説明

光走査装置および画像形成装置

【課題】 走査光学系のレイアウト性に優れ、ビームスポット径ばらつきが少ない光走査装置およびそれを用いた画像形成装置を得る。
【解決手段】 光源10と、ポリゴンミラー15と、第1走査レンズ16と、第2走査レンズ17とを備えた光走査装置100。被走査面の主走査方向の中心に到る光束の光路における距離に関し、ポリゴンミラー15の偏向面から第1走査レンズ16の入射面までの距離よりも、第1走査レンズ16の出射面から第2走査レンズ17の入射面までの距離が短く、第2走査レンズ17の出射面は偏向面と被走査面201との中点よりも偏向面側にあり、走査光学系の副走査方向の像面側主点は、偏向面と被走査面201との中点よりも被走査面201側にある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査光学系のレイアウト性に優れ、ビームスポット径のばらつきが少ない光走査装置およびそれを用いた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
レーザプリンタや光プロッタ、デジタル複写機、ファクシミリ装置などに用いられている光走査装置においては、光源装置からの光ビームは、例えばポリゴンミラーからなる光偏向器により偏向された後、光偏向器以降に配設された走査光学系に導かれる。そして、走査光学系を経た光ビームが、光導電性を有する感光性の像担持体の表面である被走査面に向けて集光されて、光走査が行われる。
【0003】
このような光走査装置の具体的な構成例として、例えば、ドラム状感光体などからなる像担持体を4個、転写紙の搬送方向に配列し、それぞれの像担持体表面を光走査するようにしたものがある。これらの像担持体に対応した複数の光源装置から放射された光ビームが1つの光偏向器により偏向され、各像担持体に対応する複数の走査光学系により各像担持体が同時に露光されることで、各像担持体に潜像が形成される。そして、これらの潜像をイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどの各々異なる色の現像剤で可視化したのち、これらの可視像を同一の転写紙に順次重ね合わせ転写し定着することで、カラー画像を得ることができる。
【0004】
近年の画像形成装置に対する省スペース化の要求に伴い、それに用いられている光走査装置に対しても、小型化、薄型化が求められている。また、光走査装置は、小型化、薄型化が要求されるとともに、高画質化が求められていて、高画質化を実現するためには、ビームスポットの小径化、及び、ビームスポット径のばらつきの抑制が必要となる。
【0005】
光走査装置の小型化のためには、光偏向器で光偏向した後の光路に配置されている折り返しミラーのレイアウトが重要であり、走査レンズを光偏向器に近づけた配置とすることで、折り返しミラーレイアウトの自由度が高くなる。
【0006】
また、被走査面におけるビームスポットの小径化、及び、ビームスポット径のばらつきの抑制のためには、像面湾曲、波面収差、倍率誤差といった各種光学性能を補正することが必要であり、それらの補正のためには複数枚の走査レンズを使用することが好ましい。
【0007】
走査レンズを光偏向器付近に複数使用する走査光学系の例としては、特許文献1に記載されている光走査装置がある。
【0008】
特許文献1に記載されている光走査装置は、光偏向器から被走査面までの距離が短く、走査レンズが光偏向器付近に複数使用されていて、走査レンズの面形状の条件によって主走査断面内での像面湾曲を補正する構成になっている。主走査方向に関しては、光学系の倍率はカップリングレンズの焦点距離によってほぼ決まるため、走査レンズの形状によって像面湾曲の補正を行い、ビームスポット径のばらつきを少なくすることができる。副走査方向に関しては、走査レンズのレイアウト、パワー配分で副走査横倍率が決定する。このような構成とすることで、折り返しミラーのレイアウトの自由度が高められている。
【0009】
しかし、特許文献1に記載された光走査装置におけるレンズの位置、形状によれば、副走査横倍率が非常に大きくなってしまう。ちなみに、特許文献1に記載されている実施例1のレイアウトでは、副走査方向の横倍率が−6.68倍になる。そして、副走査横倍率が大きくなると、光偏向器の寸法ばらつきや取付位置のばらつき、走査レンズの寸法ばらつきや取付位置のばらつきの影響が大きくなるため、設計値では良好な像面湾曲補正や倍率誤差補正ができていても、実際の製品では副走査方向のビームスポット径のばらつきが大きくなってしまう。また、この問題は光偏向器の前側の光学系およびポリゴンミラーの寸法精度や加工精度、取付位置精度を高精度なものとすることで対処することができるが、コストアップを招く恐れがある。
【0010】
このような問題に対応するため、特許文献2に記載されている光走査装置では、第2走査レンズをポリゴンミラーから被走査面へと至る光路の終点付近に設けることにより、走査光学系の副走査横倍率を−1倍前後に低減している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、走査光学系には一般的にレンズを複数枚使用した方が、像面湾曲や波面収差の補正に有利であり、ビームスポット径を小さくすることができる。しかし、特許文献2に記載されている構成の光走査装置において複数の走査レンズを使用する場合、折り返しミラーのレイアウトの制約が大きくなってしまう。特に、カラーレーザプリンタ等においては、4ステーション分の折り返しミラーが必要となるため、折り返しミラーのレイアウトの制約が一層大きくなってしまう。
【0012】
