説明

半導体装置の製造方法及び製造装置

【課題】 本発明の目的は、CVD法等で膜を堆積するにあたり、不純物の除去、更なる膜の改質、膜の安定化を図るものである。
【解決手段】第一の原料と基板に含まれたシリコン成分が結合しない温度で基板を支持するステップと、少なくとも第一の原料を含む材料を処理室に供給し、励起し、前記素子分離領域に、所望の厚みの堆積層を形成する第一の基板処理ステップとを有する第一処理と、第一の原料を含まず、第二の原料を含む材料を処理室に供給し、励起し、前記堆積層を反応、蒸発、もしくは改質する第二の基板処理ステップとを有する第二処理と、前記第一処理と前記第二処理を繰り返すよう処理する基板処理方法

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給されたガスを励起し基板を処理する基板処理技術に関するものであり、例えば、半導体集積回路(以下、ICという。)が作り込まれる半導体基板(例えば、半導体ウエハ)に、酸化膜等を堆積(デポジション)して成膜等する上で有効な、半導体装置の製造方法と製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ICの回路を製造する過程では、様々な方法で成膜している。例えば、CVD(Chemical Vaper Deposion)法では、気相反応を用いて、膜の堆積等をしている。気相反応を実現させるためには、加熱処理やプラズマ処理、マイクロ波や紫外光照射処理等によって、励起や分解をしている。
【0003】
このCVD法によって堆積された膜は、選択した材料によっては次の点が求められる。
例えば、不純物の除去、更なる膜の改質、膜の安定化である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−95940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、CVD法等で膜を堆積するにあたり、不純物の除去、更なる膜の改質、膜の安定化を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される発明のうち、代表的なものは、次のとおりである。
すなわち、第一の原料と基板に含まれたシリコン成分が結合しない温度で基板を支持するステップと、少なくとも第一の原料を含む材料を処理室に供給し、励起し、前記素子分離領域に、所望の厚みの堆積層を形成する第一の基板処理ステップとを有する第一処理と、第一の原料を含まず、第二の原料を含む材料を処理室に供給し、励起し、前記堆積層を反応、蒸発、もしくは改質する第二の基板処理ステップとを有する第二処理と、前記第一処理と前記第二処理を繰り返すよう処理する基板処理方法である。
【発明の効果】
【0007】
このように半導体装置の製造方法を構成すると、高アスペクト比で狭い幅の溝内等に、良質な膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法を実施可能な、半導体製造装置の構成例(垂直断面図)である。
【図2】本発明の第1実施例における処理工程を示す図である。
【図3】本発明の第2実施例における処理工程を示す図である。
【図4】本発明の第3実施例における処理工程を示す図である。
【図5】本発明の第4実施例における処理工程を示す図である。
【図6】本発明の第5実施例における処理工程を示す図である。
【図7】本発明の第6実施例における処理工程を示す図である。
【図8】本発明の第7実施例における処理工程を示す図である。
【図9】本発明の第8実施例における処理工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の半導体装置の製造方法を実施する半導体製造装置の構成例について、図1を用いて説明する。図1は、本発明の半導体装置の製造方法を実施可能な半導体製造装置100の垂直断面図である。図1において、1は、その内部で基板を処理する基板処理室、すなわち、本発明の半導体装置製造工程を行う基板処理室。2は処理対象の基板であり、該基板2上にICが形成される。3は、基板2を処理する際に、基板2を支持する基板支持部。4は、供給されたガスを励起する励起部。5は、基板2が所望の温度より高い温度に加熱された場合に、基板2を冷却する冷却部である。この冷却部は、冷却液が流れる管から構成され、冷却液を流すことで、基板を冷却するものである。6は、基板2を加熱するためのヒータユニットで、本実施の形態では、抵抗ヒータで構成されている。7は、基板2の温度を検出するための温度検出器。8は、有機物(炭素、水素)の残留量を計測する残留ガス計測計。9は、処理室1内の圧力等を制御する制御部である。ヒータユニット6と温度検出器7は、制御部9に電気的に接続される。制御部9は、基板2の温度が所望のタイミングにて所望の温度分布となるように、前記温度検出器7により検出された温度情報に基づいて、ヒータユニット6への通電量を制御する。
