説明

位置検出機能付き表示装置

【課題】少ない数の光検出器や位置検出用光源によって、検出領域内の対象物体の位置を検出することのできる位置検出機能付き表示装置を提供すること。
【解決手段】位置検出機能付き表示装置100において、表示パネル8は、画像表示領域20Rに、複数の表示用発光素子6を備えている。また、画像表示領域20Rには、検出領域10Rに位置検出光L2を出射する複数の位置検出用光源12が配置されている。従って、複数の位置検出用光源12の発光バランスを調整すれば、検出領域10Rに位置検出光L2の強度分布を形成することができる。従って、検出領域10R内の対象物体Obで反射した位置検出光L2を光検出器30によって検出すると、その検出結果に基づいて、対象物体Obの位置を検出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示領域に対して画像が視認される側に設定された検出領域内の対象物体の位置を検出する位置検出機能付き表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、カーナビゲーション、パーソナルコンピューター、券売機、銀行の端末などの電子機器では、近年、液晶装置などの画像生成装置の前面にタッチパネルが配置された位置検出機能付き表示装置が用いられ、かかる位置検出機能付き表示装置では、画像生成装置に表示された画像を参照しながら、情報の入力を行なう。このようなタッチパネルは、検出領域内において対象物体の位置を検出するための位置検出装置として構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の位置検出装置は光学式であり、直視型の表示装置において画像の表示面側に検出領域を設定し、検出領域を挟む両側の辺に沿って複数の発光ダイオードと複数のフォトトランジスターとを配置した構成を有している。かかる位置検出装置では、検出領域内に対象物体が進入すると、対象物体によって光が遮られるので、光が遮られたフォトトランジスターを特定すれば対象物体の位置を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−142643号公報の図6
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の位置検出装置では、分解能に対応する多数の発光ダイオードやフォトトランジスターを配置する必要があるため、実用的ではない。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、少ない数の光検出器や位置検出用光源によって検出領域内の対象物体の位置を検出することのできる位置検出機能付き表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、画像表示領域に対して画像が視認される側に設定された検出領域内の対象物体の位置を検出する位置検出機能付き表示装置であって、前記画像表示領域に配列された複数の表示用発光素子と、前記検出領域に対して前記表示用発光素子が位置する側に設けられ、前記検出領域に向けて位置検出光を出射する複数の位置検出用光源と、前記複数の位置検出用光源を制御して前記検出領域に前記位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源駆動部と、前記検出領域内の前記対象物体により反射した前記位置検出光を検出する光検出器と、該光検出器での検出結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、を有していることを特徴とする。
【0008】
本発明の位置検出機能付き表示装置は、画像表示領域に複数の表示用発光素子が設けられており、かかる表示用発光素子によって画像を表示する。また、画像表示領域に対して画像が視認される側には検出領域が設定されており、かかる検出領域内の対象物体の位置を光学的に検出する。かかる位置検出を行なうにあたって、本発明では、検出領域に対して表示用発光素子が位置する側に複数の位置検出用光源が設けられており、位置検出用光源駆動部は、複数の表示用発光素子の点灯を制御して検出領域に位置検出光の強度分布を形成する。また、光検出器は、検出領域内の対象物体により反射した位置検出光を検出する。従って、検出領域における位置と位置検出光の強度との関係を予め把握しておけば、位置検出部は、光検出器の受光結果に基づいて対象物体の位置を検出することができる。それ故、位置検出用光源や光検出器の数にかかわらず、高い分解能をもって対象物体の位置を検出することができる。よって、分解能に対応する多数の発光ダイオードやフォトトランジスターを検出領域に配置しなくても、対象物体の位置を高い分解能で検出することができる。
【0009】
本発明において、前記位置検出用光源駆動部は、前記複数の位置検出用光源を制御して、前記強度分布として、第1方向で強度が変化する第1座標検出用強度分布と、当該第1方向に交差する第2方向で強度が変化する第2座標検出用強度分布と、を異なるタイミングで形成することが好ましい。このように構成すると、対象物体の二次元座標を検出することができる。
【0010】
本発明において、前記位置検出用光源は、前記第1方向でずれた複数個所、および前記第2方向でずれた複数個所に設けられ、前記位置検出用光源駆動部は、前記第1座標検出用強度分布を形成する際、前記第1方向でずれた位置に設けられた前記位置検出用光源の間で発光量を相違させ、前記第2座標検出用強度分布を形成する際、前記第2方向でずれた位置に設けられた前記位置検出用光源の間で発光量を相違させる構成を採用することができる。
【0011】
この場合、前記位置検出用光源は、例えば、前記画像表示領域において前記表示用発光素子と隣り合う位置に配置されている構成を採用することができる。このように構成すると、検出領域が広い場合でも、検出領域の全体に位置検出光の強度分布を好適に形成することができる。
【0012】
本発明において、前記位置検出用光源は、前記画像表示領域の角に相当する位置に配置されている構成を採用してもよい。かかる構成によれば、位置検出用光源の数が少なくてよいという利点がある。
【0013】
本発明において、前記位置検出用光源駆動部は、前記第1座標検出用強度分布として、前記第1方向の一方側から他方側に向かって前記位置検出光の強度が低下する第1座標検出用第1強度分布と、前記第1方向の他方側から一方側に向かって位置検出光の強度が低下する第1座標検出用第2強度分布と、を異なるタイミングで形成し、前記第2座標検出用強度分布として、前記第2方向の一方側から他方側に向かって前記位置検出光の強度が低下する第2座標検出用第1強度分布と、前記第2方向の他方側から一方側に向かって前記位置検出光の強度が低下する第2座標検出用第2強度分布と、を異なるタイミングで形成することが好ましい。このように構成すると、第1座標検出用第1強度分布と第1座標検出用第2強度分布とによって第1方向の座標を検出することができ、第2座標検出用第1強度分布と第2座標検出用第2強度分布とによって第2方向の座標を検出することができる。従って、スクリーン面に沿う平面内での対象物体の座標を精度よく検出することができる。
【0014】
本発明において、前記位置検出用光源は、前記位置検出光として赤外光を出射することが好ましい。このように構成すると、位置検出光によって画像の視認が妨げられることがない。
【0015】
本発明において、前記位置検出用光源は、発光ダイオードであることが好ましい。このような構成によれば赤外ランプなど、大型で高価な光源を用いる必要がないので、小型かつ安価な位置検出機能付き表示装置を実現することができる。
