説明

一方向性アンチヒューズ素子及びこれを用いた発光ダイオードユニット

【課題】1列に直列接続された各発光ダイオード(LED)素子の各々にそれぞれ1つのアンチヒューズ素子が並列接続されているLEDユニットにおいて、電源を誤って逆方向に接続した場合にも、LEDユニットを保護する一方向性アンチヒューズ素子を提供する。
【解決手段】1はカソード電極端子Kに接続されたカソード電極層、2はp型不純物層21及びn型不純物層22よりなる半導体層、3は絶縁層、4はボンディングワイヤ5によってアノード電極端子Aに接続されたアノード電極層、6は封止樹脂層である。カソード電極端子Kとアノード電極端子Aとの間に順方向電圧が印加された場合のみ、一方向性アンチヒューズ素子はアンチヒューズとして作用する。カソード電極端子Kとアノード電極端子Aとの間に逆方向電圧が印加された場合には、一方向性アンチヒューズ素子はアンチヒューズとして作用しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一方向性アンチヒューズ素子及びこれを用いた発光ダイオード(LED)ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
透過型あるいは半透過型の液晶表示(LCD)装置は、LCDパネルと、LCDパネルの背面に設けられた発光ダイオード(LED)ユニットとから構成されている。尚、LCDパネルの背面に設けられたLEDユニットは直下型と言う。
【0003】
図15は従来のLEDユニットを示す回路図である(参照:特許文献1、2、3)。
【0004】
図15に示すように、アノード電極端子Aとカソード電極端子Kとの間には、m×n個たとえば1000個程度のLED素子D11、D12、…、Dmnがm行×n列に2次元的に配列され、m個たとえば20〜30個程度のLED素子D11、D21、…、Dm1が直列に接続されている。
【0005】
1列に直列接続されたLED素子たとえばD11、D21、…、Dm1の1つたとえばD11がオープン不良つまり不灯となってオープンモードになると、他の正常なLED素子D21、…、Dm1も含む1列全体が不灯となり、この結果、LEDユニット全体に輝度むらが発生することになる。このような輝度むらを防止するために、各LED素子D11、D21、…、Dmnに1つの双方向性アンチヒューズ素子F11、F12、…、Fmnが並列接続されている。尚、通常のヒューズ素子は、溶断電圧以上の電圧が印加されると、溶断して電流が遮断するのに対し、アンチヒューズ素子は、絶縁耐圧以上の電圧が印加されると、短絡して電流が流れるものである。
【0006】
双方向性アンチヒューズ素子は、たとえば、絶縁層を挟んだPtよりなる2つの金属電極層よりなり、これら2つの金属電極層に上述の絶縁耐圧以上の電圧が印加されると、絶縁層が絶縁破壊し、その絶縁破壊に金属電極層のPtがエレクトロマイグレーションによりしみ出し、この結果、2つの金属電極層は電気的に短絡し、その後も、自己修復を行わずに、電気的短絡状態が維持される。
【0007】
たとえば、図16に示すように、1列のLED素子D11、D21、…、Dm1において、LED素子D11がオープン不良つまり不灯になった場合を想定する。この場合、LED素子D21、…、Dm1は正常なので、これらの順方向電圧は小さく、従って、電源による順方向電圧Vfの大部分は双方向性アンチヒューズ素子F11に印加され、この結果、双方向性アンチヒューズ素子F11は絶縁破壊して短絡する。従って、順方向電圧Vfはアノード電極端子Aから双方向性アンチヒューズ素子F11、正常なLED素子D21、…、Dm1を介してカソード電極端子Kへ流れる。このように、オープン不良のLED素子D11のみが不灯となるも、他の正常なLED素子D21、…、Dm1は点灯するので、LEDユニット100全体の輝度むらを抑制でき、製造歩留りを向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−324355号公報
【特許文献2】特開2007−200577号公報
