説明

位置検出装置

【課題】 特に、従来に比べてコストを抑えるとともに信頼性に優れた位置検出装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 シフトレバー2と、シフトレバー2の上端部に設けられたシフトノブ10と、下端部に設けられた電極部21と、シフトレバー2を回動可能に支持する動作支点25と、電極部21と非接触にて配置された静電容量結合型センサ20と、を有する。シフトノブ10の移動操作によりシフトレバー2が回動して電極部21が前記静電容量結合型センサ20の表面を非接触を保って移動し、静電容量結合型センサ20では、電極部21の移動に伴う静電容量変化に基づいて、電極部21の位置を検出する。これによりシフトポジション情報及び各シフトポジション間の軌跡情報を取得することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシフトレバーを移動操作したときのシフトポジション及び移動軌跡を検出することが可能な位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献には、シフトレバーのシフトノブ側と反対側に設けられたマグネットと、前記マグネットに対し間隔を空けて配置された複数個のセンサ(例えばホールIC)とを有する位置検出装置の発明が開示されている。
【0003】
各センサは、シフトノブを各シフトポジションに移動操作したときのマグネットと対向する位置に配置されている。例えばシフトノブを、パーキングレンジからドライブレンジまで移動操作すると、ドライブレンジに配置されたセンサが、マグネットからの磁界を受けて検出信号を出力し、シフトレバーがドライブレンジにまで移動したことを知ることができる。また、シフトノブをパーキングレンジからドライブレンジまで移動操作する際、その途中に、リバースレンジ、及びニュートラルレンジがあり、各シフトポジションでの検出信号を順に得ることで、シフトレバーが、正しく、パーキングレンジ→リバースレンジ→ニュートラルレンジ→ドライブレンジの順に移動したことを確認できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−349447号公報
【特許文献2】特開2011−11617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来では次のような問題点があった。すなわち、各シフトポジションにセンサやスイッチが必要となるとともに、シフトポジションの配置が変更されれば、その度に設計が必要になり、センサ数やスイッチ数が多いことによるコスト高や信頼性低下の問題があった。
【0006】
また従来では、各シフトポジションでのON/OFF信号をセンシングしているが、シフトレバーの移動軌跡まで知ることはできなかった。すなわち例えば、従来では、シフトレバーがニュートラルレンジからドライブレンジに移動したことは、各シフトポジションでのON/OFF信号により知ることができるが、シフトレバーがニュートラルレンジからドライブレンジにまでどのような軌跡を描いて到達したかまでを知ることはできなかった。
【0007】
そこで本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、特に、従来に比べてコストを抑えるとともに信頼性に優れた位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における位置検出装置は、
可動体と、前記可動体の第1端部側に設けられた操作部と、前記第1端部に対して反対側に位置する前記可動体の第2端部に設けられた電極部と、前記操作部を移動操作可能に前記可動体を可動支持する支持体と、前記電極部と非接触にて配置された静電容量結合型センサと、を有し、
前記操作部の移動操作により前記可動体が可動して前記電極部が前記静電容量結合型センサの表面を非接触を保って移動し、
前記静電容量結合型センサでは、前記電極部の移動に伴う静電容量変化に基づいて、前記電極部の位置を検出することを特徴とするものである。
【0009】
本発明では、可動体の第2端部側に電極部を設けるとともに、前記電極部と非接触の静電容量結合型センサを設けた。可動部の第1端部に設けられた操作部を移動操作することで、可動体が可動し、それに伴って電極部が静電容量結合型センサの表面を非接触を保って移動する。これにより、本発明では一つのセンサを用いて、操作部(電極部)の位置をセンシングできる。また本発明では、操作部の移動操作可能なポジションが配置変更されても、電極部と静電容量結合型センサからなる検出部分の構成を変更する必要がなく前記検出部分の標準化を図ることができる。
