説明

光走査装置、光書込装置、画像形成装置

【課題】潜在的コマ収差が大きく、外乱(光学素子の形状誤差・取り付け誤差)に対して不利な中間像高の波面収差を選択的に補正する光走査装置、光書込装置、及びその光走査装置と光書込装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】回折レンズ4の少なくとも1つはマルチステップ形状の回折面を備える入射光学系と、単一走査レンズを備える走査光学系と、を備える光走査装置において、単一走査レンズの場合には特に著しい中間像高のコマ収差を、温度変動時にのみ選択的に補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回折レンズと単一の走査レンズを適用した光走査装置、光書込装置、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光走査装置は従来から、光プリンタやデジタル複写機、光プロッタ等の画像形成装置に関連して広く知られている。近年、低価格化とともに、環境変動の影響を受け難く画質も良い高安定・高精細・高速な画像形成装置が求められている。また、画像形成装置の重要な構成部分である光走査装置及び光書込装置にも、画像形成装置と同様な要求がなされている。上記高安定・低価格化・部品点数低減を実現する方法として、回折レンズと単一の走査レンズの適用が提案されている。
【0003】
微細な形状を有する光学素子(回折光学素子・回折レンズ・位相シフタ・SWS(サブ波長格子)等)による技術が昨今の高精度加工技術の進歩に伴い、広く知られ、また様々な光学系において用いられている。光走査装置への回折光学素子(回折レンズ)の搭載は、少ない部品で高機能・多機能を実現できるため、光学特性の高精度化はもとより光走査装置の小型化にも大きな効果をもたらす。また、回折面の負分散特性を利用した温度補償機能は、光走査装置の温度変動に伴う光源波長の変化により光学特性の劣化を補正できるため、光走査装置の小型化とともに光学特性の高安定を実現することが可能である。
【0004】
ここで、回折レンズによる温度補償効果について説明する。回折レンズは一般に、強い負分散特性が知られている。温度上昇時、一般の屈折レンズは膨張及び光源波長の長波長化による材料分散の影響を受けて光学系全体の焦点距離が長くなり、ピントずれとして観測される。特に樹脂材料を用いている場合は膨張量が大きく、ピントずれは極めて大きいものとなる。
【0005】
これに対して回折レンズは光源波長の長波長化に対し、焦点距離を短くするという特性(負分散特性)を有する。この特性を用いて温度上昇時のピントずれを補償するような回折面を形成すれば、温度変動に対してロバストな光学系を実現することが可能となる。特に、温度上昇時のピントずれの主要因は、樹脂製で最も厚い有限焦点距離の光学素子である走査レンズであることが多い。即ち温度補償が成立している光走査装置においては、走査レンズの膨張によるピントずれと回折レンズによる補正パワーが釣り合わされていると言ってよい。
【0006】
一方、単一の走査レンズを搭載すると、走査光学系を1枚のレンズにするので、光路のレイアウトの自由度が上がることや光学素子の部品点数の低減が可能となり、光走査装置を小型化・低価格化することが可能となる。
【0007】
例えば、特許文献1では、温度保障回折レンズを用いて、回折面により戻り光を減衰させることにより、戻り光を原因とする走査光量の不適正さを改善する技術が提案されている。また、特許文献2では、レンズに反射防止のコーティングを施す方法によらずに、色収差補正用に設けられた回折面に、像高の変化に対応した光学素子の透過率、反射率の変化を補正するような解析効率分布を持たせることにより、被走査面上でのパワーバリエーションを補正する技術が提案されている。さらに、特許文献3では、被走査面上の軸外像高において、入射光学系で発生する収差と結像光学系で発生する収差が、どちらも光束中心に非対称であり、かつその方向が逆になるように双方の光学系を構成することにより、被走査面上の結像スポットを良好にする技術が提案されている。
【特許文献1】特開2007−293182号公報
【特許文献2】特許第3684094号公報
【特許文献3】特開2006−113552号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、従来の技術において、単一の走査レンズを適用する場合、複数枚の走査レンズによる走査光学系に比べ、収差補正には限界があるという問題があった。特に、光学系の小型化を目論み、光偏向装置に近づけ薄肉化して設計された単一走査レンズであると、より収差の残存が著しくなる。光学系の安定性が外乱によって脅かされることとは、潜在的な波面収差の大きい像高から順に「メインローブの太り」及び「サイドローブの立ち上がり」が発生し、被走査面上でのビームスポット径が肥大するといった現象で描写することができる。すなわち、潜在的収差の大きい像高に対応する部分から画像劣化が発生するということである。
【0009】
本発明はこのような実情を鑑みてなされたものであり、回折面形状を主走査方向に非対称な形状とすることで、潜在的コマ収差が大きく、外乱(光学素子の形状誤差・取り付け誤差)に対して不利な中間像高の波面収差を選択的に補正する光走査装置、光書込装置、及びその光走査装置と光書込装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の光走査装置は、単一/複数の光束を射出する光源と、光源により射出される単一/複数の光束を後続の光学系にカップリングするカップリングレンズと、単一/複数の光束を主走査方向に偏向する光偏向装置と、カップリング光学系より射出される単一/複数の光束を光偏向装置へ導く線像形成レンズと、を備える入射光学系と、光偏向装置によって偏向された単一/複数の光束を被走査面上に結像する単一の走査レンズと、入射光学系を成す光学素子であって、回折面を備えた1つ以上の光学素子と、を備え、1つ以上の回折面において、バックカットのなす形状は入れ子状の円群/楕円群であり、円群/楕円群の各中心は一致せず、主走査方向に分布を有することを特徴する。
