説明

位相比較器、PLL回路、及び位相比較器の制御方法

【課題】電圧制御発振器VCOの出力信号と参照信号との位相差をデジタル信号として高精度に検知できる位相比較器、PLL回路、及び位相比較器の制御方法を提供する。
【解決手段】各々複数段縦列接続され、基準信号および対象信号が入力される遅延回路と、各々の段の遅延時間の差により、基準信号と対象信号との位相差を出力する保持回路と、その出力結果を元に、遅延素子の時間差及び大小を変更する論理回路とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位相比較器及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE802.11a/gのWLAN(Wireless Local Area Network)などの高速無線通信方式は、限られた周波数帯域内で、効率的に大容量の信号伝送を行うために、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation:直交振幅変調)、64QAMなどの高度変調を導入している。これら無線通信に用いられる無線用のチップでは、デジタル信号処理部の消費電力が大きいために、比較的低速なIEEE802.11bのWLANを除き、携帯電話などの端末への内蔵が進んでいない。
【0003】
近年、このような信号処理を低消費電力で行うことを目的として、微細CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor:相補型金属酸化膜半導体)デバイスのベースバンドへの適用が進められており、それに伴いベースバンドの電源電圧は低くなっている。今後は、低コスト化のために、デジタル部とRF部を一体化した、いわゆるシステムオンチップ(System on Chip:SoC)化が加速される傾向にある。この場合、微細デバイスでRF部も作る必要があるために、RF回路も低電圧動作が必要になってくる。
しかしながら、本発明に関連するアナログ方式をベースとしたRF(Radio Frequency:無線周波数)回路では、微細化による素子特性変動を考えると、これ以上の低電圧化は困難である。低電圧化により、大きな影響を受けるRFブロックのひとつに、PLL(Phase Locked Loop:位相同期ループ)回路がある。
【0004】
図10は、本発明に関連するアナログ型PLL回路の例である。
図10において、1は位相比較器、2はチャージポンプ、3はループフィルタ、4は電圧制御発振器(VCO: Voltage Controlled Oscillator)、5は分周器である。
【0005】
この図10に示したPLL回路の動作を以下に説明する。
位相比較器1は、基準信号FREFと、電圧制御発振器VCOの出力信号を分周した信号CKVとを比較した結果に基づいて、出力信号S1、S2を発生する。信号S1は、基準信号FREFの信号CKVに対する位相の進み量を示す信号であり、信号S2は信号CKVの基準信号FREFに対する位相の進み量を示す信号である。これらの信号S1、S2はチャージポンプ2に入力される。このチャージポンプ2の出力信号S3は、ループフィルタ3に入力してそこで高周波成分が除去された後、電圧制御発振器VCO4の制御電圧S4として入力する。
このPLL回路では、基準信号FREF及び信号CKVの周波数及び位相が一致するように動作したときロックして、電圧制御発振器VCO4から得られる周波数(fVCO)が基準信号FREFの分周数倍となる。
【0006】
電圧制御発振器VCO4の周波数は、例えばインダクタと、MOSバラクタ容量とで構成される共振回路の共振周波数を利用するタイプの場合、MOSバラクタの制御電圧を変化させることで行う。しかし、制御直流電位の変化に対する、周波数の変化量である変調感度を大きくすると、電源雑音や、誘導雑音の影響により、電圧制御発振器VCO4の周波数が変動するという問題がある。この周波数変動の問題を解決するために、変調感度を低く設定しつつ、複数の共振回路を切り替える方式なども提案されている。
【0007】
一方で、容量の制御範囲は、バラクタの線形領域に限られるために、電源電圧が低下すると、結果的に電圧制御発振器VCOの変調感度を大きくせざるを得ず、チップの外部及び内部の雑音などにより局部発振器の周波数が変動する問題があった。
【0008】
この周波数の変動の問題を回避する一手段として、デジタル的に電圧制御発振器VCOを制御する回路が発表されている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
本発明に関連する技術では、電圧制御発振器VCOのバラクタの制御は、直流電位を印加させるのではなく、時間的にオン・オフを繰り返し、その時間比率を変化させることで行う方式である。時間比率は、一定の周期で行わせると、大きなスプリアス(不要輻射)が発生するので、上述した特許文献1及び非特許文献1では、シグマデルタ(ΣΔ変調)変調器を用いることで、信号をランダム化している。
【0009】
このPLL回路がどのように、デジタル式の電圧制御発振器VCOの周波数を検出し、制御するかについて、図11を用いて説明する。
図11は、本発明に関連するデジタル型PLLのブロック図である。
同図において、基準水晶発振器からの出力である基準信号FREFの位相は、位相検出器51において、基準信号FREFの立ち上がりごとに、ラッチ132で周波数制御語FCWを累積することによって得ている(この周波数制御語FCWは、基準信号FREFに対する電圧制御発振器VCO135の出力信号CKVの周波数比、すなわち逓倍数に相当する)。基準水晶発振器の出力信号CKVの位相は、位相検出器52において、その立ち上がりエッジのクロック遷移の数をラッチ118でカウントすることによって得、さらにこの出力を、ラッチ119にて基準信号FREFで累積することにより得ている。
【0010】
各々の位相検出器で算出される位相の関係は、図12(a)〜(d)を用いて具体的に説明する。
図12(a)は、電圧制御発振器VCOの出力信号CKVの位相を検出する回路であり、図11における位相検出器52と同一の構成である。この図12(a)では4ビットの加算器及びラッチ回路を用いている。
電圧制御発振器VCOの出力は、図12(b)に示したように、出力信号CKVの立ち上がりエッジごとに、加算器の数値が累積されていき、基準信号FREFの立ち上がりエッジごとに、その値がラッチされる。この例では、加算器の初期値が0で出力信号CKVのカウントがスタートしており、信号CKV及び基準信号FREFの周波数比が10の場合を想定している。
【0011】
一方で、加算器は4ビット構成なので、オーバフローとなる16以上の数値は0からとしてカウントされる。従って、基準信号FREFのタイミングでのラッチ出力は、0、10、4、14、8となる。
【0012】
一方、基準信号FREFの位相は、図12(c)の回路で行うが、この回路も図9における位相検出器51と同一の構成で、ここでは4ビット構成の回路となっている。上述したように、目標逓倍数を示す周波数制御語(FCW)は、「10」が入力され、基準周波数FREFの立ち上がりごとに、位相信号は10インクリメントされる。
図12(d)は、この動作を説明する図であり、加算器の初期値は3である場合を示している。初期値が3で、毎回10インクリメントされるので、基準信号FREFごとの回路の出力は、3、13、7、1、11となる。この図の例では、電圧制御発振器VCOの周波数は、目標と一致しているが、位相が電圧制御発振器VCOの3パルス分だけシフトしている。
【0013】
検出した電圧制御発振器VCO及び基準信号FREFの位相差信号の検出手段を、再び図11に戻り説明を行うことにする。これら信号の位相誤差は、位相検出器51、52および加減算器122を備えた位相比較器81において行われる。すなわち、上述した2つのデジタル数値を加減算器122において単純に算術減算することによって位相誤差を得ている。得られた位相誤差信号は、デジタルループフィルタ133によって、高速成分が取り除かれた後に、発振器への利得調整などの処理を行うインターフェイス回路107を介して、発振器に帰還されている。