【0010】
このように本発明ではセンサが一つで済み、コストを抑えることができるともに信頼性を向上させることができる。
【0011】
本発明では、前記操作部は複数のポジション間を所定の軌跡に沿って移動操作可能とされており、前記操作部のポジション情報及び軌跡情報を、前記静電容量結合型センサによる前記電極部の位置検出により取得できる。本発明では前記操作部のポジション情報のみならず軌跡情報を取得でき、より高い信頼性を得ることが可能である。
【0012】
本発明では、前記可動体は、水平移動可能に支持されている構成であったり、前記第1端部と前記第2端部との途中の動作支点を介して回動可能に支持されており、前記電極部は前記操作部の移動操作方向に対して逆方向に移動する構成である。
【0013】
本発明では、前記静電容量結合型センサの前記電極部と対向する表面には、前記電極部と非接触のスペーサが設けられていることが好ましい。電極部と静電容量結合型センサ間の空間にスペーサを設けることで、検出感度の向上を図ることができる。
【0014】
また本発明では、前記静電容量結合型センサの前記電極部と対向する表面には、前記電極部と非接触のスペーサが設けられており、前記スペーサは前記動作支点から平面方向に離れるにしたがって膜厚が厚くなるように、前記スペーサの表面が凹曲面で形成されていることが好ましい。これにより、検出感度変化を緩和することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の位置検出装置によれば、センサが一つで済み、従来に比べてコストを抑えることができるともに信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本実施形態におけるシフト位置検出装置の分解斜視図である。
【図2】図2は、本実施形態のシフト位置検出装置を構成するシフトレバーと、静電容量結合型センサとを簡略的に示した斜視図である。
【図3】図3は、図2に示すシフトレバーと、静電容量結合型センサとの縦断面図である。
【図4】図4は、静電容量結合型センサの平面図であり、特にシフトパターンを模式的に示した説明図である。
【図5】図5は、図3に示す静電容量結合型センサの表面にスペーサを設けた縦断面図である。
【図6】図6は、環境変化等に応じた静電容量の補正方法を説明するための説明図である(静電容量結合型センサの平面図)。
【図7】図7は、図2と別の実施形態を示すシフトレバーと、静電容量結合型センサとの斜視図である。
【図8】図8は、静電容量結合型センサの平面図であり、図4と異なるシフトパターンを模式的に示した説明図である。
【図9】図9は、シフトレバーの操作部を回転させた状態を示す、シフトレバー及び静電容量結合型センサの斜視図である。
【図10】図10(a)は、本実施形態の位置検出装置をミラースイッチ装置に用いた部分斜視図であり、図10(b)は、図10(a)に示す静電容量結合型センサの静電容量結合型センサの平面図であり、特に操作パターンを模式的に示した説明図である。
【図11】図11(a)は、本実施形態の位置検出装置をストークスイッチ装置に用いた部分斜視図であり、図11(b)は、図11(a)に示す静電容量結合型センサの静電容量結合型センサの平面図であり、特に操作パターンを模式的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本実施形態におけるシフト位置検出装置の分解斜視図である。図1に示すシフト位置検出装置1は車両に搭載される。
【0018】
シフト位置検出装置1は、シフトレバー(シャフト)2と、軸受3と、シフトパターン用規制板4と、シフトレバー2に連結されX方向に延びる第1軸部5と、Y方向に延びる第2軸部6と、ホームポジション復帰用バネ7等を有して構成される。
【0019】
図1に示すシフトレバー2の上端部(第1端部)にシフトノブ(操作部)10が設けられている。シフトレバー2の一部は、軸受3内の空間に収納される。軸受3の各側面には夫々、貫通孔3a〜3dが設けられており、シフトレバー2に連結された第1軸部5及び第2軸部6が各貫通孔3a〜3dに通される。第2軸部6が軸受3の内部から貫通孔3b,3dに向けて収納された状態で、規制部材11が貫通孔3b,3dの外側からはめ込まれる。また、第1軸部5は、シフトレバー2が軸受3内に配置された状態で、外側から貫通孔3aを介して通され、第1軸部5の貫通孔3c側では、螺子12により抜け止めされる。
【0020】
シフトレバー2には、シフトパターン用規制板4に設けられた空間のシフトパターン4a内に配置でき、シフトレバー2を前記シフトパターン4aに沿って移動操作させるための規制部2aが設けられている。
