前面発光型窒化物系発光素子の製造方法
【課題】前面発光型窒化物系発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】基板10上に順次積層されたn型クラッド層30、活性層40、p型クラッド層50及び透明導電性薄膜層60を備え、ここで、透明導電性薄膜層60は、内部で発生した光の外部発光効率を高めるために別途のエッチングマスクなしに湿式エッチング方式とポスト熱処理によるナノメートルスケールでパターニングされた表面を有する窒化物系発光素子である。これにより、湿式エッチングとポスト熱処理法により形成されたパターニングされた表面を有する透明導電性薄膜層を介して素子の外部発光効率を極大化させることができ、高輝度発光ダイオードの具現を可能にする。
【解決手段】基板10上に順次積層されたn型クラッド層30、活性層40、p型クラッド層50及び透明導電性薄膜層60を備え、ここで、透明導電性薄膜層60は、内部で発生した光の外部発光効率を高めるために別途のエッチングマスクなしに湿式エッチング方式とポスト熱処理によるナノメートルスケールでパターニングされた表面を有する窒化物系発光素子である。これにより、湿式エッチングとポスト熱処理法により形成されたパターニングされた表面を有する透明導電性薄膜層を介して素子の外部発光効率を極大化させることができ、高輝度発光ダイオードの具現を可能にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物系発光素子の製造方法に係り、詳細には、透明導電性(conductive)薄膜層の表面を別途のマスクなしに湿式エッチングしたポスト熱処理を経てナノスケールでパターニングされた透明導電性薄膜電極を形成し、素子内部で発生した光の外部抽出効率を極大化させた前面発光型窒化物系発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウムを代表とする窒化物系半導体を利用した発光素子の具現において、必須な工程のうちの一つが半導体と電極の高品位オーミックコンタクト形成である。これは、窒化物半導体発光素子に係る最近数年間の研究結果にもかかわらず、p型窒化ガリウムの低いキャリア濃度、高い面抵抗、そして低い電気伝導性の問題に起因する。従って、素子内部への円滑な電流注入を提供するために、金属電極を利用したp型窒化ガリウムの高品位オーミックコンタクト形成の重要性が日増しに高まっている。特に、前面発光型素子の場合、内部で発生した光が前記オーミック電極層を介して外部に放出されるため、低い非接触抵抗だけではない、高い透光性を有する高品位オーミックコンタクト層が要求されているのが事実である。
【0003】
一般的に、前面発光型素子のオーミックコンタクト構造として、p型クラッド層上にニッケルと金を順次積層した構造が広く利用されているが、かかる構造は、酸素あるいは空気雰囲気での熱処理後、10−3〜10−4cm3ほどの低い非接触抵抗を有する半透明オーミックコンタクト層を形成するとのことである。しかし、既存のニッケル/金オーミックコンタクト層の有する低い透光率(450nm厚で75%ほど透過)により、素子の具現時に、外部への光抽出効率が低く、次世代大容量及び高輝度発光素子を具現するのに相当な限界点を露呈している。従って、かかる前面発光型発光素子の出力限界を克服するために、従来p型オーミックコンタクト層として使われている半透明のニッケル/金構造より優れた透光性を有する透明導電性酸化物(例えば、ITO)を利用しようとする研究が始まった。一方、最近、Ni/ITOオーミックコンタクト層を利用し、既存のニッケル/金構造の透過率(450nm厚で71.7%ほど透過)より向上した86.6%の高い透過度を得て素子への適用後、1.3倍ほど向上した光出力を示す前面発光型素子が開発されたと報告されている。
【0004】
最近、素子の外部光抽出効率を極大化させるための他の方法として、電極表面組織化(surface texturing)が紹介された。例えば、NiO/ITO構造をp型GaNオーミックコンタクト層で形成した後、既存のフォトリソグラフィ法と乾式エッチング法を利用してマイクロスケールのホール(hole)を有するITO電極パターニングを実施し、素子への適用後、16%ほどの光出力の改良が報告されている。さらに他の例として、特許文献1は、一次元ストライプ状のパターン(stripe−shaped patterns)をHe−Cdレーザ、Arレーザなどによる干渉露光(interferometric exposure)方式と電子ビーム露光(electron beam exposure)方式により具現する方法を開示している。
【0005】
一方、特許文献2は、フォトレジストマスクと反応性イオンエッチング(RIE)などの乾式エッチングにより、光抽出要素(LEE:Light Extraction Elements)あるいは分散層(disperser layers)などから構成された光抽出構造(light extraction structure)を発光素子の表面に構成し、外部量子効率を高める方法を開示している。
【特許文献1】米国特許第6924163号明細書
【特許文献2】米国特許第6821804号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記方法による電極表面の組織化あるいはパターニングは、基本的にマスクと乾式エッチングとによる工程方式であり、かかる追加工程を含まねばならない問題により、実際の素子の製作時に有効ではなく、特に、窒化物系発光素子の製作において、かかる乾式エッチングによるプラズマ損傷の恐れがある。併せて、前記方式は、マイクロスケールのホールパターンを有するので、400から500nmレベルの発光を行う窒化物系発光素子の光抽出効率を極大化し難いという問題点がある。
【0007】
本発明は、透明導電性薄膜層により構成されたp型オーミック電極層を別途のマスクなしに湿式エッチングとポスト熱処理方式により、ナノスケールで表面をパターニングし、素子内部で発生した光の界面乱反射を誘導し、素子の外部発光効率を極大化できる電極構造体を有する窒化物系発光素子の製造方法を提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による窒化物系発光素子の製造方法は、(a)基板上にn型クラッド層、活性層及びp型クラッド層が順次積層された発光構造体の前記p型クラッド層上に、透明導電性薄膜層を形成する段階と、(b)前記透明導電性薄膜層をまず湿式エッチングする段階と、(c)前記湿式エッチングされた透明導電性薄膜層をポスト熱処理する段階とを含む。
【0009】
前記(a)段階の透明導電性薄膜層は、透明導電性酸化物から形成され、前記透明導電性酸化物は、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、セリウム(Ce)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、銅(Cu)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ランタン(La)元素系の金属のうちから選択された少なくともいずれか1つの酸化物である。
【0010】
また、前記(a)段階の透明導電性酸化物に、その電気的特性を向上させるために、ドーパントをさらに添加でき、望ましくは前記ドーパントは、元素周期律表上で金属成分として分類された元素のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0011】
前記(a)段階の透明導電性薄膜層は、電子ビーム蒸着器、スパッタリング、PLD、二重型の熱蒸着器、PVDまたはCVDにより形成されうる。望ましくは、前記透明導電性薄膜層は、10nmないし1,000nm厚に形成されうる。
【0012】
本発明の他の側面によれば、前記透明導電性薄膜層を形成する前に、前記p型クラッド層上に、0.1nmないし50nm厚の金属薄膜層がまず形成され、前記金属薄膜層は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、ロジウム(Rh)、インジウム(In)、スズ(Sn)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)からなるグループから選択されたいずれか一つ、同グループから選択された少なくとも2つの合金または固溶体から形成される。
【0013】
前記(b)段階の湿式エッチングは、バッファード・オキサイド・エッチャント(BOE:Buffered Oxide Etch)、フッ化水素酸(HF)、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、リン酸(H3PO4)、硫酸(H2SO4)、水酸化カリウム(KOH)、シュウ酸、酒石酸、ギ酸、酢酸またはグリコール酸などの原液、前記原液を相互混合した溶液、あるいは前記原液や相互混合した溶液を蒸溜水に希釈した溶液により行われうる。望ましくは、前記(b)段階の湿式エッチングは、常温ないし300℃の温度範囲内で、0.1秒ないし1時間行われうる。
