説明

半導体装置とその製造方法、及びテンプレート基板

【課題】ZnO系基板中に含まれるLiの、基板上方に形成された半導体層中への拡散が抑制されたZnO系半導体装置を提供する。
【解決手段】半導体装置は、Liを含むZnO系基板1と、その上方に形成されLiの拡散を抑制するジンクシリケート層3とを有する。このジンクシリケート層を介して、n型ZnO層11、ZnO井戸層とZnMgO障壁層からなる量子井戸構造を有する発光層12、及びp型ZnO層13がZnO系基板に対してエピタキシャル成長される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置とその製造方法に関し、特に、ZnO系基板を用いた半導体装置とその製造方法に関する。本発明は、また、そのような半導体装置の作製に適用できるテンプレート基板に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
基板用の酸化亜鉛(ZnO)の結晶成長方法として、水熱合成法が用いられている。水熱合成法によるZnO結晶育成には、ミネライザー(溶解液)として水酸化リチウム(LiOH)と水酸化カリウム(KOH)の混合水溶液が用いられている。これに起因して、水熱合成法により作製されたZnO基板中には、Liが1017cm−3〜1018cm−3程度の高い濃度で混入している。このようにLiを含むZnO基板上にZnO層を成長させると、基板中のLiが、基板上のZnO層中に拡散してしまう。
【0003】
ZnO基板上にZnO層をホモエピタキシャル成長させる方法として、ZnO基板上に低温でZnOバッファ層を形成後、高温でアニール処理を施し、その後所定の温度でZnO層を成長させる方法や、ZnO基板上にバッファ層なしで直接ZnO層を成長させる方法がある。詳細な成長方法については、非特許文献1や非特許文献2に記載されている。ZnOのエピタキシャル成長の温度は、結晶性を良くする観点からは高い方が望ましいが、成長温度が高いほどLiが拡散しやすくなる。
【0004】
図6に、ZnO基板上に直接ZnO層を成長させたホモエピタキシャルZnO層中のLi濃度を2次イオン質量分析(SIMS)で測定したデプスプロファイルを示す。横軸がサンプルのエピ層側表面からの深さをμm単位で示し、縦軸がLi濃度をcm−3単位で示す。曲線A1〜A3がそれぞれ、成長温度450℃、650℃、800℃の場合のプロファイルである。成長温度が高くなるほど、エピ層中のLi濃度が増加していることがわかる。
【0005】
I族元素であるLiは、II−VI族化合物半導体であるZnO中で、Znサイトに置換するとアクセプタとして働き、格子間に入るとドナーとして働くので、電気的特性に悪影響を及ぼす。従って、ZnO系半導体を用いるデバイスの特性に大きく影響を与える。
【0006】
図7は、アンドープのZnO層中の、Li濃度と室温での電子移動度との関係を示すグラフである。Li濃度が増加するに従い、電子移動度が低下しており、キャリア散乱が生じていることがわかる。特に、Li濃度が2×1017cm−3以上では絶縁性を示し、キャリアが補償されていることがわかる。
【0007】
特許文献1には、水熱合成法で作製されたZnO基板に含まれるLiを、Liを含まない部材で吸収することにより、基板中のLi濃度を低下させる技術が開示されている。
【0008】
【非特許文献1】H. Kato, M. Sano, K. Miyamoto and T. Yao: Jpn. J. Appl. Phys. 42,L1002-L1005, 2003
【非特許文献2】H. Kato, M. Sano,K. Miyamoto and T. Yao: J. Crystal Growth 265, 375-381, 2004
【特許文献1】特開2007−1787号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
水熱合成法で作製されたような、Liを多く含むZnO系基板から、基板上に形成される半導体層へのLiの拡散を抑制できる技術が望まれる。
【0010】
本発明の一目的は、ZnO系基板中に含まれるLiの、基板上方に形成された半導体層中への拡散が抑制された半導体装置、及び、そのような半導体装置の製造方法を提供することである。
【0011】
本発明の他の目的は、このような半導体装置の作製に適用できるテンプレート基板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一観点によれば、Liを含むZnO系基板と、前記ZnO系基板の上方に形成されたジンクシリケート層と、前記ジンクシリケート層を介して、前記ZnO系基板に対してエピタキシャル成長した半導体層とを有する半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
