説明

半導体発光素子および半導体積層体の製造方法

【課題】 As系とP系との層の界面を有する場合に、界面のバンド不連続を緩和して、発光素子抵抗の減少および光の取り出し効率の向上を図ることができる半導体発光素子および半導体積層体の製造方法を提供する。
【解決手段】 半導体レーザダイオード10は、P系混晶層であるp−AlGaInPクラッド層19とAs系混晶層であるp−AlGaAs光ガイド層17との間に、これらの中間の格子定数を有するAlGaInAsP接合改善層18を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤色または赤外の半導体レーザダイオードに用いられる半導体発光素子および半導体積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光部にAlGaAs系材料を用いる半導体発光素子は、従来、光ディスク用光源として応用され、特に、記録型の光ディスク用光源としても開発されている。そのため、目的の半導体発光素子を形成するためには、発光効率を向上させること、および発光部へのキャリア注入効率を向上させることが重要である。
【0003】
ここで、第1の従来技術として、活性層にAlGaAs、クラッド層にAlGaInPを用いる構造の半導体レーザが報告されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
図9および図10は、従来の半導体発光素子である半導体レーザダイオード100,110の構成を模式的に示す断面図である。
【0005】
図9の半導体レーザダイオード100においては、n型GaAs基板101上に、n型AlGaAsクラッド層102、n型AlGaAs光ガイド層103、AlGaAs活性層104、p型AlGaAs光ガイド層105、p型AlGaInPクラッド層106が順次積層されている。
【0006】
図10の半導体レーザダイオード110においては、n型GaAs基板111上に、n型AlGaAsクラッド層112、n型AlGaAs光ガイド層113、AlGaAs活性層114、p型AlGaAs光ガイド層115、p型AlGaAs第1クラッド層116、p型AlGaInP第2クラッド層117が順次積層されている。
【0007】
いずれの構造においても、半導体レーザダイオードの発光効率の向上を図るために、AlGaAs活性層104,114を多重量子井戸構造にすることが多い。
【0008】
また、キャリア注入効率を減少させる格子歪みを緩和させるために、p型AlGaAs光ガイド層とp型AlGaInPクラッド層の間にGaInP中間層を挟む構成が多く用いられている。
【0009】
p型クラッド層にAlGaInP系化合物半導体を用いる半導体レーザダイオードにおいては、光閉じ込めに必要な屈折率差を得るために、光ガイド層は、クラッド層よりバンドギャップの小さな層で構成する必要がある。
【0010】
【特許文献1】特開2004−349286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述のようなAlGaAs系化合物半導体および、AlGaInP系化合物半導体を有する半導体発光素子においては、発光素子中にAlGaAs層とAlGaInP層との界面が存在する。このような界面には、エネルギバンドに不連続が生じる。このため、キャリアの注入が抑圧され、発光素子の抵抗が大きくなる。
【0012】
また、活性層とクラッド層とのバンドギャップ差が充分ではないために、活性層から光ガイド層またはクラッド層へ電子が溢れ出す問題が起こりやすい。
【0013】
さらに、発振光のエネルギに対してクラッド層のバンドギャップが充分大きくないために、発振光がクラッド層で吸収され、光の取り出し効率が低減するという問題がある。
【0014】
この場合、クラッド層のAl組成比を上げ、バンドギャップを大きくする方法が考えられる。しかしGaAs基板に格子整合する組成で、かつAl組成0.73以上になると、間接遷移型半導体になり、発振光の吸収係数が小さく、半導体発光素子の発光効率を悪化させるため好ましくない。
【0015】
したがって本発明の目的は、As系とP系との層の界面を有する場合に、界面のバンド不連続を緩和して、発光素子抵抗の減少および光の取り出し効率の向上を図ることができる半導体発光素子および半導体積層体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、(Alx1Ga1-x1)1-y1Iny1P(0≦x1≦1,0≦y1≦1)から成る第1化合物半導体層と、
Alx2Ga1-x2As(0≦x2≦1)から成る第2化合物半導体層と、
前記第1化合物半導体層および前記第2化合物半導体層の間に介在し、AlGaInAsPから成る五元系化合物半導体層とを含むことを特徴とする半導体発光素子である。
【0017】
また本発明は、第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されて成る活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層がこの順に積層されて構成され、
前記第1化合物半導体層は、第1導電型光ガイド層および第2導電型光ガイド層のうち、少なくとも1層または層の一部を構成し、
前記第2化合物半導体層は、前記バリア層を構成することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されて成る活性層、第2導電型光ガイド層、接合改善層および第2導電型クラッド層がこの順に積層されて構成され、
前記第1導電型クラッド層、井戸層、および第1導電型光ガイド層は、AlGaAsから成る三元系化合物半導体によって形成され、
前記第1化合物半導体層は、前記第2導電型クラッド層を構成し、
前記第2化合物半導体層は、前記第2導電型光ガイド層を構成し、
前記五元系化合物半導体層は、前記接合改善層を構成することを特徴とする。
【0019】
また本発明は、第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されて成る活性層、第2導電型光ガイド層、第2導電型第1クラッド層、接合改善層および第2導電型第2クラッド層がこの順に積層されて構成され、
前記第1導電型クラッド層、井戸層、第1導電型光ガイド層および第2導電型光ガイド層をAlGaAsから成る三元系化合物半導体によって形成し、
前記第1化合物半導体層は、前記第2導電型第2クラッド層を構成し、
前記第2化合物半導体層は、前記第2導電型第1クラッド層を構成し、
前記五元系化合物半導体層は、前記接合改善層を構成することを特徴とする。
【0020】
また本発明は、第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されて成る活性層、第2導電型光ガイド層、接合改善層、中間層および第2導電型クラッド層がこの順に積層されて構成され、
前記第1導電型クラッド層、井戸層、第1導電型光ガイド層、および第2導電型光ガイド層は、AlGaAsから成る三元系化合物半導体によって形成され、
(Alx3Ga1-x3) 1-y2Iny2P(0<x3≦1,0<y2≦1)から成る第3化合物半導体層が前記第2導電型クラッド層を構成し、
前記第1化合物半導体層は、x1=0に選ばれて前記中間層を構成し、
前記第2化合物半導体層は、第2導電型光ガイド層を構成し、
前記五元化合物半導体層は、前記接合改善層を構成することを特徴とする。
【0021】
また本発明は、第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されて成る活性層、第2導電型光ガイド層、第2導電型第1クラッド層、接合改善層、中間層および第2導電型第2クラッド層がこの順に積層されて構成され、
前記第1導電型クラッド層、井戸層、第1導電型光ガイド層、第2導電型光ガイド層、および第2導電型第1クラッド層は、AlGaAsから成る三元系化合物半導体によって形成され、
(Alx3Ga1-x3)1-y2Iny2P(0<x3≦1,0<y2≦1)から成る第3化合物半導体層が前記第2導電型第2クラッド層を構成し、
前記第1化合物半導体層は、x1=0に選ばれて前記中間層を構成し、
前記第2化合物半導体層は、第2導電型第1クラッド層を構成し、
前記五元化合物半導体層は、前記接合改善層を構成することを特徴とする。
【0022】
また本発明は、前記活性層が多重量子井戸構造を有することを特徴とする。
