位置表示装置、位置表示方法、位置表示プログラムおよび記録媒体
【課題】複数の移動体の位置を表示画面上にわかりやすく表示すること。
【解決手段】位置表示装置１００は、取得部１０１、表示部１０２、入力部１０３、設定部１０４によって構成される。取得部１０１は、複数の移動体の現在位置を取得する。表示部１０２は、取得部１０１によって取得された現在位置を表示画面に表示された地図上に表示する。また、表示部１０２は、表示画面に所定の縮尺で地図を表示した場合、複数の移動体のうち地図上に位置を表示できない移動体（以下、「表示不可移動体」という）の位置表示に代えて、表示不可移動体の実際の位置を表すアイコンを表示画面に表示する。入力部１０３は、表示画面における各種の表示を変更するための指示入力をおこなう。設定部１０４は、地図の表示縮尺を設定する。
【解決手段】位置表示装置１００は、取得部１０１、表示部１０２、入力部１０３、設定部１０４によって構成される。取得部１０１は、複数の移動体の現在位置を取得する。表示部１０２は、取得部１０１によって取得された現在位置を表示画面に表示された地図上に表示する。また、表示部１０２は、表示画面に所定の縮尺で地図を表示した場合、複数の移動体のうち地図上に位置を表示できない移動体（以下、「表示不可移動体」という）の位置表示に代えて、表示不可移動体の実際の位置を表すアイコンを表示画面に表示する。入力部１０３は、表示画面における各種の表示を変更するための指示入力をおこなう。設定部１０４は、地図の表示縮尺を設定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、移動体の位置を表示する位置表示装置、位置表示方法、位置表示プログラムおよび記録媒体に関する。ただし、この発明の利用は、上述した位置表示装置、位置表示方法、位置表示プログラムおよび記録媒体に限られない。
【背景技術】
【０００２】
従来、複数の車両間において互いの現在位置を送信し合うことにより、自車位置のみならず他車位置をも同一画面上に表示できるようにしたグループ内通信機能付きナビゲーション装置が知られている。このようなナビゲーション装置は、たとえば、他車を有効状態または無効状態のいずれか一方に設定する設定手段を備え、有効状態に設定してある他車から送信されてきた他車位置のみを自車位置と共にディスプレイ上に表示する（たとえば、下記特許文献１参照。）。
【０００３】
【特許文献１】特開２００２−０６２１４７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上述した従来技術によれば、グループ内のすべての他車および自車の現在位置を同一画面上に表示する。このため、他車と自車との距離が離れている場合、画面上の地図の縮尺が広域となってしまい、それぞれの車両の周辺地図を詳細に表示できないという問題点が一例として挙げられる。
【０００５】
特に、グループ内通信をおこないながら走行する場合は、共通の目的地点に向かって走行することが多いが、グループを構成するメンバーには、目的地点までの走行に不慣れなメンバーが含まれている可能性が高い。このように不慣れなメンバーが他車の位置を確認する際、広域すぎる地図が表示されると、自車と他車との位置関係を把握することができず、グループ内通信機能の実行を図ることができないという問題点が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項１の発明にかかる位置表示装置は、複数の移動体の現在位置を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された現在位置を表示画面に表示された地図上に表示する表示手段と、を備え、前記表示手段は、前記表示画面に所定の縮尺で前記地図を表示した場合、前記複数の移動体のうち前記地図上に位置を表示できない移動体（以下、「表示不可移動体」という）の位置表示に代えて、前記表示不可移動体の実際の位置を表すアイコンを前記表示画面に表示することを特徴とする。
【０００７】
また、請求項６の発明にかかる位置表示方法は、複数の移動体の現在位置を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された現在位置を表示画面に表示された地図上に表示する表示工程と、を含み、前記表示工程では、前記表示画面に所定の縮尺で前記地図を表示した場合、前記複数の移動体のうち前記地図上に位置を表示できない移動体（以下、「表示不可移動体」という）の位置表示に代えて、前記表示不可移動体の実際の位置を表すアイコンを前記表示画面に表示することを特徴とする。
【０００８】
また、請求項７の発明にかかる位置表示プログラムは、請求項６に記載の位置表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【０００９】
また、請求項８の発明にかかる記録媒体は、請求項７に記載の位置表示プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能なことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる位置表示装置、位置表示方法、位置表示プログラムおよび記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【００１１】
（実施の形態）
はじめに、実施の形態にかかる位置表示装置１００の機能的構成について説明する。図１は、実施の形態にかかる位置表示装置１００の機能的構成を示すブロック図である。実施の形態にかかる位置表示装置１００は、取得部１０１、表示部１０２、入力部１０３、設定部１０４によって構成される。
【００１２】
取得部１０１は、複数の移動体の現在位置を取得する。取得部１０１は、たとえば、ネットワークを介して複数の移動体の現在位置情報を受信する。また、取得部１０１は、たとえば、同一の地点を目的地点として移動する複数の移動体の現在位置を取得する。
【００１３】
表示部１０２は、取得部１０１によって取得された移動体の現在位置を、表示画面に表示された地図上に表示する。表示部１０２は、たとえば、複数の移動体のうちのいずれか一つの現在位置を中心として、表示画面に地図を表示する。また、複数の移動体が同一の地点を目的地点として移動している場合には、その目的地点を中心として地図を表示することとしてもよい。
【００１４】
また、表示部１０２は、表示画面に所定の縮尺で地図を表示した場合、複数の移動体のうち地図上に位置を表示できない移動体（以下、「表示不可移動体」という）の位置表示に代えて、表示不可移動体の実際の位置を表すアイコンを表示画面に表示する。ここで、表示部１０２が表示するアイコンは、たとえば、表示不可移動体が位置する方角および地図上の所定の地点から表示不可移動体までの距離を表す表示である。
【００１５】
入力部１０３は、表示画面における各種の表示を変更するための指示入力をおこなう。指示入力とは、たとえば、表示画面を利用したタッチパネルへの入力や、表示画面上に表示されるカーソルを用いた入力などである。入力部１０３によってアイコンに対して所定の指示入力がおこなわれた場合、表示部１０２は、指示入力がおこなわれたアイコンが表す表示不可移動体の実際の位置を中心として地図を表示する。
【００１６】
設定部１０４は、表示画面における地図の表示縮尺を設定する。設定部１０４によって表示縮尺が設定された場合、表示部１０２は、設定された表示縮尺で表示画面に地図を表示する。なお、地図の表示縮尺は、設定部１０４の設定によらず固定値としてもよい。
【００１７】
つぎに、位置表示装置１００のよる位置表示処理について説明する。図２は、位置表示装置１００のよる位置表示処理の手順を示すフローチャートである。図２のフローチャートにおいて、位置表示装置１００は、まず、取得部１０１によって、複数の移動体の現在位置を取得する（ステップＳ２０１）。
