説明

ロック装置および制御システム

【課題】不特定多数のユーザの一時的な利用に供するロック装置において、ユーザが施錠・開錠対象のロック装置を容易に特定することができるロック装置を提供する。
【解決手段】ロック装置は、割り当てられたユーザについての情報を登録し(S7)、試用期間が開始すると(S9でYES)、登録された情報に基づいて当該ユーザ向けにカスタマイズされた画面をタッチパネルに表示する(S11)。その画面には認証画面も含まれ、認証画面でのユーザ認証が成功であるとロックが解除され、不成功であると解除されない(S13)。当該ユーザの使用期間が経過すると(S15)、登録された情報をリセットする(S17)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はロック装置および制御システムに関し、特に、不特定多数のユーザの一時的な利用に供するロック装置およびその制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルの客室扉や駅などに設置されるロッカーなどに備えられる不特定多数のユーザの一時的な利用に供するロック装置では、鍵に部屋番号やロッカー番号などのロック装置を特定する情報が記載されていることがある。その場合、鍵を紛失するとそのロック装置を開錠できなくなるばかりか、その鍵を取得した第三者に無断で開錠されてしまう危険もある。
【0003】
このような危険を回避するため、ロック装置を特定する情報が記載されていない鍵が用いられることも考えられる。しかしながら、一時的な利用者であるために開錠するロック装置を忘れてしまう場合もあり、対象のロック装置を開錠できなくなる。また、対象でないロック装置に対して施錠動作を行なうことによって、セーフティ機能が起動してそのロック装置が開錠不能となってしまう場合もある。
【0004】
第三者による開錠を防止する技術としては、物理的な鍵を用いずに開錠可能なロック装置が考えられている。その例として、たとえば特開2002−229948号公報(以下、特許文献1)は認証のための画像を選択することによってユーザ認証を行なうシステムを開示している。また、特開2009−169478号公報(以下、特許文献2)は、ネットワークで使用/不使用や施錠・開錠が制御される電子ロッカーであって、開錠のための情報として利用者の指紋や顔型などの生体情報を用いるものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−229948号公報
【特許文献2】特開2009−169478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されているシステムをロック装置に応用するとしても、ユーザが開錠対象のロック装置を忘れてしまうと開錠することができなくなるという問題を解消することはできない。
【0007】
また、特許文献2に開示されている電子ロッカーは不特定多数のユーザの一時的な利用に供するロック装置を想定したものではなく、この技術を不特定多数のユーザの一時的な利用に供するロック装置に応用するとすると一時的な利用者となるユーザの指紋や顔型などの生体情報を登録するための設備を導入しなければならず、安価で簡単には導入できないという問題がある。
【0008】
さらに特許文献2に開示されている電子ロッカーもまた、ユーザが開錠対象のロック装置を忘れてしまうと開錠することができなくなるという問題を解消することはできない。
【0009】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、不特定多数のユーザの一時的な利用に供するロック装置およびその制御システムにおいて、施錠・開錠対象のロック装置を容易に特定することができるロック装置およびその制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、ロック装置は、施錠・開錠するためのロック機構と、ユーザ認証を行なうための認証手段と、認証手段での認証結果に基づいてロック機構での施錠・開錠を制御するためのロック制御手段と、情報を認識可能に出力するための出力手段と、ユーザ認証のための情報と、出力手段での出力に関する情報とを、ユーザに関連付けて記憶装置に登録するための登録手段と、少なくとも出力に関する情報に基づいて、出力手段でユーザに応じた情報の出力を出力手段において実行させるための出力制御手段とを備える。
【0011】
好ましくは、ロック装置は、他の装置と通信するための通信手段と、他の装置から、少なくともユーザ認証のための情報を受け付けるための入力手段とをさらに備え、登録手段は、入力されたユーザ認証のための情報に基づいて、記憶装置に登録されている出力を制御するための情報を更新する。