【0014】
前記湿式エッチングされた透明導電性薄膜層のポスト熱処理は、常温ないし900℃の温度範囲内で、10秒ないし3時間行われ、望ましくは、窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素、水素、空気、真空のうち、少なくとも一つを含むガス雰囲気で行われうる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による窒化物系発光素子の製造方法によれば、別途のマスクなしに湿式エッチングとポスト熱処理方式とにより、ナノスケールでパターニングされた透明導電性薄膜を形成でき、特に、前記ナノスケールでパターニングされた透明導電性薄膜をp型電極として利用し、内部で発生する光の外部抽出効率を極大化させた前面発光型窒化物系の発光素子が製造され、前記窒化物系発光素子の光学的特性が向上しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の望ましい実施例による窒化物系発光素子及びその製造方法について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施例による前面発光型発光素子を示す。
【0018】
図1を参照すれば、本発明の第1実施例による窒化物系発光素子は、基板10、バッファ層20、n型クラッド層30、活性層40、p型クラッド層50、及び表面パターニングされた透明導電性薄膜層60が順次積層された構造よりなっている。参照符号90は、n型電極パッドであり、80は、p型電極パッドである。
【0019】
ここで、基板10からp型クラッド層50までが発光構造体に該当し、p型オーミック電極構造体は、p型クラッド層50上に形成された透明導電性薄膜層60を含む。
【0020】
基板10は、サファイア(Al2O3)、シリコンカーバイド(SiC)、シリコン(Si)、ガリウムヒ素(GaAs)のうちいずれか一つにより形成されることが望ましい。
【0021】
前記バッファ層20は、省略可能である。
【0022】
前記バッファ層20からp型クラッド層50までの各層は、III族窒化物系化合物の一般式であるAlxInyGazN(0≦x<1、0≦y<1、0<z≦1、0<x+y+z≦1)と表される化合物のうち選択されたいずれかの化合物を基本として形成され、前記n型クラッド層30及びp型クラッド層50のそれぞれには、それに対応するn型またはp型ドーパントが添加される。
【0023】
また、前記活性層40は、単層またはMQW(multiquantum well)層などの公知の多様な方式により構成されうる。
【0024】
一例として、窒化ガリウム(GaN)系化合物を適用する場合、バッファ層20はGaNにより形成され、n型クラッド層30は、GaNにn型ドーパントとしてSi、Ge、Se、Teなどが添加されて形成され、活性層40は、InGaN/GaN MQWまたはAlGaN/GaN MQWにより形成され、p型クラッド層50は、GaNにP型ドーパントとしてMg、Zn、Ca、Sr、Beなどを添加して形成される。
【0025】
前記n型クラッド層30とn型電極パッド90との間には、n型オーミックコンタクト層(図示せず)がさらに介在し、前記n型オーミックコンタクト層は、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)が順次積層された層構造など、公知の多様な構造により形成されうる。
【0026】
前記p型電極パッド80は、ニッケル(Ni)/金(Au)が順次積層された層構造、またはタングステン(W)/金(Au)、白金(Pt)/金(Au)、パラジウム(Pd)/金(Au)または銀(Ag)/金(Au)が積層された層構造により形成されている。
【0027】
それぞれの構成層は、電子ビーム蒸着器(E−beam evaporator)、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PLD(Plasma Laser Deposition)、二重型の熱蒸着器(dual−type thermal evaporator)、スパッタリングなどの公知の蒸着方式により形成されうる。
【0028】
表面パターニングされた透明導電性薄膜層60は、透明導電性薄膜層の蒸着、蒸着された透明導電性薄膜層の湿式エッチング、そしてポスト熱(post annealing)処理工程を段階的に経て形成できる。望ましくは、前記表面パターニングされた透明導電性薄膜層60は、10nmないし1,000nm、好ましくは10nmないし700nm厚に形成される。この範囲は、ナノスケール(通常、10〜1000nmの範囲にある)でパターニングするのに適当な範囲であり、電極として機能するためにも適当な範囲である。さらに、この範囲は、光の吸収程度を考慮して選定されたものである。
【0029】
前記透明導電性薄膜層は、透明導電性酸化物により形成され、具体的に前記透明導電性酸化物は、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、セリウム(Ce)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、銅(Cu)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)及びランタン(La)元素系の金属からなる群より選択された少なくとも1つの酸化物である。これらの材料、既存のオーミックコンタクト層より高い透過率を提供でき、発光効率を向上させることができる。
【0030】
また、前記透明導電性酸化物に、その電気的特性を向上させるために、ドーパントをさらに添加でき、望ましくは、前記ドーパントは、元素周期律表上で金属成分として分類された元素のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0031】
次に、前記蒸着された透明導電性薄膜層をバッファード・オキサイド・エッチャント(BOE)、フッ化水素酸(HF)、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、リン酸(H3PO4)、硫酸(H2SO4)、水酸化カリウム(KOH)、シュウ酸、酒石酸、ギ酸、酢酸またはグリコール酸などの原液、前記原液を相互混合した溶液、あるいは前記原液や相互混合した溶液を蒸溜水に希釈した溶液で湿式エッチングする。前記湿式エッチングは、常温ないし300℃の温度範囲内で、0.1秒ないし1時間行うことが望ましい。
【0032】
次に、前記湿式エッチングされた透明導電性薄膜層を常温ないし900℃の温度範囲内で、10秒ないし3時間の熱処理を行い、前記表面パターニングされた透明導電性薄膜層60が形成されうる。望ましくは、前記熱処理は、真空、または窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素、水素、および空気のうち、少なくとも一つを含むガス雰囲気で行われる。
【0033】
図2は、本発明の第2実施例による前面発光型発光素子を示す。
【0034】
第2実施例による前面発光型発光素子は、第1実施例とは異なり、表面パターニングされた透明導電性薄膜層60とp型クラッド層50のオーミック接触特性をさらに向上させるために、前記透明導電性薄膜層60とp型クラッド層50の間に、薄い金属薄膜層70を具備することを特徴とする。望ましくは、前記金属薄膜層70は、0.1nmないし50nm厚に形成されうる。
【0035】
さらに望ましくは、金属薄膜層70は、高い導電性と大きい仕事関数を有するのみではなく、ガリウム関連化合物を好ましく形成できる導電性素材、具体的には、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、ロジウム(Rh)、インジウム(In)、スズ(Sn)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)からなる群より選択されたいずれか一つ、同群より選択された少なくとも2つの合金または固溶体から形成される。金属薄膜層を設けることにより、オーミックコンタクト特性を向上させることができる。この層が厚すぎると、それによる光の吸収が大きくなり、一方、薄すぎると、オーミックコンタクト特性の向上が難しくなる虞がある。
【0036】
前記金属薄膜層70は、高い導電性を有しており、上部のパターニングされた透明導電性薄膜層60との結合時に、さらに向上した電流広がり(current spreading)を誘導し、p型オーミック電極構造体の非接触抵抗を低くすることができるという長所を提供できる。
【0037】
