説明

入出門IDカード管理システムおよび入出門ID管理方法

【課題】複数の施設における入出門状況管理および入出門IDカードの再発行管理を統合的に行うことができる入出門IDカード管理システムおよび方法を提供する。
【解決手段】入出門IDカード管理システム1は、入出門IDカード統合管理装置10と、入出門IDカード統合管理装置10と通信回線40を介して相互接続された複数の入出門IDカード管理装置20,30とを具備する。入出門IDカード統合管理装置10は、入出門状況データベース17に格納されている入出門状況に関するデータを読み出して、特定の入出門IDカードについて異常な入出門または再発行が行われていないかをチェックし、異常な入出門または再発行が行われている入出門IDカードが見つかると、その旨を、複数の施設のうちのこの入出門IDカードを発行した施設に設けられた入出門IDカード管理装置20,30に送信する異常判定部14を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入出門IDカード管理システムおよび入出門IDカード管理方法に関し、特に、火力発電所などの工事に関わる請負人に対して発行される入出門IDカードを管理するのに好適な入出門IDカード管理システムおよび入出門IDカード管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力会社などにおいては、たとえば、発電所の電力設備などの工事に関わる請負人は多業種にわたるとともに多人数であり、請負人が発電所などに入る際のチェックは、一般に、請負人の一人一人に入出門IDカードを発行することにより行われている。また、請負人には、常時作業をする人もいれば、所定の作業期間内にのみ作業をする人もいるため、請負人の入出門の管理は、発電所毎に、入出門の際に請負人に入出門IDカードを提示させたりカード読取装置に挿入させたりして、形式的に行われているにすぎない。さらに、入出門IDカードの管理は、請負人本人または請負会社が行っている。
【0003】
下記の特許文献1には、多人数の頻繁な入出門の管理を自動化するために、入出門する頻度が高い各個人に個人情報を記録した記録媒体を渡しておき、入門する際、また出門する際には、それを読取装置によって読み取らせ、これをデータ受信装置が受信し、データ受信装置が受信した個人情報のデータを、入出門履歴データ登録手段によって記録媒体から当該情報を読み取った読取時刻と共に入出門データベース装置に登録し、入出門データベース装置に、当該システムの設置されている設備あるいは施設に入門した人、また出門した人の履歴データを蓄積し、必要に応じて、データベース検索手段により入出門データベース装置を所定のテーマで検索し、その検索結果を出力手段から得る、入出門管理システムが開示されている。
【特許文献1】特開2000−231646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、指紋、顔写真および声紋などを用いた生体認証システムのような高度セキュリティシステムが開発されている。しかしながら、このような高度セキュリティシステムを各発電所などに導入すると、多大なコストがかかり、結果的に電気料金の値上げにつながってしまうという問題がある。
また、入出門IDカードによる管理では、入出門IDカードが汚れたり、請負人が入出門IDカードを紛失してしまったり、入出門IDカードが盗まれたりすると、入出門カードの再発行が行われている。しかしながら、再発行前の入出門IDカードの管理を統合的に行わないと、他人が発行前の入出門IDカードを悪用して発電所などに入ることができるという問題がある。
さらに、セキュリティーの観点から、入出門IDカードの再発行を繰り返す発電所、請負会社および請負人をチェックして、警告したり入門を禁止したりする必要がある。
【0005】
本発明の目的は、複数の施設における入出門状況管理および入出門IDカードの再発行管理を統合的に行うことができる入出門IDカード管理システムおよび入出門IDカード管理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の入出門IDカード管理システム(1)は、入出門IDカード統合管理装置(10)と、複数の施設にそれぞれ設けられた、かつ、前記入出門IDカード統合管理装置と通信回線(40)を介して相互接続された複数の入出門IDカード管理装置(20,30)とを具備する入出門IDカード管理システムであって、前記入出門IDカード統合管理装置が、前記複数の入出門IDカード管理装置からそれぞれ送信されてくる、かつ、前記複数の施設でそれぞれ発行された入出門IDカードに関するデータを、施設毎に入出門IDカードデータベース(16)に登録する入出門IDカード登録部(11)と、前記複数の入出門IDカード管理装置から送信されてくる、かつ、前記複数の施設のそれぞれにおける入出門状況に関するデータを、施設毎に入出門状況データベース(17)に登録する入出門状況管理部(13)と、前記入出門状況データベースに格納されている入出門状況に関するデータを読み出して、特定の入出門IDカードについて異常な入出門が行われていないかをチェックし、異常な入出門が行われている入出門IDカードが見つかると、その旨を、前記複数の施設のうちの該入出門IDカードを発行した施設に設けられた入出門IDカード管理装置に送信する異常判定部(14)とを備えることを特徴とする。
