説明

光カーテンへの応用に適した光検出器

この発明は、光カーテンに適した平面検出器に関するものであり、この検出器は吸収した光に応じて電気的な信号を発生し、発生した信号用の多数のタッピング点を具えている。個々のタッピング点での信号の大きさは光が吸収された区分への距離に依存しており、複数タッピング点での信号間の大きさの比から、それぞれのタッピング点から光が吸収された区分への距離の比を算出できる。検出器(10、20、30)は、有機材料でできたフレキシブルな層構造として形成されている。タッピング点(2、24)は、層構造の端部から間隔を空けて配置されている。タッピング点(2、24)への電気接続導線(3)は、その全長に亘って検出器の層構造に接続されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光カーテンは、通常、互いに平行な光バリアを並べて形成される。時折、出射光ビームの断面がほぼ直線状である光源が用いられることがある。この直線を、光センサを並べて形成した列の向きと平行に配置することによって、光センサに比べて少ない数の光源で間に合わせることができる。
【背景技術】
【0002】
US2007/176165A1は、当たった光スポット用の感光性有機半導体をベースとした位置検出器の構造を開示している。平面状に構成されたこの検出器は複数の層で構成されている。高い非無効抵抗を有する第1の平坦電極が、ガラス製又は可撓性のある有機素材でできた基板の上に延在している。この電極に続いて、有機光活性材料でできた層が設けられており、この層の中にドナー層とアクセプター層が互いに隣接している。更に、平坦電極が続くが、この電極は低い非無効抵抗を有する。この平坦電極の端部に、光活性材料が設けられており、相互に間隔をあけて設けた2乃至8個の点状又は線状の接続用電極が提供されている。適宜のスペクトル波を有する光ビーム束が、光活性材料でできた層の1点に当ると、個々の接続電極に電流が流れる。個々の電極に流れる電流の大きさから、光ビームが当った点への電極の近接を推測することができ、従って、一種の三角測量法によって、光ビームが当った点を算出することができる。
【0003】
EP0361374A2では、有機蛍光色素をドープした光透過性プラスチックにおいて、外部からの光入射が、同様に蛍光色素をドープした光導波路によって感光性半導体素子へ案内されると蛍光光線が生じることを用いて光検出器を作ることが提案されている。これによって、一般的なシリコンなどの、通常の半導体用素材をベースにした感光性半導体素子を用いて、コスト的に有利に大面積の検出器素子を作ることが可能になる。光導波路を用いることは、製造及び組み立てに際して複雑な作業工程となり、大きなスペースを必要とする。
【0004】
DE3441498C2によれば、蛍光性物質をドープしたガラス又は透明プラスチックなどの光透過性材料で作られたストリップが、片面にフォトダイオードに接続して、互いに平行に配置されており、比較的大面積の検出器を形成している。ここでは、光が当ったか否かを部分面積について個々に測定することができる。しかしながら、主に、光を案内することとは別である個々の面積への再分割によって、製造工程が複雑になる。
【0005】
DE102005040351B4は、典型的には板ガラスなどの平坦光ガイド基板上に、可視光のスペクトル域を殆ど又は全く吸収しない蛍光材料層を適用した検出器を開示しており、この層が入射UV光を光に変換して、この光が基板内でその端部領域にガイドされる。基板に光学的に結合した光線センサが、当該基板の端部領域に取り付けられており、このセンサが基板から届いた光パワーを電気信号に変換する。この検出器は、どこにでもある、例えばガラス隔壁やガラス扉、ガラス製額縁などのガラス面に目立たないように取り付けることができる。検出器から離して配置され検出器に光を入射させる、目立たないように取り付けたUV光源と共働して、検出器は、光源と検出面との間の空間用の非常に目立ちにくい侵入監視装置として用いることができる。人間が光源と検出器間の領域に入って検出面の少なくとも一部に影を作ると、端側のセンサのうち少なくとも個々の光線センサに届く光パワーが減少し、それに応じて変換された電気信号が上位のコントロール装置に転送される。
【発明の概要】
【0006】
このような従来技術を基にして、本発明の課題は、光センサ用の光学検出器の構造を提案するものであり、公知の検出器を超える利点がある以下の特徴を有する。
・長いストリップ又は比較的大きな領域として、良好且つコスト的に有利に作ることができる。
・光の局所的な入射に際して、どの区画部分に光が入射したかを認識可能である。
・頑丈である。
・組み立ての手間と費用が少ない。
・製造コストが低い。
【0007】
