劣化検出回路、劣化検出システム及び劣化検出方法
【課題】回路規模を増大することなくトランジスタの劣化具合を正確に評価することができる電圧出力回路、劣化検出システム及び劣化検出方法を提供すること
【解決手段】本発明にかかる劣化検出回路10は、電源(VDD)100と電源(VDD)100よりも電位が低い電源(GND)110との間に設けられたMOSトランジスタ30と、電源(VDD)100と電源(GND)110との間においてMOSトランジスタ30と直列に接続され、MOSトランジスタ30の劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する抵抗部20と、MOSトランジスタ30と抵抗部20との接点における電圧を、MOSトランジスタ30の劣化度を測定するために出力する劣化度測定用出力端子40と、を備えるものである。
【解決手段】本発明にかかる劣化検出回路10は、電源(VDD)100と電源(VDD)100よりも電位が低い電源(GND)110との間に設けられたMOSトランジスタ30と、電源(VDD)100と電源(GND)110との間においてMOSトランジスタ30と直列に接続され、MOSトランジスタ30の劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する抵抗部20と、MOSトランジスタ30と抵抗部20との接点における電圧を、MOSトランジスタ30の劣化度を測定するために出力する劣化度測定用出力端子40と、を備えるものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は劣化検出回路、劣化検出システム及び劣化検出方法に関し、特にMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタにおける劣化検出回路、劣化検出システム及び劣化検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロプロセッサ等の集積回路において、MOSトランジスタが多く用いられている。MOSトランジスタは、様々な論理回路を構成するために、主にスイッチとして用いられている。また、集積回路における遅延設計を行うためには、MOSトランジスタで発生する遅延を考慮する必要がある。MOSトランジスタは、動作を繰り返すことにより、劣化が生じ、劣化が生じることにより遅延が長くなる。そのため、MOSトランジスタが用いられている集積回路における遅延設計では、MOSトランジスタの寿命劣化を遅延マージンとして考慮した設計が行われていた。つまり、集積回路上で必要とされる動作周波数よりも早い動作周波数で動作するMOSトランジスタを用いることで、劣化により遅延が生じた場合でも、集積回路全体の性能劣化を防いでいた。しかし昨今、集積回路上で必要とされる動作周波数及びパフォーマンスが向上し、遅延マージンを考慮したより速いMOSトランジスタを採用することが困難となっている。
【0003】
特許文献1には、劣化検出回路をシステムに搭載して実際に稼働させながら、半導体集積回路装置の特性劣化を評価することで、システム全体の稼働停止を未然に防ぐことができる半導体集積回路に関する技術が開示されている。具体的には、特許文献1にかかる半導体集積回路は、通常の動作に用いられるトランジスタと同等の条件で劣化する評価用のトランジスタを用いる。さらに、半導体集積回路は、評価用のトランジスタのしきい値電圧の変化量に基づいて、トランジスタの劣化の程度を検出することができる。これにより、故障発生前のトランジスタを容易に発見することが可能であり、交換等の処置を行うことができるため、突然のシステムダウンを回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−27128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている技術は、トランジスタの劣化度を測定するために、トランジスタのしきい値電圧の変化量を用いている。そのため、トランジスタの出力値がHighからLow又はLowからHighに変化するタイミングを算出する回路が必要となる。これにより回路規模が増大するという問題が生じる。
【0006】
本願発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、回路規模を増大することなくトランジスタの劣化具合を正確に評価することができる電圧出力回路、劣化検出システム及び劣化検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様にかかる劣化検出回路は、第1の電源と当該第1の電源よりも電位が低い第2の電源との間に設けられた第1のMOSトランジスタと、前記第1の電源と前記第2の電源との間において前記第1のMOSトランジスタと直列に接続され、前記第1のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第1の抵抗部と、前記第1のMOSトランジスタと前記第1の抵抗部との接点における劣化検出電圧を、前記第1のMOSトランジスタの劣化度を測定するために出力する劣化度測定用出力端子と、を備えるものである。
【0008】
本発明の第2の態様にかかる劣化検出システムは、第1の電源と当該第1の電源よりも電位が低い第2の電源との間に設けられた第1のMOSトランジスタと、前記第1の電源と前記第2の電源との間において前記第1のMOSトランジスタと直列に接続され、前記第1のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第1の抵抗部と、前記第1のMOSトランジスタと前記第1の抵抗部の接点における電圧を出力する第1の電圧出力部と、前記第1の電圧出力部から出力される電圧に基づいて前記第1のMOSトランジスタの劣化を検出する劣化検出部と、を備えるものである。
【0009】
本発明の第3の態様にかかる劣化検出方法は、第1の電源と当該第1の電源よりも電位が低い第2の電源との間に設けられた第1のMOSトランジスタと当該第1のMOSトランジスタと直列に接続され、当該第1のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第1の抵抗部との接点における電圧を出力するステップと、前記電圧を出力するステップにより出力された電圧に基づいて前記MOSトランジスタの劣化を検出するステップと、を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、回路規模を増大することなくトランジスタの劣化具合を正確に評価することができる劣化検出回路、劣化検出システム及び劣化検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1にかかる劣化検出回路の構成図である。
【図2】実施の形態1にかかる劣化検出システムの構成図である。
【図3】実施の形態1にかかる劣化検出部の構成図である。
【図4】実施の形態1にかかる選択部の構成図である。
【図5】実施の形態1にかかる劣化検出回路の構成図である。
【図6】実施の形態1にかかる劣化検出の処理の流れを示す図である。
【図7】実施の形態2にかかる劣化検出システムの構成図である。
【図8】実施の形態2にかかる選択部に入力される電圧と、劣化検出部に出力される電圧を示す図である。
【図9】実施の形態2にかかる劣化検出時の電圧を示す図である。
【図10】実施の形態2にかかる劣化検出の処理の流れを示す図である。
【図11】実施の形態3にかかる劣化検出システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1を用いて本発明の実施の形態1にかかる劣化検出回路の構成例について説明する。劣化検出回路10は、抵抗部20と、MOSトランジスタ30と、劣化度測定用出力端子40とを備えている。抵抗部20は、電源(VDD)100と接続されている。MOSトランジスタ30は、電源(GND)110と接続されている。電源(VDD)100は、電源(GND)110よりも高い電位を有している。
【0013】
抵抗部20は、固定の抵抗値を有する固定抵抗器である。例えば、抵抗部20は、金属皮膜抵抗や、炭素皮膜抵抗等でもよく、抵抗の種類は多数存在する。また、集積回路内で抵抗を用いる場合は、ポリシリコン抵抗を主に使用する。
【0014】
MOSトランジスタ30は、ゲート端子、ドレイン及びソースを有する。ゲート端子は、抵抗部20を介して接続されている電源(VDD)100から供給されている電圧をゲート電圧として、MOSトランジスタ30へ供給する。また、NMOSトランジスタにおいては、ドレイン側を、抵抗部20を介して電源(VDD)100へ接続する。また、ソース側を、電源(GND)110へ接続する。PMOSトランジスタにおいては、ドレイン及びソースの接続がNMOSトランジスタと逆の接続構成となる。
【0015】
MOSトランジスタ30は、しきい値電圧を超えて変化する電圧が供給されることにより、出力する値が変化する。MOSトランジスタ30は、変化する値の出力を繰り返すことにより、徐々に劣化が進行する。MOSトランジスタ30は、劣化することにより抵抗が増加し、遅延が長くなる。このようなMOSトランジスタの劣化には、ホットキャリアによる劣化が一般的に知られている。ホットキャリアによる劣化が生じることにより、MOSトランジスタ30のドレイン−ソース間の抵抗が増加する。このような場合、MOSトランジスタ30に一度劣化が生じたら、生じた劣化は回復しない。MOSトランジスタ30の劣化は、クロック動作により変化する値の出力を繰り返すことが主な原因である。又は、高周波数による動作を繰り返すことによっても劣化は進行する。ここで、MOSトランジスタの劣化の原因として、ホットキャリアによる劣化以外には、NBTI(Negative Bias Temperature Instability)、PBTI(Positive Bias Temperature Instability)、EM(Electromigration)又はTDDB(Time-Dependent Dielectric Breakdown)等が存在する。