【００１８】
つづいて、設定部１０４によって、表示画面における地図の表示縮尺を設定する（ステップＳ２０２）。そして、ステップＳ２０２で設定された表示縮尺で表示画面に表示した場合、位置を表示できない移動体があるか否かを判断する（ステップＳ２０３）。位置を表示できない移動体がある場合は（ステップＳ２０３：Ｙｅｓ）、地図上に表示できる移動体の位置を地図上に表示した上で（ステップＳ２０４）、地図上に表示できない移動体の位置表示に代えてアイコンを表示する（ステップＳ２０５）。
【００１９】
一方、位置を表示できない移動体がない場合（ステップＳ２０３：Ｎｏ）、すなわち、すべての移動体の位置を地図上に表示できる場合は、すべての移動体の位置を地図上に表示して（ステップＳ２０６）、本フローチャートによる処理を終了する。
【００２０】
位置表示装置１００は、ステップＳ２０５でアイコンを表示した場合、入力部１０３を介してアイコンに指示入力があったか否かを判断する（ステップＳ２０７）。アイコンに指示入力があった場合は（ステップＳ２０７：Ｙｅｓ）、表示部１０２は、アイコンが表す移動体の位置を中心として地図を表示して（ステップＳ２０８）、本フローチャートによる処理を終了する。また、アイコンに指示入力がない場合は（ステップＳ２０７：Ｎｏ）、そのまま本フローチャートによる処理を終了する。
【００２１】
以上説明したように、位置表示装置１００によれば、複数の移動体の現在位置のうち、所定の縮尺で表示した地図上に表示できないものがある場合には、位置表示の代わりにアイコンを表示する。これにより、地図の縮尺を所定の縮尺にしたまま、ユーザにすべての移動体の位置を把握させることができる。
【００２２】
このとき表示されるアイコンには、地図上に表示できない移動体が位置する方角および距離が表示されるため、ユーザはより具体的にその位置を知ることができる。また、アイコンに所定の指示入力をおこなうことによって、アイコンが表す移動体を中心として地図を表示する。これにより、地図上に表示できない移動体の周辺の状況を把握させることができる。
【００２３】
また、設定部１０４によって地図の表示縮尺を設定できるため、任意の縮尺で表示画面に地図を表示することができる。さらに、複数の移動体が同一の地点を目的地点とする場合、目的地点を中心として地図を表示することによって、複数の移動体すべてに関して目的地点までの移動状況を把握することができ、目的地点までの移動を円滑におこなうことができる。
【実施例】
【００２４】
（位置表示システム３００のシステム構成）
つぎに、上述した実施の形態にかかる位置表示装置１００の実施例について説明する。以下の実施例においては、位置表示装置１００を、複数の車両間におけるグループ内通信（ポイントパーティ機能）に適用した場合について説明する。
【００２５】
図３は、実施例にかかる位置表示システムのシステム構成を示す説明図である。実施例にかかる位置表示システム３００は、管理サーバ３１０およびナビゲーション装置３２０によって構成される。管理サーバ３１０は、複数のナビゲーション装置３２０で形成されるグループのグループ内通信を管理する。
【００２６】
ナビゲーション装置３２０は、道路Ｌを走行する車両３３０に搭載されている。管理サーバ３１０とナビゲーション装置３２０とは、ネットワーク３４０を介して接続されている。
【００２７】
グループ内通信がおこなわれる場合、ナビゲーション装置３２０は、自装置の現在位置情報を管理サーバ３１０に定期的に送信する。管理サーバ３１０は、ナビゲーション装置３２０から送信された位置情報を、グループに参加している他の車両３３０に搭載されたナビゲーション装置３２０に逐次送信する。これにより、グループに参加している各車両３３０のユーザは、グループのメンバーの現在位置を、相互に把握することができる。
【００２８】
また、グループに参加しているメンバー全員に、または、グループ内のメンバーの一部を指定して、メッセージなどを送信することができる。このように、グループ内で情報を共有することによって、たとえば、複数の車両３３０で同一の目的地点に向かって走行する場合などに利便性を向上させることができる。
【００２９】
（ナビゲーション装置３２０のハードウェア構成）
つぎに、ナビゲーション装置３２０のハードウェア構成について説明する。図４は、ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図４において、ナビゲーション装置３２０は、ＣＰＵ４０１と、ＲＯＭ４０２と、ＲＡＭ（メモリ）４０３と、磁気ディスクドライブ４０４と、磁気ディスク４０５と、光ディスクドライブ４０６と、光ディスク４０７と、音声Ｉ／Ｆ（インターフェース）４０８と、マイク４０９と、スピーカ４１０と、入力デバイス４１１と、映像Ｉ／Ｆ４１２と、カメラ４１３と、ディスプレイ４１４と、通信Ｉ／Ｆ４１５と、ＧＰＳユニット４１６と、各種センサ４１７とを備えている。また、各構成部４０１〜４１７はバス４２０によってそれぞれ接続されている。
【００３０】
まず、ＣＰＵ４０１は、ナビゲーション装置３２０の全体の制御を司る。ＲＯＭ４０２は、ブートプログラム、通信プログラム、データベース作成プログラム、データ解析プログラムなどのプログラムを記録している。ＲＡＭ４０３は、ＣＰＵ４０１のワークエリアとして使用される。
【００３１】
磁気ディスクドライブ４０４は、ＣＰＵ４０１の制御に従って磁気ディスク４０５に対するデータの読み取り／書き込みを制御する。磁気ディスク４０５は、磁気ディスクドライブ４０４の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク４０５としては、たとえば、ＨＤ（ハードディスク）やＦＤ（フレキシブルディスク）を用いることができる。
【００３２】
光ディスクドライブ４０６は、ＣＰＵ４０１の制御に従って光ディスク４０７に対するデータの読み取り／書き込みを制御する。光ディスク４０７は、光ディスクドライブ４０６の制御に従ってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク４０７は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。また、この着脱可能な記録媒体として、光ディスク４０７のほか、ＭＯ、メモリカードなどであってもよい。
【００３３】
磁気ディスク４０５、光ディスク４０７に記録される情報の他の一例として、経路探索・経路誘導などに用いる地図データが挙げられる。地図データは、建物、河川、地表面などの地物（フィーチャ）を表す背景データと、道路の形状を表す道路形状データとを有しており、ディスプレイ４１４の表示画面において２次元または３次元に描画される。ナビゲーション装置３２０が経路誘導中の場合は、地図データと後述するＧＰＳユニット４１６によって取得された自車の現在位置とが重ねて表示されることとなる。
【００３４】
音声Ｉ／Ｆ４０８は、音声入力用のマイク４０９および音声出力用のスピーカ４１０に接続される。マイク４０９に受音された音声は、音声Ｉ／Ｆ４０８内でＡ／Ｄ変換される。また、スピーカ４１０からは音声が出力される。なお、マイク４０９から入力された音声は、音声データとして磁気ディスク４０５あるいは光ディスク４０７に記録可能である。
【００３５】
入力デバイス４１１は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。さらに、入力デバイス４１１は、デジタルカメラや携帯電話端末などの他の情報処理端末を接続し、データの入出力をおこなうことができる。
【００３６】