【特許文献3】特開2009−267293号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図17は図15のLEDユニットの課題を説明するための回路図である。図17の(A)に示すごとく、電源を誤って逆方向に接続して逆方向電圧Vrがすべてが正常な1列のLED素子D11、D21、…、Dm1に印加された場合を想定する。この場合、各LED素子D11、D21、…、Dm1の逆方向電圧は大きいので、各LED素子D11、D21、…、Dm1にはほとんど逆方向電流Irは流れない。この結果、双方向性アンチヒューズ素子F11、F21、…、Fm1のいくつかたとえばF11、F31、Fm1の電圧が絶縁耐圧を超えて双方向性アンチヒューズ素子F11、F31、Fm1は絶縁破壊することがある。絶縁破壊した双方向性アンチヒューズ素子F11、F31、Fm1は自己修復しない。従って、電源を順方向に接続し直した後に、図15のLEDユニット100を電源による順方向電圧Vfで動作させると、順方向電流Ifはアノード電極端子AからF11、D21、F31、…、Dm-1,1、Fm1を介してカソード電極端子Kに流れる。従って、図17の(B)に示すごとく、双方向性アンチヒューズ素子F11、F31、Fm1に並列接続されたLED素子D11、D31、Dm1は点灯せず、LEDユニット100全体の輝度むらが発生し、製造歩留りの低下を招くという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために、本発明に係る一方向性アンチヒューズ素子は、アノード金属電極層と、カソード金属電極層と、カソード金属電極層上に設けられた半導体層と、アノード金属電極層と半導体層との間に設けられた絶縁層とを具備し、アノード金属電極層とカソード金属電極層との間に順方向電圧が印加されたときのみアンチヒューズとして作用するようにしたものである。これにより、電源を誤って逆方向に接続されても絶縁層が絶縁破壊しない。
【0011】
また、本発明に係るLEDユニットは、アノード電極端子と、カソード電極端子と、アノード電極端子とカソード電極端子との間に直列接続された複数のLED素子と、各LED素子に並列接続された複数の一方向性アンチヒューズ素子とを具備し、アノード電極端子とカソード電極端子との間に順方向電圧が印加されたときのみ一方向性アンチヒューズ素子はアンチヒューズとして作用するようにしたものである。
【0012】
上述のLEDユニットにおいては、各LED素子及び各一方向性アンチヒューズ素子はLEDパッケージに形成される。あるいは、各LED素子はLEDパッケージに形成され、各LEDパッケージ及び各一方向性アンチヒューズ素子は1つの実装基板上に形成される。あるいは、各LED素子及び各一方向性アンチヒューズ素子はLEDパッケージに形成され、その際、各一方向性アンチヒューズ素子はLEDパッケージの埋め込み層内に形成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電源を誤って逆方向に接続してもアンチヒューズ素子は絶縁破壊しないので、逆方向電圧が印加されることで生ずるLEDユニットの輝度むらを抑止でき、従って、製造歩留りを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る一方向性アンチヒューズ素子の第1の実施の形態を示す断面図である。
【図2】図1の一方向性アンチヒューズ素子の順方向電圧印加動作を説明するための断面図である。
【図3】図1の一方向性アンチヒューズ素子の逆方向電圧印加動作を説明するための断面図である。
【図4】本発明に係る一方向性アンチヒューズ素子の第2の実施の形態を示す断面図である。
【図5】図4の一方向性アンチヒューズ素子の逆方向電圧印加動作を説明するための断面図である。
【図6】図4の一方向性アンチヒューズ素子の変更例を示す断面図である。
【図7】本発明に係るLEDユニットを示す回路図である。
【図8】図7のLEDユニットの動作を説明するための回路図である。
【図9】図7のLEDユニットの動作を説明するための回路図である。
【図10】図7のLEDユニットの第1の例を示し、(A)はブロック図、(B)は(A)のLEDパッケージの1つの平面図、(C)は(B)のC-C線断面図である。
【図11】図7のLEDユニットの第2の例を示し、(A)はブロック図、(B)は(A)のLEDパッケージの1つの平面図、(C)は(B)のC-C線断面図である。
【図12】図7のLEDユニットの第3の例を示し、(A)はブロック図、(B)は(A)のLEDパッケージの1つの平面図、(C)は(B)のC-C線断面図である。
【図13】図7のLEDユニットの第4の例を示し、(A)はブロック図、(B)は(A)のLEDパッケージの1つの平面図、(C)は(B)のC-C線断面図である。
【図14】図7のLEDユニットの第5の例を示し、(A)はブロック図、(B)は(A)のLEDパッケージの1つの平面図、(C)は(B)のC-C線断面図である。
【図15】従来のLEDユニットを示す回路図である。
【図16】図15のLEDユニットの動作を説明するための回路図である。