【0011】
本発明の光走査装置は、回折面は、マルチステップ形状からなることを特徴とする。
【0012】
本発明の光走査装置は、回折面は樹脂から成り、光学素子に貼り合せられていることを特徴とする。
【0013】
本発明の光走査装置は、入射光学系、光偏向装置及び走査レンズを備える第1筐体と、それ以外の光学素子を備える第2筐体と、を備え、カップリング光学系及び線像形成光学系に含まれる光学素子は、調整組付け可能である素子を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の光走査装置は、回折面は線像形成レンズのみに設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明の光書込装置は、前記光走査装置を複数備え、複数の被走査面に対して書込を行うことを特徴とする。
【0016】
本発明の画像形成装置は、前記光書込装置を備え、複数の感光性の像担持体に対して光走査装置による光走査を行って各色に対応する潜像を形成し、潜像を現像手段で可視化してカラー画像を得る画像形成装置であって、光書込装置により像担持体の光走査を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、奇数次項を含む位相差関数の回折面を光偏向装置前に設けることにより、走査レンズによる中間像高のコマ収差を補正することが可能である。特に、単一の走査レンズの場合は、中間像高のコマ収差が著しいため効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を用いて本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0019】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態に係る光走査装置の要部を示した概略構成図である。図1の紙面が主走査断面に相当する。図2は、本発明の実施形態に係る光走査装置のカップリング光学系周辺の概略構成図である。図3は、本発明の実施形態に係る光走査装置の走査光学系から被走査面の概略構成図である。本発明の実施形態に係る光走査装置について、図1、図2、及び図3に示す図を用いて詳細に説明する。
【0020】
ここで、主走査方向とは光偏向装置の回転軸及び走査光学素子の光軸に垂直な方向を示し、副走査方向とは、光偏向装置の回転軸と平行な方向を示す。また、主走査断面とは、主走査方向に並行で結像光学系の光軸を含む平面を示し、副走査断面とは、主走査断面と垂直な断面を示す。
【0021】
図1、図2、図3に示すように、光走査装置は、光源(半導体レーザ)1、カップリングレンズ2、アパーチャ3、回折レンズ4、ポリゴンミラー5、走査レンズ6、折り曲げミラー7、感光体8、同期ミラー9、同期レンズ10、同期検知部11、防音ガラス12、防塵ガラス13、第1筐体14、第2筐体15、壁面17を備える。また、図2には第一筐体14から発せられる光束16も示されている。
【0022】
(入射光学系)
半導体レーザである光源1から放射された単数或いは複数の光束は、カップリングレンズ2により以後の光学系にカップリングされる。カップリングレンズ2を透過した光束は、アパーチャ3の開口部を通過する際、光束周辺部を遮断されて整形され、線像形成光学系である回折レンズ4に入射する。回折レンズ4は、入射してくる光束を副走査方向に集束させ、光偏向装置であるポリゴンミラー5の偏向反射面近傍に主走査方向に長い線像として集光させる。回折レンズ4には、走査光学系の変動を補正するパワーを持たせている。また、入射光学系は、レイアウトの要請からミラーなどにより屈曲されていても良い。
【0023】
(走査光学系、被走査面)
偏向反射面により反射された光束は、ポリゴンミラー5の等速回転に伴い等角速度的に偏向しつつ、走査光学系をなす走査レンズ系6を透過し、光束を被走査面に導光するための折り曲げミラー7により光路を折曲げられ、被走査面の実体をなす光導電性の感光体8上にビームスポットとして集光し、被走査面を光走査する。本実施形態では、最も有効な形態として走査レンズ系6は1枚構成としているが、複数枚の構成であっても本発明の効果は同様に得ることが可能である。偏向光束は感光体8の光走査に先立って同期ミラー9により反射され、同期レンズ10により同期検知部11に主走査方向に集光される。同期検知部11の出力に基づき、光走査の書込開始タイミングが決定される。尚、走査光学系の詳細については、後述する。
【0024】
(筐体14、15)
本実施形態に係る光走査装置は、第1筐体14、第2筐体15から成る2体構成をしている。防音ガラス12、光偏向装置とその他の部分を分かつ壁面17は、目的に応じて設置すればよく、いずれにせよ発明の効果は変わらない。
【0025】
