位置測位端末、位置測位方法及び位置測位システム
【課題】ネットワークからアシストデータを取得できない場合においても位置測位が可能な位置測位端末を提供する。
【解決手段】位置測位端末101は、複数の航法メッセージからなるアシストデータを含む放送波108を受信する。アシストデータ取得部107は、受信された放送波108からアシストデータを取得する。位置測位部209は、取得されたアシストデータを利用して位置測位を行うとを含む。放送波アシストデータ認識部212は、放送波受信部205により受信された放送波にアシストデータが含まれているか否かを判断する。放送波にアシストデータが含まれていると判断された場合、位置測位端末101は、放送波からアシストデータを取得する。
【解決手段】位置測位端末101は、複数の航法メッセージからなるアシストデータを含む放送波108を受信する。アシストデータ取得部107は、受信された放送波108からアシストデータを取得する。位置測位部209は、取得されたアシストデータを利用して位置測位を行うとを含む。放送波アシストデータ認識部212は、放送波受信部205により受信された放送波にアシストデータが含まれているか否かを判断する。放送波にアシストデータが含まれていると判断された場合、位置測位端末101は、放送波からアシストデータを取得する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は位置測位端末、位置測位方法及び位置測位システムに関し、より具体的には、A−GPS(Assisted−GPS)測位方式である移動機側で測位演算を行うUE−Based方式において、GPS測位時に必要となる情報を衛星から直接受信し測位演算を行う、Standalone−GPS測位における位置測位手順、及びこの位置測位手順を実行する位置測位端末に関する。
【背景技術】
【0002】
地球を周回するGPS衛星から擬似雑音符号化して発信されているGPS信号を受信し、GPS信号の地上への到達時間、GPS信号に含まれる時刻情報や航法メッセージを解読して地球上の位置情報を正確に測位するGPS位置検出システムが開発されている。
【0003】
このようなGPS位置測位システムでは、可視空間を周回している少なくとも4つのGPS衛星を捕捉してGPS信号を解読する。しかしながら、周回衛星を単独で捕捉し、捕捉したGPS信号を解読するには相当な時間を要する。そのため、GPS信号を受信したGPS基準局が得た航法メッセージを、予めアシストデータとしてGPS測位アシストサーバに蓄えておくという方法が開発されている。この方法では、GPS測位演算を行おうとする位置測位端末から要求があった際に、アシストデータを当該位置測位端末に送る。位置測位端末は、送信されたアシストデータによって情報を補足してGPS測位演算を行う。
【0004】
このようなA−GPS(Assisted−GPS)測位方式のGPS位置測位システムにおいては、従来、位置測位端末から要求があると、GPS測位アシストサーバに蓄えられた全てのアシストデータを位置測位端末に送信している(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、ビル街や屋内のようにGPSのみでは位置測位が困難な環境において、端末が位置測位の実施を可能とするため、GPSと基地局からの信号の両方を用いて測位を行うハイブリッド型位置測位方式が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
一方、気象業務法の一部を改正する法律(平成19年法律第115号)が成立し、同年11月21日公布、同年12月1日施行となった。当該法律の改正により、気象庁は、発生した断層運動による地震動及び火山現象についての一般の利用に適合する予報及び警報を実施することとなった(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
位置測位端末においても、通信事業者は、例えばNTTドコモ(会社名)ではエリアメールというサービス名にて、携帯端末に緊急速報を配信するサービスが行われている(非特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2002―195846号公報
【特許文献2】特開2005−020216号公報
【非特許文献1】「緊急地震速報について」、[online]、気象庁、インターネット<http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/kaisetsu/index.html>[平成20年3月31日検索]
【非特許文献2】「緊急速報『エリアメール』」、[online]、株式会社NTTドコモ、インターネット<http://www.nttdocomo.co.jp/service/anshin/areamail/>[平成20年3月31日検索]
【非特許文献3】ARIB STD−B24「デジタル放送におけるデータ放送符号化方式と伝送方式」、社団法人電波産業会、平成11年10月26日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、通信圏外や災害時などによる通信規制によりネットワークからアシストデータが取得できない場合がある。
【0010】
アシストデータが取得できない場合は、GPS測位時に必要となる情報を衛星から直接受信し測位演算を行うStandalone−GPS測位により位置測位を行うことが可能である。
【0011】
しかしながら、アシストデータを利用しないStandalone−GPS測位は、オープンスカイ(上空が開けた場所)であれば測位成功することがあるが、市街地など周りに遮蔽物が存在するような場所においては、測位に時間がかかり、また位置測位に失敗する場合が多いという問題があった。
【0012】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ネットワークからアシストデータを取得できない場合においても位置測位が可能な位置測位端末、位置測位方法及び位置測位システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的を達成するため、本発明の位置測位端末の主な構成は、GPSによる位置測位機能と、放送波受信機能と、放送波に含まれるアシストデータを認識する放送波アシストデータ認識機能を備える。
【0014】
測位開始信号認識部に測位開始要求が入力されると、制御部はアシストデータ保持部に記憶されているアシストデータの利用可否状況、無線通信からのアシストデータの取得可否状況、アシストデータを含む放送の受信有無の状況により、位置測位手順を決定し、位置測位を実施する。
【0015】
本発明の一態様によれば、本発明に係る位置測位端末は、GPS測位演算の支援に用いられるアシストデータを含む放送波を受信する放送波受信部と、前記放送波受信部により受信された放送波から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して、前記GPS信号受信部により受信したGPS信号に基づくGPS測位演算を行うGPS測位部とを備える。
【0016】
ここで、ネットワークを通じて通信を行う無線通信部をさらに備え、前記GPS測位部は、前記無線通信部より前記ネットワークに接続し、前記アシストデータを前記ネットワークより取得し、該取得されたアシストデータを利用して位置測位を行い、前記アシストデータ取得部は、前記ネットワークよりアシストデータを取得できない場合に、前記放送波受信部により受信された放送波からアシストデータを取得するものとすることができる。
【0017】
ここで、前記ネットワークよりアシストデータを取得できず、かつ前記放送波からアシストデータを取得できない場合、前記GPS測位部は前記GPS信号受信部により受信されたGPS信号を使用してstandalone−GPS測位方式により位置測位を実行するものとすることができる。
【0018】
ここで、前記GPS測位部は、前記ネットワークよりアシストデータを取得して行う位置測位、前記放送波受信部により受信された放送波から前記アシストデータを取得して行う位置測位、及び前記standalone−GPS測位方式により行う位置測位の少なくとも2つを並列に処理するものとすることができる。
【0019】
また、前記GPS測位部は、前記無線通信部により緊急速報または位置検索要求を受信した場合に位置測位を行うものとすることができる。
【0020】
また、前記GPS測位部は前記無線通信部から緊急速報または位置検索要求と共にアシストデータを含む放送波の選局情報を受信し、前記放送波受信部は該受信された選局情報を基に放送波を選局し、該選局された放送波からアシストデータを取得するものとすることができる。
【0021】
また、前記無線通信部によりネットワークから受信された情報から概略位置を認識する概略位置認識部をさらに備え、前記放送波アシストデータ認識部は放送波からアシストデータを取得し、前記GPS測位部は、前記放送波に含まれたアシストデータに加え、前記概略位置認識部により取得された概略位置情報を利用して位置測位を行うものとすることができる。
【0022】
ここで、前記概略位置は、予め設定されている放送波のチャンネルリストのエリア情報、ネットワークを介して取得した基地局の位置情報、または緊急警報の配信先エリア情報とすることができる。
【0023】
また、前記放送波受信部により受信された放送波にアシストデータが含まれているか否かを判断する放送波アシストデータ認識部をさらに備え、前記アシストデータ取得部は、前記放送波アシストデータ認識部により前記放送波にアシストデータが含まれていると判断された場合に前記放送波からアシストデータを取得するものとすることができる。
【0024】
前記GPS測位部は、前記放送波受信部により緊急放送信号を受信した場合に位置測位を行うものとすることができる。
【0025】
また、前記放送波受信部は、放送波に含まれたアシストデータと共に放送基地局の位置情報及びGPSの同期信号を受信し、前記GPS測位部は、前記アシストデータ、前記放送基地局の位置情報、前記同期信号及び前記GPS信号によりハイブリッド測位演算を行うものとすることができる。
【0026】
また、前記放送波は地図データを含み、前記放送波から地図データを取得する地図データ取得部と、前記GPS測位部により行われた位置測位の結果を、前記地図データ取得部により取得された地図データにマッピングして表示する表示部とをさらに備えたものとすることができる。
【0027】
本発明の別の態様によれば、本発明に係る位置測位端末における位置測位方法は、位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む放送波を受信するステップと、前記受信するステップにおいて受信された放送波から前記アシストデータを取得するステップと、GPS衛星からGPS信号を受信するステップと、前記アシストデータ取得ステップにおいて取得されたアシストデータを利用して、前記GPS衛星から受信したGPS信号に基づく位置測位を行うステップとを備える。
【0028】
本発明の別の態様によれば、本発明に係る位置測位システムは、位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む放送波を送信する放送基地局と、GPS信号を送信するGPS衛星と、位置測位端末とを含む位置測位システムにおいて、前記位置測位端末は、前記放送基地局から受信された放送波から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、前記GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して前記GPS衛星から送信されたGPS信号による位置測位を行うGPS測位部とを備える。
【0029】
本発明の別の態様によれば、本発明に係る位置測位端末は、第1のネットワークを通じて位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む情報を受信する第1の無線通信部と、前記第1の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して、前記GPS信号受信部により受信したGPS信号に基づく位置測位を行うGPS測位部と、第2のネットワークを通じて前記アシストデータを含む情報を受信する第2の無線通信部とを備え、前記アシストデータ取得部は、前記第1のネットワークからアシストデータを取得できない場合に、前記第2の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得する。