映像Ｉ／Ｆ４１２は、映像入力用のカメラ４１３および映像出力用のディスプレイ４１４と接続される。映像Ｉ／Ｆ４１２は、具体的には、たとえば、ディスプレイ４１４全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するＶＲＡＭ（Ｖｉｄｅｏ ＲＡＭ）などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ４１４を表示制御する制御ＩＣなどによって構成される。
【００３７】
カメラ４１３は、車両３３０内外の映像を撮像し、画像データとして出力する。カメラ４１３で撮像された画像は、画像データとして磁気ディスク４０５あるいは光ディスク４０７に記録可能である。ディスプレイ４１４には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。このディスプレイ４１４は、たとえば、ＣＲＴ、ＴＦＴ液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
【００３８】
通信Ｉ／Ｆ４１５は、無線を介してネットワーク３４０に接続され、ナビゲーション装置３２０とＣＰＵ４０１とのインターフェースとして機能する。通信Ｉ／Ｆ４１５は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とＣＰＵ４０１とのインターフェースとしても機能する。
【００３９】
通信網には、ＬＡＮ、ＷＡＮ、公衆回線網や携帯電話網などがある。具体的には、通信Ｉ／Ｆ４１５は、たとえば、無線通信装置などによって構成され、管理サーバ３１０から配信される地図データ（更新データ）などを受信する。
【００４０】
ＧＰＳユニット４１６は、ＧＰＳ衛星からの電波を受信し、車両３３０の現在位置（ナビゲーション装置３２０の現在位置）を示す情報を算出する。ＧＰＳユニット４１６の出力情報は、後述する各種センサ４１７の出力値とともに、ＣＰＵ４０１による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の１点を特定する情報である。
【００４１】
また、各種センサ４１７は、車速センサや加速度センサ、角速度センサなどの、車両３３０の位置や挙動を判断することが可能な情報を出力する。各種センサ４１７の出力値は、ＣＰＵ４０１による現在位置の算出や、速度や方位の変化量の測定に用いられる。
【００４２】
なお、管理サーバ３１０のハードウェア構成は、ナビゲーション装置３２０のハードウェア構成のうち、少なくともＣＰＵ４０１と、ＲＯＭ４０２と、ＲＡＭ（メモリ）４０３と、磁気ディスクドライブ４０４（または光ディスクドライブ４０６）と、磁気ディスク４０５（または光ディスク４０７）と、通信Ｉ／Ｆ４１５とを備えるものとする。
【００４３】
また、実施の形態にかかる位置表示装置１００の構成のうち、取得部１０１は通信Ｉ／Ｆ４１５によって、表示部１０２はＣＰＵ４０１、映像Ｉ／Ｆ４１２、ディスプレイ４１４によって、入力部１０３および設定部１０４は入力デバイス４１１によって、それぞれの機能を実現する。
【００４４】
（ナビゲーション装置３２０による位置表示処理）
つぎに、ナビゲーション装置３２０による位置表示処理について説明する。ナビゲーション装置３２０は、管理サーバ３１０に自車の位置情報を送信するとともに、グループに参加している他の車両３３０の位置情報を受信する。そして、自車の位置とともに、グループに参加している他の車両３３０の位置をディスプレイ４１４に表示する。
【００４５】
このとき、あらかじめ設定された縮尺の地図上に表示できない車両３３０がある場合には、位置表示の代わりに、その車両３３０を表すアイコンを表示する。これにより、所望する縮尺で地図を表示させたまま、他車の位置を把握し、目的地点までの走行を円滑におこなうことができる。
【００４６】
図５は、ナビゲーション装置によるグループ内位置表示処理の手順を示すフローチャートである。図５のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置３２０は、あらかじめ、グループ走行をおこなう場合の地図の最大広域縮尺を設定しておく（ステップＳ５０１）。最大広域縮尺とは、グループに参加している他の車両３３０の位置を表示させる際の地図の縮尺のうち、最も広域な範囲を示すものである。なお、最大広域縮尺は、走行中も変更可能である。また、最大広域縮尺の設定を許可せず、固定値としてもよい。
【００４７】
つぎに、ナビゲーション装置３２０は、車両３３０が走行を開始するまで待機する（ステップＳ５０２：Ｎｏ）。車両が走行を開始すると（ステップＳ５０２：Ｙｅｓ）、通信Ｉ／Ｆ４１５を介して管理サーバ３１０に接続し（ステップＳ５０３）、自己が参加するグループにログインする（ステップＳ５０４）。グループへのログインは、たとえば、グループ参加のためのＩＤおよびパスワードを入力するなどによっておこなう。
【００４８】
グループにログインすると、ナビゲーション装置３２０は、管理サーバ３１０に自車の位置情報を送信する（ステップＳ５０５）。このとき送信する位置情報は、ＧＰＳレシーバ４１６や各種センサ４１７から出力された出力値を用いてＣＰＵ４０１で算出した車両３３０の現在位置である。位置情報には、この他車両３３０の速度、移動方位、車両名称などが含まれていてもよい。
【００４９】
つづいて、ナビゲーション装置３２０は、管理サーバ３１０からグループに参加している他の車両３３０の位置情報を受信する（ステップＳ５０６）。このとき受信する位置情報も、ステップＳ５０４で送信した位置情報と同様に、他の車両３３０の速度、移動方位、車両名称などが含まれていてもよい。
【００５０】
そして、グループに参加している車両３３０の現在位置をステップＳ５０１で設定した最大広域縮尺の地図上にすべて表示できるか否かを判断する（ステップＳ５０７）。地図上にすべて表示できる場合（ステップＳ５０７：Ｙｅｓ）、すなわちグループに参加している車両３３０どうしの距離がそれほど離れていない場合は、ディスプレイ４１４に表示された地図上にすべての車両３３０の位置を表示する（ステップＳ５０８）。
【００５１】
一方、地図上にすべて表示できない場合は（ステップＳ５０７：Ｎｏ）、すなわちグループに参加している車両３３０どうしの距離が離れている場合は、ディスプレイ４１４に表示された地図上に表示できる車両３３０の位置を表示し（ステップＳ５０９）、さらに、地図上に表示できない車両３３０の位置表示に代わるアイコンを表示する（ステップＳ５１０）。このとき表示するアイコンは、たとえば、表示できない車両３３０を識別するＩＤや、車両３３０が実際に位置する地点までの距離および方向などを示すアイコンとする。
【００５２】
つぎに、ナビゲーション装置３２０は、入力デバイス４１１を介してアイコンが操作されたか否かを判断する（ステップＳ５１１）。アイコンが操作された場合は（ステップＳ５１１：Ｙｅｓ）、操作に応じてディスプレイ４１４上の地図の表示位置を切り換える（ステップＳ５１２）。たとえば、アイコンに対応する車両３３０の位置を中心として、地図の表示範囲を切り換える。
【００５３】
走行が終了するまでは（ステップＳ５１３：Ｎｏ）、ステップＳ５０５に戻り、以降の処理を継続する。そして、走行が終了すると（ステップＳ５１３：Ｙｅｓ）、本フローチャートによる処理を終了する。
【００５４】
図６は、アイコンの表示形態の一例を示す説明図である。図６において、ナビゲーション装置３２０のディスプレイ４１４には、地図ＭＰが表示されている。地図ＭＰには、地図上の方角を示す方角表示Ｓ１および現在表示中の地図ＭＰの縮尺を示す縮尺表示Ｓ２が表示される。図６では、最大広域縮尺を１ｋｍと設定している。
【００５５】
また、グループを形成する車両３３０（メンバー）は、合計４台であり、「１」〜「４」でナンバリングされている。このうち、図６のディスプレイ４１４を有するナビゲーション装置３２０が搭載された車両３３０（ナンバー「１」）の現在位置は、位置表示６０１で示される。
【００５６】