また、折り返しミラーを第2走査レンズの後に配置する場合、特に、折り返しミラーが2枚ないし3枚入る光学系においては、ミラー間の距離が狭くなるため、折り返しミラーのレイアウトを調整する余地を確保しにくくなる恐れがある。この問題は、折り返しミラーのレイアウトを広い範囲で選択できる構成である光走査装置においては大きな影響を及ぼさない。しかし、特許文献2に記載された光走査装置においては、折り返しミラーのレイアウトの自由度が少ない構成であるため、大きな影響を及ぼすことになる。折り返しミラーを第2走査レンズの後ではなく、2枚の走査レンズの間に配置することも考えられるが、この場合、折り返しミラーの取付誤差により光束が第2走査レンズに斜めに入ってしまい、走査線曲がりなどの原因となってしまう恐れがある。また、折り返しミラーの後側に配置されている第2走査レンズの位置では走査幅が大きくなっているため、第2走査レンズを長尺にする必要があり、コストアップにつながってしまう恐れがある。
【0013】
このように、折り返しミラーのレイアウトの自由度を優先して走査レンズを光偏向器近くに配置すると、副走査横倍率が大きくなるとともにビームスポット径のばらつきが生じる恐れがある。また、副走査方向横倍率の低減を優先して第2走査レンズを光偏向器から被走査面へと至る光路の終点付近に設けると、折り返しミラーのレイアウトが制限される恐れがある。
【0014】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであって、折り返しミラーのレイアウト性に影響を与えることなく、寸法のばらつきや取付位置のばらつきによる被走査面上でのビームスポット径のばらつきを抑制することができるとともに、小型で、高品質の画像を得ることのできる光走査装置、及び、画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(1)本発明は、光源と、前記光源からの光ビームを主走査方向に走査するための光偏向手段と、前記光偏向手段によって走査された光ビームを被走査面に集光するために、第1走査レンズと第2走査レンズを有する走査光学系と、を備えた光走査装置において、被走査面の主走査方向の中心に到る光束の光路における距離に関し、前記光偏向手段の偏向面から第1走査レンズの入射面までの距離よりも、第1走査レンズの出射面から第2走査レンズの入射面までの距離が短く、前記第2走査レンズの出射面は前記偏向面と前記被走査面との中点よりも前記偏向面側にあり、前記走査光学系の副走査方向の像面側主点は、前記偏向面と被走査面との中点よりも被走査面側にあることを最も主要な特徴とする。
【0016】
本発明においては特に限定されないが、前記第1走査レンズの副走査方向のパワーは全像高に亘って凹パワーであり、前記第2走査レンズの副走査方向のパワーは全像高に亘って凸パワーであることが好ましい。
【0017】
また、本発明においては特に限定されないが、前記第1走査レンズの副走査形状は全像高に亘って両凹の形状からなり、前記第2走査レンズの副走査形状は全像高に亘って前記偏向器に凹面を向けたメニスカス形状であることが好ましい。
【0018】
また、本発明においては特に限定されないが、上記第1走査レンズの入射面の副走査方向のパワーをΦ1、第1走査レンズの出射面の副走査方向のパワーをΦ2、第2走査レンズの入射面の副走査方向のパワーをΦ3とすると、それぞれのパワーは負のパワーであるとともに、|Φ3|≦|Φ2|≦|Φ1|となることが好ましい。
【0019】
また、本発明においては特に限定されないが、前記第1走査レンズ及び前記第2走査レンズのパワーはそれぞれ、光軸から主走査方向外側に向けて小さくなることが好ましい。
【0020】
また、本発明においては特に限定されないが、前記光偏向手段によって偏向された光束を反射し、前記被走査面に導光する反射部材を備え、前記反射部材は前記第2走査レンズと前記被走査面との間に配置されることが好ましい。
【0021】
(2)本発明はまた、電子写真プロセスを実行することによって画像を得る画像形成装置であって、電子写真プロセスの露光プロセスを実行する装置として上述した光走査装置を用いた画像形成装置であることを主要な特徴とする。
【0022】
本発明においては特に限定されないが、複数の感光体を備えたタンデム方式のカラー画像形成装置であることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、走査レンズを光偏向器近くに配置しつつ副走査方向横倍率の低減を可能とすることで、走査光学系のレイアウト性に優れ、ビームスポット径のばらつきが少ない光走査装置およびそれを用いた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例に係る光走査装置の構成を示す概略図である。
【図2】図1の光走査装置において2つの光源を光軸回りに回転させて設けた状態を示す概略図である。
【図3】図1の第1走査レンズの性質を示すグラフであり、(a)は主走査方向のパワーを、(b)は副走査方向のパワーを、(c)は主走査面形状を示している。
【図4】図1の第2走査レンズの性質を示すグラフであり、(a)は主走査方向のパワーを、(b)は副走査方向のパワーを、(c)は主走査面形状を示している。
【図5】図1の第1走査レンズ及び第2走査レンズにおける主走査方向の位置ごとの副走査方向のパワーを示すグラフである。
【図6】図1の走査光学系、及び、比較例の走査光学系のそれぞれにおける、ポリゴンミラーの取付位置のばらつきによる副走査像面湾曲量を示すグラフである。
【図7】図1の光走査装置により4つの感光体ドラムを同時に光走査する様子を示す概略図である。
【図8】本発明の実施例に係る画像形成装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[光走査装置]
以下、本発明に係る光走査装置の実施例について、図を用いて説明する。
【0026】
