説明

分子篩SSZ−75組成物及びその合成

本発明は、テトラメチレン−1,4−ビス−(N−メチルピロリジニウム)ジカチオンを構造指向剤として使用して調製されるSTIトポロジーを有する新しい結晶質分子篩SSZ−75、SSZ−75を合成する方法、及びSSZ−7の利用法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新しい結晶質分子篩SSZ−75、テトラメチレン−1,4−ビス−(N−メチルピロリジニウム)ジカチオンを構造指向剤(「SDA」)として使用してSSZ−75を調製する方法、及びSSZ−7の利用法に関する。
【背景技術】
【0002】
その独特の篩特性とともにその触媒特性のため、結晶質分子篩及びゼオライトは、炭化水素変換、ガス乾燥、及びガス分離などの用途に特に有用である。多くの異なる結晶質分子篩が開示されているが、ガス分離及び乾燥、炭化水素及び化学変換、並びに他の用途のために望ましい特性を持つ新しい分子篩に対するニーズは絶えずある。新しい分子篩は、新規性のある内部細孔構造を含み、これらのプロセスにおいて選択性を高めることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、本明細書で「分子篩SSZ−75」又は単に「SSZ−75」と呼ばれる、固有の特性を有する結晶質分子篩の一群を対象とする。SSZ−75は、IZAにより「STI」と指定されるフレームワークトポロジーを有する。STIトポロジーを有する材料は、天然に存在する束沸石及びTNU−10と指定されるゼオライトを含む。束沸石は、Breck,「ゼオライト分子篩(Zeolite Molecular Sieves)」,1984,Robert E.Krieger Publishing Companyにおいて開示されており、束沸石の標準的なシリカ/アルミナモル比は5.2であると報告されている。TNU−10は、Hongら,J.AM.CHEM.SOC.2004,126,5817〜5826において、約14のシリカ/アルミナモル比を有すると報告されている。生成物中のシリカ/アルミナモル比を高める試みがなされたときには、TNU−10以外の物質が生成された。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩が提供される。SSZ−75分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ。「少なくとも15のモル比」という語句は、酸化物(2)がない、つまり、酸化物(1)と酸化物(2)のモル比が無限大である場合を含むことに留意されたい。その場合、分子篩は、本質的にすべて酸化ケイ素を含む。
【0005】
本発明は、さらに、STIトポロジーを有し、(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物から選択された酸化物との少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩も提供する。SSZ−75分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ。
【0006】
本発明は、さらに、合成されたまま、無水状態において、モル比で、以下を含む組成を有するこのような結晶質分子篩を提供する。
SiO/X 少なくとも15(つまり、15〜無限大)
2/n/SiO 0〜0.03
Q/SiO 0.02〜0.08
F/SiO 0.01〜0.04
式中、Xはアルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム、及びこれらの混合物であり、cは1又は2であり、dはcが1のときに2(つまり、Wは4価)であるか、又はdはcが2のときに3又は5(つまり、dはWが3価のときに3、5価のときに5)であり、Mはアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン又はこれらの混合物であり、nはMの価数(つまり1又は2)であり、Qはテトラメチレン−1,4−ビス−(N−メチルピロリジニウム)ジカチオンであり、Fはフッ化物である。
【0007】
また、本発明により、結晶性物質を調製する方法が提供され、前記方法は(1)酸化ケイ素の(複数の)供給源、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物の(複数の)供給源、(3)フッ化物イオン、及び(4)テトラメチレン−1,4−ビス−(N−メチルピロリジニウム)ジカチオンを含む構造指向剤を、結晶化条件下で接触させることを含む。本発明は、結晶性物質がSTIトポロジーを有し、分子篩が、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ、このような方法を含む。
【0008】
本発明は、(モル比に関して)以下を含む反応混合物を使用する結晶性物質を調製するそのような方法を含む。
SiO/X 少なくとも15(つまり、15〜無限大)
OH−/SiO 0.20〜0.80
Q/SiO 0.20〜0.80
2/n/SiO 0〜0.04
O/SiO 2〜10
HF/SiO 0.20〜0.80
式中、Xはアルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム、及びこれらの混合物であり、aは1又は2であり、bはaが1のときに2(つまり、Wは4価)であり、bはaが2のときに3(つまり、Wは3価)であり、Mはアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又はこれらの混合物であり、nはMの価数(つまり1又は2)であり、Qはテトラメチレン−1,4−ビス−(N−メチルピロリジニウム)ジカチオンである。
【0009】
本発明によれば、炭化水素系供給原料を、炭化水素変換条件下で、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒に接触させることを含む炭化水素を変換するプロセスを提供する。SSZ−75は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ。「少なくとも15のモル比」という語句は、酸化物(2)がない、つまり、酸化物(1)と酸化物(2)のモル比が無限大である場合を含むことに留意されたい。その場合、分子篩は、本質的にすべて酸化ケイ素を含む。分子篩は、主として水素型で存在しうる。これは、実質的に酸性度を有さない場合もある。
【0010】
さらに、本発明では、炭化水素供給原料を、水素化分解条件下で、好ましくは主として水素型の本発明の分子篩を含む触媒に接触させることを含む水素化分解プロセスが提供される。
【0011】
さらに、本発明には、沸点の範囲が約40℃超から約200℃未満までである直鎖及び若干分岐した炭化水素を含む炭化水素系供給原料を、芳香族変換条件下で、本発明の分子篩を塩基性金属で中和することにより実質的に酸性度を有さないようになされた前記分子篩を含む触媒に接触させることを含む芳香族含有量の高い生成物を生成するために炭化水素供給原料のオクタン価を高めるプロセスも含まれる。さらに、本発明では、分子篩が第VIII族金属成分を含んでいるそのようなプロセスも提供する。
【0012】
さらに、本発明では、反応帯にある炭化水素供給原料を、添加水素を含まない接触分解条件下で、好ましくは主として水素型の本発明の分子篩を含む触媒に接触させることを含む接触分解プロセスが提供される。本発明には、触媒がさらに大孔結晶質クラッキング成分を含むそのような接触分解プロセスも含まれる。
【0013】
本発明は、さらに、CからCまでの炭化水素を異性化する異性化プロセスを形成し、これは、直鎖及び若干分岐したCからCの炭化水素を有する供給原料を、異性化条件下で、好ましくは主として水素型の本発明の分子篩を含む触媒に接触させることを含む。分子篩は、少なくとも1種の第VIII族金属、好ましくは白金を含浸されうる。触媒は、第VIII族金属の含浸後に高温の蒸気/空気混合気中でか焼されうる。
【0014】
また、本発明により、少なくとも部分的液相条件下で、好ましくは主として水素型の本発明の分子篩を含む触媒の存在下で、CからC20のオレフィンを少なくともモル過剰の芳香族炭化水素にアルキル化条件下で接触させることを含む芳香族炭化水素をアルキル化するプロセスが提供される。オレフィンは、CからCまでのオレフィンとすることができ、芳香族炭化水素及びオレフィンは、それぞれ、約4:1から約20:1までのモル比で存在しうる。芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ナフタレン、ナフタレン誘導体、ジメチルナフタレン又はこれらの混合物からなる群から選択できる。
【0015】
さらに、本発明により、少なくとも部分的液相条件下で、好ましくは主として水素型の本発明の分子篩を含む触媒の存在下で、芳香族炭化水素をポリアルキル芳香族炭化水素にトランスアルキル化条件下で接触させることを含む芳香族炭化水素をトランスアルキル化するプロセスが提供される。芳香族炭化水素及びポリアルキル芳香族炭化水素は、それぞれ約1:1から約25:1までのモル比で存在しうる。
【0016】
芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、又はこれらの混合物からなる群から選択され、ポリアルキル芳香族炭化水素は、ジアルキルベンゼンであってよい。
【0017】
さらに、本発明により、パラフィンを芳香族化合物に変換するプロセスが提供され、これは、パラフィンを芳香族化合物に変換させる条件下でパラフィンを本発明の分子篩を含む触媒と接触させることを含むが、ただし前記触媒はガリウム、亜鉛、又はガリウム若しくは亜鉛の化合物を含む。
【0018】
本発明によれば、オレフィンを異性化するプロセスも提供され、このプロセスは前記オレフィンを、オレフィンの異性化を引き起こす条件下で、本発明の分子篩を含む触媒に接触させることを含む。
【0019】
さらに、本発明によれば、キシレン異性体又はキシレン異性体とエチルベンゼンとの混合物の芳香族Cの流れを含む異性化供給原料を異性化するプロセスが提供され、そこで、オルトキシレン、メタキシレン、及びパラキシレンのより平衡に近い比が得られ、前記プロセスは前記供給原料を、異性化条件下で、本発明の分子篩を含む触媒に接触させることを含む。
【0020】
本発明は、さらに、オレフィン供給原料を、オリゴマー化条件下で、本発明の分子篩を含む触媒に接触させることを含むオレフィンをオリゴマー化するプロセスを提供する。
【0021】
本発明は、さらに、含酸素炭化水素を変換するプロセスを提供し、このプロセスは前記含酸素炭化水素を、液体生成物を生成する条件下で、本発明の分子篩を含む触媒に接触させることを含む。含酸素炭化水素は、低級アルコールであってよい。
【0022】
さらに、本発明によれば、分子量のより低い炭化水素から分子量のより高い炭化水素を生成するプロセスが提供され、このプロセスは、
(a)反応帯内に分子量のより低い炭化水素含有ガスを導入し、前記反応帯内の前記ガスを、C2+炭化水素合成条件下で、触媒、及び分子量のより低い炭化水素から分子量のより高い炭化水素に変換することができる金属又は金属化合物に接触させる工程と、
(b)前記反応帯から、分子量のより高い炭化水素含有流を取り出す工程とを含む。
【0023】
本発明は、さらに、不飽和炭化水素を含む炭化水素供給原料を水素化するプロセスを提供し、このプロセスは供給原料及び水素を、水素化を引き起こす条件下で、本発明の分子篩を含む触媒に接触させることを含む。触媒は、さらに、金属、塩、又は錯体も含むことができるが、ただし、金属は、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、又はこれらの組合せからなる群、或いはニッケル、モリブデン、コバルト、タングステン、チタン、クロム、バナジウム、レニウム、マンガン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0024】
本発明は、さらに、1−オレフィンの重合を促進する触媒組成物を提供し、前記組成物は、
(A)(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも15のモル比を有し、か焼の後、表IIのX線回折線を有する結晶質分子篩と、
(B)有機チタン又は有機クロム化合物とを含む。
【0025】
さらに、1−オレフィンを重合するプロセスが提供され、このプロセスは、1−オレフィン単量体を触媒有効な量の触媒組成物に接触させることを含み、この組成物は、
(A)(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも15のモル比を有し、か焼の後、表IIのX線回折線を有する結晶質分子篩と、
(B)有機チタン又は有機クロム化合物とを含むが、
ただし、このプロセスは重合反応を開始し、促進するのに適した温度及び圧力を含む重合条件下で行われる。1−オレフィンは、エチレンであってよい。
【0026】
本発明は、さらに、炭化水素供給原料を、脱ろう条件下で、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも約14のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒に接触させることを含む脱ろうプロセスを提供する。分子篩は、好ましくは主として水素型で存在する。
【0027】
また、ろう様炭化水素供給原料を、異性化脱ろう条件下で、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも約14のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒に接触させることを含むろう様炭化水素供給原料の脱ろう生成物の粘度指数を改良するプロセスも提供される。分子篩は、好ましくは主として水素型で存在する。
【0028】
さらに本発明により、C20+オレフィン供給原料を、異性化条件下で、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも約14のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒上で異性化することを含む、C20+オレフィン供給原料からC20+潤滑油を生成するプロセスが提供される。分子篩は、主として水素型で存在しうる。触媒は、少なくとも1つの第VIII族金属を含むことができる。
【0029】
また、炭化水素油供給原料を、脱ろう条件下、約15〜3000psi(0.103〜20.7MPa)の水素圧力における添加水素ガスの存在下で、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも約14のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒に接触させることを含む、約350°F(177℃)よりも高い温度で沸騰し、直鎖及び若干分岐した鎖式炭化水素を含有する炭化水素油供給原料を触媒脱ろうするプロセスも提供される。分子篩は、主として水素型で存在しうる。触媒は、少なくとも1つの第VIII族金属を含むことができる。触媒は、分子篩及び少なくとも1つの第VIII族金属を含む第1の触媒と前記第1の触媒の分子篩よりも形状選択的なアルミノケイ酸塩ゼオライトを含む第2の触媒とを含む組合せを含むことができる。