【0010】
次に、処理ガス等のガス供給系について説明する。図1に示すように、処理室1のガス導入管14には、第一ガス供給管15、第二ガス供給管25、第三ガス供給管35、第四ガス供給管45が接続されている。
第一ガス供給管15には、上流から順に、第一ガスを供給する第一ガス供給源13、流量制御装置であるMFC(マスフローコントローラ)12、開閉バルブ11がそれぞれ設けられている。第二ガス供給管25には、上流から順に、例えば、N2(窒素)等の不活性ガスを供給する第二ガス供給源23、MFC22、開閉バルブ21がそれぞれ設けられている。
【0011】
第三ガス供給管35には、上流から順に、第三ガスを供給する第三ガス供給源33、流量制御装置であるMFC(マスフローコントローラ)32、開閉バルブ31がそれぞれ設けられている。第四ガス供給管45には、上流から順に、例えば、N2(窒素)等の不活性ガスを供給する第四ガス供給源43、MFC42、開閉バルブ41がそれぞれ設けられている。
【0012】
MFC12、22、32、42及び開閉バルブ11、21、31、41は、制御部9に電気的に接続されている。制御部9は、処理室1内に供給するガスの種類が所望のタイミングにて所望のガス種となるよう、また、供給するガスの流量が所望のタイミングにて所望の流量となるよう、MFC12、22、32、42及び開閉バルブ11、21、31、41を制御する。
【0013】
励起部4は、種々の励起方式を達成するための機構の内一つから選択される。
励起方式としては、高周波プラズマ生成方式、マイクロ波プラズマ生成方式、真空紫外光照射方式等があり、機構はそれらの方式に合わせたものが採用される。
【0014】
次に、処理室1のガス排気系について説明する。図1に示すように、処理室1内の雰囲気を排気するガス排気管64には、上流から順に、残留ガス計測計8、圧力センサ61、圧力調整バルブであるAPC(Auto Pressure Controller)バルブ62、真空排気装置である真空ポンプ63が設けられている。真空ポンプ63は、処理室1内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう、処理室1内を真空排気する。APCバルブ62、圧力センサ61、残留ガス計測計8は、制御部9に電気的に接続されている。制御部9は、処理室1内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように、圧力センサ61により検出された圧力値に基づいて、APCバルブ62の開度を制御する。また、制御部9は、処理室1内の残留ガス濃度が所定の分圧以下となるよう、真空ポンプ63による排気を行う。
前記制御部9は、図示しない操作部、入出力部等を備えており、レシピ(成膜プロセスの制御シーケンス)に基づく温度制御や圧力制御、流量制御および機械駆動制御等を行う。また、制御部9は、ハードウェア構成として、CPU(中央演算ユニット)とメモリとを備えるものである。
【0015】
<実施例1>
続いて、図1、2を用いて、本発明の第一実施例の作用を説明する。
以下の動作は、制御部9が各構成を制御し、実施する。
図2は本発明の、ガス供給タイミング及び真空ポンプの動作を表した図である。「Process Gas A」「Process Gas B」では、「供給」は、ガスAもしくはガスBを、処理室1内に供給することを表している。「停止」は、ガスAもしくはガスBを、処理室1へ供給することを停止することを表している。「Pump Down」では、Full Openは、APCバルブ62が開の状態であり、かつ真空ポンプ63により処理室内の雰囲気を排気する状態である。ThrottleはAPCバルブ62が閉の状態であり、真空ポンプ63により処理室無いの雰囲気を排気していない状態である。
【0016】
<P11 基板搬入工程>
所定の処理がされた基板2が、基板搬入口(図示しない)から基板処理室1内の基板支持部3に支持される。所定の処理とは、例えば素子間に素子分離溝を形成した状態を言う。
