説明

光学システム、方法、およびプログラム

【課題】散乱媒体の厚さを算出することができる光学システムを提供すること。
【解決手段】光学システムであって、光を散乱する散乱媒体、および散乱媒体の下部にあり、光が入射された場合に偏光された光を入射側に戻す下部媒体を有する物体に向けて、光を照射する光照射部と、光照射部から照射されて散乱媒体によって散乱された光、および下部媒体からの光を受光する受光部と、受光部が受光した光の非偏光成分および偏光成分の少なくとも一方に基づいて、下部媒体までの散乱媒体の厚さを算出する厚さ算出部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学システム、方法、およびプログラムに関する。本発明は、特に、光学的に散乱媒体の厚さを算出する光学システムおよび光学的に散乱媒体の厚さを算出する方法、ならびに光学システム用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコン結晶表面上・アモルファスシリコン薄膜表面の付着異物検出、及びシリコンウエハ内の酸素析出物などの結晶欠陥、アモルファスシリコン薄膜内部の異物測定用の検査装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】国際公開第96/028721号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献に記載の技術によると、散乱媒体の厚さを算出することができない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によると、光学システムであって、光を散乱する散乱媒体、および散乱媒体の下部にあり、光が入射された場合に偏光された光を入射側に戻す下部媒体を有する物体に向けて、光を照射する光照射部と、光照射部から照射されて散乱媒体によって散乱された光、および下部媒体からの光を受光する受光部と、受光部が受光した光の非偏光成分および偏光成分の少なくとも一方に基づいて、下部媒体までの散乱媒体の厚さを算出する厚さ算出部とを備える。
【0005】
本発明の第2の形態によると、方法であって、光を散乱する散乱媒体、および散乱媒体の下部にあり、光が入射された場合に偏光された光を入射側に戻す下部媒体を有する物体に向けて、光を照射する光照射段階と、光照射段階において照射されて散乱媒体によって散乱された光、および下部媒体からの光を受光する受光段階と、受光段階において受光された光の非偏光成分および偏光成分の少なくとも一方に基づいて、下部媒体までの散乱媒体の厚さを算出する厚さ算出段階とを備える。
【0006】
本発明の第3の形態によると、光学システム用のプログラムであって、コンピュータを、光を散乱する散乱媒体、および散乱媒体の下部にあり、光が入射された場合に偏光された光を入射側に戻す下部媒体を有する物体に向けて、光を照射する光照射部、光照射部から照射されて散乱媒体によって散乱された光、および下部媒体からの光を受光する受光部、受光部が受光した光の非偏光成分および偏光成分の少なくとも一方に基づいて、下部媒体までの散乱媒体の厚さを算出する厚さ算出部として機能させる。
【0007】
なお、上記の発明の概要は、この発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、発明の実施の形態を通じてこの発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0009】
図1は、一実施形態に係わる光学システム10の構成の一例を生体190とともに示す。光学システム10は、撮像装置の一例としての内視鏡100、鉗子135、画像処理装置の一例としての画像処理部140、制御部105、光照射部120、および出力部150を備える。なお、図1において、A部は、内視鏡100の先端部102を拡大して示す。なお、光学システム10は、以下に説明するように、撮像システムあるいは画像処理システムとして機能することができる。また、生体190は、この発明における物体の一例であってよい。また、内視鏡100は、光照射部120を内蔵してもよい。
【0010】
内視鏡100は、撮像部110、鉗子口130、ならびに光照射部120の一部としてのライトガイド124および偏光フィルタ126を有する。内視鏡100の先端部102は、ノズル138、撮像部110の一部としてのレンズ112、およびライトガイド124の一部としての出射口128を有する。なお、内視鏡100が有する偏光フィルタ126およびライトガイド124、および内視鏡100の外部に設けられた発光部122は、光照射部120として機能する。
【0011】
鉗子口130には鉗子135が挿入され、鉗子口130は鉗子135を先端部102にガイドする。なお、鉗子135は、各種の先端形状を備えてよい。なお、鉗子口130には、鉗子の他に、生体190を処置する種々の処置具が挿入されてよい。ノズル138は、水あるいは空気を送出する。
【0012】
発光部122は、出射口128から生体190に向けて照射される照射光を発生する。発光部122で発生する光は、たとえば赤成分、緑成分、および青成分の光を含む。
【0013】
ライトガイド124は、例えば光ファイバで形成される。ライトガイド124は、発光部122で発生した光を内視鏡100の先端部102の出射口128にガイドする。出射口128の近傍には、発光部122で発生した光を偏光させる偏光フィルタ126が設けられている。発光部122で発生して偏光フィルタ126を通過した光は、出射口128から生体190に向けて照射される。
【0014】
なお、制御部105は、生体190に照射される光の光路中に偏光フィルタ126を任意のタイミングで挿入することができる。なお、偏光フィルタ126は回転フィルタの一部として形成されてよく、制御部105は、回転フィルタの回転を制御してよい。
【0015】
