説明

不妊症におけるホスホジエステラーゼ阻害剤

本発明は、哺乳類における卵母細胞の産出を増加する方法に向けられる。より具体的には、本明細書は、PDE阻害剤を使用する卵胞の成熟を誘導するための方法及び組成物を説明する。当該阻害剤は、高用量において単独で使用することができる。あるいは、当該卵胞の成熟は、低用量のFSHとPDE阻害剤処置を併用することにより達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に、生殖生物学、及び補助生殖医療(ART)、例えば、試験管内受精(IVF)のための卵巣過剰刺激(COH)に導かれる。より特別には、本発明は、例えば、排卵誘発(OI)のための卵胞成熟刺激を含む1又は複数のホスホジエステラーゼ阻害剤単独、又は1又は複数のゴナドトロピンとの組み合わせのいずれかを使用する生体内における卵胞の成熟を誘導するための方法及び組成物に向けられる。更に本発明は、1又は複数のホスホジエステラーゼ阻害剤単独、又はゴナドトロピンとの組み合わせのいずれかを使用する試験管内における卵胞成熟を誘導するための方法及び組成物に向けられる。
【0002】
当該出願は、その全体として本明細書における引用により組み入れられている2003年4月1日に出願した米国特許仮出願第60/458,955号、2003年5月15日に出願した米国特許仮出願第60/470,434号、2004年1月28日に出願した米国特許仮出願第60/540,301号、及び2004年2月12日に出願した米国特許仮出願第60/470,434号の利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
女性ヒト生殖周期は、いくつかのゴナドトロピンホルモンに依存する。これらの基礎は、下垂体ホルモン、卵胞刺激ホルモン(FSH)及び黄体形成ホルモン(LH)である。卵形成中、女性の生殖細胞である卵子が産出されることによるプロセスは、卵胞中において生じる。卵胞は、卵母細胞(卵)を含む卵巣の中の細胞の集まりである。排卵を顕著に誘導する卵胞成熟は、FSHの刺激効果に依存する。
【0004】
各月経周期において、卵母細胞成熟のために多くの卵胞が漸加する。約28日の月経周期の開始において、卵胞は、細胞の単一の層により囲まれた単純な卵母細胞である始原形態中に存在する。卵胞の成長及び成熟は、FSH、初期の細胞の単一層の周りの顆粒膜細胞形態の複数層、中期周期まで継続するプロセスにより達成される。これらの顆粒膜細胞は、卵母細胞を養うこと、及びエストロゲンの産出及び放出に関係する。下垂体により産出されるFSHは、顆粒膜細胞においてアロマターゼ活性を誘導し、これによりエストロゲンの産出を増加する。従って、卵胞の成熟と同時に、28日の月経周期の初期においてエストロゲン産出を増加する。また、卵胞は二次下垂体ゴナドトロピン、LHのレセプターを含む。中期周期(約14日)により、当該卵胞が成長及び成熟を続けると、スペース(洞)が、顆粒膜細胞の集団の中に発生する。中期周期において、ファロピウス管を移動し、そして引き続いて受精することができる卵母細胞を破裂し、そして放出するための卵胞を発生するためにLP産出の増加がLHレセプターにおいて作用する。通常の排卵している女性は、それぞれの月経周期に約300の未成熟な卵母細胞が漸加するが、ある卵胞は、退行(閉鎖)し、そして単一の優性卵胞が出現し、そして卵母細胞の放出を続けるであろう。
【0005】
排卵誘発(OI)及び補助生殖医療(ART)療法は、2つの主な期を含んで成る:刺激期及び排卵期を含んで成るホルモン療法である。適当な場合、抑制期は、刺激期を先行してよい。当該抑制期は、LH又はエストラジオールのレベルを抑制するために使用されるGnRHアゴニストの投与を含む。当該刺激期は、卵胞刺激活性(例えば、FSH)を有する薬剤の投与により開始し、そして通常6〜10日間である。典型的には、患者は、自発的な又は誘発された月経後最初の約3日間において、1日当たり約150IUのFSHで処置される。FSH投与は、1つの卵胞の平均直径が、約16〜18mm以上又は同じになるまで続けられる(卵胞の発達は超音波により評価することができる)。この時点において、排卵期は、卵胞を破裂させるために及び中期周期で発生する自然な黄体化ホルモン(LH)のピーク又は増加を模倣するために、ファロピウス管に単一の卵母細胞を放出する誘引とするために、比較的大用量(5,000〜10,000IU)のLH活性を有する薬剤、例えば、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を使用して誘発する。患者は、大用量のhCGの投与から24〜38時間後に性交することを指示される。刺激期において、卵胞刺激ホルモン(FSH)、又は卵胞刺激活性を発揮する薬剤、又は内因性FSH放出を刺激する薬剤の投与は、卵巣の卵胞の成長を刺激する。FSH、又はFSH様活性を発揮する薬剤、又は内因性FSH放出を刺激する薬剤の投与は、刺激期において続ける必要はなく、刺激期の終了まで続ける必要もない。刺激期又は排卵期のいずれかにおいて作用できる別の薬剤、特に経口的に利用できる薬剤が望ましい。米国2002/0103106 Al(Palmer et al.)は、排卵の誘引とするための排卵期におけるIV型ホスホジエステラーゼの阻害剤の経口及び皮下的使用を開示する。米国2003/0018037(Westbrook Lempriere et al.)は、胚の生存を向上させるための、出生時体重を増加させるための、子宮血液流を増加させるための、及びプロゲステロン血清中レベルを増加させるための、非補助における周期の排卵後のPDF5阻害剤の使用を開示する。
【0006】
排卵誘発(OI)は、生体内受精又は子宮内精子注入(IUI)における単一の卵母細胞のファロピウス管への放出を発生させるための無排卵又はアンモニア排出の女性の処置である。OI療法の目的は、複数の妊娠を避けるために、放出すべき単一の卵母細胞を発生させることである。OIの慣習的な療法において、治療の初期は、刺激期と呼ばれている。
【0007】
OIが行われる何人かの患者においては、抑制期で治療を開始することが望ましいであろう。抑制期において、下垂体ゴナドトロピンは、FSHでの治療の前におけるゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストの投与により抑制される。GnRHアゴニストの投与は、月経周期の黄体期において開始される(通常、月経周期の約20日目)。卵巣機能の抑制は、通常、GnRHアゴニストで8〜21日かかり、そしてLH又はエストラジオール(E2)レベル(LH<5IU/L、E2<50pg/mlは、通常、適切な抑制を示す)でモニタリングすることによりモニターできる。それから当該刺激期は、FSHの投与により開始される。GnRHアゴニストの使用は、未成熟な卵母細胞の放出の誘引となりうる天然のLHのピーク又は増加を抑制する。これは、当該卵母細胞の放出、つまり性交のよりよいタイミングを許容する。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に苦しむ患者において、これらの患者は、しばしば不適当な高い内因性LHレベルを有するため、また、GnRHアゴニストを使用することが望ましく、それは刺激期においてLHの抑制を許容し、FSHに対するよりよい応答を許容する。
【0008】
また、OIの刺激期は、しばしば内因性FSH放出を誘発する薬剤、例えば、クエン酸クロミフェン又はアロマターゼ阻害剤を使用して行われる。クエン酸クロミフェンは、刺激期を通して投与され(通常、月経周期の3〜7又は7〜9日目に100mgの用量)、内因性FSH分泌の増大を生じ、卵胞の成長を誘導する。アロマターゼ阻害剤、例えば、レトロゾール、アナストロゾール、YM−511は、月経周期の3〜7又は5〜9日目に与えることができ、そしてまた、引例として本明細書に組み入れられているWO02/083239で説明されるように、内因性FSHの放出を誘発する。
【0009】
OIとは対照的に、単一の排卵性卵胞及び単一の卵母細胞が所望される場合、補助生殖医療(ART)療法において、可能な限り多くの単一周期における卵母細胞を収集することが所望される。ARTによる不妊症の治療、例えば、試験管内受精(IVF)、卵細胞内精子注入法(ICSI)、配偶子卵管内移植法(GIFT)、及び接合体卵管内移植法(ZIFT)は、女性の配偶子の数を増加するための卵巣過剰刺激(COH)が必要である Healy, et al., Lancet 343: 1539-1544 (1994)。例えば、現在、ヒト女性及び男性の生殖能力の治療のために一般的に使用される処置である試験管内受精(IVF)は、成熟ヒト卵母細胞の回収、続いて、成熟卵母細胞と精子の受精に基づくART技術である。標準的なIVF処置プロトコル下において、ヒト成熟卵母細胞は、長期、例えば、30日間のホルモン療法において漸加される。当該プロトコルは、ゴナドトロピン放出ホルモンGnRH又はGnRHの類似体により患者自身のFSH及びLHを制御すること、続いて、複数の排卵前期の卵胞の発達を保証するための外因性ゴナドトロピン、例えば、FSH及び/又はLHの注射より開始される。卵胞の成長の適当な時期において、複数の卵母細胞は、排卵直前に吸引により収集される。吸引された卵母細胞は、続いて試験管内において受精され、そして典型的には、4〜8細胞期における生じた胚の子宮への移植前に3日間培養される。
【0010】
より特別には、ARTにおけるCOHのための標準的な療法は、内因性LHが、月経周期の黄体期において開始するGnRHアゴニストの投与により抑制される下方制御期とも呼ばれる抑制期を含む(通常月経周期の約20日目)。卵巣機能の抑制は、GnRHアゴニストで通常8〜21日かかり、そしてLH又はエストラジオールレベル(LH<5IU/L、E2<50pg/mlは、通常、適切な抑制を示す)でモニタリングすることによりモニターできる。下方制御は、卵胞の発達が、通常約75〜600IU/日における卵胞刺激ホルモン(FSH)の毎日の投与により誘導される刺激期を伴う。
【0011】
あるいは、通常、自発的な又は誘発された月経後1、2、又は3日目において、卵胞刺激がFSHで開始し、そして月経後約6日目において開始する内因性LHの産出がGnRHアンタゴニストの投与により抑制される場合、GnRHアゴニストの代わりに、GnRHアンタゴニストを使用することができる。GnRHアンタゴニスト及びFSH投与は、以下に説明する通り、hCGの排卵−誘引用量の投与のための判断基準が一致するまで続けられる。
【0012】
刺激期の間、卵胞の発達を検出及び測定するために、卵巣は超音波により検査される。複数の卵胞の発達は、ARTにおけるCOHプロトコルの目的であるため、当該卵巣が16mm以上の平均直径を伴う少なくとも3つの卵胞(好ましくは、1つの18mm)を示す場合、排卵の誘引とするために、hCG(5,000〜10,000IU)の注射が与えられる。卵母細胞は、hCG注射から36〜38時間後に計測される。卵母細胞は通常、排卵前期の卵胞から吸引により回収される。
【0013】
例えば、上述のプロトコルが臨床的なプロトコルにおいて何年間も使用されているという事実にも関わらず、これらのプロトコルはいくつかの有意な不利益がないというわけではない。FSHは、比較的短い半減期を有し、そしてOI又はARTのいずれかのFSHでの処置は、刺激期間、比較的大用量のFSHの毎日の注射に関係する(毎日75〜600 IU FSH)。毎日の注射は患者の不快感及び不便性の原因となり、そして比較的高価となりうる。このような用量及び毎日の投与は、重篤な場合生命を危うくし得る卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を生じる関連リスクを有する。ゴナドトロピン調製物由来の他の追加的な副作用は、体重の増加、鼓脹、悪心、嘔吐、モニタリングプロセスに関連する時間、及び未知の長期間の癌のリスク含む。これらのホルモン処置療法は、これらのプログラムにおいて男性パートナーの不十分な精子の質に関係する不妊症の問題によりIFVが完全に正常な女性に提供される場合に、より問題となるだろう。従って、IVFのために卵母細胞の発生において使用される現在のプロトコルに関連する問題が存在する。排卵に受け入れられる卵母細胞のより優れた質の産出のための必要性が残されている。
【0014】
ゴナドトロピンの投与に関するリスクにより、多様な他のプロトコルが示差されてきた。制御された卵巣刺激プロトコルのリスク、副作用、及び経済的不利益を緩和するための一つの方法は、試験管内における成熟による未成熟卵母細胞の回収に関する。当該アプローチにおいて、女性は刺激されず、又は最小の刺激のみを受け、そして回収された卵母細胞は、試験管内においてホルモン処置にかけられる。当該試験管内成熟(IVM)プロトコルは、上述のいくつかの副作用の有意な減少/除去に関し、そして治療に使用されるホルモンの量の減少という二次的な経済的有利性を有する。しかしながら、試験管内成熟(IVM)は、IVFのための卵母細胞の産出に有効な方法になるが、臨床的なヒトIVMの記録された成功割合は低下している。
【0015】
他の代替として、卵胞成長を助け、そしてOHSSのリスクを避ける能力を有する代替医薬によるFSHの置き換えが高く所望されるであろう。更に、卵胞成長を生じるためのFSHで作用する調製物の供給もまた高く所望され、低内因性FSHレベルを増大することができ、低内因性FSHレベルが原因により無排卵である患者において卵胞成長を生じ、あるいは、それは外因的に投与されたFSHを増大することができ、ARTにおいて乏しい応答者における向上された応答を許容し、あるいはOHSSのリスクを避けるのと同時に低用量及び/又は頻繁なFSH注射によりARTにおいて同じ応答を許容することができる。
【発明の開示】
【0016】
ある観点において、本発明は、卵胞の成長及び成熟を刺激するための有効量におけるホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤で哺乳類を処置すること含んで成る卵胞成熟を増大する方法を供する。他の観点において、本発明は、患者における卵巣の卵胞の成長を刺激するために、ホスホジエステラーゼ酵素の阻害剤の使用を供する。更に他の観点において、本発明は、患者に対して有効用量のホスホジエステラーゼ阻害剤の投与を含んで成る、これが必要な患者において卵巣の卵胞成長を刺激する方法を供する。また、本発明に含まれる観点は、哺乳類をPDE阻害剤及びゴナドトロピンホルモンで処置することを含んで成る卵胞成熟を増大する方法である。ここで、PDE阻害剤及びゴナドトロピンは、卵胞成長及び成熟を刺激するための総体的有効量において供される。
【0017】
他の観点において、本発明は、患者における卵巣の卵胞成長を刺激するための医薬の調製のためのPDE阻害剤の使用を供する。好ましくは、PDE阻害剤は、排卵の誘発が行われている患者における卵巣の卵胞の成長を刺激するための医薬の調製において使用される。より好ましくは、PDEは、補助生殖医療のために調節された卵巣過剰刺激が起きている患者における卵巣の卵胞の成長を刺激するための医薬の調製において使用される。当該PDE阻害剤は、排卵前期の刺激期の初期において投与され、そして好ましくは、排卵期が多量のLH活性を有する薬剤(例えば、5,000〜10,000hCG)の投与により開始される前又はその日に投与される。最も好ましくは、PDE阻害剤の投与は、HCGが投与される2、1、又は0日前に止める。最も好ましくは、PDE阻害剤の投与はhCGを投与する日に止める。
【0018】
上記医薬は、FSH、又はFSH活性を有する薬剤、又は内因性FSHの放出を誘導する薬剤と同時に、別々に、又は続けて投与してもよい。好ましくは、上記医薬は、FSHと同時に、別々に、又は続けて投与される。あるいは、上記医薬は、FSH活性を有する薬剤、又は内因性FSHの放出を誘導する薬剤と同時に、別々に、又は続けて投与される。上記医薬は、好ましくは、月経の開始日又は約2〜3日後に投与される。それは、毎日、hCGの排卵誘引用量において、好ましくは5,000〜10,000IUで卵胞成長が十分となるまで投与される。上記医薬がFSHとともに投与される場合、卵胞成長の点において同じ結果を達成するために、FSHの用量は、PDE阻害剤が不存在の同じ患者において必要とされる用量に関して減少する。
【0019】
本発明の当該観点に従う好ましい態様において、PDE阻害剤は、1、5、及び6から選択される少なくとも1つのPDE型の阻害剤である。当該PDE阻害剤は以下の化合物から選択される:
5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル);ザプリナスト;ジピリジダモール;5−(2−エトキシ−5−モルホリノアセチルフェニル)−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−20ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−n−プロポキシフェニル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシエトキシ)ピリジ−n−3−イル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;(+)−3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシ−1(R)−メチルエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−l−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−[2−イソ−ブトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−フェニル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジンイル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジンイル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(−3,4−メチレンジオキシフェニル)ピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(タダラフィル;IC−351);公表された国際出願WO95/19978の実施例78及び95の化合物、並びにその実施例1、3、7及び8の化合物;2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル);公表された国際出願W093/07124(EISAI)の実施例11の化合物;Rotella DP,J.Med.Chem.,2000,43,1257由来の化合物3及び14;4−ブロモ−5−(ピリジルメチルアミノ)−6−[3−(4−クロロフェニル)−プロポキシ]−3(2H)ピリダジノン;1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソル−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キノゾリニル]−4−ピペリジン−カルボン酸、モノナトリウム塩;(+)−cis−5,6a,7,9,9,9a−ヘキサヒドロ−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニルメチル−5−メチル−シクロペント−[4,5]イミダゾ[2,1−b]−プリン−4(3H)オン;フラジオシリン;cis−2−ヘキシル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクタヒドロシクロペント[4,5]−イミダゾ[2−,1−b]プリン−4−オン;3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート;3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート;4−ブロモ−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−6−(3−(4−クロロフェニル)プロポキシ)−3−(2H)ピリダジノン;l−メチル−5(5−モルホリノアセチル−2−n−プロポキシフェニル)−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ(4,3−d)ピリミジン−7−オン;1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソル−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キナゾリニル]−4−ピペリジンカルボン酸、モノナトリウム塩;ファーマプロジェクト No.4516(Glaxo Wellcome);ファーマプロジェクト No.5051(Bayer);ファーマプロジェクト No.5064(Kyowa Hakko;WO96/26940を参照のこと);ファーマプロジェクト No.5069(Schering Plough);GF−196960(Glaxo Wellcome);E−8010及びE−4010(Eisai);Bay−38−3045&Bay−38−9456(Bayer)、ビンポセチン(Richter gideon);SCH−51866(Schering−Plough)、SCH−59498;(6aR,9aS)−2−(ビフェニルイルメチル)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−5−メチル−3(フェニルメチル)シクロペント[4,5]イミダゾ−[2,1−b]プリン−4(3H)−オン;5’−メチル−2’(ビフェニルイルメチル)−3’−(フェニルメチル)スピロ[シクロペンタン−1,7’(8’H)−[3H]イミダゾ[2,1−b]プリン]−4(5’H)−オン;(6aR,9aS)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−5−メチル−2−(フェニルエチニル)−3−(フェニルメチル)シクロペント[4,5]イミダゾ[2,1−b]−プリン−4(3H)−オン;ジピリジダモール;AWD−12−171及びAWD−12−217(ASTA Medica);BMS−341400(Bristol Meyers Squibb);UK−343,664(Pfizer);5E−3623、5E−3569、5E−3657、E4021(Eisai);KS−505a(Kyowa Hakko Kogyo);YC−1(Yung Shin Pharmaceutical Industries);IDDBレファレンス323951(Bayer);WIN−61691(Sanofi Winthrop);FR226807(Fujisawa);IDDBレファレンス461317、462503、461321、461324、466146(Johnson&Johnson);ピリジン−4−イルメチル3−(1,3−ベンゾジオキソル−5−イル)−9−オキソ−1,3,4,9テトラヒドロ−2H−ピロロ[3,4−b]キノリン−2−カルボキシレート:
【化1】

Jiang,et al.,J.Med.Chem.,46:441−444(2003)の表1に挙げる化合物、特に、化合物20b,20e,20f,201,20o,20p,(−)−20q,20t,20u,20v,20w及び26a。
【0020】
PDE阻害剤は、PED1若しくはPED5の選択的阻害剤、又はPDE1若しくはPDE5であってよい。当該PED阻害剤は、シルデナフィル及びザプリナスト、ジピリダモール、並びに(6aR,9aS)−2−(ビフェニルイルメチル)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−5−メチル−3(フェニルメチル)シクロペント[4,5]イミダゾ−[2,1−b]プリン−4(3H)−オン及び5’−メチル−2’(ビフェニルイルメチル)−3’−(フェニルメチル)スピロ[シクロペンタン−1,7’(8’H)−[3H]イミダゾ[2,1−b]プリン]−4(5’H)−オン(Ahn, et al. , J. Med. Chem., 40: 2196-2210 (1997) においてそれぞれ説明されている「化合物番号31」及び「化合物番号33」) から選択されてよい。
【0021】
他の観点において、本発明は、試験管内において、卵母細胞をPDE阻害剤で、又はPDE阻害剤及びゴナドトロピンホルモンで処置することを含んで成る、試験管内における卵母細胞の成熟の方法を供する。ここでPDE阻害剤及びゴナドトロピンは、卵母細胞の成熟に十分な合計量として供される。好ましくは、上記処置の不存在における0〜1オーダーにおける成熟卵母細胞数の増加は、本明細書において説明される方法の使用により、4又はそれ以上に増加する。
【0022】
本発明の特別な観点は、動物に対して少なくとも1つのPDE阻害剤及びゴナドトロピンホルモンを含んで成る組成物の投与を含んで成る卵胞の成熟を増加する方法を供する。ここでPDE阻害剤及びゴナドトロピンは、絨毛性ゴナドトロピン応答性卵母細胞の数を増大するために十分な合計量で投与される。特に好ましい態様において、PED阻害剤はPDE4阻害剤である。使用することができる典型的なPDE4阻害剤は、制限されることなく、ピクラミラスト、ロフルミラスト、アリフロ、フィラミナスト、メソプラム、D4418、アロフィリン、及びCL1044から成る群から選択されるものを含む。更なるPDE4阻害剤を使用してもよい。多くは、以下の本明細書において例示されるが、PDE4阻害活性を有する化合物の類似体及び誘導体もまた使用できることが理解されるべきである。本発明の方法は、1つのPDE阻害剤のみを使用して行うことができることが意図される。あるいは、複数のPDE阻害剤の反応混液を利用することができる。このような反応混液は、1又は複数の他のPDE阻害剤に追加して1又は複数のPDE4阻害剤を含んでよい。上記組成物は、少なくとも1つのPDE4阻害剤、及び、PDE1阻害剤、PDE5阻害剤、PDE6阻害剤、PDE7阻害剤、PDE9阻害剤、PDE10、及びPDE11阻害剤から成る群から選択される阻害剤、少なくとも1つのほかのPDE阻害剤を含んで成ることが意図される。特別な態様において、本発明の方法は、2又は複数のPDE4阻害剤を含んで成る組成物を利用する。
【0023】
本発明の方法において、卵胞の成熟を刺激又は増大するために使用されるゴナドトロピンは、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、及び絨毛性ゴナドトロピン(CG)並びにこれらの組み合わせから成る群から選択される。好ましくは、当該ゴナドトロピンはFSHである。他の態様において、当該方法は、FSHを投与すること、更に、非−FSHゴナドトロピンホルモン、例えば、LHを投与することを含んで成る。あるいは、当該方法は、FSHの刺激剤、アゴニスト又はアジュバントとの組み合わせにおけるFSHとの投与を含んで成る。あるいは、当該方法はPDE4阻害剤と併用して、FSHの刺激剤、アゴニスト又はアジュバント単独の投与を含んで成ってよい。典型的なFSH活性の刺激剤は、アロマターゼ阻害剤、例えば、レトロゾール、アナストロゾール及びボロゾール(引用により本明細書に組み入れられているPCT/EP01/14730及び米国特許第20020103106号を参照のこと)を含む。
【0024】
特別な態様において、上記PDE阻害剤及びゴナドトロピンホルモン処置は同時に投与される。「ゴナドトロピンホルモン処置」により、本発明は、FSH処置単独、非−FSHゴナドトロピンとの組み合わせにおける処置、あるいはFSHの刺激剤若しくは他のアゴニスト単独、あるいはFSH及び/又は他の非−FSHゴナドトロピンとの組み合わせにおける処置のいずれかを意図する。いくつかの態様において、当該PDE阻害剤は、ゴナドトロピンホルモンの投与前に投与される。他の態様において、PDE阻害剤は、ゴナドトロピンホルモンの投与後に投与される。FSHの薬用量は、臨床的設定において慣習的に使用されるいずれかの薬用量でよい。例えば、FSHは約5〜450IU/日の範囲の薬用量で投与することができる。より好ましくは、FSHは約5〜75IU/日の範囲の薬用量で投与される。特別な態様において、PDE又は他のPDE阻害剤の投与は、個々に対して通常投与されるFSHの量において減少を許容するであろうことが意図される。当該出願の目的のために、「最適以下の」FSHの用量は、いずれかのこのようなFSHの減少した薬用量であり、これは卵胞の成熟の最適な刺激をもたらすものよりも少ないFSHの薬用量である。当該FSHは、組み換えFSH(r−FSH)であってよく、好ましくは、ヒト組み換えFSH(hFSH)である。他の態様において、当該FSHは尿から精製される。
【0025】
また、本発明は、哺乳類における生体内において排卵前期の卵胞の発達を増加する方法を供し、当該方法は、哺乳類に対して、少なくとも1つのPDE4阻害剤及び外因性FSHホルモンを含んで成る組成物の投与を含んで成る。このような方法は、更に、PDE4及びFSHホルモンの投与の前に、哺乳類における内因性FSH及びLH生成物の抑制を含んで成ってよい。好ましくは、当該外因性FSHホルモンは、組み換えFSHホルモンである。他の態様において、外因性FSHホルモンは、尿FSHホルモンである。
【0026】
特別の態様において、上記PDE4阻害剤は、約0.05mg/日〜約5mg/日の用量において投与される。当該阻害剤の薬用量は、特定の阻害剤、並びに処置される患者の特性に従い変化するであろうことが意図される。当該薬用量は、0.05mg/日;0.075mg/日;0.010mg/日;0.125mg/日;0.150mg/日;0.175mg/日;0.20mg/日;0.225mg/日;0.250mg/日;0.275mg/日;0.30mg/日;0.325mg/日;0.350mg/日; 0.375mg/日;0.40mg/日;0.425mg/日;0.450mg/日;0.475mg/日;0.50mg/日;0.525mg/日;0.550mg/日;0.575mg/日;0.60mg/日;0.625mg/日;0.650mg/日;0.675mg/日;0.70mg/日;0.725mg/日;0.750mg/日;0.775mg/日;0.80mg/日;0.825mg/日;3400.850mg/日;0.875mg/日;0.90mg/日;0.925mg/日;0.950mg/日;0.975mg/日;1.0mg/日;1.25mg/日;1.5mg/日;1.75mg/日;2.0mg/日;2.25mg/日;2.5mg/日;2.75mg/日;3.0mg/日;3.25mg/日;3.5mg/日;3.75mg/日;4.0mg/日;4.25mg/日;4.5mg/日;4.75mg/日;5.0mg/日又は1日当たりそれ以上でよいことが意図される。好ましい態様において、当該PDE4阻害剤は、約10mg/日〜約200mg/日の薬用量において投与されることが意図される。当業者は、単に典型的な薬用量及び範囲であることを理解すべきである。本明細書において表現的に引用される薬用量間のいずれかの個々の数値量が好ましくは考慮され、そしてそれぞれのこれらの用量の個々の値は、本発明の範囲内であることが特に意図される。本明細書に挙げられる特定の用量間の当該個々の値は、読みやすいように簡単に省略され、だからといって出願の範囲から除外することを意図したものではない。同じことは本明細書における他の非−PDE阻害剤組成物にもあてはまる。
【0027】
他の態様において、上記FSは、5 IU FSH/日〜75 IU FSH/日の薬用量において投与されることが意図される。しかしながら、当該FSHは1日当たり150 IU FSHの薬用量として投与することもできる。当該FSHは、好ましくは、単一用量において投与される。他の態様は、複数用量においてFSHを投与することを考慮する。当該FSHは、筋肉内、皮下的、又はいずれかの他の慣習的な投与方法を介して投与することができる。好ましくは、FSHは、哺乳類の月経周期の2日目〜14日目に投与される。特別な態様において、FSHは、連続して7〜12日目に投与される。
【0028】
特別な態様において、内因性FSH及びLHの抑制は、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)又はこれらの類似体の哺乳類に対する投与を含んで成る。より好ましくは、当該GnRHは、PDE4阻害剤及びFSHホルモンの投与の30日前に哺乳類に対して投与される。当該GnRHの薬用量は、内因性ゴナドトロピンの抑制のために慣習的に使用されるいずれかの薬用量でよい。このような態様は、一般的には、1日当たり約0.25mg〜3mgのGnRHの薬用量範囲において投与されるGnRH又はこれらのアンタゴニストを利用してもよい。
【0029】
本発明の方法において、PDE4阻害剤及びFSHの投与を欠くhCGの排卵性卵母細胞の産出と比較して、哺乳類におけるPDE4及びFSHの投与は、よりhCG排卵性卵母細胞を産出する。例えば、これらの処置を欠く場合、当該対象は、0〜1のhCG排卵性卵母細胞を産出できるが、しかしながら、当該処置はその数を4又はそれ以上のhCG排卵性卵母細胞に増加する。従って、本発明の方法の結果として、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上の卵母細胞を回収できる。本発明の方法は、PDE4阻害剤及びFSHホルモンの初期投与後12日目に卵母細胞を回収することを意図する。当該方法は、更に、試験管内における回収した卵母細胞の受精、そして回収し、受精した卵母細胞を4〜8細胞期に培養することを含む。このような4〜8細胞期の受精した卵母細胞は、更に哺乳類の子宮に移植することができる。当該哺乳類は、当該卵母細胞を回収したものと同じ哺乳類であってよく、又は当該卵母細胞を回収したものと異なる哺乳類であってよい。
【0030】
本発明は、更に、不妊症の処置のためのキットを供する。当該キットは、医薬的に受容可能な製剤において、1以上のPDE4阻害剤を含んで成る第一組成物、及び医薬的に受容可能な製剤においてFSHを含んで成る第二組成物を含んで成る。当該キットは尿FSH又は組み換えFSHを含んで成ってよい。FSHのいずれかの場合、好ましくはヒトFSHである。当該キットのFSHは、好ましくは、約5 IU FSH〜約75 IU FSHの単位用量において供される。当該キットは、更に、医薬的に受容可能な製剤においてLHを含んで成る第三組成物を含んで成ってよい。当該キットにおける単位用量において利用されるLHの典型的な量は、約75 IU LH〜約150 IU LHである。
【0031】
本発明の他の特色及び有利性は、以下の詳細な説明により明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明及び本発明の好ましい態様を示す特定の実施例は、発明の精神の範囲における多様な変化及び修正は当該詳細な説明より当業者に明らかになることから、実例の一つとして与えられるものと理解されるべきである。
好ましい態様の詳細な説明
【0032】
ゴナドトロピンホルモンを使用する卵巣刺激は、現在、受胎能の最適以下のレベルを有するカップルのための有意な処置療法として認識されている。IVFの手順は、受精のための卵母細胞の産出を刺激するために、FSH及び他のゴナドトロピンホルモンの有意な量の使用に依存する。しかしながら、このような卵巣刺激は、しばしば、有害な副作用に導く。従って、ゴナドトロピンによる卵巣刺激に専ら依存しない排卵性卵母細胞の産出を増加する更なる方法が必要である。
【0033】
本発明は、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤を使用する卵胞成熟の誘導に向けられる。未成熟のラットに投与する場合、PDEの阻害剤はhCG−排卵性母卵細胞数の増加に導くことが発見されている。より具体的には、FSHの最適以下の用量と併用して投与する場合、PDE4阻害剤は、このような卵母細胞の数を実質的に増加させる。また、本発明者は、ホスホジエステラーゼ(PDE)酵素、好ましくは、1、5、6、7、9、10、11から選択されるPED型、より好ましくはPDE1及び5型の阻害剤の分子が、本発明の全ての範囲において、最適以下の量のFSHの存在下において、卵胞の成長を補助することができるという驚くべき発見をした。
【0034】
特別な典型的な態様において、PDE4阻害剤であるピクラミラスト及びロフルミラストの投与が、FSH−誘導性卵胞成熟を増加したことが発見された。最も顕著な効果は、PDE4阻害剤と併用して低用量のFSHを投与した場合に明らかである。図12〜14のデータからわかるように、低用量のFSH単独の投与(図11及び図12を参照のこと)は、高用量のFSHで刺激した卵巣と比較して、ラット当たりより少ない排卵された卵子を産出する。それは、典型的には、ラットあたり15〜18の排卵された卵子のオーダーにおいて産出されるであろう。高用量のFSHを使用する問題は、上記において議論されている。本発明は、ラットをPDE4阻害剤で処置した場合、排卵性卵母細胞の数が、低FSHで示される基底数から顕著に増加させることができることを示す。実際に、図11及び図12からわかるように、低用量のFSHと0.4mg/kgのピクラミラスト又はロフルミラストのいずれかの組み合わせた投与は、高用量のFSH単独によるものより、排卵性卵母細胞をより産出した(図11及び図12)。更に、図14からわかるように、FSHの共投与の無い高用量のピクラミラスト(例えば、2mg/kg)は、hCG排卵性卵母細胞を増加した。
【0035】
上記の典型的なデータを考慮すると、PDE阻害剤、及び特にPDE4阻害剤は、生体内における排卵性卵母細胞を産出するために使用することができることが予想される。これは、女性の不妊症の処置において特に有用であり、正常な女性にとっても、特に妊娠の可能性を上昇させることを所望する場合、このような処置により有益となるであろう。より具体的な態様において、PDE4阻害剤は、PDE阻害剤の投与の欠如において産出される排卵性卵母細胞の数と比較して、生体内における哺乳類中の排卵性卵母細胞の数の増加を産出することによる卵胞の成熟の増強又は増加において特に有用であることが予想される。
【0036】
図14において明らかなように、同時的な低用量のFSHの刺激がないPDE4阻害剤単独の投与は、女性における排卵性卵母細胞を増加するために十分であることが予想される。このように、本発明のある方法は、外因性FSHでの卵巣刺激の必要性を完全に回避する。あるいは、図11〜14からわかるように、本発明の方法はまた、排卵性卵母細胞の顕著な増加を産出するのに十分なPDE4阻害剤との組み合わせにおける低用量のFSHの投与を含んで成る。PDE4阻害剤が単独で、又は低レベルのFSHとの組み合わせ処置の一部として投与されるかに関わらず、本発明の方法は、排卵性卵母細胞の治療的に有利な増加を生じるために必要なFSHの刺激の量を顕著に減少することにより、当業界において有意な有利性を供する。必要とされるFSHの量のこのような顕著な減少は、受精治療におけるゴナドトロピンの投与に関する多くの問題を減少し、又は除去することから極めて有利である。特に、FSH薬用量における減少は、不妊治療を行っている女性におけるOHSSの誘導の可能性を減少するであろう。
【0037】
本明細書において議論された大半は、PDE4阻害剤の使用に関し、本発明の発見は、他のいずれかのPDE阻害剤単独、又はPDE4阻害剤との組み合わせにおける、低用量のFSHとの組み合わせにおける、又はPDE4及び低用量のFSHとの組み合わせにおける使用を支持する。例えば、他のPDE阻害剤、例えば、PDE5阻害剤は、哺乳類における排卵性卵母細胞の数を増加する方法において使用することができる。このような方法はPDE5阻害剤単独において使用でき、あるいは当該方法はPDE4阻害剤又は低用量のFSHとのいずれかの組み合わせにおいてPDE5阻害剤を使用することができ、あるいは、当該方法はPDE4阻害剤及び低用量のFSHと併用してPDE5阻害剤を使用することができる。好ましい態様において、当該阻害剤は、ホスホジエステラーゼ1型及び/又は5型から選択できる。(「選択的」PDE1型及び/又は5型の阻害剤は、例えば、他のPDE型の分子のIC50よりも、約10倍、好ましくは100倍、より好ましくは1000倍低いPDE1型及び/又は5型のIC50を示す分子を意味する。PDE酵素の分子のIC50は、例えば、Thompson, et al., Adv. Cyclic Nucleotide Res. 10 : 69-92 (1979)において報告されるとおり、試験管内アッセイにより測定することができる。また、好ましくは、PDE阻害剤は、500Da以下の分子量を有する。更に好ましい態様において、PDE阻害剤は、PDE1型の阻害剤であり、最も好ましくはPDE1型の選択的阻害剤である。好ましくは、PDE阻害剤は、非ペプチドPDE阻害剤である。更に他の好ましいものは、PDE4阻害剤がPDE5阻害剤及び低用量のFSHと併用して投与される方法である。このような方法において、PDE阻害剤が投与される場合に使用されるFSHの用量は、同じレベルの卵胞成熟を達成するためにPDE阻害剤の使用の欠如における同患者に必要であろうFSHの用量の75%以下であってよい。より好ましくは、FSHの量は、同患者において必要とされるFSHの用量の約50%以下であり、更により好ましくは、PDE阻害剤を伴わない同患者において必要とさるFSHの用量の少なくとも30%以下であろう。PDE阻害剤及びFSH組成物の使用の組み合わせ及び方法は、明細書の以下の詳細において議論される。