【0016】
本発明において、前記表示用発光素子は、例えば、発光ダイオードまたはエレクトロルミネッセンス素子である。この場合、前記複数の表示用発光素子として、互いに異なる色の光を出射する発光素子が設けられていることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1に係る位置検出機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る位置検出機能付き表示装置の画像表示領域に発光素子が配列されている様子を模式的に示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る位置検出機能付き表示装置において位置検出を行なうための電気構成を模式的に示す説明図である。
【図4】本発明を適用した位置検出機能付き表示装置で用いた位置検出の原理を示す説明図である。
【図5】本発明を適用した位置検出機能付き表示装置での信号処理内容を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る位置検出機能付き表示装置における位置検出用光源に対する制御内容を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る位置検出機能付き表示装置で形成した位置検出光の強度分布の説明図である。
【図8】本発明の実施の形態2に係る位置検出機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図である。
【図9】本発明の実施の形態2に係る位置検出機能付き表示装置の画像表示領域に発光素子が配列されている様子を模式的に示す説明図である。
【図10】図9に示す4つの位置検出用光源を1つずつ点灯させた際に検出領域に形成される位置検出光の強度分布を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、画像表示領域と平行な平面内において互いに交差する方向をX軸およびY軸とし、画像表示領域に対する面外方向をZ軸として説明する。また、以下に参照する図面では、説明の便宜上、X軸方向を横方向とし、Y軸方向を縦方向として表してある。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側として示してある。また、以下の説明で参照する図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。さらに、以下の説明で参照する図においては、表示用発光素子や位置検出用光源を認識しやすいように、それらの数を減らして表してある。
【0019】
[実施の形態1]
(位置検出機能付き表示装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る位置検出機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図であり、図1(a)、(b)、(c)は、位置検出機能付き表示装置の要部を斜め上からみた様子を模式的に示す説明図、表示用発光素子を通る位置で位置検出機能付き表示装置を切断したときの縦断面図、および位置検出用光源を通る位置で位置検出機能付き表示装置を切断したときの縦断面図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る位置検出機能付き表示装置の画像表示領域に発光素子が配列されている様子を模式的に示す説明図である。なお、図1および図2では、位置検出用光源に右上がりの斜線を付してある。
【0020】
図1および図2に示す位置検出機能付き表示装置100は、XY平面に表示面を備えた表示装置であり、XY平面に拡がる直視型の表示パネル8を備えている。表示パネル8の略中央には画像表示領域20Rが設けられており、表示パネル8において画像が視認される表面側8aには透光性のカバー89が被せられている。
【0021】
本形態の位置検出機能付き表示装置100において、表示パネル8上には、画像表示領域20Rに複数の表示用発光素子6を備えている。複数の表示用発光素子6は、発光ダイオードまたはエレクトロルミネッセンス素子であり、X軸方向およびY軸方向に複数列に配置されている。ここで、表示用発光素子6は各々、各色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))に対応しており、複数の表示用発光素子6は各々、各色の光L1を出射する。従って、表示パネル8はカラー表示用の光L1を出射する。本形態では、同一の色に対応する表示用発光素子6はY軸方向で並ぶストライプ配列が採用されているが、いわゆるデルタ配列やモザイク配列が採用されることもある。また、赤色(R)の光とは、概ね610〜650nmの波長領域にピークを有する光であり、緑色(G)の光とは、概ね510〜550nmの波長領域にピークを有する光であり、青色(B)の光とは、概ね450〜480nmの波長領域にピークを有する光である。なお、図1および図2などでは、表示用発光素子6を6列×12列設けてあるが、その数は、表示すべき画像の解像度や画像表示領域20Rの大きさに応じて最適な値に設定される。
【0022】
(位置検出機能)
図3は、本発明の実施の形態1に係る位置検出機能付き表示装置において位置検出を行なうための電気構成を模式的に示す説明図である。
【0023】
本形態の位置検出機能付き表示装置100では、画像表示領域20Rに対して画像が視認される表面側8aに検出領域10Rが設定されており、位置検出機能付き表示装置100は、検出領域10R内の対象物体ObのXY座標を検出する機能も有している。従って、画像表示領域20Rに表示されたスイッチ画像などに指(対象物体Ob)を接近させた際、指の接近位置を検出することができ、かかる対象物体Obの位置を入力情報などと見なすことができる。それ故、位置検出機能付き表示装置100では、指の接近位置(入力情報)に基づいて画像の切り換え等を行なうことができる。
【0024】
かかる位置検出機能を実現するために、本形態の位置検出機能付き表示装置100では、検出領域10Rに対して表示用発光素子6が位置する側には、検出領域10Rに向けて位置検出光L2を出射する複数の位置検出用光源12が設けられており、検出領域10Rの側方には光検出器30が設けられている。ここで、画像表示領域20Rと検出領域10RとはZ軸方向で重なっており、複数の位置検出用光源12はいずれも表示パネル8上に設けられている。また、本形態では、位置検出用光源12は、画像表示領域20R内において表示用発光素子6と隣り合う位置に分散して配置されている。より具体的には、位置検出用光源12は、画像表示領域20Rにおいて、青色(B)の光を出射する表示用発光素子6の列と、赤色(R)の光を出射する表示用発光素子6の列の間に複数の位置検出用光源12が配列されている。
【0025】
位置検出用光源12は発光ダイオードからなり、検出領域10Rに対して赤外光からなる位置検出光L2を発散光として出射する。すなわち、位置検出光L2は、指やタッチペン等の対象物体Obにより効率的に反射される波長域を有することが好ましいことから、対象物体Obが指等の人体であれば、人体の表面で反射率の高い赤外線(特に可視光領域に近い近赤外線(例えば波長で850nm付近)、あるいは950nmであることが望ましい。本形態では、いずれの位置検出用光源12もピーク波長が850nm付近の波長域にある赤外光を出射する。
【0026】