また本発明は、前記五元系化合物半導体層のバンドギャップが、第1導電型光ガイド層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層のバンドギャップを超えることを特徴とする。
【0023】
また本発明は、前記五元系化合物半導体層は、発振光に対して透明であることを特徴とする。
【0024】
また本発明は、前記五元化合物半導体層と、前記五元化合物半導体層に接触する第2化合物半導体層との格子不整合率が0.25%以下であることを特徴とする。
【0025】
また本発明は、前記五元系化合物半導体層の層厚は、10nm以上かつ200nm以下に選ばれることを特徴とする。
【0026】
また本発明は、前記五元化合物半導体層における不純物の濃度が、第2導電型クラッド層における不純物の濃度以下であることを特徴とする。
【0027】
また本発明は、前記第2化合物半導体層のバンドギャップをEg1、前記五元化合物半導体層のバンドギャップをEg2、第1化合物半導体層Eg3のバンドギャップをEg3とすると、Eg1<Eg2<Eg3であることを特徴とする。
【0028】
また本発明は、気相成長法を用いる半導体層の製造方法であって、
Al,GaおよびAsを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、AlGaAsから成る三元化合物半導体層を形成し、この三元系化合物半導体層を形成した後、Al,GaおよびAsを含む原料ガスの供給に加えて、PおよびInを含む原料ガスの反応炉への供給を開始することによって、前記三元系化合物半導体層に積層してAlGaInAsPから成る五元化合物半導体層を形成し、Asを含む原料ガスの供給を停止して前記五元化合物半導体層に積層してAlGaInPから成る四元化合物半導体層を形成することを特徴とする半導体積層体の製造方法である。
【0029】
また本発明は、気相成長法を用いる半導体層の製造方法であって、
Al,GaおよびAsを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、AlGaAsから成る三元系化合物半導体層を形成し、
前記三元系化合物半導体層を形成した後、AlおよびGaを含む原料ガスを反応炉への供給を停止してから、予め定める第1の時間が経過した後、Asを含む原料ガスの反応炉への供給を停止し、Pを含む原料ガスを反応炉に供給し、予め定める第2の時間が経過した後、Al,GaおよびInを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、前記三元系化合物半導体層に積層してAlGaInAsPから成る五元化合物半導体層とAlGaInPから成る四元系化合物半導体層とをこの順に形成することを特徴とする半導体積層体の製造方法である。
【0030】
また本発明は、気相成長法を用いる半導体層の製造方法であって、
Al,GaおよびAsを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、AlGaAsから成る三元化合物半導体層を形成し、前記三元系化合物半導体層を形成した後、Al,GaおよびAsを含む原料ガスの反応炉への供給を停止してから、予め定める第3の時間を経過して、Al,Ga,In,AsおよびPを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、前記三元系化合物半導体層に積層してAlGaInAsPから成る五元化合物半導体層を形成し、前記五元化合物半導体層を形成した後、Al,Ga,In,AsおよびPを含む原料ガスの反応炉への供給を停止してから、予め定める第4の時間を経過して、Al,Ga,InおよびPを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、前記五元化合物半導体層に積層してAlGaInPから成る四元化合物半導体層を形成することを特徴とする半導体積層体の製造方法である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、半導体発光素子は、As系混晶層である第2化合物半導体層とP系混晶層である第1化合物半導体層との間に、これらの中間の格子定数を有するAlGaInAsPからなる五元系化合物半導体層を設けることによって、格子歪みを緩和することができる。したがって、素子抵抗を低減させ、より低電圧動作を実現することができるとともに、発振光の吸収が抑えられることから、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0032】
また本発明によれば、半導体発光素子は、さらに、第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されてなる活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層がこの順に積層されて構成される。また、第1化合物半導体層は、第1導電型光ガイド層および第2導電型光ガイド層のうち、少なくとも1層または層の一部を構成し、第2化合物半導体層は、バリア層を構成する。したがって、第1導電型光ガイド層および第2導電型光ガイド層のいずれかのAlGaInP層からなるP系の混晶層とAlGaAsバリア層からなるAs系の混晶層との間に、AlGaInAsPからなる五元系化合物半導体層を設けることによって、格子歪みを緩和することができる。
【0033】
また本発明によれば、半導体発光素子は、第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されてなる活性層、As系の混晶層の第2導電型光ガイド層、接合改善層およびP系の混晶層の第2導電型クラッド層がこの順に積層されて構成され、第1導電型クラッド層、井戸層、および第1導電型光ガイドは、AlGaAsからなる三元系化合物半導体によって形成される。また、P系の混晶層の第2導電型クラッド層とAs系の混晶層の第2導電型光ガイド層との間にAlGaInAsP層から構成される接合改善層が介在されてなるので、接合改善層によって、第2導電型クラッド層と第2導電型光ガイド層との格子歪みを緩和することができる。
【0034】
また本発明によれば、半導体発光素子は、第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されてなる活性層、第2導電型光ガイド層、第2導電型第1クラッド層、接合改善層および第2導電型第2クラッド層がこの順に積層されて構成され、第1導電型クラッド層、井戸層、第1導電型光ガイド層および第2導電型光ガイド層をAlGaAsからなる三元系化合物半導体によって形成される。また、P系の混晶層の第2導電型第2クラッド層とAs系の混晶層の第2導電型第1クラッド層との間にAlGaInAsP層から構成される接合改善層が介在されてなるので、接合改善層によって、第2導電型第2クラッド層と第2導電型第1クラッド層との格子歪みを緩和することができる。
【0035】
また本発明によれば、半導体発光素子は、第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されてなる活性層、As系の混晶層の第2導電型光ガイド層、接合改善層、中間層およびP系の混晶層の第2導電型クラッド層がこの順に積層されて構成される。また、第1導電型クラッド層、井戸層、第1導電型光ガイド層および第2導電型光ガイド層は、AlGaAsからなる三元系化合物半導体によって形成される。また、AlGaInAsP層の接合改善層とAlGaInP層である第2導電型クラッド層との間に、これらの中間の格子定数を有するGaInP層から構成される中間層が介在されてなる。したがって中間層によって、第2導電型クラッド層と接合改善層との格子歪みを緩和することができる。
【0036】
また本発明によれば、半導体発光素子は、第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されてなる活性層、第2導電型光ガイド層、As系の混晶層の第2導電型第1クラッド層、接合改善層、中間層および第2導電型第2クラッド層がこの順に積層されて構成される。また,第1導電型クラッド層、井戸層、第1導電型光ガイド層、第2導電型光ガイド層、および第2導電型第1クラッド層は、AlGaAsからなる三元系化合物半導体によって形成される。さらに、AlGaInAsP層の接合改善層とAlGaInP層である第2導電型第2クラッド層との間に、これらの中間の格子定数を有するGaInP層から構成される中間層が介在されてなる。したがって中間層によって、第2導電型第2クラッド層と接合改善層との格子歪みを緩和することができる。