【図17】図15のLEDユニットの課題を説明するための回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明に係る一方向性アンチヒューズ素子の第1の実施の形態を示す断面図である。
【0016】
図1において、1はカソード電極端子Kに接続されたカソード電極層、2はn型不純物層21及びp型不純物層22よりなる半導体層、3は絶縁層、4はボンディングワイヤ5によってアノード電極端子Aに接続されたアノード電極層、6は封止樹脂層である。尚、半導体層2のn型不純物層21及びp型不純物層22との間には小さい空乏層(図示せず)が存在する。
【0017】
図1において、アノード電極端子Aとカソード電極端子Kとの間に順方向電圧Vfが印加された場合には、図1の一方向性アンチヒューズ素子はアンチヒューズとして作用する。他方、アノード電極端子Aとカソード電極端子Kとの間に逆方向電圧Vrが印加された場合には、図1の一方向性アンチヒューズ素子はアンチヒューズとして作用しない。
【0018】
カソード電極層1は抵抗率が10-3Ωcm以下の金属材料ならいずれでもよい。
【0019】
半導体層2はバンドギャップの大きいSiに限らず、SiC、AlN、ZnO、GaN等でもよい。
【0020】
絶縁層3の抵抗率は大きい方が絶縁耐圧が大きくなってアンチヒューズの最大許容電圧を大きくできるが、半導体層2の抵抗率に近いと微小リーク電流が流れ易くなる。従って、絶縁層3の抵抗率は半導体層2の抵抗率より高く、たとえば、107Ωcm以上、特に、108Ωcm以上が好ましい。このような絶縁層3として、Al2O3、SiC、MgO、SiO2、TiO2、Y2O3、SiN4、AlN、ZrO2、NiO等がある。
【0021】
アノード電極層4は抵抗率が10-3Ωcm以下の金属よりなる。但し、絶縁層3が酸化物のときには、アノード電極層4が酸化性金属であると、絶縁破壊し、絶縁層内にエレクトロマイグレーションしたアノード電極層4の一部は周りの酸化物により酸化されて自己修復する。この自己修復を抑止するために、アノード電極層4は好ましくは耐酸化性金属たとえばPt、Auよりなる。
【0022】
アノード電極端子A及びカソード電極端子KはAu/Ni/Cu/Auのめっき層によって構成できる。
【0023】
図1の一方向性アンチヒューズ素子の順方向電圧印加による動作を図2を参照して説明する。
【0024】
すなわち、アノード電極端子Aとカソード電極端子Kとの間の順方向電圧Vfが絶縁耐圧以上になると、絶縁層3が絶縁破壊し、その絶縁破壊部分にアノード電極層4がエレクトロマイグレーションによりしみ出して金属部4aが形成される。この結果、カソード電極層1とアノード電極層4とは半導体層2及び金属部4aによって電気的に短絡することになる。
【0025】
金属部4aは耐酸化性のPtもしくはAuであれば、以後も、自己修復は行われずに、カソード電極層1とアノード電極層4との電気的短絡状態は半導体層2及び金属部4aによって維持される。
【0026】
図1の一方向性アンチヒューズ素子の逆方向電圧印加による動作を図3を参照して説明する。
【0027】
すなわち、図3に示すごとく、アノード電極端子Aとカソード電極端子Kとの間の逆方向電圧Vrが半導体層2のp型不純物層21とn型不純物層22との間の空乏層23が大きくなり、半導体層2の抵抗率は大きくなる。この結果、アノード電極端子Aとカソード電極端子Kとの間には電気は流れない。
【0028】
図4は本発明に係る一方向性アンチヒューズ素子の第2の実施の形態を示す断面図である。
【0029】
図4においては、図1の半導体層2の代りに、n型不純物層よりなる半導体層2’を設けてある。
【0030】
図4の一方向性アンチヒューズ素子の順方向電圧印加による動作は図1の一方向性アンチヒューズ素子の順方向電圧印加による動作と同一である。
【0031】
図4の一方向性アンチヒューズ素子の逆方向電圧印加による動作を図5を参照して説明する。
【0032】
すなわち、図5に示すごとく、アノード電極端子Aとカソード電極端子Kとの間の逆方向電圧Vrがカソード電極層1と半導体層2’のn型不純物層との間に空乏層2’aが大きく発生して、空乏層2’aを含んだ半導体層2’の抵抗率は大きくなる。この結果、アノード電極端子Aとカソード電極端子Kとの間には電気は流れない。
【0033】
尚、図4における半導体層2’のキャリア濃度つまりn型不純物層濃度を小さくすると、絶縁層3の絶縁耐圧を小さくできる。また、図6に示すごとく、半導体層2’の絶縁層3側にn型不純物層2bを設けることにより絶縁層3の絶縁耐圧を細かく制御できる。
【0034】