受光素子65は、赤外帯域に感度ピークを備えたフォトダイオードやフォトトランジスターからなる。本形態において、受光素子65はフォトダイオードからなり、画像表示領域20Rに沿う方向に受光部31を向けている。従って、光検出器30は、対象物体Obで反射した位置検出光L3を検出可能である。
【0027】
図3に示すように、本形態の位置検出機能付き表示装置100は、複数の位置検出用光源12の各々を駆動する光源駆動部14と、光検出器30での検出結果に基づいて対象物体Obの位置を検出する位置検出部50とを備えている。光源駆動部14は、複数の位置検出用光源12の各々に対応する光源駆動回路140と、光源駆動回路140を介して複数の位置検出用光源12の各々における点灯を制御する光源制御部145とを備えている。
【0028】
位置検出部50は、光検出器30での検出結果に基づいて対象物体ObのX軸方向の位置(X座標)を検出するX座標検出部51と、光検出器30での検出結果に基づいて対象物体ObのY軸方向の位置(Y座標)を検出するY座標検出部52と、光検出器30での検出結果に基づいて対象物体ObのZ軸方向の位置(Z座標)を検出するZ座標検出部53とを備えている。また、位置検出部50は、光検出器30での検出信号を処理する信号処理部55を備えており、X座標検出部51、Y座標検出部52およびZ座標検出部53は、信号処理部55によって得た信号に基づいて座標検出を行なう。なお、光源制御部145と位置検出部50とは、信号線で接続されており、位置検出用光源12に対する駆動と、位置検出部50での検出動作とは、連動して行われる。
【0029】
(座標検出の基本原理)
本形態の位置検出機能付き表示装置100においては、検出領域10Rに形成した位置検出光L2の強度分布を利用して、位置検出部50において検出領域10R内の対象物体Obの位置を検出する。そこで、図4を参照して、光強度分布の構成および座標検出の原理を説明する。
【0030】
図4は、本発明を適用した位置検出機能付き表示装置100で用いた位置検出の原理を示す説明図であり、図4(a)、(b)、(c)は、位置検出光L2のX軸方向の強度分布を示す説明図、対象物体Obで反射した位置検出光L3の光検出器30での検出値を示す説明図、対象物体Obで反射した位置検出光L3の光検出器30での検出値が等しくなるように位置検出光L2の強度分布を調整する様子を示す説明図である。
【0031】
本形態の位置検出機能付き表示装置100においては、後述するように、位置検出用光源12から位置検出光L2を出射した際、複数の位置検出用光源12での発光量のバランス等によって検出領域10Rに位置検出光L2の強度分布が形成される。例えば、X座標を検出する際には、図4(a)、(b)に示すように、まず、X座標検出用第1期間において、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度が単調減少していくX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した後、X座標検出用第2期間において、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって強度が単調減少していくX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。好ましくは、X座標検出用第1期間において、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって強度が直線的に減少していくX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した後、X座標検出用第2期間において、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって強度が直線的に減少していくX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。従って、検出領域10Rに対象物体Obが配置されると、対象物体Obにより位置検出光L2が反射され、その反射光の一部が光検出器30により検出される。ここで、X座標検出用第1期間に形成するX座標検出用第1強度分布L2Xa、およびX座標検出用第2期間に形成するX座標検出用第2強度分布L2Xbを予め、設定した分布としておけば、以下の方法などにより、光検出器30での検出結果に基づいて、対象物体ObのX座標を検出することができる。
【0032】
例えば、第1の方法では、図4(b)に示すX座標検出用第1強度分布L2Xaと、X座標検出用第2強度分布L2Xbとの差を利用する。より具体的には、X座標検出用第1強度分布L2Xa、およびX座標検出用第2強度分布L2Xbは予め、設定した分布になっているので、X座標検出用第1強度分布L2XaとX座標検出用第2強度分布L2Xbとの差も予め、設定した関数になっている。従って、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した際の光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成した際の光検出器30での検出値LXbとの差を求めれば、対象物体ObのX座標を検出することができる。かかる方法によれば、位置検出光L2以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が光検出器30に入射した場合でも、検出値LXa、LXbの差を求める際、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない。なお、光検出器30での検出値LXa、LXbとの比に基づいて対象物体ObのX座標を検出することもできる。
【0033】
次に、第2の方法では、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した際の光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成した際の光検出器30での検出値LXbとが等しくなるように、位置検出用光源12に対する制御量(駆動電流)を調整した際の調整量に基づいて対象物体ObのX座標を検出する方法である。かかる方法は、図4(b)に示すX座標検出用第1強度分布L2XaおよびX座標検出用第2強度分布L2XbがX座標に対して直線的に変化する場合に適用できる。
【0034】
まず、図4(b)に示すように、X座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間においてX座標検出用第1強度分布L2XaとX座標検出用第2強度分布L2Xbを絶対値が等しく、X軸方向で逆向きに形成する。この状態で、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しければ、対象物体ObがX軸方向の中央に位置することが分る。
【0035】
これに対して、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが相違している場合、検出値LXa、LXbが等しくなるように、位置検出用光源12に対する制御量(駆動電流)を調整して、図4(c)に示すように、再度、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成し、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。その結果、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しくなれば、X座標検出用第1期間での位置検出用光源12に対する制御量の調整量ΔLXaと、X座標検出用第2期間での位置検出用光源12に対する制御量の調整量ΔLXbとの比あるいは差などにより、対象物体ObのX座標を検出することができる。かかる方法によれば、位置検出光L2以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が光検出器30に入射した場合でも、検出値LXa、LXbが等しくなるように位置検出用光源12に対する制御量の調整を行なう際、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない。