図1に示すように、光走査装置100は、光源10と、図1において光源10から左斜め下60度の方向に順次配列された、カップリングレンズ11、アパーチャ部材12、線像形成レンズ13、光偏向器としてのポリゴンミラー15、ポリゴンミラー15の+X方向に順次配置された第1走査レンズ16、第2走査レンズ17、及び、防塵ガラス18を備えた装置である。この光走査装置100から発せられる光ビームが感光ドラム表面(以下、「被走査面」とも称する。)201に集光されることで、光走査が行われる。
【0027】
なお、図1においては、ポリゴンミラー15の回転によって走査される主走査方向をY軸方向とし、それと直交する副走査方向をZ軸方向とする。また、Y軸及びZ軸と直交し、かつ、ポリゴンミラー15側から被走査面201側へと向かう方向をX軸方向とする。
【0028】
光源10は、発光点が30μm間隔で2つ配置される波長659nmの発光ダイオード(LD)アレイであり、発散角は、発光点を水平に並べた場合、横方向が19deg(半値全角)、縦方向が9deg(半値全角)である。
【0029】
2つの発光点が主走査方向において水平に並ぶように取り付けられている状態では、2つのビームが感光体像面上における副走査方向の同一位置に並んでしまう。そのため、副走査方向において所望のビームピッチを得るためには、光源を光軸まわりに回転調整し、2つの発光点の副走査方向における位置をずらす必要がある。本実施例における書込密度は1200dpiであるが、その書き込み密度とするためには、感光体上での副走査方向のビームピッチが21.1μmになるように調整する必要がある。そこで、本実施例の光走査装置100においては、光源を光軸周りに回転調整する図示せぬ機構が設けられていて、発光点が、主走査方向において水平な状態から76.15deg光軸周りに回転調整可能に取り付けられている(図2参照)。この角度に傾けることで、所望のビームピッチを得ることができる。
【0030】
なお、本実施例では、高速高密度書込のため、複数ビームによる書込方式を採用しているものとして記載しているが、本発明においてはこのような態様に限られることはなく、発光点が1つの光学系であってもよい。
【0031】
カップリングレンズ11は、焦点距離が27mmであるガラス製(屈折率1.6935)のレンズであり、光源10からの光ビームを射出側の焦点位置における光ビームの幅で略平行光束となるようにカップリングする。
【0032】
アパーチャ部材12は、Y軸方向(主走査方向)の大きさが3.34mm、Z軸方向(副走査方向)の大きさが2.90mmの矩形状又は楕円形状の開口を有し、該開口中心がカップリングレンズ11の焦点位置近傍に位置するように配置されている。
【0033】
線像形成レンズ13は、焦点距離が93.3mmであるガラス製(屈折率1.5168)のシリンドリカルレンズであり、アパーチャ部材12を通過した光ビームを副走査方向にのみ収束させ、ポリゴンミラー15の反射面近傍で主走査方向に長い線像を結像させる。
【0034】
ポリゴンミラー15は、光偏向器として機能する部材であり、Z軸と垂直な平面における断面形状が、半径16mmの円が内接する正六角形となっている。このポリゴンミラー15の6つの側面には偏向面が形成され、不図示の回転機構により、Z軸に平行な軸回りに一定の角速度で回転している。これにより、ポリゴンミラー15に入射した光ビームはY軸方向に偏向され、第1走査レンズ16及び第2走査レンズ17により被走査面201にビームスポットが形成され、このビームスポットの像面湾曲、波面収差、倍率誤差といった各種光学性能が補正される。
【0035】
第1走査レンズ16及び第2走査レンズ17は、光軸上の肉厚がそれぞれ9.8mm及び6.4mmである樹脂製のレンズであり、屈折率がいずれも1.530となっている。本実施例に係る光走査装置100は、第1走査レンズ16及び第2走査レンズ17の2枚の走査レンズを用いる構成であるため、1枚構成の走査レンズを用いた光走査装置と比較し、像面湾曲や波面収差の各種収差を効果的に補正することができるとともに、被走査面上におけるビームスポットを容易に小径化することができる。本実施例における第1走査レンズ16及び第2走査レンズ17の形状やパワー等については後述する。第1走査レンズ16及び第2走査レンズ17と、後述する感光体表面201との間には、防塵ガラス18が設けられている。
【0036】
防塵ガラス18は光走査装置100を塵から保護する機能を有する、屈折率1.530、肉厚1.90mmのガラス製の部材である。
【0037】
上述した構成を備えた光走査装置100から発せられる光ビームにより、予め一様に帯電された被走査面201の表面が光走査されることで、被走査面201の表面に静電潜像が形成される。
【0038】
なお、本実施例の光走査装置100においては、被走査面上でのビームスポット径が、主走査方向で45μm、副走査方向で50μmとなるように設定されている。また、この範囲を走査するときのポリゴンミラー15の回転角は39.6度で、画角は79.2度となっている。また、図1における点Oは、ポリゴンミラー15の回転中心を通りX軸に平行な直線と感光ドラムの被走査面201とが交わる点を示している。
【0039】
ここで、本実施例に係る光走査装置と、従来の光走査装置との違いについて説明する。上述したように、従来の光走査装置においては、折り返しミラーのレイアウトの自由度と、副走査方向横倍率の低減とを両立させることは困難であった。本実施例に係る光走査装置においては、各走査レンズをポリゴンミラー付近に設けることで折り返しミラー(不図示)のレイアウトの自由度を確保しつつ、各走査レンズの副走査方向のパワー配分を調整することにより副走査方向横倍率の低減を実現させ、この問題を解決している。本実施例に係る光走査装置100のこれらの特徴について、以下に説明する。
【0040】
まず、本実施例に係る光走査装置100における各走査レンズの配置について説明する。
【0041】