【0037】
また本発明によれば、半導体発光素子は、活性層が多重量子井戸構造を有するので、閾値電流の低減、発光効率の向上を図ることができる。
【0038】
また本発明によれば、半導体発光素子のAlGaInAsP層のバンドギャップは、第1導電型光ガイド層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層のバンドギャップを超えるので、第1導電型光ガイド層および第2導電型光ガイド層より屈折率を小さくすることができ、光閉じ込め効果により、発光効率の向上を図ることができる。
【0039】
また本発明によれば、半導体発光素子のAlGaInAsP層は、発振光に対して透明であるので、発光層で発振した光が吸収されるのを防ぐことが出来る。
【0040】
また本発明によれば、半導体発光素子のAlGaInAsP層と、AlGaInAsP層に接触するAs系の混晶層半導体層との格子不整合率が0.25%以下であるので、格子不整合による素子抵抗を緩和することができる。
【0041】
また本発明によれば、半導体発光素子のAlGaInAsP層の層厚は、10nm以上かつ200nm以下に選ばれるので、生産性が低下せず、格子歪を緩和する効果を得ることができる。AlGaInAsP接合改善層が10nmよりも薄ければ格子歪を緩和する効果が得られず、また、200nmよりも厚ければ生産性が低下する。
【0042】
また本発明によれば、半導体発光素子のAlGaInAsP層における不純物の濃度は、第2導電型クラッド層における不純物の濃度以下であるので、AlGaInAsP層における不純物が活性層側へ拡散することを防ぐことができる。ここで、不純物の濃度の単位は、不純物の原子数/cm3である。
【0043】
また本発明によれば、半導体発光素子のAs系の混晶層のバンドギャップをEg1、AlGaInAsP層のバンドギャップをEg2、P系の混晶層のバンドギャップをEg3とすると、Eg1<Eg2<Eg3である。したがって、AlGaAs層からAlGaInAsP層、さらにAlGaInP層にかけて層厚方向に価電子帯エネルギ準位を連続的に変化させることで、ヘテロ障壁を低減させることによって、電子を通りやすくし、光の取出し効率の向上を図ることができる。
【0044】
また本発明によれば、気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法は、Al、GaおよびAsを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、AlGaAsからなる三元系化合物半導体層を形成し、Al、GaおよびAsを含む原料ガスの供給に加えて、PおよびInを含む原料ガスの反応炉への供給を開始することによって、三元系化合物半導体層に積層してAlGaInAsPからなる五元系化合物半導体層を形成する。その後、Asを含む原料ガスの供給を停止して前記五元系化合物半導体層に積層してAlGaInPからなる四元系化合物半導体層を形成する。したがって、各元素を含む原料ガスの供給の流量をコントロールすることで、As系混晶層とP系混晶層との間に、AlGaInAsP層が形成された半導体積層体を製造することができる。
【0045】
また本発明によれば、気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法は、Al、GaおよびAsを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、AlGaAsからなる三元系化合物半導体層を形成し、AlおよびGaを含む原料ガスを反応炉への供給を停止してから、予め定める第1の時間を経過した後、Asを含む原料ガスの反応炉への供給を停止し、Pを含む原料ガスを反応炉に供給し、予め定める第2の時間を経過した後、Al、GaおよびInを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、前記三元系化合物半導体層にAlGaInAsPからなる五元系化合物半導体層、AlGaInPからなる四元系化合物半導体層を順に形成する。したがって、As系混晶層とP系混晶層との間に、AlGaInAsP層が形成された半導体積層体を製造することができるとともに、AlGaInAsP層を製造する工程において、原料ガスを反応炉に供給する時間が少なくなり、原料ガスの消費を抑えることが可能となる。
【0046】
また本発明によれば、気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法は、Al,GaおよびAsを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、AlGaAsから成る三元化合物半導体層を形成した後、Al,GaおよびAsを含む原料ガスの反応炉への供給を停止してから、予め定める第3の時間を経過して、Al,Ga,In,AsおよびPを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、前記三元系化合物半導体層に積層してAlGaInAsPから成る五元化合物半導体層を形成し、その後、Al,Ga,In,AsおよびPを含む原料ガスの反応炉への供給を停止してから予め定める第4の時間を経過して、Al,Ga,InおよびPを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、前記五元化合物半導体層に積層してAlGaInPから成る四元化合物半導体層を形成する。したがって、As系混晶層とP系混晶層との間に、AlGaInAsP層が形成された半導体積層体を製造することができるとともに、
As系混晶層とP系混晶層との間に、AlGaInAsP層が形成された半導体積層体を製造する工程において、すべての原料ガスの供給を停止している状態を設けていることによって、装置の制御性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
図1は、本発明の実施の第1形態の半導体発光素子である半導体レーザダイオード10の構成を模式的に示す断面図である。
【0048】
本実施の形態において、第1導電型はnであって、「n−」で表わし、第2導電型はpであって、「p−」で表わす。「n−」とは、キャリアを注入するドーピングにおいて、電子を注入するn−ドーピングされた層を表し、「p−」とは、正孔を注入するp−ドーピングされた層を表す。
【0049】
半導体レーザダイオード10は、n−GaAs基板11上に、第1導電型クラッド層であるn−AlGaAsクラッド層12(膜厚2.0μm〜3.0μm、キャリア濃度1.0×1017〜1.0×1018)、第1導電型光ガイド層であるn−AlGaAs光ガイド層13(膜厚0.02μm〜0.03μm、キャリア濃度1.0×1017以下)、活性層20、第2導電型光ガイド層であるp−AlGaAs光ガイド層17(膜厚0.02μm〜0.03μm、キャリア濃度1.0×1017以下)、AlGaInAsP接合改善層18(膜厚0.03μm〜0.04μm、キャリア濃度1.0×1018以下)、および第2導電型クラッド層であるp−AlGaInPクラッド層19(膜厚1.0μm〜1.5μm、キャリア濃度1.0×1018〜5.0×1018)、p−GaAsキャップ層21(膜厚0.5μm、キャリア濃度1.0×1019)を順次積層したものである。p−AlGaInPクラッド層19は、(Alx4Ga1-x4)1-y3Iny3P(0≦x4≦1,0≦y3≦1)から成る第1化合物半導体層である。p−AlGaAs光ガイド層17は、Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)から成る第2化合物半導体層である。
【0050】
なお、AlGaInAsP接合改善層18の組成比は、(Alx6Ga1―x6y4In1−y4Asz11-z1とすると、0<x6≦0.5,0.3≦y4≦0.6,0.4≦z1≦0.6が好ましい。
【0051】