図3は、本発明の実施例による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)と比較例による電極のパターニング法(熱処理後の湿式エッチング)により製造されたITO電極の面抵抗変化を比較して示す。
【0038】
具体的に、本発明の実施例による電極表面のパターニング法として、サファイア上に電子ビーム蒸着器を利用して500nm厚にITO電極を蒸着した後、前記ITO電極をBOE:蒸溜水(deionized water)=1:10に希釈された溶液でエッチングした後、温度600℃、3分間空気雰囲気下で熱処理して電極をパターニングした。なお、エッチングは、通常、常温ないし300℃の温度範囲内で0.1秒ないし1時間で実施できる。この範囲は、エッチングのための効果的な範囲を示している。そして、比較例のサンプルを製造するために、サファイア基板上に電子ビーム蒸着器を利用して500nm厚にITO電極を蒸着した後、前記ITO電極を600℃の温度で、3分間空気雰囲気下でまず熱処理した後、BOE:蒸溜水=1:10に希釈された溶液でエッチングした。
【0039】
まず、本発明によるITO電極の表面のエッチング後に熱処理した場合、ITO電極の面抵抗は、エッチング時間の変化と共に持続的に上昇するということが分かる。一方、蒸着されたITO電極をまず熱処理した後、エッチングする場合、ITO電極の面抵抗は、エッチング時間に関係なく大きい変化がないということを確認できる。
【0040】
図4A及び図4Bそれぞれは、図3の実施例及び比較例による電極のパターニング法により製造されたITO電極の表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察した結果を示す。図4Aは、本発明によるITO電極の表面を希釈BOEでエッチングした後、600℃で熱処理した場合であり、表面が非常に粗くパターニングされていることが分かる。一方、図4Bは比較サンプルであり、ITO電極をまず600℃で熱処理した後、希釈BOEでエッチングした場合であり、表面粗度が非常に低いということが分かる。AFMを介した平均粗度(root mean square roughness)を調査した結果、それぞれ81.6nm、4.4nmであり、その差が非常に大きいことが分かる。その結果は、本発明による透明導電性薄膜層の表面パターニング法、(すなわち、湿式エッチング及びポスト熱処理方法)が電極の熱処理及び後エッチング法に比べ、非常に効果的に電極の表面をパターニングさせることを示すが、これは、熱処理前後のITO表面がそれぞれ非晶質(amorphous)と結晶質(polycrystalline)を有するため、互いに異なるITO表面のエッチング挙動に起因する。
【0041】
図5Aと図5Bは、本発明の実施例によるp型クラッド層50の上部に表面パターニングされたITO透明導電性薄膜層60を有する近紫外線InGaN/GaN MQW発光素子の電気的特性を表す。このとき、ITO透明導電性薄膜層60とp型クラッド層50のオーミック接触特性を向上させるために、薄い金属薄膜層70として銀(Ag)を3nm蒸着し、前記表面パターニングされたITO透明導電性薄膜層60は、まずITO表面を前記希釈BOEでまずエッチングした後、600℃で熱処理して形成した。なお、エッチングは、通常、常温ないし300℃の温度範囲内で0.1秒ないし1時間で実施できる。熱処理は、通常、真空、または窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素、水素、および空気のうち、少なくとも一つを含むガス雰囲気で、10秒ないし3時間行う。図5Aは、エッチング時間をそれぞれ0秒、7秒、10秒、そして12秒と多様に変化させた表面パターニングされたITO透明導電性薄膜層を有する素子の電流−電圧特性に関し、それぞれ3.57V、3.61V、3.70Vそして3.83Vの20mA動作電圧を表す。図5Bは、図5Aで示されるサンプルに対する−10Vでの逆電流(reverse current)値を表すが、エッチング時間に関係なく、逆電流の値はほとんど影響されないという結果を示す。かかる結果は、本発明による湿式エッチング及びポスト熱処理による表面パターニングされたITO電極を有する発光素子が、既存の乾式エッチングによるITO電極を有する発光素子で問題視されているプラズマ損傷による素子の電気的特性劣化(特に、逆電流)の問題点を改良できることを意味する。
【0042】
図6は、図5で示されるサンプルに対する光出力−電流(L−I)グラフを表す。本発明による表面パターニングされたITO電極を有する発光素子が、表面パターニングされていないサンプル(0秒エッチング)と対比すると、20mA光出力特性が非常に優れていることが分かる。例えば、7秒湿式エッチング及びポスト熱処理を経てパターニングされたITO電極を有する発光素子の場合、32%ほど向上した光出力特性を表し、エッチング時間が増加した12秒エッチング及びポスト熱処理を経たITO電極を有する発光素子の場合、19%ほどの向上した光出力特性を表した。
【0043】
図7Aないし図7Cは、図6に示されるサンプルのうち、それぞれ0秒、7秒、そして12秒エッチング後に、600℃での熱処理を経たパターニングされたITO電極の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を表す。ここで、通常、エッチングは、バッファード・オキサイド・エッチャント、HF、HCl、HNO3、H3PO4、H2SO4、KOH、シュウ酸、酒石酸、ギ酸、酢酸またはグリコール酸の原液、前記原液を相互混合した溶液、あるいは前記原液や相互混合した溶液を蒸溜水に希釈した溶液で、常温ないし300℃の温度範囲内で行う。該熱処理は、通常、真空、または窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素、水素、および空気のうち、少なくとも一つを含むガス雰囲気で、10秒ないし3時間行われる。図7AのエッチングしていないITO電極の表面と異なり、図7Bと図7Cの表面が非常に粗くパターニングされていることが分かる。特に、図7Bから分かるように、7秒のエッチング後、600℃で熱処理した場合、250から550nmほどのサイズの微細な粒子が表面に形成されていることを観察できるが、かかる表面パターニングされた構造物のサイズは、本発光素子の波長(405nm)と非常に近接したサイズであり、内部で発生した光の外部抽出を効果的に誘導でき、図6で確認したように、約32%レベルの非常に高い光出力を示すものと判断される。一方、図7Cの12秒エッチング後、600℃で熱処理した場合、パターニングされた表面構造物のサイズが約500から1,000nmサイズと非常に大きく集塊(agglomerate)していることが分かる。かかる場合、内部で発光した光の波長(405nm)と対比するとサイズが多少大きすぎ、むしろ内部への反射を起こす確率が高くなる。従って、図6で確認したように、かかる構造物の場合、約19%レベルの比較的低い光出力を示すこととなるが、かかる結果は、既存のマイクロスケールで表面パターニングされた電極を有する発光素子の比較的低い光特性結果(例えば、20%未満)と一致する。
【0044】
図8Aないし図8Cは、図7で示されるサンプルをAFMで観察した結果を表す。エッチングを0秒、7秒、そして12秒行った後に600℃で熱処理した場合について、それぞれ4.1nm、74.3nm、そして142nmの表面粗度を示している。
【0045】
図9Aないし図9Cは、図8と異なり、ITO電極の表面を0秒、7秒、そして12秒で湿式エッチングした直後のサンプルに対し、AFMで観察した結果を表す。ここで、通常、エッチングは、バッファード・オキサイド・エッチャント、HF、HCl、HNO3、H3PO4、H2SO4、KOH、シュウ酸、酒石酸、ギ酸、酢酸またはグリコール酸の原液、前記原液を相互混合した溶液、あるいは前記原液や相互混合した溶液を蒸溜水に希釈した溶液で、常温ないし300℃の温度範囲内で行う。該熱処理は、通常、真空、または窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素、水素、および空気のうち、少なくとも一つを含むガス雰囲気で、常温ないし900℃の温度範囲内で行われる。熱処理温度範囲は、オーミックコンタクトの特性を向上させるためである。エッチングを0秒、7秒、そして12秒行った直後のサンプルにおいて、それぞれ4nm、43.9nm、そして90.6nmの表面粗度を示した。かかる結果は、熱処理前後におけるパターニングされたITO電極表面が互いに異なることを意味し、例えば、7秒エッチングした直後の表面粗度が約43.9nmを示すサンプルを、600℃で熱処理する場合、図8Bに示すように約74.3nmであり、その粗度が増大するという現象を示す。熱処理は、通常、真空、または窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素、水素、および空気のうち、少なくとも一つを含むガス雰囲気で、10秒ないし3時間行う。すなわち、エッチング後、互いに隣接している非常に微細なサイズの粒子が熱処理により互いに集塊することにより、全体的に表面の粒子サイズが増大することが分かる。しかし、パターニングされた表面の粗度が熱処理により多少上昇するが、パターニングされた表面の相対的な粗度は、熱処理前のエッチング時間によりすでに決定されていることが分かり、従って、本発明によるパターニングされた表面を有する透明導電性薄膜層の形成において、エッチング時間の調節が非常に重要であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の前面発光型窒化物系発光素子の製造方法は、例えば、発光素子関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施例による前面発光型発光素子の断面図である。