【0012】
好ましくは出力手段は表示手段であり、認証手段は、表示手段に表示される認証用画面を用いてユーザ認証を行なう。
【0013】
より好ましくは、出力制御手段は、当該ロック装置の稼動状況に応じて表示手段の表示画面を切り替える。
【0014】
より好ましくは、出力制御手段は、ユーザ認証のための情報と出力に関する情報とに基づいて、ユーザに対応した画面を表示手段に表示させる。
【0015】
好ましくは、出力制御手段は、ユーザ認証のための情報と出力に関する情報とに基づいて、ユーザに対応した情報の出力を出力手段において実行させる。
【0016】
好ましくは、認証手段は、出力手段が出力した複数の選択肢のうちから予め規定している正解の選択肢が選択されたことによりユーザ認証を成功とする。
【0017】
より好ましくは、ユーザ認証のための情報は少なくとも正解の選択肢を含み、その他、複数の選択肢のうちの正解の選択肢以外の選択肢、および複数の選択肢の出力方法を規定する情報、のうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
好ましくは、出力に関する情報は、出力手段で出力する情報の出力手段の属性による出力形態を規定する情報を含む。
【0019】
好ましくは、出力手段は表示手段であり、出力に関する情報は、表示手段で表示する画像を特定する情報を含む。
【0020】
好ましくは、出力手段は表示手段であり、出力に関する情報は、表示手段で表示する画面の表示色を特定する情報を含む。
【0021】
本発明の他の局面に従うと制御システムは、ロック機構、表示装置および入力装置を備えたロック装置と、前記ロック装置と接続された前記ロック装置を制御するための制御装置とを含む。制御装置は、ユーザ認証のための情報と、表示装置での表示に関する情報とを、ユーザおよびロック装置に関連付けて記憶装置に登録するための登録手段と、ロック装置の入力装置で受け付けた情報とユーザ認証のための情報とを用いてユーザ認証を行なうための認証手段と、認証手段での認証結果に基づいてロック機構での施錠・開錠を制御するためのロック制御手段と、少なくとも表示に関する情報に基づいて、表示装置でユーザに応じた画面を表示させるための表示制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0022】
この発明によると、不特定多数のユーザの一時的な利用に供するロック装置において、一時的な利用者であるユーザが自身の施錠・開錠対象とするロック装置を容易に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施の形態にかかるロック装置が設置されている状態を説明するための図である。
【図2】実施の形態にかかるロック装置の構成の具体例を示す図である。
【図3】ロック装置のタッチパネルに表示される認証画面の具体例を示す図である。
【図4】ロック装置にユーザの固有情報等を登録するための画面の具体例を示す図である。
【図5】ロック装置の使用の流れを説明するフローチャートである。
【図6】ロック装置への登録処理の流れを説明するフローチャートである。
【図7】ロック装置に認証画面を表示するための処理の流れを説明するフローチャートである。
【図8】ロック装置を施錠・開錠するための処理の流れを説明するフローチャートである。
【図9】待ち受け画面の表示の具体例および認証画面の背景の表示の具体例を示す図である。
【図10】ロック装置およびその制御システムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0025】
本実施の形態では、不特定多数のユーザの一時的な利用に供するロック装置の一例として、図1に表わされるようにホテルの客室扉に備えられるロック装置を想定する。しかしながら、ロック装置はホテルの客室扉に備えられるものに限定されず、他の例としてコインロッカーの扉やトランクルームの扉など、不特定多数のユーザの一時的な利用に供するものであれば他のいかなるものに備えられるものであってもよい。さらには、扉に備えられるものにも限定されず、傘立てやスキー板用のワイヤーロックなど、物理的な施錠・開錠の伴うものであれは他の部分に備えられるものであってもよい。
【0026】
さらに図1を参照して、本実施の形態にかかるロック装置1は、入力装置および出力装置としてのタッチパネル10が前面に設けられる。以降の説明では入力装置と出力装置とを兼ねた装置としてタッチパネル10が用いられているが、これら装置は別々にロック装置1に設けられていてもよい。
【0027】