【0030】
本発明の別の態様によれば、本発明に係る位置測位端末における位置測位方法は、第1のネットワークを通じて位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む情報を受信する第1の無線通信ステップと、前記第1の無線通信ステップにおいて受信された情報から前記アシストデータを取得する第1のアシストデータ取得ステップと、GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信ステップと、前記アシストデータ取得ステップにおいて取得されたアシストデータを利用して、前記GPS衛星から受信したGPS信号に基づく位置測位を行うGPS測位ステップと、前記第1のネットワークからアシストデータを取得できない場合に、第2のネットワークを通じて前記アシストデータを含む情報を受信する第2の無線通信ステップと、前記第2の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得する第2のアシストデータ取得ステップとを備える。
【0031】
本発明の別の態様によれば、本発明に係る位置測位システムは、第1のネットワークと、第2のネットワークと、GPS信号を送信するGPS衛星と、位置測位端末とを含む位置測位システムにおいて、前記位置測位端末は、前記第1のネットワークを通じて位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む情報を受信する第1の無線通信部と、前記第1の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、前記GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して、前記GPS信号受信部により受信したGPS信号に基づく位置測位を行うGPS測位部と、前記第2のネットワークを通じて前記アシストデータを含む情報を受信する第2の無線通信部とを備え、前記アシストデータ取得部は、前記第1のネットワークからアシストデータを取得できない場合に、前記第2の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、放送波を受信可能な機能を備えることで、アシストデータを含む放送波に選局しアシストデータを取得する。したがって、通信圏外や災害時などによる通信規制によりネットワークからアシストデータが取得できない場合においても、位置測位が可能となる。
【0033】
また、同一地域の携帯端末がいっせいに位置測位を開始した場合、アシストデータの取得による通信路のトラフィックの増大、GPS測位アシストデータサーバへの負荷を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照し、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。
【0035】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においてもお互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0036】
(第1実施形態)
(構成)
以下、本発明の第1実施形態に係る位置測位システムの構成について、図面を参照しながら説明する。
【0037】
図1は、第1実施形態に係る位置測位システムの構成を示す図である。図1に示すように、位置測位システムは、位置測位端末101と、通信事業者102と、通信基地局103と、放送局104と、放送基地局105と、GPS衛星106より構成される。
【0038】
位置測位端末101は、GPSによる位置測位を行う。また、位置測位端末101は、放送基地局105から放送される放送波108を受信する機能、及び通信基地局103を通じて通信事業者102と無線通信を行う機能を有する。
【0039】
放送局104は、放送基地局105に信号を送信するように構成される。放送基地局105は、放送局104から受信した信号を放送波108として送信する。
【0040】
放送基地局105は、放送波108にアシストデータを含めて放送することができる。アシストデータを含む放送波は、例えば図2に示す構成とすることができる。
【0041】
通信事業者102は、アシストデータを記憶するアシストデータ記憶装置(不図示)を備える。位置測位端末101からアシストデータの要求があった場合、通信事業者102は、無線通信網を利用し、アシストデータ107を位置測位端末101に提供することが可能である。なお、アシストデータは通信事業者102が保持する必要は無く、インターネットを経由し外部の記憶装置から取得することとしてもよい。
【0042】
GPS衛星106はGPS信号109を送出するように構成されている。これにより、位置測位端末101は当該GPS信号を利用して位置測位を実施することが可能である。
【0043】
次に、放送波に含まれるアシストデータについて説明する。
【0044】
放送波は、MPEC−2システム規格においてパケット化された符号化画像・音声(エレメンタルストリーム:ES)を多重化・伝送する方式として、トランスポートストリーム(TS)を採用することができる。TSでは、プログラムや各エレメンタルストリームを示す情報としてPSI/SI情報を含んでいる。
【0045】
本実施形態において、受信機は分割されたTSパケットを受信し結合する。結合の結果、TSパケットは、映像、音、各種情報等のデータに戻される。ここで各種情報とは図2に示すNIT(NetworkInformation Table)、PAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)等のPSI/SI情報である。
【0046】
受信機は、これらのPSI/SI情報から、再生すべき映像や音、そしてアシストデータを特定し、再生する。
【0047】
図2は、放送波に含まれるPSI/SI情報の一例を示す。
【0048】
PSI/SI情報は、A階層とB階層とを含んでいる。
【0049】
A階層は、NIT、PAT、PMTを含んでいる。NITは、周波数などの伝送路情報と放送サービスを関連づける情報を伝送するもので、1つの分配システムに含まれる全てのサービスID(service_id)が記載されている。
【0050】
PATは、特定のTSに含まれるプログラム一覧を格納する。PMTは、プログラムに含まれる画像や音声等のPIDを格納する。
【0051】
図2に示す例では、B階層のPMTにアシストデータのID(ES_ID)が及びPIDが定義されている。アシストデータはDSM−CCデータカルーセルによる伝送を利用してもよい。
【0052】
なお、アシストデータは、PCRの空き領域を利用して送信することとしてもよい。
【0053】
図3は、アシストデータを挿入するPCRパケットの例を示す。同図に示すように、放送波は複数のTSパケットから構成される。各TSパケットは、4バイトのヘッダと可変長のアダプテーション・フィールド及びペイロードから構成されている。
【0054】
パケットヘッダにはPIDや各種フラグが定義されている。
【0055】
アダプテーション・フィールドには、映像・音声などを同期再生するために必要な基準時間情報(PCR)とTSパケットを188バイト固定長にするためのダミー・データ(スタッフィング・データ)が入っている。本スタッフィング・データにアシストデータを盛り込み、伝送してもよい。
【0056】
図4は、本実施形態に係る伝送制御データのタイミングを示す。本実施形態では、図4に示すとおり、放送波に含まれる伝送制御データであるTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration and Control)情報に「アシストデータ送出フラグ」、及びPMTに「アシストデータ有無記述子」を設定する。そして、「アシストデータ送出フラグ」及び「アシストデータ有無記述子」の値を参照することにより、アシストデータが含まれる放送であるか否かを判定することが可能となる。
【0057】
このような伝送制御の詳細は、例えば非特許文献3に記載されている。
【0058】
(位置測位端末の構成)
以下、本実施形態に係る位置測位端末の構成について、図面を参照しながら説明する。
【0059】
図5、図6は、本実施形態に係る位置測位端末101のブロック図及び外観図である。
【0060】
図5に示すように、位置測位端末101は、無線通信部201と、測位開始入力部202と、測位開始信号認識部203と、アシストデータ保持部204と、放送波受信部205と、放送波アシストデータ認識部212と、制御部206と、GPS信号受信部208と、GPS位置測位部209と、表示部210と、地図データ保持部207を有する。
【0061】
無線通信部201は、無線通信により外部からアシストデータの情報を取得することが可能である。
【0062】
測位開始入力部202は、具体的には図6に示す位置測位開始ボタン211として構成することができる。ユーザが当該位置測位開始ボタンを押下することにより、位置測位開始信号が測位開始信号認識部203に送られ、位置測位端末101は位置測位を開始する。
【0063】
アシストデータ保持部204は、無線通信により外部から取得したアシストデータ107、もしくは放送波108に含まれるアシストデータを保持し、位置測位を開始する際に利用される。
【0064】
放送波受信部205は、放送波108を受信する。放送波アシストデータ認識部212で放送波108にアシストデータが含まれるかを判断する。放送波108にアシストデータが含まれていると判断された場合、制御部206は放送波108から取得されたアシストデータをアシストデータ保持部204に格納する。
【0065】
GPS信号受信部208は、GPS衛星106から送信されるGPS信号109を受信する。
【0066】
GPS位置測位部209は、位置測位開始信号を受信した制御部206からの指示により起動し、GPS信号受信部208で取得したGPS情報、または当該GPS情報と制御部206から取得したアシストデータに基づいて位置測位を行う。
【0067】
表示部210は、GPS位置測位部209で得られた位置測位結果と、地図データ保持部207に記憶されている地図情報を利用し、図6に示すように、現在位置が示された地図を表示させる。
【0068】
制御部206は、測位開始信号認識部203において測位開始信号が入力されたと判断したことを契機として動作を開始する。アシストデータ保持部204に記憶されているアシストデータの利用可否、無線通信からのアシストデータの取得可否、放送波108のアシストデータの有無の状況に応じて位置測位手順を判断し、位置測位手順を決定する。その後、GPS位置測位部209に、位置測位開始を指示する。アシストデータ保持部204に記憶されているアシストデータが利用可能である場合は、当該アシストデータをGPS位置測位部209に提供する。
【0069】
(位置測位端末の動作)
以下、本実施形態に係る位置測位端末101の動作について、図面を参照しながら説明する。
【0070】
図7は、第1実施形態に係る位置測位端末101の動作を示すフロー図である。
【0071】
ユーザが測位開始入力部202を操作することにより、測位開始信号認識部203に位置測位開始信号が入力される。測位開始信号認識部203は位置測位を始める(ステップS301)。
【0072】
ここで、位置測位開始信号の入力は以下に示す方法でもよい。
(1)位置測位端末101は、位置測位開始を指示するアプリケーションプログラムを実行することとしてもよい。この場合、アプリケーションプログラムが保持する設定値に従った条件に応じて、位置測位開始信号を測位開始信号認識部203に送信するような仕組みとしてもよい。例えば、設定値として時間間隔の値を保持し、一定時間ごとに位置測位開始信号を送信してもよい。
(2)また、外部からの無線通信により位置測位を開始してもよい。この場合、第三者端末からの検索による位置測位要求、あるいは気象庁から配信される緊急速報(エリアメール)の受信を契機として位置測位を開始してもよい。
(3)また、放送波の中に緊急放送信号が含まれている場合、その放送波の受信を契機として位置測位を開始してもよい。
(4)さらに、放送波の中に位置測位信号を設け、当該位置測位信号の受信を契機として位置測位を開始してもよい。
【0073】
