説明

光学式位置検出装置および位置検出システム

【課題】広い範囲にわたって対象物体の位置を光学的に検出することのできる光学式位置検出装置、および位置検出システムを提供すること。
【解決手段】光学式位置検出装置10において、検出用光源部12は、検出光L2の出射強度が出射角度範囲の一方側から他方側に向かって減少する第1点灯動作と、検出光L2の出射強度が出射角度範囲の他方側から一方側に向かって減少する第2点灯動作とを行う。従って、第1点灯動作時における受光部13の受光強度と第2点灯動作時における受光部13の受光強度との比較結果に基づいて検出用光源部12に対する対象物体Obの角度位置(角度θ)を検出でき、検出用光源部12が検出光L2を出射した際の受光部13の受光強度に基づいて検出用光源部12から対象物体Obまでの距離rを検出できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置、および当該光学式位置検出装置を備えた位置検出システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
対象物体を光学的に検出する光学式位置検出装置としては、例えば、点光源からなる複数の検出用光源の各々から透光部材を介して対象物体に向けて検出光を出射し、対象物体で反射した検出光が透光部材を透過して受光部で検出されるものが提案されている(特許文献1参照)。また、点光源からなる複数の検出用光源の各々から出射された検出光を、導光板を介して出射し、対象物体で反射した検出光を受光部で検出する方式の光学式位置検出装置も提案されている(特許文献2、3参照)。
【0003】
かかる光学式位置検出装置では、複数の検出用光源のうちの一部の検出用光源が点灯した際の受光部での受光強度と、他の一部の検出用光源が点灯した際の受光部での受光強度との比較結果に基づいて対象物体の位置を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−534554号公報
【特許文献2】特開2010−127671号公報
【特許文献3】特開2009−295318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1〜3に記載の光学式位置検出装置においては、対象物体の位置を検出可能な範囲が狭いという問題点がある。すなわち、特許文献1に記載の光学式位置検出装置では、点光源からなる検出用光源から出射された検出光を利用する。このため、検出光の出射範囲自体が狭いため、対象物体の位置を検出可能な範囲が狭い。また、特許文献2、3に記載の光学式位置検出装置では、点光源からなる検出用光源から出射された検出光を、導光板を介して出射するため、比較的広い範囲にわたって検出光を出射することができるが、検出光が導光板内部を伝播する際の減衰を避けることができない。従って、広い範囲にわたって所定の光強度分布を十分な強度レベルをもって形成することが困難であるので、対象物体の位置を検出可能な範囲が狭い。
【0006】
以上の問題点に鑑みて、本発明の課題は、広い範囲にわたって対象物体の位置を光学的に検出することのできる光学式位置検出装置、およびかかる光学式位置検出装置を備えた位置検出システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置であって、検出光を放射状に出射する検出用光源部と、前記検出光の出射強度が当該検出光の出射角度範囲の一方側から他方側に向かって減少する第1点灯動作と、前記検出光の出射強度が当該検出光の出射角度範囲の他方側から一方側に向かって減少する第2点灯動作とを前記検出用光源部に行わせる光源駆動部と、前記検出光の出射空間に位置する前記対象物体により反射された前記検出光の反射光を受光する受光部と、前記第1点灯動作時における前記受光部の受光強度と前記第2点灯動作時における前記受光部の受光強度との比較結果に基づいて前記検出用光源部に対する前記対象物体の角度位置を検出し、前記検出用光源部が点灯した際の前記受光部の受光強度に基づいて前記検出用光源部から前記対象物体までの距離を検出する位置検出部と、を有していることを特徴とする。
【0008】
本発明において、光源駆動部は、検出用光源部に対して第1点灯動作と第2点灯動作とを異なるタイミングで行わせ、かかる動作を行っている際、受光部は、検出光の出射空間に位置する対象物体により反射された検出光の反射光を受光する。ここで、検出用光源部の第1点灯動作時、検出光の出射強度は、検出光の出射角度範囲の一方側から他方側に向かって減少し、検出光の出射空間には、出射強度に対応する光強度分布が形成されている。これに対して、検出用光源部の第2点灯動作時、検出光の出射強度は、検出光の出射角度範囲の他方側から一方側に向かって減少し、検出光の出射空間には、出射強度に対応する光強度分布が形成されている。また、受光部における受光強度は、対象物体が位置する箇所での光強度に対応する。従って、第1点灯動作時における受光部の受光強度と第2点灯動作時における受光部の受光強度とを比較すれば、かかる比較結果に基づいて検出用光源部に対する対象物体の角度位置を検出することができる。また、対象物体が位置する角度位置における光強度は、検出用光源部から対象物体までの距離に対応しているため、検出用光源部が検出光を出射した際の受光部の受光強度に基づいて検出用光源部から対象物体までの距離を検出することができる。それ故、対象物体の角度位置と検出用光源部から対象物体までの距離とを用いれば、対象物体の位置を検出することができる。また、検出用光源部から放射状に出射される検出光が強度分布を形成するので、検出対象空間と同一サイズの導光板を用いた際に発生する導光板内での検出光の大きな減衰等が発生しない。それ故、本形態によれば、検出対象空間が広いという利点がある。
【0009】
本発明において、前記位置検出部は、前記第1点灯動作時における前記受光部の受光強度と前記第2点灯動作時における前記受光部の受光強度との比較結果において双方の受光強度が等しくなったときの前記検出用光源部に対する駆動電流の比較結果に基づいて前記対象物体の角度位置を検出することが好ましい。かかる構成によれば、受光部の感度等の影響を受けずに対象物体の角度位置を正確に検出することができる。
【0010】
本発明において、前記位置検出部は、前記第1点灯動作時および前記第2点灯動作時のうちの少なくとも一方の点灯動作時における前記受光部の受光強度に基づいて前記検出用光源部から前記対象物体までの距離を検出することが好ましい。かかる構成によれば、検出用光源部に対する対象物体の角度位置を検出するための点灯動作を利用して、検出用光源部から対象物体までの距離を検出することができる。
【0011】
本発明において、前記検出用光源部として、互いに離間した位置で異なるタイミングで点灯動作を行って互いの前記出射角度範囲の少なくとも一部が重なる第1検出用光源部および第2検出用光源部を備え、前記位置検出部は、前記第1検出用光源部が点灯した際に検出した前記角度位置および前記距離と、前記第2検出用光源部が点灯した際に検出した前記角度位置および前記距離と、に基づいて前記対象物体の位置を特定することが好ましい。かかる構成によれば、第1検出用光源部を基準とした対象物体の角度位置と、第2検出用光源部を基準とした対象物体の角度位置との交点を対象物体の角度位置として検出することができるので、対象物体の位置を正確に検出することができる。また、第1検出用光源部から対象物体までの距離と、第2検出用光源部からの対象物体の距離を対象物体の距離として検出することができるので、対象物体の位置を正確に検出することができる。それ故、対象物体の位置を高い精度で検出することができる。
【0012】
本発明において、前記位置検出部は、前記第1検出用光源部が点灯した際に検出した前記角度位置および前記距離に基づいて特定した前記対象物体の位置と、前記第2検出用光源部が点灯した際に検出した前記角度位置および前記距離に基づいて特定した前記対象物体の位置との中間位置を当該対象物体の真の位置と特定する構成を採用することができる。かかる構成によれば、対象物体の位置を容易かつ高い精度で特定することができる。
【0013】
本発明において、前記受光部として、前記第1検出用光源部が点灯した際に前記対象物体により反射された前記検出光の反射光を受光する第1受光部と、前記第2検出用光源部が点灯した際に前記対象物体により反射された前記検出光の反射光を受光する第2受光部と、を有していることが好ましい。かかる構成によれば、第1検出用光源部と第1受光部を対にして動作させ、第2検出用光源部と第2受光部とを対にして動作させることができるので、受光部を共通にした場合と比較して回路構成の簡素化を図ることができる。
【0014】