【0036】
次に、第3の方法でも、第2の方法と同様、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した際の光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成した際の光検出器30での検出値LXbとが等しくなるように、位置検出用光源12に対する制御量(駆動電流)を調整した際の調整量に基づいて対象物体ObのX座標を検出する方法である。かかる方法は、図4(b)に示すX座標検出用第1強度分布L2XaおよびX座標検出用第2強度分布L2XbがX座標に対して直線的に変化する場合に適用できる。
【0037】
まず、図4(b)に示すように、X座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間においてX座標検出用第1強度分布L2XaとX座標検出用第2強度分布L2Xbを絶対値が等しく、X軸方向で逆向きに形成する。この状態で、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しければ、対象物体ObがX軸方向の中央に位置することが分る。
【0038】
これに対して、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが相違している場合、検出値LXa、LXbが等しくなるように、例えば、検出値が低い期間の方、あるいは検出値が高い期間の方の位置検出用光源12に対する制御量(駆動電流)を調整して、再度、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成し、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成する。例えば、X座標検出用第1期間での位置検出用光源12に対する制御量を調整量ΔLXa分だけ減少させる。あるいは、X座標検出用第2期間での位置検出用光源12に対する制御量を調整量ΔLXb分だけ増大させる。その結果、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出値LXaと、X座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXbとが等しくなれば、制御量を調整した後のX座標検出用第1期間での位置検出用光源12に対する制御量と、制御量を調整した後のX座標検出用第2期間での位置検出用光源12に対する制御量との比あるいは差などにより、対象物体ObのX座標を検出することができる。かかる方法によれば、位置検出光L2以外の環境光、例えば、外光に含まれる赤外成分が光検出器30に入射した場合でも、検出値LXa、LXbが等しくなるように位置検出用光源12に対する制御量の調整を行なう際、環境光に含まれる赤外成分の強度が相殺されるので、環境光に含まれる赤外成分が検出精度に影響を及ぼすことがない。
【0039】
上記の方法1〜3のいずれを採用する場合でも、同様に、Y座標検出用第1期間において、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって強度が単調減少していくY座標検出用第1強度分布を形成した後、Y座標検出用第2期間において、Y軸方向の他方側Y2から一方側Y1に向かって強度が単調減少していくY座標検出用第2強度分布を形成すれば、対象物体ObのY座標を検出することができる。
【0040】
また、Z座標検出期間において、Z軸方向の強度分布を形成すれば、位置検出部50のZ座標検出部53は、対象物体ObのZ座標を検出することができる。
【0041】
上記のように、光検出器30での検出結果に基づいて対象物体Obの検出領域10R内の位置情報を取得するにあたって、例えば、位置検出部50としてマイクロプロセッサーユニット(MPU)を用い、これにより所定のソフトウェア(動作プログラム)を実行することに従って処理を行う構成を採用することができる。また、図5を参照して以下に説明するように、論理回路などのハードウェアを用いた信号処理部で処理を行う構成を採用することもできる。
【0042】
(位置検出部50の構成例)
図5は、本発明を適用した位置検出機能付き表示装置100での信号処理内容を示す説明図であり、図5(a)、(b)は各々、本発明を適用した位置検出機能付き表示装置100の位置検出部50の説明図、および位置検出部50の発光強度補償指令部での処理内容を示す説明図である。ここに示す位置検出部50は、X座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間における光検出器30での検出値LXa、LXbが等しくなるように、位置検出用光源12に対する制御量(駆動電流)を調整した際の調整量に基づいて対象物体ObのX座標を検出する方法である。なお、X座標およびY座標を検出するための構成は同様であるため、以下の説明ではX座標を求める場合のみを説明する。
【0043】
図5(a)に示すように、本形態の位置検出機能付き表示装置100において、光源駆動回路140は、X座標検出用第1期間では可変抵抗111を介して複数の位置検出用光源12の各々に所定電流値の駆動パルスを印加し、X座標検出用第2期間では可変抵抗112および反転回路113を介して複数の位置検出用光源12の各々に所定電流値の駆動パルスを印加するものとして表される。従って、光源駆動回路140は、X座標検出用第1期間とX座標検出用第2期間とでは、位置検出用光源12に対して逆相の駆動パルスを印加することになる。そして、X座標検出用第1期間においてX座標検出用第1強度分布L2Xaを形成した際の位置検出光L2が対象物体Obで反射した光が共通の光検出器30で受光されるとともに、X座標検出用第2期間においてX座標検出用第2強度分布L2Xbを形成した際の位置検出光L2が対象物体Obで反射した光が共通の光検出器30で受光される。光強度信号生成回路150において、光検出器30には、1kΩ程度の抵抗30rが直列に電気的接続されており、それらの両端にはバイアス電圧Vbが印加されている。
【0044】
かかる光強度信号生成回路150において、光検出器30と抵抗30rとの接続点P1には、位置検出部50が電気的に接続されている。光検出器30と抵抗30rとの接続点P1から出力される検出信号Vcは、下式
Vc=V30/(V30+抵抗30rの抵抗値)
V30:光検出器30の等価抵抗
で表される。従って、環境光が光検出器30に入射しない場合と、環境光が光検出器30に入射している場合とを比較すると、環境光が光検出器30に入射している場合には、検出信号Vcのレベルおよび振幅が大きくなる。
【0045】
位置検出部50は概ね、位置検出用信号抽出回路190、位置検出用信号分離回路170、および発光強度補償指令回路180を備えている。
【0046】