【0021】
シフトレバー2をシフトパターン4aに沿って移動操作しても、手を離すと、シフトレバー2は、ホームポジション復帰用バネ7によりホームポジションに戻るように付勢されている。
【0022】
シフトレバー2は、シフトレバー2に連結される第1軸部5及び第2軸部6や、軸受3等を組み立てた支持構造により、シフトレバー2を後述する動作支点を中心として回動可能に支持できる。
【0023】
図2は、本実施形態のシフト位置検出装置を構成するシフトレバー2と、静電容量結合型センサ20とを簡略的に示した斜視図である。静電容量結合型センサ20は、図1に示すシフトパターン用規制板4よりも下方に位置している。
【0024】
図2に示すように、シフトレバー2の上端部(第1端部)2bには、シフトノブ(操作部)10が設けられ、シフトレバー2の下端部(第2端部)2cには電極部21が設けられている。電極部21は例えば黄銅等の金属である。検出精度の安定化を図るべく電極部21をグランドに接続してもよいし、しなくてもよい。
【0025】
図2に示す静電容量結合型センサ20は、図3にも示すように、電極部21との間にギャップG0を有し非接触にて配置されている。
【0026】
静電容量結合型センサ20は、電極部21との間で静電容量が形成されることによる容量変化に基づいて、電極部21のX方向及びY方向の位置を検出できるものであれば特に構成を限定するものでない。例えば図2に示すように静電容量結合型センサ20は、Y方向に延出しX方向に間隔を空けて配置されたX電極22と、X方向に延出しY方向に間隔を空けて配置されたY電極23とが絶縁層を介して対向した内部構造を有する。なお図2では、一本のX電極及びY電極にのみ符号22,23を付した。
【0027】
電極部21と、電極部21に近いX電極及びY電極との間に静電容量が生じると、電極に駆動電圧が印加されたときに流れる電流が変化したり、電圧の立ち上がりに遅延が生じ、これらの変化を検知することで、電極部21の位置を検知できる。
【0028】
図3に示すように、シフトレバー2の上端部2bと下端部2cとの途中に動作支点25が設けられている。そしてシフトレバー2は、動作支点25を介して回動自在に支持されている。ここで動作支点25は、図1に示す軸部5,6であり、図3では第1軸部5を指している。図3に示すシフトノブ10を例えば略Y1方向に向けて移動操作させるとシフトレバー2は第2軸部6を動作支点25として回動し、電極部21はシフトノブ10の移動操作方向とは逆方向の略Y2方向に移動する。
【0029】
本実施形態では、図3に示すように、今、シフトレバー2がZ1−Z2方向に平行に直立したホームポジションにあり(実線)、前記シフトノブ10を所定のシフトポジションまでY1方向に移動操作すると、動作支点25を回動中心としてシフトレバー2は回動し、電極部21は、Y2方向へ移動する(点線)。ホームポジションにある実線の電極部21の位置は静電容量結合型センサ20により検出でき、また電極部21が移動した点線の位置も静電容量結合型センサ20により検出できる。しかも、実線から点線までの電極部21の移動軌跡も静電容量結合型センサ20により検出することができる。
【0030】
図4は、静電容量結合型センサ20の平面図であり、特にシフトパターンを模式的に示した説明図である。図4に示したシフトパターンは、図1で示したシフトパターン用規制板4のシフトパターン4aにより規制される。
【0031】
図4に示すように、静電容量結合型センサ20の表面20aに複数の丸が示されているが、これらはいずれもシフトノブ10を各シフトポジションにまで移動操作したときに電極部21が、静電容量結合型センサ20の表面20aに相対向するシフトポジションの決定エリアを示しており、矢印は電極部21の移動軌跡である。図8、図10(b)、図11(b)においても同様である。
【0032】
図4の実線で示したシフトポジションの決定エリアに電極部21が位置しており、このシフトポジションは、ホームポジションであるニュートラルレンジの決定エリア30である。シフトレバー2は、図1に示したホームポジション復帰用バネ7によりニュートラルレンジに付勢されている。シフトノブ10をY1方向のリバースレンジまで移動操作させると、シフトレバー2は第2軸部6を回動中心として回動する。このとき電極部21はシフトノブ10の移動操作方向と逆方向に移動して、ニュートラルレンジの決定エリア30からY2側にあるリバースレンジの決定エリア31に移動する。一方、シフトノブ10をニュートラルレンジからY2側のドライブレンジまで移動操作させると、シフトレバー2は第2軸部6を回動中心として回動する。このとき電極部21は、シフトノブ10の移動操作方向と逆方向に移動して、ニュートラルレンジの決定エリア30からY1側にあるドライブレンジの決定エリア32に移動する。また、シフトノブ10をニュートラルレンジからX2方向に移動操作し、さらにY2方向に移動操作してBレンジに入れると、シフトレバー2は第1軸部5を回動中心として回動して電極部21は、ニュートラルレンジの決定エリア30からX1側にある中継ポジションの決定エリア33に移動し、続いて、シフトレバー2は第2軸部6を回動中心として回動して電極部21は、Y1側にあるBレンジの決定エリア34にまで移動する。
