説明

制御パネルと制御パネルの製造方法

自動車用の制御パネル(1)で、線状要素(2)から構築されたフレーム構造(3)を持ち、線状要素で区分されたフレーム構造の領域(4)を少なくとも部分的にプラスチックシート要素(5)で塞ぎ、プラスチックシート要素を単体材料結合により線状要素と結合する。これにより、従来の通常の単に部分的な強化とは対照的に、制御パネル全体の包括的な強化を初めて達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御パネル及び制御パネルを製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用の制御パネルとして様々な具体例が知られている。
【0003】
通常、制御パネルは例えば自動車のA支柱間に配置したクロスメンバで固定する。このため、制御パネルは一般にそれ自身、装飾層で車内の側面に被覆でき通常、射出成形したプラスチック材のカバーの基礎となる付加的な支持構造を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それら周知の制御パネルの欠点は、上述の構造から重量が増えるが、それにもかかわらずそれにかかる荷重の観点から、例えば衝突の際に制御パネルに望ましくない破断が生じ得るというように、所々で寸法が足らないあるいは過剰であるという点にある。しかし重量面は特に重要で、従来のクロスメンバはそれ自身で例えば6から8kgの重さがあり、自動車の重い重量の一因となっている。
【0005】
制御パネルを強化するため、今まで所々、特にエアバックの貫通孔のような強調箇所に、平らな強化材を適用するのが常であった。しかしこれは、例えば金属強化シートをプラスチック部品に取付けるというのは比較的高価になるという問題を生じる。更に例えばシートメタル及びそれに隣接するプラスチック材の熱膨張係数が異なることから制御パネルに歪が生じ、運転手側からそれが見え、品質の低下を表象することがある。
【0006】
従って本発明の基礎となる目的は、一方で重い重量に耐えることができ、他方で軽量で費用効果的で信頼性の高い制御パネルと、それを保証する制御パネルを製造する方法を創出することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は請求項1の制御パネルと請求項8の製造方法により達成する。本発明では線状要素から構築したフレーム構造を制御パネルに設け、線状要素で区分されたフレーム構造の各領域を少なくとも部分的にプラスチックシート要素により塞ぎ、プラスチックシート要素は単体材料結合により線状要素と結合するので、制御パネルに関してこの目的を達成できる。
【0008】
ここでフレーム構造は、制御パネルに働く力を主にその適切な構造により吸収できるように計算する。更にプラスチックシート要素も当然これに寄与し、その端部は線状要素と単体材料結合により結合しているので制御パネルの硬化にも寄与する。ここで「単体材料結合」とは主に、液状プラスチック材料を線状要素に対し再溶融ないし溶融することを意味する。あるいはまた、単体材料結合は、例えば溶接方法あるいは例えば合成樹脂と「化学的に溶融」する他の方法を意味することもある。ここでプラスチックシート要素は好適には射出成形法で、線状要素を用意して配置した適切な型に液状プラスチック材として導入する。
【0009】
このように本発明の制御パネルは、従来の通常の単に部分的な強化とは対照的に、制御パネル全体の「包括的な」強化を初めて達成できる。ここで本発明のフレーム構造の設計において、荷重に適合した制御パネルの構築を可能にする特別な方法が覗える。
【0010】
