説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】 WPPを使用した半導体装置において、最上層配線間のショート不良を防止することにより、信頼性を向上させることのできる技術を提供する。
【解決手段】 最上層配線43aと再配線50との間に緩衝層47を設ける。このとき、例えば、最上層配線43aは銅膜より形成され、緩衝層47は、アルミニウム膜より形成される。さらに再配線50は、銅膜51とニッケル膜52の積層膜から形成される。このように構成された半導体装置において、低温と高温との間の温度サイクルで3重点Xに応力が集中する。この3重点Xに集中した応力は、緩衝層47の存在によって緩和され、3重点Xの直下にある界面Yへの応力の伝達を抑制することができる。このため、界面Yでの応力による剥離を防止できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、ウェハプロセスパッケージ(Wafer Process Package:WPP)を使用した半導体装置およびその製造技術に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術として、下層の銅配線上にアルミニウム膜よりなるビアを形成し、このビアを介して上層の銅配線を形成する技術がある(例えば、特許文献1参照)。また、アルミニウム配線上にポリイミド膜を介して、クロム膜と銅膜の積層膜からなる上層配線を形成する技術がある(例えば、特許文献2参照)。さらに、アルミニウムパッド上にポリイミド膜を介して、クロム膜と銅膜の積層膜からなる上層配線を形成し、この上層配線をニッケルコーティングした技術がある(例えば、特許文献3参照)。また、下層の銅配線と上層の銅配線を接続するビアを銅中に拡散しやすい材料(Ti、Zr、Ta、Sn、Mgなど)で形成する技術がある(例えば、特許文献4参照)。さらに、上層の銅配線と下層の銅配線とを銅膜よりなるビアで接続する技術がある(例えば、特許文献5参照)。
【特許文献1】特開平11−121615号公報
【特許文献2】特開2003−234348号公報
【特許文献3】特開2003−234429号公報
【特許文献4】特開平11−204644号公報
【特許文献5】特開2004−165234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
パッケージプロセス(後工程)とウェハプロセス(前工程)とを一体化し、ウェハ状態でパッケージングを完了する技術、いわゆるウェハプロセスパッケージ(WPP)と呼ばれる技術は、ウェハプロセスを応用してパッケージプロセスまで処理する技術である。このWPPによれば、半導体ウェハから切断した半導体チップ毎にパッケージプロセスを処理する従来の方法に比べて工程数を大幅に削減できるという利点がある。
【0004】
WPPでは、例えば、以下に示すような工程を経ることにより半導体装置を製造する。まず、半導体ウェハの主面上にMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)などの半導体素子を形成し、続いて半導体素子の上部に複数層の配線層を形成する。例えば、この配線層は銅膜からなり、層間絶縁膜に溝を形成した後、この溝に導体膜を埋め込むことにより形成することができる。その後、配線層のうち最上層に形成された最上層配線上に、窒化シリコン膜および酸化シリコン膜よりなる積層膜を形成する。このとき、銅膜よりなる最上層配線および溝に最上層配線を埋め込んだ層間絶縁膜上に窒化シリコン膜および酸化シリコン膜が形成される。
【0005】
続いて、酸化シリコン膜上にポリイミド樹脂膜を形成した後、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜およびポリイミド樹脂膜をパターニングすることにより、底面に最上層配線が露出する開口部を形成する。
【0006】
そして、開口部内を含むポリイミド樹脂膜上に薄い電極層(シード層)を形成し、この電極層上にめっき法を使用して再配線を形成する。再配線は、例えば銅膜とニッケル膜の積層膜から構成される。次に、再配線上にポリイミド樹脂膜を形成した後、パターニングすることにより、再配線の一端部を露出させる。その後、露出した再配線の一端部上にバンプ電極を形成する。これにより、半導体ウェハの状態で再配線および再配線に接続されたバンプ電極を形成することができる。
【0007】
例えば、高速SRAM(Static Random Access Memory)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)ロジック製品では、パッケージコストの低減および高速化などを目的として上述したWPPが採用されており、はんだよりなるバンプ電極で実装基板にフリップチップ接続するようなパッケージ構造となっている。これらの半導体装置に使用されるWPPでは、図1に示すような構造が採用されている。図1は、WPPの構成を示した断面図である。図1に示すように、銅膜よりなる最上層配線1は、層間絶縁膜2の溝内に埋め込まれており、この最上層配線1上を含む層間絶縁膜2上には、窒化シリコン膜3および酸化シリコン膜4よりなる積層膜が形成されている。そして、酸化シリコン膜4上にはポリイミド樹脂膜5が形成されており、窒化シリコン膜3、酸化シリコン膜4およびポリイミド樹脂膜5には、開口部6が形成されている。開口部6の底部は最上層配線1に達しており、この開口部6内を埋め込むように再配線7が形成されている。この再配線7は、例えば銅膜8およびニッケル膜9の積層膜から形成されている。再配線7上には、ポリイミド樹脂膜10が形成されており、ポリイミド樹脂膜10に形成された開口部11にはバンプ電極12が形成されている。
【0008】
このように構成された半導体装置においては、通常の製品と同様に例えば−50℃と125℃との間の温度変化を与えて繰り返して動作させる信頼性試験(選別試験)が行なわれる。このとき、半導体装置には、繰り返し熱負荷が加わるため、半導体装置を構成する膜が膨張・収縮する。特に信頼性試験における温度サイクルの影響で、再配線7の一部であるニッケル膜9およびポリイミド樹脂膜5に収縮応力が発生する。したがって、図1の四角で囲んだ領域を拡大した図2に示すように、再配線7を構成する銅膜8とポリイミド樹脂膜5および酸化シリコン膜4の3つの膜の界面が接する3重点に応力が集中する。すると、応力が集中する領域付近において、最も膜密着性の低い箇所、この場合、下層の層間絶縁膜2と窒化シリコン膜3の界面で界面剥離が発生する。つまり、複数の最上層配線1の間にある下層の層間絶縁膜2において、最上層配線1の拡散防止膜として形成されている窒化シリコン膜3との間で界面剥離が発生する。