p−GaAsキャップ層21の形成後は、p−GaAsキャップ層21の上に、P−CVD(Plasma-Chemical Vapor Deposition)法などによりマスク用誘電体膜を形成する。マスク用誘電体膜には、例えば二酸化ケイ素(SiO)または窒化ケイ素(SiN)によって膜を形成後、フォトリソグラフィまたはRIE(Reactive Ion Etching)などによるエッチングを行うことにより、リッジを形成部のみに、マスク用誘電体膜を形成する。次に、ICP(Inductive Coupled Plasma)法またはECR(Electron Cyclotron Resonance)法などによるドライエッチングによって、マスク用誘電体膜をマスクとして、p−GaAsキャップ層21のリッジ形成部以外の部分およびp−AlGaInPクラッド層19のリッジを形成部以外の部分の厚み方向の中間部までをエッチングする。さらに、硫酸および過酸化水素水の混合溶液などにより、リッジの幅を整えて、p−AlGaInPクラッド層19のリッジを形成部以外の残部をウェットエッチングによって、リッジを形成する。リッジ形成後は、SiOなどの誘電体膜をリッジ側面又は、p−中間層上部に形成する。n−GaAs基板11のp−GaAsキャップ層21が積層される面とは反対側の面上には図示しないn側電極が形成され、p−GaAsキャップ層21のp−AlGaInPクラッド層19に接触する面とは反対の面上層には図示しないp側電極が形成される。その後、レーザバーに分割し、出射側端面コート膜および反射側端面コート膜を成膜し、さらにチップに分割されることによって、半導体レーザチップが完成する。
【0052】
P系混晶層であるp−AlGaInPクラッド層19とAs系混晶層であるp−AlGaAs光ガイド層17との間に、これらの中間の格子定数を有するAlGaInAsP接合改善層18を設けることによって、格子歪みを緩和することができる。したがって、素子抵抗を低減させ、より低電圧動作を実現することができるとともに、発振光の吸収が抑えられることから、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0053】
また、活性層20は、AlGaAsバリア層14(膜厚3.0nm〜6.0nm、キャリア濃度1.0×1017以下)、AlGaAs井戸層15(膜厚5.0nm〜8.0nm、キャリア濃度1.0×1017以下)、AlGaAsバリア層16(膜厚3.0nm〜6.0nm、キャリア濃度1.0×1017以下)を順次積層したもので、多重量子井戸構造を有する。多重量子井戸構造を有することによって、閾値電流の低減、発光効率の向上を図ることができる。
【0054】
AlGaInAsP接合改善層18は、Al混晶比が、第1光ガイド層、第2光ガイド層、および第2導電型クラッド層と同じ、もしくはそれ以上であることによって、AlGaInAsP接合改善層18のバンドギャップは、n−AlGaAs光ガイド層13、p−AlGaAs光ガイド層17およびp−AlGaInPクラッド層19のバンドギャップを超える。
【0055】
したがって、AlGaInAsP接合改善層18の屈折率が、第1光ガイド層、第2光ガイド層、および第2導電型クラッド層より小さくなり、光の閉じ込め効果により、発光効率を向上させることができる。
【0056】
AlGaInAsP接合改善層18は、発振光を吸収しないエネルギバンドを有しており、発振光に対して透明である。したがって、発光層で発振した光が吸収されるのを防ぐことができる。
【0057】
AlGaInAsP接合改善層18と、p−AlGaInPクラッド層19との格子不整合率は0.25%以下に選ばれる。
【0058】
したがって、結晶性の高い半導体レーザを形成することができる。格子不整合率が0.25%を超えた場合、素子抵抗が上がり、素子の電圧特性、および長期信頼性に影響を与える。
【0059】
AlGaInAsP接合改善層18の層厚は、10nm以上かつ200nm以下の範囲が好ましい。AlGaInAsP接合改善層18の層厚が10nmよりも薄ければ格子歪を緩和する効果が得られず、また、200nmよりも厚ければ生産性が低下する。より好ましくは10nm以上かつ50nmである。
【0060】
AlGaInAsP接合改善層18における不純物の濃度が、p−AlGaInPクラッド層19における不純物の濃度以下である。したがって、AlGaInAsP層の不純物が活性層側へ拡散することによるAlGaInAsP接合改善層18の結晶性の劣化を防ぐことができる。
【0061】
したがって、不純物の拡散によるAlGaInAsP接合改善層18の結晶性の劣化を防ぐことができる。
【0062】
p−AlGaAs光ガイド層17のバンドギャップをEg1、AlGaInAsP接合改善層18のバンドギャップをEg2、p−AlGaInPクラッド層19のバンドギャップをEg3とすると、Eg1<Eg2<Eg3となるように層厚方向に価電子帯エネルギ準位を段階的に変化させている。
【0063】
したがって、AlGaAs層からAlGaInAsP層、さらにAlGaInP層にかけて層厚方向に価電子帯エネルギ準位を段階的に変化させることで、価電子帯エネルギ準位を連続的に変化させてヘテロ障壁を低減させることによって、電子を通りやすくし、光の取出し効率の向上を図ることができる。
【0064】
図2は、本発明の実施の第2形態の半導体レーザダイオード30の構成を模式的に示す断面図である。
【0065】
半導体レーザダイオード30は、n−GaAs基板31上に、n−AlGaAsクラッド層32(膜厚2.0μm〜4.0μm、キャリア濃度1.0×1017〜1.0×1018)、n−AlGaAs光ガイド層33(膜厚0.02μm〜0.03μm、キャリア濃度1.0×1017以下)、活性層41、p−AlGaAs光ガイド層37(膜厚0.02μm〜0.03μm、キャリア濃度1.0×1017以下)、第2導電型第1クラッド層であるp−AlGaAs第1クラッド層38(膜厚0.1μm〜0.2μm、キャリア濃度1.0〜3.0×1018)、AlGaInAsP接合改善層39(膜厚0.03μm〜0.04μm、キャリア濃度1.0×1018以下)、第2導電型第2クラッド層であるp−AlGaInP第2クラッド層40(膜厚1.0μm〜1.5μm、キャリア濃度1.0〜5.0×1018)、p−GaAsキャップ層42(膜厚0.5μm、キャリア濃度1.0×1019)を順次積層したものである。p−AlGaInP第2クラッド層40は、(Alx4Ga1-x4)1-y3Iny3P(0≦x4≦1,0≦y3≦1)から成る第1化合物半導体層である。p−AlGaAs第1クラッド層38は、Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)から成る第2化合物半導体層である。
【0066】
なお、AlGaInAsP接合改善層39の組成比は、(Alx6Ga1―x6y4In1−y4Asz11-z1とすると、0<x6≦0.5,0.3≦y4≦0.6,0.4≦z1≦0.6が好ましい。
【0067】
p−GaAsキャップ層42の形成後は、本発明の実施の第1形態と同様に、p−GaAsキャップ層42の上に、マスク用誘電体膜を形成し、ドライエッチングおよびウェットエッチングによって、リッジを形成する。リッジ形成後は、誘電体膜、n側電極、およびp側電極を形成し、チップに分割されることによって、半導体レーザチップが完成する。
【0068】
また、活性層41は、AlGaAsバリア層34(膜厚3.0nm〜6.0nm、キャリア濃度1.0×1017以下)、AlGaAs井戸層35(膜厚5.0nm〜8.0nm、キャリア濃度1.0×1017以下)、AlGaAsバリア層36(膜厚3.0nm〜6.0nm、キャリア濃度1.0×1017以下)を順次積層したもので、多重量子井戸構造を有する。
【0069】
P系の混晶層のp−AlGaInP第2クラッド層40とAs系の混晶層のp−AlGaAs第1クラッド層38との間に、これらの中間の格子定数を有するAlGaInAsP接合改善層39が介在されてなるので、p−AlGaInP第2クラッド層40とp−AlGaAs第1クラッド層38との格子歪みを緩和することができる。
【0070】
図3は、本発明の実施の第3形態の半導体レーザダイオード50の構成を模式的に示す断面図である。
【0071】
半導体レーザダイオード50は、n−GaAs基板51上に、n−AlGaAsクラッド層52(膜厚2.0μm〜3.0μm、キャリア濃度1.0×1017〜1.0×1018)、n−AlGaAs光ガイド層53(膜厚0.02μm〜0.03μm、キャリア濃度1.0×1017以下)、活性層61、p−AlGaAs光ガイド層57(膜厚0.02μm〜0.03μm、キャリア濃度1.0×1017以下)、AlGaInAsP接合改善層58(膜厚0.03μm〜0.04μm、キャリア濃度1.0×1018以下)、GaInP中間層59(膜厚0.01μm〜0.1μm、キャリア濃度1.0×1017〜1.0×1018)、p−AlGaInPクラッド層60(膜厚1.0μm〜1.5μm、キャリア濃度1.0〜5.0×1018)、p−GaAsキャップ層62(膜厚0.5μm、キャリア濃度1.0×1019)を順次積層したものである。p−AlGaInPクラッド層60は、(Alx4Ga1-x4)1-y3Iny3P(0≦x4≦1,0≦y3≦1)から成る第1化合物半導体層である。p−AlGaAs光ガイド層57は、Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)から成る第2化合物半導体層である。
