個人認証装置及び方法
【課題】本発明の目的は、ドアノブなどのグリップを握る自然な動作の中で指静脈パターンを鮮明に撮影し、利便性に優れ高精度な個人認証を実現することである。
【解決手段】上記の目的を達成するために、指の掌側から光を照射するように設置された光源と、指の血管画像を撮像する撮像部と、画像から血管の特徴抽出と予め記憶された特徴照合を行う画像演算部とを設ける。撮像部は指の甲側から指の透過光の撮像を行う。
【解決手段】上記の目的を達成するために、指の掌側から光を照射するように設置された光源と、指の血管画像を撮像する撮像部と、画像から血管の特徴抽出と予め記憶された特徴照合を行う画像演算部とを設ける。撮像部は指の甲側から指の透過光の撮像を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の血管パターンを利用して個人を識別する装置および方法に関する。特に指の血管を用いた生態認証に関わる。
【背景技術】
【0002】
個人の所有物や情報に対するセキュリティ技術が重要視される中、利便性、機密性に優れた個人認証技術として、人間の生体情報を用いたバイオメトリクス認証が注目されている。従来のバイオメトリクス認証技術として、指紋、虹彩、音声、顔、手のひらや手の甲の静脈、指静脈を利用したものなどが考案されている。特に、指静脈を利用した認証技術は指を装置に差し出すだけで認証ができ心理的抵抗感が低く、また生体の内部情報を利用しているため耐偽造性に優れるという特徴を持つ。
【0003】
指静脈を利用した認証は次のように実現される。指に赤外光を照射すると、光は指内部で散乱した後、外部へ放射していく。このとき、血液中のヘモグロビンは周囲組織と比較して赤外光をより吸収するため、指の腹側を透過した光を撮像すると、指の腹側の皮下に分布する血管、すなわち指静脈が暗い影のパターンとなって可視化される。この画像から指静脈パターンの特徴データを事前に登録しておき、提示された指の画像から得た指静脈パターンの特徴データとの相関を求めることで登録者か否かを判定し、個人認証を行う。
生体認証はこれまでに入退室管理や勤怠管理、PCログイン、ATM装置などに適用されている。これらの多くの場合では、認証端末は認証を必要とする装置付近に別途設置されている、あるいは別モジュールとして埋め込まれており、本来実施したい操作の前に認証処理を完了させる必要があった。特に入退室管理では、ATMやPCなどもともと一定の入力操作が必要となる適用分野とは異なり、扉を開けるという直感的な操作の他に認証処理という別の動作が含まれる点において、利便性が低下している。
例えば、ドアの取っ手部に指静脈認証装置を設置し、取ってを握った状態で認証を行う方法がある(例えば特許文献1参照)。また赤外線発光LEDを備えた把持部を握りこむことにより、手の甲側の静脈パターンを撮影し、認証を実施する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−184507号公報
【0005】
【特許文献2】特開2003−242492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記取って部に認証装置を設ける従来の技術においては、ドアノブを握りこむ際に指の掌側の皮がたるみ、それに伴って掌側の指静脈が変形を起こすため、安定して認証することが難しかった。さらに指が屈曲することで関節部分の指静脈が撮影できず、個人を特定するための情報量が減少し認識率の低下の原因となっていた。また、手の甲側の静脈パターンを撮影する上記従来技術に関しては、ドアノブの上部に撮像部を設ける必要があった。従って扉にはドアノブの他に凸状の構造物が必要となり、装置の小型化が難しかった。
本発明は、ドアノブなどのグリップを握る自然な動作の中で指静脈パターンを鮮明に撮影することで、利便性に優れ高精度な個人認証を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願で開示する代表的な発明の概要は以下の通りである。
手で握りこむ曲率を有するグリップ部と、グリップ部内に設置される指を掌側から照射する光源と、指を透過した上記光源からの光を撮像する撮像部と、撮像画像から血管パターンを抽出して個人認証を行う処理部とを有する個人認証装置。特に撮像部は上記グリップ部に設置された指を介して上記光源と対向する位置に設置され、上記設置された指の甲側を撮像する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、扉を開ける際にグリップを握り込むという自然な動作の流れの中で、高セキュリティな個人認証を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明を実現するためのシステム構成の概略図である。利用者は認証時に指1を指静脈パターンの入力装置2に提示する。このとき光源3より指1に対して光が照射される。光は指1の内部で散乱し、指1を透過して掌側から出てきた光が撮像装置4によって撮影される。光は撮像装置4により電気信号に変換され、画像入力手段18を介し画像としてコンピュータ10に取り込まれる。取り込まれた画像は一度メモリ12に蓄えられる。そして、事前に登録されている指静脈画像を記憶装置14よりインターフェイス13を介してメモリ12に格納し、メモリ12に格納されたプログラムによりCPU11は登録画像と入力された画像との照合を行う。尚、照合処理はICカードのようなデバイス内部に組み込まれたCPUやメモリ、記憶装置を用いて実施されても良い。この場合はコンピュータ10にICカードリーダのインターフェイスが備えられており、ICカード内に入力画像が取り込まれ、カード内部で照合処理が実施される。このとき、利用者は情報入力装置16を利用して、ID番号や暗証番号など個人を識別する情報を入力してもよい。この場合、その情報に対応付けられた登録画像だけがメモリ12に取り込まれ、処理されることで照合時間の短縮と、誤認識の低減を図ることが可能となる。照合処理では比較する2枚の画像間の相関の値を算出し、その値に応じて登録されている画像と一致するかを判定する。この結果に応じて個人を認証し、正しく認証された場合は該認証システムの制御対象に対して認証時の処理を行う。その際、認証結果を情報表示部15あるいはスピーカ17に提示しても良い。
【0010】
本システム構成例において、光源3と撮像装置4は一体となって入力装置2として提供されるが、コンピュータ10、画像入力手段18は入力装置2と一体化する必要は無く、別々に提供されても良い。セキュリティ上からは、通信路の傍受を防ぐために全装置を一体化することが望ましい。また、表示手段15、入力手段16、スピーカ17の設置は任意であり、またメモリ12が不揮発性で十分な容量を持つ場合は記憶装置14の代わりに用いることができるため、記憶装置14の設置は不要となる。
【0011】
図2は、グリップを握ることで個人認証が実行されるグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。グリップ22の中には光源設置用の穴28が開いており、その中に光源3が設置されている。なおこの光源設置用の穴28にアクリル板のような赤外に対して透明な素材を備え、光源3を保護していてもよい。グリップ22はグリップ支持部24に取り付けられており、グリップ支持部24の中には光源3に対向させた状態で撮像装置4が設置されている。通常グリップ支持部はドア等、取っ手を設置する対象物に埋め込まれている。光源3から発光した光は赤外透過フィルタ26を通じて撮像装置4に到達する。光源3は赤外光を発光するLED、ハロゲンランプ、レーザなどを用いることができる。また撮像装置4は赤外に感度を持つCCDカメラ、CMOSカメラなどを用いることができる。赤外透過フィルタ26は赤外線の波長の光のみを透過させ、不要な外光を遮断する効果がある。
【0012】
本装置は利用者が握り込む動作を行うことで指静脈パターンを撮影し、登録パターンと比較を行うことで個人認証が実施できる。特に本発明においては、グリップ22の握り込みが自然な動作の中で行われるところ、例えば入退室管理を必要とする扉のドアノブなどに適用することで、認証のための特別な操作が不要となり、利用者の利便性を高めることができる。その場合はグリップ22をドアノブとして扉に設置し、ドアノブに光源3を、ドア本体に撮像装置4を設置することで実現できる。また拳銃や電動のこぎりなどのように握りこんだ状態で使用する装置への設置であれば、装置を作動させるためのグリップ部に光源3を、装置本体に撮像装置4を設置することで、利用者の本人確認と同時に装置を作動することができる。なお、本装置を単体で設置し、入退室管理、PCログイン、ATMなど、個人認証の必要な様々な場面で利用することもできる。
【0013】
本構成では、赤外光源3と撮像装置4を対向する位置に設置し、グリップ22とグリップ支持部24との間にある空間に挿入される指の透過画像を撮影している。通常、上記グリップとグリップ支持部との間に挿入されるのは指の部分であり、手の甲等の部分を用いるに比して指の静脈を用いて本願構成はユーザにとって無理のない動作にて実現される。よって、従来のドアノブのインターフェイスからほとんど変更を加えることなく認証装置を構成することが可能となる。この点、透過光を用いる構成においては、撮像装置に透過光が照射される位置に光源設置の必要がある。よって、手の甲を撮像対象とする場合には撮影部設置のためにグリップ支持部から突き出たの構造物が必要となることも考えられ従来のインターフェイスを改良する必要が生じうる。
【0014】
また、撮像装置4はグリップ22側ではなく、グリップ支持部24側に存在する。グリップ22側に撮像装置4を、グリップ支持部24側に光源3を設ける構成とした場合、グリップ22を握ると掌側の指静脈パターンが撮影されることになる。しかしながら、グリップ22を握りこむ際に掌側に指が曲がるため、関節部分の指静脈が指の内側に隠れてしまう。さらにグリップ22を握る際にグリップに指が押し付けられるために掌側の指表面に圧力がかかり静脈パターンが消えてしまう。これらの理由により、個人を識別する情報が減少するため認識率が低下する。一方、本構成のようにグリップ支持部24側に撮像装置4を設置すると、手の甲側の指静脈パターンを撮影することになる。指の甲側においては、ドアノブ22を握りこんでいる状態では指甲側表皮のしわが伸びるため血管が相対的に表面に近い位置に現れ、さらにグリップ時に圧迫されないという理由により静脈パターンが鮮明に撮影でき、高い認識率で個人認証が実現できる。
【0015】
ドアノブ22を握りこまずに、指を伸ばした状態では指の甲側の皮は厚いままとなっている。よって、光源3から照射される透過光を撮影しても、皮のたるみに遮られて透過率が低下するため手の甲側の指静脈パターンは全体的に暗く映る。このことは血管パターン抽出の精度低下につながりうる。従って、手がグリップ22を握りこんだタイミングで撮影を行うことが望ましい。更に、グリップ22は握りこんだ際に指がある程度屈曲する程度の太さ、曲率を有することが適当であり、また握りやすい形状とすることで操作性を高めることができる。
【0016】
図3は、図2で示した認証装置のグリップを利用者が握りこんだ状態を示している。図3(a)は装置の側面から見た図、図3(b)は上面から見た図、図3(c)は撮像装置4の位置から光源3の方向を見た図である。以下、認証処理手順の一実施例について、図22に示す処理フローに沿って説明する。はじめに、メモリや光源などのデバイスの初期化処理を実施する(S422)。次に、グリップ22が握りこまれたかどうかを判定する(S424)。この状態の検知は、光源3をわずかに点灯させ、その映像を撮像装置4によって常に監視し、その光が遮蔽された状態を検知することで可能である。又、別途握りこみを検出するスイッチを設置してもよい。前者の方法では部品点数を削減でき、また後者は消費電力を抑える効果がある。
【0017】
指1の提示が検知されると、最も鮮明な画像が得られるように光源3の光量が調整される(S426)。そして手の甲側の指静脈画像を獲得する(S428)。図3(d)はその状態で得られる指の赤外画像44を示している。赤外線が指1の掌側から照射され、指1を透過し、手の甲側の指表面を通って撮像装置4に到達する。このとき指1の手の甲側の皮下に存在する静脈が赤外光を遮ることで、その静脈パターン46が鮮明に映し出される。手の甲側の指静脈パターンは、指先から第一関節までの領域、第一関節から第二関節までの領域、第二関節から第三関節までの領域に分類できる。本実施例では、握り込みの角度によって撮影される領域が変わる。特に、指の第一関節と第二関節との間にある手の甲側の指静脈は、血管パターンが複雑であると共に表面に生えている毛が比較的少ないことなどから、個人を特定するのに最も適した撮影部位であり、撮像装置4は利用者がグリップ22を自然に握ったときその部分が主に撮影できるように設置させる構造とすることが望ましい。