ここでまず、全運転席領域を「大きな立方体」と見る。この立方体に関して、荷重を限定する(例えばエアバッグの解除やハンドルの「外皮整合テスト」で生じ得る「誤用力」)。領域も更に限定し、スペース、即ち例えば車の乗員の足元の広さを作るため立方体を「切り抜いた」領域がなければならない。そこには構造物があってはならない。次に行なう輪郭の設計では、立方体の残りの主な力の流れを判定する。これに関して、相応の「グリッドプロフィール」をモデル化する。フレーム構造の線状要素はそれらのグリッド線に沿って配備する。更に線状要素ないし夫々「力のフローライン」間の領域に架橋領域、即ちここでは本発明のプラスチックシート要素、を設ける。このようにして、力の関係で本当に必要な所にだけ存在する最適化支持構造が得られる。これの利点は、強化材はそれが実際に必要な箇所にのみ位置し、最適化設計を通して自動車の合計重量を削減でき、おそらくクロスメンバも不要になり、コストを節約でき、構造的なスペースを多く取れることである。これは運転席領域で例えばエアコンシステムや電子機器、グローブボックスなどのために、より利用可能なスペースを作れることを意味し、制御パネルを開発する際にはるかに大きな設計範囲が生じる。
【0011】
制御パネルを製造する本発明の方法は、線状要素を射出成形、圧縮成形ないし発泡機の型のキャビティに差込み、次に型内で少なくとも部分的に(主に後にプラスチックシート要素を形成する)プラスチック材で囲って前記制御パネルを形成することからなる。本発明の射出成形法では、線状要素の再溶融が生じ、射出成形したプラスチックが冷却すると、単体材料結合がなされる。同様の状態は圧縮成形でも達成できる。発泡型では、例えば複数の成分により発泡過程を開始し、それにより例えばポリウレタンフォームの型ないしそのキャビティ内で発泡が行われ、それにより線状要素が少なくとも部分的に囲まれ、ここでも線状要素と発泡プラスチック材の間の単体材料結合が後者が凝結するとなされる。
【0012】
主要請求項で述べた主題の好適な展開は従属項で示す。
【0013】
即ち制御パネルの好適な展開は、線状要素を制御パネルに取り付けたとき、その断面がU字形、円形、楕円形ないし多角形であることにある。ここで基本的に閉じたないし開いた断面を使用できる。尚、線状要素を取り付けた状態では、ケーブルの誘導や空調にも使用できる。特に好適な点は、例えば制御パネルの外側に向けて開いたU字形の側面は、例えばケーブル束をそのU側面に差し込んで外部から容易にアクセス可能にできるということである。
【0014】
単純な(連続的な)断面形状を持つ側面に加えて、特別な任務を果たすのであればより複雑な構造を使用することもできる。即ち線状要素を例えばハニカム・サンドウィッチ構造の細片とすることも可能である。ここで2つのカバー板の間に囲まれた隣接する複数のハニカム状の八角形状とすることができる。従って非常に優れた機械的強度性を持つ非常に軽量の構造をもたらすことができる。
【0015】
射出成形の溶融したあるいは押出しコーティングしたプラスチック材を線状要素に取り付ける特別な方法は、例えば線状要素にその外側に特殊なウェブを持たせることである。それらはまず、線状要素自身の強化に役立つが、注入するプラスチック材に対する結合面の増大を図ることができる。安定性の点から、夫々のウェブを線状要素自身の延長の主方向に対して傾斜(例えば45°)させることが、最高の安定性を達成し、線状要素を制御パネルにできるだけ統合するために好適であることが実証された。
【0016】
要素に対する材料として様々な材料が考えられる。まず、線状要素は例えばスチール板などのシートメタル、穿孔シートメタル、あるいは例えばアルミニウムやマグネシウムから構成できる。また当然、ファイバ材を設けることもできる。それらは基本的に織布ないし編布の細片として使用でき、その完全な強度は押出しコーティング過程でのみ発現する。また線状要素を連続糸から構成することも可能である。それらは例えば連続糸の管であり、基本的な糸として、ここではグラスファイバあるいは射出成形前に熱可塑性プラスチック材と結合させたカーボンファイバを使用できる。後にプラスチックシート要素となるプラスチック材による次の押出しコーティングにより、全体構造の中でそれらの線状要素の優れた融合がもたらされる。
【0017】
プラスチックシート要素は様々なプラスチック材から形成することが出来る。例えばそれらを、長いファイバ部分を有するポリプロピレン材のPP30LGFなどの熱可塑性プラスチックから形成することができる。それら長いファイバ部分はグラスファイバで、本発明の射出成形法では、それらのグラスファイバは好適には10mmの長さを持ち、本発明の圧縮成形法では好適には25mmの長さを持つ。このための代わりのプラスチック材としては例えば、ポリアミドPA,ABS,PC、ABS/PC、ポリイミド、PEEK,PEU、PRS、PEI,PSU、PESU、PPSU、PTFEがある。当然、例えばジュロ可塑性プラスチックなどの他のプラスチック材も可能である。