【0030】
本発明は、さらに、潤滑油を調製するプロセスを提供し、このプロセスは、
水素化分解帯内で炭化水素系供給原料を水素化分解して、水素化分解された油を含む排液を得ることと、
また、添加水素ガスの存在下、少なくとも約400°F(204℃)の温度、約15psigから約3000psig(0.103から20.7MPaゲージ)の温度で、水素化分解された油を含む前記排液を、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも約14のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒により触媒脱ろうすることとを含む。分子篩は、主として水素型で存在しうる。触媒は、少なくとも1つの第VIII族金属を含むことができる。
【0031】
また、ラフィネートを異性化脱ろうするプロセスであって、前記ラフィネートを、異性化脱ろう条件下、添加水素の存在下で、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも約14のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒に接触させることを含むプロセスが提供される。ラフィネートは、ブライトストックであってよく、また分子篩は、主として水素型で存在しうる。触媒は、少なくとも1つの第VIII族金属を含むことができる。
【0032】
本発明によれば、分子篩を含む膜を使用してガスを分離する改良されたプロセスが提供され、この改良は、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩を分子篩として使用することを含む。分子篩は、(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物から選択された酸化物との少なくとも15のモル比を有することができる。分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ。
【0033】
本発明によれば、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物とのモル比が15以上である結晶質分子篩を含む触媒の存在下で、メタノール、ジメチルエーテル、又はその混合物とアンモニアとを気相中で反応させることを含む、メチルアミン又はジメチルアミンを生成するプロセスが提供される。分子篩は、(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物から選択された酸化物の15以上のモル比を有することができる。分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ。
【0034】
本発明により、ガス流中に含まれる窒素の酸化物を還元するプロセスが提供され、前記プロセスは、ガス流を、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩に接触させることを含む。分子篩は、(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物から選択された酸化物の少なくとも15のモル比を有することができる。分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ。分子篩は、窒素の酸化物の還元を触媒することができる金属又は金属イオン(コバルト、銅、白金、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、ランタン、パラジウム、ロジウム、又はこれらの混合物など)を含み、このプロセスは、化学量論的に過剰な酸素の存在下で実施されうる。好ましい一実施形態では、ガス流は、内燃機関の排気流である。
【0035】
本発明は、一般に、エンジンの排気流を処理するプロセスに関するものであり、具体的には、エンジンの常温始動時に生じる放出物を最小限に抑えるプロセスに関するものである。したがって、本発明は、炭化水素及びその他の汚染物質を含む常温始動エンジン排ガス流を処理するプロセスを提供し、このプロセスは前記エンジン排ガス流を水で炭化水素を優先的に吸着する分子篩床上に流し第1の排気流を形成することと、第1の排ガス流を触媒上に流して第1の排ガス流中に含まれる残留炭化水素及びその他の汚染物質を無害な生成物に変換し、処理済み排気流を形成して処理済み排気流を大気中に放出することからなり、分子篩床は、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩を含むことを特徴とする。分子篩は、(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物から選択された酸化物の少なくとも15のモル比を有することができる。分子篩は、STIフレームワークトポロジーを有する。これは、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ。
【0036】
本発明は、さらに、エンジンが、炭化水素系燃料を燃料とすることができる自動車用エンジンを含む内燃機関であるそのようなプロセスを提供する。
【0037】
さらに、本発明により、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択された金属が分子篩に付着されているそのようなプロセスが提供される。
【0038】
本発明は、含酸素物質供給原料から1分子当たり2から4個の炭素原子を有するオレフィンを含む軽質オレフィンを生産するプロセスに関する。このプロセスは、含酸素物質供給原料を分子篩触媒を含む含酸素物質変換帯に送り、軽質オレフィン流を生成することを含む。
【0039】
そこで、本発明によれば、含酸素物質又は含酸素物質の混合物を含む供給原料から軽質オレフィンを生産するプロセスが提供され、このプロセスは供給原料を有効な条件下で、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒上で反応させることを含む。分子篩は、(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物から選択された酸化物の少なくとも15のモル比を有することができる。分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明は、本明細書で「分子篩SSZ−75」又は単に「SSZ−75」と指定されている分子篩を含む。
【0041】
SSZ−75を調製する際に、テトラメチレン−1,4−ビス−(N−メチルピロリジニウム)ジカチオンは、結晶化テンプレートとしても知られる構造指向剤(「SDA」)として使用される。SSZ−75を形成するのに使用されるSDAは以下の構造を有する。
【化1】

【0042】
SDAジカチオンは、SSZ−75の形成にとって有害でないアニオンであるとしてよいアニオン(X)に関連する。代表的なアニオンとしては、ハロゲン、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、及びヨウ化物、水酸化物、酢酸塩、硫酸塩、テトラフルオロホウ酸塩、カルボキシレートなどがある。水酸化物は、最も好ましいアニオンである。構造指向剤(SDA)は、水酸化物イオンを供給するために使用されうる。したがって、これは、例えば、ハロゲン化物を水酸化物イオンにイオン交換するのに有益である。
【0043】
テトラメチレン−1,4−ビス−(N−メチルピロリジニウム)ジカチオンSDAは、ビス(1,4−ジアゾニアビシクロ[2.2.2]α,ωアルカン化合物を調製する方法を開示している1992年11月24日にZonesらに発行された米国特許第5,166,111号、又は1,3,3,8,8−ペンタメチル−3−アゾニアビシクロ[3.2.1]オクタンカチオンを調製する方法を開示している1993年12月7日に発行された米国特許第5,268,161号で説明されているのと似た方法により調製されうる。米国特許第5,166,111号及び米国特許第5,268,161号は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0044】
一般に、SSZ−75は、フッ化物イオンの存在下で、(1)酸化ケイ素の活性のある(複数の)供給源、及び(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物の活性のある(複数の)供給源をテトラメチレン−1,4−ビス−(N−メチルピロリジニウム)ジカチオンSDAに接触させることにより調製される。
【0045】
SSZ−75は、モル比に関して以下のものを含む反応混合物から調製される。
表A 反応混合物
【表1】


式中、Xはアルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム、及びこれらの混合物であり、aは1又は2であり、bはaが1のときに2(つまり、Wは4価)であり、bはaが2のときに3(つまり、Wは3価)であり、Mはアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又はこれらの混合物であり、nはMの価数(つまり1又は2)であり、Qはテトラメチレン−1,4−ビス−(N−メチルピロリジニウム)ジカチオンであり、Fはフッ化物である。
【0046】
上記のように、反応混合物中のSiO/Xのモル比は、15以上である。このことは、SiO/Xモル比が無限大になりうる、つまり、反応混合物中にXがないということを意味する。この結果、本質的にすべてシリカであるSSZ−75のバージョンが得られる。本明細書で使用されているように、「本質的にすべて酸化ケイ素」又は「本質的にすべて全シリカ」は、分子篩の結晶構造が、酸化ケイ素のみを含むか、又は酸化ケイ素及び微量の酸化アルミニウムなどの他の酸化物のみを含むことを意味し、これらは酸化ケイ素の供給源中に不純物として導入されうる。
【0047】
実際、SSZ−75は、
(a)(1)酸化ケイ素の(複数の)供給源、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物の(複数の)供給源、(3)フッ化物の供給源、並びに(4)SSZ−75の形成にとって有害でないアニオン性対イオンを有するテトラメチレン−1,4−ビス−(N−メチルピロリジニウム)ジカチオンを含む水溶液を調製することと、
(b)SSZ−75の結晶を形成するのに十分な条件下で水溶液を維持することと、
(c)SSZ−75の結晶を回収することとを含むプロセスにより調製される。
【0048】
反応混合物は、SSZ−75の結晶が形成されるまで高温に保たれる。水熱結晶化は、通常、自己圧力の下、100℃から200℃まで、好ましくは135℃から180℃までの温度で行われる。結晶化期間は、典型的には、1日よりも長く、好ましくは約3日から約20日までの間である。分子篩は、穏やかな攪拌又はかき混ぜを使用して調製されうる。
【0049】
水熱結晶化工程において、SSZ−75結晶は、反応混合物から自然に核形成されうる。SSZ−75結晶をシード材料として使用することは、完全な結晶化を生じさせるのに要する時間を短縮するために役立ちうる。それに加えて、シード添加をすると、望ましくない相におけるSSZ−75の核生成及び/又は形成を促進することにより得られる生成物の純度を上げることができる。シードとして使用される場合、SSZ−75結晶は、反応混合物中で使用される第1の4価元素酸化物、例えば、シリカの重量の0.1から10%までの量だけ加えられる。
【0050】
分子篩結晶が形成された後、固体生成物は、濾過などの標準的な機械的分離技術により反応混合物から分離される。結晶は、水で洗浄され、次いで、例えば90℃から150℃の温度で8から24時間かけて乾燥し、合成されたままのSSZ−75結晶が得られる。乾燥工程は、大気圧で、又は真空状態で実施されうる。
【0051】
調製されたSSZ−75は、以下の表IのX線回折線を持つ。SSZ−75は、(モル比に関して)以下を含む、合成されたまま(つまり、SSZ−75からSDAを取り除く前の)、無水状態の組成物を有する。
SiO/X 少なくとも15(つまり、15〜無限大)
2/n/SiO 0〜0.03
Q/SiO 0.02〜0.08
F/SiO 0.01〜0.04
式中、Xはアルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム、及びこれらの混合物であり、cは1又は2であり、dはcが1のときに2(つまり、Wは4価)であるか、又はdはcが2のときに3又は5(つまり、dはWが3価のときに3、5価のときに5)であり、Mはアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン又はこれらの混合物であり、nはMの価数(つまり1又は2)であり、Qはテトラメチレン−1,4−ビス−(N−メチルピロリジニウム)ジカチオンであり、Fはフッ化物である。
【0052】
SSZ−75(合成されたままのバージョンか、又はか焼されたバージョン)は、少なくとも15(つまり、15から無限大)、例えば、20から無限大又は40から無限大のSiO/Xのモル比を有する。
【0053】
SSZ−75は、STIフレームワークトポロジーを有する。これは、そのX線回折パターンにより特徴付けられる。SSZ−75は、合成されたままでは、粉末X線回折パターンが表Iに示されている特性線を示す結晶構造を有する。
表I 合成されたままのSSZ−75
【表2】


(a)±0.1
(b)用意されるX線パターンは、X線パターン中の最も強い線に値100が割り当てられる相対強度スケールに基づいており、W(弱)は20未満であり、M(中)は20から40までの範囲であり、S(強)は40から60までの範囲であり、VS(非常に強い)は60を超える。
【0054】
以下の表IAは、実際の相対強度を含む合成されたままのSSZ−75に対する粉末X線回折線を示している。
表IA 合成されたままのSSZ−75
【表3】


(a)±0.1
【0055】
か焼した後、SSZ−75に対する粉末X線回折パターンは、以下の表IIに示されている特性線を示す。
表II か焼されたSSZ−75
【表4】


(a)±0.1
【0056】
以下の表IIAは、実際の相対強度を含むか焼されたSSZ−75に対する粉末X線回折線を示している。
表IIA か焼されたSSZ−75
【表5】


(a)±0.1
【0057】
粉末X線回折パターンは、標準的技術により決定された。放射線は、CuKα放射線であった。ピーク高さ及び位置が、θがブラッグ角である2θの関数として、ピークの相対強度から読み取られ、記録された線に対応するÅ単位の格子面間隔であるdが計算されうる。
【0058】
計測器誤差及び個々のサンプルの差による、散乱角(2θ)測定のバラツキは、±0.1度と推定される。
【0059】
合成されたままのSSZ−75のX線回折パターンからの代表ピークが、表Iに示されている。か焼した結果、「合成されたままの」材料のパターンと比較したときのピークの強度の変化、さらには回折パターンのわずかなシフトが発生しうる。
【0060】