図５のステップＳ５０６で説明したように、最大広域縮尺で表示した地図ＭＰに、すべての車両３３０の位置を表示できないと判断した場合、ナビゲーション装置３２０は、位置を表示できるメンバーについては地図ＭＰに位置表示を、位置を表示できないメンバーについては位置表示に代わるアイコンを表示する。
【００５７】
このため、ナンバー「１」の車両３３０（自車）から比較的近くを走行しているナンバー「３」のメンバーの位置は、位置表示６０３としてディスプレイ４１４に表示される。一方、ナンバー「１」の車両３３０（自車）から比較的遠くを走行しているナンバー「２」およびナンバー「４」のメンバーについては、地図ＭＰ上に位置を表示する代わりに、グループのメンバーを示すメンバーアイコン６０２（６０２ａ，６０２ｂ），６０４（６０４ａ，６０４ｂ）が表示される。
【００５８】
メンバーアイコン６０２，６０４は、それぞれのメンバーの実際の位置の方角を示す方角表示６０２ａ，６０４ａ、および、実際の位置までの距離を示す距離表示６０２ｂ，６０４ｂによって構成される。これにより、車両３３０の実際の位置は地図ＭＰに表示されていないものの、その大まかな位置を把握することができる。
【００５９】
また、グループメンバーの共通目的地点を示す目的地点アイコン６１０（６１０ａ，６１０ｂ）が表示される。目的地点アイコン６１０は、目的地点の方角を示す方角表示６１０ａ、および、目的地点までの距離を示す距離表示６１０ｂによって構成される。
【００６０】
これらのアイコンを操作（クリックなど）すると、ディスプレイ４１４の表示が操作に合わせて切り替わる。たとえば、メンバーアイコン６０４をクリックすると、ナンバー「４」のメンバーの位置を中心とした地図ＭＰを表示する。また、目的地点アイコン６１０をクリックすると、グループ共通の目的地点の位置を中心とした地図ＭＰを表示する。
【００６１】
図７は、メンバーアイコンをクリックした際の表示画面の一例を示す説明図である。図６のナンバー「４」のメンバーアイコン６０４をクリックすると、ディスプレイ４１４には、ナンバー「４」のメンバーの位置表示７０４が表示される。ここで、メンバーアイコンがクリックされた場合には、そのメンバーの現在位置周辺の詳細な地図ＭＰを表示するため、地図ＭＰの表示縮尺を切り換えてもよい。
【００６２】
地図ＭＰに表示できない他のメンバーの位置は、メンバーアイコン７０１（７０１ａ，７０１ｂ），７０２（７０２ａ，７０２ｂ），７０３（７０３ａ，７０３ｂ）によって表示される。このように表示が切り替わったのち、所定の時間が経過した後は、自車の位置を中心とした画面表示に切り換えてもよい。
【００６３】
図８は、目的地点アイコンをクリックした際の表示画面の一例を示す説明図である。図６の目的地点アイコン６１０をクリックすると、ディスプレイ４１４には、目的地点の位置表示８１０を中心とした地図ＭＰが表示される。地図ＭＰに表示できないメンバーの位置は、メンバーアイコン８０１（８０１ａ，８０１ｂ），８０２（８０２ａ，８０２ｂ），８０３（８０３ａ，８０３ｂ），８０４（８０４ａ，８０４ｂ）によって表示される。図７の説明と同様に、表示が切り替わったのち、所定の時間が経過した後は、自車の位置を中心とした画面表示に切り換えてもよい。
【００６４】
以上説明したように、位置表示システム３００によれば、複数の車両３３０の現在位置のうち、ユーザによって設定された縮尺で表示した地図上に表示できないものがある場合には、位置表示の代わりにアイコンを表示する。これにより、地図の縮尺を所定の縮尺にしたまま、ユーザにグループに参加するすべての車両３３０の位置を把握させることができる。
【００６５】
このとき表示されるアイコンには、表示できない車両３３０が位置する方角および距離が表示されるため、ユーザはより具体的にその位置を知ることができる。また、アイコンに対してクリックなどの操作をおこなうと、アイコンが表す車両３３０を中心として地図を表示する。これにより、表示できない車両３３０の周辺の状況を把握させることができる。同様に、目的地点を示す目的地点アイコンを設けることによって、グループ内のすべての車両３３０の走行状況を客観的に把握することができ、目的地点までの移動を円滑におこなうことができる。
【００６６】
なお、本実施の形態で説明した位置表示方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、ＣＤ−ＲＯＭ、ＭＯ、ＤＶＤなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【００６７】
【図１】実施の形態にかかる位置表示装置１００の機能的構成を示すブロック図である。
【図２】位置表示装置１００のよる位置表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図３】実施例にかかる位置表示システムのシステム構成を示す説明図である。
【図４】ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図５】ナビゲーション装置によるグループ内位置表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図６】アイコンの表示形態の一例を示す説明図である。
【図７】メンバーアイコンをクリックした際の表示画面の一例を示す説明図である。
【図８】目的地点アイコンをクリックした際の表示画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【００６８】
１００ 位置表示装置
１０１ 取得部
１０２ 表示部
１０３ 入力部
１０４ 設定部
【技術分野】
【０００１】
この発明は、移動体の位置を表示する位置表示装置、位置表示方法、位置表示プログラムおよび記録媒体に関する。ただし、この発明の利用は、上述した位置表示装置、位置表示方法、位置表示プログラムおよび記録媒体に限られない。
【背景技術】
【０００２】
従来、複数の車両間において互いの現在位置を送信し合うことにより、自車位置のみならず他車位置をも同一画面上に表示できるようにしたグループ内通信機能付きナビゲーション装置が知られている。このようなナビゲーション装置は、たとえば、他車を有効状態または無効状態のいずれか一方に設定する設定手段を備え、有効状態に設定してある他車から送信されてきた他車位置のみを自車位置と共にディスプレイ上に表示する（たとえば、下記特許文献１参照。）。
【０００３】
【特許文献１】特開２００２−０６２１４７号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上述した従来技術によれば、グループ内のすべての他車および自車の現在位置を同一画面上に表示する。このため、他車と自車との距離が離れている場合、画面上の地図の縮尺が広域となってしまい、それぞれの車両の周辺地図を詳細に表示できないという問題点が一例として挙げられる。
【０００５】
特に、グループ内通信をおこないながら走行する場合は、共通の目的地点に向かって走行することが多いが、グループを構成するメンバーには、目的地点までの走行に不慣れなメンバーが含まれている可能性が高い。このように不慣れなメンバーが他車の位置を確認する際、広域すぎる地図が表示されると、自車と他車との位置関係を把握することができず、グループ内通信機能の実行を図ることができないという問題点が一例として挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項１の発明にかかる位置表示装置は、複数の移動体の現在位置を取得する取得手段と、前記取得手段によって取得された現在位置を表示画面に表示された地図上に表示する表示手段と、を備え、前記表示手段は、前記表示画面に所定の縮尺で前記地図を表示した場合、前記複数の移動体のうち前記地図上に位置を表示できない移動体（以下、「表示不可移動体」という）の位置表示に代えて、前記表示不可移動体の実際の位置を表すアイコンを前記表示画面に表示することを特徴とする。