位置検出用信号抽出回路190は、1nF程度のキャパシタからなるフィルター192を備えており、かかるフィルター192は、光検出器30と抵抗30rとの接続点P1から出力された信号から直流成分を除去するハイパスフィルターとして機能する。このため、フィルター192によって、光検出器30と抵抗30rとの接続点P1から出力された検出信号Vcからは、X座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間における光検出器30による位置検出光L2の位置検出信号Vdが抽出される。すなわち、位置検出光L2は変調されているのに対して、環境光はある期間内において強度が一定であると見なすことができるので、環境光に起因する低周波成分あるいは直流成分はフィルター192によって除去される。
【0047】
また、位置検出用信号抽出回路190は、フィルター192の後段に、220kΩ程度の帰還抵抗194を備えた加算回路193を有しており、フィルター192によって抽出された位置検出信号Vdは、バイアス電圧Vbの1/2倍の電圧V/2に重畳された位置検出信号Vsとして位置検出用信号分離回路170に出力される。
【0048】
位置検出用信号分離回路170は、X座標検出用第1期間において位置検出用光源12に印加される駆動パルスに同期してスイッチング動作を行なうスイッチ171と、比較器172と、比較器172の入力線に各々、電気的接続されたキャパシタ173とを備えている。このため、位置検出信号Vsが位置検出用信号分離回路170に入力されると、位置検出用信号分離回路170から発光強度補償指令回路180には、X座標検出用第1期間での位置検出信号Vsの実効値Veaと、X座標検出用第2期間での位置検出信号Vsの実効値Vebとが交互に出力される。
【0049】
発光強度補償指令回路180は、実効値Vea、Vebを比較して、図5(b)に示す処理を行ない、X座標検出用第1期間での位置検出信号Vsの実効値Veaと、X座標検出用第2期間での位置検出信号Vsの実効値Vebとが同一レベルとなるように光源駆動回路140に制御信号Vfを出力する。すなわち、発光強度補償指令回路180は、X座標検出用第1期間での位置検出信号Vsの実効値Veaと、X座標検出用第2期間での位置検出信号Vsの実効値Vebとを比較して、それらが等しい場合、現状の駆動条件を維持させる。これに対して、X座標検出用第1期間での位置検出信号Vsの実効値Veaが、X座標検出用第2期間での位置検出信号Vsの実効値Vebより低い場合、発光強度補償指令回路180は、可変抵抗111の抵抗値を下げさせてX座標検出用第1期間での位置検出用光源12からの出射光量を高める。また、X座標検出用第2期間での位置検出信号Vsの実効値Vebが、X座標検出用第1期間での位置検出信号Vsの実効値Veaより低い場合、発光強度補償指令回路180は、可変抵抗112の抵抗値を下げさせてX座標検出用第2期間の出射光量を高める。
【0050】
このようにして、位置検出機能付き表示装置100では位置検出部50の発光強度補償指令回路180によって、X座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間での光検出器30による検出量が同一となるように、位置検出用光源12の制御量(電流量)を制御する。従って、発光強度補償指令回路180には、X座標検出用第1期間での位置検出信号Vsの実効値Veaと、X座標検出用第2期間での位置検出信号Vsの実効値Vebとが同一レベルとなるような位置検出用光源12に対する制御量に関する情報が存在するので、かかる情報を位置検出信号VgとしてX座標検出部51に出力すれば、X座標検出部51は、検出領域10Rにおける対象物体ObのX座標を得ることができる。また、同様な原理を利用すれば、検出領域10Rにおける対象物体ObのY座標を得ることができる。
【0051】
また、本形態では、位置検出用信号抽出回路190において、フィルター192は、光検出器30と抵抗30rとの接続点P1から出力された検出信号Vcから、環境光に起因する直流成分を除去して位置検出信号Vdを抽出する。このため、光検出器30と抵抗30rとの接続点P1から出力された検出信号Vcに環境光の赤外成分に起因する信号成分が含まれている場合でも、かかる環境光の影響をキャンセルすることができる。
【0052】
(X座標検出動作)
図6および図7を参照して、本形態の位置検出機能付き表示装置100において、検出領域10R内の対象物体Obの位置を検出する動作を説明する。図6は、本発明の実施の形態1に係る位置検出機能付き表示装置100における位置検出用光源12に対する制御内容を示す説明図であり、図6(a)、(b)は、対象物体ObのX座標を検出する際の制御内容を示す説明図であり、図6(c)、(d)は、対象物体ObのY座標を検出する際の制御内容を示す説明図である。図7は、本発明の実施の形態1に係る位置検出機能付き表示装置で形成した位置検出光の強度分布の説明図であり、図7(a)、(b)は、対象物体ObのX座標を検出する際のX座標検出用強度分布の説明図であり、図7(c)、(d)は、対象物体ObのY座標を検出する際のY座標検出用強度分布の説明図である。なお、図6では、位置検出用光源12に右上がりの斜線を付してある。
【0053】
本形態の位置検出機能付き表示装置100において、検出領域10R内の対象物体ObのXY座標を検出するには、以下に説明するX座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間によってX座標を検出し、Y座標検出用第1期間およびY座標検出用第2期間によってY座標を検出する。さらに、本形態の位置検出機能付き表示装置100においては、Z座標検出期間によってZ座標を検出する。ここで、X座標検出用第1期間〜Z座標検出期間の各時間は例えば数msec程度である。
【0054】
より具体的には、検出領域10R内の対象物体ObのX座標を検出するには、まず、X座標検出用第1期間において、図3に示す光源駆動部14の光源制御部145が光源駆動回路140を介して位置検出用光源12を制御し、図6(a)に示すように、複数の位置検出用光源12のうち、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向けて位置検出用光源12での発光量を低下させる。その際、Y軸方向で並ぶ位置検出用光源12においては発光量が等しい。その結果、図7(a)に示すように、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって位置検出光L2の強度が単調減少するX座標検出用第1強度分布L2Xa(第1座標検出用強度分布/第1座標検出用第1強度分布)が形成される。本形態のX座標検出用第1強度分布L2Xaでは、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって位置検出光L2の強度が連続的に略直線的に減少しており、Y軸方向では強度が一定である。かかるX座標検出用第1強度分布L2Xaでは、X軸方向における位置と位置検出光L2の強度とが一定の関係を有しているため、対象物体Obで反射して光検出器30で検出される光量は、X座標検出用第1強度分布L2Xaにおける位置検出光L2の強度と比例し、対象物体Obの位置によって規定される値である。
【0055】
