1時間撹拌した後、1Mの塩酸(5mL)を添加し、その粗製反応混合物をジエチルエーテル(3×5mL)で抽出した。有機相を合わせ、食塩水(5mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)させた。揮発物を減圧下で蒸発により除去し、ジアステレオ異性体混合物の無色ゴム状物として表題化合物(130mg、96%)を得た。LC/MS: 3.72分; z/e 341, 計算値 (M+1) 341。1H NMR (400 MHz: CDCl3): 7.59 (2 H), 7.51 (2 H), 7.42 (2 H), 7.28 (3 H), 4.21, 3.90, 3.65, 2.89, 2.75, 1.81, 1.69, 1.55, 1.44, 1.30, 1.18。
【0136】
中間体8
【化45】

【0137】
5-(4-ヨード-フェニル)-3-オキソ-ペンタン酸tert-ブチルエステル
t-アセト酢酸ブチル(1.5mL、9.2mmol)を、窒素下で0℃にて、テトラヒドロフラン中の水素化ナトリウム(60%;400mg、10.0mmol)の撹拌懸濁液に2分間かけて滴下して加えた。10分間撹拌した後、ヘキサンに溶解したn-ブチルリチウム(1.6M;6.0mL、9.6mmol)を添加し、さらに撹拌を10分間継続した。得られた溶液を、テトラヒドロフラン(4mL)中の4-ヨード臭化ベンジル(2.97g、10.0mmol)溶液で液滴しながら処理し、次いで、室温まで加温した。反応物を室温にて40分間撹拌し、次いで、6MのHCl(5mL)でクエンチングした。得られた混合物をジエチルエーテル(3×50mL)で抽出した。有機相を合わせ、食塩水(50mL)で洗浄し、乾燥(MgSO4)させ、次いで、溶媒を減圧下で蒸発させた。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィー(1:20〜1:10酢酸エチル/シクロヘキサン)によって精製し、黄色油状物として表題化合物(1.88g、54%)を得た。LC/MS: 3.66分; z/e 375, 計算値 (M+1) 375。1H NMR (400 MHz; CDCl3): 7.6 (2 H), 6.93 (2 H), 3.33 (2 H), 2.85 (4 H), 1.45 (9 H)。
【0138】
中間体9
【化46】

【0139】
3-ヒドロキシ-5-(4-ヨード-フェニル)-ペンタン酸tert-ブチルエステル
水素化ホウ素ナトリウム(198mg、5.20mmol)を、0℃にて、メタノール(15mL)中の5-(4-ヨード-フェニル)-3-オキソ-ペンタン酸tert-ブチルエステル(中間体8、1.78g、4.76mmol)の撹拌溶液に一度に添加した。この反応物を20分間撹拌し、次いで、1MのHCl(15mL)でクエンチングした。得られた混合物をジエチルエーテル(3×20mL)で抽出した。有機相を合わせ、乾燥(MgSO4)させ、次いで溶媒を減圧下で蒸発により除去し、無色油状物として表題化合物(1.46g、82%)を得た。LC/MS: 3.59分; z/e 394, 計算値 (M+NH4) 394。1H NMR (400 MHz: CDCl3): 7.6 (2 H), 6.95 (2 H), 3.95 (1 H), 2.7 (2 H), 2.38 (2 H), 1.73 (2 H), 1.45 (9 H)。
【0140】
中間体10
【化47】