この課題を解決するために、検出器を有機材料でできたフレキシブルな層構造とし、1つの層に届く光が光学的又は電気的な信号を作り、その信号が大きな損失を伴って層構造に沿って伝導する。層構造の一方の側には、端部領域から距離を置いて、互いに間隔を空けた信号用の複数のタッピング点が取り付けられている。これらのタッピング点は、光学信号には光電子センサとなり、電気信号には導電層上の接点になる。個々のタッピング点への接続用導線は、層構造の一方の側に取り付けられ、タッピング点に通じている。
【0008】
有利な一実施例によると、検出器の一の層が蛍光粒子で強化されている。この層内に散乱した光は、蛍光物質によって波長の長い光に変換され、層内で層の境界面における反射によって、「古典的な」構造のフォトダイオードに導かれる。このフォトダイオードでは、計測可能な電気信号が生じる。フォトダイオードに届く光の強度は、外から光インパルスが層に届いて蛍光を励起する点への距離からの間隔に伴って減少するので、相互に間隔を空けた複数のフォトダイオードの信号振幅同士の比較から、外から入った光が当った点(もしくは当った面)を逆算することができる。
【0009】
更なる検出器の構造においては、有機光活性材料で一の層ができており、この層が、この層に電気的に接続された2つの平坦電極間に配置されており、少なくとも一の電極がその電気回路内に比較的高い無効抵抗を有する。光が光活性層の位置に入射すると、光活性層の両側に配置された平担電極がこの位置で互いに接続される。導電性の悪い電極を流れる電流は、相互に間隔を空けた複数の接点で測定される。様々な接点で測定された様々な電流の相対的な大きさから、光が入射した場所のポジションを計算する。
【0010】
有利な一実施例によれば、電気信号の個々のタッピング点への接続導線が層構造の層の上に印刷されている。この方法は容易に自動化することができる。システム内で発生する電流の強度は、簡単に作ることができる、むしろ小さい断面積の線で問題なく間に合うくらいに小さい。通常、本発明による検出器には前側と後側があり、前側が、光カーテンに属する光源からの光が意図したように入射する側である。光学的な理由と、測定に関係する検出器の層を不必要に遮蔽しないようにするために、接続導線は、通常、測定に関係する検出器の層の後側に取り付ける。
【0011】
自動化には適していないが、よりフレキシブルに構成された構造では、接続導線が層構造に接着されている。このために、接続導線自体が分節した粘着テープの一部であってもよい。
【0012】
検出器の非常に有利な実施例においては、これは細長いストリップ形状を有しており、互いに間隔を空けて配置されている2列のタッピング点が、このストリップの長手方向に沿って延在している。そのように形成された検出器で動作する光カーテンを通って対象物が動くと、上位のコントロール装置が、対象物がどちらの側から光カーテンを通って動いているかを認識することができる。これは、対象物の動きによって光の条件が変わることで生じる信号の変化が、対象物が光カーテンの中に入る側と、対象物が移動する側において、より強く、より早く生じるからである。
【0013】
検出器の非常に有利な使用において、一の検出器ストリップと、一又はそれ以上の光源が、通路で監視を行う領域の2つの対向する端部に、それぞれ配置されている。この2つの検出器ストリップの検出結果から、その領域を通って移動する対象物の高さを数学的手法によって測定することができる。光カーテン及び/又は検出領域が垂直方向に向けられていない場合は、「対象物の高さ」の代わりに、より一般化して「検出領域平面と監視対象領域に対する対象物の垂直方向の寸法」と言える。
【0014】
検出器の非常に有利な使用において、このタイプの二重の光カーテンを空間の複数の壁面に、水平に、通常は床の近くに配置する。これによって空間全体の床面での対象物の動きを監視することができる。評価ロジックを巧みに応用し、空間内に存在する可能性がある対象物がはじめからある程度は限定可能な場合は、動いている対象物が属するクラスを自動的に検出することもできる。このようなクラスとは、例えば、人間、家具、輸送用具、手荷物類、様々なペット及び/又は家畜である。
【0015】
本発明による構造を持つ検出器は、長いストリップとしてのみならず、比較的広い平面として容易に実現することができるので、有利な一の使用においては、室内の床領域、通路、あるいはガレージの収納領域全体を検出面とし、更に、上から照射するようにしてもよい。これによって当然に、領域上での対象物の動きを容易に検出することが可能になり、倉庫の占有状態も容易に検知することが可能で、占有領域に関する知識をうまく活用して、対象物にぶつかることなく、しかし必要な場合には対象物を素早く見付け出し、例えばこれをターゲットとして取り出すことができるように、自動輸送システムを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明を、例示的であり、縮尺どおりではない図面に基づいて、説明する。
