説明

光硬化性転写シート、光情報記録媒体及びその製造方法

【課題】
ディスクの厚さが薄く、クロストークの発生もほとんど無く、再生時の読み誤りのほとんど無い光情報記録媒体の製造に有利な光硬化性転写シートを提供すること。
【解決手段】
加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる光硬化性転写層を有する光硬化性転写シートであって、光硬化性転写層の屈折率が1.60以上であることを特徴とする光硬化性転写シート;これを用いた光情報記録媒体の製造方法;及び光情報記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)等の大容量の文字、音声、動画像等の情報をディジタル信号として記録された及び/又は記録可能な光情報記録媒体、特に多層型光情報記録媒体、その製造方法及びこれらに有利に使用される光硬化性転写シートに関する。
【背景技術】
【0002】
ディジタル信号として表面にピット形成された記録済み光情報記録媒体として、オーディオ用CD、CD−ROMが広く使用されているが、最近、動画像と記録も可能な両面にピット記録がなされたDVDが、CDの次世代記録媒体として注目され、徐々に使用されるようになってきている。またピット及びグルーブが形成されたユーザが記録可能なCD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW等も使用されるようになってきている。
【0003】
さらに、次世代DVDとして、2002年2月10日に次世代光ディスクの統一規格「ブル−レイ・ディスク(Blu-ray Disc)」の提案がすでになされている。主な仕様は、記録容量:23.3/25/27GB、レーザ波長:405nm(青紫色レーザ)、レンズ開口数(N/A):0.85、ディスク直径:120mm、ディスク厚:1.2mm、トラックピッチ:0.32μm等である。
【0004】
上記のようにブル−レイ・ディスクでは、溝の幅が狭く、且つピットも小さくなっている。このため読み取りレーザのスポットを小さく絞る必要があるが、スポットを小さくするとディスクの傾きによる影響を大きく受けるようになり、再生しようとするDVDがわずかに曲がっていても再生できなくなる。このような不利を補うため、基板の厚さを薄くし、またレーザ照射側のピット上のカバー層の厚さを0.1mm程度にすることが考えられている。
【0005】
そして、上記要求を満たすような、ピットが形成された記録面が2層以上重ねて形成された多層光学記録媒体の実用化の開発が行われている。
【0006】
図6に、ブル−レイ・ディスク用の光ディスクの例を示す。透明基板1上に、第1記録面2、第2記録面3が中間の中間樹脂層(中間層)4を介して積層された2層構造の光情報記録媒体の概略断面図を示されている。各記録面2、3は、それぞれ例えば記録済みディスクにおいては、データ情報の記録がなされたピット、必要によりアドレス、トラッキング用等のプリグルーブ等の微細凹凸が、また追記型、書き換え型等に等いてもプリグルーブ等の微細凹凸が形成される。
【0007】
第1記録面2は、厚さ例えば1.2mmの比較的肉厚に形成される透明基板1に、微細凹凸として形成される。この微細凹凸が形成された透明基板1は、例えばポリカーボネート等の透明樹脂を用いた射出成形によって形成され、これに例えばAg合金の半透明膜5が被覆されている。
【0008】
第2記録面3は、いわゆる2P法(Photopolymerization 法) によって形成される。すなわち、第1記録面2上に光硬化性樹脂が塗布され、これに第2記録面3を構成する第2の微細凹凸を転写形成する微細凹凸が形成されたスタンパを押圧し、透明基板1側から光硬化性樹脂に光照射を行ってこれを硬化することによって形成する(光硬化性樹脂の硬化層4の形成)。そしてこの第2の微細凹凸にAl蒸着膜等による反射膜6を形成して第2記録面3を形成する。この第2記録面3上に、光硬化性樹脂等よりなる保護膜7が形成される。
【0009】
そして、第1記録面2及び第2記録面3にそれぞれレーザ光8を照射して凹凸による信号が読みとられる。
【0010】
さらに、非特許文献1(OPTRONICS (2004) No.12、73〜77頁)には、ブル−レイ・ディスクの高容量ディスクとして4層ディスクが紹介され、上記塗布型光硬化性樹脂の代わりにフォトポリマーシートを用いることが提案されている。ブル−レイ・ディスクでは、対物レンズのNAが大きいためカバー層、記録面間を形成する中間層(上記光硬化性樹脂の硬化層4(前記第1記録面2と第2記録面3の間の層)に相当)の高度な厚み精度が要求される。ここでは、フォトポリマーシートを用いることにより記録面間を形成する層(中間層)を薄く、厚み精度数μm以下にすることができるとしている。さらに、4層等の多層においては、中間層の厚さを小さくした場合、隣接する記録面の信号の漏れ込み(相関クロストーク)によるジッターの劣化が発生し易くなる。例えば、第1記録面のピットに集光したレーザ光は、第2記録面でも反射し、第3記録面の反射層の裏側でも集光する場合があり、このレーザ光と前記第1記録面のピットに集光したレーザ光が重なって光学的な干渉が発生する。これを解決するために隣接する中間層の厚みを相互に異なるようにしている。
【0011】
【非特許文献1】OPTRONICS (2004) No.12、73〜77頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
多層(多重記録)の光ディスク(DVD)の場合、再生時に集光されたレーザ光は、読みとるべき記録面だけでなく、上記のように他の記録面でも反射が起こるため、読み取り信号に無関係な反射光も入ることになることから、信号の読み誤りが発生し易くなる。上記のように記録面間の中間層の厚さを相互に変えることにより改善することができるが、多層の場合、ディスク全体的の厚さを小さくするために個々の中間層の厚さをさらに小さくする必要がある。しかしながら、前記中間層の層厚の低減には限界があり、まだ充分とは言えない。
【0013】
従って、本発明は、高容量にも拘わらず、ディスクの厚さが薄く、そして再生時の読み誤りがほとんど無い光情報記録媒体を提供することをその目的とする。
【0014】
また本発明は、高容量にも拘わらず、ディスクの厚さが薄く、そしてクロストークの発生もほとんど無く、再生時の読み誤りのほとんど無い光情報記録媒体、特に多層型光情報記録媒体を提供することをその目的とする。
【0015】
さらに本発明は、上記光情報記録媒体の製造に有利な光硬化性転写シートを提供することをその目的とする。
【0016】
さらにまた、上記光硬化性転写シートを用いて光情報記録媒体の製造する方法を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、
加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる光硬化性転写層を有する光硬化性転写シートであって、
光硬化性転写層の屈折率が1.60以上であることを特徴とする光硬化性転写シートによって達成される。
【0018】
本発明の光硬化性転写シートの好ましい態様を下記に列記する。
(1)光硬化性組成物が、分子構造中にイオウ原子を有するポリマー及び光重合性官能基を有する反応性希釈剤を含む。高い屈折率を得るのに有利である。
(2)上記イオウ原子を有するポリマーがアクリル樹脂である。屈折率を高くすることができ、且つピット等の転写性に優れている。
(3)上記アクリル樹脂が、イオウ原子と芳香族環を含む(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレートモノマーの重合体又は共重合体である。屈折率を高くすることができ、且つピット等の転写性に優れている。
(4)上記アクリル樹脂が、イオウ原子と芳香族環を含む(メタ)アクリレートとヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとの共重合体である。屈折率を高くすることができ、且つピット等の転写性、ピット形状の維持等の制御が容易である。
(5)光重合性官能基を有する反応性希釈剤が、イオウ原子を有する(メタ)アクリレートを含む。屈折率を高くすることができ、且つピット等の転写性等の制御が容易である。
(6)さらにポリイソシアネート(ジイソシアネートが好ましい)を含む。後架橋が可能となり、転写前のフィルムの形状保持性が向上する。
(7)光硬化性組成物が、光重合開始剤を0.1〜10質量%含む。
(8)380〜420nmの波長領域の光透過率が70%以上である。
(9)380〜800nmの波長領域の光透過率が70%以上である。
(10)光硬化性転写層の層厚が10〜30μmである。
(11)屈折率が1.60〜1.70の範囲である。
(12)光硬化性転写層の一方又は両方の表面に、剥離シートが設けられている。
(13)光硬化性転写シートが長尺状であり、かつ光硬化性転写層と剥離シートの幅が略同一である。
【0019】
また本発明は、
表面に記録ピットおよび/又はグルーブとしての凹凸を有し、さらにその凹凸表面に形成された反射層を有する光情報記録基板の該反射層上に、その凹凸に沿って上記の光硬化性転写シートの硬化層が設けられていることを特徴とする光情報記録媒体;
表面に記録ピットおよび/又はグルーブとしての凹凸を有し、さらにその凹凸表面に形成された反射層を有する光情報記録基板の該反射層上に、表面に記録ピットおよび/又はグルーブとしての凹凸を有し、さらにその凹凸表面に形成された反射層を有する中間樹脂層が、その中間樹脂層の凹凸を持たない表面を基板表面の反射層に対向させて、基板表面の反射層上に、その凹凸に沿って設けられてなる光情報記録媒体であって、
中間樹脂層が、上記の光硬化性転写シートの硬化層であることを特徴とする光情報記録媒体;及び