本発明において、前記第1受光部は、前記第1検出用光源部からの前記検出光の出射方向に対して直交する方向において前記第1検出用光源部が出射する前記検出光の放射中心位置に対して重なる位置に配置され、前記第2受光部は、前記第2検出用光源部からの前記検出光の出射方向に対して直交する方向において前記第2検出用光源部が出射する前記検出光の放射中心位置に対して重なる位置に配置されていることが好ましい。かかる構成によれば、第1検出用光源部から対象物体を経て第1受光部に至る距離は、第1検出用光源部から対象物体までの距離の2倍に相当し、第2検出用光源部から対象物体を経て第2受光部に至る距離は、第2検出用光源部から対象物体までの距離の2倍に相当するので、第1検出用光源部から対象物体までの距離、および第2検出用光源部から対象物体までの距離を容易かつ確実に検出することができる。また、第1検出用光源部と第1受光部とを容易にユニット化することができるとともに、第2検出用光源部と第2受光部とを容易にユニット化することができる。
【0015】
本発明において、前記検出用光源部は、円弧状に延在するライトガイドと、該ライトガイドの端部から当該ライトガイドの内部に前記検出光を入射させる光源と、を備えている構成を採用することが好ましい。かかる構成によれば、検出光の出射強度が出射角度範囲の一方側から他方側に向かって連続的に変化する構成を実用することができる。
【0016】
本発明において、前記検出用光源部は、凸曲面を備えた光源支持部材と、前記凸曲面において周方向で離間する位置に配置された複数の光源と、を備えている構成を採用することができる。かかる構成によれば、検出用光源部から離間した位置に対しても十分な強度をもって検出光を出射することができる。
【0017】
本発明を適用した光学式位置検出装置は、前記検出用光源の出射方向に沿って広がる視認面を備えた視認面構成部材を有している位置検出システムに用いることができ、かかる位置検出システムは、例えば以下の位置検出機能付き機器を挙げることができる。
【0018】
まず、前記視認面構成部材は、情報としての画像を表示する直視型画像生成装置である構成を採用でき、この場合、前記視認面は、前記直視型画像生成装置において前記画像が表示される画像表示面である。かかる構成によれば、位置検出システムを位置検出機能付き直視型表示装置として構成することができる。
【0019】
本発明において、前記視認面構成部材はスクリーンや、デジタルサイネージ、電子ペーパー等の表示部材である構成を採用でき、この場合、前記視認面は、スクリーン、デジタルサイネージ、電子ペーパーにおいて情報が視認される表示面である。なお、視認面構成部材が電子ペーパーである場合、本発明に係る光学式位置検出装置は入力装置として利用できる。
【0020】
本発明において、前記スクリーンに対して前記視認面側に、前記スクリーンに向けて画像を投射する画像投射装置を備え、当該画像投射装置と一体に検出用光源および受光部が配置されている構成を採用することもできる。かかる構成によれば、位置検出システムを位置検出機能付き投射型表示装置として構成することができる。
【0021】
本発明において、前記視認面構成部材は、展示品を覆う透光部材である構成を採用することができ、この場合、前記視認面は、前記透光部材において前記展示品が配置される側とは反対側で当該展示品が視認される面である。かかる構成によれば、位置検出システムを位置検出機能付きウインドウ等として構成することができる。
【0022】
本発明において、前記視認面構成部材は、移動する遊技用媒体を支持する基盤である構成を採用することができ、この場合、前記視認面は、前記基盤において当該基盤と前記遊技用媒体との相対位置が視認される側の面である。かかる構成によれば、位置検出システムをパチンコ台やコインゲーム等のアミューズメント機器として構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムの主要部を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムに用いた光学式位置検出装置の構成を示す説明図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムに用いた光学式位置検出装置の検出用光源の構成を模式的に示す説明図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る位置検出システムに用いた光学式位置検出装置の電気的構成等を示す説明図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置における位置検出原理を示す説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において対象物体の角度位置および距離を検出する原理を示す説明図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において対象物体の位置(XY座標)を特定する方法を示す説明図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置において対象物体の真の位置(XY座標)を特定する方法を示す説明図である。
【図9】光学式位置検出装置において対象物体を移動させて描画した際の説明図である。
【図10】本発明の実施の形態1の変形例に係る光学式位置検出装置の構成を示す説明図である。
【図11】本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置の主要部を模式的に示す説明図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置の検出用光源部の説明図である。
【図13】本発明の実施の形態2の変形例に係る光学式位置検出装置の構成を示す説明図である。
【図14】本発明を適用した位置検出システムの具体例1(位置検出機能付き投射型表示装置)の説明図である。
【図15】本発明を適用した位置検出システムの具体例2(位置検出機能付きアミューズメント機器)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、添付図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、互いに交差する方向をX軸方向およびY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に交差する方向をZ軸方向とする。また、以下に参照する図面では、X軸方向の一方側をX1側とし、他方側をX2側とし、Y軸方向の一方側をY1側とし、他方側をY2側、Z軸方向の一方側をZ1側とし、他方側をZ2側として表してある。
【0025】
[実施の形態1]
(全体構成)
図1は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システムの主要部を模式的に示す説明図であり、図1(a)、(b)は、位置検出システムを検出光の出射空間側の斜め方向からみたときの説明図、および位置検出システムを正面からみたときの説明図である。
【0026】
図1において、本形態の位置検出システム1は、情報が視認される視認面41を備えた視認面構成部材40と、視認面構成部材40に対して視認面41側(Z軸方向の一方側Z1)に位置する対象物体Obの位置を検出する光学式位置検出装置10とを有しており、視認面41はXY平面(検出用光源12からの検出光の出射方向)に沿って広がっている。かかる位置検出システム1は、光学式位置検出装置10によって、後述する検出対象空間10R内における対象物体ObのXY平面における位置(XY座標)を検出する電子黒板用の位置検出機能付きスクリーン装置や投射型表示装置用の位置検出機能付きスクリーン装置等として用いることができる。
【0027】
光学式位置検出装置10は、視認面41(XY平面)に沿って検出光L2を放射状に出射する検出用光源部12と、検出光L2の出射空間(検出対象空間10R)に位置する対象物体Obで反射した検出光L2(反射光L3)を受光する受光部13とを備えている。
【0028】
本形態においては、検出用光源部12として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出対象空間10Rに向く第1検出用光源部12Aおよび第2検出用光源部12Bが用いられており、第1検出用光源部12Aと第2検出用光源部12Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。
【0029】