カップリングレンズ2、回折レンズ4、走査レンズ6のいずれかはUV硬化樹脂に代表される接着剤を必要箇所に塗布されて冶具等で位置決めされた後、UV照射等の方法で固定され、組付けられる。この組付けを実施する場合、第1筐体14から発せられる光束16をモニタリングし、それをフィードバックすることで接着剤硬化前の光学素子の位置と姿勢を調整し、ピントずれを吸収することが可能である。調整後、第1筐体14は第2筐体15に組み込まれる。また、第1筐体14と第2筐体15の結合方式に関しては、上記調整が可能であればこの限りではない。上記調整組付けする場合にフィードバックする光学特性は、なるべく光走査装置全体のものであることが望ましい。
【0026】
(硝材)
本実施形態で用いるガラス材料および樹脂材料のデータを以下の表1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
上記表1に示す材質データにおいて、中央値とあるのは、基準温度:25℃における使用波長に対する屈折率、温度変動とあるのは、温度が基準温度から20℃上昇した場合の屈折率を示している。
【0029】
(光源1)
光源である半導体レーザ1は設計上の発光波長:785nmで、標準温度:25℃に対して温度が1℃上昇すると、発光波長が0.23nm、長波長側へずれる。本実施形態では、光源1が複数の発光点を持つ半導体レーザアレイである場合であっても、或いは1つの走査光学系に対して入射光学系が複数存在する場合であっても問題はない。
【0030】
(カップリングレンズ2)
カップリングレンズ2は上記表1に示すガラス材質で成形されたガラスモールド製レンズであり、焦点距離:約15mmで略平行の光束に変換する機能を有するように設けられている(発散・収束光であってもよい)。カップリングレンズ2は非球面が用いられている。非球面係数は開示しないが、カップリングされた光束の波面収差を非球面により十分に補正している。
【0031】
半導体レーザ1とカップリングレンズ2は、線膨張係数:1.7×10-5の材質より成る第1筐体壁面14に組付けられている。カップリング光学系周辺は、図2に示すような構成をしている。半導体レーザ1は第1筐体壁面14の孔に圧入され、カップリングレンズ2は、第1筐体壁面14に調整の後接着剤で接着されている。アパーチャ3は、第1筐体14と一体化していても、素子として組付けられていても問題はない。
【0032】
(アパーチャ3)
アパーチャ3は主走査方向2.7mm、副走査方向2.3mmの矩形開口である。上述したように、第1筐体14と一体化していても、素子として組付けられていても問題はない。
【0033】
(回折レンズ4)
図4は、本発明の実施形態に係るバックカット22がなす形状を示した図である。図5は、本発明の実施形態に係る回折レンズ4のマルチステップ形状を示した図である。図6は、本発明の実施形態に係るマルチステップ形状の主走査断面図である。本発明の実施形態にかかる回折レンズ4について、図4、図5、図6に示す図を用いて詳細に説明する。
【0034】
回折レンズ4は、入射面に副走査方向に曲率をもつ曲率半径19.9mmのシリンドリカル面と、射出面にマルチステップ形状の回折面と、を有する、肉厚2mmの樹脂製回折レンズである。マルチステップ形状の回折面は、バックカット22により分割された光軸に垂直な無数の領域から成る。光軸方向に沿って回折面を見たとき、この図形は入れ子状の楕円状群である。また、図4に回折レンズ4の有効半径中心21を示している。図示するように、各楕円の中心20a、20bは一致しておらず、主走査方向に分布を有している。バックカット22の成す形状は、本実施形態においては、入れ子の楕円群となっているが、補正する走査光学系によっては入れ子の円群になることもある。回折レンズ4は、副走査方向に関して焦点距離約40mmである。
【0035】
マルチステップ形状は、光軸方向−主/副走査方向によって切り取られる断面(主/副走査断面)において多段の階段形状である。ここでは1段の段差は光束に関して2πの位相差を与える段差となっている。2π以下の部分を含むと位相シフタとしての作用も付与することが可能である。
【0036】
マルチステップ形状は、図5に示すように屈折レンズ形状を折り返したフレネルレンズ型の回折部と屈折部を組み合わせた形状として実現される。このとき回折部と屈折部は同じパワーを有しており、マルチステップ形状において、段差で区切られる各領域は光軸に対して垂直な面となる。マルチステップ形状とすることで、加工成形の容易性、偏心に対するロバスト性が向上する。マルチステップ形状に内在する回折部のパワーが、波長変動時の負分散によるパワー変動の大きさに相当し、マルチステップ形状で言う段数に相当する。
【0037】
本実施形態のマルチステップ形状は、屈折部の曲率半径14.9mmの凹自由曲面23に、それを正負反転した凸自由曲面回折部を重ね合わせることにより、一段約1.5μmの階段形状を備える、幾何光学的にパワーをもたない面となっている。段差の約1.5μmは、785nmの光波に対して2πの位相差を与えるものであり、使用波長に応じて設計するパラメータである。
【0038】
尚、回折面の断面形状に関しては、本実施形態ではマルチステップ形状を例に取っているがフレネルレンズ型のレリーフ形状であっても良い。2者の違いについては後述するが、光学系や用途に応じて面形状を設定すれば良い。
【0039】
マルチステップ型は、温度変動、波長ばらつきがない場合には光学的平面と等価であるが、温度変動により波長が変動したり、波長がばらついたりした場合に、回折面形状に応じた波面変換作用を持つ。一方、フレネルレンズ型は、外乱を考慮せずとも設計値の段階で波面変換作用を呈する。フレネルレンズ型のリレーフ形状は、上述した図5に示す形状である。いずれの場合も、後述する本発明の目的とする効果を得ることは可能であり、温度補償効果も付与することが可能である。
【0040】
次に、フレネルレンズの回折面の形状について以下に示す式1を用いて説明する。回折面の形状は、以下の非円弧式で表現される。