FSH及び他のゴナドトロピン組成物
【0038】
FSHは、2つのサブユニットから構成される下垂体の糖タンパク質ホルモンである。α−サブユニットは、FSH、並びに他の糖タンパク質であるLH、hCG及びTSHに共通であり、β−サブユニットはFSH特異性を与える。不妊治療の分野は進歩しており、そして現在、商業的に入手可能な、そして本発明の方法において使用できる多数のFSH調製物が存在する。このような商業的な調製物は、尿誘導FSH組成物及び組み換えFSH組成物を含む。これらの組成物は、例えば、PergonalTM、FertinexTM、RepronexTM、BravelleTM、HumegonTM、Gonal−F、FollistimTMを含む。これらは単に、典型的な商業的FSH調製物あり、当業者は、本発明の方法及び組成物における使用のための他のこのようなFSH調製物を産出することが可能であることを理解するであろう。先の組成物が、使用できるFSHの製剤及び薬用量としての典型的なガイダンスを供する範囲に対し、これらは以下にさらに詳細に議論される。しかしながら、このような用量及び製剤は容易に改変でき、そして1又は複数のPDE阻害剤との組み合わせにおける投与される場合、このような投与の欠如において産出される卵母細胞の数と比較してFSHの薬用量及び製剤が生体内における排卵性卵母細胞の数の増加が生じる限り、本発明の関係において有用となりうる。
【0039】
HumegonTM(Organon, West Orange, NJ)は、FSH及びLH活性を有するゴナドトロピンの精製された調製物である。ゴナドトロピンの当該調製物の使用のための特性、効能、及びプロトコルは、Physician's Desk Reference において詳細に議論されている(引用として本明細書に組み入れられているPDRTM 52nd Ed. 1998, ページ1949-1951)。端的には、各バイアルは、75 IU、又は150 IU FSH、75 IU、又は150 IU LHを含む。HumegonTM及びhCGは、無排卵の原因が機能的であり、且つ卵巣不全ではない無排卵の不妊症の女性において排卵及び妊娠のために、継続的な方法において投与することができる。同様に、HumegonTM及びhCGは、試験管内における受精プログラムに関連する排卵性の患者のために、複数の卵胞の発達を刺激するために必要とされる(即ち、卵胞発達の刺激)。典型的には、卵胞の成熟を生じるために使用されるHumegonTMの投与は、各患者に適用し、そして個別化することが必要とされる。しかしながら、典型的には、初期に推奨される用量は、筋肉内において7〜12日間投与される75 IU FSH/LH/日、続いてhCGの用量(5,000〜10,000U)であり、最後のHumegonTMの用量から1日後に投与されるであろう。典型的には、HumegonTMの治療は、治療の一過程において連続して12日以上継続するべきではない。投与のために、HumegonTMのバイアル(75 IU FSH/LH、又は150 IU FSH/LHのいずれかを含む)は2mlの無菌生理食塩水に溶解し、そして直ぐに筋肉内に投与される。
【0040】
Physician's Desk Reference (PDRTM, 52nd Ed. 1998, ページ2773-2775)において説明されているPergonalTM(Serono Laboratories Inc. , Randolph, MA)は、本発明の方法のFSH組成物を供するために使用することができる閉経後の女性の尿から調製されるゴナドトロピンの他の商業的に説明された精製した調製物である。当該組成物は、筋肉内投与のために処方される。また、これは、75 IU FSH/LH、又は150 IU FSH/LHの単一用量を含んで成る医薬組成物である。当該医薬剤は、卵巣不全を有さない女性における卵胞の成長を生じるための女性に対する投与のための組成物としてよく認識されている。単に卵胞の成熟というより排卵に影響するように、hCGのボーラス投与により、7〜12日間PergonalTM投与が続けられる。
【0041】
Physician's Desk Reference (PDRTM, 57th Ed. 2003, ページ1325-1327)において説明されているRepronexTM(Ferring Pharmaceutical Inc., Tarrytown, NJ)は、閉経後の女性の尿から単離されるゴナドトロピンの他の典型的な精製された調製物である。75 IU FSH/LH、又は150 IU FSH/LH活性の単一用量において入手可能な当該組成物は、卵巣の卵胞成長を生じるように7〜12日間投与される。十分な卵胞成熟が生じたら、排卵を誘発するためにhCGが投与される。RepronexTMは、皮下的又は筋肉内的に、過少無排卵(oligoanovulation)を伴う不妊症の患者に対して、又は補助生殖医療を行っている患者のために投与することができる。最初の指標において、内因性ゴナドトロピンの抑制のために治療的な介入を受けている患者のために、1日当たり150 IUの初期用量において、治療の最初の5日間、RepronexTMが投与される。例えば、血清中のエストラジオール濃度の臨床的なモニタリング、及び膣の超音波モニタリングに基づき、引き続く投薬は患者の個々の応答に従い上方又は下方に調節される。好ましくは、薬用量の調整は、一日おき以上でされるべきではなく、そして調整当たり75〜150 IU以上の変化を超えるべきではない。好ましくは、1日の最大用量は45 IUを超えるべきではなく、継続的なRepronexTMの治療の最大日数は12日を越えるべきではない。このような薬用量調整のガイドラインは、本明細書において議論される他のFSH調製物に対しても適用可能である。患者に卵胞の成熟の兆候がみえたら、RepronexTMに基づく治療の休止から1日後にhCGを投与する。
【0042】
補助生殖医療のためにRepronexTMで治療されている患者において、ここで患者は、初期のゴナドトロピン抑制治療を受けている(例えば、GnRH又はアンタゴニスト下垂体抑制)、典型的な初期用量は、225 IU RepronexTMであってよく、それは、続いて患者の個々の応答に従い調整することができる。有意な卵胞の発達が示されたら、卵母細胞の回収のための調製において、最後の卵胞成熟を誘導するために、hCG(5,000〜10,000USP単位)を投与する。RepronexTMの投与の結果、卵巣が異常に拡張した場合、OHSSの発達の可能性を減少させるために、hCGを与えずにおく。上述のように、当該組成物は、皮下的に投与することができる。皮下投与のために、RepronexTMを2mlの生理食塩水と混合し、そして皮下注射は下腹部に与えられる。
【0043】
Physician's Desk Reference (PDRTM, 52 d Ed. 1998, ページ2771-2773)において説明されているFertinexTM(Serono Laboratories Inc., Randolph, MA)は、閉経後の女性の尿から精製される高精製FSH調製物である。FSH組成物の精製は、FSHに対するマウスモノクローナル抗体、及び約8,500〜13,500 IU FSH/mgのタンパク質、超低量のLH、及びほかの尿タンパク質に関して95%以上の純度の特異的な活性特性を有するFSHの産出を使用して免疫親和性クロマトグラフィーを通して達成される。このような精製法は、非商業的な原料、例えば、閉経後の女性の尿からFSHを得るために容易に使用することができる。FertinexTMは、皮下的に投与することができ、そして75 IU FSH、又は150 IU FSHを含む容器中において供される。当該FSHは、75 IU〜300 IUの典型的な薬用量範囲において投与される。
【0044】
Physician's Desk Reference (PDRTM, 57th Ed. 2003, ページ1325-1327)において説明されているBravelleTM(Ferring Pharmaceutical Inc. , Tarrytown, NJ)は、本方法において使用することができる他の典型的な高精製FSH調製物である。BravelleTMは、皮下又は筋肉内に投与することができ、そして75 IU及び150 IU FSHの単位用量において入手可能である。
【0045】
Gonal FTMは、皮下投与に適当な組み替えFSH調製物である。Gonal FTMの特性及び特徴は、Physician's Desk Referenceにおいて詳細に説明されている(PDRTM, 57th Ed. 2003, ページ 3124-3128).
【0046】
商業的に入手可能なこれらの化合物に追加して、当業者は、当業者に周知な技術を使用して天然資源、例えば、閉経後の女性の尿からFSHを精製することを選択することができる(例えば、米国特許第5,767,067号を参照のこと)。
【0047】
あるいは、当業者は、当業者に周知な技術を使用して組み換えFSHを作製することを選択することができる。持続性のFSHアゴニストは、本発明の方法において有用であることが特に予想される。例えば、hCGは、FSHよりも長い半減期を有することが知られている。これらのゴナドトロピンの両方は、β−サブユニットにより与えられている特異的な活性を伴い、共通のα−サブユニットを有する。あるゴナドトロピンのα−サブユニットは他のβ−サブユニットと共に使用することができ、そして更に生理活性キメラゴナドトロピンを産出することが実証されている。更に、LHと比較して、hCGの増加した生物作用強度は、hCGのβ−サブユニットのカルボキシ末端ペプチドが原因であることが示されている(Matzuk et al., Endocrinology 126: 376-383,1990)。FSHの持続性のアゴニストは、FSHβ−サブユニットのカルボキシ末端におけるhCGβ−サブユニットのカルボキシ末端ペプチドの伸展を含み産出することができる(LaPolt et al., Endocrinology, 131: 6,2514-2520, 1992)。このようなキメラ分子は、野生型のFSHと比較して顕著に増加した循環半減期及び作用強度を有することが示されている(Fares et al. , Proc. Nat'1 Acad. Sci., 89: 4304-4308,1992)。
【0048】
FSHの原料に関わらず、卵胞の成熟の有意な誘導はFSHの最適以下の用量を使用して達成することができることが本明細書において実証されている。上述のように、不妊症処置プロトコルにおいて典型的に投与されるFSHの用量は、約7日〜約12日間で、約75 IU FSH/日〜約450 IU FSH/日の範囲である。本発明の方法において、PDE4又は他のPDE阻害剤と併用して卵胞の成熟を刺激するために使用されるFSHの用量は、過少無排卵(oligoanovulation)の処置及び/又は補助生殖医療において現在使用されている用量と同じであってよい(即ち、1日当たり75 IU FSH〜約450 IU FSH)。しかしながら、本発明はこのような用量がPDE4と併用して投与される場合、最適以下の用量であっても卵胞の成熟を得ることが可能であることを示し、これらの典型的な用量より低い用量であることが好ましい。
【0049】
本発明は、5IU FSH/日と同じ程度少量において使用できるこが意図される。従って、与えられたいずれかの処置療法は、5 IU FSH/日、10 IU FSH/日、15 IU FSH/日、20 IU FSH/日、25 IU FSH/日、30 IU FSH/日、35 IU FSH/日、40 IU FSH/日、45 IU FSH/日、50 IU FSH/日、55 IU FSH/日、60 IU FSH/日、65 IU FSH/日、70 IU FSH/日、75 IU FSH/日、150 IU FSH/日、又は1日当たりそれ以上の単位のFSHを利用することができることが意図される。当然に、これらは、1日の薬用量の単なる例示であり、特に挙げられた用量のいずれかの間の整数の他の用量も本発明の治療方法において使用することができることが理解されるべきである。更に、当該薬用量は、与えられたいずれかのFSHの投与において上方又は下方調節することができる。当該FSHは、ゴナドトロピンホルモンの投与のために通常利用されるいずれかの経路を通して投与することができる。最も好ましい投与方法は、筋肉内又は皮下注射のいずれかを介する投与である。当該処置プロトコルを通して、患者はOHSSの徴候を含む有害的な応答の徴候をモニターされる。
【0050】
FSHに追加して、他のゴナドトロピンホルモンは、本発明の方法において使用され、そして本明細書において説明されるキットにおいてパッケージングされるだろう。このようなホルモンはhCGを包含する。これは、Physician's Desk Reference (PDRTM, 57th Ed. 2003, ページ1324-1325)において説明されるNovarelTM(Ferring Pharmaceutical Inc., Tarrytown, NJ)として商業的に入手可能であり、そしてヒト胎盤により産出されるゴナドトロピンであり、そして妊娠した女性の尿から得られる。hCGの他の商業的な調製物は、PregnylTM(Organon, West Orange, NJ)である。当該ホルモンの使用のための特性、徴候、及びプロトコルは、Physician's Desk Reference(PDRTM, 57th Ed. 2003, ページ 2401)において説明される。これらの両調製物は、筋肉内注射される。典型的には、当該ホルモンは、排卵を誘発するために、約5,000ユニット〜10,000ユニットの薬用量で投与される。
【0051】
本明細書において使用され、そしてパッケージングすることができる更に他のホルモンはGnRHである。当該ホルモンの商業的に入手可能な多数の原料が存在する。GnRH及びこれらの類似体はCetrotideTM(Serono, PDRTM, 57th Ed. 2003, ページ 3119- 3121);EligardTM(Sanofi-Synthelabo, PDRTM, 57th Ed. 2003, ページ2994);LupronTM(PDRTM, 57th Ed. 2003, ページ3185);及びZoladexTM(AstraZeneca PDRTM, 57th Ed. 2003, ページ695)として商業的に入手可能である。これらの薬剤は、女性におけるLH/FSH産出を抑制するために使用され、そしてこのため、これらは毎日の排卵のために使用される。これらの薬剤の典型的な用量は、約0.25mg〜約3mgである。FSHによる卵巣刺激治療は、典型的には、月経周期の2日目又は3日目に開始される。当該GnRH又はこの類似体は1日に1回(低量、例えば、0.25mg)、又は初期から中期の卵胞期(「刺激期」)においての単一用量(例えば、3mg)のいずれかで投与される。GnRHはhCG投与の日まで投与される。超音波分析で卵胞の適切な大きさを明らかにし、hCGは排卵及び卵母細胞の最終的な成熟を誘発するために投与される。
ホスホジエステラーゼ阻害剤
【0052】
ホスホジエステラーゼ(PDE)は、細胞内の二次メッセンジャーサイクリックAMP(cAMP)及びサイクリックGMP(cGMP)の代謝に関する酵素ファミリーである。PDE4は炎症及び免疫細胞において発見される、唯一ではないが、主なcAMP代謝性酵素であるcAMP特異性PDEであり、平滑筋におけるサイクリックAMP代謝に対して有意に貢献する。PDE4は、抗うつ薬であるロリプラム(4−[3−(シクロペンチロキシ)−4−メトキシ−フェニル]−2−ピロリジノンにより阻害される(A. G. Scientific, Inc., San Diego, CA)。ロリプラムは開発されたPDE4阻害剤の第一次世代である(Conti, Biology of Reproduction 67: 1653-1661,2002を参照のこと)。引き続いて、他のこのような阻害剤は、制限されることなくピクラミラスト、ロフルミラスト、アリフロ、フィラミナスト、メソプラム、D4418、アロフィリン、CL1044を含むことが認識されている。更に、他のPDE阻害剤、例えば、シルデナフィル、AS701948/1及びAS701947/1もまた本発明に有用であろう。このように、本発明における使用のための特に好ましいPDE4阻害剤は、リリミラスト(lirimilast)(Bayer AG);CDP−840(Celltech Group PLC)、NCS−613(Centre National de la Recherche Scientifique (CNRS)、E−4021(Eisai CoLtd)、GRC−3785(Glenmark Pharmaceuticals Ltd)、IC−485(ICOS Corp);IPL−455903(Inflazyme Pharmaceuticals Ltd)、ONO−6126(Ono Pharmaceutical Co Ltd)、トフィミラスト(Tofimilast)(Pfizer Inc.)、ピクラミラスト(Piclamilast)(Rhone-Poulenc SA(Aventis SA))、シロミラスト(Cilomilast)(SmithKline Beecham PLC)、フィラミナスト(Filaminast)(Wyeth-Ayerst Pharmaceuticals Inc)、WAY−126120(Wyeth-Ayerst Pharmaceuticals IncO)、メソプラム(Mesopram)(Schering)、及びロフルミラスト(Roflumilast)(Altana)を含む。
【0053】
上述及び他のPDE4阻害剤は、当業者に周知であり、そして、例えば、米国特許第6649633号;米国特許第6624181号;米国特許第6127363号;DE1545687,DE2028869,DE2123328,DE2315801,DE2402908,DE2413935,DE3900233,EP0103497,EP0139464,EP0158380,EP0163965,EP0335386,EP0389282,EP0428302,EP0435811,EP0459505,EP0470805,EP0490823,EP0506194,EP0511865,EP0527117,EP0393500,EP0510562,EP0553174,EP0557016,EP0626939,EP0664289,EP0671389,EP0685474,EP0685475,EP0685479,EP0736532,EP0738715,EP0748805,EP0763534,EP0816357,EP0819688,EP0819689,EP0832886,EP0834508,EP0848000,JP92234389,JP94329652,JP95010875,JP98072415,JP98147585,米国特許第5,703,098号、5,739,144号、WO9117991,WO9200968,WO9212961,WO9307146,WO9315044,WO9315045,WO9318024,WO9319068,WO9319720,WO9319747,WO9319749,WO9319751,WO9325517,WO9402465,WO9412461,WO9420455,WO9422852,WO9427947,WO9501338,WO9501980,WO9503794,WO9504045,WO9504046,WO9505386,WO9508534,WO9509623,WO9509624,WO9509627,WO9509836,WO9514667,WO9514680,WO9514681,WO9517392,WO9517399,WO9519362,WO9520578,WO9522520,WO9524381,WO9527692,WO9535281,WO9535283,WO9535284,WO9600218,WO9601825,WO9606843,WO9611690,WO9611917,WO9612720,WO9631486,WO9631487,WO9635683,WO9636595,WO9636596,WO9636611,WO9636625,WO9636638,WO9638150,WO9639408,WO9640636,WO9703967,WO9704779,WO9705105,WO9708143,WO9709345,WO9712895,WO9718208,WO9719078,WO9720833,WO9722585,WO9722586,WO9723457,WO9723460,WO9723461,WO9724117,WO9724355,WO9725312,WO9728131,WO9730999,WO9731000,WO9732853,WO9735854,WO7609736905,WO9743288,WO9744036,WO9744322,WO9747604,WO9748697,WO9804534,WO9805327,WO9806692,WO9806704,WO9807715,WO9808828,WO9808830,WO9808841,WO9808844,WO9809946,WO9809961,WO9811113,WO9814448,WO9818796,WO9821208,WO9822453,WO9845268,WO9855481,WO9856756,WO9905111,WO9905112,WO9505113,WO9906404,WO9918095,WO7659501338,WO9603399,WO9636625,WO9636626,WO9735854,WO9821208,WO9831674,WO9840382,WO9855481,WO9905111,WO9905112,WO9905113,WO9931071及びWO9931090において説明されている。このような物質のいずれかは、本発明の関係においてPDE4阻害組成物として使用することができる。優れた経口的な利用可能性を有する物質は特に好ましい。
