説明

事故防止監視制御システム

【課題】オペレータに危険距離に近いことを報知して回避させると共に、最悪の事態(接触事故)が発生した場合でも重大事故に拡大することを防止する事故防止監視制御システムを提供する。
【解決手段】この監視制御装置7は、GPS衛星5からの信号に基づいて得られたクレーン車8に係る位置情報を取得する位置情報取得手段11と、クレーン車8の所定範囲内に位置する送電線に係る情報を格納した送電線情報格納手段12と、クレーン車8に係る位置情報と送電線3に係る位置情報とを照合する照合手段13と、照合手段13による照合結果に基づいてクレーン車8と送電線3との離隔距離を判定する離隔距離判定手段14と、離隔距離判定手段14により判定された離隔距離が所定の安全距離よりも短い場合にクレーン車8に対して警報を発する警報発信手段15と、自動復旧装置の使用の可否を制御する自動復旧装置制御手段18と、を備えて構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、事故防止監視制御システムに関し、さらに詳しくは、監視対象物が送電線の危険距離に接近したことを検出して、当該監視対象物に対して警報を発すると共に自動復旧装置の使用を停止する事故防止監視制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
発電所で発電された電力は、遠距離に効率よく送電するために、超高圧に昇圧されて送電鉄塔に架せられた送電線により送られる。送電線周辺で行われる工事にクレーンが使用される場合、クレーンと送電線等との接触事故が懸念される。従来、送電線下のクレーン作業に際しては、作業実施者からの連絡・要請により作業期間中送電線自動復旧装置(送電線の事故を検出したときに自動的に送電線への送電を停止して、復旧時に自動的に送電線への送電を開始する装置)を不使用として、事故内容の復旧を目視により確認してから送電線自動復旧装置を使用可とするようにしている。しかし、作業実施者が電力会社への連絡を失念したり、故意に無届で実施した場合に、送電線との接触事故が発生すると、送電線自動復旧装置が作動して一時的に送電を遮断するが、再び送電線に送電して大きな事故に繋がる場合があった。
そこでこれらの事故を未然に防止するために、特許文献1には、クレーン等の作業用重機が送電線に対して一定の距離まで接近すると、自動的に接近警報を発する警報装置について開示されている。また、特許文献2には、クレーンと送電線の接近距離を水平方向はGPSで、垂直方向は赤外線センサで測定したデータをもとに算出し、接近距離が危険範囲内に入った場合は警報を発信することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−182667公報
【特許文献2】特開2007−145518公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の従来技術は、何れも、クレーンが送電線に接近した場合に警報を発するが、オペレータが気づかないときや、意識的に無視された場合は、送電線との接触事故を防止することができないといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、GPSによる監視対象物の位置情報に基づいて送電線との離隔距離を割り出し、監視対象物が危険距離に接近した場合に警報を発すると共に、送電線自動復旧装置を未使用にすることにより、オペレータに危険距離に近づいたことを報知して回避させると共に、最悪の事態(接触事故)が発生した場合でも重大事故に拡大することを防止する事故防止監視制御システムを提供することを目的とする。
また、他の目的は、警報に気が付かない場合に、監視対象物の移動を強制的に停止して、事故の拡大を未然に防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明はかかる課題を解決するために、請求項1は、GPS衛星からの信号に基づいて得られた監視対象物に係る位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記監視対象物の所定範囲内に位置する送電線に係る情報を格納した送電線情報格納手段と、前記位置情報取得手段により取得された監視対象物に係る位置情報と前記送電線情報格納手段から得られた送電線に係る位置情報とを照合する照合手段と、該照合手段による照合結果に基づいて前記監視対象物と前記送電線との離隔距離を判定する離隔距離判定手段と、該離隔距離判定手段により判定された離隔距離が所定の安全距離よりも短い危険距離に相当する場合に前記監視対象物に対して警報を発する警報発信手段と、前記送電線の事故を検出したときに自動的に該送電線への送電を停止して、復旧時に自動的に該送電線への送電を開始する自動復旧装置の使用可否を制御する自動復旧装置制御手段と、前記各手段を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記離隔距離判定手段により前記離隔距離が前記危険距離内にあると判定した場合は、前記警報発信手段により前記監視対象物に対して警報を発すると共に、前記危険距離内に位置する時間が所定時間継続したと判断したときに前記自動復旧装置制御手段により前記自動復旧装置の使用を停止することを特徴とする。
