説明

半導体装置の製造方法、及び、半導体装置

【課題】 より一層、製品の歩留まりを向上させることのできる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 本開示の半導体装置の製造方法では、まず、第1半導体部及び第2半導体部を貼り合わせた半導体部材の一方の面上に形成された絶縁膜30上に、所定の薬液で処理された際に該所定の薬液が絶縁膜に浸透しないような耐性を有するストッパー膜31を形成する。次いで、半導体部材のストッパー膜31側に、第1半導体部及び第2半導体部を電気的に接続するためのCu配線接合部34を形成する。次いで、Cu配線接合部34上にCu拡散防止膜34を形成する。次いで、Cu配線接合部34の形成領域以外の領域のCu拡散防止膜33を除去して該領域に存在する不要なCu部210,211を露出させる。そして、所定の薬液を用いて、不要なCu部210,211を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関し、より詳細には、2つの半導体部材を貼り合わせ、その後、両者をCu配線で電気的に接合する半導体装置の製造方法及びその製造方法により作製された半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の微細化技術の分野では、最近、マスク工程の更なる微細化により高集積化を目指す「more Moore」と呼ばれる微細化技術の流れが減速し、その代わりに、「beyond Moore」と呼ばれる微細化技術が注目を集めている。「beyond Moore」と呼ばれる微細化技術では、半導体装置を構成する複数の素子を、垂直方向に積み上げ、3次元的に配線を施すことにより、素子間の抵抗値及び容量値を低減することができる。
【0003】
上述した素子を垂直方向に積層しかつ3次元的に配線を施す技術(以下、3次元化技術という)の開発に、ウエハレベルでのパッケージ技術の開発が加わった場合、半導体装置の製造コストを低減することが可能になる。それゆえ、従来、半導体装置の製造方法において、様々な3次元化技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1には、次のような半導体装置の作製手法が提案されている。まず、第1ウエハの作製プロセスにおいて、例えばタングステン(W)やポリシリコンなどからなる埋め込み配線を、Si基板の表面に形成する。次いで、第1ウエハの作製プロセスの終了後、Si基板の裏面を研削して埋め込み配線を露出させ、バンプを形成する。そして、第1ウエハと同様にして作製された第2ウエハと、第1ウエハとを貼り合わせ、両者を電気的に接続する。
【0005】
また、近年、半導体装置の一つである固体撮像装置においても、フットプリントの縮小化や高集積化に対応するため、集積回路の様々な3次元化技術が提案されている(例えば、非特許文献1及び特許文献1参照)。
【0006】
非特許文献1に記載された技術では、まず、2つのウエハ間において回路同士を貼り合わせた後、各々のウエハに予め埋め込んで形成した導電性のパッド部に接触するような縦孔、又は、パッド部を貫通するような縦孔を形成する。次いで、形成された縦孔に導電性材料で埋め込むことにより、2つのウエハ間において回路同士を電気的に接続する。
【0007】
また、特許文献2には、裏面照射型の固体撮像装置に3次元化技術を適用した製造手法が提案されている。特許文献2に開示された技術では、まず、画素アレイを備えた第1半導体ウエハと、ロジック回路を備えた第2半導体ウエハとを貼り合わせ、画素アレイ及びロジック回路間をTSV(through-silicon via)を使って電気的に接続する。その後、完成品状態の固体撮像装置が複数形成されたウエハ部材から各固体撮像装置のチップを分割する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平11−261000号公報
【特許文献2】特開2010−245506号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】A 4-Side TileableIlluminated 3D-Integrated Mpixcel CMOS Image Sensor,2009,IEEE Internatinal Solid-State Circuit Conference
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、従来、半導体装置の製造方法において、様々な3次元化技術が提案されている。しかしながら、この技術分野では、3次元化技術を用いた半導体装置の製造方法において、より一層、歩留まりの良い半導体装置の製造方法の開発が望まれている。本開示は、上記要望に応えるためになされたものであり、本開示の目的は、3次元化技術を用いた半導体装置の製造方法において、より一層、製品の歩留まりを向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本開示の半導体装置の製造方法は、次の手順で行う。まず、第1半導体部及び第2半導体部を貼り合わせた半導体部材の一方の面上に絶縁膜を形成する。次いで、所定の薬液で処理された際に所定の薬液が絶縁膜に浸透しないような耐性を有するストッパー膜を、絶縁膜上に形成する。次いで、半導体部材のストッパー膜側の表面において、第1半導体部及び第2半導体部を電気的に接続するためのCu配線接合部の形成領域に対応する領域に縦孔を形成する。次いで、縦孔にCuを埋め込み、Cu配線接合部を形成する。次いで、半導体部材のCu配線接合部側の表面にCu拡散防止膜を形成する。次いで、半導体部材のCu拡散防止膜側の表面において、Cu配線接合部の形成領域を含む所定領域以外の領域のCu拡散防止膜を除去して該領域に存在する不要なCu部を露出させる。そして、所定の薬液を用いて、不要なCu部を除去する。
【0012】