本実施例に係る光走査装置100においては、第2走査レンズ17は、その出射面がポリゴンミラー15の偏向面と被走査面201との中点よりもポリゴンミラー15側に位置するように設けられている。具体的には、ポリゴンミラー15から被走査面201までの距離は209.46mmである一方、ポリゴンミラー15から第2走査レンズ17の出射面までの距離は69.23mmとなっている。このように、ポリゴンミラーから被走査面までの距離の中点よりもポリゴンミラー側にすべての走査レンズが配置されている構成となっている。また、第1走査レンズ16と第2走査レンズ17とを含む走査光学系の副走査方向の像面側主点が、ポリゴンミラー15の偏向面と被走査面201の中点よりも被走査面201側にある構成となっている。
【0042】
このように構成することで、ポリゴンミラーと被走査面との中点よりも被走査面側の空間において、折り返しミラーを配置するための十分なスペースを確保することができ、折り返しミラーのレイアウトの自由度を高くすることができる。また、すべての走査レンズをポリゴンミラーに近づけることで、走査レンズの有効径を小さくすることができるため、光走査装置を小型化することが出来る。さらに、走査レンズの小型化により走査レンズの製造コストを低く抑えることができるため、光走査装置の製造コストも低く抑えることができる。
【0043】
また、本実施例に係る光走査装置100においては、ポリゴンミラー15の偏向面から第1走査レンズ16の入射面までの距離よりも、第1走査レンズ16の出射面から第2走査レンズ17の入射面までの距離の方が短くなっている。具体的には、ポリゴンミラー15から第1走査レンズ16までの距離が25.19mm、第1走査レンズ16から第2走査レンズまでの距離が16.3mmとなっている。
【0044】
第1走査レンズ16及び第2走査レンズ17をポリゴンミラー15から遠ざけるほど各レンズ16、17において主走査方向における光ビームが通る範囲が広くなり、第1走査レンズ16及び第2走査レンズ17を主走査方向に対して大型化させる必要が生じる。そのため、折り返しミラーのレイアウト性や光走査装置の省スペース性の向上のためには、第1走査レンズ16及び第2走査レンズ17をポリゴンミラー15に近づけた方が有利となる。
【0045】
しかし、ポリゴンミラー15にこれらのレンズを近づけると、副走査横倍率が高くなってしまい、光源10からポリゴンミラー15までの光学系の各部材の寸法ばらつきや取付精度のばらつきに起因する像面位置ばらつきが大きくなってしまい、画質の劣化を招いてしまう。
【0046】
そこで、本実施例においては、第2走査レンズ17が、ポリゴンミラー15と被走査面201との中点よりもポリゴンミラー15側に配置されている。また、ポリゴンミラー15から第1走査レンズ16までの距離の方が、第1走査レンズ16から第2走査レンズ17までの距離よりも長い構成となっている。このような構成とすることで、副走査横倍率を低減できるレイアウトにしつつ、装置のコンパクト化を図ることが出来る。
【0047】
次に、上述した各走査レンズの配置を採用したことによる副走査方向横倍率の増加を抑制するため、本実施例に係る光走査装置100において用いられている各走査レンズのパワー及び形状について説明する。
【0048】
第1走査レンズの光学面形状は、式1に示す関数で表わされる。
(式1)

【0049】
第2走査レンズの光学面形状は、式2に示す関数で表わされる。

(式2)


【0050】
なお、式1及び式2において、Yは光軸位置を原点とする主走査方向の座標、Rmはレンズの曲率半径、a00、a01、a02、…は主走査形状の非球面係数、RS0は副走査方向の光軸上の曲率、そして、b00、b01、b02、…は副走査形状の非球面係数を表している。
【0051】
また、各係数の値は表1に示される通りである
(表1)

【0052】
次に、各走査レンズの主走査方向及び副走査方向のパワー(焦点距離の逆数)と、主走査面形状について説明する。
【0053】
第1走査レンズ16の主走査方向におけるレンズ高さ毎のレンズのパワーの値は、図3(a)に示す値となっている。実線で示される曲線は入射面のパワーを示し、点線で示される曲線は出射面のパワーを示している。
【0054】
第1走査レンズ16の副走査方向におけるレンズ高さ毎のレンズのパワーの値は、図3(b)に示す値となっている。実線で示される曲線は入射面のパワーを示し、点線で示される曲線は出射面のパワーを示している。
【0055】
第1走査レンズ16の主走査面形状は図3(c)に示す形状になっていて、縦軸は光軸方向の座標X、横軸はレンズ高さを示している。なお、光軸とは、式(2)において、Y=0としたときに、副走査方向において中央の点を通る軸をいう。
【0056】
第2走査レンズ17の主走査方向におけるレンズ高さ毎のレンズのパワーの値は、図4(a)に示す値となっている。実線で示される曲線は入射面のパワーを示し、点線で示される曲線は出射面のパワーを示している。
【0057】
第2走査レンズ17の副走査方向におけるレンズ高さ毎のレンズのパワーの値は、図4(b)に示す値となっている。実線で示される曲線は入射面のパワーを示し、点線で示される曲線は出射面のパワーを示している。
【0058】
第2走査レンズ17の主走査面形状は図4(c)に示す形状となっていて、縦軸は光軸方向の座標X、横軸はレンズ高さを示している。
【0059】
また、図1に示す光走査装置100に含まれる各素子間の光学的距離及び各素子の光軸方向の大きさは表2に示される通りである。ここでの各素子間の光学的距離及び各素子の光軸方向の大きさとは、被走査面201の主走査方向の中心に到る光束の光路における距離である。
(表2)

【0060】
また、光走査装置100に含まれる光学系全系の副走査方向の横倍率は−5.96倍であり、ポリゴンミラー15よりも被走査面側にある光学系のみの副走査倍率は−1.48倍となっている。
【0061】