【0054】
PDE4のこれらの阻害剤は、PDE阻害剤の投与に通常利用されるいずれかの経路を通して投与することができる。典型的には、これらの化学薬剤は経口投与のために処方される。タブレットは、50μg;100μg;200μg;250μg;300μg;400μg;450μg;500μgを含んで成るように処方される。現在、ロフルミラストは、経口投与のために、約400μg/日の用量での肺の適応のために開発されている。また、このような用量は、本発明の関係において有用となりうる。PDE4阻害剤は、対象に対して、200μg/日;300μg/日;400μg/日;500μg/日、又は1〜5mg/日の1日の用量において投与される。典型的には、患者は、処置の過程において100μg/日と同じ程度少量を受けてもよい。当然に、対象は個別化された必要性に従い、より多い又はより少ないPDE4阻害剤を受けることができることが理解されるべきである。典型的には、100mg/日以上の用量は避けるべきである。PDE4阻害剤は、単一用量において送達されてもよく、あるいは与えられた期間にわたり複数用量において細分化し、投与することができる。当該阻害剤を含有する通常のタブレットの投与は、1日あたり1回、2回、3回、又はそれ以上としてよい。また、経口投与が好ましい一方で、他の投与経路を通して同程度の用量を投与することができることを理解するべきである。
【0055】
シルデナフィルは、PDE4阻害剤の処方及び投与経路としての追加的なガイダンスを供することができる医薬的に認可されたPDE5阻害剤である(例えば、PDRTM 57th Ed. ページ 2653-2656 を参照のこと)。処置プロトコルのために、当業者は、当該医薬的なPDE阻害剤のために使用されるガイドラインを使用することができる。他のPDE5、並びにPDE1阻害剤は本発明において有用となりうる。このような阻害剤は、"Inhibitors of PDE Enzymes in Infertility" と題された米国特許第60/470,434号及び本発明の卵胞の成熟法において使用することができる排卵の誘引とするためのPDE3/4阻害剤の多様性を説明している"Methods of Inducing Ovulation"と題された米国特許出願第10/014,812号(米国特許公報第20020103106,引用としてその全体において本明細書に組み入れられている)において説明されている。本発明の方法は、卵胞の成熟を増加する方法を誘導し、そして排卵の誘発方法とは異なることに注意するべきである。追加的な組成物は、PCT/EP01/14730において説明されている。
【0056】
本明細書において議論される治療と併用して有用となることができる典型的な阻害剤は、制限されることなく、5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル);ザプリナスト;ジピリマドール;5−(2−エトキシ−5−モルホリノアセチルフェニル)−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−20ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−n−プロポキシフェニル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシエトキシ)ピリジ−n−3−イル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;(+)−3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシ−1(R)−メチルエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−[2−イソ−ブトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−(l−メチルピペリジン−4−イル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−フェニル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(l−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−[2−イソ−ブトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−フェニル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(−3,4−メチレンジオキシフェニル)ピラジノ[2’,l’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(タダラフィル;IC−351),即ち、公表された国際出願WO95/19978の実施例78及び95の化合物、並びにその実施例1、3、7及び8の化合物;2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル);公表された国際出願W093/07124の実施例11の化合物(EISAI);Rotella DP,J.Med.Chem.,2000,43,1257由来の化合物3及び14;4−ブロモ−5−(ピリジルメチルアミノ)−6−[3−(4−クロロフェニル)−プロポキシ]−3(2H)ピリダジノン;1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソル−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キノゾリニル]−4−ピペリジン−カルボン酸,モノナトリウム塩;(+)−cis−5,6a,7,9,9,9a−ヘキサヒドロ−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニルメチル−5−メチル−シクロペント−[4,5]イミダゾ[2,1−b]プリン−4(3H)オン;フラジオシリン;cis−2−ヘキシル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクタヒドロシクロペント[4,5]−イミダゾ[2−,1−b]プリン−4−オン;3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート;3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート;4−ブロモ−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−6−(3−(4−クロロフェニル)プロポキシ)−3−(2H)ピリダジノン;1−メチル−5(5−モルホリノアセチル−2−n−プロポキシフェニル)−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ(4,3−d)ピリミジン−7−オン;1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソル−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キナゾリニル]−4−ピペリジンカルボン酸,モノナトリウム塩;ファーマプロジェクトNo.4516(Glaxo Wellcome);ファーマプロジェクトNo.5051(Bayer);ファーマプロジェクトNo.5064(KyowaHakko;WO96/26940を参照のこと);ファーマプロジェクトNo.5069(Schering Plough);GF−196960(Glaxo Wellcome);E−8010及びE−4010(Eisai);Bay−38−3045&Bay−38−9456(Bayer),ビンポセチン(Richter Gideon);SCH−51866(Schering−Plough),SCH−59498,(6aR,9aS)−2−(ビフェニルイルメチル)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−5−メチル−3(フェニルメチル)シクロペント[4,5]イミダゾ−[2,1−b]プリン−4(3H)−オン;5’−メチル−2’(ビフェニルイルメチル)−3’−(フェニルメチル)スピロ[シクロペンタン−1,7’(8’H)−[3H]イミダゾ[2,1−b]プリン]−4(5’H)−オン;(6aR,9aS)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−5−メチル−2−(フェニルエチニル)−3−(フェニルメチル)シクロペント[4,5]イミダゾ[2,1−b]−プリン−4(3H)−オン;ジピリダモール;AWD−12−171及びAWD−12−217(ASTA Medica),BMS−341400(Bristol Meyers Squibb),UK−343,664(Pfizer),5E−3623,5E−3569,5E−3657,E4021(Eisai),KS505a(Kyowa Hakko Kogyo),YC−1(Yung Shin Pharmaceutical Industries),IDDBレファレンスナンバー323951(Bayer),WIN−61691(Sanofi Winthrop),FR226807(Fujisawa),IDDBレファレンス461317,462503,461321,461324,466146(Johnson&Johnson);ピリジン−4−イルメチル3−(1,3−ベンゾヂオキソル−5−イル)−9−オキソ−1,3,4,テトラヒドロ−2H−ピロロ[3,4−b]キノリン−2−カルボキシレート:
【化2】

Jiang,et al.,J.Med.Chem.,46:441−444(2003)の表1に挙げられる化合物、特に化合物20b,20e,20f,20l,20o,20p,(−)−20q,20t,20u,20v,20w及び26aを含む。
【0057】
特に好ましい、PDE阻害剤は、シルデナフィル及びザプリナスト、ジピリダモール、及び化合物番号31及び33である(6aR,9aS)−2−(ビフェニルメチル)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−5−メチル−3(フェニルメチル)シクロペント[4,5]イミダゾ−[2,1−b]プリン−4(3H)−オン;及び5’−メチル−27(ビフェニルメチル)−37−(フェニルメチル)スピロ[シクロペンタン−1,77(87H)−[3H]イミダゾ[2,1−b]プリン]−4(5’H)−オンである。
【0058】
本発明の方法において使用することができるPDE阻害剤を含んで成る医薬組成物は、PDE阻害剤が意図する目的を達成するための有効量において含まれる全ての組成物を含む。更に、医薬組成物は医薬的に使用することができる当該活性化合物の調製剤への加工を促進する賦形剤及び補助剤を含んで成る適当な医薬的に受容可能な担体を含んでよい。適当な医薬的に受容可能な媒体は当業界において周知であり、例えば、当該分野におけるGennaro等の標準的な関連テキストにおいて説明されている。Gennaro, et al., of Remington's Pharmaceutical Sciences, Part 8, 20th Ed., Merck Publishing Company, Easton, Pennsylvania (2000)。医薬的に受容可能な媒体は、PDE阻害剤の投与方法並びに溶解性及び安定性に関連して慣習的に選択することができる。例えば、血管内投与のための製剤は、バッファー希釈剤及び他の適当な添加物を含むことができる無菌水溶液を含んでよい。薬剤送達のための生体適合物質及び他のポリマーの使用、並びに特定の投与方法を確認するための異なる技術及び方法は、文献において開示されている(Luo, et al., Exp. Opifa. Ther. Patents, 11 : 1395-1410 (2001); Cleland, et al., 880 Curr. Opina. Bioteclanol., 12: 212-9 (2001))。
【0059】
上記PDE阻害剤は、意図される目的を達成するいずれかの方法により投与することができる。例えば、投与は、制限されることなく、皮下、血管内、皮内、筋肉内、腹腔内、脳内、鞘内、鼻腔内、経口、直腸、経皮内、鼻腔内、又は頬側を含むいくつかの異なる経路により投与することができる。好ましくはPDE阻害剤は経口的に投与される。
【0060】
非経口的な投与は、ボーラス注射により、又は漸進的パーフュージョンにより投与することができる。投与される薬用量は、レシピエントの年齢、健康、及び体重、存在するならば、併用している治療、治療の頻度、及び所望される効果の性質に依存するであろう。各治療に必要とされる総用量は、複数用量により又は単一用量において投与することができる。
【0061】
非経口的な投与の調製物は、当業界において既知な補助的な薬剤又は賦形剤を含むことができる無菌水性又は非水性溶液、懸濁液、及び乳濁液を含む。非経口投与のための適当な製剤は、水溶性形態、例えば、水溶性塩における活性化合物の水溶液を含む。更に、油性の注射用製剤としての活性化合物の懸濁液も投与することができる。
【0062】
意図される送達の経路に依存して、PDE阻害剤は、注射用又は経口用組成物として処方することができる。経口投与のための組成物は、膨張性水溶液若しくは懸濁液、又は膨張性粉末の形態をとることができる。より一般的には、しかしながら、当該組成物は、正確な投薬を促進するための単位薬用量形態において存在する。「単位薬用量形態」の語は、ヒト対象及び他の哺乳類のための単位薬用量として適当な物理的に分離した単位を意味し、各単位は適当な医薬賦形剤に関連した所望する治療的効果を生じるために計算された活性物質の予定された量を含む。典型的な単位薬用量形態は、あらかじめ充填された、あらかじめ測定された液体組成物又は固形組成物の場合におけるピル、タブレット、カプセル等のアンプル又はシリンジを含む。このような組成物において、PDE阻害剤は所望する投薬形態を形成するために役立つ多様な媒体又は担体及び促進剤である残部を伴う通常微量な組成物である(約0.1〜約50重量%、好ましくは約1〜約40重量%)。
【0063】
経口投与に適当な液体形態は、バッファー、懸濁剤、分散剤、着色料、芳香剤等を伴う適当な水性又は非水性媒体を含んでよい。固形形態は、例えば、以下のいずれかの成分、又は同様な特性の化合物を含んでよい:結合剤、例えば、微結晶性セルロース、トラガカントゴム、;賦形剤、例えば、スターチ又はラクトース;崩壊剤、例えば、アルギニン酸、プリモゲル、又はコーンスターチ;潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム;流動促進剤(glidant)、例えば、コロイド性シリコンジオキシド;甘味剤、例えば、スクロース又はサッカリン;又は芳香剤、例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジフレーバー。
【0064】
注射用組成物は、典型的には、注射用無菌生理食塩水、又はリン酸バッファー生理食塩水、又は当業界に既知な他の注射用担体に基づく。
【0065】
経口投与又は注射用組成物のための上述の化合物は、単なる例示的なものである。更なる物質、並びに技術等は、当業者に既知である(Gennaro et al., 2000)。
【0066】
また、PDE阻害剤は持続性の遊離形態において又は持続性の遊離薬物送達系から投与することができる。また、代表的な持続性の遊離物質の説明は当業者に既知である(Karsa, et al. (ed.), Encapsulation and Controlled Release, Springer Verlag (1993); Yacobi, et al., Oral Sustained Release Formulations : Design and Evaluation, Pergamon Press (1998))。
【0067】
「有効量」は、外因性FSH又はFSH置換を伴う又は伴わない卵胞の成長を促進することができるPDE阻害剤の濃度を達成するために十分な量を意味する。このような濃度は当業者により慣習的に測定することができる。実際に投与される化合物の量は、典型的には、治療すべき状態、投与経路の選択、実際に投与される化合物、個々の患者の年齢、体重、及び応答、患者の内因性FSH濃度等を含む関連する状況に明るい医師により決定されるであろう。
【0068】
「医薬的に受容可能」の表現は、活性成分の生理活性の有効性に実質的に影響せず、且つ投与される宿主に対して毒性でないいかなる担体をも含むことを意味する。例えば、非経口投与のために、上記の活性成分は、媒体、例えば、生理食塩水、血清アルブミン、及びリンゲル液における注射のために単一の薬用量形態において処方することができる。
【0069】
更に、また、医薬的に受容可能な担体、PDE阻害剤を含んで成る組成物は、微量な添加剤、例えば、安定化剤、賦形剤、バッファー、及び防腐剤を含んで成ってよい。
【0070】
当業者は、"Inhibitors of PDE Enzymes in Infertility. "と題される米国仮出願第60/470,434を参照する。上記明細書において、試験管内における受精のために排卵を誘発し、そして卵巣過剰刺激を制御するPDE1及び/又はPDE5阻害剤の使用の方法及び組成物が記載されている。上記の全ての文は、阻害剤及びこのような阻害剤の投与のためのプロトコルを示す本明細書中に引用として組み入れられている。開示されているいずれかの阻害剤は本発明のプロトコルにおいて使用することができる。
【0071】
本明細書において使用することができる特に好ましいPDE4阻害剤は、制限されることなく、ロフルミラスト(当該化合物の製造のための方法及び組成は、W09501338において見つけることができる)、ピクラミラスト(同製造方法は、J. Med. 955 Chem. 37: 1696-1703 (1994) において説明されている)、アリフロ/シロミラスト(同製造方法は、J. Med. Chem. 41: 821-835 (1998) において説明されている)、メソプラム(洞製造方法はWO97/5561において説明されている)、フィラミナスト(同製造方法は、EP0470 805 B1において説明されている)を含む。
卵胞の成熟を誘導するためのFSH及びホスホジエステラーゼ阻害剤の組み合わせの送達
【0072】
ある観点において、本発明の方法はPDE4阻害剤と卵胞成熟を増加するための組成物を含んで成るFSHの併用を意図する。しかしながら、FSH/PDE4の組み合わせの送達治療に専ら基づく治療に追加して、本発明の方法はまた、本発明の治療方法の卵胞成熟の効果を増強するであろう第三組成物を伴う併用治療を意図する。このような第三組成物は、二次PDE4阻害剤、又はPDE4阻害剤に特異的でないPDEの二次阻害剤であってよい。例えば、本発明の方法は、更にPDE1及び/又はPDE5阻害剤の投与を含むことができることが予想される。更に、LH及び/又はhCGもまた、本発明の方法において供されるであろう。有益な治療は、PDE4阻害剤単独の投与により達成することができることが理解されるべきである。
