説明

作業車両

【課題】走行中に走行速度を必要に応じて簡易な操作により微調節することが可能な作業車両を提供する。
【解決手段】HST82と、変速用アクチュエータ82aと、主変速レバー94と、主変速操作量検出手段94aと、調速用アクチュエータ71bと、アクセルレバー93と、アクセル操作量検出手段93aと、フットペダル95と、フットペダル操作量検出手段95aと、走行速度検出手段101と、主変速レバー94の操作量に基づいて走行速度Vを調節するとともに、アクセルレバー93の操作量に基づいて走行速度Vを調節する一方、フットペダル操作量検出手段95aによりフットペダル95が操作されたことを検出した場合、フットペダル95の操作量に基づいて補正率Rを算出し、変速用アクチュエータ82aを動作させることで補正率Rだけ走行速度Vを変化させる制御手段100と、を具備した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンバインや田植機等の作業車両の技術に関し、より詳細には、作業車両の走行速度の変速制御に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行用変速装置の変速操作に連係してエンジンの調速装置が作動される作業車両の技術は公知となっている。このような作業車両の技術としては、特許文献1に記載の作業車両が知られている。
【0003】
特許文献1に記載の作業車両は、走行用変速装置とエンジンの調速装置とを連係させる連係機構と、前記走行用変速装置の変速操作に対応する前記調速装置の作動状態を調節する調節手段と、を具備するものである。この作業車両では、前記走行用変速装置の変速比と前記エンジンの回転数との関係を任意に調節することが可能となっている。
したがって、例えば、前記作業車両の低速走行時における前記エンジンの回転数を高く設定することにより、当該エンジンの出力不足によるエンジンストップを防止できる。また、エンジン効率の高い回転数(例えば、定格回転数)に対応する前記走行用変速装置の変速比を任意に設定することができ、エンジン効率の高い状態かつ所望の走行速度で作業や走行を行うことができる。
【0004】
しかし、特許文献1に記載の作業車両は、前記エンジンの回転数を最適な回転数(例えば、定格回転数)に保持したまま、圃場の状態や作業内容等に応じて最適な走行速度で作業を行うためには、当該圃場の状態等に応じて都度前記調節手段を調節する必要があり、操作が煩雑である点で不利であった。また、1つの圃場における作業においても、場所によって圃場の状態や作業内容等が異なるため、都度前記調節手段を調節する必要があり、操作が煩雑である点で不利であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−170067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の如き状況を鑑みてなされたものであり、走行中に走行速度を必要に応じて簡易な操作により微調節することが可能な作業車両を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1においては、
エンジンの出力回転を変速して走行装置へと伝達する油圧式無段変速装置と、
前記油圧式無段変速装置の変速比を変更する変速用アクチュエータと、
前記油圧式無段変速装置の変速比を設定することで走行速度を設定する主変速操作具と、
前記主変速操作具の操作量を検出する主変速操作量検出手段と、
前記エンジンの出力回転を変更する調速用アクチュエータと、
前記エンジンの出力回転を設定することで走行速度を設定するアクセル操作具と、
前記アクセル操作具の操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
作業者の足で操作可能なフットペダルと、
前記フットペダルの操作量を検出するフットペダル操作量検出手段と、
走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記主変速操作量検出手段により検出される前記主変速操作具の操作量に基づいて前記変速用アクチュエータを動作させることで走行速度を調節するとともに、前記アクセル操作量検出手段により検出される前記アクセル操作具の操作量に基づいて前記調速用アクチュエータを動作させることで走行速度を調節する一方、
前記フットペダル操作量検出手段により前記フットペダルが操作されたことを検出した場合、前記フットペダル操作量検出手段により検出される前記フットペダルの操作量に基づいて補正率を算出し、前記変速用アクチュエータを動作させることで前記補正率だけ走行速度を変化させる制御手段と、
を具備するものである。
【0008】
請求項2においては、
エンジンの出力回転を変速して走行装置へと伝達する油圧式無段変速装置と、
前記油圧式無段変速装置の変速比を変更する変速用アクチュエータと、
走行速度を設定する主変速操作具と、
前記主変速操作具の操作量を検出する主変速操作量検出手段と、
前記エンジンの出力回転を変更する調速用アクチュエータと、
前記エンジンの出力回転を設定することで走行速度を設定するアクセル操作具と、
前記アクセル操作具の操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
作業者の足で操作可能なフットペダルと、
前記フットペダルの操作量を検出するフットペダル操作量検出手段と、
走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記主変速操作量検出手段により検出される前記主変速操作具の操作量に基づいて前記変速用アクチュエータを動作させることで走行速度を調節するとともに、前記アクセル操作量検出手段により検出される前記アクセル操作具の操作量に基づいて前記調速用アクチュエータを動作させることで走行速度を調節する一方、