また、本開示の半導体装置は、半導体部材と、絶縁膜と、Cu配線接合部と、Cu拡散防止膜と、ストッパー膜とを備える構成とし、各部の構成を次のようにする。半導体部材は、第1半導体部と、第1半導体部に貼り合わせて設けられた第2半導体部とを有する。絶縁膜は、半導体部材の一方の面上に設けられる。Cu配線接合部は、絶縁膜を貫通するようにして設けられた、第1半導体部及び第2半導体部を電気的に接続する。Cu拡散防止膜は、Cu配線接合部上に形成される。ストッパー膜は、絶縁膜の少なくともCu拡散防止膜の形成領域に対応する領域上に形成され、かつ、絶縁膜のCu配線接合部が形成されていない領域上に形成される。さらに、ストッパー膜は、Cu配線接合部の形成領域以外の領域に存在する不要なCu部を所定の薬液で除去した際に所定の薬液が絶縁膜に浸透しないような耐性を有する。
【発明の効果】
【0013】
上述のように、本開示の半導体装置の製造方法では、第1半導体部及び第2半導体部を貼り合わせた半導体部材の一方の面上に絶縁膜を形成する。そして、絶縁膜上に、不要なCu部を所定の薬液で除去した際に該所定の薬液が絶縁膜に浸透しないような耐性を有するストッパー膜を形成する。これにより、その後に行う、Cu配線接合部の形成領域以外の領域に残存する不要なCu部を所定の薬液で除去する工程において、その薬液処理による半導体部材へのダメージを防止することができる。それゆえ、本開示によれば、より一層、製品の歩留まりを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本開示の第1の実施形態に係る固体撮像装置の概略構成断面図である。
【図2】比較例の固体撮像装置の製造手法におけるCu汚染の不具合を説明するための図である。
【図3】比較例の固体撮像装置の製造手法におけるCu汚染の不具合を説明するための図である。
【図4】比較例の固体撮像装置の製造手法におけるCu汚染の不具合を説明するための図である。
【図5】比較例の固体撮像装置の製造手法におけるCu汚染の不具合を説明するための図である。
【図6】比較例の固体撮像装置の製造手法において、ウェットエッチングで不要なCuを除去した際の不具合を説明するための図である。
【図7】比較例の固体撮像装置の製造手法において、ウェットエッチングで不要なCuを除去した際の不具合を説明するための図である。
【図8】第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造手法を説明するための図である。
【図9】第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造手法を説明するための図である。
【図10】第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造手法を説明するための図である。
【図11】第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造手法を説明するための図である。
【図12】第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造手法を説明するための図である。
【図13】第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造手法を説明するための図である。
【図14】第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造手法を説明するための図である。
【図15】第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造手法を説明するための図である。
【図16】第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造手法を説明するための図である。
【図17】第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造手法を説明するための図である。
【図18】第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造手法を説明するための図である。
【図19】第1の実施形態に係る固体撮像装置の製造手法を説明するための図である。
【図20】本開示の第2の実施形態に係る固体撮像装置の製造手法を説明するための図である。
【図21】第2の実施形態に係る固体撮像装置の製造手法を説明するための図である。
【図22】第2の実施形態に係る固体撮像装置の製造手法を説明するための図である。
【図23】本開示の半導体装置(固体撮像装置)を適用した電子機器の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本開示の実施形態に係る半導体装置及びその製造方法の具体例を、図面を参照しながら下記の順で説明する。ただし、本開示は下記の例に限定されない。
1.第1の実施形態
2.第2の実施形態
3.応用例
【0016】
<1.第1の実施形態>
まず、第1の実施形態に係る半導体装置の概略構成を説明する。本実施形態では、半導体装置の一例として、裏面照射型の固体撮像装置を例に挙げ説明する。なお、以下に説明する本開示の技術の適用例は、固体撮像装置に限定されない。複数の半導体素子(半導体部材)を、垂直方向に積み上げ、さらに3次元的にCu配線を施す半導体装置において、下記に説明するようなCu配線に伴い発生する不具合(Cu汚染)が生じ得る任意の半導体装置に適用可能である。
【0017】
[固体撮像装置の全体構成]
図1に、第1の実施形態に係る固体撮像装置の要部の概略断面図を示す。
【0018】
(1)全体構成
固体撮像装置100は、貼り合わせ部材1(半導体部材)と、第1層間膜30(絶縁膜)と、ストッパー膜31と、第2層間膜32と、Cu拡散防止膜33と、Cu配線接合部34とを備える。
【0019】
貼り合わせ部材1は、第1半導体部10(CMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ部)と、第2半導体部20(ロジック回路部)とを有し、両者が接合界面Sjで接合される。また、第1層間膜30は、第1半導体部10の第2半導体部20側とは反対側の面上(後述のSi基板13上)に形成される。さらに、ストッパー膜31、第2層間膜32及びCu拡散防止膜33は、第1層間膜30の凸部(Cu配線接合部34の形成領域を含む所定領域)上に、この順で積層される。また、本実施形態では、Cu配線接合部34は、図1に示すように、第1半導体部10と第2半導体部20とを電気的に接続する縦孔配線で構成され、第1層間膜30の凸部の領域に形成される。
