説明

リポキシン受容体FPRL1の、疼痛および炎症の治療に有効な化合物を識別する手段としての使用

FPRL1受容体を選択的に活性化する化合物が開示される。さらに、治療有効量の開示化合物を対象に投与して、白血球輸送の重要ステップを調節し、また好中球を介した組織損傷を予防し、以って炎症反応を緩和するという方法も開示される。加えて、有効量の開示化合物を投与し、以ってFPRL1受容体を調節する、または特異的に作動させるという方法もまた開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リポキシン受容体FPRL1の、疼痛および炎症の治療に有効な化合物を識別する手段としての使用に関する。この手段は非限定的な用途として化合物のスクリーニングに利用されよう。特に、この受容体に作用することが確認された化合物は、血管収縮性、炎症性、骨髄抑制性、心筋性および消化管性の疾患とそうした疾患に伴う疼痛とを招く好中球活性化の結果としての免疫反応症状を緩和する効果的な対症療法薬となろう。加えて、この受容体に作用することが確認された化合物は、血管収縮性、炎症性、骨髄抑制性、心筋性および消化管性の疾患とそうした疾患に伴う疼痛とを招く好中球活性化に帰着するような炎症性傷害の前に投与される効果的な予防療法薬ともなろう。
【背景技術】
【0002】
人間の免疫反応は内因性、外因性の両刺激によって誘発される一連の複雑な事象であり、いったん誘発されると、ノーチェックの状態では、重大な組織損傷を、ひいては死を、招きかねない。この反応には様々な内因性メディエーターが関与しているが、重要な役割を果たしているのはプロスタグランジンやロイコトリエンなどのようなエイコサノイドである。これらの分子は受容体の活性化を通じて好中球などの多様な白血球集団に作用する。好中球は宿主防御の最前線に位置しており、その微生物貪食能により宿主を感染から守ることができる。しかしその一方で、好中球は血管損傷を引き起こし、血管透過性の高進、浮腫、およびそれに続く走化性因子の放出を招く場合もある。
【0003】
好中球活性化のバランスを図るために、人間や他の生物はブレーキ信号の役目を果たす負のフィードバックループを編み出した。オーファン受容体のFPRL1は、主に好中球と単球の表面に発現するが、この炎症バランスを誘発し、細胞を静止状態に戻すための有力候補たりうる。
【0004】
FPRL1はMurphyらによって初めて、N-ホルミルペプチド受容体(FPR)の、構造的に関連する類似体として同定された。このペプチドは、感染時に細菌によって放出されると、走化性や脱顆粒を仲介することが分かっている。また、ヘキサペプチドWKYMVMは、走化性観察実験やカルシウム動員測定のためのin vitroアッセイで、in vitroでFPRL1受容体のアゴニストとしての機能を果たすことが分かっている。
【0005】
今日までのところ、FPRL1受容体のin vivoの炎症における役割を決定的に裏付けるような証拠は出ていない。FPRL1選択性およびin vivo活性を有する化合物に関してここで明示するのはFPRL1受容体と疼痛/炎症軽減との関連性であり、そこからこの医薬品分野での創薬のための治療標的としてのFPRL1受容体の重要性が浮き彫りになる。アラキドン酸の代謝に由来するほとんどのエイコサノイドは喘息、糸球体腎炎、関節リウマチおよびアルツハイマー病などの疾患で疼痛と炎症を増悪させることが示されている。対照的に、FPRL1選択性化合物は炎症軽減剤として予防的に働くことが分かっており、従ってFPRL1受容体は喘息、糸球体腎炎、関節リウマチおよびアルツハイマー病などの疾患で炎症を緩和し、そうした疾患に伴う疼痛を軽減するような新薬開発のための有用な標的であることが分かっている。
【発明の開示】
【0006】
第1実施態様では、本発明は炎症と関連疼痛の治療に有効な化合物を識別するための手段としてのFPRL1受容体の使用を包含する。
【0007】
第2実施態様では、本発明は炎症と関連疼痛の治療に有効な化合物を識別するためのスクリーニング手段としてのFPRL1受容体の使用を包含する。
【0008】
第3実施態様では、本発明はFPRL1受容体に特異的に作用する化合物の、炎症と関連疼痛を治療するための療法薬としての使用を包含する。
【0009】
第4実施態様では、本発明はFPRL1受容体に特異的に作用する化合物の、炎症と関連疼痛を防ぐための療法薬としての予防的使用を包含する。
【0010】
第5実施態様では、本発明はFPRL1受容体の1つまたは複数の活性に作用しうる化合物をスクリーニングするための、
a) 該FPRL1受容体を発現する組換え核酸を含むが内在性核酸のほうはFPRL1受容体の機能的発現を示さないことを特徴とする組換え細胞に、試験化合物を接触させるステップ;
b) FPRL1受容体の1つまたは複数の活性に対する該試験化合物の作用能を決定し、該作用能を、該組換え核酸を含まない細胞内でのFPRL1受容体の1つまたは複数の活性に対する該試験化合物の作用能と比較するステップ;
を含む方法であって、該組換え核酸は
i) 配列番号1の核酸;
ii) 配列番号2のアミノ酸をコードする核酸;
iii) i)またはii)のうちいずれかの核酸の誘導体であって、該FPRL1受容体の1つまたは複数の活性を有する受容体をコードし、かつストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号1の核酸の相補体とハイブリダイズしうる少なくとも20個の連続ヌクレオチドを含むことを特徴とする誘導体;
からなる群より選択されるFPRL1受容体核酸を含むことを特徴とする方法を包含する。
【0011】
第5実施態様の一態様では該FPRL1受容体核酸は、配列番号2のアミノ酸配列をコードする少なくとも20個の連続ヌクレオチドの相補体とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズしうる少なくとも20個の連続ヌクレオチドを含む配列番号2の誘導体のアミノ酸配列をコードする。
【0012】
第6実施態様では、本発明は任意のタイプの急性および慢性炎症を治療するための、式I、IIまたはIII で示される少なくとも1つの化合物を生物に有効量接触させるステップを含む方法であって、該化合物がFPRL1受容体サブタイプを活性化することを特徴とする方法を包含する。この実施態様の一態様では、該炎症は糖尿病、ウイルス感染、過敏性腸症候群、切断術、がん、細菌感染、物理的外傷と放射線被曝を含む物理的傷害、喘息に伴う血管収縮、アナフィラキシー反応、アレルギー反応、ショック、糖尿病、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー性鼻炎、成人呼吸窮迫症候群、クローン病、内毒素性ショック、外傷性ショック、出血性ショック、内臓虚血性ショック、腎糸球体疾患、良性前立腺肥大、心筋虚血、心筋梗塞、循環性ショック、虚血性脳卒中と出血性脳卒中とを含む脳損傷、全身性エリテマトーデス、慢性腎疾患、心疾患、および高血圧または化学的損傷に関連する。
【0013】
第7実施態様では、本発明はFPRL1受容体のアゴニストである化合物を識別する方法であって、
FPRL1受容体に式I、IIまたはIII で示される少なくとも1つの試験化合物を接触させるステップ; および
該FPRL1受容体の活性レベルの何らかの上昇を決定し、以って該FPRL1受容体のアゴニストである試験化合物を識別するステップ;
を含む方法を包含する。
【0014】
第8実施態様では、本発明はFPRL1受容体のアゴニストである化合物を識別する方法であって、
該FPRL1受容体を発現する細胞を培養するステップ;
該細胞または該細胞から抽出した一成分を式I、IIまたはIII で示される少なくとも1つの試験化合物とインキュベートするステップ; および
該FPRL1受容体の活性レベルの何らかの上昇を決定し、以って該FPRL1受容体のアゴニストである試験化合物を識別するステップ;
を含む方法を包含する。
【0015】
第8実施態様の一態様では、培養細胞は該FPRL1受容体を過剰発現する。第8実施態様の別の態様では、識別されたアゴニストは該FPRL1受容体選択的である。
【0016】
第9実施態様では、本発明は炎症を治療するための
炎症を患う個体に式I、IIまたはIII で示される少なくとも1つの化合物を有効量接触させ、以って1つまたは複数の炎症症状を軽減するステップ;
を含む方法を包含する。
【0017】
第9実施態様の一態様では、該方法は接触ステップに先立って炎症治療を必要とする個体を識別するステップをさらに含む。第9実施態様の別の態様では、式I、IIまたはIII で示される該化合物はFPRL1受容体サブタイプを選択的に活性化する。第9実施態様のさらに別の態様では、炎症反応は白血球の活性化に起因するが、該活性化は血管漏出または浮腫を誘発する白血球の遊走および活性酸素種の生成を含む。第9実施態様のさらに別の態様では、炎症反応は関節リウマチ、アルツハイマー病または喘息に関連する。第9実施態様の別の態様では、炎症反応は物理的外傷と放射線被曝を含む物理的傷害に起因する。
【0018】
本発明の第10実施態様は対象の炎症または炎症反応を治療または予防するための、式I、IIまたはIII で示される化合物を該対象に有効量投与するステップを含む方法を包含する。
【0019】
本発明の第11実施態様は、血管収縮反応または疾患を治療または予防するための血管拡張を誘発する方法であって、対象に式I、IIまたはIII で示される化合物を血管拡張有効量投与するステップを含む方法を包含する。第11実施態様の一態様では、血管収縮反応または疾患は糸球体疾患を含む腎血行動態の異常と高血圧、心筋梗塞および心筋虚血を含む心疾患とからなる群より選択される。
【0020】
本発明の第12実施態様は対象のスルフィドペプチドロイコトリエンに対する血管収縮反応に拮抗するための、式I、IIまたはIII で示される化合物を該対象に投与するステップを含む方法を包含する。第21実施態様の一態様では、該ロイコトリエンに対する血管収縮反応は喘息、アナフィラキシー反応、アレルギー反応、ショック、炎症、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー性鼻炎、成人呼吸窮迫症候群、クローン病、内毒素性ショック、外傷性ショック、出血性ショック、内臓虚血性ショック、腎糸球体疾患、良性前立腺肥大、炎症性腸疾患、心筋虚血、心筋梗塞、循環性ショック、脳損傷、全身性エリテマトーデス、慢性腎疾患、心疾患、および高血圧からなる群より選択される内科的疾患に関連する。第21実施態様の別の態様では、血管収縮反応は慢性腎疾患などのような軽度血管収縮や糸球体腎疾患などのような重度慢性血管収縮を含む腎血管収縮反応である。
【0021】
本発明の第13実施態様は、骨髄抑制性疾患の治療または予防を目的とした対象体内の細胞増殖を刺激するための、式I、IIまたはIII で示される化合物を該対象に有効量投与するステップを含む方法を包含する。
【0022】
本発明の第14実施態様は、式I
【化1】