【0018】
次に、指の輪郭を検出する(S430)。検出方法としては、画像のエッジを強調する手法、エッジ部分を追跡する方法などがある。
【0019】
輪郭検出の後、平行方向または平面内の回転方向の向き補正を実施する(S432)。輪郭情報から指の長手方向の向きを推定し、その角度が一定になるように画像を回転する方法などがある。
次に、血管パターンの抽出処理を実施する(S434)。この手法として、線分を強調するエッジ強調フィルタやマッチドフィルタを用いる方法、線成分を追跡することで線パターンを抽出する方法、画像の断面プロファイルにおける輝度値の局所的な窪み位置を抽出する方法などを用いることができる。
【0020】
その後、抽出あるいは強調した血管パターンから特徴量を抽出する(S436)。特徴量として、画像そのものを特徴量とする方法、分岐点や端点を検出する方法などを用いることができる。
【0021】
最後に、装置に登録されている特徴データと入力された特徴データとを比較照合する(S438)。画像そのものを特徴量としている場合では、画像同士を重ね合わせ、画素値同士の比較を実施して一致率を計算する。分岐点や端点を特徴量としている場合はそれらの位置、個数、分岐線の角度、相対的な距離などの情報を比較することで一致率を算出する。ここで得られた一致率によって、同一パターンであるか別パターンであるかを判定する(S440)。その閾値Thは事前に統計的に算出しておくことが可能である。この閾値よりも高い一致率となった場合は登録者と判定し(S442)、低い場合は登録されていない指が提示されたとみなし認証を拒否する(S444)。
【0022】
図4は、グリップ型指静脈認証装置の一構成例である。グリップ64に指の位置合わせ用の溝又は窪み62があり、溝62の中央位置に光源3が設置されている。撮像装置4は溝62の位置を撮影できるような位置に設置されている。本構成では、利用者がグリップ64を握る場合に溝62に認証の対象となる指を置くことを想定する。特に図4の形態においては溝が中心よりも左側によった位置に設けられておりグリップ64を右手で自然に握りこむと人差し指が溝62に入り、当該指の甲側の血管パターンを撮影する場合に適している。この溝62は指の横方向の位置ずれを抑制する効果を有し、指の位置が毎回安定して決まるため認証精度が高まり、また利用者に対して指の提示位置が確認しやすくなるため操作性を向上させることができる。また、光源3は溝62の中心に位置するため、指の提示の際に指が溝62に密着すると、光源3が完全に指に覆われる。そのため発光した光はすべて指を透過することになる。これにより光の照射効率が高まり、かつ透過画像のコントラストを低下させる原因となる光漏れを小さく抑えることができる。
【0023】
図5は、別のグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。図5(a)に示すように、本実施例ではグリップ82に溝62が複数、この場合4本分の指の溝が備えられており、それぞれの溝62に対して光源3が設置されている。本実施例では撮像装置4はすべての溝62を一度に撮影できる位置に備えられている。ただし画角の関係上すべてを撮影することが出来ない場合等においては、複数の撮像装置を設置しても良い。
【0024】
このような形状として、一度により多くの血管パターン情報を獲得すれば、より認識率が向上する。但し、すべての溝に入れられた指を認証に用いる必要は無く、予め利用者毎に利用する指および本数を登録しておくことも可能である。更には、たとえば指を怪我している場合等においても、複数の指を撮像してその指を除外して認証を行うようにするもできる。また溝62が1つの場合では左右の手によって握りにくくなる場合があるが、複数の溝に指を置くようにすることで両手どちらでも同様に認証でき、利き手によらないインターフェイスを提供することができる。
【0025】
図5(b)に4本の指が溝に入った状態で握り込まれたときの指静脈画像の一例を示す。それぞれの指を照射する光源3は独立に制御され、指の太さに対して最適な光量を照射する。それぞれの指1は独立に輪郭抽出され、特徴抽出される。提示された指1のすべてのパターンが登録されたパターンと一致すると、登録された人物とみなされ認証処理が完了する。このとき、すべての指の一致ではなく、4本中1本、2本または3本の一致で認証されたものとみなしても良い。これにより、本人拒否と他人受入の誤認識率が調整でき、使用する場面におけるセキュリティレベルに合わせた運用が可能となる。
【0026】
本実施例では4つの溝62を備えているが、2つ以上の複数の溝62を備えていれば図4記載の構成に比してより多くの血管パターンの情報が得られるという効果が得られる。
【0027】
図6は、更に別のグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。本実施例では、図6(a)に示すように指の位置合わせ用の棒102によって指を入れる空間が2つに分割されている。図6(b)は利用者が実際にグリップ104を握っている様子を示している。指の位置合わせ用の棒102で仕切られた左側の空間に右手の人差し指を挿入し、この棒102を人差し指と中指の間に挟みこむ。このとき、この棒102によって手の横方向の位置が固定される。さらに、人差し指と中指の付け根に指の位置合わせ用の棒102が接触するまで深く握りこむことにより、グリップ104を握りこむ回転角度方向の位置が固定される。これにより、利用者は触覚的に握り位置を把握することができ、安定した認証が可能となる。
【0028】
本実施例では、指の位置合わせ用の棒102の位置が左寄りに設置され、かつ左側に光源3と撮像装置4とが設置されている。この場合は右手の人差し指を撮影するに適した光学系となっているが、指の位置合わせ用の棒102の位置を中央付近に設置してもよい。この場合は利用者が指の位置合わせ用の棒102を任意の指の間に挟みこむことができるため利便性が向上する。また光源3と撮像装置4とを複数設置しても良く、この場合は獲得するパターンの量が増えるため認証精度を向上することができる。
【0029】
図7は、光源を指の長手方向に複数配置したグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。図7(a)はグリップ側面を、図7(b)は撮像装置4から光源3の方向を見た図である。グリップ122に複数の光源を指の長手方向に配置することで、指1が満遍なく照らされ、指全体に分布する甲側の指静脈パターンが鮮明に撮影できる。このとき、光源設置用の穴28が指1の幅より広いと光漏れが生じ、指の輪郭周辺が漏れ光により飽和する、あるいは漏れ光が撮影したい指の甲側の表面に反射して画像のコントラストが低下するため、光源設置用の穴28は指1の幅より狭くなるように配置することが鮮明な映像の撮影のために望ましい。
【0030】
図8は、指先の位置決め用の窪みを有するグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。グリップの断面が単に円形状となっている場合、指の握りこむ深さに変動が生じ、グリップの中心軸に対して同心円方向に撮像部位がずれる。これにより登録パターンと撮影パターンとが異なり、認識率が低下する。そこで、グリップを握りこんだときの回転方向の位置ずれを防止するために、グリップ144に指先の位置決め用の窪み142を設ける。窪み142の形状として、グリップを握る際に指先が該窪みの中心に到達するまでの構造は、指先が自然に入り込むようになだらかな曲線を有し、該窪みの中心より先側は、指先が突き当たって停止するように急峻な構造となっている。つまりグリップ部の中心軸に対しての法線方向距離を一部、他の部分に比較して長くする。このように、グリップの曲率を一部変化させることで、指を挿入すべき深さを明示する。窪みに指先が入るように握りこむことで、回転方向の位置ずれが生じず、安定した認証を実施することが可能となる。窪み142の深さは、爪が当たらないよう指の厚みに対して若干浅くすることが望ましい。これにより、爪が窪み142を形成する壁面に当たらず、爪の長さの変動の影響が受けにくくなる。又、特に血管パターンが複雑で情報量の多い第一関節と第二関節との間を撮像できるような位置に窪みを設けることが望ましい。また、窪みの代わりに、指の厚さに対し若干低い高さの突起状の構造物を備えてもよく、この場合はグリップを握る際に指先がその突起に突き当たるように握りこむことで回転方向の位置が固定できる。
【0031】
図9は、撮像装置がグリップに対し下方に設置されているグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。本装置を屋外で使用する場合、太陽光などの外光が撮像装置に入射するとその影響が認証精度に大きな影響を与える。そのため撮像装置4ができるだけ遮光された状態で使用されることが望ましい。例えば図3の(a)に開示するような形状とすると、グリップ22とグリップ支持部24との間にある手42を入れる空間から外光が入り込む可能性がある。そこで、本実施例においては撮像装置4をグリップ144もしくはグリップ144にかけられた手42によって覆える様な構成とする。撮像装置4をグリップ144の中心軸に対して下方に設置し、グリップ144の中心方向を撮影する向きに傾けて設置する。この状態で手42を挿入すると、斜め上方から直接撮像装置4に到達する外光の光路が完全に遮られる。これにより、上方から斜めに入り込む外光の影響を弱めることができる。ただし装置内部を反射しながら撮像装置4に到達する光路は残されるが、内部表面に赤外光反射防止材162を付けることでその影響を抑えることができる。
【0032】
尚、直接の外光を防止するという点においては、光源を上記グリップ部の中心軸よりも上方に下向きに設置することも可能である。但し、この場合には手の甲を反射した光が入射する可能性を考慮する必要がある。
図10はグリップを手前に引くことで認証が開始されるグリップ型指静脈認証装置の一実施例である。図10(a)に示すように、グリップ22とグリップ支持部24とが結合している部分に、グリップ接合部182があり、接合部182の上部には導体184が取り付けられ、また接合部182の周りにはばねなどの伸縮部材186が取り付けられている。また接合部182の近くには電気的なスイッチの役割を果たす接点188が設置されている。通常、認証装置はスリープ状態に入っており、光源3の光は完全に消灯状態となり、撮像装置4による撮像も行われない。図8(b)に示すように、利用者がグリップ22を握り、グリップ22を手前側に引いて扉を開く動作を開始すると、導体184と接点188とが接合し、導通状態となる。このタイミングを認証処理部10が検知し、血管パターン抽出のための画像取得のために光源3を点灯させると同時に撮像装置4による撮影が行われる。グリップ22から手が離されると、伸縮部材186の力により導体184と接点188とが離れ、非導通状態となり、認証装置は再度スリープ状態に入る。
【0033】
このように、扉を開く動作と連動させて認証処理を実行することにより、光源3の点灯時間や、指検知処理、画像処理を実施する時間を限定できる。これにより、電力の消費量を小さく抑えることができる。又、グリップ22を引く瞬間は指1が所定位置に設置されていることが想定されるため、安定した認証が実現できる。又、上記したようにグリップ部を引く時には手でグリップ部を握っていることが明からであるために手の甲側にある指の表皮のしわが伸ばされており、静脈検出に好ましい態様となっていることが見込まれる。
【0034】
なお、導体184と接点188とで実現しているスイッチに代えてグリップ22そのものに押しボタンスイッチや圧力センサなどを設置し、扉を引く力、あるいは握力を検知することで実現しても良い。またサムラッチタイプのグリップや握り玉タイプのグリップの場合でも同様、サムラッチを親指で押し下げること、あるいは握り玉をひねったことを認証処理部10が検知し、このタイミングで認証処理を開始してもよい。
【0035】
図11は、自動車のドアノブに設置されたグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。利用者が自動車202の扉204に設置されたグリップ22を握りこむと、認証処理が実行され、撮影された指静脈パターンが認証システムに登録されている場合は、自動車の扉204の鍵が開錠される。このとき、扉204を開く動作をサポートするために、ドアのラッチを自動的に外しても良く、また電動ドアと連動して扉204を自動的に開いても良い。これにより、スライドドアなど比較的開くのに力が要るようなドアであっても殆ど力を加えることなく扉を開くことが可能となる。