表面に記録ピットおよび/又はグルーブとしての凹凸を有し、さらにその凹凸表面に形成された反射層を有する光情報記録基板の該反射層上に、表面に記録ピットおよび/又はグルーブとしての凹凸を有し、さらにその凹凸表面に形成された反射層を有する中間樹脂層が、その中間樹脂層の凹凸を持たない表面を基板表面の反射層に対向させて、基板表面の反射層上に、その凹凸に沿って設けられ、さらに凹凸表面及び反射層を有する1層以上の別の中間樹脂層が、中間樹脂層の凹凸を持たない表面をすでに設けられた中間樹脂層の反射層に対向させて、すでに設けられた中間樹脂層の反射層上に、その凹凸に沿って設けられてなる光情報記録媒体であって、
中間樹脂層が、上記の光硬化性転写シートの硬化層であり、且つこれらの中間樹脂層の屈折率が相互に異なっていることを特徴とする光情報記録媒体;にもある。
【0020】
上記記録ピットおよび/又はグルーブは、一般に記録済みディスクでは、データ情報の記録がなされたピットであり、記録用ディスクでは、アドレス等用のプレピット、トラッキング用等のプリグルーブである。
【0021】
本発明の光情報記録媒体の好ましい態様を下記に列記する。
(1)中間樹脂層の層厚が相互に異なっている
(2)最上層の中間樹脂層の反射層上に保護層が設けられている。
(3)隣接する中間樹脂層の層厚の差が1μm以上(特に1〜4μm)である。
(4)硬化後の光硬化性転写層の屈折率が1.60以上である
【0022】
上記本発明の光情報記録媒体は、下記の製造方法:
即ち、
下記の工程(2)〜(4):
(2)請求項13又は14に記載の光硬化性転写シートが両面に剥離シートを有する場合、その一方の剥離シートを除去する工程;
(3)表面に記録ピット及び/又はグルーブとしての凹凸を有し、さらに該凹凸表面の凹凸に沿って反射層が設けられた基板の該反射層上に、該光硬化性転写シートの光硬化性転写層の表面が該反射層の凹凸表面に接触するように裁置し、これらを押圧して該光硬化性転写シートの表面が該反射層の凹凸表面に沿って密着された積層体を形成する工程;及び
(4)該積層体からもう一方の剥離シートを除去する工程、
を含むことを特徴とする光情報記録媒体の製造方法により有利に得ることができる。
【0023】
本発明の製造方法の好ましい態様を下記(i)〜(v)に列記する。
(i)前記工程(2)の前に、
(1)光硬化性転写シートを円盤状に打ち抜く工程;又は
(1)光硬化性転写シートの光硬化性転写層と一方の剥離シートを円盤状に打ち抜き、もう一方の剥離シートをそのまま残す工程;
を行う。
(ii) 前記工程(4)を行った後、さらに
(5)該積層体の剥離シートが除去された光硬化性転写層の表面に、記録ピット及び/又はグルーブとしての凹凸を有するスタンパの該凹凸表面を裁置し、これらを押圧して該光硬化性転写シートの表面が該凹凸表面に沿って密着した積層体を形成する工程;
(6)該スタンパを有する積層体の光硬化性転写層を紫外線照射により硬化させ、次いでスタンパを除去することにより、光硬化性転写層の表面に凹凸を設ける工程;
を行う。
(iii) 前記(5)〜(6)の工程を行った後、さらに
(7)光硬化性転写層の凹凸表面に反射層を設ける工程;
を行う。
(iv) 前記の工程(7)を行った後、さらに、
(8)反射層上に、すでに硬化された光硬化性転写層の層厚とは異なる層厚の光硬化性転写層を有する光硬化性転写シートの該光硬化性転写層の表面が該反射層の凹凸表面に接触するように裁置し、これらを押圧して該光硬化性転写シートの表面が該反射層の凹凸表面に沿って密着された積層体を形成する工程;
(9)該積層体からもう一方の剥離シートを除去する工程;
(10)該積層体の剥離シートが除去された光硬化性転写層の表面に、記録ピット及び/又はグルーブとしての凹凸を有するスタンパの該凹凸表面を裁置し、これらを押圧して該光硬化性転写シートの表面が該凹凸表面に沿って密着した積層体を形成する工程;
(11)該スタンパを有する積層体の光硬化性転写層を紫外線照射により硬化させ、次いでスタンパを除去することにより、光硬化性転写層の表面に凹凸を設ける工程;
(12)光硬化性転写層の凹凸表面に反射層を設ける工程;
の工程(7)〜(12)を少なくとも1回行う。
(v)硬化後の光硬化性転写層の屈折率が1.60以上である。
【発明の効果】
【0024】
本発明の光硬化性転写シートは、転写層は屈折率が高いことから光路長(屈折率×層厚)が大きくなるので、光情報記録媒体のピット等の記録面を覆うカバー層、ピット等の記録面とピット等の記録面間の中間樹脂層(中間層)の厚さを小さくすることができ、これにより薄い厚さで、高容量の光情報記録媒体を容易に得ることができる。本発明の光硬化性転写シートを用いて得られる本発明の多層型光情報記録媒体は、特に、中間樹脂層(中間層)の層厚を隣接する層同士で変更することにより、その厚さが小さいにも拘わらず、クロストークの発生がほとんど無いためジッターが小さく、これによりレーザ光による信号の読み誤りがほとんど発生しない。
【0025】
また、本発明の光硬化性転写シートは、スタンパ或いは基板上の凹凸形状が容易に転写でき、その後の硬化が高速で行うことができ、且つその硬化後の転写形状を長期に亘り良好に維持することができるものである。従って、本発明の光硬化性転写シートを用いることにより、読み取りエラーが少なく、精度が高く、耐久性に優れた光情報記録媒体を高速で製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明で使用される光硬化性転写シート10の実施形態の一例を示す断面図である。光硬化性転写層11は、両面に剥離シート12a,12bを有する。剥離シートは一方のみでも、無くても良い。使い方により適宜設定される。
【0028】
光硬化性転写層11は、スタンパの凹凸表面を押圧することにより精確に転写できるように、加圧により変形し易い層であるとともに、本発明では、さらに屈折率が1.60以上(好ましくは1.60〜1.70の範囲)を有する層である。光硬化性転写層11は、光硬化性組成物から構成されており、光硬化性組成物は、主成分として分子構造中にイオウ原子を有するポリマー及び光重合性官能基を有する反応性希釈剤を含んでいることが好ましい。このようなイオウ原子を有するポリマーを用いることにより、高い屈折率の層を容易に得ることができる。例えば、従来の屈折率1.43程度の転写層(中間樹脂層)に比較して、10%以上層厚を小さくすることができる。イオウ原子を有するポリマーはアクリル樹脂、特にイオウ原子と芳香族環を含む(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレートモノマーの重合体又は共重合体であることが好ましい。これにより、屈折率を有利に高くすることができ、中間樹脂層を薄くするのに特に有利である。
【0029】
本発明の光硬化性転写シートは、転写層は屈折率が高いことから光路長(屈折率×層厚)を大きくなるので、光情報記録媒体のピット等の記録面を覆うカバー層、ピット等の記録面とピット等の記録面間の中間樹脂層(中間層)の厚さを小さくすることができ、これにより薄い厚さで、高容量の光情報記録媒体を容易に得ることができる。本発明の光硬化性転写シートを用いて得られる本発明の多層型光情報記録媒体は、特に、中間樹脂層(中間層)の層厚を隣接する層同士で変更することにより、その厚さが小さいにも拘わらず、クロストークの発生がほとんど無いためジッターが小さく、これによりレーザ光による信号の読み誤りがほとんど発生しないとの利点が得られる。
【0030】
上記ポリマーとしては、光重合性官能基を有することが、反応性希釈剤と反応が可能となり硬化の高速化に有利である。またヒドロキシル基を有することにより、転写層11にジイソシアネートを含ませることで、ポリマーを僅かに架橋させることが可能となり、転写層のしみ出し、層厚変動が大きく抑えられた層とするのに特に有利である。またヒドロキシル基は接着性にも優れていると考えられる。ジイソシアネートは、ヒドロキシル基の無いポリマーでもある程度有効である。
【0031】
上記光硬化性転写シートは、情報の高密度化のため、再生レーザにより読み取りが容易なように380〜420nmの波長領域の光透過率が70%以上であることが好ましい。特に、380〜420nmの波長領域の光透過率が80%以上であることが好ましい。従って、この転写シート用いて作製される本発明の光情報記録媒体は380〜420nmの波長のレーザを用いてピット信号を再生する方法に有利に使用することができる。
【0032】
上記光硬化性転写シート10を用いて、本発明の光情報記録媒体を、例えば下記の図2に示すように製造することができる。
【0033】
光硬化性転写シート10は、先ず円盤状に打ち抜かれる。この際、光硬化性転写層11と両面の剥離シート12a,12b全てを打ち抜く場合(一般にフルエッジの場合)と、光硬化性転写層11と一方の剥離シート12bを円盤状に打ち抜き、もう一方の剥離シート12aをそのまま残す場合(一般にドライエッジの場合)があり、適宜選択して行われる(1)。このように予めの打ち抜き作業は、本発明の光硬化性転写シートを用いることにより、転写層のしみ出し、はみ出し無く、作業性良く行うことができる。
【0034】
次いで、光硬化性転写シート10から剥離シート12aを除去し、剥離シート12b付き光硬化性転写シート10を用意する(2)。表面に記録ピットとしての凹凸を有する基板21の該凹凸表面の高反射率反射層23a(一般にAlの反射層又はAgX等の厚さの大きい反射層)上に、剥離シートの無い側を対向させて光硬化性転写シート10を押圧する(3)。これにより光硬化性転写シートの表面が該凹凸表面に沿って密着された積層体(11,23a,21からなる)を形成する。この構成で光情報記録媒体として使用する場合は、光硬化性転写シート11を紫外線照射により硬化させ、剥離シート12bを除去する(4)。
【0035】