【0009】
信頼性試験後には、電気的特性検査が実施されるが、このとき、最上層配線1には電圧が印加される。この電圧印加により最上層配線1を構成する銅が上述した層間絶縁膜2と窒化シリコン膜3との界面に生じた剥離部分をドリフトし、隣接する最上層配線1間が導通してショート不良が発生する。この現象はアルミニウム配線の場合には、問題とならなかったのであるが、銅(Cu)配線を用いる場合においては、銅(Cu)が電界によって非常に動きやすいために、顕在化してきた問題である。
【0010】
本発明の目的は、WPPを使用した半導体装置において、最上層配線間のショート不良を防止することにより、信頼性を向上させることのできる技術を提供することにある。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
本発明による半導体装置は、(a)半導体基板と、(b)前記半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、(c)前記層間絶縁膜に埋め込むように形成された最上層配線と、(d)前記最上層配線上に形成された緩衝層と、(e)前記緩衝層上に形成された再配線と、(f)前記再配線の一端部上に形成されたバンプ電極とを備えるものである。
【0014】
また、本発明による半導体装置の製造方法は、(a)半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、(b)前記層間絶縁膜に埋め込むように最上層配線を形成する工程と、(c)前記最上層配線を埋め込んだ前記層間絶縁膜上に第1絶縁膜を形成する工程とを備える。そして、(d)前記第1絶縁膜に第1開口部を形成し、前記第1開口部から前記最上層配線を露出する工程と、(e)前記第1開口部内を含む前記第1絶縁膜上に第1導体膜を形成する工程と、(f)前記第1導体膜をパターニングして緩衝層を形成する工程と、(g)前記緩衝層上に第2絶縁膜を形成する工程とを備える。さらに、(h)前記第2絶縁膜に第2開口部を形成し、前記第2開口部から前記緩衝層を露出する工程と、(i)前記第2開口部内を含む前記第2絶縁膜上に第2導体膜を形成する工程と、(j)前記第2導体膜をパターニングして再配線を形成する工程とを備えるものである。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0016】
WPPを使用した半導体装置において、熱サイクルに起因した最上層配線間のショート不良を低減することができる。このため、WPPを使用した半導体装置の信頼性向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0018】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0019】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0020】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0021】
本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
(実施の形態1)
図3は、本実施の形態1における半導体装置の配線構造までを図示した断面図である。図3に示す半導体装置では、例えば高速SRAMやロジック回路を構成するMISFETが形成されている。例えばシリコン単結晶からなる半導体基板20の主面には、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)構造をした素子分離領域21が形成されており、素子分離領域21で活性領域が分離されている。活性領域のうちnチャネル型MISFETQ1を形成する領域には、p型ウェル22が形成されており、pチャネル型MISFETQ2を形成する領域には、n型ウェル23が形成されている。p型ウェル22は、例えばホウ素(B)などのp型不純物が導入された半導体領域となっており、n型ウェル23は、例えばリン(P)や砒素(As)などのn型不純物が導入された半導体領域となっている。
【0023】
p型ウェル22上にはnチャネル型MISFETQ1が形成されている。このnチャネル型MISFETQ1の構成は以下のようになっている。すなわち、p型ウェル22上にゲート絶縁膜24が形成されており、このゲート絶縁膜24上にゲート電極25aが形成されている。ゲート絶縁膜24は、例えば酸化シリコン膜から形成されるが、酸化シリコン膜より誘電率の高い高誘電体膜から形成してもよい。ゲート電極25aは、例えばポリシリコン膜から形成されるが、このポリシリコン膜には、例えばn型不純物が導入されている。これは、nチャネル型MISFETQ1のしきい値電圧を下げるために行なわれる。
【0024】
ゲート電極25aの両側の側壁には、サイドウォール26が形成されており、このサイドウォール26下のp型ウェル22内には、低濃度n型不純物拡散領域27aが形成されている。そして、この低濃度n型不純物拡散領域27aの外側には、高濃度n型不純物拡散領域28aが形成されている。低濃度n型不純物拡散領域27aおよび高濃度n型不純物拡散領域28aは、n型不純物を導入した半導体領域となっており、低濃度n型不純物拡散領域27aよりも高濃度n型不純物拡散領域28aの方が高濃度にn型不純物が導入されている。この低濃度n型不純物拡散領域27aと高濃度n型不純物拡散領域28aにより、nチャネルMISFETQ1のソース領域あるいはドレイン領域が形成される。ソース領域あるいはドレイン領域を低濃度n型不純物拡散領域27aおよび高濃度n型不純物拡散領域28aより構成することにより、いわゆるLDD(Lightly Doped Drain)構造が形成される。したがって、ゲート電極25a下の電界集中を緩和することができる。
【0025】
一方、n型ウェル23上にはpチャネル型MISFETQ2が形成されている。このpチャネル型MISFETQ2の構成はほぼnチャネル型MISFETQ1と同様の構成となっている。すなわち、n型ウェル23上にゲート絶縁膜24が形成されており、このゲート絶縁膜24上にゲート電極25bが形成されている。ゲート電極25bは、例えばポリシリコン膜から形成され、p型不純物が導入されている。このようにpチャネル型MISFETQ2においては、ゲート電極25bにp型不純物を導入することによりしきい値電圧を下げることができる。本実施の形態1では、nチャネル型MISFETQ1のゲート電極25aにn型不純物を導入する一方、pチャネル型MISFETQ2のゲート電極25bにp型不純物を導入している。このため、nチャネル型MISFETQ1とpチャネル型MISFETQ2の両方でしきい値電圧を低下させることが可能となっている。