【図2】本発明の第2実施例による前面発光型発光素子の断面図である。
【図3】本発明の実施例による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)と比較例による電極のパターニング法(熱処理後の湿式エッチング)により製造されたITO電極の面抵抗変化の一例を比較して示すグラフである。
【図4A】図3の実施例による電極のパターニング法により製造されたITO電極の表面をAFMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図4B】比較例による電極のパターニング法により製造されたITO電極の表面をAFMで観察した結果を示す写真である。
【図5A】本発明による電極パターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)を近紫外線発光ダイオードのp型電極に適用した後、前記発光ダイオード素子の電気的特性を測定した結果の一例を示すグラフである。
【図5B】本発明による電極パターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)を近紫外線発光ダイオードのp型電極に適用した後、前記発光ダイオード素子の電気的特性を測定した結果の一例を示すグラフである。
【図6】本発明による電極パターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)を近紫外線発光ダイオードのp型電極に適用した後、前記発光ダイオード素子の光出力−電流(L−I)特性を測定した結果の一例を示すグラフである。
【図7A】本発明による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をSEMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図7B】本発明による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をSEMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図7C】本発明による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をSEMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図8A】本発明による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をAFMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図8B】本発明による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をAFMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図8C】本発明による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をAFMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図9A】本発明による電極のパターニング法(電極エッチング直後)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をAFMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図9B】本発明による電極のパターニング法(電極エッチング直後)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をAFMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図9C】本発明による電極のパターニング法(電極エッチング直後)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をAFMで観察した結果の一例を示す写真である。
【符号の説明】
【0048】
10 基板
20 バッファ層
30 n型クラッド層
40 活性層
50 p型クラッド層
60 透明導電性薄膜層
70 金属薄膜層
80 p型電極パッド
90 n型電極パッド。
【技術分野】
【0001】
本発明は、窒化物系発光素子の製造方法に係り、詳細には、透明導電性(conductive)薄膜層の表面を別途のマスクなしに湿式エッチングしたポスト熱処理を経てナノスケールでパターニングされた透明導電性薄膜電極を形成し、素子内部で発生した光の外部抽出効率を極大化させた前面発光型窒化物系発光素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窒化ガリウムを代表とする窒化物系半導体を利用した発光素子の具現において、必須な工程のうちの一つが半導体と電極の高品位オーミックコンタクト形成である。これは、窒化物半導体発光素子に係る最近数年間の研究結果にもかかわらず、p型窒化ガリウムの低いキャリア濃度、高い面抵抗、そして低い電気伝導性の問題に起因する。従って、素子内部への円滑な電流注入を提供するために、金属電極を利用したp型窒化ガリウムの高品位オーミックコンタクト形成の重要性が日増しに高まっている。特に、前面発光型素子の場合、内部で発生した光が前記オーミック電極層を介して外部に放出されるため、低い非接触抵抗だけではない、高い透光性を有する高品位オーミックコンタクト層が要求されているのが事実である。
【0003】
一般的に、前面発光型素子のオーミックコンタクト構造として、p型クラッド層上にニッケルと金を順次積層した構造が広く利用されているが、かかる構造は、酸素あるいは空気雰囲気での熱処理後、10−3〜10−4cm3ほどの低い非接触抵抗を有する半透明オーミックコンタクト層を形成するとのことである。しかし、既存のニッケル/金オーミックコンタクト層の有する低い透光率(450nm厚で75%ほど透過)により、素子の具現時に、外部への光抽出効率が低く、次世代大容量及び高輝度発光素子を具現するのに相当な限界点を露呈している。従って、かかる前面発光型発光素子の出力限界を克服するために、従来p型オーミックコンタクト層として使われている半透明のニッケル/金構造より優れた透光性を有する透明導電性酸化物(例えば、ITO)を利用しようとする研究が始まった。一方、最近、Ni/ITOオーミックコンタクト層を利用し、既存のニッケル/金構造の透過率(450nm厚で71.7%ほど透過)より向上した86.6%の高い透過度を得て素子への適用後、1.3倍ほど向上した光出力を示す前面発光型素子が開発されたと報告されている。
【0004】
最近、素子の外部光抽出効率を極大化させるための他の方法として、電極表面組織化(surface texturing)が紹介された。例えば、NiO/ITO構造をp型GaNオーミックコンタクト層で形成した後、既存のフォトリソグラフィ法と乾式エッチング法を利用してマイクロスケールのホール(hole)を有するITO電極パターニングを実施し、素子への適用後、16%ほどの光出力の改良が報告されている。さらに他の例として、特許文献1は、一次元ストライプ状のパターン(stripe−shaped patterns)をHe−Cdレーザ、Arレーザなどによる干渉露光(interferometric exposure)方式と電子ビーム露光(electron beam exposure)方式により具現する方法を開示している。
【0005】
一方、特許文献2は、フォトレジストマスクと反応性イオンエッチング(RIE)などの乾式エッチングにより、光抽出要素(LEE:Light Extraction Elements)あるいは分散層(disperser layers)などから構成された光抽出構造(light extraction structure)を発光素子の表面に構成し、外部量子効率を高める方法を開示している。