また、予めシート206やルームミラー208、サイドミラー210などの位置、角度など運転者によって調節が必要となる部分の情報を登録者ごとに設定しておく。そして、ドアノブによる認証が完了した際に、シート206の位置や背もたれの角度、ルームミラー208やサイドミラー210の角度などの設定を読み出して自動的に調整するようにしても良い。そのほかのカスタマイズ項目としては、カーナビ設定情報、エアコン温度、カーオーディオ設定などもある。運転者が座席についてから設定するのに比べて、利用者は手動で設定する手間が省け、更に調整完了の時間が大幅に短縮できるために利便性が向上する。
【0036】
図12は、自動車に設置されたグリップ型指静脈認証装置における登録フローの一実施例である。
自動車を購入した時点での初期状態は未登録状態(S222)となっており、認証装置には指静脈パターンの登録データが入っていない。初めにデータを登録する場合は、マスターキーなど自動車の所有者のみが持つ所有物を用いる必要がある。これにより、任意の人がデータを登録してしまうことを防ぐことができる。マスターキーは、たとえばイモビライザーで用いられているような機器の真性確認手段を用いて、偽造されたキーではないことが確認された場合のみ利用できるようにしてもよい。マスターキーを自動車内のキーシリンダに挿し、さらに車内の任意の場所に設置された登録スイッチをONにすることで、オーナ登録状態(S224)に切り替わる。このモードでは、自動車のオーナの指静脈を登録することができる。マスターキーがない場合、オーナーの登録や削除などのデータ変更はできない。登録は自動車のドアノブを実際に何度か握り、上記説明した認証時と同じように指を撮像して血管パターンを得ることで完了する。このとき、カーナビや自動車内部の表示装置などの入出力インターフェイスを利用して登録操作や登録状況の表示を実施しても良い。オーナ登録が完了すると、登録者が認証処理をして初めて扉の鍵を開けることができる、認証処理状態(S226)に遷移する。
【0037】
自動車を運転する人がオーナに限定される場合は上記の登録作業のみで自動車を利用することになる。しかし複数の人が自動車を利用する場合は、一般ユーザとして追加登録を可能とする。追加登録する場合は、例えばオーナの指静脈認証処理を実施し認証処理がOKと判定された上で登録スイッチをONにすることで一般ユーザ登録状態(S228)に切り替えを可能とする。これによりオーナの管理のもと運転者の追加登録が可能となる。ただし、装置のメモリ容量の制限や認識率の低下を防ぐため、事前に定められた一般ユーザ登録人数限界Nを超えて登録することはできない。登録が完了すると、一般ユーザ登録完了状態(S230)に遷移し、登録人数のカウンタを1つ増やし、自動的に認証処理状態に戻る。
一般ユーザの登録を削除する場合は、オーナの指静脈による個人認証を実施した上で、車内の任意の場所に設置されている登録削除スイッチをONにする。この操作により、一般ユーザ削除状態(S232)に遷移する。どの一般ユーザを削除するかを選択するために、カーナビなどの入出力インターフェイスを用いても良く、ユーザ番号を表すスイッチを車内の任意の場所に設置しておき、そのスイッチを押下しても良い。この操作により、一般ユーザ削除完了状態(S234)に遷移し、登録人数のカウンタが一つ減らされ、自動的に認証処理状態に遷移する。
【0038】
また、オーナの登録を削除する場合は、マスターキーを使い、前記登録削除スイッチをONにする。この操作により、オーナ登録削除状態(S236)に遷移し、オーナの登録データが抹消され、その後未登録状態に遷移する。ただし、このオーナ登録削除状態に遷移する際、オーナの個人認証を実施し、認証OKの場合だけ削除状態に移行するようにしても良い。これにより、オーナ本人がその場にいるときだけ登録削除をすることができ、部外者による悪意のある登録削除を防ぐことができる。
【0039】
上記のユーザ登録の完了後は、必ず自動的に通常の認証モードに遷移することになる。これにより、登録モードから認証処理モードへの切り替え忘れを防止することができ、部外者による悪意のあるデータ登録を防ぐことができる。また、登録モードの状態では自動車を始動することができない。これにより登録作業中に自動車が盗難されてしまうことを防止できる。
【0040】
指静脈パターンデータを登録すると同時に、自動車内のカスタマイズ登録をしてもよい。カスタマイズ項目は前述のように、シート位置、ミラー角度、カーナビ設定情報、エアコン温度、カーオーディオ設定などを含み、これらを個人の嗜好に合わせて設定する。
【0041】
なお、自動車のエンジンの始動は、従来のようなキーを用いた方法の他に、車内に設置されたエンジン始動ボタンの押下により始動してもよい。この場合はキーなどの携帯物が不要で、利便性を向上することができる。より高いセキュリティを保つために、エンジン始動ボタンに指静脈認証などの生体認証機能を具備しても良い。その場合はエンジン始動ボタン押下時に生体認証を実施し、登録者以外ではエンジンを始動できないようにできる。このとき扉を開けた登録者とエンジン始動ボタンを押した登録者が一致した場合だけエンジンを始動させることが出来るようにしても良い。また、エンジン始動ボタンに生体認証機能がない場合は、自動車の扉が開いたまま一定時間経過したときにエンジン始動ボタンを無効にしてもよい。これにより、利用者が扉を開ける操作をした後に、扉を開けたまま自動車から離れた場合の防犯対策となる。
【0042】
図13はレバーハンドル型のドアノブを握りこむことで個人認証が実現できるグリップ型の指静脈認証装置の一構成例を示している。図13(a)に示すように、扉242に設置されているレバーハンドル244の中には光源3が組み込まれ、扉242の中には光源3に対向する向きに撮像装置4が設置されている。図13(b)に示すように、利用者がレバーハンドル244を握り込むと、光源3から利用者の指に対して光が照射され、指静脈パターンの撮像と認証処理が開始される。登録された指静脈パターンと撮影された指静脈パターンとを照合し、もし登録者として認められた場合は、扉244に設置された電気錠246が開錠される。認証のための登録データの登録は、例えば、別途準備した登録用の鍵を扉242に設置された鍵穴248に鍵を挿した状態でレバーハンドル244を握ることにより実施することができる。あるいは扉242にテンキーなどの入力インターフェイスを取り付け、暗証番号の入力により登録モードに切り替えても良い。
【0043】
なお、発光、撮影のタイミングは、前述のようにグリップの握り込みを検出するスイッチに基づいてもよく、レバーハンドル244を傾けたことを検知して実施しても良い。レバーハンドル244を傾けたときに認証を開始する場合は、実際の撮影を行う時点においてはすでにハンドル244はいくらか傾いていることが想定されるため、撮像装置4の設置位置をレバーハンドル244の傾き角に応じてずらして設置することにより、指をより確実に撮影することができる。
【0044】
図14は、握り玉タイプのドアノブに組み込んだグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。握り玉262(球状のノブ)には指の位置合わせ用の溝62が形成されており、内部に光源3が設置されている。撮像装置4は握り玉262の溝62が正面から撮影できる位置に設置されている。利用者が前記溝62に指を提示するように握り玉262に手をかけると、指の甲側の指静脈パターンが撮像装置4により撮影され、認証が開始される。本実施例における発光と認証のタイミングは、握り玉262が回転したことを検知する、あるいは回転せずに引く、押すなどの動作を検知することにより実施することができる。これにより消費電力を抑える事が可能となる。
【0045】
図15は、サムラッチタイプのドアノブに組み込んだグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。図15(a)に示すように、サムラッチハンドル282の上部にサムラッチレバー284がある。また図15(b)に示すようにサムラッチハンドル282の内部に光源3が設置されている。図14,15に示す実施例において登録処理、開錠の処理は図13で開示したものを適応することができる。更に、サムラッチハンドル282の構造として、上記図4、図5、図6などで示した指の位置決め用の溝や棒を具備していてもよい。これにより、指の位置が安定するため認識率が向上する。
【0046】
また、本実施例においてはサムラッチハンドル282の側面から外光が入る可能性がある。この外光による画質劣化を防ぐために、更に遮光用フード286を設置しても良い。このフードは、赤外光を透過・反射しない材質で作られており、外からの外光を遮断し、かつ内部における赤外光の反射が生じない。これにより側面からの外光による性能劣化を防止することができる。
【0047】
なお、本実施例における発光と認証のタイミングは上述と同様に、サムラッチレバー284を親指により押し下げたことを検知する、あるいはサムラッチハンドル282を握ったことをセンサやスイッチなどにより検知することで実施できる。これにより消費電力を抑える事が可能となる。
【0048】
図16はサムラッチ型ドアノブと撮像装置とが一体化されているグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。この構成では、光源3と撮像装置4とがサムラッチハンドル282を構成する部材に既に組み込まれており、一つのモジュールとしてドアに取り付けるだけで認証装置を構成することが可能となる。例えば図13等で示した例においては、撮像装置4はグリップ22とは独立に設置する必要があり設置に際しての位置あわせ等が必要となる。この点図16の構成によれば取り付けが容易となり設置コストを低下することが可能となる。この構成はサムラッチタイプのドアノブだけでなく、レバーハンドル、握り玉などの形状でも同様に適用することができる。
【0049】
図17は、カードを差し込むときに指の甲側の静脈パターンを撮影する認証装置の一構成例である。図17(a)に示すように、扉242の設置されている壁面322に認証装置が設置されており、撮像装置4の上にはカード挿入口324がある。図17(b)はその詳細な構造を示している。撮像装置4の隣には光源3が取り付けられており、カード326を持った状態の指1の甲側を照射することで指の甲側の静脈パターンを撮影する。ただし、光源3からの赤外光が撮像したい指表面に直接照射されると、指表面で反射した光が撮像装置4に到達するため、指内部の静脈ではなく指の表皮が撮像されてしまう。これを防止するために、撮像装置4と光源3との間には、遮光板328が設置されている。この遮光板328により、撮像する部位に直接光が当たらず、その光の多くは指の第一関節と第二関節に当たる。この光が指の内部で散乱を起こし、指のあらゆる方向に進行する。このとき、指の甲側の表皮を通過して外部に放射される光は、撮像部位に対して透過光となる。この光を撮像装置4により撮影すると、指の甲側の静脈パターンが獲得できる。
【0050】
利用者が図17(b)に示すような状態でカード326を持ち、そのままカード挿入口324にカード326を差し込むと、自然に指の甲側が壁面322に向く。このカードが挿入された状態を検知することで、手の甲側の指静脈パターンを撮影する。利用者はカード挿入口324にカードを入れる動作を通じて、指の位置決めが実施される。事前に登録された指静脈パターンとの比較により、登録者であれば扉242の鍵が開錠される。
【0051】
本実施例ではカードそのものを携帯物として本人認証に使うことで、持ち物による認証に加え、カードを挿入した人の指静脈が登録されているか否かを併せて判定するため、より高いセキュリティが保たれる。この場合、カードではなく鍵を用いて鍵穴に挿入する動作を要求しても同等の効果が得られる。また、カード内に本人の指静脈パターンを格納しておき、提示された指静脈パターンと一致するか否かを判定してもよい。また、本実施例では扉242の横の壁面322に認証装置を設置しているが、扉242そのものに設置してもよい。
【0052】
図18は、グリップを握りこむ動作の経過における複数の指静脈パターンとの照合を行うグリップ型指静脈認証装置の説明図である。グリップを握りこむ際、撮像装置4には指先から順に爪、第一関節が撮影され、最終的に指の第一と第二関節との間の甲側の血管パターンが映し出される。このように、指はグリップの中心軸に対する回転方向に沿って時系列に提示される。図18(a)、(b)、(c)は、利用者がグリップを握りこむ過程の手の状態を示しており、図18(d)、(e)、(f)は、それぞれ握りこみ始めた状態から握り込みが完了した状態において時系列に撮影された指の甲側の静脈パターンの画像を表している。
【0053】
グリップを握りこむ際、指先の位置が定まらず、握りこむ角度が認証ごとに変動する場合がある。そこで、静脈パターンの登録時に、利用者がグリップ22を握り込み始めた時点から完全に握りこみが完了した状態までに撮影される指の赤外線画像44を時系列に取り込み、各画像から血管パターンの特徴量を抽出し、それらのすべてまたは一部を登録しておく。