【0014】
しかしながら、上述した、信号CKVの立ち上がりエッジごとの遷移数の累積による位相検出方法だけでは、電圧制御発振器VCOの発振周期以下の分解能は実現できないので、上記特許文献1の例では、小位相比較器82を設け、時間デジタル変換器(TDC)83を用いて微小位相誤差を検出している。時間デジタル変換器(TDC)では、図13および図14に示すように、信号CKVの検出された「1」から「0」への遷移の位置は、基準信号FREF110のサンプリングするエッジと信号CKVの立ち上がりエッジ302の間の遅れ時間Δtrで示され、信号CKVの検出された「0」から「1」への遷移の位置は、基準信号FREF(110)のサンプリングするエッジと信号CKV114の立ち下がりエッジ400の間の遅れ時間Δtfで示されている。遅れ時間Δtr、Δtfは量子化され、回路の時間分解能Δtresの倍数で示されている。
【0015】
図13は、図11に示したデジタル型PLL回路における小位相比較の原理を説明するタイミング図の一例である。図14は、図11に示したデジタル型PLL回路における小位相比較の原理を説明するタイミング図の他の一例である。
ここで、小さな位相誤差ΦFは、Δtf>Δtrである場合には、-Δtr/2(Δtf-Δtr)で与えられ、Δtr>Δtfである場合には、1-Δtr/2(Δtr-Δtf)で与えられる。
【0016】
図15は、図11に示したデジタル型PLL回路における位相比較器のブロック図である。
この位相比較器は、信号CKVの周期以下の位相誤差を検出するための時間デジタル変換器(TDC)83の回路例である。
図15に示す時間デジタル変換器500は、複数のインバータによる遅延要素502とラッチ/レジスタ504とで構成されている。信号CKV(114)は、複数のインバータで順次遅延され、遅延されたベクトルはそれぞれ図示しない基準水晶発振器からの基準クロックFREF(110)の立ち上がりエッジでラッチ/レジスタ504にラッチされる。インバータアレイの遅れの総計が信号CKV(114)のクロック周期を十分カバーする限り、位相誤差をインバータの遅延時間の分解能Δtresまでは検出することが可能である。
【0017】
図16は、図15に示す回路における位相比較器の動作を説明するタイミング図である。
基準水晶発振器からの信号FREF(110)の正への遷移602で、複数のラッチ/レジスタ504がアクセスされ、基準水晶発振器からの信号FREF(110)の立ち上がりエッジを基準とする信号CKV(114)の遅れを示す複数の値の瞬時値604を得る。この瞬時値604は、時間差をデジタル値で示すものと見ることができる。
このデジタル値は、加減算器123により位相検出器51の出力と加減算される。加減算器123により算出された微小位相誤差信号は、デジタルループフィルタ134によって高速成分が除かれ、ΣΔ変調器108により変調された後に、電圧制御発振器VCO135の周波数を高精度に制御している。
【0018】
図17は、本発明に関連する他のデジタル位相検出器として、特許文献2に開示された発明を概略的に示すブロック回路図である。
図15において、101_1〜101_nは第1の遅延素子、102_1〜102_nは第2の遅延素子、103_1〜103_nはデータ保持回路、104は論理回路、REFは基準信号、CKVは対象信号を示している。
【0019】
このデジタル位相検出器は、対象信号CKVを複数の第1の遅延素子101_1〜101_nに通過させることで、各第1の遅延素子101_1〜101_nの遅延時間だけ順次遅延されたFB_1〜FB_nを生成し、さらに基準信号FREFに関しても、これを複数の第2の遅延素子102_1〜102_nに通過させることで、各第2の遅延素子102_1〜102_nの遅延時間だけ順次遅延された信号REF_1〜REF_nを生成する。
【0020】
データ保持回路103_1は、対象信号CKVが第1の遅延素子101_1〜101_nの第一段目の101_1で遅延された信号FB_1を、基準信号FREFが第2の遅延素子102_1〜102_nの第一段目の102_1で遅延された信号REF_1の立ち上がりエッジでラッチする。
また、データ保持回路103_nは、対象信号CKVが第1の遅延素子n段分の101_1〜101_nで遅延されたFB_nを、基準信号FREFが第2の遅延素子n段分102_1〜102_nで遅延されたREF_nのエッジでラッチする。すなわち、この例のデジタル位相検出器におけるデータ保持回路103_1〜103_nは、対象信号CKVが第1の遅延素子101_1〜101_nで順次遅延されたFB_1〜FB_nを、基準信号FREFが第2の遅延素子102_1〜102_nで順次遅延された位相の異なる対象信号REF_1〜REF_nのエッジでラッチし、それぞれ各FB_1〜FB_n及びREF_1〜REF_nの位相の進み/遅れの情報をデジタル信号Q_1〜Q_nとして論理回路104に出力する。
【0021】
図18は、図17に示すデジタル位相検出器の動作の一例を説明するためのタイミング図である。なお、図18は、便宜的に、5つのデータ保持回路103_1〜103_5による処理を示している。
【0022】
図18に示されるように、対象信号CKVは、複数の第1の遅延素子101_1〜101_5を順次通過することにより、第1の遅延素子101(101_1〜101_5)の一段毎の遅延時間が順次加算された信号FB_1〜FB_5となって、それぞれデータ保持回路103_1〜103_5のデータ端子Dに入力される。
【0023】
また、基準信号FREFは、複数の第2の遅延素子102_1〜102_5を順次通過することにより、第2の遅延素子102(102_1〜102_5)の一段毎の遅延時間が順次加算された信号REF_1〜REF_5、それぞれデータ保持回路103_1〜103_5のクロック端子に入力される。
【0024】
各データ保持回路103_1〜103_5は、103_1〜103_5の信号の立ち上がりタイミングで対応する対象信号FB_1〜FB_5をラッチし、出力Q_1〜Q_5を論理回路104に出力する。
【0025】
さらに、本実施形態のデジタル位相検出器では、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)の遅延時間は、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の遅延時間とは異なるように構成されており、第1の遅延素子101の遅延時間と第2の遅延素子102の遅延時間との差ΔDに応じてデジタル位相検出器の分解能が規定されることになる。
ここで、デジタル位相検出器の分解能は、第1の遅延素子101の遅延時間と第2の遅延素子102の遅延時間との差ΔDが小さいほど高くなり、第1の遅延素子101の遅延時間と第2の遅延素子102の遅延時間との差ΔDが大きいほど低くなる。
【0026】
このように、第1の遅延素子101および第2の遅延素子102の遅延時間を制御することにより、位相検出分解能を制御することができるが、位相検出分解能と第1の遅延素子101および第2の遅延素子102の段数との積が検出できる位相差の範囲となる。
【0027】
ここで、位相比較器関係の技術の一例が特許文献3〜5に記載されている。
特許文献3のデジタル位相ロックループ回路は、「位相のフィードバックを行うことにより入力周波数と出力周波数とを一致させる第1及び第2のループを有し、同期すべきクロック源が失われた場合に同期していたクロック周波数を記憶しておき該周波数を長期保持するデジタル位相ロックループ回路において、予め決められた周波数と前記出力周波数とを比較し、該比較結果を前記第1及び第2のループにおけるフィードバックに用いる第3のループを有する」ものであり、以下のように動作する。
【0028】