続いて、排気管64を介して真空ポンプ63により、基板処理室1の内部が所定の真空度(例えば、20Pa)に減圧される(S101)。この減圧処理により、気体の置換速度を早くし吸着物或いは膜中残留物の脱離を促進する。基板2の温度は、第一ガスと基板2のシリコン分子が結合しない温度、例えば100℃以下とする。
冷却部5及びヒータユニット6は、基板2の温度を第一ガスとシリコン分子が結合しない温度に調整する。冷却部5のみ、もしくはヒータユニット6のみで、基板2を所定の温度とすることができる場合は、いずれか一方のみ使用して、温度を調整しても良い。
【0017】
<P12 第一の基板処理工程>
次に、処理室1内に搬入された基板2の処理方法を説明する。
第一の基板処理工程において、所定の第一ガス(ガスA)が、第一ガス供給源13からガス導入管14を介して基板処理室1に供給される(S102)。このとき、窒素ガス等の不活性ガスが、第二ガス供給源23から処理室1に供給されるようにしてもよいが、本実施例では、不活性ガスを供給しない。
第一ガスが、基板処理室1に供給されている状態において、真空ポンプ63により基板処理室1内を所定の圧力に調整し、材料ガスに向けて、励起部4によって第一ガスを励起する。
励起された第一ガスは、基板2上に晒される。晒された第一ガスは、流動性を持つ状態で基板2上に吸着される。吸着された第一ガスは、例えば素子間に流れ込み、絶縁膜を形成する。
【0018】
形成された膜は、所定の膜厚以下、例えば10nm以下とする。
10nm以下とすることで、後ほど説明する第二の基板処理工程において、効率的に、膜中の不純物等の脱離、及び新たにドープされた材料の拡散が可能となる。
逆に、10nmより厚い場合、次の問題が考えられる。
第一に、不純物等の脱離が不十分となる点、第二に、新たにドープされた材料の拡散が不十分となる点が挙げられる。
不純物等の脱利が不十分となる点については、膜表面から10nmより深い箇所に不純物があった場合、膜中から膜表面への移動に時間がかかるため、所望の時間内に脱離することができなくなり、スループットが低くなってしまう。不純物の膜中の移動は、基板を加熱することで早くすることができるが、この場合、膜表面が変質し硬化されてしまうことがある。結果、その硬化層が不純物の離脱を邪魔することになり、膜中に不純物が取り残されてしまう。
一方、新たにドープされた材料の拡散が不十分という点については、新たにドープされた材料については、10nmより深い箇所にドープする場合、膜中の移動に時間がかかるため、所望の時間内に10nmより深い場所に材料を拡散させることができず、材料が不均一な状態となってしまう。また、時間をかけて拡散させることも考えられるが、スループットが低くなってしまう。
以上より、膜厚を10nm以内とすることが望ましい。
【0019】
<P13 第二の基板処理工程>
第一の基板処理の後、第三ガス(ガスB)が、第三ガス供給源33からガス導入管14を介して基板処理室1に供給される(S103)。供給されたガスBは、励起部4によって励起される。
このとき、窒素ガス等の不活性ガスが、第四ガス供給源43から処理室1に供給されるようにしてもよいが、本実施例では、不活性ガスを供給しない。
第一の基板処理工程(P12)で形成された膜に対して、励起されたガスBを晒すことで、膜とガスBが反応し、膜の不純物除去、膜質の改質、安定化を実現する。
このときの基板2の温度は、ガスA(第一ガス)を材料とした膜と、基板2のシリコン分子が結合しない温度とする。このような温度とすることで、励起されたガスB(第二ガス)の成分が、膜中で早急に拡散することが可能となる。また、同時に、第一の基板処理工程(P12)で含まれた不純物を脱利させることができる。また、膜中に早急に拡散が可能であるので、膜の安定化、改質も可能である。
これにより、良質な膜を作ることができる。
【0020】
<P14 排気処理>
第二の基板処理工程(P13)の後、処理室1内の雰囲気を排気する(S104)。
ここでは、パージガスとして、第2ガス源23及び第4ガス源44から窒素等の不活性ガスを供給することで、雰囲気中の不純物やパーティクルなどを処理室1から除去する。
除去することで、第二の基板処理工程(P13)にて形成した膜に、再度不純物やパーティクルが付着することを抑制する。
このとき、排気中の有機物の分圧が、所定の分圧となるまで、残留ガス計測計8でモニタしながら排気するのが好ましい。この所定の分圧は、適切な値を予め実験等により求めておく。あるいは、排気中の有機物の分圧が所定の分圧となるまでの所定の時間を、予め計測しておき、前記所定の時間、排気するようにしてもよい。