利用者が認証を実施するときは、グリップ22を握り始めたときから握り込みが完了したときまでの連続画像から順次特徴抽出を実施し、登録された複数の特徴量と比較照合を実施する。最終的な握り込みの角度が登録時のものと異なっていた場合でも、その途中経過においては登録データとの一致率が高くなる。従って、登録した複数の登録データのうちの一部が認証された場合は、最終的な認証結果として登録者であると判定する。これにより、握りこみの角度変動に強い認証が実現できる。
【0054】
図19は、グリップの中心軸に対して同心円状に複数個の撮像装置が搭載されているグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。
グリップ支持部24に撮像装置4が2つ設置されており、それぞれグリップ22の中心軸に対して同心円状に並んでいる。それらに対向した向きに光源3が複数取り付けられている。このとき、利用者の指1の甲側の静脈パターンを複数の撮像装置4で撮影することになる。上部に付けられている撮像装置4は、指1の第二関節と指の付け根との間の指の甲側静脈を、下部の撮像装置4は指1の第一関節と第二関節との間の指の甲側静脈をそれぞれ撮影する。これにより、撮像装置4が1つだけ設置されているものに比べ、撮影するパターン量が増加し、より認識率を高めることができる。
【0055】
認証の際は、それぞれ独立に照合処理を実施し、それぞれの一致度を評価しても良く、また、複数の撮像装置の撮影する領域に重なりがある場合は、獲得した指静脈パターンを合成して保持してもよい。前者の方法では上述した従来の指静脈認証のアルゴリズムをそのまま適応できる利点があり、後者の方法では手42がグリップ22の握り込む際の角度に変動があった場合でも、画像上では平行移動による位置補正で対応できるため、握り込みの角度変動に対してロバストな照合ができる。
【0056】
図20は、金庫にグリップ型指静脈認証装置を搭載した一構成例である。金庫の扉242に取り付けられたグリップ22に、上述の通り認証装置を取り付ける。これにより、登録者以外の人物が金庫を開けることができなくなり、財産を守ることが可能となる。登録の方法としては、上述で示した鍵穴248に登録用の鍵を挿すことで登録モードに切り替える方法のほか、ダイヤル382を特定の番号に合わせた場合に登録モードに設定できるようにしてもよい。
【0057】
金庫のように通常持ち運ばないものに対しては、本認証装置を金庫上部の取っ手384に適用し、認証が成功しない場合は床面386と金庫との接合部のロック388が外れずに、登録者以外が金庫を持ち出すことが出来ないような装置を構成することも可能となる。
【0058】
図21は、バイクのハンドルを握ることで個人認証が実現できるグリップ型指静脈認証装置の一構成例を示している。
【0059】
図21(a)に示すように、ハンドル402には突起404が設けられ、その中に光源3が設置されている。突起404はアクリル樹脂のような赤外に対して透明な素材で作られている。また突起404は光源3を支持するだけでなく、利用者がハンドル402を握る位置合わせの役割も果たす。またハンドル404を支えているハンドル支持部406の中には光源3に対向する向きに撮像装置4が設置されている。
【0060】
図21(b)に示すように、利用者はハンドル402を握る際に親指408の内側を突起404に合わせる。このとき光源3から利用者の親指408の掌側に光が照射され、親指408の手の甲側の指静脈パターンが撮像装置4により撮像される。その後、認証処理が実施され、登録パターンと一致した場合、利用者はバイクのエンジンを始動することができる。あるいはこの認証処理をハンドルロックの解除に用いることもできる。認証開始のタイミングは上述と同様、ハンドル402を握ったことをセンサ等により検知することで実施しても良い。
【0061】
データの登録は、別途登録用の鍵を用意し、ハンドル402に設置された鍵穴248に鍵を挿した状態でハンドル402を握ることにより実施する。あるいはバイクにテンキーなどの入力インターフェイスを取り付け、暗証番号の入力により登録モードに切り替えても良い。
【0062】
上記の実施例は、バイクのハンドル以外にも、自転車やエアロバイクなどのハンドルで利用することも可能である。特に、エアロバイクにおいては個人を特定することで
過去にマシンを利用した際の履歴情報を読み出し、利用者に提示するような機能を付けることも可能となる。
【0063】
なお、上記の実施例では右手の親指の静脈を利用して認証を行っているが、同様の装置を左側のハンドルに設置し、両手の親指を用いて認証を行ってもよい。これにより、さらに高い精度の認証を行うことが可能となる。
【0064】
尚、上記何れの実施例においても、認証のフローは 図22で説明した流れを適応することができる。更に図4乃至図10に開示するグリップの形状は物理的に可能な範囲で互いに組み合わせることができる。さらに、図13以降に開示する別の形態の取って部にも組み合わせることが可能である。又、図18記載の実施例も他のグリップ部うの形状に関する実施例と組み合わせ用いることも可能である。組み合わせて用いることで、より精度の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明を実施する認証装置のシステム構成例。
【図2】グリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図3】グリップ型指静脈認証装置の使用例。
【図4】指の位置決め用の溝を備えたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図5】複数の指の位置決め用の溝を備えたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図6】指の位置決め用の棒を備えたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図7】指の長手方向に並べられた光源を備えたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図8】指先の位置決め用の窪みを備えたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図9】撮像装置をグリップに対し下方に設置したグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図10】グリップを引くと認証を開始するグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図11】自動車の扉に備えられたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図12】自動車に備えられた指静脈認証装置の登録処理フローの一例。
【図13】レバーハンドル型の扉に備えられたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図14】握り玉グリップの扉に備えられたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図15】サムラッチグリップの扉に備えられたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図16】グリップ部と撮像装置とが一体化したグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図17】カード挿入時に指の甲側静脈を撮影する指静脈認証装置の一構成例。
【図18】グリップを握る連続画像を登録するグリップ型指静脈認証装置の一処理例。
【図19】複数の撮像装置を備えたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図20】金庫に備えられたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図21】バイクのグリップに備えられたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図22】グリップ型指静脈認証装置における認証処理フローの一例。
【符号の説明】
【0066】
1・・・指、2・・・撮像インターフェイス、3・・・光源、4・・・撮像装置、10・・・認証処理部、11・・・CPU、12・・・メモリ、13・・・インターフェイス、14・・・記憶装置、15・・・情報表示部、16・・・情報入力部、17・・・スピーカ、18・・・画像入力手段、22・・・グリップ、24・・グリップ支持部、26・・・赤外透過フィルタ、28・・・光源設置用の穴、42・・・手、44・・・指の赤外線画像、46・・・指の甲側の静脈パターン、62・・・指の位置合わせ用の溝、64・・・グリップ、82・・・グリップ、102・・・指の位置合わせ用の棒、104・・・グリップ、122・・・グリップ、142・・・指先の位置合わせ用の窪み、144・・・グリップ、162・・・赤外光反射防止材、182・・・グリップ接合部、184・・・導体、186・・・伸縮部材、188・・・電気的接点、202・・・自動車、204・・・自動車の扉、206・・・シート、208・・・ルームミラー、210・・・サイドミラー、242・・・扉、244・・・レバーハンドル型グリップ、246・・・電気錠、248・・・鍵穴、262・・・握り玉、282・・・サムラッチハンドル、284・・・サムラッチレバー、286・・・遮光用フード、322・・・壁面、324・・・カード挿入口、326・・・カード、328・・・遮光板、382・・・ダイヤル、384・・・取っ手、386・・・床面、388・・・ロック接合部、402・・・バイクハンドル、404・・・光源設置用突起、406・・・バイクハンドル支持部、408・・・親指。
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間の血管パターンを利用して個人を識別する装置および方法に関する。特に指の血管を用いた生態認証に関わる。
【背景技術】
【0002】
個人の所有物や情報に対するセキュリティ技術が重要視される中、利便性、機密性に優れた個人認証技術として、人間の生体情報を用いたバイオメトリクス認証が注目されている。従来のバイオメトリクス認証技術として、指紋、虹彩、音声、顔、手のひらや手の甲の静脈、指静脈を利用したものなどが考案されている。特に、指静脈を利用した認証技術は指を装置に差し出すだけで認証ができ心理的抵抗感が低く、また生体の内部情報を利用しているため耐偽造性に優れるという特徴を持つ。
【0003】
指静脈を利用した認証は次のように実現される。指に赤外光を照射すると、光は指内部で散乱した後、外部へ放射していく。このとき、血液中のヘモグロビンは周囲組織と比較して赤外光をより吸収するため、指の腹側を透過した光を撮像すると、指の腹側の皮下に分布する血管、すなわち指静脈が暗い影のパターンとなって可視化される。この画像から指静脈パターンの特徴データを事前に登録しておき、提示された指の画像から得た指静脈パターンの特徴データとの相関を求めることで登録者か否かを判定し、個人認証を行う。
生体認証はこれまでに入退室管理や勤怠管理、PCログイン、ATM装置などに適用されている。これらの多くの場合では、認証端末は認証を必要とする装置付近に別途設置されている、あるいは別モジュールとして埋め込まれており、本来実施したい操作の前に認証処理を完了させる必要があった。特に入退室管理では、ATMやPCなどもともと一定の入力操作が必要となる適用分野とは異なり、扉を開けるという直感的な操作の他に認証処理という別の動作が含まれる点において、利便性が低下している。
例えば、ドアの取っ手部に指静脈認証装置を設置し、取ってを握った状態で認証を行う方法がある(例えば特許文献1参照)。また赤外線発光LEDを備えた把持部を握りこむことにより、手の甲側の静脈パターンを撮影し、認証を実施する方法がある(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−184507号公報
【0005】
【特許文献2】特開2003−242492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記取って部に認証装置を設ける従来の技術においては、ドアノブを握りこむ際に指の掌側の皮がたるみ、それに伴って掌側の指静脈が変形を起こすため、安定して認証することが難しかった。さらに指が屈曲することで関節部分の指静脈が撮影できず、個人を特定するための情報量が減少し認識率の低下の原因となっていた。また、手の甲側の静脈パターンを撮影する上記従来技術に関しては、ドアノブの上部に撮像部を設ける必要があった。従って扉にはドアノブの他に凸状の構造物が必要となり、装置の小型化が難しかった。