このデジタル位相ロックループ回路によれば、第3のループ内の算出手段において、固定周波数発振器から出力された信号の周波数と出力周波数との差が算出され、算出された差が記憶手段に記憶され、比較手段において、固定周波数発振器から出力された信号の周波数と現在の出力周波数との差と、記憶手段に記憶された差とが比較され、該比較結果に基づいた周波数を有する信号が電圧制御発振器から出力され、それにより、固定周波数発振器から出力された信号の周波数と現在の出力周波数との差と、記憶手段に記憶された差とが等しくなるように制御される。このように、HOLD OVER遷移時に動作する第3のループを新たに設けることで、HOLD OVER動作の長期安定度の向上が図られるとしている。
【0029】
特許文献4のデジタルPLL回路は、「基準クロックで動作する第1のnビットレジスタ(nは2以上の整数)と、この第1のnビットレジスタの出力バス値と発振周波数を決定する入力値とを加算するnビット加算器とからなり、nビット加算器の出力バス値を第1のnビットレジスタへの入力とし、第1のnビットレジスタの連続した2個の出力バス値のMSBを比較するとともに、第1のnビットレジスタの連続した2個の出力バス値の絶対値を比較し、第1のnビットレジスタの連続した2個の出力バス値のMSBの比較結果および第1のnビットレジスタの連続した2個の出力バス値の絶対値の比較結果に基づいて第1のnビットレジスタの出力バス値のMSBの遅延量を最適に制御し、第1のnビットレジスタの出力バス値のMSBの遅延信号を可変周波数発振器出力とするデジタル可変周波数発振器を用い、位相比較タイミングにおける第1のnビットレジスタの出力する連続した2個の出力バス値の平均値からなる位相比較出力をnビット加算器へ発振周波数を決定する入力値として入力した」ものであり、以下のように動作する。
【0030】
このデジタルPLL回路によれば、周波数の低い基準クロックで高い周波数分解能を得ることでき、しかも位相比較を正確に実施でき、かつ可変周波数発振器出力の位相精度を最大0.5基準クロック、つまり0.5基準クロック以下にしたデジタルPLL回路を実現できるとしている。
【0031】
特許文献5の位相調整回路は、「離散的にデータ信号とクロック信号との位相を調整する位相調整回路であって、クロック信号を遅延させて遅延クロック信号を生成する遅延線と、データ信号と遅延クロック信号との位相を比較する位相比較器と、位相比較器の比較結果に基づいて、第1の遅延制御信号を出力する第1の遅延制御部と、クロック信号の周波数に基づいて、第2の遅延制御信号を出力する第2の遅延制御部とを備え、遅延線は、第1及び第2の遅延制御信号に基づいて、クロック信号に対する遅延クロック信号の遅延量を決定する」ものであり、以下のように動作する。
【0032】
この位相調整回路によれば、ケーブル等の伝送経路を有するデータ伝送における位相調整回路に関して、デジタル遅延線を利用してもデータレートと遅延線ゲインの関係を最適に設定することが可能となり、低面積、省電力、プロセスポーティング容易化、設計容易化といったデジタル遅延線の優位性と、データ受信性能とを両立することが可能となるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】特開2002−76886号公報
【特許文献2】特開2007−110370号公報
【特許文献3】特開2000−315945号公報
【特許文献4】特開2001−244810号公報
【特許文献5】特開2007−110323号公報
【非特許文献】
【0034】
【非特許文献1】Journal of Solid-State Circuit, Vol39, No.12, 2004, pp.2278-2291
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0035】
以上述べたように、デジタル的に電圧制御発振器VCOを制御することで、微細CMOSデバイスの低電圧動作でも、安定で、高精度な発振信号を実現することができるが、電圧制御発振器VCOの発振周波数が高くなるにつれて、時間分解能への要求が厳しくなることが予想される。
【0036】
上述した特許文献1に記載の時間分解能は、インバータの遅延時間で決定されるので、半導体製造技術上ある一定以下の遅延時間は実現できない。例えば、8GHzでは1周期が125psであるところ、90nmプロセスでは分解能は20ps程度となる。また、特許文献2に記載の技術では、分解能を向上させようとすると、単純には、第1の遅延素子101の遅延時間と第2の遅延素子102の遅延時間との差ΔDを小さく設定する必要がある。検出できる位相差の範囲をある一定量確保するためには、遅延素子の段数を著しく増加させる必要がある。
例えば、分解能を1psとするには、遅延素子の段数は、特許文献1に記載の技術の場合の20倍必要となる。
【0037】
また、特許文献2に記載の技術で、各遅延素子の遅延時間を一定にしないで、各段で異なるように設定すると必要段数を減らすことが可能であるが、素子ばらつきの影響で、正確な位相差を判別することが出来なくなる問題がある。特許文献3〜5に記載の技術も同様な問題がある。
【0038】
本発明の課題は上述した従来技術の問題点を解決することであって、その目的は、電圧制御発振器VCOの出力信号と参照信号との位相差をデジタル信号として高精度に検知できる位相比較器、PLL回路、及び位相比較器の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明の位相比較器は、各々複数段縦列接続され、基準信号および対象信号が入力される遅延回路と、各々の段の遅延時間の差により、前記基準信号と前記対象信号との位相差を出力する保持回路と、その出力結果を元に、前記遅延素子の時間差及び大小を変更する論理回路とを備えたことを特徴とする。
【0040】
本発明のPLL回路は、上記構成の位相比較器を用いたことを特徴とする。
【0041】
本発明の制御方法は、基準信号および対象信号を、各々複数段縦列接続した遅延素子に入力し、各々の段の遅延時間の差により、前記基準信号と前記対象信号との位相差をデジタル出力し、その出力結果を元に、前記遅延素子の時間差及び大小を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、電圧制御発振器VCOの出力信号と参照信号との位相差をデジタル信号として高精度に検知できる位相比較器、PLL回路、及び位相比較器の制御方法の提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施の形態を説明するためのデジタル位相比較器を示すブロック図の一例である。
【図2】図1に示したデジタル位相検出器の動作を説明するためのタイミング図の一例である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を説明するための位相比較器のブロック図の一例である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を説明するための位相比較器のブロック図の一例である。
【図5】本発明の第3の実施の形態のタイミング図の一例である。
【図6】本発明の第3の実施の形態のタイミング図の一例である。
【図7】本発明の第4の実施の形態を説明するための位相比較器のブロック図の一例である。
【図8】本発明の第4の実施の形態のタイミング図の一例である。
【図9】本発明の第5の実施の形態を説明するための位相比較器のブロック図の一例である。
【図10】本発明に関連するアナログ型PLL回路のブロック図の例である。
【図11】本発明に関連するデジタル型PLL回路のブロック図である。
【図12】図11に示したデジタル型PLL回路における位相検出部の動作を説明するタイミング図。
【図13】図11に示したデジタル型PLL回路における小位相比較の原理を説明するタイミング図の一例である。