また、本形態においては、受光部13として、視認面構成部材40に対してY軸方向の一方側Y1に離間する位置で検出対象空間10Rに向く第1受光部13Aおよび第2受光部13Bが用いられており、第1受光部13Aと第2受光部13Bとは、X軸方向で離間し、Y軸方向では同一の位置にある。第1受光部13Aは、第1検出用光源部12Aからの検出光L2(検出光L2a)の出射方向(XY平面)に対して直交するZ軸方向において第1検出用光源部12Aに対して重なる位置に配置されており、第1受光部13Aと第1検出用光源部12Aとは第1受発光ユニット15Aとして一体化されている。本形態において、第1受光部13Aは、第1検出用光源部12Aが出射する検出光L2(検出光L2a)の放射中心位置に対してZ軸方向において重なる位置に配置されている。第2受光部13Bは、第2検出用光源部12Bからの検出光L2(検出光L2b)の出射方向(XY平面)に対して直交するZ軸方向において第2検出用光源部12Bに対して重なる位置に配置されており、第2受光部13Bと第2検出用光源部12Bとは第2受発光ユニット15Bとして一体化されている。本形態において、第2受光部13Bは、第2検出用光源部12Bが出射する検出光L2(検出光L2b)の放射中心位置に対してZ軸方向において重なる位置に配置されている。
【0030】
また、本形態の光学式位置検出装置10においては、受光部13に向けて参照光を出射する参照用光源14が用いられている。より具体的には、第1受発光ユニット15Aでは、第1受光部13Aに参照光を出射する第1参照用光源14Aが設けられ、第2受発光ユニット15Bでは、第2受光部13Bに参照光を出射する第2参照用光源14Bが設けられている。
【0031】
後述するように、検出用光源部12(第1検出用光源部12Aおよび第2検出用光源部12B)は各々、LED(発光ダイオード)からなる光源を備えており、ピーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光からなる検出光L2(検出光L2a、L2b)を放射状に出射する。なお、受光部13は、フォトダイオードやフォトトランジスター等からなり、本形態において、受光部13は赤外域に感度ピークを備えたフォトダイオードである。参照用光源14(第1参照用光源14Aおよび第2参照用光源14B)も、検出用光源部12の光源と同様、ピーク波長が840〜1000nmに位置する赤外光からなる参照光を発散光として出射する。但し、参照用光源14から出射される参照光は、参照用光源14の向きや、参照用光源14に設けられる遮光カバー(図示せず)等によって、視認面構成部材40の視認面41側(検出対象空間10R)に入射せず、検出対象空間10Rを介さずに受光部13に入射するようになっている。
【0032】
かかる第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bは、視認面構成部材40よりZ軸方向の一方側Z1に突出した位置にある。また、第1受発光ユニット15Aと第2受発光ユニット15Bとは異なるタイミングで動作し、第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bにおいて、検出用光源部12と参照用光源14とは異なるタイミングで点灯する。このため、第1受発光ユニット15Aにおいて、第1検出用光源部12Aから検出光L2aが出射された際、第1受光部13Aは、検出対象空間10R位置する対象物体Obで反射した検出光L2a(反射光L3)を受光する。かかる検出動作とは異なるタイミングで、参照用光源14Aが点灯し、第1受光部13Aは、参照用光源14Aから出射された参照光を受光する。また、第2受発光ユニット15Bにおいて、第2検出用光源部12Bから検出光L2bが出射された際、第2受光部13Bは、検出対象空間10Rに位置する対象物体Obで反射した検出光L2b(反射光L3)を受光する。かかる検出動作とは異なるタイミングで第2参照用光源14Bが点灯し、第2受光部13Bは、第2参照用光源14Bから出射された参照光を受光する。
【0033】
(検出用光源部12の構成)
図2は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システム1に用いた光学式位置検出装置10の構成を示す説明図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システム1に用いた光学式位置検出装置10の検出用光源部12の構成を模式的に示す説明図であり、第1点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図、および第2点灯動作時に検出光L2が出射される様子を示す説明図である。
【0034】
図2に示すように、本形態の光学式位置検出装置10において、2つの検出用光源部12(第1検出用光源部12Aおよび第2検出用光源部12B)はいずれも、同一の構成を有している。より具体的には、第1検出用光源部12Aは、Z軸方向に重ねて配置された第1光源モジュール12Eと第2光源モジュール12Fとを備えており、第2検出用光源部12Bも、第1検出用光源部12Aと同様、Z軸方向に重ねて配置された第1光源モジュール12Eと第2光源モジュール12Fとを備えている。また、第1光源モジュール12Eおよび第2光源モジュール12Fはいずれも、発光ダイオード等の発光素子からなる光源120およびライトガイドLGを備えている等、第1光源モジュール12Eと第2光源モジュール12Fとは略同一の構成を有している。
【0035】
より具体的には、図3に示すように、第1光源モジュール12Eは、光源120として、赤外光を出射する発光ダイオード等の発光素子からなる第1光源121を備えているとともに、円弧状のライトガイドLGを備えており、第1光源121は、ライトガイドLGの一方の端部B3に配置されている。また、第1光源モジュール12Eは、ライトガイドLGの円弧状の外周面B1に沿って、光学シートPSおよびルーバーフィルムLF等を備えた円弧状の照射方向設定部LEを備え、ライトガイドLGの円弧状の内周面B2に沿って、円弧状の反射シートRSを備えている。また、第2光源モジュール12Fも、第1光源モジュール12Eと同様、光源120として、赤外光を出射する発光ダイオード等の発光素子からなる第2光源122を備えているとともに、円弧状のライトガイドLGを備えており、第2光源122は、ライトガイドLGの他方の端部B4に配置されている。また、第2光源モジュール12Fも、第1光源モジュール12Eと同様、ライトガイドLGの円弧状の外周面B1に沿って、光学シートPSおよびルーバーフィルムLF等を備えた円弧状の照射方向設定部LEを備え、ライトガイドLGの円弧状の内周面B2に沿って、円弧状の反射シートRSを備えている。なお、ライトガイドLGの外周面および内周面のうちの少なくとも一方には、ライトガイドLGからの検出光の出射効率を調整するための加工が施されており、かかる加工手法としては、例えば反射ドットを印刷する方式や、スタンパーやインジェクションにより凹凸を付す成型方式や、溝加工方式を採用することができる。
【0036】
(位置検出部等の構成)
図4は、本発明の実施の形態1に係る位置検出システム1に用いた光学式位置検出装置10の電気的構成等を示す説明図である。
【0037】
本形態の位置検出システム1に用いた光学式位置検出装置10において、図1〜図3等を参照して第1受発光ユニット15Aおよび第2受発光ユニット15Bの検出用光源部12、参照用光源14および受光部13は、図4に示す第1制御用IC70に電気的に接続されている。ここで、制御用IC70は、第1受発光ユニット15Aに電気的接続された第1制御用IC70Aと、第2受発光ユニット15Bに電気的接続された第2制御用IC70Bとからなり、第1受発光ユニット15Aの第1検出用光源部12A、参照用光源14Aおよび第1受光部13Aは、第1制御用IC70Aに電気的接続されている。また、第2受発光ユニット15Bの第2検出用光源部12B、第2参照用光源14Bおよび第2受光部13Bは、第2制御用IC70Bに電気的接続されている。
【0038】
図4に示す2つの制御用IC70(第1制御用IC70Aおよび第2制御用IC70B)は、同一構成を有しており、2つの制御用IC70は共通の制御装置60に電気的接続されている。まず、第1制御用IC70Aは、基準クロック、A相基準パルス、B相基準パルス、タイミング制御パルス、同期クロック等を生成する複数の回路(図示せず)を有している。また、第1制御用IC70Aは、A相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75aと、B相基準パルスに基づいて所定の駆動パルスを生成するパルス発生器75bと、パルス発生器75aおよびパルス発生器75bが生成した駆動パルスを第1検出用光源部12Aの光源120(第1光源121および第2光源122)および第1参照用光源14Aの何れに印加するかを制御するスイッチ部76とを有している。かかるパルス発生器75a、75b、およびスイッチ部76は光源駆動部51を構成している。
【0039】