【0020】
なお、本実施形態では、後述するように、固体撮像装置100の製造過程において、まず、第1層間膜30、ストッパー膜31、第2層間膜32及びCu拡散防止膜33を、第1半導体部10の表面全体を覆うように形成する。そして、画素部領域(後述のフォトダイオード11aの上部領域)のCu拡散防止膜33、第2層間膜32、ストッパー膜31、及び、第1層間膜30の一部をドライエッチングにより除去する(彫り込む)。それゆえ、固体撮像装置100の完成品では、図1に示すように、Cu配線接合部34の形成領域を含む所定領域に凸部が形成され、該凸部にのみ、ストッパー膜31、第2層間膜32及びCu拡散防止膜33が残存した状態となる。
【0021】
また、図1には示さないが、固体撮像装置100は、フォトダイオード11aを含む画素部領域の第1層間膜30上に形成されたカラーフィルタ及びオンチップマイクロレンズを備える。さらに、図1には示さないが、固体撮像装置100は、第1層間膜30上に形成された遮光膜(OPB:Optical Black)を備える。なお、遮光膜は、フォトダイオード11aへの入射光の経路を妨げないように、第1層間膜30上に形成される。
【0022】
(2)各部の構成
第1半導体部10は、フォトダイオード11aを有する光電変換層11と、光電変換層11の第1層間膜30側とは反対側に設けられた第1多層配線層12とを備える。なお、光電変換層11は、その内部に設けられた縦孔配線11bにより第1多層配線層12と電気的に接続される。
【0023】
第1多層配線層12は、複数のCu配線層14を積層して構成される。各Cu配線層14は、層間絶縁膜15と、その内部に埋め込まれたCu配線部16と、自身より第1層間膜30側に位置する層との電気接続を得るために設けられたビア17とを有する。また、互いに隣り合う2つのCu配線層14間には、Cu拡散防止膜18が設けられる。
【0024】
第2半導体部20は、演算回路を構成する各種MOSトランジスタ21aが形成されたトランジスタ部21と、トランジスタ部21の第1半導体部10側に設けられた第2多層配線層22とを備える。なお、トランジスタ部21は、その内部に設けられた縦孔配線21bにより第2多層配線層22と電気的に接続される。
【0025】
第2多層配線層22は、複数のCu配線層24を積層して構成される。各Cu配線層24は、層間絶縁膜25と、その内部に埋め込まれたCu配線部26と、自身よりトランジスタ部21側に位置する層との電気接続を得るために設けられたビア27とを有する。また、互いに隣り合う2つのCu配線層24間には、Cu拡散防止膜28が設けられる。
【0026】
第1層間膜30は、例えばSiO膜等の絶縁膜で構成される。なお、第1層間膜30におけるCu配線接合部34の形成領域には、上述のように、凸部が形成される。
【0027】
ストッパー膜31は、Cu配線接合部34の形成領域以外の領域に残存する不要なCu部(以下、Cu残という)を薬液で除去する際に、その薬液が第1層間膜30(第1半導体部10のSi基板13)に浸透することを抑制するために設けられた膜である。それゆえ、ストッパー膜31の形成材料は、Cu残の除去処理に用いる薬液に対して、耐性の高い材料で形成される。
【0028】
なお、本実施形態のようにウェットエッチング法でCu残の除去する場合には、用いるウェット薬液に対して、Cuよりエッチング耐性の高い(エッチングレートの低い)材料でストッパー膜31を形成する。また、後述の第2の実施形態のように、リフトオフ法でCu残を除去する場合には、用いる薬液に対して、第1層間膜30及び第2層間膜32より耐性の高い材料でストッパー膜31を形成する。
【0029】
上述のような耐性を有するストッパー膜31としては、例えば、SiN膜や、SiCN膜、SiC膜、SiCO膜等のC(炭素)を含む膜などで構成することができる。本実施形態では、このようなストッパー膜31を固体撮像装置100の製造過程で設けることにより、Cu残の除去処理により発生するSi基板13へのダメージを防止することができ、固体撮像装置100の歩留まりを向上させることができる。
【0030】
第2層間膜32は、第1層間膜30と同様に、例えばSiO膜等の絶縁膜で構成される。なお、本実施形態では、ストッパー膜31上に、第2層間膜32を形成する例を説明するが、本開示はこれに限定されず、第2層間膜32を設けない構成にしてもよい。また、Cu拡散防止膜33は、例えばSiN膜等の絶縁膜で構成される。
【0031】
Cu配線接合部34は、第1半導体部10(CMOSイメージセンサ部)と第2半導体部20(ロジック回路部)とを電気的に接続するCu配線であり、第1ビア34aと、第2ビア34bと、ビア接合部34cとで構成される。なお、本実施形態では、第1半導体部10と第2半導体部20とを電気的に接続するCu配線として、Cu配線接合部34を一つ設ける例を説明したが、本開示はこれに限定されず、Cu配線接合部34を複数設けてもよい。
【0032】
第1ビア34aは、第2層間膜32、ストッパー膜31、第1層間膜30及び光電変換層11を貫通する縦孔配線であり、Cuで形成される。第1ビア34aの一方の端部(第1多層配線層12側の端部)は、第1多層配線層12の最も光電変換層11側に位置するCu配線層14のCu配線部16に接続される。また、第1ビア34aの他方の端部(第1多層配線層12側とは反対側の端部)は、ビア接合部34cに接続される。
【0033】
第2ビア34bは、第2層間膜32、ストッパー膜31、第1層間膜30、光電変換層11及び第1多層配線層12(すなわち、第1半導体部10)を貫通する縦孔配線であり、Cuで形成される。第2ビア34bの一方の端部(第2多層配線層22側の端部)は、第2多層配線層22の最も第1半導体部10側に位置するCu配線層24のCu配線部26に接続される。また、第2ビア34bの他方の端部(第2多層配線層22側とは反対側の端部)は、ビア接合部34cに接続される。
【0034】