主副走査断面内の近軸曲率半径:Rm、Rs
光軸からの主副走査方向の距離:Y、Z
主副円錐定数:Km、Ks
主走査高次係数:A1、A2、A3、A4、A5、…
光軸方向のデプス:X
ここで、屈折部主走査方向を式1で示す。
【0041】
【数1】

【0042】
回折部は、主副ともに上記に示す式1の正負を反転させた形状に関して、段差1.5μmの整数倍で割った際の余りとして表現され、図5に示されたようなフレネルレンズ形状をしている。上述したように、フレネルレンズ形状の屈折部と回折部の合成により、マルチステップ面が実現されている。回折部の位相差関数は、式1に硝材と空気の屈折率差をかけた相似形として表現できるため、ここでは省略する。各パラメータの値を以下の表2に示す。
【0043】
【表2】

【0044】
上述した回折部と屈折部から成るマルチステップ形状について、図6に示す図を用いて説明する。図6に図示するように、各楕円は主走査方向の負の方向に傾いて入れ子となっている構造である。副走査方向に関しては、Z=0に対して対称な円弧形状から成る屈折部及び回折部となっている。
【0045】
回折面形状は、波長変動時の波面形状を表現しているということができる。例えば、回折部及び屈折部が円弧である本実施形態の回折面の副走査方向は、平面波が波長変動時に円弧形状の波面に変換されることを示している。すなわち、波長変動時に焦点距離変動を起こすことを意味しており、温度変動による光源波長変化で引き起こされる波面変換によってピント位置ズレを補正するという機能を内在させることが可能である。
【0046】
主走査方向に関しては、6次関数の多項式で表現される非円弧形状であり、同様に波長変動時に6次式で表される波面に変換する機能をもつことがわかる。1次項は、一般の回折格子と同様の働きをし、光波の進行方向を変換する。2次項は、副走査方向と同様パワーに寄与する部分であり、主走査方向に関して温度変動によるピントずれを補正する機能を付与することができる。3次項以降は波面収差に関わる。
【0047】
本発明の実施形態に係る回折レンズ4は、3次項以降を含んだ回折面形状を積極的に用いることにより、光波の進行方向、ピント位置よりも高次な波面状態を制御することが本質となる。波面状態制御の詳細については後述する。
【0048】
一般的に、高次な波面収差の制御を、段差のない樹脂の屈折面で行うことは困難である。実際に屈折面を加工成形した場合に発生する形状誤差が大きく、波面制御に関わる形状精度を実現しにくい為である。しかし、本実施形態のようなマルチステップ形状であると、波長変動後の波面はバックカット22位置で表現でき、段差のない屈折面で同じことを行うよりも容易となる。
【0049】
尚、本発明では特に主走査方向のコマ収差補正に着目しているが、回折面形状の高次項を積極的に用いることにより高次の波面収差補正が可能であることが示唆される。
【0050】
(光偏向装置)
光偏向装置のポリゴンミラー5は、反射面数:6面で内接円半径:13mmのものである。防音ガラス12は上述のガラスを材質とし、厚さ:1.9mmで、被走査面と平行な方向からの傾き角:αは12度である。また、光源1側から入射する光束の進行方向と、偏向反射面により被走査面8における像高:0の位置へ向けて反射される光束の進行方向のなす角:θは68度である。また、図2に図示するように、ポリンゴンミラー5は図2中の矢印方向へ回転する。
【0051】
(走査光学系)
実際には折返しミラー7で光路が折り返されているが、図1に図示するように簡単のため省略している。以下表3に示す光偏向装置以降の光学系データに、走査光学系のレイアウトを示す。尚、図5に示す座標軸の定義とは異なっている。
【0052】
【表3】

【0053】
上記表3においてRmは主走査方向の近軸曲率、Rsは副走査方向の近軸曲率であり、X、Yは各光学素子の原点から次の光学素子の原点までの相対距離を表している。単位はmmである。例えば、光偏向装置に対するX、Yについてみると、光偏向装置(ポリゴンミラー5)の回転軸から見て、第1走査結像レンズ6の入射面の原点(入射側面の光軸位置)は、光軸方向(x方向、図1の左右方向)に43mm離れ、主走査方向(y方向、図1の上下方向)に6.35mm離れている。なお、走査レンズ6と被走査面8の間には、上述したガラスを材質とする厚さ:1.9mmの防塵ガラス13が設けられている。
【0054】
走査レンズ6の各面は非球面であり、全面ともに主走査方向には両凸非円弧形状で、副走査断面内の曲率が主走査方向に従って変化する特殊面である。走査レンズ6の詳細な形状は本発明と直接的な関連がないため本明細書では省略するが、等角速度回転する光偏向装置(ポリゴンミラー5)によって偏向される光束を、被走査面(感光体)8に対して略等速運動となるよう変換し、且つ常に被走査面(感光体)8に集光するように設計されている。
【0055】
また、上述したように、走査レンズ6の枚数は、必要に応じて複数枚でも良いが、本発明が最も有効となる形態として本実施形態においては1枚構成とする。
【0056】
図7は、本実施形態に係る回折レンズ4搭載した光走査装置において、外乱として「+20℃の温度変動」及び「光学素子の形状誤差(主走査断面内コマ収差)」を与えた場合の波面収差PV値を像高に沿ってプロットした図、及びデフォーカス−ビームスポット径曲線(D−B曲線)を示した図である。図10は、従来技術の光走査装置における波面収差PV値を像高に沿ってプロットした図、及びD−B曲線を示した図である。図11は、従来の光走査装置において、外乱として「+20℃の温度変動」及び「光学素子の形状誤差(主走査断面内コマ収差)」を与えた場合の波面収差PV値を像高に沿ってプロットした図、及びD−B曲線を示した図である。回折レンズ4の効果について、図7、図10、図11に示す図を用いて詳細に説明する。