また、第1制御用IC70Aは、第1受光部13Aでの検出結果を増幅する増幅部等を備えた受光量測定部73と、受光量測定部73での測定結果に基づいてパルス発生器75a、75bを制御して第1検出用光源部12Aの光源120(第1光源121および第2光源122)および第1参照用光源14Aに供給する駆動パルスの電流レベルを調整する調整量算出部74とを備えている。かかる受光量測定部73および調整量算出部74は、位置検出部50の一部の機能を担っている。
【0040】
第2制御用IC70Bも、第1制御用IC70Aと同様、第2受光部13Bでの検出結果を増幅する増幅部等を備えた受光量測定部73や、受光量測定部73での測定結果に基づいてパルス発生器75a、75bを制御して第2検出用光源部12Bの光源120(第1光源121および第2光源122)および参照用光源14に供給する駆動パルスの電流レベルを調整する調整量算出部74等を備えている。かかる受光量測定部73および調整量算出部74は、位置検出部50の一部の機能を担っている。
【0041】
ここで、第1制御用IC70Aおよび第2制御用IC70Bは、パーソナルコンピューター等の上位の制御装置60の制御部61によって制御されており、かかる制御装置60は、受光量測定部73および調整量算出部74とともに位置検出部50を構成する座標取得部55を有している。従って、本形態において、位置検出部50は、制御用IC70(第1制御用IC70Aおよび第2制御用IC70B)の受光量測定部73および調整量算出部74と、上位の制御装置60(パーソナルコンピューター)の座標取得部55とによって構成されている。
【0042】
ここで、座標取得部55は、後述する原理により検出用光源部12に対する対象物体Obの角度位置(角度方向)を検出する角度位置検出部551と、後述する原理により検出用光源部12から対象物体Obまでの距離を検出する距離検出部552と、角度位置検出部551での角度位置検出結果および距離検出部552での距離検出結果に基づいて、対象物体Obの位置(XY座標)を特定する座標特定部553とを備えている。なお、本形態では、検出用光源部12として、互いに離間した位置に配置された第1検出用光源部12Aと第2検出用光源部12Bとを有している。従って、角度位置検出部551は、対象物体Obの角度位置(角度方向)として、第1検出用光源部12Aに対する対象物体Obの角度位置(角度方向)、および第2検出用光源部12Bに対する対象物体Obの角度位置(角度方向)を検出する。また、距離検出部552は、検出用光源部12から対象物体Obまでの距離として、第1検出用光源部12Aから対象物体Obまでの距離、および第2検出用光源部12Bから対象物体Obまでの距離を検出する。従って、座標特定部553は、第1検出用光源部12Aを基準位置とした対象物体Obの角度位置や距離、および第2検出用光源部12Bを基準位置とした対象物体Obの角度位置や距離に基づいて、対象物体Obの位置(XY座標)を特定する。
【0043】
(座標検出原理)
図5は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10における位置検出原理を示す説明図であり、図5(a)、(b)は光強度分布の説明図、および対象物体が存在する位置情報(方位情報)を取得する方法の説明図である。図6は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において対象物体Obの角度位置および距離を検出する原理を示す説明図である。
【0044】
本形態の光学式位置検出装置10において、図4を参照して説明した光源駆動部51は、図1〜図3を参照して説明した検出用光源部12(第1検出用光源部12Aおよび第2検出用光源部12B)のいずれにおいても、検出光L2の出射強度が検出光L2の出射角度範囲の一方側から他方側に向かって減少する第1点灯動作と、検出光L2の出射強度が検出光L2の出射角度範囲の他方側から一方側に向かって減少する第2点灯動作とを行わせる。
【0045】
より具体的には、光源駆動部51は、第1検出用光源部12Aに対して、第1点灯動作時には、第1光源モジュール12Eの第1光源121を点灯させ、検出対象空間10Rに検出光L2を出射させる。その際、第2光源122は消灯状態にある。その結果、検出対象空間10Rには第1光強度分布LID1が形成される。かかる第1光強度分布LID1は、図3(a)に矢印の長さにより出射光の強度を示すように、一方の端部B3に対応する角度方向から他方の端部B4に対応する角度方向に向けて強度が単調に低下する強度分布である。
【0046】
また、光源駆動部51は、第1検出用光源部12Aに対して、第2点灯動作時には、第2光源モジュール12Fの第2光源122を点灯させ、検出対象空間10Rに検出光L2を出射させる。その際、第1光源121は消灯状態にある。その結果、検出対象空間10Rには第2光強度分布LID2が形成される。かかる第2光強度分布LID2は、図3(a)に矢印の長さにより出射光の強度を示すように、他方の端部B4に対応する角度方向から一方の端部B3に対応する角度方向に向けて強度が単調に低下する強度分布である。
【0047】
なお、第2検出用光源部12Bにおいて、第1光源モジュール12Eの第1光源121が点灯した第1点灯動作時、および第2光源モジュール12Fの第2光源122が点灯した第2点灯動作時にも、第1検出用光源部12Aと同様、第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2が形成される。従って、後述するように、第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2を利用すれば、第1検出用光源部12Aおよび第2検出用光源部12Bの中心PEの距離DS(図6参照)が固定であるので、対象物体Obの位置を検出することができる。
【0048】
(対象物体Obの角度位置の検出)
まず、第1検出用光源部12Aの第1光源モジュール12Eにおいて、第1光強度分布LID1を形成した際、検出光L2の照射方向と、検出光L2の強度とは、図5(a)に線E1で示す関係にある。また、第1検出用光源部12Aの第2光源モジュール12Fにおいて、第2光強度分布LID2を形成した際、検出光L2の照射方向と、検出光L2の強度とは、図5(a)に線E2で示す関係にある。ここで、図5(b)および図6に示すように、第1検出用光源部12Aの中心PE(第1光源モジュール12Eの中心)からみて角度θの方向に対象物体Obが存在するとする。この場合、第1光強度分布LID1を形成したとき、対象物体Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTaとなる。これに対して、第2光強度分布LID2を形成したとき、対象物体Obが存在する位置での検出光L2の強度はINTbとなる。従って、第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光部13Aでの検出強度と、第2光強度分布LID2を形成した際の第2受光部13Bでの検出強度とを比較して、強度INTa、INTbの関係を求めれば、図5(b)および図6に示すように、第1検出用光源部12Aの中心PEを基準に対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求めることができる。
【0049】
かかる原理を利用して、対象物体Obの角度位置(角度θ1)を検出するにあたって、本形態では、第1検出用光源部12Aにおいて、第1光源モジュール12Eによって第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光部13Aでの検出強度と、第2光源モジュール12Fによって第2光強度分布LID2を形成した際の第1受光部13Aでの検出強度とが等しくなるように、第1光源121および第2光源122を駆動した際の駆動電流を調整した際の駆動電流の比や、駆動電流の調整量の比から対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求める。
【0050】
より具体的には、まず、図4に示す制御用IC70Aの光源駆動部51は、第1点灯動作として第1光源121を点灯させて第1光強度分布LID1を形成した後、第2点灯動作として第2光源122を点灯させて第2光強度分布LID2を形成する。この際、第1光強度分布LID1と第2光強度分布LID2とは強度変化の向きは逆向きであるが、強度レベルは同一である。そして、図4に示す位置検出部50の受光量測定部73および調整量算出部74は、第1点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTbとを比較し、受光強度INTa、INTbが相違している場合、第1点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTbとが等しくなるように、第1光源121および第2光源122に供給する駆動電流値を調整する。そして、再度、第1点灯動作と第2点灯動作とを行った際に、第1点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTaと、第2点灯動作時の第1受光部13Aの受光強度INTbとが等しければ、図4に示す角度位置検出部551は、かかる調整を行った後の第1光源121および第2光源122に対する駆動電流の比や、駆動電流の調整量の比から対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ1)を求める。