図7は本発明に係るLEDユニットを示す回路図である。図7のLEDユニット10においては、図15のLEDユニット100の双方向性アンチヒューズ素子F11、F21、…、Fmnの代りに、図1、図4もしくは図6に示す一方向性アンチヒューズ素子F11’、F21’、…、Fmn’を設けてある。
【0035】
順方向電圧Vfがアノード電極端子Aとカソード電極端子Kとの間に印加された場合には、図7の一方向性アンチヒューズ素子F11’、F12’、…、Fmn’は図15の双方向性アンチヒューズ素子F11、F21、…、Fmnと同一の動作を行うので、図7のLEDユニットは、図8に示す動作を行う。
【0036】
すなわち、図8に示すように、1列のLED素子D11、D21、…、Dm1において、LED素子D11がオープン不良つまり不灯になった場合を想定する。この場合、LED素子D21、…、Dm1は正常なので、これらの順方向電圧は小さく、従って、電源による順方向電圧Vfの大部分は一方向性アンチヒューズ素子F11’に印加され、この結果、一方向性アンチヒューズ素子F’11は絶縁破壊して短絡する。従って、順方向電圧Vfはアノード電極端子Aから一方向性アンチヒューズ素子F’11、正常なLED素子D21、…、Dm1を介してカソード電極端子Kへ流れる。このように、オープン不良のLED素子D11のみが不灯となるも、他の正常なLED素子D21、…、Dm1は点灯するので、LEDユニット10全体の輝度むらを抑制でき、製造歩留りを向上できる。
【0037】
他方、電源を誤って逆方向に接続して逆方向電圧Vr(=-Vf)がアノード電極端子Aとカソード電極端子Kとの間に印加された場合にも、図7の一方向性アンチヒューズ素子F11’、F12’、…、Fmn’には電流は流れない。つまり、図9の(A)に示すごとく、逆方向電圧Vrがすべてが正常な1列のLED素子D11、D21、…、Dm1に印加された場合を想定する。この場合、各LED素子D11、D21、…、Dm1の逆方向電圧は大きいので、各LED素子D11、D21、…、Dm1にはほとんど逆方向電流Irは流れない。しかも、一方向性アンチヒューズ素子F11’、F21’、…、Fm1’にもほとんど逆方向電流Irは流れない。従って、逆方向の静電気電圧Vrがなくなった後に、図7のLEDユニット10を電源による順方向電圧Vfで動作させると、図9の(B)に示すごとく、順方向電圧Ifはアノード電極端子AからD11、D21、D31、…、Dm-1,1、Dm1を介してカソード電極端子Kに流れる。従って、逆方向電圧Vrが印加されることで生ずるLEDユニット10の輝度むらが発生せず、製造歩留りの向上に寄与する。
【0038】
図10は図7のLEDユニット10の第1の例を示し、(A)は全体を示すブロック図、(B)は(A)のLEDパッケージ10−1の1つの平面図、(C)は(B)のC-C線断面図である。
【0039】
図10の(A)に示すごとく、LEDユニット10はn個のLEDパッケージ10−1、10−2、…、10−nよりなり、各LEDパッケージ10−1、10−2、…、10−nは図4の1列分に相当する。また、各LEDパッケージ10−1、10−2、…、10−nはアノード電極端子Aに接続されたアノード電極端子A1、A2、…、An及びカソード電極端子Kに接続されたカソード電極端子K1、K2、…、Knを有する。
【0040】
図10の(B)、(C)に示すごとく、LEDパッケージ10−1は基板11及び基板11上に形成された導電パターン12を有する。基板11は、Si、SiC、ZnO等の半導体、AlN、Al2O3等のセラミック、ポリフタルアミド、ポリアミド、シリコーン系、エポキシ系の樹脂、Al、Cu、Mg等の金属のいずれかもしくは組合せよりなる。LED素子D11、D21、D31、…、Dm-1,1、Dm1と一方向性アンチヒューズ素子F11’、F21’、F31’、…、Fm-1,1’、Fm1’の対が樹脂系のダイボン剤13で並列に実装され、この場合、LED素子D11、D21、D31、…、Dm-1,1、Dm1は導電パターン12にボンディングワイヤ14によって直列になるように配線され、また、一方向性アンチヒューズ素子F11’、F21’、F31’、…、Fm-1,1’、Fm1’は半田15で導電パターン12に接合される。
【0041】
図11は図7のLEDユニット10の第2の例を示し、(A)は全体を示すブロック図、(B)は(A)のサブLEDユニット110−1の1つの平面図、(C)は(B)のC-C線断面図である。
【0042】