前記フットペダル操作量検出手段により前記フットペダルが操作されたことを検出した場合、前記フットペダル操作量検出手段により検出される前記フットペダルの操作量に基づいて補正率を算出し、前記調速用アクチュエータを動作させることで前記補正率だけ走行速度を変化させる制御手段と、
を具備するものである。
【0009】
請求項3においては、
エンジンの出力回転を変速して走行装置へと伝達する油圧式無段変速装置と、
前記油圧式無段変速装置の変速比を変更する変速用アクチュエータと、
走行速度を設定する主変速操作具と、
前記主変速操作具の操作量を検出する主変速操作量検出手段と、
前記エンジンの出力回転を変更する調速用アクチュエータと、
前記エンジンの出力回転を設定することで走行速度を設定するアクセル操作具と、
前記アクセル操作具の操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
作業者の足で操作可能なフットペダルと、
前記フットペダルの操作量を検出するフットペダル操作量検出手段と、
走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記主変速操作量検出手段により検出される前記主変速操作具の操作量に基づいて前記変速用アクチュエータを動作させることで走行速度を調節するとともに、前記アクセル操作量検出手段により検出される前記アクセル操作具の操作量に基づいて前記調速用アクチュエータを動作させることで走行速度を調節する一方、
前記フットペダル操作量検出手段により前記フットペダルが操作されたことを検出した場合、前記フットペダル操作量検出手段により検出される前記フットペダルの操作量に基づいて補正率を算出し、前記変速用アクチュエータ及び前記調速用アクチュエータを動作させることで前記補正率だけ走行速度を変化させる制御手段と、
を具備するものである。
【0010】
請求項4においては、
前記制御手段は、
前記補正率を一定の範囲に制限するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0012】
請求項1においては、必要に応じてフットペダルを操作することにより、走行中に走行速度を簡易な操作により微調節することが可能となる。これによって、低速で作業する必要がある場所や、低速で畦を超える場合等に、フットペダルの操作だけで走行速度を調節することができ、作業車両の操作性及び作業効率の向上を図ることができる。また、油圧式無段変速装置の変速比を調節することにより、エンジンを一定回転数(例えば、定格回転数等)で駆動したまま走行速度を調節することができ、エンジンの出力を効率の良い状態に保ったまま走行速度を調節することができる。
【0013】
請求項2においては、必要に応じてフットペダルを操作することにより、走行中に走行速度を簡易な操作により微調節することが可能となる。これによって、低速で作業する必要がある場所や、低速で畦を超える場合等に、フットペダルの操作だけで走行速度を調節することができ、作業車両の操作性及び作業効率の向上を図ることができる。また、エンジンの出力回転を調節することにより、作業車両に負荷が加わりエンジンの出力回転が低下した場合に、当該エンジンの出力回転を増大させることができる。
【0014】
請求項3においては、必要に応じてフットペダルを操作することにより、走行中に走行速度を簡易な操作により微調節することが可能となる。これによって、低速で作業する必要がある場所や、低速で畦を超える場合等に、フットペダルの操作だけで走行速度を調節することができ、作業車両の操作性及び作業効率の向上を図ることができる。また、エンジンの出力回転及び油圧式無段変速装置の変速比を調節することにより、燃費を向上させる等、目的に合わせて最適な走行速度の制御を行うことができる。
【0015】
請求項4においては、フットペダルによって調節可能な走行速度の範囲を一定の範囲内に限定して、急激な走行速度の変化を防止することができ、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る作業車両の実施の一形態であるコンバインを示す側面図。
【図2】コンバインの動力伝達の構成を示す概略図。
【図3】コンバインの走行速度の制御機構を示す概略図。
【図4】第1実施形態に係る走行速度の制御態様を示すフロー図。
【図5】第2実施形態に係る走行速度の制御態様を示すフロー図。
【図6】第3実施形態に係る走行速度の制御態様を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る作業車両の第1実施形態であるコンバイン1について、図面を参照して説明する。なお、本発明に係る作業車両は、本実施形態に係るコンバイン1に限るものではなく、その他の農業用作業車両や工事用作業車両等であってもよい。
【0018】
まず、図1を用いて、コンバイン1の全体構成について説明する。
【0019】
コンバイン1には、走行部10と、刈取部20と、脱穀部30と、選別部40と、穀粒貯溜部50と、排藁処理部60と、エンジン部70と、ミッション部80と、操縦部90とが備えられる。
【0020】
走行部10は機体フレーム2の下部に設けられる。走行部10は左右一対のクローラを有するクローラ式走行装置11・11等を有し、左右のクローラ式走行装置11・11により機体を前進又は後進方向に走行させることができるように構成される。クローラ式走行装置11・11は、走行装置の実施の一形態であり、コンバイン1以外の作業車両(例えばトラクタ等)の場合は、ホイール式の走行装置等により構成することも可能である。
【0021】
刈取部20は機体フレーム2の前端部に機体に対して昇降可能に設けられる。刈取部20は分草具21や、引起装置22や、切断装置23や、搬送装置24等を有し、分草具21により圃場の穀稈を分草し、引起装置22により分草後の穀稈を引き起こし、切断装置23により引き起こし後の穀稈を切断し、搬送装置24により切断後の穀稈を脱穀部30側へ搬送することができるように構成される。