【0051】
かかる動作を第2検出用光源部12Bにおいても行えば、図4に示す角度位置検出部551は、図5(b)および図6に示すように、第2検出用光源部12Bの中心PEを基準に対象物体Obが位置する方向の角度θ(角度θ2)を求めることができる。
【0052】
(対象物体Obの距離の検出)
本形態では、対象物体Obの角度位置(角度θ)に加えて、検出用光源部12が点灯した際の受光部13の受光強度に基づいて検出用光源部12から対象物体Obまでの距離を検出する。本形態では、第1点灯動作時および第2点灯動作時のうちの少なくとも一方の点灯動作時における受光部13の受光強度に基づいて検出用光源部12から対象物体Obまでの距離を検出する。より具体的には、まず、対象物体Obがいずれの角度位置にある場合でも、検出用光源部12から対象物体Obまでの距離rと、受光部13での受光強度との間には一定の相関関係がある。本形態において、検出用光源部12は線光源とみなすことができることから、検出用光源部12から対象物体Obまでの距離rと、受光部13での受光強度との間には比例関係がある。それ故、第1検出用光源部12Aを基準とする対象物体Obの角度位置(角度θ1)を求めた後、第1光強度分布LID1および第2光強度分布LID2を形成した際の第1受光部13Aでの検出強度を用いれば、第1検出用光源部12Aから対象物体Obまでの距離r1を検出することができる。
【0053】
本形態において、図4に示す距離検出部552は、第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光部13Aでの検出強度、および第2光強度分布LID2を形成した際の第1受光部13Aでの検出強度のうち、検出強度のレベルが高い方の値を用いて、第1検出用光源部12Aから対象物体Obまでの距離r1を検出する。すなわち、第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光部13Aでの検出強度、および第2光強度分布LID2を形成した際の第1受光部13Aでの検出強度を比較し、第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光部13Aでの検出強度が大である場合、第1光強度分布LID1を形成した際の第1受光部13Aでの検出強度に基づいて第1検出用光源部12Aから対象物体Obまでの距離r1を検出する。これに対して、第2光強度分布LID2を形成した際の第1受光部13Aでの検出強度が大である場合、第2光強度分布LID2を形成した際の第1受光部13Aでの検出強度に基づいて第1検出用光源部12Aから対象物体Obまでの距離r1を検出する。
【0054】
かかる動作を第2検出用光源部12Bにおいても行えば、図4に示す距離検出部552は、図5(b)および図6に示すように、第2検出用光源部12Bから対象物体Obまでの距離r2を検出することができる。
【0055】
なお、検出用光源部12から対象物体Obまでの距離rを検出するにあたっては、第1点灯動作時、あるいは第2点灯動作時のうちの一方の点灯動作時の受光部13での受光強度のみを用いてもよい。また、検出用光源部12から対象物体Obまでの距離rを検出するにあたっては、第1光源121および第2光源122の双方を同時に点灯させた際の受光部13での受光強度を用いてもよい。
【0056】
(参照用光源14の利用方法)
上記した基本原理では、参照用光源14を利用せずに、検出用光源部12を基準とした対象物体Obの角度位置(角度θ)や、検出用光源部12から対象物体Obまでの距離rを検出したが、本形態の光学式位置検出装置10には参照用光源14が設けられている。従って、例えば、検出用光源部12が点灯するタイミングとは異なるタイミングで、参照用光源14を一定強度で点灯させ、受光部13に対して一定強度の参照光を入射させて、検出用光源部12を基準とした対象物体Obの角度位置(角度θ)や、検出用光源部12から対象物体Obまでの距離rを検出してもよい。
【0057】
より具体的には、第1点灯動作時における受光部13の検出光L2(反射光L3)の検出強度と受光部13の参照光の検出強度との差を、第1点灯動作時における受光部13の検出強度として処理し、第2点灯動作時における受光部13の検出光L2(反射光L3)の検出強度と受光部13の参照光の検出強度との差を、第2点灯動作時における受光部13の検出強度として処理する。かかる構成によれば、外光等の影響を、参照光を受光した際の強度によって相殺することができるという利点がある。
【0058】
(対象物体Obの位置(XY座標)の特定)
図7は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において対象物体Obの位置(XY座標)を特定する方法を示す説明図である。なお、図7(a)〜(d)は、第1検出用光源部12Aを用いて検出した結果に基づいて対象物体Obの位置を特定する方法を示す説明図、第2検出用光源部12Bを用いて検出した結果に基づいて対象物体Obの位置を特定する方法を示す説明図、2つの検出用光源部12を用いて検出した結果に基づいて対象物体Obの位置を特定する方法を示す説明図、および角度位置のみから対象物体Obの位置を特定する参考例の説明図である。図8は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において対象物体Obの真の位置(XY座標)を特定する方法を示す説明図である。図9は、光学式位置検出装置10において対象物体Obを移動させて描画した際の説明図であり、図9は、本発明の実施の形態1に係る光学式位置検出装置10において対象物体Obを移動させて描画した際の説明図、および参考例に係る光学式位置検出装置10において対象物体Obを移動させて描画した際の説明図である。
【0059】
本形態では、図4に示す座標特定部553は、検出用光源部12を基準とした対象物体Obの角度位置(角度θ)と、検出用光源部12から対象物体Obまでの距離rとによって対象物体Obの位置(XY座標)を特定する。
【0060】
より具体的には、図7(a)に示すように、座標特定部553は、第1検出用光源部12Aを用いて検出した結果(角度θ1、および距離r1)に基づいて対象物体Obの位置を特定することができる。すなわち、第1検出用光源部12Aを用いて検出した角度θ1と、第1検出用光源部12Aを用いて検出した距離r1の双方を満たす位置P1を対象物体Obの位置として検出する。
【0061】
また、図7(b)に示すように、座標特定部553は、第2検出用光源部12Bを用いて検出した結果(角度θ2、および距離r2)に基づいて対象物体Obの位置を特定することができる。すなわち、第2検出用光源部12Bを用いて検出した角度θ2と、第2検出用光源部12Bを用いて検出した距離r2の双方を満たす位置P2を対象物体Obの位置として検出する。
【0062】
さらに、図7(c)に示すように、座標特定部553は、第1検出用光源部12Aを用いて検出した結果(角度θ1、および距離r1)と、第2検出用光源部12Bを用いて検出した結果(角度θ2、および距離r2)とに基づいて対象物体Obの位置を特定することができる。すなわち、図7(a)に示す方法で特定した位置P1と、図7(b)に示す方法で特定した位置P2との重なり位置P10(斜線領域)を対象物体Obの位置として特定する。かかる方法によれば、図7(a)、(b)に示すように、検出結果(角度θ1、θ2および距離r1、r2)が各々、±αや±βの誤差を有している場合でも、図7(a)に示す方法で特定した位置P1と、図7(b)に示す方法で特定した位置P2との重なり位置P10を対象物体Obの位置として特定するので、誤差の影響を抑制することができる。
【0063】
本形態において、座標特定部553は、図8に示すように、図7(a)に示す方法で求めた位置P1と、図7(b)に示す方法で求めた位置P2との中間位置を対象物体Obの真の位置P0として特定する。かかる方法によれば、図7(a)、(b)に示す±αおよび±βの誤差の影響を最小限とすることができる。それ故、対象物体Obを移動させて描画を行うと、図9(a)に示すように、対象物体Obの軌跡を図形として検出することができる。