【特許文献1】米国特許第6924163号明細書
【特許文献2】米国特許第6821804号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、前記方法による電極表面の組織化あるいはパターニングは、基本的にマスクと乾式エッチングとによる工程方式であり、かかる追加工程を含まねばならない問題により、実際の素子の製作時に有効ではなく、特に、窒化物系発光素子の製作において、かかる乾式エッチングによるプラズマ損傷の恐れがある。併せて、前記方式は、マイクロスケールのホールパターンを有するので、400から500nmレベルの発光を行う窒化物系発光素子の光抽出効率を極大化し難いという問題点がある。
【0007】
本発明は、透明導電性薄膜層により構成されたp型オーミック電極層を別途のマスクなしに湿式エッチングとポスト熱処理方式により、ナノスケールで表面をパターニングし、素子内部で発生した光の界面乱反射を誘導し、素子の外部発光効率を極大化できる電極構造体を有する窒化物系発光素子の製造方法を提供するところにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による窒化物系発光素子の製造方法は、(a)基板上にn型クラッド層、活性層及びp型クラッド層が順次積層された発光構造体の前記p型クラッド層上に、透明導電性薄膜層を形成する段階と、(b)前記透明導電性薄膜層をまず湿式エッチングする段階と、(c)前記湿式エッチングされた透明導電性薄膜層をポスト熱処理する段階とを含む。
【0009】
前記(a)段階の透明導電性薄膜層は、透明導電性酸化物から形成され、前記透明導電性酸化物は、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、セリウム(Ce)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、銅(Cu)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、ランタン(La)元素系の金属のうちから選択された少なくともいずれか1つの酸化物である。
【0010】
また、前記(a)段階の透明導電性酸化物に、その電気的特性を向上させるために、ドーパントをさらに添加でき、望ましくは前記ドーパントは、元素周期律表上で金属成分として分類された元素のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0011】
前記(a)段階の透明導電性薄膜層は、電子ビーム蒸着器、スパッタリング、PLD、二重型の熱蒸着器、PVDまたはCVDにより形成されうる。望ましくは、前記透明導電性薄膜層は、10nmないし1,000nm厚に形成されうる。
【0012】
本発明の他の側面によれば、前記透明導電性薄膜層を形成する前に、前記p型クラッド層上に、0.1nmないし50nm厚の金属薄膜層がまず形成され、前記金属薄膜層は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、ロジウム(Rh)、インジウム(In)、スズ(Sn)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)からなるグループから選択されたいずれか一つ、同グループから選択された少なくとも2つの合金または固溶体から形成される。
【0013】
前記(b)段階の湿式エッチングは、バッファード・オキサイド・エッチャント(BOE:Buffered Oxide Etch)、フッ化水素酸(HF)、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、リン酸(H3PO4)、硫酸(H2SO4)、水酸化カリウム(KOH)、シュウ酸、酒石酸、ギ酸、酢酸またはグリコール酸などの原液、前記原液を相互混合した溶液、あるいは前記原液や相互混合した溶液を蒸溜水に希釈した溶液により行われうる。望ましくは、前記(b)段階の湿式エッチングは、常温ないし300℃の温度範囲内で、0.1秒ないし1時間行われうる。
【0014】
前記湿式エッチングされた透明導電性薄膜層のポスト熱処理は、常温ないし900℃の温度範囲内で、10秒ないし3時間行われ、望ましくは、窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素、水素、空気、真空のうち、少なくとも一つを含むガス雰囲気で行われうる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による窒化物系発光素子の製造方法によれば、別途のマスクなしに湿式エッチングとポスト熱処理方式とにより、ナノスケールでパターニングされた透明導電性薄膜を形成でき、特に、前記ナノスケールでパターニングされた透明導電性薄膜をp型電極として利用し、内部で発生する光の外部抽出効率を極大化させた前面発光型窒化物系の発光素子が製造され、前記窒化物系発光素子の光学的特性が向上しうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付された図面を参照しつつ、本発明の望ましい実施例による窒化物系発光素子及びその製造方法について詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施例による前面発光型発光素子を示す。
【0018】
図1を参照すれば、本発明の第1実施例による窒化物系発光素子は、基板10、バッファ層20、n型クラッド層30、活性層40、p型クラッド層50、及び表面パターニングされた透明導電性薄膜層60が順次積層された構造よりなっている。参照符号90は、n型電極パッドであり、80は、p型電極パッドである。
【0019】
ここで、基板10からp型クラッド層50までが発光構造体に該当し、p型オーミック電極構造体は、p型クラッド層50上に形成された透明導電性薄膜層60を含む。
【0020】
基板10は、サファイア(Al2O3)、シリコンカーバイド(SiC)、シリコン(Si)、ガリウムヒ素(GaAs)のうちいずれか一つにより形成されることが望ましい。
【0021】
前記バッファ層20は、省略可能である。
【0022】
前記バッファ層20からp型クラッド層50までの各層は、III族窒化物系化合物の一般式であるAlxInyGazN(0≦x<1、0≦y<1、0<z≦1、0<x+y+z≦1)と表される化合物のうち選択されたいずれかの化合物を基本として形成され、前記n型クラッド層30及びp型クラッド層50のそれぞれには、それに対応するn型またはp型ドーパントが添加される。
【0023】
また、前記活性層40は、単層またはMQW(multiquantum well)層などの公知の多様な方式により構成されうる。
【0024】
一例として、窒化ガリウム(GaN)系化合物を適用する場合、バッファ層20はGaNにより形成され、n型クラッド層30は、GaNにn型ドーパントとしてSi、Ge、Se、Teなどが添加されて形成され、活性層40は、InGaN/GaN MQWまたはAlGaN/GaN MQWにより形成され、p型クラッド層50は、GaNにP型ドーパントとしてMg、Zn、Ca、Sr、Beなどを添加して形成される。
【0025】
前記n型クラッド層30とn型電極パッド90との間には、n型オーミックコンタクト層(図示せず)がさらに介在し、前記n型オーミックコンタクト層は、チタン(Ti)とアルミニウム(Al)が順次積層された層構造など、公知の多様な構造により形成されうる。
【0026】
前記p型電極パッド80は、ニッケル(Ni)/金(Au)が順次積層された層構造、またはタングステン(W)/金(Au)、白金(Pt)/金(Au)、パラジウム(Pd)/金(Au)または銀(Ag)/金(Au)が積層された層構造により形成されている。
【0027】
それぞれの構成層は、電子ビーム蒸着器(E−beam evaporator)、PVD(Physical Vapor Deposition)、CVD(Chemical Vapor Deposition)、PLD(Plasma Laser Deposition)、二重型の熱蒸着器(dual−type thermal evaporator)、スパッタリングなどの公知の蒸着方式により形成されうる。
【0028】
表面パターニングされた透明導電性薄膜層60は、透明導電性薄膜層の蒸着、蒸着された透明導電性薄膜層の湿式エッチング、そしてポスト熱(post annealing)処理工程を段階的に経て形成できる。望ましくは、前記表面パターニングされた透明導電性薄膜層60は、10nmないし1,000nm、好ましくは10nmないし700nm厚に形成される。この範囲は、ナノスケール(通常、10〜1000nmの範囲にある)でパターニングするのに適当な範囲であり、電極として機能するためにも適当な範囲である。さらに、この範囲は、光の吸収程度を考慮して選定されたものである。
【0029】