(式中
R1はC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキレン、酸素、硫黄、NQ、CHCN、C=O、C=S、C=NQ、S=O、S(=O)2、C=NOQからなる群より選択されるが、式中Qは水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される;
R2、R3、R4およびR5は各々独立に、水素、C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン化エーテル、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ペルハロアルキル、-OR7、-N(R7)2、-CN、-C(=Z)R7、-C(=Z)OR7、-C(=Z)N(R7)2、-N(R7)-C(=Z)R7、-N(R7)-C(=Z)N(R7)2、-OC(=Z)R7および-SR7からなる群より選択されるが、式中Zは酸素または硫黄であり、また各R7は独立に水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される; または
R3とR4およびそれらの結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリールまたは複素環を形成する;
R6は0〜5倍存在してもよいが、水素、C1〜C4直鎖または分岐鎖アルキル、シクロアルキル、随意置換アリールまたはヘテロアリール、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、スルホナート、ペルハロアルキル、-OR7、-N(R8)2、-CN、-C(=Z)R8、-C(=Z)OR8、-C(=Z)N(R8)2、-N(R8)-C(=Z)R8、-N(R8)-C(=Z)N(R8)2、-OC(=Z)R8および-SR8からなる群より選択されるが、式中Zは酸素または硫黄であり、また各R8は独立に水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される; または
R6は縮合アリールまたはヘテロアリール環を形成する。)
で示される化合物、またはその製薬上許容しうる塩、エステル、アミドまたはプロドラッグを包含する。
【0023】
第14実施態様の一態様では、R1は水素またはC1〜C10直鎖アルキルである。第14実施態様の別の態様では、R1はC1〜C5直鎖アルキレンである。第14実施態様のさらに別の態様では、R1はメチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、sec-ブチレン、tert-ブチレン、n-ペンチレンおよびイソペンチレンからなる群より選択される。第14実施態様のさらになお別の態様では、R2は水素、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、アリール、ヘテロアリール、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択されるが、式中R7は水素またはC1〜C10直鎖アルキルである。たとえば前態様では、R7は水素またはC1〜C3直鎖アルキルでもよい。第14実施態様のさらなる態様では、R2は水素、ヒドロキシ、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、メトキシおよびエトキシからなる群より選択される。第14実施態様の別の態様では、R3は水素、ヒドロキシ、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択されるが、式中R7は水素またはC1〜C10直鎖アルキルである。第14実施態様のさらに別の態様では、R7は水素またはC1〜C3直鎖アルキルである。第14実施態様の別の態様では、R3は水素、ニトロ、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択される。第14実施態様のさらなる態様では、R4は水素、C1〜C10直鎖アルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択されるが、式中R7は、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキルである。第14実施態様のさらなる態様では、R4は水素、C1〜C3直鎖アルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択されるが、式中R7は、随意にアリールを置換基として有するC1〜C3直鎖アルキルである。第14実施態様のさらに別の態様では、R4は水素、メチル、エチル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、クロロ、フルオロ、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびベンジルオキシからなる群より選択される。第14実施態様のさらになお別の態様では、R5は水素、C1〜C10直鎖アルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ペルハロアルキル、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択されるが、式中R7は、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキルである。第14実施態様のさらなる態様では、R5は水素、C1〜C3直鎖アルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ペルハロアルキル、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択されるが、式中R7は、C1〜C3直鎖アルキルである。第14実施態様の別の態様では、R5は水素、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチルおよびメトキシからなる群より選択される。第14実施態様のいくつか態様では、R6は水素である。第14実施態様の別の態様では、R2とR3およびそれらの結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリールまたは複素環式アルキルを形成する。たとえば前態様では、該環は複素環式アルキルである。場合によっては、複素環式アルキルはN-モルホリンとピロールからなる群より選択してもよい。
【0024】
本発明の第15実施態様は
【化2】

【化3】

からなる群より選択される化合物を包含する。
【0025】
本発明の第16実施態様は、式II
【化4】

(式中
X1とX2は各々独立に酸素または硫黄である;
R1はC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキレン、酸素、硫黄、NQ、CHCN、C=O、C=S、C=NQ、S=O、S(=O)2、C=NOQからなる群より選択されるが、式中Qは水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される;
R2とR3は各々独立に、水素、C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン化エーテル、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ペルハロアルキル、-OR7、-N(R7)2、-CN、-C(=Z)R7、-C(=Z)OR7、-C(=Z)N(R7)2、-N(R7)-C(=Z)R7、-N(R7)-C(=Z)N(R7)2、-OC(=Z)R7および-SR7からなる群より選択されるが、式中Zは酸素または硫黄であり、また各R7は独立に水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される。)
で示される化合物、またはその製薬上許容しうる塩、エステル、アミドまたはプロドラッグを包含する。
【0026】
第16実施態様の一態様では、R1は水素とNQからなる群より選択されるが、式中Qは水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C5直鎖または分岐鎖アルキルからなる群より選択される。たとえば第16実施態様の前態様のいくつかのバージョンでは、QはC1〜C3直鎖または分岐鎖アルキルである。第16実施態様の前態様の別バージョンでは、Qはメチル、エチルおよびプロピルからなる群より選択される。第16実施態様の前態様のさらなるバージョンでは、Qはメチルである。第16実施態様の別の態様では、R2は水素、C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、C3〜C10シクロアルキルおよび随意置換アリールからなる群より選択される。たとえば前態様の一バージョンでは、R2は置換アリールである。前態様の別のバージョンでは、R2は4-アルキルフェニル、4-アルコキシフェニルおよび4-アルコキシカルボニルフェニルからなる群より選択される。前態様の別のバージョンでは、R2は4-メチルフェニル、4-エトキシフェニルおよび4-エトキシカルボニルフェニルからなる群より選択される。
第16実施態様の別の態様では、R3は水素、C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、C3〜C10シクロアルキルおよび随意置換アリールからなる群より選択される。たとえば前態様の一バージョンでは、R3は置換アリールである。前態様の別のバージョンでは、R3は4-アルキルフェニル、4-アルコキシフェニルおよび4-ハロフェニルからなる群より選択される。たとえばR3は場合によっては4-クロロフェニル、4-ブロモフェニルおよび4-メトキシフェニルからなる群より選択してもよい。
【0027】
本発明の第17実施態様は、式III
【化5】

(式中
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は各々独立に、水素、C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換複素環式環、ヒドロキシ、ハロゲン化エーテル、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ペルハロアルキル、-OR7、-N(R7)2、-CN、-C(=Z)R7、-C(=Z)OR7、-C(=Z)N(R7)2、-N(R7)-C(=Z)R7、-N(R7)-C(=Z)N(R7)2、-OC(=Z)R7および-SR7からなる群より選択されるが、式中Zは酸素または硫黄であり、また各R7は独立に水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される; または
R3とR4およびそれらの結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリール、または複素環を形成する;
R5とR6およびそれらの結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリール、または複素環を形成する; または
R1、R2、R1の結合相手となる炭素、およびR2の結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリール、または複素環を形成する。)
で示される化合物、またはその製薬上許容しうる塩、エステル、アミドまたはプロドラッグを包含する。
【0028】
第17実施態様の一態様では、R1は水素と随意置換C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキルからなる群より選択される。第17実施態様の前態様の一バージョンでは、R1は、随意にアリールまたはヘテロアリール環を置換基として有するC1〜C5直鎖アルキルである。たとえば該アリール環は場合によってフェニルである。また別の場合には該ヘテロアリール環は窒素を含む。該ヘテロアリール環は場合によってはインドールである。第17実施態様のさらなる態様では、R1はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルからなる群より選択される。第17実施態様のさらなる態様では、R1はメチル、インドリルメチル、ベンジルおよびsec-ブチルからなる群より選択される。第17実施態様の別の態様では、R1、R2 、R1の結合相手となる炭素、およびR2の結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリール、または複素環を形成する。前態様のいくつかのバージョンでは、該複素環はピロリジンである。第17実施態様のさらなる態様では、R2、R3およびR5は各々独立に、水素、C1〜C4直鎖または分岐鎖アルキル、C2〜C5直鎖または分岐鎖アルケニルおよびC2〜C5直鎖または分岐鎖アルキニルからなる群より選択される。前態様のいくつかのバージョンでは、該アルキルはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルからなる群より選択される。前態様の他のバージョンでは、R2、R3およびR5は水素である。第17実施態様の別の態様では、R4は随意置換アリールである。たとえば前態様のいくつかのバージョンでは、該アリールはフェニルである。前態様の他のバージョンでは、該アリールは随意にハロ、アルコキシ、アルキル、アルキルチオおよびペルハロアルキルを置換基として有する。前態様のいくつかのバージョンでは、該アリールは随意にクロロ、ブロモ、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メチルチオおよびトリフルオロメチルを置換基として有する。前態様の他のバージョンでは、R4は4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、4-メチルフェニル、4-エチルフェニル、2,6-ジイソプロピルフェニル、3,4-ジクロロフェニル、4-メトキシフェニル、4-メチルメルカプトフェニルおよび4-トリフルオロメチルフェニルからなる群より選択される。第17実施態様の別の態様では、R6は随意置換C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキルと随意置換複素環からなる群より選択される。前態様のいくつかのバージョンでは、該アルキルはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチルおよび1-メチルブチルからなる群より選択される。たとえば該アルキルは場合によっては複素環または置換アミンを置換基として有する。該複素環は場合によってはモルホリンである。該複素環は他の場合にはピペリジンまたはモルホリンである。第17実施態様の別の態様では、R6は1-メチル-4-ジエチルアミノブチル、2-N-モルホリノエチルおよびN-ベンジルピペリジン-4-イルからなる群より選択される。第17実施態様のさらなる態様では、R5とR6およびそれらの結合相手となる窒素は随意置換縮合環または随意置換複素環を形成する。前態様のいくつかのバージョンでは、該複素環はピペリジンまたはベンゾピペリジンである。第17実施態様のさらに別の態様では、R5とR6およびそれらの結合相手となる窒素は
【化6】

からなる群より選択される置換基を形成する。
【0029】
本発明の第18実施態様は
【化7】

からなる群より選択される化合物を包含する。
【0030】
ある種の実施態様では、FPRL1受容体は炎症および炎症関連の疼痛の治療に効果的な化合物を識別する手段として使用される。この受容体は動物由来でもよいが、好ましい実施態様ではヒト由来であろう。この受容体はFPRL1受容体と相互作用する分子を検出しうるような細胞ベースのトランスフェクション系に利用してもよい。そうした検出は、FPRL1をトランスフェクトした細胞によって誘発される応答を、FPRL1受容体を欠く細胞によって誘発される反応と比較することにより行う。この比較は、該受容体の結合特性の検査を通じて、または細胞がFPRL1を発現して、添加化合物の存在または不存在下に新しい表現型の特徴を示すと決定されるときに、その細胞によって誘発される機能的反応を通じて、可能となる。この化合物は従って、FPRL1受容体のアゴニスト、アンタゴニストまたは逆アゴニストであると決定されよう。
【0031】
本明細書では、ある種の実施態様で、FPRL1受容体のアゴニストである化合物を識別する方法であって、FPRL1受容体を発現する細胞を培養するステップ、該細胞を少なくとも1つの化合物とインキュベートするステップ、およびFPRL1受容体の活性の何らかの上昇を決定し、以ってFPRL1受容体のアゴニストである化合物を識別するステップを含む方法が開示される。
【0032】
ある種の実施態様では、培養細胞は該FPRL1受容体を過剰発現する。他の実施態様では、識別されるアゴニストはFPRL1受容体選択的である。別の態様では、本発明はFPRL1受容体に構成的活性を付与すると見られる該受容体の変異を識別する方法であって、
(a) FPRL1受容体の構成的活性に関連すると推定される障害または疾患のある個体に由来する生物試料から核酸を抽出するステップ;
(b) 該抽出核酸からcDNAを調製するステップ;
(c) ステップ(b)のcDNAからFPRL1受容体をコードするcDNAを選別するステップ;
(d) 被選別cDNAを含む発現ベクターを細胞にトランスフェクトするステップ;
(e) 構成的活性を有するFPRL1受容体を発現する細胞を選別するステップ; および
(f) 被選別細胞中のcDNAの配列を決定して変異を検出するステップ
を含む方法に関する。
【0033】
さらなる態様では、本発明はFPRL1受容体の構成的活性に関連する障害または疾患を、あるいは障害または疾患感受性を、診断する方法であって、
(a) FPRL1受容体の構成的活性に関連する障害または疾患に見舞われていると、またはそうした障害または疾患感受性があると、推定される個体から生物試料を獲得するステップ;
(b) 該生物試料から該受容体をコードする核酸配列を、または該核酸配列のうちの、変異を含むことが前述の変異識別方法によって確認された遺伝子部分に対応する部分を、単離するステップ; および
(c) 該核酸配列または該部分における変異の存在または不存在を検出するステップ
を含む方法に関する。
【0034】
核酸配列中の変異の存在はたとえば該核酸配列の配列を決定し、それを、変異を含むことが知られている、または予め確認されている配列と比較することによって行ってもよい。
【0035】
本発明は別の態様では、FPRL1受容体をコードする遺伝子中の変異すなわちFPRL1受容体に構成的活性をもたらすような変異を検出するための検査キットに、すなわち前述の変異識別方法によって少なくとも1つの変異を含むことが確認された遺伝子部分に対応する核酸配列を含む検査キットに、関する。
【0036】
本明細書では、ある種の実施態様で、FPRL1受容体のアゴニストである化合物を識別する方法であって、FPRL1受容体を発現する細胞を培養するステップ、該細胞を少なくとも1つの化合物とインキュベートするステップ、およびFPRL1受容体の活性の何らかの上昇を決定し、以ってFPRL1受容体のアゴニストである化合物を識別するステップを含む方法が開示される。
【0037】
ある種の実施態様では、培養細胞は該FPRL1受容体を過剰発現する。他の実施態様では、識別されるアゴニストはFPRL1受容体選択的である。
【0038】
本明細書では、ある種の実施態様で、FPRL1受容体のアンタゴニストまたは逆アゴニストである化合物を識別する方法であって、FPRL1受容体を発現する細胞を培養するステップ、該細胞を少なくとも1つの化合物とインキュベートするステップ、およびFPRL1受容体の活性の何らかの低下を決定し、以ってFPRL1受容体のアゴニストである化合物を識別するステップを含む方法が開示される。
【0039】
ある種の実施態様では、培養細胞は該FPRL1受容体を過剰発現する。他の実施態様では、識別されるアンタゴニストまたは逆アゴニストはFPRL1受容体選択的である。
【0040】
本発明の精神から逸脱することなく多数の多様な態様変更をなしうることは当業者には自明であろう。従って当然ながら、本明細書で開示する実施形態は例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0041】
本明細書ではさらに、FPRL1受容体を選択的に活性化する、前記のとおりに式I、式IIまたは式III
【化8】