【0073】
本明細書において意図される併用治療における適当な治療結果を達成するために、即ち、処置される哺乳類の排卵性卵母細胞の数の増加を達成するために、FSH及びPDE4阻害剤組成物が対象に一般的に投与されるであろう。これらの組成物は、所望する治療的結果を生じるために有効な併用量として供されるであろう。典型的には、上述のように、FSH処置は、7〜12日間の毎日の投与である。PDE阻害剤の投与は、FSH治療と同時に投与することができる。このような場合、PDE阻害剤及びFSHは混合物として同じバイアル中に入れることができる。あるいは、PDE4阻害剤組成物は、FSH治療の前又は後に採ることができる。更に、FSH治療が、好ましくは月経周期のいずれかにおける7〜12日間のみ投与されるべきである一方、投与が有害な副作用を生じない限り、当該周期中PDE阻害剤を継続して投与できる。あるいは、PDE阻害剤は、FSH治療よりも低頻度で投与することができる。
【0074】
第三治療剤が投与される他の態様において、当該第三薬剤は、FSH及びPDE4阻害剤治療組成物の一方、他方、又は両方と同時に再投与することができ、あるいは、FSH/PDE4治療の前又は後に投与することができる。
【0075】
2又は複数の治療組成物が別々に投与される全ての態様において、一般的に、PDE4型薬剤及びFSH投与及び/又は第三薬剤は、細胞において更に有利な併用効果を発揮することができる有意な期間が、各送達の期間中で失効しないことを補償する。このような例において、各約12〜24時間以内に、そしてより好ましくは各約6〜12時間以内に全ての3つの組成物を投与することが意図され、約12時間のみの遅延時間が最も好ましい。いくつかの状況において、処置時間を有意に延長することが望ましいであろうが、それぞれの投与の間、数日間(2、3、4、5、6、又は7)が経過する。同様に全てのプロトコルが繰り返される場合、持続周期を通してプロトコルを繰り返すことが望まれ、医師は本発明の2つの処置プロトコル間の1、2、3、4、又はそれ以上の周期の経過を許容することが望ましいことを決定できる。
患者の選択及びモニタリング
【0076】
本発明の治療を受ける患者は、好ましくは20〜45歳の女性の患者である。本発明の方法のための患者の選択は、上述の治療に基づくFSHの使用のためのPDRTMエントリーにおいて説明されるものと同じパラメーターを利用することができる。例えば、処置の前に、患者を骨盤解剖の評価を含む婦人科検診及び内分泌評価にかける。原発性卵巣不全は、基礎ゴナドトロピンレベルを測定することにより除外されるべきであり、そして患者が妊娠していないことを保証するべきである。
【0077】
本発明の処置療法を通して、患者は、OHSSの徴候ためにモニターするための治療の前、間、及び後に評価するべきである。OHSSの徴候は、制限されることなく、腹痛、腹腔膨張、悪心を含む消化管の症状、下痢、重篤な卵巣拡大、体重増加、呼吸困難、及び乏尿を含む。臨床的に、当該症状は、血液量減少、水胸急性肺障害、及び血栓塞栓症において顕著である。OHSSの症状がFSHに基づく治療の投与を通して、又はいずれかの他の薬剤が卵胞成熟の刺激のために投与される間にOHSSの症状が発生する場合、当該投与を終了するべきであり、そして対象は、入院又は他の処置が必要であるかを決定するために医学的監督下に置くべきである。FSHに基づく治療をモニターするために使用できる他の症状は、膣細胞学における変化、膣粘膜の外観及び容積、頚管粘液の牽糸性及びシダ状結晶形成を含む。これらの後半の症状は、治療のエストロゲンの影響を示し、そしてFSH投与がエストロゲン生成物を刺激するのでモニターするべきである。好ましくはこれらのエストロゲンの影響は、卵胞の発達のより直接的な測定、例えば、血清中エストラジオールの測定及び超音波検査と併用してモニターするべきである。
【0078】
妊娠以外の排卵の臨床的な徴候は、プロゲステロン生成物の直接的又は間接的な測定のいずれかを通して得ることができる。このような指標は以下を含む:基礎体温の上昇、血清中のプロゲステロンの増加、体温変化による月経。プロゲステロン生成物の上記指標と併用して、超音波検査の卵巣の可視化は、排卵が生じているかを測定することを補助するために使用することができる。このような超音波検査モニタリングは、盲嚢における体液、卵巣紅斑、及び崩壊した卵胞の存在を評価することを含んでよい。超音波検査測定はまた、卵巣がOHSSにおいて拡張しているか否かを決定することにおいて補助するであろう。
排卵を誘発するためのPDEの阻害剤の使用
【0079】
PDE阻害剤は、好ましくは、刺激期のおよそ2日目〜およそ10日目における、より好ましくはおよそ3日目〜およそ8日目患者に対して投与され、好ましくは月経周期のおよそ2日目又は3日目に開始する。OIのために、投与は、好ましくは、平均直径が16〜18mm以上である卵胞が1つ存在するまで続けられる(そして好ましくは、14mm以上の平均直径の卵胞が2つ以下)。PDE阻害剤の投与は好ましくは、排卵期を開始するためにhCGを投与する日において終了する。
【0080】
排卵誘発のために、PDE阻害剤は単独で投与することができる(内因性FSHと作用する)、又はそれはFSH若しくはFSH活性を有する薬剤と併用して投与することができ、又は内因性FSH放出を刺激する。他の卵胞刺激剤との組み合わせにおけるPDE阻害剤の投与は、同時に、別々に、又は逐次的にしてもよい。FSH活性を有する薬剤は、組み換え及び尿FSH、並びに様々な量のLH、例えば、hMGと混合したFSHもまた含む。FSH活性を有する薬剤は、FSHの類体、例えば、CTP−FSH[野生型α−サブユニット及びhCGのカルボキシ末端ペプチドがFSHのβ−サブユニットのC−末端に融合しているハイブリッドβ−サブユニットから成る長時間作用性改変組み換えFSH、LaPolt, et al., Endocrinology, 131: 2514-2520 (1992) ; 又はKlein, et al. , Human Reprod. 18: 50-56 (2003)を参照のこと]を含む。また、以下の配列から成る一本鎖FSH−CTP、一本鎖分子を含む(N−末端〜C−末端):。
【表1】

Klein et al., Fertility & Sterility ; 77: 1248-1255 (2002)において説明されるように、表中、βFSHはFSHのβ−サブユニットを示し、βhCG CTP(113〜145)はhCGのカルボキシ末端ペプチドを示し、そしてαFSHはFSHのα−サブユニットを示す。内因性FSH生成物を刺激し又は誘導し、あるいは放出する薬剤は、クエン酸クロミフェン及びアロマターゼ阻害剤、例えば、レトロゾール、YM−511、アナストロゾール、又はファドロゾールを含む。OIにおけるこれらの分子の使用は、例えば、WO02/083241及びWO02/083239において開示される。
【0081】
OIのための好ましい療法において、患者はPDE阻害剤、好ましくはPDE1及び/又は5阻害剤、より好ましくは選択的PDE1及び/又は5阻害剤、最も好ましくは選択的PDE1阻害剤を投与され、好ましくは月経後およそ3日目に開始する。これは刺激期の開始を特徴付ける。PDE阻害剤の投与は、好ましくは毎日において継続されるが、1日に2回、又は一日おきに、又は単一用量において投与してもよい。卵巣の発達の進行は、超音波によりモニターすることができる。卵胞成長は、平均直径が約16〜18mm以上である1つの卵胞が存在する場合、そして好ましくは排卵の誘引となる16mm以上の平均直径を有する2以下の卵胞が存在する場合に、LH−活性を有する薬剤、例えば、hCG(通常、5,000〜10,000IU)、LH(25,000〜70,000IU)、又はPDE IV阻害剤(公表された米国特許第出願第2002/01031061080Alにおいて説明されている)を使用して、十分に判断される(刺激期を終わらせ、そして波乱期を開始する)。それから患者は、排卵の誘引点の投与から24〜36時間後に性交を持つように指示される。あるいは受精を子宮内精子注入(IUI)により行ってもよい。
【0082】
非−刺激及び非−下方調節された(自然周期)血清中のFSHレベル以下、又は約2 IU/リットル(月経時又は約2日後に測定した)を有する患者において、排卵誘発は、好ましくは、FSH又はFSH活性を有する薬剤、又はFSHの内因性放出を刺激する薬剤との組み合わせにおけるPDE阻害剤を使用して行われる。必要とされるFSHの用量は、8日の刺激における約16mm以上の平均直径を有する卵胞の数に関して、同じ又はより優れた応答を達成するために、PDE阻害剤を受けていない患者に必要とされるものよりも低いだろう。
【0083】
FSH又は卵胞−刺激活性を有する薬剤、又はFSHの内因性放出を刺激する薬剤は、OIにおいて使用され、FSHの投与はPDE阻害剤の投与の前後に開始してよく、又は当該2つの薬剤は同時に投与開始することができる。好ましくはFSHの投与は、PDE阻害剤の投与と同時に、又はPDE阻害剤の投与のおよそ1日前に開始する。刺激期は、どちらが最初であろうと、又はPDE阻害剤のみが使用されたとしても、投与開始の日においてFSH又はPDE阻害剤の最初の投与で開始する。
調節された卵巣過剰刺激のためのPDE阻害剤の使用
【0084】
ARTのために調節された卵巣過剰刺激のために、本発明に従い、内因性FSHレベルを増強するために外因性FSH無しにPDE阻害剤を使用することができ(又は卵胞−刺激活性を有する薬剤)、調節された卵巣過剰刺激、及び複数の排卵性卵胞の発達をもたらす。患者が、約5IU/リットル又はそれ以下の非−刺激及び非−下方調節(自然周期)の血清中のFSHレベルを有する場合(月経時又はおよそ2日後に測定された)、COHは、好ましくは、例えば、上述のようなFSH又は卵胞−刺激活性を有する薬剤、又はFSHの内因性放出を刺激する薬剤と併用してPDE阻害剤を使用して行われるべきである。FSH又は卵胞−刺激活性を有する薬剤、又はFSHの内因性放出を刺激する薬剤が、COHにおいて使用される場合、FSHの投与は、PDE阻害剤の投与の前又は後に開始してよく、又は2つの薬剤は同時に開始して投与することができる。好ましくはFSHの投与は、PDE阻害剤の投与と同時に、又はPDE阻害剤の投与のおよそ1日前に開始する。刺激期は、どちらが最初であろうと、又はPDE阻害剤のみが使用されたとしても、投与開始の日においてFSH又はPDE阻害剤の最初の投与で開始する。
【0085】
COHのための好ましい療法において、患者は先ず、月経周期の黄体期(通常、月経周期のおよそ20日目)において開始するゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストの投与により内因性黄体形成ホルモン(LH)を抑制するために下方調節される。卵巣機能の抑制は通常、GnRHアゴニストで8〜21日間かかり、そして、LH又はエストラジオールレベルをモニタリングすることによりモニターすることができる(LH<5IU/L、E2<50pg/mlは通常適切な抑制を示す)。GnRHアゴニストは、例えば、ブセレリン、ゴセレリン、リュープロレリン、トリプトレリン、及びナファレリンを含む。下方調節は、卵胞の発達がPDE阻害剤、好ましくはPDE1及び/又は5阻害剤、より好ましくは選択的PDE1及び/又は5阻害剤、より好ましくはPDE1阻害剤、最も好ましくは選択的PDE1阻害剤を使用して刺激される刺激期において行われる。当該PDE阻害剤は、単独で、又は卵胞刺激ホルモン(FSH)若しくはFSH活性を有する薬剤、若しくは内因性FSH放出を刺激する薬剤の投与と併用して使用することができる。どちらが最初に開始したとしても、PDE阻害剤又はFSHで投与を開始した日が刺激期の開始として定義する。COHのためにFSHが単独で使用される一方、PDE阻害剤の使用は同じ患者に使用するよりも低用量のFSH(又は当量)を許容し、刺激の8日目において約16mm以上の平均直径を有する卵胞の数に関して、同じ又は優れた卵胞応答を達成する。好ましくは、PDE阻害剤が投与される場合に使用されるFSHの用量は、同じ卵胞応答を達成するためにPDE阻害剤を伴わない同じ患者において必要とされるFSHの75%以下であり、より好ましくはPDE阻害剤を伴わない同じ患者において必要とされるFSHの用量の約50%以下であり、最も好ましくは、FSHの用量は、PDE阻害剤を伴わない同じ患者において必要とされるFSHの用量の約30%以下である。
【0086】
PDE阻害剤が投与される場合、FSHの用量は、好ましくは1日に約25〜600IU FSHであり、好ましくは1日に約50〜450IUであり、最も好ましくは1日に約50〜300IUである。外因性FSH(又は相当物)の不存在下又は存在下におけるPDE阻害剤の刺激は、好ましくは卵胞成長が十分に判断されるまで、即ち、約16mm以上の平均直径を有する少なくとも3つの卵胞が存在するまで続けられ(好ましくは1つの18mm)、一方GnRHアンタゴニストの投与は続けられる。OIのために説明したとおり、LH活性を有する薬剤の排卵誘引性用量(例えば、5,000〜10,000IUのhCG)をそれから投与する。卵母細胞の回収は、排卵の誘引後36〜38時間にされる。卵母細胞は通常吸引により排卵前期の卵胞から回収される。卵母細胞は類別され、試験管内で受精され、そして胚は収集から約72〜96時間後に子宮に移植するために選択される。
【0087】
COHのための他の好ましい療法において、GnRHアンタゴニストが使用される。GnRHアゴニストの投与無しに、卵胞刺激ホルモン(FSH)又はFSH活性を有する薬剤又は内因性FSH放出を刺激する薬剤と併用して、PDE阻害剤、好ましくはPDE1又は5阻害剤、より好ましくは選択的PDE1及び/又は5阻害剤、より好ましくはPDE1阻害剤、最も好ましくは選択的PDE1阻害剤により通常自発性又は誘発性月経後、1、2、又は3日目に卵胞刺激が開始される。それから、GnRH−アンタゴニストは、月経後およそ6日目において投与が開始される。GnRH−アンタゴニストは、例えば、セトロレリックス、Nal−Glu、アンチド、ガニレリックス、アザリンB及びアンタレリックスを含む。PDE阻害剤及びFSH(又は相当物)での刺激は、約16mm以上の平均直径を有する少なくとも3つの卵胞(好ましくは1つの18mm)が存在するまで続けられる。それからOIのために説明されるように、排卵誘引用量のLH−活性を有する薬剤が投与される。当該GnRHアンタゴニストは排卵誘引の日まで投与される。
【0088】
COHのための他の好ましい療法において、卵胞刺激は、好ましくは月経後3〜6日目において、PDE阻害剤、好ましくはPDE1及び/又は5阻害剤、より好ましくは選択的PDE1及び/又は5阻害剤、より好ましくはPDE1阻害剤、最も好ましくは選択的PDE1阻害剤と併用してアロマターゼ阻害剤の投与により開始される。およそ6日目において、GnRHアンタゴニストが与えられ、アロマターゼ阻害剤を中止し、そしてFSHの注射を開始する。PDE阻害剤、FSH及びGnRHアンタゴニストの投与は、排卵誘引用量のhCGが投与されるまで続けられる。
試験管内における受精のための卵母細胞の使用
【0089】
本発明の方法は、hCG排卵性卵母細胞を産出するために使用される。併用されるPDE4阻害剤/FSHホルモン処置は、下垂体の下方調節を伴う又は伴わない、あるいはGnRHアンタゴニストの使用を伴う又は伴わない、及びhCGの使用を伴う又は伴わない短期又は長期の処置であってよい。当該併用されるPDE4阻害剤/FSHホルモン治療は、卵胞が中程度から完全な大きさの卵胞に成熟するまで投与される(10〜25mm、好ましくは16〜20mmのサイズの卵胞)。このような卵胞由来の卵母細胞は、内因性ゴナドトロピンホルモン生成物が抑制されない場合には患者自身の月経周期由来のhCGサージを通して、あるいは患者に対して外因性のhCG注射(例えば、5,000〜10,000ユニット)を供することにより生体内で排卵することを許容することができる。
【0090】
あるいは、中程度から完全な大きさの卵胞(大きさ10〜25mm、好ましくは16〜20mmの卵胞)は、試験管内で受精するために超音波誘導下における吸引により回収される。吸引された液体は、卵丘卵母細胞複合体(COC)を診査され、そして立体顕微鏡(胚フィルターをの使用を伴う又は伴わない)で確認し、COCを培養液中に置く。広範で多様な卵母細胞培養培地又は培地成分は当業者に既知である。このような培地はヒト結成アルブミン(HSA)を含んでもよいが、必ず含まなければならないわけではない。
【0091】
試験管内における培養後又はその間、卵母細胞は慣習的なIVFにより、又は細胞質内血清注射(ICSI)により、又は受精接合体に導入するいずれかの他の慣習的な受精方法により受精させることができる。発達している胚は、受精後1〜6日目、好ましくは2〜3日目に、単一卵移植又は複数卵移植のいずれかとして移植することができる。
【0092】
患者は、適当な受容性の子宮内膜系統を刺激及び維持するために個々に設計されたプロトコルにおいて卵移植の前後においてプロゲステロン及び/又はエストロゲン治療を受けることができる。
【0093】
本発明の方法は、例えば、上述のようなIVF手順において使用される排卵性卵母細胞の増加数を産出する。しかしながら、本発明の方法は、未成熟卵母細胞の試験管内における成熟に有用となりうる。このような態様において、卵母細胞は、ゴナドトロピンの中周期サージに暴露する前に卵巣の胞状卵胞から回収され、従って未成熟又は完全には成熟していない卵母細胞として特徴づけられる。ヒト卵母細胞、並びに他の種由来の卵母細胞は、卵丘拡張をほとんど又は全く有さないことが認識されるであろうし、胚胞があり、極体がないことが認識され、そしてIVF−処置における当業者により簡単に認識されるであろう。このような処置が、補助生殖医療のための回収と言うよりは、自然受精のための単一又は優勢の卵胞の成熟を増大できる場合、本発明の治療の1つの潜在的な使用は非−IVFプロトコルにおけるCC又はFSHの置換に対するものであろう。
【0094】
本明細書における多くの議論はヒトの卵胞の成熟を説明したが、本発明の方法は他の哺乳類、例えば、ペット(例えば、ネコ、イヌ、又はモルモット);又は動物園の動物(例えば、霊長類)のIVFのための卵母細胞の産出のために利用できることが意図される。更に好ましい態様において、哺乳類、好ましくは家畜、例えば、ウシ、ウマ、ブタ、ミンク、ヤギ、又はヒツジは産業の一部である。最も好ましい態様において、哺乳類はヒトである。試験管内の成熟のために、未成熟卵母細胞は、受精することができる成熟卵母細胞を産出するために、試験管内においてPDE阻害剤、又はPDE阻害剤及びゴナドトロピンホルモンで処置される。
医薬組成物及びキット
【0095】
本発明に従う投与のための医薬組成物は、少なくとも1のゴナドトロピンホルモン、好ましくは医薬的に受容可能な担体と任意的に組み合わせた医薬的に受容可能な形態おける本発明に従うFSHを含んで成ってよい。これらの組成物は、これらの意図された目的を達成するいずれかの方法により投与することができる。本発明の方法を使用する卵胞の成熟の刺激ためのFSH組成物の投与のための個別的な量及び療法は、無排卵疾患の処置におけるこのような組成物の使用及び補助生殖医療におけるこれらの使用のために、Physician's Desk Reference により供されるガイダンスを使用して当業者により容易に決定することができる。上述の通り、当業者はこのような医薬関係において現在使用されているFSHの量及び療法を最初に利用することができる。当該効果に対して、当業者は上述の Physician's Desk Reference における各エントリーを参照し、そしてこれらのエントリーは、薬剤、例えば、本明細書において上述したFertinexTM、Gonal FTM、BravelleTM等の投与のための方法及び組成物を示すために、これらのエントリーにおける引用により本明細書に組み入れられている。Physician's Desk Reference 中のこれらの各エントリーは、FSHの投与において使用することができる処方の種類、投与経路、及び治療法に関して典型的なガイダンスを供する。そこに説明されている当該プロトコル、処方、投与経路等のいずれかは、本発明における使用のために容易に修正することができる。
【0096】