前記透明導電性薄膜層は、透明導電性酸化物により形成され、具体的に前記透明導電性酸化物は、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、セリウム(Ce)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、銅(Cu)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)及びランタン(La)元素系の金属からなる群より選択された少なくとも1つの酸化物である。これらの材料、既存のオーミックコンタクト層より高い透過率を提供でき、発光効率を向上させることができる。
【0030】
また、前記透明導電性酸化物に、その電気的特性を向上させるために、ドーパントをさらに添加でき、望ましくは、前記ドーパントは、元素周期律表上で金属成分として分類された元素のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0031】
次に、前記蒸着された透明導電性薄膜層をバッファード・オキサイド・エッチャント(BOE)、フッ化水素酸(HF)、塩酸(HCl)、硝酸(HNO3)、リン酸(H3PO4)、硫酸(H2SO4)、水酸化カリウム(KOH)、シュウ酸、酒石酸、ギ酸、酢酸またはグリコール酸などの原液、前記原液を相互混合した溶液、あるいは前記原液や相互混合した溶液を蒸溜水に希釈した溶液で湿式エッチングする。前記湿式エッチングは、常温ないし300℃の温度範囲内で、0.1秒ないし1時間行うことが望ましい。
【0032】
次に、前記湿式エッチングされた透明導電性薄膜層を常温ないし900℃の温度範囲内で、10秒ないし3時間の熱処理を行い、前記表面パターニングされた透明導電性薄膜層60が形成されうる。望ましくは、前記熱処理は、真空、または窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素、水素、および空気のうち、少なくとも一つを含むガス雰囲気で行われる。
【0033】
図2は、本発明の第2実施例による前面発光型発光素子を示す。
【0034】
第2実施例による前面発光型発光素子は、第1実施例とは異なり、表面パターニングされた透明導電性薄膜層60とp型クラッド層50のオーミック接触特性をさらに向上させるために、前記透明導電性薄膜層60とp型クラッド層50の間に、薄い金属薄膜層70を具備することを特徴とする。望ましくは、前記金属薄膜層70は、0.1nmないし50nm厚に形成されうる。
【0035】
さらに望ましくは、金属薄膜層70は、高い導電性と大きい仕事関数を有するのみではなく、ガリウム関連化合物を好ましく形成できる導電性素材、具体的には、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、ロジウム(Rh)、インジウム(In)、スズ(Sn)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)からなる群より選択されたいずれか一つ、同群より選択された少なくとも2つの合金または固溶体から形成される。金属薄膜層を設けることにより、オーミックコンタクト特性を向上させることができる。この層が厚すぎると、それによる光の吸収が大きくなり、一方、薄すぎると、オーミックコンタクト特性の向上が難しくなる虞がある。
【0036】
前記金属薄膜層70は、高い導電性を有しており、上部のパターニングされた透明導電性薄膜層60との結合時に、さらに向上した電流広がり(current spreading)を誘導し、p型オーミック電極構造体の非接触抵抗を低くすることができるという長所を提供できる。
【0037】
図3は、本発明の実施例による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)と比較例による電極のパターニング法(熱処理後の湿式エッチング)により製造されたITO電極の面抵抗変化を比較して示す。
【0038】
具体的に、本発明の実施例による電極表面のパターニング法として、サファイア上に電子ビーム蒸着器を利用して500nm厚にITO電極を蒸着した後、前記ITO電極をBOE:蒸溜水(deionized water)=1:10に希釈された溶液でエッチングした後、温度600℃、3分間空気雰囲気下で熱処理して電極をパターニングした。なお、エッチングは、通常、常温ないし300℃の温度範囲内で0.1秒ないし1時間で実施できる。この範囲は、エッチングのための効果的な範囲を示している。そして、比較例のサンプルを製造するために、サファイア基板上に電子ビーム蒸着器を利用して500nm厚にITO電極を蒸着した後、前記ITO電極を600℃の温度で、3分間空気雰囲気下でまず熱処理した後、BOE:蒸溜水=1:10に希釈された溶液でエッチングした。
【0039】
まず、本発明によるITO電極の表面のエッチング後に熱処理した場合、ITO電極の面抵抗は、エッチング時間の変化と共に持続的に上昇するということが分かる。一方、蒸着されたITO電極をまず熱処理した後、エッチングする場合、ITO電極の面抵抗は、エッチング時間に関係なく大きい変化がないということを確認できる。
【0040】
図4A及び図4Bそれぞれは、図3の実施例及び比較例による電極のパターニング法により製造されたITO電極の表面を原子間力顕微鏡(AFM)で観察した結果を示す。図4Aは、本発明によるITO電極の表面を希釈BOEでエッチングした後、600℃で熱処理した場合であり、表面が非常に粗くパターニングされていることが分かる。一方、図4Bは比較サンプルであり、ITO電極をまず600℃で熱処理した後、希釈BOEでエッチングした場合であり、表面粗度が非常に低いということが分かる。AFMを介した平均粗度(root mean square roughness)を調査した結果、それぞれ81.6nm、4.4nmであり、その差が非常に大きいことが分かる。その結果は、本発明による透明導電性薄膜層の表面パターニング法、(すなわち、湿式エッチング及びポスト熱処理方法)が電極の熱処理及び後エッチング法に比べ、非常に効果的に電極の表面をパターニングさせることを示すが、これは、熱処理前後のITO表面がそれぞれ非晶質(amorphous)と結晶質(polycrystalline)を有するため、互いに異なるITO表面のエッチング挙動に起因する。
【0041】
図5Aと図5Bは、本発明の実施例によるp型クラッド層50の上部に表面パターニングされたITO透明導電性薄膜層60を有する近紫外線InGaN/GaN MQW発光素子の電気的特性を表す。このとき、ITO透明導電性薄膜層60とp型クラッド層50のオーミック接触特性を向上させるために、薄い金属薄膜層70として銀(Ag)を3nm蒸着し、前記表面パターニングされたITO透明導電性薄膜層60は、まずITO表面を前記希釈BOEでまずエッチングした後、600℃で熱処理して形成した。なお、エッチングは、通常、常温ないし300℃の温度範囲内で0.1秒ないし1時間で実施できる。熱処理は、通常、真空、または窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素、水素、および空気のうち、少なくとも一つを含むガス雰囲気で、10秒ないし3時間行う。図5Aは、エッチング時間をそれぞれ0秒、7秒、10秒、そして12秒と多様に変化させた表面パターニングされたITO透明導電性薄膜層を有する素子の電流−電圧特性に関し、それぞれ3.57V、3.61V、3.70Vそして3.83Vの20mA動作電圧を表す。図5Bは、図5Aで示されるサンプルに対する−10Vでの逆電流(reverse current)値を表すが、エッチング時間に関係なく、逆電流の値はほとんど影響されないという結果を示す。かかる結果は、本発明による湿式エッチング及びポスト熱処理による表面パターニングされたITO電極を有する発光素子が、既存の乾式エッチングによるITO電極を有する発光素子で問題視されているプラズマ損傷による素子の電気的特性劣化(特に、逆電流)の問題点を改良できることを意味する。
【0042】
図6は、図5で示されるサンプルに対する光出力−電流(L−I)グラフを表す。本発明による表面パターニングされたITO電極を有する発光素子が、表面パターニングされていないサンプル(0秒エッチング)と対比すると、20mA光出力特性が非常に優れていることが分かる。例えば、7秒湿式エッチング及びポスト熱処理を経てパターニングされたITO電極を有する発光素子の場合、32%ほど向上した光出力特性を表し、エッチング時間が増加した12秒エッチング及びポスト熱処理を経たITO電極を有する発光素子の場合、19%ほどの向上した光出力特性を表した。
【0043】