ビア接合部34cは、第1ビア34a及び第2ビア34bを接合する配線部であり、Cuで形成される。本実施形態の固体撮像装置100では、このビア接合部34cにより、第1半導体部10と第2半導体部20とが電気的に接続される。なお、ビア接合部34cは、第2層間膜32の表面に埋め込むようにして形成される。
【0035】
[比較例]
ここで、本実施形態の固体撮像装置100の製造方法について説明する前に、ストッパー膜31を設けずに固体撮像装置を作製した場合(比較例)に発生し得る不具合について説明する。
【0036】
本実施形態のように、第1半導体部10と第2半導体部20とを貼り合わせて固体撮像装置100を作製する場合、両者を貼り合わせた後に両者を電気的に接続する配線部(Cu配線接合部34)を形成する。この際、第1半導体部10及び第2半導体部20間の導通を得るための配線部は、上述のように、低抵抗特性を有するCu配線で構成される。なお、Cu配線は、一般に、ドライエッチングで加工することが難しいので、メッキプロセスとCMP(Chemical Mechanical Polishing)プロセスとを組み合わせたダマシンプロセスにより形成される。
【0037】
しかしながら、上記製造手法では、第1半導体部と第2半導体部との貼り合わせに起因して第1半導体部の表面に欠陥(凹箇所)やピンホールが発生しているので、Cu配線接合部の形成時には、そのような欠陥やピンホールにもCu膜が形成される。このような欠陥やピンホールに残存したCu部(Cu残)は、その後の工程でメタル汚染を引き起こす可能性がある。この場合、製品チップの歩留まりが低下し、最悪の場合には、生産ラインにCu汚染が発生する可能性もある。
【0038】
以下に、この不具合の例を、図2〜7を参照しながら説明する。なお、図2〜7は、第1半導体部及び第2半導体部の貼り合わせ部材に対して各種処理工程を実施した後の貼り合わせ部材の概略断面図である。なお、図2〜7に示す各種貼り合わせ部材おいて、図1に示す第1の実施形態の固体撮像装置100の構成と同様の構成には、同じ符号を付して示す。また、図2〜7では、説明を簡略化するため、層間膜と第1半導体部との界面付近の構成のみを示す。
【0039】
(1)不具合例1
不具合例1では、層間膜上に遮光膜を形成する際に発生し得る不具合を、図2〜5を参照しながら説明する。
【0040】
比較例では、まず、第1半導体部と第2半導体部とを貼り合わせた後、第1半導体部のSi基板13の表面全面に渡って層間膜200を形成する。次いで、層間膜200、並びに、第1半導体部及び第2半導体部材の貼り合わせ部材の所定領域に、Cu配線接合部34をダマシンプロセスにより形成する。その後、層間膜200及びCu配線接合部34上に、Cu拡散防止膜33を形成する(図2の状態)。
【0041】
なお、上記製造過程において、Cu配線接合部34の形成時には、貼り合わせ部材の第1半導体部側の表面に発生した欠陥(凹箇所)やピンホールにもCu残210が形成される。すなわち、Cu配線接合部34の形成領域以外の領域に、Cu残210が散在した状態となる。また、層間膜200の表面からSi基板13の所定深さまで達するような欠陥等が存在する場合には、Cu残210は、図2に示すように、層間膜200を貫通し、かつ、Si基板13の所定深さまで延在して形成される。
【0042】
次いで、画素部(不図示)の領域に形成されたCu拡散防止膜33、及び、層間膜200の一部をドライエッチングで除去する(図3の状態)。この工程を実施する理由は次の通りである。Cu拡散防止膜33を例えばSiN膜やSiCN膜などで構成した場合、これらの絶縁膜が画素部の光入射側に存在すると、感度劣化等の画素特性の劣化が発生し易い。また、フォトダイオード及びレンズ間の距離は、できる限り短い方が好ましい。これらのことから、上述のように、画素部の領域(Cu配線接合部34の形成領域を含む所定領域(凸部)以外の領域)に対して彫り込みプロセス(キャビティエッチングプロセス)を行う。
【0043】
なお、このキャビティエッチングプロセスでは、図3に示すように、Si基板13上に、所定の厚さの層間膜200が残るように画素部の領域を彫り込む。この結果、層間膜200の画素部以外の領域、例えば、Cu配線接合部34の形成領域には凸部が形成され、Cu配線接合部34の領域と画素部の領域との境界には段差が画成される。また、このキャビティエッチングプロセスにより、図3に示すように、貼り合わせ部材の層間膜200側の表面には、Cu残210が露出した状態となる。
【0044】
次いで、表面にCu残210が露出した状態の層間膜200において、遮光膜の形成領域の一部に、遮光膜の接地するための孔(遮光膜用接地孔220)をドライエッチングで形成する(図4の状態)。なお、この際、層間膜200からSi基板13の所定深さまでドライエッチングで彫り込み、遮光膜用接地孔220を形成する。
【0045】
しかしながら、この遮光膜用接地孔220の形成処理(ドライエッチング)により、Cu残の一部がSi基板13に飛散し(図3中の破線矢印)、Si基板13にCu汚染(Cuコンタミ)が発生する。この場合、画素特性が劣化する可能性がある。また、このようなCu飛散が発生する場合、プロセス装置自体がCuで汚染される可能性もある。
【0046】
また、遮光膜用接地孔220の形成領域に遮光膜221を形成した場合(図5の状態)、次のような不具合も生じる。図5に示すように、遮光膜221の一部がCu残210上に形成された場合、該Cu残210の一部(Cu)が遮光膜221に拡散して、遮光膜221の形成材料と反応する。この場合、その後に行う遮光膜221のエッチング工程で、遮光膜221を所望のパターンに加工することが困難になる。
【0047】
(2)不具合例2
上述したCu残210の飛散によるCu汚染、及び、遮光膜221の加工不良の不具合を解消するためには、Cu残210の発生を抑制することが求められる。しかしながら、実際には、ランダムにかつ突発的に発生するCu残210を制御(抑制)することは困難である。そこで、上記不具合を解消する別の手法として、図3の工程(キャビティエッチングプロセス)後に、Cu残210を所定の薬液で除去するプロセスを設ける手法が考えられる。しかしながら、この手法においても次のような不具合(不具合例2)が発生する。
【0048】