次いで、表面に記録ピットとしての凹凸を有するスタンパ24を、積層体から剥離シート12bを除去して未硬化状態の光硬化性転写層11の表面(基板と接触していない側の表面)に押圧する(5)。光硬化性転写層11の表面がスタンパ24の凹凸表面に沿って密着した積層体(21,23,11,24からなる)を形成し、そして積層体の光硬化性転写シートを紫外線照射(一般に300mJ/cm2以上)により硬化させた(6)のちスタンパ24を除去することにより、硬化シートの表面に記録ピット等の凹凸を設ける。これにより、基板21、反射層23a及び硬化した光硬化性転写シートである中間樹脂層11aから成る積層体(光情報記録媒体)を得る。通常、この凹凸上(中間樹脂層11aの表面)に、反射層(一般にAgX等の比較的厚さの小さい低反射率の反射層)23bを設け(7)、さらにその上に有機ポリマーフィルム(カバー層)26を接着剤層を介して貼付する(8)。これにより図3に示す光情報記録媒体を得る。カバー層の代わりに、記録ピットを有する硬化シートの表面の反射層上に、さらに光硬化性転写シートを押圧し、紫外線照射(一般に300mJ/cm2以上)により硬化させても良い。或いは、硬化シートの表面の反射層上に紫外線硬化性樹脂を塗布、硬化させても良い。半透明反射層は、通常のAl等の反射層でも良い(両面読み出し用)。また高反射率反射層23を低反射率反射層、低反射率反射層25を高反射率反射層としても良い。さらにスタンパは、凹凸を有する基板であっても良い。
【0036】
また、(7)の工程で高反射層の代わりに半透明反射層を設け、同様に(2)〜(7)の工程を繰り返すことにより、記録ピットを三層以上形成することもできる。
【0037】
例えば、図4に示すように、以下のようにして記録面が4層の光情報記録媒体が得られる。即ち、(7)の工程で得られた、表面に凹凸を有する基板21、反射層23a及び硬化した光硬化性転写層の中間樹脂層11a及びこの凹凸上(硬化シートの表面)に設けられた反射層(一般に前の反射層23aより反射率の低い反射層)23bからなる積層体の反射層23b上に、前記と層厚が異なる光硬化性転写層を有する別の光硬化性転写シート10を押圧し、その表面にスタンパを押圧、硬化させ、スタンパ除去して表面に凹凸を有する中間樹脂層11bを形成し、次いでその凹凸表面に反射層23c(前の反射層23bより反射率の低い反射層)を形成し、さらに同様にその上に前の転写層と層厚が異なる光硬化性転写層を有する別の光硬化性転写シート10の押圧、硬化させ、スタンパ除去して表面に凹凸を有する中間樹脂層11cを形成し、そしてその凹凸表面に反射層23d(前の反射層23cより反射率の低い反射層)の形成を行って記録面が4層の光情報記録媒体が得られる。反射層23d上には、一般に、前記と同様有機ポリマーフィルム(カバー層)46等が貼付される。上記の別の光硬化性転写シート10の転写層の層厚は、異なっていなくても良いが、読み取りエラーの発生は充分に抑えられない場合がある。
【0038】
本発明では、図3に示す、2層型光情報記録媒体の光硬化性転写層11及びその硬化層である中間樹脂層11aの屈折率が共に1.60以上であり、このため光路長(屈折率×層厚)を大きくなるので、この中間層である中間樹脂層の厚さを低減することができる。同様に、図4に示す、4層型光情報記録媒体の光硬化性転写層11及びその硬化層である中間樹脂層11a、11b、11cの屈折率が全て1.60以上であり、このため光路長(屈折率×層厚)を大きくすることができることから、この中間樹脂層の厚さを低減することができる。また4層型光情報記録媒体(3層型以上は同様)では、中間樹脂層11a、11b、11cの層厚を相互に異なるように設定することにより、クロストークの発生が低減又は無くなることから、ジッターを低く抑えることができ、レーザ光による信号(ピット)の読み誤りがほとんどなくすことが可能である。複数の中間樹脂層の層厚は隣接する層同士に少なくとも1μm以上(特に1〜4μm)異なることが好ましい。
【0039】
尚、図2〜図4に示した上記方法においては、再生専用の光情報記録媒体について説明したが、記録可能な光情報記録媒体についても同様に行うことができる。記録可能媒体の場合、一般にグルーブ或いはグルーブ及びピットを有しており、この場合反射層及び半透明反射層の代わりに金属記録層(色素記録層の場合や金属記録層の反射率が低い場合は、記録層及び反射層)が一般に設けられる。それ以外は上記と同様に光情報記録媒体を製造することができる。
【0040】
本発明では、記録ピット及び/又はグルーブである凹凸形状を、光硬化性転写層11と基板21とを100℃以下の比較的低い温度(好ましくは常温)で押圧する(好ましくは減圧下)ことにより精確に転写されるように光硬化性転写シートが設計されている。基板21と、光硬化性転写層11との重ね合わせは、一般に圧着ロールや簡易プレスで行われる(好ましくは減圧下)。また、光硬化性転写層11の硬化後の層は、基板21の表面の反射層に用いられる金属との接着力が良好で剥離することはない。必要により反射層上に接着促進層を設けても良い。
【0041】
また本発明では、記録ピット及び/又はグルーブである凹凸形状を、光硬化性転写層11とスタンパ24とを100℃以下の低温(好ましくは常温)で押圧する(好ましくは減圧下)ことにより精確に転写されるように光硬化性転写シートが設計されている。スタンパ24と、光硬化性転写シート11との重ね合わせは、一般に圧着ロールや簡易プレスで行われる(好ましくは減圧下)。また、光硬化性転写層11の硬化後の層は、スタンパに用いられるニッケルなどの金属との接着力が極めて弱く、光硬化性転写シートをスタンパから容易に剥離することができる。
【0042】
基板21は、一般に厚板(通常0.3〜1.5mm、特に1.1mm程度)であるので、従来の射出成形法で作製することが一般的である。しかし光硬化性転写シートとスタンパを用いて製造しても良い。本発明の光硬化性転写シートは300μm以下(好ましくは150μm以下)に薄くすることができるので、もう一方の基板を従来法で作製し、基板の厚さを大きくすることができるのでピット形状の転写精度を上げることができる。
【0043】
上記工程において、光硬化性転写層を基板に押圧する際、或いはスタンパを光硬化性転写層に押圧する際に、減圧下に押圧を行うことが好ましい。これにより、気泡の除去等が円滑に行われる。
【0044】
上記減圧下の押圧は、例えば、減圧下に2個のロール間に、光硬化性転写シートとスタンパを通過させる方法、あるいは真空成形機を用い、スタンパを型内に裁置し、減圧しながら光硬化性転写シートをスタンパに圧着させる方法を挙げることができる。
【0045】
また、二重真空室方式の装置を用いて減圧下の押圧を行うことができる。図5を参照しながら説明する。図5には二重真空室方式のラミネータの一例が示されている。ラミネータは下室54、上室52、シリコーンゴムシート53、ヒータ55を備えている。ラミネータ内の下室54に、凹凸を有する基板と光硬化性転写シートとの積層体59、又は基板と光硬化性転写シートとスタンパとの積層体59を置く。上室52及び下室54共に排気する(減圧する)。積層体59をヒータ55で加熱し、その後、下室54を排気したまま上室52を大気圧に戻し、積層体を圧着する。冷却して積層体を取り出し、次工程に移す。これにより排気時に脱泡が十分に行われ、気泡の無い状態で、スタンパ又は基板と光硬化性転写シートとを圧着することができる。
【0046】
本発明で使用される光硬化性転写シートの光硬化性転写層11は、一般にポリマー及び光重合性官能基を有する反応性希釈剤(重合性モノマー、オリゴマー)を主成分とする光硬化性組成物からなるものである。本発明の光硬化性転写層11は硬化前及び後において屈折率が1.60以上(好ましくは1.60〜1.70の範囲)を有する層である。このような光硬化性転写層11を得るためには、上記ポリマーとして分子構造中にイオウ原子を有するポリマー及び/又はイオウ原子を含む(メタ)アクリレートモノマーを使用することが好ましい。
【0047】
本発明の上記光硬化性組成物は、一般にポリマー(好ましくは、硫黄原子を含むポリマー)、光重合性官能基(一般に炭素炭素2重結合、好ましくは(メタ)アクリロイル基)を有する反応性希釈剤(モノマー及びオリゴマー;特にイオウ原子を含む(メタ)アクリレートモノマー)、光重合性開始剤及び、所望により他の添加剤から構成される。
【0048】
本発明で好適なイオウ原子を含むポリマーとしては、イオウ原子を有するアクリル樹脂、特にイオウ原子と芳香族環を含む(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレートモノマーの重合体又は共重合体であることが好ましい。イオウ原子と芳香族環を含む(メタ)アクリレートとしては、フェニルチオール(メタ)アクリレート、ナフチオール(メタ)アクリレート、4−クロロフェニルチオール(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等を挙げることができ、好ましい。なお、フェニルチオールアクリレート重合体の屈折率は1.64、ナフチオール(メタ)アクリレート重合体は1.68、4−クロロフェニルチオールアクリレート重合体は1.67である。また、4−アクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル重合体の屈折率は1.70、4−アクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル(70質量%)とスチレン(30質量%)の共重合体の屈折率は1.66、そして4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル重合体の屈折率は1.69、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル(70質量%)とスチレン(30質量%)の共重合体の屈折率は1.66である。
【0049】
イオウ原子と芳香族環を含む(メタ)アクリレートと他のモノマーの共重合体の場合、それぞれの繰り返し単位の質量比は、90:10〜50:50、特に80:20〜60:40が好ましい。
【0050】