ZnO系基板の上方に形成されたジンクシリケート層により、ZnO系基板中に含まれるLiの、ジンクシリケート層を越えた移動を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
まず、図5を参照し、酸化亜鉛(ZnO)系化合物半導体層を成長させるための成膜装置の例について説明する。成膜方法として、分子線エピタキシ(MBE)が用いられる。真空チャンバ101内に、基板ヒータ107が配置され、基板108が、基板ヒータ107に保持される。
【0015】
真空チャンバ101が、亜鉛(Zn)ソースガン102、酸素(O)ソースガン103、ガリウム(Ga)ソースガン104、窒素(N)ソースガン105、及び、マグネシウム(Mg)ソースガン106を備える。Znソースガン102、Gaソースガン104、Mgソースガン106は、それぞれ、Zn、Ga、Mgの固体ソースを収容するクヌーセンセルを含み、それぞれ、Znビーム、Gaビーム、Mgビームを出射する。Oソースガン103及びNソースガン105は、それぞれ、高周波(例えば13.56MHz)を用いる無電極放電管を含み、無電極放電官内で酸素ガス及び窒素ガスをラジカル化して、Oラジカルビーム及びNラジカルビームを出射する。
【0016】
基板108上に、所望のタイミングで所望のビームを供給することにより、所望の組成のZnO系化合物半導体層を成長させることができる。真空チャンバ101にはまた、反射高速電子線回折(RHEED)用のガン109、及び、RHEEDの回折像を映すスクリーン110が取り付けられている。RHEEDの回折像から、基板108上に形成された層の結晶性を評価できる。排気ポンプ111が、真空チャンバ101の内部を真空排気する。
【0017】
次に、本発明の第1の実施例によるZnO系半導体層の成長方法について説明する。まず、図1(A)に示すように、ZnO基板1を準備する。この基板は、水熱合成法により育成されたZnO単結晶から切り出されたZnO基板である。上記「背景技術」の欄で説明したように、水熱合成法で作製されたZnO基板中には、Liが1017cm−3〜1018cm−3程度の高い濃度で混入している。
【0018】
次に、図1(B)に示すように、ZnO基板1の上に、酸化シリコン層2を形成する。例えば、粒径約50nmのコロイダルシリカをZnO基板1の表面に塗布することにより、アモルファス状のSiO層を形成する。なお、コロイダルシリカを塗布した膜は、多層の厚さとはなっていないようである。
【0019】
次に、酸化シリコン層2の形成されたZnO基板1を、MBE装置の真空チャンバ内にセットして、真空中で900℃、1時間の熱処理を施す。
【0020】
図1(C)に示すように、この熱処理により、ジンクシリケート層3が生成される。これは、2ZnO+SiO→ZnSiOという反応に基づく。
【0021】
図2(A)〜図2(D)を参照して、この熱処理により得られるRHEED回折パタンについて説明する。図2(A)〜図2(D)のRHEED回折パタンは、それぞれ、ZnO結晶の[11−20]方向のパタン、ZnO結晶の[10−10]方向のパタン、熱処理後の[11−20]方向のパタン、熱処理後の[10−10]方向のパタンである。
【0022】
ZnO結晶のパタン(図2(A)、図2(B))は、(1×1)パタンを示す。すなわち、[11−20]方向(図2(A))及び[10−10]方向(図2(B))ともに、0次及び±1次の回折線が見えており、1倍の表面周期構造を有していることがわかる。
【0023】
一方、熱処理後のパタン(図2(C)、図2(D))は、(1×3)再構築パタンを示す。すなわち、[11−20]方向(図2(C))では0次及び±1次の回折線が見え、[10−10]方向(図2(D))では0次及び±1次の回折線と、0次から±1次までの間を3等分する位置に±1/3次と±2/3次の回折線とが見えており、[11−20]方向では1倍の、[10−10]方向では3倍の表面周期構造を有していることがわかる。
【0024】
この熱処理でZnSiOの結晶が形成されたことにより、(1×3)再構築パタンが観察されると考えられる。従って、熱処理中に観察される基板表面(酸化シリコン層表面)の[11−20]方向及び[10−10]方向のRHEED回折パタンが、(1×3)再構築パタンを示したら、ジンクシリケート層3が形成されたと判断することができる。
【0025】
なお、酸化シリコン層2の形成方法は、コロイダルシリカの塗布に限らない。例えば、SiO系皮膜用塗布液を塗布してもよいし、また、スパッタやパルスレーザ堆積(PLD)によりSiO層を形成してもよいと考えられる。酸化シリコン層2の厚さは、1nm〜100nm程度、さらに好ましくは1nm〜50nm程度がよいと思われる。酸化シリコン層2の結晶状態は、アモルファス状が望ましい。
【0026】