撮像部110は、生体190からの光を受光して、生体190の画像を撮像する。具体的には、撮像部110は、出射口128から生体190に照射されて生体190から反射した光、および出射口128から生体190に照射されて生体190内で散乱または反射した光により、生体190の画像を撮像する。
【0016】
画像処理部140は、撮像部110により得られた画像信号を処理して、種々の画像を生成する。画像処理部140は、生成した画像を出力部150に供給する。出力部150は、画像処理部140から供給された画像を出力する。なお、出力部150は、画像処理部140から供給された画像を表示してよい。また、出力部150は、画像処理部140から供給された画像を、不揮発性メモリ等の記録媒体に記録してよい。
【0017】
図2は、撮像部110の構成の一例を示す。撮像部110は、レンズ112、偏光フィルタ200、カラーフィルタ220、および受光部240を有する。レンズ112は、物体からの光を偏光フィルタ200およびカラーフィルタ220を通じて、受光部240に結像させる。なお、偏光フィルタ200は、この発明における偏光部の一例であってよい。
【0018】
偏光フィルタ200は、複数の偏光素子201−1〜3(以下、偏光素子201と総称する。)を含む。カラーフィルタ220は、第1色フィルタ部221−1〜3(以下、第1色フィルタ部221と総称する。)、第2色フィルタ部222−1〜3(以下、第2色フィルタ部222と総称する。)を含む。受光部240は、第1受光素子241−1〜3(以下、第1受光素子241と総称する。)および第2受光素子242−1〜3(以下、第2受光素子242と総称する。)を含む。
【0019】
第1色フィルタ部221は、緑成分の光を透過する。また、第2色フィルタ部222は、青成分の光を透過する。
【0020】
偏光素子201は、生体190からの光のうち、特定の偏光成分の光を選択的に透過することによって、偏光した光をカラーフィルタ220に導く。なお、偏光素子201−1、偏光素子201−2、および偏光素子201−3の透過軸は、互いに異なる向きに配向されている。
【0021】
一例として、生体190からの光のうち偏光素子201を通過した光は、第2色フィルタ部222を通過して第2受光素子242によって受光される。したがって、第2受光素子242は、生体190からの青成分の光を受光する。なお、図示されるように偏光素子201−1と偏光素子201−2との間には偏光素子は設けられていない。この位置を通過した光は、第1色フィルタ部221を通過して第1受光素子241に受光される。したがって、第1受光素子241は、生体190からの緑成分の光を受光する。
【0022】
受光部240が有する第1受光素子241、第2受光素子242等の受光素子は、受光した受光量に応じた受光信号を生成する。当該受光信号は、画像信号として画像処理部140に供給され、画像処理部140において処理される。
【0023】
図3は、受光部240における受光素子の配列および偏光フィルタ200における偏光素子の配列の一例を示す。受光部240は、上述した第1受光素子241および複数の第2受光素子242の他に、赤成分の光を受光する複数の第3受光素子243−1〜3(以下、第3受光素子243と総称する。)を有する。
【0024】
なお、受光部240においてGが付された領域には第1受光素子241が形成され、Bが付された領域には第2受光素子242が形成され、Rが付された領域には、第3受光素子243が形成される。このように、受光部240は、第1受光素子241、第2受光素子242、および第3受光素子243がマトリクス状に設けられて形成される。
【0025】
このように、第1受光素子241は、略同一面上に配列されており、生体190からの第1色成分の光をそれぞれ受光する。また、第2受光素子242は、物体からの第2色成分の光を受光する。第2受光素子242は、第1受光素子241より高い面密度で略同一面上に配列されている。なお、第2受光素子242は、第1受光素子241および第3受光素子243より高い数密度で、或いは高い面積密度で、略同一面上に配列されている。また、第1受光素子241、第2受光素子242、および第3受光素子243は、略同一面上に配列されている。
【0026】
本図の偏光フィルタ200においては、それぞれの偏光素子201の透過軸が矢印で示されている。このように、偏光素子201−1、偏光素子201−2、および偏光素子201−3の透過軸は、異なる方向に配列されている。したがって、偏光素子201−1、偏光素子201−2、および偏光素子201−3は、互いに異なる偏光方向に偏光した光を選択的に透過する。つまり、第1偏光成分の光、第2偏光成分の光、および第3偏光成分の光は、互いに異なる偏光方向に偏光した光となる。
【0027】
なお、偏光素子201−1および偏光素子201−2は、透過軸が略直交する向きに配向して配列されている。このように、第1偏光成分の光および第2偏光成分の光は、互いに略直交する偏光成分の光となっている。より具体的には、第1偏光成分の光および第2偏光成分の光は、互いに略直交する偏光方向に偏光した光となっている。なお、略直交する偏光成分の光とは、略直交する直線偏光の光、右回り円偏光・左回り円偏光の光等のように、偏光状態をポアンカレ球で表現した場合に、ポアンカレ球面上において原点に関して対称な2点で表される偏光状態の光であってよい。
【0028】
このように、偏光素子201−1、偏光素子201−2、および偏光素子201−3は、略同一面上に設けられている。なお、偏光素子201−1は第1偏光素子の一例であり、偏光素子201−2は第2偏光素子の一例であり、偏光素子201−3は第3偏光子の一例であってよい。そこで、以下の説明では、第1偏光素子、第2偏光素子、および第3偏光子を、それぞれ偏光素子201−1、偏光素子201−2、および偏光素子201−3と総称する。
【0029】