【0033】
本実施形態では、シフトノブ10がニュートラルレンジから各シフトポジションへ移動したとの情報、及び各シフトポジション間の移動軌跡を、静電容量結合型センサ20上での電極部21の位置を検知することで取得することが可能である。すなわち電極部21が図4に示すドライブレンジの決定エリア32に位置すれば、今、シフトノブ10はドライブレンジにあることがわかるし、また、ニュートラルレンジの決定エリア30から、ドライブレンジの決定エリア32までの移動軌跡35も検出できるため、シフトノブ10の移動軌跡も知ることができる。
【0034】
このように本実施形態では、一つの静電容量結合型センサ20を用いて、シフトノブ10(電極部21)の位置をセンシングできる。従来では、各シフトポジションごとにセンサを配置しないといけなかったが、本実施形態では、1つのセンサのみで済む。またシフトポジションの位置が変更されると、従来では、その度にセンサの配置換えが必要になりセンサ配置に伴う誤差も生じやすくなっていたが、本実施形態では、図4から、例えば図8のように、各シフトポジションの決定エリアの位置及び各シフトポジションの決定エリア間の軌跡が変更されても、各シフトポジションの位置情報や軌跡情報のプログラムを変更するのみで対応でき、すなわち、電極部21と静電容量結合型センサ20からなる検出部分の構成を変更する必要がない。よって本実施形態では、前記検出部分の標準化を図ることができる。
【0035】
このように本発明ではセンサが一つで済み、コストを抑えることができるともに信頼性を向上させることができる。
【0036】
また、本実施形態では、各シフトポジション情報のみならず、各シフトポジション間の軌跡情報も知ることが可能になる。例えば、従来では、シフトレバーが、ニュートラルレンジからドライブレンジに移動したことを検知できても、ニュートラルレンジとドライブレンジの間の移動軌跡まで知ることはできなかった。例えば図4に示すように、ニュートラルレンジの決定エリア30とドライブレンジの決定エリア32までの移動軌跡35がY1方向に直線状であることが正常な軌跡であるとすると、前記移動軌跡35が直線状でないような軌跡を描いた場合、シフトレバー2を支持する支持機構に故障等の不具合があったと判別でき、より運転の際の安全性を高めることができる。したがって本実施形態のように移動軌跡情報も取得できることで、より信頼性の高いシフト位置検出装置1にできる。
【0037】
ところで本実施形態では、電極部21と静電容量結合型センサ20とは非接触であり、図3のようにギャップG0が設けられている。このとき、電極部21と静電容量結合型センサ20との間には空気(比誘電率が約1)が介在しているが、図5に示すように、電極部21と静電容量結合型センサ20との間に空気よりも比誘電率の高いスペーサ40を設けることが好適である。図4に示すようにスペーサ40は、静電容量結合型センサ20の表面20aに貼着等により固定されている。スペーサ40と電極部21とは非接触であり、このときスペーサ40と電極部21間にギャップG1が設けられている。
【0038】
スペーサ40は、ポリアセタール樹脂やネオプレンゴム等の樹脂系材料であり、スペーサ40の比誘電率としては、2〜10程度であることが好ましい。
【0039】
スペーサ40を静電容量結合型センサ20の表面20aに設けることで、電極部21と静電容量結合型センサ20間で形成される静電容量を大きくでき、これにより静電容量結合型センサ20で生じる容量変化が大きくなり、検出感度の向上を図ることができる。図5に示すギャップG1が、図3に示すギャップG0より多少大きくなっても、検出感度の向上を図ることができ、よって図5のように、スペーサ40を設けることでギャップの許容範囲を広げることができる。また、シフトポジションやシフトノブの設計変更からギャップ距離が変わってしまう場合においても、スペーサを設けることで容易に調整することができる。
【0040】