なお、ジンクシリケート層3を形成するための熱処理温度は、900℃に限らないが、800℃以上であることが望ましい。なお、この熱処理は真空中で行わなくともよく、大気中で行うこともできる。なお、ジンクシリケート層3を直接ZnO基板1上にエピタキシャル成長させることもできるであろう。
【0027】
次に、図1(D)に示すように、ジンクシリケート層3の上に、ZnOバッファ層4を、500℃以下の低温(例えば300℃)で厚さ50nm成長させる。その後、900℃で20分のアニールを施して、ZnOバッファ層4の結晶性及び平坦性を向上させる。
【0028】
次に、図1(E)に示すように、バッファ層4の上に、ZnO層5を、700℃で厚さ900nmエピタキシャル成長させる。ZnOのエピタキシャル成長を行うと、RHEEDパタンは(1×1)パタンとなる。
【0029】
アニールを施したバッファ層4、及び、バッファ層4の上にエピタキシャル成長させたZnO層5が、ジンクシリケート層3を介して、ZnO基板1に対してエピタキシャル成長したZnO層6となる。
【0030】
図3(A)に、第1の実施例の方法で成長させたZnO層中のLi濃度のSIMSデプスプロファイルを示す。横軸がサンプルのエピ層側表面からの深さをμm単位で示し、縦軸がLi濃度をcm−3単位で示す。同じグラフにSi濃度も示す。なお、比較例として、図3(B)に、従来方法(ジンクシリケート層を設けない方法)で成長させたZnO層中のLi濃度及びSi濃度のSIMSデプスプロファイルを示す。
【0031】
従来方法で得られたサンプルは、基板上にエピタキシャル成長したZnO層のLi濃度が、基板中のLi濃度とほぼ等しく2×1017cm−3程度であり、基板のLiがエピ層中に拡散していることがわかる。なお、基板とエピ層との界面でLi濃度が高くなっており、この界面にLiがトラップされる傾向が見られるが、基板からエピ層へのLiの拡散は抑えられていない。
【0032】
一方、実施例の方法で得られたサンプルにおいては、(深さ方向の平均的な)Li濃度が、基板では1×1017cm−3程度であるのに対し、エピ層では1×1016cm−3より低い水準となっている。基板とエピ層との間に、Si濃度の高い領域が存在し、この領域がジンクシリケート層に対応する。なお、基板とエピ層のSi濃度はほぼ等しい。実施例の方法で得られたサンプルでは、ジンクシリケート層が、基板からエピ層へのLi拡散を抑制する拡散防止層として機能していることがわかる。なお、実施例のサンプルでも、基板とエピ層との間のジンクシリケート層中でLi濃度が高くなっている。
【0033】
なお、基板ごとのLi濃度にはばらつきがあり、少なくとも1桁程度(例えば1017cm−3〜1018cm−3程度)のばらつきを持っている。
【0034】
以上説明したように、ZnO基板上方にジンクシリケート層を形成することにより、ZnO基板中のLiの、ジンクシリケート層を越えた上方への拡散が抑制されるので、Li濃度の低いZnO系半導体層をエピタキシャル成長させることができる。このようにして得られたZnO系半導体層を材料として半導体装置を作製すれば、Liに起因する電気的な悪影響が低減することにより、デバイス特性が向上することが期待できる。
【0035】
なお、ZnO系半導体層の成長温度が600℃以上であるとき、基板からのLi拡散が生じやすい(図6も参照)。特に、ZnO系半導体層の形成を600℃以上で行う場合に、ジンクシリケート層によるLi拡散抑制が有効であると考えられる。
【0036】
なお、特に、ZnO基板中のLi濃度が1×1016cm−3以上であるときに、基板からのLi拡散を抑制したい(図7も参照)。ZnO基板中のLi濃度が1×1016cm−3以上であるときに、ジンクシリケート層によるLi拡散抑制が特に有効であると考えられる。
【0037】
次に、第1の実施例によるZnO系半導体層の成長方法を応用した、第2の実施例による発光素子の製造方法について説明する。図4(A)は、第2の実施例による発光素子の概略断面図である。第1の実施例と同様にして、ZnO基板1上にジンクシリケート層3を形成し、ジンクシリケート層3上にZnOバッファ層4を形成し、バッファ層4のアニールを行う。
【0038】
次に、バッファ層4の上に、Gaをドーピングしたn型ZnO層11を形成する。n型ZnO層11は、500℃〜1000℃に加熱した基板に、Znビーム、Oラジカルビーム、及びGaビームを同時に照射することにより成長させる。n型ZnO層11の厚さは1μm〜2μmで、Ga密度は1×1018cm−3以上であることが好ましい。
【0039】
続いて、n型ZnO層11の上に、発光層12を形成する。発光層12は、ZnO層を井戸層とし、ZnMgO層を障壁層とする量子井戸構造を有する。発光層12は、例えば、図4(B)に示すように、ZnMgO障壁層12bの上にZnO井戸層12wが積層された積層構造を1周期形成し、最上層にZnMgO障壁層12bを形成することにより作製される。発光層12は、また例えば、図4(C)に示すように、上記積層構造を複数周期形成して、多重量子井戸構造としてもよい。