このように、偏光フィルタ200は、生体190からの第1偏光成分以外の偏光成分の光を遮断して、第2受光素子242の一部の第2受光素子242である第2受光素子242−1に生体190からの第1偏光成分の光を受光させ、生体190からの光を透過して複数の第1受光素子241に受光させる。また、偏光フィルタ200は、生体190からの第2偏光成分以外の偏光成分の光を遮断して、第2受光素子242の一部の第2受光素子242である第2受光素子242−2に生体190からの第2偏光成分の光を受光させる。また、偏光フィルタ200は、生体190からの第3偏光成分以外の偏光成分の光を遮断して、第2受光素子242の一部の第2受光素子242である第2受光素子242−3に生体190からの第3偏光成分の光を受光させる。
【0030】
なお、第2受光素子242−1は第1偏光光受光素子の一例であり、受光素子242−2は第2偏光光受光素子の一例であり、受光素子242−3は、第3偏光光受光素子の一例であってよい。なお、以後の説明では、第2受光素子242−1と略同一の偏光成分の光を受光する複数の第2受光素子242を、第2受光素子242−1と総称する。また、第2受光素子242−2と略同一の偏光成分の光を受光する複数の第2受光素子242を、第2受光素子242−2と総称する。また、第2受光素子242−3と略同一の偏光成分の光を受光する複数の第2受光素子242を、第2受光素子242−3と総称する。
【0031】
また、光照射部120が生体190に光を照射した場合における生体190からの戻り光を受光部240が受光する場合、偏光フィルタ200は、光照射部120により光が照射されることによる生体190からの戻り光における第1偏光成分の光を第2受光素子242−1に受光させ、戻り光における第2偏光成分の光を第2受光素子242−2に受光させ、戻り光における第3偏光成分の光を第2受光素子242−3に受光させる。
【0032】
具体的には、偏光素子201−1は、戻り光における第1偏光成分以外の光を遮断して、戻り光における第1偏光成分の光を第2受光素子242−1にそれぞれ受光させ、偏光素子201−2は、戻り光における第2偏光成分以外の光を遮断して、戻り光における第2偏光成分の光を第2受光素子242−2にそれぞれ受光させ、偏光素子201−3は、戻り光における第3偏光成分以外の光を遮断して、戻り光における第3偏光成分の光を第2受光素子242−3にそれぞれ受光させる。このように、偏光素子201−1および偏光素子201−2は、第1受光素子241および第2受光素子242が配列された面と異なる位置に、略同一面上に設けられている。
【0033】
なお、偏光フィルタ200は、光透過部310を有する。光透過部310には、偏光素子が設けられておらず、実質的に全ての偏光成分の光を透過する。
【0034】
図4は、画像処理部140のブロック構成の一例を示す。画像処理部140は、光強度算出部410、内部画像生成部420、表面画像生成部430、画像生成部400、形状変化画像生成部435、偏光特性算出部440、傾斜算出部450、厚さ算出部460、および画像生成部400を有する。
【0035】
内部画像生成部420は、受光部240が受光した光により生体190の内部の画像を生成する。また、表面画像生成部430は、受光部240が受光した光により生体190の表面の画像を生成する。
【0036】
例えば、第1受光素子241、第2受光素子242、および第3受光素子243のいずれかの透過軸に平行な方向に偏光した偏光光を、特定の偏光方向に偏光した光として光照射部120が照射した場合、受光部240は、光照射部120により光が照射されることによる生体190からの戻り光における特定の偏光方向に偏光した光、および戻り光における特定の偏光方向と異なる偏光方向に偏光した光を受光することができる。そこで、表面画像生成部430は、受光部240が受光した特定の偏光方向の光、および受光部240が受光した特定の偏光方向と略直交する偏光方向の光に基づいて、表面画像を生成する。
【0037】
このように、光照射部120が、特定の偏光方向に偏光した光のように、特定の偏光成分の光を生体190に照射した場合、受光部240は、戻り光における特定の偏光成分の光、および戻り光における特定の偏光成分と略直交する偏光成分の光を受光する。具体的には、受光部240は、戻り光における特定の偏光方向に偏光した光、および戻り光における特定の偏光方向に略直交する偏光方向に偏光した光を受光する。
【0038】
そして、表面画像生成部430は、受光部240が受光した特定の偏光成分の光、および受光部240が受光した特定の偏光成分と略直交する偏光成分の光に基づいて、表面画像を生成する。具体的には、表面画像生成部430は、受光部240が受光した特定の偏光方向に偏光した光、および受光部240が受光した特定の偏光方向と略直交する偏光方向に偏光した光に基づいて、表面画像を生成する。そして、形状変化画像生成部435は、表面画像における空間的な変化成分に基づいて、生体190の表面の形状変化を示す形状変化画像を生成する。具体的には、形状変化画像生成部435は、表面画像を空間微分することにより形状変化画像を生成する。
【0039】
このように、表面画像生成部430は、受光部240が受光した特定の偏光成分の光および受光部240が受光した特定の偏光成分と異なる偏光成分の光に基づいて、生体190の表面の画像である表面画像を生成する。そして、形状変化画像生成部435は、当該表面画像に基づいて形状変化画像を生成する。このように、形状変化画像生成部435は、受光部240が受光した特定の偏光成分の光(例えば、特定の偏光方向に偏光した光)に基づいて、形状変化画像を生成する。
【0040】
そして、画像生成部400は、受光部240が受光した特定の偏光成分と異なる偏光成分の光(例えば、特定の偏光方向と異なる偏光方向に偏光した光)に基づく、生体190の表面より内部の画像である内部画像に、形状変化画像を重ね合わせることにより合成画像を生成する。具体的には、画像生成部400は、受光部240が受光した特定の偏光成分と略直交する偏光成分の光に基づいて内部画像生成部420が生成した内部画像に、形状変化画像を重ね合わせることにより合成画像を生成する。画像生成部400が生成した合成画像は、出力部150に供給され、出力部150において表示または記録される。
【0041】