図2を参照して、ロック装置1は、有線または無線の通信網や、インターネット等の通信回線を介してユーザ装置2と通信可能である。ロック装置1は、入力装置と出力装置とを兼ねた装置としてのタッチパネル10と、物理的な施錠・開錠を行なうためのロック機構20と、インターネット等の通信回線を介してユーザ装置2と通信するための通信部30と、メモリ40と、図示しないCPU(Central Processing Unit)等から構成される制御部50とを含む。
【0028】
メモリ40には、ロック装置1の使用者として登録するユーザの、ユーザ認証に用いるための情報(以下、この情報をユーザの固有情報とも言う)を記憶するための第1の記憶部41と、当該ユーザの表示画面に関する情報を記憶するための第2の記憶部42とが含まれる。これらは、メモリ40の異なる記憶領域に分けて存在するものであってもよいし、関連付けて記憶されている一連の情報のうちのそれぞれの部分を概念的に分けて示すものであってもよい。その他、メモリ40には、図示しないCPUで実行されるためのプログラムや、後述する、認証画面に表示するための複数の画像データが記憶される。
【0029】
制御部50は、ロック機構20を制御するためのロック制御部51と、入力装置としてのタッチパネル10からの入力を受け付けるための入力部52と、登録部53と、施錠の可否を判定するための判定部54と、出力装置としてのタッチパネル10の表示を制御するための表示制御部55とを含む。これらは、図示しないCPUがメモリ40に記憶されているプログラムを読み出して実行することによって実現される機能であってもよいし、少なくとも一部がハードウェア構成によって実現されてもよい。
【0030】
本実施の形態では、ロック装置1のタッチパネル10には、図3に表わされたような、2以上の所定数の選択画像11A〜11Nが提示された認証画面11が表示される。選択画像11A〜11Nは、予め登録されている1または複数の正解画像と、正解画像ではない画像(以下、囮画像とも言う)とからなる。本実施の形態にかかるロック装置1では、選択画像11A〜11Nの中から正解画像が選択された場合には認証成功としてロック装置1が開錠され、囮画像が選択された場合には認証不成功としてロック装置1が開錠されない、というロック方法が採用されているものとする。なお、後述するように、ロック方法はこの方法には限定されず、鍵やカードを用いた従来の方法であってもよい。
【0031】
登録部53は、通信部30で当該ロック装置1に割り当てられたユーザのユーザ装置2から受け付けた当該ユーザの固有情報を、当該ユーザと関連付けてメモリ40の第1の記憶部41に登録する。ユーザの固有情報にはユーザ認証に用いるための情報として、少なくとも正解画像を特定する情報が含まれる。その他、囮画像を特定する情報、選択肢とする画像の表示数、および正解画像の出現率が含まれてもよい。また、登録部53は、通信部30で当該ロック装置1に割り当てられたユーザのユーザ装置2から受け付けた表示画面に関する情報を、当該ユーザと関連付けてメモリ40の第2の記憶部42に登録する。表示画面に関する情報とはタッチパネル10に表示する画面をカスタマイズするための情報でもあり、たとえば、待ち受け画面の有無および待ち受け画面の設定(画像、テキスト、色、その他)、認証画面の背景の有無およびその設定、認証画面の枠の有無とその設定、モノクロ/カラーの設定、画面サイズの設定、選択肢とする画像の表示の設定(枠の有無、枠の設定、形状の設定、その他)、などが含まれる。また、表示画面に関する情報にはたとえば選択肢とする画像の表示の設定など、ユーザの固有情報に関連するものも含まれる。そのため、第2の記憶部42に登録された表示画面に関する情報は、第1の記憶部41にユーザの固有情報が登録または変更されるに応じて更新されてもよい。
【0032】
表示制御部55は、第1の記憶部41に登録されたユーザの固有情報と第2の記憶部42に登録された表示画面に関する情報とを用いて、図3に表わされた当該ユーザのための認証画面11の表示データを生成し、メモリ40の第2の記憶部42に登録する。また、同様にして認証画面以外の画面(たとえば待ち受け画面)の表示データを生成してもよく、その表示データもまたメモリ40の第2の記憶部42に登録する。さらに表示制御部55は、所定のタイミングでタッチパネル10に認証画面や待ち受け画面などを表示させるための制御信号をタッチパネル10に対して出力し、これら画面をタッチパネル10に表示させる。
【0033】
判定部54は、タッチパネル10から受け付けた選択画像11A〜11Nの中からの選択結果とメモリ40の第1の記憶部41に登録されているユーザの固有情報とを比較することでユーザ認証を行なって施錠の可否を判定し、その結果を示す信号をロック制御部51または表示制御部55に対して出力する。
【0034】