で示される化合物またはその製薬上許容しうる塩、エステル、アミドまたはプロドラッグが、開示される。さらに、治療有効量の式I、式IIまたは式III 化合物を対象に投与して、白血球輸送の重要ステップを調節し、また好中球を介した組織損傷を予防し、以って炎症反応を緩和するという方法も開示される。加えて、有効量の式I、式IIまたは式III 化合物を投与することにより、FPRL1受容体を調節する、または特異的に作動させる方法もまた開示される。
【0042】
本発明の他の実施態様は下文で開示する。
【0043】
好ましい実施態様の詳細な説明
本明細書で開示される第1態様は、式I
【化9】

(式中
R1はC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキレン、酸素、硫黄、NQ、CHCN、C=O、C=S、C=NQ、S=O、S(=O)2、C=NOQからなる群より選択されるが、式中Qは水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される;
R2、R3、R4およびR5は各々独立に、水素、C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン化エーテル、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ペルハロアルキル、-OR7、-N(R7)2、-CN、-C(=Z)R7、-C(=Z)OR7、-C(=Z)N(R7)2、-N(R7)-C(=Z)R7、-N(R7)-C(=Z)N(R7)2、-OC(=Z)R7および-SR7からなる群より選択されるが、式中Zは酸素または硫黄であり、また各R7は独立に水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される; または
R3とR4およびそれらの結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリールまたは複素環を形成す;
R6は0〜5倍存在してもよいが、水素、C1〜C4直鎖または分岐鎖アルキル、シクロアルキル、随意置換アリールまたはヘテロアリール、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、スルホナート、ペルハロアルキル、-OR7、-N(R8)2、-CN、-C(=Z)R8、-C(=Z)OR8、-C(=Z)N(R8)2、-N(R8)-C(=Z)R8、-N(R8)-C(=Z)N(R8)2、-OC(=Z)R8および-SR8からなる群より選択されるが、式中Zは酸素または硫黄であり、また各R8は独立に水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される; または
R6は縮合アリールまたはヘテロアリール環を形成する。)
で示される化合物、またはその製薬上許容しうる塩、エステル、アミドまたはプロドラッグである。
【0044】
ある種の実施態様では、式I化合物中のR1はC1〜C10直鎖アルキレンである。いくつかの実施態様では、R1はC1〜C5直鎖アルキレンである。さらなる実施態様では、R1はメチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、sec-ブチレン、tert-ブチレン、n-ペンチレンおよびイソペンチレンからなる群より選択される。
【0045】
いくつかの実施態様では、式I化合物中のR2は水素、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択されるが、式中R7は水素、アリール、ヘテロアリール、またはC1〜C10直鎖アルキルである。ある種の実施態様では、R2は水素、ヒドロキシ、ニトロ、ハロゲンおよび-OR7からなる群より選択されるが、式中R7は水素またはC1〜C3直鎖アルキルである。他の実施態様では、R2は水素、ヒドロキシ、ニトロ、メトキシおよびエトキシからなる群より選択される。
【0046】
ある種の実施態様では、式I化合物中のR3は水素、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択されるが、式中R7は水素、アリール、ヘテロアリールまたはC1〜C10直鎖アルキルである。いくつかの実施態様では、R3は水素、ヒドロキシ、ニトロおよび-OR7からなる群より選択されるが、式中R7は水素またはC1〜C3直鎖アルキルである。他の実施態様では、R3は水素、ニトロ、ヒドロキシ、メトキシおよびエトキシからなる群より選択される。
【0047】
実施態様には、式I化合物中のR4が水素、C1〜C10直鎖アルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択されるが、式中各R7は独立に、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキルである実施態様が包含される。いくつかの実施態様では、R4は水素、C1〜C3直鎖アルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択されるが、式中各R7は独立に、随意にアリールを置換基として有するC1〜C3直鎖アルキルである。さらに他の実施態様では、R4は水素、メチル、エチル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、クロロ、フルオロ、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびベンジルオキシからなる群より選択される。
【0048】
さらなる実施態様では、式I化合物中のR5は水素、アリール、ヘテロアリール、C1〜C10直鎖アルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ペルハロアルキル、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択されるが、式中各R7は独立に、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキルである。他の実施態様では、R5は水素、C1〜C3直鎖アルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ペルハロアルキル、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択されるが、式中各R7は独立に、C1〜C3直鎖アルキルである。ある種の実施態様では、R5は水素、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチルおよびメトキシからなる群より選択される。
【0049】
いくつかの実施態様では、R6は水素である。
【0050】
前述のように、いくつかの実施態様ではR2とR3およびそれらの結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリールまたは複素環式アルキルを形成する。いくつかの実施態様では、該環は複素環式アルキルであり、N-モルホリンまたはピロールでもよい。
【0051】
ある種の実施態様では、式I化合物は
【化10】

【化11】

からなる群より選択される。
【0052】
本明細書で開示される別の態様は式II
【化12】

(式中
X1とX2は各々独立に酸素または硫黄である;
R1はC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキレン、酸素、硫黄、NQ、CHCN、C=O、C=S、C=NQ、S=O、S(=O)2、C=NOQからなる群より選択されるが、式中Qは水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される;
R2とR3は各々独立に、水素、C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン化エーテル、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ペルハロアルキル、-OR7、-N(R7)2、-CN、-C(=Z)R7、-C(=Z)OR7、-C(=Z)N(R7)2、-N(R7)-C(=Z)R7、-N(R7)-C(=Z)N(R7)2、-OC(=Z)R7および-SR7からなる群より選択されるが、式中Zは酸素または硫黄であり、また各R7は独立に水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される。)
で示される化合物またはその製薬上許容しうる塩、エステル、アミドまたはプロドラッグである。
【0053】
ある種の実施態様では、式II化合物は
【化13】

からなる群より選択される。
【0054】
本明細書で開示されるさらに別の態様は式III
【化14】

(式中
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は各々独立に、水素、C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換複素環式環、ヒドロキシ、ハロゲン化エーテル、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ペルハロアルキル、-OR7、-N(R7)2、-CN、-C(=Z)R7、-C(=Z)OR7、-C(=Z)N(R7)2、-N(R7)-C(=Z)R7、-N(R7)-C(=Z)N(R7)2、-OC(=Z)R7および-SR7からなる群より選択されるが、式中Zは酸素または硫黄であり、また各R7は独立に水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される; または
R3とR4およびそれらの結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリール、または複素環を形成する;
R5とR6およびそれらの結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリール、または複素環を形成する; または
R1、R2、R1の結合相手となる炭素、およびR2の結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリール、または複素環を形成する。)
で示される化合物またはその製薬上許容しうる塩、エステル、アミドまたはプロドラッグである。
【0055】
ある種の実施態様では、式III 化合物中のR1は水素と随意置換C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキルからなる群より選択される。他の実施態様では、R1は、随意にアリールまたはヘテロアリール環を置換基として有するC1〜C5直鎖アルキレンでもよい。いくつかの実施態様ではアリール環はフェニルであるが、別の実施態様ではヘテロアリール環は窒素を含む。実施態様には該ヘテロアリール環がインドールである実施態様が包含される。いくつかの実施態様では、R1のアルキル基はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルからなる群より選択される。ある種の実施態様では、R1はメチル、インドリルメチル、ベンジルおよびsec-ブチルからなる群より選択される。
【0056】
いくつかの実施態様では、R1、R2 、R1の結合相手となる炭素およびR2の結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリールまたは複素環を形成する。該複素環はピロリジンでもよい。
【0057】
ある種の実施態様では、式III 化合物のR2、R3およびR5は各々独立に、水素、C1〜C4直鎖または分岐鎖アルキル、C2〜C5直鎖または分岐鎖アルケニルおよびC2〜C5直鎖または分岐鎖アルキニルからなる群より選択される。いくつかの実施態様では、該アルキルはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルからなる群より選択される。さらなる実施態様では、R2、R3およびR5は水素である。
【0058】
いくつかの実施態様では、式III 化合物のR4は随意置換アリールである。ある種の実施態様では、該アリールはフェニルである。そのうちいくつかの実施態様では、該アリールは随意にハロ、アルコキシ、アルキル、アルキルチオおよびペルハロアルキルを置換基として有する。さらなる実施態様では、該アリールは随意にクロロ、ブロモ、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メチルチオおよびトリフルオロメチルを置換基として有する。いくつかの実施態様では、R4は4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、4-メチルフェニル、4-エチルフェニル、2,6-ジイソプロピルフェニル、3,4-ジクロロフェニル、4-メトキシフェニル、4-メチルメルカプトフェニルおよび4-トリフルオロメチルフェニルからなる群より選択される。
【0059】
本発明の実施態様は、式III 化合物のR6が随意置換C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキルと随意置換複素環からなる群より選択される実施態様を包含する。いくつかの実施態様では、該アルキルはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチルおよび1-メチルブチルからなる群より選択される。さらなる実施態様では、該アルキルは複素環または置換アミンを置換基として有する。いくつかの実施態様では、アルキルの置換基となる複素環はモルホリンである。ある種の実施態様では、R6は随意置換複素環であり、該複素環はピペリジンでもモルホリンでもよい。さらなる実施態様では、R6は1-メチル-4-ジエチルアミノブチル、2-N-モルホリノエチルおよびN-ベンジルピペリジン-4-イルからなる群より選択される。
【0060】
いくつかの実施態様では、式III 化合物のR5とR6およびそれらの結合相手となる窒素は随意置換縮合環または随意置換複素環を形成する。ある種の実施態様では、該複素環はピペリジンまたはベンゾピペリジンである。他の実施態様では、R5とR6およびそれらの結合相手となる窒素は
【化15】