【0018】
本発明の制御パネルは、制御パネルの安定性で「包括的」なアプローチを求めるという利点を有する。純粋に部分的な強化材は導入しないが、構造全体は望ましい硬度を有する。本発明により形成されたサポートは、審美的な理由から望まれる場合、車内向けにアレンジした装飾層で覆うことが出来る。これにはスラッシュスキン、レザー、あるいは合成繊維、織物、キャストスキン、スプレースキンがある。ともかくここで有利なことは、周知の概念とは対照的に、装飾層を直接、支持構造に糊付けでき、自動車のクロスメンバと装飾層の支持プラスチックスキンの間にクロスストラットのような追加の構造要素が必要でないということである。
【0019】
制御パネルを製造する本発明の方法は、様々な好適な実施例を有している。
【0020】
例えば線状要素を事前に加工したほぼ完成したフレームとして型に差込むことができる。これは例えば事前に加工した金属フレームを型に挿入することで可能である。
【0021】
しかし製造コストに関して、線状要素を個々の部品として型に挿入するのが有利である。このため例えば、連続材(例えばファイバ材の管)の部品を分離でき、個々に型に挿入して、型に注入したプラスチック材により囲まれるときにのみ最終フレームを形成することが好ましい。
【0022】
特に好適な展開は、例えば織布、不織布などのファイバ材料の細片を射出成形型の第1の型半分のくぼみに挿入し、次にそのくぼみに対応したバルジを有する第2の型半分を第1の型半分に合わせて、少なくとも部分的に2つの間に間隔を残し、プラスチック材を型のキャビティに注入する。この過程中、ファイバ材の細片は型自身により(即ち型半分のくぼみあるいはバルジにより)正しい形になり、押出しコーティングされる。これにより線状要素の安定した断面を可能にする非常に費用効果的な構造が生じる。挿入した細片の領域でプラスチック材の流れを良くするため、対応するくぼみとバルジの間に細片の厚さより2mmから4mm大きい間隙を設けることが好ましい。型(即ち型の半分)の温度はここでは、射出成形するプラスチック材の軟化温度にほぼ等しいレベル、即ち例えばポリプロピレンでは約160°Cである。もちろん、圧縮成形では同様の方法も可能である。ここでファイバ材の細片の熱可塑性プラスチックで含浸した布は、その軟化温度、即ちポリプロピレンでは約160°Cにする。圧縮成形中は、型ないし型半分の温度は、満足の行く最終製品を得るため、約70°とする。
【発明の効果】
【0023】
ここに示す発明は、特に自動車に適用できる。ここで制御パネルの力を吸収するフレーム構造を自動車の端壁ないし車体に直接に結合することは容易に理解可能な考え方である。制御パネルを支持するため、クロスメンバに結合する必要はない。更にフレーム構造の対応して厳密な設計により達成できることとして、クロスメンバを省くこともでき、それにより重量を更に節約できるということがある。
【0024】
フレーム構造はエアコンに、あるいはケーブル誘導装置として役立つ。フレーム構造を大表面の吐出フィールドのエヤディストリビュータ(図1(b)を参照)として利用することも考えられる。
【0025】
更に好適な展開は残りの従属項で引用する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1(a)に本発明のフレーム構造3を示す。フレーム構造3はコーナポイント10で集められる線状要素2を備えている。領域4が線状要素2により区分ないし包囲されているのが分かる。図1(a)に示すフレーム構造は自動車用の制御パネルのフレーム構造である。
【0027】