このように、画像生成部400は、表面画像の空間微分成分を内部画像に重ね合わせるので、正反射光成分が過度に強調されることを未然に防ぐことができる場合がある。このため、生体190の表面の凹凸情報が適度に反映された内視鏡画像を提供することができる。なお、画像生成部400は、表面画像の空間微分成分に応じて内部画像の輝度成分を強調してもよい。
【0042】
なお、図3に関連して説明したように、偏光素子201−1は、生体190からの戻り光における特定の偏光成分以外の偏光成分の光を遮断して、受光部240が有する複数の第2受光素子242−1に、戻り光における特定の偏光成分の光を受光させることができる。また、偏光素子201−2は、戻り光における特定の偏光成分と略直交する偏光成分以外の偏光成分の光を遮断して、受光部240が有する複数の第2受光素子242−2に戻り光における特定の偏光成分と略直交する偏光成分の光を受光させることができる。
【0043】
したがって、偏光フィルタ200は、生体190からの戻り光における特定の偏光成分以外の偏光成分の光を遮断して、受光部240が有する複数の第2受光素子242−1に戻り光における特定の偏光成分の光を受光させ、戻り光における特定の偏光成分と略直交する偏光成分以外の偏光成分の光を遮断して、受光部240が有する複数の第2受光素子242−2に戻り光における特定の偏光成分と略直交する偏光成分の光を受光させることができる。そして、表面画像生成部430は、第1受光素子241が受光した特定の偏光成分の光、および第2受光素子242が受光した特定の偏光成分と略直交する偏光成分の光に基づいて、表面画像を生成することができる。
【0044】
また、偏光特性算出部440は、受光部240が受光した光に基づいて、生体190からの光の偏光特性を算出する。例えば、偏光特性算出部440は、受光部240が受光した光に基づいて、生体190からの光の偏光方位を算出する。具体的には、光照射部120は、第2色成分を含む円偏光の光を生体190に照射する。そして、偏光特性算出部440は、第2受光素子242−1が受光した第1成分の光の受光量、第2受光素子242−2が受光した第2偏光成分の光の受光量、および第2受光素子242−3が受光した第3偏光成分の光の受光量に基づいて、生体190からの光の偏光方位を算出する。
【0045】
このように、偏光特性算出部440は、生体190からの戻り光が楕円偏光である場合に、第2受光素子242が受光した異なる3方向の偏光成分の光強度に基づいて、楕円偏光の偏光方位を算出することができる。そして、傾斜算出部450は、偏光特性算出部440が算出した偏光方位に基づいて、生体190の表面の傾きを算出する。
【0046】
このように、偏光特性算出部440は、第2受光素子242−1が受光した第1成分の光の受光量、第2受光素子242−2が受光した第2偏光成分の光の受光量、および第2受光素子242−3が受光した第3偏光成分の光の受光量に基づいて、生体190からの光の偏光特性を算出する。なお、偏光特性としては、上記の偏光方位の他に、偏光度を例示することができる。
【0047】
なお、図3に関連して説明したように、偏光フィルタ200は、生体190からの第1偏光成分の光を複数の第2受光素子242−1に受光させ、生体190からの第2偏光成分の光を複数の第2受光素子242−2に受光させ、生体190からの第3偏光成分の光を複数の第2受光素子242−3に受光させることができる。そして、偏光特性算出部440は、複数の第2受光素子242−1がそれぞれ受光した第1偏光成分の光の受光量、複数の第2受光素子242−2がそれぞれ受光した第2偏光成分の光の受光量、および複数の第2受光素子242−3がそれぞれ受光した第3偏光成分の光の受光量に基づいて、生体190からの光の偏光特性の空間分布を算出することができる。これにより、偏光特性算出部440は、上記の生体190の表面の傾きの分布、あるいは偏光度の分布を算出することができる。
【0048】
光強度算出部410は、第2受光素子242−1が受光した第1偏光成分の光の受光量、および第2受光素子242−2が受光した第2偏光成分の光の受光量に基づいて、生体190からの第2色成分の光強度を算出する。そして、画像生成部400は、光強度算出部410が算出した光強度、および複数の第1受光素子241が受光した受光量に基づいて、生体190の画像を生成する。本実施形態における光学システム10では、青成分の光を受光する第2受光素子242は、異なる偏光成分の光を受光するが、光強度算出部410が青成分光の光強度を算出することができるので、望ましい可視光画像を生成することができる。このため、より多くの偏光素子201を第2受光素子242に割り当てることができるので、より高解像度な偏光情報を得ることができる。
【0049】
また、光学システム10によると、散乱媒体の厚さを算出することができる。例えば生体190は、多くの場合、光を散乱する性質を有する。そのような散乱層の下部に、偏光した光を戻す下部媒体が存在していれば、散乱層の厚さの変化に応じて、戻り光の偏光特性が変化することが期待される。そこで、厚さ算出部460は、生体190からの戻り光の偏光の度合いに基づいて、当該散乱層の厚さを算出する。
【0050】
具体的には、光照射部120は、光を散乱する散乱媒体、および散乱媒体の下部にあり、光が入射された場合に偏光された光を入射側に戻す下部媒体を有する生体190に向けて、光を照射する。そして、受光部240は、光照射部120から照射されて散乱媒体によって散乱された光、および下部媒体からの光を受光する。そして、厚さ算出部460は、受光部240が受光した光の非偏光成分および偏光成分の少なくとも一方に基づいて、下部媒体までの散乱媒体の厚さを算出する。なお、ここでの「下部」は、重力方向に限らず、光照射部120から見て散乱媒体の下方であることを意味する。
【0051】
なお、胃等の粘膜に癌が生じると、その初期においては癌の種類、進行度等に応じて、粘膜層の厚さが変化する。したがって、光学システム10によると、厚さ算出部460による粘膜層の厚さ検出を通じて、癌の発生場所等を容易に特定することができる場合がある。
【0052】