ここで、前記入出門IDカード統合管理装置が、前記複数の入出門IDカード管理装置から送信されてくる、かつ、前記複数の施設のそれぞれで再発行された入出門IDカードに関するデータを、施設毎に前記入出門IDカードデータベースに登録する再発行IDカード登録部(12)をさらに備え、前記異常判定部が、前記入出門IDカードデータベースに格納されている再発行された入出門IDカードに関するデータを読み出して、異常な再発行がされていないかをチェックし、異常な再発行が見つかると、その旨を、前記複数の施設のうちの該入出門IDカードを再発行した施設に設けられた入出門IDカード管理装置に送信してもよい。
再発行ID番号として、再発行前の入出門IDカードのID番号に、再発行を示す識別記号と再発行回数とを付加したものを用いてもよい。
前記異常判定部が、前記再発行ID番号に示されている再発行回数に基づいて、ある一定期間における再発行回数または該再発行回数の統計値を求め、該求めた再発行回数または再発行回数の統計値に基づいて、人、施設または日時に起因する不正を摘発するための警告を発してもよい。
【0007】
本発明の入出門IDカード管理方法は、入出門IDカード統合管理装置(10)の入出門状況管理部(13)が、複数の施設にそれぞれ設けられた複数の入出門IDカード管理装置(20,30)からそれぞれ送信されてくる入出門状況テーブルに基づいて、入出門状況データベース(17)に施設毎に格納されている入出門状況テーブルを更新するステップ(S14)と、前記入出門IDカード統合管理装置の異常判定部(14)が、前記入出門状況データベースに施設毎に格納されている前記入出門状況テーブルを読み出して、各施設における入出門状況に異常がなかったか否かを判定し、異常な入出門が行われている入出門IDカードが見つかると、その旨を前記複数の施設のうちの該入出門IDカードを発行した施設に設けられた入出門IDカード管理装置に送信するステップ(S15)とを具備することを特徴とする。
ここで、入出門IDカードの再発行の申請があると、再発行要求信号と共に、該入出門IDカードのID番号、紛失日、再発行理由および再発行日が、入力装置を用いて、前記複数の施設のうちの該入出門IDカードの再発行をする施設に設けられた入出門IDカード管理装置に入力されるステップ(S21)と、前記入出門IDカード管理装置の再発行IDカード登録部が、前記入力装置から入力された再発行要求信号に応じて、前記入力されたID番号に基づいて入出門IDカードを無効にするステップ(S22)と、前記再発行IDカード登録部が、前記入出門IDカード管理装置に備えられた入出門IDカードデータベース(25)に格納されている再発行入出門IDカードテーブルを読み出して、前記入力されたID番号、前記入力された紛失日、前記入力された再発行理由、前記入力された再発行日および再発行ID番号を示したデータを前記再発行入出門IDカードテーブルに追加して前記入出門IDカード管理装置に備えられた前記入出門IDカードデータベースに格納するステップ(S23)と、前記再発行IDカード登録部が、前記入出門IDカード管理装置に備えられた前記入出門状況データベースに格納されている再発行入出門IDカードテーブルを読み出して、前記入出門IDカード統合管理装置に送信するステップ(S24)と、前記入出門IDカード統合管理装置の再発行IDカード登録部が、前記入出門IDカード管理装置から送信されてくる再発行IDカードテーブルに基づいて、該入出門IDカード統合管理装置に備えられた入出門IDカードベース(16)に施設毎に格納されている再発行IDカードテーブルを更新するステップ(S25)と、
前記入出門IDカード統合管理装置の前記異常判定部が、該入出門IDカード統合管理装置に備えられた前記入出門IDカードデータベースに施設毎に格納されている前記再発行IDカードテーブルを読み出して、各施設における入出門IDカードの再発行に異常がなかったか否かを判定するステップ(S26)とをさらに具備してもよい。
再発行ID番号として、再発行前の入出門IDカードのID番号に、再発行を示す識別記号と再発行回数とを付加したものを用いてもよい。