【図14】図11に示したデジタル型PLL回路における小位相比較の原理を説明するタイミング図の他の一例である。
【図15】図11に示したデジタル型PLL回路における位相比較器のブロック図である。
【図16】図15に示す回路における位相比較器の動作を説明するタイミング図である。
【図17】本発明に関連する他のデジタル位相検出器として、特許文献2に開示された発明を概略的に示すブロック回路図である。
【図18】図17に示すデジタル位相検出器の動作の一例を説明するためのタイミング図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態を説明するためのデジタル位相比較器を示すブロック図の一例である。
以下の実施の形態において、同一の部材には同一の符号を付して、重複する説明は適宜省略する。
図1において、101_1〜01_nは第1の遅延素子、102_1〜102_nは第2の遅延素子、103_0〜103_nはデータ保持回路、104は論理回路、FREFは、基準水晶発振器から得られる基準信号、CKVは比較対象信号である。
【0045】
このデジタル位相検出器は、対象信号CKVを、複数の第1の遅延素子101_1〜101_nに通過させることで、各第1の遅延素子101_1〜101_nの遅延時間だけ順次遅延されたFB_1〜FB_nを生成する。さらに基準信号FREFに関しても、これを複数の第2の遅延素子102_1〜102_nに通過させることで、各第2の遅延素子102_1〜102_nの遅延時間だけ順次遅延された信号REF_1〜REF_nを生成する。
【0046】
データ保持回路103_1は、対象信号CKVが第1の遅延素子101_1〜101_nの第一段目の101_1で遅延された信号FB_1を、基準信号FREFが第2の遅延素子102_1〜102_nの第一段目の102_1で遅延された信号REF_1の立ち上がりエッジでラッチする。
【0047】
また、データ保持回路103_nは、対象信号CKVが第1の遅延素子n段分の101_1〜101_nで遅延された信号FB_nを、基準信号FREFが第2の遅延素子n段分102_1〜102_nで遅延された信号REF_nのエッジでラッチする。すなわち、この例のデジタル位相検出器におけるデータ保持回路103_1〜103_nは、それぞれ各信号FB_1〜FB_nと、信号REF_1〜REF_nとの位相の進み/遅れの情報をデジタル信号Q_1〜Q_nとして論理回路104に出力する。
【0048】
本実施形態のデジタル位相検出器において、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)の遅延時間は、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の遅延時間とは異なるように構成されており、第1の遅延素子101の遅延時間と第2の遅延素子102の遅延時間との差ΔDに応じてデジタル位相検出器の分解能が規定されることになる。
【0049】
ここで、デジタル位相検出器の分解能は、第1の遅延素子101の遅延時間と第2の遅延素子102の遅延時間との差ΔDが小さいほど高くなり、第1の遅延素子101の遅延時間と第2の遅延素子102の遅延時間との差ΔDが大きいほど低くなる。
【0050】
また、本実施形態における各々の遅延素子は、一つのバッファ回路と、当該バッファ回路の出力端子に各々接続されたスイッチと、各スイッチを介して接続された複数の同一サイズの容量素子とで構成されている。出力端子に接続される容量の数を変化させることで、遅延時間を制御する。
【0051】
本実施形態の動作を、図2を参照して説明する。
図2は、図1に示したデジタル位相検出器の動作を説明するためのタイミング図の一例である。
ここで、位相比較の開始時点では、対象信号CKVが、基準信号FREFに対してΔTだけ進んでいる場合を考える。
本実施形態では最初に、第1の遅延素子101と、第2の遅延素子102との位相差ΔDを最大に設定する。すなわち、第1の遅延素子101の出力端子にn個の全ての容量素子C1〜Cnを接続する。
【0052】
一方、第2の遅延素子102の出力端子には容量素子C1〜Cnを接続しない。バッファ回路の遅延時間をtd0とし、容量素子が1個接続される毎の遅延時間の増加分をδとすると、この場合では、第1の遅延素子101の遅延量は、td0+nδ、第2の遅延素子102の遅延量はtd0となり、時間差はnδとなる。1段目の遅延回路を経由する前の段階でのデータ保持回路103_0の出力は「1」となり、順次遅延素子を経由するごとに、位相差がnδだけ順次小さくなる。各々の遅延回路の数段分で遅延した対象信号CKVと基準信号FREFとの位相関係が逆転するとデータ保持回路103の出力が反転する。反転したデータ保持回路103が初段から4番目であれば、初期の位相差は、3nδと4nδとの間にあるとわかる。
【0053】
4段目のデータ保持回路103_4の入力端子では、対象信号CKVは、基準信号FREFに対して進んでおり、それゆえデータ保持回路103の出力は「0」となっているが、5段目以降、順次遅延素子を経由するごとに、位相差が−(n/2)δだけ、対象信号CKVが遅れるようになる。各々の遅延回路の数段分で遅延した対象信号CKVと基準信号FREFとの位相関係が逆転するとデータ保持回路103の出力が再び反転する。
再び反転したデータ保持回路103が初段から6番目であれば、初期の位相差は、4nδ−2(n/2)δと4nδ−(n/2)δとの間にあるとわかる。
【0054】
次に、第1の遅延素子101及び第2の遅延素子102の遅延量の大小関係を再び反転させると共に、その差を再びこれまでより小さく設定する。例えば、第1の遅延素子101のバッファ出力はn個すべての容量素子を接続する。
【0055】
一方、第2の遅延素子102のバッファ出力には(3n/4)個の容量素子を接続する。このとき、第1の遅延素子101の遅延量は、td0+nδ、第2の遅延素子102の遅延量はtd0+(3n/4)δとなり、時間差は+(n/4)δとなる。6段目のデータ保持回路103_6の入力端子では、対象信号CKVは、基準信号FREFに対して遅れており、それゆえデータ保持回路103の出力は「1」となっているが、7段目以降、順次遅延素子を経由するごとに、位相差が+(n/4)δだけ、対象信号CKVが遅れるようになる。
【0056】
各々の遅延回路の数段分で遅延した対象信号と基準信号の位相関係が逆転するとデータ保持回路103の出力が再び反転する。再び反転したデータ保持回路103が初段から7番目であれば、初期の位相差は、4nδ−2(n/2)δ+(n/4)δと、4nδ−2(n/2)δとの間にあるとわかる。これを、順次繰り返すことで、効率的に高分解能な位相比較器が実現できる。しかも、本発明に関連する技術のように、位相検出分解能が、検出できる位相差の範囲に直結しないので、設計の自由度も広くなる。
【0057】
[第2の実施の形態]
図3は、本発明の第2の実施の形態を説明するための位相比較器のブロック図の一例である。
対象信号CKRはフリップフロップを用いて、基準信号FREFを比較対象信号CKVの立ち上がりエッジでリタイミングした信号を示している。この実施の形態では、第1の実施の形態とは異なり、比較対象信号CKVと、基準信号FREFとを直接比較する代わりに、リタイミングした基準信号と、元の基準信号FREFとを比較している。リタイミングした基準信号は、比較対象信号CKVと基準信号の位相差情報を保持しているので、高速な比較対象信号を用いる必要がなく、結果として、位相比較器の消費電力を低減することが可能である。
【0058】
このデジタル位相検出器は、基準信号FREFを複数の第1の遅延素子101_1〜101_nに通過させることで、各第1の遅延素子101_1〜101_nの遅延時間だけ順次遅延された信号REF_1〜REF_nを生成する。さらにリタイミングした信号CKRに関しても、この信号CKRを複数の第2の遅延素子102_1〜102_nに通過させることで、各第2の遅延素子102_1〜102_nの遅延時間だけ順次遅延された信号CKR_1〜CKR_nを生成する。