からなる群より選択される置換基を形成する。
【0061】
ある種の実施態様では、式III 化合物は
【化16】

【化17】

【化18】

【化19】

からなる群より選択される。
【0062】
用語「製薬上許容しうる塩」は化合物の製剤であって、それが投与される生物に著しい刺激を与えず、また該化合物の生物活性や特性を無効にしない製剤をいう。製薬上許容しうる塩は開示化合物を無機酸たとえば塩酸、塩化臭素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などと反応させることで得られる。製薬上許容しうる塩はまた、開示化合物を塩基と反応させて塩たとえばアンモニウム塩、アルカリ金属塩(ナトリウム塩またはカリウム塩など)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩またはマグネシウム塩など)、有機塩基(ジシクロヘキシルアミン、N-メチル-D-グルカミン、トリス(ヒドロキシメチル)メルチアミンなど)の塩、およびアミノ酸(アルギニン、リシンなど)との塩を形成させることでも得られる。
【0063】
用語「エステル」は式-(R)n-COOR'で示される残基をいう。式中RおよびR'は独立に、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)およびヘテロ脂環式基(環炭素を介して結合)からなる群より選択され、またnは0または1である。
【0064】
「アミド」は式-(R)n-C(O)NHR'または-(R)n-NH(C)OR'で示される残基をいう。式中RおよびR'は独立にアルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)およびヘテロ脂環式基(環炭素を介して結合)からなる群より選択され、またnは0または1である。アミドは開示分子にアミノ酸またはペプチド分子が結合したものとして、プロドラッグを形成していてもよい。
【0065】
開示化合物の任意のアミン、ヒドロキシまたはカルボキシ側鎖はエステル化またはアミド化してもよい。これを実現するための使用する手順および個別基は技術上周知であり、また参照によりその全体が本明細書で開示されるGreene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Ed., John Wiley & Sons, New York, NY, 1999などのような参考文献で容易に見出すことができる。
【0066】
「プロドラッグ」はin vivoで親薬物へと変換される物質をいう。プロドラッグは親薬物よりも投与しやすい場合などにしばしば有用である。たとえばプロドラッグは経口投与可能なのに、親薬物は経口投与不能であるという場合がある。親薬物よりもプロドラッグのほうが医薬品組成物の可溶性が高いという場合もある。プロドラッグの非限定的な例は、水溶性では移動性の点で不利である細胞膜透過型の送達を容易にするためにエステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、水溶性のほうが有利である細胞内にひとたび到達すれば、カルボン酸へと代謝的に加水分解される開示化合物である。プロドラッグのさらなる例には、酸基に結合した小ペプチド(ポリアミノ酸)が代謝されて該活性部分を露出するようになる場合も含まれるかもしれない。
【0067】
用語「芳香(族の)」は共役パイ電子系を有する環を少なくとも1つもつ芳香族基をいい、炭素環式アリール基(フェニルなど)と複素環式アリール基(ピリジンなど)の両方を包含する。この用語は単環式基または縮合多環式(すなわち複数の環が隣接炭素原子対を共有する)基を包含する。用語「炭素環式」は1つまたは複数の共有結合型閉環構造を含み、かつ環骨格原子がすべて炭素である化合物をいう。従ってこの用語は、炭素以外の環骨格原子を少なくとも1つ含む複素環式化合物との区別に使用される。用語「ヘテロ芳香(族の)」または「ヘテロアリールは少なくとも1個の複素環を含む芳香族基をいう。
【0068】
アリール環の非限定的な例はベンゼン、および置換ベンゼン(トルエン、アニリン、キシレンなど)、ナフタレン、および置換ナフタレン(アズレンなど)である。
【0069】
ヘテロアリール環の非限定的な例はフラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、オキサゾール、チアゾール、イミダゾール、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピペラジン、トリアジン、
【化20】

(式中Rは前記のとおりである)である。
【0070】
用語「アルキル」は本明細書では、脂肪族炭化水素基をいう。このアルキル基は「飽和アルキル」基でもよいが、それはアルケンまたはアルキン部分をまったく含まないことを意味する。このアルキル基は「不飽和アルキル」基でもよいが、それはアルケンまたはアルキン部分を少なくとも1つ含むことを意味する。「アルケン」部分は2以上の炭素原子と1以上の炭素-炭素二重結合とからなる基をいい、また「アルキン」部分は2以上の炭素原子と1以上の炭素-炭素三重結合とからなる基をいう。アルキル基は飽和、不飽和いずれであれ、分岐鎖、直鎖、環状のいずれでもよい。
【0071】
アルキル基は炭素原子数1〜20でもよい(本明細書では常に、「1〜20」といった数値の範囲は該範囲内の各整数をいう。たとえば「炭素原子数1〜20」は炭素原子数が1、2、3等々から20までのアルキル基を意味する。ただし、用語「アルキル」の定義は炭素原子数を指定しない場合にも適用される)。アルキル基は炭素原子数1〜10の中サイズのアルキルでもよいし、炭素原子数1〜5のより低級なアルキルでもよい。開示化合物のアルキル基は「C1〜C4アルキル」などと呼ぶこともある。たとえば「C1〜C4アルキル」はアルキル鎖の炭素原子数が1〜4である、すなわちアルキル鎖がメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルからなる群より選択されることを示す。
【0072】
アルキル基は置換体でも非置換体でもよい。置換体の場合には、置換基はシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、シリル、トリハロメタンスルホニル、アミノ(一置換および二置換アミノ基を含む)、およびそれらの保護誘導体より個別かつ独立に選択される1つまたは複数の基である。一般的なアルキル基の非限定的な例はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどである。置換基は、「随意置換」体とされる場合は常に、前記置換基のうちの1つを置換基として有してもよい。
【0073】
用語「アルキレン」は前述のとおりのアルキル基であって、ビラジカルであり、かつ他の2つの基に結合しているものをいう。したがってメチレン(-CH2-)、エチレン(-CH2CH2-)、プロピレン(-CH2CH2CH2-)、イソプロピレン(-CH2-CH(CH3)-)およびイソブチレン(-CH2-CH(CH3)-CH2-)はアルキレン基の非限定的な例である。
【0074】
数字を添えずに単独で現れる置換基「R」は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合)およびヘテロ脂環式基(環炭素を介して結合)からなる群より選択される。
【0075】
「O-カルボキシ」基はRC(=O)O-基をいう(式中Rは前記のとおりである)。
【0076】
「C-カルボキシ」基は-C(=O)OR基をいう(式中Rは前記のとおりである)。
【0077】
「アセチル」基は-C(=O)CH3基をいう。
【0078】
「トリハロメタンスルホニル」基はX3CS(=O)2-基をいう(式中Xはハロゲンである)。
【0079】
「シアノ」基は-CN基をいう。
【0080】
「イソシアナート」基は-NCO基をいう。
【0081】
「チオシアナート」基は-CNS基をいう。
【0082】
「イソチオシアナート」基は-NCS基をいう。
【0083】
「スルフィニル」基は-S(=O)-R基をいう(式中Rは前記のとおりである)。
【0084】
「S-スルホンアミド」基は-S(=O)2NR基をいう(式中Rは前記のとおりである)。
【0085】
「N-スルホンアミド」基はRS(=O)2NH-基をいう(式中Rは前記のとおりである)。
【0086】
「トリハロメタンスルホンアミド」基はX3CS(=O)2NR-基をいう(式中XとRは前記のとおりである)。
【0087】
「O-カルバミル」基は-OC(=O)-NR基をいう(式中Rは前記のとおりである)。
【0088】
「N-カルバミル」基はROC(=O)NH-基をいう(式中Rは前記のとおりである)。
【0089】
「O-チオカルバミル」基は-OC(=S)-NR基をいう(式中Rは前記のとおりである)。
【0090】
「N-チオカルバミル」基はROC(=S)NH-基をいう(式中Rは前記のとおりである)。
【0091】
「C-アミド」基は-C(=O)-NR2基をいう(式中Rは前記のとおりである)。
【0092】
「N-アミド」基はRC(=O)NH-基をいう(式中Rは前記のとおりである)。
【0093】
用語「ペルハロアルキル」は、水素原子がすべてハロゲン原子によって置換されたアルキル基をいう。
【0094】
2置換基とそれらの結合相手である炭素とが環を形成するとき、次の構造
【化21】

は次の構造
【化22】

を表すことになる。
【0095】
前記の例では、R1とR2、それにそれらの結合相手となる炭素とが6員芳香環を形成する。
【0096】
2置換基とそれらの結合相手である窒素とが縮合ヘテロアリール環、または複素環を形成するとき、次の構造
【化23】

はたとえば次の構造
【化24】

を表すことになる。
【0097】
特に断らない限り、置換基が「随意置換」体とみなされるとき、該置換基はシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、O-カルバミル、N-カルバミル、O-チオカルバミル、N-チオカルバミル、C-アミド、N-アミド、S-スルホンアミド、N-スルホンアミド、C-カルボキシ、O-カルボキシ、イソシアナート、チオシアナート、イソチオシアナート、ニトロ、シリル、トリハロメタンスルホニル、アミノ(一置換および二置換アミノ基を含む)、およびそれらの保護誘導体より個別かつ独立に選択される1つまたは複数の基を置換基として有してもよいことになる。前記置換基の保護誘導体を形成する保護基は技術上周知であり、また前掲Greene and Wutsなどのような参考文献でも開示されている。
【0098】
ある種の開示化合物は光学異性体を含む立体異性体として存在してもよい。本発明の範囲は諸々の立体異性体、およびそうした立体異性体のラセミ体と技術上周知の方法に従って分離される個別鏡像体の両方を包含する。
【0099】
本明細書で開示されるさらに別の態様は
【化25】

【化26】

からなる群より選択される化合物である。
【0100】
以下に示すスキームは開示化合物の一般的な合成スキームである。スキーム1は式I化合物の合成を示す。
【化27】