【0064】
これに対して、図7(d)に参考例を示すように、第1検出用光源部12Aを用いて検出した角度θ1、および第2検出用光源部12Bを用いて検出した角度θ2のみに基づいて対象物体Obの位置P10′を特定すると、図7(a)、(b)に示す±αの誤差を含む領域を対象物体Obの位置P10′(斜線領域)として特定することになる。このため、対象物体Obの位置P10′はジッタに起因する大きな誤差を含んでいることになるため、対象物体Obの位置検出における分解能が低い。それ故、対象物体Obを移動させて描画を行っても、図9(b)に示すように、対象物体Obの軌跡が太い線としか検出できず、図形として検出することができない。
【0065】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態の光学式位置検出装置10において、光源駆動部51は、検出用光源部12に対して、検出光L2の出射強度が出射角度範囲の一方側から他方側に向かって減少する第1点灯動作と、検出光L2の出射強度が出射角度範囲の他方側から一方側に向かって減少する第2点灯動作を行わせる。また、位置検出部50は、第1点灯動作時における受光部13の受光強度と第2点灯動作時における受光部13の受光強度との比較結果に基づいて検出用光源部12に対する対象物体Obの角度位置(角度θ)を検出するとともに、検出用光源部12が検出光L2を出射した際の受光部13の受光強度に基づいて検出用光源部12から対象物体Obまでの距離rを検出する。従って、対象物体Obの角度位置と検出用光源部12から対象物体Obまでの距離rとを用いれば、対象物体Obの位置(XY座標)を検出することができる。また、検出用光源部12から放射状に出射される検出光L2が強度分布を形成するので、検出対象空間10Rと同一サイズの導光板を用いた際に発生する導光板内での検出光の大きな減衰等が発生しない。それ故、本形態によれば、検出対象空間10Rが広いという利点がある。
【0066】
また、位置検出部50は、第1点灯動作時における受光部13の受光強度と第2点灯動作時における受光部13の受光強度との比較結果において双方の受光強度が等しくなったときの検出用光源部12に対する駆動電流の比較結果に基づいて対象物体Obの角度位置を検出する。このため、受光部13の感度等の影響を受けずに対象物体Obの角度位置を正確に検出することができる。
【0067】
また、位置検出部50は、第1点灯動作時および第2点灯動作時における受光部13の受光強度に基づいて検出用光源部12から対象物体Obまでの距離rを検出する。このため、対象物体Obの角度位置を検出するための点灯動作を利用して、検出用光源部12から対象物体Obまでの距離rを検出することができるので、検出に必要な時間を短縮することができる。
【0068】
また、検出用光源部12として、互いに離間した位置で異なるタイミングで点灯動作を行って互いの出射角度範囲の少なくとも一部が重なる第1検出用光源部12Aおよび第2検出用光源部12Bが用いられているため、位置検出部50は、第1検出用光源部12Aが点灯した際に検出した角度θ1および距離r1と、第2検出用光源部12Bが点灯した際に検出した角度θ2および距離r2とに基づいて対象物体Obの位置を特定することができる。従って、対象物体Obの位置を正確に検出することができる。また、位置検出部50は、第1検出用光源部12Aが点灯した際に検出した角度θ1および距離r1に基づいて特定した対象物体Obの位置P1と、第2検出用光源部12Bが点灯した際に検出した角度θ2および距離r2に基づいて特定した対象物体Obの位置との中間位置を対象物体Obの真の位置P0と特定する。このため、多数のデータがあっても、対象物体Obの位置を容易に求めることができるとともに、かかる構成によれば、対象物体Obの位置を高い精度で特定することができる。
【0069】
また、受光部13として、第1検出用光源部12Aが点灯した際に対象物体Obにより反射された検出光L2の反射光を受光する第1受光部13Aと、第2検出用光源部12Bが点灯した際に対象物体Obにより反射された検出光L2の反射光を受光する第2受光部13Bとが用いられている。このため、第1検出用光源部12Aと第1受光部13Aを対にして動作させ、第2検出用光源部12Bと第2受光部13Bとを対にして動作させることができるので、同一構成の制御用IC70を2つ用いればよいので、受光部13を共通にした場合と比較して回路構成の簡素化を図ることができる。
【0070】
また、第1受光部13Aは、第1検出用光源部12Aが出射する検出光L2の放射中心位置に対してZ軸方向で重なる位置に配置され、第2受光部13Bは、第2検出用光源部12Bが出射する検出光L2の放射中心位置に対してZ軸方向で重なる位置に配置されている。従って、第1検出用光源部12Aから対象物体Obを経て第1受光部13Aに至る距離は、第1検出用光源部12Aから対象物体Obまでの距離の2倍に相当する。また、第2検出用光源部12Bから対象物体Obを経て第2受光部13Bに至る距離は、第2検出用光源部12Bから対象物体Obまでの距離の2倍に相当する。従って、第1検出用光源部12Aから対象物体Obまでの距離、および第2検出用光源部12Bから対象物体Obまでの距離を容易かつ確実に検出することができる。また、第1検出用光源部12Aと第1受光部13Aとを容易にユニット化することができるとともに、第2検出用光源部12Bと第2受光部13Bとを容易にユニット化することができる。
【0071】
また、検出用光源部12は、円弧状に延在するライトガイドLGと、ライトガイドLGの端部からライトガイドLGの内部に検出光L2を入射させる光源120とを備えている。このため、検出光L2の出射強度が出射角度範囲の一方側から他方側に向かって連続的に変化するので、検出対象空間10Rの全体にわたって高い検出精度を実現することができる。
【0072】
さらに、検出光L2は赤外光であるため、視認されない。従って、視認面41に画像が表示されている場合でも、検出光L2が画像の視認を妨げないという利点がある。
【0073】
[実施の形態1の変形例]
図10は、本発明の実施の形態1の変形例に係る光学式位置検出装置10の構成を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0074】
実施の形態1では、2つの検出用光源部12(第1検出用光源部12Aおよび第2検出用光源部12B)はいずれも、第1検出用光源部12Aは、Z軸方向に重ねて配置された第1光源モジュール12Eと第2光源モジュール12Fとを備えている構成であったが、図10に示すように、本形態では、2つの検出用光源部12(第1検出用光源部12Aおよび第2検出用光源部12B)はいずれも、1つの光源モジュールからなる。すなわち、2つの検出用光源部12(第1検出用光源部12Aおよび第2検出用光源部12B)のいずれにおいても、1つのライトガイドLGの一方の端部B3および他方の端部B4の各々に光源120(第1光源121および第2光源122)が配置されている。その他の構成は実施の形態1と同様である。
【0075】
かかる構成でも、第1点灯動作時に第1光源121が点灯すると、図3(a)および図5(a)に示す第1光強度分布LID1を形成することができ、第2点灯動作時に第2光源122が点灯すると、図3(b)および図5(a)に示す第2光強度分布LID2を形成することができる。
【0076】
[実施の形態2]
図11は、本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置10の主要部を模式的に示す説明図である。図12は、本発明の実施の形態2に係る光学式位置検出装置10の検出用光源部の説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態1と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0077】
実施の形態1では、検出用光源部12にライトガイドLGを用いたが、本形態では、ライトガイドを用いずに、実施の形態1と同様な原理で対象物体ObのXY座標を検出する。
【0078】
より具体的には、図11に示すように、本形態の光学式位置検出装置10の検出用光源部12(第1検出用光源部12Aおよび第2検出用光源部12B)はいずれも、複数の光源120(第1光源121および第2光源122)と、複数の光源120が実装された帯状のフレキシブル基板180と、長さ方向(円周方向)で湾曲した形状をもって延在する凸曲面155を備えた基板支持部材150とを備えている。本形態において、凸曲面155は、その長さ方向(円周方向)で半円弧形状に湾曲した形状を有している。
【0079】