ロック制御部51は、判定部54での判定結果が認証成功である場合にその結果を示す信号を判定部54から受け取り、ロック機構20を開錠させるための制御信号をロック機構20に対して出力する。判定結果が認証不成功である場合にはその結果を示す信号が表示制御部55に対して出力され、表示制御部55から、その旨を表示させるための制御信号がタッチパネル10に送信される。
【0035】
ユーザ装置2は、ロック装置1を使用しようとするユーザが使用可能な装置であって、通信機能および入力機能を備えた装置であればよく、たとえば一般的なパーソナルコンピュータや携帯電話機などが該当する。また、他の例として、本実施の形態にようにロック装置1がホテルの客室扉に設置される場合、ユーザ装置2はホテルの客室内に備えられる装置であったり、ロック装置1と一体で構成されて室内側の扉面に備えられるものであったりしてもよい。
【0036】
ユーザ装置2からは、たとえば所定のウェブサイトにアクセスして図4のような登録用の画面を用いてロック装置1に対して固有情報等の登録を行なうことができる。登録用のウェブサイトはロック装置1ごとに用意されており、たとえば当該ホテルのウェブサイトからリンクされていてもよい。登録用のウェブサイトには予め固有情報等の入力(選択)のための項目が設定されている。たとえば、図4に示されるように、正解画面を設定するための項目や、待ち受け画面の有無を設定するための項目や、待ち受け画像を設定するための項目や、選択肢とする画像の表示形態を設定するための項目、などが含まれる。ロック装置1を使用しようとするユーザはこれらそれぞれの項目について必要な情報を入力した後、図示しない送信ボタンを押下することで、入力した情報をユーザ認証に用いられる情報および表示画面をカスタマイズするための情報としてロック装置1に送信することができる。
【0037】
なお、ユーザの固有情報には少なくとも正解画像を特定する情報が含まれていることから、その画像を含む認証画面は、当該ユーザ固有の表示画面ともなる。そのため、後述する待ち受け画面や認証画面の背景のみならず認証画面自体がユーザごとにカスタマイズされた画面であると言える。そのため、登録用の情報としてロック装置1に送信される情報には、少なくともロック装置1を使用しようとするユーザの固有情報が含まれていればよい。しかしながら、よりユーザに応じて表示画面をカスタマイズするためには、登録用の情報としてロック装置1に送信される情報に表示画面に関する情報が含まれていることが好ましい。これら情報は、ロック装置1の登録部53によって、当該ユーザと関連付けてメモリ40の第1の記憶部41、第2の記憶部42に登録される。
【0038】
図5を用いて、ロック装置1の使用の流れについて説明する。図5の一連の流れは、ロック装置1の通信部30がユーザ装置2からロック装置1の使用を希望する旨の情報を受信することによって開始される。その他、本実施の形態のようにロック装置1がホテルの客室扉に設置されるものであってロック装置1が図示しない予約システムと連動するものである場合には、ホテルの予約が登録されることによって開始されてもよい。または、予約システムの一部としてなされるものであってもよい。
【0039】
図5を参照して、始めに、ステップS1で当該ユーザに対して使用可能なロック装置として当該ロック装置1が割り当てられ、ステップS3で当該ロック装置1の使用期間が設定される。これは、オペレータがロック装置1に入力するものであってもよいし、ロック装置1が図示しない予約システムから予約結果を受信するものであってもよい。また、先に使用期間を受け付けて、当該期間で当該ロック装置1が使用可能である場合に、ロック装置1において自動的に当該ユーザに割り当てられてもよい。
【0040】
次に、ステップS5でロック装置1から当該ユーザのユーザ装置2に対して当該ロック装置1用のユーザ固有情報の登録方法を通知する。これは、当該ユーザのユーザ装置2に対して登録画面にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locators)等を送信することであってもよいし、登録したメールアドレスに登録方法を記載した予め記憶されている所定のフォーマットの電子メールを送信することであってもよい。そして、ステップS7でロック装置1は当該ユーザについての固有情報の入力を受け付けて、登録処理を行なう。
【0041】
ステップS7の登録処理については図6を参照して、通信部30はユーザ装置2からの情報の受信を待機し、受信すると(ステップS101でYES)、ステップS103で登録部53は当該ユーザの固有情報を当該ユーザに関連付けてメモリ40の第1の記憶部41に登録する。さらに、ユーザ装置2からの情報に表示画面に関する情報が含まれている場合には、ステップS105で登録部53はその情報を当該ユーザに関連付けて第2の記憶部42に登録する。
【0042】