上記の他のモノマーの例としては、メチル(メタ)アクリレート((メタ)アクリレートとはアクリレート及びメタクリレートを示す。以下同様)、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルコール残基が炭素原子数2〜10個(特に3〜5個)のアルキルの(メタ)アクリル酸エステル;エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、2−メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート;ピレノキシド付加物(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートスチレン等のアルコール残基がヒドロキシル基を有する炭素原子数2〜4個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステル;スチレン等のビニル芳香族;酢酸ビニル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のビニル機を有する酸等を挙げることができる。
【0051】
イオウ原子を含むアクリル樹脂は、さらに重合性官能基又はヒドロキシル基を有するアクリル樹脂であることが好ましい。
【0052】
上記イオウ原子を含むポリマーと併用して(或いは単独で)使用することができるポリマーとしては、上記以外のアクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、ビニルアセテート/(メタ)アクリレート共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン及びその共重合体、ポリ塩化ビニル及びその共重合体、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、2−クロロブタジエン−1,3−ポリマー、塩素化ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン共重合体、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等を挙げることができる。
【0053】
本発明では、上記他のポリマーとしては、良好な転写性及び優れた硬化性の点から、アクリル樹脂が好ましい。アクリル樹脂は、重合性官能基を有するアクリル樹脂又はヒドロキシル基を有するアクリル樹脂であることが好ましい。
【0054】
上記重合性官能基を有するアクリル樹脂は、一般に重合性官能基を有するアクリル樹脂が、アルコール残基が炭素原子数1〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、グリシジル(メタ)アクリレートとの共重合体で、且つ該グリシジル基に重合性官能基を有するカルボン酸が反応したもの、或いは、アルコール残基が炭素原子数1〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、重合性官能基を有するカルボン酸との共重合体で、且つ該カルボン酸基にグリシジル(メタ)アクリレートが反応したものである。
【0055】
アルコール残基が炭素原子数1〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、グリシジル(メタ)アクリレート等との共重合体において、反応性希釈剤との適当な組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。アルコール残基が炭素原子数1〜10個(特に3〜5個)のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチルメタクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。またこのような(メタ)アクリル酸エステルは、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜30質量%、特に10〜30質量%含まれることが好ましい。グリシジル(メタ)アクリレート又は重合性官能基を有するカルボン酸は、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜25質量%、特に5〜20質量%含まれることが好ましい。得られた共重合体のグリシジル基又はカルボン酸基に、それぞれ重合性官能基を有するカルボン酸又はグリシジル(メタ)アクリレートを反応させる。
【0056】
前記イオウ原子を含むアクリル樹脂の場合も上記のようにして重合性官能基を同様に導入することができる。
【0057】
上記ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂は、一般にアルコール残基が炭素原子数1〜10個(特に1〜5個)のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種と、アルコール残基がヒドロキシル基を有する炭素原子数2〜4個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種との共重合体である。反応性希釈剤との適当な組合せにより、良好な転写性と優れた硬化性の両立が容易となる。アルコール残基が炭素原子数2〜10個(特に3〜5個)のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。またこのような(メタ)アクリル酸エステルは、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜30質量%、特に10〜30質量%含まれることが好ましい。アルコール残基がヒドロキシル基を有する炭素原子数2〜4個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートを挙げることができ、その繰り返し単位として、ポリマー中に、一般に5〜25質量%、特に5〜20質量%含まれることが好ましい。
【0058】
上記イオウ原子、或いはOH又は重合性官能基を有するアクリル樹脂を含み、本発明で用いることができるアクリル樹脂を構成する主成分として使用することができる(メタ)アクリル系モノマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸の各種エステルを挙げることができる。アクリル酸又はメタクリル酸の各種エステルの例として、メチル(メタ)アクリレート((メタ)アクリレートとはアクリレート及びメタクリレートを示す。以下同様)、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、2−メトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシ(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート、ピレノキシド付加物(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。さらに不飽和基を含有する芳香族化合物(例、スチレン)も使用しても良い。
【0059】
本発明では、前述のように、アクリル系モノマーの主成分としては、アルコール残基が炭素原子数1〜10個のアルキルの(メタ)アクリル酸エステルの少なくとも1種を使用することが好ましい。
【0060】
ヒドロキシル基を有するアクリル樹脂は、ヒドロキシル基を0.1〜10モル%、特に0.5〜5モル%含んでいることが好ましい。ジイソシアネートを併用することにより、転写層のしみ出しを防止する程度の適当な架橋が得られる易い。
【0061】
本発明のポリマーは、数平均分子量が10000以上、特に10000〜300000、そして重量平均分子量が10000で以上、特に100000〜300000であることが好ましい。
【0062】
さらに本発明では、イオウ原子を含むポリマー、或いは他のポリマーとして、ヒドロキシル基等の活性水素を有する官能基及び光重合性官能基の両方を有するポリマーも使用することができる。このような反応性ポリマーとしては、例えば、主として前記アクリル系モノマーから得られる単独重合体又は共重合体(即ちアクリル樹脂)で、且つ、主鎖又は側鎖に光重合性官能基及び活性水素を有する官能基を有するものである。従って、このような反応性ポリマーは、例えば、前記1種以上の(メタ)アクリレートと、ヒドロキシル基等の官能基を有する(メタ)アクリレート(例、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)とを共重合させ、得られた重合体とイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートなどの、重合体の官能基と反応し且つ光重合性基を有する化合物と反応させることにより得ることができる。その際、ヒドロキシル基が残るようにイソシアナトアルキル(メタ)アクリレートの量を調節して使用することにより、活性水素を有する官能基としてヒドロキシル基及び光重合性官能基を有するポリマーが得られる。
【0063】
或いは上記において、ヒドロキシル基の代わりにアミノ基を有する(メタ)アクリレート(例、2−アミノエチル(メタ)アクリレート)を用いることにより活性水素を有する官能基としてアミノ基を有する、光重合性官能基含有ポリマーを得ることができる。同様に、活性水素を有する官能基としてカルボキシル基等を有する、光重合性官能基含有ポリマーも得ることができる。
【0064】
本発明では、前記光重合性官能基をウレタン結合を介して有するアクリル樹脂も好ましい。
【0065】
上記光重合性官能基及び活性水素を有する官能基を有するポリマーは、光重合性官能基を一般に1〜50モル%、特に5〜30モル%含むことが好ましい。この光重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基が好ましく、特にアクリロイル基、メタクリロイル基が好ましい。
【0066】