【０００７】
また、請求項６の発明にかかる位置表示方法は、複数の移動体の現在位置を取得する取得工程と、前記取得工程によって取得された現在位置を表示画面に表示された地図上に表示する表示工程と、を含み、前記表示工程では、前記表示画面に所定の縮尺で前記地図を表示した場合、前記複数の移動体のうち前記地図上に位置を表示できない移動体（以下、「表示不可移動体」という）の位置表示に代えて、前記表示不可移動体の実際の位置を表すアイコンを前記表示画面に表示することを特徴とする。
【０００８】
また、請求項７の発明にかかる位置表示プログラムは、請求項６に記載の位置表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【０００９】
また、請求項８の発明にかかる記録媒体は、請求項７に記載の位置表示プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能なことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１０】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる位置表示装置、位置表示方法、位置表示プログラムおよび記録媒体の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【００１１】
（実施の形態）
はじめに、実施の形態にかかる位置表示装置１００の機能的構成について説明する。図１は、実施の形態にかかる位置表示装置１００の機能的構成を示すブロック図である。実施の形態にかかる位置表示装置１００は、取得部１０１、表示部１０２、入力部１０３、設定部１０４によって構成される。
【００１２】
取得部１０１は、複数の移動体の現在位置を取得する。取得部１０１は、たとえば、ネットワークを介して複数の移動体の現在位置情報を受信する。また、取得部１０１は、たとえば、同一の地点を目的地点として移動する複数の移動体の現在位置を取得する。
【００１３】
表示部１０２は、取得部１０１によって取得された移動体の現在位置を、表示画面に表示された地図上に表示する。表示部１０２は、たとえば、複数の移動体のうちのいずれか一つの現在位置を中心として、表示画面に地図を表示する。また、複数の移動体が同一の地点を目的地点として移動している場合には、その目的地点を中心として地図を表示することとしてもよい。
【００１４】
また、表示部１０２は、表示画面に所定の縮尺で地図を表示した場合、複数の移動体のうち地図上に位置を表示できない移動体（以下、「表示不可移動体」という）の位置表示に代えて、表示不可移動体の実際の位置を表すアイコンを表示画面に表示する。ここで、表示部１０２が表示するアイコンは、たとえば、表示不可移動体が位置する方角および地図上の所定の地点から表示不可移動体までの距離を表す表示である。
【００１５】
入力部１０３は、表示画面における各種の表示を変更するための指示入力をおこなう。指示入力とは、たとえば、表示画面を利用したタッチパネルへの入力や、表示画面上に表示されるカーソルを用いた入力などである。入力部１０３によってアイコンに対して所定の指示入力がおこなわれた場合、表示部１０２は、指示入力がおこなわれたアイコンが表す表示不可移動体の実際の位置を中心として地図を表示する。
【００１６】
設定部１０４は、表示画面における地図の表示縮尺を設定する。設定部１０４によって表示縮尺が設定された場合、表示部１０２は、設定された表示縮尺で表示画面に地図を表示する。なお、地図の表示縮尺は、設定部１０４の設定によらず固定値としてもよい。
【００１７】
つぎに、位置表示装置１００のよる位置表示処理について説明する。図２は、位置表示装置１００のよる位置表示処理の手順を示すフローチャートである。図２のフローチャートにおいて、位置表示装置１００は、まず、取得部１０１によって、複数の移動体の現在位置を取得する（ステップＳ２０１）。
【００１８】
つづいて、設定部１０４によって、表示画面における地図の表示縮尺を設定する（ステップＳ２０２）。そして、ステップＳ２０２で設定された表示縮尺で表示画面に表示した場合、位置を表示できない移動体があるか否かを判断する（ステップＳ２０３）。位置を表示できない移動体がある場合は（ステップＳ２０３：Ｙｅｓ）、地図上に表示できる移動体の位置を地図上に表示した上で（ステップＳ２０４）、地図上に表示できない移動体の位置表示に代えてアイコンを表示する（ステップＳ２０５）。
【００１９】
一方、位置を表示できない移動体がない場合（ステップＳ２０３：Ｎｏ）、すなわち、すべての移動体の位置を地図上に表示できる場合は、すべての移動体の位置を地図上に表示して（ステップＳ２０６）、本フローチャートによる処理を終了する。
【００２０】
位置表示装置１００は、ステップＳ２０５でアイコンを表示した場合、入力部１０３を介してアイコンに指示入力があったか否かを判断する（ステップＳ２０７）。アイコンに指示入力があった場合は（ステップＳ２０７：Ｙｅｓ）、表示部１０２は、アイコンが表す移動体の位置を中心として地図を表示して（ステップＳ２０８）、本フローチャートによる処理を終了する。また、アイコンに指示入力がない場合は（ステップＳ２０７：Ｎｏ）、そのまま本フローチャートによる処理を終了する。
【００２１】
以上説明したように、位置表示装置１００によれば、複数の移動体の現在位置のうち、所定の縮尺で表示した地図上に表示できないものがある場合には、位置表示の代わりにアイコンを表示する。これにより、地図の縮尺を所定の縮尺にしたまま、ユーザにすべての移動体の位置を把握させることができる。
【００２２】
このとき表示されるアイコンには、地図上に表示できない移動体が位置する方角および距離が表示されるため、ユーザはより具体的にその位置を知ることができる。また、アイコンに所定の指示入力をおこなうことによって、アイコンが表す移動体を中心として地図を表示する。これにより、地図上に表示できない移動体の周辺の状況を把握させることができる。
【００２３】
また、設定部１０４によって地図の表示縮尺を設定できるため、任意の縮尺で表示画面に地図を表示することができる。さらに、複数の移動体が同一の地点を目的地点とする場合、目的地点を中心として地図を表示することによって、複数の移動体すべてに関して目的地点までの移動状況を把握することができ、目的地点までの移動を円滑におこなうことができる。
【実施例】
【００２４】
（位置表示システム３００のシステム構成）
つぎに、上述した実施の形態にかかる位置表示装置１００の実施例について説明する。以下の実施例においては、位置表示装置１００を、複数の車両間におけるグループ内通信（ポイントパーティ機能）に適用した場合について説明する。
【００２５】
図３は、実施例にかかる位置表示システムのシステム構成を示す説明図である。実施例にかかる位置表示システム３００は、管理サーバ３１０およびナビゲーション装置３２０によって構成される。管理サーバ３１０は、複数のナビゲーション装置３２０で形成されるグループのグループ内通信を管理する。
【００２６】
ナビゲーション装置３２０は、道路Ｌを走行する車両３３０に搭載されている。管理サーバ３１０とナビゲーション装置３２０とは、ネットワーク３４０を介して接続されている。
【００２７】
グループ内通信がおこなわれる場合、ナビゲーション装置３２０は、自装置の現在位置情報を管理サーバ３１０に定期的に送信する。管理サーバ３１０は、ナビゲーション装置３２０から送信された位置情報を、グループに参加している他の車両３３０に搭載されたナビゲーション装置３２０に逐次送信する。これにより、グループに参加している各車両３３０のユーザは、グループのメンバーの現在位置を、相互に把握することができる。