【0101】
スキーム2は式II化合物の合成を示す。
【化28】

【0102】
スキーム3は式III 化合物の合成を示す。
【化29】

【0103】
本明細書で開示される別の態様は、炎症治療に有効な化合物を識別するためのスクリーニング手段としてのFPRL1受容体の使用である。いくつかの実施態様では、そうした使用はFPRL1受容体の1つまたは複数の活性に作用しうる化合物をスクリーニングするための、次のような方法を通じて行われよう: すなわち
a) 該FPRL1受容体を発現する組換え核酸を含むが内在性核酸からはFPRL1受容体の機能的発現を示さないことを特徴とする組換え細胞に試験化合物を接触させるステップ;
b) FPRL1受容体の1つまたは複数の活性に対する該試験化合物の作用能を決定し、該作用能を、該組換え核酸を含まない細胞内でのFPRL1受容体の1つまたは複数の活性に対する該試験化合物の作用能と比較するステップ;
を含む方法であって、該組換え核酸は
i) 配列番号1の核酸;
ii) 配列番号2のアミノ酸をコードする核酸;
iii) i)またはii)のうちいずれかの核酸の誘導体であって、該FPRL1受容体の1つまたは複数の活性を有する受容体をコードし、かつストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号1の核酸の相補体とハイブリダイズしうる少なくとも20個の連続ヌクレオチドを含むことを特徴とする誘導体;
からなる群より選択されるFPRL1受容体核酸を含むことを特徴とする方法である。
【0104】
ある種の実施態様ではFPRL1受容体核酸は、配列番号2のアミノ酸配列をコードする少なくとも20個の連続ヌクレオチドからなる相補体とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズしうる少なくとも20個の連続ヌクレオチドを含む配列番号2誘導体のアミノ酸配列をコードする。
【0105】
いくつかの実施態様では、該誘導体は、配列番号2のアミノ酸配列をコードする連続ヌクレオチドからなる相補体とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズしうる少なくとも50個、少なくとも100個、少なくとも150個、少なくとも200個、少なくとも250個、少なくとも300個、少なくとも350個、少なくとも400個、少なくとも450個、少なくとも500個、少なくとも600個、少なくとも700個、少なくとも800個、少なくとも900個、少なくとも1000個、少なくとも1100個、少なくとも1200個、少なくとも1300個、少なくとも1400個、少なくとも1500個、少なくとも1600個、少なくとも1700個、少なくとも1800個、少なくとも1900個、少なくとも2000個、少なくとも2100個、少なくとも2200個、少なくとも2300個、少なくとも2400個、または少なくとも2500個の連続ヌクレオチドを含む。
【0106】
別の態様では、本発明は任意のタイプの急性および慢性炎症を治療するための、式I、IIまたはIII で示される少なくとも1つの化合物を生物に有効量接触させるステップを含む方法であって、該化合物がFPRL1受容体サブタイプを活性化することを特徴とする方法に関する。
【0107】
さらに別の態様では本発明は、炎症を治療する方法であって、炎症を患う個体に式I、IIまたはIII で示される少なくとも1つの試験化合物を有効量接触させ、以って1つまたは複数の炎症症状を軽減するステップを含む方法に関する。
【0108】
ある種の実施態様では、前記の方法は接触ステップに先立って炎症治療を必要とする個体を識別するステップをさらに含む。
【0109】
別の実施態様では、式I、IIまたはIII で示される該化合物はFPRL1受容体サブタイプを選択的に活性化する。
【0110】
別の態様では、本発明は対象の炎症または炎症反応を治療または予防するための、式I、IIまたはIII で示される化合物を該対象に有効量投与するステップを含む方法に関する。ある種の実施態様では、炎症反応は白血球の活性化に起因するが、該活性化は血管漏出または浮腫を誘発する白血球の遊走および活性酸素種の生成を含む。他の実施態様では、炎症反応は関節リウマチ、アルツハイマー病または喘息に関連する。さらに他の実施態様では、炎症反応は物理的外傷と放射線被曝を含む物理的傷害に起因する。
【0111】
別の態様では、本発明は血管収縮反応または疾患を治療または予防するための血管拡張を誘発する方法であって、対象に式I、IIまたはIII で示される化合物を血管拡張有効量投与するステップを含む方法に関する。ある種の実施態様では、血管収縮反応または疾患は糸球体疾患を含む腎血行動態の異常と高血圧、心筋梗塞および心筋虚血を含む心疾患とからなる群より選択される。
【0112】
さらなる態様では、本発明は対象のスルフィドペプチドロイコトリエンに対する血管収縮反応に拮抗するための、式I、IIまたはIII で示される化合物を該対象に投与するステップを含む方法に関する。いくつかの実施態様では、該ロイコトリエンに対する血管収縮反応は喘息、アナフィラキシー反応、アレルギー反応、ショック、炎症、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー性鼻炎、成人呼吸窮迫症候群、クローン病、内毒素性ショック、外傷性ショック、出血性ショック、内臓虚血性ショック、腎糸球体疾患、良性前立腺肥大、炎症性腸疾患、心筋虚血、心筋梗塞、循環性ショック、脳損傷、全身性エリテマトーデス、慢性腎疾患、心疾患、および高血圧からなる群より選択される内科的疾患に関連する。他の実施態様では、血管収縮反応は慢性腎疾患などのような軽度血管収縮や糸球体腎疾患などのような重度慢性血管収縮を含む腎血管収縮反応である。
【0113】
さらに別の態様では、本発明は骨髄抑制性疾患の治療または予防を目的とした対象体内の細胞増殖を刺激するための、式I、IIまたはIII で示される化合物を該対象に有効量投与するステップを含む方法に関する。
【0114】
ある種の実施態様では、開示の諸方法は急性および慢性炎症の治療方法にも関する。開示の諸方法と併用するための化合物の特に好ましい実施態様は次に示す化合物1、2、3、4、5、6および7である:
【化30】