また図3に示すシフトレバー2が動作支点25を中心として回動する構成では、電極部21と静電容量結合型センサ20との間のギャップG0が前記回動に伴い変化する。よってギャップG0の変化に伴う検出感度差が生じるため、検出感度差を小さくするために、図4に示すように、スペーサ40の膜厚が動作支点25から平面方向に離れるにしたがって徐々に厚くなるように、表面40aを凹曲面とすることが好ましい。これにより、スペーサ40と電極部21間のギャップG1を電極部21の移動によってもほぼ一定にできる。
【0041】
図6は、環境変化等に応じた静電容量の補正方法を説明するための説明図(静電容量結合型センサの平面図)である。
【0042】
静電容量式での位置検出は、外部ノイズや、温度や湿度の上昇などによる環境変化により誤動作が生じることがある。よって検知信号に補正をかけることが好適である。本実施形態では補正方法を限定するものでないが一例を示すと、電極部21がニュートラルレンジの決定エリア30に位置しているときには、例えば、左半分の電極部21が位置していない領域(斜線で示す)40の電極に駆動電圧を印加したときに得られる基準出力をもとに、補正値を求める。また図6に示すように、補正検知信号を求めるための補正部41を静電容量結合型センサ20の隅等に設けておくこともできる。補正部41は例えば、補正電極と補正検出電極とが対向した構成であり、補正電極と補正検出電極との間には静電容量が生じている。そして補正電極に駆動電圧を与えることで補正検出電極に流れる電流値をもとに補正値(補正検知信号)を得ることが出来る。補正タイミングはエンジンをかけたとき、走行中の一定時間ごと等、特に限定されない。
【0043】
本実施形態では図7に示すようにシフトレバー2がX−Y平面を水平移動する構成であってもよい。図7は実線のシフトレバー2が点線のシフトレバーの位置まで移動した状態を示している。この実施形態においてもシフトレバー2の下端部に設けられた電極部21と静電容量結合型センサ20間は非接触状態である。図7に示す水平移動の構成では、シフトノブ10のX−Y平面内での位置と、電極部21のX−Y平面内での位置とは略一致している。すなわち図3等で示した回動式と異なって、シフトノブ10の操作移動方向と、電極部21の移動方向とが逆にならず同方向となる。
【0044】
例えば図8は、図7のようにシフトレバー2を水平移動させた構成でのシフトパターンである。シフトノブ10の移動操作に伴い、電極部21は静電容量結合型センサ20の表面に非接触を保ちながら各シフトポジションの決定エリア42〜47間を移動する。今、シフトノブ10がパーキングレンジに位置しており、シフトノブ10をドライブレンジまで移動操作すると、図8に示すように電極部21は、静電容量結合型センサ20上におけるパーキングレンジの決定エリア42からリバースレンジの決定エリア43、ニュートラルレンジの決定エリア44を経て、ドライブレンジの決定エリア45まで移動する。このとき、静電容量結合型センサ20により、シフトノブ10(電極部21)のシフトポジション情報のみならず各シフトポジション間の移動軌跡情報も取得することができる。
【0045】
図9は、シフトレバー2のシフトノブ10を回転させた状態を示す。シフトノブはその中心を回転軸Oとして回転可能に支持されている。シフトノブ10を回転させると、シフトノブ10と連結するシフトレバー2も回転する。したがってシフトレバー2の下端部に設けられた電極部50も回転する。このとき電極部50を図2に示すような平面が円形状とされた形状でなく、シフトレバー2の回転に伴って電極部50の位置が変化する形状(図9では1/4円)とすることで、静電容量結合型センサ20により、電極部50の位置変化を検出でき、すなわちシフトノブ10の回転情報を取得することができる。
【0046】
あるいは図9の点線で示すように、シフトノブ10の回転軸Oに対して、シフトレバー2を傾けた状態に設定すれば(シフトノブ10の回転軸Oとシフトレバーの中心軸とが一致していない)、電極部21が円形状(円柱状)であっても、シフトノブ10を回転させると、回転軸Oの回りをシフトレバー2及び電極部21が円を描いて回動し、シフトノブ10の回転に伴い、電極部21の位置が変動するため、静電容量結合型センサ20により、電極部50の位置変化を検出でき、すなわちシフトノブ10の回転情報を取得することができる。
【0047】
図10(a)は、本実施形態の位置検出装置をミラースイッチ装置に用いた部分斜視図であり、図10(b)は、図10(a)に示す静電容量結合型センサの静電容量結合型センサの平面図であり、特に操作パターンを模式的に示した説明図である。
【0048】