【0016】
ここで、抵抗部20の劣化による抵抗の増加は、MOSトランジスタ30と比較して、とても小さいものと考える。つまり、抵抗部20の劣化進行度は、MOSトランジスタ30の劣化進行度よりも遅い。そのため、以下では回路中の抵抗の増加は、MOSトランジスタ30の劣化により生じているものと考えることができる。
【0017】
劣化度測定用出力端子40は、抵抗部20とMOSトランジスタ30との接点における電圧を出力する。劣化度測定用出力端子40が出力する電圧は、劣化検出回路10の外部に設けられるテスタ等の装置又はテスタ回路等に出力され、劣化検出回路10の劣化度測定に用いられる。つまり、MOSトランジスタ30の劣化度測定に用いられる。劣化度測定用出力端子40が出力する電圧(Vout)は、以下の式(1)により求められる。
【0018】
Vout={R2/(R1+R2)}×Vin・・・(1)
R1:抵抗部20の抵抗、R2:MOSトランジスタ30の抵抗、Vin=VDD
【0019】
MOSトランジスタ30の劣化により、MOSトランジスタ30の抵抗R2が増加する。そのため、式(1)より、劣化度測定用出力端子40が出力する電圧Voutが増加する。これより、テスタ等の装置は、劣化度測定用出力端子40から出力される電圧値を取得し、電圧の変化に基づいて劣化検出回路10のMOSトランジスタ30に生じている劣化を検出することができる。つまり、テスタ等の装置が異なるタイミングに電圧を取得し、後から取得した電圧が増加している場合は、MOSトランジスタ30に劣化が生じていると判定することができる。また、本図においては、抵抗部20をMOSトランジスタ30よりも電位の高い位置に配置しているが、抵抗部20とMOSトランジスタ30との配置を入れ替え、MOSトランジスタ30を抵抗部20よりも電位の高い位置に配置してもよい。この場合、MOSトランジスタ30が劣化することにより、劣化度測定用出力端子40が出力する電圧は減少する。そのため、テスタ等の装置は、取得した電圧が減少している場合は、MOSトランジスタ30に劣化が生じていると判定することができる。
【0020】
また、本図においてはMOSトランジスタ30を一つのみ配置している構成例について説明しているが、MOSトランジスタ30は複数配置されてもよい。この場合、抵抗部20とMOSトランジスタ30との間に直列にMOSトランジスタを配置してもよく、MOSトランジスタ30に並列に配置してもよい。また、複数配置されるMOSトランジスタ30は、劣化進行度が実質的に同一のものを用いる。
【0021】
また、本図においては抵抗部20を固定抵抗器として説明しているが、MOSトランジスタ30とは、異なるドレイン−ソース間抵抗を有するMOSトランジスタを抵抗部20の代わりに用いてもよい。この場合、抵抗部20の代わりに用いるMOSトランジスタには、MOSトランジスタ30よりも劣化進行度が遅いものが用いられる。
【0022】
以上説明したように、劣化検出回路10は、劣化度測定用出力端子を設けることにより、MOSトランジスタ30に生じている劣化を測定又は検出することができる。劣化度測定用出力端子は、MOSトランジスタ30の劣化により生じる抵抗の増加に基づいて変化する電圧を出力する。また、固定抵抗器及び出力端子を新たに設けるだけであるため、MOSトランジスタのしきい値電圧の変化を検出するよりも簡易な回路構成にてMOSトランジスタの劣化を検出することができる。
【0023】
次に、図2を用いて本発明の実施の形態1にかかる劣化検出システムの全体構成例について説明する。劣化検出回路10は、電源(VDD)100及びクロック入力部120のいずれかを選択するクロック−VDD選択部50を備えている。劣化検出回路10のその他の構成は図1と同様である。
【0024】
クロック−VDD選択部50がクロック入力部120を選択した場合、劣化検出回路10は、入力されるクロック信号に基づいて動作する。このような動作を、通常動作モードとする。クロック−VDD選択部50が電源(VDD)100を選択した場合、劣化検出回路10は、電源(VDD)100から供給される一定の電圧に基づいて動作する。このような動作を測定動作モードとする。このように2つのモードを用いることにより、通常動作モード選択時のクロック動作により劣化したMOSトランジスタ30について、測定動作モードにより抵抗部20とMOSトランジスタ30との間の電圧を測定することにより、MOSトランジスタ30の劣化を検出することができる。クロック−VDD選択部50は、抵抗部20に接続されている。
【0025】
また、劣化度測定用出力端子40は、劣化判定部130と接続されている。劣化判定部130は、劣化検出回路10の外部に設けられている。劣化判定部130は、劣化度測定用出力端子40から出力される電圧を取得及び保持し、取得した電圧に基づいて、MOSトランジスタ30の劣化を検出し又はMOSトランジスタ30の劣化度を測定する。
【0026】
ここで、劣化判定部130の構成例について、図3を用いて説明する。劣化判定部130は、可変電圧出力部131と、コンパレータ132と、出力値比較部133とを備えている。
【0027】
可変電圧出力部131は、コンパレータ132へ可変電圧を順次出力する。例えば、0.1V毎に変化させた電圧を、0Vから順次コンパレータ132に対して出力する。コンパレータ132は、可変電圧出力部131から可変電圧を取得するとともに、劣化度測定用出力端子40から出力される信号を取得する。ここで、劣化度測定用出力端子40から出力される信号に直接電圧値が設定されることはない。そのため、コンパレータ132は、可変電圧出力部131から取得する可変電圧と劣化度測定用出力端子40から取得する電気信号とを比較して、劣化度測定用出力端子40から取得する電気信号が示す電圧を特定する。
【0028】
具体的には、コンパレータ132は、劣化度測定用出力端子40から取得する電気信号と、可変電圧出力部131から取得する電気信号との電圧の大きさを比較する。劣化度測定用出力端子40から取得する電圧の大きさが可変電圧出力部131から取得する電圧よりも大きい場合は、出力値比較部133に対して、Highレベルに設定した値を出力する。また、劣化度測定用出力端子40から取得する電圧の大きさが可変電圧出力部131から取得する電圧よりも小さくなった場合は、出力値比較部133に対して、Lowレベルに設定した値を出力する。ここで、可変電圧出力部131から出力する電圧を徐々に大きくすると、コンパレータ132から出力される値がHighレベルからLowレベルに変化する。たとえば、可変電圧出力部131から出力される電圧が1.1Vの時に変化すれば、劣化度測定用出力端子40から取得した電圧は、1.0Vであることが推定される。出力値比較部133は、このようにして得られた電圧値を比較し、後に得られた電圧値が上昇している場合には、MOSトランジスタ30に劣化が生じているものと判定し、劣化を検出する。このようにしてコンパレータを用いることにより、劣化度測定用出力端子40から直接外部テスタ装置等に電圧を出力した場合の配線抵抗による信号の減衰を防止し、正確な電圧測定を可能とする。
【0029】
続いて、図4を用いて本発明の実施の形態1にかかるクロック−VDD選択部50の構成例について説明する。クロック−VDD選択部50は、インバータ52と、MOSトランジスタ54によりアナログスイッチを構成する。クロック−VDD選択部50は、電源(VDD)100及びクロック入力部120のいずれかを選択するため、2つのアナログスイッチにより構成される。MOSトランジスタ54及び58は、上方部分にHighレベルの値が入力され、下方部分にLowレベルの値が入力された場合に、スイッチがON状態となる。
【0030】
クロック−VDD選択部50に対して、スイッチ制御を行うための信号として、Highレベルの信号がインバータ52へ入力される場合、MOSトランジスタ54の上方にはHighレベルの信号が入力され、下方にはLowレベルの信号が入力される。そのため、MOSトランジスタ54で構成されるスイッチはON状態となる。この場合、インバータ56にはLowレベルの信号が入力される。MOSトランジスタ58の上方にはLowレベルの信号が入力され、下方には、Highレベルの信号が入力されるため、MOSトランジスタ58で構成されるスイッチはOFF状態となる。Lowレベルの信号がインバータ52へ入力された場合は、スイッチのON/OFF状態は、上記と逆の状態となる。これにより、クロック−VDD選択部50は、クロック入力部120と電源(VDD)100とのいずれかを選択することが可能となる。
【0031】
続いて、図5を用いて本発明の実施の形態1にかかる劣化検出回路10の構成例について説明する。劣化検出回路10は、NMOSトランジスタ32、34、36、38を備えている点が図2の劣化検出回路10の構成と異なる。本図においては、NMOSトランジスタ32、34、36、38及び抵抗部20を直列に接続し、劣化度測定用出力端子40は、NMOSトランジスタ34とNMOSトランジスタ36との接続点における電圧を出力する。この場合に、劣化度測定用出力端子40が出力する電圧Vout2は、以下の式(2)により求められる。
【0032】
Vout2={Rb/(R1+Ra+Rb)}×Vin・・・(2)
R1:抵抗部20の抵抗、Ra:NMOSトランジスタ32及び34の合成抵抗、
Rb:NMOSトランジスタ36及び38の合成抵抗、Vin:VDD
【0033】
ここで、NMOSトランジスタ32、34、36、38は、実質的に同一のドレイン−ソース間抵抗を有し、さらに実質的に同一の劣化進行度を有する。そのため、NMOSトランジスタ32、34、36、38が劣化することによりRa及びRbの抵抗が増加する。その結果、Vout2は、上昇する。
