説明

光切断3次元計測装置

【課題】撮像装置の分解能に関わらず、求めた高さと着目位置の対応を明確にするとともに対象物の高さを精度よく求める。
【解決手段】光切断3次元計測装置1において、投影装置10が対象物2にスリット光100を投影し、撮像装置11が対象物2のうち光切断線101を含む領域を投影装置10の投影方向とは異なる方向から撮影して、撮像画像110を生成する。画像処理装置13では、搬送装置12によって移動させられている対象物2にある複数の着目位置のそれぞれを撮像画像110上で追跡し、各着目位置に対して、スリット光100による照度変化が生じている範囲内に含まれている間に撮像明度及び時刻を少なくとも3回計測する明度計測機能と、着目位置ごとに3つの撮像明度及び時刻を用いて上記撮像明度の最大値を求める最大値算出機能と、各着目位置の撮像明度の最大値を用いて着目位置間の相対的な高さを求める高さ算出手段機能とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物の形状を計測する光切断3次元計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
対象物の形状を計測する従来の3次元計測装置として、対象物にスリット光を投影し、上記スリット光が投影された対象物の撮像画像(2次元画像)を取得し、取得した撮像画像に対し光切断線を横切る方向に沿って各画素の明度を計測して最大明度の画素(対象物の位置)を求めるもの(第1従来例の3次元計測装置)がある。第1従来例の3次元計測装置は、最大明度の位置の集合から光切断線の形状を認識し、認識した光切断線の形状に対し三角測量法を用いることによって対象物の高さを求めることができる。
【0003】
ところが、第1従来例の3次元計測装置では、スリット光を対象物に向かって斜め方向から投影するため、対象物の高さによって、スリット光が投影される位置が異なってしまう。これにより、第1従来例の3次元計測装置には、光切断線の形状から求められた対象物の高さが実際には上記対象物のどの位置の値であるのかを正確に認識することができないという問題があった。つまり、対象物の高さごとに、計測位置が異なってしまっていた。
【0004】
上記問題を解決するものとして、特許文献1には、スリット光ではなく、明領域と暗領域が形成された光パターンを対象物に投影し、上記光パターンの明領域と暗領域の境界線をイメージセンサ(撮像装置)の露光時間内に対象物全体に走査させることによって、対象物の各計測点での受光量を計測し、計測した受光量を用いて対象物の表面の3次元的な位置情報を求める第2従来例の3次元計測装置が開示されている。第2従来例の3次元計測装置によれば、イメージセンサの露光時間程度の極めて短い時間で対象物の3次元形状を求めることができる。
【特許文献1】特許第2987000号公報(段落0020〜0031及び図1〜7)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、第2従来例の3次元計測装置には、イメージセンサで各計測点の受光量を計測したときに、隣接する計測点の間では受光量の差が小さく、この受光量の差がイメージセンサの受光素子の光強度の分解能(撮像明度の分解能)に依存してしまうという問題があった。また、第2従来例の3次元計測装置には、対象物の走査方向の長さが長くなるほど、光パターンの明領域と暗領域の境界線を走査させる速度を速くする必要があることから、隣接する計測点での受光量の差がさらに小さくなり、対象物の表面の3次元的な位置情報の精度が低下するという問題も生じた。さらに、第2従来例の3次元計測装置では、上記境界線の幅が広がってしまうと、隣接する計測点での受光量の差を明確に計測することができず、対象物の表面の3次元的な位置情報を精度よく求めることができないという問題があった。
【0006】