結晶質SSZ−75は、合成されたままに使用されうるが、好ましくは熱処理(か焼)される。通常、イオン交換によりアルカリ金属カチオン(もしあれば)を除去し、水素、アンモニウム、又は所望の金属イオンで置き換えることが望ましい。か焼されたSSZ−75は、約0.15cc/gのn−ヘキサン吸着能力を有する。
【0061】
SSZ−75は、さまざまな物理的形状に形成できる。一般的に言えば、分子篩は、粉末、顆粒、又は2メッシュ(Tyler)スクリーンを通過できる十分な粒子サイズを有する押出成形物などの成形物の形態をとり、400メッシュ(Tyler)スクリーン上に保持されうる。有機結合剤とともに押し出し成形するなどにより、触媒が成形される場合、乾燥させる前にSSZ−75を押し出し成形するか、又は乾燥させるか、若しくは部分的に乾燥させ、次いで押し出し成形することができる。
【0062】
SSZ−75は、有機変換プロセスで使用される温度及び他の条件に耐性を示す他の材料と複合することができる。このようなマトリクス材は、活性材料、不活性材料、及び合成又は天然のゼオライトだけでなく、粘土、シリカ、及び金属酸化物などの無機材料を含む。このような材料及び使用する方法の例は、1990年5月20日にZonesらに発行された米国特許第4,910,006号、及び1994年5月31日にNakagawaに発行された米国特許第5,316,753号において開示されており、両方とも参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。
【0063】
炭化水素変換プロセス
SSZ−75分子篩は、炭化水素変換反応に役立つ。炭化水素変換反応は、炭素含有化合物を異なる炭素含有化合物に変化させる化学触媒プロセスである。SSZ−75が役立つと予想される炭化水素変換反応の例は、水素化分解、脱ろう、接触分解、並びにオレフィン及び芳香族形成反応を含む。触媒は、さらに、n−パラフィン及びナフテンの異性化、イソブチレン及びブテン−1などのオレフィン又はアセチレン化合物の重合及びオリゴマー化、1−オレフィン(例えば、エチレン)の重合、改質、ポリアルキル置換芳香族化合物(例えば、m−キシレン)の異性化、並びにベンゼン、キシレン、及び高級メチルベンゼンの混合及び酸化反応をもたらす芳香族化合物(例えば、トルエン)の不均化などの他の石油精製及び炭化水素変換反応に役立つと予想される。さらに、さまざまなナフタレン誘導体を形成する転位反応、及び分子量のより低い炭化水素からの分子量のより高い炭化水素の形成(例えば、メタン改質)も含まれる。
【0064】
SSZ−75触媒は、高い選択性を有し、炭化水素変換条件下で、全生成物量に関して高率の所望の生成物を生成することができる。
【0065】
高触媒活性のためには、SSZ−75分子篩は、主として水素イオン形態をとるべきである。一般に、分子篩は、アンモニウム交換に続いてか焼を行うことにより水素型に変換される。分子篩が、SDAカチオンとナトリウムイオンの十分に高い比で合成される場合、か焼だけで十分と言える。か焼の後、カチオン部位の少なくとも80%は、水素イオン及び/又は希土類イオンにより占有されるのが好ましい。本明細書で使用されているように、「主として水素型」とは、か焼の後、カチオン部位の少なくとも80%が、水素イオン及び/又は希土類イオンにより占有されることを意味する。
【0066】
SSZ−75分子篩は、炭化水素系供給原料を処理する際に使用されうる。炭化水素系供給原料は、炭素化合物を含み、未使用石油留分、再利用石油留分、シェール油、液化石炭、タールサンド油、NAOからの合成パラフィン、再生プラスチック供給原料などの多くの異なる供給源に由来しうる。他の供給原料は、約371℃(700°F)未満で沸騰する含酸素物質含有フィッシャートロプシュ法を含む、フィッシャートロプシュ法から誘導されたものなどの合成供給原料を含む。一般に、供給原料は、ゼオライト触媒反応の影響を受けやすい炭素含有供給原料とすることができる。炭化水素系供給原料に加えられる処理の種類に応じて、供給原料は、金属を含むか、又は金属を含まず、また高い又は低い窒素若しくは硫黄不純物を有することもできる。しかし、一般に、供給原料の金属、窒素、及び硫黄含有量が低いほど処理の効率は高くなる(触媒の活性が高くなる)ことは理解されうる。
【0067】
炭化水素系供給原料の変換は、都合のよい様式で、例えば、必要なプロセスの種類に応じて流動床、移動床、又は固定床の反応器で実施できる。触媒粒子の配合は、変換プロセス及び運転方法に応じて異なる。
【0068】
金属、例えば、白金などの第VIII族金属を含む本発明の触媒を使用して実施できる他の反応は、水素化−脱水素反応、脱窒素及び脱硫黄反応を含む。
【0069】
以下の表は、本発明の炭化水素変換反応でSSZ−75を含む触媒を使用するときに採用できる典型的な反応条件を示している。好ましい条件は、括弧内に示されている。
【表6】


数百気圧
気相反応
炭化水素分圧
液相反応
WHSV
【0070】
他の反応条件及びパラメータを以下に示す。
【0071】
水素化分解
好ましくは主として水素型のSSZ−75を含む触媒、及び水素化促進剤を利用し、上述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号で開示されているプロセス条件及び触媒成分を用いて重質石油残留供給原料、サイクリックストック、及び他の水素化分解物供給原料を水素化分解することができる。
【0072】
水素化分解触媒は、水素化分解触媒において一般に使用される種類の少なくとも1つの水素化成分を有効な量だけ含む。水素化成分は、一般に、塩、錯体、及びこれらを含有する溶液を含む、第VIB族及び第VIII族の1つ又は複数の金属からなる水素化触媒の群から選択される。水素化触媒は、好ましくは、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、及びこれらの混合物のうちの少なくとも1つからなる群或いはニッケル、モリブデン、コバルト、タングステン、チタン、クロム、及びこれらの混合物からなる群の金属、塩、及びこれらの錯体の群から選択される。触媒活性のある1つ又は複数の金属を指し示している場合、これは、元素状態又は酸化物、硫化物、ハロゲン化物、カルボキシレートなどの何らかの形態のそのような1つ又は複数の金属を包含することを意図している。水素化触媒は、水素化分解触媒の水素化機能を付加できる有効な量だけ、及び好ましくは0.05から25重量%の範囲内で存在する。
【0073】
脱ろう
脱ろうプロセスでは、この触媒は、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも15のモル比を有する分子篩を含む。したがって、分子篩は、SSZ−75又はTNU−10、好ましくは主として水素型で存在しうる。触媒は、直鎖パラフィンを選択的に取り除くことにより炭化水素系供給原料を脱ろうするために使用されうる。典型的には、脱ろう生成物の粘度指数は、ろう様供給原料が異性化脱ろう条件下でSSZ−75又はTNU−10に接触したときに(ろう様供給原料と比べて)改良される。
【0074】
触媒脱ろう条件は、大半の測定において使用される供給原料及び所望の流動点に依存する。水素は、好ましくは、触媒脱ろうプロセスにおける反応帯内に存在する。水素対供給原料の比は、典型的には約500から約30,000SCF/bbl(標準立方フィート/バレル)(0.089から5.34SCM/リットル(標準立方メートル/リットル))まで、好ましくは約1000から約20,000SCF/bbl(0.178から3.56SCM/リットル)までの範囲である。一般に、水素は、生成物から分離され、反応帯に再循環される。典型的な供給原料は、約350°F(177℃)よりも高い温度で沸騰する軽質軽油、重質軽油、及び常圧蒸留残油を含む。
【0075】
典型的な脱ろうプロセスは、約15〜3000psi(0.103〜20.7Mpa)の水素圧力の添加水素ガスが存在する中で約350°F(177℃)よりも高い温度で沸騰し、直鎖及び若干分岐した鎖状炭化水素を含有する炭化水素油供給原料をSSZ−75及び少なくとも1つの第VIII族金属を含む触媒に接触させることにより、炭化水素油供給原料を触媒脱ろうすることである。
【0076】
SSZ−75又はTNU−10水素化脱ろう触媒は、適宜、脱ろう触媒で一般に使用される種類の水素化成分を含むことができる。水素化成分の例としては前述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号を参照のこと。
【0077】
水素化成分は、有効な水素化脱ろう及び水素異性化触媒を形成できる有効な量だけ、好ましくは約0.05から5重量%の範囲内で存在する。触媒は、クラッキング反応を引き換えにして異性化脱ろうを高めるような様式で働きうる。
【0078】
供給原料は、水素化分解され、次いで脱ろうされうる。この種類の2段階プロセス及び典型的な水素化分解条件は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている1990年5月1日に発行されたMillerの米国特許第4,921,594号において説明されている。
【0079】
SSZ−75又はTNU−10は、さらに、触媒の組合せとして使用することもできる。つまり、触媒は、分子篩SSZ−75又はTNU−10及び少なくとも1つの第VIII族金属並びに分子篩SSZ−75又はTNU−10よりも形状選択的なアルミノケイ酸塩ゼオライトを含む第2の触媒を含む組合せを含む。この組合せは、複数の層を含むことができる。層化された触媒の使用は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている1992年9月22日に発行されたMillerの米国特許第5,149,421号において開示されている。層化は、さらに、SSZ−75又はTNU=10と水素化分解又は水素化仕上げのいずれか用に設計された非ゼオライト成分とを層にした床を含むことができる。
【0080】
SSZ−75又はTNU−10は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている、1980年1月1日に発行されたGillespieらの米国特許第4,181,598号で開示されているような条件下で、ブライトストックを含む、ラフィネートを脱ろうするためにも使用されうる。
【0081】
穏やかな水素化(水素化仕上げと呼ばれることもある)を使用して、より安定した脱ろう生成物を生成することが望ましい場合が多い。水素化仕上げ工程は、脱ろう工程の前又は後に、好ましくは後に、実施されうる。水素化仕上げは、典型的には、約190℃から約340℃までの範囲の温度、約400psigから約3000psig(2.76から20.7MPaゲージ)までの範囲の圧力、約0.1から20までの範囲の空間速度(LHSV)、及び約400から1500SCF/bbl(0.071から0.27SCM/リットル)までの範囲の水素再利用率で実施される。使用される水素化触媒は、オレフィン、ジオレフィン、及び存在することもあるカラーボディを水素化するだけでなく、芳香族含有量を低減する十分な活性を有していなければならない。好適な水素化触媒は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている1990年5月1日に発行されたMillerの米国特許第4,921,594号において開示されている。水素化分解ストックから調製された脱ろう生成物は空気と光に対し不安定になる傾向があり、また自然発生的にたちまちスラッジを形成する傾向があるため、水素化仕上げ工程は十分な安定性を持つ生成物(例えば、潤滑油)を調製する場合に有益である。
【0082】
潤滑油は、SSZ−75又はTNU−10を使用して調製されうる。例えば、C20+潤滑油は、水素型及び少なくとも1つの第VIII族金属のSSZ−75又はTNU−10を含む触媒でC20+オレフィン供給原料を異性化することにより形成されうる。それとは別に、潤滑油は、水素化分解帯において炭化水素系供給原料を水素化分解して、水素化分解油を含む排液を取り出すことと、その排液を、少なくとも約400°F(204℃)の温度、約15psigから約3000psig(0.103〜20.7Mpaゲージ)までの圧力、添加水素ガスの存在下で、水素型及び少なくとも1つの第VIII族金属のSSZ−75又はTNU−10Fを含む触媒により触媒脱ろうすることとにより形成されうる。
【0083】
芳香族化合物形成
SSZ−75は、軽質直留ナフサ及び類似の混合物を高芳香族系混合物に変換するために使用されうる。したがって、好ましくは沸点範囲が約40℃超、約200℃未満である直鎖及び若干分岐した鎖式炭化水素は、炭化水素供給原料をSSZ−75を含む触媒に接触させることにより実質的により高いオクタン価の芳香族化合物を有する生成物に変換されうる。さらに、SSZ−75を含む触媒を使用してより重質の供給原料をBTX又は価値のあるナフタレン誘導体に変換することも可能である。
【0084】
変換触媒は、好ましくは、商業利用できる十分な活性を有するように第VIII族金属化合物を含む。本明細書で使用されているような第VIII族金属化合物とは、金属それ自体又はその化合物を意味する。第VIII族貴金属及びその化合物、白金、パラジウム、及びイリジウム、又はその組合せを使用することができる。レニウム又はスズ又はその混合物も、第VIII族金属化合物とともに、また好ましくは貴金属化合物とともに使用されうる。最も好ましい金属は、白金である。変換触媒中に存在する第VIII族金属の量は、約0.05から2.0重量パーセント、好ましくは0.2から0.8重量パーセントの触媒を改質する際に使用する通常範囲内でなければならない。
【0085】
有用な量の芳香族化合物を選択的に生産するうえで、例えば、分子篩を塩基性金属、例えば、アルカリ金属、化合物で中和することにより変換触媒が実質的に酸性度を有さないことが不可欠である。触媒が酸性度を有さないようにする方法は、当業で知られている。このような方法の説明については、前述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号を参照のこと。
【0086】
好ましいアルカリ金属は、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、及びセシウムである。分子篩それ自体は、非常に高いシリカ:アルミナモル比でのみ実質的に酸性度が有さないものとしてよい。
【0087】
接触分解
炭化水素クラッキングストックは、SSZ−75を使用し水素の不在下で、好ましくは主として水素型で、接触分解されうる。
【0088】
SSZ−75が、水素の存在しない中で接触分解触媒として使用される場合、この触媒は、従来のクラッキング触媒、例えば、クラッキング触媒中の一成分として使用されるアルミノケイ酸塩とともに使用されうる。典型的には、これらは大孔、結晶質アルミノケイ酸塩である。これらの従来のクラッキング触媒の例は、上述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号で開示されている。従来のクラッキング触媒(TC)成分が使用される場合、TCとSSZ−75との相対的重量比は、一般に、1:10から約500:1、望ましくは1:10から約200:1、好ましくは約1:2から約50:1、最も好ましくは約1:1から約20:1までの範囲である。新規性のある分子篩及び/又は従来のクラッキング成分は、さらに、選択性を修正するために希土類イオンとイオン交換されうる。