【0057】
走査レンズ6の結像作用によって、光源1から射出された光束は被走査面8上の至る像高で集光されるが、設計されたレンズに内在する収差の一般的な性質として、中間像高(両端像高と中央像高の中間)では波面収差が特に大きい。これは中間像高において、主走査断面内のコマ収差に相当する成分が他の像高よりも多く残存するためである。走査レンズが単一であると尚更この性質は顕著となる。コマ収差は、断面内に沿った3次関数的な波面の湾曲(波面収差)に対応する。2次関数的な波面の湾曲はピントずれに対応するので、これは幾何光学的にピント位置が設計されている限り全像高にわたってある程度フラットに補正されている。
【0058】
図10に示すように、従来技術の光走査装置においては、像高の正負は主走査方向Y軸のものと一致する。上述したように、主走査断面内コマ収差の影響で、中間像高で波面収差は大きくなっている。また、回転中心から有限距離だけ離れた反射面により光偏向を行うポリゴンミラーの影響で、中心像高に対して傾いた形となっている。即ち、ひとつの最大波面収差像高が存在する(ここでは、マイナス像高の中間像高)。それに伴い、D−B曲線においても、最も波面収差の大きい−94.5mm像高のビームに関してマイナスデフォーカス側にサイドローブ立ち上がりが見られ、光学特性の観点からも不利な像高であることが見て取れる。
【0059】
ビームスポット径は、像面でのビームプロファイルのある閾値以上のプロファイル径に相当する。波面収差が大きくなりサイドローブが閾値を超える程に大きくなると、D−B曲線では急峻なビームスポット径立ち上がりとして観測される。この立ち上がりは、D−B曲線からビームスポット径が絞られている領域の狭小化であり、即ちこれが光学特性の安定性が低い像高である。
【0060】
光走査装置に外乱が加わると、この各像高の波面収差がさらに大きくなり、被走査面状のビームスポット径やその安定性に悪影響を及ぼす。その場合、最も早く外乱の影響が発現するのは、先に述べた最大波面収差像高である。
【0061】
次に、外乱(+20℃の温度変動及び主走査断面内コマ収差)を与える前と後の違いについて、図10及び図11を用いて説明する。像高の正負で、コマ収差はそれぞれ逆方向で残存している。そのためある符号のコマ収差が外乱として与えられると、一方には加算、他方には減算として積みあがる。ここでは不利な像高−94.5mmの波面収差が悪化する場合を例にとっている。(波面収差の像高間分布が傾いているため、逆符号のコマ収差を与えた場合は波面収差の変化方向が逆になり、全体として波面収差の像高間分布がフラットになる。)
【0062】
図11に示すように、従来技術の光走査装置に外乱として「+20℃の温度変動」及び「光学素子の形状誤差(主走査断面内コマ収差)」を与えた場合は、外乱を与えた場合のD−B曲線30bにも図示されているように、外乱を与える前の波面収差PVの像高間分布31から外乱を与えた場合の波面収差PVの像高分布30aへの変化に伴い、サイドローブ立ち上がり位置がより像面に近づいており、光学特性の安定性がいち早く脅かされている。その他の外乱により容易にサイドローブの影響が発現してしまい、ビームスポット径小径化を阻む。
【0063】
次に、本実施形態に係る回折レンズ4を搭載した場合の効果について、図7及び上述した図11を用いて詳細に説明する。図7には、外乱を与えた場合の波面収差32aと外乱を与えた場合のD−B曲線32bが示されている。上述した図11を比較することにより、観察できることを以下に示す。
【0064】
まず、図7すなわち本実施形態に係る回折レンズ4を搭載した場合では、外乱を受けても波面収差が殆ど劣化していない。また、D−B曲線32bにおいて、上述した従来技術の光走査装置で最も不利であった−94.5mmにおいてサイドローブ立ち上がりが発生していない。これは、最もコマ収差が大きかった−94.5mmの波面の湾曲をキャンセルするような、3次項以降の高次形状を積極的に用いた回折面設計になっているためである。また本実施形態ではマルチステップ形状を採用していたため、温度変動時に、最も波面収差的に不利な像高の波面の乱れをキャンセルする機能が発現したことが確かめられる。上述したように、回折面形状がフレネルレンズ型である場合には、温度変動がなくとも上記の機能を発現できるため、本質的には変わらない。
【0065】
また図7、図11のいずれの場合も、ピント位置の温度補償機能をもつ2次項以下の回折部形状を有しているので、ピント位置は温度に対して安定である。
【0066】
本実施形態により、奇数次項を含む位相差関数の回折面を光偏向装置前に設けることで、走査レンズ6による中間像高のコマ収差を補正することが可能となる。特に、単一の走査レンズの場合は、中間像高のコマ収差が著しいため効果的である。コマ収差は中間像高において最も大きく発生し、温度変動時のビームスポット径太りが最も早く発生する為、中間像高の深度を広げることで全像高における総合的なビームスポット安定性が向上させることが可能である。つまり光走査装置が潜在的にもつ波面収差の像高間分布の中で、最も不利な像高に対して選択的に波面収差補正を行う機能を実現することが可能となる。
【0067】
また、回折面を2πの位相差を付与する段差からなる階段状の形状であるマルチステップ形状とすることで、温度変動時にのみ波面収差補正機能が発現する光走査装置を実現することが可能である。さらに、マルチステップ形状の回折面は、光学的にはノンパワーの面と等価であり、偏心に対して光学性能が劣化しにくくなり、部品・組付誤差に対してもロバストな光走査装置を実現することが可能となる。