また、図9に示すとおり、放送番組のデータ放送内に位置測位開始を促すための情報を入れ込み、当該情報をユーザが選択した場合、位置測位を開始してもよい。同図に示す例では、表示部210は放送波に含まれた映像を表示する映像表示部802と、放送波に含まれた文字等の情報を表示するデータ放送表示部804を含む。データ放送表示部804は、位置測位端末101に設けられた所定のボタンを押下することにより選択可能な文字列(「避難所へ行きますか?」)を表示することにより、位置測位開始を促すことができる。
【0074】
測位開始信号認識部203により、位置測位開始信号を受けた場合、制御部206はアシストデータ保持部204にアクセスし、アシストデータ保持部204内に記憶されているアシストデータが利用可能かどうかを判定する(ステップS302)。
【0075】
利用可能と判断された場合、制御部206はアシストデータ保持部204内に記憶されているアシストデータを取得し、GPS位置測位部209に送信する。GPS位置測位部209は、受信したアシストデータを利用してAssisted−GPS方式により位置測位を行う(ステップS307)。
【0076】
ステップS307で、測位成功した場合、地図データ保持部207に記憶されている地図データを取得し、測位結果をマッピングすることにより、図6に示すとおり現在位置の地図を表示部210に表示する(ステップS312)。
【0077】
ステップS302でアシストデータ保持部204内に記憶されているアシストデータが利用不可と判断された場合、もしくはステップS307で位置測位演算に失敗した場合、無線通信部201はネットワークにアクセスし、アシストデータの要求を行う(ステップS303)。
【0078】
ネットワークよりアシストデータを取得した場合は、前述のとおり、GPS位置測位部209にてAssisted−GPS測位方式により位置測位を開始する(ステップS305)。位置測位に成功した場合は、現在位置の地図を表示部210に表示する(ステップS312)。
【0079】
ステップS305で、測位に失敗した場合は、その旨を表示部210に表示する(ステップS306)。
【0080】
ステップS304において、位置測位端末101が通信圏外、通信規制によりネットワークにアクセスできない、通信トラフィックが増大しネットワークに長時間アクセスできない、またはアシストデータサーバダウンなどの理由により、ネットワークからアシストデータが取得できない場合は放送波受信部205を起動する。
【0081】
放送波受信部205は放送波を受信する。放送波アシストデータ認識部212は、放送波にアシストデータが含まれているかどうかを判断する(ステップS308)。放送波アシストデータ認識部212により、放送波にアシストデータが含まれていると判断された場合はアシストデータを取得する(ステップS309)。
【0082】
アシストデータが含まれる放送波の選局方法は、位置測位端末101において受信した選局情報を利用して選局を行うこととしてもよい。この場合、例えば第三者検索による外部からの位置測位要求、または気象庁から配信される緊急速報に基づくメール(非特許文献2参照)に、アシストデータが含まれる放送波の選局情報を含めて位置測位端末101に送信することとしてもよい。
【0083】
また、図9に示す例において、放送番組のデータ放送表示部内に位置測位開始を促すための情報と共に、アシストデータを含んでいる放送波の選局情報やPID情報を入れることにより、アシストデータを取得することが可能である。この場合、ユーザが当該選局情報等を選択することにより、位置測位端末101は対応する放送局を選局することができる。
【0084】
放送波よりアシストデータを取得した場合は、前述のとおり、GPS位置測位部209にてAssisted−GPS測位方式により位置測位を開始する(ステップS310)。位置測位に成功した場合は、現在位置の地図を表示部210に表示する(ステップS312)。
【0085】
ステップS308にて放送波アシストデータ認識部212が放送波にアシストデータが含まれていないと判断した場合は、standalone−GPS測位方式により位置測位を行う(ステップS311)。測位成功した場合は現在位置の地図を表示部210に表示する(ステップS312)。測位に失敗した場合は、測位失敗の旨を表示部306に表示する(ステップS306)。
【0086】
図8は、位置測位手順のシーケンス図を示す。
【0087】
同図に示すとおり、位置測位端末101は、位置測位方法として(1)ステップS302,S307、(2)ステップS303,S304,S305、(3)ステップS308,S309,S310、及び(4)ステップS311の処理のいずれかの組み合わせもしくは全ての処理を並行して実施させてもよい。
【0088】
また、GPS位置測位部209で得られた測位結果である位置情報、もしくは測位に失敗したことを示す情報を、無線通信部201を経由してネットワークに送信し、このようにして送信された情報を第三者が利用するように構成してもよい。
【0089】
また、災害伝言板の管理サーバに送信し、位置測位端末101の位置情報を掲載し、第三者が管理サーバを操作して位置測位端末101の位置情報を確認することを可能としてもよい。この場合、ネットワークがダウンしている場合は、ネットワークが復旧後に、位置測位結果をネットワークに送信してもよい。
【0090】
また、ステップS312では、地図データ保持部207が保持する地図情報は事前に格納していてもよく、地図情報を記憶した外部のサーバから当該位置情報周辺の地図情報をネットワークを介して取得してもよい。後者の場合、GPS位置測位部209で得られた位置情報を外部のサーバに送信して、地図情報を要求し、当該サーバが要求に応答して当該位置情報周辺の地図情報をすることとしてもよい。
【0091】
また、放送波に当該地域の地図情報を含めて放送することにより、放送波から当該地域の地図情報を取得してもよい。
【0092】
また、当該地図情報には非難退避所や近隣のお店などのエリア情報を含め、位置測位端末101において当該エリア情報を表示することにより、現在位置より最も近い非難退避所やお店まで誘導することが可能となる。ここで、エリア情報は地図上のマークでもよく、また文字情報であってもよい。
【0093】
さらに、図9に示すとおり、放送番組のデータ放送内に位置測位の開始を促すための情報と共に、地図情報を含んでいる選局情報やPID情報を入れることにより、地図情報の取得が可能となる。
【0094】
(第2実施形態)
アシストデータには概略位置情報が含まれる。アシストデータが通信基地局から送信される場合、概略位置情報はアシストデータを送信した通信基地局の位置情報である。位置測位端末は、受信した通信基地局の位置情報を当該端末の概略位置情報として利用し、位置測位を行うことができる。
【0095】
アシストデータが放送基地局から送信される場合、概略位置情報は放送基地局の位置情報となる。しかしながら、放送基地局105から放出される放送波の受信範囲は広いため、放送波に含まれる概略位置情報の位置精度が低い。特に、衛星デジタル放送にアシストデータを含める場合、衛星の位置情報は概略位置として利用することができない。
【0096】
本発明の第2実施形態では、広範囲をカバーする放送波にアシストデータを含める場合であっても、より精度の高い概略位置を提供することができる方法について示す。
【0097】
(位置測位端末の構成)
以下、本実施形態に係る位置測位端末101の構成について、図面を参照しながら説明する。
【0098】
図10は、本実施形態に係る位置測位端末101のブロック図を示す。
【0099】
位置測位端末101は、第1実施形態に係る位置測位端末に加え、概略位置認識部211を備える。
【0100】
概略位置認識部211は無線通信部201を介してネットワークより概略位置111を受信する。
【0101】
概略位置111は、基地局の位置情報とすることができる。基地局の位置情報は、位置測位開始の契機となる、他者の携帯端末からの測位要求、第三者の端末からの測位要求、気象庁から配信される緊急速報(エリアメール)に含めて基地局から送信してもよい。
【0102】
また、気象庁から配信される緊急警報には図11に示すとおり、配信先地域が含まれている。そこで、当該配信先地域情報を概略位置情報として利用してもよい。
【0103】
また、本実施形態に係る位置測位端末101は、放送波を受信するためのチャンネルリスト情報を記憶したチャンネルリスト情報記憶部214を備えており、当該チャンネルリストの設定でユーザがいる地域の設定を行うことができる。そこで、当該チャンネルリストで設定されている地域情報を概略位置として利用してもよい。
【0104】
本実施形態の動作は、図7を参照して説明することができる。図7のステップS308にて、放送波受信部108は、放送波にアシストデータが含まれる場合であっても、当該アシストデータに含まれる概略位置を用いず、前述のようにしてネットワークより取得した概略位置111を用いることにより位置測位を開始する。
【0105】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0106】
(位置測位端末の構成)
図12は、第3実施形態に係る位置測位端末101のブロック図である。
【0107】
第3実施形態に係る位置測位端末101は、第1実施形態に係る位置測位端末から無線通信部を除去した構成となっている。
【0108】
これにより、無線通信機能を有さない端末においてもアシストデータを利用したAssisted−GPS測位方式による位置測位を実現することが可能となる。
【0109】
(位置測位端末の動作)
本実施形態の動作は、図7に示すステップS302またはステップS307からステップS303に進まずに、ステップS308に進むことにより実現できる。具体的には、ステップS302でアシストデータ保持部204内に記憶されているアシストデータが利用不可と判断された場合、もしくはステップS307で位置測位に失敗した場合、放送波アシストデータ認識部212は、放送波にアシストデータが含まれているかどうかを判断する(ステップS308)。以降の処理は、第1実施形態と同様である。
【0110】
なお、図8に示す第1実施形態に係る位置測位端末101のシーケンスの位置測位方法として、(1)ステップS302,S307、(3)ステップS308,S309,S310、及び(4)ステップS311の処理のいずれかの組み合わせもしくは全ての処理を並行して実施させてもよい。
【0111】
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0112】
(構成)
図13は、本実施形態に係る位置測位システムの構成を示す図である。
【0113】
同図に示すように、位置測位システムは、第1実施形態に係る位置測位システムの構成に加えて、放送基地局105にGPS信号受信装置112を備える。
【0114】
GPS信号受信装置112は、GPS衛星106からアシストデータ、GPSの同期信号を受信する。
【0115】
放送基地局105は、アシストデータに加え、同期信号及び放送基地局105の位置情報を放送波108に含め送出する。
【0116】
(位置測位端末の構成)
位置測位端末101は、第1実施形態に係る位置測位端末に加え、同期信号及び放送基地局105の位置情報を認識する受信部を備える。
【0117】
GPS位置測位部209は、GPS衛星106からのGPS信号109と、放送基地局109より受信した同期信号及び放送基地局105の位置情報を用いて、ハイブリッド位置測位を実施する。
【0118】
(第5実施形態)
上述の実施形態では、放送波としてデジタル放送のものを例に挙げたが、例えばAM/FMラジオの放送波を受信する場合にも本発明を適用することができる。
【0119】
例えば、放送波受信部をAM/FMラジオ受信部として構成し、位置測位端末の無線通信部によりネットワークからアシストデータを取得できなかった場合に、チューニングを行ってアシストデータを取得すればよい。
【0120】
(第6実施形態)
次に、放送波受信部の代わりに、第2の無線通信部を設ける本発明の第6の実施形態について説明する。
【0121】
なお、本実施形態の構成・動作は上述の実施形態に準ずるものであるため、異なる点について説明し、重複する説明は省略する。
【0122】
図14は、異なるネットワークと通信可能な2つの無線通信部を設けた位置測位端末の例を示すブロック図である。同図に示す位置測位端末101は、図5に示したものとほぼ同じであるが、無線通信部201に代えて移動網通信部1401を備え、放送波受信部205に代えて無線LAN通信部1405を備え、放送波アシストデータ認識部212に代えて無線LANアシストデータ認識部1412を備えた点で異なっている。