図1(b)に本発明の完全な制御パネル1を示す。制御パネル1は線状要素3を備えたフレーム構造3(理解を容易にするため図1(a)に別々に示す)を有している。線状要素2で区分されたフレーム構造の領域4は、少なくとも部分的にプラスチックのプラスチックシート要素5で塞ぐ。ここでプラスチックシート要素は線状要素2に単体材料結合で結合する。単体材料結合はここで、硬化後にプラスチックシート要素となる熱可塑性プラスチック材を射出成形することで行なうことができ、この過程中、単体材料結合がなされるように、線状要素に対してこのプラスチックの溶融、再溶融を行なう。
【0028】
図1(a)に示す制御パネルは更に、例えば発泡フィルムの装飾層やレザー、布製の装飾層で覆うことができる。
【0029】
図1(b)の実施例では線状要素2をシートメタルで形成したU字形の連続部品として実現している。
【0030】
これは断面Aに沿った図1(c)の断面から明かである。ここで「U」の開いた側面だけが外側に向けて開くように、U字形断面のまわりにプラスチックシート要素5をどのように注入したかが分かる。そこでUの内部に例えばケーブルなどを配置できる。当然、ケーブル11が滑り出さないようにUの開いた側に図示しない閉止要素を後に設けることができる。プラスチックシート要素は、ポリオレフィン化合物、ここではPP30LFG、即ち長さ10mm(射出成形法)と25mm(圧縮成形法)を有する挿入ファイバを有するポリプロピレンからなる。
【0031】
図1(d)に線状要素2から構築したフレーム構造3を示す。このフレーム構造は少なくとも部分的に、内部が中空で、プラスチックシート要素5に対するその側方アタッチメントに空気流の孔を有する線状要素2を有する。プラスチックシート要素5は車内に向けて多くの吐出開口部を有し、中空の線状要素2を通して誘導された空気の塊がプラスチックシート要素5から拡散し、平面状に流れるようにしている。
【0032】
図2は線状要素のジオメトリィの様々な可能性を示している。ここで夫々左側に線状要素の実施例の部品の断面図を示し、右側にその側面図を示す。
【0033】
図2(a)の左側にU字形の断面を(図1(c)と同様に)示すが、U字形の部材の両側からは更にウェブ2'が突出している。図2(a)の右側の側面図から、それらのウェブは傾斜しており、より詳細には水平に対して約45°傾斜していることが分かる。それにより、プラスチックシート要素で押出しコーティングする際、線状要素をプラスチックシート要素5に対してより良好に取付けできる。
【0034】
図2(b)に線状要素の円状の断面を示す。右側の図2(b)から、それは一定の外径を有する「管状部品」であることが分かる。この管状の断面は例えばシートメタルないし穿孔シートメタルから作ることができ、また当然、ファイバから「巻いた」管とすることも可能である。
【0035】
図2(c)には平らな断面を示されている。ここで左側で、線状要素が長方形の断面を持つことが分かる。これはプラスチック材から形成するか、金属あるいはファイバ材(織りないし不織)から形成することができる。この変形はそれ自身で後に図3に示す製造上の変形を示している。
【0036】
最後に図2(d)にハニカム・サンドウィッチ構造を示す。ここで図2(d)の右側に側面図を示す。ここでは上下のカバーパネル(このパネルも熱可塑性プラスチック材で含浸した布とすることができる)を備えた直立したハニカムセル(8角形)を見ることができる。これは左側の断面B−Bからより明確に分かる。
【0037】
本発明の制御パネルは様々な方法で製造することができる。このために、射出成形型のキャビティに線状要素を差込み、射出成形で少なくとも部分的にプラスチック材で再溶融して制御パネルを形成するのが特に簡単である。ここで1つの変形として、線状要素を事前に加工した自己支持フレーム(おおまかに図1(a)に示すフレームのように見える)として挿入し、圧力鋳造アルミニウムから形成することがある。
【0038】
しかし線状要素を個々の部品として型のキャビティに差込むのが非常に費用効果的なものとなる。このため、図3により特に有利な製造の変形をより詳細に説明する。
【0039】
図3に射出成形型の断面を概略的に示す。これは第1の型半分8aとその上にある第2の型半分8bとからなる。それらの半分の型の間には、1−6mmの間隙高さcを持つ型キャビティ6がある。
【0040】