【化31】

【0115】
本明細書で開示される別の態様は、急性および慢性疼痛を治療する方法であって、該治療を必要とする個体を識別するステップ、該個体に式I、式IIまたは式III で示される少なくとも1つの化合物を有効量接触させ、以って1つまたは複数の炎症症状を軽減するステップを含む方法である。
【0116】
本明細書で開示される別の態様は、開示化合物がFPRL1受容体の特異的アゴニストであるという発見である。従って、これらのアゴニストはFPRL1受容体に結合して抗炎症反応を誘発するものと期待される。開示のFPRL1受容体アゴニストは急性または慢性炎症の治療に使用することができる。
【0117】
こうして、いくつかの実施態様では式I、式IIまたは式III で示される化合物はFPRL1受容体を活性化する。ある種の実施態様では、該化合物は受容体FPRまたはFPRL2ではなくFPRL1受容体サブタイプを選択的に活性化しよう。
【0118】
用語「活性化する」はFPRL1受容体の細胞機能の増進をいう。該細胞機能は天然結合相手との相互作用であるのが好ましい。用語「天然結合相手」は細胞中でFPRL1受容体に結合する分子をいう。
【0119】
ある種の実施態様では、開示の方法によって治療される炎症は、細菌感染、ウイルス感染、物理的外傷と放射線被曝を含む物理的傷害、喘息に伴う血管収縮、アナフィラキシー反応、アレルギー反応、ショック、糖尿病、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー性鼻炎、成人呼吸窮迫症候群、クローン病、内毒素性ショック、外傷性ショック、出血性ショック、内臓虚血性ショック、腎糸球体疾患、良性前立腺肥大、炎症性腸疾患、心筋虚血、心筋梗塞、循環性ショック、虚血性脳卒中と出血性脳卒中とを含む脳損傷、全身性エリテマトーデス、慢性腎疾患、心疾患、および高血圧または化学的損傷に関連する。
【0120】
本明細書で開示される別の態様は、対象の炎症を軽減する化合物の識別方法であって、炎症対象を識別するステップ、前述のとおりの式I、式IIまたは式III で示される少なくとも1つの化合物を該対象に投与するステップ、および該少なくとも1つの化合物が該対象の炎症を軽減するかどうかを判定するステップを含む方法である。
【0121】
本明細書で開示されるさらに別の態様は、FPRL1受容体のアゴニストである式I、式IIまたは式III 化合物を識別する方法であって、前述のとおりの式I、式IIまたは式III で示される少なくとも1つの化合物をFPRL1受容体に接触させるステップ、およびFPRL1受容体の活性の何らかの上昇を決定し、以ってFPRL1受容体のアゴニストである式I、式IIまたは式III 化合物を識別するステップを含む方法である。
【0122】
本明細書では、「アゴニスト」は受容体の基礎活性(すなわち受容体によって仲介されるシグナル伝達)を高める化合物をいう。「アンタゴニスト」は受容体表面でアゴニストの作用に拮抗する化合物をいう。「部分アゴニスト」は部分的なまたは不完全な活性を示すため、in vitroでは受容体を活性化することができず、in vivoではアンタゴニストとして機能する化合物をいう。
【0123】
用語「対象」は治療、観察または実験の対象となる動物を、好ましくは哺乳動物を、最も好ましくは人間をいう。該哺乳動物はマウス、ラット、ウサギ、モルモット、犬、猫、羊、山羊、牛、霊長類(猿、チンパンジー、類人猿)および人間からなる群より選択される。
【0124】
用語「治療有効量」は表示の生物学的応答または薬剤応答を誘発するような活性化合物または医薬品の量をいう。この応答は研究者、獣医師、医師または他の臨床医が求めている組織、体組織、動物または人間のいずれで起きてもよいし、また治療対象疾患の症状の緩和を包含する。
【0125】
本明細書で開示されるさらなる態様は、FPRL1受容体のアゴニストである化合物を識別する方法であって、FPRL1受容体を発現する細胞を培養するステップ; 該細胞を前述のような式I、式IIまたは式III で示される少なくとも1つの化合物とインキュベートするステップ; および該FPRL1受容体の活性レベルの何らかの上昇を決定し、以って該FPRL1受容体のアゴニストである式I、式IIまたは式III 化合物を識別するステップを含む方法である。
【0126】
ある種の実施態様では、該培養細胞は該FPRL1受容体を過剰発現する。他の実施態様では、識別されるアゴニストはFPRL1受容体選択的である。
【0127】
本明細書で開示される別の態様は、前述のような式I、式IIまたは式III で示される化合物を生理学的に許容しうる担体、希釈剤または賦形剤、またはそれらの組み合わせと共に含む医薬品組成物である。
【0128】
用語「医薬品組成物」は開示化合物と他の化学成分たとえば担体または希釈剤との混合体である。医薬品組成物は該化合物の生物への投与を容易にする。化合物を投与する方法は技術的には多数存在し、たとえば経口法、注射法、エアゾール法、非経口法、局所法などを非限定的に含む。また、医薬品組成物は化合物を無機酸または有機酸たとえば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などと反応させることによって得ることもできる。
【0129】
用語「担体」は細胞または組織への化合物の取り込みを促進する化学物質をいう。たとえばジメチルスルホキシド(DMSO)は多数の有機化合物の生物細胞または組織への取り込みを促進するため常用担体となっている。
【0130】
用語「希釈剤」は、関心化合物を溶解すると同時に該化合物の生物活性形態を安定化するような、化学物質の水溶液である。技術的には塩の緩衝液溶液が希釈剤として使用されている。常用緩衝液の1つは、ヒト血液の塩分条件に近いリン酸緩衝生理食塩水である。緩衝塩は低濃度で溶液のpHをコントロールすることができるため、緩衝希釈剤は化合物の生物活性を見事に調節する。
【0131】
用語「生理学的に許容しうる」は、化合物の生物活性および特性を無効にすることのない担体または希釈剤をいう。
【0132】
開示の医薬品組成物はそれ自体で、または併用療法の場合のように他の活性成分と混合した医薬品組成物として、または好適な担体または希釈剤と混合した医薬品組成物として、人間の患者に投与することができる。本願化合物の製剤および投与技術については"Remington’s Pharmaceutical Sciences," Mack Publishing Co., Easton, PA, 18th edition, 1990が参考になろう。
【0133】
好適な投与法の例は経口、直腸、経粘膜または腸管法; 筋肉内、皮下、静脈内、髄内の注射法、それにくも膜下、直接脳室内、腹腔内、鼻内または眼内注射などの非経口法である。
【0134】
あるいは、化合物を全身法ではなく局所法で、たとえば化合物をデポ製剤または徐方性製剤の形で疼痛領域に直接注入するという方法で、投与してもよい。さらに、標的化薬物送達システムたとえば組織特異的抗体をコートしたリポソームを使用して、薬物を投与してもよい。該リポソームは特定臓器へと誘導され、該臓器により選択的に取り込まれる。
【0135】
開示の医薬品組成物は公知の方法で、たとえば通常の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠作製、水簸、乳化、カプセル化、包括または打錠などの方法で、製造してもよい。
【0136】
本発明に使用する医薬品組成物は従って、通常の方法で、活性化合物の製剤への加工を容易にするような製薬上許容しうる賦形剤および助剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容しうる担体を使用して、製剤してもよい。適正な製剤は選択される投与経路に依存する。任意周知の技法、担体および賦形剤を好適な、かつ技術上公知のものとして(たとえば前掲Remington’s Pharmaceutical Sciences)、使用してもよい。
【0137】
注射用の場合、開示薬剤は水溶液に、好ましくは生理学的に適合しうる緩衝液たとえばハンクス液、リンガー液または生理食塩緩衝液に溶解して調製する。経粘膜投与用の場合、透過障壁にふさわしい浸透剤を使用して製剤する。そうした浸透剤は技術上周知である。
【0138】
経口投与用の場合、医薬品組成物は活性化合物を技術上周知の製薬上許容しうる担体と混合することにより容易に製剤しうる。そうした担体は開示化合物の、患者による経口摂取に適した錠剤、丸剤、糖衣錠、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤などとしての製剤を可能にする。経口製剤は1つまたは複数の固体賦形剤を開示の医薬品組成物と混合し(随意に、得られた混合物を粉砕し)、この顆粒混合物を、所望なら好適な助剤を添加した後に、錠剤または糖衣錠用核錠へと加工することにより得られる。好適な賦形剤は特に、乳糖、ショ糖、マンニトールまたはソルビトールなどを含む糖類などのような増量剤; トウモロコシでんぷん、小麦でんぷん、米でんぷん、馬鈴薯でんぷん、ゼラチン、トラガントガム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのようなセルロース調製品である。所望なら、架橋PVP、寒天、もしくはアルギン酸またはその塩たとえばアルギン酸ナトリウムなどのような崩壊剤を添加してもよい。
【0139】
糖衣錠用核錠には好適なコート層を施す。コート層には濃縮糖液を使用してもよい。該糖液は随意にアラビアガム、タルク、PVP、カルボポールジェル、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー液、および好適な有機溶媒または混合溶媒を含む。錠剤または糖衣錠用コート層には、識別用に、または活性化合物用量の組み合わせの違いを明らかにするために、染料または色素を添加してもよい。
【0140】
経口製剤はゼラチン素材のプッシュフィット型カプセル剤、ゼラチンとグリセロールまたはソルビトールなどの可塑化剤を素材とするソフト封止カプセル剤を包含する。プッシュフィット型カプセル剤、乳糖などのような増量剤、でんぷんなどのような結合剤、および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどのような滑沢剤、それに安定剤などとの混合物中に活性化合物を含有することができる。ソフトカプセル剤では、活性化合物は好適な液体たとえば脂肪油、流動パラフィンまたは液体ポリエチレングリコールなどに溶解または懸濁させてもよい。さらに、安定剤を添加してもよい。経口製剤はすべて経口投与に適した剤形にするのがよい。
【0141】
舌下投与用の場合、組成物は常法で調製される錠剤またはトローチ剤の形をとってもよい。
【0142】
吸入投与用の場合、本発明で使用する化合物は加圧パックまたはネブライザーから、好適な推進剤たとえばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロメタン、二酸化炭素または他の好適なガスにより放出されるエアゾール噴霧の形で投与するのが好都合である。加圧エアゾールの場合には、定量投与用の弁を設けて単位量を決定してもよい。化合物と好適な粉末基剤たとえば乳糖またはでんぷんとからなるパウダーミックスを含む吸入器用ゼラチンカプセルまたはカートリッジを調製してもよい。
【0143】
化合物はボーラス注入法または持続点滴法などのような注射法による非経口用に製剤してもよい。注射製剤は防腐剤を添加した(アンプル入りまたは頻回投与用容器入りの)単位量製剤でもよい。組成物は懸濁液、溶液、油性または水性の乳液などのような形をとってもよいし、また懸濁化剤、安定剤、および/または分散剤などのような製剤用添加剤を含んでもよい。
【0144】
非経口用製剤は水溶性タイプの活性化合物の水溶液を包含する。加えて、活性化合物の懸濁液を好適な油性懸濁注射液として調製してもよい。好適な親油性の溶媒または基剤はごま油などのような脂肪油、オレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどのような合成脂肪酸エステル、またはリポソームを包含する。水性懸濁注射液は懸濁液の粘性を高めるような物質たとえばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールまたはデキストランなどを含んでもよい。随意に、該懸濁液は高濃度溶液を調製しうるようにするための好適な安定剤または化合物の可溶性を高める物質を含んでもよい。
【0145】
あるいは活性成分は粉末状とし、使用時に好適な基剤たとえば発熱性物質を含まない滅菌水で還元するようにしてもよい。
【0146】
化合物はまた、通常の座剤用基剤たとえばカカオバターまたは他グリセリドなどを含有する直腸内投与用の座剤または保留浣腸剤などのような組成物に製剤してもよい。
【0147】
以上の製剤に加えて、デポ製剤として化合物を製剤してもよい。そうした長時間作用型製剤は注入法(皮下または筋肉内注入など)で、または筋肉内注射法で、投与してもよい。従って、化合物はたとえば好適な高分子または疎水性材料を使用して(たとえば許容しうる油性乳剤として)、またはイオン交換樹脂を使用して、または難溶性誘導体たとえば難溶性塩として、製剤してもよい。
【0148】
開示の疎水性化合物に適した製剤担体は、ベンジルアルコール、無極性界面活性剤、水混和性の有機高分子および水相を含む共溶媒系である。常用の共溶媒系はVPD系、すなわち3% w/vベンジルアルコール、8%w/v無極性界面活性剤Polysorbate 80(登録商標)、65%w/vポリエチレングリコール300および必要量の無水アルコールを含む溶液である。当然、共溶媒系の組成はその可溶性および毒性特性を損なわない限りで大幅に変更してもよい。さらに、共溶媒系の成分を変更してもよい。たとえばPolysorbate 80(登録商標)の代わりに他の低毒性の無極性界面活性剤を使用してもよいし、ポリエチレングリコールの分子量を変更してもよいし、ポリエチレングリコールの代わりに他の生体適合性高分子たとえばポリビニルピロリドンを使用してもよいし、またデキストロースの代わりに他の糖または多糖を使用してもよい。
【0149】
あるいは、他の疎水性医薬品送達システムを使用してもよい。疎水性薬物送達用の基剤または担体の例としてはリポソームや乳濁液が周知である。ジメチルスルホキシドなどのようなある種の有機溶媒もまた使用可能であるが、毒性の上昇というコストが伴う。また、疎水性化合物は徐放システムたとえば治療薬を含ませた疎水性固体高分子の半透性マトリックスなどを使用して送達してもよい。種々の徐放材料がすでに確立されており、技術上周知である。徐放カプセルはその化学的性質にもよるが数週間ないし100日余りにわたって化合物を放出する。治療薬の化学的性質や生物学的安定性に応じて、追加のタンパク質安定化戦略を採用してもよい。
【0150】
開示の医薬品複合剤に使用される多数の化合物は製薬上適合しうる対イオンとの塩として提供してもよい。製薬上適合しうる塩の形成には、塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、コハク酸などを非限定的に含む多数の酸を使用してもよい。塩は対応する遊離体の酸または塩基よりも水性または他のプロトン性溶媒に溶けやすくなる傾向がある。
【0151】
開示の方法への使用に適した医薬品組成物には、所期の使用目的を達成するうえでの有効量の活性成分を含有する組成物が包含される。具体的には、治療有効量は治療対象患者の疾患の症状を予防、軽減または緩和し、あるいは生存期間を延長するうえでの有効量の化合物を意味する。当業者は治療有効量を、特に本明細書での詳細な開示に照らして、楽に決定することができる。
【0152】
開示の医薬品組成物の正確な処方、投与経路、用量は個々の医師が患者の症状を考慮して選ぶことができる。(たとえばFingl et al. 1975 in “The Pharmacological Basis of Therapeutics,” Ch.1 p.1を参照。) 一般に、患者に投与される組成物の用量範囲は約0.5〜1000mg/kg-患者体重、または1〜500mg/kgまたは10〜500mg/kgまたは50〜100mg/kg-患者体重とすることができる。投与は患者の必要に応じて単回投与でも1日または複数日にわたる数回連続投与でもよい。開示のほぼすべての特定化合物は、少なくとも何らかの疾患を治療するためのヒト用量がすでに確立されている。従ってほとんどの場合、開示の方法はその既定用量を、または既定用量の約0.1%〜500%、約25%〜250%または50%〜100%の用量を使用することになろう。新発見の医薬品化合物などのようにヒト用量が確立されていない場合には、動物での毒性試験または有効性試験で定量されたED50またはID50値またはin vivoまたはin vitro研究に由来する他の適当な値から、相応のヒト用量を推測することができる。
【0153】
正確な用量は個別薬物ごとに決定されようが、ほとんどの場合、用量についての若干の一般化が可能である。成人患者の日用量はたとえば開示医薬品組成物の各成分またはその製薬上許容しうる塩につき、遊離体ベースで計算して0.1mg〜500mg好ましくは1mg〜250mgたとえば5mg〜200mgの経口量、または0.01mg〜100mg好ましくは0.1mg〜60mgたとえば1mg〜40mgの静注、皮下注または筋注用量とし、組成物を1日1〜4回投与してもよい。あるいは開示組成物を持続点滴静注により、好ましくは各成分につき日用量400mg 以下を投与してもよい。従って、経口投与の場合は各成分の合計日用量は一般に1〜2000mgであろうし、また非経口投与の場合は一般に0.1〜400mgであろう。化合物は連続治療期間たとえば1週間以上、または数か月間または数年間、投与するのが適切であろう。
【0154】
投与量および投与間隔は個別に調整して、調節作用を維持するに足る血中活性部分濃度、または最少有効濃度(MEC)が得られるようにしてもよい。MECは化合物ごとに異なろうが、in vitroデータから推定しうる。MECを実現するための必要用量は個別の性質および投与経路に依存しよう。しかし、血中濃度の決定にはHPLCアッセイまたはバイオアッセイを使用することができる。
【0155】
投与間隔はまた、MEC値を使用して決定してもよい。組成物は、該時間の10〜90%、好ましくは30〜90%、最も好ましくは50〜90%にわたってMECを超える血中濃度を維持するような用法用量に従って投与するのがよい。
【0156】
局所投与または選択的取り込みの場合には、薬物の有効局所濃度は血中濃度とは無関係でもよい。
【0157】
組成物の投与量はもちろん、治療対象に、治療対象の体重、疾患の重篤度、投与方法および処方医の判断に、依存しよう。
【0158】
組成物は、所望なら、活性成分を含む単数または複数の単位量製剤を詰めたパックまたはディスペンサー装置の形で提供してもよい。該パックはたとえばブリスターパックなどのように金属ホイルまたはプラスチックホイルからなってもよい。該パックまたはディスペンサー装置には使用説明を添付してもよい。該パックまたはディスペンサー装置にはまた、医薬品の製造、使用または販売の規制に当たる政府機関が指定する書式に従った該容器に関する注意書きを添付してもよいが、該注意書きは人間または動物に投与する該製剤に関する該政府機関の承認を反映する。そうした注意書きはたとえば、処方薬に関する米食品医薬品局承認の表示、または承認済みの製品情報シートでもよい。開示化合物と適合しうる医薬品担体とを含む組成物もまた調製し、適切な容器に入れ、適用疾患の治療について表示してもよい。
【0159】
当業者には自明であろうが、本発明の精神から逸脱することなく多数の多様な変更態様が可能である。従って、開示の形態は例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0160】
実施例1:R-SATアッセイ法
R-SAT (Receptor Selection and Amplification Technology)という機能的受容体アッセイ法を使用して既知および新規FPRL1アゴニストを調べた。R-SATは米国特許第5,707,798号、5,912,132号および5,955,281号明細書で開示されているが、それらの明細書はその全体が、図面を含めて、参照により開示される。
【0161】
簡単に言えば、NIH-3T3細胞を96ウェル組織培養プレートで培養し70〜80%コンフルエンスにした。Polyfect(Qiagen Inc.)を使用しメーカーのプロトコールに従って、細胞にプラスミドDNAを16〜20時間トランスフェクトした。R-SATは一般に3ng/ウェルの受容体と20ng/ウェルのβ-ガラクトシダーゼ・プラスミドDNAを使用して行った。受容体およびGタンパク質コンストラクトはすべてpSI由来哺乳動物発現ベクター(Promega Inc)に使用した。FPRL1受容体遺伝子はゲノムDNAからPCR法により、公開配列(GenBank Accession # M84562)に基づくオリゴデオキシヌクレオチドプライマーを使用して、増幅した。大規模トランスフェクションでは、16〜20時間トランスフェクトした細胞をトリプシン処理し、DMSOで凍結した。凍結細胞は後に解凍し、薬物を分注した96ウェルハーフエリアプレートにウェルあたり約10,000細胞をプレーティングした。どちらの方法でも、次に細胞を周囲CO2濃度5%の加湿雰囲気中で5日間増殖させた。次いでプレートから培地を取り除き、マーカー遺伝子活性を測定するめたにβ-ガラクトシダーゼの基質ο-ニトロフェニルβ-D-ガラクトピラノシド(ONPG; PBS+0.5% NP-40溶液)を添加した。現れた比色反応を分光光度計型プレートリーダー(Titertek Inc.)により420nmで測定した。測定データはすべてコンピュータープログラムXLFit(IDBSm)を使用して分析した。対照化合物(FPRL1の場合はWKYMVm)による活性化と比較した場合の最大活性化率を効果とする。pEC50はlog(EC50)の逆対数値であるが、EC50は50%最大活性化を生み出すモル単位の計算濃度である。
【0162】
これらの実験はヒトFPRL1受容体 でのこれらの薬物の各々の分子プロファイル、またはフィンガープリントを提供してくれる。表1から分かるように、これらの化合物は模擬トランスフェクト細胞との比較で見ると、FPRL1受容体を選択的に活性化する。
【表1】