【0068】
また、回折面は樹脂から成り、光学素子に貼り合せられているため、走査光学系に合わせて回折面を柔軟に変更することが可能となる。
【0069】
また、各部品・素子のもつ形状精度には限界があるため、実際の光走査装置の組付けにおいて光学素子を精度良く組付ける技術も必須であるが、本実施形態により、光走査装置の光学特性を随時フィードバックしながら光学素子の位置に関する微妙な調整を行い、部品・素子のもつ誤差を最低限に抑えて組付けることが可能となる。特に部品・素子が樹脂材料で製造されている場合、形状精度がガラス・金属等に比べ劣っているので、上述した調整手段は有効である。
【0070】
例えば、光源1とカップリング光学系のみでカップリングレンズ2の調整組付けを行う場合、その調整組付けが済んでしまえばその後の光学系の誤差は吸収できないことになる。本実施形態によれば、光学特性(特にピント位置ズレ)に関して影響する光学素子を第1筐体にまとめた構成とすることにより、第1筐体の光学特性をフィードバックした調整組付けを可能とし、光学特性に現れる誤差の影響を最低限に抑えて光走査装置を製造することが可能となる。
【0071】
また、第1筐体と第2筐体とに分けた構成とすることで、第1筐体は光学特性を司るユニットとして共通とし、第2筐体は被走査面のレイアウトに応じて選択する、といったユニット共通化が図れ、様々な光走査装置が構成可能となる。第1筐体の共通化は、多種の光走査装置を展開する際に低価格化の効果がある。
【0072】
また、回折面は線像形成レンズのみに設けられていることにより、特に、波長ばらつきに強くすることが可能である。
【0073】
(実施形態2)
上記実施形態に示されているような光走査装置を複数用いることにより、複数の被走査面に同時に光走査を行うことができる光書込装置を実現することが可能である。光書込装置の構成方法は様々なものがあるが、どの構成方法であっても、本発明の効果は同様に得ることが可能である。
【0074】
本実施形態により、上記実施形態1に係る光走査装置を複数用いて、光書込装置を構成することで、複数の被走査面に対して書込を行うことが可能となる。
【0075】
(実施形態3)
図8は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。画像形成装置の実施の例について、図8に示す図を用いて詳細に説明する。
【0076】
図8に示す画像形成装置は、レーザプリンタ1000である。図8に示すように、このレーザプリンタ1000は、像担持体1110、帯電ローラ1121、現像装置1131、転写ローラ1141、クリーニング装置1151、定着装置1161、光走査装置1171、カセット1181、レジストローラ対1191、給紙コロ1201、搬送路1211、排紙ローラ対1221、トレイ1231、を備える。尚、シート状記録媒体としての転写紙を「P」と省略し、レーザ光束を「LB」と省略して示している。
【0077】
レーザプリンタ1000は、感光性の像担持体1110として、円筒状に形成された光導電性の感光体を備えている。像担持体1110の周囲には、帯電手段としての帯電ローラ1121、現像装置1131、転写ローラ1141、クリーニング装置1151が配備されている。帯電手段としてはコロナチャージャを用いることも可能である。レーザ光束LBにより光走査を行う光走査装置1171が設けられ、帯電ローラ1121と現像装置1131との間で光書込による露光を行う。
【0078】
画像形成を行う場合には、光導電性の感光体である像担持体1110が時計回りに等速回転され、その表面が帯電ローラ1121により均一帯電され、光走査装置1171のレーザ光束LBの光書込による露光を受けて静電潜像が形成される。形成された静電潜像は所謂「ネガ潜像」であって画像部が露光されている。
【0079】
この静電潜像は現像装置1131により反転現像され、像担持体1110上にトナー画像が形成される。転写紙Pを収納したカセット1181は、画像形成装置(レーザプリンタ)1000本体に脱着可能であり、図示するように装着された状態において、収納された転写紙Pの最上位の1枚が給紙コロ1201により給紙され、給紙された転写紙Pは、その先端部をレジストローラ対1191に銜えられる。レジストローラ対1191は、像担持体1110上のトナー画像が転写位置へ移動するタイミングと合わせて、転写紙Pを転写部へ送り込む。
【0080】
送り込まれた転写紙Pは、転写部においてトナー画像と重ね合わせられ、転写ローラ1141の作用によりトナー画像を静電転写される。トナー画像を転写された転写紙Pは定着装置1161へ送られ、定着装置1161においてトナー画像を定着され、搬送路1211を通り、排紙ローラ対1221によりトレイ1231上に排出される。
【0081】
トナー画像が転写された後の像担持体1110の表面は、クリーニング装置1151によりクリーニングされ、残留トナーや紙粉等が除去される。
【0082】
本実施形態により、上記光走査装置1171として上述した実施形態1の光走査装置を用いることで、極めて良好な画像形成を実行することが可能となる。
【0083】
尚、感光性の像担持体1110としては種々のものの使用が可能である。例えば、像担持体1110として銀塩フィルムを用いることが可能である。この場合、光走査装置1171による書込みで潜像が形成されるが、この潜像は通常の銀塩写真プロセスによる処理で可視化すること可能である。このような画像形成装置は光製版装置や、CTスキャン画像等を描画する光描画装置として適用することが可能である。
【0084】