第1の型半分8aには断面がほぼ半円のくぼみ9aを有している。第2の型半分8bはその垂直方向に、くぼみに対して補足的な形状をしているがかなり小さいバルジ9bを有している。くぼみ9aはaの断面幅があり、バルジbはbの断面幅がある。cを関数としてbはaよりも小さい。
【0041】
ここでくぼみ9aに沿って絡み合わせたファイバ(織りないし不織ファイバ布)からなる細片7を敷き、その細片が実質的にくぼみ9aの半円の断面を占めるようにすることができる。そして第2の型半分8bを最小間隔cまで下降させる。その後、型のキャビティ6内で熱可塑性プラスチック材の射出成形を行って、細片に含浸させ、更にプラスチックシート要素5をこの過程中にキャビティ6内で形成する。このように本発明の制御パネルを非常に費用効果的に製造することができる。
【0042】
本発明の制御パネルはその固有の安定性の結果(即ちそのフレーム構造により)、従来の制御パネルよりもかなり安定的という利点がある。制御パネルは自動車の端壁や車体に直接、連結できる。本発明の制御パネルは自動車のクロスメンバで支持する必要はなくなる。
【0043】
次に本発明の特に重要な点を別に再び強調する。
【0044】
この構造により断面が中空の線状要素の一体化が可能で、断面内部で延長している空洞を例えばケーブルあるいは室内換気のための空気流を誘導するのに使用できる。そこで特に図1(d)を再び参照する。室内を換気する構造は例えば、母体材料を通過する換気管を、その材料が最終的に硬化する前にそれを「吹き抜ける」ことで達成するように製造でき、そのため好適には型を形成する際に突起部分を設けて、空気口を形成する。
【0045】
本発明の特に重要な態様は、本発明により特に制御パネルの安定性が増加し、クロスメンバを省くことができる可能性があり、軽量構造という用件に合致するということである。
【0046】
好適にはこれは、線状要素として例えば連続したファイバの束あるいはマット材の細片を挿入することで達成でき、マット材は単層あるいは複数層の不織ないし織物布として具体化する。この元となる考え方は、最も厳しく荷重がかかる点でも十分な安定性を常に持つため、全体的に同一強度を持つ安定した制御パネルを設計するのは高価になり、重量が増大するという本発明の考え方である。
【0047】
このような関係から、延長している線が制御パネルで力の流れを再生する図1(a)を再度参照する。ここで例えばファイバ材の細片をそれらの力のフローラインに挿入することが可能である。特に高い力が働く力フローラインで、(より多くの材料あるいは特殊な材料を通して)特別な適合を行なうことができる。
【0048】
ファイバー材として、いくつかの材料が特に好ましいことが分かっている。そこで例えば織物グラスファイバーマットの細片を挿入することが可能である。それらは例えば事前に熱可塑性材料を含浸させることができ、あるいは例えばポリプロピレン糸のような熱可塑性糸を含めることができるので、それらを次に母体材料に合体させれば更にうまくいく(そのような製品は例えば「ベトロテック社」から入手可能)。そのようなすきまを持つ即ち事実上「マスク形態」の細片(ないし「小さくしたマット」)を挿入することが、サポートも大きなねじり応力を受ける場合に特にそれ自身をうかがわせる。
【0049】
(例えばクロスメンバを取り換える際)、特に引張り荷重を吸収するため、連続的なグラスファイバないし連続グラスファイバの全ての束でガラスを設けることも可能である。ここでファイバ材は織物あるいは不織布ではなく、車体に取付けることもできる個々のファイバの束であり、クロスメンバの機能を請け負うものである。
【0050】
従って特にその材料ないしその材料の量を(荷重によって)選択できるという利点がある。
【0051】
この関係で、更にいくつかの例を述べる。本発明でプラスチックシート要素を形成し、少なくとも部分的に線状要素を囲む母体材料は、好適には少なくとも部分的にファイバ材を貫通する比較的「安定した」材料で、この関係からきわめて安定しているにもかかわらず軽量の構造をもたらすことができる。ここで材料を「発泡」するだけでは一般に不十分で、ポリプロピレン(例えばPP30、30mm長のグラスファイバで強化したプロピレン(ポリプロピレン30LGF))などの安定したプラスチック材を使用した結合が最も可能性があり、代わりに例えば強化ないし非強化ポリアミドも可能である。ここで母体材料の張力の弾性係数は好適には2000N/m以上であるべきで、特に3500N/m以上であることが好ましい。しかし特に極端な適用では、22000N/m以上の弾性係数を有する材料も達成可能である。ここでは例えば、異なる分離層を有する複数層のグラスファイバマットからなるサンドウィッチ構造を使用する。