【0059】
データ保持回路103_1は、基準信号FREFが第1の遅延素子101_1〜101_nの第一段目の101_1で遅延された信号REF_1を、リタイミングした信号CKRが第2の遅延素子102_1〜102_nの第一段目の102_1で遅延された信号CKR_1の立ち上がりエッジでラッチする。また、データ保持回路103_nは、基準信号FREFが第1の遅延素子n段分の101_1〜101_nで遅延された信号REF_nを、リタイミングした信号CKRが第2の遅延素子n段分102_1〜102_nで遅延されたCKR_nのエッジでラッチする。すなわち、この実施の形態のデジタル位相検出器におけるデータ保持回路103_1〜103_nは、それぞれ各REF_1〜REF_nと、CKR_1〜CKR_nとの位相の進み/遅れの情報をデジタル信号Q_1 〜Q_nとして論理回路104に出力する。
【0060】
本実施形態のデジタル位相検出器においても、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)の遅延時間は、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の遅延時間とは異なるように構成されており、本実施形態における各々の遅延素子は、第1の実施形態と同じように一つのバッファ回路と、当該バッファ回路の出力端子に接続された複数のスイッチと、各々スイッチを介して接続された複数の同一サイズの容量素子とで構成され、出力端子に接続される容量の数を変化させることで、遅延時間を制御する。
【0061】
本実施形態は、第1の実施形態における比較対象信号と基準信号の位相差を、基準信号を対象信号でリタイミングした信号を用いることで検出しており、回路上の違いは、初段のフリップフロップのみである。リタイミングした信号CKRと、基準信号FREFの位相差を検出する動作については、第1の実施形態と同一であるため説明を省略する。
【0062】
[第3の実施の形態]
図4は、本発明の第3の実施の形態を説明するための位相比較器のブロック図の一例である。
この実施形態では、信号CKRはフリップフロップを用いて、基準信号FREFを比較対象信号CKVの立ち上がりエッジでリタイミングした信号、CKRBはフリップフロップを用いて、基準信号FREFを比較対象信号CKVの立ち下がりエッジでリタイミングした信号を示している。
【0063】
リタイミングした基準信号CKRは、元の基準信号FREFと比較対象信号CKVとの位相差情報を保持しており、信号CKRBは、当該位相差に加え比較対象信号CKVの1/2周期の位相差を保持している。これら2つのリタイミングした信号と、基準信号CKRとの位相差とを比較することで、位相差を比較対象信号CKVの周期で規格化した位相差を求めることが出来る。この実施形態でも、高速な比較対象信号を用いる必要がなく、結果として、位相比較器の消費電力を低減することが可能である。
【0064】
図4において、105_1〜105_nは第3の遅延素子、106_0〜106_nは、第2のデータ保持回路を示している。このデジタル位相検出器では、基準信号FREFを複数の第1の遅延素子101_1〜101_nに通過させることで、各第1の遅延素子101_1〜101_nの遅延時間だけ順次遅延されたREF_1〜REF_nを生成する。さらにリタイミングされた信号CKRに関しても、これを複数の第2の遅延素子102_1〜102_nに通過させることで、各第2の遅延素子102_1〜102_nの遅延時間だけ順次遅延された信号CKR_1〜CKR_nを生成する。また、さらにリタイミングされた信号CKRBに関しては、これを複数の第3の遅延素子105_1〜105_nに通過させることで、各第3の遅延素子105_1〜105_nの遅延時間だけ順次遅延された信号CKRB_1〜CKRB_nを生成する。
【0065】
データ保持回路106_1は、基準信号FREFが第1の遅延素子101_1〜101_nの第一段目の101_1で遅延された信号REF_1を、リタイミングした信号CKRBが第3の遅延素子105_1〜105_nの第一段目の105_1で遅延された信号CKRB_1の立ち上がりエッジでラッチする。
【0066】
また、データ保持回路106_nは、基準信号FREFが第1の遅延素子n段分の101_1〜101_nで遅延された信号REF_nを、リタイミングした信号CKRBが第3の遅延素子n段分105_1〜105_nで遅延された信号CKRB_nの立ち上がりエッジでラッチする。
すなわち、この例のデジタル位相検出器におけるデータ保持回路106_1〜106_nは、それぞれ各信号REF_1〜REF_nと、信号CKRB_1〜CKRB_nとの位相の進み/遅れの情報をデジタル信号Q_1B〜Q_nBとして論理回路104に出力する。
【0067】
本実施形態のデジタル位相検出器においても、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)の遅延時間と、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)、及び第3の遅延素子105(105_1〜105_n)の遅延時間とは異なるように構成されている。
【0068】
ここで、本実施形態における各々の遅延素子は、第1の実施形態と同じように一つのバッファ回路と、当該バッファ回路の出力端子に接続された複数のスイッチと、各々スイッチを介して接続された複数の同一サイズの容量素子とで構成され、出力端子に接続される容量の数を変化させることで、遅延時間を制御する。
【0069】
本実施形態の動作を、図5及び図6を参照して説明する。
図5及び図6は、図4に示したデジタル位相検出器の動作を説明するためのタイミング図の一例である。
ここで、位相比較の開始時点では、対象信号CKRが、基準信号FREFに対してΔTだけ進んでいる場合を考える。本実施形態では最初に、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)と、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の位相差ΔDを最大に設定する。すなわち、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)の出力端子にn/2個の容量素子を接続する。
一方、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)及び第3の遅延素子105(105_1〜105_n)の出力端子には容量素子を接続しない。
【0070】
バッファ回路の遅延時間をtd0とし、容量素子1個接続される毎の遅延時間の増加分をδとすると、この場合では、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)の遅延量は、td0+(n/2)δ、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)及び第3の遅延素子105(105_1〜105_n)の遅延はtd0となり、時間差は(n/2)δとなる。
【0071】
図5に示したように、1段目の遅延回路を経由する前の段階でのデータ保持回路103_0の出力及びデータ保持回路106_0の出力は共に「1」で、順次遅延素子を経由するごとに、位相差が(n/2)δだけ順次小さくなる。各々の遅延回路の数段分で遅延した対象信号と基準信号の位相関係が逆転するとデータ保持回路の出力が反転する。この例では、初段から4番目のデータ保持回路103_4が反転しているので、初期の位相差は、(3n/2)δと(4n/2)δとの間にある。
【0072】
一方、データ保持回路106_4のクロック入力は、対象信号の1/2周期分だけ遅れているので、その出力は「1」のままである。
【0073】