【0072】
なお、AlGaInAsP接合改善層58の組成比は、(Alx6Ga1−x6y5In1−y5Asz31-z3とすると、0<x6≦0.5,0.3≦y5≦0.6,0.4≦z3≦0.6が好ましい。
【0073】
p−GaAsキャップ層62の形成後は、本発明の実施の第1形態と同様に、p−GaAsキャップ層62の上に、マスク用誘電体膜を形成し、ドライエッチングおよびウェットエッチングによって、リッジを形成する。リッジ形成後は、誘電体膜、n側電極、およびp側電極を形成し、チップに分割されることによって、半導体レーザチップが完成する。
【0074】
また、活性層61は、AlGaAsバリア層54(膜厚3.0nm〜6.0nm、キャリア濃度1.0×1017以下)、AlGaAs井戸層55(膜厚5.0nm〜8.0nm、キャリア濃度1.0×1017以下)、AlGaAsバリア層56(膜厚3.0nm〜6.0nm、キャリア濃度1.0×1017以下)を順次積層したもので、多重量子井戸構造を有する。
【0075】
AlGaInAsP接合改善層58とp−AlGaInPクラッド層60との間に、これらの中間の格子定数を有するGaInP中間層59が介在されてなる。したがってGaInP中間層59によって、p−AlGaInPクラッド層60とAlGaInAsP接合改善層58との格子歪みを緩和することができる。
【0076】
図4は、本発明の実施の第4形態の半導体レーザダイオード70の構成を模式的に示す断面図である。
【0077】
半導体レーザダイオード70は、n−GaAs基板71上に、n−AlGaAsクラッド層72(膜厚2.0μm〜3.0μm、キャリア濃度1.0×1017〜1.0×1018)、n−AlGaAs光ガイド層73(膜厚0.02μm〜0.03μm、キャリア濃度1.0×1017以下)、活性層82、p−AlGaAs光ガイド層77(膜厚0.02μm〜0.03μm、キャリア濃度1.0×1017以下)、p−AlGaAs第1クラッド層78(膜厚0.1μm〜0.2μm、キャリア濃度1.0×1018〜5.0×1018)、AlGaInAsP接合改善層79(膜厚0.03μm〜0.04μm、キャリア濃度1.0×1018以下)、GaInP中間層80(膜厚0.01μm〜0.1μm、キャリア濃度1.0×1017〜1.0×1018)、p−AlGaInP第2クラッド層81(膜厚1.0μm〜1.5μm、キャリア濃度1.0〜5.0×1018)、p−GaAsキャップ層83(膜厚0.5μm、キャリア濃度1.0×1019)を順次積層したものである。p−AlGaInP第2クラッド層81は、(Alx4Ga1-x4)1-y3Iny3P(0≦x4≦1,0≦y3≦1)から成る第1化合物半導体層である。p−AlGaAs第1クラッド層78は、Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)から成る第2化合物半導体層である。
【0078】
なお、AlGaInAsP接合改善層79の組成比は、(Alx6Ga1−x6y4In1−y4Asz11-z1とすると、0<x6≦0.5,0.3≦y4≦0.6,0.4≦z1≦0.6が好ましい。
【0079】
p−GaAsキャップ層83の形成後は、本発明の実施の第1形態と同様に、p−GaAsキャップ層83の上に、マスク用誘電体膜を形成し、ドライエッチングおよびウェットエッチングによって、リッジを形成する。リッジ形成後は、誘電体膜、n側電極、およびp側電極を形成し、チップに分割されることによって、半導体レーザチップが完成する。
【0080】
また、活性層82は、AlGaAsバリア層74(膜厚3.0nm〜6.0nm、キャリア濃度1.0×1017以下)、AlGaAs井戸層75(膜厚5.0nm〜8.0nm、キャリア濃度1.0×1017以下)、AlGaAsバリア層76(膜厚3.0nm〜6.0nm、キャリア濃度1.0×1017以下)を順次積層したもので、多重量子井戸構造を有する。
【0081】
AlGaInAsP接合改善層79とp−AlGaInP第2クラッド層81との間には、これらの中間の格子定数を有するGaInP中間層80が介在されてなる。したがって、GaInP中間層80によって、p−AlGaInP第2クラッド層81とAlGaInAsP接合改善層79との格子歪みを緩和することができる。
【0082】
さらに、本発明の実施の第5形態として、第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されてなる活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層がこの順に積層されて構成される半導体レーザダイオードにおいて、第1導電型光ガイド層および第2導電型光ガイド層のうちの少なくともいずれかが(Alx4Ga1-x4)1-y3Iny3P層(0≦x4≦1,0≦y3≦1)で形成され、バリア層がAlx5Ga1-x5As層(0≦x5≦1)で形成され、p−AlGaAs層とp−AlGaInP層との間に、これらの中間の格子定数を有するAlGaInAsP接合改善層を設けることによっても、格子歪みを緩和することができる。これによって、素子抵抗を低減させ、より低電圧動作を実現することができるとともに、発振光の吸収が抑えられることから、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0083】
次に本発明の実施の第6形態の気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法について説明する。本実施形態を含めて以下の各実施形態の気相成長法においては、膜厚、組成の制御性および量産性に優れるMOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、有機金属気相成長法)を用いている。
【0084】
図5は、有機金属化学気相成長装置90(以後単に「気相成長装置90」と称す)の構成を模式的に示す断面図である。気相成長装置90は、上部に原料ガス導入口92および下部の端部にガス排出口93を有する反応室91と、反応室91内に設けられ、その上面95に複数の基板98を保持するサセプタ94と、サセプタ94の下部に設けられ、サセプタ上面95に保持される基板98を加熱する加熱手段である図示しない高周波コイルと、サセプタ94の下部に設けられ、サセプタ94の温度を測定してサセプタ94の温度を制御するための放射温度計とを含んで構成される。この気相成長装置90によれば、サセプタ94の上面95に基板98を載置し、高周波コイルに高周波電流を流してサセプタ94を誘導加熱し、それによって基板98を加熱した状態で、原料ガス導入口92から基板98の表面に所定比の原料ガス96を導入し、基板98上で気相成長反応を生起させて所定の層を形成し、反応後の排ガス97をガス排出口93から排出する。これによって、基板98上に所望の層が形成される。
【0085】
なお、以下の各実施形態における気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法では、重複する製造工程は省略して説明する。
【0086】
III族の原料ガスとしては、Alの原料ガスであるトリメチルアルミニウム(TMAl)、Gaの原料ガスであるトリメチルガリウム(TMGa)、Inの原料ガスであるトリメチルインジウム(TMIn)、またV族の原料として、Asの原料ガスであるアルシン(AsH3)、Pの原料ガスであるホスフィン(PH)、ドープ材料としては、p型のドーパントとして、ジメチル亜鉛(DMZn)、ジエチル亜鉛(DEZn)、ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CP2Mg)、n型のドーパントとして、モノシラン(SiH4)、ジシラン(Si26)などを使用する。
【0087】