図6に、画素部(不図示)に対してキャビティエッチングプロセスを行った後の貼り合わせ部材の概略断面図を示す。なお、図6には、層間膜200の表面からSi基板13の所定深さまで延在して形成されたCu残210だけでなく、層間膜200の欠陥(凹部)に残存したCu残211も示す。
【0049】
図6に示すように、Cu残210,211を表面に露出した後、その露出面に対して、例えば、フッ酸/過酸化水素(FPM)溶液や硫酸/過酸化水素溶液などの薬液を用いたウェットエッチング処理を行い、Cu残210,211を除去する(図7の状態)。
【0050】
しかしながら、このウェットエッチング処理の際、層間膜200中の微小欠陥(ピンホールなど)にも薬液が浸透し、該薬液がSi基板13に到達した場合には、Si基板13もエッチングされる。この場合、図7に示すように、層間膜200の一部に、Si基板13の所定深さまで貫通した微小孔212が形成される。この場合、薬液を介して、CuがSi基板13に拡散し、Si基板13がCu汚染される。さらに、この際、薬液の浸透により、層間膜200が変質する可能性もある。
【0051】
すなわち、ウェットエッチング処理により、Cu残210,211を除去した場合には、正常チップの領域(Cu残210,211が形成されていない画素部の領域)にもダメージが発生し、該正常チップの特性を劣化させる可能性がある。
【0052】
[固体撮像装置の製造手法]
上述のように、ストッパー膜31を設けずに固体撮像装置を作製した場合(比較例の場合)には、Cu残の影響により様々な不具合が発生する。そこで、本実施形態の固体撮像装置100の製造方法では、その製造過程の途中で、Cu残のSi基板13への拡散を防止するためのストッパー膜31を設け、これにより、上述したCu残の影響(Cu汚染)を抑制する。
【0053】
ここで、本実施形態の固体撮像装置100の製造方法を、図8〜19を参照しながら説明する。なお、図8〜19は、貼り合わせ部材1に対するSi基板13の研磨工程から遮光膜の形成工程までの各種工程の手順を示す図であり、各図は、各種工程後の貼り合わせ部材1の概略断面図である。また、図8〜19では、説明を簡略化するため、Si基板13(第1半導体部10)の各種膜が形成される表面付近の構成のみを示す。
【0054】
さらに、図8〜19のうち、図13〜17には、本実施形態の固体撮像装置100の製造方法の特徴及び効果の理解を容易するために、欠陥(凹箇所)やピンホールにCu残210が形成されている領域の貼り合わせ部材1の概略断面図を示す。その他の図面では、欠陥(凹箇所)やピンホールが発生していない領域の貼り合わせ部材1の概略断面図を示す。
【0055】
まず、図示しないが、従来の裏面照射型の固体撮像装置の製造方法と同様にして、第1半導体部10及び第2半導体部20をそれぞれ作製し、さらに、両者を貼り合わせて、貼り合せ部材1を作製する。
【0056】
次いで、貼り合わせ部材1のSi基板13(第1半導体部10)側の表面を研削及び研磨して、Si基板13の厚さを所定の厚さまで薄くする(図8の状態)。
【0057】
次いで、Si基板13の研磨した面全体に渡って、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法等の手法を用いて、第1層間膜30(例えばSiO膜等)を形成する(図9の状態)。
【0058】
次いで、第1層間膜30上に、例えばRF(Radio Frequency)スパッタリング法等の手法を用いて、ストッパー膜31を形成する(図10の状態)。
【0059】
なお、この際、後述のCu残の除去時に用いるウェットエッチングの薬液(酸性薬液)に対して、Cuよりエッチング耐性の高い(エッチングレートの低い)膜、例えば、SiN膜、SiCN膜、SiC膜、SiCO膜等でストッパー膜31を構成する。
【0060】
また、この際、ストッパー膜31の膜厚は、例えば30nm以上に設定することができる。ただし、ストッパー膜31の膜厚は、これに限定されず、例えば使用する薬液の選択比(Cu膜とストッパー膜31とのエッチングレート比)に応じて適宜設定される。例えば、ウェットエッチングの薬液としてフッ酸/過酸化水素溶液を含む酸性薬液を用い、ストッパー膜31として、SiCN膜を用いた場合には、Cu膜とストッパー膜31とのエッチングレート比は10倍以上となる。それゆえ、この場合には、このエッチングレート比を考慮して、Cu残210,211が完全に除去されても、十分な厚さのストッパー膜31が残るように、ストッパー膜31の膜厚を設定する。
【0061】
次いで、ストッパー膜31上に、例えばCVD法等の手法を用いて、第2層間膜32(例えばSiO膜等)を形成する(図11の状態)。
【0062】
次いで、例えばドライエッチング等の手法を用いて、貼り合わせ部材1の第2層間膜32側の表面におけるCu配線接合部34(後述の図13参照)の形成領域に縦孔40を形成する(図12の状態)。
【0063】
具体的には、第1ビア34aの形成領域には、第2層間膜32から第1多層配線層12の最も光電変換層11側に位置するCu配線層14のCu配線部16まで延在する縦孔を形成し、該縦孔の開口部にCu配線部16を露出させる。また、第2ビア34bの形成領域には、第2層間膜32から第2多層配線層22の最も第1半導体部10側に位置するCu配線層24のCu配線部26まで延在する縦孔を形成し、該縦孔の開口部にCu配線部26を露出させる。さらに、ビア接合部34cの形成領域に対応する第2層間膜32の領域も、例えばドライエッチング法等の手法を用いて彫り込む。
【0064】
次いで、図示しないが、Cu配線接合部34とSi基板13との間の絶縁性を確保するため、縦孔40を画成する側壁面に、例えばSiO膜からなる絶縁膜を形成する。次いで、第2層間膜32上に、例えば電解メッキ法等の手法を用いて、Cu膜を形成する。この処理により、縦孔40にCu膜が埋め込まれる。その後、Cu膜の不要な部分を化学機械研磨(CMP)法により除去する。具体的には、第2層間膜32が表面に露出するまで、Cu膜の表面をCMP法で研磨する。
【0065】
なお、この際、貼り合わせ部材1の第1半導体部10側の表面に発生したピンホールや欠陥(凹箇所)にも、Cu残210,211が形成される(図13の状態)。
【0066】