【0052】
ファイバ材を母体材料に結合するには更に別の可能な方法がある。
【0053】
それほど大きくない応力を受けない部品の場合、例えばPP30LGFの溶融物を射出成形により型に導入するだけ(例えば図3に示すもの)で十分であり得る。しかし射出成形過程故に、安定性にむしろ否定的な効果があるファイバの短小化が生じる。
【0054】
この代替方法として、適切なニ型に押出し機から直接溶融物を例えばストランドの形で入れ、型で押圧することも当然可能であり、そこで母体材料によるファイバ材の浸透が生じる(この方法は「ストランド沈着として知られている」)。基本的に本発明では、これらの方法を全て使用でき、例えばファイバ材の細片を閉じた型内で母体材料と結合させることができる。ここで、図3に示すように、型の成形により細片の輪郭を決め、それにより後の構成部品の輪郭を決めておくことが当然、可能で好ましい。更に図3に示す多少円形の構造とは異なり、より角ばった構造、即ち断面が多角形でも可能である。当然、対応する輪郭を省くことも可能である(ある状況では、荷重支持能力の小さな損失が伴う)。
【0055】
しかし基本的に、特に荷重が高い場合、あるいは荷重タイプに適合する場合、特定の材料を使用することができる(例えば引張り荷重の場合は連続糸あるいは例えば付加的な強力なねじり荷重を吸収する場合は3次元的に曲げられたマット材)ことは本発明にとって本質的なことである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】(a)は、本発明のフレーム構造、(b)は、本発明の制御パネル、(c)は、(b)の断面Aの断面図、(d)は、プラスチックシート要素の領域で平坦な吐出フィールドを有するエアコンに使用したフレーム構造をそれぞれ示す図である。
【図2】線状要素のジオメトリィの様々な可能性を示す図であり、(a)−(d)は、それぞれ線状要素の様々な実施例の断面及び側面図である。
【図3】本発明の制御パネルを生成する本発明の射出成形の断面図である。
【図1a】

【図1b】

【図1c】

【図1d】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
線状要素(2)から構築されたフレーム構造(3)を持ち、線状要素で区分されたフレーム構造の領域(4)は少なくとも部分的にプラスチックシート要素(5)で塞ぎ、プラスチックシート要素を単体材料結合により線状要素と結合することを特徴とする特に自動車用の制御パネル(1)。
【請求項2】
前記制御パネルに取り付けたとき、前記線状要素の断面がU字形、円形、楕円形ないし多角形であることを特徴とする請求項1の制御パネル。
【請求項3】
前記線状要素はハニカム・サンドウィッチ構造の細片であることを特徴とする請求項1の制御パネル。
【請求項4】
前記線状要素(2)はシートメタル、穿孔シートメタル、プラスチック材あるいはファイバ材からなることを特徴とする前出の請求項のいずれかの制御パネル。
【請求項5】
前記線状要素(2)はその外側にウェブ(2')を有することを特徴とする前出の請求項のいずれかの制御パネル。
【請求項6】
前記制御パネル(1)を実質的にその上側の全表面を装飾層で覆うことを特徴とする前出の請求項のいずれかの制御パネル。
【請求項7】
前記プラスチックシート要素(5)は熱可塑性ないしジュロ可塑性プラスチック材からなることを特徴とする前出の請求項のいずれかの制御パネル。
【請求項8】
線状要素(2)を射出成形ないし圧縮成形の型のキャビティ(6)に挿入し、次に型内で少なくとも部分的にプラスチック材で囲って前記制御パネルを形成することを特徴とする、前出の請求項のいずれかにより自動車の制御パネルその他の部品を製造する方法。
【請求項9】