第1従来例の3次元計測装置においても、対象物に投影されるスリット光が幅を有しているため、スリット光の幅方向の中心からずれた点をスリット光の中心として認識してしまい、スリット光の幅よりも狭い精度で光切断線の形状を認識することができなかった。このため、第1従来例の3次元計測装置には、対象物の高さを精度よく求めることができないという問題があった。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みて為されたものであり、その目的は、撮像装置の分解能に関わらず、求めた高さと着目位置の対応を明確にすることができるとともに対象物の高さを精度よく求めることができる光切断3次元計測装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、測定すべき対象物にスリット光を投影する投影手段と、前記投影手段と一体に設けられ当該投影手段と一の方向において予め設定された間隔を保持しながら前記対象物のうち少なくとも当該対象物に投影されたスリット光を含む領域を前記投影手段の投影方向とは異なる方向から撮影する撮像手段と、前記投影手段及び前記撮像手段と前記対象物との相対位置を前記一の方向において変化させる相対位置変動手段と、前記対象物にある複数の着目位置のそれぞれを、前記相対位置が異なるときに前記撮像手段によって撮影された複数の撮像画像上で追跡し、前記複数の着目位置のそれぞれに対して、当該着目位置が前記スリット光による照度変化が生じている範囲内に含まれている間に当該着目位置の撮像明度及び相対位置を少なくとも3回計測する明度計測手段と、前記着目位置ごとに前記少なくとも3つの撮像明度及び相対位置を用いて当該撮像明度の最大値及び当該最大値となる前記相対位置を求める最大値算出手段と、前記全ての着目位置の前記撮像明度が最大となる相対位置に対し三角測量法を用いて前記着目位置間の相対的な高さを求める高さ算出手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記撮像手段は、前記対象物に投影されたスリット光と並行に画素が配列される撮像素子を当該移動方向に少なくとも3本配置して有することを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記撮像手段は、画素が格子状に配列された撮像素子を有し、前記対象物に投影されたスリット光と並行に配列されている撮像素子の撮像明度を読み出すことを可能とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項の発明において、前記最大値算出手段は、前記スリット光の投影強度分布のように単調増加し、その後、単調減少する関数に、前記少なくとも3つ以上の撮像明度をあてはめて近似することによって、前記撮像明度の最大値及び当該最大値となる前記相対位置を求めることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項の発明において、前記相対位置変動手段によって前記相対位置が前記一の方向に変化したときに、前記投影手段及び前記撮像手段に対する前記対象物の相対的な移動量を実測する移動量実測手段を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1乃至5のいずれか1項の発明において、前記着目位置ごとの前記撮像明度の最大値を当該着目位置ごとに割り当てられた画素の画素値に対応させて画像を生成する最大値画像生成手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、計測した撮像明度及び相対位置から撮像明度の最大値及び最大値となる相対位置を求めることによって、スリット光の幅より狭い精度で対象物の高さを求めることができる。また、位置が固定された着目位置の撮像明度を計測していることから、対象物の中で、どの位置の高さを求めているのかを認識することができる。
【0015】
請求項2の発明によれば、スリット光パターンと並行に少なくとも3本のラインセンサを並べるように配置されているので、高速かつ高解像度の撮像を行うことができる。
【0016】
請求項3の発明によれば、ランダムアクセスが可能なエリアセンサが用いられていることによって、対象物の移動速度や投影手段及び撮像手段の構成に合わせて撮像領域を任意に変更することができるので、高速かつ高解像度の撮像を行うことができるとともに、装置構成の変更を容易に行うことができる。
【0017】
請求項4の発明によれば、着目位置において取得された撮像明度の変化を光切断線を横切る方向の投影強度の変化関数にあてはめることによって、撮像明度の最大値及び最大値となる相対位置を求める精度を向上させることができる。
【0018】