図11の(A)に示すごとく、LEDユニット10はn個のサブLEDユニット110−1、110−2、…、110−nよりなり、各サブLEDユニット110−1、110−2、…、110−nは図7の1列分に相当する。また、各サブLEDユニット110−1、110−2、…、110−nはアノード電極端子Aに接続されたアノード電極端子A1、A2、…、An及びカソード電極端子Kに接続されたカソード電極端子K1、K2、…、Knを有する。
【0043】
図11の(B)、(C)に示すごとく、サブLEDユニット110−1は基板111及び基板111上に形成された導電パターン112を有する。基板111は、Si、SiC、ZnO等の半導体、AlN、Al2O3等のセラミック、ポリフタルアミド、ポリアミド、シリコーン系、エポキシ系の樹脂、Al、Cu、Mg等の金属のいずれかもしくは組合せよりなる。各LED素子D11、D21、D31、…、Dm-1,1、Dm1を内蔵するLEDパッケージD11’、D21’、D31’、…、Dm-1,1’、Dm1’と一方向性アンチヒューズ素子F11’、F21’、F31’、…、Fm-1,1’、Fm1’の対が樹脂系のダイボン剤113で並列に実装され、この場合、LEDパッケージD11’、D21’、D31’、…、Dm-1,1’、Dm1’は導電パターン112に半田114によって直列になるように配線され、また、一方向性アンチヒューズ素子F11’、F21’、F31’、…、Fm-1,1’、Fm1’は半田115で導電パターン112に接合される。
【0044】
図12は図7のLEDユニット10の第3の例を示し、(A)は全体を示すブロック図、(B)は(A)のLEDパッケージ120−1の1つの平面図、(C)は(B)のC-C線断面図である。
【0045】
図12の(A)に示すごとく、LEDユニット10は4個のLEDパッケージ120−1、120−2、120−3、120−4よりなり、各LEDパッケージ120−1、120−2、120−3、120−4は図7の(m×n)/4個分に相当する。また、各LEDパッケージ120−1、120−2、120−3、120−4はアノード電極端子A1、A2、A3、A4及びカソード電極端子K1、K2、K3、K4を有し、アノード電極端子Aとカソード電極端子Kとの間に直列接続された2つのLEDパッケージ120−1、120−2及び直列接続された2つのLEDパッケージ120−3、120−4が並列に接続されている。
【0046】
図12の(B)、(C)に示すごとく、LEDパッケージ120−1は下地基板121、埋め込み層122及びリフレクタ123を有する。下地基板121は、Si、SiC、ZnO等の半導体、AlN、Al2O3等のセラミック、ポリフタルアミド、ポリアミド、シリコーン系、エポキシ系の樹脂、Al、Cu、Mg等の金属のいずれかもしくは組合せよりなる。下地基板121と埋め込み層122との間に酸化シリコン層121aが介在する。埋め込み層122は樹脂、ゾルゲルで形成されたセラミック等よりなる。埋め込み層122には、図1に示す一方向性アンチヒューズ素子F11’、F12’、…が形成され、その上に、LED素子D11、D12、…が形成される。
【0047】
LEDパッケージ120−1の製造方法を説明する。所望のキャリア濃度を有するn型シリコン基板の裏面を熱酸化して酸化シリコン層121aを形成し、絶縁層3及びアノード電極層4が形成される領域下にp型不純物をイオン注入してp型不純物層22を形成し、n型不純物層21及びp型不純物層22よりなる半導体層2を形成する。次いで、このシリコン基板の酸化シリコン層を下にして下地基板121に貼り付ける。次いで、カソード電極層1たとえばAlを蒸着し、フォトリソグラフィ/エッチング法によりパターニングする。次いで、その上に、絶縁層3たとえばAl2O3及びアノード電極層4を形成し、フォトリソグラフィ/エッチング法によりパターニングする。次いで、埋め込み層122を形成し、埋め込み層122にビアホールを形成して印刷等によりCuペーストを埋め込んでビア124を形成する。さらに、フォトリソグラフィ/エッチング法を用いてCu/Auめっきにより導電パターン125を形成し、LED素子D11、D21、D31、…、Dm-1,1、Dm1が樹脂系のダイボン剤126で実装され、さらに、ボンディングワイヤ127によって導電パターン125に配線される。
【0048】
図13は図7のLEDユニット10の第4の例を示し、(A)は全体を示すブロック図、(B)は(A)のLEDパッケージ120−1の1つの平面図、(C)は(B)のC-C線断面図である。図13においては、埋め込み層122には、図4に示す一方向性アンチヒューズ素子F11’、F12’、…が形成され、その上に、LED素子D11、D12、…が形成されている点が図12の例と異なる。すなわち、n型シリコン基板にp型不純物のイオン注入を行わない点が図12の例と異なる。