【0026】
ゲート電極25bの両側の側壁には、サイドウォール26が形成されており、このサイドウォール26下のn型ウェル23内には、低濃度p型不純物拡散領域27bが形成されている。そして、低濃度p型不純物拡散領域27bの外側には、高濃度p型不純物拡散領域28bが形成されている。低濃度p型不純物拡散領域27bおよび高濃度p型不純物拡散領域28bは、p型不純物を導入した半導体領域となっており、低濃度p型不純物拡散領域27bよりも高濃度p型不純物拡散領域28bの方が高濃度にp型不純物が導入されている。この低濃度p型不純物拡散領域27bと高濃度p型不純物拡散領域28bにより、pチャネルMISFETQ2のソース領域あるいはドレイン領域が形成される。
【0027】
このようにして、本実施の形態1における半導体装置では、半導体基板20上に上述した構造を有するnチャネル型MISFETQ1およびpチャネル型MISFETQ2が形成されている。
【0028】
次に、本実施の形態1における半導体装置の多層配線構造について説明する。図3に示すように、半導体基板20上に形成したnチャネル型MISFETQ1およびpチャネル型MISFETQ2上には、層間絶縁膜となる酸化シリコン膜29が形成されている。そして、酸化シリコン膜29には、nチャネル型MISFETQ1あるいはpチャネル型MISFETQ2のソース領域、ドレイン領域に達するプラグ30が形成されている。このプラグ30は、例えばバリアメタル膜となる窒化チタン膜とタングステン膜の積層膜から形成される。次に、プラグ30を形成した酸化シリコン膜29上には、層間絶縁膜となる酸化シリコン膜31が形成され、この酸化シリコン膜31に埋め込むようにタングステン配線32が形成されている。このタングステン配線32は、下層に形成されたプラグ30と電気的に接続されている。続いて、タングステン配線32上には、酸化シリコン膜33が形成され、この酸化シリコン膜33に埋め込むようにプラグ34が形成されている。このプラグ34もプラグ30と同様にバリアメタル膜およびタングステン膜の積層膜から構成されている。プラグ34は、下層に形成されているタングステン配線32と電気的に接続されるようになっている。
【0029】
次に、プラグ34を形成した酸化シリコン膜33上には、層間絶縁膜となる酸化シリコン膜35が形成されており、この酸化シリコン膜35へ埋め込むように第1銅配線36が形成されている。この第1銅配線36は、銅の拡散を防止するためのバリアメタル膜および銅膜の積層膜から構成されている。第1銅配線36上には、銅の拡散を防止するための窒化シリコン膜37aが形成されており、この窒化シリコン膜37a上に酸化シリコン膜37bが形成されている。酸化シリコン膜37b上には、窒化シリコン膜38aおよび酸化シリコン膜38bが積層して形成され、窒化シリコン膜38aおよび酸化シリコン膜38bへ埋め込むように第2銅配線39が形成されている。この第2銅配線39は、下層に形成されている第1銅配線36と電気的に接続されている。同様にして、第2銅配線39上に第3銅配線40およびプラグ41が形成されている。第3銅配線40およびプラグ41もバリアメタル膜および銅膜の積層膜から形成されている。プラグ41を形成した層間絶縁膜上には、窒化シリコン膜42aおよび酸化シリコン膜42bよりなる層間絶縁膜が形成されている。そして、この層間絶縁膜に埋め込むように最上層配線(パッド)43a、43bが形成されている。最上層配線43a、43bもその他の銅配線と同様に、バリアメタル膜および銅膜の積層膜から形成されている。
【0030】
このように本実施の形態1では、タングステン配線32および4層の銅配線から多層配線が形成されている。銅配線は、例えばダマシン(Damascene)法を使用して形成することができる。多層配線は、複数の半導体素子を電気的に接続して回路を形成する役割を有している。なお、配線の厚さは、下層から上層に行くにしたがって厚くなっている。
【0031】
次に、本実施の形態1における半導体装置の多層配線上の構成について図4を参照しながら説明する。図4は、図3に示した最上層配線43a、43b上の構造について示した断面図である。図4において、最上層配線43a、43上を含む酸化シリコン膜42b上には、窒化シリコン膜44が形成されており、この窒化シリコン膜44上には酸化シリコン膜が形成されている。すなわち、最上層配線43a、43b上には、窒化シリコン膜44および酸化シリコン膜45よりなる第1絶縁膜が形成されている。窒化シリコン膜44は、最上層配線43a、43bを構成する銅膜からの銅の拡散を防止する機能を有している膜である。窒化シリコン膜44および酸化シリコン膜45には、開口部(第1開口部)46が形成されており、この開口部46の底部には、最上層配線43aが露出している。そして、この開口部46を埋め込むように緩衝層47が形成されている。すなわち、窒化シリコン膜44および酸化シリコン膜45に設けられた開口部46から露出する最上層配線43aへ接続するように緩衝層47が形成されている。緩衝層47は、例えば窒化チタン膜よりなるバリアメタル膜とアルミニウム膜の積層膜から構成されている。なお、緩衝層47は、アルミニウム膜に代えてアルミニウム合金膜から構成するようにしてもよい。さらに、緩衝層47は、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜に限定されず、応力を緩和できる程度に柔軟性を有している他の部材から構成することもできる。この緩衝層47は、後述するように、再配線および再配線の周囲にあるポリイミド樹脂膜の応力を緩和する機能を有している。つまり、低温と高温との温度サイクルを繰り返す信頼性試験によって再配線および再配線の周囲にあるポリイミド樹脂膜に膨張・収縮が発生する。この膨張・収縮によって応力が発生するが、発生した応力を緩和するように設けられた層が緩衝層47である。
【0032】