本発明では、GPSにより監視対象物の位置を検出し、予め格納した送電線の位置情報と照合して両者の距離を判定する。その結果、両者の距離が危険距離に達した場合に、監視対象物に対して警報を発する。ここまでは従来技術として公知であるが、本発明では更に、警報を発すると共に送電線の自動復旧装置を使用不可として、最悪の事態(接触事故)が発生した場合でも重大事故に達することを防止するものである。これにより、オペレータに危険距離に接近していることを報知して事故を回避させると共に、重大事故を未然に防止することができる。
【0006】
請求項2は、前記監視対象物に、停止信号を受信することにより該監視対象物の移動を停止する移動停止手段を備え、前記制御手段は、前記停止信号を発信する停止信号発信手段を更に備え、前記離隔距離判定手段が前記離隔距離が前記危険距離内にあると判定した場合は、前記警報発信手段により前記監視対象物に対して警報を発すると共に、前記停止信号発信手段により前記停止信号を発信して前記監視対象物を停止させることを特徴とする。
工事現場等では、周囲の喧騒によりオペレータが警報に気が付かない場合がある。そのような場合は、オペレータは監視対象物が送電線に接近していることに気が付かないで、最悪の場合は送電線と接触事故を起こす場合がある。そこで本発明では、監視対象物に予め停止信号を受信すると停止する移動停止手段を備えておき、警報が発せられた場合は、停止信号を発して監視対象物の移動を強制的に停止する。これにより、オペレータが、警報が発せられたことに気が付かない場合でも、最悪の事態を回避することができる。
【0007】
請求項3は、前記制御手段は、前記監視対象物と前記送電線との位置関係を表示する表示手段を備え、前記離隔距離判定手段が前記離隔距離の判定を開始したときに、前記表示手段に当該監視対象物と前記送電線との位置関係を表示することを特徴とする。
監視制御システムは、GPS衛星からの位置情報に基づいて、監視対象物と送電線との位置関係を取得することができる。従って、それらの情報からディスプレイ上に表示してリアルタイムに目視により監視することができる。また、位置情報から監視対象物が安全距離内に位置するか否かを判定することができるので、それぞれの状態を色別に表示することもできる。これにより、監視員が表示内容を監視して監視対象物に指示を与えることができる。
【0008】
請求項4は、前記制御手段は、前記離隔距離判定手段により前記離隔距離が安全距離内であると判定し、且つ前記安全距離に位置する時間が所定の時間継続したと判断したときに、前記自動復旧装置の使用を開始することを特徴とする。
自動復旧装置は、送電線に異常が発生すると自動的に送電を遮断し、異常が解除されると自動的に復旧するように働く。従って、自動復旧装置を不使用のままにしておくと、安全上不都合が発生するので、本発明では、監視対象物が安全距離に所定時間位置していることを確認すると、自動復旧装置の使用を開始する。これにより、自動復旧装置の使用を必要時に有効に使用することができる。
【0009】
請求項5は、前記監視対象物は、クレーン、重機、又はヘリコプターであることを特徴とする。
送電線は高圧の電力を流すために安全性の点を考慮して高い鉄塔により支持されている。従って、一般の車両や作業車等が送電線の直下を通過しても何等支障がない高さに設置されている。しかし、クレーン等の上方に伸びる構造の車両については、場合によってはクレーンの先端が送電線に接触する危険性もある。また、重機が鉄塔に接触して鉄塔を破壊するといったことも考えられる。さらに、地上を移動する車両ばかりでなく、上空を飛行するヘリコプターは更に送電線との接触事故の危険性がある。従って、本発明では監視対象物として、これらのクレーン、重機、又はヘリコプターを対象とする。これにより、幅広い分野で送電線の接触事故を監視するシステムとして応用することができる。
【0010】
請求項6は、前記警報発信手段が警報を発する監視対象物と前記送電線との離隔距離は、前記送電線の高圧階級により決定されることを特徴とする。
送電線には、例えば、22KV、66KV、110KV、220KVの高圧電流が流れており、これらを各種高圧階級と呼ぶ。即ち、高圧階級が高いほど電圧が高くなるため、隔離距離は大きくなる。そこで本発明では、送電線の高圧階級により隔離距離を決定する。これにより、高圧階級に適した隔離距離を設定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、GPSにより監視対象物の位置を検出し、予め格納した送電線の位置情報と照合して両者の距離を判定して警報を発すると共に、送電線の自動復旧装置を使用不可として、最悪の事態(接触事故)が発生した場合でも重大事故に達することを防止するので、オペレータに危険距離に接近していることを報知して事故を回避させると共に、重大事故を未然に防止することができる。