後述するように、ステップS7の登録処理は、すでに行なわれた後に、再度、変更するために行なわれてもよい。その場合、ユーザ装置2から情報を受信し、当該ユーザに関連付けて登録されている情報がある場合には、新たに受信した情報で更新する。また、新たに受信したユーザの固有情報に基づいて、すでに第2の記憶部42に登録されている表示画面に関する情報を更新してもよい。
【0043】
その後、ステップS3で設定した使用期間が開始すると(ステップS9でYES)、ステップS11でロック装置1のタッチパネル10に使用するユーザに応じた画面を表示するための処理が行なわれる。ステップS11の画面表示のための処理については図7を参照して、表示制御部55はメモリ40の第2の記憶部42を走査して、当該ユーザに関連付けられている画面の表示データが記憶されていない場合には(ステップS201でNO)、ステップS203で表示制御部55は第1の記憶部41および第2の記憶部42に当該ユーザに関連付けられて記憶されている情報を用いて認証画面やその他画面の表示データを生成する。その他画面としては、主に待ち受け画面が想定されるが、その他に、たとえば当該ユーザに応じてホテルからのお知らせを表示するための画面や、その他の当該ユーザに応じた画面であってもよい。また、その他画面として想定される待ち受け画面は、当該ユーザの固有情報や表示画面に関する情報に加えて、表示する時刻や環境条件(温度、湿度等)や日付などに応じて動的に変化するものであってよいので、メモリ40に登録されている情報に加えてこれら条件を読み出して、必要なタイミングで生成されてもよい。なお、ステップS7の登録処理によって当該ユーザに関連付けられた表示画面に関する情報が登録されていない場合には、ここでは、デフォルトの画面形式に沿って固有情報を用いて認証画面の表示データを生成する。生成された表示データは第2の記憶部42に当該ユーザに関連付けられて記憶される。
【0044】
ステップS205で表示制御部55は、生成された表示データまたは第2の記憶部42に記憶されている表示データを制御信号と共にタッチパネル10に対して出力し当該ユーザに応じてカスタマイズされた画面を表示させる。
【0045】
ステップS11でユーザに応じた画面がロック装置1のタッチパネル10に表示された後、ステップS13でロック装置1を施錠・開錠するための処理が行なわれる。ステップS13のロック装置1を施錠・開錠するための処理については図8を参照して、タッチパネル10の初期化および入力部52のアクティブ化の後、入力部52が認証画面の中から画像が選択されたことを示す信号をタッチパネル10から受け付けると(ステップS301でYES)、ステップS303で判定部54は、その信号の示す選択された画像と、第1の記憶部41に当該ユーザに関連付けられて登録されているユーザの固有情報とを比較することで、正解画像が選択されたか否かを判定する。判定の結果、選択された画像が正解画像である場合には(ステップS305でYES)、認証成功としてステップS307で判定部54は開錠可能であることを示す制御信号をロック制御部51に対して出力する。この制御信号に従って、ステップS309でロック制御部51は開錠させるための制御信号をロック機構20に対して出力し、これによりロックが開錠される。
【0046】
判定の結果、選択された画像が正解画像ではなく囮画像である場合には(ステップS305でNO)、認証不成功としてステップS311で判定部54はその判定結果を示す信号を表示制御部55に対して出力する。ステップS313で表示制御部55はこの信号に従ってタッチパネル10に対してその旨を表示させるための制御信号を出力し、これによりタッチパネル10で認証不成功が報知される。
【0047】
画面表示とロック装置1を施錠・開錠するための処理とはステップS3で設定した使用期間中、繰り返し行なわれる。また、先述のように、使用期間中にステップS7の固有情報の登録処理が行なわれてもよく、これにより、いったん登録された固有情報を変更することが可能となる。
【0048】
ステップS3で設定した使用期間が経過すると(ステップS15でYES)、ステップS17で登録された当該ユーザの固有情報がリセットされ、一連の動作が終了する。
【0049】
ここで、表示画面のカスタマイズについて、具体例としての実施例1〜3を挙げて説明する。
【0050】
[実施例1]
実施例1として、ユーザの所有する画像を待ち受け画面として表示する例を説明する。
【0051】
この場合、図4の登録用画面の待ち受け画像の有無を設定するための項目で「あり」に設定し、待ち受け画像を設定するための項目でユーザ装置2や記録媒体からユーザ装置2で読み込んだ画像ファイルを指定することで、画像ファイルを展開した画像データがロック装置1に送信される。送信された画像データは表示画面に関する情報として当該ユーザに関連付けられて第2の記憶部42に登録される。