【0089】
クラッキング触媒は、典型的には、無機酸化物マトリクス成分とともに使用される。このようなマトリクス成分の例については前述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号を参照のこと。
【0090】
異性化
本発明の触媒は、活性が高く、また選択性も高く、CからCの炭化水素を異性化する。活性とは、触媒が熱力学的に高度分岐パラフィンに有利に働く比較的低い温度で動作しうることを意味する。したがって、触媒は、高オクタン価生成物を生成することができる。高選択性は、触媒を高オクタンで働かしたときに比較的高い液収率が得られることを意味する。
【0091】
本発明のプロセスは、異性化触媒、つまり、水素型のSSZ−75を含む触媒を、異性化条件下で炭化水素供給原料に接触させることを含む。供給原料は、好ましくは、30°Fから250°F(−1℃から121℃)、好ましくは60°Fから200°F(16℃から93℃)までの範囲内で沸騰する、軽質直留留分である。好ましくは、このプロセスの炭化水素供給原料は、実質的な量のCからCの直鎖及び若干分岐した低オクタン価炭化水素、より好ましくはC及びC炭化水素を含む。
【0092】
水素の存在下で異性化反応を実施することが好ましい。好ましくは、水素を添加して、水素と炭化水素の比(H/HC)を0.5から10 H/HC、より好ましくは1から8 H/HCにする。異性化プロセス条件の詳細については、前述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号を参照のこと。
【0093】
本発明のプロセスでは低硫黄供給原料が、特に好ましい。供給原料は、好ましくは、10ppm未満、より好ましくは1ppm未満、最も好ましくは0.1ppm未満の硫黄を含む。すでに硫黄分が少ない供給原料の場合、許容可能レベルは、プレサチュレーション帯内の供給原料を硫黄被毒に耐性のある水素化触媒で水素化することにより到達できる。この水素化脱硫プロセス条件の詳細については、前述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号を参照のこと。
【0094】
供給原料の窒素レベル及び水分を制限することが好ましい。これらの目的にかなった触媒及びプロセスは、当業者に知られている。
【0095】
一定期間の稼働後、触媒は、硫黄又はコークスにより脱活性化されうる。この硫黄及びコークスを除去する方法、並びに触媒を再生する方法については、前述の米国特許第4,910,006号及び米国特許第5,316,753号を参照のこと。
【0096】
変換触媒は、好ましくは、商業利用できる十分な活性を有するように第VIII族金属を含む。本明細書で使用されているような第VIII族金属化合物とは、金属それ自体又はその化合物を意味する。第VIII族貴金属及びその化合物、白金、パラジウム、及びイリジウム、又はその組合せを使用することができる。レニウム及びスズは、さらに、貴金属と併せて使用できる。最も好ましい金属は、白金である。変換触媒中に存在する第VIII族金属の量は、約0.05から2.0重量パーセント、好ましくは0.2から0.8重量パーセントの触媒を異性化する通常使用範囲内でなければならない。
【0097】
アルキル化及びトランスアルキル化
SSZ−75は、芳香族炭化水素のアルキル化又はトランスアルキル化のプロセスで使用できる。このプロセスは、少なくとも部分的液相条件、及びSSZ−75を含む触媒の存在下で、芳香族炭化水素をCからC16のオレフィンアルキル化薬又はポリアルキル芳香族炭化水素トランスアルキル化薬に接触させることを含む。
【0098】
SSZ−75は、さらに、上述のようにベンゼンをアルキル化し、ガソリンからアルキル化された生成物を取り出すことによりガソリンからベンゼンを取り除くために使用されうる。
【0099】
高触媒活性のためには、SSZ−75分子篩は、主として水素イオン形態をとるべきである。か焼の後、カチオン部位の少なくとも80%は、水素イオン及び/又は希土類イオンにより占有されるのが好ましい。
【0100】
本発明のプロセスによりアルキル化又はトランスアルキル化されうる好適な芳香族炭化水素供給原料の例は、ベンゼン、トルエン、及びキシレンなどの芳香族化合物を含む。好ましい芳香族炭化水素は、ベンゼンである。ナフタレン又はジメチルナフタレンなどのナフタレン誘導体が望ましい場合もある。芳香族炭化水素類の混合物も使用することができる。
【0101】
芳香族炭化水素のアルキル化に適しているオレフィンは、エチレン、プロピレン、ブテン−1、トランスブテン−2、及びシス−ブテン−2、又はこれらの混合物などの2から20、好ましくは2から4個の炭素原子を含むものである。ペンテンが望ましい場合もある。好ましいオレフィンは、エチレン及びプロピレンである。鎖の長いαオレフィンも使用できる。
【0102】
トランスアルキル化が望ましい場合、トランスアルキル化薬は、2から約4個の炭素原子をそれぞれ持ちうる2つ又はそれ以上のアルキル基を含むポリアルキル芳香族炭化水素である。例えば、好適なポリアルキル芳香族炭化水素類は、ジエチルベンゼン、トリエチルベンゼン、ジエチルメチルベンゼン(ジエチルトルエン)、ジイソプロピルベンゼン、ジイソプロピルトルエン、ジブチルベンゼンなどのジ、トリ、及びテトラアルキル芳香族炭化水素類を含む。好ましいポリアルキル芳香族炭化水素類は、ジアルキルベンゼンである。特に好ましいポリアルキル芳香族炭化水素は、ジイソプロピルベンゼンである。
【0103】
アルキル化が、実施されるプロセスである場合、反応条件は以下の通りである。芳香族炭化水素供給原料は、化学量論的過剰量だけ存在しているべきである。迅速に触媒の汚れを防ぐために、芳香族化合物とオレフィンとのモル比は、4対1よりも大きいのが好ましい。反応温度は、100°Fから600°F(38℃から315℃)までの範囲、好ましくは250°Fから450°F(121℃から232℃)までの範囲とすることができる。反応圧力は、触媒の汚れを遅らせるために少なくとも部分的液相を維持するのに十分な圧力でなければならない。これは、典型的には、供給原料及び反応温度に応じて50psigから1000psig(0.345から6.89Mpaゲージ)である。接触時間は、10秒から10時間までの範囲としてよいが、通常は、5分から1時間までである。芳香族炭化水素のグラム(ポンド)及び1時間当たりの触媒のグラム(ポンド)当たりのオレフィンに関する重量毎時空間速度(WHSV)は、一般に、約0.5から50までの範囲内である。
【0104】
トランスアルキル化が、実施されるプロセスである場合、芳香族炭化水素のモル比は、一般に、約1:1から25:1までの範囲内であり、好ましくは約2:1から20:1のまでの範囲内である。反応温度は、100°Fから600°F(38℃から315℃)までの範囲とすることができるが、好ましくは250°Fから450°F(121℃から232℃)までの範囲である。反応圧力は、典型的には約50psigから1000psig(0.345から6.89Mpaゲージ)、好ましくは300psigから600psig(2.07から4.14Mpaゲージ)までの範囲の少なくとも部分的液相を維持するのに十分な圧力でなければならない。重量毎時空間速度は、約0.1から10までの範囲である。1992年1月21日に発行されたHsiehらの米国特許第5,082,990号では、このようなプロセスを説明しており、参照により本明細書に組み込まれている。
【0105】
パラフィンから芳香族化合物への変換
SSZ−75は、軽質ガスC〜Cパラフィンを芳香族化合物を含む分子量のより高い炭化水素に変換するために使用されうる。好ましくは、分子篩は、触媒金属又は金属酸化物を含み、前記金属は、周期律表の第IB族、第IIB族、第VIII族、及び第IIIA族からなる群から選択される。好ましくは、この金属は、約0.05から5重量%までの範囲のガリウム、ニオブ、インジウム、又は亜鉛である。
【0106】
オレフィンの異性化
SSZ−75は、オレフィンを異性化するために使用できる。供給原料流は、少なくとも1つのC4〜6オレフィン、好ましくはC4〜6直鎖オレフィン、より好ましくは直鎖ブテンを含む炭化水素流である。本明細書で使用されているような直鎖ブテンは、直鎖ブテンのすべての形態、例えば、1−ブテン、シス−2−ブテン、及びトランス−2−ブテンを意味する。典型的には、直鎖ブテン又は他のC4〜6直鎖オレフィン以外の炭化水素が、供給原料流中に存在する。これらの他の炭化水素は、例えば、アルカン、他のオレフィン、芳香族化合物、水素、及び不活性ガスを含みうる。
【0107】
供給原料流は、典型的には、流動式接触分解ユニット又はメチル第三級ブチルエーテルユニットからの排液とすることができる。流動式接触分解ユニットの排液は、典型的には、約40〜60重量パーセントの直鎖ブテンを含む。メチル第三級ブチルエーテルユニットの排液は、典型的には、約40〜100重量パーセントの直鎖ブテンを含む。供給原料流は、好ましくは、少なくとも約40重量パーセントの直鎖ブテン、より好ましくは少なくとも約65重量パーセントの直鎖ブテンを含む。イソオレフィン及びメチル分岐イソオレフィンという用語は、本明細書では入れ替えて使用できる。
【0108】
このプロセスは、異性化条件下で実施される。炭化水素供給原料は、蒸気相においてSSZ−75を含む触媒と接触させられる。このプロセスは、一般に、ブテンについては約625°Fから約950°F(329〜510℃)、好ましくは約700°Fから約900°F(371〜482℃)、ペンテン及びヘキセンについて約350°Fから約650°F(177〜343℃)までの範囲の温度で実施されうる。圧力は、大気圧以下の圧力から約200psig(1.38Mpaゲージ)まで、好ましくは約15psigから約200psig(0.103から1.38Mpaゲージ)まで、より好ましくは約1psigから約150psig(0.00689から1.03Mpaゲージ)までの範囲である。
【0109】
接触時の液空間速度は、一般に、炭化水素供給原料に基づき約0.1から約50hr−1、好ましくは約0.1から約20hr−1、より好ましくは約0.2から約10hr−1、最も好ましくは約1から約5hr−1までである。水素/炭化水素モル比は、約0から約30以上に保たれる。水素は、供給原料流に直接加えられるか、又は直接異性化帯に加えられる。反応は、好ましくは実質的に水を含まず、水は典型的には供給原料に基づき約2重量パーセント未満である。このプロセスは、充填床反応器、固定床、流動床反応器、又は移動床反応器内で実施されうる。触媒の床は、上方又は下方に移動することができる。例えば、直鎖ブテンからイソブテンへのモル転化率は、少なくとも10、好ましくは少なくとも25、より好ましくは少なくとも35である。
【0110】
キシレン異性化
SSZ−75は、C芳香族化合物供給原料中の1つ又は複数のキシレン異性体を異性化して、平衡値により近い比のオルト、メタ、及びパラキシレンを形成するプロセスでも使用できる。特に、キシレン異性化は、パラキシレンを製造するために別のプロセスと併せて使用される。例えば、混合されたC芳香族化合物流中のパラキシレンの一部は、結晶化と遠心分離により回収できる。次いで、晶析装置からの母液が、キシレン異性化条件下で反応させられ、ほぼ平衡比になるまでオルト、メタ、及びパラキシレンが回収される。それと同時に、母液中のエチルベンゼンの一部が、キシレンに、又は濾過により容易に分離される生成物に変換される。異性化物は、新鮮な供給原料とブレンドされ、その組み合わされた流れは、蒸留されて、重質及び軽質の副産物が取り除かれる。次いで、その結果得られるC芳香族化合物流は、晶析装置に送られ、このサイクルが繰り返される。
【0111】
適宜、蒸気相中の異性化は、アルキルベンゼン(例えば、エチルベンゼン)1モル当たり3.0から30.0モルの水素が存在する中で行われる。水素が使用される場合、触媒は、(周期律表の)第VIII族金属成分、特に白金又はニッケルから選択された約0.1から2.0重量%の水素化/脱水素成分を含むべきである。第VIII族金属成分とは、金属並びに酸化物及び硫化物などのその化合物を意味する。
【0112】
適宜、異性化供給原料は、トルエン、トリメチルベンゼン、ナフテン、又はパラフィンなどの10から90重量の希釈剤を含むとよい。
【0113】
オリゴマー化
SSZ−75は、さらに、約2から21、好ましくは2〜5個の炭素原子を有する直鎖及び分鎖オレフィンをオリゴマー化するためにも使用できる。このプロセスの生成物であるオリゴマーは、両方の燃料、つまり、ガソリン又はガソリン調合剤及び薬品に有用な中質から重質までのオレフィンである。
【0114】
オリゴマー化プロセスは、気相又は液相においてオレフィン供給原料をSSZ−75を含む触媒と接触させることを含む。
【0115】
この分子篩では、当業でよく知られている技術により、関連する元のカチオンをさまざまな他のカチオンにより置き換えることができる。典型的なカチオンは、水素、アンモニウム、及びこれらの混合物を含む金属カチオンを含む。置き換える金属カチオンのうち、希土類金属、マンガン、カルシウム、さらには周期律表の第II族の金属、例えば亜鉛、及び周期律表の第VIII族の金属、例えばニッケルなどの金属のカチオンが特に好ましい。第1要件の1つは、分子篩は、かなり低い芳香族化活性を有する、つまり、生成される芳香族化合物の量が、約20重量%以下であるということである。これは、n−ヘキサンのクラッキング能力により測定されたときに、約0.1から約120、好ましくは約0.1から約100の制御された酸活性度[α値]を持つ分子篩を使用することにより達成される。
【0116】
α値は、当業で知られている標準試験により定められ、例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれている、1976年6月1日にGivensらに発行された米国特許第3,960,978号に示されている通りである。必要ならば、このような分子篩は、蒸気処理、変換プロセスでの使用、又は当業者であれば思い付ける他の方法により形成されうる。
【0117】
アルコールの凝縮
SSZ−75は、1から10個の炭素原子を有する低級脂肪族アルコールを、混合された脂肪族及び芳香族炭化水素を含むガソリン沸点炭化水素生成物に凝縮するために使用されうる。参照により全体が本明細書に組み込まれている1975年7月8日にButterらに発行された米国特許第3,894,107号で開示されているプロセスでは、このプロセスで使用されるプロセス条件を説明している。
【0118】
触媒は、水素型であるか、或いは好ましくは0.05から5重量%までの範囲内の、アンモニウム又は金属カチオン補完物を含むように塩基交換されるか、又は含浸されうる。存在しうる金属カチオンは、周期律表の第I族から第VIII族の金属のどれかを含む。しかし、第IA群金属の場合、カチオン含有量は、いかなる場合も、触媒を事実上不活性化するほど大きくてはならないし、またその交換は、全酸性度をなくすようなものであってはならない。塩基性触媒が望ましい酸素処理基材の処理を伴う他のプロセスがありうる。
【0119】
メタン改質
分子量のより高い炭化水素は、SSZ−75を含む触媒及び分子量のより低い炭化水素を分子量のより高い炭化水素に変換する能力を有する金属又は金属化合物に分子量のより低い炭化水素を接触させることにより分子量のより低い炭化水素から形成できる。このような反応の例は、メタンをエチレン又はベンゼン又はその両方などのC2+炭化水素に変換することを含む。有用な金属及び金属化合物の例は、ランタニド及び/又はアクチニド金属若しくは金属化合物を含む。