また、監視対象物に予め停止信号を受信すると停止する移動停止手段を備えておき、警報が発せられた場合は、停止信号を発して監視対象物の移動を強制的に停止するので、オペレータが、警報が発せられたことに気が付かない場合でも、最悪の事態を回避することができる。
また、位置情報からディスプレイ上に表示してリアルタイムに目視により監視することができ、位置情報から監視対象物が安全距離内に位置するか否かを判定することができるので、それぞれの状態を色別に表示することもできるので、監視員が表示内容を監視して監視対象物に指示を与えることができる。
また、監視対象物が安全距離に所定時間位置していることを確認すると、自動復旧装置の使用を開始するので、自動復旧装置の使用を必要時に有効に使用することができる。
また、監視対象物として、クレーン、重機、又はヘリコプターを対象とするので、幅広い分野で送電線の接触事故を監視するシステムとして応用することができる。
また、送電線の高圧階級により隔離距離を決定するので、高圧階級に適した隔離距離を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る事故防止監視制御システムの構成を模式的に示す模式図である。
【図2】本発明に係る監視制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明に係る監視制御システムの動作について説明するフローチャートである。
【図4】監視モニタに表示した表示例について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
【0014】
図1は本発明の実施形態に係る事故防止監視制御システムの構成を模式的に示す模式図である。この事故防止監視制御システム(以下、単に監視制御システムと呼ぶ)100は、GPS衛星4、通信衛星23、発電所1、送電鉄塔2、送電線3、自動復旧装置を有する変電所6、クレーン車(監視対象物)8、及び事故防止監視制御装置(以下、単に監視制御装置と呼ぶ)7により構成され、発電所1から発電された電力は送電鉄塔2に架せられた送電線3を介して変電所6に送られ、変電所6では電圧を降圧してさらに送電線により各需要者に送られる。また、変電所には図示を省略するが、送電線3の事故を検出したときに自動的に当該送電線への送電を停止して、復旧時に自動的に当該送電線の充電を開始する自動復旧装置が備えられ、自動復旧装置は監視制御装置7により使用の可否が制御される。本実施形態では、送電線3の周辺で作業を行なっているクレーン車8と送電線3が接触事故を起こさないように監視する場合について説明する。尚、クレーン車8には、GPS衛星4と通信衛星23との通信を行うためのアンテナ9、位置情報を演算するGPS受信機、及び停止信号を受信することにより移動を停止する移動停止手段を備え、監視制御装置7には、GPS衛星4と通信衛星23との通信を行うためのアンテナ5を備えている。
【0015】
次に監視制御システム100の概略動作について説明する。クレーン車8は事前に本送電線3を管理する電力会社に工事の申請を行って許可を受けているものとする。また、電力会社は工事依頼者から工事日程を受領して承認を与えている。クレーン車8はGPS衛星4からGPS信号を受信して、クレーン車8の位置情報をGPS受信機により演算して、その位置情報をアンテナ9を介して通信衛星23により監視制御装置7に送信する。監視制御装置7は、その位置情報とデータベースに格納した送電線の位置情報とを照合して送電線3とクレーン車8の離隔距離を計算する。もし、離隔距離が安全距離より少ないと判断すると、監視制御装置7はアンテナ5を介して通信衛星23に警報信号を送信する。その結果、通信衛星23からクレーン車8に対して警報信号が送信され、その信号を受信したクレーン車8は送電線3に接近していることを認識する。また、監視制御装置7は同時に、変電所6に対して自動復旧装置を不使用とする信号を発する。
本実施形態では、GPSによりクレーン車8の位置を検出し、予め格納した送電線3の位置情報と照合して両者の距離を判定する。その結果、両者の距離が危険距離に達した場合に、クレーン車8に対して警報を発する。ここまでは従来技術として公知であるが、本実施形態では更に、警報を発すると共に送電線3の自動復旧装置を使用不可として、最悪の事態(接触事故)が発生した場合でも重大事故に拡大することを防止するものである。これにより、オペレータに危険距離に接近していることを報知して事故を回避させると共に、重大事故を未然に防止することができる。