本発明の範囲における組成物は、単独で投与される場合、又はより好ましくは低用量のFSHと併用して投与される場合のいずれかにおいて、動物における排卵性卵母細胞の数を刺激、誘発、あるいは増加の意図された目的を達成するための有効量において、本発明に従う少なくとも1つのPDE4阻害剤を含んで成る全ての組成物を含む。PDE4阻害剤及び/又は本発明において使用される他の活性剤は、このような投与のために通常利用されるいずれかの方法により投与することができる。当業者は特に、出願に関する受胎能におけるPDE阻害剤の投与の量及び経路を説明する"Inhibitors of PDE Enzymes in Infertility"と題される米国特許出願第60/470,434号、米国特許公報第20020103106号、及びPCT/EP01/14730を参照する。最も好ましくは、本発明において使用される組成物は経口的に投与される。
【0097】
個々は変化を必要とするが、各成分の有効量の最適な範囲の決定は、当業者の範疇である。典型的なFSHの薬用量は、7〜12日間において、約5IU FSH/日〜約75IU FSH/日を含んで成る。hePDE4阻害剤の典型的な用量は、約5mg/日〜約100mg/日、又はそれ以上であってよい。継続する間、PDE4の毎日の投与は、FSHの投与を終えると同時にPDEの投与を終えることが望ましいことが予想される。当然にFSH治療が、伝統的に7〜12日間与えられる間、本発明の文脈において、増加した卵胞の成熟の治療的な有利な結果に影響するための単一又は微低用量のFSHのみが必要とされてよい。OHSSの徴候が観察された場合には治療を中止するべきである。
【0098】
本発明に従う組成物の適当な用量は、レシピエントの年齢、健康、及び体重、存在するならば、併用する治療、治療の頻度、及び所望する効果の性質に依存するであろうことが理解される。しかしながら、最も好ましい薬用量は、過度の実験をすることなく当業者により理解され、決定できるように個々の対象に合わせることができる。これは典型的には、標準的な用量の調節、例えば、患者が軽い体重を有する場合、当該用量を減少することを含む。
【0099】
上述のように、各処置に必要とされる総用量は、複数用量又は単一用量において投与することができる。上記組成物は、単独で又は疾患に対する治療若しくは他の症状に対する治療と併用して投与することができる。
【0100】
本明細書の開示から明らかなように、広範な観点において、本出願はPDE阻害剤を含有する第一組成物、及びFSHを含有する第二組成物を含んで成る併用治療の臨床的な適用が意図される。従って、当該組成物は、適当な医薬組成物、即ち、このような併用治療における生体内の適用に適当な形態に処方するべきである。一般的に、これは発熱物質、並びにヒト又は動物に有害な不純物を含まないことが必須である組成物の調製を必要とするであろう。当該FSH製剤は、本明細書を通して議論される現在入手可能なFSH調製物と同様に処方することができる。PDE4阻害製剤は、例えば、周知なPDE5阻害剤であるViagraTMと同様に処方することができる。
【0101】
標的部位において組成物を取り込むのに適当なそして許容する組成物を与えるために適当な塩及びバッファーを利用することが一般的に所望されるであろう。一般的に、本発明のホルモン組成物は、投与前に再構成される凍結乾燥形態において供され、そしてPDE4阻害剤組成物はおそらくタブレット形態に処方される。当該ホルモンの再構成のためのバッファー及び溶液は、投与のための本発明の水性組成物を産出するために医薬製剤と共に供することができる。このような水性組成物は、医薬的に受容可能な担体又は水性媒体において使用され、溶解され、又は分散する治療薬剤の各の有効量を含んで成るであろう。また、このような組成物は、接種材料としても適用する。「医薬的又は薬理的に受容可能」のフレーズは、動物又はヒトに投与した場合に、有害な、アレルギー性の、又は他の有害な反応を産出しない分子実体及び組成物を意味する。本明細書において使用される「医薬的に受容可能な担体」は、いずれかの及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤等を含む。医薬活性物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は当業界において周知である。いずれかの慣習的な媒体又は薬剤が治療組成物と不適合である範囲を除き、治療組成物におけるその使用が意図される。補充的な活性成分もまた当該組成物に組み入れることができる。
【0102】
本発明の活性組成物は、本明細書において議論された古典的なFSHの医薬調製物、並びに当業者に既知であるこれらのものを含む。また、PDE4阻害剤も当業者に既知である。本発明に従うこれらの組成物の投与は、標的組織がその経路を介して利用できる限り、いかなる通常の経路も介するであろう。経口投与が問題である場合、例えば、皮下、血管内、筋肉内、乳内、腹腔内、くも膜下腔内、眼内、延髄後、肺内(例えば、期間放出)、エアロゾル、舌下、経鼻、肛門、膣、又は経皮性送達による、又は特定の部位での外科的移植による最も一般的な投与経路を使用することもできる。治療は、期間にわたって、単一用量又は複数用量から成ってよい。
【0103】
活性化合物は、海面活性剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロースと適当に混合した水中の遊離塩基又は医薬的に受容可能な塩の溶液としての投与のために調製することができる。また、分散剤もグリセロール、液体ポリエチレングリコール、及びこれらの混合体中、及び油中で調製することができる。貯蔵及び使用の通常の条件下において、これらの調製物は、微生物の成長を防止するために防腐剤を含む。
【0104】
注射の使用に適当な医薬形態は、無菌の注射用溶液又は分散剤の即席の使用のための無菌水性溶液又は分散剤及び無菌粉末を含む。すべての場合において、当該形態は無菌でなければならず、そして容易なシリンジ能が存在する範囲の液体でなければならない。それは製造及び貯蔵条件下において安定でなければならず、そして微生物、例えば、細菌及び真菌の汚染作用に対して保存されなければならない。当該担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、これらの適当な混合体、及び植物油を含む溶媒又は分散媒体であってよい。当該適当な流動性は、例えば、コーティング剤、例えば、レシチンの使用により、分散の場合に必要とされる粒子サイズの維持により、及び海面活性剤の使用により維持することができる。微生物作用の防止は、多様な抗菌及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によりもたらすことができる。多くの場合において、等張剤、例えば、糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましいであろう。注射用組成物の遅延性の吸収は、吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの組成物における使用によりもたらすことができる。
【0105】
無菌注射用溶液は、必要量の活性化合物を、必要ならば上記に列挙した多様な他の成分を伴う適当な溶媒中に組み入れること、続いて無菌的にろ過されることにより調製される。一般的に分散剤は、多様な無菌活性成分を、塩基性分散媒体及び上記に列挙したもの由来の必要とされる他の成分を含む無菌媒体に組み入れることにより調製される。無菌注射用溶液の調製の無菌粉末の場合において、好ましい調製方法は、活性成分と前述の無菌ろ過溶液由来のいずれかの追加的に所望される成分の粉末を産出する真空乾燥及び凍結乾燥技術である。
【0106】
本明細書において使用される「医薬的に受容可能な担体」は、いずれかの及び全ての溶媒、分散媒体、コーティング剤、抗菌剤、及び抗真菌剤、等張剤、及び吸収遅延剤等を含む。医薬活性物質のためのこのような媒体及び薬剤の使用は当業界において周知である。いずれかの慣習的な媒体又は薬剤が活性成分と不適合である範囲を除き、治療組成物におけるその使用が意図される。補充的な活性成分もまた当該組成物に組み入れることができる。
【0107】
本発明の組成物は天然又は塩形態において処方することができる。医薬的に受容可能な塩は、無機酸、例えば、塩酸、若しくはリン酸、又は有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸、等と形成する酸添加塩(タンパク質の遊離アミノ基と形成される)を含む。また、遊離カルボキシル基と形成される塩は、無機塩基、例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、又は水酸化第二鉄、及び有機塩基、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等に由来することができる。
【0108】
製剤において、溶液は製剤の投薬量に適合した方法及び治療的に有効な量において投与されるであろう。当該製剤は様々な投薬形態、例えば、注射用溶液、薬剤放出カプセル等において容易に投与される。水溶液における非経口的な投与のために、例えば、必要ならば溶液は適当なバッファーとすべきであり、そして液体希釈剤は、最初に十分な生理食塩水又はグルコースで等張性を与えるべきである。これらの特別な水性溶液は、特に、血管内、筋肉内、皮下及び腹腔内投与に適当である。
【0109】
「単一用量」は、適当な担体中に分散する治療組成物の別々の量として定義される。FSH及びPDE阻害剤の好ましい用量の例は上述されている。1又は両方の治療化合物の非経口投与は、薬剤製品の治療的な循環レベルを維持するために、最初にボーラスで、続いて連続的インフュージョンで行うことができる。当業者は、優れた医療行為及び個々の患者の臨床的な状態により決定した通り、有効投与量及び投与療法を容易に最適化するであろう。
【0110】
投薬の頻度は、薬剤の薬物動態学的なパラメーター及び投与経路に依存するであろう。最適な医薬製剤は、当業者により、投与経路及び所望される薬用量に依存して決定されるであろう。例えば、引用として本明細書に組み入れられている Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Mack, Easton, PA (1990) を参照のこと。このような製剤は、物理状態、安定性、投与された薬剤の生体内放出速度及び生体内クリアランス速度に影響しうる。投与経路に依存して、適当な用量は、体重、体の表面積、又は器官の大きさに従い計算することができる。更に、適当な治療用量を決定するために必要な計算の改良は、特に薬用量の情報、及び本明細書において開示されるアッセイ、並びに臨床的な試験動物又はヒトにおいて観察される薬物動態学的なデータに明るい当業者により、過剰な実験を有することなく慣習的に行われる。
【0111】
適当な薬用量は、関連する用量応答データと併用して血液レベルを測定するための確立されたアッセイの使用を通して確かめることができる。最終的な薬用量療法は、医師の診断、薬剤の作用を改変する因子、例えば、薬剤の特異的な活性、患者の損傷の重症度及び応答性、患者の年齢、状態、体重、性別、及び食事、いずれかの感染の重症度、投与時間及び他の臨床的な因子を考慮することにより決定することができる。実験を行うことにより、更に適当な薬用量レベル並びに特定の疾患及び状態のための持続時間に関する情報が現れるだろう。
【0112】
本発明の医薬組成物及び処置方法は、ヒト医薬及び獣医薬の分野において有用であることが認識されるであろう。従って治療すべき対象は、哺乳類、好ましくはヒト又は他の動物であってよい。獣医目的のために、対象は、家畜、例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、ヤギ、コンパニオン動物、例えば、イヌ、ネコ、外来の及び/又は動物園の動物、実験動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、及びハムスター;及び家禽、例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、及びガチョウを含む。
【0113】
また、本発明は、不妊疾患の処置における使用のためのキットを意図する。このようなキットは、少なくとも医薬的に受容可能な担体におけるFSHを含んで成る第一組成物、及び医薬的に受容可能な担体において少なくとも1つのPDE4阻害剤を含んで成る第二組成物を含む。当該キットは追加的に、第一及び第二組成物の伝達に影響するための溶液又はバッファーを含んで成ってよい。当該キットは、更にPDE阻害剤、例えば、追加的なPDE4阻害剤、又は追加的なPDE1又はPDE5阻害剤、及び/又は更にホルモン、例えば、hCG、LH等を含む追加的な組成物を更に含んで成ってよい。当該キットは、カテーテル、シリンジ、又は、本発明の方法において使用される1又は複数の組成物の送達のための他の送達装置を更に含んで成ってよい。当該キットは、当該治療法のための投与プロトコルを含む説明書を更に含んで成ってよい。
【実施例】
【0114】
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を説明するために含まれる。本発明の実施においてよく機能するために、実施例において開示されている技術が発明者により発見された技術を表すことが当業者により認識されるべきであり、従ってその実施のために好ましい型を構成することを考慮することができる。しかしながら、本開示に明るい当業者は、多くの変更が、開示された特別な態様において行うことができ、そしてなお本発明の精神及び範囲から離れることなく同様な又は類似した結果を得ることができることを認識する。
材料及び方法
【0115】
動物:受領において体重が36〜39gの未成熟Sprague Dawley CD(SD)BRメスラットが使用された。当該動物は、以下の定常環境条件化において飼育した:温度22℃±2、相対湿度55%±10、1時間当たり15〜20回空気交換(HEPA99.99%におけるろ過)及び12時間の概日周期の人工照明(7時〜19時)。
【0116】
実験の全期間、ラットは、ステンレススチールフィーダーを伴うケージにおいて飼育し(cm.40.5×38.5×18h)、そして標準的なペレット状の食餌(Charles River Italia's licensee Mucedola s. r. l.により生産された4RF21)及び水を「自由に」与えた。
【0117】
化学物質:ヒト組み換え卵胞刺激ホルモン(r−hFSH)及びヒト組み換え絨毛性ゴナドトロピン(r−hCG)は、Laboratoires Serono Aubonne (LSA, Aubonne, Switzerland)により供された。試験化合物は、公表された化合物合成法に基づき合成されたか、又は商業者から購入した。特に、当業者は、ロフルミラストの製造方法を示すW09501338、ピクラミラストの製造方法の詳細な説明のためのJ. Med. Chem. 1994,37, 1696-1703、アリフロ/シロミラストの製造方法の説明のためのJ. Med. Chem. 1998,41, 821-835、メソプラムの製造方法のためのW097/15561、及びフィラミナストの製造方法のためのEP0470 805 B1を参照する。他の試験化合物(ジピリダモール、ザプリナスト、シルデナフィル)は、公表された化合物の合成方法に基づき合成したか、又は商業者から購入した。更に、"Inhibitors of PDE Enzymes in Infertility" と題された米国特許出願第60/470,434号、米国特許公報第20020103106号、及びPCT/EP01/14730は、本明細書において使用することができるこのような化合物に関して他に示す通り、引用により本明細書に組み入れられている。
【0118】
生体内ラット卵胞成熟アッセイ:未成熟メスラットは実験の前の週の金曜日に、18〜19日齢で、授乳しているメス(授乳中のメスあたり10匹の子供)と共に到着した。すべてのラットは、翌月曜日に母親から離乳させ(21〜22日齢)、そして、任意に実験グループに選別した(6〜8動物/グループ)。
【0119】
上記ラットに皮下的に2日間、1日に2回(最初の注射:8.30〜9.00及び2回目の注射15.30〜16.00)、250μL/注射の容量においてr−hFSH又は媒体(PBS)注射した(首の後部)。注射したFSHの用量は、ポジティブコントロールとして最適以下(606ng/ラットの総用量を4回の注射に分けた;図において「低FSH」として示す)又は高(2424.8ng/ラットの総用量を4回の注射に分けた;図において「高FSH」として示す)とした。
【0120】
上記注射に追加して、示した容量(mg/kg/注射)において2日間1日に2回、ラットにFSH注射と同時に試験化合物又は媒体を皮下注射した。これらの化合物NP3S(n−メチル−2−ピロリジン5%、ポリエチレングリコール400 30%、ポリエチレングリコール200 25%、プロピレングリコール20%、生理食塩水20%)又は水性媒体のいずれかに希釈した。従って、卵胞成長を促進するために各ラットが受けた注射の総数は8回であり、r−hFSH又はr−hFSH媒体の4回の注射、及び試験化合物又は試験化合物媒体の4回の注射を含む。
【0121】
最後のr−hFSH注射を伴う実験の2日目において、全ての又はほとんどの成熟した卵胞の排卵を誘発するために、ラットをr−hCG(1430ng/ラット)の一度の皮下的注射でまた処置した。
【0122】
r−hCG投与後の朝10時に、ラットをCO2窒息により安楽死させた。当該動物を仰向けに寝かせ、そして無菌化し、そして動物の解剖において落ちる体毛を保持するために側面をエタノールで噴霧した。ハサミ及びピンセットにより、皮膚と筋肉を恥骨結合から胸骨まで反口−口方向に切開した。内部器官を暴露し、そして腸を片方に移動させた。脂肪及び結合組織を摘まみながら、卵巣、子宮角及び子宮体を除去した。それから生殖路を、PBSを含有する24ウェルプレート中のウェルに置いた(1動物/ウェル)。
【0123】
全ての動物を犠牲にし、当該卵巣を摘出した後、卵管を静かに卵巣から除去し、PBS中に浸漬し、そして顕微鏡スライドに置いた。それから当該卵巣を取り、浄化し、そして秤量のためにPBS中に置いた(子宮は処分した)。
【0124】
卵管の対を1つのスライドに置き、それから両方のスライドの被せた端を固定するためにテープ断片を使用してスライドを最初のスライドの上層に置いた。卵管をボトムスライドに置いた後、トップスライドを折り、そして被されていない端をテープし、2つのスライド間の卵管を加圧した。当該卵管をそれからコントラスト条件下において光学顕微鏡で調べ(40×拡大率の最小)、そして存在するとすれば、各ラットの2つの膨大部に存在する卵子をカウントした。当該結果は、ラット当たりの排卵した卵母細胞の平均数としてグラフにした。エラーバーは、各グループの平均値の標準誤差を表す。
実施例1:低−用量のFSHとの組み合わせにおける多様なPDE阻害剤を使用する排卵の誘発
【0125】
実験は、上述の生体内におけるラット卵胞成熟アッセイに従い行った。ある実験において、組織学的アッセイの処置の2日目の日中において、注射の最後のセットの前に卵巣をラットから摘出した。これらのラットは、安楽死及び器官の摘出の前にFSH及び試験化合物の最初の3つの用量のみを受けた。二次卵胞は、二次卵胞の総数をカウントすることにより評価した:両方の小さな卵胞(成熟の中間期のいずれかにおける、最初の散乱した空胞を伴うが洞は伴わない多層顆粒膜を有する)及び胞状卵胞(顆粒膜細胞層の減少を伴う又は伴わない約500ミクロン又はそれ以上の外径を伴う洞拡張を有する)を含む。胞状卵胞(500mcm)もまた別々にカウントした。
データ分析:
【0126】
排卵している動物の割合、ラット当たりの膨大部において存在する卵子の平均数、及び平均卵巣重量は、各実験グループの1つの値から算出し、そして関連グラフをプロットした。全ての図は、平均値プラス/マイナス平均値の標準誤差を示す。当該図において、標準誤差バーの上の数字は、グループ中のラットの総数と比較した1又は複数の排卵した卵子を有するグループ中のラット数を意味し、例えば、X/Yは、Yの総数当たりXのラットが1又は複数の排卵した卵子を有したことを意味する。
試験した化合物
以下の化合物を上記プロトコルにおいて試験した:
(i)ザプリナスト(PDEの1,5,6,7,9,10,11の阻害剤);
(ii)シルデナフィル(PDEの1,5及び6阻害剤);
(iii )ジピリダモール(PDEの5,6,7,8,10,11の阻害剤);
(iv)タダラフィル(PDEの5及び6の阻害剤)
(v)化合物番号31((6aR,9aS)−2−(ビフェニルイルメチル)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−5−メチル−3(フェニルメチル)シクロペント[4,5]イミダゾ−[2,1−b]プリン−4(3H)−オン)(PDE1の阻害剤)