図7Aないし図7Cは、図6に示されるサンプルのうち、それぞれ0秒、7秒、そして12秒エッチング後に、600℃での熱処理を経たパターニングされたITO電極の表面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を表す。ここで、通常、エッチングは、バッファード・オキサイド・エッチャント、HF、HCl、HNO3、H3PO4、H2SO4、KOH、シュウ酸、酒石酸、ギ酸、酢酸またはグリコール酸の原液、前記原液を相互混合した溶液、あるいは前記原液や相互混合した溶液を蒸溜水に希釈した溶液で、常温ないし300℃の温度範囲内で行う。該熱処理は、通常、真空、または窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素、水素、および空気のうち、少なくとも一つを含むガス雰囲気で、10秒ないし3時間行われる。図7AのエッチングしていないITO電極の表面と異なり、図7Bと図7Cの表面が非常に粗くパターニングされていることが分かる。特に、図7Bから分かるように、7秒のエッチング後、600℃で熱処理した場合、250から550nmほどのサイズの微細な粒子が表面に形成されていることを観察できるが、かかる表面パターニングされた構造物のサイズは、本発光素子の波長(405nm)と非常に近接したサイズであり、内部で発生した光の外部抽出を効果的に誘導でき、図6で確認したように、約32%レベルの非常に高い光出力を示すものと判断される。一方、図7Cの12秒エッチング後、600℃で熱処理した場合、パターニングされた表面構造物のサイズが約500から1,000nmサイズと非常に大きく集塊(agglomerate)していることが分かる。かかる場合、内部で発光した光の波長(405nm)と対比するとサイズが多少大きすぎ、むしろ内部への反射を起こす確率が高くなる。従って、図6で確認したように、かかる構造物の場合、約19%レベルの比較的低い光出力を示すこととなるが、かかる結果は、既存のマイクロスケールで表面パターニングされた電極を有する発光素子の比較的低い光特性結果(例えば、20%未満)と一致する。
【0044】
図8Aないし図8Cは、図7で示されるサンプルをAFMで観察した結果を表す。エッチングを0秒、7秒、そして12秒行った後に600℃で熱処理した場合について、それぞれ4.1nm、74.3nm、そして142nmの表面粗度を示している。
【0045】
図9Aないし図9Cは、図8と異なり、ITO電極の表面を0秒、7秒、そして12秒で湿式エッチングした直後のサンプルに対し、AFMで観察した結果を表す。ここで、通常、エッチングは、バッファード・オキサイド・エッチャント、HF、HCl、HNO3、H3PO4、H2SO4、KOH、シュウ酸、酒石酸、ギ酸、酢酸またはグリコール酸の原液、前記原液を相互混合した溶液、あるいは前記原液や相互混合した溶液を蒸溜水に希釈した溶液で、常温ないし300℃の温度範囲内で行う。該熱処理は、通常、真空、または窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素、水素、および空気のうち、少なくとも一つを含むガス雰囲気で、常温ないし900℃の温度範囲内で行われる。熱処理温度範囲は、オーミックコンタクトの特性を向上させるためである。エッチングを0秒、7秒、そして12秒行った直後のサンプルにおいて、それぞれ4nm、43.9nm、そして90.6nmの表面粗度を示した。かかる結果は、熱処理前後におけるパターニングされたITO電極表面が互いに異なることを意味し、例えば、7秒エッチングした直後の表面粗度が約43.9nmを示すサンプルを、600℃で熱処理する場合、図8Bに示すように約74.3nmであり、その粗度が増大するという現象を示す。熱処理は、通常、真空、または窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素、水素、および空気のうち、少なくとも一つを含むガス雰囲気で、10秒ないし3時間行う。すなわち、エッチング後、互いに隣接している非常に微細なサイズの粒子が熱処理により互いに集塊することにより、全体的に表面の粒子サイズが増大することが分かる。しかし、パターニングされた表面の粗度が熱処理により多少上昇するが、パターニングされた表面の相対的な粗度は、熱処理前のエッチング時間によりすでに決定されていることが分かり、従って、本発明によるパターニングされた表面を有する透明導電性薄膜層の形成において、エッチング時間の調節が非常に重要であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の前面発光型窒化物系発光素子の製造方法は、例えば、発光素子関連の技術分野に効果的に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施例による前面発光型発光素子の断面図である。
【図2】本発明の第2実施例による前面発光型発光素子の断面図である。
【図3】本発明の実施例による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)と比較例による電極のパターニング法(熱処理後の湿式エッチング)により製造されたITO電極の面抵抗変化の一例を比較して示すグラフである。
【図4A】図3の実施例による電極のパターニング法により製造されたITO電極の表面をAFMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図4B】比較例による電極のパターニング法により製造されたITO電極の表面をAFMで観察した結果を示す写真である。
【図5A】本発明による電極パターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)を近紫外線発光ダイオードのp型電極に適用した後、前記発光ダイオード素子の電気的特性を測定した結果の一例を示すグラフである。
【図5B】本発明による電極パターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)を近紫外線発光ダイオードのp型電極に適用した後、前記発光ダイオード素子の電気的特性を測定した結果の一例を示すグラフである。
【図6】本発明による電極パターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)を近紫外線発光ダイオードのp型電極に適用した後、前記発光ダイオード素子の光出力−電流(L−I)特性を測定した結果の一例を示すグラフである。
【図7A】本発明による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をSEMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図7B】本発明による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をSEMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図7C】本発明による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をSEMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図8A】本発明による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をAFMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図8B】本発明による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をAFMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図8C】本発明による電極のパターニング法(湿式エッチング及びポスト熱処理)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をAFMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図9A】本発明による電極のパターニング法(電極エッチング直後)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をAFMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図9B】本発明による電極のパターニング法(電極エッチング直後)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をAFMで観察した結果の一例を示す写真である。
【図9C】本発明による電極のパターニング法(電極エッチング直後)が適用された近紫外線発光ダイオードのp型電極の表面をAFMで観察した結果の一例を示す写真である。
【符号の説明】
【0048】
10 基板
20 バッファ層
30 n型クラッド層
40 活性層
50 p型クラッド層
60 透明導電性薄膜層
70 金属薄膜層