なお、前述のようにポリゴンミラー15から第2走査レンズ17の出射面までの距離は69.23mmと短くなっているが、表1に示したような面形状にすることで、ポリゴンミラー15から走査光学系の像面側主点までの距離が、107.67mmとなる。すなわち、走査光学系の像面側主点は、ポリゴンミラー15から被走査面201までの中点(104.73mm)よりも、被走査面201側に位置することになる。このような構成にすることで、走査光学系の副走査横倍率を−1.48倍と、低倍率にすることが出来る。
【0062】
第1走査レンズ16と第2走査レンズ17の位置ごとの副走査方向のパワーは、図5に示すようになっている。
【0063】
副走査の像面側主点を被走査面に近い位置となる構成とする場合、第1走査レンズ16と第2走査レンズ17はそれぞれ凹パワーと凸パワーの面が設けられていて、各面に強いパワーを持たせる必要が生じる。そのため、第1走査レンズ16と第2走査レンズ17のパワーは大きくなり、これらのレンズの取付位置のばらつきがあると、副走査像面湾曲が生じ、副走査方向のビームスポット径のばらつきが生じてしまう。特に、第1走査レンズ16及び第2走査レンズ17の周辺部分においては、中央部分と比較して、取付位置のばらつきによる副走査方向のビームスポット径のばらつきがより顕著に表れてしまう。
【0064】
そこで、図5に示すように、第1走査レンズ16及び第2走査レンズ17が、主走査方向における中央部分から外側に向けて副走査方向のパワーが小さくなるよう構成されることで、走査レンズの取付ばらつきの影響が低減される。
【0065】
ここで、比較例として、図1と同じレイアウトで副走査方向の形状のみを変えた第1走査レンズと第2走査レンズについて、式1及び式2における各計数を表5に示す。
【0066】
この比較例において用いられている第1走査レンズはメニスカス形状をしていて、この構成における副走査横倍率は−2.16倍となっている。このように、本実施例と同じレイアウトでも、副走査方向の形状が変わることで、第1走査レンズの副走査横倍率も変わる。
【0067】
本実施例の各走査レンズの構成(表1のレンズ面形状)と、比較例の各走査レンズの構成(表3のレンズ面形状)のそれぞれを採用した光走査装置における、ポリゴンミラーの取り付け位置のばらつきによる副走査像面湾曲量を図6に示す。実線は本実施例を、破線は比較例を示していて、ポリゴンミラーの取付位置が0.05mmだけ第1走査レンズの方に移動したときの被走査面上での各像高における副走査像面湾曲量をプロットしている。
(表3)


【0068】
図6からわかるように、本実施例においては、副走査横倍率を低減することによって、部品の取り付け位置のばらつきによる像面湾曲量を少なくすることができる。
【0069】
なお、本実施例に係る光走査装置100は、複数の感光体ドラムを用いる態様においても好適に適用することができる。その例として、カラープリンタのような、各色に応じて4つの感光体ドラムを同時に書き込む装置に本実施例に係る光走査装置が用いられる場合について、図7を用いて説明する。
【0070】
図7に示すように、ポリゴンミラー15と折り返しミラー20との間に、第1走査レンズ16および第2走査レンズ17を配置することで、折り返しミラーのレイアウトの自由度を確保することができる。
【0071】
なお、本実施例ではポリゴンミラーを偏向手段として用いているが、本発明においては偏向手段として種々のものを採用することができる。例えば、偏向手段にマイクロミラーを用いた場合でも本発明の効果を奏することができる。
【0072】
[画像形成装置]
以下、本発明に係る画像形成装置の実施例について、図8を用いて説明する。
【0073】
本実施例に係る画像形成装置300は、複写機、プリンタ、ファクシミリの複合機であって、フルカラーの画像形成を行うことができるようになっている。画像形成装置300は、プリンタ、ファクシミリとして用いられる場合には、外部から受信した画像情報に対応する画像信号に基づき画像形成処理を行なう。また、画像形成装置300は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙、封筒等を記録媒体として、これに画像形成を行なうことが可能である。
【0074】
画像形成装置300は、その主体をなす本体99と、本体99の上側に位置し原稿を読み取るスキャナとしての読取装置21と、読取装置21の上側に位置し原稿を積載され積載された原稿を読取装置21に向けて送り出すADFといわれる自動原稿給紙装置22と、本体99の下部に位置する感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kと、これらの感光体ドラムと中間転写ベルト29との間に向けて搬送される記録媒体でありかつ転写媒体である転写紙Sを積載した給紙テーブルとしてのシート給送装置23とを有している。
【0075】
画像形成装置300は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に色分解されたそれぞれの色に対応する画像を形成可能な潜像担持体であって表面が円筒状の光導電性感光体からなる感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kを並設した、タンデム型の画像形成装置である。
【0076】
感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kは同一の径を有し、画像形成装置300の本体99の内部のほぼ中央部に配設された無端ベルトである中間転写ベルト29の上側に、かつ、中間転写ベルト29の外周面側、すなわち作像面側に、等間隔で並んでいる。感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kは、図8に矢印A1で示す中間転写ベルト29の移動方向に上記の順で並設されている。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部としての画像ステーション60Y、60M、60C、60Kに設けられている。