次いで、第2層間膜32及びCu配線接合部34上に、例えばRFスパッタリング法等の手法を用いて、Cu拡散防止膜33(例えばSiN膜等)を形成する(図14の状態)。なお、本実施形態では、Cu拡散防止膜33上に、さらに、保護膜として例えばSiO膜等の絶縁膜を形成してもよい。
【0067】
次いで、Cu拡散防止膜33の画素部に対応する領域に対してドライエッチング処理を行い、その領域のCu拡散防止膜33、及び、第2層間膜32の一部を除去する(第1のキャビティエッチングプロセス)。ただし、この第1のキャビティエッチングプロセスは、エッチング面にCu残210,211が露出するまで行う(図15の状態)。
【0068】
次いで、Cu残210,211が表面に露出した貼り合わせ部材1に対して、例えば、フッ酸/過酸化水素溶液や硫酸/過酸化水素溶液などの酸化剤を含む酸性薬液を用いて、ウェットエッチング処理を行い、Cu残210,211を除去する(図16の状態)。
【0069】
なお、この際、第2層間膜32中の微小欠陥(ピンホールなど)にも薬液が浸透するので、図16に示すように、第2層間膜32の正常チップの領域(Cu残210,211が存在しない画素領域)にも微小孔41が発生し、ダメージが生じる。しかしながら、本実施形態では、第1層間膜30及び第2層間膜32間に、薬液に対してエッチング耐性の高いストッパー膜31を設けているので、この微小孔41はSi基板13(第1層間膜30)に到達しない。それゆえ、本実施形態では、Cu残210,211の上記除去処理において、正常チップの領域のSi基板13にCu残210,211の一部が拡散せず、Cu汚染が発生しない。
【0070】
そして、Cu残210,211を除去した後、貼り合わせ部材1の第1半導体部10側の画素部に対応する領域に対して(Cu配線接合部34の形成領域以外の領域)、再度、ドライエッチングを行う(第2のキャビティエッチングプロセス)。本実施形態では、この第2のキャビティエッチングプロセスにより、画素部の領域における第2層間膜32、ストッパー膜31、及び、第1層間膜30の一部を除去する(図17の状態)。
【0071】
この第2のキャビティエッチングプロセスにより、画素部の領域において、画素特性劣化の原因となり得るストッパー膜31を除去する。なお、第2のキャビティエッチングプロセスでは、図17に示すように、Si基板13の画素部に対応する領域上には、所定の厚さの第1層間膜30が残るように該領域を彫り込む。
【0072】
本実施形態では、上述のように、貼り合わせ部材1の第1半導体部10側の画素部に対応する領域をドライエッチングにより2段階で彫り込むので、Cu配線接合部34の形成領域を含む凸部と画素部の領域との境界には2つの段差が画成される。
【0073】
その後、従来の製法と同様にして、第1層間膜30上に遮光膜を形成する。具体的には、まず、図18に示すように、第1層間膜30の遮光膜の形成領域の一部に、遮光膜用接地孔42をドライエッチングで形成する。なお、この際、第1層間膜30の表面からSi基板13の所定深さまでドライエッチングで彫り込み、遮光膜用接地孔42を形成する。また、本実施形態では、この遮光膜用接地孔42の形成処理の前にCu残210,211を除去しているので、上記比較例の作製手法と異なり、このエッチング処理において、Cu汚染は発生しない。
【0074】
次いで、図19に示すように、第1層間膜30の遮光膜用接地孔42が形成された領域上に、例えばRFスパッタリング法等の手法を用いて、Ta系の金属膜を積層して、遮光膜43を形成する。その後、図示しないが、従来の裏面照射型の固体撮像装置の製造方法と同様にして、画素部に、カラーフィルタ、オンチップマイクロレンズ等を形成する。本実施形態では、上述のようにして固体撮像装置100を作製する。
【0075】
上述のように、本実施形態の固体撮像装置100の製造手法では、第1層間膜30及び第2層間膜32間に、薬液に対してエッチング耐性の高いストッパー膜31を設けるので、Cu残の除去処理により発生するダメージがSi基板13まで到達しない。また、本実施形態では、遮光膜用接地孔42の形成時にも、Cu汚染が発生しない。それゆえ、本実施形態の固体撮像装置100の製造手法では、上記比較例で説明したCu残による、チップ、ウエハ、プロセス装置のCu汚染を防止することができ、正常チップをロス無く作製することができる。また、その正常チップを製品チップとし、該製品チップに対して、その後に続く各種プロセスを実施することができる。その結果、本実施形態の固体撮像装置100の製造手法では、製品の歩留まりを向上させることができる。
【0076】
<2.第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、Cu残の除去処理の手法として、ウェットエッチング法を用いる例を説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、層間膜を溶解するような薬液を用いて、Cu残をリフトオフして除去してもよい。第2の実施形態では、その一例を説明する。
【0077】
なお、本実施形態の固体撮像装置の製造方法において、Cu残の除去手法にリフトオフ法を用いたこと以外は、第1の実施形態と同様にして、固体撮像装置を作製することができる。また、本実施形態の固体撮像装置の構成も、上記第1の実施形態の固体撮像装置100(図1)と同様に構成することができる。それゆえ、ここでは、Cu残の除去手法についてのみ詳細に説明する。
【0078】
図20〜22に、本実施形態におけるCu残の除去工程の手順を示す。なお、図20〜22は、各種工程後の貼り合わせ部材の概略断面図であり、ここでは、説明を簡略化するため、第1層間膜30と第1半導体部10(Si基板13)との界面付近の構成のみを示す。また、図20〜22に示す各種工程後の貼り合わせ部材において、上記第1の実施形態の図15〜17に示す各種工程後の貼り合わせ部材の構成と同様の構成には、同じ符号を付して示す。
【0079】
本実施形態では、まず、上記第1の実施形態で説明した図8〜14の各種処理工程を順次実施する。なお、この処理過程では、Cu残をリフトオフ法で除去する際に用いる薬液に対して、第2層間膜32より耐性の高い膜(例えば、SiN膜、SiCN膜、SiC膜、SiCO膜等)により、ストッパー膜31を形成する。また、この際、ストッパー膜31の膜厚は、上記第1の実施形態と同様に、例えば使用する薬液の選択比に応じて適宜設定される。