緩衝層47上を含む酸化シリコン膜45上には、ポリイミド樹脂膜(第2絶縁膜)48が形成されており、このポリイミド樹脂膜48に開口部(第2開口部)49が形成されている。この開口部49の底部には、緩衝層47が露出している。そして、この開口部49を埋め込むように再配線50が形成されている。つまり、ポリイミド樹脂膜48に設けられた開口部49から露出する緩衝層47へ接続するように再配線50が形成されている。再配線50は、半導体ウェハのレベルでパッケージングを完成するために設けられたものであり、最上層配線43aと後述するバンプ電極56とを接続する機能を有している。すなわち、再配線50は、最上層配線43aとバンプ電極56とを接続する引き出し配線の役割を有する。別の言い方をすれば、再配線50は、最上層配線43aの間隔をバンプ電極56の間隔へ変換するインタポーザとしての機能を有しているとも言える。
【0033】
再配線50は、例えば、銅膜51とニッケル膜52との積層膜から構成されている。そして、この再配線50上には、ポリイミド樹脂膜(第3絶縁膜)53が形成されており、このポリイミド樹脂膜53に開口部(第3開口部)54が形成されている。開口部54の底部には、再配線50が露出しており、この露出した再配線50上に金膜55が形成されている。そして、金膜55上に例えば半田からなるバンプ電極56が形成されている。
【0034】
本実施の形態1における半導体装置は上記のように構成されており、次に、本発明の一つの特徴について説明する。本発明の一つの特徴は、多層配線の最上層配線43a上に緩衝層47を設け、この緩衝層47上に再配線50を形成した点にある。つまり、多層配線、緩衝層47および再配線50の3層構造とした点に特徴がある。
【0035】
緩衝層47を設けない場合は、以下に示すような現象が生じていた。すなわち、完成した半導体装置に対して、急激な温度変化を与えて動作させる信頼性試験が行なわれるが、この信頼性試験では膜の膨張・収縮により応力が発生する。図2に示すように、この応力は、再配線7を埋め込んだ開口部6の境界、詳しく言えば、ポリイミド樹脂5と再配線7と酸化シリコン膜4という膨張・収縮の起こり方が異なる膜の界面が接する3重点に集中する。すると、この3重点の近傍にある層間絶縁膜2と窒化シリコン膜3との境界に応力が伝わり界面剥離を引き起こす。信頼性試験後には、電気的特性検査が行なわれるが、この電気的特性検査で最上層配線1に電圧が印加される。すると、最上層配線1間にある層間絶縁膜2と窒化シリコン膜3の境界が剥離しているため、最上層配線1を形成している銅がドリフトして最上層配線1間を移動する。したがって、最上層配線1間にドリフトした銅を介してショート不良が発生する。
【0036】
これに対し、本実施の形態1では、図4に示す3重点Xに応力が集中する。つまり、開口部49近傍の再配線50とポリイミド樹脂膜48と緩衝層47の界面が接する3重点に応力が集中する。しかし、図4に示すように、本実施の形態1では、応力の集中する3重点Xと、層間絶縁膜となる酸化シリコン膜42bと窒化シリコン膜44との界面Yとの距離が、緩衝層47を設けている分だけ離れることになる。したがって、応力の集中する3重点Xに集中した応力が界面Yに達することを抑制することができる。さらに、緩衝層47は、例えば比較的柔らかいアルミニウム膜を主成分としているので、3重点Xに集中した応力を緩和することができる。このように、緩衝層47を設けることにより、界面Yへの応力の伝達を緩和できるので、界面Yでの剥離を防止することができる。すなわち、最上層配線43aと最上層配線43bとの間にある酸化シリコン膜(層間絶縁膜)42bと窒化シリコン膜44の剥離を防止できる。このため、最上層配線43aと最上層配線43bとの間における銅のドリフトを抑制することができ、最上層配線43aと最上層配線43bの間で起こるショート不良を抑制することができる。
【0037】
特に、最上層配線43a、43bを銅膜で形成した場合、銅はアルミニウムなどに比べて拡散しやすいので、最上層配線43a、43bを埋め込んだ酸化シリコン膜42bと窒化シリコン膜44の界面Yに剥離が生じると、その剥離部分を介して銅が容易に移動する。このため、最上層配線43aと最上層配線43bとの間でドリフトした銅によるショート不良が発生しやすい。このことから、緩衝層47を設けて界面Yの剥離を防止する本発明は、最上層配線43a、43bが銅膜から形成されている場合に顕著な効果を奏する。ただし、本発明は、最上層配線43a、43bが銅膜から形成される場合に限定されず、例えば最上層配線43a、43bがアルミニウム膜やタングステン膜から形成される場合であっても有効である。なぜなら、緩衝層47を設けることにより、界面Yにおける剥離をもたらす応力を緩和できるからである。
【0038】
本実施の形態1では、多層配線と緩衝層47と再配線50とを区別したが、これには意味がある。すなわち、多層配線は、単に配線として機能するものを表現したものであり、図3に示す多層配線がこれに該当する。そして、この多層配線のうち、最上層に形成されている配線を最上層配線(パッド)43a、43bとしている。つまり、最上層配線43a、43bは、単に配線として機能するもののうち最上層に形成されているものを指している。
【0039】
一方、緩衝層47は、配線として機能する他に、再配線によって生じる応力を緩和する機能という重要な機能を有している。この応力を緩和する機能は、意図的に設けられたものであり、本実施の形態1における半導体装置の構成要素の中で、緩衝層47だけが意図的に応力緩和機能を有するように構成している。すなわち、緩衝層47を意図的に設けることにより、3重点Xに集中する応力を充分効果的に緩和することができるのである。このことを表現するため、緩衝層47を独立した要素として取り扱っている。
【0040】
さらに、再配線50は、配線として機能する他、上述したように半導体ウェハレベルでパッケージングを完了する役割を有している。すなわち、最上層配線43aの間隔をバンプ電極56の間隔に変換するとともに、最上層配線43aをバンプ電極56へ引き出している点で、単なる配線と機能が異なる。このため、多層配線と区別して再配線50としている。なお、再配線50の膜厚は、多層配線を構成する配線の膜厚に比べて充分に厚い。このことから、再配線50で発生する応力が大きくなり、3重点Xの直下にある界面Yで剥離が起こりやすくなることがわかる。
【0041】
次に、本実施の形態1における緩衝層47の構成について説明する。緩衝層47の幅は、緩衝層47が接続している最上層配線43aの幅よりも大きく、かつ、開口部49の幅よりも大きくなっていることが望ましい。緩衝層47の幅が最上層配線43aの幅よりも大きくなっていると、最上層配線43aと最上層配線43bとの間にある界面Yの直上に緩衝層47を設けることができるので、界面Yへの応力の伝達を充分に抑制できるためである。したがって、界面Yでの応力による剥離を抑制することができ、最上層配線43aと最上層配線43bとの間で生じるショート不良を抑制できる。また、緩衝層47の幅を開口部49の幅よりも大きくすることによって、応力が集中する3重点Xの直下に緩衝層47を形成することができる。このため、応力の集中する3重点Xから3重点Xの直下へ伝わる応力を充分に緩和することができる。これによっても界面Yでの応力による剥離を抑制することができる。