【0016】
図2は本発明に係る監視制御装置の構成を示すブロック図である。この監視制御装置7は、アンテナ5と、GPS衛星4及び通信衛星23との通信を行う通信部10と、GPS衛星5からの信号に基づいて得られたクレーン車8に係る位置情報を取得する位置情報取得手段11と、クレーン車8の所定範囲内に位置する送電線に係る情報を格納した送電線情報格納手段12と、位置情報取得手段11により取得されたクレーン車8に係る位置情報と送電線情報格納手段12から得られた送電線3に係る位置情報とを照合する照合手段13と、照合手段13による照合結果に基づいてクレーン車8と送電線3との離隔距離を計算する離隔距離判定手段14と、離隔距離判定手段14により判定された離隔距離が所定の安全距離よりも短い場合に、クレーン車8に対して警報を発する警報発信手段15と、送電線3の事故を検出したときに自動的に送電線3への送電を停止して、復旧時に自動的に送電線3の充電を開始する自動復旧装置の使用可否を制御する自動復旧装置制御手段18と、クレーン車8と送電線3との位置関係を表示する監視モニタ(表示手段)19と、停止信号を発信する停止信号発信手段17と、各手段を制御する制御部(制御手段)16と、を備えて構成されている。
【0017】
図3は本発明に係る監視制御システムの動作について説明するフローチャートである。まず、通信部10が通信衛星23からクレーン車8の位置情報を受信して位置情報取得手段11に入力する(S1)。制御部16は送電線情報格納手段12に格納された送電線3の位置情報と位置情報取得手段11により取得したクレーン車8の位置情報を照合手段13により照合する(S2)。照合手段13はクレーン車8の位置情報から最も近い送電線3の位置情報を検索して照合する。そして、照合の結果から両者の離隔距離を離隔距離判定手段14により計算して制御部16に計算結果を渡す(S3)。それと同時に制御部16では、送電線3とクレーン車8の位置関係から表示データに変換して監視モニタ19に表示する(S4)。
【0018】
そして計算結果から送電線3とクレーン車8の離隔距離が安全距離であるか否かを判断する(S5)。安全距離内であれば(S5でY)、ステップS1に戻って動作を繰り返すが、安全距離外であれば(S5でN)、警報発信手段15に対して警報を発するように指示する(S6)。警報発信手段15は警報を通信部10を介してアンテナ5から通信衛星23に送信し、通信衛星23からクレーン車8に送信される。その信号を受信したクレーン車8は警報により送電線3に接近していることを認識する。また、制御部16は警報が発せられている時間が所定の時間継続したかを判断し(S7)、所定の時間継続したことを確認すると(S7でY)、クレーン車8が警報したにもかかわらず送電線3から離れていないと判断して、自動復旧装置制御手段18により変電所に備えられている自動復旧装置を不使用とする信号を送信する(S8)。また、自動復旧装置を不使用とする信号を送信したときに、クレーン車8を強制的に停止する停止信号を停止信号発信手段17から通信部10を介して送信するようにしても良い(S9)。
即ち、工事現場等では、周囲の喧騒によりオペレータが警報に気が付かない場合がある。そのような場合は、オペレータはクレーン車8が送電線3に接近していることに気が付かないで、最悪の場合は送電線3と接触事故を起こす場合がある。そこで本実施形態では、クレーン車8に予め停止信号を受信すると停止する移動停止手段を備えておき、警報が発せられた場合は、停止信号を発してクレーン車8の移動を強制的に停止する。これにより、オペレータが、警報が発せられたことに気が付かない場合でも、最悪の事態を回避することができる。
【0019】
また、送電線3は高圧の電力を流すために安全性の点を考慮して高い鉄塔2により支持されている。従って、一般の車両や作業車等が送電線3の直下を通過しても何等支障がない高さに設置されている。しかし、クレーン等の上方に伸びる構造の車両については、場合によってはクレーンの先端が送電線3に接触する危険性もある。また、重機が鉄塔2に接触して鉄塔2を破壊するといったことも考えられる。さらに、地上を移動する車両ばかりでなく、上空を飛行するヘリコプターは更に送電線3との接触事故の危険性がある。従って、本実施形態では監視対象物として、これらのクレーン車8、重機、又はヘリコプターを対象とする。これにより、幅広い分野で送電線3の接触事故を監視するシステムとして応用することができる。
また、送電線3には、例えば、22KV、66KV、110KV、220KVの高圧電流が流れており、これらを各種高圧階級と呼ぶ。即ち、高圧階級が高いほど電圧が高くなるため、隔離距離は大きくなる。そこで本実施形態では、送電線3の高圧階級により隔離距離を決定する。これにより、高圧階級に適した隔離距離を設定することができる。
【0020】