【図1】図1は、本発明によるストリップとして実施された例示的な検出器を示す図であり、電気接続導線の平面に対する方向に見た図を示す。
【図2】図2は、図1に示すストリップの実施例を示す断面図である。(目視可能にするために、本図と図3では、層厚をより大きな比率で示しており、断面には通常施されるハッチングを行っていない)。
【図3】図3は、図1に示すストリップの別の実施例を示す断面図である。
【図4】図4は、ストリップとして形成した本発明による検出器を光カーテンに用いた例を示す図である。光カーテンによって監視される平面に垂直な方向を示している。
【図5】図5は、影を作る対象物が存在する場合の図4からの状態を示す図である。
【図6】図6は、床面の占有状態を監視する本発明による検出器の応用例を、水平方向から示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1乃至3に示すストリップ型検出器10、20の上に、2列のタッピング点2、24が配置されており、このタッピング点に存在する検出器領域上の光の入射によって電気信号の強さが決まる。
【0018】
それぞれの接続導線3はタッピング点2、24に接続されており、タッピング点から検出器の長手方向に、検出器から離れて通っている導線との接続箇所23まで延びている。印刷回路基板製造技術から公知である印刷及び接続技術を用いて、図1に示す回路構造を容易に作ることができる。最終的には装着に便利で扱いやすいストリップを形成し、そこからワイヤ又はケーブルが一方の端部領域にのみ延びている。ストリップの裏面に粘着層が設けられていて、装着時まで剥離可能な保護フィルムで覆うようにする。
【0019】
図1に示された回路構成には本質的に交差部分が無い。印刷回路基板製造加工技術から知られているように、中間層と局所フィールドスルーを用いて、当然に配線を交差させることもできる。その際に同数のタッピング点について、ストリップの幅を大幅に小さくすることができ、接続導線3を各タッピング点2、24からストリップ型検出器の両端に向けて配線し、接続箇所23で終端するようにできる。そのように形成された検出器ストリップは、切り離して、単純に分割して、短いが検出器ストリップと完全に同じように機能する2つのストリップを形成することができる。
【0020】
図2は、蛍光波を用いた検出器ストリップ10の例示的な層構造を示す断面図である。PETでできた2つの層6の間には、合成樹脂ポリビニルアルコールと色素ロダミン6Gを均質に混合して作った薄層7が積層されている。PET層6は、中間層7と共に光導波路を形成している。層7は光輝性である。互いに対してピッチ間隔で、「通常の」小面積のシリコン・フォトダイオード2が配置されている。このダイオードは、断面積が、例えば2×2平方ミリメートルであり、実際に光電子センサを構成している。フォトダイオード2は、入射方向と逆の方向を向いているPET層6のその側部においてPET層に取り付けられており、PET層からの光の結合をはずし、pn結合箇所において結合している。フォトダイオード2の信号は、接続線3を介して、コントローラに接続する更なるラインを伴う接続箇所23(図1)に送られる。
【0021】
適切なスペクトルを持つ光ビーム4が層7に当ると、集積粒子中で蛍光を励起する。その際に発生した波長の長い光5は、その大部分が層6及び7で形成された導波路に導かれる。導波モードの光5は、導波路の中で分散、減衰して弱くなってゆく。このようにして、蛍光を発生する光4が当った点と光電センサ間の距離に応じて、導波モードの光強度の違いを光電子センサ2で測定する。様々なタッピング点における信号の大きさの比から、光があたった点の位置を算出することができる。個々の信号の大きさの絶対値はこの場合重要ではない。重要なことは、互いに対する信号の大きさの比である。検出器ストリップの個々の層6、7、8、9は、中断することなく多数の光電センサへ延びている。従って、これらの層を、それぞれ一の光電センサ2にのみ割り当てられる個々の区画部分に分割する必要がない。
【0022】
光電センサ2を、1列のものに代えて、2列構成のものを用いることで、検出器10を用いて機能する光カーテンを対象物が横切る方向を認識することができる。
【0023】
層8は、接続導線3と導波路6との間の中間層である。この層は層6よりもかなり屈折率が低く、導波路の光の結合がはずれない。
【0024】
層9は、接続導線3と光電子センサ2を覆う外側保護層である。層構造の反対側に、導波路6の関連するスペクトル範囲に透明な保護層を設けることは、非常に適切である。
【0025】