【0034】
このように複数のNMOSトランジスタを接続した場合においても、NMOSトランジスタが一つのみ設けられる構成と同様に、電圧の変化を求めることができる。また、本図においては、劣化度測定用出力端子40は、NMOSトランジスタ34及び36の間の電圧を出力しているが、抵抗部20とNMOSトランジスタ32との間、NMOSトランジスタ32と34との間、NMOSトランジスタ36と38との間の電圧を出力しても同様に、電圧の変化を求めることができる。
【0035】
続いて、図6を用いて本発明の実施の形態1にかかる劣化検出処理の流れについて説明する。はじめに、劣化度測定用出力端子40は、劣化度測定用電圧を出力する(S11)。次に、劣化度測定用出力端子40は、ステップS11で出力した電圧を取得したタイミングとは異なるタイミングにおいて取得した電圧を出力する(S12)。次に、劣化判定部130は、劣化度測定用出力端子40から取得した電圧を比較する(S13)。取得した電圧を比較した結果、変化がない場合は、劣化が生じていないと判定する(S14)。取得した電圧を比較した結果変化がある場合、つまり後に取得した電圧が先に取得した電圧よりも高い場合、劣化検出回路10のMOSトランジスタに劣化が生じていると判定する(S15)。もしくは、閾値を設定し、後に取得した電圧と先に取得した電圧との差分が閾値を超えている場合に劣化が生じていると判定し、閾値を超えない場合には、劣化が生じていないと判定してもよい。
【0036】
以上説明したように、本発明の実施の形態1にかかる劣化検出回路10を用いることにより、抵抗部20とMOSトランジスタ30との接点における電圧の変化を出力することが可能となる。これに伴い、電圧の変化を解析することにより、MOSトランジスタ30の劣化を検出することができる。また、測定動作モードにおいては、クロックを使わず、直流電圧による比較を行うため、測定結果を瞬時にモニタすることができる。さらに、測定動作モードにおいては、クロックを使わないため、測定期間中のスイッチング電流を抑えることができる。
【0037】
(実施の形態2)
続いて、図7を用いて本発明の実施の形態2にかかる劣化検出システムの構成例について説明する。劣化検出システムは、劣化検出回路10と、基準電圧出力回路11と、電源(VDD)100と、電源(GND)110と、クロック入力部120と、劣化判定部130と、セレクタ制御部140とを備えている。劣化検出回路10の構成は、図5と同様であるため、説明を省略する。基準電圧出力回路11は、抵抗部60と、NMOSトランジスタ72、74、76、78と、基準電圧出力端子80と、VDD−GND選択部90とを備えている。NMOSトランジスタ72、74、76、78は、劣化検出回路10におけるNMOSトランジスタ32、34、36、38と同様であるため、説明を省略する。
【0038】
抵抗部60は、抵抗部20よりも低い抵抗を有する固定抵抗器を用いる。このように抵抗部20と抵抗部60とに抵抗の差を設けることにより、劣化度測定用出力端子40と基準電圧出力端子80から出力される電圧に差異が生じる。
【0039】
基準電圧出力端子80は、NMOSトランジスタ74とNMOSトランジスタ76との間の接続点における電圧を出力する。出力電圧は、上述した式(2)を用いて求められる。ここで、上述したように、抵抗部60の抵抗値は、抵抗部20よりも低い。そのため、NMOSトランジスタ32、34、36、38及びNMOSトランジスタ72、74、76、78に劣化が生じておらず、ドレイン−ソース間抵抗がそれぞれ同一である場合、基準電圧出力端子80は、劣化度測定用出力端子40よりも高い電圧を出力する。基準電圧出力端子80から出力される電圧は、劣化判定部130に出力される。
【0040】
VDD−GND選択部90は、電源(VDD)100及び電源(GND)110と接続されており、いずれの電源から電源の供給を受けるかを選択する。VDD−GND選択部90が電源(GND)110を選択した場合、基準電圧出力回路11内は、NMOSトランジスタ78に電源(GND)110が接続されていることより、VDD−GND選択部90とNMOSトランジスタ78との間が同電位となる。そのため、NMOSトランジスタ72、74、76、78は動作しない。これより、VDD−GND選択部90が電源(GND)110を選択している場合、NMOSトランジスタ72、74、76、78は劣化を生じない。基準電圧出力回路11は、劣化検出回路10に対する基準回路として位置づけられる。ここで、VDD−GND選択部90が電源(GND)110を選択し、NMOSトランジスタ72、74、76、78に劣化が生じない状態を通常動作モードとする。また、VDD−GND選択部90が、電源(VDD)100を選択した場合、基準電圧出力回路11は、電源(VDD)100から供給される一定の電圧に基づいて動作する。このように動作する状態を、劣化検出回路10と同様に、測定動作モードとする。
【0041】
セレクタ制御部140は、クロック−VDD選択部50及びVDD−GND選択部90に対して、通常動作モードもしくは測定動作モードのいずれかを選択するよう制御する。
【0042】
劣化判定部130は、劣化度測定用出力端子40及び基準電圧出力端子80から、それぞれ出力電圧を取得する。
【0043】
続いて、図8を用いて本発明の実施の形態2にかかる劣化判定部130が通常動作モード及び測定動作モードにおいて取得する電圧について説明する。セレクト入力に、「0」が設定されている間は、通常動作モードを選択し、「VDD」が設定されている間は、測定動作モードが選択されていることを示す。通常動作モードにおいては、劣化検出回路10は、クロック−VDD選択部50がクロック入力部120を選択し、NMOSトランジスタ32、34、36、38は、クロック動作を行う。この時、入力されるクロックは、最大電圧はVDDであり、最小電圧はGNDつまり0である。この時、劣化度測定用出力端子40から取得する電圧値は、クロック入力部120と同様にパルス形状の波形を示している。また、通常動作モードにおいては、基準電圧出力回路11は、VDD−GND選択部90が電源(GND)110を選択し、VDD−GND選択部90とNMOSトランジスタ78との間は同電位となる。そのため、基準電圧出力端子80から出力される電圧は0となる。測定動作モードにおいては、クロック−VDD選択部50が電源(VDD)100を選択し、劣化検出回路10には、一定の電圧VDDが供給される。そのため、劣化度測定用出力端子40が出力する電圧は、一定の電圧値が示される。また、測定動作モードにおいては、VDD−GND選択部90が電源(VDD)100を選択し、基準電圧出力回路11には一定の電圧VDDが供給される。そのため、基準電圧出力端子80が出力する電圧は、一定の電圧値が示される。ここで、本図は、NMOSトランジスタ32、34、36、38にまだ劣化が生じていない状態を示している。そのため、基準電圧出力端子80は、劣化度測定用出力端子40よりも高い電圧を出力している。
【0044】
続いて、図9用いて、本発明の実施の形態2にかかる劣化検出時の出力電圧について説明する。図9(a)の左図は、通常動作モード及び測定動作モードにおける劣化度測定用出力端子40から出力される電圧を示している。図9(a)の右図は、通常動作モード及び測定動作モードにおける基準電圧出力端子80から出力される電圧を示している。また、図9(a)は、NMOSトランジスタ32、34、36、38に劣化が生じていない状態での出力電圧を示している。この場合、基準電圧出力端子80は、劣化度測定用出力端子40から出力される電圧よりも、高い電圧を出力している。
【0045】
続いて、図9(b)は、NMOSトランジスタ32、34、36、38に劣化が生じ、ドレイン−ソース間抵抗が増加している状態の出力電圧を示している。図9(b)の左図は、通常動作モード及び測定動作モードにおける劣化度測定用出力端子40から出力される電圧を示している。図9(b)の右図は、通常動作モード及び測定動作モードにおける基準電圧出力端子80から出力される電圧を示している。ここで、NMOSトランジスタ32、34、36、38の劣化により、ドレイン−ソース間抵抗が増加する。そのため、劣化度測定用出力端子40から出力される電圧は、劣化が進むにつれて徐々に上昇する。そして、劣化が進むことにより、劣化度測定用出力端子40から出力される電圧は、基準電圧出力回路11の基準電圧出力端子80から出力される電圧を上回る。なぜなら、NMOSトランジスタ72、74、76、78には劣化が生じず、抵抗の増加が発生しない。そのため、基準電圧出力端子80から出力される電圧は一定となるからである。図9(b)は、劣化度測定用出力端子40の出力電圧が、基準電圧出力端子80の出力電圧を上回っている状態を示している。劣化判定部130は、このように劣化度測定用出力端子40の出力電圧が、基準電圧出力端子80の出力電圧を上回った場合に、劣化が生じていると判定する。
【0046】
続いて、図10を用いて本発明の実施の形態2にかかる劣化検出処理の流れについて説明する。はじめに、劣化度測定用出力端子40は、劣化判定部130に対して劣化度測定用電圧を出力する(S21)。次に、基準電圧出力端子80は、劣化判定部130に対して基準電圧を出力する(S22)。次に、劣化判定部130は、取得した劣化度測定用電圧と基準電圧を比較する(S23)。劣化判定部130は、比較した結果、基準電圧が劣化度測定用電圧を上回っている場合は、NMOSトランジスタ32、34、36、38に劣化が生じていないと判定する(S24)。劣化判定部130は、比較した結果、劣化度測定用電圧が、基準電圧を上回っている場合は、NMOSトランジスタ32、34、36、38に劣化が生じていると判定する(S25)。
【0047】