【0080】
次いで、Cu拡散防止膜33の画素部に対応する領域に対してドライエッチング処理を行い、その領域のCu拡散防止膜33及び第2層間膜32の一部を除去する(第1のキャビティエッチングプロセス)。ただし、この第1のキャビティエッチングプロセスは、エッチング面にCu残210,211が露出するまで行う(図20の状態)。
【0081】
次いで、例えば、フッ酸、バッファードフッ酸等の薬液を用いて、Cu残210,211を画成する第2層間膜32、ストッパー膜31、第1層間膜30及びSi基板13の側壁部を溶かし、Cu残210,211をリフトオフして除去する(図21の状態)。
【0082】
なお、この際、第2層間膜32の表面も一部溶解するとともに(説明を簡略化するため不図示)、第2層間膜32中の微小欠陥(ピンホールなど)にも薬液が浸透する。それゆえ、このリフトオフ処理工程では、図21に示すように、第2層間膜32の正常チップの領域に微小孔50が形成され、ダメージが生じる。しかしながら、本実施形態においても、第1層間膜30及び第2層間膜32間に、Cu残除去に用いる薬液に対して耐性の高いストッパー膜31を設けているので、この微小孔50はSi基板13(第1層間膜30)に到達しない。すなわち、本実施形態では、Cu残210,211の上記除去処理において、Si基板13にCu残210,211の一部が拡散せず、Cu汚染が発生しない。
【0083】
次いで、Cu残210,211を除去した後、貼り合わせ部材の第1半導体部10側の画素部に対応する領域に対して(Cu配線接合部34の形成領域以外の領域)、再度、ドライエッチングを行う(第2のキャビティエッチングプロセス)。本実施形態では、この第2のキャビティエッチングプロセスにより、画素部の領域における第2層間膜32、ストッパー膜31、及び、第1層間膜30の一部を除去する(図22の状態)。なお、この第2のキャビティエッチングプロセスでは、図22に示すように、Si基板13の画素部に対応する領域上に所定厚さの第1層間膜30が残るように該領域を彫り込む。
【0084】
その後、上記第1の実施形態と同様にして、第1層間膜30の所定領域上に遮光膜を形成し、さらに、画素部に、カラーフィルタ、オンチップマイクロレンズ等を形成する。本実施形態では、上述のようにして固体撮像装置を作製する。
【0085】
本実施形態においても、上記第1の実施形態と同様に、第1層間膜30及び第2層間膜32間に、Cu残の除去処理に用いる薬液に対して耐性の高いストッパー膜31を設ける。それゆえ、本実施形態においても、Cu残の除去処理により発生するダメージがSi基板13まで到達しないので、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
【0086】
<3.応用例>
本開示に係る半導体装置(固体撮像装置)は、各種電子機器に適用可能である。例えば、上記第1及び第2の実施形態で説明した固体撮像装置は、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ等のカメラシステム、撮像機能を有する携帯電話、又は、撮像機能を備えた他の機器などの電子機器に適用することができる。ここでは、電子機器の一構成例として、カメラを例に挙げ説明する。
【0087】
図23に、応用例に係るカメラの概略構成を示す。なお、図23には、静止画像又は動画を撮影することのできるデジタルビデオカメラの構成例を示す。
【0088】
この例のカメラ300は、固体撮像装置301と、固体撮像装置301の受光センサ(不図示)に入射光を導く光学系302と、固体撮像装置301及び光学系302間に設けられたシャッタ装置303と、固体撮像装置301を駆動する駆動回路304とを備える。さらに、カメラ300は、固体撮像装置301の出力信号を処理する信号処理回路305を備える。
【0089】
固体撮像装置301は、例えば、上記第1及び第2の実施形態で説明した固体撮像装置で構成することができる。その他の各部の構成及び機能は次の通りである。
【0090】
光学系(光学レンズ)302は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像装置301の撮像面(不図示)上に結像させる。これにより、固体撮像装置301内に、一定期間、信号電荷が蓄積される。なお、光学系302は、複数の光学レンズを含む光学レンズ群で構成してもよい。また、シャッタ装置303は、入射光の固体撮像装置301への光照射期間及び遮光期間を制御する。
【0091】
駆動回路304は、固体撮像装置301及びシャッタ装置303に駆動信号を供給する。そして、駆動回路304は、供給した駆動信号により、固体撮像装置301の信号処理回路305への信号出力動作、及び、シャッタ装置303のシャッタ動作を制御する。すなわち、この例では、駆動回路304から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像装置301から信号処理回路305への信号転送動作を行う。
【0092】
信号処理回路305は、固体撮像装置301から転送された信号に対して、各種の信号処理を施す。そして、各種信号処理が施された信号(映像信号)は、メモリなどの記憶媒体(不図示)に記憶される、又は、モニタ(不図示)に出力される。
【0093】
なお、本開示は、以下のような構成を取ることもできる。
(1)
第1半導体部及び第2半導体部を貼り合わせた半導体部材の一方の面上に絶縁膜を形成するステップと、
所定の薬液で処理された際に該所定の薬液が前記絶縁膜に浸透しないような耐性を有するストッパー膜を、前記絶縁膜上に形成するステップと、
前記半導体部材の前記ストッパー膜側の表面において、前記第1半導体部及び前記第2半導体部を電気的に接続するためのCu配線接合部の形成領域に対応する領域に縦孔を形成するステップと、
前記縦孔にCuを埋め込み、前記Cu配線接合部を形成するステップと、
前記半導体部材の前記Cu配線接合部側の表面にCu拡散防止膜を形成するステップと、