次に、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)及び第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の遅延量の大小関係を反転させると共に、その差をこれまでより小さく設定する。例えば、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)のバッファ出力は変えずにn/2個の容量素子を接続したまま、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)のバッファ出力には3n/4個の容量素子を接続する。
このとき、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)の遅延量は、td0+(n/2)δ、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の遅延は、(td0+3n/4)δとなり、時間差は−(n/4)δとなる。第3の遅延素子105(105_1〜105_n)には、依然として何も容量素子を接続しないので、その時間差は(n/2)δのままとなる。
【0074】
データ保持回路103_4の入力端子では、対象信号CKRは、基準信号FREFに対して進んでおり、それゆえデータ保持回路103_4の出力は「0」となっているが、5段目以降、順次遅延素子を経由するごとに、位相差が−(n/4)δだけ、対象信号CKRが遅れるようになる。各々の遅延回路の数段分で遅延した対象信号CKRと基準信号FREFとの位相関係が逆転するとデータ保持回路103の出力が再び反転する。再び反転したデータ保持回路103が初段から6番目であれば、初期の位相差は、4(n/2)δ−2(n/4)δと、4(n/2)δ−(n/4)δの間にあるとわかる。このタイミングでも、データ保持回路106_4のクロック入力は、対象信号の1/2周期分だけ遅れているので、その出力は「1」のままである。
【0075】
次に、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)及び第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の遅延量の大小関係を再び反転させると共に、その差を再びこれまでより小さく設定する。例えば、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)のバッファ出力は変えずに(n/2)個の容量素子を接続し、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)のバッファ出力には(3n/8)個の容量素子を接続する。
このとき、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)の遅延量は、td0+(n/2)δ、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の遅延はtd0+(3n/8)δとなり、時間差は+(n/8)δとなる。6段目のデータ保持回路103_6の入力端子では、対象信号CKRは、基準信号FREFに対して遅れており、それゆえデータ保持回路103_6の出力は「1」となっているが、7段目以降、順次遅延素子101を経由するごとに、位相差が+(n/8)δだけ、対象信号CKRが進むようになる。各々の遅延回路の数段分で遅延した対象信号CKRと基準信号FREFの位相関係が逆転するとデータ保持回路103の出力が再び反転する。
【0076】
再び反転したデータ保持回路103が初段から7番目であれば、初期の位相差は、4(n/2)δ−2(n/4)δ+(n/8)δと、4(n/2)δ−2(n/4)δとの間にあるとわかる。これを、順次繰り返すことで、効率的に高分解能な位相比較器が実現できる。データ保持回路106も、1/2周期の遅れ時間が経由した後に、同様に、第3の遅延素子105(105_1〜105_n)の時間を変更することで、正確な位相差を検出することが出来る。
【0077】
図6に示したように、この例では、データ保持回路106の10段目、12段目、13段目でデータが反転しているので、基準信号FREF及び比較対象信号CKRBの初期の位相差は、10(n/2)δ−2(n/4)δ+(n/8)δと、10(n/2)δ−2(n/4)δとの間にあるとわかる。この差は対象信号CKRの1/2周期に相当するので、1/2周期に相当する遅延差は、6(n/2)δとわかる。この遅延差を用いて、データ保持回路103の結果を規格化すると、対象信号CKR及び基準信号FREFの遅延時間差は、対象信号CKRの1/2周期に対して、{4(n/2)δ−2(n/4)δ+(n/8)δ}/6(n/2)δ=13/24と、12/24=1/2との間にあるとわかる。この結果には、容量素子による遅延量δが含まれていないことから、中心値変動のような素子ばらつきが発生し、遅延量δが変化しても、対象信号CKRの周期に規格化した位相差が正確に算出できる。
【0078】
しかも、本発明に関連する技術のように、位相検出分解能が、検出できる位相差の範囲に直結しないので、設計の自由度も広くなる。
【0079】
[第4の実施の形態]
図7は、本発明の第4の実施の形態を説明するための位相比較器のブロック図の一例である。
この実施形態では、信号CKRはフリップフロップを用いて、基準信号FREFを比較対象信号CKVの立ち上がりエッジおよび立ち下りの両エッジでリタイミングした信号を示している。
【0080】
信号CKRは、基準信号FREFの立ち上がりエッジのリタイミング時点で、元の基準信号FREFと比較対象信号CKVとの位相差情報を保持しており、さらには、立ち下がりエッジでのリタイミング時点では、当該位相差に加え比較対象信号CKVの1/2周期の位相差を保持している。これら2つのリタイミング時点で、基準信号FREFとCKRとの位相差を比較することで、位相差を比較対象信号CKVの周期で規格化した位相差を求めることが出来る。この実施形態でも、高速な比較対象信号を用いる必要がなく、結果として、位相比較器の消費電力を低減することが可能である。
【0081】
図7において、109は基準信号の状態に応じて比較対象信号CKVと、その反転信号CKVBとを切り替えるセレクタを示している。このデジタル位相検出器では、基準信号FREFを複数の第1の遅延素子101_1 〜 101_n に通過させることで、各第1の遅延素子101_1〜101_nの遅延時間だけ順次遅延されたREF_1〜REF_nを生成する。さらにリタイミングされた信号CKRに関しても、これを複数の第2の遅延素子102_1〜102_nに通過させることで、各第2の遅延素子102_1〜102_nの遅延時間だけ順次遅延された信号CKR_1〜CKR_nを生成する。セレクタ109は、基準信号の立ち上がりエッジでは、比較対象信号CKVでリタイミングされ、立ち下がりエッジでは、比較対象信号の反転信号CKVBでリタイミングされるように、比較対象信号を選択する。
【0082】
データ保持回路103_1は、基準信号FREFが第1の遅延素子101_1〜101_nの第一段目の101_1で遅延された信号REF_1を、リタイミングした信号CKRが第2の遅延素子102_1〜102_nの第一段目の102_1で遅延された信号CKR_1の立ち上がりエッジでラッチする。
【0083】
また、データ保持回路103_n は、基準信号FREFが第1の遅延素子n段分の101_1〜101_nで遅延された信号REF_nを、リタイミングした信号CKRが第2の遅延素子n段分102_1〜102_nで遅延された信号CKR_nの立ち上がりエッジでラッチする。
すなわち、この例のデジタル位相検出器におけるデータ保持回路103_1〜103_nは、それぞれ各信号REF_1〜REF_nと、信号CKR_1〜CKR_nとの位相の進み/遅れの情報をデジタル信号Q_1B〜Q_nBとして論理回路104に出力する。
【0084】