【0021】
<P15 サイクル処理工程>
排気処理の後、P12からP14の成膜、排気処理を繰り返す。
このように、良質な膜を積層することで、良質且つ所望の膜厚の膜を形成することができる。
【0022】
なお、上記の(P12)(P13)における圧力は、すべて同一の圧力としてもよいし、必要に応じ、異なる圧力としてもよい。
また、基板温度は、第一ガスと基板2のシリコン分子が結合しない温度であれば良く、すべての工程で同一の基板温度としてもよいし、必要に応じ、異なる基板温度としてもよい。
【0023】
<P16 基板搬出工程>
以上のようにして所望の膜が形成された後に、窒素ガス等の不活性ガスが、不活性ガス供給源43から処理室1に供給される。不活性ガスにより、基板処理室1内が置換され、図示しない基板搬送室と同程度の圧力に復帰した後に、処理済みの基板2が処理室1の外部、即ち基板搬送室に搬出される。
【0024】
<実施例2>
続いて、図1、3を用いて、本発明の第二実施例の作用を説明する。
以下の動作は、制御部9が各構成を制御し、実施する。
図3は本発明の、ガス供給タイミング及び真空ポンプの動作を表した図である。実施例1(図2)と同様の表現は、同様の意味であるので、説明を省略する。
【0025】
<P21 基板搬入工程>
所定の処理がされた基板2が、基板搬入口(図示しない)から基板処理室1内の基板支持部3に支持される。所定の処理とは、例えば素子間に素子分離溝を形成した状態を言う。
続いて、排気管64を介して真空ポンプ63により、基板処理室1の内部が所定の真空度(例えば、20Pa)に減圧される(S201)。この減圧処理により、気体の置換速度を早くし吸着物或いは膜中残留物の脱離を促進する。基板2の温度は、第一ガスと基板2のシリコン分子が結合しない温度、例えば100℃以下とする。
冷却部5及びヒータユニット6は、基板2の温度を第一ガスとシリコン分子が結合しない温度に調整する。冷却部5のみ、もしくはヒータユニット6のみで、基板2を所定の温度とすることができる場合は、いずれか一方のみ使用して、温度を調整しても良い。
【0026】
<P22 基板処理工程>
次に、処理室1内に搬入された基板2の処理方法を説明する。
本基板処理工程において、所定の第一ガス(ガスA)が、第一ガス供給源13からガス導入管14を介して基板処理室1に供給される(S202)。このとき、窒素ガス等の不活性ガスが、第二ガス供給源23から処理室1に供給されるようにしてもよいが、本実施例では、不活性ガスを供給しない。
更に、第一ガス供給と並行して、第三ガス(ガスB)が、第三ガス供給源33からガス導入管14を介して基板処理室1に供給される(S203)。
このとき、窒素ガス等の不活性ガスが、第二ガス供給源23、第四ガス供給源43から処理室1に供給されるようにしてもよいが、本実施例では、不活性ガスを供給しない。
励起された第一ガス及び第三ガスは、第一ガスと基板2のシリコン分子が結合しない温度で基板2上に晒される。晒された第一ガス及び第三ガスは励起部4により励起され、互いに反応し、流動性を持つ状態で基板2上に吸着される。吸着されたガスは、例えば素子間に流れ込み、絶縁膜を形成する。
第一ガス(ガスA)と第二ガス(ガスB)が反応し、不純物が少ない膜を形成することができる。また、予め安定した膜を形成することができる。
これにより、良質な膜を作ることができる。
【0027】
このときの基板2の温度は、前述のように、ガスA(第一ガス)を材料とした膜と、基板2のシリコン分子が結合しない温度とする。このような温度とすることで、成膜しつつ不純物を含まないよう、また膜を安定化するよう、処理することができる。
【0028】
<P23 排気処理>
第二の基板処理(P22)の後、処理室1内の雰囲気を排気する(S204)。
ここでは、パージガスとして、第2ガス源23及び第4ガス源44から窒素等の不活性ガスを供給することで、雰囲気中の不純物やパーティクルなどを処理室1から除去する。
除去することで、P22にて形成した膜に、再度不純物やパーティクルが付着することを抑制する。
このとき、排気中の有機物の分圧が、所定の分圧となるまで、残留ガス計測計8でモニタしながら排気するのが好ましい。この所定の分圧は、適切な値を予め実験等により求めておく。あるいは、排気中の有機物の分圧が所定の分圧となるまでの所定の時間を、予め計測しておき、前記所定の時間、排気するようにしてもよい。
【0029】
<P24 サイクル処理工程>