請求項5の発明によれば、前記投影手段及び前記撮像手段に対する対象物の相対的な移動量を実測することによって、対象物の運動が等速直線運動でない場合であっても、対象物上の着目位置を撮像画像上で正確に追跡することができるので、高精度な計測を行うことができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、撮像明度の最大値を着目位置ごとに画像化することによって、対象物に均一な光を照射して撮影した場合と同様の濃淡画像を取得することができるので、例えば対象物の高さと明るさの両方の情報を用いて検査を行ったり、計測された3次元形状データをコンピュータ上でCG表示する際に必要なテキスチャ画像として用いたりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(実施形態1)
まず、実施形態1の光切断3次元計測装置1の構成について図1〜4を用いて説明する。図1(a)は、本実施形態の光切断3次元計測装置1の構成図である。この光切断3次元計測装置1は、測定すべき対象物2にスリット光100を投影する投影装置10と、対象物2のうち少なくとも光切断線(対象物2に投影されたスリット光)101を含む領域を投影装置10の投影方向とは異なる方向から撮影する撮像装置11と、対象物2を一の方向(図1(a)の矢印m1の方向)に移動させる搬送装置(相対位置変動手段)12と、対象物2にある複数の着目位置A〜C(図2参照)のそれぞれを撮像画像110上で追跡し、各着目位置A〜Cでの撮像明度の最大値を求めることによって着目位置A〜C間の相対的な高さを求める画像処理装置13とを備えている。
【0021】
投影装置10は例えばスリットレーザー光源やプロジェクタなどであり、水平面から入射角θ(図1(a)参照)をなすスリット光100を対象物2に投影する。投影されたスリット光100は対象物2の表面で反射して、光切断線101をなす。
【0022】
撮像装置11は例えばテレビカメラなどのエリアカメラであり、撮像素子としてランダムアクセスが可能なC−MOS撮像素子を搭載する。この撮像装置11は画素を正方格子状に配列し、かつ各画素の画素値をランダムに読み出して撮像画像110をなすものである。撮像装置11は、投影装置10と一体に設けられて投受光器14を構成する。このような構成の撮像装置11は、投影装置10と一の方向(図1(a)の矢印m1の方向)において予め設定された間隔を保持しながら、光切断線101と並行に配列されている撮像素子の撮像明度を読み出すことを可能とする。投影装置10と撮像装置11の撮影中の位置関係は固定されている。撮像装置11で撮像された撮像画像110は画像処理装置13に転送される。
【0023】
搬送装置12は、スリット光100の長手方向と直交する一の方向(図1(a)の矢印m1の方向)に等速直線運動するように対象物2を駆動する。つまり、搬送装置12は、投受光器14(投影装置10及び撮像装置11)と対象物2との相対位置を一の方向において変化させるものである。
【0024】
画像処理装置13は例えばパソコン又は専用の処理装置若しくは制御装置などであり、撮像装置11から撮像画像110が転送されると、対象物2内の同一線n(図2参照)上にある複数の着目位置A〜C(図2参照)のそれぞれを、投受光器14と対象物2との相対位置が異なるときに撮影された複数の撮像画像110上で追跡し、複数の着目位置A〜Cのそれぞれに対して、上記着目位置A〜Cがスリット光100による照度変化が生じている範囲内に含まれている間に上記着目位置A〜Cの撮像明度及び時刻を3回計測する明度計測機能と、着目位置A〜Cごとに明度計測機能を用いて計測された3つの撮像明度及び時刻を用いて上記撮像明度の最大値及び最大値となる投受光器14と対象物2との相対位置を求める最大値検出機能と、各着目位置A〜Cの撮像明度が最大となる相対位置に対し三角測量法を用いて着目位置A〜C間の相対的な高さを求める高さ検出機能とを有している。また、画像処理装置13は記憶部130を備え、撮像装置11から転送された撮像画像110を記憶する。なお、各着目位置A〜Cの撮像明度及び時刻の計測回数は3回に限定されるものではなく、4回以上であってもよい。
【0025】
次に、本実施形態の動作について図2を用いて説明する。図2には、搬送装置12(図1(a)参照)によって対象物2を移動させながら、撮像時刻t1〜t8の8回、光切断線101の全体が見えるように撮像素子の全画素を読み出した撮像画像110を示す。対象物2が移動するにつれて、撮像画像110上での対象物2の位置が変化して見える。ただし、投受光器14(図1(a)参照)は固定されているので、撮像画像110上での光切断線101は対象物2の形状に応じて多少変形しつつも略同じ位置に見える。
【0026】