本実施形態のデジタル位相検出器においても、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)の遅延時間と、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の遅延時間とは異なるように構成されている。
【0085】
ここで、本実施形態における各々の遅延素子は、第1の実施形態と同じように一つのバッファ回路と、当該バッファ回路の出力端子に接続された複数のスイッチと、各々スイッチを介して接続された複数の同一サイズの容量素子とで構成され、出力端子に接続される容量の数を変化させることで、遅延時間を制御する。
【0086】
本実施形態の動作を、図8を参照して説明する。
図8は、図7に示したデジタル位相検出器の動作を説明するためのタイミング図の一例である。
ここで、位相比較の開始時点では、対象信号CKRが、基準信号FREFに対してΔTだけ進んでいる場合を考える。本実施形態では最初に、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)と、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の位相差ΔDを最大に設定する。すなわち、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)の出力端子にn/2個の容量素子を接続する。
一方、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の出力端子には容量素子を接続しない。
【0087】
バッファ回路の遅延時間をtd0とし、容量素子1個接続される毎の遅延時間の増加分をδとすると、この場合では、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)の遅延量は、td0+(n/2)δ、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の遅延はtd0となり、時間差は(n/2)δとなる。
【0088】
図8に示したように、1段目の遅延回路を経由する前の段階でのデータ保持回路103_0の出力及びデータ保持回路106_0の出力は共に「1」で、順次遅延素子を経由するごとに、位相差が(n/2)δだけ順次小さくなる。各々の遅延回路の数段分で遅延した対象信号と基準信号の位相関係が逆転するとデータ保持回路の出力が反転する。この例では、初段から4番目のデータ保持回路103_4が反転しているので、初期の位相差は、(3n/2)δと(4n/2)δとの間にある。
【0089】
次に、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)及び第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の遅延量の大小関係を反転させると共に、その差をこれまでより小さく設定する。例えば、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)のバッファ出力は変えずにn/2個の容量素子を接続したまま、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)のバッファ出力には3n/4個の容量素子を接続する。
このとき、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)の遅延量は、td0+(n/2)δ、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の遅延は、(td0+3n/4)δとなり、時間差は−(n/4)δとなる。
【0090】
データ保持回路103_4の入力端子では、対象信号CKRは、基準信号FREFに対して進んでおり、それゆえデータ保持回路103_4の出力は「0」となっているが、5段目以降、順次遅延素子を経由するごとに、位相差が−(n/4)δだけ、対象信号CKRが遅れるようになる。各々の遅延回路の数段分で遅延した対象信号CKRと基準信号FREFとの位相関係が逆転するとデータ保持回路103の出力が再び反転する。再び反転したデータ保持回路103が初段から6番目であれば、初期の位相差は、4(n/2)δ−2(n/4)δと、4(n/2)δ−(n/4)δの間にあるとわかる。
【0091】
次に、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)及び第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の遅延量の大小関係を再び反転させると共に、その差を再びこれまでより小さく設定する。例えば、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)のバッファ出力は変えずに(n/2)個の容量素子を接続し、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)のバッファ出力には(3n/8)個の容量素子を接続する。
このとき、第1の遅延素子101(101_1〜101_n)の遅延量は、td0+(n/2)δ、第2の遅延素子102(102_1〜102_n)の遅延はtd0+(3n/8)δとなり、時間差は+(n/8)δとなる。6段目のデータ保持回路103_6の入力端子では、対象信号CKRは、基準信号FREFに対して遅れており、それゆえデータ保持回路103_6の出力は「1」となっているが、7段目以降、順次遅延素子101を経由するごとに、位相差が+(n/8)δだけ、対象信号CKRが進むようになる。各々の遅延回路の数段分で遅延した対象信号CKRと基準信号FREFとの位相関係が逆転するとデータ保持回路103の出力が再び反転する。
【0092】
再び反転したデータ保持回路103が初段から7番目であれば、初期の位相差は、4(n/2)δ−2(n/4)δ+(n/8)δと、4(n/2)δ−2(n/4)δとの間にあるとわかる。これを、順次繰り返すことで、効率的で高分解能な位相比較器を実現することができる。
【0093】
一方、基準信号FREFの立ち下がりエッジでリタイミングされた信号CKRに対しても、同様の処理を行い、基準信号との位相差を比較する。このときのリタイミング信号CKRは、立ち上がりエッジでリタイミングした信号に比較して、基準信号FREFに対してさらに、対象信号の1/2周期分だけ遅れているので、データ保持回路が反転するデータ保持回路は、図8に示したように、10段目以降となる。例えば、10段目、12段目、13段目でデータが反転している場合には、基準信号FREF及び比較対象信号CKRの初期の位相差は、10(n/2)δ−2(n/4)δ+(n/8)δと、10(n/2)δ−2(n/4)δとの間にあるとわかる。この差は対象信号CKRの1/2周期に相当するので、1/2周期に相当する遅延差は、6(n/2)δとわかる。この遅延差6(n/2)δを用いて、データ保持回路103の結果を規格化すると、対象信号CKR及び基準信号FREFの遅延時間差は、対象信号CKRの1/2周期に対して、{4(n/2)δ−2(n/4)δ+(n/8)δ}/6(n/2)δ=13/24と、12/24=1/2との間にあるとわかる。この結果には、容量素子による遅延量δが含まれていないことから、中心値変動のような素子ばらつきが発生し、遅延量δが変化しても、対象信号CKRの周期に規格化した位相差が正確に算出できる。
【0094】
しかも、本発明に関連する技術のように、位相検出分解能が、検出できる位相差の範囲に直結しないので、設計の自由度も広くなる。
【0095】
[第5の実施の形態]
図9は、本発明の第5の実施の形態を説明するための位相比較器のブロック図の一例である。
この実施形態は、第3の実施の形態において、基準信号及び対象信号の位相の遅れ/進みを判定するラッチ回路103/106や、論理回路104の遅延時間を補正する一定の遅延時間を有する素子141−146が各遅延回路段に接続されている。これにより、論理回路の遅延時間の誤差を少なくすることができるので、より正確な位相比較が可能となる。基本動作についての説明は、実施の形態3と同様なので省略する。