図5は、内視鏡100によって得られた画像500の一例を示す。画像500は、撮像部110が、偏光フィルタ126が光路中から外された状態で受光部240が露光されることによって得られた画像の一例であってよい。画像500には、撮影対象である生体190の表面より内部の血管像510と、光照射部120から照射された光が生体190表面で正反射することで形成された正反射像520とが含まれる。
【0053】
なお、画像500には、生体190の表面のおおまかな凹凸情報が含まれている。しかしながら、画像500は正反射像520を含むので、正反射像520の領域では生体190の情報を視認することができない。例えば、色素による変化成分、表面における細かな凹凸情報を視認することができない。
【0054】
図6は、内部画像600、形状変化画像630、および合成画像650の一例を示す。内部画像生成部420は、受光部240が受光した、光照射部120が照射した光の偏光方向と直交する偏光方向の光に基づいて、内部画像600を生成する。内部画像600には、生体190の内部の情報が反映されており、血管像610および色素変化成分620を含む。
【0055】
形状変化画像生成部435は、表面画像を空間微分することによって、形状変化画像630を算出する。空間微分処理により、輝度の空間変化成分を強調するとともに、正反射光のような高輝度領域の信号強度を弱めることができる。このように、表面の凹凸情報を適度に反映させた形状変化画像630を得ることができる。画像生成部400は、内部画像600および形状変化画像630を、所定の重み付けで重ね合わせることによって、合成画像650を生成する。合成画像650から、画像500では、正反射像520に隠されていた色素変化成分620を視認することができる。また、凹凸が強調されているので、色素変化成分620が生体190表面の凸部斜面上に存在することがわかる。
【0056】
このように、光学システム10によると、内部画像600に表面の凹凸情報を反映させることができる。このため、観察者は、生体190の表面の凹凸情報と関連付けて、内部の様子を視認することができる。このため、観察者にとって視認し易い画像を提供することができる。また、光学システム10によると、表面画像の空間微分成分である形状変化画像630を内部画像600に重畳するので、正反射光によるぎらつきを抑えつつ、表面の凹凸を強調することができる。なお、画像生成部400は、形状変化画像630と内部画像600とを異なるLUTで変換して合成してよい。
【0057】
図7は、傾斜算出部450による傾斜算出方法の一例を示す。傾斜算出部450は、上述したように、偏光特性算出部440によって算出された偏光方位に基づいて、傾斜の角度を算出する。なお、厚さ算出部460は、楕円偏光の偏光方位に対応づけて生体190表面の傾斜情報を予め記憶してよい。そして、厚さ算出部460は、偏光特性算出部440が算出した偏光方位に対応づけて記憶している表面の傾斜情報を抽出する。なお、表面の傾斜情報としては、表面の曲率Rを例示することができる。
【0058】
なお、傾斜算出部450が算出した傾斜情報は、画像生成部400に供給されてよい。既に説明したように、偏光特性算出部440は、偏光特性の2次元的な分布を算出することができるので、傾斜算出部450は、傾斜情報の2次元的な分布を算出することができる。したがって、画像生成部400は、傾斜算出部450が算出した傾斜情報に基づいて、傾斜の2次元分布を表す画像を生成することができる。
【0059】
図8は、生体190の一例としての胃壁の構造を模式的に示す。胃壁は、生体190の表面から下方に向けて、粘膜層810、粘膜筋板層830、および粘膜下層840が順に形成されている。光照射部120が光を照射した場合、受光部240は、粘膜層810の表層で反射した光La、散乱媒体の一例としての粘膜層810内で散乱された光Lb、反射媒体の一例としての粘膜筋板層830の表面で反射した光Lc、および偏光異方性を有する粘膜下層840内からの光Ldを、戻り光として受光する。
【0060】
なお、粘膜筋板層830および粘膜下層840は、以下に説明するように照射光が入射された場合に非偏光光を戻すので、光が入射された場合に偏光光を戻す下部媒体820とみなすことができる。
【0061】
光照射部120が偏光光を照射した場合、表面反射光Laは偏光光となる。また、反射媒体である粘膜筋板層830で反射された光Lcも偏光光となる。また、偏光異方性を持つコラーゲンを含む粘膜下層840からの戻り光Ldにも、偏光成分が含まれ得る。一方、光照射部120から照射されて、散乱媒体である粘膜層810によって散乱された光であるLbは、実質的に非偏光光となる。したがって、粘膜層810の厚さDが厚いほど、生体190からの戻り光は非偏光光に近づくことが期待される。
【0062】
また、光照射部120が非偏光光を照射した場合、表面反射光La、粘膜層810内部での散乱光Lb、および粘膜筋板層830で反射された光Lcは実質的に非偏光光となるが、Ldには偏光成分が含まれ得る。したがって、したがって、非偏光光を照射する場合でも、粘膜層810の厚さDが厚いほど、生体190からの戻り光は非偏光光に近づくことが期待される。そこで、厚さ算出部460は、受光部240が受光した戻り光の偏光度に基づいて、散乱媒体の厚さを算出する。具体的には、厚さ算出部460は、受光部240が受光した光の偏光度がより小さい場合に、散乱媒体(例えば、粘膜層810)の厚さをより厚く算出する。
【0063】
なお、図3に関連して説明したように、偏光フィルタ200は、生体190からの光のうち、異なる複数の偏光成分の光を選択的に透過して、受光部240が有する複数の受光素子(例えば、第2受光素子242)にそれぞれ異なる偏光成分の光を受光させる。そして、偏光特性算出部440は、第2受光素子242等の複数の受光素子が受光した光の受光量に基づいて、偏光度を算出することができる。そして、厚さ算出部460は、偏光特性算出部440が算出した偏光度がより小さい場合に、散乱媒体の厚さをより厚く算出する。
【0064】