80 p型電極パッド
90 n型電極パッド。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)基板上にn型クラッド層、活性層及びp型クラッド層が順次積層された発光構造体の前記p型クラッド層上に、透明導電性薄膜層を形成する段階と、
(b)前記透明導電性薄膜層をまず湿式エッチングする段階と、
(c)前記湿式エッチングされた透明導電性薄膜層をポスト熱処理する段階とを含むことを特徴とする窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項2】
前記(a)段階のp型クラッド層上部に透明導電性薄膜層を形成するのに先立ち、p型クラッド層上に0.1nmないし50nmの範囲の厚みの金属薄膜層を形成する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項3】
前記透明導電性薄膜層は、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、セリウム(Ce)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、銅(Cu)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)及びランタン(La)元素系の金属のうちから選択された少なくとも1つの成分と酸素(O)とが結合して形成された透明導電性酸化物から形成されることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項4】
前記透明導電性薄膜層は、10nmないし700nmの範囲の厚みに形成されることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項5】
前記透明導電性薄膜層の湿式エッチングは、バッファード・オキサイド・エッチャント、HF、HCl、HNO3、H3PO4、H2SO4、KOH、シュウ酸、酒石酸、ギ酸、酢酸またはグリコール酸の原液、前記原液を相互混合した溶液、あるいは前記原液や相互混合した溶液を蒸溜水に希釈した溶液を用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項6】
前記透明導電性薄膜層の湿式エッチングは、常温ないし300℃の温度範囲内で、0.1秒ないし1時間行われることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項7】
前記湿式エッチングされた透明導電性薄膜層のポスト熱処理は、常温ないし900℃の温度範囲内で、10秒ないし3時間行われることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項8】
前記ポスト熱処理は、真空、または窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素、水素、および空気のうち少なくとも一つを含むガス雰囲気で行われることを特徴とする請求項7に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項9】
前記金属薄膜層は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、ロジウム(Rh)、インジウム(In)、スズ(Sn)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)からなる群より選択されたいずれか一つ、同群より選択された少なくとも2つの合金または固溶体から形成されることを特徴とする請求項2に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項1】
(a)基板上にn型クラッド層、活性層及びp型クラッド層が順次積層された発光構造体の前記p型クラッド層上に、透明導電性薄膜層を形成する段階と、
(b)前記透明導電性薄膜層をまず湿式エッチングする段階と、
(c)前記湿式エッチングされた透明導電性薄膜層をポスト熱処理する段階とを含むことを特徴とする窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項2】
前記(a)段階のp型クラッド層上部に透明導電性薄膜層を形成するのに先立ち、p型クラッド層上に0.1nmないし50nmの範囲の厚みの金属薄膜層を形成する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項3】
前記透明導電性薄膜層は、インジウム(In)、スズ(Sn)、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、セリウム(Ce)、カドミウム(Cd)、マグネシウム(Mg)、ベリリウム(Be)、銀(Ag)、モリブデン(Mo)、バナジウム(V)、銅(Cu)、イリジウム(Ir)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、タングステン(W)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)及びランタン(La)元素系の金属のうちから選択された少なくとも1つの成分と酸素(O)とが結合して形成された透明導電性酸化物から形成されることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項4】
前記透明導電性薄膜層は、10nmないし700nmの範囲の厚みに形成されることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項5】
前記透明導電性薄膜層の湿式エッチングは、バッファード・オキサイド・エッチャント、HF、HCl、HNO3、H3PO4、H2SO4、KOH、シュウ酸、酒石酸、ギ酸、酢酸またはグリコール酸の原液、前記原液を相互混合した溶液、あるいは前記原液や相互混合した溶液を蒸溜水に希釈した溶液を用いて行われることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項6】
前記透明導電性薄膜層の湿式エッチングは、常温ないし300℃の温度範囲内で、0.1秒ないし1時間行われることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項7】
前記湿式エッチングされた透明導電性薄膜層のポスト熱処理は、常温ないし900℃の温度範囲内で、10秒ないし3時間行われることを特徴とする請求項1に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項8】
前記ポスト熱処理は、真空、または窒素、アルゴン、ヘリウム、酸素、水素、および空気のうち少なくとも一つを含むガス雰囲気で行われることを特徴とする請求項7に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【請求項9】
前記金属薄膜層は、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、金(Au)、銀(Ag)、クロム(Cr)、ロジウム(Rh)、インジウム(In)、スズ(Sn)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)、ベリリウム(Be)、ストロンチウム(Sr)及びバリウム(Ba)からなる群より選択されたいずれか一つ、同群より選択された少なくとも2つの合金または固溶体から形成されることを特徴とする請求項2に記載の窒化物系発光素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5A】
【図5B】
【図4A】
【図4B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図2】
【図3】
【図5A】
【図5B】
【図4A】
【図4B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【公開番号】特開2008−4931(P2008−4931A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150792(P2007−150792)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【出願人】(505393131)高麗大学校産学協力団 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(591003770)三星電機株式会社 (982)
【出願人】(505393131)高麗大学校産学協力団 (4)
【Fターム(参考)】
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