次に、X座標検出用第2期間においては、図3に示す光源駆動部14の光源制御部145が光源駆動回路140を介して位置検出用光源12を制御し、図6(b)に示すように、X座標検出用第1期間とは逆に、複数の位置検出用光源12のうち、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向けて位置検出用光源12での発光量を低下させる。その際、Y軸方向で並ぶ位置検出用光源12においては発光量が等しい。その結果、図7(b)に示すように、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって位置検出光L2の強度が単調減少するX座標検出用第2強度分布L2Xb(第1座標検出用強度分布/第1座標検出用第2強度分布)が形成される。本形態のX座標検出用第2強度分布L2Xbでは、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって位置検出光L2の強度が連続的に略直線的に減少しており、Y軸方向では強度が一定である。かかるX座標検出用第2強度分布L2Xbでは、X軸方向における位置と位置検出光L2の強度とが一定の関係を有しているため、対象物体Obで反射して光検出器30で検出される光量は、X座標検出用第2強度分布L2Xbにおける位置検出光L2の強度と比例し、対象物体Obの位置によって規定される値である。
【0056】
従って、X座標検出用第1期間において光検出器30で検出された光量と、X座標検出用第2期間において光検出器30で検出された光量との差あるいは比は、対象物体Obの位置によって規定される値である。それ故、位置検出部50のX座標検出部51は、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出結果、およびX座標検出用第2期間における光検出器30での検出結果に基づいて、対象物体ObのX座標を検出することができる。
【0057】
(Y座標検出動作)
検出領域10R内の対象物体ObのY座標を検出するには、まず、Y座標検出用第1期間において、図3に示す光源駆動部14の光源制御部145が光源駆動回路140を介して位置検出用光源12を制御し、図6(c)に示すように、複数の位置検出用光源12のうち、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向けて位置検出用光源12での発光量を低下させる。その際、X軸方向で並ぶ位置検出用光源12においては発光量が等しい。その結果、図7(c)に示すように、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって位置検出光L2の強度が単調減少するY座標検出用第1強度分布L2Ya(第2座標検出用強度分布/第2座標検出用第1強度分布)が形成される。本形態のY座標検出用第1強度分布L2Yaでは、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって位置検出光L2の強度が連続的に略直線的に減少しており、X軸方向では強度が一定である。かかるY座標検出用第1強度分布L2Yaでは、Y軸方向における位置と位置検出光L2の強度とが一定の関係を有しているため、対象物体Obで反射して光検出器30で検出される光量は、Y座標検出用第1強度分布L2Yaにおける位置検出光L2の強度と比例し、対象物体Obの位置によって規定される値である。
【0058】
次に、Y座標検出用第2期間においては、図3に示す光源駆動部14の光源制御部145が光源駆動回路140を介して位置検出用光源12を制御し、図6(d)に示すように、Y座標検出用第1期間とは逆に、複数の位置検出用光源12のうち、Y軸方向の他方側Y2から一方側Y1に向けて位置検出用光源12での発光量を低下させる。その際、X軸方向で並ぶ位置検出用光源12においては発光量が等しい。その結果、図7(d)に示すように、Y軸方向の他方側Y2から一方側Y1に向かって位置検出光L2の強度が単調減少するY座標検出用第2強度分布L2Yb(第2座標検出用強度分布/第2座標検出用第2強度分布)が形成される。本形態のY座標検出用第2強度分布L2Ybでは、Y軸方向の他方側Y2から一方側Y1に向かって位置検出光L2の強度が連続的に略直線的に減少しており、X軸方向では強度が一定である。かかるY座標検出用第2強度分布L2Ybでは、Y軸方向における位置と位置検出光L2の強度とが一定の関係を有しているため、対象物体Obで反射して光検出器30で検出される光量は、Y座標検出用第2強度分布L2Ybにおける位置検出光L2の強度と比例し、対象物体Obの位置によって規定される値である。
【0059】
従って、Y座標検出用第1期間において光検出器30で検出された光量と、Y座標検出用第2期間において光検出器30で検出された光量との差あるいは比は、対象物体Obの位置によって規定される値である。それ故、位置検出部50のY座標検出部52は、Y座標検出用第1期間における光検出器30での検出結果、およびY座標検出用第2期間における光検出器30での検出結果に基づいて、対象物体ObのY座標を検出することができる。
【0060】
(Z座標検出動作)
本形態の位置検出機能付き表示装置100において、検出領域10R内の対象物体ObのZ座標を検出するには、位置検出用光源12の全てを点灯させる。その結果、画像表示領域20RからZ軸方向に離間する方向に向けて位置検出光L2の強度が単調減少するZ座標検出用強度分布が形成される。かかるZ座標検出用強度分布では、Z軸方向における位置と位置検出光L2の強度とが一定の関係を有している。このため、対象物体Obで反射して光検出器30で検出される光量は、Z座標検出用強度分布における位置検出光L2の強度と比例し、対象物体Obの位置によって規定される値である。従って、位置検出部50のZ座標検出部53は、Z座標検出期間における光検出器30の検出結果に基づいて、対象物体ObのZ座標を検出することができる。
【0061】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の位置検出機能付き表示装置100では、位置検出用光源12が位置検出光L2を出射すると、位置検出光L2は検出領域10Rに位置検出光L2の強度分布を形成する。従って、検出領域10R内の対象物体Obによって位置検出光L2が反射すると、かかる光は、光検出器30によって検出される。従って、検出領域10R内での位置と位置検出光L2の強度との関係を予め把握しておけば、光検出器30の受光結果に基づいて対象物体Obの位置を検出することができる。それ故、位置検出用光源12や光検出器30の数にかかわらず、高い分解能をもって対象物体Obの位置を検出することができる。よって、本形態によれば、分解能に対応する多数の発光ダイオードやフォトトランジスターを検出領域10Rに配置しなくても、対象物体Obの位置を高い分解能で検出することができる。また、位置検出光L2は赤外光であるため、画像の視認が妨げられることがない。
【0062】
また、光源駆動部14は、X軸方向でずれた位置に設けられた位置検出用光源12の間で発光量を相違させることにより、互いに逆向きのX座標検出用強度分布(X座標検出用第1強度分布L2XaおよびX座標検出用第2強度分布L2Xb)を形成するので、対象物体ObのX座標を確実に検出することができる。また、光源駆動部14は、Y軸方向でずれた位置に設けられた位置検出用光源12の間で発光量を相違させることにより、互いに逆向きのY座標検出用強度分布(Y座標検出用第1強度分布L2YaおよびY座標検出用第2強度分布L2Yb)を形成するので、対象物体ObのY座標を確実に検出することができる。
【0063】
また、位置検出用光源12は、画像表示領域20R内において表示用発光素子6と隣り合う位置に分散して配置されている。このため、検出領域10Rが広い場合でも、検出領域10Rの全体に位置検出光L2の強度分布を好適に形成することができる。
【0064】