【００２８】
また、グループに参加しているメンバー全員に、または、グループ内のメンバーの一部を指定して、メッセージなどを送信することができる。このように、グループ内で情報を共有することによって、たとえば、複数の車両３３０で同一の目的地点に向かって走行する場合などに利便性を向上させることができる。
【００２９】
（ナビゲーション装置３２０のハードウェア構成）
つぎに、ナビゲーション装置３２０のハードウェア構成について説明する。図４は、ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図４において、ナビゲーション装置３２０は、ＣＰＵ４０１と、ＲＯＭ４０２と、ＲＡＭ（メモリ）４０３と、磁気ディスクドライブ４０４と、磁気ディスク４０５と、光ディスクドライブ４０６と、光ディスク４０７と、音声Ｉ／Ｆ（インターフェース）４０８と、マイク４０９と、スピーカ４１０と、入力デバイス４１１と、映像Ｉ／Ｆ４１２と、カメラ４１３と、ディスプレイ４１４と、通信Ｉ／Ｆ４１５と、ＧＰＳユニット４１６と、各種センサ４１７とを備えている。また、各構成部４０１〜４１７はバス４２０によってそれぞれ接続されている。
【００３０】
まず、ＣＰＵ４０１は、ナビゲーション装置３２０の全体の制御を司る。ＲＯＭ４０２は、ブートプログラム、通信プログラム、データベース作成プログラム、データ解析プログラムなどのプログラムを記録している。ＲＡＭ４０３は、ＣＰＵ４０１のワークエリアとして使用される。
【００３１】
磁気ディスクドライブ４０４は、ＣＰＵ４０１の制御に従って磁気ディスク４０５に対するデータの読み取り／書き込みを制御する。磁気ディスク４０５は、磁気ディスクドライブ４０４の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク４０５としては、たとえば、ＨＤ（ハードディスク）やＦＤ（フレキシブルディスク）を用いることができる。
【００３２】
光ディスクドライブ４０６は、ＣＰＵ４０１の制御に従って光ディスク４０７に対するデータの読み取り／書き込みを制御する。光ディスク４０７は、光ディスクドライブ４０６の制御に従ってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク４０７は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。また、この着脱可能な記録媒体として、光ディスク４０７のほか、ＭＯ、メモリカードなどであってもよい。
【００３３】
磁気ディスク４０５、光ディスク４０７に記録される情報の他の一例として、経路探索・経路誘導などに用いる地図データが挙げられる。地図データは、建物、河川、地表面などの地物（フィーチャ）を表す背景データと、道路の形状を表す道路形状データとを有しており、ディスプレイ４１４の表示画面において２次元または３次元に描画される。ナビゲーション装置３２０が経路誘導中の場合は、地図データと後述するＧＰＳユニット４１６によって取得された自車の現在位置とが重ねて表示されることとなる。
【００３４】
音声Ｉ／Ｆ４０８は、音声入力用のマイク４０９および音声出力用のスピーカ４１０に接続される。マイク４０９に受音された音声は、音声Ｉ／Ｆ４０８内でＡ／Ｄ変換される。また、スピーカ４１０からは音声が出力される。なお、マイク４０９から入力された音声は、音声データとして磁気ディスク４０５あるいは光ディスク４０７に記録可能である。
【００３５】
入力デバイス４１１は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、マウス、タッチパネルなどが挙げられる。さらに、入力デバイス４１１は、デジタルカメラや携帯電話端末などの他の情報処理端末を接続し、データの入出力をおこなうことができる。
【００３６】
映像Ｉ／Ｆ４１２は、映像入力用のカメラ４１３および映像出力用のディスプレイ４１４と接続される。映像Ｉ／Ｆ４１２は、具体的には、たとえば、ディスプレイ４１４全体の制御をおこなうグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するＶＲＡＭ（Ｖｉｄｅｏ ＲＡＭ）などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいて、ディスプレイ４１４を表示制御する制御ＩＣなどによって構成される。
【００３７】
カメラ４１３は、車両３３０内外の映像を撮像し、画像データとして出力する。カメラ４１３で撮像された画像は、画像データとして磁気ディスク４０５あるいは光ディスク４０７に記録可能である。ディスプレイ４１４には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。このディスプレイ４１４は、たとえば、ＣＲＴ、ＴＦＴ液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイなどを採用することができる。
【００３８】
通信Ｉ／Ｆ４１５は、無線を介してネットワーク３４０に接続され、ナビゲーション装置３２０とＣＰＵ４０１とのインターフェースとして機能する。通信Ｉ／Ｆ４１５は、さらに、無線を介してインターネットなどの通信網に接続され、この通信網とＣＰＵ４０１とのインターフェースとしても機能する。
【００３９】
通信網には、ＬＡＮ、ＷＡＮ、公衆回線網や携帯電話網などがある。具体的には、通信Ｉ／Ｆ４１５は、たとえば、無線通信装置などによって構成され、管理サーバ３１０から配信される地図データ（更新データ）などを受信する。
【００４０】
ＧＰＳユニット４１６は、ＧＰＳ衛星からの電波を受信し、車両３３０の現在位置（ナビゲーション装置３２０の現在位置）を示す情報を算出する。ＧＰＳユニット４１６の出力情報は、後述する各種センサ４１７の出力値とともに、ＣＰＵ４０１による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の１点を特定する情報である。
【００４１】
また、各種センサ４１７は、車速センサや加速度センサ、角速度センサなどの、車両３３０の位置や挙動を判断することが可能な情報を出力する。各種センサ４１７の出力値は、ＣＰＵ４０１による現在位置の算出や、速度や方位の変化量の測定に用いられる。
【００４２】
なお、管理サーバ３１０のハードウェア構成は、ナビゲーション装置３２０のハードウェア構成のうち、少なくともＣＰＵ４０１と、ＲＯＭ４０２と、ＲＡＭ（メモリ）４０３と、磁気ディスクドライブ４０４（または光ディスクドライブ４０６）と、磁気ディスク４０５（または光ディスク４０７）と、通信Ｉ／Ｆ４１５とを備えるものとする。
【００４３】
また、実施の形態にかかる位置表示装置１００の構成のうち、取得部１０１は通信Ｉ／Ｆ４１５によって、表示部１０２はＣＰＵ４０１、映像Ｉ／Ｆ４１２、ディスプレイ４１４によって、入力部１０３および設定部１０４は入力デバイス４１１によって、それぞれの機能を実現する。
【００４４】
（ナビゲーション装置３２０による位置表示処理）
つぎに、ナビゲーション装置３２０による位置表示処理について説明する。ナビゲーション装置３２０は、管理サーバ３１０に自車の位置情報を送信するとともに、グループに参加している他の車両３３０の位置情報を受信する。そして、自車の位置とともに、グループに参加している他の車両３３０の位置をディスプレイ４１４に表示する。
【００４５】
このとき、あらかじめ設定された縮尺の地図上に表示できない車両３３０がある場合には、位置表示の代わりに、その車両３３０を表すアイコンを表示する。これにより、所望する縮尺で地図を表示させたまま、他車の位置を把握し、目的地点までの走行を円滑におこなうことができる。
【００４６】