以上説明したように、本発明の実施の形態2にかかる基準電圧を用いることにより、NMOSトランジスタ32、34、36、38の劣化を検出することができる。また、本発明の実施の形態2においては、抵抗部20及び抵抗部60に用いる抵抗値の差分を変化させることにより、検出する劣化度を調整することができる。
【0048】
続いて、図11を用いて本発明の実施の形態3にかかる劣化検出システムについて説明する。劣化検出システムは、劣化検出回路10及び12と、基準電圧出力回路11と、クロック入力部120及び121と、セレクタ制御部141〜143と、コンパレータ133及び134と、劣化出力端子41及び42と、を備えている。本図において説明する劣化検出システムは、図7の構成に劣化検出回路12を追加しているところが異なる。本図においては劣化検出回路12を一つ追加しているが、複数の電圧出力回路を追加してもよい。また、セレクタ制御部141〜143をそれぞれ劣化検出回路10及び12と、基準電圧出力回路11とに接続しているが、図7と同様に、ひとつのセレクタ制御部が劣化検出回路10及び12と、基準電圧出力回路11とを制御してもよい。
【0049】
劣化検出回路10及び12は同様の回路構成を有している。また、クロック入力部120及び121は、それぞれ異なるクロック周波数を入力する。これにより、劣化検出回路10及び12は、それぞれ異なるクロック周波数で動作し、劣化が生じるタイミングも異なる。
【0050】
コンパレータ133は、劣化検出回路10から出力される劣化度測定用電圧と、基準電圧出力回路11から出力される基準電圧を取得する。取得した電圧を比較し、劣化度測定用電圧が基準電圧を上回っていれば、劣化出力端子41へHighレベルに設定した信号を出力する。劣化度測定用電圧が基準電圧を下回っていれば、劣化出力端子41へLowレベルに設定した信号を出力する。劣化出力端子41は、外部モニタ、つまり外部のテスト装置へ結果を出力する。これにより、外部モニタにおいて劣化検出を確認することができる。コンパレータ134も同様に、劣化検出回路12から出力される劣化度測定用電圧と、基準電圧出力回路11から出力される基準電圧を取得する。取得した電圧を比較し、劣化度測定用電圧が基準電圧を上回っていれば、劣化出力端子42へHighレベルに設定した信号を出力する。劣化度測定用電圧が基準電圧を下回っていれば、劣化出力端子41へLowレベルに設定した信号を出力する。
【0051】
以上説明したように、本発明の実施の形態3にかかる劣化検出システムを用いることにより、異なるクロック周波数で動作するMOSトランジスタの劣化を検出することができる。
【0052】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、
【符号の説明】
【0053】
10 劣化検出回路
11 基準電圧出力回路
20 抵抗部
30 MOSトランジスタ
32、34、36、38 NMOSトランジスタ
40 劣化度測定用出力端子
41〜42 劣化出力端子
50 クロック−VDD選択部
52 インバータ
54 MOSトランジスタ
56 インバータ
58 MOSトランジスタ
60 抵抗部
72、74、76、78 NMOSトランジスタ
80 基準電圧出力端子
90 VDD−GND選択部
100 電源(VDD)
110 電源(GND)
120 クロック入力部
130 劣化判定部
131 可変電圧出力部
132〜134 コンパレータ
133 出力値比較部
140〜143 セレクタ制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は劣化検出回路、劣化検出システム及び劣化検出方法に関し、特にMOS(Metal Oxide Semiconductor)トランジスタにおける劣化検出回路、劣化検出システム及び劣化検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロプロセッサ等の集積回路において、MOSトランジスタが多く用いられている。MOSトランジスタは、様々な論理回路を構成するために、主にスイッチとして用いられている。また、集積回路における遅延設計を行うためには、MOSトランジスタで発生する遅延を考慮する必要がある。MOSトランジスタは、動作を繰り返すことにより、劣化が生じ、劣化が生じることにより遅延が長くなる。そのため、MOSトランジスタが用いられている集積回路における遅延設計では、MOSトランジスタの寿命劣化を遅延マージンとして考慮した設計が行われていた。つまり、集積回路上で必要とされる動作周波数よりも早い動作周波数で動作するMOSトランジスタを用いることで、劣化により遅延が生じた場合でも、集積回路全体の性能劣化を防いでいた。しかし昨今、集積回路上で必要とされる動作周波数及びパフォーマンスが向上し、遅延マージンを考慮したより速いMOSトランジスタを採用することが困難となっている。
【0003】
特許文献1には、劣化検出回路をシステムに搭載して実際に稼働させながら、半導体集積回路装置の特性劣化を評価することで、システム全体の稼働停止を未然に防ぐことができる半導体集積回路に関する技術が開示されている。具体的には、特許文献1にかかる半導体集積回路は、通常の動作に用いられるトランジスタと同等の条件で劣化する評価用のトランジスタを用いる。さらに、半導体集積回路は、評価用のトランジスタのしきい値電圧の変化量に基づいて、トランジスタの劣化の程度を検出することができる。これにより、故障発生前のトランジスタを容易に発見することが可能であり、交換等の処置を行うことができるため、突然のシステムダウンを回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−27128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている技術は、トランジスタの劣化度を測定するために、トランジスタのしきい値電圧の変化量を用いている。そのため、トランジスタの出力値がHighからLow又はLowからHighに変化するタイミングを算出する回路が必要となる。これにより回路規模が増大するという問題が生じる。
【0006】
本願発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、回路規模を増大することなくトランジスタの劣化具合を正確に評価することができる電圧出力回路、劣化検出システム及び劣化検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様にかかる劣化検出回路は、第1の電源と当該第1の電源よりも電位が低い第2の電源との間に設けられた第1のMOSトランジスタと、前記第1の電源と前記第2の電源との間において前記第1のMOSトランジスタと直列に接続され、前記第1のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第1の抵抗部と、前記第1のMOSトランジスタと前記第1の抵抗部との接点における劣化検出電圧を、前記第1のMOSトランジスタの劣化度を測定するために出力する劣化度測定用出力端子と、を備えるものである。
【0008】
本発明の第2の態様にかかる劣化検出システムは、第1の電源と当該第1の電源よりも電位が低い第2の電源との間に設けられた第1のMOSトランジスタと、前記第1の電源と前記第2の電源との間において前記第1のMOSトランジスタと直列に接続され、前記第1のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第1の抵抗部と、前記第1のMOSトランジスタと前記第1の抵抗部の接点における電圧を出力する第1の電圧出力部と、前記第1の電圧出力部から出力される電圧に基づいて前記第1のMOSトランジスタの劣化を検出する劣化検出部と、を備えるものである。
【0009】
本発明の第3の態様にかかる劣化検出方法は、第1の電源と当該第1の電源よりも電位が低い第2の電源との間に設けられた第1のMOSトランジスタと当該第1のMOSトランジスタと直列に接続され、当該第1のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第1の抵抗部との接点における電圧を出力するステップと、前記電圧を出力するステップにより出力された電圧に基づいて前記MOSトランジスタの劣化を検出するステップと、を備えるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、回路規模を増大することなくトランジスタの劣化具合を正確に評価することができる劣化検出回路、劣化検出システム及び劣化検出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施の形態1にかかる劣化検出回路の構成図である。
【図2】実施の形態1にかかる劣化検出システムの構成図である。
【図3】実施の形態1にかかる劣化検出部の構成図である。
【図4】実施の形態1にかかる選択部の構成図である。
【図5】実施の形態1にかかる劣化検出回路の構成図である。
【図6】実施の形態1にかかる劣化検出の処理の流れを示す図である。
【図7】実施の形態2にかかる劣化検出システムの構成図である。
【図8】実施の形態2にかかる選択部に入力される電圧と、劣化検出部に出力される電圧を示す図である。
【図9】実施の形態2にかかる劣化検出時の電圧を示す図である。
【図10】実施の形態2にかかる劣化検出の処理の流れを示す図である。
【図11】実施の形態3にかかる劣化検出システムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1を用いて本発明の実施の形態1にかかる劣化検出回路の構成例について説明する。劣化検出回路10は、抵抗部20と、MOSトランジスタ30と、劣化度測定用出力端子40とを備えている。抵抗部20は、電源(VDD)100と接続されている。MOSトランジスタ30は、電源(GND)110と接続されている。電源(VDD)100は、電源(GND)110よりも高い電位を有している。