【0077】
転写ベルト29は、その全層をゴム等の弾性部材を用いて構成した弾性ベルトである。転写ベルト29は、単層の弾性ベルト、または、その一部を弾性部材とした弾性ベルトであっても良い。また、弾性部材としては、従来から用いられている、フッ素系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂等を用いても良い。
【0078】
転写ベルト29は、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kに対峙しながら矢印A1方向に移動可能となっている。各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kに形成された可視像すなわちトナー像は、矢印A1方向に移動する転写ベルト29に対しそれぞれ重畳転写され、その後、転写紙Sに一括転写されるようになっている。
【0079】
転写ベルト29に対する重畳転写では、まず、転写ベルト29が矢印A1方向に移動する過程において、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kに形成されたトナー像が、転写ベルト29の同じ位置に重ねて転写される。この転写は、転写ベルト29を挟んで、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kのそれぞれに対向する位置に配設された、転写チャージャとしての1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Kによる電圧印加によって行われる。また、転写は、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kと転写ベルト29との対向位置である転写位置において、矢印A1方向上流側から下流側に向けてタイミングをずらして行われる。
【0080】
また、画像形成装置300は、4つの画像ステーション60Y、60M、60C、60Kと、各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kの下方に対向して配設され、転写ベルト29を備えた中間転写装置であるベルトユニットとしての転写ベルトユニット290と、転写ベルト29に対向して配設されて転写ベルト29に当接し、その当接位置において転写ベルト29と同方向に回転する転写部材としての2次転写ローラ5とを有している。
【0081】
また、画像形成装置300は、転写ベルト29に対向して配設され転写ベルト29上をクリーニングする図示しないクリーニング装置と、画像ステーション60Y、60M、60C、60Kの上方に対向して配設された書き込み手段である光書き込み装置としての光走査装置100とを有している。
【0082】
また、画像形成装置300は、シート給送装置23から搬送されてきた記録紙Sを、画像ステーション60Y、60M、60C、60Kによるトナー像の形成タイミングに合わせた所定のタイミングで、転写ベルト29と2次転写ローラ5の間の転写部に向けて繰り出すレジストローラ対130と、転写紙Sの先端がレジストローラ対130に到達したことを検知する図示しないセンサとを有している。
【0083】
また、画像形成装置300は、転写ベルト29にトナー像が転写された後、図8に示す矢印C1の方向に搬送されて進入してきた転写紙Sに同トナー像を定着させる定着装置6と、定着装置6を経た転写紙Sを本体99の外部に排出する排紙ローラ7と、本体99の上部に配設され排紙ローラ7により本体99の外部に排出された転写紙Sを積載する排紙トレイ170とを有している。
【0084】
また、画像形成装置300は、図示しないCPU、メモリ等を備え、光走査装置100の駆動制御など、画像形成装置300の各構成を統括しその動作全般を制御する制御手段40と、画像形成装置300にネットワーク42を通じて接続されるパーソナルコンピュータ等の上位装置等との双方向通信を制御する通信制御装置41と、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーを充填された図示しないトナーボトルとを有している。
【0085】
また、画像形成装置300は、排紙トレイ170が本体99の上方でかつ読取装置21の下側に位置した胴内排紙型の画像形成装置である。排紙トレイ170上に積載された転写紙Sは、図8において左方に対応する矢印D1の方向の下流側に取り出されるようになっている。
【0086】
転写ベルトユニット10は、中間転写ベルト29の他に、1次転写ローラ12Y、12M、12C、12Kと、中間転写ベルト29が巻き掛けられた駆動ローラ72と、2次転写対向ローラとしての転写入口ローラ73および従動ローラであるテンションローラ74とを有している。駆動ローラ72は、図示しない駆動源としてのモータの駆動により回転駆動され、これによって、転写ベルト29が矢印A1方向に回転駆動される。
【0087】
定着装置6は、熱源を内部に有する定着ローラ62と、定着ローラ62に圧接された加圧ローラ63とを有しており、トナー像を担持した転写紙Sを定着ローラ62と加圧ローラ63との圧接部である定着部に通すことで、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を転写紙Sの表面に定着するようになっている。
【0088】
光走査装置100は、上述した実施例に係る光走査装置と同じものであり、感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kの表面である被走査面をそれぞれ走査して露光し、静電潜像を形成するため、画像信号に基づくレーザー光LY、LM、LC、LKを発する。レーザー光LY、LM、LC、LKは、形成すべき画像に対応した電子情報が光情報に変換されたものであり、光走査装置100により、かかる光情報が感光体ドラム20Y、20M、20C、20K上に潜像として固定される。
