説明

化学増幅型レジスト材料及びそれを用いたパターン形成方法

【課題】レジストパターンに生じるラフネスを低減して良好な形状を有するパターン形成方法を実現できるようにする。
【解決手段】基板101の上に、ラクトンがフェノールにおけるOH基の水素と置換された基と酸脱離基とを含むポリマーを有する化学増幅型レジスト材料からレジスト膜102を形成する。続いて、レジスト膜102に露光光を選択的に照射することによりパターン露光を行う。その後、パターン露光が行われたレジスト膜102を加熱し、加熱されたレジスト膜102に対して現像を行って、レジスト膜102からレジストパターン102aを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造プロセス等において用いられる化学増幅型レジスト材料及びそれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の大集積化及び半導体素子のダウンサイジングに伴って、リソグラフィ技術の開発の加速が望まれている。現在のところ、露光光としては、水銀ランプ、KrFエキシマレーザ又はArFエキシマレーザ等を用いる光リソグラフィによりパターン形成が行われている。近年、露光光の波長をさらに短波長化した極紫外線の使用が検討されている。極紫外線は、波長が13.5nmと従来の光リソグラフィと比べて10分の1以下と短波長化しているため、解像性の大幅な向上が期待できる。
【0003】
このような極紫外線露光及び液浸露光を始めとする微細パターンの形成には、化学増幅型レジストが用いられる。化学増幅型レジストは解像性の向上に必須のレジスト材料である。レジスト中の光酸発生剤から露光光により酸が発生し、発生した酸がレジスト中で化学反応を引き起こしてパターン形成につながる。
【0004】
以下、従来のパターン形成方法について図5(a)〜図5(d)及び図6を参照しながら説明する。
【0005】
まず、以下の組成を有するポジ型の化学増幅型レジスト材料を準備する。
【0006】
ポリ(2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート(50mol%)−γ-ブチロラクトンメタクリレート(40mol%)−2-ヒドロキシアダマンタンメタクリレート(10mol%))(ベースポリマー)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g
トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルフォン酸(光酸発生剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.05g
トリエタノールアミン(クエンチャー)・・・・・・・・・・・・・・・0.002g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒)・・・・・・・・20g
次に、図5(a)に示すように、基板1の上に前記の化学増幅型レジスト材料を塗布し、続いて、90℃の温度で60秒間加熱して、厚さが60nmのレジスト膜2を形成する。
【0007】
次に、図5(b)に示すように、開口数(NA)が0.25で、波長が13.5nmの極紫外線(EUV)よりなる露光光をマスク(図示せず)を介してレジスト膜2に照射してパターン露光を行う。
【0008】
次に、図5(c)に示すように、パターン露光が行われたレジスト膜2に対して、ホットプレートにより105℃の温度で60秒間加熱する。
【0009】
次に、加熱されたレジスト膜2に対して、濃度が2.38wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド現像液により現像を行って、図5(d)に示すように、レジスト膜2の未露光部よりなり、30nmのライン幅を有するレジストパターン2aを得る。
【非特許文献1】T.Kudo et al., Proc.SPIE, vol.4690, p.150(2002).