【0120】
これらの反応、使用される金属又は金属化合物、及び反応させる際の条件は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている1988年3月29日にDevriesらに発行された米国特許第4,734,537号、1990年7月3日にWashecheckらに発行された第4,939,311号、1990年10月9日にAbrevayaらに発行された第4,962,261号、1992年3月10日にAbrevayaらに発行された第5,095,161号、1992年4月14日にHanらに発行された第5,105,044号、1992年4月14日にWashecheckに発行された第5,105,046号、1993年8月24日にHanらに発行された第5,238,898号、1994年6月14日にvan der Vaartに発行された第5,321,185号、及び1994年8月9日にChoudharyらに発行された第5,336,825号で開示されている。
【0121】
1−オレフィンの重合
本発明の分子篩は、1−オレフィンの重合、例えば、エチレンの重合のために触媒中で使用されうる。オレフィン重合触媒を形成するために、前述のような分子篩を特定の種類の有機金属化合物と反応させる。重合触媒を形成するのに役立つ有機金属化合物は、アルキル部分及び適宜、ハロ部分を有する3価及び4価の有機チタン及び有機クロム化合物を含む。本発明の文脈において、「アルキル」という用語は、ベンジルなどの、直鎖と分岐鎖のアルキル、シクロアルキル、及びアルカリル基を含む。
【0122】
3価及び4価の有機クロム及び有機チタン化合物の例は、1983年3月15日にChesterらに発行された米国特許第4,376,722号、1983年3月22日にChesterらに発行された米国特許第4,377,497号、1984年5月1日にChesterらに発行された米国特許第4,446,243号、及び1985年7月2日にChesterらに発行された米国特許第4,526,942号で開示されている。上記の特許の開示は、全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0123】
重合触媒を形成するために使用される有機金属化合物の例は、限定はしないが、一般式
MYm−n
に対応する化合物を含み、
式中、Mはチタン及びクロムから選択された金属であり、Yはアルキルであり、Xはハロゲン(例えば、Cl又はBr)であり、nは1〜4であり、mは、n以上であり、3又は4である。
【0124】
このような化学式により包含される有機チタン及び有機クロム化合物の例は、化学式CrY、CrY、CrYX、CrYX、CrY、CrYX、CrYX、TiY、TiY、TiYX、TiYX、TiY、TiYX、TiYXの化合物を含み、式中、Xは、Cl又はBrとすることができ、Yは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、2−エチルブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、2,2−ジエチルブチル、2−イソプロピル−3−メチルブチルなど、例えばシクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、4−シクロヘキシルブチル、及び例えば(4−メチルシクロヘキシル)メチル、ネオフィル、つまりβ,β−ジメチル−フェネチル、ベンジル、エチルベンジル、及びp−イソプロピルベンジルのような対応するアルキル置換シクロヘキシルラジカルなどのシクロヘキシルアルキルとすることができる。Yの好ましい例は、C1〜5アルキル、特にブチルを含む。
【0125】
触媒中に使用される有機チタン及び有機クロムは、当業でよく知られている技術により調製できる。例えば、前述のChesterらの特許を参照。
【0126】
有機チタン又は有機クロム化合物は、有機金属化合物と分子篩とを反応させることなどにより本発明の分子篩とともに使用し、オレフィン重合触媒を形成することができる。一般に、このような反応は、このような反応生成物の形成を促進する条件下で有機金属化合物を調製するために使用されるのと同じ反応媒質で起こる。分子篩は、単純に、有機金属化合物の形成が完了した後に反応混合物に加えることができる。分子篩は、反応媒質中に分子篩100重量部当たり約0.1から10重量部、好ましくは約0.5から5重量部の有機金属化合物を形成するのに十分な量だけ加えられる。
【0127】
また、有機金属化合物と分子篩との反応時の反応媒質の温度は、有機金属反応物の安定性をもたらすほどに低いレベルに維持される。したがって、約−150℃から50℃、好ましくは約−80℃から0℃までの範囲内の温度を使用するのが有益である。有機チタン又は有機クロム化合物と分子篩とを反応させるのに約0.01から10時間、より好ましくは約0.1から1時間までの時間を反応にかけることができる。
【0128】
反応が完了した後、そのようにして形成された触媒物質は、窒素雰囲気の下で反応媒質溶媒を蒸発させることにより回収し、乾燥させることができる。それとは別に、オレフィン重合反応は、触媒を形成するために使用されるのとこの同じ溶媒ベースの反応媒質中で実施されうる。
【0129】
重合触媒は、1−オレフィンの重合を触媒するために使用されうる。本発明の触媒を使用して生成される重合体は、1分子当たり2から8個の炭素原子を含む少なくとも1つのモノ−1−オレフィンの通常固体の重合体である。これらの重合体は、通常固体のエチレンのホモ重合体又はエチレンと1分子当たり3から8個の炭素原子を含む他のモノ−1−オレフィンとの共重合体である。例示的な共重合体は、エチレン/プロピレン、エチレン/1−ブテン、エチレン/1−ヘキサン、及びエチレン/1−オクテンなどの共重合体を含む。このような共重合体の主要部分は、エチレンから誘導され、一般に、約80〜99、好ましくは95〜99モル%のエチレンからなる。これらの重合体は、押し出し成形、ブロー成形、射出成形などに適している。
【0130】
重合反応は、1つ又は複数の単量体、例えば、エチレンを単独で接触させるか、又は1つ又は複数の他のオレフィンと接触させ、水分及び空気などの触媒毒が実質的に存在していない中で、重合反応を開始するのに十分な温度及び圧力の下で触媒量の担持有機金属触媒と接触させることにより行わせることができる。必要ならば、不活性有機溶媒を希釈剤として使用し、例えば粒子形態(スラリー)又は溶液プロセスにおいて液相中の反応物質との重合反応が行われる場合に材料を取り扱いやすくすることができる。例えば、溶媒が存在しない中で、ただし必要ならば、窒素などの不活性ガスが存在する中で、流動床配置により蒸気相中の反応物質との反応も可能である。
【0131】
重合反応は、動作圧力、オレフィン単量体の圧力、及び使用される特定の触媒とその濃度にかなりの程度依存するが、約30℃以下から最大約200℃以上までの温度で実施される。当然であるが、選択された動作温度は、所望の重合体メルトインデックスにも依存するが、それは温度は確かに重合体の分子量を調節する際の1つの因子だからである。好ましくは、使用される温度は、従来のスラリー又は「粒子形成」プロセスでは約30℃から約100℃まで、「溶液形成」プロセスでは100℃から150℃までである。流動床プロセスには、約70℃から110℃までの温度を使用できる。
【0132】
重合反応で使用される圧力は、(複数の)単量体から高分子量重合体への重合を開始するのに十分な圧力であればよい。したがって、圧力は、不活性ガスを希釈剤として使用し、大気圧以下の圧力から最大約30,000psig以上の大気圧以上の圧力までの範囲とすることができる。好ましい圧力は、大気圧(0psig)から最大約1000psigまである。概して、20から800psigまでの圧力が最も好ましい。
【0133】
本発明の溶液又はスラリープロセスの実施形態で使用される不活性有機溶媒媒質の選択は、あまり重要なことではないが、溶媒は、担持有機金属触媒及び生成されるオレフィン重合体に対しては不活性であるべきであり、使用される反応温度において安定していなければならない。しかし、不活性有機溶媒媒質が、生成される重合体の溶媒としても使用される必要はない。このような目的に使用可能な不活性有機溶媒のうち言及できるのは、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、イソオクタン、精製ケロシンなどの1分子当たり約3から12個の炭素原子を有する飽和脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、及びメチルシクロヘキサンなどの1分子当たり約5から12個の炭素原子を有する飽和脂環式炭化水素、並びにベンゼン、トルエン、キシレンなどの1分子当たり約6から12個の炭素原子を有する芳香族炭化水素である。特に好ましい溶媒媒質は、シクロヘキサン、ペンタン、ヘキサン、及びヘプタンである。
【0134】
水素は、生成される重合体の分子量を減らすために重合反応帯内に導入されうる(つまり、メルトインデックスMIをかなり高くする)。水素が使用されるときの水素の分圧は、5から100psig、好ましくは25から75psigまでの範囲内とすることができる。本発明により生成される重合体のメルトインデックスは、約0.1から約70又はそれ以上の範囲とすることができる。
【0135】
粒子形態、溶液、及び流動床重合配置の例を含む好適な重合条件の詳細な説明は、1973年1月9日に発行されたKarapinkaの米国特許第3,709,853号及び1978年4月25日に発行されたKarolらの米国特許第4,086,408号にある。これらの特許は両方とも、参照により本明細書に組み込まれている。
【0136】
水素化
SSZ−75は、不飽和炭化水素を含む炭化水素供給原料の水素化を触媒するために触媒中で使用できる。不飽和炭化水素は、オレフィン、ジエン、ポリエン、芳香族化合物などを含むことができる。
【0137】
水素化は、SSZ−75を含む触媒の存在下で、不飽和炭化水素を含む炭化水素供給原料を水素に接触させることにより行われる。触媒は、さらに、塩、錯体、及びその溶液を含む、第VIB族及び第VIII族の1つ又は複数の金属を含むこともできる。これらの触媒活性のある金属については、元素状態又は酸化物、硫化物、ハロゲン化物、カルボキシレートなどの何らかの形態のそのような1つ又は複数の金属を包含することを意図している。このような金属の例は、金属、塩、又は錯体を含むが、ただし、金属は、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、又はこれらの組合せからなる群、或いはニッケル、モリブデン、コバルト、タングステン、チタン、クロム、バナジウム、レニウム、マンガン、及びこれらの組合せからなる群から選択される。
【0138】
触媒の水素化成分(つまり、前述の金属)は、触媒の水素化機能を付加できる有効な量だけ、好ましくは0.05から25重量%までの範囲内で存在する。
【0139】
温度、圧力、空間速度、接触時間などの水素化条件は、当業でよく知られている。
【0140】
SSZ−75は、ガス分離用の吸着剤として有用である(拡散制御及び疎水性を維持しつつ高い細孔容積を有するからである)。SSZ−75は、さらに、含酸素物質(メタノールなど)をオレフィンに変換し、また小さなアミンを形成するために触媒中で使用することができる。SSZ−75は、ガス流(自動車の排ガスなど)中の窒素の酸化物を還元するために使用できる。SSZ−75は、さらに、内燃機関の公害防止システム内の常温始動炭化水素トラップとしても使用できる。SSZ−75は、Cフラグメントを捕捉するのに特に役立つ。
【0141】
本発明の分子篩は、ガスを分離するために使用されうる。例えば、天然ガスから二酸化炭素を分離するために使用できる。典型的には、分子篩は、ガスを分離するために使用される膜中の一成分として使用される。このような膜の例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている2003年1月21日にKulkarniらに発行された米国特許第6,508,860号において開示されている。
【0142】
本発明の分子篩は、メチルアミン又はジメチルアミンを調製するために触媒中で使用されうる。ジメチルアミンは、一般に、シリカアルミナ触媒の存在下で、メタノール(及び/又はジメチルエーテル)及びアンモニアの連続反応により工業的量だけ調製される。反応物質は、典型的には、300℃から500℃の温度範囲、高圧の下、蒸気相中で組み合わされる。このようなプロセスは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている1988年4月12日にAbramsらに発行された米国特許第4,737,592号において開示されている。
【0143】
触媒は、その酸性型で使用される。酸性型の分子篩は、さまざまな技術により調製できる。好ましくは、ジメチルアミンを調製するために使用される分子篩は、水素型であるか、又はその中へイオン交換されたNa、K、Rb、又はCsなどのアルカリ若しくはアルカリ土類金属を有する。
【0144】
本発明のプロセスは、メタノール、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物とアンモニアを、約0.2から約1.5、好ましくは約0.5から約1.2の炭素/窒素(C/N)比をもたらす十分な量だけ反応させることを伴う。反応は、約250℃から約450℃、好ましくは約300℃から約400℃までの範囲の温度で行われる。反応圧力は、約7〜7000kPa(1〜1000psi)、好ましくは約70〜3000kPa(10〜500psi)まで変化しうる。約0.01〜80時間、好ましくは0.10〜1.5時間のメタノール及び/又はジメチルエーテル空間時間が、典型的には使用される。この空間時間は、触媒の質量を反応器内に導入されるメタノール/ジメチルエーテルの質量流量で割った値として計算される。
【0145】
SSZ−75は、ガス流中の窒素の酸化物を触媒還元するために使用されうる。典型的には、ガス流は、酸素、多くの場合、化学量論的過剰な酸素をも含む。また、分子篩は、中に、又は上に、窒素酸化物の還元を触媒する能力を有する金属又は金属イオンを含むことができる。このような金属又は金属イオンの例は、コバルト、銅、白金、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、ランタン、パラジウム、ロジウム、及びこれらの混合物を含む。
【0146】
ゼオライトの存在下で窒素の酸化物の触媒還元を行うようなプロセスの一例は、参照により本明細書に組み込まれている1981年10月27日にRitscherらに発行された米国特許第4,297,328号で開示されている。そこでは、触媒プロセスは、一酸化炭素と炭化水素の燃焼、及び内燃機関から出る排ガスなどのガス流に含まれる窒素の酸化物の触媒還元である。使用されるゼオライトは、ゼオライト内、又はゼオライト上に有効な量の触媒銅金属又は銅イオンを付着させるように十分に金属イオン交換、ドープ、又は担持される。それに加えて、このプロセスは、過剰な酸化剤、例えば、酸素中で実施される。