前記異常判定部が、前記再発行ID番号に示されている再発行回数に基づいて、ある一定期間における再発行回数または該再発行回数の統計値を求め、該求めた再発行回数または再発行回数の統計値に基づいて、人、施設または日時に起因する不正を摘発するための警告を発してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の入出門IDカード管理システムおよび入出門IDカード管理方法は、以下の効果を奏する。
(1)発電所のような施設毎に行われていた入出門状況管理および/または入出門IDカードの再発行管理を統合的に行うことにより、ある施設の工事用に発行された入出門IDカードを使用して他の施設に入ろうとするような不正使用や再発行前の入出門IDカードの悪用をチェックすることができる。
(2)入出門IDカードの再発行を統合的に管理することにより、異常な再発行を行ったり繰り返したりする施設、請負会社および請負人をチェックして警告したり入門を禁止したりすることができる。
(3)再発行を示す識別記号および再発行回数をID番号に付加した再発行ID番号を採用することにより、入出門IDカードの異常な再発行を容易に見つけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
複数の施設における入出門状況管理および入出門IDカードの再発行管理を統合的に行うという目的を、複数の施設にそれぞれ設けられた入出門IDカード管理装置と通信回線を介して相互接続された入出門IDカード統合管理装置において、各施設における入出門管理状況および再発行状況を管理することにより実現した。
【実施例1】
【0010】
以下、本発明の入出門IDカード管理システムおよび入出門IDカード管理方法の実施例について、図面を参照して説明する。
本発明の一実施例による入出門IDカード管理システム1は、図1に示すように、本社に設けられた入出門IDカード統合管理装置10と、A発電所に設けられた第1の入出門IDカード管理装置20と、B発電所に設けられた第2の入出門IDカード管理装置30とを具備する。ここで、入出門IDカード統合管理装置10と第1の入出門IDカード管理装置20と第2の入出門IDカード管理装置30とは通信回線40を介して相互接続されている。
【0011】
第1の入出門IDカード管理装置20は、入出門IDカード登録部21と、再発行IDカード登録部22と、入出門状況管理部23と、送受信部14とを備える。
入出門IDカード登録部21は、入力装置(不図示)から入力されるかつA発電所で発行された入出門IDカードに関するデータを入出門IDカードデータベース(入出門IDカードDB)25に登録する。
【0012】
ここで、A発電所で発行された入出門IDカードに関するデータは、たとえば、表1に示すように、発行順の通し番号からなるID番号、請負会社を特定するための会社コード、請負人を特定するための社員コード、入出門IDカードの発行日、入出門IDカードの有効期限、および、入出門IDカードが紛失されたか否かを示す紛失コードを、各入出門IDカードについて示した入出門IDカードテーブルとして、入出門IDカードデータベース25に登録される。
【表1】

【0013】
また、入出門IDカード登録部21は、定期的にまたは入出門IDカード統合管理装置10の要求に応じて、入出門IDカードデータベースに格納されているA発電所で発行された入出門IDカードに関するデータを読み出して入出門IDカード統合管理装置10に送信する。
【0014】
再発行IDカード登録部22は、入力装置から入力されるかつA発電所で再発行された入出門IDカードに関するデータを入出門IDカードデータベース25に登録する。
ここで、A発電所で再発行された入出門IDカードに関するデータは、たとえば、表2に示すように、再発行前の入出門IDカードのID番号、入出門IDカードの紛失日、再発行理由、再発行日、および、再発行ID番号を、各再発行された入出門IDカードについて示した再発行入出門IDカードテーブルとして、入出門IDカードデータベース25に登録される。
【表2】

【0015】
なお、再発行ID番号として、再発行前の入出門IDカードのID番号の先頭に、再発行を示す記号である「R」と、その入出門IDカードについての再発行回数を示す数字とを付加したものを用いることにより、入出門IDカードについて何回再発行がされたかを再発行ID番号から分かるようにすることができる。
【0016】
また、再発行IDカード登録部22は、定期的にまたは入出門IDカード統合管理装置10の要求に応じて、入出門IDカードデータベース25に格納されているA発電所で再発行された入出門IDカードに関するデータを読み出して入出門IDカード統合管理装置10に送信する。
【0017】
入出門状況管理部23は、A発電所における入出門状況に関するデータ入出門状況データベース(入出門状況DB)26に登録する。