【0042】
次に、本実施の形態1における半導体装置の製造方法について説明する。まず、図3に示すようなnチャネル型MISFETQ1およびpチャネル型MISFETQ2を半導体基板20上に形成する。この工程は通常用いられるプロセス技術が用いられる。その後、半導体基板20上に多層配線を形成する。多層配線は、図3に示すように、例えばタングステン配線32および4層の銅配線から形成される。銅配線は、例えばダマシン法を使用して形成することができる。ダマシン法を使用して銅配線を形成する例として、最上層配線43a、43bを形成する場合を説明する。
【0043】
図5に示すように、下層配線(図示せず)を形成した後、この下層配線上に窒化シリコン膜42aおよび酸化シリコン膜42bを積層して形成する。窒化シリコン膜42aおよび酸化シリコン膜42bは、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法を使用して形成することができる。次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、窒化シリコン膜42aおよび酸化シリコン膜42bからなる層間絶縁膜に、溝を形成する。そして、溝内を含む酸化シリコン膜42b上にバリアメタル膜となる窒化チタン膜を形成した後、この窒化チタン膜上に薄い銅膜よりなるシード層を形成する。シード層は、例えばスパッタリング法を用いて形成することができる。続いて、溝を埋め込むように厚い銅膜を酸化シリコン膜42b上に形成する。この銅膜は例えばめっき法を用いて形成することができる。続いて、化学的機械的研磨法(Chemical Mechanical Polishing)で酸化シリコン膜42b上に形成されている不要な銅膜を除去する。これにより、溝に銅膜を埋め込んだ最上層配線43a、43bを形成することができる。このようにして、最上層配線43a、43bを形成することができる。
【0044】
次に、図5に示すように、最上層配線43a、43b上を含む酸化シリコン膜42b上に第1絶縁膜となる窒化シリコン膜44および酸化シリコン膜45を積層して形成する。このとき、窒化シリコン膜44および酸化シリコン膜45は、例えばCVD法を使用して形成され、例えばそれぞれの膜厚は、約500nmである。窒化シリコン膜44は、最上層配線43a、43bを構成する銅が外部へ拡散しないようにするバリア絶縁膜としての機能を有している。この窒化シリコン膜44に代えて、炭窒化シリコン膜を使用してもよい。
【0045】
続いて、図6に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して窒化シリコン膜44および酸化シリコン膜45に開口部(第1開口部)46を形成する。この開口部46の底部には、最上層配線43aが露出している。このときの加工で、最上層配線43aを構成する銅膜の表面が露出するが、露出した銅膜に腐食などが発生しないように、低ダメージアッシングや洗浄処理が必要となる。また、開口部46の形状に関しては、後述する緩衝層47の埋め込みが容易になるように、アスペクト比の低い構造(開口部46の深さ/開口部46の開口径が1以下程度)とすることが望ましい。
【0046】
そして、図7に示すように、開口部46内を含む酸化シリコン膜45上にチタン/窒化チタン膜47a、アルミニウム膜47bおよび窒化チタン膜47cを順次形成する。これらの積層膜(第1導体膜)は、例えばスパッタリング法を使用して形成することができる。なお、チタン/窒化チタン膜47aおよび窒化チタン膜47cはバリアメタル膜として機能するものであり、例えば、その他の膜としてタンタル膜や窒化タンタル膜を使用するようにしてもよい。
【0047】
その後、図8に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して積層膜をパターニングする。これにより、チタン/窒化チタン膜47a、アルミニウム膜47bおよび窒化チタン膜47cの積層膜からなる緩衝層47を形成することができる。
【0048】
次に、図9に示すように、緩衝層47上を含む酸化シリコン膜45上にポリイミド樹脂膜(第2絶縁膜)48を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術を使用してポリイミド樹脂膜48のパターニングを行い、図10に示すように、ポリイミド樹脂膜48に開口部(第2開口部)49を形成する。この開口部49の底部には、緩衝層47の表面が露出している。
【0049】
続いて、図11に示すように、開口部49を形成したポリイミド樹脂膜48上に薄い銅膜からなるシード層51aを形成する。シード層51aは、例えばスパッタリング法を使用して形成することができる。そして、シード層51a上にレジスト膜57を塗布した後、露光・現像することによりレジスト膜57をパターニングする。パターニングは図12に示すように、再配線形成領域にレジスト膜57が残らないように行なわれる。
【0050】
次に、図13に示すように、パターニングしたレジスト膜57をマスクにして、シード層51a上に銅膜51およびニッケル膜52を形成する。銅膜51およびニッケル膜52は、第2導体膜であり、例えばシード層51aを電極とした電界めっき法で形成することができる。なお、シード層51aは、銅膜51と一体化するため、以下の図面ではシード層51aの図示を省略する。
【0051】
続いて、図14に示すように、パターニングしたレジスト膜57を除去した後、このレジスト膜57で覆われていた領域のシード層51aをウェットエッチングで除去する。これにより、銅膜51およびニッケル膜52の積層膜からなる再配線50が形成される。銅膜51上にニッケル膜52を形成する理由は、再配線50上のバンプ電極形成領域に形成する半田ペースト56aと銅膜51との反応を防止するためである。
なお、レジスト膜57で覆われていた領域のシード層51aを除去する際、再配線50の表面も同時にエッチングされるが、再配線50の膜厚はシード層51aの膜厚に比べて遥かに厚いので支障はない。
【0052】