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の化学増幅型レジスト材料を用いたパターン形成方法によると、図5(d)及び図6に示すように、形成されたレジストパターン2aはラフネスの程度が大きくなってしまう(例えば標準偏差(3σ)で8nm)という問題がある。
【0011】
このように、形状が不良なレジストパターン2aを用いて被処理膜に対してエッチングを行うと、被処理膜から得られるパターンの形状も不良となってしまうため、半導体装置の製造プロセスにおける生産性及び歩留まりが低下してしまう。
【0012】
前記従来の問題に鑑み、本発明は、レジストパターンに生じるラフネスを低減して良好な形状を有するパターン形成方法を実現できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願発明者らは、より微細化されたパターンの形成時にラフネスが生じる原因を種々検討した結果、以下の結論を得ている。すなわち、パターンのラフネスは、微細化されたパターンサイズと比べて、露光後の光酸発生剤からの酸の拡散が相対的に大きいことによって生じている。より具体的には、非特許文献1に記載されているような、従来の化学増幅型レジスト材料に用いられ、レジストの密着性を強化するために添加されたCOOH基の水素と置換されたラクトンは、COO基が立体的に動きやすいため酸の伝播が容易となり、酸の拡散が大きくなるというものである([化1]を参照。)。
【0014】
【化1】

上記の結論に対して、本願発明者らは、さらに検討を重ねた結果、ラクトンをフェノールのOH基の水素と置換すると、酸の拡散が抑制されるという知見を得ている([化2]を参照。)。すなわち、フェノールのOH基は立体的に安定であるため、酸の伝播が制限され、さらにラクトンの環状エステルの不対電子が酸をトラップするというものである。これにより、酸の拡散が抑制されて、微細化されたパターンのラフネスを低減することができる。例えば、酸の拡散を制御しない従来の場合には、酸の拡散距離は10nm程度にまで大きくなるが、本発明によれば、酸の拡散距離は2nm〜3nm程度以下にまで小さくすることができる。
【0015】
【化2】

なお、[化1]に示すCOOH基の水素と置換されたラクトンは、[化2]に示すフェノールにおけるOH基の水素と置換されたラクトンを含むポリマー中に含まれていてもよく、また、別のポリマーとして添加されていても構わない。これらの場合、COOH基の水素と置換されたラクトンは、フェノールのOH基の水素と置換されたラクトンの効果を低減しないように、フェノールのOH基の水素と置換されたラクトンの約30wt%以下であることが好ましい。
【0016】
また、本発明においては、酸の拡散が抑制されるため、レジスト膜を薄膜化してパターン形成をより容易に行うことができる。例えば、下層膜及び中間層膜を用いた多層レジストプロセスを行える。多層レジストプロセスは、本発明のように酸の拡散が少ないレジスト材料を用いた場合に極めて有効である。
【0017】
本発明は、前記の知見に基づいてなされ、具体的には以下の構成により実現される。
【0018】
本発明に係る化学増幅型レジスト材料は、ラクトンがフェノールにおけるOH基の水素と置換された基と、酸脱離基とを含むポリマーを有していることを特徴とする。
【0019】
本発明の化学増幅型レジスト材料によると、ラクトンがフェノールにおけるOH基の水素と置換された基を有しており、フェノールのOH基は立体的に安定であるため、酸の伝播が制限される。さらに、ラクトンの環状エステルの不対電子が酸をトラップするため、酸の拡散が抑制され、発生した酸は近傍に位置する酸脱離基と反応する。その結果、微細化されたパターンのラフネスが低減されて、良好な形状を有する微細パターンを得ることができる。なお、ラクトンのフェノールにおけるOH基の水素への置換位置については、特に限定されない。
【0020】
本発明の化学増幅型レジスト材料において、ラクトンには、α−ラクトン、β−ラクトン、γ−ラクトン又はδ−ラクトンを用いることができる。
【0021】
この場合に、α−ラクトンにはα−エチロラクトンを用いることができ、β−ラクトンにはβ−プロピロラクトンを用いることができ、γ−ラクトンにはγ−ブチロラクトンを用いることができ、δ−ラクトンにはδ−ペンチロラクトンを用いることができる。
【0022】
本発明の化学増幅型レジスト材料において、酸脱離基には、アセタール基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロペンチルメチル基又はシクロペンチルエチル基を用いることができる。
【0023】
この場合に、アセタール基には、1−エトキシエチル基、メトキシメチル基又は1−エトキシメチル基を用いることができる。