効果はリガンドWKYMVmとの比較である。
【0163】
実施例2:FPRL1受容体結合アッセイ
開示化合物のFPRL1受容体に対する結合能は受容体結合アッセイにより、以下の試薬、消耗品および方法を使用して容易に決定することができる。
【0164】
1. FPRL1受容体トランスフェクトCOS細胞(これはFPRL1受容体を内因的に発現することのない別のトランスフェクト細胞系で代用してもよい)を24ウェル培養プレートにより適当な増殖培地中で増殖させる。
【0165】
2. 0.25nM [125I]WKYMVmワーキング溶液245μlを下記(溶液あたり各1) 5μlと混合して放射性標識アッセイ液を調製する: 50μM無標識WKYMVmワーキング溶液、0.25 nM [125I]WKYMVmワーキング溶液、HEPES緩衝液単独または50×試験化合物。
【0166】
3. 真空源に接続したパスツールピペットで24ウェルプレートから培地を吸引する。細胞は洗浄しない。
【0167】
4. ステップ2に由来する放射性標識アッセイ溶液250μlを各アッセイウェルに分注し、プレートを低速オービタルシェーカーに載せ60分間、室温(約22℃)でインキュベートする。
【0168】
5. 24ウェルBrandelセルハーベスターで放射性溶液を吸引することによりインキュベーションを停止させる。該セルハーベスターを使用して0.5ml氷冷HEPES緩衝液でウェルを3回洗浄する。
【0169】
6. マイクロピペッターで該溶液をウェルから吸引して、12×75mmポリエステル試験管に移す。ガンマカウンター(Packard, CobraII)で分析する。
【0170】
7. 特異結合活性を測定し、IC50値を計算する。
【0171】
実施例3:トランスフェクトHL-60細胞の細胞質カルシウム濃度変化の判定
1. 1〜3×106細胞/mlの密度でFPRL1受容体または対照受容体をトランスフェクトしたHL-60細胞をリン酸緩衝生理食塩水で洗浄する。
【0172】
2. 細胞を2μMのFura-2で染色し、変動濃度の化合物の存在または不存在下に細胞内カルシウム濃度の上昇について分析する。
【0173】
3. 100nMで試験した場合のその応答を、標準参照リガンドWKYMVmの適用によって誘発される応答と比較する。
【0174】
4. 次式により細胞内遊離カルシウム濃度を計算する:
【数1】

【0175】
実施例4:FPRL 1特異的化合物の抗炎症および鎮痛性の判定
1. ナイーブな雄性Sprague-Dawleyラット(175〜200g ; n=6/群)について、52℃ホットプレート試験により不快な熱刺激に対する基準反応を求めた。
【0176】
2. 基剤、イブプロフェン(100mg/kg)または種々の用量の、式I、IIまたはIII で示されるFPRL1特異的化合物を動物に腹腔内注射した。
【0177】
3. 化合物投与の15分後、左後肢背面に2% λ-カラギーナン(タイプIV; 2種の海草Gigartina aciculaireおよびG. pistillataから分離)0.10mlを注射して、急性の炎症性疼痛を生じさせた。
【0178】
4. 次いで化合物投与後60分、90分、120分および180分の各時点で反応潜時を計測して、熱感受性の変化があれば検出しうるようにした。ホットプレート反応潜時の有意の短縮は熱性痛覚過敏の生起として解釈された。
【0179】
5. 加えて、180分時点の試験直後に後肢の厚さを計測して、局所的な浮腫を定量するようにした。
【0180】
結果は図1〜4のとおりである。図1〜3に示すように、化合物7の投与は熱性痛覚過敏を軽減した。図4に示すように、化合物7の投与は浮腫形成の予防にもなる。
【0181】
実施例5:FPRL1受容体に関する配列
【0182】
下記の配列番号1はFPRL1受容体をコードするDNA配列であり、また配列番号2はFPRL1受容体のポリペプチド配列である:
【化32】

【化33】

【図面の簡単な説明】
【0183】
【図1】図1は化合物7の種々の投与量での熱痛覚過敏に対する効果と経過時間の関係を示す。
【図2】図2は化合物7の種々の投与量での熱痛覚過敏に対する効果を示す。
【図3】図3は化合物7の種々の投与量での抗痛覚過敏効果を示す。
【図4】図4は化合物7の種々の投与量での浮腫形成に対する効果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炎症と関連疼痛の治療に有効な化合物を識別するための手段としてのFPRL1受容体の使用。
【請求項2】
炎症と関連疼痛の治療に有効な化合物を識別するためのスクリーニング手段としてのFPRL1受容体の使用。
【請求項3】
FPRL1受容体に特異的に作用する化合物の、炎症と関連疼痛を治療するための療法薬としての使用。
【請求項4】
FPRL1受容体に特異的に作用する化合物の、炎症と関連疼痛を防ぐための療法薬としての予防的使用。
【請求項5】
FPRL1受容体の1つまたは複数の活性に作用しうる化合物をスクリーニングするための、
a) 該FPRL1受容体を発現する組換え核酸を含むが内在性核酸のほうはFPRL1受容体の機能的発現を示さないことを特徴とする組換え細胞に、試験化合物を接触させるステップ;
b) FPRL1受容体の1つまたは複数の活性に対する該試験化合物の作用能を決定し、該作用能を、該組換え核酸を含まない細胞内でのFPRL1受容体の1つまたは複数の活性に対する該試験化合物の作用能と比較するステップ;
を含む方法であって、該組換え核酸は
i) 配列番号1の核酸;
ii) 配列番号2のアミノ酸をコードする核酸;
iii) i)またはii)のうちいずれかの核酸の誘導体であって、該FPRL1受容体の1つまたは複数の活性を有する受容体をコードし、かつストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で配列番号1の核酸の相補体とハイブリダイズしうる少なくとも20個の連続ヌクレオチドを含むことを特徴とする誘導体;
からなる群より選択されるFPRL1受容体核酸を含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
FPRL1受容体核酸は、配列番号2のアミノ酸配列をコードする少なくとも20個の連続ヌクレオチドの相補体とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズしうる少なくとも20個の連続ヌクレオチドを含む配列番号2の誘導体のアミノ酸配列をコードすることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
任意のタイプの急性および慢性炎症を治療するための、式I、IIまたはIII で示される少なくとも1つの化合物を生物に有効量接触させるステップを含む方法であって、該化合物がFPRL1受容体サブタイプを活性化することを特徴とする方法。
【請求項8】
炎症は糖尿病、ウイルス感染、過敏性腸症候群、切断術、がん、細菌感染、物理的外傷と放射線被曝を含む物理的傷害、喘息に伴う血管収縮、アナフィラキシー反応、アレルギー反応、ショック、糖尿病、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー性鼻炎、成人呼吸窮迫症候群、クローン病、内毒素性ショック、外傷性ショック、出血性ショック、内臓虚血性ショック、腎糸球体疾患、良性前立腺肥大、心筋虚血、心筋梗塞、循環性ショック、虚血性脳卒中と出血性脳卒中とを含む脳損傷、全身性エリテマトーデス、慢性腎疾患、心疾患、および高血圧または化学的損傷に関連することを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
FPRL1受容体のアゴニストである化合物を識別する方法であって、
FPRL1受容体に式I、IIまたはIII で示される少なくとも1つの試験化合物を接触させるステップ; および
該FPRL1受容体の活性レベルの何らかの上昇を決定し、以って該FPRL1受容体のアゴニストである試験化合物を識別するステップ;
を含む方法。
【請求項10】
FPRL1受容体のアゴニストである化合物を識別する方法であって、
該FPRL1受容体を発現する細胞を培養するステップ;
該細胞または該細胞から抽出した一成分を式I、IIまたはIII で示される少なくとも1つの試験化合物とインキュベートするステップ; および
該FPRL1受容体の活性レベルの何らかの上昇を決定し、以って該FPRL1受容体のアゴニストである試験化合物を識別するステップ;
を含む方法。
【請求項11】
培養細胞は該FPRL1受容体を過剰発現する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
識別されたアゴニストは該FPRL1受容体選択的である請求項9または10に記載の方法。
【請求項13】
炎症を治療するための、
炎症を患う個体に式I、IIまたはIII で示される少なくとも1つの化合物を有効量接触させ、以って1つまたは複数の炎症症状を軽減するステップ;
を含む方法。
【請求項14】
接触ステップに先立って炎症治療を必要とする個体を識別するステップをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
式I、IIまたはIII で示される化合物はFPRL1受容体サブタイプを選択的に活性化する、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
炎症反応は、血管漏出または浮腫を誘発する白血球の遊走および活性酸素種の生成を含む白血球の活性化に起因する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
炎症反応は関節リウマチ、アルツハイマー病または喘息に関連する、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
炎症反応は物理的外傷と放射線被曝を含む物理的傷害に起因する、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
対象の炎症または炎症反応を治療または予防するための、式I、IIまたはIII で示される化合物を該対象に有効量投与するステップを含む方法。
【請求項20】
血管収縮反応または疾患の治療または予防を目的に血管拡張を誘発するための、対象に式I、IIまたはIII で示される化合物を血管拡張有効量投与するステップを含む方法。
【請求項21】
血管収縮反応または疾患は糸球体疾患を含む腎血行動態の異常と高血圧、心筋梗塞および心筋虚血を含む心疾患とからなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
対象のスルフィドペプチドロイコトリエンに対する血管収縮反応に拮抗するための、式I、IIまたはIII で示される化合物を該対象に投与するステップを含む方法。
【請求項23】
ロイコトリエンに対する血管収縮反応は喘息、アナフィラキシー反応、アレルギー反応、ショック、炎症、関節リウマチ、痛風、乾癬、アレルギー性鼻炎、成人呼吸窮迫症候群、クローン病、内毒素性ショック、外傷性ショック、出血性ショック、内臓虚血性ショック、腎糸球体疾患、良性前立腺肥大、炎症性腸疾患、心筋虚血、心筋梗塞、循環性ショック、脳損傷、全身性エリテマトーデス、慢性腎疾患、心疾患、および高血圧からなる群より選択される内科的疾患に関連する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
血管収縮反応は慢性腎疾患などのような軽度血管収縮や糸球体腎疾患などのような重度慢性血管収縮を含む腎血管収縮反応である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
骨髄抑制性疾患の治療または予防を目的とした対象体内の細胞増殖を刺激するための、式I、IIまたはIII で示される化合物を該対象に有効量投与するステップを含む方法。
【請求項26】
式I
【化1】