【0147】
ガソリン及び燃料油などの炭化水素系燃料の燃焼の結果生じる気体廃棄生成物は、燃焼又は不完全燃焼の産物として一酸化炭素、炭化水素、及び窒素酸化物を含み、大気汚染に関する重大な健康上の問題を引き起こす。定置機関、工業用炉などの他の炭素質燃料燃焼源からの排ガスは、大気汚染に大いに関わっているが、自動車エンジンからの排ガスが、主な汚染源である。これらの健康問題に関する懸念から、環境保護庁(EPA)は、自動車が排出する可能性のある一酸化炭素、炭化水素、及び窒素酸化物の量に対し厳重な規制を発布した。これらの規制の実施の結果、自動車から放出される汚染物質の量を減らすために触媒コンバータが使用されるようになった。
【0148】
一酸化炭素、炭化水素、及び窒素酸化物の汚染物質の同時変換を行うために、エンジン排気システム内の酸素センサーからのフィードバック信号に応答して機能する空気燃料混合比制御手段とともに触媒を使用するのが慣例となっている。これら3元成分制御触媒は、約300℃の動作温度に達した後、きわめてよく働くけれども、それよりも低い温度だと、実質的な量の汚染物質を変換することができない。これが意味するのは、エンジン、特に自動車エンジンが始動されたときに、3元成分制御触媒は、炭化水素及び他の汚染物質を無害な化合物に変換することができないということである。
【0149】
吸着床は、エンジンの常温始動部分において炭化水素を吸着するためにこれまで使用されてきた。このプロセスは、典型的には、炭化水素燃料とともに使用されるが、本発明は、アルコール燃料エンジンから出る排気流を処理するためにも使用できる。吸着床は、典型的には触媒の直前に置かれる。したがって、排気流は、最初に、吸着床に、次いで、触媒中に流される。吸着床は、排気流中に存在する条件下で水により炭化水素を優先的に吸着する。一定時間が経過した後、吸着床は、この吸着床が排気流から炭化水素をもはや取り除けなくなる温度(典型的には約150℃)に達している。つまり、炭化水素は、実際には、吸着される代わりに吸着床から脱着される。これにより、その後の常温始動時に炭化水素を吸着できるように吸着床が再生される。
【0150】
従来技術では、常温始動エンジン運転中に炭化水素放出物を最小限に抑えるように吸着床の使用を扱ういくつかの参考文献を示している。このような参考文献の1つは、吸着床が還元触媒と酸化触媒の両方の後に配置される米国特許第3,699,683号である。これらの特許では、排ガス流が、200℃未満のときに、ガス流は、還元触媒、次いで酸化触媒、最後に、吸着床を通して流され、これにより炭化水素が吸着床上に吸着されることを開示している。温度が200℃を超えた場合、酸化触媒から放出されるガス流は、大部分と小部分とに分けられ、大部分は大気中に直接放出され、小部分は吸着床に通され、これにより、未燃焼炭化水素が脱着され、次いで、脱着された未燃焼炭化水素を含むその結果得られるこの排気流の小部分がエンジン内に流し込まれ、そこで燃焼する。
【0151】
他の参考文献は、排ガス流中に含まれる一酸化炭素及び炭化水素を酸化するプロセスを教示する米国特許第2,942,932号である。この特許で開示されているプロセスは、800°F未満の排気流を、一酸化炭素と炭化水素を吸着する吸着帯に流し込み、次いでこの吸着帯から結果として得られる排気流を酸化帯に流すことからなる。排ガス流の温度が、約800°Fに達すると、排気流は、もはや吸着帯を通らなくなるが、過剰な空気が加わることで酸化帯に直接送られる。
【0152】
参照によりその全体が本明細書に組み込まれている1992年1月7日にDunneに発行された米国特許第5,078,979号では、分子篩吸着床を使用して常温始動時の放出を防ぐためにエンジンからの排ガス流を処理することを開示している。分子篩の例は、フォージャサイト、クリノプチロライト、モルデン沸石、菱沸石、シリカライト、ゼオライトY、超安定ゼオライトY、及びZSM−5を含む。
【0153】
カナダ特許第1,205,980号では、アルコール燃料自動車から出る排ガス放出を低減する方法を開示している。この方法は、常温エンジン始動排ガスをゼオライト粒子床に通し、次いで、酸化触媒上に送ることからなり、次いで、ガスは、大気中に放出される。排ガス流は、温かくなると、吸着床上に連続的に送られ、次いで、酸化床上に送られる。
【0154】
すでに述べたように、本発明は、一般に、エンジンの排気流を処理するプロセスに関するものであり、具体的には、エンジンの常温始動時に生じる放出物を最小限に抑えるプロセスに関するものである。エンジンは、内燃、又は外燃機関からなり、未燃焼若しくは熱的に劣化した炭化水素又は類似の有機物を含む有毒な成分又は汚染物質を含む排ガス流を発生する。排ガス中に通常存在する他の有毒な成分は、窒素酸化物及び一酸化炭素を含む。エンジンは、炭化水素系燃料を燃料とすることができる。本明細書及び付属の請求項で使用されているように、「炭化水素系燃料」という用語は、炭化水素、アルコール、及びこれらの混合物を含む。エンジンに供給する燃料として使用できる炭化水素の例は、ガソリン又はディーゼル燃料を構成する炭化水素の混合物である。エンジンに供給する燃料として使用できるアルコールは、エタノール及びメタノールを含む。アルコール類の混合物及びアルコール類と炭化水素との混合物も使用できる。エンジンは、ジェットエンジン、ガスタービン、自動車、トラック又はバス用のエンジンなど内燃機関、ディーゼルエンジンなどであってよい。本発明のプロセスは、炭化水素、アルコール、又は炭化水素アルコール混合物、自動車に搭載された内燃機関に特に適している。便宜上、この説明では、本発明の例を示すために、炭化水素を燃料として使用する。後の説明で水素を使用する場合も、本発明を炭化水素燃料エンジンに限定するものとして解釈すべきではない。
【0155】
エンジンが始動されたときに、エンジンは、エンジン排ガス流だけでなく他の汚染物質中にも比較的高い濃度の炭化水素を形成する。汚染物質は、本明細書では、排気流中に見られる未燃焼燃料成分及び燃焼副産物を総称するために使用する。例えば、燃料が炭化水素燃料である場合、炭化水素、窒素酸化物、一酸化炭素、及び他の燃料副産物が、エンジン排ガス流中に見つかる。このエンジン排気流の温度は、比較的低い温度であり、一般的には500℃未満、典型的には200から400℃までの範囲内である。このエンジン排気流は、初期エンジン運転期間中、典型的には冷えているエンジンが始動した後の最初の30から120秒間に、上記の特性を有する。エンジン排気流は、典型的には、体積で約500から1000ppmの炭化水素を含む。
【0156】
処理されるべきエンジン排ガス流は、分子篩SSZ−56を含む分子篩床上に流されて第1の排気流となる。分子篩SSZ−56について以下で説明する。分子篩床から放出される第1の排気流は、次に触媒上に流され、第1の排気流中に含まれる汚染物質を無害な成分に変換し、大気中に放出される処理済み排気流を形成する。大気中に放出するのに先立ち、処理済み排気流は、当業でよく知られているマフラー又は他の減音装置に通して流されうる。
【0157】
汚染物質を無害な成分に変換するために使用される触媒は、通常当業では、3元触媒と呼ばれるが、それは、第1の排気流中に存在する残留炭化水素を二酸化炭素と水に酸化し、残留一酸化炭素を二酸化炭素に酸化し、残留一酸化窒素を窒素と酸素に還元することを同時に行うことができるからである。場合によっては、触媒は、例えばアルコールが燃料として使用されるときには、一酸化窒素を窒素と酸素に変換する必要がないことがある。この場合、触媒は、酸化触媒と呼ばれる。エンジン排気流及び第1の排気流の温度が比較的低いため、この触媒は、あまり高い効率では機能せず、そのため分子篩床を必要とする。
【0158】
分子篩床が、十分な温度に達すると、典型的には約150〜200℃に達すると、吸着床に吸着された汚染物質は、脱着を開始し、第1の排気流により触媒上に運ばれる。この時点で、触媒は、その動作温度に達し、したがって、汚染物質を無害な成分に完全に変換することができる。
【0159】
本発明で使用される吸着床は、粒子形態で都合よく使用されうるか、又は吸着剤を固体モノリシック担体上に付着させうる。粒子形態が望ましい場合、吸着剤は、ピル、ペレット、顆粒、リング、球体などの形状に形成することができる。モノリシック形態の実施形態では、吸着剤を薄膜又は吸着剤の構造的担体となる不活性な担体材料上に付着したコーティングとして使用すると通常は最も都合がよい。不活性な担体材料は、セラミック又は金属材料などの耐熱材料としてよい。担体材料は、吸着剤とは非反応性であり、これが曝されるガスによる劣化を受けないことが望ましい。好適なセラミック材料の例は、ケイ線石、葉長石、菫青石、ムライト、ジルコン、ジルコンムライト、リシア輝石、チタン酸アルミナなどを含む。それに加えて、本発明の範囲内にある金属材料は、耐酸化性であり、他の何らかの形で高温に耐えることができる、米国特許第3,920,583号に開示されているような金属及び合金を含む。
【0160】
担体材料は、ガス流の方向に延びる複数の細孔又は流路を形成する硬質の一体構成で使用されるのが最もよい。この構成は、ハニカム構造であるのが好ましい。ハニカム構造は、一体型で、又は複数のモジュールの配列として使用すると都合がよい。ハニカム構造は、通常、ガス流が一般的にハニカム構造のセル又は流路と同じ方向になるように配向される。モノリシック構造の詳細については、米国特許第3,785,998号及び第3,767,453号を参照のこと。
【0161】
分子篩は、当業でよく知られている都合のよい方法により担体上に付着させる。好ましい方法は、分子篩を使用してスラリーを調製することと、モノリシックハニカム担体をスラリーでコーティングすることを伴う。スラリーは、適切な量の分子篩及び結合剤を水と組み合わせることなど当業で知られている手段により調製されうる。次いで、超音波処理、フライス加工などの手段を使用することによりこの混合物をブレンドする。このスラリーを使用し、ハニカムをスラリー中に浸漬し、流路のスラリー排出又は吹き飛ばしにより過剰なスラリーを取り除き、約100℃まで加熱することによりモノリシックハニカムをコーティングする。分子篩の望ましい保持量が得られない場合、所望の保持量を得るのに必要なだけ上記プロセスを繰り返すとよい。
【0162】
分子篩をモノリシックハニカム構造上に付着させる代わりに、分子篩を取り、当業で知られている手段によりモノリシックハニカム構造に形成することができる。
【0163】
吸着剤は、適宜、その上に分散された1つ又は複数の触媒金属を含むことができる。吸着剤上に分散されうる金属は、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及びこれらの混合物からなる貴金属である。望ましい貴金属を、当業でよく知られている好適な方法により担体として作用する吸着剤上に付着させることができる。貴金属を吸着剤担体上に分散する方法の一例は、吸着剤担体を所望の1つ又は複数の貴金属の分解可能化合物の水溶液に含浸し、貴金属化合物がその上に分散されている吸着剤を乾燥させ、次いで約1から約4時間かけて約400から約500℃の温度で空気中でか焼することを伴う。分解可能化合物とは、空気中で加熱すると金属又は金属酸化物を形成する化合物のことである。使用できる分解可能化合物の例は、参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第4,791,091号で説明されている。好ましい分解可能化合物は、クロロ白金酸、三塩化ロジウム、クロロパラジウム酸、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸、及びヘキサクロロルテニウム酸塩である。貴金属は、吸着剤担体の約0.01から4重量パーセントまでの範囲の量だけ存在するのが好ましい。特に、白金及びパラジウムの場合には、この範囲は0.1から4重量パーセントであるが、ロジウム及びルテニウムの場合には、この範囲は約0.01から2重量パーセントである。
【0164】
これらの触媒金属は、炭化水素及び一酸化炭素を酸化し、一酸化窒素成分を無害な生成物に還元することができる。したがって、吸着床は、吸着剤として、またそれと同時に触媒としても作用しうる。
【0165】
本発明で使用される触媒は、当業でよく知られている3元触媒又は酸化触媒から選択される。触媒の例は、すべて参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第4,528,279号、第4,791,091号、第4,760,044号、第4,868,148、及び第4,868,149号で説明されている触媒である。当業でよく知られている好ましい触媒は、白金及びロジウム及び適宜、パラジウムを含む触媒であるが、酸化触媒は、通常、ロジウムを含まない。酸化触媒は、通常、白金及び/又はパラジウム金属を含む。これらの触媒は、さらに、バリウム、セリウム、ランタン、ニッケル、及び鉄などの促進剤及び安定剤を含むことができる。貴金属促進剤及び安定剤は、通常、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、アルミノケイ酸塩、及びこれらの混合物などの担体上に付着させるが、アルミナが好ましい。触媒は、粒子形態で使用すると都合がよいが、触媒複合体を固体モノリシック担体上に付着させてもよく、モノリシック担体が好ましい。粒子形態及びモノリシック形態の触媒は、上記の吸着剤について説明されているように調製される。
【0166】
吸着床で使用される触媒SSZ−75は、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩を含む。
【0167】
本発明は、アルコール及びエーテルを含む1つ又は複数の含酸素物質を含む供給原料を軽質オレフィン、つまりC、C、及び/又はCオレフィンを含む炭化水素生成物に触媒変換するプロセスを含む。供給原料は、効果的なプロセス条件下で本発明の分子篩に接触させられ、軽質オレフィンが生成される。
【0168】
本明細書で使用されているような「含酸素物質」という用語は、アルコール、エーテル、及びこれらの混合物などの化合物を意味する。含酸素物質の例は、限定はしないが、メタノール及びジメチルエーテルを含む。
【0169】
本発明のプロセスは、すべての供給原料及び希釈剤成分の総モル数に基づき、約1から約99モルパーセントまでの範囲の量だけ含酸素物質供給原料中に存在しうる、1つ又は複数の希釈剤の存在下で実施されうる。希釈剤は、限定はしないが、ヘリウム、アルゴン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、水、パラフィン、炭化水素(メタンなど)、芳香族化合物、又はこれらの混合物である。参照によりその全体が本明細書に組み込まれている米国特許第4,861,938号及び第4,677,242号では、軽質オレフィン、特にエチレンの生成に対する触媒選択性を維持するために希釈剤を使用することを重視している。
【0170】