まず、n-GaAs基板上に、有機金属気相成長法(MOCVD)によって、n−GaAsと格子整合するバンドギャップを有するn−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)クラッド層(たとえば、x=0.35および厚さ約3.0μm)、n−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)光ガイド層(たとえば、x=0.26および厚さ約35nm)、Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)バリア層(たとえば、x=0.27および厚さ5nm)、Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)井戸層(たとえば、x=0.12および厚さ7nm)、Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)バリア層(たとえば、x=0.27および厚さ5nm)を積層し、再びp−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)光ガイド層(たとえば、x5=0.26および厚さ60nm)を積層する。
【0088】
図6は、本発明の実施の第6形態の気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法における原料ガス導入パターンを示す図である。
【0089】
p−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)光ガイド層の上に、Al、GaおよびAsを含む原料ガスを反応炉への供給することによって、p−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)第1クラッド層(たとえば、x=0.45および厚さ100nm)を積層し、Al、GaおよびAsを含む原料ガスの反応炉への供給を続けたまま、In、Pの供給を開始し、接合改善層である(Alx6Ga1-x6y4In1-y4Asz11-z1層(たとえば、x6=0.40,y4=0.40,z1=0.50,厚さ10nm)を形成する。更に、Asを含む原料ガスの供給を停止することによって、その上にp−(Alx4Ga1-x4)1-y3Iny3P(0≦x4≦1,0≦y3≦1)第2クラッド層(たとえば、x4=0.70,y3=0.48および厚さ1200nm)を積層する。
【0090】
このとき、結晶成長を停止させないように、V族元素の有機金属化合物のモル流量で表される気相成長系内への供給量VとIII族元素の有機金属化合物のモル流量で表される気相成長系内への供給量IIIとの比V/IIIを一定に保ちながらP/Asの原料ガスの供給/停止を切り替える方が好ましい。具体的には、P/As切り替え時、Asの原料ガスの供給を所定時間において連続的に減少させ、Pの原料ガスの供給についても所定時間において連続的に上昇させて、結晶成長を停止させないように、V/III比を一定に保つようにする。
【0091】
ドーピングについては、成長と同時にSiやZnなどのドーピング材料を反応炉に供給する方法または、イオン注入による方法で行う。
【0092】
本発明の実施の第7形態の気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法では、まず、n-GaAs基板上に、有機金属気相成長法(MOCVD)によって、n−GaAsと格子整合するバンドギャップを有するn−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)クラッド層(たとえば、x5=0.40および厚さ約3.0μm)、n−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)光ガイド層(たとえば、x=0.26および厚さ約35nm)、Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)バリア層(たとえば、x5=0.27および厚さ5nm)、Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)井戸層(たとえば、x5=0.12および厚さ7nm)、Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)バリア層(たとえば、x5=0.27および厚さ5nm)を積層し、再びp−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)光ガイド層(たとえば、x5=0.26および厚さ60nm)を積層する。
【0093】
図7は、本発明の実施の第7形態の気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法における原料ガス導入パターンを示す図である。
【0094】
p−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)光ガイド層の上に、Al、GaおよびAsを含む原料ガスを反応炉への供給することによって、p−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)第1クラッド層(たとえば、x5=0.45および厚さ100nm)を積層した後、反応炉へ供給されているAl,GaおよびAsを含む原料ガスのうち、AlおよびGaを含む原料ガスの供給を停止した後、所定時間(たとえば10分間)の後にAsを含む原料ガスの供給を停止する。次にPを含む原料ガスを供給し、更に所定時間(たとえば10分間)の後にAl,GaおよびInを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、p−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)第1クラッド層に積層して接合改善層である(Alx6Ga1-x6y4In1-y4Asz11-z1層(たとえば、x6=0.40,y4=0.40,z1=0.50、厚さ10nm)とp−(Alx4Ga1-x4)1-y3Iny3P(0≦x4≦1,0≦y3≦1)第2クラッド層(たとえば、x4=0.70,y3=0.48および厚さ1200nm)とをこの順に形成する。
【0095】
AlおよびGaを含む原料ガスの供給停止後からAl,GaおよびInを含む原料ガスの供給開始後までの間では、AlGaAs第1クラッド層形成後からAlGaInP第2クラッド層が形成される初期段階までの間に、反応炉内の熱によって、As,Al,Ga,InおよびPが相互拡散されるので、AlGaAs第1クラッド層とAlGaInP第2クラッド層との間には、AlGaInAsP接合改善層が形成される。
【0096】
予め定める第1の時間であるAlおよびGaを含む原料ガスの供給を停止後、Asを含む原料ガスの供給を停止するまでの時間、および予め定める第2の時間であるPを含む原料ガスを供給後、Al,GaおよびInを含む原料ガスを反応炉に供給するまでの時間は、30分以内、より好ましくは5分以上10分以内が望ましい。30分を超えると、材料の消費量の観点から生産性が悪く、5分以上であれば、より十分な接合改善層の層厚を設けることができ、10分以下であればより高い生産性を得ることができる。
【0097】
一般にP系の層とAs系の層の界面が存在するような半導体積層体の製造方法においては、Pの材料ガスの供給をAsの材料ガスの供給へ切り替えても、 As系の混晶層の成長時に、反応炉内には排気されなかったPの材料ガスが残留しており、As系の混晶層にPが取り込まれてしまうため、界面を急峻に変化させることができない。本発明の実施の第7形態の気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法では、上記のP系混晶層形成時の残留ガスがAs系混晶層に取り込まれる現象を利用し、AsGaInAsP層を形成する。したがって、As系混晶層とP系混晶層との間に、AlGaInAsP層が形成された半導体積層体を製造することができるとともに、AlGaInAsP層を製造する工程において、原料ガスを反応炉に供給する時間が少なくなり、原料ガスの消費を抑えることが可能となる。
【0098】