排気処理(P23)の後、P22からP23の成膜、排気処理を繰り返す。
このように、良質な膜を積層することで、良質且つ所望の膜厚の膜を形成することができる。
また、後のサイクルにおいて、排気が次のガス供給と重なっても良い。これによって、次の効果を有する。
a)重なることで気相反応を故意に発生させる事で吸着物の物理吸着だけでなく化学吸着の効果を持たせることで成長速度を向上させる。b)表面層に気体分子を衝突させることで表面吸着分子を物理的に除去する。c)表面改質(電荷・電位・中性化)等を行う。
【0030】
<P25 基板搬出工程>
以上のようにして所望の膜が形成された後に、窒素ガス等の不活性ガスが、不活性ガス供給源43から処理室1に供給される。不活性ガスにより、基板処理室1内が置換され、図示しない基板搬送室と同程度の圧力に復帰した後に、処理済みの基板2が処理室1の外部、即ち基板搬送室に搬出される。
【0031】
<実施例3>
続いて、図1、4を用いて、本発明の第三実施例の作用を説明する。
以下の動作は、制御部9が各構成を制御し、実施する。
図4は本発明の、ガス供給タイミング及び真空ポンプの動作を表した図である。実施例1(図2)と同様の表現は、同様の意味であるので、説明を省略する。
【0032】
<P31 基板搬入工程>
所定の処理がされた基板2が、基板搬入口(図示しない)から基板処理室1内の基板支持部3に支持される。所定の処理とは、例えば素子間に素子分離溝を形成した状態を言う。
続いて、排気管64を介して真空ポンプ63により、基板処理室1の内部が所定の真空度(例えば、20Pa)に減圧される(S301)。この減圧処理により、気体の置換速度を早くし吸着物或いは膜中残留物の脱離を促進する。基板2の温度は、第一ガスと基板2のシリコン分子が結合しない温度、例えば100℃以下とする。
冷却部5及びヒータユニット6は、基板2の温度を第一ガスとシリコン分子が結合しない温度に調整する。冷却部5のみ、もしくはヒータユニット6のみで、基板2を所定の温度とすることができる場合は、いずれか一方のみ使用して、温度を調整しても良い。
【0033】
<P32 第一の基板処理工程>
次に、処理室1内に搬入された基板2の処理方法を説明する。
第一の基板処理工程において、所定の第一ガス(ガスA)が、第一ガス供給源13からガス導入管14を介して基板処理室1に供給される(S302)。このとき、窒素ガス等の不活性ガスが、第二ガス供給源23から処理室1に供給されるようにしてもよいが、本実施例では、不活性ガスを供給しない。
第一ガスが、基板処理室1に供給されている状態において、真空ポンプ63により基板処理室1内を所定の圧力に調整し、材料ガスに向けて、励起部4によって第一ガスを励起する。
励起された第一ガスは、基板2上に晒される晒された第一ガスは、流動性を持つ状態で基板2上に吸着される。吸着された第一ガスは、例えば素子間に流れ込み、絶縁膜を形成する。
【0034】
形成された膜は、所定の膜厚以下、例えば10nm以下とする。
10nm以下とすることで、後ほど説明する第二の基板処理工程において、膜中の不純物等の脱離、及び新たにドープされた材料の拡散を効率的にすることができる。
逆に、10nmより厚い場合、次の問題が考えられる。
第一に、不純物等の脱離が不十分となる点、第二に、新たにドープされた材料の拡散が不十分となる点が挙げられる。
不純物等の脱利が不十分となる点については、膜表面から10nmより深い箇所に不純物があった場合、膜中から膜表面への移動に時間がかかるため、所望の時間内に脱離することができなくなり、スループットが低くなってしまう。不純物の膜中の移動は、基板を加熱することで早くすることができるが、この場合、膜表面が変質し硬化されてしまうことがある。結果、その硬化層が不純物の離脱を邪魔することになり、膜中に不純物が取り残されてしまう。
一方、新たにドープされた材料の拡散が不十分という点については、新たにドープされた材料については、10nmより深い箇所にドープする場合、膜中の移動に時間がかかるため、所望の時間内に10nmより深い場所に材料を拡散させることができず、材料が不均一な状態となってしまう。また、時間をかけて拡散させることも考えられるが、スループットが低くなってしまう。
以上より、膜厚を10nm以内とすることが望ましい。
【0035】
<P33 第一の排気処理工程>
第一の基板処理工程(P32)の後、処理室1内の雰囲気を排気する(S303)。
ここでは、パージガスとして、第2ガス源23から窒素等の不活性ガスを供給することで、雰囲気中の不純物やパーティクルなどを処理室1から除去する。