含酸素物質変換は、好ましくは、含酸素物質供給原料が反応帯内の蒸気相中、炭化水素を生成するのに効果的なプロセス条件下で、つまり効果的な温度、圧力、重量毎時空間速度(WHSV)、及び適宜、効果的な量の希釈剤の下で、本発明の分子篩と接触するように蒸気相内で実施される。このプロセスは、所望の軽質オレフィンを生成するために十分な時間をかけて行われる。一般に、所望の生成物を生成するために用いられる滞留時間は、数秒から数時間までの範囲である。滞留時間は、反応温度、分子篩触媒、WHSV、相(液体又は蒸気)、及びプロセス設計特性によりかなりの程度が決定されることは容易に理解される。含酸素物質供給原料流量は、オレフィン生成に影響を及ぼす。供給原料流量を増やすと、WHSVが増大し、パラフィン生成に対しオレフィン生成の形成が高まる。しかし、パラフィン生成に関して高められたオレフィン生成は、含酸素物質から炭化水素への変換の減少により相殺される。
【0171】
含酸素物質変換プロセスは、自己圧力を含む、広範な圧力にわたって効果的に実施される。約0.01気圧(0.1kPa)から約1000気圧(101.3kPa)までの範囲の圧力では、軽質オレフィンの形成が影響を受けるが、すべての圧力で最適な量の生成物が必ずしも形成されるわけではない。好ましい圧力は、約0.01気圧(0.1kPa)から約100気圧(10.13kPa)までである。より好ましくは、圧力は、約1から約10気圧(101.3kPaから1.013Mpa)までの範囲である。本明細書で参照される圧力は、存在している希釈剤(もしあれば)を除き、含酸素物質化合物に関係するので供給原料の分圧を意味する。
【0172】
含酸素物質変換プロセスで使用されうる温度は、少なくとも部分的には分子篩触媒に応じて広い範囲にわたって変化しうる。一般に、このプロセスは、約200℃から約700℃までの実効温度で実施できる。この温度範囲の低い方では、したがって一般に、低い反応率では、所望の軽質オレフィンの形成は低くなることがある。この範囲の上限では、プロセスは、最適な量の軽質オレフィンを形成せず、触媒失活が急速に生じることがある。
【0173】
分子篩触媒は、好ましくは、触媒が含酸素物質から軽質オレフィンへの所望の変換を促進する有効な量だけ存在している固体粒子中に組み込まれる。一態様では、固体粒子は、触媒有効量の触媒、並びに所望の1つ又は複数の特性、例えば、所望の触媒希釈、機械的強度などを固体粒子に付与する結合剤材料、充填剤材料、及びこれらの混合物からなる群から選択された少なくとも1つのマトリクス材料を含む。このようなマトリクス材料は、ある程度は、本来的に多孔質であることが多く、また所望の反応を促進するのに有効である場合も有効でない場合もある。充填剤及び結合剤の材料は、例えば、金属酸化物、粘土、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、シリカマグネシア、シリカジルコニア、シリカトリアなどの合成及び天然の物質を含む。マトリクス材料が、触媒組成物中に含まれる場合、分子篩は、好ましくは、全組成物の約1から99重量%、より好ましくは約5から90重量%、さらにより好ましくは約10から80重量%を含む。
【実施例】
【0174】
以下の実施例は、限定はしないが、本発明を実証するものである。
【0175】
(実施例1)
Al含有SSZ−75の合成
1.5mMのテトラメチレン−1,4−(Nメチルピロリジニウム)ジカチオンSDA(3mM OH)をテフロン(登録商標)カップ(Parr 23ml反応器用)内で1.26グラムのオルトケイ酸テトラエチルと混合し、このカップをフードの中に置いて、数日かけて蒸発させた(加水分解でエタノールが形成されるように)。目視できる液体がすべてなくなった後、テフロン(登録商標)カップを再秤量して、水を加えて、HO/SiOモル比を約4にした。次いで、12mgのReheiss F2000(50% Al)を加えて、反応混合物中に溶解させた。これは、SiO/Alの開始合成モル比が100であることを表している。最後に、プラスチック製ピペットを使用して0.135グラムの50%HFを加えた。ゲルをプラスチック製スパチュラで混合し、次いで、その結果得られる反応混合物を密閉容器に入れて、150℃の温度で16日間、43RPMで回転させた。形成された結晶性生成物は、回収され、X線回折分析により分子篩SSZ−75であることが判明した。
【0176】
(実施例2)
Al含有SSZ−75の合成
実施例1で説明されている手順を繰り返したが、ただし、異なるのは、アルミニウムの供給源が、LZ−210ゼオライト(脱アルミニウムFAUの一形態)であることと、SiO/Alモル比が70であることである。この反応で、10日以内にSSZ−75が形成された。
【0177】
(実施例3)
Al含有SSZ−75の合成
実施例1で説明されている手順を繰り返したが、ただし、異なるのは、アルミニウムの供給源が、Catapal B(擬似ベーマイトアルミナの一形態)であることである。この反応で、10日以内にSSZ−75が形成された。
【0178】
(実施例4〜7)
すべてシリカのSSZ−75の合成
反応混合物(モル比として表される)と以下の表に示されている条件を使用して実施例1のと似た手順を繰り返した。これらの反応は、結晶性生成物がSEMにより観察されるまで行われ、その後、生成物が回収された。生成物は、表にも示されている。
【表7】

【0179】
(実施例8)
SSZ−75のか焼
実施例1で得られる生成物を以下の方法でか焼した。薄い材料の床をマッフル炉内の空気流床中で、室温から120℃まで毎分1℃ずつ温度を上げて加熱し、2時間の間120℃に保った。次いで、この温度を同じ速さで540℃まで高め、3時間の間この温度に保ち、その後、594℃に高め、そこでさらに3時間の間、その温度に保った。
【0180】
(実施例9)
メタノールの変換
実施例8(0.10グラム)のか焼材料をペレット状にし、(リサイクルにより)20〜40メッシュのメッシュ状にし、3/8インチのステンレス製反応器内に詰めた。窒素キャリアガス(20cc/分)で十分にパージした後、触媒を750°F(399℃)まで加熱した。22.5%メタノール水溶液供給原料を、1.59cc/hの速度でシリンジポンプを介して反応器内に導入した。供給原料導入の10分の時点で排液流のサンプルをオンラインガスクロマトグラフに迂回させた。SSZ−75は、以下の挙動を示した。
メタノール変換率=100%
ジメチルエーテルは検出されなかった
〜Cは、生成物の約70%である
5+は、オレフィンと飽和物の混合物を示した
芳香族化合物が形成され、エチルベンゼンが最も豊富な単一生成物であった
トリメチルベンゼン異性体が、最も重い生成物として観察された
【0181】
流れに入れて100分経ったところで、SSZ−75に汚れが生じたが、それでも同じ生成物を生成した(観察された芳香族化合物が非常に少なかったけれども)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
STIトポロジーを有し、(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素又はこれらの混合物の酸化物とのモル比が少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩分子篩。
【請求項2】
(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物から選択された酸化物との少なくとも15のモル比を有する請求項1に記載の分子篩。
【請求項3】
か焼後に、表IIのX線回折線を持つ請求項1に記載の分子篩。
【請求項4】
か焼後に、表IIのX線回折線を持つ請求項2に記載の分子篩。
【請求項5】
合成されたまま、無水状態において、モル比で、
SiO/X 少なくとも15
2/n/SiO 0〜0.03
Q/SiO 0.02〜0.08
F/SiO 0.01〜0.04
を含む組成を有し、
式中、Xはアルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム、及びこれらの混合物であり、cは1又は2であり、dはcが1のときに2であるか、又はdはcが2のときに3又は5であり、Mはアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又はこれらの混合物であり、nはMの価数であり、Qはテトラメチレン−1,4−ビス−(N−メチルピロリジニウム)ジカチオンであり、Fはフッ化物である結晶質分子篩。
【請求項6】
結晶性物質を調製する方法であって、(1)酸化ケイ素の供給源、(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物の供給源、(3)フッ化物イオン、及び(4)テトラメチレン−1,4−ビス−(N−メチルピロリジニウム)ジカチオンを含む構造指向剤を、結晶化条件下で接触させることを含む方法。
【請求項7】
前記結晶性物質は、酸化ケイ素を含む反応混合物から調製され、モル比で、
SiO2/XaOb 少なくとも15
OH−/SiO2 0.20〜0.80
Q/SiO2 0.20〜0.80
M2/n/SiO2 0〜0.04
H2O/SiO2 2〜10
HF/SiO2 0.20〜0.80
であり、
式中、Xはアルミニウム、ガリウム、鉄、ホウ素、チタン、インジウム、及びこれらの混合物であり、aは1又は2であり、bはaが1のときに2であり、bはaが2のときに3であり、Mはアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、又はこれらの混合物であり、nはMの価数であり、Qはテトラメチレン−1,4−ビス−(N−メチルピロリジニウム)ジカチオンである請求項6に記載の方法。
【請求項8】
炭化水素系供給原料を、炭化水素変換条件下で、STIトポロジーを有し、(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物とのモル比が少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒に接触させることを含む炭化水素を変換するプロセス。
【請求項9】
前記分子篩は、(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物から選択された酸化物とのモル比が少なくとも15のモル比を有する請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記分子篩は、主として水素型である請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記分子篩は、実質的に酸性度を有さない請求項9に記載のプロセス。
【請求項12】
前記触媒を水素化分解条件下で炭化水素供給原料に接触させることを含む水素化分解プロセスである請求項9に記載のプロセス。
【請求項13】
沸点の範囲が約40℃超から約200℃未満である直鎖及び若干分岐した炭化水素を含む炭化水素系供給原料を芳香族変換条件下で前記触媒に接触させることを含む芳香族含有量の高い生成物を生成するために炭化水素供給原料のオクタン価を高めるプロセスである請求項9に記載のプロセス。
【請求項14】
前記分子篩は、実質的に酸を含まない請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記分子篩は、第VIII族金属成分を含む請求項13に記載のプロセス。
【請求項16】
炭化水素供給原料を添加水素がない接触分解条件下で反応帯内において前記触媒に接触させることを含む接触分解プロセスである請求項9に記載のプロセス。
【請求項17】
前記触媒は、さらに、大孔結晶質クラッキング成分を含む請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
からCまでの炭化水素を異性化する異性化プロセスであり、直鎖及び若干分岐したCからCの炭化水素を有する供給原料を、異性化条件下で、前記触媒に接触させることを含む請求項9に記載のプロセス。
【請求項19】
前記分子篩は、少なくとも1つの第VIII族金属を含浸されている請求項18に記載のプロセス。
【請求項20】
前記触媒は、前記第VIII族金属の含浸後に高温の蒸気/空気混合気中でか焼されている請求項18に記載のプロセス。
【請求項21】
前記第VIII族金属は、白金である請求項19に記載のプロセス。
【請求項22】
少なくとも部分的液相条件下で、前記触媒の存在下で、CからC20のオレフィンをアルキル化条件下で少なくともモル過剰の芳香族炭化水素に接触させることを含む芳香族炭化水素をアルキル化するプロセスである請求項9に記載のプロセス。
【請求項23】
前記オレフィンは、CからCのオレフィンである請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記芳香族炭化水素及びオレフィンは、それぞれ、約4:1から約20:1のモル比で存在する請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ナフタレン、ナフタレン誘導体、ジメチルナフタレン又はこれらの混合物からなる群から選択される請求項23に記載のプロセス。
【請求項26】
少なくとも部分的液相条件下で、前記触媒の存在下で、芳香族炭化水素をトランスアルキル化条件下でポリアルキル芳香族炭化水素に接触させることを含む芳香族炭化水素をトランスアルキル化するプロセスである請求項9に記載のプロセス。
【請求項27】
前記芳香族炭化水素及び前記ポリアルキル芳香族炭化水素は、それぞれ、約1:1から約25:1のモル比で存在する請求項26に記載のプロセス。
【請求項28】
前記芳香族炭化水素は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、又はこれらの混合物からなる群から選択される請求項26に記載のプロセス。
【請求項29】
前記ポリアルキル芳香族炭化水素は、ジアルキルベンゼンである請求項26に記載のプロセス。
【請求項30】
パラフィンを芳香族化合物に変換させる条件下でパラフィンを前記分子篩及びガリウム、亜鉛、又はガリウム若しくは亜鉛の化合物を含む触媒と接触させることを含む、パラフィンを芳香族化合物に変換するプロセスである請求項9に記載のプロセス。
【請求項31】
オレフィンを前記オレフィンの異性化を引き起こす条件下で前記触媒に接触させることを含む、オレフィンを異性化するプロセスである請求項9に記載のプロセス。
【請求項32】
キシレン異性体又はキシレン異性体とエチルベンゼンとの混合物の芳香族Cの流れを含む異性化供給原料を異性化するプロセスであり、オルトキシレン、メタキシレン、及びパラキシレンのより平衡に近い比が得られ、前記供給原料を異性化条件下で前記触媒に接触させることを含む請求項9に記載のプロセス。
【請求項33】
オレフィン供給原料をオリゴマー化条件下で前記触媒に接触させることを含むオレフィンをオリゴマー化するプロセスである請求項9に記載のプロセス。
【請求項34】
含酸素炭化水素を変換するプロセスであって、液体生成物を生成する条件下で前記含酸素炭化水素を、第1の4価元素の酸化物と前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、3価元素、5価元素、又はその混合物の酸化物とのモル比が少なくとも15のモル比を有し、か焼の後、表IIのX線回折線を有する分子篩を含む触媒に接触させることを含むプロセス。
【請求項35】
前記含酸素炭化水素は、低級アルコールである請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
前記低級アルコールは、メタノールである請求項35に記載のプロセス。
【請求項37】
分子量のより低い炭化水素から分子量のより高い炭化水素を生成するプロセスであり、