【0022】
脱穀部30は機体フレーム2の左側前部に設けられ、刈取部20の後方に配置される。脱穀部30は搬送装置31や、扱胴32(図2参照)や受網等を有し、搬送装置31により刈取部20の搬送装置24からの穀稈を受け継いで排藁処理部60側へ搬送し、扱胴32及び前記受網により搬送中の穀稈を脱穀し、その脱穀物を漏下させることができるように構成される。
【0023】
選別部40は機体フレーム2の左側部に設けられ、脱穀部30の下方に配置される。選別部40は揺動選別装置や、風選別装置や、穀粒搬送装置や、藁屑排出装置等を有し、前記揺動選別装置により脱穀部30から落下する脱穀物を穀粒と藁屑や塵埃等とに揺動選別し、前記風選別装置により揺動選別後のものを更に穀粒と藁屑や塵埃等とに風選別し、前記穀粒搬送装置により選別後の穀粒を穀粒貯溜部50側へ搬送する一方、前記藁屑排出装置により藁屑や塵埃等を外部へ排出することができるように構成される。
【0024】
穀粒貯溜部50は機体フレーム2の右側後部に設けられ、脱穀部30及び選別部40の右側方に配置される。穀粒貯溜部50は穀粒タンク51や、穀粒排出装置52等を有し、穀粒タンク51により選別部40から搬送されてくる穀粒を一時的に貯溜し、穀粒排出装置52により貯溜中の穀粒を穀粒タンク51から排出し、さらに任意の方向に搬送してから外部へ排出することができるように構成される。
【0025】
排藁処理部60は機体フレーム2の左側後部に設けられ、脱穀部30の後方に配置される。排藁処理部60は排藁搬送装置や、排藁切断装置等を有し、前記排藁搬送装置により脱穀部30の搬送装置31からの脱穀済みの穀稈を受け継いでこれを排藁として外部へ排出する、又は前記排藁切断装置へ搬送し、当該排藁切断装置により切断してから外部へ排出することができるように構成される。
【0026】
エンジン部70は機体フレーム2の右側前部に設けられ、穀粒貯溜部50の前方に配置される。エンジン部70はエンジン71等を有し、動力(出力回転)をエンジン71からこれを駆動源とする各部の装置に適宜の伝動機構を介して供給し、エンジン71により各部の装置を駆動させることができるように構成される。
【0027】
ミッション部80は機体フレーム2の右側前部に設けられ、エンジン部70の前方に配置される。ミッション部80は油圧式無段変速装置(以下、単に「HST」と記す)82(図2参照)を含むトランスミッション81(図2参照)等を有して、エンジン部70のエンジン71の出力回転が走行部10や、刈取部20等の各装置へ供給される前に、HST82により当該出力回転を変速することができるように構成される。
【0028】
操縦部90は機体フレーム2の右側前部に設けられ、エンジン部70及びミッション部80の上方に配置される。操縦部90は操縦席91や、ステアリングハンドル92を含む操作具類や、ステップ等を有し、操縦席91にステップ上の作業者を着座させ、操作具類により作業者が各部の装置を操作することができるように構成される。
【0029】
このようにして、コンバイン1は、操縦部90での操作具類の操作によって、エンジン部70からエンジン71の出力回転を各部の装置に供給して、走行部10にて機体を走行させながら、刈取部20で圃場の穀稈を刈り取り、脱穀部30で刈取部20からの穀稈を脱穀し、選別部40で脱穀部30からの脱穀物を選別して、穀粒貯溜部50で選別部40からの穀粒を貯溜するととともに、排藁処理部60で脱穀部30からの排藁を外部へ排出することができるように構成される。
【0030】
次に、図2を用いて、コンバイン1の動力伝達機構について説明する。
【0031】
動力伝達機構は、出力回転をエンジン部70のエンジン71から各部の装置に伝達することができるように構成される。
【0032】
具体的には、エンジン71の出力軸71aが、ミッション部80のトランスミッション81の入力軸81aとプーリ及びベルトにより連動連結されて、エンジン71の出力回転が入力軸81aを介してHST82に伝達可能とされる。そして、出力回転がHST82等を介して変速されたあと、トランスミッション81の出力軸81b・81bから走行部10のクローラ式走行装置11・11に伝達可能とされる。
【0033】
トランスミッション81の別の出力軸81cは、一方向クラッチ81d及び刈取クラッチ26を介して刈取入力軸25と連動連結されて、出力回転がトランスミッション81から刈取部20の引起装置22、切断装置23及び搬送装置24(図1参照)に伝達可能とされる。この出力回転の伝達は刈取クラッチ26の入り切り状態に応じて変更される。
【0034】
さらに、エンジン71の出力軸71aは、脱穀クラッチ34を介して脱穀入力軸33と連動連結されて、出力回転がエンジン71から脱穀部30の扱胴32に伝達可能とされる。この脱穀入力軸33が選別入力軸(不図示)と連動連結されて、出力回転がエンジン71から選別部40の前記揺動選別装置や、前記風選別装置や、前記穀粒搬送装置や、前記藁屑排出装置にも伝達可能とされる。これらの出力回転の伝達は脱穀クラッチ34の入り切り状態に応じて変更される。
【0035】
脱穀入力軸33は、流込クラッチ35を介して刈取入力軸25とも連動連結されて、出力回転がエンジン71から刈取部20の引起装置22及び搬送装置24に伝達可能とされる。つまり、出力回転がエンジン71からHST82を経ずに刈取部20に伝達可能とされる。この出力回転の伝達は流込クラッチ35の入り切り状態に応じて変更される。
【0036】
さらに、エンジン71の出力軸71aは、排出クラッチ54を介して排出入力軸53と連動連結されて、出力回転がエンジン71から穀粒貯溜部50の排出コンベア52aを含む穀粒排出装置52に伝達可能とされる。この出力回転の伝達は排出クラッチ54の入り切り状態に応じて変更される。
【0037】