次に、図15に示すように、銅膜51およびニッケル膜52よりなる再配線50上にポリイミド樹脂膜(第3絶縁膜)53を形成する。そして、図16に示すように、ポリイミド樹脂膜53に対して露光・現像処理を行なうことにより、バンプ電極形成領域に開口部(第3開口部)54を形成する。この開口部54の底部には、再配線50が露出している。
【0053】
その後、図17に示すように、開口部54から露出している再配線(バンプランド)50上に無電解めっき法を使用して金膜55を形成する。そして、図18に示すように、金膜55上に半田印刷技術を使用して半田ペースト56aを印刷する。印刷直後の半田ペースト56aは、バンプランドよりも広い領域にほぼ平坦に印刷される。続いて、半導体基板20を加熱して半田ペースト56aをリフロー(溶融・再結晶化)させることにより、金膜55上に図4に示すような半球状のバンプ電極56を形成する。バンプ電極56は、例えば錫(Sn)、銀(Ag)および銅(Cu)からなる鉛(Pb)フリー半田から構成される。なお、バンプ電極56は、上記した印刷法に代えてめっき法を使用して形成することもできる。また、あらかじめ球状に成形した半田ボールをバンプランド上に供給し、その後、半導体基板20をリフローすることによってもバンプ電極56を形成することができる。再配線50に形成されたバンプランドの間隔は、再配線50により、最上層配線43aの間隔よりも大きく再配置しているため、バンプ電極56が搭載しやすくなっている。このようにして、本実施の形態1における半導体装置を製造することができる。
【0054】
この後は、例えば−50℃と125℃との間の温度変化を与えて繰り返して動作させる信頼性試験(選別試験)が行なわれる。このとき、半導体装置には、繰り返し熱負荷が加わるため、半導体装置を構成する膜が膨張・収縮する。特に信頼性試験における温度サイクルの影響で、図4に示す再配線50の一部であるニッケル膜52およびポリイミド樹脂膜48に収縮応力が発生する。したがって、再配線50を構成する銅膜51とポリイミド樹脂膜48および緩衝層47の3つの膜の界面が接する3重点Xに応力が集中する。しかし、応力が集中する3重点Xの直下には、応力を吸収する緩衝層47が設けられているので、最上層配線43aを埋め込んだ層間絶縁膜となる酸化シリコン膜42bと窒化シリコン膜44の界面Yにおいて応力が緩和されている。このため、界面Yにおける剥離を防止することができる。
【0055】
信頼性試験が行なわれた後、半導体装置に対して電気的特性検査が実施される。このとき、最上層配線43aと最上層配線43bとの間に電位差が生じるが、界面Yの剥離が防止されているため、最上層配線43aと最上層配線43bとの間で銅がドリフトすることはない。したがって、最上層配線43aと最上層配線43bが導通するショート不良を防止することができる。このことから、半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0056】
次に、本実施の形態1における半導体装置の変形例について説明する。図19は、本実施の形態1の変形例を示した断面図である。図19において、変形例の特徴は、最上層配線43aと緩衝層47を接続する開口部46と、緩衝層47と再配線50を接続する開口部49とを平面的に異なる位置に形成した点にある。つまり、実施の形態1では、図4に示すように、開口部46の直上に緩衝層47を介して開口部49が形成され、平面的に重なる位置に形成されている。これに対し、変形例では、図19に示すように、開口部46の直上からは離れた位置に開口部49を形成している。このように構成することにより、
応力の集中する3重点Xの直下から界面Yを離すことができるので、界面Yでの膜の剥離を防止することができる。
【0057】
開口部46下には、最上層配線43aが形成されており、その最上層配線43aの周囲に密集するようにその他の最上層配線43bが形成されている。したがって、開口部46の近傍に存在する酸化シリコン膜42bと窒化シリコン膜44との界面Yに剥離が生じると最上層配線43aと最上層配線43bとは銅のドリフトによりショートしてしまう。
特に、緩衝層47を設けない場合は、開口部46を介して再配線50が形成されることになるので、必然的に3重点Xの直下に界面Yが存在することとなり、応力により界面Yの剥離が生じやすくなる。ここで、実施の形態1に示すように、緩衝層47を設けることにより、3重点Xの下部に界面Yが存在しても緩衝層47による応力の緩和効果と3重点Xと界面Yとの距離の増大により界面Yにおける剥離を防止することができる。さらに、変形例では、緩衝層47を図19の横方向に延在させている。これにより、開口部46と開口部49との位置を平面的に異なる位置に形成することができる。つまり、緩衝層47を設けたことにより、最上層配線43aと緩衝層47を接続する開口部46の直上から離れた位置に、緩衝層47と再配線50を接続する開口部49を設けることが可能となる。したがって、応力の集中する3重点Xを界面Yから離すことができるので、界面Yへの応力の伝達をさらに低減することができ、界面Yの剥離を防止することができる。このように、緩衝層47を設けることにより、最上層配線43a、緩衝層47および再配線50の接続レイアウトを容易に変更することができ、界面Yに比較的応力がかからないようなレイアウトを容易に実現することができる。
【0058】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、図4に示すように、開口部46を用いて最上層配線43a上に緩衝層47を設ける構造について説明したが、本実施の形態2では、図20に示すように、最上層配線43aと緩衝層47との間にプラグ60を設ける構造について説明する。
【0059】
図20は、本実施の形態2における半導体装置の構造の一部を示した断面図である。図20では、最上層配線43a、43b以下の下層構造についての図示は省略している。図20で前記実施の形態1と異なる点は、プラグ60を設けた点である。すなわち、本実施の形態2では、最上層配線43a上にプラグ60が形成されており、このプラグ60上に緩衝層47が形成されている。このように構成しても、応力が集中する3重点Xと界面Yとの間に応力を緩和する緩衝層47が設けられているので、界面Yでの応力による膜の剥離を防止することができる。さらに、プラグ60を用いる利点としては、最上層配線43a上に開口部46を設けて緩衝層47を形成した前記実施の形態1に比べて、最上層配線43a上の開口面積を小さくできることが挙げられる。開口面積を小さくすることにより、製造工程において、最上層配線43aを構成する銅膜の露出を必要最小限にすることができる。したがって、銅膜の表面の腐食などを低減することができる。プラグ60は、例えば、タングステン膜などから構成することができる。