【0024】
このように、活性化エネルギーが低い酸脱離基を用いると、レジスト膜の露光部において酸トラップが起こったとしても、酸脱離反応への影響が小さくなる。
【0025】
本発明に係る第1のパターン形成方法は、基板の上に、ラクトンがフェノールにおけるOH基の水素と置換された基と酸脱離基とを含むポリマーを有する化学増幅型レジスト材料からレジスト膜を形成する工程と、レジスト膜に露光光を選択的に照射することによりパターン露光を行う工程と、パターン露光が行われたレジスト膜を加熱する工程と、加熱されたレジスト膜に対して現像を行って、レジスト膜からレジストパターンを形成する工程とを備えていることを特徴とする。
【0026】
第1のパターン形成方法によると、化学増幅型レジスト材料に、ラクトンがフェノールにおけるOH基の水素と置換された基と酸脱離基とを含むポリマーを用いており、フェノールのOH基は立体的に安定であることから、酸の伝播が制限される。さらに、ラクトンの環状エステルの不対電子が酸をトラップして酸の拡散が抑制され、発生した酸は近傍に位置する酸脱離基と反応する。その結果、微細化されたパターンのラフネスが低減されて、良好な形状を有する微細パターンを得ることができる。
【0027】
本発明に係る第2のパターン形成方法は、基板の上に下層膜を形成する工程と、下層膜の上に中間層膜を形成する工程と、中間層膜の上に、ラクトンがフェノールにおけるOH基の水素と置換された基と酸脱離基とを含むポリマーを有する化学増幅型レジスト材料からレジスト膜を形成する工程と、レジスト膜に露光光を選択的に照射することによりパターン露光を行う工程と、パターン露光が行われたレジスト膜を加熱する工程と、加熱されたレジスト膜に対して現像を行って、レジスト膜からレジストパターンを形成する工程と、レジストパターンをマスクとして中間層膜をエッチングすることにより、中間層膜から第1のパターンを形成する工程と、第1のパターンをマスクとして下層膜をエッチングすることにより、下層膜から第2のパターンを形成する工程とを備えていることを特徴とする。
【0028】
第2のパターン形成方法によると、多層レジストプロセスにおいても、化学増幅型レジスト材料に、ラクトンがフェノールにおけるOH基の水素と置換された基と酸脱離基とを含むポリマーを用いており、フェノールのOH基は立体的に安定であることから、酸の伝播が制限される。さらに、ラクトンの環状エステルの不対電子が酸をトラップして酸の拡散が抑制され、発生した酸は近傍に位置する酸脱離基と反応することになる。その結果、微細化されたパターンのラフネスが低減されて、良好な形状を有する薄膜化されたレジストパターンを得ることができる。これにより、良好な形状を有するレジストパターンから、良好な形状を有する第1のパターン及び第2のパターンを形成することができる。
【0029】
第2のパターン形成方法において、下層膜にはハードベークした有機膜を用いることができる。このようにすると、基板の加工に対してエッチング耐性を持たせることができる。
【0030】
第2のパターン形成方法において、中間層膜には酸化珪素又はその前駆体を用いることができる。このようにすると、下層膜に対してエッチング耐性を持たせることができる。
【0031】
第1又は第2のパターン形成方法において、露光光には、極紫外線、電子線又はKrFエキシマレーザ光を用いることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明に係る化学増幅型レジスト材料及びそれを用いたパターン形成方法によると、レジストパターンに生じるラフネスを低減して良好な形状を有する微細パターンを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係るパターン形成方法について図1(a)〜図1(d)及び図2を参照しながら説明する。
【0034】
まず、以下の組成を有するポジ型の化学増幅型レジスト材料を準備する。
【0035】
ポリ(シクロヘキシルエチルメタクリレート(60mol%)−γ−ブチロラクトンオキシスチレン(30mol%)−2−ヒドロキシアダマンタンメタクリレート(10mol%))(ラクトンがフェノールのOH基の水素と置換された基と酸脱離基とを含むポリマー:ベースポリマー)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2g
トリフェニルスルフォニウムトリフルオロメタンスルフォン酸(光酸発生剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.005g
トリエタノールアミン(クエンチャー)・・・・・・・・・・・・・・・0.002g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)・・・・・・・・20g