刈取クラッチ26と、脱穀クラッチ34と、流込クラッチ35と、排出クラッチ54とは、それぞれ後述の制御手段100による駆動制御にてソレノイド等のクラッチアクチュエータが駆動されることで、入り状態又は切り状態に切り替えられるように構成される。なお、スイッチ等の操作具を用いて、手動で入り切り操作される構成とすることも可能である。
【0038】
こうして、出力回転がエンジン71から各部の装置に伝達されるとき、走行部10では、クローラ式走行装置11・11が駆動可能とされる。このクローラ式走行装置11・11が駆動される場合に、走行機体、すなわちコンバイン1が任意の走行速度で走行する。
【0039】
刈取部20では、引起装置22及び搬送装置24が、走行機体の前進時に、刈取クラッチ26が入り状態とされた場合に、駆動速度を車速と同調させて駆動され、刈取クラッチ26が切り状態とされた場合に停止される。同様に、脱穀部30では、搬送装置31が、走行機体の前進時に、刈取クラッチ26が入り状態とされた場合に駆動され、刈取クラッチ26が切り状態とされた場合に停止される。
【0040】
なお、刈取部20の引起装置22及び搬送装置24、脱穀部30の搬送装置31は、走行機体の後進時や停止時等に、刈取クラッチ26が切り状態とされても、流込クラッチ35が入り状態とされた場合には走行速度とは関係なく駆動され、その後に流込クラッチ35が切り状態とされた場合に停止される。
【0041】
また、脱穀部30では、扱胴32が、脱穀クラッチ34が入り状態とされた場合に駆動され、脱穀クラッチ34が切り状態とされた場合に停止される。同様に、選別部40では、前記揺動選別装置や、前記風選別装置や、前記穀粒搬送装置や、前記藁屑排出装置が、脱穀クラッチ34が入り状態とされた場合に駆動され、脱穀クラッチ34が切り状態とされた場合に停止される。
【0042】
穀粒貯溜部50では、穀粒排出装置52が、排出クラッチ54が入り状態とされた場合に駆動され、排出クラッチ54が切り状態とされた場合に停止される。
【0043】
次に、図3を用いて、コンバイン1の制御機構について説明する。
【0044】
制御機構は、種々の条件に基づいてコンバイン1の走行速度Vを調節することができるように構成される。
【0045】
制御機構は、主としてアクセルレバー93、主変速レバー94、フットペダル95、走行速度検出手段101、変速用アクチュエータ82a、調速用アクチュエータ71b、制御手段100等を具備する。
【0046】
アクセルレバー93は、エンジンの出力回転を設定する操作具であり、操縦部90に配置される。アクセルレバー93は、アクセル操作具の実施の一形態である。アクセルレバー93の操作量は、アクセル操作量検出手段93aにより検出することができる。
なお、本実施形態においては、アクセル操作具をアクセルレバー93により構成するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、アクセル操作具は、スライド式やダイヤル式のスイッチ等により構成することも可能である。
【0047】
主変速レバー94は、HST82の変速比を設定する操作具であり、操縦部90に配置される。主変速レバー94は、主変速操作具の実施の一形態である。主変速レバー94の操作量は、主変速操作量検出手段94aにより検出することができる。
なお、本実施形態においては、主変速操作具を主変速レバー94により構成するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、主変速操作具は、スライド式やダイヤル式のスイッチ等により構成することも可能である。
【0048】
フットペダル95は、作業者の足で操作可能な操作具であり、操縦部90の操縦席91の前下方(操縦席91に着座した作業者が足で操作可能な位置)に配置される。フットペダル95の操作量は、フットペダル操作量検出手段95aにより検出することができる。なお、本実施形態において、フットペダル95はコンバイン1の走行速度Vを増大又は減少させるものであるが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、フットペダル95は、コンバイン1の走行速度Vを増大させることのみ可能な構成とすることや、コンバイン1の走行速度Vを減少させることのみ可能な構成とすることも可能である。また、フットペダル95をシーソー式のペダルにより構成し、走行速度Vを増大又は減少させることも可能である。
【0049】
走行速度検出手段101は、コンバイン1の走行速度Vを検出するものである。走行速度検出手段101は、HST82の出力軸81b・81bの回転数を検出する回転数センサにより構成される。
なお、本実施形態においては、走行速度検出手段101を出力軸81b・81bの回転数を検出する回転数センサにより構成するものとしたが、本発明はこれに限るものではない。すなわち、走行速度検出手段101は、クローラ式走行装置11・11の駆動輪の回転数を検出するセンサや、対地速度センサ等によって構成することも可能である。
【0050】
変速用アクチュエータ82aは、HST82のトラニオン軸を回動させることにより、当該HST82の変速比を変更するものである。
【0051】
調速用アクチュエータ71bは、エンジン71の調速機構を駆動させることにより、当該エンジン71の出力回転を変更するものである。
【0052】
制御手段100は、種々のデータやプログラム等に基づいて、変速用アクチュエータ82a及び調速用アクチュエータ71bの動作を制御するものである。
【0053】
制御手段100は、アクセル操作量検出手段93a、主変速操作量検出手段94a、及びフットペダル操作量検出手段95aに接続され、アクセルレバー93の操作量、主変速レバー94の操作量、及びフットペダル95の操作量を検出信号として受信することができる。
【0054】