また、入出門状況管理部23は、定期的にまたは入出門IDカード統合管理装置10の要求に応じて、データ入出門状況データベース26に格納されているA発電所における入出門状況に関するデータを読み出して、入出門IDカード統合管理装置10に送信する。
【0018】
送受信部24は、第1の入出門IDカード管理装置20と入出門IDカード統合管理装置10との間の各種のデータの送受信を通信回線40を介して行う。
【0019】
第2の入出門IDカード管理装置30は、第1の入出門IDカード管理装置20と同様の構成を有する。
【0020】
入出門IDカード統合管理装置10は、入出門IDカード登録部11と、再発行IDカード登録部12と、入出門状況管理部13と、異常判定部14と、送受信部15とを備える。
入出門IDカード登録部11は、第1および第2の入出門IDカード管理装置20,30からそれぞれ送信されてくるA発電所で発行された入出門IDカードに関するデータおよびB発電所で発行された入出門IDカードに関するデータを、発電所毎に入出門IDカードデータベース(入出門IDカードDB)16に登録する。
【0021】
再発行IDカード登録部12は、第1および第2の入出門IDカード管理装置20,30からそれぞれ送信されてくるA発電所で再発行された入出門IDカードに関するデータおよびB発電所で再発行された入出門IDカードに関するデータを、発電所毎に入出門IDカードデータベース16に登録する。
【0022】
入出門状況管理部13は、第1および第2の入出門IDカード管理装置20,30からそれぞれ送信されてくるA発電所における入出門状況に関するデータおよびB発電所における入出門状況に関するデータを、発電所毎に入出門状況データベース(入出門状況DB)17に登録する。
【0023】
異常判定部14は、定期的にまたは必要に応じて、入出門状況データベース17に格納されている入出門状況に関するデータを読み出して、特定の入出門IDカードについて異常な入出門が行われていないかをチェックし、異常な入出門が行われている入出門IDカードが見つかると、その旨を、この入出門IDカードを発行または再発行した施設(A発電所またはB発電所)に設けられた入出門IDカード管理装置(第1または第2の入出門IDカード管理装置20,30)に送信する。
【0024】
また、異常判定部14は、定期的にまたは必要に応じて、入出門IDカードデータベース16に格納されている再発行された入出門IDカードに関するデータを読み出して、異常な再発行がされていないかをチェックし、異常な再発行が見つかると、その旨を、この入出門IDカードを再発行した施設(A発電所またはB発電所)に設けられた入出門IDカード管理装置(第1または第2の入出門IDカード管理装置20,30)に送信する。
【0025】
送受信部15は、入出門IDカード統合管理装置10と第1および第2の入出門IDカード管理装置20,30との間の各種のデータの送受信を通信回線40を介して行う。
【0026】
次に、本実施例による入出門IDカード管理システム1の動作(本発明の一実施例による入出門IDカード管理方法)について説明する。
まず、入出門IDカード管理システム1の入出門状況管理動作について、表1に示すID番号“00000001”の入出門IDカードを有する請負人x(会社コード“0001”の請負会社Xに所属し、社員コード“10000012”)が、有効期限である2005年3月31日を過ぎた2005年4月1日にA発電所に入ろうとした場合を例として、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0027】
請負人xがA発電所に入るために入出門IDカードをカード読取装置に挿入すると、この入出門IDカードのID番号“00000001”がカード読取装置から第1の入出門IDカード管理装置20に入力される(ステップS11)。
【0028】
第1の入出門IDカード管理装置20の入出門状況管理部23は、カード読取装置から入力されたID番号“00000001”に基づいて、入出門IDカードデータベース25に格納されている入出門IDカードテーブル(表1)を検索して、入出門IDカードテーブルのID番号“00000001”に関する「有効期限」が“2005/03/31”であることを確認すると、請負人xの入門不許可を示す警報を表示装置(不図示)に表示させるとともに、入出門状況データベース26に格納されている入出門状況テーブルを読み出して、ID番号“00000001”の入出門状況に「2005年4月1日に有効期限を過ぎて入門しようとした」旨を付加したのちに、入出門状況テーブルを入出門状況データベース26に格納する(ステップS12)。
【0029】
その後、入出門状況管理部23は、定期的に、または、入出門IDカード統合管理装置10の要求に応じて、入出門状況データベース26に格納されている入出門状況テーブルを読み出して、入出門IDカード統合管理装置10に送受信部24を介して送信する(ステップS13)。