図５は、ナビゲーション装置によるグループ内位置表示処理の手順を示すフローチャートである。図５のフローチャートにおいて、ナビゲーション装置３２０は、あらかじめ、グループ走行をおこなう場合の地図の最大広域縮尺を設定しておく（ステップＳ５０１）。最大広域縮尺とは、グループに参加している他の車両３３０の位置を表示させる際の地図の縮尺のうち、最も広域な範囲を示すものである。なお、最大広域縮尺は、走行中も変更可能である。また、最大広域縮尺の設定を許可せず、固定値としてもよい。
【００４７】
つぎに、ナビゲーション装置３２０は、車両３３０が走行を開始するまで待機する（ステップＳ５０２：Ｎｏ）。車両が走行を開始すると（ステップＳ５０２：Ｙｅｓ）、通信Ｉ／Ｆ４１５を介して管理サーバ３１０に接続し（ステップＳ５０３）、自己が参加するグループにログインする（ステップＳ５０４）。グループへのログインは、たとえば、グループ参加のためのＩＤおよびパスワードを入力するなどによっておこなう。
【００４８】
グループにログインすると、ナビゲーション装置３２０は、管理サーバ３１０に自車の位置情報を送信する（ステップＳ５０５）。このとき送信する位置情報は、ＧＰＳレシーバ４１６や各種センサ４１７から出力された出力値を用いてＣＰＵ４０１で算出した車両３３０の現在位置である。位置情報には、この他車両３３０の速度、移動方位、車両名称などが含まれていてもよい。
【００４９】
つづいて、ナビゲーション装置３２０は、管理サーバ３１０からグループに参加している他の車両３３０の位置情報を受信する（ステップＳ５０６）。このとき受信する位置情報も、ステップＳ５０４で送信した位置情報と同様に、他の車両３３０の速度、移動方位、車両名称などが含まれていてもよい。
【００５０】
そして、グループに参加している車両３３０の現在位置をステップＳ５０１で設定した最大広域縮尺の地図上にすべて表示できるか否かを判断する（ステップＳ５０７）。地図上にすべて表示できる場合（ステップＳ５０７：Ｙｅｓ）、すなわちグループに参加している車両３３０どうしの距離がそれほど離れていない場合は、ディスプレイ４１４に表示された地図上にすべての車両３３０の位置を表示する（ステップＳ５０８）。
【００５１】
一方、地図上にすべて表示できない場合は（ステップＳ５０７：Ｎｏ）、すなわちグループに参加している車両３３０どうしの距離が離れている場合は、ディスプレイ４１４に表示された地図上に表示できる車両３３０の位置を表示し（ステップＳ５０９）、さらに、地図上に表示できない車両３３０の位置表示に代わるアイコンを表示する（ステップＳ５１０）。このとき表示するアイコンは、たとえば、表示できない車両３３０を識別するＩＤや、車両３３０が実際に位置する地点までの距離および方向などを示すアイコンとする。
【００５２】
つぎに、ナビゲーション装置３２０は、入力デバイス４１１を介してアイコンが操作されたか否かを判断する（ステップＳ５１１）。アイコンが操作された場合は（ステップＳ５１１：Ｙｅｓ）、操作に応じてディスプレイ４１４上の地図の表示位置を切り換える（ステップＳ５１２）。たとえば、アイコンに対応する車両３３０の位置を中心として、地図の表示範囲を切り換える。
【００５３】
走行が終了するまでは（ステップＳ５１３：Ｎｏ）、ステップＳ５０５に戻り、以降の処理を継続する。そして、走行が終了すると（ステップＳ５１３：Ｙｅｓ）、本フローチャートによる処理を終了する。
【００５４】
図６は、アイコンの表示形態の一例を示す説明図である。図６において、ナビゲーション装置３２０のディスプレイ４１４には、地図ＭＰが表示されている。地図ＭＰには、地図上の方角を示す方角表示Ｓ１および現在表示中の地図ＭＰの縮尺を示す縮尺表示Ｓ２が表示される。図６では、最大広域縮尺を１ｋｍと設定している。
【００５５】
また、グループを形成する車両３３０（メンバー）は、合計４台であり、「１」〜「４」でナンバリングされている。このうち、図６のディスプレイ４１４を有するナビゲーション装置３２０が搭載された車両３３０（ナンバー「１」）の現在位置は、位置表示６０１で示される。
【００５６】
図５のステップＳ５０６で説明したように、最大広域縮尺で表示した地図ＭＰに、すべての車両３３０の位置を表示できないと判断した場合、ナビゲーション装置３２０は、位置を表示できるメンバーについては地図ＭＰに位置表示を、位置を表示できないメンバーについては位置表示に代わるアイコンを表示する。
【００５７】
このため、ナンバー「１」の車両３３０（自車）から比較的近くを走行しているナンバー「３」のメンバーの位置は、位置表示６０３としてディスプレイ４１４に表示される。一方、ナンバー「１」の車両３３０（自車）から比較的遠くを走行しているナンバー「２」およびナンバー「４」のメンバーについては、地図ＭＰ上に位置を表示する代わりに、グループのメンバーを示すメンバーアイコン６０２（６０２ａ，６０２ｂ），６０４（６０４ａ，６０４ｂ）が表示される。
【００５８】
メンバーアイコン６０２，６０４は、それぞれのメンバーの実際の位置の方角を示す方角表示６０２ａ，６０４ａ、および、実際の位置までの距離を示す距離表示６０２ｂ，６０４ｂによって構成される。これにより、車両３３０の実際の位置は地図ＭＰに表示されていないものの、その大まかな位置を把握することができる。
【００５９】
また、グループメンバーの共通目的地点を示す目的地点アイコン６１０（６１０ａ，６１０ｂ）が表示される。目的地点アイコン６１０は、目的地点の方角を示す方角表示６１０ａ、および、目的地点までの距離を示す距離表示６１０ｂによって構成される。
【００６０】
これらのアイコンを操作（クリックなど）すると、ディスプレイ４１４の表示が操作に合わせて切り替わる。たとえば、メンバーアイコン６０４をクリックすると、ナンバー「４」のメンバーの位置を中心とした地図ＭＰを表示する。また、目的地点アイコン６１０をクリックすると、グループ共通の目的地点の位置を中心とした地図ＭＰを表示する。
【００６１】
図７は、メンバーアイコンをクリックした際の表示画面の一例を示す説明図である。図６のナンバー「４」のメンバーアイコン６０４をクリックすると、ディスプレイ４１４には、ナンバー「４」のメンバーの位置表示７０４が表示される。ここで、メンバーアイコンがクリックされた場合には、そのメンバーの現在位置周辺の詳細な地図ＭＰを表示するため、地図ＭＰの表示縮尺を切り換えてもよい。
【００６２】
地図ＭＰに表示できない他のメンバーの位置は、メンバーアイコン７０１（７０１ａ，７０１ｂ），７０２（７０２ａ，７０２ｂ），７０３（７０３ａ，７０３ｂ）によって表示される。このように表示が切り替わったのち、所定の時間が経過した後は、自車の位置を中心とした画面表示に切り換えてもよい。
【００６３】
図８は、目的地点アイコンをクリックした際の表示画面の一例を示す説明図である。図６の目的地点アイコン６１０をクリックすると、ディスプレイ４１４には、目的地点の位置表示８１０を中心とした地図ＭＰが表示される。地図ＭＰに表示できないメンバーの位置は、メンバーアイコン８０１（８０１ａ，８０１ｂ），８０２（８０２ａ，８０２ｂ），８０３（８０３ａ，８０３ｂ），８０４（８０４ａ，８０４ｂ）によって表示される。図７の説明と同様に、表示が切り替わったのち、所定の時間が経過した後は、自車の位置を中心とした画面表示に切り換えてもよい。
【００６４】
以上説明したように、位置表示システム３００によれば、複数の車両３３０の現在位置のうち、ユーザによって設定された縮尺で表示した地図上に表示できないものがある場合には、位置表示の代わりにアイコンを表示する。これにより、地図の縮尺を所定の縮尺にしたまま、ユーザにグループに参加するすべての車両３３０の位置を把握させることができる。
【００６５】