本発明の光硬化性組成物中に添加され得るジイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4’−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2’,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを挙げることができる。またトリメチロールプロパンのTDI付加体等の3官能以上のイソシアネート化合物等のポリイソシアネートシアネートも使用することができる。これらの中でトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加体が好ましい。
【0067】
本発明のジイソシアネートは、光硬化性組成物中に0.2〜4質量%、特に0.2〜2質量%の範囲で含まれていることが好ましい。転写層のしみ出しを防止するために適当な架橋がもたらされると共に、基板やスタンパの凹凸の良好な転写性も維持される。上記化合物とポリマーとの反応は、転写層形成後、徐々に進行し、常温(一般に25℃)、24時間でかなり反応している。転写層形成用の塗布液を調製した後、塗布するまでの間にも反応は進行するものと考えられる。転写層を形成後、ロール状態で巻き取る前にある程度硬化させることが好ましいので、必要に応じて、転写層を形成時、或いはその後、ロール状態で巻き取る前の間に加熱して反応を促進させても良い。
【0068】
本発明の光硬化性組成物は、一般に、以上に示したポリマー(イオウ原子を有するポリマー、他のポリマー)、光重合性官能基(好ましくは(メタ)アクリロイル基)を有する反応性希釈剤(モノマー及びオリゴマー)、光重合性開始剤及び、所望により他の添加剤から構成される。
【0069】
本発明の光硬化性組成物の構成要件である光重合性官能基を有する反応性希釈剤としては、例えば、
フェニルチオール(メタ)アクリレート、ナフチオール(メタ)アクリレート、4−クロロフェニルチオール(メタ)アクリレート、4−(メタ)アクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等の分子中にイオウ原子及び芳香族環を有する(メタ)アクリレート;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエトキシ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンモノ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルカプロラクタム、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、o−フェニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジプロポキシジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス〔(メタ)アクリロキシエチル〕イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートモノマー類;
ポリオール化合物(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ジメチロールシクロヘキサン、ビスフェノールAポリエトキシジオール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオール類、前記ポリオール類とコハク酸、マレイン酸、イタコン酸、アジピン酸、水添ダイマー酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の多塩基酸又はこれらの酸無水物類との反応物であるポリエステルポリオール類、前記ポリオール類とε−カプロラクトンとの反応物であるポリカプロラクトンポリオール類、前記ポリオール類と前記、多塩基酸又はこれらの酸無水物類のε−カプロラクトンとの反応物、ポリカーボネートポリオール、ポリマーポリオール等)と有機ポリイソシアネート(例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジシクロペンタニルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4'−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2',4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等)と水酸基含有(メタ)アクリレート(例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン−1,4−ジメチロールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等)の反応物であるポリウレタン(メタ)アクリレート、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応物であるビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマー類等を挙げることができる。これら光重合可能な官能基を有する化合物は1種又は2種以上、混合して使用することができる。本発明では前述のように分子中にイオウ原子及び芳香族環を有する(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0070】
これらのなかで、分子量が1000以下、更に500以下、特に200〜400を有する化合物が好ましい。この反応性希釈剤の量は光硬化性組成物の総量に対して不揮発分で20〜80質量%、特に30〜70質量%、とりわけ40〜60質量%含むことが好ましい。またポリマーと反応性希釈剤との質量比が、100:40〜160が一般的で、100:60〜140、特に100:80〜120であることが好ましい。このように設定することにより、300mJの紫外線照射後のガラス転移温度を65℃以上とすることが容易となる。
【0071】
光重合開始剤としては、公知のどのような光重合開始剤でも使用することができるが、配合後の貯蔵安定性の良いものが望ましい。このような光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン系、ベンジルジメチルケタールなどのベンゾイン系、ベンゾフェノン系、イソプロピルチオキサントン、2−4−ジエチルチオキサントンなどのチオキサントン系、その他特殊なものとしては、メチルフェニルグリオキシレートなどが使用できる。特に好ましくは、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾフェノン等が挙げられる。これら光重合開始剤は、必要に応じて、4−ジメチルアミノ安息香酸のごとき安息香酸系又は、第3級アミン系などの公知慣用の光重合促進剤の1種または2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。また、光重合開始剤のみの1種または2種以上の混合で使用することができる。光硬化性組成物中に、光重合開始剤を一般に0.1〜20質量%、特に1〜10質量%含むことが好ましい。
【0072】
光重合開始剤のうち、アセトフェノン系重合開始剤としては、例えば、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−トリクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1など、ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどが使用できる。
【0073】
アセトフェノン系重合開始剤としては、特に、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルホリノプロパン−1が好ましい。ベンゾフェノン系重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチルが好ましい。また、第3級アミン系の光重合促進剤としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルなどが使用できる。特に好ましくは、光重合促進剤としては、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
【0074】
本発明の光硬化性転写層は、上記光重合性官能基を有する反応性希釈剤及び光重合開始剤に加えて、所望により下記の熱可塑性樹脂及び他の添加剤を添加することが好ましい。
【0075】
他の添加剤として、シランカップリング剤(接着促進剤)を添加することができる。このシランカップリング剤としてはビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどがあり、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。これらシランカップリング剤の添加量は、光硬化性組成物中に通常0.01〜5質量%で十分である。
【0076】
また同様に接着性を向上させる目的でエポキシ基含有化合物を添加することができる。エポキシ基含有化合物としては、トリグリシジルトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル;1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル;アクリルグリシジルエーテル;2−エチルヘキシルグリシジルエーテル;フェニルグリシジルエーテル;フェノールグリシジルエーテル;p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル;アジピン酸ジグリシジルエステル;o−フタル酸ジグリシジルエステル;グリシジルメタクリレート;ブチルグリシジルエーテル等が挙げられる。また、エポキシ基を含有した分子量が数百から数千のオリゴマーや重量平均分子量が数千から数十万のポリマーを添加することによっても同様の効果が得られる。これらエポキシ基含有化合物の添加量は光硬化性組成物中に通常0.1〜20質量%で十分で、上記エポキシ基含有化合物の少なくとも1種を単独で又は混合して添加することができる。