また、感光性の像担持体1110としては光走査の際にビームスポットの熱エネルギーにより発色する発色媒体(ポジの印画紙)を用いることもでき、この場合には、光走査により直接に可視画像を形成することが可能である。
【0085】
また、感光性の像担持体1110としては光導電性の感光体を用いることが可能である。光導電性の感光体としては、酸化亜鉛紙のようにシート状のものを用いることも可能であり、セレン感光体や有機光半導体等ドラム状あるいはベルト状で繰り返し使用されるものを用いることが可能である。
【0086】
上記光導電性の感光体を像担持体1110として用いる場合には、感光体の均一帯電と、光走査装置1171による光走査により静電潜像が形成される。静電潜像は現像によりトナー画像として可視化される。トナー画像は、感光体が酸化亜鉛紙のようにシート状のものである場合は感光体上に直接的に定着され、感光体が繰り返し使用可能なものである場合には、転写紙やOHPシート(オーバヘッドプロジェクタ用のプラスチックシート)等のシート状記録媒体に転写・定着される。
【0087】
光導電性の感光体からシート状記録媒体へのトナー画像の転写は、感光体からシート状記録媒体へ直接的に転写(直接転写方式)しても良いし、感光体から一旦中間転写ベルト等の中間転写媒体に転写した後、この中間転写媒体からシート状記録媒体へ転写(中間転写方式)するようにしてもよい。
【0088】
また、本実施形態の画像形成装置は、上記感光体を複数個、シート状記録媒体の搬送路に沿って配置し、複数の光走査装置を用いて感光体ごとに静電潜像を形成し、これらを可視化して得られるトナー画像を同一のシート状記録媒体に転写・定着して合成的にカラー画像や多色画像を得るタンデム式の画像形成装置として実施することが可能である。
【0089】
(実施形態4)
図9は、本発明の実施形態に係る多色画像形成装置の概略構成図である。多色画像形成装置の実施の例について、図9に示す図を用いて詳細に説明する。
【0090】
図9に示すように、多色画像形成装置は、感光体1Y(Yellow)、1M(Magenta)、1C(Cyan)、1K(Black)、帯電ローラ2Y、2M、2C、2K、現像装置4Y、4M、4C、4K、転写ローラ6Y、6M、6C、6K、クリーニング装置5Y、5M、5C、5K、光走査装置2111、転写ベルト2121、定着装置2131を備える。ここで、Y、M、C、Kとは、各々がイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの色成分に対応していることを示している。
【0091】
感光体1Y、1M、1C、1Kは、図9に示す矢印の方向へ回転し、回転順に帯電ローラ2Y、2M、2C、2K、現像装置4Y、4M、4C、4K、転写ローラ6Y、6M、6C、6K、クリーニング装置5Y、5M、5C、5Kが設けられている。
【0092】
帯電ローラ2Y、2M、2C、2Kは、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。この帯電ローラ2Y、2M、2C、2Kと現像装置4Y、4M、4C、4Kの間の感光体表面に光走査装置2111によりレーザが照射され、感光体1Y、1M、1C、1Kに静電潜像が形成される。そして、静電潜像に基づき、現像装置4Y、4M、4C、4Kにより感光体面上にトナー像が形成される。さらに、転写ローラ6Y、6M、6C、6Kより、転写ベルト2121に各色順次転写トナー像が転写され、最終的に定着装置2131により不図示の記録紙に画像が定着される。
【0093】
本実施形態により、位相型光学素子を用いた光走査装置を多色画像形成装置に展開することで、感光体1Y、1M、1C、1K上でのビームスポット径の変動を抑えることが可能となる。すなわち、出力画像のドット径の変動を抑えることができるため、ドット径の揃った高画質な画像を提供することが可能となる。また、感光体1Y、1M、1C、1K上におけるビームスポット径が安定化するということは、複数あるプロセス制御条件のうちの1つが安定化するということを意味する。従って、プロセス制御頻度を低減することができ、省エネ等の環境負荷の低減が可能となる。
【0094】
尚、波面を補正するための形状による対策は一般に困難であるが、回折面のバックカットのピッチは面粗さ等に対して加工成形が容易である。すなわち、本発明は波面補正を回折面のピッチで表現することに主眼をおいている。コマ収差は中間像高において最も大きく発生し、温度変動時のビームスポット径太りが最も早く発生する為、中間像高の深度を広げることで全像高における総合的なビームスポット安定性が向上する。
【0095】
さらに、本発明によれば、光走査装置の高機能化及び多種の光走査装置の実現に伴う部品点数を低減すると同時に高安定な光走査装置を実現することが可能である。そのため光走査装置の生産に関わる材料使用量を削減できるので、資源採掘量・プラスチックゴミ排出量に関して環境負荷を低減することが可能である。
【0096】
以上好適な実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上述した光走査装置、光書込装置、画像形成装置に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であるということは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明に係る光走査装置、光書込装置、及び画像形成装置は、デジタル複合機、ファクシミリ、光プリンタ、光プロッタに適応することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明の実施形態に係る光走査装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係る光走査装置のカップリング光学系周辺の概略構成図である。