さらに、位置検出用光源12は発光ダイオードであるため、赤外ランプなど、大型で高価な光源を用いる必要がないので、小型かつ安価な位置検出機能付き表示装置100を実現することができる。
【0065】
[実施の形態1の変形例]
上記実施の形態1では、位置検出用光源12をX軸方向およびY軸方向に整列させたが、位置検出用光源12X軸方向およびY軸方向に斜めに配置する等、位置検出用光源12のレイアウトについては、必要に応じて変更してもよい。
【0066】
[実施の形態2]
(位置検出機能付き表示装置の全体構成)
図8は、本発明の実施の形態2に係る位置検出機能付き表示装置の構成を模式的に示す説明図であり、図8(a)、(b)、(c)は、位置検出機能付き表示装置の要部を斜め上からみた様子を模式的に示す説明図、表示用発光素子を通る位置で位置検出機能付き表示装置を切断したときの縦断面図、および位置検出用光源を通る位置で位置検出機能付き表示装置を切断したときの縦断面図である。図9は、本発明の実施の形態2に係る位置検出機能付き表示装置の画像表示領域に発光素子が配列されている様子を模式的に示す説明図である。図10は、図9に示す4つの位置検出用光源を1つずつ点灯させた際に検出領域10Rに形成される位置検出光の強度分布を示す説明図である。なお、図9では、位置検出用光源に右上がりの斜線を付してある。また、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0067】
図8および図9に示す位置検出機能付き表示装置100も、実施の形態1と同様、XY平面に表示面を備えた表示装置であり、XY平面に拡がる直視型の表示パネル8を備えている。表示パネル8の略中央には画像表示領域20Rが設けられており、表示パネル8において画像が視認される表面側8aには透光性のカバー89が被せられている。表示パネル8の画像表示領域20Rには複数の表示用発光素子6が配列されており、複数の表示用発光素子6は、発光ダイオードまたはエレクトロルミネッセンス素子である。表示用発光素子6は各々、各色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))に対応しており、複数の表示用発光素子6は各々、各色の光L1を出射する。
【0068】
また、位置検出機能付き表示装置100において、検出領域10Rに対して表示用発光素子6が位置する側では、検出領域10Rに向けて位置検出光L2を出射する複数の位置検出用光源12が表示パネル8上に設けられており、検出領域10Rの側方には光検出器30が設けられている。ここで、画像表示領域20Rと検出領域10RとはZ軸方向で重なっている。位置検出用光源12は発光ダイオードからなり、検出領域10Rに対して赤外光からなる位置検出光L2を発散光として出射する。受光素子65はフォトダイオードからなり、画像表示領域20Rに沿う方向に受光部31を向けている。従って、光検出器30は、対象物体Obで反射した位置検出光L3を検出可能である。
【0069】
本形態において、位置検出用光源12は、検出領域10Rおよび画像表示領域20Rの角に相当する部分に計4つの位置検出用光源12A〜12Dとして配置されており、かかる数に対応させて、本形態では、図3に示す光源駆動回路140の数も4つである。
【0070】
このように構成した位置検出機能付き表示装置100において、位置検出用光源12Aが点灯し、他の位置検出用光源12B、12C、12Dが消灯状態にある場合、図10(a)に示すように、検出領域10Rに形成される位置検出光L2の強度は、Y軸方向の一方側Y1で大であり、そこからY軸方向の他方側Y2に離間するに伴って連続的に低下していく。また、位置検出光L2の強度は、X軸方向の一方側X1で大であり、そこからX軸方向の他方側X2に離間するに伴って連続的に低下していく。
【0071】
位置検出用光源12Bが点灯し、他の位置検出用光源12A、12C、12Dが消灯状態にある場合、図10(b)に示すように、検出領域10Rに形成される位置検出光L2の強度は、Y軸方向の一方側Y1で大であり、そこからY軸方向の他方側Y2に離間するに伴って連続的に低下していく。また、位置検出光L2の強度は、X軸方向の他方側X2で大であり、そこからX軸方向の一方側X1に離間するに伴って連続的に低下していく。
【0072】
位置検出用光源12Cが点灯し、他の位置検出用光源12A、12B、12Dが消灯状態にある場合、図10(c)に示すように、検出領域10Rに形成される位置検出光L2の強度は、Y軸方向の他方側Y2で大であり、そこからY軸方向の一方側Y1に離間するに伴って連続的に低下していく。また、位置検出光L2の強度は、X軸方向の一方側X1で大であり、そこからX軸方向の他方側X2に離間するに伴って連続的に低下していく。
【0073】
位置検出用光源12Dが点灯し、他の位置検出用光源12A、12B、12Cが消灯状態にある場合、図10(d)に示すように、検出領域10Rに形成される位置検出光L2の強度は、Y軸方向の他方側Y2で大であり、そこからY軸方向の一方側Y1に離間するに伴って連続的に低下していく。また、位置検出光L2の強度は、X軸方向の他方側X2で大であり、そこからX軸方向の一方側X1に離間するに伴って連続的に低下していく。
【0074】
このように構成した位置検出機能付き表示装置100において検出領域10R内の対象物体ObのXY座標を検出する場合も、実施の形態1と同様、X座標検出用第1期間およびX座標検出用第2期間によってX座標を検出し、Y座標検出用第1期間およびY座標検出用第2期間によってY座標を検出する。さらに、本形態の位置検出機能付き表示装置100においては、Z座標検出期間によってZ座標を検出する。
【0075】
より具体的には、検出領域10R内の対象物体ObのX座標を検出するには、まず、X座標検出用第1期間において、図3に示す光源駆動部14の光源制御部145が光源駆動回路140を介して位置検出用光源12を制御し、複数の位置検出用光源12のうち、X軸方向の一方側X1に位置する位置検出用光源12A、12Cを点灯させ、X軸方向の他方側X2に位置する他の位置検出用光源12B、12Dを消灯させる。その結果、図10(a)に示す強度分布と、図10(c)に示す強度分布とが合成される結果、実施の形態1と同様、図7(a)に示すように、X軸方向の一方側X1から他方側X2に向かって位置検出光L2の強度が単調減少するX座標検出用第1強度分布L2Xa(第1座標検出用強度分布/第1座標検出用第1強度分布)が形成される。
【0076】
次に、X座標検出用第2期間においては、図3に示す光源駆動部14の光源制御部145が光源駆動回路140を介して位置検出用光源12を制御し、複数の位置検出用光源12のうち、X軸方向の一方側X1に位置する位置検出用光源12A、12Cを消灯させ、X軸方向の他方側X2に位置する他の位置検出用光源12B、12Dを点灯させる。その結果、図10(b)に示す強度分布と、図10(d)に示す強度分布とが合成される結果、実施の形態1と同様、図7(b)に示すように、X軸方向の他方側X2から一方側X1に向かって位置検出光L2の強度が単調減少するX座標検出用第2強度分布L2Xb(第1座標検出用強度分布/第1座標検出用第2強度分布)が形成される。それ故、位置検出部50のX座標検出部51は、X座標検出用第1期間における光検出器30での検出結果、およびX座標検出用第2期間における光検出器30での検出結果に基づいて、対象物体ObのX座標を検出することができる。
【0077】