【0123】
移動網通信部1401は、移動網とアシストデータ取得要求110、アシストデータ107等のやりとりを行う。
【0124】
無線LAN通信部1405は、無線LANから無線LANデータ1408を受信することができる。
【0125】
例えば、位置測位端末101は、通常の動作において、移動網を通じてアシストデータ107を取得する。次いで、GPS衛星からGPS信号を受信し、取得されたアシストデータを利用して、GPS信号に基づく位置測位を行う。
【0126】
ここで、移動網からアシストデータを取得できない場合、位置測位端末101は、無線LAN通信部1405を起動し、接続可能な無線LANをサーチする。次いで、接続された無線LANを通じてアシストデータを含む無線LANデータ1408を受信する。
【0127】
無線LANアシストデータ認識部1412では、無線LANデータ1408にアシストデータが含まれるかを判断する。無線LANデータ1408にアシストデータが含まれていると判断された場合、制御部206は、無線LAN通信部1405により受信された無線LANデータからアシストデータを取得する。
【0128】
以上述べた形態以外にも種々の変形が可能である。しかしながら、特許請求の範囲に記載された技術思想に基づくものである限り、その変形は本発明の技術範囲内となる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の第1実施形態に係る位置測位システムの構成を示す図である。
【図2】放送波のPSI/SI情報の構成を示す図である。
【図3】PCRパケットの例を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る伝送制御データのタイミングを示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る位置測位端末のブロック図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る位置測位端末の外観図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る位置測位端末の動作を示すフロー図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る位置測位手順のシーケンス図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る位置測位端末の外観図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る位置測位端末のブロック図である。
【図11】本発明の第2実施形態で利用される緊急警報を示す図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る位置測位端末のブロック図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係る位置測位システムの構成を示す図である。
【図14】本発明の第6実施形態に係る位置測位端末のブロック図である。
【符号の説明】
【0130】
101 位置測位端末
102 通信事業者
103 通信基地局
104 放送局
105 放送基地局
106 GPS衛星
107 アシストデータ
108 放送波
109 GPS信号
【技術分野】
【0001】
本発明は位置測位端末、位置測位方法及び位置測位システムに関し、より具体的には、A−GPS(Assisted−GPS)測位方式である移動機側で測位演算を行うUE−Based方式において、GPS測位時に必要となる情報を衛星から直接受信し測位演算を行う、Standalone−GPS測位における位置測位手順、及びこの位置測位手順を実行する位置測位端末に関する。
【背景技術】
【0002】
地球を周回するGPS衛星から擬似雑音符号化して発信されているGPS信号を受信し、GPS信号の地上への到達時間、GPS信号に含まれる時刻情報や航法メッセージを解読して地球上の位置情報を正確に測位するGPS位置検出システムが開発されている。
【0003】
このようなGPS位置測位システムでは、可視空間を周回している少なくとも4つのGPS衛星を捕捉してGPS信号を解読する。しかしながら、周回衛星を単独で捕捉し、捕捉したGPS信号を解読するには相当な時間を要する。そのため、GPS信号を受信したGPS基準局が得た航法メッセージを、予めアシストデータとしてGPS測位アシストサーバに蓄えておくという方法が開発されている。この方法では、GPS測位演算を行おうとする位置測位端末から要求があった際に、アシストデータを当該位置測位端末に送る。位置測位端末は、送信されたアシストデータによって情報を補足してGPS測位演算を行う。
【0004】
このようなA−GPS(Assisted−GPS)測位方式のGPS位置測位システムにおいては、従来、位置測位端末から要求があると、GPS測位アシストサーバに蓄えられた全てのアシストデータを位置測位端末に送信している(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、ビル街や屋内のようにGPSのみでは位置測位が困難な環境において、端末が位置測位の実施を可能とするため、GPSと基地局からの信号の両方を用いて測位を行うハイブリッド型位置測位方式が報告されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
一方、気象業務法の一部を改正する法律(平成19年法律第115号)が成立し、同年11月21日公布、同年12月1日施行となった。当該法律の改正により、気象庁は、発生した断層運動による地震動及び火山現象についての一般の利用に適合する予報及び警報を実施することとなった(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
位置測位端末においても、通信事業者は、例えばNTTドコモ(会社名)ではエリアメールというサービス名にて、携帯端末に緊急速報を配信するサービスが行われている(非特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】特開2002―195846号公報
【特許文献2】特開2005−020216号公報
【非特許文献1】「緊急地震速報について」、[online]、気象庁、インターネット<http://www.seisvol.kishou.go.jp/eq/EEW/kaisetsu/index.html>[平成20年3月31日検索]
【非特許文献2】「緊急速報『エリアメール』」、[online]、株式会社NTTドコモ、インターネット<http://www.nttdocomo.co.jp/service/anshin/areamail/>[平成20年3月31日検索]
【非特許文献3】ARIB STD−B24「デジタル放送におけるデータ放送符号化方式と伝送方式」、社団法人電波産業会、平成11年10月26日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、通信圏外や災害時などによる通信規制によりネットワークからアシストデータが取得できない場合がある。
【0010】
アシストデータが取得できない場合は、GPS測位時に必要となる情報を衛星から直接受信し測位演算を行うStandalone−GPS測位により位置測位を行うことが可能である。
【0011】
しかしながら、アシストデータを利用しないStandalone−GPS測位は、オープンスカイ(上空が開けた場所)であれば測位成功することがあるが、市街地など周りに遮蔽物が存在するような場所においては、測位に時間がかかり、また位置測位に失敗する場合が多いという問題があった。
【0012】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ネットワークからアシストデータを取得できない場合においても位置測位が可能な位置測位端末、位置測位方法及び位置測位システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このような目的を達成するため、本発明の位置測位端末の主な構成は、GPSによる位置測位機能と、放送波受信機能と、放送波に含まれるアシストデータを認識する放送波アシストデータ認識機能を備える。
【0014】
測位開始信号認識部に測位開始要求が入力されると、制御部はアシストデータ保持部に記憶されているアシストデータの利用可否状況、無線通信からのアシストデータの取得可否状況、アシストデータを含む放送の受信有無の状況により、位置測位手順を決定し、位置測位を実施する。
【0015】
本発明の一態様によれば、本発明に係る位置測位端末は、GPS測位演算の支援に用いられるアシストデータを含む放送波を受信する放送波受信部と、前記放送波受信部により受信された放送波から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して、前記GPS信号受信部により受信したGPS信号に基づくGPS測位演算を行うGPS測位部とを備える。
【0016】
ここで、ネットワークを通じて通信を行う無線通信部をさらに備え、前記GPS測位部は、前記無線通信部より前記ネットワークに接続し、前記アシストデータを前記ネットワークより取得し、該取得されたアシストデータを利用して位置測位を行い、前記アシストデータ取得部は、前記ネットワークよりアシストデータを取得できない場合に、前記放送波受信部により受信された放送波からアシストデータを取得するものとすることができる。
【0017】
ここで、前記ネットワークよりアシストデータを取得できず、かつ前記放送波からアシストデータを取得できない場合、前記GPS測位部は前記GPS信号受信部により受信されたGPS信号を使用してstandalone−GPS測位方式により位置測位を実行するものとすることができる。
【0018】
ここで、前記GPS測位部は、前記ネットワークよりアシストデータを取得して行う位置測位、前記放送波受信部により受信された放送波から前記アシストデータを取得して行う位置測位、及び前記standalone−GPS測位方式により行う位置測位の少なくとも2つを並列に処理するものとすることができる。
【0019】
また、前記GPS測位部は、前記無線通信部により緊急速報または位置検索要求を受信した場合に位置測位を行うものとすることができる。
【0020】
また、前記GPS測位部は前記無線通信部から緊急速報または位置検索要求と共にアシストデータを含む放送波の選局情報を受信し、前記放送波受信部は該受信された選局情報を基に放送波を選局し、該選局された放送波からアシストデータを取得するものとすることができる。
【0021】
また、前記無線通信部によりネットワークから受信された情報から概略位置を認識する概略位置認識部をさらに備え、前記放送波アシストデータ認識部は放送波からアシストデータを取得し、前記GPS測位部は、前記放送波に含まれたアシストデータに加え、前記概略位置認識部により取得された概略位置情報を利用して位置測位を行うものとすることができる。
【0022】
ここで、前記概略位置は、予め設定されている放送波のチャンネルリストのエリア情報、ネットワークを介して取得した基地局の位置情報、または緊急警報の配信先エリア情報とすることができる。
【0023】
また、前記放送波受信部により受信された放送波にアシストデータが含まれているか否かを判断する放送波アシストデータ認識部をさらに備え、前記アシストデータ取得部は、前記放送波アシストデータ認識部により前記放送波にアシストデータが含まれていると判断された場合に前記放送波からアシストデータを取得するものとすることができる。
【0024】
前記GPS測位部は、前記放送波受信部により緊急放送信号を受信した場合に位置測位を行うものとすることができる。
【0025】
また、前記放送波受信部は、放送波に含まれたアシストデータと共に放送基地局の位置情報及びGPSの同期信号を受信し、前記GPS測位部は、前記アシストデータ、前記放送基地局の位置情報、前記同期信号及び前記GPS信号によりハイブリッド測位演算を行うものとすることができる。
【0026】
また、前記放送波は地図データを含み、前記放送波から地図データを取得する地図データ取得部と、前記GPS測位部により行われた位置測位の結果を、前記地図データ取得部により取得された地図データにマッピングして表示する表示部とをさらに備えたものとすることができる。
【0027】