【0013】
抵抗部20は、固定の抵抗値を有する固定抵抗器である。例えば、抵抗部20は、金属皮膜抵抗や、炭素皮膜抵抗等でもよく、抵抗の種類は多数存在する。また、集積回路内で抵抗を用いる場合は、ポリシリコン抵抗を主に使用する。
【0014】
MOSトランジスタ30は、ゲート端子、ドレイン及びソースを有する。ゲート端子は、抵抗部20を介して接続されている電源(VDD)100から供給されている電圧をゲート電圧として、MOSトランジスタ30へ供給する。また、NMOSトランジスタにおいては、ドレイン側を、抵抗部20を介して電源(VDD)100へ接続する。また、ソース側を、電源(GND)110へ接続する。PMOSトランジスタにおいては、ドレイン及びソースの接続がNMOSトランジスタと逆の接続構成となる。
【0015】
MOSトランジスタ30は、しきい値電圧を超えて変化する電圧が供給されることにより、出力する値が変化する。MOSトランジスタ30は、変化する値の出力を繰り返すことにより、徐々に劣化が進行する。MOSトランジスタ30は、劣化することにより抵抗が増加し、遅延が長くなる。このようなMOSトランジスタの劣化には、ホットキャリアによる劣化が一般的に知られている。ホットキャリアによる劣化が生じることにより、MOSトランジスタ30のドレイン−ソース間の抵抗が増加する。このような場合、MOSトランジスタ30に一度劣化が生じたら、生じた劣化は回復しない。MOSトランジスタ30の劣化は、クロック動作により変化する値の出力を繰り返すことが主な原因である。又は、高周波数による動作を繰り返すことによっても劣化は進行する。ここで、MOSトランジスタの劣化の原因として、ホットキャリアによる劣化以外には、NBTI(Negative Bias Temperature Instability)、PBTI(Positive Bias Temperature Instability)、EM(Electromigration)又はTDDB(Time-Dependent Dielectric Breakdown)等が存在する。
【0016】
ここで、抵抗部20の劣化による抵抗の増加は、MOSトランジスタ30と比較して、とても小さいものと考える。つまり、抵抗部20の劣化進行度は、MOSトランジスタ30の劣化進行度よりも遅い。そのため、以下では回路中の抵抗の増加は、MOSトランジスタ30の劣化により生じているものと考えることができる。
【0017】
劣化度測定用出力端子40は、抵抗部20とMOSトランジスタ30との接点における電圧を出力する。劣化度測定用出力端子40が出力する電圧は、劣化検出回路10の外部に設けられるテスタ等の装置又はテスタ回路等に出力され、劣化検出回路10の劣化度測定に用いられる。つまり、MOSトランジスタ30の劣化度測定に用いられる。劣化度測定用出力端子40が出力する電圧(Vout)は、以下の式(1)により求められる。
【0018】
Vout={R2/(R1+R2)}×Vin・・・(1)
R1:抵抗部20の抵抗、R2:MOSトランジスタ30の抵抗、Vin=VDD
【0019】
MOSトランジスタ30の劣化により、MOSトランジスタ30の抵抗R2が増加する。そのため、式(1)より、劣化度測定用出力端子40が出力する電圧Voutが増加する。これより、テスタ等の装置は、劣化度測定用出力端子40から出力される電圧値を取得し、電圧の変化に基づいて劣化検出回路10のMOSトランジスタ30に生じている劣化を検出することができる。つまり、テスタ等の装置が異なるタイミングに電圧を取得し、後から取得した電圧が増加している場合は、MOSトランジスタ30に劣化が生じていると判定することができる。また、本図においては、抵抗部20をMOSトランジスタ30よりも電位の高い位置に配置しているが、抵抗部20とMOSトランジスタ30との配置を入れ替え、MOSトランジスタ30を抵抗部20よりも電位の高い位置に配置してもよい。この場合、MOSトランジスタ30が劣化することにより、劣化度測定用出力端子40が出力する電圧は減少する。そのため、テスタ等の装置は、取得した電圧が減少している場合は、MOSトランジスタ30に劣化が生じていると判定することができる。
【0020】
また、本図においてはMOSトランジスタ30を一つのみ配置している構成例について説明しているが、MOSトランジスタ30は複数配置されてもよい。この場合、抵抗部20とMOSトランジスタ30との間に直列にMOSトランジスタを配置してもよく、MOSトランジスタ30に並列に配置してもよい。また、複数配置されるMOSトランジスタ30は、劣化進行度が実質的に同一のものを用いる。
【0021】
また、本図においては抵抗部20を固定抵抗器として説明しているが、MOSトランジスタ30とは、異なるドレイン−ソース間抵抗を有するMOSトランジスタを抵抗部20の代わりに用いてもよい。この場合、抵抗部20の代わりに用いるMOSトランジスタには、MOSトランジスタ30よりも劣化進行度が遅いものが用いられる。
【0022】
以上説明したように、劣化検出回路10は、劣化度測定用出力端子を設けることにより、MOSトランジスタ30に生じている劣化を測定又は検出することができる。劣化度測定用出力端子は、MOSトランジスタ30の劣化により生じる抵抗の増加に基づいて変化する電圧を出力する。また、固定抵抗器及び出力端子を新たに設けるだけであるため、MOSトランジスタのしきい値電圧の変化を検出するよりも簡易な回路構成にてMOSトランジスタの劣化を検出することができる。
【0023】
次に、図2を用いて本発明の実施の形態1にかかる劣化検出システムの全体構成例について説明する。劣化検出回路10は、電源(VDD)100及びクロック入力部120のいずれかを選択するクロック−VDD選択部50を備えている。劣化検出回路10のその他の構成は図1と同様である。
【0024】
クロック−VDD選択部50がクロック入力部120を選択した場合、劣化検出回路10は、入力されるクロック信号に基づいて動作する。このような動作を、通常動作モードとする。クロック−VDD選択部50が電源(VDD)100を選択した場合、劣化検出回路10は、電源(VDD)100から供給される一定の電圧に基づいて動作する。このような動作を測定動作モードとする。このように2つのモードを用いることにより、通常動作モード選択時のクロック動作により劣化したMOSトランジスタ30について、測定動作モードにより抵抗部20とMOSトランジスタ30との間の電圧を測定することにより、MOSトランジスタ30の劣化を検出することができる。クロック−VDD選択部50は、抵抗部20に接続されている。
【0025】
また、劣化度測定用出力端子40は、劣化判定部130と接続されている。劣化判定部130は、劣化検出回路10の外部に設けられている。劣化判定部130は、劣化度測定用出力端子40から出力される電圧を取得及び保持し、取得した電圧に基づいて、MOSトランジスタ30の劣化を検出し又はMOSトランジスタ30の劣化度を測定する。
【0026】
ここで、劣化判定部130の構成例について、図3を用いて説明する。劣化判定部130は、可変電圧出力部131と、コンパレータ132と、出力値比較部133とを備えている。
【0027】
可変電圧出力部131は、コンパレータ132へ可変電圧を順次出力する。例えば、0.1V毎に変化させた電圧を、0Vから順次コンパレータ132に対して出力する。コンパレータ132は、可変電圧出力部131から可変電圧を取得するとともに、劣化度測定用出力端子40から出力される信号を取得する。ここで、劣化度測定用出力端子40から出力される信号に直接電圧値が設定されることはない。そのため、コンパレータ132は、可変電圧出力部131から取得する可変電圧と劣化度測定用出力端子40から取得する電気信号とを比較して、劣化度測定用出力端子40から取得する電気信号が示す電圧を特定する。
【0028】
具体的には、コンパレータ132は、劣化度測定用出力端子40から取得する電気信号と、可変電圧出力部131から取得する電気信号との電圧の大きさを比較する。劣化度測定用出力端子40から取得する電圧の大きさが可変電圧出力部131から取得する電圧よりも大きい場合は、出力値比較部133に対して、Highレベルに設定した値を出力する。また、劣化度測定用出力端子40から取得する電圧の大きさが可変電圧出力部131から取得する電圧よりも小さくなった場合は、出力値比較部133に対して、Lowレベルに設定した値を出力する。ここで、可変電圧出力部131から出力する電圧を徐々に大きくすると、コンパレータ132から出力される値がHighレベルからLowレベルに変化する。たとえば、可変電圧出力部131から出力される電圧が1.1Vの時に変化すれば、劣化度測定用出力端子40から取得した電圧は、1.0Vであることが推定される。出力値比較部133は、このようにして得られた電圧値を比較し、後に得られた電圧値が上昇している場合には、MOSトランジスタ30に劣化が生じているものと判定し、劣化を検出する。このようにしてコンパレータを用いることにより、劣化度測定用出力端子40から直接外部テスタ装置等に電圧を出力した場合の配線抵抗による信号の減衰を防止し、正確な電圧測定を可能とする。
【0029】
続いて、図4を用いて本発明の実施の形態1にかかるクロック−VDD選択部50の構成例について説明する。クロック−VDD選択部50は、インバータ52と、MOSトランジスタ54によりアナログスイッチを構成する。クロック−VDD選択部50は、電源(VDD)100及びクロック入力部120のいずれかを選択するため、2つのアナログスイッチにより構成される。MOSトランジスタ54及び58は、上方部分にHighレベルの値が入力され、下方部分にLowレベルの値が入力された場合に、スイッチがON状態となる。
【0030】