制御手段100は、走行速度検出手段101に接続され、HST82の出力軸81b・81bの回転数を検出信号として受信することができ、この検出信号に基づいてコンバイン1の走行速度Vを検出することができる。
【0055】
制御手段100は、変速用アクチュエータ82a及び調速用アクチュエータ71bに接続され、変速用アクチュエータ82a及び調速用アクチュエータ71bの動作を制御することができる。
【0056】
制御手段100は、具体的には、CPU、ROM、RAM、HDD等がバスで接続される構成であってもよく、あるいはワンチップのLSI等からなる構成であってもよい。制御手段100には、変速用アクチュエータ82aの動作等を制御するための種々のデータやプログラム等が格納される。制御手段100は、アクセルレバー93、主変速レバー94、フットペダル95の各操作量、及び走行速度検出手段101により検出されるコンバイン1の走行速度Vに基づいて、変速用アクチュエータ82a及び調速用アクチュエータ71bの動作を制御する。
【0057】
以下では、図4を用いて、第1実施形態に係る走行速度Vの制御態様について説明する。
【0058】
ステップS101において、制御手段100は、アクセルレバー93及び主変速レバー94の操作量を検出する。
制御手段100は、上記処理を行った後、ステップS102に移行する。
【0059】
ステップS102において、制御手段100は、アクセルレバー93及び主変速レバー94の操作量に基づいて調速用アクチュエータ71b及び変速用アクチュエータ82aを動作させる。この場合の調速用アクチュエータ71b及び変速用アクチュエータ82aの動作量は、アクセルレバー93及び主変速レバー94の操作量に基づいて定められる。
制御手段100は、上記処理を行った後、ステップS103に移行する。
【0060】
ステップS103において、制御手段100は、フットペダル95が操作されたか否かを判定する。具体的には、フットペダル操作量検出手段95aによってフットペダル95の操作量が所定量以上検出された場合、当該フットペダル95が操作されたと判定する。
制御手段100は、フットペダル95が操作されていないと判定した場合、ステップS101に移行する。このように、フットペダル95が操作されない場合、ステップS101からステップS103までの処理を繰り返すことにより、アクセルレバー93及び主変速レバー94の操作量に基づく走行速度Vの調節を行うことができる。
制御手段100は、フットペダル95が操作されたと判定した場合、ステップS104に移行する。
【0061】
ステップS104において、制御手段100は、フットペダル95の操作量に基づく走行速度Vの制御(後述するステップS107からステップS109まで)(以下、この制御を単に「補正」と記す)を行う直前の走行速度Vである走行速度Vfを取得する。
制御手段100は、上記処理を行った後、ステップS105に移行する。
【0062】
ステップS105において、制御手段100は、フットペダル操作量検出手段95aによって検出された、現時点におけるフットペダル95の操作量を取得する。
制御手段100は、上記処理を行った後、ステップS106に移行する。
【0063】
ステップS106において、制御手段100は、フットペダル95の操作量に基づいて、補正率Rを算出する。補正率Rとは、前記補正によって変化させる走行速度Vの変化量ΔVの、走行速度Vfに対する割合(%)をいう。具体的には、R=(ΔV/Vf)×100(%)で算出される。また、前記補正によって走行速度Vが増大される場合、ΔV及びRは正の値であり、前記補正によって走行速度Vが減少される場合、ΔV及びRは負の値である。
【0064】
また、補正率Rが取り得る値を、一定の範囲内に制限する構成とすることも可能である。すなわち、制御手段100に接続される図示しない補正率の上限・下限設定手段(例えば、ダイヤル式のスイッチ等)によって、補正率Rの上限値及び下限値を設定する。例えば、補正率Rの上限値を10(%)、下限値を−10(%)と設定することで、補正率Rが取り得る範囲は、フットペダル95の操作量にかかわらず、−10(%)≦R≦10(%)となる。
このように、補正率Rを一定の範囲内に制限することで、前記補正による急激な走行速度Vの変化を防止することができ、コンバイン1の操作性を向上させることができる。
【0065】
制御手段100は、ステップS106の処理を行った後、ステップS107に移行する。
【0066】
ステップS107において、制御手段100は、補正率Rに基づいて変速用アクチュエータ82aを動作させる。すなわち、制御手段100は、補正率Rが正の値である場合は走行速度Vが増大するように、補正率Rが負の値である場合は走行速度Vが減少するように、変速用アクチュエータ82aを動作させる。
制御手段100は、上記処理を行った後、ステップS108に移行する。
【0067】
ステップS108において、制御手段100は、ステップS107の処理を行った直後の走行速度Vである走行速度Vcを取得する。
制御手段100は、上記処理を行った後、ステップS109に移行する。
【0068】
ステップS109において、制御手段100は、走行速度Vfが補正率Rだけ変化したか否かを判定する。すなわち、Vc=Vf+(Vf×R/100)=Vf+ΔVであるか否かを判定する。
制御手段100は、走行速度Vfが補正率Rだけ変化していない(Vc≠Vf+ΔV)と判定した場合、ステップS107に移行する。このように、制御手段100は、ステップS107からステップS109までの処理を繰り返すことにより、走行速度VをVf+ΔVまで変化させる。
【0069】
以上の如く、本実施形態に係るコンバイン1は、
エンジン71の出力回転を変速してクローラ式走行装置11・11へと伝達するHST82と、
HST82の変速比を変更する変速用アクチュエータ82aと、
HST82の変速比を設定することで走行速度Vを設定する主変速レバー94と、