本発明の別の態様によれば、本発明に係る位置測位端末における位置測位方法は、位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む放送波を受信するステップと、前記受信するステップにおいて受信された放送波から前記アシストデータを取得するステップと、GPS衛星からGPS信号を受信するステップと、前記アシストデータ取得ステップにおいて取得されたアシストデータを利用して、前記GPS衛星から受信したGPS信号に基づく位置測位を行うステップとを備える。
【0028】
本発明の別の態様によれば、本発明に係る位置測位システムは、位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む放送波を送信する放送基地局と、GPS信号を送信するGPS衛星と、位置測位端末とを含む位置測位システムにおいて、前記位置測位端末は、前記放送基地局から受信された放送波から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、前記GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して前記GPS衛星から送信されたGPS信号による位置測位を行うGPS測位部とを備える。
【0029】
本発明の別の態様によれば、本発明に係る位置測位端末は、第1のネットワークを通じて位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む情報を受信する第1の無線通信部と、前記第1の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して、前記GPS信号受信部により受信したGPS信号に基づく位置測位を行うGPS測位部と、第2のネットワークを通じて前記アシストデータを含む情報を受信する第2の無線通信部とを備え、前記アシストデータ取得部は、前記第1のネットワークからアシストデータを取得できない場合に、前記第2の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得する。
【0030】
本発明の別の態様によれば、本発明に係る位置測位端末における位置測位方法は、第1のネットワークを通じて位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む情報を受信する第1の無線通信ステップと、前記第1の無線通信ステップにおいて受信された情報から前記アシストデータを取得する第1のアシストデータ取得ステップと、GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信ステップと、前記アシストデータ取得ステップにおいて取得されたアシストデータを利用して、前記GPS衛星から受信したGPS信号に基づく位置測位を行うGPS測位ステップと、前記第1のネットワークからアシストデータを取得できない場合に、第2のネットワークを通じて前記アシストデータを含む情報を受信する第2の無線通信ステップと、前記第2の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得する第2のアシストデータ取得ステップとを備える。
【0031】
本発明の別の態様によれば、本発明に係る位置測位システムは、第1のネットワークと、第2のネットワークと、GPS信号を送信するGPS衛星と、位置測位端末とを含む位置測位システムにおいて、前記位置測位端末は、前記第1のネットワークを通じて位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む情報を受信する第1の無線通信部と、前記第1の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、前記GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して、前記GPS信号受信部により受信したGPS信号に基づく位置測位を行うGPS測位部と、前記第2のネットワークを通じて前記アシストデータを含む情報を受信する第2の無線通信部とを備え、前記アシストデータ取得部は、前記第1のネットワークからアシストデータを取得できない場合に、前記第2の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、放送波を受信可能な機能を備えることで、アシストデータを含む放送波に選局しアシストデータを取得する。したがって、通信圏外や災害時などによる通信規制によりネットワークからアシストデータが取得できない場合においても、位置測位が可能となる。
【0033】
また、同一地域の携帯端末がいっせいに位置測位を開始した場合、アシストデータの取得による通信路のトラフィックの増大、GPS測位アシストデータサーバへの負荷を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照し、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一または類似の部分には、同一または類似の符号を付している。
【0035】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においてもお互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0036】
(第1実施形態)
(構成)
以下、本発明の第1実施形態に係る位置測位システムの構成について、図面を参照しながら説明する。
【0037】
図1は、第1実施形態に係る位置測位システムの構成を示す図である。図1に示すように、位置測位システムは、位置測位端末101と、通信事業者102と、通信基地局103と、放送局104と、放送基地局105と、GPS衛星106より構成される。
【0038】
位置測位端末101は、GPSによる位置測位を行う。また、位置測位端末101は、放送基地局105から放送される放送波108を受信する機能、及び通信基地局103を通じて通信事業者102と無線通信を行う機能を有する。
【0039】
放送局104は、放送基地局105に信号を送信するように構成される。放送基地局105は、放送局104から受信した信号を放送波108として送信する。
【0040】
放送基地局105は、放送波108にアシストデータを含めて放送することができる。アシストデータを含む放送波は、例えば図2に示す構成とすることができる。
【0041】
通信事業者102は、アシストデータを記憶するアシストデータ記憶装置(不図示)を備える。位置測位端末101からアシストデータの要求があった場合、通信事業者102は、無線通信網を利用し、アシストデータ107を位置測位端末101に提供することが可能である。なお、アシストデータは通信事業者102が保持する必要は無く、インターネットを経由し外部の記憶装置から取得することとしてもよい。
【0042】
GPS衛星106はGPS信号109を送出するように構成されている。これにより、位置測位端末101は当該GPS信号を利用して位置測位を実施することが可能である。
【0043】
次に、放送波に含まれるアシストデータについて説明する。
【0044】
放送波は、MPEC−2システム規格においてパケット化された符号化画像・音声(エレメンタルストリーム:ES)を多重化・伝送する方式として、トランスポートストリーム(TS)を採用することができる。TSでは、プログラムや各エレメンタルストリームを示す情報としてPSI/SI情報を含んでいる。
【0045】
本実施形態において、受信機は分割されたTSパケットを受信し結合する。結合の結果、TSパケットは、映像、音、各種情報等のデータに戻される。ここで各種情報とは図2に示すNIT(NetworkInformation Table)、PAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)等のPSI/SI情報である。
【0046】
受信機は、これらのPSI/SI情報から、再生すべき映像や音、そしてアシストデータを特定し、再生する。
【0047】
図2は、放送波に含まれるPSI/SI情報の一例を示す。
【0048】
PSI/SI情報は、A階層とB階層とを含んでいる。
【0049】
A階層は、NIT、PAT、PMTを含んでいる。NITは、周波数などの伝送路情報と放送サービスを関連づける情報を伝送するもので、1つの分配システムに含まれる全てのサービスID(service_id)が記載されている。
【0050】
PATは、特定のTSに含まれるプログラム一覧を格納する。PMTは、プログラムに含まれる画像や音声等のPIDを格納する。
【0051】
図2に示す例では、B階層のPMTにアシストデータのID(ES_ID)が及びPIDが定義されている。アシストデータはDSM−CCデータカルーセルによる伝送を利用してもよい。
【0052】
なお、アシストデータは、PCRの空き領域を利用して送信することとしてもよい。
【0053】
図3は、アシストデータを挿入するPCRパケットの例を示す。同図に示すように、放送波は複数のTSパケットから構成される。各TSパケットは、4バイトのヘッダと可変長のアダプテーション・フィールド及びペイロードから構成されている。
【0054】
パケットヘッダにはPIDや各種フラグが定義されている。
【0055】
アダプテーション・フィールドには、映像・音声などを同期再生するために必要な基準時間情報(PCR)とTSパケットを188バイト固定長にするためのダミー・データ(スタッフィング・データ)が入っている。本スタッフィング・データにアシストデータを盛り込み、伝送してもよい。
【0056】
図4は、本実施形態に係る伝送制御データのタイミングを示す。本実施形態では、図4に示すとおり、放送波に含まれる伝送制御データであるTMCC(Transmission and Multiplexing Configuration and Control)情報に「アシストデータ送出フラグ」、及びPMTに「アシストデータ有無記述子」を設定する。そして、「アシストデータ送出フラグ」及び「アシストデータ有無記述子」の値を参照することにより、アシストデータが含まれる放送であるか否かを判定することが可能となる。
【0057】
このような伝送制御の詳細は、例えば非特許文献3に記載されている。
【0058】
(位置測位端末の構成)
以下、本実施形態に係る位置測位端末の構成について、図面を参照しながら説明する。
【0059】
図5、図6は、本実施形態に係る位置測位端末101のブロック図及び外観図である。
【0060】
図5に示すように、位置測位端末101は、無線通信部201と、測位開始入力部202と、測位開始信号認識部203と、アシストデータ保持部204と、放送波受信部205と、放送波アシストデータ認識部212と、制御部206と、GPS信号受信部208と、GPS位置測位部209と、表示部210と、地図データ保持部207を有する。
【0061】
無線通信部201は、無線通信により外部からアシストデータの情報を取得することが可能である。
【0062】
測位開始入力部202は、具体的には図6に示す位置測位開始ボタン211として構成することができる。ユーザが当該位置測位開始ボタンを押下することにより、位置測位開始信号が測位開始信号認識部203に送られ、位置測位端末101は位置測位を開始する。
【0063】
アシストデータ保持部204は、無線通信により外部から取得したアシストデータ107、もしくは放送波108に含まれるアシストデータを保持し、位置測位を開始する際に利用される。
【0064】
放送波受信部205は、放送波108を受信する。放送波アシストデータ認識部212で放送波108にアシストデータが含まれるかを判断する。放送波108にアシストデータが含まれていると判断された場合、制御部206は放送波108から取得されたアシストデータをアシストデータ保持部204に格納する。
【0065】
GPS信号受信部208は、GPS衛星106から送信されるGPS信号109を受信する。
【0066】
GPS位置測位部209は、位置測位開始信号を受信した制御部206からの指示により起動し、GPS信号受信部208で取得したGPS情報、または当該GPS情報と制御部206から取得したアシストデータに基づいて位置測位を行う。
【0067】
表示部210は、GPS位置測位部209で得られた位置測位結果と、地図データ保持部207に記憶されている地図情報を利用し、図6に示すように、現在位置が示された地図を表示させる。
【0068】