【0089】
また、光走査装置100は、本体99に対し着脱自在となっており、離脱時には、画像ステーション60Y、60M、60C、60Kにそれぞれ備えられた後述するプロセスカートリッジをそれぞれ独立で本体99から上方に取り出せるようになっている。
【0090】
シート給送装置23は、転写紙Sを積載した給紙トレイ230と、給紙トレイ230上に積載された転写紙Sを送り出す給紙コロ240とを有している。
【0091】
読取装置21は、本体99の上方に位置し、図8に示す画像形成装置300の矢印D1の方向の上流側端部に配設された軸24により本体99に回動自在に一体化され本体99に対して開閉可能となっている。
【0092】
読取装置21は、矢印D1の方向の下流側端部に、読取装置21を本体99に対して開くときに把持するための把持部25を有している。読取装置21は、軸24を中心に回動自在であって、把持部25を把持して上方に回動させることで本体99に対して開く。本体99に対する読取装置21の開放角度はほぼ90度であり、本体99内部へのアクセス、読取装置21を閉じる作業等が容易となっている。
【0093】
読取装置21は、原稿を載置するコンタクトガラス21a、コンタクトガラス21aに載置された原稿に光を照射する図示しない光源、光源から原稿に照射され反射された光を反射する図示しない第1の反射体を備え図15における左右方向に走行する第1走行体21b、第1走行体21bの反射体によって反射された光を反射する図示しない第2の反射体を備えた第2走行体21c、第2走行体21cからの光を結像するための結像レンズ21d、結像レンズ21dを経た光を受け原稿の内容を読み取る読み取りセンサ21e等を備えている。
【0094】
自動原稿給紙装置22は、読取装置21の上方に位置し、画像形成装置300の矢印D1方向上流側端部に配設された軸26により読取装置21に回動自在に一体化され読取装置21に対して開閉可能に備えられている。
【0095】
自動原稿給紙装置22は、矢印D1方向下流側端部に、自動原稿給紙装置22を読取装置21に対して開くときに把持するための把持部27を有している。自動原稿給紙装置22は、軸26を中心に回動自在であって、把持部27を把持して上方に回動させることで読取装置21に対して開き、コンタクトガラス21aを露出させる。
【0096】
自動原稿給紙装置22は原稿を載置する原稿台22aと、原稿台22aに載置された原稿を給送する図示しないモータ等を備えた駆動部とを有している。画像形成装置300を用いて複写を行うときには、原稿を自動原稿給送装置22の原稿台22aにセットするか、または自動原稿給送装置22を上方に向けて回動して手動でコンタクトガラス21a上に原稿を載置してから自動原稿給送装置22を閉じて原稿をコンタクトガラス21aに押圧してセットする。読取装置21に対する自動原稿給紙装置22の開放角度はほぼ90度であり、コンタクトガラス21a上に原稿を載置する作業、コンタクトガラス21aのメンテナンス作業等が容易となっている。
【0097】
図8を参照して、画像ステーション60Y、60M、60C、60Kについて、そのうちの一つの、感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yの構成を代表して構成を説明する。なお、他の画像ステーションの構成に関しても実質的に同一であるので、以下の説明においては、便宜上、画像ステーション60Yの構成に付した符号に対応する符号を、他の画像ステーションの構成に付し、また詳細な説明については適宜省略することとする。符号の末尾にY、M、C、Kが付されたものはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成を行うための構成であることを示す。
【0098】
感光体ドラム20Yを備えた画像ステーション60Yは、感光体ドラム20Yの周囲に、時計方向である回転方向B1に沿って、1次転写ローラ12Yと、感光体ドラム20Yをクリーニングするためのクリーニング装置70Yと、感光体ドラム20Yを高圧に帯電するための帯電装置30Yと、感光体ドラム20Yを現像するための現像装置50Yとを有している。現像装置52Yは、感光体ドラム20Yに対向する位置に配設された現像ローラ51Yを有している。
【0099】
感光体ドラム20Yと、クリーニング装置70Yと、帯電装置30Yと、現像装置52Yとは一体化されており、プロセスカートリッジを構成している。プロセスカートリッジは本体99に対して着脱自在となっている。このようにプロセスカートリッジ化することは、交換部品として取り扱うことができるため、メンテナンス性が著しく向上し、大変好ましい。
【0100】
以上のような構成により、感光体ドラム20Yは、図8に示す矢印B1方向への回転に伴い、帯電装置30Yにより表面を一様に帯電され、光走査装置8からのビームLYの露光走査によりイエロー色に対応した静電潜像を形成される。この静電潜像の形成は、ビームLYが、紙面垂直方向である主走査方向に走査するとともに、感光体ドラム20Yの矢印B1方向への回転により、感光体ドラム20Yの円周方向である副走査方向へも走査することによって行われる。
【0101】
このようにして形成された静電潜像には、現像装置50Yにより供給される帯電したイエロー色のトナーが付着し、イエロー色に現像されて顕像化され、現像により得られたイエロー色の可視画像たるトナー像は、1次転写ローラ12Yにより矢印A1方向に移動する転写ベルト29に1次転写され、転写後に残留したトナー等の異物はクリーニング装置70Yにより掻き取り除去され備蓄されて、感光体ドラム20Yは、帯電装置30Yによる次の帯電に供される。