図3は、検出器ストリップ20の更なる例示的な層構造を示す断面図である。電気的に絶縁であり、光透過性の、通常プラスチックフィルムでできている保護層16の上に、透明又は半透明の平坦電極12が配置されている。この電極は「導電性が低い」、すなわち、導電材料でできてはいるが、システム内ではかなり非無効抵抗を示す。この「導電性が低い電極」は非常に薄い金属層、透明導電酸化物(TCO)、導電ポリマ、又はカーボン・ナノチューブ網目材であってもよい。この電極の層厚は、電流が流れた場合のシート抵抗が各回路で有意な電圧降下を起すように設定される。互いに対するピッチ間隔では、幾つかのタッピング点24すなわち局所的な接続電極は、この導電性が低い電極12と外部回路を接続している。
【0026】
「導電性が低い電極」12に隣接しており、この電極に導通している層は、光活性有機半導体11である。この層は光伝導体又は光起電性活性素子であってもよい。すなわち、光を吸収する際に、電気抵抗がなくなる、あるいは、2つの層間境界で電位が生じる。電気抵抗がなくなる場合、外部電圧が存在すると電流が流れ、層間境界に電位が生じる場合は、外部ループによって電気回路が閉じられて電流が流れる。
【0027】
光活性有機半導体11の第2面には、ここに導通する平面電極13が続いており、この電極は、回路の他の構成部品と比較して、非常に低い非無効抵抗を有することが理想的である。この電極は金属層、導電ポリマ、導電酸化物、又は、カーボン・ナノチューブ網目材でできている。電極13が電極12と同じ材料でできている場合、電極13は電極12よりも実質的に厚くなくてはならない。電極13の導電性は、これに隣接する非常に導電性が高い金属ワイヤ又はフィルムで支援されている。図に示す例では、電極13は、2本の配線17を介して外部電気回路に接続することができる。この配線は、検出器20の長に亘って延在しており、電極13に対する水平面に接している。
【0028】
適切なスペクトル波を持つ光ビーム4が光活性有機半導体11の1点に当ると、導電性の低い電極12を通って電流がタッピング点24に流れる。電極12の非無効抵抗によって、個々のタッピング点24に流れる電流の大きさは、光ビーム4が当った点への近位度に大きく依存している。この結果、個々の電流を計測することによって、個々の光ビーム4が当たった点を、互いに対する大きさの比から逆算することができる。この構造においても、個々の信号の大きさの絶対値は重要でなく、重要な点は、互いに対する大きさの比率だけである。
【0029】
検出器ストリップの個々の層11、12、13、14、15、16は、中断することなく多数のタッピング点24に延びている。従って、これらの層をタッピング点24に割り当てられている個々の区画部分に分割する必要はない。
【0030】
上述した例のように、ここでも1列に代えて2列のタッピング点24を用いることによって、検出器20を用いて機能する光カーテンを対象物が横切る方向を認識することができる。
【0031】
層14は、接続導線3と電極13との間の電気的絶縁中間層である。
【0032】
層15は、接続導線3とタッピング点24を覆う外側保護層である。
【0033】
図4は、本発明による有利な検出器の一例を示す図である。通路の監視対象領域19の対向する相互に平行な端部に、ストリップタイプの検出器10、20がそれぞれ取り付けられている。この端部にそれぞれ複数の光源18が設けられており、これらの光源が断面線状の光ビームを出口スリットから出射し、この線が監視対象領域19にあり、光源18から距離を空けて延在している。図4は、個々の光源18からの照明領域の境界を破線で示している。透明でない対象物が領域19に存在すると、この領域の対向する端部にそれぞれ配置された検出器から光源18に影を作る。個々の光源から発した光が互いに識別できるものであれば、光ビームの大きさの比率と個々の検出器における影の位置から、領域19における対象物の位置と、その寸法を自動的に逆算できる。これは一例として、個々の光源の周波数特性に伴って揺らぐ、個々の光源からの光ビームの強度によって、簡単に行うことができる。従って、選択基準としての周波数を有するタッピング点に届いた電気信号は、個々の部分信号に分割され、これら個々の部分信号を個々の光源18に独自に割り当てることができる。同様に、異なる光源毎に異なるスペクトル域を用いることもできる。単純な可能性は、全ての光源に共通する時間クロックインターバルの中で、個々の光源に異なる部分インターバルを割り当てることであり、このインターバルでもっぱら発光することができる。
【0034】
図4は、所望の空間位置にある監視対象領域19に適用することができる。この領域は、通常垂直方向に向けられており、例えばゲート通路となっている。また、領域19は、例えば部屋の床面のすぐ上の領域など、水平領域であると仮定することもできる。対象物の室内でのこの位置又は動きをこの構成によって検出することができる。
【0035】