【図3】本発明の実施形態に係る光走査装置の走査光学系から被走査面の概略構成図である。
【図4】本発明の実施形態に係るバックカット22がなす形状を示した図である。
【図5】本発明の実施形態に係る回折レンズ4のマルチステップ形状を示した図である。
【図6】本発明の実施形態に係る主走査断面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る回折レンズ4搭載した光走査装置において、外乱として「+20℃の温度変動」及び「光学素子の形状誤差(主走査断面内コマ収差)」を与えた場合の波面収差PV値を像高に沿ってプロットした図、及びデフォーカス−ビームスポット径曲線(D−B曲線)を示した図である。
【図8】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図9】本発明の実施形態に係る多色画像形成装置の概略構成図である。
【図10】従来技術の光走査装置における波面収差PV値を像高に沿ってプロットした図、及びデフォーカス−ビームスポット径曲線(D−B曲線)を示した図である。
【図11】従来技術の光走査装置において、外乱として「+20℃の温度変動」及び「光学素子の形状誤差(主走査断面内コマ収差)」を与えた場合の波面収差PV値を像高に沿ってプロットした図、及びデフォーカス−ビームスポット径曲線(D−B曲線)を示した図である。
【符号の説明】
【0099】
1 光源(半導体レーザ)
2 カップリングレンズ
3 アパーチャ
4 回折レンズ
5 ポリゴンミラー
6 走査レンズ
7 折り曲げミラー
8 感光体
9 同期ミラー
10 同期レンズ
11 同期検知部
12 防音ガラス
13 防塵ガラス
14 第1筐体
15 第2筐体
16 光束
17 壁面
20a 楕円群の中心
20b 円群の中心
21 回折レンズの有効径中心
22 バックカット
23 自由曲面
30a 従来の光走査装置に外乱を与えた場合の波面収差PV値を像高に沿ってプロットしたグラフ
30b 従来の光走査装置に外乱を与えた場合のD−B曲線
31 従来の光走査装置における波面収差PV値を像高に沿ってプロットしたグラフ
32a 本発明の実施形態に係る回折レンズ4を装着した光走査装置に外乱を与えた場合の波面収差PV値を像高に沿ってプロットしたグラフ
32b 本発明の実施形態に係る回折レンズ4を装着した光走査装置に外乱を与えた場合のD−B曲線
1000 レーザプリンタ
1110 像担持体
1121 帯電ローラ
1131 現像装置
1141 転写ローラ
1151 クリーニング装置
1161 定着装置
1171 光走査装置
1181 カセット
1191 レジストローラ対
1201 給紙コロ
1211 搬送路
1221 排紙ローラ対
1231 トレイ
2111 光走査装置
2121 転写ベルト
2131 定着装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一/複数の光束を射出する光源と、
前記光源により射出された単一/複数の光束を後続の光学系にカップリングするカップリングレンズと、前記単一/複数の光束を主走査方向に偏向する光偏向装置と、カップリング光学系より射出される単一/複数の光束を前記光偏向装置へ導く線像形成レンズと、を備える入射光学系と、
前記光偏向装置によって偏向された単一/複数の光束を被走査面上に結像する単一の走査レンズと、
前記入射光学系を成す光学素子であって、回折面を備えた1つ以上の光学素子と、を備え、
1つ以上の前記回折面において、バックカットのなす形状は入れ子状の円群/楕円群であり、前記円群/楕円群の各中心は一致せず、主走査方向に分布を有することを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記回折面は、マルチステップ形状からなることを特徴とする請求項1記載の光走査装置。
【請求項3】
前記回折面は樹脂から成り、光学素子に貼り合せられていることを特徴とする請求項1又は2記載の光走査装置。
【請求項4】
前記入射光学系、前記光偏向装置及び前記走査レンズを備える第1筐体と、それ以外の光学素子を備える第2筐体と、を備え、
前記カップリング光学系及び線像形成光学系に含まれる光学素子は、調整組付け可能である素子を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の光走査装置。
【請求項5】
前記回折面は前記線像形成レンズのみに設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の光走査装置。
【請求項6】
請求項1から5に記載の光走査装置を複数備え、複数の被走査面に対して書込を行うことを特徴とする光書込装置。
【請求項7】
請求項6記載の光書込装置を備え、複数の感光性の像担持体に対して光走査装置による光走査を行って各色に対応する潜像を形成し、前記潜像を現像手段で可視化してカラー画像を得る画像形成装置であって、前記光書込装置により前記像担持体の光走査を行うことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−192751(P2009−192751A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−32455(P2008−32455)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】