【0030】
入出門IDカード統合管理装置10の入出門状況管理13は、第1の入出門IDカード管理装置20から送受信部15を介して送信されてくる入出門状況テーブルに基づいて、入出門状況データベース17に発電所毎に格納されている入出門状況テーブルを更新する(ステップS14)。
【0031】
異常判定部14は、定期的にまたは必要に応じて、入出門状況データベース17に発電所毎に格納されている入出門状況テーブルを読み出して、各発電所における入出門状況に異常がなかったか否かを判定し、異常な入出門が行われている入出門IDカードが見つかると、その旨をこの入出門IDカードを発行したA発電所またはB発電所に設けられた入出門IDカード管理装置20,30に送信する(ステップS15)。
たとえば、異常判定部14は、ある一定期間(たとえば1ヶ月)における上述したような有効期限を過ぎた入出門などの異常入出門回数をID番号毎に求め、異常入出門回数の多い発電所、請負会社および請負人などをチェックして、チェック結果をこの入出門IDカードを発行したA発電所またはB発電所に設けられた入出門IDカード管理装置20,30に送信する。
なお、異常判定部14は、異常入出門回数を統計処理(たとえば、相対的な平均異常入出門密度を求めるなど)し、異常入出門を繰り返す発電所、請負会社および請負人などをチェックして、チェック結果を表示装置に表示したり出力装置に出力したりしてもよい。
【0032】
これにより、入出門IDカードが不正に使用されている発電所に対して改善を求めたり、入出門IDカードを不正に使用する請負会社および請負人を特定して、警告を発したり入出門を全面禁止したりすることができる。その結果、請負人(人)、発電所(施設)または日時に起因する不正を摘発するための警告を発することができる。
【0033】
次に、本実施例による入出門IDカード管理システム1の再発行管理動作について、表1に示すID番号“00000001”の入出門IDカードを有する請負人xが2005年2月10日に入出門IDカードを紛失してしまい、請負会社Xが請負人xの入出門IDカードの再発行を2005年3月1日にA発電所の担当者に申請した場合を例として、図3に示すフローチャートを参照して説明する。
【0034】
A発電所の担当者は、請負会社Xから請負人xの入出門IDカードの再発行の申請があると、再発行要求信号と共に、請負人xの入出門IDカードのID番号“00000001”、紛失日“2005/02/10”、再発行理由“紛失”および再発行日“2005/03/01”を、入力装置を用いて第1の入出門IDカード管理装置20に入力する(ステップS21)。
【0035】
第1の入出門IDカード管理装置20の再発行IDカード登録部22は、入力装置から入力された再発行要求信号に応じて、入力されたID番号“00000001”に基づいて、入出門IDカードデータベース25に格納されている入出門IDカードテーブル(表1)を検索して、入出門IDカードテーブルのID番号“00000001”に関する「紛失コード」が“0”であることを確認すると、「紛失コード」を“0”から“1”に変更することにより、ID番号“00000001”の入出門IDカードを無効にする(ステップS22)。
【0036】
また、再発行IDカード登録部22は、入力されたID番号“00000001”に再発行を示す“R”と再発行回数を示す“1”とを付加した再発行ID番号“R100000001”を生成する。その後、再発行IDカード登録部22は、入出門IDカードデータベース25に格納されている再発行入出門IDカードテーブル(表2)を読み出して、入力されたID番号“00000001”、入力された紛失日“2005/02/10”、入力された再発行理由“紛失”入力された再発行日“2005/03/01”および生成した再発行ID番号“R100000001”を示したデータを再発行入出門IDカードテーブルに追加して、再発行入出門IDカードテーブルを入出門IDカードデータベース25に格納する(ステップS23)。
【0037】
その後、再発行IDカード登録部22は、定期的に、または、入出門IDカード統合管理装置10の要求に応じて、入出門状況データベース26に格納されている再発行入出門IDカードテーブルを読み出して、入出門IDカード統合管理装置10に送受信部24を介して送信する(ステップS24)。
【0038】
入出門IDカード統合管理装置10の再発行IDカード登録部12は、第1の入出門IDカード管理装置20から送受信部15を介して送信されてくる再発行IDカードテーブルに基づいて、入出門状況データベース17に発電所毎に格納されている再発行IDカードテーブルを更新する(ステップS25)。
【0039】