図5は、影を作る対象物の大きさ、形状、及び位置を決定するアルゴリズムの原理を示す図である。このために、図5は、図4の構成に、領域19にある影を作る対象物26を補充したものを示す。検出器10、20のハッチングをして目立たせた縦長領域25は、少なくとも一の光源18が対象物26によって影になっている領域である。影ができている縦長領域25とこれに対応する光源18との間には、それぞれ影を作っている対象物26に亘る三角形の領域が区切られている。光源とこれに対応する影を作っている領域25の位置関係から、影を作っている対象物はその全体が該当する三角形の領域内に存在する筈であり、光源から発せられた三角形の2辺に接する筈である。複数の光源18がある場合、このような三角形が複数作られる。ここで、影を作っている対象物26は、個々の光源18から発されてできた全ての三角形に共通する交差領域内に位置することになる。影を作っている対象物が複数ある場合、一般的に、光源18の存在数よりも影になった領域25の数が多くなる。この影になった縦長領域は、この縦長領域で、本来存在するべき信号が無いか、非常に弱いことを究明することによって、検出される。
【0036】
本発明による検出器の有用な応用例は、光カーテンを、表示面が見える、表示面の前側において、表示面に平行に配置するステップを具える。すでに説明したように、互いに距離を空けて配置されて、検出結果を互いから区別できる複数の光源を用いて、ディスプレイ領域のどの領域部分に対象物が動いてきたかを認識することができる。これをコンピュータスクリーンに応用し、スクリーンに対象物が移動してくる検出位置が、データ処理システムにおいて有意性を割り当てている場合、タッチスクリーンが実現される。このようなタイプの光カーテンの、簡単でコスト的に有利でしっかりした実現可能性によって、ディスプレイでばかりでなく、陳列棚、ポスター、告知板などのような他の(受動的な)表示面も取り付けることにも適している。従って、例えば、どの対象物が特に頻繁に表示されるかを検出することができ、これはマーケティング目的のために価値のある情報になり得る。このタイプの光カーテンを2つ、互いの近くに、互いに平行に配置することによって、両方の光カーテンを通って延在する縦長の対象物(例えばポインタ、腕や、指のようなもの)によって、示される位置を認識することができる。
【0037】
図6は、1つの応用例を示す図であり、そこでは本発明による検出器30がストリップではなく、二次元の比較的大きな領域である。部屋の床21、あるいは通路又は倉庫の整理棚の収納領域の上に広がっており、セラミクス、ガラス、透明な合成樹脂による、又は格子だけのカバー層22によって、機械的な損傷から保護されている。光源18はカバー層22の上方に間隔を空けて配置されている。従って、カバー層22の上で動くか又はカバー層の上におかれた対象物を自動的に検出できる。検出結果は、その領域の安全防止、又は倉庫の在庫把握の目的だけでなく、自動搬送システムの制御に利用することができ、これによって、後者ではまず対象物が意に反して衝突しないようにし、2番目に所望の対象物を早く見つけて、目的の態様で捕捉することができる。
【0038】
公知の光カーテンと同様に、本発明による検出器を適用する際にも、光源と検出器を、監視対象領域の同じ端部領域、あるいは監視対象空間の同じ端部領域に取り付ける可能性や、監視対象領域の対向する端部領域、あるいは監視対象空間の対向する領域には、測定に有意な光の反射器のみを取り付ける可能性がある。これによって装着を簡易化することができ、堅牢性も改善される。しかしながら、影を作る原因になる対象物の大きさについての認識能力は、より低下する。線状に配置された光源とこの線に沿って延在する検出器に基づいてある領域を監視する場合には、これらの光源と検出器に対向する側の反射板は、監視対象領域に直行する方向成分について、逆反射板、すなわち、光が届く方向にほぼ正確に反射して戻す反射板として設定すべきである。
【0039】
公知の光バリアや光カーテンのように、周辺光が誤った結果を誘発する問題は、以下のいずれかによって考慮される。
・検出器10、20、30が検知し、光源18が動作する光のスペクトル域は、周辺から入り込む光のスペクトルとは異なる、又は
・光源18の放射強度は、周波数で符号化され、この周波数は、通信技術に付随する手法によって、タッピング点2、24から取り出される信号をフィルタリングして取り出される、又は、
・光源18の光が非常に、狭いスペクトル域で著しく高いパワー・スペクトル密度を具え、検出器10、20、30は、第1に可能な限り正確にこのスペクトル域を選択し、そこで検出された信号の範囲内で、強度が光源の特性としての一定の境界レベルを超える光源である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光カーテンに用いる平面状の検出器であり、吸収した光に応じて電気信号を発生し、発生した信号に対し複数のタッピング点が設けられており、個々のタッピング点における信号の大きさが、光が吸収された区分領域からの距離に依存しており、複数のタッピング点における信号同士の大きさの比から、それぞれのタッピング点と光が吸収された区分領域との距離の比を算出できる検出器において、