前記線状要素(2)は事前に加工した自己支持形フレームとして挿入することを特徴とする請求項8の方法。
【請求項10】
前記線状要素(2)は個々の部品として挿入されることを特徴とする請求項8の方法。
【請求項11】
ファイバ材の細片(9)を射出成形の第1の型半分(8a)のくぼみ(9a)に挿入し、前記くぼみに対応するバルジを有する第2の型半分(8b)を第1の型半分と合わせ、少なくとも部分的に2つの間に間隙(6)を残し、プラスチック材をキャビティ(6)に注入することを特徴とする請求項8の方法。
【請求項12】
前記線状要素を連続したファイバの束としてあるいはマット材の細片として挿入し、前記マット材は単層ないし複数層の不織ないし織物布として具体化したことを特徴とする請求項8の方法。
【請求項13】
請求項8から12のいずれかの方法により作成された制御パネル。
【請求項14】
前記フレーム構造(3)は自動車の端壁ないし車体に直接に結合できることを特徴とする、請求項1から7のいずれかの制御パネルを含む自動車。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 線状要素(2)から構築されたフレーム構造(3)を持ち、線状要素で区分されたフレーム構造の領域(4)を少なくとも部分的にプラスチックシート要素(5)で塞ぎ、プラスチックシート要素を単体材料結合により線状要素と結合する特に自動車用の制御パネル(1)において、前記線状要素はファイバ材からなり、それらの要素をプラスチックシート要素を構成するものと同一の熱可塑性プラスチック材で含浸することを特徴とする制御パネル。
【請求項2】 前記制御パネルに取り付けたとき、前記線状要素の断面がU字形、円形、楕円形ないし多角形であることを特徴とする請求項1の制御パネル。
【請求項3】 前記線状要素はハニカム・サンドウィッチ構造の細片であることを特徴とする請求項1の制御パネル。
【請求項4】 前記制御パネル(1)は実質的にその上側の全表面を装飾層で覆うことを特徴とする前出の請求項のいずれかの制御パネル。
【請求項5】 線状要素(2)を射出成形ないし圧縮成形の型のキャビティ(6)に挿入し、次に型内で少なくとも部分的にプラスチック材で囲って前記制御パネルを形成し、ファイバ材の細片(9)を射出成形の第1の型半分(8a)のくぼみ(9a)に挿入し、前記くぼみに対応するバルジを有する第2の型半分(8b)を第1の型半分と合わせ、少なくとも部分的に2つの間に間隙(6)を残し、プラスチック材をキャビティ(6)に注入することを特徴とする、前出の請求項のいずれかにより自動車の制御パネルその他の部品を製造する方法。
【請求項6】 前記線状要素(2)を事前に加工した自己支持形フレームとして挿入することを特徴とする請求項5の方法。
【請求項7】 前記線状要素(2)を個々の部品として挿入することを特徴とする請求項5の方法。
【請求項8】 前記線状要素を連続したファイバの束としてあるいはマット材の細片として挿入し、前記マット材は単層ないし複数層の不織ないし織物布として具体化したことを特徴とする請求項5の方法。
【請求項9】 請求項5から8のいずれかの方法により生成された制御パネル。
【請求項10】 前記フレーム構造(3)を自動車の端壁ないし車体に直接に結合できることを特徴とする、請求項1から4ないし9のいずれかの制御パネルを含む自動車。


【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2006−507982(P2006−507982A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−556248(P2004−556248)
【出願日】平成15年12月1日(2003.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2003/013509
【国際公開番号】WO2004/050409
【国際公開日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(504328912)フォールシア インネンラオム システム ゲーエムベーハー (7)
【Fターム(参考)】