【0077】
さらに他の添加剤として、加工性や貼り合わせ等の加工性向上の目的で炭化水素樹脂を添加することができる。この場合、添加される炭化水素樹脂は天然樹脂系、合成樹脂系のいずれでも差支えない。天然樹脂系ではロジン、ロジン誘導体、テルペン系樹脂が好適に用いられる。ロジンではガム系樹脂、トール油系樹脂、ウッド系樹脂を用いることができる。ロジン誘導体としてはロジンをそれぞれ水素化、不均一化、重合、エステル化、金属塩化したものを用いることができる。テルペン系樹脂ではα−ピネン、β−ピネンなどのテルペン系樹脂のほか、テルペンフェノール樹脂を用いることができる。また、その他の天然樹脂としてダンマル、コーバル、シェラックを用いても差支えない。一方、合成樹脂系では石油系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン系樹脂が好適に用いられる。石油系樹脂では脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、共重合系石油樹脂、水素化石油樹脂、純モノマー系石油樹脂、クマロンインデン樹脂を用いることができる。フェノール系樹脂ではアルキルフェノール樹脂、変性フェノール樹脂を用いることができる。キシレン系樹脂ではキシレン樹脂、変性キシレン樹脂を用いることができる。
【0078】
上記炭化水素樹脂等のポリマーの添加量は適宜選択されるが、光硬化性組成物中に通常1〜20質量%が好ましく、より好ましくは5〜15質量%である。
【0079】
以上の添加剤の他、本発明の光硬化性組成物は紫外線吸収剤、老化防止剤、染料、加工助剤等を少量含んでいてもよい。また、場合によってはシリカゲル、炭酸カルシウム、シリコーン共重合体の微粒子等の添加剤を少量含んでもよい。
【0080】
本発明の光硬化性組成物からなる光硬化性転写シートは、前記ポリマー、光重合性官能基を有する反応性希釈剤(モノマー及びオリゴマー)、所望によりジイソシアネートシアネート及び、所望により他の添加剤とを均一に混合し、押出機、ロール等で混練した後、カレンダー、ロール、Tダイ押出、インフレーション等の製膜法により所定の形状に製膜して用いることができる。支持体を用いる場合は、支持体上に製膜する必要がある。より好ましい本発明の光硬化性接着剤の製膜方法は、各構成成分を良溶媒に均一に混合溶解し、この溶液をシリコーンやフッ素樹脂を精密にコートしたセパレーターにフローコート法、ロールコート法、グラビアロール法、マイヤバー法、リップダイコート法等により支持体上に塗工し、溶媒を乾燥することにより製膜する方法である。
【0081】
また、光硬化性転写シートの厚さは1〜1200μm、さらに5〜500μmとすることが好ましい。特に多層型光情報記録媒体を作製する場合は、5〜30μm、特に5〜20μmが好ましい。1μmより薄いと封止性が劣り、透明樹脂基板の凸凹を埋め切れない場合が生じる。一方、1200μmより厚いと記録媒体の厚みが増し、記録媒体の収納、アッセンブリー等に問題が生じるおそれがあり、更に光線透過に影響を与えるおそれもある。
【0082】
上記光硬化性転写シートの両側には剥離シートが貼り付けられていることが好ましい。
【0083】
剥離シートの材料としては、ガラス転移温度が50℃以上の透明の有機樹脂が好ましく、このような材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の有機樹脂を主成分とする透明樹脂基板を用いることができる。これら中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートが好適に用いることができる。厚さは10〜200μmが好ましく、特に30〜100μmが好ましい。
【0084】
表面に凹凸を有する基板21の材料としてはとしては、ガラス転移温度が50℃以上の透明の有機樹脂が好ましく、このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の有機樹脂を主成分とする透明樹脂基板を用いることができる。これら中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートが転写性、複屈折の点で優れており、好適に用いることができる。厚さは200〜2000μmが好ましく、特に500〜1500μmが好ましい。
【0085】
有機ポリマーフィルムの材料26としては、ガラス転移温度が50℃以上の透明の有機樹脂が好ましく、このような支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリシクロヘキシレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ナイロン46、変性ナイロン6T、ナイロンMXD6、ポリフタルアミド等のポリアミド系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリチオエーテルサルフォン等のケトン系樹脂、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン等のサルフォン系樹脂の他に、ポリエーテルニトリル、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、トリアセチルセルロース、ポリスチレン、ポリビニルクロライド等の有機樹脂を主成分とする透明樹脂基板を用いることができる。これら中で、ポリカーボネート、ポリメチルメタアクリレート、ポリビニルクロライド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレートが転写性、複屈折の点で優れており、好適に用いることができる。厚さは10〜200μmが好ましく、特に50〜100μmが好ましい。
【0086】
こうして得られる本発明に光硬化性転写シートは、さらに光硬化性転写層の380〜420nmの波長領域の光透過率が70%以上であることが好ましい。
【0087】
光硬化性転写シートは380〜420nm(好ましくは380〜800nm)の波長領域の光透過率が70%以上であり、これはレーザによる読み取り信号の強度低下を防止するためである。さらに380〜420nmの波長領域の光透過率が80%以上であることが好ましい。
【0088】
本発明に光硬化性転写シートは、膜厚精度を精密に制御したフィルム状で提供することができるため、基板及びスタンパとの貼り合わせを容易にかつ精度良くおこなうことが可能である。また、この貼り合わせは、圧着ロールや簡易プレスなどの簡便な方法で20〜100℃で仮圧着した後、光により常温、1〜数十秒で硬化できる上、本接着剤特有の自着力によりその積層体にズレや剥離が起き難いため、光硬化まで自由にハンドリングができるという特徴を有している。
【0089】
本発明の光硬化性転写シートを硬化する場合は、光源として紫外〜可視領域に発光する多くのものが採用でき、例えば超高圧、高圧、低圧水銀灯、ケミカルランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、マーキュリーハロゲンランプ、カーボンアーク灯、白熱灯、レーザ光等が挙げられる。照射時間は、ランプの種類、光源の強さによって一概には決められないが、0.1秒〜数十秒程度、好ましくは0.5〜数秒である。紫外線照射量は、300mJ/cm2以上が好ましい。
【0090】
また、硬化促進のために、予め積層体を30〜80℃に加温し、これに紫外線を照射してもよい。
【0091】
得られた本発明の基板の凹凸表面の反射層は、基板に反射層を金属蒸着(例えばスパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティング等)することにより形成する。金属としては、アルミニウム、金、銀、これらの合金(好ましくは銀合金)等を挙げることができる。硬化シート上の半透明反射層は、金属として銀等を用いて形成される。即ち、上記反射層より低い反射率の反射層にする必要があり、成分、膜厚等が変更される。
【0092】
硬化シートの反射層上に有機ポリマーフィルムを貼り付ける場合、一方に接着剤を塗布し、その上に他方を重ね、硬化させる。接着剤がUV硬化性樹脂の場合はUV照射により、ホットメルト接着剤の場合は、加熱下に塗布し、冷却することにより得られる。
本発明の光情報記録媒体の製造は、通常、上記のように円盤状で処理されるが、シート状で連続的に作成し、最後に円盤状にしてもよい。
【0093】
以下に実施例を示し、本発明についてさらに詳述する。
【実施例】
【0094】
[実施例1]
<光硬化性転写シートの作製>
(イオウ原子を有するポリマー1の作製)
ポリマー配合1
フェニルチオールアクリレート 91.9質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 8.1質量部
AIBN 5質量部
トルエン 30質量部
酢酸エチル 70質量部
【0095】
上記の配合の混合物を、穏やかに撹拌しながら、70℃に加熱して重合を開始させ、この温度で8時間撹拌し、側鎖にイオウ原子(及びヒドロキシル基)を有するポリマー1(アクリル樹脂)を得た。固形分を50質量%に調製した(ポリマー溶液1)。
【0096】
得られたポリマー1は、屈折率は1.63であり、Tgが80℃であり、重量平均分子量が20000であった。
【0097】
組成物配合1
イオウ原子を有するポリマー溶液1(50質量%) 100質量部
フェニルチオールアクリレート 40質量部
ジイソシアネート(BXX5627、東洋インキ製造(株)製) 1質量部
イルガキュア651
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1質量部
ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ) 0.05質量部
【0098】