・検出器(10、20、30)が、有機材料でできたフレキシブルな層構造として形成されており、
・タッピング点(2、24)が、前記層構造の端部から間隔を空けて配置されており、
・タッピング点(2、24)への電気的接続導線(3)が、縦方向に前記検出器の層構造に接続されている、
ことを特徴とする検出器。
【請求項2】
請求項1に記載の検出器において、
前記接続導線(3)が、前記層構造の一の層に印刷されていることを特徴とする検出器。
【請求項3】
請求項1に記載の検出器において、
前記接続導線(3)が、前記層構造の一の層に接着されていることを特徴とする検出器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検出器において、
前記接続導線(3)は、検出する光が吸収される層(7、11)の光の入射からそれた側に配置されていることを特徴とする検出器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検出器において、
当該検出器が平担な光導波路として形成され、当該導波路にタッピング点(2)が光電子センサとして取り付けられており、前記平坦な光導波路の少なくとも一の層(7)が光輝特性を有することを特徴とする検出器。
【請求項6】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検出器において、
当該検出器が、有機光活性材料でできた層(11)を具え、当該層(11)の両側に平担電極(12、13)が接続されており、少なくとも一の電極(12)がその回路に比較的高い非無効抵抗を有し、複数の相互に間隔を空けて配置した接点が、この導電性が低い電極(12)と接触して、前記検出器の電気信号用のタッピング点(24)を形成していることを特徴とする検出器。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検出器において、
当該検出器が縦長のストリップ形状を有し、2列のタッピング点(2、24)が相互に間隔を空けて配置されており、前記ストリップの長手方向に延在していることを特徴とする検出器。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の検出器において、
当該検出器が、光カーテンを形成する構成に使用され、当該構成が監視対象領域(19)の異なる端部領域に配置された複数の検出器(10、20)と、複数の光源(18)を具えており、当該光源(18)は測定に関連する光を出射し、少なくとも1つの検出器に一以上の光源(18)が光を照射し、異なる光源(18)から検出器に届く光線が、光線に対する検出結果にもとづいて、どの光源から出た光線であるかを認識できるように、設定されていることを特徴とする検出器。
【請求項9】
請求項8に記載の検出器において、
当該検出器が一空間の壁面に配置されており、監視対象領域が水平方向を向いていることを特徴とする検出器。
【請求項10】
請求項8に記載の検出器において、
当該検出器が表示領域の前に配置されており、当該表示領域内又はその後ろのどの領域に向けられているのか、又は、どの方向に対象物が動くのかを認識することを特徴とする検出器。
【請求項11】
請求項10に記載の検出器において、
タッチパネルのセンサとして機能する部分が前記検出器と共に実現されることを特徴とする検出器。
【請求項12】
請求項10に記載の検出器において、
当該検出器が表示ウインド領域、告知板、又は広告板の前に配置されていることを特徴とする検出器。
【請求項13】
請求項1乃至6、及び9乃至12のいずれか1項に記載の検出器において、
当該検出器が床面(21)に延びており、検出に関連する光で上方から照射されることを特徴とする検出器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2012−524239(P2012−524239A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−504992(P2012−504992)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/AT2010/000108
【国際公開番号】WO2010/118449
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(511007808)イシキリ インターフェイス テクノロジーズ ゲーエムベーハー (5)
【氏名又は名称原語表記】ISIQIRI INTERFACE TECHNOLOGIES GmbH
【Fターム(参考)】