異常判定部14は、定期的にまたは必要に応じて、入出門IDカードデータベース16に発電所毎に格納されている再発行IDカードテーブルを読み出して、各発電所における入出門IDカードの再発行に異常がなかったか否かを判定し、異常な再発行が見つかると、その旨をこの入出門IDカードを発行した発電所(A発電所またはB発電所)に設けられた入出門IDカード管理装置20,30に送信する(ステップS26)。
たとえば、異常判定部14は、再発行IDカードテーブルに記入されている各再発行ID番号に示されている再発行回数をチェックし、ある一定期間(たとえば1ヶ月)における再発行回数をID番号毎に求め、再発行回数の多い発電所、請負会社および請負人などをチェックして、チェック結果をこの入出門IDカードを発行したA発電所またはB発電所に設けられた入出門IDカード管理装置20,30に送信する。
なお、異常判定部14は、再発行回数を統計処理(たとえば、相対的な平均再発行密度を求めるなど)し、異常な再発行を繰り返す発電所、請負会社および請負人などをチェックしてもよい。
【0040】
これにより、入出門IDカードが不正に再発行されている発電所に対して改善を求めたり、入出門IDカードを不正に再発行申請する請負会社および請負人を特定して、警告を発したり入出門を全面禁止したりすることができる。その結果、請負人(人)、発電所(施設)または日時に起因する不正を摘発するための警告を発することができる。
【0041】
以上の説明では、再発行ID番号として、再発行前の入出門IDカードのID番号の先頭に、再発行を示す記号である「R」と、その入出門IDカードについての再発行回数を示す数字とを付加したものを用いたが、再発行を示す記号および再発行回数を示す数字を付加する場所はID番号の先頭でなくてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
以上説明したように、本発明の入出門IDカード管理システムおよび入出門IDカード管理方法は、火力発電所などの工事に関わる請負人に対して発行される入出門IDカードを管理するのに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施例による入出門IDカード管理システムの構成を示す図である。(実施例1)
【図2】図1に示した入出門IDカード管理システム1の動作を説明するためのフローチャートである。(実施例1)
【図3】図1に示した入出門IDカード管理システム1の動作を説明するためのフローチャートである。(実施例1)
【符号の説明】
【0044】
1 入出門IDカード管理システム
10 入出門IDカード統合管理装置
11,21,31 入出門IDカード登録部
12,22,32 再発行IDカード登録部
13,23,33 入出門状況管理部
14 異常判定部
15,24,34 送受信部
16,25,35 入出門IDカードデータベース
17,26,36 入出門状況データベース
20,30 入出門IDカード管理装置
40 通信回線
S11〜S15,S21〜S26 ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入出門IDカード統合管理装置(10)と、
複数の施設にそれぞれ設けられた、かつ、前記入出門IDカード統合管理装置と通信回線(40)を介して相互接続された複数の入出門IDカード管理装置(20,30)と、
を具備する入出門IDカード管理システムであって、
前記入出門IDカード統合管理装置が、
前記複数の入出門IDカード管理装置からそれぞれ送信されてくる、かつ、前記複数の施設でそれぞれ発行された入出門IDカードに関するデータを、施設毎に入出門IDカードデータベース(16)に登録する入出門IDカード登録部(11)と、
前記複数の入出門IDカード管理装置から送信されてくる、かつ、前記複数の施設のそれぞれにおける入出門状況に関するデータを、施設毎に入出門状況データベース(17)に登録する入出門状況管理部(13)と、
前記入出門状況データベースに格納されている入出門状況に関するデータを読み出して、特定の入出門IDカードについて異常な入出門が行われていないかをチェックし、異常な入出門が行われている入出門IDカードが見つかると、その旨を、前記複数の施設のうちの該入出門IDカードを発行した施設に設けられた入出門IDカード管理装置に送信する異常判定部(14)とを備える、
ことを特徴とする、入出門IDカード管理システム。
【請求項2】
前記入出門IDカード統合管理装置が、前記複数の入出門IDカード管理装置から送信されてくる、かつ、前記複数の施設のそれぞれで再発行された入出門IDカードに関するデータを、施設毎に前記入出門IDカードデータベースに登録する再発行IDカード登録部(12)をさらに備え、
前記異常判定部が、前記入出門IDカードデータベースに格納されている再発行された入出門IDカードに関するデータを読み出して、異常な再発行がされていないかをチェックし、異常な再発行が見つかると、その旨を、前記複数の施設のうちの該入出門IDカードを再発行した施設に設けられた入出門IDカード管理装置に送信する、