上記配合の混合物を均一に溶解、混練し、剥離シート(幅140mm、長さ300m、厚さ75μm;商品名No.23、藤森工業(株)製)上に、全面塗布し、乾燥厚さ25μmの光硬化性転写層を形成し、シートの反対側に上記と同一の剥離シートを貼付し、ロール状に巻き上げ、光硬化性転写シートのフルエッジタイプのロール(直径260mm)を得た。硬化後の光硬化性転写層の屈折率は1.63であった。
【0099】
[実施例2]
<光硬化性転写シートの作製>
(イオウ原子を有するポリマー2の作製)
ポリマー配合2
4−クロロフェニルチオールアクリレート 93.2質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 6.8質量部
AIBN 5質量部
トルエン 30質量部
酢酸エチル 70質量部
【0100】
上記の配合の混合物を、穏やかに撹拌しながら、70℃に加熱して重合を開始させ、この温度で8時間撹拌し、側鎖にイオウ原子(及びヒドロキシル基)を有するポリマー2(アクリル樹脂)を得た。固形分を50質量%に調製した(ポリマー溶液2)。
【0101】
得られたポリマー2は、屈折率が1.65であり、Tgが80℃であり、重量平均分子量が20000であった。
【0102】
組成物配合2
イオウ原子を有するポリマー溶液2(50質量%) 100質量部
フェニルチオールアクリレート 40質量部
ジイソシアネート(BXX5627、東洋インキ製造(株)製) 1質量部
イルガキュア651
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1質量部
ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ) 0.05質量部
【0103】
上記配合の混合物を均一に溶解、混練し、剥離シート(幅140mm、長さ300m、厚さ75μm;商品名No.23、藤森工業(株)製)上に、全面塗布し、乾燥厚さ25μmの光硬化性転写層を形成し、シートの反対側に上記と同一の剥離シートを貼付し、ロール状に巻き上げ、光硬化性転写シートのフルエッジタイプのロール(直径260mm)を得た。硬化後の光硬化性転写層の屈折率は1.64であった。
【0104】
[実施例3]
<光硬化性転写シートの作製>
(イオウ原子を有するポリマー3の作製)
ポリマー配合3
ナフチオールアクリレート 94.0質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 6.0質量部
AIBN 5質量部
トルエン 30質量部
酢酸エチル 70質量部
【0105】
上記の配合の混合物を、穏やかに撹拌しながら、70℃に加熱して重合を開始させ、この温度で8時間撹拌し、側鎖にイオウ原子(及びヒドロキシル基)を有するポリマー3(アクリル樹脂)を得た。固形分を50質量%に調製した(ポリマー溶液3)。
【0106】
得られたポリマー3は、屈折率が1.65であり、Tgが80℃であり、重量平均分子量が20000であった。
【0107】
組成物配合3
イオウ原子を有するポリマー溶液3(50質量%) 100質量部
フェニルチオールアクリレート 40質量部
ジイソシアネート(BXX5627、東洋インキ製造(株)製) 1質量部
イルガキュア651
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1質量部
ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ) 0.05質量部
【0108】
上記配合の混合物を均一に溶解、混練し、剥離シート(幅140mm、長さ300m、厚さ75μm;商品名No.23、藤森工業(株)製)上に、全面塗布し、乾燥厚さ25μmの光硬化性転写層を形成し、シートの反対側に上記と同一の剥離シートを貼付し、ロール状に巻き上げ、光硬化性転写シートのフルエッジタイプのロール(直径260mm)を得た。硬化後の光硬化性転写層の屈折率は1.65であった。
【0109】
[比較例1]
<光硬化性転写シートの作製>
(ポリマー4の作製)
ポリマー配合4
t−ブチルメタクリレート 81.0質量部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 19.0質量部
AIBN 5質量部
トルエン 30質量部
酢酸エチル 70質量部
【0110】
上記の配合の混合物を、穏やかに撹拌しながら、70℃に加熱して重合を開始させ、この温度で8時間撹拌し、側鎖にヒドロキシル基を有するポリマー4(アクリル樹脂)を得た。固形分を50質量%に調製した(ポリマー溶液4)。
【0111】
得られたポリマー4は、屈折率が1.42であり、Tgが80℃であり、重量平均分子量が20000であった。
【0112】
組成物配合4
ポリマー溶液4 100質量部
ヘキサンジオールジアクリレート
(KS−HDDA) 40質量部
ジイソシアネート(BXX5627、東洋インキ製造(株)製) 1質量部
イルガキュア651
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製) 1質量部
ヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ) 0.05質量部
【0113】
上記配合の混合物を均一に溶解、混練し、剥離シート(幅140mm、長さ300m、厚さ75μm;商品名No.23、藤森工業(株)製)上に、全面塗布し、乾燥厚さ25μmの光硬化性転写層を形成し、シートの反対側に上記と同一の剥離シートを貼付し、ロール状に巻き上げ、光硬化性転写シートのフルエッジタイプのロール(直径260mm)を得た。硬化後の光硬化性転写層の屈折率は1.43であった。
【0114】
(1)光硬化性転写シートの評価
(1−1)屈折率の測定
JIS−K−7142−1996に従い測定した。
(1−2)重量平均分子量の測定
上記実施例及び比較例で得られたポリマーの重量平均分子量をゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ(HLC−8220GPC;東リ(株)製)を用いて測定した。
(2)得られる光情報記録媒体の評価
光硬化性転写シートのロールを円盤状に打ち抜いた後、一方の剥離シートを除去し、得られた円盤状光硬化性転写シートを、射出成形により成形したピットとしての凹凸面を有するポリカーボネート基板(厚さ1.1mm)の凹凸面に設けられた銀合金の反射層(90nm)上に、転写シート面と反射層が接触するように配置し、シリコーンゴム製のローラを用いて2kgの荷重で光硬化性転写シートを押圧し、積層体を形成した(図2の(3)に対応)。
【0115】
積層体の光硬化性転写シートのもう一方の剥離シートを除去し、その除去された転写シート表面に、ピットとしての凹凸面を有するニッケル製のスタンパを、シート表面とスタンパの凹凸面とが接触するように配置して、シリコーンゴム製のローラを用いて2kgの荷重でスタンパを押圧し、積層体を形成し、スタンパの凹凸形状を転写シート表面に転写した。
【0116】
次に、光硬化性転写シート側から、メタルハライドランプ(600mW/cm)を用いて、銀合金の半透過反射層を介して、積算光量300mJ/cm2の条件でUV照射し(照射距離20cm、照射時間1.0秒)、転写シートを硬化させた厚さ15.8μmの第1の中間樹脂層(中間層)(図4の11a)を形成した。積層体からスタンパを剥離、除去し、硬化した光硬化性転写シートの凹凸面上に銀合金をスパッタリングすることにより銀合金反射層(70nm)を形成した。
【0117】
次いで、凹凸面に設けられた銀合金の上記銀合金反射層上に、前記と同様に光硬化性転写シートを押圧し、積層体を形成した。積層体の光硬化性転写シートのもう一方の剥離シートを除去し、その除去された転写シート表面に、前記と同様にスタンパを押圧し、積層体を形成し、スタンパの凹凸形状を転写シート表面に転写した。次に、光硬化性転写シート側から、前記と同様にUV照射し、転写シートを硬化させた厚さ17.5μmの第2の中間樹脂層(中間層)(図4の11b)を形成した。積層体からスタンパを剥離、除去し、硬化した光硬化性転写シートの凹凸面上に銀合金をスパッタリングすることにより、薄い銀合金反射層(50nm)を形成した。
【0118】
さらに、凹凸面に設けられた銀合金の上記銀合金反射層上に、前記と同様に光硬化性転写シートを押圧し、積層体を形成した。積層体の光硬化性転写シートのもう一方の剥離シートを除去し、その除去された転写シート表面に、前記と同様にスタンパを押圧し、積層体を形成し、スタンパの凹凸形状を転写シート表面に転写した。次に、光硬化性転写シート側から、前記と同様にUV照射し、転写シートを硬化させた厚さ14.0μmの第3の中間樹脂層(中間層)(図4の41c)を形成した。積層体からスタンパを剥離、除去し、硬化した光硬化性転写シートの凹凸面上に銀合金をスパッタリングすることにより、薄い銀合金反射層(30nm)を形成した。
【0119】
この上に接着剤を介してポリカーボネートフィルム(厚さ70μm;商品名ピュアエースC110−70、帝人(株)製)を貼り付けた。
【0120】
これにより4層の凹凸面を有する光情報記録媒体を得た。
【0121】
実施例1は、第1、第2及び第3の中間樹脂層の厚さを上記のようになるよう製造し、実施例2及び3及び比較例2もほぼ同程度の層厚となるように製造した。実施例1〜3及び比較例2は、上記のように製造し、比較例1は、第1及び第2の中間樹脂層のみを形成し、厚さを順に18μm、16μmに変更した。
【0122】
(2)光情報記録媒体の評価
(2−1)ガラス転移温度(Tg)の測定
(1−1)と同様にして得られたサンプルに、積算光量300mJ/cm2の条件でUV照射し、(1−1)と同様にしてTgを測定した。
【0123】
積算光量(300mJ/cm2)は、フュージョンUVシステムズジャパン(株)製UV Power Puck(UV−Aバンド測定)を用いて層表面で測定した。
【0124】
(2−2)ジッター
得られた光情報記録媒体の上記ピット信号のジッターを、タイムインターバルアナライザーTA723(横河電機(株)製)を用いて測定した。評価は下記のように行った。
【0125】
○:7.0%未満
×:7.0%以上。