本発明は、ドアノブなどのグリップを握る自然な動作の中で指静脈パターンを鮮明に撮影することで、利便性に優れ高精度な個人認証を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願で開示する代表的な発明の概要は以下の通りである。
手で握りこむ曲率を有するグリップ部と、グリップ部内に設置される指を掌側から照射する光源と、指を透過した上記光源からの光を撮像する撮像部と、撮像画像から血管パターンを抽出して個人認証を行う処理部とを有する個人認証装置。特に撮像部は上記グリップ部に設置された指を介して上記光源と対向する位置に設置され、上記設置された指の甲側を撮像する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、扉を開ける際にグリップを握り込むという自然な動作の流れの中で、高セキュリティな個人認証を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
図1は、本発明を実現するためのシステム構成の概略図である。利用者は認証時に指1を指静脈パターンの入力装置2に提示する。このとき光源3より指1に対して光が照射される。光は指1の内部で散乱し、指1を透過して掌側から出てきた光が撮像装置4によって撮影される。光は撮像装置4により電気信号に変換され、画像入力手段18を介し画像としてコンピュータ10に取り込まれる。取り込まれた画像は一度メモリ12に蓄えられる。そして、事前に登録されている指静脈画像を記憶装置14よりインターフェイス13を介してメモリ12に格納し、メモリ12に格納されたプログラムによりCPU11は登録画像と入力された画像との照合を行う。尚、照合処理はICカードのようなデバイス内部に組み込まれたCPUやメモリ、記憶装置を用いて実施されても良い。この場合はコンピュータ10にICカードリーダのインターフェイスが備えられており、ICカード内に入力画像が取り込まれ、カード内部で照合処理が実施される。このとき、利用者は情報入力装置16を利用して、ID番号や暗証番号など個人を識別する情報を入力してもよい。この場合、その情報に対応付けられた登録画像だけがメモリ12に取り込まれ、処理されることで照合時間の短縮と、誤認識の低減を図ることが可能となる。照合処理では比較する2枚の画像間の相関の値を算出し、その値に応じて登録されている画像と一致するかを判定する。この結果に応じて個人を認証し、正しく認証された場合は該認証システムの制御対象に対して認証時の処理を行う。その際、認証結果を情報表示部15あるいはスピーカ17に提示しても良い。
【0010】
本システム構成例において、光源3と撮像装置4は一体となって入力装置2として提供されるが、コンピュータ10、画像入力手段18は入力装置2と一体化する必要は無く、別々に提供されても良い。セキュリティ上からは、通信路の傍受を防ぐために全装置を一体化することが望ましい。また、表示手段15、入力手段16、スピーカ17の設置は任意であり、またメモリ12が不揮発性で十分な容量を持つ場合は記憶装置14の代わりに用いることができるため、記憶装置14の設置は不要となる。
【0011】
図2は、グリップを握ることで個人認証が実行されるグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。グリップ22の中には光源設置用の穴28が開いており、その中に光源3が設置されている。なおこの光源設置用の穴28にアクリル板のような赤外に対して透明な素材を備え、光源3を保護していてもよい。グリップ22はグリップ支持部24に取り付けられており、グリップ支持部24の中には光源3に対向させた状態で撮像装置4が設置されている。通常グリップ支持部はドア等、取っ手を設置する対象物に埋め込まれている。光源3から発光した光は赤外透過フィルタ26を通じて撮像装置4に到達する。光源3は赤外光を発光するLED、ハロゲンランプ、レーザなどを用いることができる。また撮像装置4は赤外に感度を持つCCDカメラ、CMOSカメラなどを用いることができる。赤外透過フィルタ26は赤外線の波長の光のみを透過させ、不要な外光を遮断する効果がある。
【0012】
本装置は利用者が握り込む動作を行うことで指静脈パターンを撮影し、登録パターンと比較を行うことで個人認証が実施できる。特に本発明においては、グリップ22の握り込みが自然な動作の中で行われるところ、例えば入退室管理を必要とする扉のドアノブなどに適用することで、認証のための特別な操作が不要となり、利用者の利便性を高めることができる。その場合はグリップ22をドアノブとして扉に設置し、ドアノブに光源3を、ドア本体に撮像装置4を設置することで実現できる。また拳銃や電動のこぎりなどのように握りこんだ状態で使用する装置への設置であれば、装置を作動させるためのグリップ部に光源3を、装置本体に撮像装置4を設置することで、利用者の本人確認と同時に装置を作動することができる。なお、本装置を単体で設置し、入退室管理、PCログイン、ATMなど、個人認証の必要な様々な場面で利用することもできる。
【0013】
本構成では、赤外光源3と撮像装置4を対向する位置に設置し、グリップ22とグリップ支持部24との間にある空間に挿入される指の透過画像を撮影している。通常、上記グリップとグリップ支持部との間に挿入されるのは指の部分であり、手の甲等の部分を用いるに比して指の静脈を用いて本願構成はユーザにとって無理のない動作にて実現される。よって、従来のドアノブのインターフェイスからほとんど変更を加えることなく認証装置を構成することが可能となる。この点、透過光を用いる構成においては、撮像装置に透過光が照射される位置に光源設置の必要がある。よって、手の甲を撮像対象とする場合には撮影部設置のためにグリップ支持部から突き出たの構造物が必要となることも考えられ従来のインターフェイスを改良する必要が生じうる。
【0014】
また、撮像装置4はグリップ22側ではなく、グリップ支持部24側に存在する。グリップ22側に撮像装置4を、グリップ支持部24側に光源3を設ける構成とした場合、グリップ22を握ると掌側の指静脈パターンが撮影されることになる。しかしながら、グリップ22を握りこむ際に掌側に指が曲がるため、関節部分の指静脈が指の内側に隠れてしまう。さらにグリップ22を握る際にグリップに指が押し付けられるために掌側の指表面に圧力がかかり静脈パターンが消えてしまう。これらの理由により、個人を識別する情報が減少するため認識率が低下する。一方、本構成のようにグリップ支持部24側に撮像装置4を設置すると、手の甲側の指静脈パターンを撮影することになる。指の甲側においては、ドアノブ22を握りこんでいる状態では指甲側表皮のしわが伸びるため血管が相対的に表面に近い位置に現れ、さらにグリップ時に圧迫されないという理由により静脈パターンが鮮明に撮影でき、高い認識率で個人認証が実現できる。
【0015】
ドアノブ22を握りこまずに、指を伸ばした状態では指の甲側の皮は厚いままとなっている。よって、光源3から照射される透過光を撮影しても、皮のたるみに遮られて透過率が低下するため手の甲側の指静脈パターンは全体的に暗く映る。このことは血管パターン抽出の精度低下につながりうる。従って、手がグリップ22を握りこんだタイミングで撮影を行うことが望ましい。更に、グリップ22は握りこんだ際に指がある程度屈曲する程度の太さ、曲率を有することが適当であり、また握りやすい形状とすることで操作性を高めることができる。
【0016】
図3は、図2で示した認証装置のグリップを利用者が握りこんだ状態を示している。図3(a)は装置の側面から見た図、図3(b)は上面から見た図、図3(c)は撮像装置4の位置から光源3の方向を見た図である。以下、認証処理手順の一実施例について、図22に示す処理フローに沿って説明する。はじめに、メモリや光源などのデバイスの初期化処理を実施する(S422)。次に、グリップ22が握りこまれたかどうかを判定する(S424)。この状態の検知は、光源3をわずかに点灯させ、その映像を撮像装置4によって常に監視し、その光が遮蔽された状態を検知することで可能である。又、別途握りこみを検出するスイッチを設置してもよい。前者の方法では部品点数を削減でき、また後者は消費電力を抑える効果がある。
【0017】
指1の提示が検知されると、最も鮮明な画像が得られるように光源3の光量が調整される(S426)。そして手の甲側の指静脈画像を獲得する(S428)。図3(d)はその状態で得られる指の赤外画像44を示している。赤外線が指1の掌側から照射され、指1を透過し、手の甲側の指表面を通って撮像装置4に到達する。このとき指1の手の甲側の皮下に存在する静脈が赤外光を遮ることで、その静脈パターン46が鮮明に映し出される。手の甲側の指静脈パターンは、指先から第一関節までの領域、第一関節から第二関節までの領域、第二関節から第三関節までの領域に分類できる。本実施例では、握り込みの角度によって撮影される領域が変わる。特に、指の第一関節と第二関節との間にある手の甲側の指静脈は、血管パターンが複雑であると共に表面に生えている毛が比較的少ないことなどから、個人を特定するのに最も適した撮影部位であり、撮像装置4は利用者がグリップ22を自然に握ったときその部分が主に撮影できるように設置させる構造とすることが望ましい。
【0018】
次に、指の輪郭を検出する(S430)。検出方法としては、画像のエッジを強調する手法、エッジ部分を追跡する方法などがある。
【0019】
輪郭検出の後、平行方向または平面内の回転方向の向き補正を実施する(S432)。輪郭情報から指の長手方向の向きを推定し、その角度が一定になるように画像を回転する方法などがある。
次に、血管パターンの抽出処理を実施する(S434)。この手法として、線分を強調するエッジ強調フィルタやマッチドフィルタを用いる方法、線成分を追跡することで線パターンを抽出する方法、画像の断面プロファイルにおける輝度値の局所的な窪み位置を抽出する方法などを用いることができる。
【0020】
その後、抽出あるいは強調した血管パターンから特徴量を抽出する(S436)。特徴量として、画像そのものを特徴量とする方法、分岐点や端点を検出する方法などを用いることができる。
【0021】
最後に、装置に登録されている特徴データと入力された特徴データとを比較照合する(S438)。画像そのものを特徴量としている場合では、画像同士を重ね合わせ、画素値同士の比較を実施して一致率を計算する。分岐点や端点を特徴量としている場合はそれらの位置、個数、分岐線の角度、相対的な距離などの情報を比較することで一致率を算出する。ここで得られた一致率によって、同一パターンであるか別パターンであるかを判定する(S440)。その閾値Thは事前に統計的に算出しておくことが可能である。この閾値よりも高い一致率となった場合は登録者と判定し(S442)、低い場合は登録されていない指が提示されたとみなし認証を拒否する(S444)。
【0022】
図4は、グリップ型指静脈認証装置の一構成例である。グリップ64に指の位置合わせ用の溝又は窪み62があり、溝62の中央位置に光源3が設置されている。撮像装置4は溝62の位置を撮影できるような位置に設置されている。本構成では、利用者がグリップ64を握る場合に溝62に認証の対象となる指を置くことを想定する。特に図4の形態においては溝が中心よりも左側によった位置に設けられておりグリップ64を右手で自然に握りこむと人差し指が溝62に入り、当該指の甲側の血管パターンを撮影する場合に適している。この溝62は指の横方向の位置ずれを抑制する効果を有し、指の位置が毎回安定して決まるため認証精度が高まり、また利用者に対して指の提示位置が確認しやすくなるため操作性を向上させることができる。また、光源3は溝62の中心に位置するため、指の提示の際に指が溝62に密着すると、光源3が完全に指に覆われる。そのため発光した光はすべて指を透過することになる。これにより光の照射効率が高まり、かつ透過画像のコントラストを低下させる原因となる光漏れを小さく抑えることができる。
【0023】
図5は、別のグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。図5(a)に示すように、本実施例ではグリップ82に溝62が複数、この場合4本分の指の溝が備えられており、それぞれの溝62に対して光源3が設置されている。本実施例では撮像装置4はすべての溝62を一度に撮影できる位置に備えられている。ただし画角の関係上すべてを撮影することが出来ない場合等においては、複数の撮像装置を設置しても良い。
【0024】
このような形状として、一度により多くの血管パターン情報を獲得すれば、より認識率が向上する。但し、すべての溝に入れられた指を認証に用いる必要は無く、予め利用者毎に利用する指および本数を登録しておくことも可能である。更には、たとえば指を怪我している場合等においても、複数の指を撮像してその指を除外して認証を行うようにするもできる。また溝62が1つの場合では左右の手によって握りにくくなる場合があるが、複数の溝に指を置くようにすることで両手どちらでも同様に認証でき、利き手によらないインターフェイスを提供することができる。