次に、図1(a)に示すように、基板101の上に前記の化学増幅型レジスト材料を塗布し、続いて、90℃の温度で60秒間加熱して、厚さが60nmのレジスト膜102を形成する。
【0036】
次に、図1(b)に示すように、開口数(NA)が0.25で、波長が13.5nmの極紫外線(EUV)よりなる露光光をマスク(図示せず)を介してレジスト膜102に照射してパターン露光を行う。ここで、マスクは反射型マスクを用い、露光は高真空の雰囲気中で行う。
【0037】
次に、図1(c)に示すように、パターン露光が行われたレジスト膜102に対して、ホットプレートにより105℃の温度で60秒間加熱する。
【0038】
次に、加熱されたレジスト膜102に対して、濃度が2.38wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド現像液により現像を行って、図1(d)及び図2に示すように、レジスト膜102の未露光部よりなり、30nmのライン幅を有するレジストパターン102aを得る。
【0039】
このように、第1の実施形態によると、化学増幅型レジスト材料のベースポリマーとして、ラクトンがフェノールのOH基の水素と置換された基と酸脱離基とを含むポリマーであるポリ(シクロヘキシルエチルメタクリレート(60mol%)−γ−ブチロラクトンオキシスチレン(30mol%)−2−ヒドロキシアダマンタンメタクリレート(10mol%))を用いている。このように、第1の実施形態に係る化学増幅型レジスト材料を構成するベースポリマーは、ラクトンがフェノールのOH基の水素と置換された基を有しているため、フェノールのOH基は立体的に安定であり、酸の伝播が制限される。さらに、ラクトンの環状エステルの不対電子が酸をトラップするため、酸の拡散が抑制される。これにより、発生した酸は近傍に位置する酸脱離基と反応するため、パターンのラフネスが標準偏差(3σ)で3nm程度に低減された、良好な形状を有するレジストパターン102aを得ることができる。
【0040】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態に係るパターン形成方法について図3(a)〜図3(d)及び図4を参照しながら説明する。
【0041】
まず、図3(a)に示すように、基板201の上にノボラック樹脂液を塗布し、200℃の温度で180秒間加熱(ハードベーク)することにより、膜厚が100nmの下層膜202を形成する。
【0042】
次に、図3(b)に示すように、化学的気相堆積(CVD)法等により、下層膜202の上に、膜厚が15nm程度の酸化珪素(SiO)又はその前駆体からなる中間層膜203を形成する。
【0043】
次に、図3(c)に示すように、中間層膜203の上に、以下の組成を有するポジ型の化学増幅型レジスト材料を塗布する。
【0044】
ポリ(1−エトキシエチルオキシスチレン(45mol%)−δ−ペンチロラクトンオキシスチレン(20mol%)−ヒドロキシスチレン(35mol%))(ラクトンがフェノールのOHの水素と置換された基と酸脱離基とを含むポリマー:ベースポリマー)・・・・・・・・・2g
トリフェニルスルフォニウムノナフルオロメタンスルフォン酸(光酸発生剤)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.005g
トリエタノールアミン(クエンチャー)・・・・・・・・・・・・・・・0.002g
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶剤)・・・・・・・・20g
その後、90℃の温度で60秒間加熱して、中間膜203の上に厚さが30nmのレジスト膜204を形成する。
【0045】
次に、図3(d)に示すように、開口数(NA)が0.25で、波長が13.5nmの極紫外線(EUV)よりなる露光光をマスク(図示せず)を介してレジスト膜204に照射してパターン露光を行う。ここで、マスクは反射型マスクを用い、露光は高真空の雰囲気中で行う。
【0046】
次に、図4(a)に示すように、パターン露光が行われたレジスト膜204に対して、ホットプレートにより100℃の温度で60秒間加熱する。
【0047】
次に、図4(b)に示すように、加熱されたレジスト膜204に対して、濃度が2.38wt%のテトラメチルアンモニウムハイドロキサイド現像液により現像を行って、レジスト膜204の未露光部よりなり、25nmのライン幅を有するレジストパターン204aを得る。
【0048】
次に、図4(c)に示すように、レジストパターン204aをマスクとして、フッ素系ガスにより中間層膜203をエッチングして、中間層膜203から第1のパターン203aを得る。
【0049】