図10(a)はミラースイッチ装置60であり、シャフト61の上部に操作部62があり、シャフト61の下端部に電極部63が設けられている。電極部63と静電容量結合型センサ20は非接触である。操作部62を中央ポジションから図10(a)に示す矢印方向(左右(X1−X2)、前後(Y1−Y2))に移動操作でき、それに伴い電極部63が静電容量結合型センサ20上の中央ポジションの決定エリア64から前後左右の各ポジションの決定エリア65〜68に移動できる。図10(b)に示す矢印は電極部63の各ポジションの決定エリア間の移動軌跡を示す。そして静電容量結合型センサ20による電極部63の位置検出により、各ポジション情報及び移動軌跡情報を取得することができる。
【0049】
図11(a)は、本実施形態の位置検出装置をストークスイッチ装置に用いた部分斜視図であり、図11(b)は、図11(a)に示す静電容量結合型センサの静電容量結合型センサの平面図であり、特に操作パターンを模式的に示した説明図である。
【0050】
図11(a)は、ワイパーやターンシグナル等のストークスイッチ装置70であり、シャフト71の上部に操作部72があり、シャフト71の下端部に電極部73が設けられている。電極部73と静電容量結合型センサ20は非接触である。図11(a)に示すように操作部72を四方向に移動操作できる。操作部72の移動操作により電極部73が静電容量結合型センサ20上の各ポジションの決定エリア75〜82間を移動する。図7(b)に示す矢印は電極部73の各ポジションの決定エリア間の移動軌跡を示す。そして静電容量結合型センサ20による電極部63の位置検出により、各ポジション情報及び移動軌跡情報を取得することができる。
【0051】
上記では、本実施形態の位置検出装置を車載用として説明したが、車載用に限定されるものでない。
【符号の説明】
【0052】
0、G1 ギャップ
O 回転軸
1 シフト位置検出装置
2 シフトレバー
3 軸受
4 シフトパターン用規制板
4a シフトパターン
5、6 軸部
7 ホームポジション復帰用バネ
10 シフトノブ(操作部)
20 静電容量結合型センサ
21、50、63、73 電極部
25 動作支点
30〜34、42〜47 (シフトポジションの)決定エリア
35 移動軌跡
40 スペーサ
41 補正部
60 ミラースイッチ装置
61、71 シャフト
62、72 操作部
64〜68、75〜82 決定エリア
70 ストークスイッチ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動体と、前記可動体の第1端部側に設けられた操作部と、前記第1端部に対して反対側に位置する前記可動体の第2端部に設けられた電極部と、前記操作部を移動操作可能に前記可動体を可動支持する支持体と、前記電極部と非接触にて配置された静電容量結合型センサと、を有し、
前記操作部の移動操作により前記可動体が可動して前記電極部が前記静電容量結合型センサの表面を非接触を保って移動し、
前記静電容量結合型センサでは、前記電極部の移動に伴う静電容量変化に基づいて、前記電極部の位置を検出することを特徴とする位置検出装置。
【請求項2】
前記操作部は複数のポジション間を所定の軌跡に沿って移動操作可能とされており、前記操作部のポジション情報及び軌跡情報を、前記静電容量結合型センサによる前記電極部の位置検出により取得できる請求項1記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記可動体は、水平移動可能に支持されている請求項1又は2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記可動体は、前記第1端部と前記第2端部との途中の動作支点を介して回動可能に支持されており、前記電極部は前記操作部の移動操作方向に対して逆方向に移動する請求項1又は2に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記静電容量結合型センサの前記電極部と対向する表面には、前記電極部と非接触のスペーサが設けられている請求項1ないし4のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記静電容量結合型センサの前記電極部と対向する表面には、前記電極部と非接触のスペーサが設けられており、前記スペーサは前記動作支点から平面方向に離れるにしたがって膜厚が厚くなるように、前記スペーサの表面が凹曲面で形成されている請求項4記載の位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−29321(P2013−29321A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−163552(P2011−163552)
【出願日】平成23年7月26日(2011.7.26)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】