【0102】
他の感光体ドラム20C、20M、20Kにおいても同様に各色のトナー像が形成等され、形成された各色のトナー像は、1次転写ローラ12C、12M、12Kにより、矢印A1方向に移動する転写ベルト29上の同じ位置に順次1次転写される。
【0103】
転写ベルト29上に重ね合わされたトナー像は、転写ベルト29の矢印A1方向の回転に伴い、2次転写ローラ5との対向位置である転写部まで移動し、この転写部において転写紙Sに2次転写される。
【0104】
転写紙Sは、シート給送装置23から繰り出されるとともに、センサによる検出信号に基づき、レジストローラ対130によって、転写ベルト29上のトナー像の先端部が2次転写ローラ5に対向するタイミングで転写ベルト29と2次転写ローラ5との間に搬送される。
【0105】
転写紙Sは、その表面にすべての色のトナー像が一括転写されると、矢印C1方向に搬送されて定着装置6に進入し、定着ローラ62と加圧ローラ63との間の定着部を通過する際、熱と圧力との作用により、担持したトナー像を定着される。この定着処理により、転写紙S上にカラー画像が形成される。
【0106】
定着装置6を通過した定着済みの転写紙Sは、排紙ローラ7を経て、排紙トレイ170上に排出される。一方、2次転写を終えた中間転写ベルト29は、クリーニング装置によってクリーニングされ、次の1次転写が可能な状態となる。
【0107】
本実施例の画像形成装置においては、露光プロセスを実行する装置として上述した本発明に係る光走査装置が用いられている。
【0108】
この光走査装置は、折り返しミラーのレイアウト性に影響を与えることなく、寸法のばらつきや取付位置のばらつきによる被走査面上でのビームスポット径のばらつきを抑制することができるとともに、小型で、高品質の画像を得ることができるようになっている。そのため、その光走査装置を採用した本実施例の画像形成装置も小型で、高品質の画像を得ることができるようになっている。
【符号の説明】
【0109】
6 定着装置
10 光源
11 カップリングレンズ
12 アパーチャ部材
13 線像形成レンズ
15 ポリゴンミラー
16 第1走査レンズ
17 第2走査レンズ
18 防塵レンズ
20 折り返しミラー
29 中間転写ベルト
30Y、30M、30C、30K 帯電装置
51Y、51M、51C、51K 現像ローラ
52Y、52M、52C、52K 現像装置
60Y、60M、60C、60K 画像ステーション
62 定着ローラ
63 加圧ローラ
70Y、70M、70C、70K クリーニング装置
99 本体
100 光走査装置
201 感光体ドラム
290 転写ベルトユニット
300 画像形成装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0110】
【特許文献1】特開2001−296491号公報
【特許文献2】特開2004−086019号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光ビームを主走査方向に走査するための光偏向手段と、
前記光偏向手段によって走査された光ビームを被走査面に集光するために、第1走査レンズと第2走査レンズを有する走査光学系と、
を備えた光走査装置において、
被走査面の主走査方向の中心に到る光束の光路における距離に関し、
前記光偏向手段の偏向面から第1走査レンズの入射面までの距離よりも、第1走査レンズの出射面から第2走査レンズの入射面までの距離が短く、
前記第2走査レンズの出射面は前記偏向面と前記被走査面との中点よりも前記偏向面側にあり、
前記走査光学系の副走査方向の像面側主点は、前記偏向面と被走査面との中点よりも被走査面側にあることを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記第1走査レンズの副走査方向のパワーは全像高に亘って凹パワーであり、前記第2走査レンズの副走査方向のパワーは全像高に亘って凸パワーである請求項1記載の光走査装置。
【請求項3】
前記第1走査レンズの副走査形状は全像高に亘って両凹の形状からなり、前記第2走査レンズの副走査形状は全像高に亘って前記偏向器に凹面を向けたメニスカス形状である請求項1又は2記載の光走査装置。
【請求項4】
上記第1走査レンズの入射面の副走査方向のパワーをΦ1、第1走査レンズの出射面の副走査方向のパワーをΦ2、第2走査レンズの入射面の副走査方向のパワーをΦ3とすると、それぞれのパワーは負のパワーであるとともに、
|Φ3|≦|Φ2|≦|Φ1|
となる請求項3記載の光走査装置。
【請求項5】
前記第1走査レンズ及び前記第2走査レンズのパワーはそれぞれ、光軸から主走査方向外側に向けて小さくなる請求項1乃至4のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項6】
前記光偏向手段によって偏向された光束を反射し、前記被走査面に導光する反射部材を備え、前記反射部材は前記第2走査レンズと前記被走査面との間に配置される請求項1乃至5のいずれかに記載の光走査装置。
【請求項7】
電子写真プロセスを実行することによって画像を得る画像形成装置であって、電子写真プロセスの露光プロセスを実行する装置として請求項1乃至6のいずれかに記載の光走査装置を用いた画像形成装置。
【請求項8】
複数の感光体を備えたタンデム方式のカラー画像形成装置である請求項7記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−39476(P2011−39476A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11255(P2010−11255)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】