【0025】
図5(b)に4本の指が溝に入った状態で握り込まれたときの指静脈画像の一例を示す。それぞれの指を照射する光源3は独立に制御され、指の太さに対して最適な光量を照射する。それぞれの指1は独立に輪郭抽出され、特徴抽出される。提示された指1のすべてのパターンが登録されたパターンと一致すると、登録された人物とみなされ認証処理が完了する。このとき、すべての指の一致ではなく、4本中1本、2本または3本の一致で認証されたものとみなしても良い。これにより、本人拒否と他人受入の誤認識率が調整でき、使用する場面におけるセキュリティレベルに合わせた運用が可能となる。
【0026】
本実施例では4つの溝62を備えているが、2つ以上の複数の溝62を備えていれば図4記載の構成に比してより多くの血管パターンの情報が得られるという効果が得られる。
【0027】
図6は、更に別のグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。本実施例では、図6(a)に示すように指の位置合わせ用の棒102によって指を入れる空間が2つに分割されている。図6(b)は利用者が実際にグリップ104を握っている様子を示している。指の位置合わせ用の棒102で仕切られた左側の空間に右手の人差し指を挿入し、この棒102を人差し指と中指の間に挟みこむ。このとき、この棒102によって手の横方向の位置が固定される。さらに、人差し指と中指の付け根に指の位置合わせ用の棒102が接触するまで深く握りこむことにより、グリップ104を握りこむ回転角度方向の位置が固定される。これにより、利用者は触覚的に握り位置を把握することができ、安定した認証が可能となる。
【0028】
本実施例では、指の位置合わせ用の棒102の位置が左寄りに設置され、かつ左側に光源3と撮像装置4とが設置されている。この場合は右手の人差し指を撮影するに適した光学系となっているが、指の位置合わせ用の棒102の位置を中央付近に設置してもよい。この場合は利用者が指の位置合わせ用の棒102を任意の指の間に挟みこむことができるため利便性が向上する。また光源3と撮像装置4とを複数設置しても良く、この場合は獲得するパターンの量が増えるため認証精度を向上することができる。
【0029】
図7は、光源を指の長手方向に複数配置したグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。図7(a)はグリップ側面を、図7(b)は撮像装置4から光源3の方向を見た図である。グリップ122に複数の光源を指の長手方向に配置することで、指1が満遍なく照らされ、指全体に分布する甲側の指静脈パターンが鮮明に撮影できる。このとき、光源設置用の穴28が指1の幅より広いと光漏れが生じ、指の輪郭周辺が漏れ光により飽和する、あるいは漏れ光が撮影したい指の甲側の表面に反射して画像のコントラストが低下するため、光源設置用の穴28は指1の幅より狭くなるように配置することが鮮明な映像の撮影のために望ましい。
【0030】
図8は、指先の位置決め用の窪みを有するグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。グリップの断面が単に円形状となっている場合、指の握りこむ深さに変動が生じ、グリップの中心軸に対して同心円方向に撮像部位がずれる。これにより登録パターンと撮影パターンとが異なり、認識率が低下する。そこで、グリップを握りこんだときの回転方向の位置ずれを防止するために、グリップ144に指先の位置決め用の窪み142を設ける。窪み142の形状として、グリップを握る際に指先が該窪みの中心に到達するまでの構造は、指先が自然に入り込むようになだらかな曲線を有し、該窪みの中心より先側は、指先が突き当たって停止するように急峻な構造となっている。つまりグリップ部の中心軸に対しての法線方向距離を一部、他の部分に比較して長くする。このように、グリップの曲率を一部変化させることで、指を挿入すべき深さを明示する。窪みに指先が入るように握りこむことで、回転方向の位置ずれが生じず、安定した認証を実施することが可能となる。窪み142の深さは、爪が当たらないよう指の厚みに対して若干浅くすることが望ましい。これにより、爪が窪み142を形成する壁面に当たらず、爪の長さの変動の影響が受けにくくなる。又、特に血管パターンが複雑で情報量の多い第一関節と第二関節との間を撮像できるような位置に窪みを設けることが望ましい。また、窪みの代わりに、指の厚さに対し若干低い高さの突起状の構造物を備えてもよく、この場合はグリップを握る際に指先がその突起に突き当たるように握りこむことで回転方向の位置が固定できる。
【0031】
図9は、撮像装置がグリップに対し下方に設置されているグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。本装置を屋外で使用する場合、太陽光などの外光が撮像装置に入射するとその影響が認証精度に大きな影響を与える。そのため撮像装置4ができるだけ遮光された状態で使用されることが望ましい。例えば図3の(a)に開示するような形状とすると、グリップ22とグリップ支持部24との間にある手42を入れる空間から外光が入り込む可能性がある。そこで、本実施例においては撮像装置4をグリップ144もしくはグリップ144にかけられた手42によって覆える様な構成とする。撮像装置4をグリップ144の中心軸に対して下方に設置し、グリップ144の中心方向を撮影する向きに傾けて設置する。この状態で手42を挿入すると、斜め上方から直接撮像装置4に到達する外光の光路が完全に遮られる。これにより、上方から斜めに入り込む外光の影響を弱めることができる。ただし装置内部を反射しながら撮像装置4に到達する光路は残されるが、内部表面に赤外光反射防止材162を付けることでその影響を抑えることができる。
【0032】
尚、直接の外光を防止するという点においては、光源を上記グリップ部の中心軸よりも上方に下向きに設置することも可能である。但し、この場合には手の甲を反射した光が入射する可能性を考慮する必要がある。
図10はグリップを手前に引くことで認証が開始されるグリップ型指静脈認証装置の一実施例である。図10(a)に示すように、グリップ22とグリップ支持部24とが結合している部分に、グリップ接合部182があり、接合部182の上部には導体184が取り付けられ、また接合部182の周りにはばねなどの伸縮部材186が取り付けられている。また接合部182の近くには電気的なスイッチの役割を果たす接点188が設置されている。通常、認証装置はスリープ状態に入っており、光源3の光は完全に消灯状態となり、撮像装置4による撮像も行われない。図8(b)に示すように、利用者がグリップ22を握り、グリップ22を手前側に引いて扉を開く動作を開始すると、導体184と接点188とが接合し、導通状態となる。このタイミングを認証処理部10が検知し、血管パターン抽出のための画像取得のために光源3を点灯させると同時に撮像装置4による撮影が行われる。グリップ22から手が離されると、伸縮部材186の力により導体184と接点188とが離れ、非導通状態となり、認証装置は再度スリープ状態に入る。
【0033】
このように、扉を開く動作と連動させて認証処理を実行することにより、光源3の点灯時間や、指検知処理、画像処理を実施する時間を限定できる。これにより、電力の消費量を小さく抑えることができる。又、グリップ22を引く瞬間は指1が所定位置に設置されていることが想定されるため、安定した認証が実現できる。又、上記したようにグリップ部を引く時には手でグリップ部を握っていることが明からであるために手の甲側にある指の表皮のしわが伸ばされており、静脈検出に好ましい態様となっていることが見込まれる。
【0034】
なお、導体184と接点188とで実現しているスイッチに代えてグリップ22そのものに押しボタンスイッチや圧力センサなどを設置し、扉を引く力、あるいは握力を検知することで実現しても良い。またサムラッチタイプのグリップや握り玉タイプのグリップの場合でも同様、サムラッチを親指で押し下げること、あるいは握り玉をひねったことを認証処理部10が検知し、このタイミングで認証処理を開始してもよい。
【0035】
図11は、自動車のドアノブに設置されたグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。利用者が自動車202の扉204に設置されたグリップ22を握りこむと、認証処理が実行され、撮影された指静脈パターンが認証システムに登録されている場合は、自動車の扉204の鍵が開錠される。このとき、扉204を開く動作をサポートするために、ドアのラッチを自動的に外しても良く、また電動ドアと連動して扉204を自動的に開いても良い。これにより、スライドドアなど比較的開くのに力が要るようなドアであっても殆ど力を加えることなく扉を開くことが可能となる。
また、予めシート206やルームミラー208、サイドミラー210などの位置、角度など運転者によって調節が必要となる部分の情報を登録者ごとに設定しておく。そして、ドアノブによる認証が完了した際に、シート206の位置や背もたれの角度、ルームミラー208やサイドミラー210の角度などの設定を読み出して自動的に調整するようにしても良い。そのほかのカスタマイズ項目としては、カーナビ設定情報、エアコン温度、カーオーディオ設定などもある。運転者が座席についてから設定するのに比べて、利用者は手動で設定する手間が省け、更に調整完了の時間が大幅に短縮できるために利便性が向上する。
【0036】
図12は、自動車に設置されたグリップ型指静脈認証装置における登録フローの一実施例である。
自動車を購入した時点での初期状態は未登録状態(S222)となっており、認証装置には指静脈パターンの登録データが入っていない。初めにデータを登録する場合は、マスターキーなど自動車の所有者のみが持つ所有物を用いる必要がある。これにより、任意の人がデータを登録してしまうことを防ぐことができる。マスターキーは、たとえばイモビライザーで用いられているような機器の真性確認手段を用いて、偽造されたキーではないことが確認された場合のみ利用できるようにしてもよい。マスターキーを自動車内のキーシリンダに挿し、さらに車内の任意の場所に設置された登録スイッチをONにすることで、オーナ登録状態(S224)に切り替わる。このモードでは、自動車のオーナの指静脈を登録することができる。マスターキーがない場合、オーナーの登録や削除などのデータ変更はできない。登録は自動車のドアノブを実際に何度か握り、上記説明した認証時と同じように指を撮像して血管パターンを得ることで完了する。このとき、カーナビや自動車内部の表示装置などの入出力インターフェイスを利用して登録操作や登録状況の表示を実施しても良い。オーナ登録が完了すると、登録者が認証処理をして初めて扉の鍵を開けることができる、認証処理状態(S226)に遷移する。
【0037】
自動車を運転する人がオーナに限定される場合は上記の登録作業のみで自動車を利用することになる。しかし複数の人が自動車を利用する場合は、一般ユーザとして追加登録を可能とする。追加登録する場合は、例えばオーナの指静脈認証処理を実施し認証処理がOKと判定された上で登録スイッチをONにすることで一般ユーザ登録状態(S228)に切り替えを可能とする。これによりオーナの管理のもと運転者の追加登録が可能となる。ただし、装置のメモリ容量の制限や認識率の低下を防ぐため、事前に定められた一般ユーザ登録人数限界Nを超えて登録することはできない。登録が完了すると、一般ユーザ登録完了状態(S230)に遷移し、登録人数のカウンタを1つ増やし、自動的に認証処理状態に戻る。
一般ユーザの登録を削除する場合は、オーナの指静脈による個人認証を実施した上で、車内の任意の場所に設置されている登録削除スイッチをONにする。この操作により、一般ユーザ削除状態(S232)に遷移する。どの一般ユーザを削除するかを選択するために、カーナビなどの入出力インターフェイスを用いても良く、ユーザ番号を表すスイッチを車内の任意の場所に設置しておき、そのスイッチを押下しても良い。この操作により、一般ユーザ削除完了状態(S234)に遷移し、登録人数のカウンタが一つ減らされ、自動的に認証処理状態に遷移する。
【0038】
また、オーナの登録を削除する場合は、マスターキーを使い、前記登録削除スイッチをONにする。この操作により、オーナ登録削除状態(S236)に遷移し、オーナの登録データが抹消され、その後未登録状態に遷移する。ただし、このオーナ登録削除状態に遷移する際、オーナの個人認証を実施し、認証OKの場合だけ削除状態に移行するようにしても良い。これにより、オーナ本人がその場にいるときだけ登録削除をすることができ、部外者による悪意のある登録削除を防ぐことができる。
【0039】