【0060】
本実施の形態2における半導体装置は上記のように構成されており、以下にその製造方法について図面を参照しながら説明する。
【0061】
以下の説明では、最上層配線43a、43bを形成した後の工程から説明する。まず、図21に示すように、最上層配線43a、43bを形成した酸化シリコン膜42b上に、窒化シリコン膜44、酸化シリコン膜45を順次形成する。窒化シリコン膜44および酸化シリコン膜45の形成には、例えばCVD法を使用することができる。窒化シリコン膜44および酸化シリコン膜45からなる積層膜が第1絶縁膜である。
【0062】
次に、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して窒化シリコン膜44および酸化シリコン膜45を貫通して最上層配線43aに達する溝を形成する。そして、溝内を含む酸化シリコン膜45上にタングステン膜を形成する。このタングステン膜は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。続いて、形成したタングステン膜の表面を、例えばCMP法を使用して研磨することにより、不要なタングステン膜を除去する。この工程で、溝内にタングステン膜を埋め込んだプラグ60を形成することができる。
【0063】
次に、図22に示すように、プラグ60を形成した酸化シリコン膜45上に緩衝層47を形成する。緩衝層47は、窒化チタン膜、アルミニウム膜および窒化チタン膜を順次堆積して積層膜(第1導体膜)を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用してパターニングすることにより形成することができる。窒化チタン膜およびアルミニウム膜は、例えばスパッタリング法を使用して形成することができる。
【0064】
続いて、図23に示すように、緩衝層47を形成した酸化シリコン膜45上に酸化シリコン膜61および窒化シリコン膜62を形成する。酸化シリコン膜61および窒化シリコン膜62は、例えばCVD法を使用して形成することができる。なお、酸化シリコン膜61の膜厚は例えば約200nmであり、窒化シリコン膜62の膜厚は例えば約600nmである。
【0065】
次に、図24に示すように、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して酸化シリコン膜61および窒化シリコン膜62に開口部63を形成する。この開口部63の底部には緩衝層47の表面が露出している。
【0066】
その後、図25に示すように、開口部63を形成した窒化シリコン膜62上にポリイミド樹脂膜48を形成する。ここで、酸化シリコン膜61、窒化シリコン膜62およびポリイミド樹脂膜48からなる積層膜が第2絶縁膜となる。そして、フォトリソグラフィ技術を使用してポリイミド樹脂膜48に開口部49を形成する。このポリイミド樹脂膜48に形成された開口部49と、酸化シリコン膜61および窒化シリコン膜62上に形成された開口部63により一つの大きな開口部が形成される。次に、開口部49および開口部63を埋め込むように再配線が形成される。この後の工程は、前記実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
【0067】
なお、本実施の形態2では、緩衝層47と再配線との間の層間絶縁膜として、酸化シリコン膜61、窒化シリコン膜62およびポリイミド樹脂膜48の積層膜から構成される例について説明したが、酸化シリコン膜61および窒化シリコン膜62を形成せずに、ポリイミド樹脂膜48だけから構成するようにしてもよい。
【0068】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明者が検討した半導体装置の一部を示す断面図である。
【図2】図1の部分拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態1における半導体装置の一部を示す断面図である。
【図4】実施の形態1における半導体装置の一部を示す断面図である。
【図5】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図19】実施の形態1の変形例を示す断面図である。
【図20】実施の形態2における半導体装置を示す断面図である。
【図21】実施の形態2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 最上層配線
2 層間絶縁膜
3 窒化シリコン膜
4 酸化シリコン膜
5 ポリイミド樹脂膜
6 開口部
7 再配線
8 銅膜
9 ニッケル膜
10 ポリイミド樹脂膜
11 開口部
12 バンプ電極
20 半導体基板
21 素子分離領域
22 p型ウェル
23 n型ウェル
24 ゲート絶縁膜
25a ゲート電極
25b ゲート電極
26 サイドウォール
27a 低濃度n型不純物拡散領域
27b 低濃度p型不純物拡散領域
28a 高濃度n型不純物拡散領域
28b 高濃度p型不純物拡散領域
29 酸化シリコン膜
30 プラグ
31 酸化シリコン膜
32 タングステン配線
33 酸化シリコン膜
34 プラグ
35 酸化シリコン膜
36 第1銅配線
37a 窒化シリコン膜
37b 酸化シリコン膜
38a 窒化シリコン膜
38b 酸化シリコン膜
39 第2銅配線
40 第3銅配線
41 プラグ
42a 窒化シリコン膜
42b 酸化シリコン膜
43a 最上層配線
43b 最上層配線
44 窒化シリコン膜
45 酸化シリコン膜
46 開口部
47 緩衝層
47a チタン/窒化チタン膜
47b アルミニウム膜
47c 窒化チタン膜
48 ポリイミド樹脂膜
49 開口部
50 再配線
51 銅膜
51a シード層
52 ニッケル膜
53 ポリイミド樹脂膜
54 開口部
55 金膜
56 バンプ電極
56a 半田ペースト
57 レジスト膜
60 プラグ
61 酸化シリコン膜
62 窒化シリコン膜
63 開口部
X 3重点
Y 界面
Q1 nチャネル型MISFET
Q2 pチャネル型MISFET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)半導体基板と、
(b)前記半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、
(c)前記層間絶縁膜に埋め込むように形成された最上層配線と、