ここで、対象物2の3点A〜Cに着目する。対象物2が等速直線運動をしているので、これらの着目位置A〜Cは、連続して撮影された2枚の撮像画像110上で毎回距離d画素だけ移動しており、撮像時刻t1〜t8の間に光切断線101を通過する。上記距離dは、予め設定された対象物2の撮像時刻間隔δ間での実際の移動量Dと撮像画像110における1画素あたりの実空間での寸法rからd=D/rで計算される。したがって、移動する対象物2の着目位置A〜Cを撮像画像110上で追跡するのは容易である。各着目位置A〜Cを追跡したときの各着目位置A〜Cの撮像明度は図3のようになる。
【0027】
着目位置A〜CはA、B、Cの順で高さが低くなっているので(図1(a)参照)、光切断線101は、図2に示すようにA、B、Cの順に撮像画面110の下方向に歪んで見える。このため、図3に示すように、着目位置A〜Cのそれぞれで撮像明度が最大となる撮像時刻が異なる。例えば撮像時刻t5で撮像明度が最大となる着目位置Bを基準面高さとした場合、撮像時刻t7で撮像明度が最大となる着目位置Aでは光切断線101は撮像時刻間隔δ×2回の時間に移動した量、すなわち2Dだけ歪んでおり、撮像時刻t3で撮像明度が最大となる点Cでは光切断線101は撮像時刻間隔δ×(−2)回の時間に移動した量、すなわち−2Dだけ歪んでいると推定できる。この歪み量を、着目位置A,Cにおいて撮像明度が最大となるときの光切断線101(対象物2)と投受光器14との相対位置とする。スリット光100は水平面から角度θをなして投影されているので、図4に示すように着目位置Aは着目位置Bに比べて2Dtanθだけ高い位置にあり、着目位置Cは着目位置Bに比べて2Dtanθだけ低い位置にあると求めることができる。
【0028】
このように、対象物2を移動させながら撮像時刻間隔δで撮像を行い、各着目位置A〜Cの撮像明度変化を計測して着目位置A,Cで撮像明度が最大となる撮像時刻と基準面高さである着目位置Bで撮像明度が最大となる撮像時刻との差を求めることにより、着目位置A〜Cについて撮像明度が最大となるときの投受光器14と光切断線101(対象物2)との相対位置を求め、スリット光100の入射角θの正接を乗じることにより各着目位置A〜Cの高さ情報を取得することができる。
【0029】
以上、本実施形態によれば、各対象物2の各着目位置A〜Cで計測された撮像明度及び時刻から撮像明度の最大値及び最大値となる投受光器14と対象物2との相対位置を求めることによって、スリット光100の幅より狭い精度で対象物2の高さを求めることができる。また、位置が固定された着目位置A〜Cの撮像明度を計測していることから、対象物2の中で、どの位置の高さを求めているのかを認識することができる。
【0030】
なお、実施形態1の変形例として、搬送装置12aは対象物2と投受光器14の位置関係を相対的に変化させればよいので、図1(b)に示す光切断3次元計測装置1bのように、対象物2が固定され投受光器14が搬送装置12aによってスリット光100の向きと直交する方向(図1(b)の矢印m2の方向)に等速直線運動するように駆動されるようにしてもよい。
【0031】
(実施形態2)
撮像画面110上で横一列に並ぶ各着目位置A〜Cでの撮像明度変化を取得する場合、撮像画像110全体を読み出す必要はなく、撮像画像110上で距離d画素ずつ移動する3つの着目位置A〜Cを追跡して各着目位置A〜Cの撮像明度だけを読み出せばよい。
【0032】
そこで、実施形態2の光切断3次元計測装置1は、図5に示す各撮像画像110上において上下方向に距離d画素ずつ離れた横一列の走査線L1〜L8の画素値だけを撮像時刻間隔δごとに読み出すものとする。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0033】
実施形態2において、着目位置A〜Cは撮像画像110上で撮像時刻間隔δごとに走査線L1から走査線L8まで移動していくので、着目位置A〜Cごとに走査線L1〜L8のどの位置で撮像明度が最大となったかを計測でき、撮像明度が最大となる撮像時刻が分かる。また、着目位置A〜Cにおいて基準面高さで撮像明度が最大となる撮像時刻は撮像の回ごとに撮像時間間隔δだけ遅くなっていくから容易に推定できる。よって、対象物2が移動して着目位置A〜Cがスリット光100を通過していくとき、撮像画像110上で着目位置A〜Cに対応する画素ごとに連続して3次元形状(高さ情報)を得ることができる。
【0034】