上記のユーザ登録の完了後は、必ず自動的に通常の認証モードに遷移することになる。これにより、登録モードから認証処理モードへの切り替え忘れを防止することができ、部外者による悪意のあるデータ登録を防ぐことができる。また、登録モードの状態では自動車を始動することができない。これにより登録作業中に自動車が盗難されてしまうことを防止できる。
【0040】
指静脈パターンデータを登録すると同時に、自動車内のカスタマイズ登録をしてもよい。カスタマイズ項目は前述のように、シート位置、ミラー角度、カーナビ設定情報、エアコン温度、カーオーディオ設定などを含み、これらを個人の嗜好に合わせて設定する。
【0041】
なお、自動車のエンジンの始動は、従来のようなキーを用いた方法の他に、車内に設置されたエンジン始動ボタンの押下により始動してもよい。この場合はキーなどの携帯物が不要で、利便性を向上することができる。より高いセキュリティを保つために、エンジン始動ボタンに指静脈認証などの生体認証機能を具備しても良い。その場合はエンジン始動ボタン押下時に生体認証を実施し、登録者以外ではエンジンを始動できないようにできる。このとき扉を開けた登録者とエンジン始動ボタンを押した登録者が一致した場合だけエンジンを始動させることが出来るようにしても良い。また、エンジン始動ボタンに生体認証機能がない場合は、自動車の扉が開いたまま一定時間経過したときにエンジン始動ボタンを無効にしてもよい。これにより、利用者が扉を開ける操作をした後に、扉を開けたまま自動車から離れた場合の防犯対策となる。
【0042】
図13はレバーハンドル型のドアノブを握りこむことで個人認証が実現できるグリップ型の指静脈認証装置の一構成例を示している。図13(a)に示すように、扉242に設置されているレバーハンドル244の中には光源3が組み込まれ、扉242の中には光源3に対向する向きに撮像装置4が設置されている。図13(b)に示すように、利用者がレバーハンドル244を握り込むと、光源3から利用者の指に対して光が照射され、指静脈パターンの撮像と認証処理が開始される。登録された指静脈パターンと撮影された指静脈パターンとを照合し、もし登録者として認められた場合は、扉244に設置された電気錠246が開錠される。認証のための登録データの登録は、例えば、別途準備した登録用の鍵を扉242に設置された鍵穴248に鍵を挿した状態でレバーハンドル244を握ることにより実施することができる。あるいは扉242にテンキーなどの入力インターフェイスを取り付け、暗証番号の入力により登録モードに切り替えても良い。
【0043】
なお、発光、撮影のタイミングは、前述のようにグリップの握り込みを検出するスイッチに基づいてもよく、レバーハンドル244を傾けたことを検知して実施しても良い。レバーハンドル244を傾けたときに認証を開始する場合は、実際の撮影を行う時点においてはすでにハンドル244はいくらか傾いていることが想定されるため、撮像装置4の設置位置をレバーハンドル244の傾き角に応じてずらして設置することにより、指をより確実に撮影することができる。
【0044】
図14は、握り玉タイプのドアノブに組み込んだグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。握り玉262(球状のノブ)には指の位置合わせ用の溝62が形成されており、内部に光源3が設置されている。撮像装置4は握り玉262の溝62が正面から撮影できる位置に設置されている。利用者が前記溝62に指を提示するように握り玉262に手をかけると、指の甲側の指静脈パターンが撮像装置4により撮影され、認証が開始される。本実施例における発光と認証のタイミングは、握り玉262が回転したことを検知する、あるいは回転せずに引く、押すなどの動作を検知することにより実施することができる。これにより消費電力を抑える事が可能となる。
【0045】
図15は、サムラッチタイプのドアノブに組み込んだグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。図15(a)に示すように、サムラッチハンドル282の上部にサムラッチレバー284がある。また図15(b)に示すようにサムラッチハンドル282の内部に光源3が設置されている。図14,15に示す実施例において登録処理、開錠の処理は図13で開示したものを適応することができる。更に、サムラッチハンドル282の構造として、上記図4、図5、図6などで示した指の位置決め用の溝や棒を具備していてもよい。これにより、指の位置が安定するため認識率が向上する。
【0046】
また、本実施例においてはサムラッチハンドル282の側面から外光が入る可能性がある。この外光による画質劣化を防ぐために、更に遮光用フード286を設置しても良い。このフードは、赤外光を透過・反射しない材質で作られており、外からの外光を遮断し、かつ内部における赤外光の反射が生じない。これにより側面からの外光による性能劣化を防止することができる。
【0047】
なお、本実施例における発光と認証のタイミングは上述と同様に、サムラッチレバー284を親指により押し下げたことを検知する、あるいはサムラッチハンドル282を握ったことをセンサやスイッチなどにより検知することで実施できる。これにより消費電力を抑える事が可能となる。
【0048】
図16はサムラッチ型ドアノブと撮像装置とが一体化されているグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。この構成では、光源3と撮像装置4とがサムラッチハンドル282を構成する部材に既に組み込まれており、一つのモジュールとしてドアに取り付けるだけで認証装置を構成することが可能となる。例えば図13等で示した例においては、撮像装置4はグリップ22とは独立に設置する必要があり設置に際しての位置あわせ等が必要となる。この点図16の構成によれば取り付けが容易となり設置コストを低下することが可能となる。この構成はサムラッチタイプのドアノブだけでなく、レバーハンドル、握り玉などの形状でも同様に適用することができる。
【0049】
図17は、カードを差し込むときに指の甲側の静脈パターンを撮影する認証装置の一構成例である。図17(a)に示すように、扉242の設置されている壁面322に認証装置が設置されており、撮像装置4の上にはカード挿入口324がある。図17(b)はその詳細な構造を示している。撮像装置4の隣には光源3が取り付けられており、カード326を持った状態の指1の甲側を照射することで指の甲側の静脈パターンを撮影する。ただし、光源3からの赤外光が撮像したい指表面に直接照射されると、指表面で反射した光が撮像装置4に到達するため、指内部の静脈ではなく指の表皮が撮像されてしまう。これを防止するために、撮像装置4と光源3との間には、遮光板328が設置されている。この遮光板328により、撮像する部位に直接光が当たらず、その光の多くは指の第一関節と第二関節に当たる。この光が指の内部で散乱を起こし、指のあらゆる方向に進行する。このとき、指の甲側の表皮を通過して外部に放射される光は、撮像部位に対して透過光となる。この光を撮像装置4により撮影すると、指の甲側の静脈パターンが獲得できる。
【0050】
利用者が図17(b)に示すような状態でカード326を持ち、そのままカード挿入口324にカード326を差し込むと、自然に指の甲側が壁面322に向く。このカードが挿入された状態を検知することで、手の甲側の指静脈パターンを撮影する。利用者はカード挿入口324にカードを入れる動作を通じて、指の位置決めが実施される。事前に登録された指静脈パターンとの比較により、登録者であれば扉242の鍵が開錠される。
【0051】
本実施例ではカードそのものを携帯物として本人認証に使うことで、持ち物による認証に加え、カードを挿入した人の指静脈が登録されているか否かを併せて判定するため、より高いセキュリティが保たれる。この場合、カードではなく鍵を用いて鍵穴に挿入する動作を要求しても同等の効果が得られる。また、カード内に本人の指静脈パターンを格納しておき、提示された指静脈パターンと一致するか否かを判定してもよい。また、本実施例では扉242の横の壁面322に認証装置を設置しているが、扉242そのものに設置してもよい。
【0052】
図18は、グリップを握りこむ動作の経過における複数の指静脈パターンとの照合を行うグリップ型指静脈認証装置の説明図である。グリップを握りこむ際、撮像装置4には指先から順に爪、第一関節が撮影され、最終的に指の第一と第二関節との間の甲側の血管パターンが映し出される。このように、指はグリップの中心軸に対する回転方向に沿って時系列に提示される。図18(a)、(b)、(c)は、利用者がグリップを握りこむ過程の手の状態を示しており、図18(d)、(e)、(f)は、それぞれ握りこみ始めた状態から握り込みが完了した状態において時系列に撮影された指の甲側の静脈パターンの画像を表している。
【0053】
グリップを握りこむ際、指先の位置が定まらず、握りこむ角度が認証ごとに変動する場合がある。そこで、静脈パターンの登録時に、利用者がグリップ22を握り込み始めた時点から完全に握りこみが完了した状態までに撮影される指の赤外線画像44を時系列に取り込み、各画像から血管パターンの特徴量を抽出し、それらのすべてまたは一部を登録しておく。
利用者が認証を実施するときは、グリップ22を握り始めたときから握り込みが完了したときまでの連続画像から順次特徴抽出を実施し、登録された複数の特徴量と比較照合を実施する。最終的な握り込みの角度が登録時のものと異なっていた場合でも、その途中経過においては登録データとの一致率が高くなる。従って、登録した複数の登録データのうちの一部が認証された場合は、最終的な認証結果として登録者であると判定する。これにより、握りこみの角度変動に強い認証が実現できる。
【0054】
図19は、グリップの中心軸に対して同心円状に複数個の撮像装置が搭載されているグリップ型指静脈認証装置の一構成例である。
グリップ支持部24に撮像装置4が2つ設置されており、それぞれグリップ22の中心軸に対して同心円状に並んでいる。それらに対向した向きに光源3が複数取り付けられている。このとき、利用者の指1の甲側の静脈パターンを複数の撮像装置4で撮影することになる。上部に付けられている撮像装置4は、指1の第二関節と指の付け根との間の指の甲側静脈を、下部の撮像装置4は指1の第一関節と第二関節との間の指の甲側静脈をそれぞれ撮影する。これにより、撮像装置4が1つだけ設置されているものに比べ、撮影するパターン量が増加し、より認識率を高めることができる。
【0055】
認証の際は、それぞれ独立に照合処理を実施し、それぞれの一致度を評価しても良く、また、複数の撮像装置の撮影する領域に重なりがある場合は、獲得した指静脈パターンを合成して保持してもよい。前者の方法では上述した従来の指静脈認証のアルゴリズムをそのまま適応できる利点があり、後者の方法では手42がグリップ22の握り込む際の角度に変動があった場合でも、画像上では平行移動による位置補正で対応できるため、握り込みの角度変動に対してロバストな照合ができる。
【0056】
図20は、金庫にグリップ型指静脈認証装置を搭載した一構成例である。金庫の扉242に取り付けられたグリップ22に、上述の通り認証装置を取り付ける。これにより、登録者以外の人物が金庫を開けることができなくなり、財産を守ることが可能となる。登録の方法としては、上述で示した鍵穴248に登録用の鍵を挿すことで登録モードに切り替える方法のほか、ダイヤル382を特定の番号に合わせた場合に登録モードに設定できるようにしてもよい。
【0057】
金庫のように通常持ち運ばないものに対しては、本認証装置を金庫上部の取っ手384に適用し、認証が成功しない場合は床面386と金庫との接合部のロック388が外れずに、登録者以外が金庫を持ち出すことが出来ないような装置を構成することも可能となる。
【0058】
図21は、バイクのハンドルを握ることで個人認証が実現できるグリップ型指静脈認証装置の一構成例を示している。
【0059】
図21(a)に示すように、ハンドル402には突起404が設けられ、その中に光源3が設置されている。突起404はアクリル樹脂のような赤外に対して透明な素材で作られている。また突起404は光源3を支持するだけでなく、利用者がハンドル402を握る位置合わせの役割も果たす。またハンドル404を支えているハンドル支持部406の中には光源3に対向する向きに撮像装置4が設置されている。
【0060】
図21(b)に示すように、利用者はハンドル402を握る際に親指408の内側を突起404に合わせる。このとき光源3から利用者の親指408の掌側に光が照射され、親指408の手の甲側の指静脈パターンが撮像装置4により撮像される。その後、認証処理が実施され、登録パターンと一致した場合、利用者はバイクのエンジンを始動することができる。あるいはこの認証処理をハンドルロックの解除に用いることもできる。認証開始のタイミングは上述と同様、ハンドル402を握ったことをセンサ等により検知することで実施しても良い。
【0061】