主変速レバー94の操作量を検出する主変速操作量検出手段94aと、
エンジン71の出力回転を変更する調速用アクチュエータ71bと、
エンジン71の出力回転を設定することで走行速度Vを設定するアクセルレバー93と、
アクセルレバー93の操作量を検出するアクセル操作量検出手段93aと、
作業者の足で操作可能なフットペダル95と、
フットペダル95の操作量を検出するフットペダル操作量検出手段95aと、
走行速度Vを検出する走行速度検出手段101と、
主変速操作量検出手段94aにより検出される主変速レバー94の操作量に基づいて変速用アクチュエータ82aを動作させることで走行速度Vを調節するとともに、アクセル操作量検出手段93aにより検出されるアクセルレバー93の操作量に基づいて調速用アクチュエータ71bを動作させることで走行速度Vを調節する一方、
フットペダル操作量検出手段95aによりフットペダル95が操作されたことを検出した場合、フットペダル操作量検出手段95aにより検出されるフットペダル95の操作量に基づいて補正率Rを算出し、変速用アクチュエータ82aを動作させることで補正率Rだけ走行速度Vを変化させる制御手段100と、
を具備するものである。
このように構成することにより、必要に応じてフットペダル95を操作することにより、走行中に走行速度Vを簡易な操作により微調節することが可能となる。これによって、低速で作業する必要がある場所や、低速で畦を超える場合等に、フットペダル95の操作だけで走行速度Vを調節することができ、コンバイン1の操作性及び作業効率の向上を図ることができる。また、HST82の変速比を調節することにより、エンジン71を一定回転数(例えば、定格回転数等)で駆動したまま走行速度Vを調節することができ、エンジン71の出力を効率の良い状態に保ったまま走行速度Vを調節することができる。さらに、走行速度Vを調節する際に主変速レバー94やアクセルレバー93を操作することがないため、フットペダル95を操作する直前の走行速度Vと、フットペダル95の操作を終了した場合の走行速度Vは等しくなる。これによって、基準となる走行速度Vを一定に保ったまま、フットペダル95によって走行速度Vを微調節することができる。
【0070】
また、本実施形態に係る制御手段100は、
補正率Rを一定の範囲(例えば、−10(%)≦R≦10(%))に制限するものである。
このように構成することにより、フットペダル95によって調節可能な走行速度Vの範囲を一定の範囲内に限定して、急激な走行速度Vの変化を防止することができ、操作性を向上させることができる。
【0071】
以下では、図5を用いて、第2実施形態に係るコンバイン1について説明する。なお、本実施形態に係るコンバイン1の構成は、第1実施形態に係るコンバイン1の構成(図1から図3参照)と略同一であり、その制御態様のみが異なる。よって以下では、第2実施形態に係るコンバイン1の構成についての説明は省略し、走行速度Vの制御態様についてのみ説明する。
【0072】
ステップS201からステップS206までの処理は、第1実施形態に係るステップS101からステップS106までの処理(図4参照)と略同一であるため、説明は省略する。
【0073】
ステップS207において、制御手段100は、補正率Rに基づいて調速用アクチュエータ71bを動作させる。すなわち、制御手段100は、補正率Rが正の値である場合は走行速度Vが増大するように、補正率Rが負の値である場合は走行速度Vが減少するように、調速用アクチュエータ71bを動作させてエンジンの出力回転を変更する。
制御手段100は、上記処理を行った後、ステップS208に移行する。
【0074】
ステップS208において、制御手段100は、ステップS207の処理を行った直後の走行速度Vである走行速度Vcを取得する。
制御手段100は、上記処理を行った後、ステップS209に移行する。
【0075】
ステップS209において、制御手段100は、走行速度Vfが補正率Rだけ変化したか否かを判定する。すなわち、Vc=Vf+(Vf×R/100)=Vf+ΔVであるか否かを判定する。
制御手段100は、走行速度Vfが補正率Rだけ変化していない(Vc≠Vf+ΔV)と判定した場合、ステップS207に移行する。このように、制御手段100は、ステップS207からステップS209までの処理を繰り返すことにより、走行速度VをVf+ΔVまで変化させる。
なお、前記同様に、制御手段100に接続される図示しない補正率の上限・下限設定手段によって、補正率Rの上限値及び下限値を設定することが可能である。この場合、下限値は、エンストしないエンジンの出力回転であり、作業時には当該作業の負荷に応じた下限値に設定される。
【0076】
以上の如く、本実施形態に係るコンバイン1は、
エンジン71の出力回転を変速してクローラ式走行装置11・11へと伝達するHST82と、
HST82の変速比を変更する変速用アクチュエータ82aと、
HST82の変速比を設定することで走行速度Vを設定する主変速レバー94と、
主変速レバー94の操作量を検出する主変速操作量検出手段94aと、
エンジン71の出力回転を変更する調速用アクチュエータ71bと、
エンジン71の出力回転を設定することで走行速度Vを設定するアクセルレバー93と、
アクセルレバー93の操作量を検出するアクセル操作量検出手段93aと、
作業者の足で操作可能なフットペダル95と、
フットペダル95の操作量を検出するフットペダル操作量検出手段95aと、
走行速度Vを検出する走行速度検出手段101と、
主変速操作量検出手段94aにより検出される主変速レバー94の操作量に基づいて変速用アクチュエータ82aを動作させることで走行速度Vを調節するとともに、アクセル操作量検出手段93aにより検出されるアクセルレバー93の操作量に基づいて調速用アクチュエータ71bを動作させることで走行速度Vを調節する一方、