【0096】
<作用効果>
本実施の形態によれば、基準信号および対象信号を、各々複数段縦列接続した遅延素子に入力し、各々の段の遅延時間の差により、基準信号と対象信号の位相差をデジタル出力し、その出力結果を元に、遅延素子の時間差及び大小を変更することで、回路規模を大きくせずとも、高精度な位相比較が出来る。その結果、低電圧動作で、しかも超高速で動作するデジタルシンセサイザでも、高精度に位相制御が可能で位相雑音の低いシンセサイザを低消費電力で実現することが可能となり、将来の微細CMOSデバイスを用いた高度無線システムに好適な位相比較器とそれを用いたPLL回路を提供することができる。
【0097】
なお、上述した実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。例えば、実施の形態では、遅延時間の差を1/2ずつ変更するとしていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、1/3や1/5等のように1/(2n+1)を用いてもよい(但し、nは自然数)。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、位相比較器、PLL回路及びPLL回路を用いた受信機、送信機、中継器、標準信号発生器、測定器等に利用することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 位相比較器
2 チャージポンプ
3 ループフィルタ
4、135 電圧制御発振器VCO
5 分周器
51、52、53、54、55、57 位相検出器
61、62、63、64 遅延素子
81 位相比較器
82 小位相比較器
83 時間デジタル変換器
86、87 除算器
132、118、119 ラッチ
133、134 デジタルループフィルタ
107 インターフェイス回路
108 ΣΔ変調器
109 セレクタ
122、123 加減算器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々複数段縦列接続され、基準信号および対象信号が入力される遅延回路と、各々の段の遅延時間の差により、前記基準信号と前記対象信号との位相差を出力する保持回路と、その出力結果を元に、前記遅延素子の時間差及び大小を変更する論理回路とを備えたことを特徴とする位相比較器。
【請求項2】
前記遅延回路は、第1の信号を遅延する複数の遅延素子が縦列接続された第1の遅延回路と、第2の信号を遅延する複数の遅延素子が縦列接続された第2の遅延回路とを有し、
前記保持回路は、前記第2の遅延回路の遅延素子により順次遅延された前記第2の信号に従って、前記第1の遅延回路の遅延素子により順次遅延された前記第1の信号を取り込むことにより、前記第1の信号と第2の信号の相対的な位相関係を表すデジタル値を保持する複数の保持回路を有し、
前記論理回路は、前記第1の遅延素子及び前記第2の遅延素子の遅延時間の差及び大小関係を、前記第1の信号と前記第2の信号間の相対的な位相の進み/遅れに応じて変化させることを特徴とする請求項1記載の位相比較器。
【請求項3】
前記遅延回路は、第1の信号を遅延する複数の遅延素子が縦列接続された第1の遅延回路と、第2の信号を遅延する複数の遅延素子が縦列接続された第2の遅延回路とを有し、
前記保持回路は、前記第2の遅延回路の遅延素子により順次遅延された前記第2の信号に従って、前記第1の遅延回路の遅延素子により順次遅延された前記第1の信号を取り込むことにより、前記第1の信号と前記第2の信号の相対的な位相関係を表すデジタル値を保持する複数の保持回路を有し、
前記第2の信号は、前記第1の信号を前記第3の信号に従ってリタイミングすることにより生成されており、前記論理回路は、前記第1の遅延素子及び前記第2の遅延素子の遅延時間の差及び大小関係を、前記第1の信号と前記第2の信号との間の相対的な位相の進み/遅れに応じて変化させることを特徴とする請求項1記載の位相比較器。
【請求項4】
前記遅延回路は、第1の信号を遅延する複数の遅延素子が縦列接続された第1の遅延回路と、第2の信号を遅延する複数の遅延素子が縦列接続された第2の遅延回路と、前記第2の遅延回路の遅延素子により順次遅延された前記第2の信号に従って、前記第1の遅延回路の遅延素子により順次遅延された前記第1の信号を取り込むことにより、前記第1の信号と前記第2の信号との相対的な位相関係を表すデジタル値を保持する複数の第1保持回路と、第3の信号を遅延する複数の遅延素子が縦列接続された第3の遅延回路とを有し、
前記保持回路は、前記第3の遅延回路の遅延素子により順次遅延された前記第3の信号に従って、前記第1の遅延回路の遅延素子により順次遅延された前記第1の信号を取り込むことにより、前記第1の信号と前記第3の信号との相対的な位相関係を表すデジタル値を保持する複数の第2保持回路とを有し、
前記第2の信号は、前記第1の信号を第4の信号に従ってリタイミングすることにより生成し、前記第3の信号は、前記第1の保持回路で用いたものと異なるタイミングの前記第4の信号に従って、前記第1の信号をリタイミングすることにより生成されており、
前記論理回路は、前記第1の遅延素子及び前記第2の遅延素子の遅延時間の差及び大小関係を、前記第1の信号と前記第2の信号との間の相対的な位相の進み/遅れに応じて変化させ、前記第1の遅延素子及び前記第3の遅延素子の遅延時間の差及び大小関係を、前記第1の信号と前記第3の信号との間の相対的な位相の進み/遅れに応じて変化させることを特徴とする請求項1記載の位相比較器。
【請求項5】
前記遅延回路は、第1の信号を遅延する複数の遅延素子が縦列接続された第1の遅延回路と、第2の信号を遅延する複数の遅延素子が縦列接続された第2の遅延回路とを有し、
前記保持回路は、前記第2の遅延回路の遅延素子により順次遅延された前記第2の信号に従って、前記第1の遅延回路の遅延素子により順次遅延された前記第1の信号を取り込むことにより、前記第1の信号と前記第2の信号の相対的な位相関係を表すデジタル値を保持する複数の保持回路を有し、
前記第2の信号は、前記第1の信号を前記第3の信号に従ってリタイミングすることにより生成されており、そのリタイミング手段は前記第1の信号の立ち上がり及び立ち下がりの両エッジで行われ、前記論理回路は、前記第1の遅延素子及び前記第2の遅延素子の遅延時間の差及び大小関係を、前記第1の信号と前記第2の信号との間の相対的な位相の進み/遅れに応じて変化させることを特徴とする請求項1記載の位相比較器。
【請求項6】
前記各遅延回路は、一つのバッファ回路と、一端が該バッファ回路の出力端子に接続され、前記論理回路によりオン・オフされる複数のスイッチと、一端が前記スイッチの他端にそれぞれ接続され他端が接地された同一サイズの複数の容量素子とで構成されていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項記載の位相比較器。
【請求項7】
請求項1から5の何れか一項記載の位相比較器を用いたことを特徴とするPLL回路。
【請求項8】
基準信号および対象信号を、各々複数段縦列接続した遅延素子に入力し、各々の段の遅延時間の差により、前記基準信号と前記対象信号との位相差をデジタル出力し、その出力結果を元に、前記遅延素子の時間差及び大小を変更することを特徴とする位相比較器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−119077(P2010−119077A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−16945(P2009−16945)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】