【0052】
ロック装置1の表示制御部55は、第2の記憶部42に登録された画像データを用いて待ち受け画面用の表示データを生成し、図9(A)に表わされたような待ち受け画面12をタッチパネル10に表示させる。この待ち受け画面12が表示されているタッチパネル10をタッチすることによって、表示が図3の認証画面11に切り替わる。
【0053】
認証画面への切り替わりはタッチパネル10をタッチした場合だけでなく、ロック装置1の稼動状況によってなされてもよい。たとえば、本実施の形態のようにロック装置1がホテルの客室扉に設置されるものである場合、当該客室が予約されているか否か、客室内に人がいるか否か、などに応じて認証画面と待ち受け画面とが切り替えられてもよい。当該客室が予約されているか否かについては図示しない予約システムからその情報を取得して、表示制御部55が画面の切り替えを制御することができる。客室内に人がいるか否かについては室内にたとえばセンサが備えられてその情報を取得したり、室内灯の点灯/消灯の情報を取得したりすることで、表示制御部55が画面の切り替えを制御することができる。
【0054】
なお、待ち受け画面は画像に限定されず、テキストや色の画面であってもよく、それらも、図4の登録用の画面を用いて同様に設定可能であるものとする。また、待ち受け画面とする画像も、ファイルを展開した画像データでなく図形などのデータであってもよい。
【0055】
また、タッチパネル10をタッチした場合に認証画面11に切り替わるのではなく、図9(B)に示されたように待ち受け画面12の上に重ねて認証画面11が表示されてもよい。または、設定された画像等が待ち受け画面ではなく図9(B)に示されたように認証画面11の背景画面として用いられてもよい。
【0056】
[実施例2]
実施例2として、認証画面において選択肢として表示する画像の数を設定する例を説明する。
【0057】
この場合、図4の登録用画面の選択肢例を設定するための項目でユーザが縦横の希望する画像数を設定することで、ロック装置1に選択肢として表示する画像の数が送信される。送信された選択肢として表示する画像の数を特定する情報は表示画面に関する情報として当該ユーザに関連付けられて第2の記憶部42に登録される。
【0058】
ロック装置1の表示制御部55は、第2の記憶部42に登録された上記情報を用いて、指定された縦横の列数の選択肢とする画像を認証画面に表示させる。図3では、図4に表わされたように横3列、縦4列が設定された場合の表示の例が示されている。
【0059】
同様にして、選択肢として表示する画像の表示サイズが指定されてもよい。また、選択肢として表示する画像のうちの正解画像、および/または囮画像を、ユーザ装置2や記録媒体からユーザ装置2で読み込んだ画像ファイルとしてもよい。これは、実施例1で説明されたような方法で図4の登録用画面で設定されるようにしてもよい。
【0060】
[実施例3]
実施例3として、表示画面の表示色を設定する例を説明する。
【0061】
この場合、登録用画面には図4に示されたように表示画面の表示色を設定するための項目が設けられる。該項目において、設定可能な事項として、たとえば「モノクロ」「フルカラー」「色弱者」「お年寄り」などの選択肢を設け、これらのうちのいずれか1つの選択を受け付けることで、選択された事項を特定する情報がロック装置1に送信される。送信された表示色を特定する情報は表示画面に関する情報として当該ユーザに関連付けられて第2の記憶部42に登録される。
【0062】
ロック装置1の表示制御部55は予めこれら選択肢と表示色の制御との対応を記憶しておき、第2の記憶部42に登録された表示色の設定に基づいて表示画面の表示色を制御する。具体的に表示制御部55は、「色弱者」が選択されている場合には当該選択肢に対応した制御として色弱の人が区別できる色の設定、配置を行ない、「お年寄り」が選択されている場合にはお年寄りが区別しやすい色の設定、配置を行なう。これは、予め選択肢ごとに認証画面のフォーマットが記憶されていて、選択肢に応じたフォーマットを用いて認証画面を表示させることで実現してもよいし、規定のフォーマットを選択肢に応じて変形して表示させることで実現してもよい。また、設定された待ち受け画面や背景画像も、同様に変更してもよい。
【0063】
たとえば以上の実施例1〜3のような処理を行なうことで、ロック装置1のタッチパネル10の表示がユーザごとにカスタマイズされる。それにより、ロック装置1が本実施の形態での例のようにホテルの客室扉に設けられたり、駅などに設置されるロッカーに設けられたりした不特定多数のユーザの一時的な利用に供するものであり、さらに、ロック装置1が複数存在してそれらの外観がほぼ同じようなものである場合であっても、それぞれのタッチパネルの表示が使用しているユーザごとにカスタマイズされたものとなるため、ユーザは、他人に把握されることなく、どのロック装置が自身が施錠・開錠の対象とするものであるのかを一目で把握することができる。