次に、図4(d)に示すように、第1のパターン203aをマスクとして、酸素系ガスにより下層膜202をエッチングして、下層膜202から第2のパターン202aを得る。ここで、レジストパターン204aは、下層膜202のエッチング時にエッチングされて除去されるが、中間層膜203から形成される第1のパターン203aは、下層膜202のエッチングに用いる酸素系ガスに対して、十分にエッチング耐性があるため、良好な形状を有する第2のパターン202aを形成することができる。
【0050】
このように、第2の実施形態によると、多層レジストプロセスにおける化学増幅型レジスト材料のベースポリマーとして、ラクトンがフェノールのOH基の水素と置換された基と酸脱離基とを含むポリマーであるポリ(1−エトキシエチルオキシスチレン(45mol%)−δ−ペンチロラクトンオキシスチレン(20mol%)−ヒドロキシスチレン(35mol%))を用いている。このように、第2の実施形態に係る化学増幅型レジスト材料を構成するベースポリマーは、ラクトンがフェノールのOH基の水素と置換された基を有しているため、フェノールのOH基は立体的に安定であり、酸の伝播が制限される。さらに、ラクトンの環状エステルの不対電子が酸をトラップするため、酸の拡散が抑制され、発生した酸は近傍に位置する酸脱離基と反応する。これにより、パターンのラフネスが低減された、良好な形状を有するレジストパターン204aを得ることができ、この良好な形状を有するレジストパターン204aをマスクとしてエッチングされた第1のパターン203a及び第2のパターン202aのラフネスも標準偏差(3σ)で2nm程度に低減される。その結果、良好な形状を有する第1のパターン203a及び第2のパターン202aを得ることができる。
【0051】
なお、第1及び第2の実施形態においては、化学増幅型レジスト材料を構成するベースポリマーにおけるフェノールのOH基の水素と置換されるラクトンに、γ−ブチロラクトン及びδ−ペンチロラクトンを用いたが、これらに限られず、α−ラクトン(例えばα−エチロラクトン)又はβ−ラクトン(例えばβ−プロピロラクトン)等を用いることができる。
【0052】
また、第1及び第2の実施形態においては、化学増幅型レジスト材料を構成する酸脱離基として、シクロヘキシルメチル基又はアセタール基である1−エトキシエチル基を用いたが、これらに限られず、シクロヘキシルエチル基、シクロペンチルメチル基又はシクロペンチルエチル基を用いることができる。また、アセタール基を用いる場合には、1−エトキシエチル基の他に、メトキシメチル基又は1−エトキシメチル基を用いることができる。
【0053】
また、露光光には、極紫外線を用いたが、これに代えて、電子線又はKrFエキシマレーザ光を用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る化学増幅型レジスト材料及びそれを用いたパターン形成方法は、レジストパターンに生じるラフネスが低減して良好な形状を有する微細パターンを実現でき、半導体装置の製造プロセス等の微細パターンの形成等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】(a)〜(d)は本発明の第1の実施形態に係るパターン形成方法の各工程を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るパターン形成方法により得られたレジストパターンを示す平面図である。
【図3】(a)〜(d)は本発明の第2の実施形態に係るパターン形成方法の各工程を示す断面図である。
【図4】(a)〜(d)は本発明の第2の実施形態に係るパターン形成方法の各工程を示す断面図である。
【図5】(a)〜(d)は従来のパターン形成方法の各工程を示す断面図である。
【図6】従来のパターン形成方法により得られたレジストパターンを示す平面図である。
【符号の説明】
【0056】
101 基板
102 レジスト膜
102a レジストパターン
201 基板
202 下層膜
202a 第2のパターン
203 中間層膜
203a 第1のパターン
204 レジスト膜
204a レジストパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラクトンがフェノールにおけるOH基の水素と置換された基と、酸脱離基とを含むポリマーを有していることを特徴とする化学増幅型レジスト材料。
【請求項2】
前記ラクトンは、α−ラクトン、β−ラクトン、γ−ラクトン又はδ−ラクトンであることを特徴とする請求項1に記載の化学増幅型レジスト材料。
【請求項3】
前記α−ラクトンは、α−エチロラクトンであることを特徴とする請求項2に記載の化学増幅型レジスト材料。
【請求項4】