本発明の実施の第8形態の気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法では、まず、n-GaAs基板上に、有機金属気相成長法(MOCVD)によって、n−GaAsと格子整合するバンドギャップを有するn−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)クラッド層(たとえば、x5=0.35および厚さ約3.0μm)、n−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)光ガイド層(たとえば、x5=0.26および厚さ約30nm)、Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)バリア層(たとえば、x5=0.27および厚さ5nm)、Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)井戸層(たとえば、x=0.12および厚さ7nm)、Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)バリア層(たとえば、x5=0.27および厚さ5nm)を積層し、再びp−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)光ガイド層(たとえば、x5=0.26および厚さ60nm)を積層する。
【0099】
図8は、本発明の実施の第8形態の気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法における原料ガス導入パターンを示す図である。
【0100】
p−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)光ガイド層の上に、p−Alx5Ga1-x5As(0≦x5≦1)第1クラッド層(たとえば、x5=0.45および厚さ100nm)を積層した後、Al,GaおよびAsを含む原料ガスの供給をすべて停止し、予め定める第3の時間(たとえば10分)を経過した後、Al,Ga,In,AsおよびP含む原料ガスを反応炉に供給することによって、p−AlGaInP第2クラッド層に積層して接合改善層である(Alx6Ga1-x6y4In1-y4Asz11-z1層(たとえば、x6=0.40,y4=0.40,z1=0.50、厚さ10nm)を形成し、再びAl,Ga,In,AsおよびPを含む原料ガスの供給を停止する。原料ガスを停止している間は、炉内の温度による熱拡散で層が形成される。次に、予め定める第4の時間(たとえば10分)を経過した後、Al,Ga,InおよびPを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、AlGaInAsP接合改善層に積層してp−(Alx4Ga1-x4)1-y3Iny3P(0≦x4≦1,0≦y3≦1)第2クラッド層(たとえば、x4=0.70,y3=0.48および厚さ1300nm)を形成する。
【0101】
予め定める第3の時間であるAl,GaおよびAsを含む原料ガスの供給をすべて停止した後、Al,Ga,In,AsおよびPを含む原料ガスを反応炉に供給するまでの時間、および予め定める第4の時間であるAl,Ga,In,AsおよびPを含む原料ガスの供給を停止後、Al,Ga,InおよびPを含む原料ガスを反応炉に供給するまでの時間は、30分以内、より好ましくは5分以上10分以内が望ましい。30分を超えると、材料の消費量の観点から生産性が悪く、5分以上であれば、より十分な接合改善層の層厚を設けることができ、10分以下であればより高い生産性を得ることができる。
【0102】
本発明の実施の第8形態の気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法では、As系混晶層とP系混晶層との間に、AlGaInAsP層が形成された半導体積層体を製造することができるとともに、As系混晶層とP系混晶層との間に、AlGaInAsP層が形成された半導体積層体を製造する工程において、すべての原料ガスの供給を停止している状態を設けていることによって、装置の制御性を向上させることができる。
【0103】
本発明の実施の第6形態、第7形態および第8形態の気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法は、たとえば、p−AlGaAs光ガイド層とp−AlGaInPクラッド層との間にAlGaInAs接合改善層を形成する場合においても同様の工程を行う。
【0104】
なお、本発明の半導体積層体の製造方法における気相成長法は、有機金属気相成長法以外にも分子線成長法を用いることによっても実施可能である。
【0105】
本発明の実施の第6形態、第7形態および第8形態の気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法によって製造された半導体積層体を半導体レーザダイオードに使用することによって、P系混晶層とAs系混晶層との間に、これらの中間の格子定数を有するAlGaInAsP層を設けることによって、格子歪みを緩和することができるので、素子抵抗を低減させ、より低電圧動作を実現することができるとともに、発振光の吸収が抑えられることから、光の取り出し効率を向上させることができる。
【0106】
本発明の製造方法により得られる半導体積層体によって構成された半導体発光素子は、たとえば、半導体レーザ、半導体発光ダイオードなどとして好適に使用できる。
【0107】
本発明の実施の第1形態から第4形態までの半導体レーザダイオードは、第5形態から第7形態までのいずれかを用いて形成される。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の実施の第1形態の半導体発光素子である半導体レーザダイオード10の構成を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の実施の第2形態の半導体レーザダイオード30の構成を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の実施の第3形態の半導体レーザダイオード50の構成を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の実施の第4形態の半導体レーザダイオード70の構成を模式的に示す断面図である。
【図5】有機金属化学気相成長装置90の構成を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明の実施の第6形態の気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法における原料ガス導入パターンを示す図である。
【図7】本発明の実施の第7形態の気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法における原料ガス導入パターンを示す図である。
【図8】本発明の実施の第8形態の気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法における原料ガス導入パターンを示す図である。
【図9】従来の半導体発光素子である半導体レーザダイオード100の構成を模式的に示す断面図である。
【図10】従来の半導体発光素子である半導体レーザダイオード110の構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
【0109】
10,30,50,70 半導体レーザダイオード
11,31,51,71 n−GaAs基板
12,32,52,72 n−AlGaAsクラッド層
13,33,53,73 n−AlGaAs光ガイド層
14,16,34,36,54,56,74,76 AlGaAsバリア層
15,35,55,75 AlGaAs井戸層
17,37,57,77 p−AlGaAs光ガイド層
18,39,58,79 AlGaInAsP接合改善層
19,60 p−AlGaInPクラッド層
20,41,61,82 活性層
21,42,62,83 キャップ層
38,78 p−AlGaAs第1クラッド層
40,81 p−AlGaInP第2クラッド層
59,80 GaInP中間層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(Alx1Ga1-x1)1-y1Iny1P(0≦x1≦1,0≦y1≦1)から成る第1化合物半導体層と、
Alx2Ga1-x2As(0≦x2≦1)から成る第2化合物半導体層と、
前記第1化合物半導体層および前記第2化合物半導体層の間に介在し、AlGaInAsPから成る五元系化合物半導体層とを含むことを特徴とする半導体発光素子。
【請求項2】
第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されて成る活性層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層がこの順に積層されて構成され、
前記第1化合物半導体層は、第1導電型光ガイド層および第2導電型光ガイド層のうち、少なくとも1層または層の一部を構成し、