【0064】
また、本実施例ではロック装置1で囮画像の中から正解画像を選択することでロックが開錠されるとしているが、そのような開錠方式を採用したものでなく、たとえば鍵やカードなどを用いて施錠・開錠する通常のロック装置であっても、出力装置を備えているものの場合、上述の画面のカスタマイズを行なうことができる。このようにすることで、鍵やカードを用いる通常のロック装置であっても、同様に、どのロック装置が自身が施錠・開錠の対象とするものであるのかを一目で把握することができる。
【0065】
さらに、上述のような簡易な認証方法を採用したロック装置や鍵やカードを用いる通常のロック装置において表示装置をユーザごとにカスタマイズすることで自身が施錠・開錠の対象とするものであることを容易とするものであるため、たとえば指紋認証や顔型認証などの生体情報を用いた認証方法を採用する場合に比べて特別な機構を必要とせずに、安価で簡単にロック装置に導入することができる。
【0066】
なお、以上の説明は、ロック装置1の出力装置が表示を行なうためのタッチパネルであるものとしている。しかしながら、出力は画面出力に限定されず、音声や光やにおいなどであってもよい。すなわち、タッチパネルによる画面表示に限定されず、マイクを備えて音声を出力したり、ランプを備えて光を出力したり、においの発生装置を備えてにおいを発生したりしてもよい。
【0067】
音声出力を行なう場合、ロック装置1ではユーザごとの出力する音声(音色、音楽等)の設定を受け付けて、たとえばユーザが近づいたタイミングや図示しないボタンが押下されたタイミングなどで、設定された音声を出力することが考えられる。また、光を出力する場合、ロック装置1には色やサイズの異なる複数のランプが設けられて、ユーザごとに発光させる色やサイズの選択を受け付けて、所定のタイミングで設定に応じたランプを点灯させることが考えられる。または、ユーザごとの発光パターンの設定を受け付けて、所定のタイミングで設定されたパターンで発光させることが考えられる。においについても同様である。このようにすることでも、それぞれのロック装置からの出力が使用しているユーザごとにカスタマイズされたものとなるため、ユーザは、他人に把握されることなく、どのロック装置が自身が施錠・開錠の対象とするものであるのかを一目で把握することができる。
【0068】
なお、以上の説明ではユーザ個人で1つのロック装置を使用する場合が想定されているが、複数のユーザでロック装置を共有する場合も想定される。この場合、該複数のユーザのそれぞれについて固有情報が1つのロック装置に登録されてもよい。または、個人用と共有用と、それぞれの固有情報が1つのロック装置に登録されてもよい。このようにすることで、一人でも複数でも1つのロック装置を用いることができる。
【0069】
[変形例]
以上の説明は、ロック装置1がユーザ装置2に接続され、ユーザ装置2によって直接情報が登録されるものとしている。しかしながら、図10のように、ロック装置1が有線または無線の通信網によってサーバ3と通信可能であり、サーバ3によってオンライン制御されてもよい。そして、ユーザ装置2はサーバ3と通信可能としてもよい。詳しくは図10に示されるように、制御システムに各客室扉に設置された複数のロック装置1A,1B…(これらを代表させてロック装置1と称する)が含まれ、複数のロック装置1A,1B…のそれぞれが有線または無線の通信網によってサーバ3と接続されていてもよい。
【0070】
この場合、各ロック装置1にはタッチパネル10とロック機構20とのみが含まれ、その他の構成はサーバ3にあるものとしてよい。サーバ3は一般的なパーソナルコンピュータ等によって構成され、インターネット等の通信回線を介してユーザ装置2と通信するための通信部30と、メモリ40と、図示しないCPU等から構成される制御部50とを含む。
【0071】
図10のように構成することによって、複数のロック装置1を一元的に管理することが可能となる。この場合、サーバ3はたとえば図示しない予約システムの一部であってもよいし、予約システムと連動したものであってもよい。
【0072】
複数のロック装置1が一元的に管理されることで、一つの団体に属している複数のユーザがそれぞれロック装置を利用する場合、各ロック装置に割り当てたユーザの固有情報等を登録すると共に、複数のユーザのそれぞれに割り当てられた全ロック装置に、当該団体の固有情報等を登録することができる。このようにすることで、各ロック装置は対応するユーザによって認証画面等をカスタマイズして表示すると共に、当該団体に特有の表示(たとえばマーク等)の表示も併せて行なうことができる。これにより、ロック装置のユーザの利便性を向上させることができる。