【0126】
得られた試験結果を表1に示す。
【0127】
【表1】

【0128】
備考) Ref.:屈折率
L0:基板上記録面
L1:第1中間樹脂層記録面
L2:第2中間樹脂層記録面
L3:第3中間樹脂層記録面
【0129】
実施例1〜3で得られた光硬化性転写シートを用いた4層型光情報記録媒体は、中間樹脂層が薄いにも拘わらず、低いジッターを示した。従来の中間樹脂層を用いた4層型光情報記録媒体は実施例と同程度の小さい層厚では充分に低いジッターが得られなかった。一方、従来の中間樹脂層を用いても3層型光情報記録媒体では低いジッターが得られた。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】本発明に従う光硬化性転写シートの実施形態の一例を示す断面図である。
【図2】本発明に従う光情報記録媒体の製造方法の一例を示す断面図である。
【図3】本発明に従う光情報記録媒体の一例を示す断面図である。
【図4】本発明に従う多層型光情報記録媒体の一例を示す断面図である。
【図5】二重真空室方式の装置を用いた押圧法を説明するための該略図である。
【図6】従来の光情報記録媒体の断面図である。
【符号の説明】
【0131】
11 光硬化性転写層
11a、11a、11b、11c 光硬化性転写層の硬化層(中間樹脂層)
12a,12b 剥離シート
21 基板
23a、23b、23c 反射層
24 スタンパ
26 有機ポリマーフィルム(カバー層)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧により変形可能な光硬化性組成物からなる光硬化性転写層を有する光硬化性転写シートであって、
光硬化性組成物がポリマー及び光重合性官能基を有する反応性希釈剤を含み、且つ光硬化性転写層の屈折率が1.60以上であることを特徴とする光硬化性転写シート。
【請求項2】
ポリマーが、分子構造中にイオウ原子を有する請求項1に記載の光硬化性転写シート。
【請求項3】
ポリマーがアクリル樹脂である請求項1又は2に記載の光硬化性転写シート。
【請求項4】
アクリル樹脂が、イオウ原子と芳香族環を含む(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリレートモノマーの重合体又は共重合体である請求項3に記載の光硬化性転写シート。
【請求項5】
アクリル樹脂が、イオウ原子と芳香族環を含む(メタ)アクリレートとヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレートとの共重合体である請求項3又は4に記載の光硬化性転写シート。
【請求項6】
光重合性官能基を有する反応性希釈剤が、イオウ原子を有する(メタ)アクリレートを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の光硬化性転写シート。
【請求項7】
光硬化性組成物がさらにジイソシアネートを含む請求項1〜6のいずれか1項に記載の光硬化性転写シート。
【請求項8】
光硬化性組成物が、光重合開始剤を0.1〜10質量%含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の光硬化性転写シート。
【請求項9】
380〜420nmの波長領域の光透過率が70%以上である請求項1〜8のいずれか1項に記載の光硬化性転写シート。
【請求項10】
380〜800nmの波長領域の光透過率が70%以上である請求項1〜9のいずれかに記載の光硬化性転写シート。
【請求項11】
光硬化性転写層の厚さが5〜300μmである請求項1〜10のいずれか1項に記載の光硬化性転写シート。
【請求項12】
光硬化性転写層の層厚が10〜30μmである請求項1〜11のいずれか1項に記載の光硬化性転写シート。
【請求項13】
光硬化性転写層の一方又は両方の表面に、剥離シートが設けられている請求項1〜12のいずれか1項に記載の光硬化性転写シート。
【請求項14】
光硬化性転写シートが長尺状であり、かつ光硬化性転写層と剥離シートの幅が略同一である請求項13に記載の光硬化性転写シート。
【請求項15】
表面に記録ピットおよび/又はグルーブとしての凹凸を有し、さらにその凹凸表面に形成された反射層を有する光情報記録基板の該反射層上に、その凹凸に沿って請求項1〜14のいずれか1項に記載の光硬化性転写シートの光硬化性転写層の硬化層が設けられていることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項16】
表面に記録ピットおよび/又はグルーブとしての凹凸を有し、さらにその凹凸表面に形成された反射層を有する光情報記録基板の該反射層上に、表面に記録ピットおよび/又はグルーブとしての凹凸を有し、さらにその凹凸表面に形成された反射層を有する中間樹脂層が、その中間樹脂層の凹凸を持たない表面を基板表面の反射層に対向させて、基板表面の反射層上に、その凹凸に沿って設けられてなる光情報記録媒体であって、
中間樹脂層が、請求項1〜14のいずれか1項に記載の光硬化性転写シートの光硬化性転写層の硬化層であることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項17】
表面に記録ピットおよび/又はグルーブとしての凹凸を有し、さらにその凹凸表面に形成された反射層を有する光情報記録基板の該反射層上に、表面に記録ピットおよび/又はグルーブとしての凹凸を有し、さらにその凹凸表面に形成された反射層を有する中間樹脂層が、その中間樹脂層の凹凸を持たない表面を基板表面の反射層に対向させて、基板表面の反射層上に、その凹凸に沿って設けられ、さらに凹凸表面及び反射層を有する1層以上の別の中間樹脂層が、中間樹脂層の凹凸を持たない表面をすでに設けられた中間樹脂層の反射層に対向させて、すでに設けられた中間樹脂層の反射層上に、その凹凸に沿って設けられてなる光情報記録媒体であって、
中間樹脂層が、請求項1〜14のいずれか1項に記載の光硬化性転写シートの光硬化性転写層の硬化層であることを特徴とする光情報記録媒体。
【請求項18】
中間樹脂層の層厚が相互に異なっている請求項17に記載の光情報記録媒体。
【請求項19】
最上層の中間樹脂層の反射層上に保護層が設けられている請求項15〜18のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
【請求項20】
隣接する中間樹脂層の層厚の差が1μm以上である請求項17〜19のいずれか1項に記載の光情報記録媒体。
【請求項21】
中間樹脂層の屈折率が1.60以上である請求項16〜19のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法。
【請求項22】
下記の工程(2)〜(4):
(2)請求項13又は14に記載の光硬化性転写シートが両面に剥離シートを有する場合、その一方の剥離シートを除去する工程;
(3)表面に記録ピット及び/又はグルーブとしての凹凸を有し、さらに該凹凸表面の凹凸に沿って反射層が設けられた基板の該反射層上に、該光硬化性転写シートの光硬化性転写層の表面が該反射層の凹凸表面に接触するように裁置し、これらを押圧して該光硬化性転写シートの表面が該反射層の凹凸表面に沿って密着された積層体を形成する工程;及び
(4)該積層体からもう一方の剥離シートを除去する工程、
を含むことを特徴とする光情報記録媒体の製造方法。
【請求項23】
前記工程(2)の前に、
(1)光硬化性転写シートを円盤状に打ち抜く工程;又は
(1)光硬化性転写シートの光硬化性転写層と一方の剥離シートを円盤状に打ち抜き、もう一方の剥離シートをそのまま残す工程;
を行う請求項22に記載の光情報記録媒体の製造方法。
【請求項24】
前記工程(4)を行った後、さらに
(5)該積層体の剥離シートが除去された光硬化性転写層の表面に、記録ピット及び/又はグルーブとしての凹凸を有するスタンパの該凹凸表面を裁置し、これらを押圧して該光硬化性転写シートの表面が該凹凸表面に沿って密着した積層体を形成する工程;
(6)該スタンパを有する積層体の光硬化性転写層を紫外線照射により硬化させ、次いでスタンパを除去することにより、光硬化性転写層の表面に凹凸を設ける工程;
を行う請求項22又は23に記載の光情報記録媒体の製造方法。
【請求項25】
前記(5)〜(6)の工程を行った後、さらに
(7)光硬化性転写層の凹凸表面に反射層を設ける工程;
を行う請求項24に記載の光情報記録媒体の製造方法。
【請求項26】
工程(7)を行った後、さらに、
(8)反射層上に、すでに硬化された光硬化性転写層の層厚とは異なる層厚の光硬化性転写層を有する光硬化性転写シートの該光硬化性転写層の表面が該反射層の凹凸表面に接触するように裁置し、これらを押圧して該光硬化性転写シートの表面が該反射層の凹凸表面に沿って密着された積層体を形成する工程;
(9)該積層体からもう一方の剥離シートを除去する工程;
(10)該積層体の剥離シートが除去された光硬化性転写層の表面に、記録ピット及び/又はグルーブとしての凹凸を有するスタンパの該凹凸表面を裁置し、これらを押圧して該光硬化性転写シートの表面が該凹凸表面に沿って密着した積層体を形成する工程;
(11)該スタンパを有する積層体の光硬化性転写層を紫外線照射により硬化させ、次いでスタンパを除去することにより、光硬化性転写層の表面に凹凸を設ける工程;
(12)光硬化性転写層の凹凸表面に反射層を設ける工程;
の工程(7)〜(12)を少なくとも1回行う請求項25に記載の光情報記録媒体の製造方法。
【請求項27】
硬化後の光硬化性転写層の屈折率が1.60以上である請求項22〜26のいずれか1項に記載の光情報記録媒体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−9133(P2007−9133A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194849(P2005−194849)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】