(vi)化合物番号33(5’−メチル−2’(ビフェニルイルメチル)−3’−(フェニルメチル)スピロ[シクロペンタン−1,7’(8’H)−[3H]イミダゾ[2,1−b]プリン]−4(5’H)−オン)(PDE1の阻害剤)
【0127】
これらの分子は、様々なPDE酵素のための以下の選択性を示すことが示される:
【表2】

*PDE3は卵母細胞中で発現し、PDE3の阻害剤は非至適卵母細胞の成長に導くことができることから、好ましくはPDE阻害剤はPDE3に対して選択的である。Wiersma, et al., J. 1530 Clin. Invest., 102 (3): 532-537 (1998)。
**PDE6は網膜の桿体及び錐状体中で発現し;PDE6阻害剤は、穏やかな視覚障害を引き起こしうる;好ましいPDE阻害剤はPDE6に対して選択的である(即ち、好ましくは、PDE6と比較してPDE1又はPDE5を阻害するために少なくとも又は約100倍以上の能力を有する);
結果:
【0128】
ジピリダモール(PDEの5,6,7,8,10,11の阻害剤)は、低用量のFSHを伴うNP3Sにおいてラット当たり1、5及び25mg/kg×4注射の用量において投与し(皮下的に)、低用量のFSH+NP3S媒体コントロールと比較してラット当たり排卵性卵母細胞の数の増加をもたらした。FSH低用量単独では、ラット当たり1つの卵母細胞の平均が得られ、10匹中4匹のラットのみが排卵した。反対に、FSH低用量をジピリダモール(1、5又は25mg/kg)と併用して投与した場合、ラット当たりの卵母細胞の平均数は、それぞれ7.5、6.8及び6.2であり、そして10匹中7匹、10匹中6匹、又は10匹中10匹のラットがそれぞれ排卵した。これらの結果は図1に示す。
【0129】
ザプリナスト(PDEの1,5,6,7,9,10,11の阻害剤)は、低用量のFSHを伴うNP3Sにおいてラット当たり1、5及び25mg/kg×4注射の用量において投与し(皮下的に)、低用量のFSH+NP3S媒体コントロールと比較してラット当たり排卵性卵母細胞の数の用量関連性の増加をもたらした。FSH低用量単独では、ラット当たり2.4の卵母細胞の平均が得られ、10匹中5匹のラットのみが排卵した(実験1)。反対に、FSH低用量をザプリナスト(1、5又は25mg/kg)と併用して投与した場合、ラット当たりの卵母細胞の平均数は、それぞれ3.25、6.4及び9.5であり、そして10匹中6匹、10匹中9匹、又は10匹中10匹のラットがそれぞれ排卵した(実験1)。これらの結果は図2に示す。
【0130】
シルデナフィル(PDEの1,5及び6阻害剤)は、低用量のFSHを伴うNP3Sにおいてラット(皮下的に)当たり1、5及び25mg/kg×4注射の用量において投与し、低用量のFSH+NP3S媒体コントロールと比較してラット当たり排卵性卵母細胞の数の用量関連性の増加をもたらした。FSH低用量単独では、ラット当たり1の卵母細胞の平均が得られ、10匹中3匹のラットのみが排卵した(実験1)。反対に、FSH低用量をシルデナフィル(1、5又は25mg/kg)と併用して投与した場合、ラット当たりの卵母細胞の平均数は、それぞれ3.5、5.5及び6.9であり、そして8匹中6匹、8匹中5匹、又は8匹中7のラットがそれぞれ排卵した(実験1)。これらの結果は図3に示す。
【0131】
媒体、低FSH、高FSH、又は低FSH+75mg/kgのシルデナフィルで処置したラットにおけるラット当たり(2つの卵巣)の二次卵胞の総数を図4に示す。二次卵胞の総数は、シルデナフィル+FSHグループにおける方が他のいずれかのグループにおける場合よりも多い[媒体=69;低FSH=64;低FSH+シルデナフィル=84;高FSH=64]。
【0132】
媒体、低FSH、高FSH、又は低FSH+75mg/kgのシルデナフィルで処置したラットにおけるラット当たり(2つの卵巣)の胞状卵胞の総数を図5に示す。シルデナフィル+FSHで処置したラットにおける胞状卵胞の総数は、低FSHで処置したラットにおける胞状卵胞の数よりも多い[媒体=3.2;低FSH=4.1;低FSH+シルデナフィル=7.4;高FSH=9.5]。
【0133】
シルデナフィルは、低用量のFSHを伴う水性媒体においてラット(皮下的に)当たり1、5及び25mg/kg×4注射の用量において投与し、低用量のFSH単独+水性媒体コントロールと比較して、ラット当たり排卵性卵母細胞の数の用量関連性の増加をもたらした。FSH低用量単独では、ラット当たり1の卵母細胞の平均が得られ、そして8匹中2匹のラットのみが排卵した。反対に、FSH低用量をシルデナフィル(5mg/kg)と併用して投与した場合、ラット当たりの卵母細胞の平均数は、20であり、そして8匹中7匹のラットが排卵した。これらの結果は図6に示す[注意:図6は、媒体が有機NP3S−SMでなく水性であるという点において図3とは異なる]。
【0134】
タダラフィル(PDEの5及び6の阻害剤)は、低用量のFSHを伴う水性媒体においてラット(皮下的に)当たり25mg/kg×4注射の用量において投与し、低用量のFSH単独+NP3S媒体コントロールと比較して、ラット当たり排卵性卵母細胞の数の用量関連性の増加をもたらした。FSH無しを使用した場合、ラット当たり1以下の卵母細胞が回収された。これらの結果は図7に示す。FSH無しで投与した場合、ラット当たり平均1の卵母細胞が回収された。最適以下の用量のFSH(「低FSH」:ラット当たり151.5ng×4)では、ラット当たり平均5の卵母細胞が回収された。最適以下の用量をタダラフィルと併用した場合(ラット当たり25mg/kg×4;「低FSH+タダラフィル」)、ラット当たり平均16の卵母細胞が回収された。高用量のFSH(「高FSH」:ラット当たり606.2ng×3)では、ラット当たり平均21の卵母細胞が回収された。
【0135】
Ahn, et al., J. Med. Chem., 40: 2196-2210 (1997) 由来の化合物番号31である((6aR,9aS)−2−(ビフェニルイルメチル)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−5−メチル−3(フェニルメチル)シクロペント[4,5]イミダゾ−[2,1−b]プリン−4(3H)−オン)(PDE1の阻害剤)を以下に示す:
【化3】

【0136】
化合物番号31は、低用量のFSHを伴うNP3Sにおいてラット当たり25mg/kg×4注射の用量において投与し(皮下的に)、低用量のFSH単独+NP3S媒体コントロールと比較して、ラット当たり排卵性卵母細胞の数の用量関連性の増加をもたらした。これらの結果は図8に示す。FSH無しで投与した場合、ラット当たり平均1の卵母細胞が回収された。最適以下の用量のFSH(「低FSH」:ラット当たり151.5ng×4)では、ラット当たり平均5の卵母細胞が回収された。最適以下の用量を化合物番号31と併用した場合(ラット当たり25mg/kg×4)、ラット当たり平均18の卵母細胞が回収された。高用量のFSH(「高FSH」:ラット当たり606.2ng×3)では、ラット当たり平均21の卵母細胞が回収された。
【0137】
Ahn, et al., J. Med. Chem., 40: 2196-2210 (1997) 由来の化合物番号33である(5’−メチル−2’(ビフェニルイルメチル)−3’−(フェニルメチル)スピロ[シクロペンタン−1,7’(8’H)−[3H]イミダゾ[2,1−b]プリン]−4(5’H)−オン(PDE1の阻害剤)を以下に示す。
【化4】

【0138】
化合物番号33は、低用量のFSHを伴うNP3S媒体においてラット当たり25mg/kg×4注射の用量において投与し(皮下的に)、低用量のFSH単独+NP3S媒体コントロールと比較して、ラット当たり排卵性卵母細胞の数の用量関連性の増加をもたらした。これらの結果は図9に示す。FSH無しで投与した場合、ラット当たり平均1の卵母細胞が回収された。最適以下の用量のFSH(「低FSH」:ラット当たり151.5ng×4)では、ラット当たり平均5の卵母細胞が回収された。最適以下の用量を化合物番号33と併用した場合(ラット当たり25mg/kg×4)、ラット当たり平均27の卵母細胞が回収された。高用量のFSH(「高FSH」:ラット当たり606.2ng×3)では、ラット当たり平均20の卵母細胞が回収された。
【0139】
メソプラムは、低用量のFSHと共に0.08、0.4、及び2mg/kg/日において投与した。卵胞の成熟の有意な増強は、低FSH単独を受けたグループに見られた。高用量において、卵巣の成熟が減少しているようであった。それから、メソプラムをより低用量:0.032、0.016、0.08mg/kgで低用量のFSHと一緒に投与し、用量依存性の卵胞の成熟の増加を示し、0.08mg/kgにおいて有意性に達した。これらの結果は図15に示す。
【0140】
上記モデルにおいて他のPDE阻害剤を試験し、当該結果は表1に挙げる。
表1.多様なPDE阻害剤の卵胞成長活性
【表3】

実施例2:低用量FSHとの組み合わせにおける多様なPDE阻害剤を使用するcAMPの誘導
【0141】
上述の通り産出したラット顆粒膜細胞の評価に追加して、細胞株中のcAMPを測定するために、JC−410ブタ顆粒膜細胞を使用した。これらの細胞は Dr. Jorge Chedrese (University of Saskatchewan)から入手した。当該細胞は、5%新生仔ウシ血清(Gibco)及び5μg/mlのインシュリン(Gibco)で補助したDMEM/F12中に維持した。安定な細胞株は、ヒトLH及びFSHレセプターのcDNAを標準的なトランスフェクション技術の使用及び300μg/mlのジェネテシン(Gibco)での選択により、細胞にトランスフェクションすることにより確立した。選択後、当該細胞を同濃度のジェネテシン中に維持した。cAMPの測定のために、当該細胞は、アッセイの1日前に96ウェルプレート中に、ウェル当たり25,000細胞の密度で置いた。翌日、当該細胞は、示される通り、1nMのFSHの存在下又は不存在下において増加用量の阻害剤分子で1時間刺激した。全ての化合物は、4%DMSO(アッセイにおける最終濃度は0.5%)を含有するアッセイバッファー(DMEM/F12、0.1%BSA−Sigma)中に希釈した。1時間の刺激後、当該細胞を溶解し、そして商業者のプロトコルに従いcAMPをTropix cAMP−Screenアッセイ(Applied Biosystems)を使用してアッセイした。
【0142】
原発卵巣分散培養液中のcAMPの測定は、以下のようにモニターした。卵巣をSDラット(22日齢)から摘出し、そして3〜5mlの消化培地中で手術用顕微鏡下で皮膜を取り除いた。当該消化培地は、8mg/mlのコラゲナーゼ(Sigma)、及び0.05%のDNase(Invitrogen)を含有するアッセイ培地(1mg/mlのBSA(Sigma)、5μg/mlのゲンタマイシン及び3μg/mlのアンホテリシンB(Gibco)で補充したMcCoy’s5A培地)から成る。皮膜除去後、当該卵胞を27ゲージニードルを使用して小片に解剖し、15mlのチューブに移し、そして、振盪しながら37℃で45分間消化した。当該消化した組織を70μmのNalgenフィルターを通してろ過し、そして当該ろ液を1000rpmで5分間遠心分離した。当該ペレットをアッセイ培地で洗浄し、そして2回目の遠心分離をした。生じたペレットは、2mlの成長培地(5%FBS、5μg/mlのゲンタマイシン及び3μg/mlのアンホテリシンB(Gibco)で補充したMcCoy’s5A培地)に懸濁し、そして当該細胞をカウントした。当該細胞は成長培地に希釈し、25〜30,000細胞/ウェルに置き、そして刺激する前に48時間培養した。当該細胞を刺激し、そして細胞株の測定のためにcAMPを上述の通りアッセイした。
結果:
【0143】
PDE4阻害剤のパネルは、試験管内におけるFSH処置した又は未処置のラット顆粒膜細胞及び/又はヒトFSH−発現ブタ顆粒膜細胞株JC−410(JC410FSHR)中におけるcAMPを誘導するこれらの能力のために試験した。PDE阻害剤のいくつかは、当該モデルにおいてcAMPの誘導において高活性であり、いくつかは中程度の活性であり、そしていくつかはほとんど又は全く活性ではない。注目すべきことに、FSHの不存在において、PDE4阻害剤はcAMPを誘導する能力をほとんど又は全く有さない(10A〜10Cを参照のこと)。当該阻害剤の能力は、顆粒膜細胞の原料に関わらず同じであった。即ち、当該細胞株及び一次顆粒膜細胞の両方において比較的類似していた。
【0144】
生体内において、2つの典型的なPDE4阻害剤であるピクラミラスト及びロフルミラストはFSH−誘発性卵胞成熟を増加した。低濃度のピクラミラスト(0.08及び0.4mg/kg)は、低レベルの外因性FSHの不存在下において卵胞成熟を誘導するために有意ではなかった(図13)。しかしながら、高濃度の2mg/kgにおいてピクラミラストは、卵胞の成熟を誘導した(図13を参照のこと)。ピクラミラストを低用量のFSHの存在下で投与した場合、排卵性卵母細胞の数の増加によって明らかなように、卵胞成熟において極めて顕著な誘導が存在した(図14)。
【0145】
上記結果は、最適以下の量のFSHと共に哺乳類に投与した場合、PDE阻害剤がhCG−排卵性卵母細胞の数の増加を誘導することを示す。当該発見を活用するための方法及び組成物は上述のとおりである。
【0146】
本明細書において開示され、そして要求された全ての組成物及び/又は方法は、本開示に明るい者において、過剰な実験なしに作製及び実行することができる。本発明の組成物及び方法は好ましい態様の点において説明されるが、多くのものが、発明の概念、精神及び範囲から離れることなく本明細書において説明された方法の工程又は工程順序において当該組成物及び/又は方法を適用できることは当業者に明らかであろう。より特別には、化学的及び生理的に関係する一定の薬剤は、同じ又は同様な結果が達成されるなら本明細書で説明された薬剤に代えることができる。当業者に明らかな全てのこのような類似した代替及び修正は、付加クレームにより明らかなように、発明の精神、範囲、及び概念中にあるものとみなされる。
【0147】
本明細書において明記されるものに対する典型的な手順又は他の捕捉を供する範囲に対して本明細書を通して引用される引用例、特許及び特許公報は、引用として全て特別に本明細書に組み入れられている。
【0148】
以下の図面は本明細書の一部を形成し、そして本発明の更なる説明的観点に含まれる。本発明は、本明細書に供される特別な態様の詳細な説明との組み合わせにおける図面に対する引用により、より理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】図1は最適以下の用量のFSH(「低FSH」:ラット当たり151.5ng×4)で処置された未成熟な雌のラット、及び最適以下の用量のFSH(「低FSH」)+ジピリダモール(ラット当たり1、5、25mg/kg×4)で処置されたラットにおける、ラット当たりの排卵された卵母細胞の数を示す。
【0150】
【図2】図2は最適以下の用量のFSH(「低FSH」:ラット当たり151.5ng×4)で処置された未成熟な雌のラット、及び最適以下の用量のFSH(「低FSH」)+ザプリナスト(ラット当たり1、5、25mg/kg×4)で処置されたラットにおける、ラット当たりの排卵された卵母細胞の数を示す。
【0151】
【図3】図3は最適以下の用量のFSH(「低FSH」:ラット当たり151.5ng×4)で処置された未成熟な雌のラット、及び最適以下の用量のFSH(「低FSH」)+シルデナフィル(ラット当たり1、5、25mg/kg×4)で処置されたラットにおける、ラット当たりの排卵された卵母細胞の数を示す。
【0152】
【図4】図4は低用量のFSH(「低FSH」:ラット当たり151.5ng×3)、高用量のFSH(「高FSH」:ラット当たり606.2ng×3)、及び低用量のFSH+シルデナフィル(ラット当たり25mg/kg×3)で処置されたラットにおける二次卵胞の数を示す。
【0153】
【図5】図5は低用量のFSH(「低FSH」:ラット当たり151.5ng×3)、高用量のFSH(「高FSH」:ラット当たり606.2ng×3)、及び低用量のFSH+75mg/kgのシルデナフィルで処置されたラットにおける胞状卵胞の数を示す。
【0154】
【図6】図6は水性バッファーにおいて投与された低用量のFSH(「低FSH」:ラット当たり151.5ng×3)、高用量のFSH(「高FSH」:ラット当たり606.2ng×3)、及び低用量のFSH+シルデナフィル(ラット当たり1、5、25mg/kg×4)で処置された未成熟な雌のラットにおけるラット当たりの排卵された卵母細胞の数を示す。
【0155】
【図7】図7は水性バッファーにおいて投与されたFSH無し(「FSH無し」)、最適以下の用量のFSH(「低FSH」:ラット当たり151.5ng×3)、最適以下の用量のFSH(「低FSH」:ラット当たり151.5ng×4)+タダラフィル(ラット当たり25mg/kg×4)、及び高用量のFSH(「高FSH」:ラット当たり606.2ng×3)で処置された未成熟な雌のラットにおけるラット当たりの排卵された卵母細胞の数を示す。
【0156】
【図8】図8は水性バッファーにおいて投与されたFSH無し(「FSH無し」)、最適以下の用量のFSH(「低FSH」:ラット当たり151.5ng×3)、最適以下の用量のFSH(「低FSH」:ラット当たり151.5ng×4)+化合物番号31((6aR,9aS)−2−(ビフェニルイルメチル)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−5−メチル−3(フェニルメチル)シクロペント[4,5]イミダゾ−[2,1−b]プリン−4(3H)−オン)(ラット当たり25mg/kg×4)、及び高用量のFSH(「高FSH」:ラット当たり606.2ng×3)で処置された未成熟な雌のラットにおけるラット当たりの排卵された卵母細胞の数を示す。
【0157】
【図9】図9は水性バッファーにおいて投与されたFSH無し(「FSH無し」)、最適以下の用量のFSH(「低FSH」:ラット当たり151.5ng×3)、最適以下の用量のFSH(「低FSH」:ラット当たり151.5ng×4)+化合物番号33(5’−メチル−2’(ビフェニルイルメチル)−3’−(フェニルメチル)スピロ[シクロペンタン−1,7’(8’H)−[3H]イミダゾ[2,1−b]プリン]−4(5’H)−オン)(ラット当たり25mg/kg×4)、及び高用量のFSH(「高FSH」:ラット当たり606.2ng×3)で処置された未成熟な雌のラットにおけるラット当たりの排卵された卵母細胞の数を示す。
【0158】
【図10A】図10A〜10C。ラット顆粒膜細胞(ラット卵巣分散物質)及び/又はヒトFSHレセプター−発現ブタ顆粒膜細胞(JC410/FSHR)におけるcAMPを誘導し、又は増加させるためのPDE阻害剤の能力を測定するための試験管内における実験。
【図10B】図10A〜10C。ラット顆粒膜細胞(ラット卵巣分散物質)及び/又はヒトFSHレセプター−発現ブタ顆粒膜細胞(JC410/FSHR)におけるcAMPを誘導し、又は増加させるためのPDE阻害剤の能力を測定するための試験管内における実験。
【図10C】図10A〜10C。ラット顆粒膜細胞(ラット卵巣分散物質)及び/又はヒトFSHレセプター−発現ブタ顆粒膜細胞(JC410/FSHR)におけるcAMPを誘導し、又は増加させるためのPDE阻害剤の能力を測定するための試験管内における実験。
【0159】
【図11】低用量のFSHと様々な濃度(0.08mg/kg;0.4mg/kg;2mg/kg)のピクラミラストとの組み合わせの投与による卵胞成熟化の誘導の生体内における実証。
【0160】
【図12】低用量のFSHと様々な濃度(0.08mg/kg;0.4mg/kg;2mg/kg)のロフルミラストとの組み合わせの投与による卵胞成熟化の誘導の生体内における実証。
【0161】
【図13】卵胞成熟化の誘導の生体内における実証。低及び高用量のFSH単独;様々な濃度(0.08mg/kg;0.4mg/kg;2mg/kg)のピクラミラスト、及び低用量のFSHと様々な濃度(0.08mg/kg;0.4mg/kg;2mg/kg)のピクラミラストとの組み合わせを使用する刺激下における卵母細胞の産出の比較。2つの独立した実験からの結果が示される。
【0162】
【図14】卵胞成熟化の誘導の生体内における実証。低用量のFSHと様々な濃度(0.08mg/kg;0.4mg/kg;2mg/kg)のピクラミラストとの組み合わせを使用する刺激下における増加した卵母細胞の産出を実証する累積データ。