(式中
R1はC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキレン、酸素、硫黄、NQ、CHCN、C=O、C=S、C=NQ、S=O、S(=O)2、C=NOQからなる群より選択されるが、式中Qは水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される;
R2、R3、R4およびR5は各々独立に、水素、C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン化エーテル、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ペルハロアルキル、-OR7、-N(R7)2、-CN、-C(=Z)R7、-C(=Z)OR7、-C(=Z)N(R7)2、-N(R7)-C(=Z)R7、-N(R7)-C(=Z)N(R7)2、-OC(=Z)R7および-SR7からなる群より選択されるが、式中Zは酸素または硫黄であり、また各R7は独立に水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される; または
R3とR4およびそれらの結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリールまたは複素環を形成する;
R6は0〜5倍存在してもよいが、水素、C1〜C4直鎖または分岐鎖アルキル、シクロアルキル、随意置換アリールまたはヘテロアリール、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、スルホナート、ペルハロアルキル、-OR7、-N(R8)2、-CN、-C(=Z)R8、-C(=Z)OR8、-C(=Z)N(R8)2、-N(R8)-C(=Z)R8、-N(R8)-C(=Z)N(R8)2、-OC(=Z)R8および-SR8からなる群より選択されるが、式中Zは酸素または硫黄であり、また各R8は独立に水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される; または
R6は縮合アリールまたはヘテロアリール環を形成する。)
で示される化合物、またはその製薬上許容しうる塩、エステル、アミドまたはプロドラッグ。
【請求項27】
R1は水素またはC1〜C10直鎖アルキルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
R1はC1〜C5直鎖アルキレンである請求項26に記載の化合物。
【請求項29】
R1はメチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、sec-ブチレン、tert-ブチレン、n-ペンチレンおよびイソペンチレンからなる群より選択される、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
R2は水素、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、アリール、ヘテロアリール、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択され、式中R7は水素またはC1〜C10直鎖アルキルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項31】
R7は水素またはC1〜C3直鎖アルキルである、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
R2は水素、ヒドロキシ、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、メトキシおよびエトキシからなる群より選択される、請求項26に記載の化合物。
【請求項33】
R3は水素、ヒドロキシ、ニトロ、アリール、ヘテロアリール、アミノ、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択され、式中R7は水素またはC1〜C10直鎖アルキルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項34】
R7は水素またはC1〜C3直鎖アルキルである、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
R3は水素、ニトロ、アリールおよびヘテロアリールからなる群より選択される、請求項26に記載の化合物。
【請求項36】
R4は水素、C1〜C10直鎖アルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択され、式中R7は、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項37】
R4は水素、C1〜C3直鎖アルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択され、式中R7は、随意にアリールを置換基として有するC1〜C3直鎖アルキルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項38】
R4は水素、メチル、エチル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、クロロ、フルオロ、メトキシ、エトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノおよびベンジルオキシからなる群より選択される、請求項26に記載の化合物。
【請求項39】
R5は水素、C1〜C10直鎖アルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ペルハロアルキル、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択され、式中R7は、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項40】
R5は水素、C1〜C3直鎖アルキル、ヒドロキシ、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ペルハロアルキル、-OR7および-N(R7)2からなる群より選択され、式中R7は、C1〜C3直鎖アルキルである、請求項26に記載の化合物。
【請求項41】
R5は水素、ヒドロキシ、クロロ、ブロモ、トリフルオロメチルおよびメトキシからなる群より選択される、請求項26に記載の化合物。
【請求項42】
R6は水素である、請求項26に記載の化合物。
【請求項43】
R2とR3およびそれらの結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリールまたは複素環式アルキルを形成する、請求項26に記載の化合物。
【請求項44】
環は複素環式アルキルである、請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
複素環式アルキルはN-モルホリンとピロールからなる群より選択される、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
【化2】

【化3】

からなる群より選択される化合物。
【請求項47】
式II
【化4】

(式中
X1とX2は各々独立に酸素または硫黄である;
R1はC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキレン、酸素、硫黄、NQ、CHCN、C=O、C=S、C=NQ、S=O、S(=O)2、C=NOQからなる群より選択されるが、式中Qは水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される;
R2とR3は各々独立に、水素、C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、ヒドロキシ、ハロゲン化エーテル、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ペルハロアルキル、-OR7、-N(R7)2、-CN、-C(=Z)R7、-C(=Z)OR7、-C(=Z)N(R7)2、-N(R7)-C(=Z)R7、-N(R7)-C(=Z)N(R7)2、-OC(=Z)R7および-SR7からなる群より選択されるが、式中Zは酸素または硫黄であり、また各R7は独立に水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される。)
で示される化合物、またはその製薬上許容しうる塩、エステル、アミドまたはプロドラッグ。
【請求項48】
R1は水素とNQからなる群より選択され、Qは水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C5直鎖または分岐鎖アルキルからなる群より選択される、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
QはC1〜C3直鎖または分岐鎖アルキルである、請求項47に記載の化合物。
【請求項50】
Qはメチル、エチルおよびプロピルからなる群より選択される、請求項48に記載の化合物。
【請求項51】
Qはメチルである、請求項48に記載の化合物。
【請求項52】
R2は水素、C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、C3〜C10シクロアルキルおよび随意置換アリールからなる群より選択される、請求項47に記載の化合物。
【請求項53】
R2は置換アリールである、請求項52に記載の化合物。
【請求項54】
R2は4-アルキルフェニル、4-アルコキシフェニルおよび4-アルコキシカルボニルフェニルからなる群より選択される、請求項53に記載の化合物。
【請求項55】
R2は4-メチルフェニル、4-エトキシフェニルおよび4-エトキシカルボニルフェニルからなる群より選択される、請求項53に記載の化合物。
【請求項56】
R3は水素、C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、C3〜C10シクロアルキルおよび随意置換アリールからなる群より選択される、請求項47に記載の化合物。
【請求項57】
R3は置換アリールである、請求項56に記載の化合物。
【請求項58】
R3は4-アルキルフェニル、4-アルコキシフェニルおよび4-ハロフェニルからなる群より選択される、請求項57に記載の化合物。
【請求項59】
R3は4-クロロフェニル、4-ブロモフェニルおよび4-メトキシフェニルからなる群より選択される、請求項58に記載の化合物。
【請求項60】
式III
【化5】

(式中
R1、R2、R3、R4、R5およびR6は各々独立に、水素、C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、C2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキル、置換または非置換アリール、置換または非置換ヘテロアリール、置換または非置換複素環式環、ヒドロキシ、ハロゲン化エーテル、ニトロ、アミノ、ハロゲン、ペルハロアルキル、-OR7、-N(R7)2、-CN、-C(=Z)R7、-C(=Z)OR7、-C(=Z)N(R7)2、-N(R7)-C(=Z)R7、-N(R7)-C(=Z)N(R7)2、-OC(=Z)R7および-SR7からなる群より選択されるが、式中Zは酸素または硫黄であり、また各R7は独立に水素、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC1〜C10直鎖または分岐鎖アルキル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルケニル、随意にアリールまたはヘテロアリールを置換基として有するC2〜C10直鎖または分岐鎖アルキニル、C3〜C10シクロアルキルおよびC5〜C10シクロアルケニルからなる群より選択される; または
R3とR4およびそれらの結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリール、または複素環を形成する;
R5とR6およびそれらの結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリール、または複素環を形成する; または
R1、R2、R1の結合相手となる炭素、およびR2の結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリール、または複素環を形成する。)
で示される化合物、またはその製薬上許容しうる塩、エステル、アミドまたはプロドラッグ。
【請求項61】
R1は水素と随意置換C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキルからなる群より選択される、請求項60に記載の化合物。
【請求項62】
R1は、随意にアリールまたはヘテロアリール環を置換基として有するC1〜C5直鎖アルキルである、請求項61に記載の化合物。
【請求項63】
アリール環はフェニルである、請求項62に記載の化合物。
【請求項64】
ヘテロアリール環は窒素を含む、請求項62に記載の化合物。
【請求項65】
ヘテロアリール環はインドールである、請求項64に記載の化合物。
【請求項66】
R1はメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルからなる群より選択される、請求項61に記載の化合物。
【請求項67】
R1はメチル、インドリルメチル、ベンジルおよびsec-ブチルからなる群より選択される、請求項60に記載の化合物。
【請求項68】
R1、R2 、R1の結合相手となる炭素、およびR2の結合相手となる窒素は縮合ヘテロアリール、または複素環を形成する、請求項60に記載の化合物。
【請求項69】
複素環はピロリジンである請求項68に記載の化合物。
【請求項70】
R2、R3およびR5は各々独立に、水素、C1〜C4直鎖または分岐鎖アルキル、C2〜C5直鎖または分岐鎖アルケニルおよびC2〜C5直鎖または分岐鎖アルキニルからなる群より選択される、請求項60に記載の化合物。
【請求項71】
アルキルはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチルおよびtert-ブチルからなる群より選択される、請求項70に記載の化合物。
【請求項72】
R2、R3およびR5は水素である、請求項60に記載の化合物。
【請求項73】
R4は随意置換アリールである、請求項60に記載の化合物。
【請求項74】
アリールはフェニルである、請求項73に記載の化合物。
【請求項75】
アリールは随意にハロ、アルコキシ、アルキル、アルキルチオおよびペルハロアルキルを置換基として有する、請求項73に記載の化合物。
【請求項76】
アリールは随意にクロロ、ブロモ、メチル、エチル、イソプロピル、メトキシ、メチルチオおよびトリフルオロメチルを置換基として有する、請求項73に記載の化合物。
【請求項77】
R4は4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、4-メチルフェニル、4-エチルフェニル、2,6-ジイソプロピルフェニル、3,4-ジクロロフェニル、4-メトキシフェニル、4-メチルメルカプトフェニルおよび4-トリフルオロメチルフェニルからなる群より選択される、請求項73に記載の化合物。
【請求項78】
R6は随意置換C1〜C10直鎖または分岐鎖アルキルと随意置換複素環からなる群より選択される、請求項60に記載の化合物。
【請求項79】
アルキルはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチルおよび1-メチルブチルからなる群より選択される、請求項78に記載の化合物。
【請求項80】
アルキルは複素環または置換アミンを置換基として有する、請求項79に記載の化合物。
【請求項81】
複素環はモルホリンである、請求項80に記載の化合物。
【請求項82】
複素環はピペリジンまたはモルホリンである、請求項80に記載の化合物。
【請求項83】
R6は1-メチル-4-ジエチルアミノブチル、2-N-モルホリノエチルおよびN-ベンジルピペリジン-4-イルからなる群より選択される、請求項60に記載の化合物。
【請求項84】
R5とR6およびそれらの結合相手となる窒素は随意置換縮合環または随意置換複素環を形成する、請求項60に記載の化合物。
【請求項85】
複素環はピペリジンまたはベンゾピペリジンである、請求項84に記載の化合物。
【請求項86】
R5とR6およびそれらの結合相手となる窒素は
【化6】

からなる群より選択される置換基を形成する、請求項60に記載の化合物。
【請求項87】
【化7】

【化8】

からなる群より選択される化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−516434(P2007−516434A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539672(P2006−539672)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2004/036952
【国際公開番号】WO2005/047899
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(506154373)アカディア ファーマシューティカルズ インコーポレイティド (2)
【Fターム(参考)】