前記β−ラクトンは、β−プロピロラクトンであることを特徴とする請求項2に記載の化学増幅型レジスト材料。
【請求項5】
前記γ−ラクトンは、γ−ブチロラクトンであることを特徴とする請求項2に記載の化学増幅型レジスト材料。
【請求項6】
前記δ−ラクトンは、δ−ペンチロラクトンであることを特徴とする請求項2に記載の化学増幅型レジスト材料。
【請求項7】
前記酸脱離基は、アセタール基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロペンチルメチル基又はシクロペンチルエチル基であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の化学増幅型レジスト材料。
【請求項8】
前記アセタール基は、1−エトキシエチル基、メトキシメチル基又は1−エトキシメチル基であることを特徴とする請求項7に記載の化学増幅型レジスト材料。
【請求項9】
基板の上に、ラクトンがフェノールにおけるOH基の水素と置換された基と酸脱離基とを含むポリマーを有する化学増幅型レジスト材料からレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜に露光光を選択的に照射することによりパターン露光を行う工程と、
パターン露光が行われた前記レジスト膜を加熱する工程と、
加熱された前記レジスト膜に対して現像を行って、前記レジスト膜からレジストパターンを形成する工程とを備えていることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項10】
基板の上に下層膜を形成する工程と、
前記下層膜の上に中間層膜を形成する工程と、
前記中間層膜の上に、ラクトンがフェノールにおけるOH基の水素と置換された基と酸脱離基とを含むポリマーを有する化学増幅型レジスト材料からレジスト膜を形成する工程と、
前記レジスト膜に露光光を選択的に照射することによりパターン露光を行う工程と、
パターン露光が行われた前記レジスト膜を加熱する工程と、
加熱された前記レジスト膜に対して現像を行って、前記レジスト膜からレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクとして前記中間層膜をエッチングすることにより、前記中間層膜から第1のパターンを形成する工程と、
前記第1のパターンをマスクとして前記下層膜をエッチングすることにより、前記下層膜から第2のパターンを形成する工程とを備えていることを特徴とするパターン形成方法。
【請求項11】
前記下層膜は、ハードベークした有機膜であることを特徴とする請求項10に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
前記中間層膜は、酸化珪素又はその前駆体からなることを特徴とする請求項10又は11に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
前記ラクトンは、α−ラクトン、β−ラクトン、γ−ラクトン又はδ−ラクトンであることを特徴とする請求項9又は10に記載のパターン形成方法。
【請求項14】
前記α−ラクトンは、α−エチロラクトンであることを特徴とする請求項13に記載のパターン形成方法。
【請求項15】
前記β−ラクトンは、β−プロピロラクトンであることを特徴とする請求項13に記載のパターン形成方法。
【請求項16】
前記γ−ラクトンは、γ−ブチロラクトンであることを特徴とする請求項13に記載のパターン形成方法。
【請求項17】
前記δ−ラクトンは、δ−ペンチロラクトンであることを特徴とする請求項13に記載のパターン形成方法。
【請求項18】
前記酸脱離基は、アセタール基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロペンチルメチル基又はシクロペンチルエチル基であることを特徴とする請求項9〜17のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
【請求項19】
前記アセタール基は、1−エトキシエチル基、メトキシメチル基又は1−エトキシメチル基であることを特徴とする請求項18に記載のパターン形成方法。
【請求項20】
前記露光光は、極紫外線、電子線又はKrFエキシマレーザ光であることを特徴とする請求項9又は10に記載のパターン形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−231146(P2010−231146A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81433(P2009−81433)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】