クロック−VDD選択部50に対して、スイッチ制御を行うための信号として、Highレベルの信号がインバータ52へ入力される場合、MOSトランジスタ54の上方にはHighレベルの信号が入力され、下方にはLowレベルの信号が入力される。そのため、MOSトランジスタ54で構成されるスイッチはON状態となる。この場合、インバータ56にはLowレベルの信号が入力される。MOSトランジスタ58の上方にはLowレベルの信号が入力され、下方には、Highレベルの信号が入力されるため、MOSトランジスタ58で構成されるスイッチはOFF状態となる。Lowレベルの信号がインバータ52へ入力された場合は、スイッチのON/OFF状態は、上記と逆の状態となる。これにより、クロック−VDD選択部50は、クロック入力部120と電源(VDD)100とのいずれかを選択することが可能となる。
【0031】
続いて、図5を用いて本発明の実施の形態1にかかる劣化検出回路10の構成例について説明する。劣化検出回路10は、NMOSトランジスタ32、34、36、38を備えている点が図2の劣化検出回路10の構成と異なる。本図においては、NMOSトランジスタ32、34、36、38及び抵抗部20を直列に接続し、劣化度測定用出力端子40は、NMOSトランジスタ34とNMOSトランジスタ36との接続点における電圧を出力する。この場合に、劣化度測定用出力端子40が出力する電圧Vout2は、以下の式(2)により求められる。
【0032】
Vout2={Rb/(R1+Ra+Rb)}×Vin・・・(2)
R1:抵抗部20の抵抗、Ra:NMOSトランジスタ32及び34の合成抵抗、
Rb:NMOSトランジスタ36及び38の合成抵抗、Vin:VDD
【0033】
ここで、NMOSトランジスタ32、34、36、38は、実質的に同一のドレイン−ソース間抵抗を有し、さらに実質的に同一の劣化進行度を有する。そのため、NMOSトランジスタ32、34、36、38が劣化することによりRa及びRbの抵抗が増加する。その結果、Vout2は、上昇する。
【0034】
このように複数のNMOSトランジスタを接続した場合においても、NMOSトランジスタが一つのみ設けられる構成と同様に、電圧の変化を求めることができる。また、本図においては、劣化度測定用出力端子40は、NMOSトランジスタ34及び36の間の電圧を出力しているが、抵抗部20とNMOSトランジスタ32との間、NMOSトランジスタ32と34との間、NMOSトランジスタ36と38との間の電圧を出力しても同様に、電圧の変化を求めることができる。
【0035】
続いて、図6を用いて本発明の実施の形態1にかかる劣化検出処理の流れについて説明する。はじめに、劣化度測定用出力端子40は、劣化度測定用電圧を出力する(S11)。次に、劣化度測定用出力端子40は、ステップS11で出力した電圧を取得したタイミングとは異なるタイミングにおいて取得した電圧を出力する(S12)。次に、劣化判定部130は、劣化度測定用出力端子40から取得した電圧を比較する(S13)。取得した電圧を比較した結果、変化がない場合は、劣化が生じていないと判定する(S14)。取得した電圧を比較した結果変化がある場合、つまり後に取得した電圧が先に取得した電圧よりも高い場合、劣化検出回路10のMOSトランジスタに劣化が生じていると判定する(S15)。もしくは、閾値を設定し、後に取得した電圧と先に取得した電圧との差分が閾値を超えている場合に劣化が生じていると判定し、閾値を超えない場合には、劣化が生じていないと判定してもよい。
【0036】
以上説明したように、本発明の実施の形態1にかかる劣化検出回路10を用いることにより、抵抗部20とMOSトランジスタ30との接点における電圧の変化を出力することが可能となる。これに伴い、電圧の変化を解析することにより、MOSトランジスタ30の劣化を検出することができる。また、測定動作モードにおいては、クロックを使わず、直流電圧による比較を行うため、測定結果を瞬時にモニタすることができる。さらに、測定動作モードにおいては、クロックを使わないため、測定期間中のスイッチング電流を抑えることができる。
【0037】
(実施の形態2)
続いて、図7を用いて本発明の実施の形態2にかかる劣化検出システムの構成例について説明する。劣化検出システムは、劣化検出回路10と、基準電圧出力回路11と、電源(VDD)100と、電源(GND)110と、クロック入力部120と、劣化判定部130と、セレクタ制御部140とを備えている。劣化検出回路10の構成は、図5と同様であるため、説明を省略する。基準電圧出力回路11は、抵抗部60と、NMOSトランジスタ72、74、76、78と、基準電圧出力端子80と、VDD−GND選択部90とを備えている。NMOSトランジスタ72、74、76、78は、劣化検出回路10におけるNMOSトランジスタ32、34、36、38と同様であるため、説明を省略する。
【0038】
抵抗部60は、抵抗部20よりも低い抵抗を有する固定抵抗器を用いる。このように抵抗部20と抵抗部60とに抵抗の差を設けることにより、劣化度測定用出力端子40と基準電圧出力端子80から出力される電圧に差異が生じる。
【0039】
基準電圧出力端子80は、NMOSトランジスタ74とNMOSトランジスタ76との間の接続点における電圧を出力する。出力電圧は、上述した式(2)を用いて求められる。ここで、上述したように、抵抗部60の抵抗値は、抵抗部20よりも低い。そのため、NMOSトランジスタ32、34、36、38及びNMOSトランジスタ72、74、76、78に劣化が生じておらず、ドレイン−ソース間抵抗がそれぞれ同一である場合、基準電圧出力端子80は、劣化度測定用出力端子40よりも高い電圧を出力する。基準電圧出力端子80から出力される電圧は、劣化判定部130に出力される。
【0040】
VDD−GND選択部90は、電源(VDD)100及び電源(GND)110と接続されており、いずれの電源から電源の供給を受けるかを選択する。VDD−GND選択部90が電源(GND)110を選択した場合、基準電圧出力回路11内は、NMOSトランジスタ78に電源(GND)110が接続されていることより、VDD−GND選択部90とNMOSトランジスタ78との間が同電位となる。そのため、NMOSトランジスタ72、74、76、78は動作しない。これより、VDD−GND選択部90が電源(GND)110を選択している場合、NMOSトランジスタ72、74、76、78は劣化を生じない。基準電圧出力回路11は、劣化検出回路10に対する基準回路として位置づけられる。ここで、VDD−GND選択部90が電源(GND)110を選択し、NMOSトランジスタ72、74、76、78に劣化が生じない状態を通常動作モードとする。また、VDD−GND選択部90が、電源(VDD)100を選択した場合、基準電圧出力回路11は、電源(VDD)100から供給される一定の電圧に基づいて動作する。このように動作する状態を、劣化検出回路10と同様に、測定動作モードとする。
【0041】
セレクタ制御部140は、クロック−VDD選択部50及びVDD−GND選択部90に対して、通常動作モードもしくは測定動作モードのいずれかを選択するよう制御する。
【0042】
劣化判定部130は、劣化度測定用出力端子40及び基準電圧出力端子80から、それぞれ出力電圧を取得する。
【0043】
続いて、図8を用いて本発明の実施の形態2にかかる劣化判定部130が通常動作モード及び測定動作モードにおいて取得する電圧について説明する。セレクト入力に、「0」が設定されている間は、通常動作モードを選択し、「VDD」が設定されている間は、測定動作モードが選択されていることを示す。通常動作モードにおいては、劣化検出回路10は、クロック−VDD選択部50がクロック入力部120を選択し、NMOSトランジスタ32、34、36、38は、クロック動作を行う。この時、入力されるクロックは、最大電圧はVDDであり、最小電圧はGNDつまり0である。この時、劣化度測定用出力端子40から取得する電圧値は、クロック入力部120と同様にパルス形状の波形を示している。また、通常動作モードにおいては、基準電圧出力回路11は、VDD−GND選択部90が電源(GND)110を選択し、VDD−GND選択部90とNMOSトランジスタ78との間は同電位となる。そのため、基準電圧出力端子80から出力される電圧は0となる。測定動作モードにおいては、クロック−VDD選択部50が電源(VDD)100を選択し、劣化検出回路10には、一定の電圧VDDが供給される。そのため、劣化度測定用出力端子40が出力する電圧は、一定の電圧値が示される。また、測定動作モードにおいては、VDD−GND選択部90が電源(VDD)100を選択し、基準電圧出力回路11には一定の電圧VDDが供給される。そのため、基準電圧出力端子80が出力する電圧は、一定の電圧値が示される。ここで、本図は、NMOSトランジスタ32、34、36、38にまだ劣化が生じていない状態を示している。そのため、基準電圧出力端子80は、劣化度測定用出力端子40よりも高い電圧を出力している。
【0044】
続いて、図9用いて、本発明の実施の形態2にかかる劣化検出時の出力電圧について説明する。図9(a)の左図は、通常動作モード及び測定動作モードにおける劣化度測定用出力端子40から出力される電圧を示している。図9(a)の右図は、通常動作モード及び測定動作モードにおける基準電圧出力端子80から出力される電圧を示している。また、図9(a)は、NMOSトランジスタ32、34、36、38に劣化が生じていない状態での出力電圧を示している。この場合、基準電圧出力端子80は、劣化度測定用出力端子40から出力される電圧よりも、高い電圧を出力している。
【0045】