デジタル転送方式の撮像装置11においては単位時間あたりの転送データ量に限界があるので、単位時間内に取り込める撮像画像110の枚数(フレームレート)は転送する画像のデータ量に依存する。したがって、本実施形態の光切断3次元計測装置1によれば、撮像画像110上で上下方向に距離d画素ずつ離れた8本の走査線L1〜L8の画素値だけを連続して読み出すだけで対象物2の形状を求めることができるので、1回の撮像あたりの転送データ量を従来の光切断3次元計測装置に比べて圧倒的に少なくしてフレームレートを高くすることができ、単位時間内に高さ情報を計測する計測点を大幅に増加させることができる。
【0035】
また、実施形態2の画像処理装置13は、着目位置A〜Cごとの撮像明度の最大値を上記着目位置A〜Cごとに割り当てられた画素の画素値に対応させて画像を生成する最大値画像生成機能を有している。つまり、本実施形態の光切断3次元計測装置1においては、着目位置A〜Cごとに、撮像明度が最大となる撮像時刻とともに撮像明度の最大値も同時に取得できるので、この値を記録しておけば、高さ情報とともに対象物2に均一な光を照射して撮影した場合と同様の濃淡画像も同時に取得することができる。
【0036】
以上、実施形態2によれば、ランダムアクセスが可能なエリアセンサが用いられていることによって、対象物2の移動速度や投影装置10及び撮像装置11の構成に合わせて撮像領域を任意に変更することができるので、高速かつ高解像度の撮像を行うことができるとともに、装置構成の変更を容易に行うことができる。
【0037】
また、撮像明度の最大値を着目位置A〜Cごとに画像化することによって、対象物2に均一な光を照射して撮影した場合と同様の濃淡画像を取得することができるので、例えば対象物2の高さと明るさの両方の情報を用いて検査を行ったり、計測された3次元形状データをコンピュータ上でCG表示(コンピュータグラフィック表示)する際に必要なテキスチャ画像として用いたりすることができる。
【0038】
なお、実施形態2の変形例として、撮像装置11は、搬送装置12によって相対位置が一の方向に変化したときにおける撮像画像110内での対象物2の撮像領域の移動方向と直交する方向に画素が一列に配列されるラインセンサ(撮像素子)を上記移動方向に少なくとも3本配置して有するものであってもよい。つまり、実施形態2の撮像装置11は正方格子状に画素が配列され、かつ撮像素子上の任意の位置の画素値をランダムに読み出すことができるものであるのに対し、本変形例の光切断3次元計測装置1では一定距離だけ離れ光切断線101に並行な少なくとも3本の走査線上の画素値のみを用いるので、受光面に結像する光切断線101と並行に複数のラインセンサを配置する構成とする。予め対象物2の移動速度や投受光器14との位置関係などの条件が規定されているならば、上記構成とすることによりさらに高速な計測が可能となる。なお、光切断線101が上記少なくとも3本のラインセンサによる撮像領域内に含まれるように、3本のラインセンサを事前に設定する必要がある。
【0039】
上記変形例によれば、光切断線101と並行に少なくとも3本のラインセンサを並べるように配置されているので、高速かつ高解像度の撮像を行うことができる。
【0040】
なお、上記走査線は、光切断線101の形状を十分に捕捉できるだけの数が必要である。すなわち、対象物2の高さ範囲が大きくなるほど多数の走査線を設定する必要がある。例えば、図6(a)に示すような三角形断面の対象物2aを計測する場合、光切断線101は大きくハの字状に歪むので走査線Liの本数が多くしなければならない。ただし、対象物2aの断面形状が概ね既知であるなら、走査線Liは図6(b)に示すように光切断線101と略並行に設定することによって、少ない走査線Liで計測することが可能となる。上記のように複数のラインセンサを用いる構成の場合であっても、異形のラインセンサを光切断線101と略並行になるよう配置すればよい。
【0041】
(実施形態3)
実施形態1の光切断3次元計測装置1では、画像処理装置13は、着目位置A〜Cごとに単純に撮像明度が最大となる撮像時刻をもとに投受光器14との相対位置を求めているが、本実施形態の光切断3次元計測装置1では、着目位置A〜Cごとに光切断線101を横切る前後の複数の位置での撮像明度を求め、その複数の位置での撮像明度を用いて統計的に撮像明度が最大となるときの投受光器14と対象物2との相対位置を求めている。つまり、画像処理装置13は、最大値算出機能を用いて、光切断線101の投影強度分布のように単調増加し、その後、単調減少する関数に、少なくとも3つ以上の撮像明度をあてはめて近似することによって、撮像明度の最大値及び最大値となる相対位置を求める。これにより、高さ計測の分解能を向上することができる。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0042】