フットペダル操作量検出手段95aによりフットペダル95が操作されたことを検出した場合、フットペダル操作量検出手段95aにより検出されるフットペダル95の操作量に基づいて補正率Rを算出し、調速用アクチュエータ71bを動作させることで補正率Rだけ走行速度Vを変化させる制御手段100と、
を具備するものである。
を具備するものである。
このように構成することにより、必要に応じてフットペダル95を操作することにより、走行中に走行速度Vを簡易な操作により微調節することが可能となる。これによって、低速で作業する必要がある場所や、低速で畦を超える場合等に、フットペダル95の操作だけで走行速度Vを調節することができ、コンバイン1の操作性及び作業効率の向上を図ることができる。また、エンジン71の出力回転を調節することにより、コンバイン1に負荷が加わりエンジン71の出力回転が低下した場合に、当該エンジン71の出力回転を増大させることができる。さらに、走行速度Vを調節する際に主変速レバー94やアクセルレバー93を操作することがないため、フットペダル95を操作する直前の走行速度Vと、フットペダル95の操作を終了した場合の走行速度Vは等しくなる。これによって、基準となる走行速度Vを一定に保ったまま、フットペダル95によって走行速度Vを微調節することができる。
【0077】
以下では、図6を用いて、第3実施形態に係るコンバイン1について説明する。なお、本実施形態に係るコンバイン1の構成は、第1実施形態に係るコンバイン1の構成(図1から図3参照)と略同一であり、その制御態様のみが異なる。よって以下では、第3実施形態に係るコンバイン1の構成についての説明は省略し、走行速度Vの制御態様についてのみ説明する。
【0078】
ステップS301からステップS306までの処理は、第1実施形態に係るステップS101からステップS106までの処理(図4参照)と略同一であるため、説明は省略する。
【0079】
ステップS307において、制御手段100は、補正率Rに基づいて変速用アクチュエータ82a及び調速用アクチュエータ71bを動作させる。すなわち、制御手段100は、補正率Rが正の値である場合は走行速度Vが増大するように、補正率Rが負の値である場合は走行速度Vが減少するように、変速用アクチュエータ82a及び調速用アクチュエータ71bを動作させる。
なお、この場合の変速用アクチュエータ82a及び調速用アクチュエータ71bの動作量の関係は限定するものではない。すなわち、実験や数値計算等により予め定められる両者の最適な関係式を制御手段100に記憶し、当該関係式に基づいて変速用アクチュエータ82a及び調速用アクチュエータ71bの動作を制御すること等が可能である。
制御手段100は、上記処理を行った後、ステップS308に移行する。
【0080】
ステップS308において、制御手段100は、ステップS307の処理を行った直後の走行速度Vである走行速度Vcを取得する。
制御手段100は、上記処理を行った後、ステップS309に移行する。
【0081】
ステップS309において、制御手段100は、走行速度Vfが補正率Rだけ変化したか否かを判定する。すなわち、Vc=Vf+(Vf×R/100)=Vf+ΔVであるか否かを判定する。
制御手段100は、走行速度Vfが補正率Rだけ変化していない(Vc≠Vf+ΔV)と判定した場合、ステップS307に移行する。このように、制御手段100は、ステップS307からステップS309までの処理を繰り返すことにより、走行速度VをVf+ΔVまで変化させる。
【0082】
以上の如く、本実施形態に係るコンバイン1は、
エンジン71の出力回転を変速してクローラ式走行装置11・11へと伝達するHST82と、
HST82の変速比を変更する変速用アクチュエータ82aと、
HST82の変速比を設定することで走行速度Vを設定する主変速レバー94と、
主変速レバー94の操作量を検出する主変速操作量検出手段94aと、
エンジン71の出力回転を変更する調速用アクチュエータ71bと、
エンジン71の出力回転を設定することで走行速度Vを設定するアクセルレバー93と、
アクセルレバー93の操作量を検出するアクセル操作量検出手段93aと、
作業者の足で操作可能なフットペダル95と、
フットペダル95の操作量を検出するフットペダル操作量検出手段95aと、
走行速度Vを検出する走行速度検出手段101と、
主変速操作量検出手段94aにより検出される主変速レバー94の操作量に基づいて変速用アクチュエータ82aを動作させることで走行速度Vを調節するとともに、アクセル操作量検出手段93aにより検出されるアクセルレバー93の操作量に基づいて調速用アクチュエータ71bを動作させることで走行速度Vを調節する一方、
フットペダル操作量検出手段95aによりフットペダル95が操作されたことを検出した場合、フットペダル操作量検出手段95aにより検出されるフットペダル95の操作量に基づいて補正率Rを算出し、変速用アクチュエータ82a及び調速用アクチュエータ71bを動作させることで補正率Rだけ走行速度Vを変化させる制御手段100と、
を具備するものである。
このように構成することにより、必要に応じてフットペダル95を操作することにより、走行中に走行速度Vを簡易な操作により微調節することが可能となる。これによって、低速で作業する必要がある場所や、低速で畦を超える場合等に、フットペダル95の操作だけで走行速度Vを調節することができ、コンバイン1の操作性及び作業効率の向上を図ることができる。また、エンジン71の出力回転及びHST82の変速比を調節することにより、燃費を向上させる等、目的に合わせて最適な走行速度Vの制御を行うことができる。さらに、走行速度Vを調節する際に主変速レバー94やアクセルレバー93を操作することがないため、フットペダル95を操作する直前の走行速度Vと、フットペダル95の操作を終了した場合の走行速度Vは等しくなる。これによって、基準となる走行速度Vを一定に保ったまま、フットペダル95によって走行速度Vを微調節することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 コンバイン