検出領域10R内の対象物体ObのY座標を検出するには、まず、Y座標検出用第1期間において、図3に示す光源駆動部14の光源制御部145が光源駆動回路140を介して位置検出用光源12を制御し、複数の位置検出用光源12のうち、Y軸方向の一方側Y1に位置する位置検出用光源12A、12Bを点灯させ、Y軸方向の他方側Y2に位置する他の位置検出用光源12C、12Dを消灯させる。その結果、図10(a)に示す強度分布と、図10(b)に示す強度分布とが合成される結果、実施の形態1と同様、図7(c)に示すように、Y軸方向の一方側Y1から他方側Y2に向かって位置検出光L2の強度が単調減少するY座標検出用第1強度分布L2Ya(第2座標検出用強度分布/第2座標検出用第1強度分布)が形成される。
【0078】
次に、Y座標検出用第2期間においては、図3に示す光源駆動部14の光源制御部145が光源駆動回路140を介して位置検出用光源12を制御し、複数の位置検出用光源12のうち、Y軸方向の一方側Y1に位置する位置検出用光源12A、12Bを消灯させ、Y軸方向の他方側Y2に位置する他の位置検出用光源12C、12Dを点灯させる。その結果、図10(c)に示す強度分布と、図10(d)に示す強度分布とが合成される結果、実施の形態1と同様、図7(d)に示すように、Y軸方向の他方側Y2から一方側Y1に向かって位置検出光L2の強度が単調減少するY座標検出用第2強度分布L2Yb(第2座標検出用強度分布/第2座標検出用第2強度分布)が形成される。それ故、位置検出部50のY座標検出部52は、Y座標検出用第1期間における光検出器30での検出結果、およびY座標検出用第2期間における光検出器30での検出結果に基づいて、対象物体ObのY座標を検出することができる。
【0079】
なお、検出領域10R内の対象物体ObのZ座標を検出するには、位置検出用光源12A〜12Dの全てを点灯させる。その結果、画像表示領域20RからZ軸方向に離間する方向に向けて位置検出光L2の強度が単調減少するZ座標検出用強度分布が形成される。かかるZ座標検出用強度分布では、Z軸方向における位置と位置検出光L2の強度とが一定の関係を有している。従って、位置検出部50のZ座標検出部53は、Z座標検出期間における光検出器30の検出結果に基づいて、対象物体ObのZ座標を検出することができる。
【0080】
以上説明したように、本形態の位置検出機能付き表示装置100でも、実施の形態1と同様、位置検出用光源12が位置検出光L2を出射すると、位置検出光L2は検出領域10Rに位置検出光L2の強度分布を形成する。従って、検出領域10R内の対象物体Obによって位置検出光L2が反射すると、かかる光は、光検出器30によって検出される。従って、検出領域10R内での位置と位置検出光L2の強度との関係を予め把握しておけば、光検出器30の受光結果に基づいて対象物体Obの位置を検出することができる。それ故、位置検出用光源12や光検出器30の数にかかわらず、高い分解能をもって対象物体Obの位置を検出することができる。よって、本形態によれば、分解能に対応する多数の発光ダイオードやフォトトランジスターを検出領域10Rに配置しなくても、対象物体Obの位置を高い分解能で検出することができるなど、実施の形態1と略同様な効果を奏する。
【0081】
また、位置検出用光源12は、画像表示領域10Rの角に相当する位置に計4つ配置されているため、位置検出用光源12の数が少なくてよいという利点がある。
【符号の説明】
【0082】
6・・表示用発光素子、8・・表示パネル、10R・・検出領域、12・・位置検出用光源、14・・光源駆動部、30・・光検出器、50・・位置検出部、100・・位置検出機能付き表示装置、Ob・・対象物体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像表示領域に対して画像が視認される側に設定された検出領域内の対象物体の位置を検出する位置検出機能付き表示装置であって、
前記画像表示領域に配列された複数の表示用発光素子と、
前記検出領域に対して前記表示用発光素子が位置する側に設けられ、前記検出領域に向けて位置検出光を出射する複数の位置検出用光源と、
前記複数の位置検出用光源を制御して前記検出領域に前記位置検出光の強度分布を形成する位置検出用光源駆動部と、
前記検出領域内の前記対象物体により反射した前記位置検出光を検出する光検出器と、
該光検出器での検出結果に基づいて前記対象物体の位置を検出する位置検出部と、
を有していることを特徴とする位置検出機能付き表示装置。
【請求項2】
前記位置検出用光源駆動部は、前記複数の位置検出用光源を制御して、前記強度分布として、第1方向で強度が変化する第1座標検出用強度分布と、当該第1方向に交差する第2方向で強度が変化する第2座標検出用強度分布と、を異なるタイミングで形成することを特徴とする請求項1に記載の位置検出機能付き表示装置。
【請求項3】
前記位置検出用光源は、前記第1方向でずれた複数個所、および前記第2方向でずれた複数個所に設けられ、
前記位置検出用光源駆動部は、前記第1座標検出用強度分布を形成する際、前記第1方向でずれた位置に設けられた前記位置検出用光源の間で発光量を相違させ、前記第2座標検出用強度分布を形成する際、前記第2方向でずれた位置に設けられた前記位置検出用光源の間で発光量を相違させることを特徴とする請求項2に記載の位置検出機能付き表示装置。
【請求項4】
前記位置検出用光源は、前記画像表示領域において前記表示用発光素子と隣り合う位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の位置検出機能付き表示装置。
【請求項5】
前記位置検出用光源は、前記画像表示領域の角に相当する位置に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の位置検出機能付き表示装置。
【請求項6】
前記位置検出用光源駆動部は、前記第1座標検出用強度分布として、前記第1方向の一方側から他方側に向かって前記位置検出光の強度が低下する第1座標検出用第1強度分布と、前記第1方向の他方側から一方側に向かって位置検出光の強度が低下する第1座標検出用第2強度分布と、を異なるタイミングで形成し、前記第2座標検出用強度分布として、前記第2方向の一方側から他方側に向かって前記位置検出光の強度が低下する第2座標検出用第1強度分布と、前記第2方向の他方側から一方側に向かって前記位置検出光の強度が低下する第2座標検出用第2強度分布と、を異なるタイミングで形成することを特徴とする請求項2乃至5の何れか一項に記載の位置検出機能付き表示装置。
【請求項7】
前記位置検出用光源は、前記位置検出光として赤外光を出射することを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の位置検出機能付き表示装置。
【請求項8】
前記位置検出用光源は、発光ダイオードであることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の位置検出機能付き表示装置。
【請求項9】
前記表示用発光素子は、発光ダイオードまたはエレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする請求項1乃至8の何れか一項に記載の位置検出機能付き表示装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図7】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−100315(P2011−100315A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254712(P2009−254712)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】