図4は監視モニタ19に表示した表示例について説明する図である。この例では、鉄塔20(丸型)に識別番号(1〜6)が付され、各鉄塔間を接続する送電線22の系統が表示されている。そして、この例では、鉄塔2と3の間の送電線に監視対象物21が表示されている。即ち、監視制御システム100は、GPS衛星4からの位置情報に基づいて、クレーン車(監視対象物21)8と送電線3との位置関係を取得することができる。従って、それらの情報から監視モニタ19上に表示してリアルタイムに目視により監視することができる。また、位置情報からクレーン車8が安全距離内に位置するか否かを判定することができるので、それぞれの状態を色別に表示することもできる。これにより、監視員が表示内容を監視してクレーン車8に指示を与えることができる。
【符号の説明】
【0021】
1 発電所、2 送電鉄塔、3 送電線、4 GPS衛星、5 アンテナ、6 変電所、7 監視制御装置、8 クレーン車、9 アンテナ、10 通信部、11 位置情報取得手段、12 送電線情報格納手段、13 照合手段、14 離隔距離判定手段、15 警報発信手段、16 制御部、17 停止信号発信手段、18 自動復旧装置制御手段、19 監視モニタ、20 鉄塔、21 監視対象物、22 送電線、100 監視制御システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS衛星からの信号に基づいて得られた監視対象物に係る位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記監視対象物の所定範囲内に位置する送電線に係る情報を格納した送電線情報格納手段と、前記位置情報取得手段により取得された監視対象物に係る位置情報と前記送電線情報格納手段から得られた送電線に係る位置情報とを照合する照合手段と、該照合手段による照合結果に基づいて前記監視対象物と前記送電線との離隔距離を判定する離隔距離判定手段と、該離隔距離判定手段により判定された離隔距離が所定の安全距離よりも短い危険距離に相当する場合に前記監視対象物に対して警報を発する警報発信手段と、前記送電線の事故を検出したときに自動的に該送電線への送電を停止して、復旧時に自動的に該送電線への送電を開始する自動復旧装置の使用可否を制御する自動復旧装置制御手段と、前記各手段を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記離隔距離判定手段により前記離隔距離が前記危険距離内にあると判定した場合は、前記警報発信手段により前記監視対象物に対して警報を発すると共に、前記危険距離内に位置する時間が所定時間継続したと判断したときに前記自動復旧装置制御手段により前記自動復旧装置の使用を停止することを特徴とする事故防止監視制御システム。
【請求項2】
前記監視対象物に、停止信号を受信することにより該監視対象物の移動を停止する移動停止手段を備え、前記制御手段は、前記停止信号を発信する停止信号発信手段を更に備え、前記離隔距離判定手段が前記離隔距離が前記危険距離内にあると判定した場合は、前記警報発信手段により前記監視対象物に対して警報を発すると共に、前記停止信号発信手段により前記停止信号を発信して前記監視対象物を停止させることを特徴とする請求項1に記載の事故防止監視制御システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記監視対象物と前記送電線との位置関係を表示する表示手段を備え、前記離隔距離判定手段が前記離隔距離の判定を開始したときに、前記表示手段に当該監視対象物と前記送電線との位置関係を表示することを特徴とする請求項1に記載の事故防止監視制御システム。
【請求項4】
前記制御手段は、前記離隔距離判定手段により前記離隔距離が安全距離内であると判定し、且つ前記安全距離に位置する時間が所定の時間継続したと判断したときに、前記自動復旧装置の使用を開始することを特徴とする請求項1に記載の事故防止監視制御システム。
【請求項5】
前記監視対象物は、クレーン、重機、又はヘリコプターであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の事故防止監視制御システム。
【請求項6】
前記警報発信手段が警報を発する監視対象物と前記送電線との離隔距離は、前記送電線の高圧階級により決定されることを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の事故防止監視制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−95848(P2011−95848A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−246860(P2009−246860)
【出願日】平成21年10月27日(2009.10.27)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】