データの登録は、別途登録用の鍵を用意し、ハンドル402に設置された鍵穴248に鍵を挿した状態でハンドル402を握ることにより実施する。あるいはバイクにテンキーなどの入力インターフェイスを取り付け、暗証番号の入力により登録モードに切り替えても良い。
【0062】
上記の実施例は、バイクのハンドル以外にも、自転車やエアロバイクなどのハンドルで利用することも可能である。特に、エアロバイクにおいては個人を特定することで
過去にマシンを利用した際の履歴情報を読み出し、利用者に提示するような機能を付けることも可能となる。
【0063】
なお、上記の実施例では右手の親指の静脈を利用して認証を行っているが、同様の装置を左側のハンドルに設置し、両手の親指を用いて認証を行ってもよい。これにより、さらに高い精度の認証を行うことが可能となる。
【0064】
尚、上記何れの実施例においても、認証のフローは 図22で説明した流れを適応することができる。更に図4乃至図10に開示するグリップの形状は物理的に可能な範囲で互いに組み合わせることができる。さらに、図13以降に開示する別の形態の取って部にも組み合わせることが可能である。又、図18記載の実施例も他のグリップ部うの形状に関する実施例と組み合わせ用いることも可能である。組み合わせて用いることで、より精度の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明を実施する認証装置のシステム構成例。
【図2】グリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図3】グリップ型指静脈認証装置の使用例。
【図4】指の位置決め用の溝を備えたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図5】複数の指の位置決め用の溝を備えたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図6】指の位置決め用の棒を備えたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図7】指の長手方向に並べられた光源を備えたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図8】指先の位置決め用の窪みを備えたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図9】撮像装置をグリップに対し下方に設置したグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図10】グリップを引くと認証を開始するグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図11】自動車の扉に備えられたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図12】自動車に備えられた指静脈認証装置の登録処理フローの一例。
【図13】レバーハンドル型の扉に備えられたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図14】握り玉グリップの扉に備えられたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図15】サムラッチグリップの扉に備えられたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図16】グリップ部と撮像装置とが一体化したグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図17】カード挿入時に指の甲側静脈を撮影する指静脈認証装置の一構成例。
【図18】グリップを握る連続画像を登録するグリップ型指静脈認証装置の一処理例。
【図19】複数の撮像装置を備えたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図20】金庫に備えられたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図21】バイクのグリップに備えられたグリップ型指静脈認証装置の一構成例。
【図22】グリップ型指静脈認証装置における認証処理フローの一例。
【符号の説明】
【0066】
1・・・指、2・・・撮像インターフェイス、3・・・光源、4・・・撮像装置、10・・・認証処理部、11・・・CPU、12・・・メモリ、13・・・インターフェイス、14・・・記憶装置、15・・・情報表示部、16・・・情報入力部、17・・・スピーカ、18・・・画像入力手段、22・・・グリップ、24・・グリップ支持部、26・・・赤外透過フィルタ、28・・・光源設置用の穴、42・・・手、44・・・指の赤外線画像、46・・・指の甲側の静脈パターン、62・・・指の位置合わせ用の溝、64・・・グリップ、82・・・グリップ、102・・・指の位置合わせ用の棒、104・・・グリップ、122・・・グリップ、142・・・指先の位置合わせ用の窪み、144・・・グリップ、162・・・赤外光反射防止材、182・・・グリップ接合部、184・・・導体、186・・・伸縮部材、188・・・電気的接点、202・・・自動車、204・・・自動車の扉、206・・・シート、208・・・ルームミラー、210・・・サイドミラー、242・・・扉、244・・・レバーハンドル型グリップ、246・・・電気錠、248・・・鍵穴、262・・・握り玉、282・・・サムラッチハンドル、284・・・サムラッチレバー、286・・・遮光用フード、322・・・壁面、324・・・カード挿入口、326・・・カード、328・・・遮光板、382・・・ダイヤル、384・・・取っ手、386・・・床面、388・・・ロック接合部、402・・・バイクハンドル、404・・・光源設置用突起、406・・・バイクハンドル支持部、408・・・親指。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で握りこむ曲率を有するグリップ部と、
上記グリップ部内に設置され、該グリップ部に設置された指を掌側から照射する光源と、
上記指を透過した上記光源からの光を撮像する撮像部と、
上記撮像部で撮像された画像から血管パターンを抽出して個人認証を行う処理部とを有し、
上記撮像部は上記グリップ部に設置された指を介して上記光源と対向する位置に設置され、上記設置された指の甲側を撮像することを特徴とする個人認証装置。
【請求項2】
前記グリップ部は上記指を設置するための1つ以上の窪みを備えることを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項3】
前記窪みの中心位置に前記光源を備えることを特徴とする請求項2記載の個人認証装置。
【請求項4】
前記撮像部は、前記グリップ部を支持するグリップ支持部内に設置されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の個人認証装置。
【請求項5】
前記撮像部は前記グリップ部に設置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の個人認証装置。
【請求項6】
前記グリップ部と前記グリップ支持部とをつなぐ位置あわせ用棒を有し、該位置あわせ用棒を挟むように複数の上記設置される指を設置させることを特徴とする請求項4記載の個人認証装置。
【請求項7】
前記グリップ部の一部についての曲率が他の部分と異なるものとされ、該曲率が異なる箇所まで上記指の先を挿入させることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか記載の個人認証装置。
【請求項8】
前記光源を前記設置される指の長手方向に複数個配置することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の個人認証装置。
【請求項9】
前記グリップ部に対し前記手によって圧力が加えられたことを検知する検知部を備え、前記グリップ部に対し圧力が加えられたときに前記撮像部の撮像を開始することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の指静脈認証装置。
【請求項10】
前記撮像部を前記指の長手方向に複数個備え、
該撮像部それぞれが複数個配置される前記光源と対向していることを特徴とする請求項8記載の個人認証装置。
【請求項11】
前記指の長手方向に移動する前記指の指静脈パターンを時系列に複数毎撮影し、該複数撮影された複数の画像を用いて前記個人認証を行うことを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の個人認証装置。
【請求項12】
前記処理部は、前記複数の画像毎に登録パターンとの認証を行い、いずれかの画像を用いた認証がなされた場合に個人認証が成立したと判定することを特徴とする請求項11記載の個人認証装置。
【請求項13】
前記グリップ部は自動車のドアノブであって、
前記処理部部は個人認証できたと判定した場合に該自動車のドアを開錠することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の個人認証装置。
【請求項1】
手で握りこむ曲率を有するグリップ部と、
上記グリップ部内に設置され、該グリップ部に設置された指を掌側から照射する光源と、
上記指を透過した上記光源からの光を撮像する撮像部と、
上記撮像部で撮像された画像から血管パターンを抽出して個人認証を行う処理部とを有し、
上記撮像部は上記グリップ部に設置された指を介して上記光源と対向する位置に設置され、上記設置された指の甲側を撮像することを特徴とする個人認証装置。
【請求項2】
前記グリップ部は上記指を設置するための1つ以上の窪みを備えることを特徴とする請求項1記載の個人認証装置。
【請求項3】
前記窪みの中心位置に前記光源を備えることを特徴とする請求項2記載の個人認証装置。
【請求項4】
前記撮像部は、前記グリップ部を支持するグリップ支持部内に設置されることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の個人認証装置。
【請求項5】
前記撮像部は前記グリップ部に設置されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の個人認証装置。
【請求項6】
前記グリップ部と前記グリップ支持部とをつなぐ位置あわせ用棒を有し、該位置あわせ用棒を挟むように複数の上記設置される指を設置させることを特徴とする請求項4記載の個人認証装置。
【請求項7】
前記グリップ部の一部についての曲率が他の部分と異なるものとされ、該曲率が異なる箇所まで上記指の先を挿入させることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか記載の個人認証装置。
【請求項8】
前記光源を前記設置される指の長手方向に複数個配置することを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の個人認証装置。
【請求項9】
前記グリップ部に対し前記手によって圧力が加えられたことを検知する検知部を備え、前記グリップ部に対し圧力が加えられたときに前記撮像部の撮像を開始することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の指静脈認証装置。
【請求項10】
前記撮像部を前記指の長手方向に複数個備え、
該撮像部それぞれが複数個配置される前記光源と対向していることを特徴とする請求項8記載の個人認証装置。
【請求項11】
前記指の長手方向に移動する前記指の指静脈パターンを時系列に複数毎撮影し、該複数撮影された複数の画像を用いて前記個人認証を行うことを特徴とする請求項1乃至10の何れかに記載の個人認証装置。
【請求項12】
前記処理部は、前記複数の画像毎に登録パターンとの認証を行い、いずれかの画像を用いた認証がなされた場合に個人認証が成立したと判定することを特徴とする請求項11記載の個人認証装置。
【請求項13】
前記グリップ部は自動車のドアノブであって、
前記処理部部は個人認証できたと判定した場合に該自動車のドアを開錠することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の個人認証装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2007−75305(P2007−75305A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266218(P2005−266218)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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