なお、光照射部120は、特定の偏光成分の光を生体190に向けて照射してもよい。この場合、受光部240は、光照射部120から照射された光と同じ特定の偏光成分の光を受光する。そして、厚さ算出部460は、受光部240が受光した光の特定の偏光成分の強度がより小さい場合に、散乱媒体の厚さをより厚く算出してもよい。
【0065】
以上説明したように、光照射部120が偏光光を生体190に向けて照射した場合、および非偏光光を生体190に向けて照射した場合のどちらの場合においても、厚さ算出部460は、受光部240が受光した光の偏光度がより小さい場合に、散乱媒体の厚さをより厚く算出する。したがって、光学システム10によると、粘膜層810の厚さの空間的な変化を検出することができるので、癌の進行に伴う粘膜層810の厚さDの減少を検出することができる場合がある。
【0066】
図9は、厚さ算出部460が記憶している厚さ情報の一例をテーブル形式出示す。厚さ算出部460は、偏光度に対応づけて散乱媒体の厚さを予め記憶している。そして、厚さ算出部460は、受光部240が受光した光の偏光度に対応づけて記憶している厚さを、散乱媒体の厚さとして算出する。
【0067】
なお、厚さ算出部460が算出した厚さ情報は、画像生成部400に供給されてよい。上述したように、偏光特性算出部440は偏光度を面的に算出することができるので、厚さ算出部460は厚さを面的に算出することができる。したがって、画像生成部400は、厚さ算出部460が算出した厚さ情報を用いて、散乱層の厚さを示す画像を生成してよい。例えば、画像生成部400は、内視鏡100によって得られた生体190の画像の輝度情報を、散乱層の厚さ情報で変調した画像を生成してよい。このようにして、散乱層の厚さを示す画像を容易に表示することができる。
【0068】
図10は、撮像部110の他の構成例を示す。本構成例では、撮像部110はいわゆる3板式の構成を有している。
【0069】
撮像部110は、戻り光を分光する光学系1010、緑成分の光を透過するカラーフィルタ1021、青成分の光を透過するカラーフィルタ1022、赤成分の光を透過するカラーフィルタ1023、緑成分の光を受光する受光素子アレイ1041、青成分の光を受光する受光素子アレイ1042、赤成分の光を受光する受光素子アレイ1043、および偏光フィルタ1000を含む。光学系1010は、レンズ112を包含しており、受光素子アレイ1041、受光素子アレイ1042、および受光素子アレイ1042に生体190からの戻り光を分光する。
【0070】
受光素子アレイ1041は、光学系1010によって分光されてカラーフィルタ1021を透過した緑成分の光を受光する。また、受光素子アレイ1043は、光学系1010によって分光されてカラーフィルタ1023を透過した赤成分の光を受光する。また、受光素子アレイ1042は、光学系1010によって分光されて、偏光フィルタ1000およびカラーフィルタ1022を透過した青成分の光を受光する。
【0071】
受光素子アレイ1041、受光素子アレイ1042、および受光素子アレイ1043は、複数の受光素子がそれぞれ略同一面上に配列されて形成される。本図に模式的に示されるように、受光素子アレイ1041、受光素子アレイ1042、および受光素子アレイ1043のうち、受光素子アレイ1042において受光素子が最も高い面密度で配列されている。偏光フィルタ1000は、偏光フィルタ200と同様に、異なる偏光特性の光を透過する偏光素子が同一面上にマトリクス状に配列されて形成される。本図の構成のように、多板式で形成された撮像部110においても、他の受光素子より高い面密度で配列された受光素子アレイに異なる偏光方向の光を受光させることによって、高解像度で偏光情報を測定することができる。
【0072】
なお、上記の実施形態においては、生体観察用に青成分の光を受光する受光素子を最も高い面密度で配列したが、他の実施形態では、緑成分の光を受光する受光素子を最も高い面密度で配列してもよい。この場合、緑成分の光を受光する受光素子に異なる偏光方向の光を受光させてよい。
【0073】
また、上記の実施形態においては、最も高い密度で配列された受光素子に異なる偏光方向の光を受光させた。偏光フィルタ200を通過させると、偏光フィルタ200を通過させない場合にくらべて光強度が低下してしまうことから、他の実施形態では、最も高い強度の光を受光することが期待される色成分の光を受光する受光素子に、異なる偏光方向の光を受光させてもよい。
【0074】
すなわち、受光部240において、第2受光素子242は、生体190からの光強度が第1色成分より大きい第2色成分の光を受光する受光素子であってよい。一例として、第2受光素子242は、生体190からの赤成分の光を受光してよく、第1受光素子241および第3受光素子243は、生体190からの赤成分以外の色成分の光を受光してよい。例えば、第1受光素子241は、緑成分の光または青成分の光を受光してよい。なお、色成分としては、RGB原色系以外にも、補色系の色成分を例示することができる。
【0075】
なお、第1受光素子241および第2受光素子242が、光照射部120から照射されて生体190により反射された光を受光する場合、第2受光素子242が受光する光の波長領域における生体190の光の反射率は、第1受光素子241が受光する光の波長領域における反射率より高くてよい。さらに、第2受光素子242が受光する光の波長領域における反射率と第2受光素子242の受光感度とを乗じた値は、第1受光素子241が受光する光の波長領域における反射率と第1受光素子241の受光感度とを乗じた値より大きくてよい。また、第2受光素子242の受光面積は、第1受光素子241の受光面積より大きくてよい。
【0076】
図11は、光学システム10のハードウェア構成の一例を示す。光学システム10は、CPU周辺部と、入出力部と、レガシー入出力部とを備える。CPU周辺部は、ホスト・コントローラ1582により相互に接続されるCPU1505、RAM1520、グラフィック・コントローラ1575、及び表示デバイス1580を有する。入出力部は、入出力コントローラ1584によりホスト・コントローラ1582に接続される通信インターフェイス1530、ハードディスクドライブ1540、及びCD−ROMドライブ1560を有する。レガシー入出力部は、入出力コントローラ1584に接続されるROM1510、フレキシブルディスク・ドライブ1550、及び入出力チップ1570を有する。