本形態においては、フレキシブル基板180として、帯状の第1フレキシブル基板181と、第1フレキシブル基板181に対して幅方向(Z軸方向)で並列する帯状の第2フレキシブル基板182とが用いられている。第1フレキシブル基板181には、その長さ方向に、複数の光源120として、複数の第1光源121が実装されており、第2フレキシブル基板182には、その長さ方向に、複数の光源120として、複数の第2光源122が実装されている。光源120はいずれも、LEDが用いられている。
【0080】
また、2つの検出用光源部12(第1検出用光源部12Aおよび第2検出用光源部12B)のいずれにおいても、基板支持部材150は、第1基板支持部材151と第2基板支持部材152とがZ軸方向で重ねられた構造になっており、第1基板支持部材151と第2基板支持部材152とはZ軸方向で互いに対称な構成を有している。第1基板支持部材151は、凸曲面155の上半部を構成する半円弧状の凸曲面155aと、凸曲面155aにおいて第2基板支持部材152が位置する側とは反対側の端部で凸曲面155aから突出する半円状の鍔部156aとを備えており、凸曲面155aに第1フレキシブル基板181が重ねて配置されている。第2基板支持部材152は、凸曲面155の下半部を構成する半円弧状の凸曲面155bと、凸曲面155bにおいて第1基板支持部材151が位置する側とは反対側の端部で凸曲面155bから突出する半円状の鍔部156bとを備えており、凸曲面155bに第2フレキシブル基板182が重ねて配置されている。
【0081】
このように構成した光学式位置検出装置10において、検出対象空間10Rにおける対象物体Obの位置を検出するには、第1フレキシブル基板181に実装されている複数の第1光源121と、第2フレキシブル基板182に実装されている複数の第2光源122とを異なるタイミングで点灯させる。その際、複数の第1光源121が全て点灯させ、複数の第2光源122を全て消灯させる第1点灯動作では、図12(a)に出射強度の高低を矢印Paで示すように、第1フレキシブル基板181の長さ方向の一方側の端部181fが位置する側から他方側の端部181eが位置する側に向かって第1光源121の出射強度を減少させる。従って、検出対象空間10Rに出射される検出光L2の第1光強度分布LID1では、第1フレキシブル基板181の長さ方向の一方側の端部181fが位置する角度方向では光強度が高く、そこから、他方側の端部181eが位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。
【0082】
これに対して、複数の第2光源122を全て点灯させ、複数の第1光源121を全て消灯させる第2点灯動作では、図12(b)に出射強度の高低を矢印Pbで示すように、第2フレキシブル基板182の長さ方向の一方側の端部182fが位置する側から他方側の端部182eが位置する側に向かって第2光源122の出射強度を増大させる。従って、検出対象空間10Rに出射される検出光L2の第2光強度分布LID2では、第2フレキシブル基板182の長さ方向の他方側の端部182eが位置する角度方向では光強度が高く、そこから、一方側の端部182fが位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。
【0083】
それ故、第1点灯動作および第2点灯動作を第1検出用光源部12Aおよび第2検出用光源部12Bの各々において実行すれば、実施の形態1と同様な原理で対象物体Obの位置(XY座標)を検出することができる。その際、複数の第1光源121に供給する駆動電流の和、および複数の第2光源122に供給する駆動電流の和に基づいて対象物体Obの角度位置を検出すればよい。また、複数の光源120の出射強度を変えるにあたっては、抵抗素子等により、駆動電流を光源120毎に変えればよい。かかる実施の形態2によれば、検出用光源部12から離間した位置に対しても十分な強度をもって検出光を出射することができるという利点がある。
【0084】
[実施の形態2の変形例]
図13は、本発明の実施の形態2の変形例に係る光学式位置検出装置10の構成を示す説明図である。なお、本形態の基本的な構成は、実施の形態2と同様であるため、共通する部分には同一の符号を付して図示し、それらの説明を省略する。
【0085】
実施の形態2では、第1点灯動作では第1光源121を点灯させ、第2点灯動作では第2光源122を点灯させたが、本形態では、図13に示すように、1系統の光源120のみが用いられている。かかる構成ででも、第1点灯動作時と第2点灯動作時において光源120に供給する駆動電流を変えれば、実施の形態1と同様な原理で対象物体Obの位置(XY座標)を検出することができる。すなわち、第1点灯動作では、図12(a)に出射強度の高低を矢印Paで示すように、フレキシブル基板180の長さ方向の一方側の端部が位置する側から他方側の端部が位置する側に向かって光源120の出射強度を減少させる。従って、検出対象空間10Rに出射される検出光L2の第1光強度分布LID1では、フレキシブル基板180の長さ方向の一方側の端部が位置する角度方向では光強度が高く、そこから、他方側の端部が位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。また、第2点灯動作では、図12(b)に出射強度の高低を矢印Pbで示すように、フレキシブル基板180の長さ方向の他方側の端部が位置する側から一方側の端部が位置する側に向かって光源120の出射強度を減少させる。従って、検出対象空間10Rに出射される検出光L2の第2光強度分布LID2では、フレキシブル基板180の長さ方向の他方側の端部が位置する角度方向では光強度が高く、そこから、一方側の端部が位置する角度方向に向かって光強度が連続的に低くなる。
【0086】
それ故、第1点灯動作および第2点灯動作を第1検出用光源部12Aおよび第2検出用光源部12Bの各々において実行すれば、実施の形態1と同様な原理で対象物体Obの位置(XY座標)を検出することができる。その際、第1点灯動作における光源120への駆動電流の和、および第2点灯動作における光源120への駆動電流の和に基づいて対象物体Obの角度位置を検出すればよい。
【0087】
[他の実施の形態]
上記実施の形態では、2つの検出用光源部12を用いたが、1つの検出用光源部12を用いて対象物体Obの位置を検出してもよい。
【0088】
上記実施の形態では、2つの受光部13を用いたが、1つの受光部13を2つの検出用光源部12に対して共通に用いてもよい。この場合、受光部13は、例えば、2つの検出用光源部12の中間位置等に配置された構成を採用することができる。
【0089】
上記実施の形態では、参照用光源14を用いたが、参照用光源14を用いずに、検出用光源部12のみによって対象物体Obの位置を検出してもよい。
【0090】
[位置検出システムの構成]
図1〜図13を参照して説明した光学式位置検出装置10は、例えば、視認面構成部材40として、投射型表示装置のスクリーンや電子黒板のスクリーンを用いれば、位置検出機能付きスクリーン装置(位置検出システム)を構成することができる。また、視認面構成部材40として、直視型表示装置を用いれば、位置検出機能付き直視型表示装置(位置検出システム)を構成することができる。また、視認面構成部材40として、デジタルサイネージを用いれば、位置検出機能付きデジタルサイネージ(位置検出システム)を構成することができる。さらに、図1〜図13を参照して説明した光学式位置検出装置10については、図14および図15等に示す位置検出システム等を構成するのに用いることができる。
【0091】
(位置検出システム1の具体例1)
図14を参照して、視認面構成部材40としてスクリーンを用い、本発明を適用した位置検出システム1を投射型表示装置として構成した例を説明する。図14は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例1(位置検出機能付き投射型表示装置)の説明図である。なお、本形態の位置検出システム1において、光学式位置検出装置10の構成は、図1〜図13を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付して図示しそれらの説明を省略する。
【0092】
図14に示す位置検出システム1は、液晶プロジェクターあるいはデジタル・マイクロミラー・デバイスと称せられる画像投射装置250(画像生成装置)からスクリーン80(視認面構成部材40)に画像が投射される位置検出機能付き投射型表示装置200である。位置検出機能付き投射型表示装置200において、画像投射装置250は、筐体240に設けられた投射レンズ系210からスクリーン80に向けて画像表示光Piを拡大投射する。ここで、画像投射装置250は、Y軸方向に対してわずかに傾いた方向から画像表示光Piをスクリーン80に向けて投射する。従って、スクリーン80において画像が投射されるスクリーン面80aによって、情報が視認される視認面41が構成されている。