制御部206は、測位開始信号認識部203において測位開始信号が入力されたと判断したことを契機として動作を開始する。アシストデータ保持部204に記憶されているアシストデータの利用可否、無線通信からのアシストデータの取得可否、放送波108のアシストデータの有無の状況に応じて位置測位手順を判断し、位置測位手順を決定する。その後、GPS位置測位部209に、位置測位開始を指示する。アシストデータ保持部204に記憶されているアシストデータが利用可能である場合は、当該アシストデータをGPS位置測位部209に提供する。
【0069】
(位置測位端末の動作)
以下、本実施形態に係る位置測位端末101の動作について、図面を参照しながら説明する。
【0070】
図7は、第1実施形態に係る位置測位端末101の動作を示すフロー図である。
【0071】
ユーザが測位開始入力部202を操作することにより、測位開始信号認識部203に位置測位開始信号が入力される。測位開始信号認識部203は位置測位を始める(ステップS301)。
【0072】
ここで、位置測位開始信号の入力は以下に示す方法でもよい。
(1)位置測位端末101は、位置測位開始を指示するアプリケーションプログラムを実行することとしてもよい。この場合、アプリケーションプログラムが保持する設定値に従った条件に応じて、位置測位開始信号を測位開始信号認識部203に送信するような仕組みとしてもよい。例えば、設定値として時間間隔の値を保持し、一定時間ごとに位置測位開始信号を送信してもよい。
(2)また、外部からの無線通信により位置測位を開始してもよい。この場合、第三者端末からの検索による位置測位要求、あるいは気象庁から配信される緊急速報(エリアメール)の受信を契機として位置測位を開始してもよい。
(3)また、放送波の中に緊急放送信号が含まれている場合、その放送波の受信を契機として位置測位を開始してもよい。
(4)さらに、放送波の中に位置測位信号を設け、当該位置測位信号の受信を契機として位置測位を開始してもよい。
【0073】
また、図9に示すとおり、放送番組のデータ放送内に位置測位開始を促すための情報を入れ込み、当該情報をユーザが選択した場合、位置測位を開始してもよい。同図に示す例では、表示部210は放送波に含まれた映像を表示する映像表示部802と、放送波に含まれた文字等の情報を表示するデータ放送表示部804を含む。データ放送表示部804は、位置測位端末101に設けられた所定のボタンを押下することにより選択可能な文字列(「避難所へ行きますか?」)を表示することにより、位置測位開始を促すことができる。
【0074】
測位開始信号認識部203により、位置測位開始信号を受けた場合、制御部206はアシストデータ保持部204にアクセスし、アシストデータ保持部204内に記憶されているアシストデータが利用可能かどうかを判定する(ステップS302)。
【0075】
利用可能と判断された場合、制御部206はアシストデータ保持部204内に記憶されているアシストデータを取得し、GPS位置測位部209に送信する。GPS位置測位部209は、受信したアシストデータを利用してAssisted−GPS方式により位置測位を行う(ステップS307)。
【0076】
ステップS307で、測位成功した場合、地図データ保持部207に記憶されている地図データを取得し、測位結果をマッピングすることにより、図6に示すとおり現在位置の地図を表示部210に表示する(ステップS312)。
【0077】
ステップS302でアシストデータ保持部204内に記憶されているアシストデータが利用不可と判断された場合、もしくはステップS307で位置測位演算に失敗した場合、無線通信部201はネットワークにアクセスし、アシストデータの要求を行う(ステップS303)。
【0078】
ネットワークよりアシストデータを取得した場合は、前述のとおり、GPS位置測位部209にてAssisted−GPS測位方式により位置測位を開始する(ステップS305)。位置測位に成功した場合は、現在位置の地図を表示部210に表示する(ステップS312)。
【0079】
ステップS305で、測位に失敗した場合は、その旨を表示部210に表示する(ステップS306)。
【0080】
ステップS304において、位置測位端末101が通信圏外、通信規制によりネットワークにアクセスできない、通信トラフィックが増大しネットワークに長時間アクセスできない、またはアシストデータサーバダウンなどの理由により、ネットワークからアシストデータが取得できない場合は放送波受信部205を起動する。
【0081】
放送波受信部205は放送波を受信する。放送波アシストデータ認識部212は、放送波にアシストデータが含まれているかどうかを判断する(ステップS308)。放送波アシストデータ認識部212により、放送波にアシストデータが含まれていると判断された場合はアシストデータを取得する(ステップS309)。
【0082】
アシストデータが含まれる放送波の選局方法は、位置測位端末101において受信した選局情報を利用して選局を行うこととしてもよい。この場合、例えば第三者検索による外部からの位置測位要求、または気象庁から配信される緊急速報に基づくメール(非特許文献2参照)に、アシストデータが含まれる放送波の選局情報を含めて位置測位端末101に送信することとしてもよい。
【0083】
また、図9に示す例において、放送番組のデータ放送表示部内に位置測位開始を促すための情報と共に、アシストデータを含んでいる放送波の選局情報やPID情報を入れることにより、アシストデータを取得することが可能である。この場合、ユーザが当該選局情報等を選択することにより、位置測位端末101は対応する放送局を選局することができる。
【0084】
放送波よりアシストデータを取得した場合は、前述のとおり、GPS位置測位部209にてAssisted−GPS測位方式により位置測位を開始する(ステップS310)。位置測位に成功した場合は、現在位置の地図を表示部210に表示する(ステップS312)。
【0085】
ステップS308にて放送波アシストデータ認識部212が放送波にアシストデータが含まれていないと判断した場合は、standalone−GPS測位方式により位置測位を行う(ステップS311)。測位成功した場合は現在位置の地図を表示部210に表示する(ステップS312)。測位に失敗した場合は、測位失敗の旨を表示部306に表示する(ステップS306)。
【0086】
図8は、位置測位手順のシーケンス図を示す。
【0087】
同図に示すとおり、位置測位端末101は、位置測位方法として(1)ステップS302,S307、(2)ステップS303,S304,S305、(3)ステップS308,S309,S310、及び(4)ステップS311の処理のいずれかの組み合わせもしくは全ての処理を並行して実施させてもよい。
【0088】
また、GPS位置測位部209で得られた測位結果である位置情報、もしくは測位に失敗したことを示す情報を、無線通信部201を経由してネットワークに送信し、このようにして送信された情報を第三者が利用するように構成してもよい。
【0089】
また、災害伝言板の管理サーバに送信し、位置測位端末101の位置情報を掲載し、第三者が管理サーバを操作して位置測位端末101の位置情報を確認することを可能としてもよい。この場合、ネットワークがダウンしている場合は、ネットワークが復旧後に、位置測位結果をネットワークに送信してもよい。
【0090】
また、ステップS312では、地図データ保持部207が保持する地図情報は事前に格納していてもよく、地図情報を記憶した外部のサーバから当該位置情報周辺の地図情報をネットワークを介して取得してもよい。後者の場合、GPS位置測位部209で得られた位置情報を外部のサーバに送信して、地図情報を要求し、当該サーバが要求に応答して当該位置情報周辺の地図情報をすることとしてもよい。
【0091】
また、放送波に当該地域の地図情報を含めて放送することにより、放送波から当該地域の地図情報を取得してもよい。
【0092】
また、当該地図情報には非難退避所や近隣のお店などのエリア情報を含め、位置測位端末101において当該エリア情報を表示することにより、現在位置より最も近い非難退避所やお店まで誘導することが可能となる。ここで、エリア情報は地図上のマークでもよく、また文字情報であってもよい。
【0093】
さらに、図9に示すとおり、放送番組のデータ放送内に位置測位の開始を促すための情報と共に、地図情報を含んでいる選局情報やPID情報を入れることにより、地図情報の取得が可能となる。
【0094】
(第2実施形態)
アシストデータには概略位置情報が含まれる。アシストデータが通信基地局から送信される場合、概略位置情報はアシストデータを送信した通信基地局の位置情報である。位置測位端末は、受信した通信基地局の位置情報を当該端末の概略位置情報として利用し、位置測位を行うことができる。
【0095】
アシストデータが放送基地局から送信される場合、概略位置情報は放送基地局の位置情報となる。しかしながら、放送基地局105から放出される放送波の受信範囲は広いため、放送波に含まれる概略位置情報の位置精度が低い。特に、衛星デジタル放送にアシストデータを含める場合、衛星の位置情報は概略位置として利用することができない。
【0096】
本発明の第2実施形態では、広範囲をカバーする放送波にアシストデータを含める場合であっても、より精度の高い概略位置を提供することができる方法について示す。
【0097】
(位置測位端末の構成)
以下、本実施形態に係る位置測位端末101の構成について、図面を参照しながら説明する。
【0098】
図10は、本実施形態に係る位置測位端末101のブロック図を示す。
【0099】
位置測位端末101は、第1実施形態に係る位置測位端末に加え、概略位置認識部211を備える。
【0100】
概略位置認識部211は無線通信部201を介してネットワークより概略位置111を受信する。
【0101】
概略位置111は、基地局の位置情報とすることができる。基地局の位置情報は、位置測位開始の契機となる、他者の携帯端末からの測位要求、第三者の端末からの測位要求、気象庁から配信される緊急速報(エリアメール)に含めて基地局から送信してもよい。
【0102】
また、気象庁から配信される緊急警報には図11に示すとおり、配信先地域が含まれている。そこで、当該配信先地域情報を概略位置情報として利用してもよい。
【0103】
また、本実施形態に係る位置測位端末101は、放送波を受信するためのチャンネルリスト情報を記憶したチャンネルリスト情報記憶部214を備えており、当該チャンネルリストの設定でユーザがいる地域の設定を行うことができる。そこで、当該チャンネルリストで設定されている地域情報を概略位置として利用してもよい。
【0104】
本実施形態の動作は、図7を参照して説明することができる。図7のステップS308にて、放送波受信部108は、放送波にアシストデータが含まれる場合であっても、当該アシストデータに含まれる概略位置を用いず、前述のようにしてネットワークより取得した概略位置111を用いることにより位置測位を開始する。
【0105】
(第3実施形態)
以下、本発明の第3実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0106】
(位置測位端末の構成)
図12は、第3実施形態に係る位置測位端末101のブロック図である。
【0107】
第3実施形態に係る位置測位端末101は、第1実施形態に係る位置測位端末から無線通信部を除去した構成となっている。
【0108】
これにより、無線通信機能を有さない端末においてもアシストデータを利用したAssisted−GPS測位方式による位置測位を実現することが可能となる。
【0109】
(位置測位端末の動作)
本実施形態の動作は、図7に示すステップS302またはステップS307からステップS303に進まずに、ステップS308に進むことにより実現できる。具体的には、ステップS302でアシストデータ保持部204内に記憶されているアシストデータが利用不可と判断された場合、もしくはステップS307で位置測位に失敗した場合、放送波アシストデータ認識部212は、放送波にアシストデータが含まれているかどうかを判断する(ステップS308)。以降の処理は、第1実施形態と同様である。
【0110】
なお、図8に示す第1実施形態に係る位置測位端末101のシーケンスの位置測位方法として、(1)ステップS302,S307、(3)ステップS308,S309,S310、及び(4)ステップS311の処理のいずれかの組み合わせもしくは全ての処理を並行して実施させてもよい。
【0111】
(第4実施形態)
以下、本発明の第4実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0112】