【0077】
ホスト・コントローラ1582は、RAM1520と、より高い転送レートでRAM1520をアクセスするCPU1505、及びグラフィック・コントローラ1575とを接続する。CPU1505は、ROM1510、及びRAM1520に格納されたプログラムの内容に応じて動作して、各部の制御をする。グラフィック・コントローラ1575は、CPU1505等がRAM1520内に設けたフレーム・バッファ上に生成する画像データを取得して、表示デバイス1580上に表示させる。これに代えて、グラフィック・コントローラ1575は、CPU1505等が生成する画像データを格納するフレーム・バッファを、内部に含んでもよい。
【0078】
入出力コントローラ1584は、ホスト・コントローラ1582と、比較的高速な入出力装置であるハードディスクドライブ1540、通信インターフェイス1530、CD−ROMドライブ1560を接続する。ハードディスクドライブ1540は、CPU1505が使用するプログラム、及びデータを格納する。通信インターフェイス1530は、ネットワーク通信装置1598に接続してプログラムまたはデータを送受信する。CD−ROMドライブ1560は、CD−ROM1595からプログラムまたはデータを読み取り、RAM1520を介してハードディスクドライブ1540、及び通信インターフェイス1530に提供する。
【0079】
入出力コントローラ1584には、ROM1510と、フレキシブルディスク・ドライブ1550、及び入出力チップ1570の比較的低速な入出力装置とが接続される。ROM1510は、光学システム10が起動するときに実行するブート・プログラム、あるいは光学システム10のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。フレキシブルディスク・ドライブ1550は、フレキシブルディスク1590からプログラムまたはデータを読み取り、RAM1520を介してハードディスクドライブ1540、及び通信インターフェイス1530に提供する。入出力チップ1570は、フレキシブルディスク・ドライブ1550、あるいはパラレル・ポート、シリアル・ポート、キーボード・ポート、マウス・ポート等を介して各種の入出力装置を接続する。
【0080】
CPU1505が実行するプログラムは、フレキシブルディスク1590、CD−ROM1595、またはICカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。記録媒体に格納されたプログラムは圧縮されていても非圧縮であってもよい。プログラムは、記録媒体からハードディスクドライブ1540にインストールされ、RAM1520に読み出されてCPU1505により実行される。CPU1505により実行されるプログラムは、光学システム10を、図1から図10に関連して説明した光学システム10が有する各構成要素として機能させる。
【0081】
以上に示したプログラムは、外部の記憶媒体に格納されてもよい。記憶媒体としては、フレキシブルディスク1590、CD−ROM1595の他に、DVDまたはPD等の光学記録媒体、MD等の光磁気記録媒体、テープ媒体、ICカード等の半導体メモリ等を用いることができる。また、専用通信ネットワークあるいはインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の記憶装置を記録媒体として使用して、ネットワークを介したプログラムとして光学システム10に提供してもよい。このように、プログラムにより制御されるコンピュータが、光学システム10として機能する。
【0082】
以上、この発明を実施の形態を用いて説明したが、この発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態もこの発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】一実施形態に係わる光学システム10の構成の一例を生体190とともに示す図である。
【図2】撮像部110の構成の一例を示す図である。
【図3】受光部240における受光素子の配列および偏光フィルタ200における偏光素子の配列の一例を示す図である。
【図4】画像処理部140のブロック構成の一例を示す図である。
【図5】内視鏡100によって得られた画像500の一例を示す図である。
【図6】内部画像600、形状変化画像630、および合成画像650の一例を示す図である。
【図7】傾斜の一例を示す図である。
【図8】生体190の一例である胃壁の構造を模式的に示す図である。
【図9】厚さ算出部460が記憶している厚さ情報の一例をテーブル形式で示す図である。
【図10】撮像部110の他の構成例を示す図である。
【図11】光学システム10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0084】
10 光学システム
100 内視鏡
102 先端部
105 制御部
112 レンズ
110 撮像部
120 光照射部
122 発光部
124 ライトガイド
128 出射口
126 偏光フィルタ
130 鉗子口
135 鉗子
138 ノズル
140 画像処理部
150 出力部
190 生体
200 偏光フィルタ
201 偏光素子
220 カラーフィルタ
221 第1色フィルタ部
222 第2色フィルタ部
240 受光部
241 第1受光素子
242 第2受光素子
243 第3受光素子
310 光透過部
400 画像生成部
410 光強度算出部
420 内部画像生成部
430 表面画像生成部
435 形状変化画像生成部
440 偏光特性算出部
450 傾斜算出部
460 厚さ算出部
500 画像
510 血管像
520 正反射像
600 内部画像