除去することで、P32にて形成した膜に、再度不純物やパーティクルが付着することを抑制する。
また、後述する第三ガスと第一ガスが混合することを防ぐ。
このとき、排気中の有機物の分圧が、所定の分圧となるまで、残留ガス計測計8でモニタしながら排気するのが好ましい。この所定の分圧は、適切な値を予め実験等により求めておく。あるいは、排気中の有機物の分圧が所定の分圧となるまでの所定の時間を、予め計測しておき、前記所定の時間、排気するようにしてもよい。
【0036】
<P34 第二の基板処理工程>
第一の排気処理の後、第三ガス(ガスB)が、第三ガス供給源33からガス導入管14を介して基板処理室1に供給される(S304)。
このとき、窒素ガス等の不活性ガスが、第四ガス供給源43から処理室1に供給されるようにしてもよいが、本実施例では、不活性ガスを供給しない。
第一の基板処理工程(P12)で形成された膜に対して、励起されたガスBを晒すことで、膜とガスBが反応し、膜の不純物除去、膜質の改質、安定化を実現する。
このときの基板2の温度は、ガスA(第一ガス)を材料とした膜と、基板2のシリコン分子が結合しない温度とする。このような温度とすることで、励起されたガスB(第二ガス)の成分が、膜中で早急に拡散することが可能となる。また、同時に、第一の基板処理工程(P12)で含まれた不純物を脱利させることができる。また、膜中に早急に拡散が可能であるので、膜の安定化、改質も可能である。
これにより、良質な膜を作ることができる。
【0037】
<P34 第二の排気処理工程>
第二の基板処理工程(P33)の後、処理室1内の雰囲気を排気する(S305)。
ここでは、パージガスとして、第4ガス源44から窒素等の不活性ガスを供給することで、雰囲気中の不純物やパーティクルなどを処理室1から除去する。
除去することで、P33にて形成した膜に、再度不純物やパーティクルが付着することを抑制する。
このとき、排気中の有機物の分圧が、所定の分圧となるまで、残留ガス計測計8でモニタしながら排気するのが好ましい。この所定の分圧は、適切な値を予め実験等により求めておく。あるいは、排気中の有機物の分圧が所定の分圧となるまでの所定の時間を、予め計測しておき、前記所定の時間、排気するようにしてもよい。
【0038】
<P35 サイクル処理工程>
第二の排気処理工程(P34)の後、P32からP34の成膜、排気処理を繰り返す。
このように、良質な膜を積層することで、良質且つ所望の膜厚の膜を形成することができる。
【0039】
なお、上記の(P32)(P34)における圧力は、すべて同一の圧力としてもよいし、必要に応じ、異なる圧力としてもよい。
また、基板温度は、第一ガスと基板2のシリコン分子が結合しない温度であれば良く、すべての工程で同一の基板温度としてもよいし、必要に応じ、異なる基板温度としてもよい。
【0040】
<P36 基板搬出工程>
以上のようにして所望の膜が形成された後に、窒素ガス等の不活性ガスが、不活性ガス供給源43から処理室1に供給される。不活性ガスにより、基板処理室1内が置換され、図示しない基板搬送室と同程度の圧力に復帰した後に、処理済みの基板2が処理室1の外部、即ち基板搬送室に搬出される。
【0041】
<実施例4>
続いて、図1、5を用いて、本発明の第四実施例の作用を説明する。
以下の動作は、制御部9が各構成を制御し、実施する。
図4は本発明の、ガス供給タイミング及び真空ポンプの動作を表した図である。実施例1(図2)と同様の表現は、同様の意味であるので、説明を省略する。
【0042】
<P41 基板搬入工程>
所定の処理をされた基板2が、基板搬入口(図示しない)から基板処理室1内の基板支持部3に支持される。所定の処理とは、例えば素子間に素子分離溝を形成した状態を言う。
続いて、排気管64を介して真空ポンプ63により、基板処理室1の内部が所定の真空度(例えば、20Pa)に減圧される。基板2の温度は、第一ガスと基板2のシリコン分子が結合しない温度、例えば100℃以下とする。
冷却部5及びヒータユニット6は、基板2の温度を第一ガスとシリコン分子が結合しない温度に調整する。冷却部5のみ、もしくはヒータユニット6のみで、基板2を所定の温度とすることができる場合は、いずれか一方のみ使用して、温度を調整しても良い。
【0043】
<P42 基板処理工程>
次に、処理室1内に搬入された基板2の処理方法を説明する。