(構成)
図13は、本実施形態に係る位置測位システムの構成を示す図である。
【0113】
同図に示すように、位置測位システムは、第1実施形態に係る位置測位システムの構成に加えて、放送基地局105にGPS信号受信装置112を備える。
【0114】
GPS信号受信装置112は、GPS衛星106からアシストデータ、GPSの同期信号を受信する。
【0115】
放送基地局105は、アシストデータに加え、同期信号及び放送基地局105の位置情報を放送波108に含め送出する。
【0116】
(位置測位端末の構成)
位置測位端末101は、第1実施形態に係る位置測位端末に加え、同期信号及び放送基地局105の位置情報を認識する受信部を備える。
【0117】
GPS位置測位部209は、GPS衛星106からのGPS信号109と、放送基地局109より受信した同期信号及び放送基地局105の位置情報を用いて、ハイブリッド位置測位を実施する。
【0118】
(第5実施形態)
上述の実施形態では、放送波としてデジタル放送のものを例に挙げたが、例えばAM/FMラジオの放送波を受信する場合にも本発明を適用することができる。
【0119】
例えば、放送波受信部をAM/FMラジオ受信部として構成し、位置測位端末の無線通信部によりネットワークからアシストデータを取得できなかった場合に、チューニングを行ってアシストデータを取得すればよい。
【0120】
(第6実施形態)
次に、放送波受信部の代わりに、第2の無線通信部を設ける本発明の第6の実施形態について説明する。
【0121】
なお、本実施形態の構成・動作は上述の実施形態に準ずるものであるため、異なる点について説明し、重複する説明は省略する。
【0122】
図14は、異なるネットワークと通信可能な2つの無線通信部を設けた位置測位端末の例を示すブロック図である。同図に示す位置測位端末101は、図5に示したものとほぼ同じであるが、無線通信部201に代えて移動網通信部1401を備え、放送波受信部205に代えて無線LAN通信部1405を備え、放送波アシストデータ認識部212に代えて無線LANアシストデータ認識部1412を備えた点で異なっている。
【0123】
移動網通信部1401は、移動網とアシストデータ取得要求110、アシストデータ107等のやりとりを行う。
【0124】
無線LAN通信部1405は、無線LANから無線LANデータ1408を受信することができる。
【0125】
例えば、位置測位端末101は、通常の動作において、移動網を通じてアシストデータ107を取得する。次いで、GPS衛星からGPS信号を受信し、取得されたアシストデータを利用して、GPS信号に基づく位置測位を行う。
【0126】
ここで、移動網からアシストデータを取得できない場合、位置測位端末101は、無線LAN通信部1405を起動し、接続可能な無線LANをサーチする。次いで、接続された無線LANを通じてアシストデータを含む無線LANデータ1408を受信する。
【0127】
無線LANアシストデータ認識部1412では、無線LANデータ1408にアシストデータが含まれるかを判断する。無線LANデータ1408にアシストデータが含まれていると判断された場合、制御部206は、無線LAN通信部1405により受信された無線LANデータからアシストデータを取得する。
【0128】
以上述べた形態以外にも種々の変形が可能である。しかしながら、特許請求の範囲に記載された技術思想に基づくものである限り、その変形は本発明の技術範囲内となる。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】本発明の第1実施形態に係る位置測位システムの構成を示す図である。
【図2】放送波のPSI/SI情報の構成を示す図である。
【図3】PCRパケットの例を示す図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る伝送制御データのタイミングを示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係る位置測位端末のブロック図である。
【図6】本発明の第1実施形態に係る位置測位端末の外観図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係る位置測位端末の動作を示すフロー図である。
【図8】本発明の第1実施形態に係る位置測位手順のシーケンス図である。
【図9】本発明の第1実施形態に係る位置測位端末の外観図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る位置測位端末のブロック図である。
【図11】本発明の第2実施形態で利用される緊急警報を示す図である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る位置測位端末のブロック図である。
【図13】本発明の第4実施形態に係る位置測位システムの構成を示す図である。
【図14】本発明の第6実施形態に係る位置測位端末のブロック図である。
【符号の説明】
【0130】
101 位置測位端末
102 通信事業者
103 通信基地局
104 放送局
105 放送基地局
106 GPS衛星
107 アシストデータ
108 放送波
109 GPS信号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む放送波を受信する放送波受信部と、
前記放送波受信部により受信された放送波から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、
GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、
前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して、前記GPS信号受信部により受信したGPS信号に基づく位置測位を行うGPS測位部とを備えたことを特徴とする位置測位端末。
【請求項2】
ネットワークを通じて通信を行う無線通信部をさらに備え、
前記GPS測位部は、前記無線通信部より前記ネットワークに接続し、前記アシストデータを前記ネットワークより取得し、該取得されたアシストデータを利用して位置測位を行い、
前記アシストデータ取得部は、前記ネットワークよりアシストデータを取得できない場合に、前記放送波受信部により受信された放送波からアシストデータを取得することを特徴とする請求項1に記載の位置測位端末。
【請求項3】
前記ネットワークよりアシストデータを取得できず、かつ前記放送波からアシストデータを取得できない場合、前記GPS測位部は前記GPS信号受信部により受信されたGPS信号を使用してstandalone−GPS測位方式により位置測位を実行することを特徴とする請求項2に記載の位置測位端末。
【請求項4】
前記GPS測位部は、前記ネットワークよりアシストデータを取得して行う位置測位、前記放送波受信部により受信された放送波から前記アシストデータを取得して行う位置測位、及び前記standalone−GPS測位方式により行う位置測位の少なくとも2つを並列に処理することを特徴とした請求項3に記載の位置測位端末。
【請求項5】
前記GPS測位部は、前記無線通信部により緊急速報または位置検索要求を受信した場合に位置測位を行うことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の位置測位端末。
【請求項6】
前記GPS測位部は前記無線通信部から緊急速報または位置検索要求と共にアシストデータを含む放送波の選局情報を受信し、前記放送波受信部は該受信された選局情報を基に放送波を選局し、該選局された放送波からアシストデータを取得することを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の位置測位端末。
【請求項7】
前記無線通信部によりネットワークから受信された情報から概略位置を認識する概略位置認識部をさらに備え、
前記放送波アシストデータ認識部は放送波からアシストデータを取得し、
前記GPS測位部は、前記放送波に含まれたアシストデータに加え、前記概略位置認識部により取得された概略位置情報を利用して位置測位を行うことを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の位置測位端末。
【請求項8】
前記概略位置は、予め設定されている放送波のチャンネルリストのエリア情報、ネットワークを介して取得した基地局の位置情報、または緊急警報の配信先エリア情報であることを特徴とする請求項7に記載の位置測位端末。
【請求項9】
前記放送波受信部により受信された放送波にアシストデータが含まれているか否かを判断する放送波アシストデータ認識部をさらに備え、
前記アシストデータ取得部は、前記放送波アシストデータ認識部により前記放送波にアシストデータが含まれていると判断された場合に前記放送波からアシストデータを取得することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の位置測位端末。
【請求項10】
前記GPS測位部は、前記放送波受信部により緊急放送信号を受信した場合に位置測位を行うことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の位置測位端末。
【請求項11】
前記放送波受信部は、放送波に含まれたアシストデータと共に放送基地局の位置情報及びGPSの同期信号を受信し、前記GPS測位部は、前記アシストデータ、前記放送基地局の位置情報、前記同期信号及び前記GPS信号によりハイブリッド測位演算を行うことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の位置測位端末。
【請求項12】
前記放送波は地図データを含み、
前記放送波から地図データを取得する地図データ取得部と、
前記GPS測位部により行われた位置測位の結果を、前記地図データ取得部により取得された地図データにマッピングして表示する表示部と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の位置測位端末。
【請求項13】
位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む放送波を受信するステップと、
前記受信するステップにおいて受信された放送波から前記アシストデータを取得するステップと、
GPS衛星からGPS信号を受信するステップと、
前記アシストデータ取得ステップにおいて取得されたアシストデータを利用して、前記GPS衛星から受信したGPS信号に基づく位置測位を行うステップとを備えたことを特徴とする位置測位端末における位置測位方法。
【請求項14】
位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む放送波を送信する放送基地局と、GPS信号を送信するGPS衛星と、位置測位端末とを含む位置測位システムにおいて、前記位置測位端末は、
前記放送基地局から受信された放送波から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、
前記GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、
前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して前記GPS衛星から送信されたGPS信号による位置測位を行うGPS測位部とを備えたことを特徴とする位置測位システム。
【請求項15】
第1のネットワークを通じて位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む情報を受信する第1の無線通信部と、
前記第1の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、
GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、
前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して、前記GPS信号受信部により受信したGPS信号に基づく位置測位を行うGPS測位部と、
第2のネットワークを通じて前記アシストデータを含む情報を受信する第2の無線通信部とを備え、
前記アシストデータ取得部は、前記第1のネットワークからアシストデータを取得できない場合に、前記第2の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得することを特徴とする位置測位端末。