ことを特徴とする、請求項1記載の入出門IDカード管理システム。
【請求項3】
再発行ID番号として、再発行前の入出門IDカードのID番号に、再発行を示す識別記号と再発行回数とを付加したものを用いることを特徴とする、請求項1または2記載の入出門IDカード管理システム。
【請求項4】
前記異常判定部が、前記再発行ID番号に示されている再発行回数に基づいて、ある一定期間における再発行回数または該再発行回数の統計値を求め、該求めた再発行回数または再発行回数の統計値に基づいて、人、施設または日時に起因する不正を摘発するための警告を発することを特徴とする、請求項1乃至3いずれかに記載の入出門IDカード管理システム。
【請求項5】
入出門IDカード統合管理装置(10)の入出門状況管理部(13)が、複数の施設にそれぞれ設けられた複数の入出門IDカード管理装置(20,30)からそれぞれ送信されてくる入出門状況テーブルに基づいて、入出門状況データベース(17)に施設毎に格納されている入出門状況テーブルを更新するステップ(S14)と、
前記入出門IDカード統合管理装置の異常判定部(14)が、前記入出門状況データベースに施設毎に格納されている前記入出門状況テーブルを読み出して、各施設における入出門状況に異常がなかったか否かを判定し、異常な入出門が行われている入出門IDカードが見つかると、その旨を前記複数の施設のうちの該入出門IDカードを発行した施設に設けられた入出門IDカード管理装置に送信するステップ(S15)と、
を具備することを特徴とする、入出門IDカード管理方法。
【請求項6】
入出門IDカードの再発行の申請があると、再発行要求信号と共に、該入出門IDカードのID番号、紛失日、再発行理由および再発行日が、入力装置を用いて、前記複数の施設のうちの該入出門IDカードの再発行をする施設に設けられた入出門IDカード管理装置に入力されるステップ(S21)と、
前記入出門IDカード管理装置の再発行IDカード登録部が、前記入力装置から入力された再発行要求信号に応じて、前記入力されたID番号に基づいて入出門IDカードを無効にするステップ(S22)と、
前記再発行IDカード登録部が、前記入出門IDカード管理装置に備えられた入出門IDカードデータベース(25)に格納されている再発行入出門IDカードテーブルを読み出して、前記入力されたID番号、前記入力された紛失日、前記入力された再発行理由、前記入力された再発行日および再発行ID番号を示したデータを前記再発行入出門IDカードテーブルに追加して前記入出門IDカード管理装置に備えられた前記入出門IDカードデータベースに格納するステップ(S23)と、
前記再発行IDカード登録部が、前記入出門IDカード管理装置に備えられた前記入出門状況データベースに格納されている再発行入出門IDカードテーブルを読み出して、前記入出門IDカード統合管理装置に送信するステップ(S24)と、
前記入出門IDカード統合管理装置の再発行IDカード登録部が、前記入出門IDカード管理装置から送信されてくる再発行IDカードテーブルに基づいて、該入出門IDカード統合管理装置に備えられた入出門IDカードベース(16)に施設毎に格納されている再発行IDカードテーブルを更新するステップ(S25)と、
前記入出門IDカード統合管理装置の前記異常判定部が、該入出門IDカード統合管理装置に備えられた前記入出門IDカードデータベースに施設毎に格納されている前記再発行IDカードテーブルを読み出して、各施設における入出門IDカードの再発行に異常がなかったか否かを判定するステップ(S26)と、
をさらに具備することを特徴とする、請求項5記載の入出門IDカード管理方法。
【請求項7】
再発行ID番号として、再発行前の入出門IDカードのID番号に、再発行を示す識別記号と再発行回数とを付加したものを用いることを特徴とする、請求項5または6記載の入出門IDカード管理方法。
【請求項8】
前記異常判定部が、前記再発行ID番号に示されている再発行回数に基づいて、ある一定期間における再発行回数または該再発行回数の統計値を求め、該求めた再発行回数または再発行回数の統計値に基づいて、人、施設または日時に起因する不正を摘発するための警告を発することを特徴とする、請求項5乃至7いずれかに記載の入出門IDカード管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−98944(P2009−98944A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−270003(P2007−270003)
【出願日】平成19年10月17日(2007.10.17)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】