例えば、投影されたスリット光100を横断するときの撮像明度がおおよそ二次関数に近似できるとすれば、得られた撮像明度Iと時刻tを数1の二次関数に最小自乗近似すれば、投受光器14と対象物2との相対位置pは数2により得ることができる。
【0043】
【数1】

【0044】
【数2】

【0045】
以上、実施形態3によれば、着目位置A〜Cにおいて取得された撮像明度の変化を光切断線101を横切る方向の投影強度の変化関数にあてはめることによって、撮像明度の最大値及び最大値となる相対位置を求める精度を向上させることができる。
【0046】
なお、実施形態3では撮像明度の変化を二次関数に近似しているが、スリット光100の投影強度の実際の変化状態にしたがって、二次関数に限らず矩形波やガウス分布など、明度が一度だけ単調増加し、かつ一度だけ単調減少する関数ならばどのような関数でも構わない。
【0047】
また、上記撮像時刻間隔δの間における撮像画像110上での対象物2の移動量dは必ずしも整数になるとは限らない。このような場合、図7に示すように、移動量dを超えない最大の整数d’間隔で2行分の画素値I(x,u)とI(x,u+1)を読み出し、座標(x,v)の画素値I’(x,v)を数3によりI(x,u)とI(x,u+1)から補間するようにすれば、より真値に近い撮像明度を得ることができ、特に上記のように関数近似により撮像明度が最大となる時刻を得るような場合に精度を向上させることができる。
【0048】
【数3】

【0049】
(実施形態4)
実施形態1においては対象物2が等速直線運動をするものであるが、搬送装置12が例えばベルトコンベアのような送り速度が一定とならない装置であった場合、撮像時刻間隔δにおける対象物2の移動量Dに誤差が生じるため、計測精度が悪化するという問題が生じる。また、ベルトコンベアでは対象物2の蛇行が生じることがあるため、同一線n上の着目位置A〜Cを撮像画像110上で追跡するのに不具合が生じる。
【0050】
そこで、実施形態4の光切断3次元計測装置1は、図1(a)に示す搬送装置12によって投受光器14と対象物2との相対位置が一の方向(図1(a)の矢印m1の方向)に変化したときに、投受光器14に対する対象物2の相対的な移動量を実測する移動量実測機能を撮像装置11に有している。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
実施形態4の撮像装置11は、図8(a)に示すようにベルトコンベアである搬送装置12上に等間隔に印刷された白黒の縞パターンをラインカメラ視野15の位置で等時間間隔で撮影して、図8(b)のような画像111を取得する。図8(b)の画像111において、縞の幅w及び横方向位置pを読み取ることにより、対象物2が光切断線101を横切る際の移動速度及び横方向位置を実測することができる。また、この場合、撮像時刻間隔δ間での送り量のバラつきcによって画像111上で見かけの移動量dが変化するので、走査線は送り量の見かけのバラつき量γ=c/r分の幅を持つものとしておき、実測された移動速度をもとに撮像明度を参照する画素位置を調整する。
【0052】
以上、本実施形態によれば、投受光器14(投影装置10及び撮像装置11)に対する対象物2の相対的な移動量を実測することによって、対象物2の運動が等速直線運動でない場合であっても、対象物2上の着目位置A〜Cを撮像画像110上で正確に追跡することができるので、高精度な計測を行うことができる。
【0053】
なお、実施形態4の変形例として、エンコーダを用いて位置検出を行ってもよい。
【0054】
(実施形態5)
実施形態1では撮像装置11のレンズ歪みは無視できるものとしているが、広角レンズを有するカメラなどを用いる場合、レンズの歪みを無視することができない。
【0055】
そこで、実施形態5では、図9(a)に示すようなテストターゲットを予め用いて、図9(b)のように撮像画像110全体にわたって基準点位置を取得してレンズ歪み量を実測し、走査線Liの形状を図9(c)に示すように変形させる。なお、実施形態1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0056】
以上、本実施形態によれば、撮像装置11のレンズによるレンズ歪みの影響を低減することができるので、高精度な計測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】(a)が実施形態1〜5の光切断3次元計測装置の構成図、(b)が実施形態1の変形例の構成図である。