【請求項16】
第1のネットワークを通じて位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む情報を受信する第1の無線通信ステップと、
前記第1の無線通信ステップにおいて受信された情報から前記アシストデータを取得する第1のアシストデータ取得ステップと、
GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信ステップと、
前記アシストデータ取得ステップにおいて取得されたアシストデータを利用して、前記GPS衛星から受信したGPS信号に基づく位置測位を行うGPS測位ステップと、
前記第1のネットワークからアシストデータを取得できない場合に、第2のネットワークを通じて前記アシストデータを含む情報を受信する第2の無線通信ステップと、
前記第2の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得する第2のアシストデータ取得ステップとを備えることを特徴とする位置測位端末における位置測位方法。
【請求項17】
第1のネットワークと、第2のネットワークと、GPS信号を送信するGPS衛星と、位置測位端末とを含む位置測位システムにおいて、前記位置測位端末は、
前記第1のネットワークを通じて位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む情報を受信する第1の無線通信部と、
前記第1の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、
前記GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、
前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して、前記GPS信号受信部により受信したGPS信号に基づく位置測位を行うGPS測位部と、
前記第2のネットワークを通じて前記アシストデータを含む情報を受信する第2の無線通信部とを備え、
前記アシストデータ取得部は、前記第1のネットワークからアシストデータを取得できない場合に、前記第2の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得することを特徴とする位置測位システム。
【請求項1】
位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む放送波を受信する放送波受信部と、
前記放送波受信部により受信された放送波から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、
GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、
前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して、前記GPS信号受信部により受信したGPS信号に基づく位置測位を行うGPS測位部とを備えたことを特徴とする位置測位端末。
【請求項2】
ネットワークを通じて通信を行う無線通信部をさらに備え、
前記GPS測位部は、前記無線通信部より前記ネットワークに接続し、前記アシストデータを前記ネットワークより取得し、該取得されたアシストデータを利用して位置測位を行い、
前記アシストデータ取得部は、前記ネットワークよりアシストデータを取得できない場合に、前記放送波受信部により受信された放送波からアシストデータを取得することを特徴とする請求項1に記載の位置測位端末。
【請求項3】
前記ネットワークよりアシストデータを取得できず、かつ前記放送波からアシストデータを取得できない場合、前記GPS測位部は前記GPS信号受信部により受信されたGPS信号を使用してstandalone−GPS測位方式により位置測位を実行することを特徴とする請求項2に記載の位置測位端末。
【請求項4】
前記GPS測位部は、前記ネットワークよりアシストデータを取得して行う位置測位、前記放送波受信部により受信された放送波から前記アシストデータを取得して行う位置測位、及び前記standalone−GPS測位方式により行う位置測位の少なくとも2つを並列に処理することを特徴とした請求項3に記載の位置測位端末。
【請求項5】
前記GPS測位部は、前記無線通信部により緊急速報または位置検索要求を受信した場合に位置測位を行うことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の位置測位端末。
【請求項6】
前記GPS測位部は前記無線通信部から緊急速報または位置検索要求と共にアシストデータを含む放送波の選局情報を受信し、前記放送波受信部は該受信された選局情報を基に放送波を選局し、該選局された放送波からアシストデータを取得することを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の位置測位端末。
【請求項7】
前記無線通信部によりネットワークから受信された情報から概略位置を認識する概略位置認識部をさらに備え、
前記放送波アシストデータ認識部は放送波からアシストデータを取得し、
前記GPS測位部は、前記放送波に含まれたアシストデータに加え、前記概略位置認識部により取得された概略位置情報を利用して位置測位を行うことを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の位置測位端末。
【請求項8】
前記概略位置は、予め設定されている放送波のチャンネルリストのエリア情報、ネットワークを介して取得した基地局の位置情報、または緊急警報の配信先エリア情報であることを特徴とする請求項7に記載の位置測位端末。
【請求項9】
前記放送波受信部により受信された放送波にアシストデータが含まれているか否かを判断する放送波アシストデータ認識部をさらに備え、
前記アシストデータ取得部は、前記放送波アシストデータ認識部により前記放送波にアシストデータが含まれていると判断された場合に前記放送波からアシストデータを取得することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の位置測位端末。
【請求項10】
前記GPS測位部は、前記放送波受信部により緊急放送信号を受信した場合に位置測位を行うことを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の位置測位端末。
【請求項11】
前記放送波受信部は、放送波に含まれたアシストデータと共に放送基地局の位置情報及びGPSの同期信号を受信し、前記GPS測位部は、前記アシストデータ、前記放送基地局の位置情報、前記同期信号及び前記GPS信号によりハイブリッド測位演算を行うことを特徴とする請求項1ないし10のいずれかに記載の位置測位端末。
【請求項12】
前記放送波は地図データを含み、
前記放送波から地図データを取得する地図データ取得部と、
前記GPS測位部により行われた位置測位の結果を、前記地図データ取得部により取得された地図データにマッピングして表示する表示部と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1ないし11のいずれかに記載の位置測位端末。
【請求項13】
位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む放送波を受信するステップと、
前記受信するステップにおいて受信された放送波から前記アシストデータを取得するステップと、
GPS衛星からGPS信号を受信するステップと、
前記アシストデータ取得ステップにおいて取得されたアシストデータを利用して、前記GPS衛星から受信したGPS信号に基づく位置測位を行うステップとを備えたことを特徴とする位置測位端末における位置測位方法。
【請求項14】
位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む放送波を送信する放送基地局と、GPS信号を送信するGPS衛星と、位置測位端末とを含む位置測位システムにおいて、前記位置測位端末は、
前記放送基地局から受信された放送波から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、
前記GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、
前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して前記GPS衛星から送信されたGPS信号による位置測位を行うGPS測位部とを備えたことを特徴とする位置測位システム。
【請求項15】
第1のネットワークを通じて位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む情報を受信する第1の無線通信部と、
前記第1の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、
GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、
前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して、前記GPS信号受信部により受信したGPS信号に基づく位置測位を行うGPS測位部と、
第2のネットワークを通じて前記アシストデータを含む情報を受信する第2の無線通信部とを備え、
前記アシストデータ取得部は、前記第1のネットワークからアシストデータを取得できない場合に、前記第2の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得することを特徴とする位置測位端末。
【請求項16】
第1のネットワークを通じて位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む情報を受信する第1の無線通信ステップと、
前記第1の無線通信ステップにおいて受信された情報から前記アシストデータを取得する第1のアシストデータ取得ステップと、
GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信ステップと、
前記アシストデータ取得ステップにおいて取得されたアシストデータを利用して、前記GPS衛星から受信したGPS信号に基づく位置測位を行うGPS測位ステップと、
前記第1のネットワークからアシストデータを取得できない場合に、第2のネットワークを通じて前記アシストデータを含む情報を受信する第2の無線通信ステップと、
前記第2の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得する第2のアシストデータ取得ステップとを備えることを特徴とする位置測位端末における位置測位方法。
【請求項17】
第1のネットワークと、第2のネットワークと、GPS信号を送信するGPS衛星と、位置測位端末とを含む位置測位システムにおいて、前記位置測位端末は、
前記第1のネットワークを通じて位置測位の支援に用いられるアシストデータを含む情報を受信する第1の無線通信部と、
前記第1の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得するアシストデータ取得部と、
前記GPS衛星からGPS信号を受信するGPS信号受信部と、
前記アシストデータ取得部により取得されたアシストデータを利用して、前記GPS信号受信部により受信したGPS信号に基づく位置測位を行うGPS測位部と、
前記第2のネットワークを通じて前記アシストデータを含む情報を受信する第2の無線通信部とを備え、
前記アシストデータ取得部は、前記第1のネットワークからアシストデータを取得できない場合に、前記第2の無線通信部により受信された情報から前記アシストデータを取得することを特徴とする位置測位システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−270884(P2009−270884A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−120344(P2008−120344)
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】
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