(d)前記最上層配線上に形成された緩衝層と、
(e)前記緩衝層上に形成された再配線と、
(f)前記再配線の一端部上に形成されたバンプ電極とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記最上層配線を埋め込んだ前記層間絶縁膜上に第1絶縁膜が形成されており、前記第1絶縁膜に設けられた第1開口部から露出する前記最上層配線へ接続するように前記緩衝層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記緩衝層上に第2絶縁膜が形成されており、前記第2絶縁膜に設けられた第2開口部から露出する前記緩衝層へ接続するように前記再配線が形成されていることを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記緩衝層は、前記再配線と前記第2絶縁膜の界面で発生する応力により生じる前記第1絶縁膜と前記層間絶縁膜との剥離を抑制することを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項5】
前記緩衝層の幅は、前記最上層配線の幅よりも大きく、かつ、前記第2開口部の幅よりも大きいことを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項6】
前記最上層配線を埋め込んだ前記層間絶縁膜上に第1絶縁膜が形成されており、前記第1絶縁膜に設けられ、かつ、前記最上層配線へ接続するプラグ上に前記緩衝層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1開口部と前記第2開口部は平面的に異なる位置に形成されていることを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2絶縁膜は、ポリイミド樹脂膜から形成されていることを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項9】
前記最上層配線は、銅膜から形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項10】
前記最上層配線は、アルミニウム膜あるいはタングステン膜から形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項11】
前記緩衝層は、アルミニウム膜またはアルミニウム合金膜から形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項12】
前記再配線は、銅膜とニッケル膜の積層膜から形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項13】
(a)半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記層間絶縁膜に埋め込むように最上層配線を形成する工程と、
(c)前記最上層配線を埋め込んだ前記層間絶縁膜上に第1絶縁膜を形成する工程と、
(d)前記第1絶縁膜に第1開口部を形成し、前記第1開口部から前記最上層配線を露出する工程と、
(e)前記第1開口部内を含む前記第1絶縁膜上に第1導体膜を形成する工程と、
(f)前記第1導体膜をパターニングして緩衝層を形成する工程と、
(g)前記緩衝層上に第2絶縁膜を形成する工程と、
(h)前記第2絶縁膜に第2開口部を形成し、前記第2開口部から前記緩衝層を露出する工程と、
(i)前記第2開口部内を含む前記第2絶縁膜上に第2導体膜を形成する工程と、
(j)前記第2導体膜をパターニングして再配線を形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項14】
さらに、
(k)前記再配線上に第3絶縁膜を形成する工程と、
(l)前記第3絶縁膜に第3開口部を形成し、前記第3開口部から前記再配線を露出する工程と、
(m)前記第3開口部から露出する前記再配線上にバンプ電極を形成する工程とを備えることを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記緩衝層は、前記再配線と前記第2絶縁膜の界面に発生する応力で生じる前記第1絶縁膜と前記層間絶縁膜との剥離を抑制することを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記緩衝層の幅は、前記最上層配線の幅よりも大きく、かつ、前記第2開口部の幅よりも大きいことを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1開口部と前記第2開口部を平面的に異なる位置に形成することを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記最上層配線を銅膜より形成し、前記緩衝層をバリアメタル膜とアルミニウム膜の積層膜より形成することを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
さらに、前記再配線を銅膜とニッケル膜の積層膜より形成することを特徴とする請求項18記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
(a)半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記層間絶縁膜に埋め込むように最上層配線を形成する工程と、
(c)前記最上層配線を埋め込んだ前記層間絶縁膜上に第1絶縁膜を形成する工程と、
(d)前記最上層配線に接続するプラグを前記第1絶縁膜に形成する工程と、
(e)前記プラグ上を含む前記第1絶縁膜上に第1導体膜を形成する工程と、
(f)前記第1導体膜をパターニングして、前記プラグ上に緩衝層を形成する工程と、
(g)前記緩衝層上に第2絶縁膜を形成する工程と、
(h)前記第2絶縁膜に開口部を形成し、前記開口部から前記緩衝層を露出する工程と、
(i)前記開口部内を含む前記第2絶縁膜上に第2導体膜を形成する工程と、
(j)前記第2導体膜をパターニングして再配線を形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2007−73681(P2007−73681A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−258091(P2005−258091)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】