【図2】光切断線の見え方を説明する図である。
【図3】対象物上の着目位置を追跡した際の明度変化を示す図である。
【図4】対象物の高さを求める原理を説明する図である。
【図5】実施形態2の光切断3次元計測装置において、走査線を設定して着目位置を追跡する方法を説明する図である。
【図6】同上において、走査線の設定方法の変形例において、(a)が投影装置と対象物との関係を示す図、(b)が撮像画像を示す図である。
【図7】実施形態3の変形例において、撮像明度の補間方法を説明する図である。
【図8】実施形態4の光切断3次元計測装置において、(a)が搬送装置の上面図、(b)が撮像画像を示す図である。
【図9】実施形態5の光切断3次元計測装置において、(a)がテストターゲットを示す図、(b)が撮像画像を示す図、(c)が走査線を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
1,1a 光切断3次元計測装置
10 投影装置
100 スリット光
101 光切断線
11 撮像装置
110 撮像画像
12,12a 搬送装置
13 画像処理装置
2,2a 対象物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定すべき対象物にスリット光を投影する投影手段と、
前記投影手段と一体に設けられ当該投影手段と一の方向において予め設定された間隔を保持しながら前記対象物のうち少なくとも当該対象物に投影されたスリット光を含む領域を前記投影手段の投影方向とは異なる方向から撮影する撮像手段と、
前記投影手段及び前記撮像手段と前記対象物との相対位置を前記一の方向において変化させる相対位置変動手段と、
前記対象物にある複数の着目位置のそれぞれを、前記相対位置が異なるときに前記撮像手段によって撮影された複数の撮像画像上で追跡し、前記複数の着目位置のそれぞれに対して、当該着目位置が前記スリット光による照度変化が生じている範囲内に含まれている間に当該着目位置の撮像明度及び相対位置を少なくとも3回計測する明度計測手段と、
前記着目位置ごとに前記少なくとも3つの撮像明度及び相対位置を用いて当該撮像明度の最大値及び当該最大値となる前記相対位置を求める最大値算出手段と、
前記全ての着目位置の前記撮像明度が最大となる相対位置に対し三角測量法を用いて前記着目位置間の相対的な高さを求める高さ算出手段と
を備えることを特徴とする光切断3次元計測装置。
【請求項2】
前記撮像手段は、前記対象物に投影されたスリット光と並行に画素が配列される撮像素子を当該移動方向に少なくとも3本配置して有することを特徴とする請求項1記載の光切断3次元計測装置。
【請求項3】
前記撮像手段は、画素が格子状に配列された撮像素子を有し、前記対象物に投影されたスリット光と並行に配列されている撮像素子の撮像明度を読み出すことを可能とする請求項1記載の光切断3次元計測装置。
【請求項4】
前記最大値算出手段は、前記スリット光の投影強度分布のように単調増加し、その後、単調減少する関数に、前記少なくとも3つ以上の撮像明度をあてはめて近似することによって、前記撮像明度の最大値及び当該最大値となる前記相対位置を求めることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光切断3次元計測装置。
【請求項5】
前記相対位置変動手段によって前記相対位置が前記一の方向に変化したときに、前記投影手段及び前記撮像手段に対する前記対象物の相対的な移動量を実測する移動量実測手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光切断3次元計測装置。
【請求項6】
前記着目位置ごとの前記撮像明度の最大値を当該着目位置ごとに割り当てられた画素の画素値に対応させて画像を生成する最大値画像生成手段を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の光切断3次元計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−292434(P2008−292434A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141119(P2007−141119)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】