【0141】
3-ヒドロキシ-5-(4-ヨード-フェニル)-ペンタン酸
シリカゲル(19g)を、トルエン(100mL)に溶解した3-ヒドロキシ-5-(4-ヨード-フェニル)-ペンタン酸tert-ブチルエステル(中間体9、1.2g、3.2mmol)の撹拌溶液に添加し、得られた懸濁液を5.5時間加熱還流した。反応物を室温まで冷却し、次いで、薄いセライトのパッドを通して濾過し、20%メタノール/ジクロロメタン(2×50mL)で洗浄した。濾液を減圧下で蒸発させ、白色固形物として表題化合物(586mg、57%)を得た。LC/MS: 3.01分; z/e 319, 計算値 (M-1) 319。1H NMR (400 MHz: DMSO-d6): 7.63 (2 H), 7.00 (2 H), 3.77 (1 H), 2.60 (2 H), 2.3 (2 H), 1.62 (2 H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
Qは、場合により置換されていてもよい5員または6員のアリール環またはヘテロアリール環を表し;
Xは、O、S、NR5、またはCR6R7を表し;
Yは、CHOH、CHSH、NOR8、CNR8、またはCNOR8を表し;
Zは、結合、CR10R11、O、S、SO、SO2、NR10、OCR10R11、CR10R11Oを表すか、あるいは、Z、R4およびQは、互いに一緒になって、場合により置換されていてもよい縮合三環式基を形成しており;
R1、R1'、R3およびR3'は、互いに独立して、H、C1-6アルキル、またはC1-4アルキルアリールを表し;
R2は、CO2R8、CONR5OR9、またはNR5COR9を表し;
R4は、場合により置換されていてもよい5員または6員のアリールまたはヘテロアリールを表し;
R5は、HまたはC1-3アルキルを表し;
R6およびR7は、互いに独立して、H、C1-3アルキル、またはハロゲンを表し;
R8は、HまたはC1-2アルキルを表し;
R9は、HまたはC1-3アルキルを表し;
R10およびR11は、互いに独立して、H、C1-6アルキル、またはC1-4アルキルアリールを表す)
で表される化合物およびその生理学上機能的な誘導体(但し、6H-ジベンゾ[b,d]ピラン-3-ペンタン酸(1-ジヒドロキシ-6,6,9-トリメチル)を除き、但し、以下を条件とする:
Qがフェニルを表し;XがO、SまたはCR6R7(式中、R6およびR7は、互いに独立して、HまたはC1-3アルキルを表す)であり;Zが、結合、C2-4アルキレン、S、SO、SO2、OCH2、またはCH2Oを表し;YがCHOHを表す場合、R4は、置換基X'W'(式中、X'は、-NR1C(O)NR2-、-NR1C(O)-、-NR1C(O)O-、-C(O)NR2-、または-OC(O)NR2-(式中、R1およびR2は、独立して、水素、C1-4アルキルおよびC1-4ハロアルキルから選択される)であり、W'は、水素、または水素、C1-4アルキル、C1-4アルコキシ、ヒドロキシ、C1-4ハロアルキル、およびC1-4ハロアルコキシから独立して選択される1個または複数個の基によって場合により置換されていてもよいC1-12ヒドロカルビル基である)によりオルト位が置換されているフェニルではなく;かつ、
R4、ZおよびQが一緒になって基:
【化2】

(式中、
R1'は、H、C1-6アルキル、C1-4アルコキシC1-4アルキル、C1-6アルカノイル、C1-4アルカノイルC1-4アルキル、アリール、アリールC1-4アルキル、アリール-C1-4アルコキシC1-4アルキル、アリールC1-4アルカノイル、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールC1-4アルキル、ヘテロアリールC1-4アルコキシC1-4アルキル、ヘテロアリールC1-4アルカノイル、ヘテロアリールカルボニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルC1-4アルキル、ヘテロシクリルC1-4アルコキシC1-4アルキル、ヘテロシクリルC1-4アルカノイル、ヘテロシクリルカルボニル、カルボシクリル、カルボシクリルC1-4アルキル、カルボシクリルC1-4アルコキシC1-4アルキル、カルボシクリルC1-4アルカノイル、カルボシクリルカルボニル、C1-4アルキルスルホニル、N,N-ジ-C1-4アルキルアミノスルホニル、またはN-C1-4アルキルアミノスルホニルであり、ここで、R1'は、C1-4アルキル(3個以下のフルロ(fluro)置換基によって場合により置換されていてもよい)、C1-4アルコキシ、C1-4アルカノイル、カルボキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、アミノ、N-C1-4アルキルアミノ、N,N-ジ-C1-4アルキルアミノ、C1-4アルカノイルアミノ、メルカプト、C1-4アルキルスルホニル、C1-4アルキルスルフィニル、C1-4アルキルスルファニル、ニトロ、ヘテロアリールC1-4アルカノイルアミノ、またはC1-4アルコキシカルボニルから独立して選択される3個以下の置換基によって場合により置換されていてもよく;
R2'は、水素、C1-4アルキル(ヒドロキシにより場合により置換されていてもよい)、C1-4アルコキシ、シアノ、ニトロ、ハロゲン、アミノ、N-C1-4アルキルアミノ、またはN,N-ジアルキルアミノから選択され;
R4'は、水素、C1-4アルキル、ハロゲン、またはニトロから選択される)
を形成している場合、
Xは、NHまたはCR6R7であり;
Yは、CHOHであり;
R2は、CO2R8(式中、R8はC1-2アルキルである)ではない)。
【請求項2】
式(Ia):
【化3】