【0073】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
1 ロック装置、2 ユーザ装置、3 サーバ、10 タッチパネル、11 認証画面、11A〜11N 選択画像、12 待ち受け画面、20 ロック機構、30 通信部、40 メモリ、41 第1の記憶部、42 第2の記憶部、50 制御部、51 ロック制御部、52 入力部、53 登録部、54 判定部、55 表示制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
施錠・開錠するためのロック機構と、
ユーザ認証を行なうための認証手段と、
前記認証手段での認証結果に基づいて前記ロック機構での施錠・開錠を制御するためのロック制御手段と、
情報を認識可能に出力するための出力手段と、
前記ユーザ認証のための情報と、前記出力手段での出力に関する情報とを、ユーザに関連付けて記憶装置に登録するための登録手段と、
少なくとも前記出力に関する情報に基づいて、前記出力手段で前記ユーザに応じた情報の出力を前記出力手段において実行させるための出力制御手段とを備える、ロック装置。
【請求項2】
他の装置と通信するための通信手段と、
前記他の装置から、少なくとも前記ユーザ認証のための情報を受け付けるための入力手段とをさらに備え、
前記登録手段は、前記入力された前記ユーザ認証のための情報に基づいて、前記記憶装置に登録されている前記出力を制御するための情報を更新する、請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記出力手段は表示手段であり、
前記認証手段は、前記表示手段に表示される認証用画面を用いてユーザ認証を行なう、請求項1または2に記載のロック装置。
【請求項4】
前記出力制御手段は、当該ロック装置の稼動状況に応じて前記表示手段の表示画面を切り替える、請求項3に記載のロック装置。
【請求項5】
前記出力制御手段は、前記ユーザ認証のための情報と前記出力に関する情報とに基づいて、前記ユーザに対応した画面を前記表示手段に表示させる、請求項3に記載のロック装置。
【請求項6】
前記出力制御手段は、前記ユーザ認証のための情報と前記出力に関する情報とに基づいて、前記ユーザに対応した情報の出力を前記出力手段において実行させる、請求項1〜5のいずれかに記載のロック装置。
【請求項7】
前記認証手段は、前記出力手段が出力した複数の選択肢のうちから予め規定している正解の選択肢が選択されたことにより前記ユーザ認証を成功とする、請求項1〜6のいずれかに記載のロック装置。
【請求項8】
前記ユーザ認証のための情報は少なくとも前記正解の選択肢を含み、その他、前記複数の選択肢のうちの前記正解の選択肢以外の選択肢、および前記複数の選択肢の出力方法を規定する情報、のうちの少なくとも1つを含む、請求項7に記載のロック装置。
【請求項9】
前記出力に関する情報は、前記出力手段で出力する情報の前記出力手段の属性による出力形態を規定する情報を含む、請求項1〜8のいずれかに記載のロック装置。
【請求項10】
前記出力手段は表示手段であり、
前記出力に関する情報は、前記表示手段で表示する画像を特定する情報を含む、請求項1〜9のいずれかに記載のロック装置。
【請求項11】
前記出力手段は表示手段であり、
前記出力に関する情報は、前記表示手段で表示する画面の表示色を特定する情報を含む、請求項1〜10のいずれかに記載のロック装置。
【請求項12】
ロック機構、表示装置および入力装置を備えたロック装置と、前記ロック装置と接続された前記ロック装置を制御するための制御装置とを含む制御システムであって、
前記制御装置は、
ユーザ認証のための情報と、前記表示装置での表示に関する情報とを、ユーザおよび前記ロック装置に関連付けて記憶装置に登録するための登録手段と、
前記ロック装置の入力装置で受け付けた情報と前記ユーザ認証のための情報とを用いてユーザ認証を行なうための認証手段と、
前記認証手段での認証結果に基づいて前記ロック機構での施錠・開錠を制御するためのロック制御手段と、
少なくとも前記表示に関する情報に基づいて、前記表示装置で前記ユーザに応じた画面を表示させるための表示制御手段とを備える、制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−220000(P2011−220000A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90584(P2010−90584)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】