基板処理工程において、所定の第一ガス(ガスA)が、第一ガス供給源13からガス導入管14を介して基板処理室1に供給される(S401)。このとき、窒素ガス等の不活性ガスが、第二ガス供給源23から処理室1に供給されるようにしてもよいが、本実施例では、不活性ガスを供給しない。
第一ガスが、基板処理室1に供給されている状態において、真空ポンプ63により基板処理室1内を所定の圧力に調整し、材料ガスに向けて、励起部4によって第一ガスを励起する。
【0044】
第一ガスの供給を開始し、所定の時間を経過後、第三ガス(ガスB)が、第三ガス供給源33からガス導入管14を介して基板処理室1に供給される(S402)。
このとき、窒素ガス等の不活性ガスが、第四ガス供給源43から処理室1に供給されるようにしてもよいが、本実施例では、不活性ガスを供給しない。
励起された第一ガス及び第三ガスは、第一ガスと基板2のシリコン分子が結合しない温度、である基板2上に晒される。晒された第一ガス及び第三ガスは、流動性を持つ状態で基板2上に吸着され、それが例えば素子間に流れ込む。これにより、素子間に絶縁膜を形成する。
第一ガス(ガスA)と第二ガス(ガスB)が反応し、不純物が少ない膜を形成することができる。また、予め安定した膜を形成することができる。
これにより、良質な膜を作ることができる。
【0045】
このときの基板2の温度は、前述のように、ガスA(第一ガス)を材料とした膜と、基板2のシリコン分子が結合しない温度とする。このような温度とすることで、成膜しつつ不純物を含まないよう、また膜を安定化するよう、処理することができる。
【0046】
第三ガスを供給する前に形成された膜は、所定の膜厚以下、例えば10nm以下としても良い。
10nm以下とすることで、ガスB供給時、膜中の不純物等の脱離、及び新たにドープされた材料の拡散を効率的にすることができる。
10nmより厚い場合、次の問題が考えられる。
第一に、不純物等の脱離が不十分となる点、第二に、新たにドープされた材料の拡散が不十分となる点が挙げられる。
不純物等の脱利が不十分となる点については、膜表面から10nmより深い箇所に不純物があった場合、膜中から膜表面への移動に時間がかかるため、所望の時間内に脱離することができなくなり、スループットが低くなってしまう。不純物の膜中の移動は、基板を加熱することで早くすることができるが、この場合、膜表面が変質し硬化されてしまうことがある。結果、その硬化層が不純物の離脱を邪魔することになり、膜中に不純物が取り残されてしまう。
一方、新たにドープされた材料の拡散が不十分という点については、新たにドープされた材料については、10nmより深い箇所にドープする場合、膜中の移動に時間がかかるため、所望の時間内に10nmより深い場所に材料を拡散させることができず、材料が不均一な状態となってしまう。また、時間をかけて拡散させることも考えられるが、スループットが低くなってしまう。
以上より、膜厚を10nm以内とすることが望ましい。
【0047】
<P43 排気処理>
第一の基板処理の後、処理室1内の雰囲気を排気する(S403)。
ここでは、パージガスとして、第2ガス源23及び第4ガス源44から窒素等の不活性ガスを供給することで、雰囲気中の不純物やパーティクルなどを処理室1から除去する。
除去することで、P42にて形成した膜に、再度不純物やパーティクルが付着することを抑制する。
このとき、排気中の有機物の分圧が、所定の分圧となるまで、残留ガス計測計8でモニタしながら排気するのが好ましい。この所定の分圧は、適切な値を予め実験等により求めておく。あるいは、排気中の有機物の分圧が所定の分圧となるまでの所定の時間を、予め計測しておき、前記所定の時間、排気するようにしてもよい。
【0048】
<P44 サイクル処理工程>
排気処理の後、P42からP43の成膜、排気処理を繰り返す。
このように、良質な膜を積層することで、良質且つ所望の膜厚の膜を形成することができる。
【0049】
<P46 基板搬出工程>
以上のようにして所望の膜が形成された後に、窒素ガス等の不活性ガスが、不活性ガス供給源43から処理室1に供給される。不活性ガスにより、基板処理室1内が置換され、図示しない基板搬送室と同程度の圧力に復帰した後に、処理済みの基板2が処理室1の外部、即ち基板搬送室に搬出される。
【0050】
<実施例5>
続いて、図1、6を用いて、本発明の第五実施例の作用を説明する。
以下の動作は、制御部9が各構成を制御し、実施する。
図6は本発明の、ガス供給タイミング及び真空ポンプの動作を表した図である。実施例1(図2)と同様の表現は、同様の意味であるので、説明を省略する。