【0040】
井戸層12wは、500℃〜1000℃に加熱した基板上に、Znビーム及びOラジカルビームを同時に照射することにより成長させる。障壁層12bは、350℃〜800℃に加熱した基板上に、Znビーム、Oラジカルビーム、及びMgビームを同時に照射することにより成長させる。
【0041】
次に、発光層12の上に、Nをドーピングしたp型ZnO層13を形成する。p型ZnO層13は、500℃〜1000℃に加熱した基板に、Znビーム、Oラジカルビーム、及びNラジカルビームを同時に照射することにより成長させる。p型ZnO層13の厚さは100nm〜200nmで、N密度は1×1019cm−3以上であることが好ましい。
【0042】
次に、電極を形成する。p型ZnO層13までが形成されたウエハを成膜装置から取り出した後、p型ZnO層13上に、レジスト膜または保護膜等を設けてパタニングし、n側電極が形成される領域に対応する切り欠き窓を有するエッチングマスクを形成する。このエッチングマスクを用いて、例えばウエットエッチングやリアクティブイオンエッチングにより、p型ZnO層13及び発光層12をエッチングして、n型ZnO層11を露出させる。
【0043】
次に、露出したn型ZnO層11の表面に、例えば、厚さ2nm〜10nmのTi層を形成し、このTi層に厚さ300nm〜500nmのAl層を積層することにより、n側電極21を形成する。n側電極21の形成後、エッチングマスクを除去する。
【0044】
次に、p型ZnO層13の表面に、例えば、厚さ0.5nm〜1nmのNi層を形成し、このNi層に厚さ10nmのAu層を積層することにより、p側電極22を形成する。さらに、p側電極22の上に、例えば厚さ500nmのAu層からなるボンディング電極23を形成する。なお、p側の電極の材料がn側電極21上に積層されないように、適宜マスクを用いて、p側電極22及びボンディング電極23を形成する。
【0045】
これらの電極を形成した後、例えば400℃〜800℃の酸素雰囲気中で、電極合金化処理を行う。合金処理時間は、例えば1分〜10分である。このようにして、第2の実施例による発光素子が作製される。
【0046】
このように、ZnO基板からのLi拡散を防止するジンクシリケート層の上方に、ZnO系半導体層を用いた半導体装置を形成することができる。ZnO系半導体層中で不要なドーパントとなるLiが減ることにより、導電性の制御が容易になることが期待される。特に、Nが良好に活性化されて、p型ZnO層の作製が容易になることが期待される。
【0047】
なお、ZnO基板上に予めジンクシリケート層を形成したテンプレート基板を用意しておき、テンプレート基板上に半導体装置を作製することもできるであろう。
【0048】
なお、上記実施例では結晶成長方法としてMBEを用いたが、結晶成長方法はこれに限らない。例えば、有機金属化学気相堆積(MOCVD)やパルスレーザ堆積(PLD)を用いることもできると考えられる。
【0049】
なお、ZnO基板上に、ZnO系半導体層を形成する例について説明したが、ZnO基板を、例えば、ZnOと格子定数の近いGaNのエピタキシャル成長基板として用いることも考えられる。GaN系半導体層を成長させる場合でも、ZnO系半導体層を成長させる場合と同様に、Li濃度が高いことは電気的に好ましくない。GaN系半導体層を成長させる場合でも、ジンクシリケート層で基板からのLi拡散を防止することは有効と考えられる。
【0050】
なお、ZnO基板に他の元素が導入されたZnO系基板であったとしても、このようなZnO系基板にLiが含まれている場合に、ジンクシリケート層により、基板からのLi拡散が防止できるであろう。
【0051】
ZnOにMgを導入することにより、ZnOより広いバンドギャップを持つZnO系半導体を得ることができる。Mgは、結晶をあまり歪ませずに、ZnOに35%程度まで導入することができる。ただし、Mgを50%以上導入すると、相分離が起こると考えられる。つまり、Zn1−xMgOと表したとき、0≦x<0.5とすることが好ましく、0≦x≦0.35とすることがさらに好ましい。
【0052】
例えば、Mgが導入されたZnMgOからなるZnO系基板が作製され、このような基板にLiが含まれている場合にも、ジンクシリケート層によるLi拡散の防止技術は有効であろう。なお、例えばこのようなZnO系基板上に酸化シリコン層を形成し、さらに熱処理を施して形成したジンクシリケート層には、Mgが導入されるであろう。
【0053】