続いて、図9(b)は、NMOSトランジスタ32、34、36、38に劣化が生じ、ドレイン−ソース間抵抗が増加している状態の出力電圧を示している。図9(b)の左図は、通常動作モード及び測定動作モードにおける劣化度測定用出力端子40から出力される電圧を示している。図9(b)の右図は、通常動作モード及び測定動作モードにおける基準電圧出力端子80から出力される電圧を示している。ここで、NMOSトランジスタ32、34、36、38の劣化により、ドレイン−ソース間抵抗が増加する。そのため、劣化度測定用出力端子40から出力される電圧は、劣化が進むにつれて徐々に上昇する。そして、劣化が進むことにより、劣化度測定用出力端子40から出力される電圧は、基準電圧出力回路11の基準電圧出力端子80から出力される電圧を上回る。なぜなら、NMOSトランジスタ72、74、76、78には劣化が生じず、抵抗の増加が発生しない。そのため、基準電圧出力端子80から出力される電圧は一定となるからである。図9(b)は、劣化度測定用出力端子40の出力電圧が、基準電圧出力端子80の出力電圧を上回っている状態を示している。劣化判定部130は、このように劣化度測定用出力端子40の出力電圧が、基準電圧出力端子80の出力電圧を上回った場合に、劣化が生じていると判定する。
【0046】
続いて、図10を用いて本発明の実施の形態2にかかる劣化検出処理の流れについて説明する。はじめに、劣化度測定用出力端子40は、劣化判定部130に対して劣化度測定用電圧を出力する(S21)。次に、基準電圧出力端子80は、劣化判定部130に対して基準電圧を出力する(S22)。次に、劣化判定部130は、取得した劣化度測定用電圧と基準電圧を比較する(S23)。劣化判定部130は、比較した結果、基準電圧が劣化度測定用電圧を上回っている場合は、NMOSトランジスタ32、34、36、38に劣化が生じていないと判定する(S24)。劣化判定部130は、比較した結果、劣化度測定用電圧が、基準電圧を上回っている場合は、NMOSトランジスタ32、34、36、38に劣化が生じていると判定する(S25)。
【0047】
以上説明したように、本発明の実施の形態2にかかる基準電圧を用いることにより、NMOSトランジスタ32、34、36、38の劣化を検出することができる。また、本発明の実施の形態2においては、抵抗部20及び抵抗部60に用いる抵抗値の差分を変化させることにより、検出する劣化度を調整することができる。
【0048】
続いて、図11を用いて本発明の実施の形態3にかかる劣化検出システムについて説明する。劣化検出システムは、劣化検出回路10及び12と、基準電圧出力回路11と、クロック入力部120及び121と、セレクタ制御部141〜143と、コンパレータ133及び134と、劣化出力端子41及び42と、を備えている。本図において説明する劣化検出システムは、図7の構成に劣化検出回路12を追加しているところが異なる。本図においては劣化検出回路12を一つ追加しているが、複数の電圧出力回路を追加してもよい。また、セレクタ制御部141〜143をそれぞれ劣化検出回路10及び12と、基準電圧出力回路11とに接続しているが、図7と同様に、ひとつのセレクタ制御部が劣化検出回路10及び12と、基準電圧出力回路11とを制御してもよい。
【0049】
劣化検出回路10及び12は同様の回路構成を有している。また、クロック入力部120及び121は、それぞれ異なるクロック周波数を入力する。これにより、劣化検出回路10及び12は、それぞれ異なるクロック周波数で動作し、劣化が生じるタイミングも異なる。
【0050】
コンパレータ133は、劣化検出回路10から出力される劣化度測定用電圧と、基準電圧出力回路11から出力される基準電圧を取得する。取得した電圧を比較し、劣化度測定用電圧が基準電圧を上回っていれば、劣化出力端子41へHighレベルに設定した信号を出力する。劣化度測定用電圧が基準電圧を下回っていれば、劣化出力端子41へLowレベルに設定した信号を出力する。劣化出力端子41は、外部モニタ、つまり外部のテスト装置へ結果を出力する。これにより、外部モニタにおいて劣化検出を確認することができる。コンパレータ134も同様に、劣化検出回路12から出力される劣化度測定用電圧と、基準電圧出力回路11から出力される基準電圧を取得する。取得した電圧を比較し、劣化度測定用電圧が基準電圧を上回っていれば、劣化出力端子42へHighレベルに設定した信号を出力する。劣化度測定用電圧が基準電圧を下回っていれば、劣化出力端子41へLowレベルに設定した信号を出力する。
【0051】
以上説明したように、本発明の実施の形態3にかかる劣化検出システムを用いることにより、異なるクロック周波数で動作するMOSトランジスタの劣化を検出することができる。
【0052】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、
【符号の説明】
【0053】
10 劣化検出回路
11 基準電圧出力回路
20 抵抗部
30 MOSトランジスタ
32、34、36、38 NMOSトランジスタ
40 劣化度測定用出力端子
41〜42 劣化出力端子
50 クロック−VDD選択部
52 インバータ
54 MOSトランジスタ
56 インバータ
58 MOSトランジスタ
60 抵抗部
72、74、76、78 NMOSトランジスタ
80 基準電圧出力端子
90 VDD−GND選択部
100 電源(VDD)
110 電源(GND)
120 クロック入力部
130 劣化判定部
131 可変電圧出力部
132〜134 コンパレータ
133 出力値比較部
140〜143 セレクタ制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電源と当該第1の電源よりも電位が低い第2の電源との間に設けられた第1のMOSトランジスタと、
前記第1の電源と前記第2の電源との間において前記第1のMOSトランジスタと直列に接続され、前記第1のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第1の抵抗部と、
前記第1のMOSトランジスタと前記第1の抵抗部との接点における劣化検出電圧を、前記第1のMOSトランジスタの劣化度を測定するために出力する劣化度測定用出力端子と、を備える劣化検出回路。
【請求項2】
通常動作モードの場合には、クロック入力を選択して前記第1の抵抗部を介してクロック信号を前記第1のMOSトランジスタに供給し、測定動作モードの場合には、前記第1の電源を選択して前記第1の電源から供給される一定電圧を前記第1の抵抗部に供給する前記第1の電源を選択する第1の選択部をさらに備える請求項1に記載の劣化検出回路。
【請求項3】
前記通常動作モードの場合には前記第2の電源を選択し、前記測定動作モードの場合には前記第1の電源を選択し、それぞれ選択された電源に応じて電圧を出力する第2の選択部と、
前記第2の選択部と前記第2の電源との間に設けられた第2のMOSトランジスタと、
前記第2の選択部と前記第2の電源との間において前記第2のMOSトランジスタと直列に接続され、前記第2のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第2の抵抗部と、
前記第2のMOSトランジスタと前記第2の抵抗部との接点における電圧を、前記劣化検出電圧の基準電圧として出力する基準電圧出力端子と、を備える請求項1又は2記載の劣化検出回路。
【請求項4】
前記第2の抵抗部は、前記第1の抵抗部よりも低い抵抗値を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の劣化検出回路。
【請求項5】
第1の電源と当該第1の電源よりも電位が低い第2の電源との間に設けられた第1のMOSトランジスタと、
前記第1の電源と前記第2の電源との間において前記第1のMOSトランジスタと直列に接続され、前記第1のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第1の抵抗部と、
前記第1のMOSトランジスタと前記第1の抵抗部の接点における電圧を出力する第1の電圧出力部と、
前記第1の電圧出力部から出力される電圧に基づいて前記第1のMOSトランジスタの劣化を検出する劣化検出部と、を備える劣化検出システム。
【請求項6】
通常動作モードの場合には、クロック入力を選択して前記第1の抵抗部を介してクロック信号を前記第1のMOSトランジスタに供給し、測定動作モードの場合には、前記第1の電源を選択して前記第1の電源から供給される一定電圧を前記第1の抵抗部に供給する前記第1の電源を選択する第1の選択部をさらに備える請求項5に記載の劣化検出システム。
【請求項7】
前記劣化検出部は、前記第1の電圧出力部から異なるタイミングに出力される電圧を比較して前記第1のMOSトランジスタの劣化を検出する請求項5又は6記載の劣化検出システム。
【請求項8】
前記劣化検出部は、前記測定動作モードを選択している期間に前記第1の電圧出力部から出力される電圧と、当該測定動作モードを選択している期間とは異なる期間の測定動作モードを選択している期間に前記第1の電圧出力部から出力される電圧と、を比較して前記第1のMOSトランジスタの劣化を検出する請求項6又は7記載の劣化検出システム。
【請求項9】
前記通常動作モードの場合には前記第2の電源を選択し、前記測定動作モードの場合には前記第1の電源を選択し、それぞれ選択された電源に応じて電圧を出力する第2の選択部と、
前記第2の選択部と前記第2の電源との間に設けられた第2のMOSトランジスタと、
前記第2の選択部と前記第2の電源部との間において前記第2のMOSトランジスタと直列に接続され、前記第2のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第2の抵抗部と、
前記第2のMOSトランジスタと前記第2の抵抗部との接点における電圧を出力する第2の電圧出力部と、をさらに備え、
前記劣化検出部は、前記第1の電圧出力部から出力される電圧と前記第2の電圧出力部から出力される電圧とに基づいて、前記第1のMOSトランジスタの劣化を検出する請求項6に記載の劣化検出システム。
【請求項10】
前記第2の抵抗部は、前記第1の抵抗部よりも低い抵抗値を有する、請求項9に記載の劣化検出システム。
【請求項11】