このとき表示されるアイコンには、表示できない車両３３０が位置する方角および距離が表示されるため、ユーザはより具体的にその位置を知ることができる。また、アイコンに対してクリックなどの操作をおこなうと、アイコンが表す車両３３０を中心として地図を表示する。これにより、表示できない車両３３０の周辺の状況を把握させることができる。同様に、目的地点を示す目的地点アイコンを設けることによって、グループ内のすべての車両３３０の走行状況を客観的に把握することができ、目的地点までの移動を円滑におこなうことができる。
【００６６】
なお、本実施の形態で説明した位置表示方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、ＣＤ−ＲＯＭ、ＭＯ、ＤＶＤなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【００６７】
【図１】実施の形態にかかる位置表示装置１００の機能的構成を示すブロック図である。
【図２】位置表示装置１００のよる位置表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図３】実施例にかかる位置表示システムのシステム構成を示す説明図である。
【図４】ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図５】ナビゲーション装置によるグループ内位置表示処理の手順を示すフローチャートである。
【図６】アイコンの表示形態の一例を示す説明図である。
【図７】メンバーアイコンをクリックした際の表示画面の一例を示す説明図である。
【図８】目的地点アイコンをクリックした際の表示画面の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【００６８】
１００ 位置表示装置
１０１ 取得部
１０２ 表示部
１０３ 入力部
１０４ 設定部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
複数の移動体の現在位置を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された現在位置を表示画面に表示された地図上に表示する表示手段と、を備え、
前記表示手段は、前記表示画面に所定の縮尺で前記地図を表示した場合、前記複数の移動体のうち前記地図上に位置を表示できない移動体（以下、「表示不可移動体」という）の位置表示に代えて、前記表示不可移動体の実際の位置を表すアイコンを前記表示画面に表示することを特徴とする位置表示装置。
【請求項２】
前記表示手段は、前記表示不可移動体が位置する方角および前記地図上の所定の地点から前記表示不可移動体までの距離を表す表示を前記アイコンとして表示することを特徴とする請求項１に記載の位置表示装置。
【請求項３】
前記表示画面における各種の表示を変更するための指示入力をおこなう入力手段を備え、
前記表示手段は、前記入力手段によって前記アイコンに対して所定の指示入力がおこなわれた場合、当該アイコンが表す前記表示不可移動体の実際の位置を中心として前記地図を表示することを特徴とする請求項１または２に記載の位置表示装置。
【請求項４】
前記地図の表示縮尺を設定する設定手段を備え、
前記表示手段は、前記設定手段によって設定された表示縮尺で前記表示画面に前記地図を表示することを特徴とする請求項１〜３のいずれか一つに記載の位置表示装置。
【請求項５】
前記取得手段は、同一の地点を目的地点として移動する複数の移動体の現在位置を取得し、
前記表示手段は、前記目的地点を中心として前記地図を表示することを特徴とする請求項１〜４のいずれか一つに記載の位置表示装置。
【請求項６】
複数の移動体の現在位置を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された現在位置を表示画面に表示された地図上に表示する表示工程と、を含み、
前記表示工程では、前記表示画面に所定の縮尺で前記地図を表示した場合、前記複数の移動体のうち前記地図上に位置を表示できない移動体（以下、「表示不可移動体」という）の位置表示に代えて、前記表示不可移動体の実際の位置を表すアイコンを前記表示画面に表示することを特徴とする位置表示方法。
【請求項７】
請求項６に記載の位置表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする位置表示プログラム。
【請求項８】
請求項７に記載の位置表示プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【請求項１】
複数の移動体の現在位置を取得する取得手段と、
前記取得手段によって取得された現在位置を表示画面に表示された地図上に表示する表示手段と、を備え、
前記表示手段は、前記表示画面に所定の縮尺で前記地図を表示した場合、前記複数の移動体のうち前記地図上に位置を表示できない移動体（以下、「表示不可移動体」という）の位置表示に代えて、前記表示不可移動体の実際の位置を表すアイコンを前記表示画面に表示することを特徴とする位置表示装置。
【請求項２】
前記表示手段は、前記表示不可移動体が位置する方角および前記地図上の所定の地点から前記表示不可移動体までの距離を表す表示を前記アイコンとして表示することを特徴とする請求項１に記載の位置表示装置。
【請求項３】
前記表示画面における各種の表示を変更するための指示入力をおこなう入力手段を備え、
前記表示手段は、前記入力手段によって前記アイコンに対して所定の指示入力がおこなわれた場合、当該アイコンが表す前記表示不可移動体の実際の位置を中心として前記地図を表示することを特徴とする請求項１または２に記載の位置表示装置。
【請求項４】
前記地図の表示縮尺を設定する設定手段を備え、
前記表示手段は、前記設定手段によって設定された表示縮尺で前記表示画面に前記地図を表示することを特徴とする請求項１〜３のいずれか一つに記載の位置表示装置。
【請求項５】
前記取得手段は、同一の地点を目的地点として移動する複数の移動体の現在位置を取得し、
前記表示手段は、前記目的地点を中心として前記地図を表示することを特徴とする請求項１〜４のいずれか一つに記載の位置表示装置。
【請求項６】
複数の移動体の現在位置を取得する取得工程と、
前記取得工程によって取得された現在位置を表示画面に表示された地図上に表示する表示工程と、を含み、
前記表示工程では、前記表示画面に所定の縮尺で前記地図を表示した場合、前記複数の移動体のうち前記地図上に位置を表示できない移動体（以下、「表示不可移動体」という）の位置表示に代えて、前記表示不可移動体の実際の位置を表すアイコンを前記表示画面に表示することを特徴とする位置表示方法。
【請求項７】
請求項６に記載の位置表示方法をコンピュータに実行させることを特徴とする位置表示プログラム。
【請求項８】
請求項７に記載の位置表示プログラムを記録したコンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【公開番号】特開２００７−２３２５８７（Ｐ２００７−２３２５８７Ａ）
【公開日】平成１９年９月１３日（２００７．９．１３）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−５４９５７（Ｐ２００６−５４９５７）
【出願日】平成１８年３月１日（２００６．３．１）
【出願人】（０００００５０１６）パイオニア株式会社 (3,620)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１９年９月１３日（２００７．９．１３）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年３月１日（２００６．３．１）
【出願人】（０００００５０１６）パイオニア株式会社 (3,620)
【Ｆターム（参考）】
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