なお、発光ダイオード(LED)を作製する例を説明したが、例えば、へき開でキャビティを形成して、レーザダイオード(LD)を作製することもできるであろう。さらに、これらの発光素子の応用製品、例えば、各種インジケータや、ディスプレイ、光ディスク用の光源等を作ることもできる。
【0054】
また、LEDを蛍光体と組み合わせて、白色LEDを作ることもできるであろう。さらに、白色LEDの応用製品、例えば、照明器具、各種インジケータ、ディスプレイ、各種表示器のバック照明等を作ることもできる。
【0055】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】図1(A)〜図1(E)は、本発明の第1の実施例によるZnO系半導体層の成長方法を説明するための基板の概略断面図である。
【図2】図2(A)〜図2(D)は、RHEEDの回折パタンである。
【図3】図3(A)は、第1の実施例のZnO層のLi濃度のデプスプロファイルであり、図3(B)は、比較例のZnO層のLi濃度のデプスプロファイルである。
【図4】図4(A)は、第2の実施例の発光素子の概略断面図であり、図4(B)及び図4(C)は、発光層の構造の例を示す概略断面図である。
【図5】図5は、ZnO系化合物半導体層を成長させるための成膜装置の例を示す概略図である。
【図6】図6は、従来例のZnO層のLi濃度のデプスプロファイルである。
【図7】図7は、ZnO中のLi濃度と電子移動度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0057】
1 ZnO基板
2 酸化シリコン層
3 ジンクシリケート層
4 バッファ層
5 ZnO層
11 n型ZnO層
12 発光層
12b 障壁層
12w 井戸層
13 p型ZnO層
21 n側電極
22 p側電極
23 ボンディング電極
101 真空チャンバ
102 Znソースガン
103 Oソースガン
104 Gaソースガン
105 Nソースガン
106 Mgソースガン
107 基板ヒータ
108 基板
109 (RHEED用の)ガン
110 (RHEED用の)スクリーン
111 真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Liを含むZnO系基板と、
前記ZnO系基板の上方に形成されたジンクシリケート層と、
前記ジンクシリケート層を介して、前記ZnO系基板に対してエピタキシャル成長した半導体層と
を有する半導体装置。
【請求項2】
前記半導体層が、ZnO系半導体層である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
(a)Liを含むZnO系基板を準備する工程と、
(b)前記ZnO系基板の上方にジンクシリケート層を形成する工程と、
(c)前記ジンクシリケート層を介して、半導体層を前記ZnO系基板に対してエピタキシャル成長させる工程と
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記工程(b)は、(b1)前記ZnO系基板上に酸化シリコン層を形成する工程と、(b2)前記酸化シリコン層が形成された前記ZnO系基板に熱処理を施す工程とを含む請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記工程(b1)は、前記ZnO系基板上にコロイダルシリカを塗布して酸化シリコン層を形成する請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記工程(b2)は、800℃以上で熱処理を行う請求項4または5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記工程(b2)は、前記酸化シリコン層の表面の[11−20]方向及び[10−10]方向のRHEEDパタンを観察する工程を含み、(1×3)再構築パタンが得られるまで熱処理を行う請求項4〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記工程(c)で、前記半導体層がZnO系半導体層である請求項3〜7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
Liを含むZnO系基板と、
前記ZnO系基板の上方に形成されたジンクシリケート層と
を有するテンプレート基板。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−251569(P2008−251569A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87127(P2007−87127)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000002303)スタンレー電気株式会社 (2,684)
【Fターム(参考)】