前記劣化検出部は、第1の電圧出力部から出力される電圧が第2の電圧出力部から出力される電圧を上回った場合に、前記第1のMOSトランジスタの劣化を検出する請求項10記載の劣化検出システム。
【請求項12】
第1の電源と当該第1の電源よりも電位が低い第2の電源との間に設けられた第1のMOSトランジスタと当該第1のMOSトランジスタと直列に接続され、当該第1のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第1の抵抗部との接点における電圧を出力するステップと、
前記電圧を出力するステップにより出力された電圧に基づいて前記MOSトランジスタの劣化を検出するステップと、を備える劣化検出方法。
【請求項13】
前記電圧を出力するステップは、前記MOSトランジスタがクロックにより動作する通常動作モードと、当該MOSトランジスタが前記第1の電源により動作する測定動作モードとのそれぞれにおいて、当該MOSトランジスタと前記抵抗部との接点における電圧を出力する請求項12記載の劣化検出方法。
【請求項14】
前記劣化を検出するステップは、前記電圧を出力するステップにより出力された電圧と、当該電圧を出力するステップで電圧を出力するタイミングとは異なるタイミングに出力された電圧とに基づいて前記MOSトランジスタの劣化を検出する請求項12又は13記載の劣化検出方法。
【請求項15】
前記劣化を検出するステップは、前記測定動作モードを選択している期間に出力される電圧と、当該測定動作モードを選択している期間とは異なる期間の測定動作モードを選択している期間に出力される電圧と、を比較して前記MOSトランジスタの劣化を検出する請求項14記載の劣化検出方法。
【請求項16】
前記電圧を出力するステップの後又は前記電圧を出力するステップとともに、
前記第1の電源と前記第2の電源との間に設けられた前記MOSトランジスタとは異なる第2のMOSトランジスタと、当該第2のMOSトランジスタと直列に接続され、当該第2のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第2の抵抗部との接点における第2の電圧を出力する基準電圧出力ステップと、をさらに備え、
前記劣化を検出するステップは、前記電圧を出力するステップと前記基準電圧出力ステップにより出力された電圧とに基づいて前記第1のMOSトランジスタの劣化を検出する請求項12又は13記載の劣化検出方法。
【請求項1】
第1の電源と当該第1の電源よりも電位が低い第2の電源との間に設けられた第1のMOSトランジスタと、
前記第1の電源と前記第2の電源との間において前記第1のMOSトランジスタと直列に接続され、前記第1のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第1の抵抗部と、
前記第1のMOSトランジスタと前記第1の抵抗部との接点における劣化検出電圧を、前記第1のMOSトランジスタの劣化度を測定するために出力する劣化度測定用出力端子と、を備える劣化検出回路。
【請求項2】
通常動作モードの場合には、クロック入力を選択して前記第1の抵抗部を介してクロック信号を前記第1のMOSトランジスタに供給し、測定動作モードの場合には、前記第1の電源を選択して前記第1の電源から供給される一定電圧を前記第1の抵抗部に供給する前記第1の電源を選択する第1の選択部をさらに備える請求項1に記載の劣化検出回路。
【請求項3】
前記通常動作モードの場合には前記第2の電源を選択し、前記測定動作モードの場合には前記第1の電源を選択し、それぞれ選択された電源に応じて電圧を出力する第2の選択部と、
前記第2の選択部と前記第2の電源との間に設けられた第2のMOSトランジスタと、
前記第2の選択部と前記第2の電源との間において前記第2のMOSトランジスタと直列に接続され、前記第2のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第2の抵抗部と、
前記第2のMOSトランジスタと前記第2の抵抗部との接点における電圧を、前記劣化検出電圧の基準電圧として出力する基準電圧出力端子と、を備える請求項1又は2記載の劣化検出回路。
【請求項4】
前記第2の抵抗部は、前記第1の抵抗部よりも低い抵抗値を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の劣化検出回路。
【請求項5】
第1の電源と当該第1の電源よりも電位が低い第2の電源との間に設けられた第1のMOSトランジスタと、
前記第1の電源と前記第2の電源との間において前記第1のMOSトランジスタと直列に接続され、前記第1のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第1の抵抗部と、
前記第1のMOSトランジスタと前記第1の抵抗部の接点における電圧を出力する第1の電圧出力部と、
前記第1の電圧出力部から出力される電圧に基づいて前記第1のMOSトランジスタの劣化を検出する劣化検出部と、を備える劣化検出システム。
【請求項6】
通常動作モードの場合には、クロック入力を選択して前記第1の抵抗部を介してクロック信号を前記第1のMOSトランジスタに供給し、測定動作モードの場合には、前記第1の電源を選択して前記第1の電源から供給される一定電圧を前記第1の抵抗部に供給する前記第1の電源を選択する第1の選択部をさらに備える請求項5に記載の劣化検出システム。
【請求項7】
前記劣化検出部は、前記第1の電圧出力部から異なるタイミングに出力される電圧を比較して前記第1のMOSトランジスタの劣化を検出する請求項5又は6記載の劣化検出システム。
【請求項8】
前記劣化検出部は、前記測定動作モードを選択している期間に前記第1の電圧出力部から出力される電圧と、当該測定動作モードを選択している期間とは異なる期間の測定動作モードを選択している期間に前記第1の電圧出力部から出力される電圧と、を比較して前記第1のMOSトランジスタの劣化を検出する請求項6又は7記載の劣化検出システム。
【請求項9】
前記通常動作モードの場合には前記第2の電源を選択し、前記測定動作モードの場合には前記第1の電源を選択し、それぞれ選択された電源に応じて電圧を出力する第2の選択部と、
前記第2の選択部と前記第2の電源との間に設けられた第2のMOSトランジスタと、
前記第2の選択部と前記第2の電源部との間において前記第2のMOSトランジスタと直列に接続され、前記第2のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第2の抵抗部と、
前記第2のMOSトランジスタと前記第2の抵抗部との接点における電圧を出力する第2の電圧出力部と、をさらに備え、
前記劣化検出部は、前記第1の電圧出力部から出力される電圧と前記第2の電圧出力部から出力される電圧とに基づいて、前記第1のMOSトランジスタの劣化を検出する請求項6に記載の劣化検出システム。
【請求項10】
前記第2の抵抗部は、前記第1の抵抗部よりも低い抵抗値を有する、請求項9に記載の劣化検出システム。
【請求項11】
前記劣化検出部は、第1の電圧出力部から出力される電圧が第2の電圧出力部から出力される電圧を上回った場合に、前記第1のMOSトランジスタの劣化を検出する請求項10記載の劣化検出システム。
【請求項12】
第1の電源と当該第1の電源よりも電位が低い第2の電源との間に設けられた第1のMOSトランジスタと当該第1のMOSトランジスタと直列に接続され、当該第1のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第1の抵抗部との接点における電圧を出力するステップと、
前記電圧を出力するステップにより出力された電圧に基づいて前記MOSトランジスタの劣化を検出するステップと、を備える劣化検出方法。
【請求項13】
前記電圧を出力するステップは、前記MOSトランジスタがクロックにより動作する通常動作モードと、当該MOSトランジスタが前記第1の電源により動作する測定動作モードとのそれぞれにおいて、当該MOSトランジスタと前記抵抗部との接点における電圧を出力する請求項12記載の劣化検出方法。
【請求項14】
前記劣化を検出するステップは、前記電圧を出力するステップにより出力された電圧と、当該電圧を出力するステップで電圧を出力するタイミングとは異なるタイミングに出力された電圧とに基づいて前記MOSトランジスタの劣化を検出する請求項12又は13記載の劣化検出方法。
【請求項15】
前記劣化を検出するステップは、前記測定動作モードを選択している期間に出力される電圧と、当該測定動作モードを選択している期間とは異なる期間の測定動作モードを選択している期間に出力される電圧と、を比較して前記MOSトランジスタの劣化を検出する請求項14記載の劣化検出方法。
【請求項16】
前記電圧を出力するステップの後又は前記電圧を出力するステップとともに、
前記第1の電源と前記第2の電源との間に設けられた前記MOSトランジスタとは異なる第2のMOSトランジスタと、当該第2のMOSトランジスタと直列に接続され、当該第2のMOSトランジスタの劣化進行度よりも遅い劣化進行度を有する第2の抵抗部との接点における第2の電圧を出力する基準電圧出力ステップと、をさらに備え、
前記劣化を検出するステップは、前記電圧を出力するステップと前記基準電圧出力ステップにより出力された電圧とに基づいて前記第1のMOSトランジスタの劣化を検出する請求項12又は13記載の劣化検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−47733(P2011−47733A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−195137(P2009−195137)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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