(a)反応帯内に分子量のより低い炭化水素含有ガスを導入し、前記反応帯内の前記ガスを、C2+炭化水素合成条件下で、前記触媒、及び前記分子量のより低い炭化水素から分子量のより高い炭化水素に変換することができる金属又は金属化合物に接触させる工程と、
(b)前記反応帯から、分子量のより高い炭化水素含有流を取り出す工程と、
を含む請求項9に記載のプロセス。
【請求項38】
前記金属又は金属化合物は、ランタニド若しくはアクチニド金属又は金属化合物を含む請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
前記分子量のより低い炭化水素は、メタンである請求項37に記載のプロセス。
【請求項40】
1−オレフィンの重合を促進する触媒組成物であって、
(A)(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物との少なくとも15のモル比を有し、か焼の後、表IIのX線回折線を有する結晶質分子篩と、
(B)有機チタン又は有機クロム化合物とを含む触媒組成物。
【請求項41】
1−オレフィンを重合するプロセスであり、前記重合反応を開始し、促進するのに適した温度及び圧力を含む重合条件下で、1−オレフィン単量体を触媒有効な量の触媒組成物に接触させることを含み、前記組成物は、
(A)STIトポロジーを有し、(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物から選択された酸化物とのモル比が少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩と、
(B)有機チタン又は有機クロム化合物と
を含む請求項9に記載のプロセス
【請求項42】
前記1−オレフィン単量体は、エチレンである請求項41に記載のプロセス。
【請求項43】
不飽和炭化水素を含む炭化水素供給原料を水素化するプロセスであり、水素を含む前記供給原料を水素化を引き起こす条件下で前記触媒に接触させることを含む請求項9に記載のプロセス。
【請求項44】
前記触媒は、金属、塩、又は錯体を含み、前記金属は、白金、パラジウム、ロジウム、イリジウム、又はこれらの組合せからなる群、或いはニッケル、モリブデン、コバルト、タングステン、チタン、クロム、バナジウム、レニウム、マンガン、及びこれらの組合せからなる群から選択される請求項43に記載のプロセス。
【請求項45】
炭化水素供給原料を、脱ろう条件下で、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物とのモル比が少なくとも約14のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒に接触させることを含む脱ろうプロセス。
【請求項46】
ろう様炭化水素供給原料を、異性化脱ろう条件下で、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物とのモル比が少なくとも約14のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒に接触させることを含む、ろう様炭化水素供給原料の脱ろう生成物の粘度指数を改良するプロセス
【請求項47】
20+オレフィン供給原料を、異性化条件下で、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物とのモル比が少なくとも約14のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒上で異性化することを含む、C20+オレフィン供給原料からC20+潤滑油を生成するプロセス。
【請求項48】
前記触媒は、さらに、少なくとも1つの第VIII族金属を含む請求項47に記載のプロセス。
【請求項49】
炭化水素油供給原料を、脱ろう条件下、約15〜3000psi(0.103〜20.7MPa)の水素圧力における添加水素ガスの存在下で、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物とのモル比が少なくとも約14のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒に接触させることを含む、約350°F(177℃)よりも高い温度で沸騰し、直鎖及び若干分岐した鎖式炭化水素を含有する炭化水素油供給原料を触媒脱ろうするプロセス。
【請求項50】
前記触媒は、さらに、少なくとも1つの第VIII族金属を含む請求項49に記載のプロセス。
【請求項51】
前記触媒は、前記分子篩及び少なくとも1つの第VIII族金属を含む第1の触媒と前記第1の触媒の分子篩よりも形状選択的なアルミノケイ酸塩ゼオライトを含む第2の触媒とを含む組合せを含む請求項49に記載のプロセス。
【請求項52】
潤滑油を調製するプロセスであって、
水素化分解帯内で炭化水素系供給原料を水素化分解して、水素化分解された油を含む排液を得ることと、
添加水素ガスの存在下、少なくとも約400°F(204℃)の温度、約15psigから約3000psig(0.103から20.7MPaゲージ)の温度で、水素化分解された油を含む前記排液を、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物とのモル比が少なくとも約14のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒により触媒脱ろうすることとを含むプロセス。
【請求項53】
前記触媒は、さらに、少なくとも1つの第VIII族金属を含む請求項52に記載のプロセス。
【請求項54】
ラフィネートを異性化脱ろうするプロセスであって、前記ラフィネートを、異性化脱ろう条件下、添加水素の存在下で、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物とのモル比が少なくとも約14のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒に接触させることを含むプロセス。
【請求項55】
前記触媒は、さらに、少なくとも1つの第VIII族金属を含む請求項54に記載のプロセス。
【請求項56】
前記ラフィネートは、ブライトストックである請求項54に記載のプロセス。
【請求項57】
前記分子篩は、(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物から選択された酸化物のモル比が少なくとも約14のモル比を有する請求項46−56のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項58】
前記分子篩は、主として水素型である請求項12、16、18、22、26、45、46、47、49、52、又は54に記載のプロセス。
【請求項59】
分子篩を含む膜を使用してガスを分離するプロセスにおいて、前記分子篩を、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物とのモル比が少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩を前記分子篩として使用することを含む改良。
【請求項60】
前記分子篩は、(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物から選択された酸化物とのモル比が少なくとも15のモル比を有する請求項59に記載のプロセス。
【請求項61】
前記分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ請求項59に記載のプロセス。
【請求項62】
前記分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ請求項60に記載のプロセス。
【請求項63】
STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物とのモル比が少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒の存在下で、メタノール、ジメチルエーテル、又はその混合物とアンモニアとを気相中で反応させることを含む、メチルアミン又はジメチルアミンを生成するプロセス。
【請求項64】
前記分子篩は、(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物から選択された酸化物とのモル比が少なくとも15のモル比を有する請求項63に記載のプロセス。
【請求項65】
前記分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ請求項63に記載のプロセス。
【請求項66】
前記分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ請求項64に記載のプロセス。
【請求項67】
前記メタノール、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物とアンモニアとは、約0.2から約1.5の炭素/窒素比をもたらす十分な量だけ存在する請求項64に記載のプロセス。
【請求項68】
約250℃から約450℃の温度で実施される請求項64に記載のプロセス。
【請求項69】
ガス流中に含まれる窒素の酸化物を還元するプロセスであって、前記ガス流を、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物とのモル比が少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩に接触させることを含むプロセス。
【請求項70】
前記分子篩は、(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物から選択された酸化物とのモル比が少なくとも15のモル比を有する請求項69に記載のプロセス。
【請求項71】
前記分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ請求項69に記載のプロセス。
【請求項72】
前記分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ請求項70に記載のプロセス。
【請求項73】
酸素の存在下で実施される請求項70に記載のプロセス。
【請求項74】
前記分子篩は、窒素の酸化物の還元を触媒することができる金属又は金属イオンを含む請求項70に記載のプロセス。
【請求項75】
前記金属は、コバルト、銅、白金、鉄、クロム、マンガン、ニッケル、亜鉛、ランタン、パラジウム、ロジウム、又はこれらの混合物である請求項74に記載のプロセス。
【請求項76】
前記ガス流は、内燃機関の排気流である請求項69に記載のプロセス。
【請求項77】
前記ガス流は、内燃機関の排気流である請求項75に記載のプロセス。
【請求項78】
炭化水素及びその他の汚染物質を含む常温始動エンジン排ガス流を処理するプロセスであって、前記エンジン排ガス流を水より前記炭化水素を優先的に吸着する分子篩床上に流し第1の排気流を形成することと、前記第1の排ガス流を触媒上に流して前記第1の排ガス流中に含まれる残留炭化水素及びその他の汚染物質を無害な生成物に変換し、処理済み排気流を形成して前記処理済み排気流を前記大気中に放出することからなり、前記分子篩床は、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物とのモル比が少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩を含むプロセス。
【請求項79】
前記分子篩は、(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物から選択された酸化物とのモル比が少なくとも15のモル比を有する請求項78に記載のプロセス。
【請求項80】
前記分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ請求項78に記載のプロセス。
【請求項81】
前記分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ請求項79に記載のプロセス。
【請求項82】
前記エンジンは、内燃機関である請求項79に記載のプロセス。
【請求項83】
前記内燃機関は、自動車用エンジンである請求項82に記載のプロセス。
【請求項84】
前記エンジンは、炭化水素系燃料を燃料とする請求項79に記載のプロセス。
【請求項85】
前記分子篩には、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択された金属が付着されている請求項79に記載のプロセス。
【請求項86】
前記金属は、白金である請求項85に記載のプロセス。
【請求項87】
前記金属は、パラジウムである請求項85に記載のプロセス。
【請求項88】
前記金属は、白金とパラジウムの混合物である請求項85に記載のプロセス。
【請求項89】
含酸素物質又は含酸素物質の混合物を含む供給原料から軽質オレフィンを生産するプロセスであって、前記供給原料を有効な条件下で、STIトポロジーを有し、また(1)第1の4価元素の酸化物と(2)3価元素、5価元素、前記第1の4価元素と異なる第2の4価元素、又はその混合物の酸化物とのモル比が少なくとも15のモル比を有する結晶質分子篩を含む触媒上で反応させることを含むプロセス。
【請求項90】
前記分子篩は、(1)酸化ケイ素と(2)酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化鉄、酸化ホウ素、酸化チタン、酸化インジウム、及びこれらの混合物から選択された酸化物とのモル比が少なくとも15のモル比を有する請求項89に記載のプロセス。
【請求項91】
前記分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ請求項89に記載のプロセス。
【請求項92】
前記分子篩は、か焼後に、表IIのX線回折線を持つ請求項90に記載のプロセス。
【請求項93】
前記軽質オレフィンは、エチレン、プロピレン、ブチレン、又はこれらの混合物である請求項90に記載のプロセス。
【請求項94】
前記軽質オレフィンは、エチレンである請求項93に記載のプロセス。
【請求項95】
前記含酸素物質は、メタノール、ジメチルエーテル、又はこれらの混合物である請求項90に記載のプロセス。
【請求項96】
前記含酸素物質は、メタノールである請求項95に記載のプロセス。

【公表番号】特表2009−539747(P2009−539747A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514480(P2009−514480)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/070210
【国際公開番号】WO2007/146622
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(503148834)シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド (258)
【Fターム(参考)】