610 血管像
620 色素変化成分
630 形状変化画像
650 合成画像
810 粘膜層
820 下部媒体
830 粘膜筋板層
840 粘膜下層
1000 偏光フィルタ
1010 光学系
1021 カラーフィルタ
1022 カラーフィルタ
1023 カラーフィルタ
1041 受光素子アレイ
1042 受光素子アレイ
1043 受光素子アレイ
1505 CPU
1510 ROM
1520 RAM
1530 通信インターフェイス
1540 ハードディスクドライブ
1550 フレキシブルディスク・ドライブ
1560 CD−ROMドライブ
1570 入出力チップ
1575 グラフィック・コントローラ
1580 表示デバイス
1582 ホスト・コントローラ
1584 入出力コントローラ
1590 フレキシブルディスク
1595 CD−ROM
1598 ネットワーク通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を散乱する散乱媒体、および前記散乱媒体の下部にあり、光が入射された場合に偏光された光を入射側に戻す下部媒体を有する物体に向けて、光を照射する光照射部と、
前記光照射部から照射されて前記散乱媒体によって散乱された光、および前記下部媒体からの光を受光する受光部と、
前記受光部が受光した光の非偏光成分および偏光成分の少なくとも一方に基づいて、前記下部媒体までの前記散乱媒体の厚さを算出する厚さ算出部と
を備える光学システム。
【請求項2】
前記厚さ算出部は、前記受光部が受光した光の偏光度に基づいて、前記散乱媒体の厚さを算出する
請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
前記厚さ算出部は、前記受光部が受光した光の偏光度がより小さい場合に、前記散乱媒体の厚さをより厚く算出する
請求項1に記載の光学システム。
【請求項4】
前記光照射部は、前記物体に向けて、偏光光を照射し、
前記厚さ算出部は、前記受光部が受光した光の偏光度がより小さい場合に、前記散乱媒体の厚さをより厚く算出する
請求項3に記載の光学システム。
【請求項5】
前記光照射部は、入射された前記偏光光を反射する反射媒体である前記下部媒体および前記散乱媒体を有する前記物体に向けて、前記偏光光を照射し、
前記受光部は、前記光照射部から照射されて前記散乱媒体によって散乱された光、および前記光照射部から照射されて前記下部媒体の表面で反射された光を受光する
請求項4に記載の光学システム。
【請求項6】
前記光照射部は、前記物体に向けて、非偏光光を照射し、
前記厚さ算出部は、前記受光部が受光した光の偏光度がより小さい場合に、前記散乱媒体の厚さをより厚く算出する
請求項3に記載の光学システム。
【請求項7】
前記光照射部は、偏光異方性を持つ前記下部媒体および前記散乱媒体を有する前記物体に向けて、前記非偏光光を照射し、
前記受光部は、前記光照射部から照射されて前記散乱媒体によって散乱された光、および前記下部媒体からの戻り光を受光する
請求項6に記載の光学システム。
【請求項8】
前記光照射部は、入射された光を反射する反射媒体である前記下部媒体および前記散乱媒体を有する前記物体に向けて、特定の偏光成分の光を前記物体に向けて照射し、
前記受光部は、前記光照射部から照射されて前記散乱媒体によって散乱された光、および前記光照射部から照射されて前記下部媒体で反射された光を受光し、
前記厚さ算出部は、前記受光部が受光した光の前記特定の偏光成分の強度がより小さい場合に、前記散乱媒体の厚さをより厚く算出する
請求項1に記載の光学システム。
【請求項9】
前記光照射部は、前記物体に向けて、非偏光光を照射し、
前記厚さ算出部は、前記受光部が受光した光の偏光成分の強度がより小さい場合に、前記散乱媒体の厚さをより厚く算出する
請求項1に記載の光学システム。
【請求項10】
前記物体からの光のうち、異なる複数の偏光成分の光を透過して、前記受光部が有する複数の受光素子にそれぞれ異なる偏光成分の光を受光させる偏光部と、
前記複数の受光素子が受光した光の受光量に基づいて、前記偏光度を算出する偏光特性算出部と
をさらに備え、
前記厚さ算出部は、前記偏光特性算出部が算出した偏光度がより小さい場合に、前記散乱媒体の厚さをより厚く算出する
請求項4に記載の光学システム。
【請求項11】
前記偏光部は、前記物体からの光のうち、異なる複数の偏光成分の光を透過して、前記複数の受光素子にそれぞれ異なる偏光成分の光を受光させる複数の偏光素子を有し、
前記複数の偏光素子は、略同一面上に配列される
請求項10に記載の光学システム。
【請求項12】
光を散乱する散乱媒体、および前記散乱媒体の下部にあり、光が入射された場合に偏光された光を入射側に戻す下部媒体を有する物体に向けて、光を照射する光照射段階と、
前記光照射段階において照射されて前記散乱媒体によって散乱された光、および前記下部媒体からの光を受光する受光段階と、
前記受光段階において受光された光の非偏光成分および偏光成分の少なくとも一方に基づいて、前記下部媒体までの前記散乱媒体の厚さを算出する厚さ算出段階と
を備える方法。
【請求項13】
光学システム用のプログラムであって、コンピュータを、
光を散乱する散乱媒体、および前記散乱媒体の下部にあり、光が入射された場合に偏光された光を入射側に戻す下部媒体を有する物体に向けて、光を照射する光照射部、
前記光照射部から照射されて前記散乱媒体によって散乱された光、および前記下部媒体からの光を受光する受光部、
前記受光部が受光した光の非偏光成分および偏光成分の少なくとも一方に基づいて、前記下部媒体までの前記散乱媒体の厚さを算出する厚さ算出部
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−240676(P2009−240676A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−93397(P2008−93397)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】