11 クローラ式走行装置(走行装置)
71 エンジン
71b 調速用アクチュエータ
82 HST(油圧式無段変速装置)
82a 変速用アクチュエータ
93 アクセルレバー(アクセル操作具)
93a アクセル操作量検出手段
94 主変速レバー(主変速操作具)
94a 主変速操作量検出手段
95 フットペダル
95a フットペダル操作量検出手段
100 制御手段
101 走行速度検出手段
R 補正率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの出力回転を変速して走行装置へと伝達する油圧式無段変速装置と、
前記油圧式無段変速装置の変速比を変更する変速用アクチュエータと、
前記油圧式無段変速装置の変速比を設定することで走行速度を設定する主変速操作具と、
前記主変速操作具の操作量を検出する主変速操作量検出手段と、
前記エンジンの出力回転を変更する調速用アクチュエータと、
前記エンジンの出力回転を設定することで走行速度を設定するアクセル操作具と、
前記アクセル操作具の操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
作業者の足で操作可能なフットペダルと、
前記フットペダルの操作量を検出するフットペダル操作量検出手段と、
走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記主変速操作量検出手段により検出される前記主変速操作具の操作量に基づいて前記変速用アクチュエータを動作させることで走行速度を調節するとともに、前記アクセル操作量検出手段により検出される前記アクセル操作具の操作量に基づいて前記調速用アクチュエータを動作させることで走行速度を調節する一方、
前記フットペダル操作量検出手段により前記フットペダルが操作されたことを検出した場合、前記フットペダル操作量検出手段により検出される前記フットペダルの操作量に基づいて補正率を算出し、前記変速用アクチュエータを動作させることで前記補正率だけ走行速度を変化させる制御手段と、
を具備する作業車両。
【請求項2】
エンジンの出力回転を変速して走行装置へと伝達する油圧式無段変速装置と、
前記油圧式無段変速装置の変速比を変更する変速用アクチュエータと、
走行速度を設定する主変速操作具と、
前記主変速操作具の操作量を検出する主変速操作量検出手段と、
前記エンジンの出力回転を変更する調速用アクチュエータと、
前記エンジンの出力回転を設定することで走行速度を設定するアクセル操作具と、
前記アクセル操作具の操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
作業者の足で操作可能なフットペダルと、
前記フットペダルの操作量を検出するフットペダル操作量検出手段と、
走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記主変速操作量検出手段により検出される前記主変速操作具の操作量に基づいて前記変速用アクチュエータを動作させることで走行速度を調節するとともに、前記アクセル操作量検出手段により検出される前記アクセル操作具の操作量に基づいて前記調速用アクチュエータを動作させることで走行速度を調節する一方、
前記フットペダル操作量検出手段により前記フットペダルが操作されたことを検出した場合、前記フットペダル操作量検出手段により検出される前記フットペダルの操作量に基づいて補正率を算出し、前記調速用アクチュエータを動作させることで前記補正率だけ走行速度を変化させる制御手段と、
を具備する作業車両。
【請求項3】
エンジンの出力回転を変速して走行装置へと伝達する油圧式無段変速装置と、
前記油圧式無段変速装置の変速比を変更する変速用アクチュエータと、
走行速度を設定する主変速操作具と、
前記主変速操作具の操作量を検出する主変速操作量検出手段と、
前記エンジンの出力回転を変更する調速用アクチュエータと、
前記エンジンの出力回転を設定することで走行速度を設定するアクセル操作具と、
前記アクセル操作具の操作量を検出するアクセル操作量検出手段と、
作業者の足で操作可能なフットペダルと、
前記フットペダルの操作量を検出するフットペダル操作量検出手段と、
走行速度を検出する走行速度検出手段と、
前記主変速操作量検出手段により検出される前記主変速操作具の操作量に基づいて前記変速用アクチュエータを動作させることで走行速度を調節するとともに、前記アクセル操作量検出手段により検出される前記アクセル操作具の操作量に基づいて前記調速用アクチュエータを動作させることで走行速度を調節する一方、
前記フットペダル操作量検出手段により前記フットペダルが操作されたことを検出した場合、前記フットペダル操作量検出手段により検出される前記フットペダルの操作量に基づいて補正率を算出し、前記変速用アクチュエータ及び前記調速用アクチュエータを動作させることで前記補正率だけ走行速度を変化させる制御手段と、
を具備する作業車両。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記補正率を一定の範囲に制限する請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の作業車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−190086(P2010−190086A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−34124(P2009−34124)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000006781)ヤンマー株式会社 (3,810)
【Fターム(参考)】