【0093】
かかる位置検出機能付き投射型表示装置200において、光学式位置検出装置10は、画像投射装置250と一体に構成されている。このため、光学式位置検出装置10は、スクリーン面80aに沿って検出光L2を出射するとともに、対象物体Obで反射した反射光L3を検出する。このため、スクリーン80に投射された画像の一部に指先等の対象物体Obを接近させれば、かかる対象物体Obの位置を検出することができるので、対象物体Obの位置を画像の切り換え指示等といった入力情報として利用することができる。なお、光学式位置検出装置10とスクリーン80とを一体化させれば、位置検出機能付きスクリーン装置を構成することができる。
【0094】
(位置検出システム1の具体例2)
図15を参照して、位置検出システム1の視認面構成部材40として、パチンコ台等のアミューズメント機器において遊技用媒体を支持する基盤を用い、アミューズメント機器を位置検出機能付きアミューズメント機器として構成した例を説明する。図15は、本発明を適用した位置検出システム1の具体例2(位置検出機能付きアミューズメント機器)の説明図であり、図15(a)、(b)は、位置検出機能付きアミューズメント機器を正面(視認面側)からみた様子を模式的に示す説明図、およびその断面を模式的に示す説明図である。なお、本形態の位置検出システム1(位置検出機能付きアミューズメント機器)において、光学式位置検出装置10の構成は、図1〜図13を参照して説明した構成と同様であるため、共通する部分については同一の符号を付してそれらの説明を省略する。
【0095】
図15(a)、(b)に示す位置検出機能付きアミューズメント機器500(位置検出システム1)は、パチンコ玉等の遊技媒体501を支持する板状の基盤520(視認面構成部材40)、基盤520を保持する外枠510、遊技媒体501を基盤520上に送り出す位置等を設定するハンドル570、遊技媒体501を受ける受け皿560等を備えている。基盤520の表面521(視認面41)は、ガラス板530で覆われており、基盤520の表面521において、ガラス板530の内側には、遊技媒体501に対するガイドレール525や、遊技媒体501の動きを変化させる釘528や、入賞口580、590等が設けられている。また、基盤520の表面521において、ガラス板530の内側には、遊技媒体501が入賞口580に入るたびに行われる抽選の結果等が表示される液晶装置540が設けられている。
【0096】
かかる位置検出機能付きアミューズメント機器500において、ガラス板530の外面531の上端側には、図1〜図13を参照して説明した光学式位置検出装置10が設けられており、かかる光学式位置検出装置10は、ガラス板530の外面531および基盤520の表面521(視認面41)に沿うように検出光L2を出射し、対象物体Obで反射した光を検出する。従って、ガラス板530の外面441側には光学式位置検出装置10の検出対象空間10Rが設定されている。それ故、遊技者が液晶装置540で表示されている内容や遊技に進行に合わせて検出対象空間10Rに指先等の対象物体Obを接近させれば、かかる対象物体Obの位置を、液晶装置540で表示されている内容を切り換える指示等といった入力情報として利用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1・・位置検出システム、10・・光学式位置検出装置、10R・・検出対象空間、12・・検出用光源部、12A・・第1検出用光源部、12B・・・第2検出用光源部、13・・受光部、13A・・第1受光部、13B・・第2受光部、14・・参照用光源、14A・・第1参照用光源、14B・・第2参照用光源、40・・視認面構成部材、41・・視認面、50・・位置検出部、120・・光源、121・・第1光源、122・・第2光源、200・・位置検出機能付き投射型表示装置(位置検出システム)、500・・位置検出機能付きアミューズメント機器(位置検出システム)、Ob・・対象物体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物体の位置を光学的に検出する光学式位置検出装置であって、
検出光を放射状に出射する検出用光源部と、
前記検出光の出射強度が当該検出光の出射角度範囲の一方側から他方側に向かって減少する第1点灯動作と、前記検出光の出射強度が当該検出光の出射角度範囲の他方側から一方側に向かって減少する第2点灯動作とを前記検出用光源部に行わせる光源駆動部と、
前記検出光の出射空間に位置する前記対象物体により反射された前記検出光の反射光を受光する受光部と、
前記第1点灯動作時における前記受光部の受光強度と前記第2点灯動作時における前記受光部の受光強度との比較結果に基づいて前記検出用光源部に対する前記対象物体の角度位置を検出し、前記検出用光源部が点灯した際の前記受光部の受光強度に基づいて前記検出用光源部から前記対象物体までの距離を検出する位置検出部と、
を有していることを特徴とする光学式位置検出装置。
【請求項2】
前記位置検出部は、前記第1点灯動作時における前記受光部の受光強度と前記第2点灯動作時における前記受光部の受光強度との比較結果において双方の受光強度が等しくなったときの前記検出用光源部に対する駆動電流の比較結果に基づいて前記対象物体の角度位置を検出することを特徴とする請求項1に記載の光学式位置検出装置。
【請求項3】
前記位置検出部は、前記第1点灯動作時および前記第2点灯動作時のうちの少なくとも一方の点灯動作時における前記受光部の受光強度に基づいて前記検出用光源部から前記対象物体までの距離を検出することを特徴とする請求項1または2に記載の光学式位置検出装置。
【請求項4】
前記検出用光源部として、互いに離間した位置で異なるタイミングで点灯動作を行って互いの前記出射角度範囲の少なくとも一部が重なる第1検出用光源部および第2検出用光源部を備え、
前記位置検出部は、前記第1検出用光源部が点灯した際に検出した前記角度位置および前記距離と、前記第2検出用光源部が点灯した際に検出した前記角度位置および前記距離と、に基づいて前記対象物体の位置を特定することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項5】
前記位置検出部は、前記第1検出用光源部が点灯した際に検出した前記角度位置および前記距離に基づいて特定した前記対象物体の位置と、前記第2検出用光源部が点灯した際に検出した前記角度位置および前記距離に基づいて特定した前記対象物体の位置との中間位置を当該対象物体の真の位置と特定することを特徴とする請求項4に記載の光学式位置検出装置。
【請求項6】
前記受光部として、前記第1検出用光源部が点灯した際に前記対象物体により反射された前記検出光の反射光を受光する第1受光部と、前記第2検出用光源部が点灯した際に前記対象物体により反射された前記検出光の反射光を受光する第2受光部と、を有していることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項7】
前記第1受光部は、当該第1受光部からの前記検出光の出射方向に対して直交する方向において前記第1検出用光源部が出射する前記検出光の放射中心位置に対して重なる位置に配置され、
前記第2受光部は、当該第2受光部からの前記検出光の出射方向に対して直交する方向において前記第2検出用光源部が出射する前記検出光の放射中心位置に対して重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項6に記載の光学式位置検出装置。
【請求項8】
前記検出用光源部は、円弧状に延在するライトガイドと、該ライトガイドの端部から当該ライトガイドの内部に前記検出光を入射させる光源と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項9】
前記検出用光源部は、凸曲面を備えた光源支持部材と、前記凸曲面において周方向で離間する位置に配置された複数の光源と、を備えていることを特徴とする請求項1乃至7の何れか一項に記載の光学式位置検出装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載の光学式位置検出装置を備えた位置検出システムであって、
前記検出用光源の出射方向に沿って広がる視認面を備えた視認面構成部材を有していることを特徴とする位置検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−146231(P2012−146231A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5566(P2011−5566)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】