【0163】
【図15】卵胞成熟化の誘導の生体内における実証。低用量のFSHと様々な濃度(0.032、0,016、0.08mg/kg;0.4mg/kg;2mg/kg)のメソプラムとの組み合わせを使用する刺激下における増加した卵母細胞の産出を実証する累積データ。2つの独立した実験からの結果が示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性における卵胞成長の刺激のための医薬の調製のためのPDE酵素の阻害剤の使用。
【請求項2】
上記患者が排卵誘発を受けている、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
上記患者が制御された卵巣過剰刺激を受けている、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
上記医薬が、FSH、又はFSH活性を有する薬剤、又は内因性FSH放出を刺激する薬剤と同時に、別々に、又は逐次的に投与するためのものである、請求項1、2、又は3に記載の使用。
【請求項5】
上記医薬がFSHと同時に、別々に、又は逐次的に投与するためのものである、請求項1、2、又は3に記載の方法。
【請求項6】
上記医薬が、FSH活性を有する薬剤、又は内因性FSH放出を刺激する薬剤と同時に、別々に、又は逐次的に投与するためのものである、請求項1、2、又は3に記載の使用。
【請求項7】
月経後およそ2〜3日目に上記医薬の投与が開始される、上記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
排卵誘引用量のhCGが投与される場合、卵胞の成長が十分となるまで上記医薬が毎日投与される、上記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項9】
上記hCGの排卵誘引用量が5,000〜10,000IUである、請求項8に記載の使用。
【請求項10】
上記医薬がFSHと共に投与され、そして当該FSHの用量が、卵胞成長の点から同じ結果を達成するために、PDE阻害剤の不存在における同じ患者において必要とされる用量よりも少ない、上記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
上記PDE阻害剤が1、5及び6から選択される少なくとも1つのPDE型の阻害剤である、上記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
上記PDE阻害剤が以下から選択されるPDE阻害剤である、上記請求項のいずれか一項に記載の使用:
5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル);ザプリナスト;ジピリジダモール;5−(2−エトキシ−5−モルホリノアセチルフェニル)−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−20ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−n−プロポキシフェニル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシエトキシ)ピリジ−n−3−イル]−2−(ピリジン−2−イル)メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;(+)−3−エチル−5−[5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)−2−(2−メトキシ−1(R)−メチルエトキシ)ピリジン−3−イル]−2−メチル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−l−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−[2−イソ−ブトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−(1−メチルピペリジン−4−イル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−フェニル−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジンイル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジンイル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン;(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(−3,4−メチレンジオキシフェニル)ピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(タダラフィル;IC−351);2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル);4−ブロモ−5−(ピリジルメチルアミノ)−6−[3−(4−クロロフェニル)−プロポキシ]−3(2H)ピリダジノン;1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソル−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キノゾリニル]−4−ピペリジン−カルボン酸、モノナトリウム塩;(+)−cis−5,6a,7,9,9,9a−ヘキサヒドロ−2−[4−(トリフルオロメチル)−フェニルメチル−5−メチル−シクロペント−[4,5]イミダゾ[2,1−b]−プリン−4(3H)オン;フラジオシリン;cis−2−ヘキシル−5−メチル−3,4,5,6a,7,8,9,9a−オクタヒドロシクロペント[4,5]−イミダゾ[2−,1−b]プリン−4−オン;3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート;3−アセチル−1−(2−クロロベンジル)−2−プロピルインドール−6−カルボキシレート;4−ブロモ−5−(3−ピリジルメチルアミノ)−6−(3−(4−クロロフェニル)プロポキシ)−3−(2H)ピリダジノン;l−メチル−5(5−モルホリノアセチル−2−n−プロポキシフェニル)−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ(4,3−d)ピリミジン−7−オン;1−[4−[(1,3−ベンゾジオキソル−5−イルメチル)アミノ]−6−クロロ−2−キナゾリニル]−4−ピペリジンカルボン酸、モノナトリウム塩;ファーマプロジェクト No.4516;ファーマプロジェクト No.5051;ファーマプロジェクト No.5064;ファーマプロジェクト No.5069;GF−196960;E−8010及びE−4010;Bay−38−3045&Bay−38−9456、ビンポセチン;SCH−51866;SCH−59498;(6aR,9aS)−2−(ビフェニルイルメチル)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−5−メチル−3(フェニルメチル)シクロペント[4,5]イミダゾ−[2,1−b]プリン−4(3H)−オン;5’−メチル−2’(ビフェニルイルメチル)−3’−(フェニルメチル)スピロ[シクロペンタン−1,7’(8’H)−[3H]イミダゾ[2,1−b]プリン]−4(5’H)−オン;(6aR,9aS)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−5−メチル−2−(フェニルエチニル)−3−(フェニルメチル)シクロペント[4,5]イミダゾ[2,1−b]−プリン−4(3H)−オン;ジピリジダモール;AWD−12−171及びAWD−12−217;BMS−341400;UK−343,664;5E−3623、5E−3569、5E−3657、E4021;KS−505a;YC−1;IDDBレファレンス323951;WIN−61691;FR226807;IDDBレファレンス461317、462503、461321、461324、466146;ピリジン−4−イルメチル3−(1,3−ベンゾジオキソル−5−イル)−9−オキソ−1,3,4,9テトラヒドロ−2H−ピロロ[3,4−b]キノリン−2−カルボキシレート:
【化1】

【請求項13】
上記PDE阻害剤が、シルデナフィル;ザプリナスト、ジピリダモール;(6aR,9aS)−2−(ビフェニルイルメチル)−5,6a,7,8,9,9a−ヘキサヒドロ−5−メチル−3(フェニルメチル)シクロペント[4,5]イミダゾ−[2,1−b]プリン−4(3H)−オン;及び5’−メチル−2’(ビフェニルイルメチル)−3’−(フェニルメチル)スピロ[シクロペンタン−1,7’(8’H)−[3H]イミダゾ[2,1−b]プリン]−4(5’H)−オンから選択される、上記請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
上記PDE阻害剤がザプリナストである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
上記PDE阻害剤がシルデナフィルである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項16】
上記PDE阻害剤がタダラフィルである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
上記PDE阻害剤がPDE1及びPDE5の選択的阻害剤である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項18】
上記PDE阻害剤がPDE1の選択的阻害剤である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項19】
上記PDE阻害剤がPDE5の選択的阻害剤である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
卵胞の成熟を刺激するための有効量におけるホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤を含んで成る組成物で女性を処置することを含んで成る、卵胞成熟を増大する方法。
【請求項21】
卵母細胞の成熟を生じさせるための有効量におけるPDE阻害剤を含んで成る組成物で試験管内において卵母細胞を処置することを含んで成る、卵母細胞の成熟を増加する方法。
【請求項22】
上記組成物が少なくとも1つのPDE4阻害剤を含んで成る、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
上記組成物がピクラミラスト、ロフルミラスト、アリフロ、フィラミナスト、メソプラム、D4418、アロフィリン、及びCL1044から成る群から選択される少なくとも1つのPDE4阻害剤を含んで成る、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項24】
上記組成物が少なくとも1つのPDE4阻害剤、及びPDE1阻害剤、PDE7阻害剤、PDE9阻害剤、PDE10、及びPDE11阻害剤から成る群から選択される1つの他のPDE阻害剤を含んで成る、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項25】
上記方法が、FSH、黄体形成ホルモン、及び絨毛性ゴナドトロピンから成る群から選択される少なくとも1つのゴナドトロピンでの処置を更に含んで成る、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項26】
上記方法が、FSH、黄体形成ホルモン、及び絨毛性ゴナドトロピンから成る群から選択される少なくとも1つのゴナドトロピンでの処置を更に含んで成る、請求項22に記載の方法。
【請求項27】
上記方法が、FSH、黄体形成ホルモン、及び絨毛性ゴナドトロピンから成る群から選択される少なくとも1つのゴナドトロピンでの処置を更に含んで成る、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
上記方法が、FSH、黄体形成ホルモン、及び絨毛性ゴナドトロピンから成る群から選択される少なくとも1つのゴナドトロピンでの処置を更に含んで成る、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
上記方法がFSHでの処置を更に含んで成る、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項30】
上記方法がFSH及び少なくとも1つの非−FSHゴナドトロピンホルモンを投与することを更に含んで成る、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項31】
上記非−FSHゴナドトロピンホルモンが黄体形成ホルモンである、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
上記非−FSHゴナドトロピンホルモンが絨毛性ゴナドトロピンである、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
上記方法が、PDE阻害剤との組み合わせにおいて、FSHの刺激剤、アゴニスト、又はアジュバント単独の投与を含んで成る、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項34】
上記FSHの刺激剤が、レトロゾール、アナストロゾール、及びボロゾールから成る群から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
PDE阻害剤及びゴナドトロピンホルモンが同時に投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項36】
上記PDE4阻害剤及びFSHが、混合物として1つのバイアル中に含まれる、請求項25に記載の方法。
【請求項37】
単用量のPDE4阻害剤及びFSHの混合物を含むバイアル。
【請求項38】
上記PDEがゴナドトロピンホルモン処置の前に投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項39】
上記PDE阻害剤がゴナドトロピンホルモン処置の後に投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項40】
上記FSHが約5〜450IU/日の薬用量範囲において投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項41】
上記FSHが約5〜75IU/日の薬用量範囲において投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項42】
上記方法が、女性に対して、少なくとも1つのPDE4阻害剤及び外因性FSHホルモンを含んで成る組成物を投与することを含んで成る、請求項20に記載の方法。
【請求項43】
上記外因性FSHホルモンが、組み換えFSHホルモンである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
上記外因性FSHホルモンが、尿FSHホルモンである、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
上記PDE4阻害剤が、約0.05mg/日〜約5mg/日の用量において投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項46】
上記PDE4阻害剤が、約10mg/日〜約200mg/日の用量において投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
上記FSHが、5IU FSH/日〜75IU FSH/日の範囲において投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
上記FSHが1日当たり150IU FSHの薬用量において投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項49】
上記FSHが単用量において投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項50】
上記FSHが複数用量において投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項51】
上記FSHが筋肉内的に又は皮下的に投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項52】
上記FSHが、女性の月経周期の2〜14日目に投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項53】
上記FSHが、継続的に7〜12日間投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項54】
上記方法が、PDE4阻害剤及びFSHホルモンの投与の前に、女性における内因性FSH及びLH生成物の抑制を更に含んで成る、請求項42に記載の方法。
【請求項55】
上記内因性FSH及びLH生成物の抑制が、GnRH又はその類似体を女性に対して投与することによりもたらされる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
少なくとも1つのPDE4阻害剤及び外因性FSHホルモンの投与の前に、上記GnRH、又はその類似体が女性に対して30日間投与される、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
上記GnRH、又はこの類似体が、毎日約0.25mg〜約3mgのGnRHの薬用量範囲において投与される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
上記女性が4又はそれ以上の回収可能な卵母細胞を産出する、請求項42に記載の方法。
【請求項59】
PDE4及びFSHが最初に投与された後12日目に卵母細胞を回収する工程を更に含んで成る、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
試験管内において回収した卵母細胞を受精する工程、回収し、受精した卵母細胞を4〜8細胞期に培養する工程、及び当該4〜8細胞期の受精した卵母細胞を女性の子宮に移植する工程を更に含んで成る、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
不妊症の処置のためのキットであって、当該キットが、
医薬的に受容可能な製剤において少なくとも1つのPDE4阻害剤を含んで成る第一組成物、及び、
医薬的に受容可能な製剤においてFSHを含んで成る第二組成物
を含んで成るキット。
【請求項62】
上記キットが尿FSH又は組み換えFSHを含んで成る、請求項61に記載のキット。
【請求項63】
上記キットがヒトFSHを含んで成る、請求項62に記載のキット。
【請求項64】
上記キットのFSHが、約5IU FSH〜約75IU FSHの単位用量において供される、請求項61に記載のキット。
【請求項65】
医薬的に受容可能な製剤において、LHを含んで成る第三組成物を更に含んで成る、請求項61に記載のキット。
【請求項66】
上記キットのLHが、約75IU LH〜約150IU LHの単位用量において供される、請求項65に記載のキット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2006−522151(P2006−522151A)
【公表日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−509679(P2006−509679)
【出願日】平成16年4月1日(2004.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2004/010346
【国際公開番号】WO2004/087211
【国際公開日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願人】(599177396)アプライド リサーチ システムズ エーアールエス ホールディング ナームロゼ フェンノートシャップ (70)
【Fターム(参考)】