【0049】
図14は図7のLEDユニット10の第5の例を示し、(A)は全体を示すブロック図、(B)は(A)のLEDパッケージ120−1の1つの平面図、(C)は(B)のC-C線断面図である。図14においては、埋め込み層122には、図6に示す一方向性アンチヒューズ素子F11’、F12’、…が形成され、その上に、LED素子D11、D12、…が形成されている点が図12の例と異なる。すなわち、n型シリコン基板にp型不純物のイオン注入の代りにn型不純物のイオン注入を行う点が図12の例と異なる。
【0050】
尚、図10、図11、図12、図13、図14において、発光色を白色としたい場合には、LED素子の周囲に蛍光体入り樹脂等を注入する。また、導電パターンの表面を金めっきあるいは銀めっきで表面処理してもよい。
【0051】
本発明は、上述の直下型LEDユニット以外に、直列接続された複数のLED素子を有するサイドエッジ型LEDユニットにも適用される。
【符号の説明】
【0052】
1:カソード電極層
2、2’:半導体層
21:p型不純物層
22:n型不純物層
23:空乏層
2a’:空乏層
3:絶縁層
4:アノード電極層
4a:金属部(絶縁破壊)
5:ボンディングワイヤ
6:封止樹脂層
10、100:LEDユニット
A:アノード電極端子
K:カソード電極端子
D11、D21、…、Dmn:LED素子
F11’、F21’、…、Fmn’:一方向性アンチヒューズ素子
10−1、10−2、…、10−n:LEDパッケージ
11:基板
12:導電パターン
13:ダイボン剤
14:ボンディングワイヤ
15:半田
110−1、110−2、…、110−n:サブLEDユニット
111:基板
112:導電パターン
113:ダイボン剤
114:半田
115:半田
120−1、120−2、120−3、120−4:LEDパッケージ
121:下地基板
121a:酸化シリコン層
122:埋め込み層
123:リフレクタ
124:ビア
125:導電パターン
126:ダイボン剤
127:ボンディングワイヤ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
カソード金属電極層と、
アノード金属電極層と、
該カソード金属電極層上に設けられた半導体層と、
前記半導体層と前記アノード金属電極層との間に設けられた絶縁層と
を具備し、
前記カソード金属電極層と前記アノード金属電極層との間に逆方向電圧が印加されたときのみアンチヒューズとして作用する
一方向性アンチヒューズ素子。
【請求項2】
前記半導体層は、
前記カソード金属電極層上に設けられたn型不純物層と、
該n型不純物層と前記絶縁層との間に設けられたp型不純物層と
を具備する請求項1に記載の一方向性アンチヒューズ素子。
【請求項3】
前記半導体層はn型不純物層を具備する請求項1に記載の一方向性アンチヒューズ素子。
【請求項4】
前記半導体層はさらに前記n型不純物層と前記絶縁層との間に前記n型不純物層の濃度より大きい濃度を有するn型不純物層を具備する請求項3に記載の一方向性アンチヒューズ素子。
【請求項5】
アノード電極端子と、
カソード電極端子と、
前記アノード電極端子と前記カソード電極端子との間に直列接続された複数の発光ダイオード素子と、
前記各発光ダイオード素子に並列接続された複数の一方向性アンチヒューズ素子と
を具備し、
前記アノード電極端子と前記カソード電極端子との間に逆方向電圧が印加されたときのみ前記一方向性アンチヒューズ素子はアンチヒューズとして作用する
発光ダイオードユニット。
【請求項6】
前記各一方向性アンチヒューズ素子は、
カソード金属電極層と、
アノード金属電極層と、
該カソード金属電極層上に設けられた半導体層と、
前記半導体層と前記アノード金属電極層との間に設けられた絶縁層と
を具備する請求項5に記載の発光ダイオードユニット。
【請求項7】
前記各発光ダイオード素子及び前記各一方向性アンチヒューズ素子は発光ダイオードパッケージに形成され、
前記各一方向性アンチヒューズ素子は前記発光ダイオードパッケージの埋め込み層内に形成された請求項5に記載の発光ダイオードユニット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−169403(P2012−169403A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28321(P2011−28321)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】