(式中:
Tは存在しないか、あるいはO、S、NR17またはCR17R18を表し;
---は場合により結合を表し;
R15およびR16は、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、OR17、SR17、COR17、NR18COR17、CONR17R18、場合により置換されていてもよいフェノキシ、またはOR17によって場合により置換されていてもよいC1-6アルキルを表し;
R17は、H、C1-6アルキルまたはC1-4アルキルアリールを表し;
R18は、HまたはC1-6アルキルを表し;
mおよびnは、互いに独立して、0または1、2もしくは3の整数を表わし;
但し、以下を条件とする:Tが存在しない場合、R15はオルト位のNR18COR17またはCONR17R18ではない)
で表される請求項1に記載の化合物、およびその生理学上機能的な誘導体。
【請求項3】
薬剤において使用するための請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
自己免疫疾患または炎症性症状に罹患しているか、または罹患しやすいヒトまたは動物被験体の治療方法であって、前記ヒトまたは動物被験体に有効量の請求項1または請求項2に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項5】
炎症性症状または自己免疫疾患治療用薬剤の製造における請求項1または請求項2に記載の化合物の使用。
【請求項6】
請求項1または請求項2に記載の化合物およびその製薬上許容可能な担体、ならびに場合により1種または複数の他の治療薬を含む医薬組成物。
【請求項7】
請求項1に定義した式(I)で表される化合物の調製方法であって、
(A)式(II):
【化4】

(式中、R1、R1'、R2、R3、R3'、Q、XおよびYは、式(I)について前に定義したとおりであり、Lは脱離基を表す)
で表される化合物を、基R4Zを導入するのに適した試薬と反応させるステップ;あるいは、
(B)式(III):
【化5】

(式中、R4、Z、Q、X、R1、R1'、R3、R3'およびR2は、式(I)について前に定義したとおりである)
で表される化合物を酸化するステップ;あるいは、
(C)塩基の存在下で、式(IV):
【化6】

(式中、R4、ZおよびQは、式(I)について前に定義したとおりであり、XはOまたはSを表す)
で表される化合物を、式(VA)または(VB):
【化7】

(式中、R1、R1'、R3、R3'およびR2は、式(I)について前に定義したとおりであり、Lは脱離基である)
で表される化合物と反応させるステップ;あるいは、
(D)式(I)で表される1つの化合物を式(I)で表される別の化合物に相互変換するステップ;あるいは、
(E)式(I)で表される化合物の保護誘導体を脱保護するステップ、
を含む前記方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia):
【化1】

(式中:
Tは存在しないか、あるいはO、S、NR17またはCR17R18を表し;
---は場合により結合を表し;
R15およびR16は、互いに独立して、ハロゲン、シアノ、ニトロ、OR17、SR17、COR17、NR18COR17、CONR17R18、場合により置換されていてもよいフェノキシ、またはOR17によって場合により置換されていてもよいC1-6アルキルを表し;
R17は、H、C1-6アルキルまたはC1-4アルキルアリールを表し;
R18は、HまたはC1-6アルキルを表し;
mおよびnは、互いに独立して、0または1、2もしくは3の整数を表わし;
但し、以下を条件とする:Tが存在しない場合、R15はオルト位のNR18COR17またはCONR17R18ではない)
で表される化合物、およびその生理学上機能的な誘導体。
【請求項2】
薬剤において使用するための請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
自己免疫疾患または炎症性症状に罹患しているか、または罹患しやすいヒトまたは動物被験体の治療方法であって、前記ヒトまたは動物被験体に有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項4】
炎症性症状または自己免疫疾患治療用薬剤の製造における請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項5】
請求項1に記載の化合物およびその製薬上許容可能な担体、ならびに場合により1種または複数の他の治療薬を含む医薬組成物。

【公表番号】特表2006−526590(P2006−526590A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−508257(P2006−508257)
【出願日】平成16年6月1日(2004.6.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005966
【国際公開番号】WO2004/110974
【国際公開日】平成16年12月23日(2004.12.23)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】