前記第2化合物半導体層は、前記バリア層を構成することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項3】
第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されて成る活性層、第2導電型光ガイド層、接合改善層および第2導電型クラッド層がこの順に積層されて構成され、
前記第1導電型クラッド層、井戸層、および第1導電型光ガイド層は、AlGaAsから成る三元系化合物半導体によって形成され、
前記第1化合物半導体層は、前記第2導電型クラッド層を構成し、
前記第2化合物半導体層は、前記第2導電型光ガイド層を構成し、
前記五元系化合物半導体層は、前記接合改善層を構成することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項4】
第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されて成る活性層、第2導電型光ガイド層、第2導電型第1クラッド層、接合改善層および第2導電型第2クラッド層がこの順に積層されて構成され、
前記第1導電型クラッド層、井戸層、第1導電型光ガイド層および第2導電型光ガイド層をAlGaAsから成る三元系化合物半導体によって形成し、
前記第1化合物半導体層は、前記第2導電型第2クラッド層を構成し、
前記第2化合物半導体層は、前記第2導電型第1クラッド層を構成し、
前記五元系化合物半導体層は、前記接合改善層を構成することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項5】
第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されて成る活性層、第2導電型光ガイド層、接合改善層、中間層および第2導電型クラッド層がこの順に積層されて構成され、
前記第1導電型クラッド層、井戸層、第1導電型光ガイド層、および第2導電型光ガイド層は、AlGaAsから成る三元系化合物半導体によって形成され、
(Alx3Ga1-x3)1-y2Iny2P(0<x3≦1,0<y2≦1)から成る第3化合物半導体層が前記第2導電型クラッド層を構成し、
前記第1化合物半導体層は、x1=0に選ばれて前記中間層を構成し、
前記第2化合物半導体層は、第2導電型光ガイド層を構成し、
前記五元化合物半導体層は、前記接合改善層を構成することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項6】
第1導電型クラッド層、第1導電型光ガイド層、バリア層の間に井戸層が介在されて成る活性層、第2導電型光ガイド層、第2導電型第1クラッド層、接合改善層、中間層および第2導電型第2クラッド層がこの順に積層されて構成され、
前記第1導電型クラッド層、井戸層、第1導電型光ガイド層、第2導電型光ガイド層、および第2導電型第1クラッド層は、AlGaAsから成る三元系化合物半導体によって形成され、
(Alx3Ga1-x3)1-y2Iny2P(0<x3≦1,0<y2≦1)から成る第3化合物半導体層が前記第2導電型第2クラッド層を構成し、
前記第1化合物半導体層は、x1=0に選ばれて前記中間層を構成し、
前記第2化合物半導体層は、第2導電型第1クラッド層を構成し、
前記五元化合物半導体層は、前記接合改善層を構成することを特徴とする請求項1に記載の半導体発光素子。
【請求項7】
前記活性層が多重量子井戸構造を有することを特徴とする請求項2〜6のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項8】
前記五元系化合物半導体層のバンドギャップが、第1導電型光ガイド層、第2導電型光ガイド層および第2導電型クラッド層のバンドギャップを超えることを特徴とする請求項2,3または5に記載の半導体発光素子。
【請求項9】
前記五元系化合物半導体層は、発振光に対して透明であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項10】
前記五元化合物半導体層と、前記五元化合物半導体層に接触する第2化合物半導体層との格子不整合率が0.25%以下であることを特徴とする請求項2〜9のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項11】
前記五元系化合物半導体層の層厚は、10nm以上かつ200nm以下に選ばれることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項12】
前記五元化合物半導体層における不純物の濃度が、第2導電型クラッド層における不純物の濃度以下であることを特徴とする請求項2,3,5のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項13】
前記第2化合物半導体層のバンドギャップをEg1、前記五元化合物半導体層のバンドギャップをEg2、第1化合物半導体層Eg3のバンドギャップをEg3とすると、Eg1<Eg2<Eg3であることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに記載の半導体発光素子。
【請求項14】
気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法であって、
Al,GaおよびAsを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、AlGaAsから成る三元化合物半導体層を形成し、この三元系化合物半導体層を形成した後、Al,GaおよびAsを含む原料ガスの供給に加えて、PおよびInを含む原料ガスの反応炉への供給を開始することによって、前記三元系化合物半導体層に積層してAlGaInAsPから成る五元化合物半導体層を形成し、Asを含む原料ガスの供給を停止して前記五元化合物半導体層に積層してAlGaInPから成る四元化合物半導体層を形成することを特徴とする半導体積層体の製造方法。
【請求項15】
気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法であって、
Al,GaおよびAsを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、AlGaAsから成る三元系化合物半導体層を形成し、
前記三元系化合物半導体層を形成した後、AlおよびGaを含む原料ガスの反応炉への供給を停止してから、予め定める第1の時間が経過した後、Asを含む原料ガスの反応炉への供給を停止し、Pを含む原料ガスを反応炉に供給し、予め定める第2の時間が経過した後、Al,GaおよびInを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、前記三元系化合物半導体層に積層してAlGaInAsPから成る五元化合物半導体層とAlGaInPから成る四元系化合物半導体層とをこの順に形成することを特徴とする半導体積層体の製造方法。
【請求項16】
気相成長法を用いる半導体積層体の製造方法であって、
Al,GaおよびAsを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、AlGaAsから成る三元化合物半導体層を形成し、前記三元系化合物半導体層を形成した後、Al,GaおよびAsを含む原料ガスの反応炉への供給を停止してから、予め定める第3の時間を経過して、Al,Ga,In,AsおよびPを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、前記三元系化合物半導体層に積層してAlGaInAsPから成る五元化合物半導体層を形成し、前記五元化合物半導体層を形成した後、Al,Ga,In,AsおよびPを含む原料ガスの反応炉への供給を停止してから、予め定める第4の時間を経過して、Al,Ga,InおよびPを含む原料ガスを反応炉に供給することによって、前記五元化合物半導体層に積層してAlGaInPから成る四元化合物半導体層を形成することを特徴とする半導体積層体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−306075(P2008−306075A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153370(P2007−153370)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】