前記半導体部材の前記Cu拡散防止膜側の表面において、前記Cu配線接合部の形成領域を含む所定領域以外の領域の前記Cu拡散防止膜を除去して該領域に存在する不要なCu部を露出させるステップと、
前記所定の薬液を用いて、前記不要なCu部を除去するステップと
を含む半導体装置の製造方法。
(2)
前記不要なCu部を、ウェットエッチング法により除去する
(1)に記載の半導体装置の製造方法。
(3)
前記不要なCu部を、リフトオフ法により除去する
(1)に記載の半導体装置の製造方法。
(4)
前記ストッパー膜が、SiN膜、SiCN膜、SiC膜及びSiCO膜のいずれかである
(1)〜(3)のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(5)
さらに、前記不要なCu部を除去するステップの後、前記Cu配線接合部の形成領域を含む所定領域以外の領域の前記ストッパー膜を除去するステップを含む
(1)〜(4)のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(6)
前記Cu配線接合部を、ダマシンプロセスにより形成する
(1)〜(5)のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(7)
第1半導体部と、該第1半導体部に貼り合わせて設けられた第2半導体部とを有する半導体部材と、
前記半導体部材の一方の面上に設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜を貫通するようにして設けられた、前記第1半導体部及び前記第2半導体部を電気的に接続するためのCu配線接合部と、
前記Cu配線接合部上に形成されたCu拡散防止膜と、
前記絶縁膜の少なくとも前記Cu拡散防止膜の形成領域に対応する領域上に形成され、かつ、前記絶縁膜の前記Cu配線接合部が形成されていない領域上に形成され、前記Cu配線接合部の形成領域以外の領域に存在する不要なCu部を所定の薬液で除去した際に該所定の薬液が前記絶縁膜に浸透しないような耐性を有するストッパー膜と
を備える半導体装置。
【符号の説明】
【0094】
1…貼り合わせ部材、10…第1半導体部、11…光電変換部、11a…フォトダイオード、12…第1多層配線層、13…Si基板、14,24…Cu配線層、15,25…層間絶縁膜、16,26…Cu配線部、17,27…ビア、18,28,33…Cu拡散防止膜、20…第2半導体部、21…トランジスタ部、21a…MOSトランジスタ、22…第2多層配線層、30…第1層間膜、31…ストッパー膜、32…第2層間膜、33…Cu配線接合部、34a…第1ビア、34b…第2ビア、34c…ビア接合部、100…固体撮像装置、210,211…Cu残

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体部及び第2半導体部を貼り合わせた半導体部材の一方の面上に絶縁膜を形成するステップと、
所定の薬液で処理された際に該所定の薬液が前記絶縁膜に浸透しないような耐性を有するストッパー膜を、前記絶縁膜上に形成するステップと、
前記半導体部材の前記ストッパー膜側の表面において、前記第1半導体部及び前記第2半導体部を電気的に接続するためのCu配線接合部の形成領域に対応する領域に縦孔を形成するステップと、
前記縦孔にCuを埋め込み、前記Cu配線接合部を形成するステップと、
前記半導体部材の前記Cu配線接合部側の表面にCu拡散防止膜を形成するステップと、
前記半導体部材の前記Cu拡散防止膜側の表面において、前記Cu配線接合部の形成領域を含む所定領域以外の領域の前記Cu拡散防止膜を除去して該領域に存在する不要なCu部を露出させるステップと、
前記所定の薬液を用いて、前記不要なCu部を除去するステップと
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記不要なCu部を、ウェットエッチング法により除去する
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記不要なCu部を、リフトオフ法により除去する
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記ストッパー膜が、SiN膜、SiCN膜、SiC膜及びSiCO膜のいずれかである
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
さらに、前記不要なCu部を除去するステップの後、前記Cu配線接合部の形成領域を含む所定領域以外の領域の前記ストッパー膜を除去するステップを含む
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記Cu配線接合部を、ダマシンプロセスにより形成する
請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
第1半導体部と、該第1半導体部に貼り合わせて設けられた第2半導体部とを有する半導体部材と、
前記半導体部材の一方の面上に設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜を貫通するようにして設けられた、前記第1半導体部及び前記第2半導体部を電気的に接続するためのCu配線接合部と、
前記Cu配線接合部上に形成されたCu拡散防止膜と、
前記絶縁膜の少なくとも前記Cu拡散防止膜の形成領域に対応する領域上に形成され、かつ、前記絶縁膜の前記Cu配線接合部が形成されていない領域上に形成され、前記Cu配線接合部の形成領域以外の領域に存在する不要なCu部を所定の薬液で除去した際に該所定の薬液が前記絶縁膜に浸透しないような耐性を有するストッパー膜と
を備える半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2013−84841(P2013−84841A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224885(P2011−224885)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】