実施例5は、実施例4とほぼ同様であるが、基板処理工程において、ガスAを供給する前に、ガスBを先に供給する点で異なる。次に実施例4との相違点のみ説明する。
【0051】
<基板処理工程>
基板が処理室1内に搬入された後、ガスBが処理室1内に供給される(S501)。ガスBを供給後、所定の時間が経過した後、ガスAが処理室1内に供給される(S502)。次に、ガスA及びガスBの供給を停止する。
【0052】
第一の基板処理の後、処理室1内の雰囲気を排気する(S503)。
ここでは、パージガスとして、第2ガス源23及び第4ガス源44から窒素等の不活性ガスを供給することで、雰囲気中の不純物やパーティクルなどを処理室1から除去する。
除去することで、P42にて形成した膜に、再度不純物やパーティクルが付着することを抑制する。
このとき、排気中の有機物の分圧が、所定の分圧となるまで、残留ガス計測計8でモニタしながら排気するのが好ましい。この所定の分圧は、適切な値を予め実験等により求めておく。あるいは、排気中の有機物の分圧が所定の分圧となるまでの所定の時間を、予め計測しておき、前記所定の時間、排気するようにしてもよい。
【0053】
<実施例6>
続いて、図1、7を用いて、本発明の第六実施例の作用を説明する。
以下の動作は、制御部9が各構成を制御し、実施する。
図7は本発明の、ガス供給タイミング及び真空ポンプの動作を表した図である。実施例1(図2)と同様の表現は、同様の意味であるので、説明を省略する。
【0054】
<P61 基板搬入工程>
所定の処理をされた基板2が、基板搬入口(図示しない)から基板処理室1内の基板支持部3に支持される。所定の処理とは、例えば素子間に素子分離溝を形成した状態を言う。
続いて、排気管64を介して真空ポンプ63により、基板処理室1の内部が所定の真空度(例えば、20Pa)に減圧される(S601)。基板2の温度は、第一ガスと基板2のシリコン分子が結合しない温度、例えば100℃以下とする。
冷却部5及びヒータユニット6は、基板2の温度を第一ガスとシリコン分子が結合しない温度に調整する。冷却部5のみ、もしくはヒータユニット6のみで、基板2を所定の温度とすることができる場合は、いずれか一方のみ使用して、温度を調整しても良い。
【0055】
<P62 基板処理工程>
次に、処理室1内に搬入された基板2の処理方法を説明する。
基板処理工程において、所定の第一ガス(ガスA)が、第一ガス供給源13からガス導入管14を介して基板処理室1に供給される(S602)。このとき、窒素ガス等の不活性ガスが、第二ガス供給源23から処理室1に供給されるようにしてもよいが、本実施例では、不活性ガスを供給しない。
更に、第一ガス供給と並行して、第三ガス(ガスB)が、第三ガス供給源33からガス導入管14を介して基板処理室1に供給される(S603)。
このとき、窒素ガス等の不活性ガスが、第二ガス供給源23、第四ガス供給源43から処理室1に供給されるようにしてもよいが、本実施例では、不活性ガスを供給しない。
第三ガスの供給を停止した後は、所定の時間、第一ガスを供給し続ける。
励起部4によって励起された第一ガス及び第三ガスは、第一ガスと基板2のシリコン分子が結合しない温度、である基板2上に晒される。晒された第一ガス及び第三ガスは、流動性を持つ状態で基板2上に吸着する。吸着されたガスは、例えば素子間に流れ込み、絶縁膜を形成する。
【0056】
以上のように、励起された第一ガス(ガスA)と第二ガス(ガスB)が反応し、不純物が少ない膜を形成することができる。また、予め安定した膜を形成することができる。
【0057】
さらに、第一ガスのラジカルの寿命は第三ガスラジカルの寿命に比べ短い場合、第三ガス供給の後、継続して第三ガスを供給することで、ガスA及びガスBの反応を収束を制御することができる。
反応の収束を制御することで、ガスBとシリコン基板に間の過度の反応や成膜を防止することができる。
【0058】
<P63 排気処理>
第一の基板処理の後、処理室1内の雰囲気を排気する(S604)。
ここでは、パージガスとして、第2ガス源23及び第4ガス源44から窒素等の不活性ガスを供給することで、雰囲気中の不純物やパーティクルなどを処理室1から除去する。
除去することで、P62にて形成した膜に、再度不純物やパーティクルが付着することを抑制する。
このとき、排気中の有機物の分圧が、所定の分圧となるまで、残留ガス計測計8でモニタしながら排気するのが好ましい。この所定の分圧は、適切な値を予め実験等により求めておく。あるいは、排気中の有機物の分圧が所定の分圧となるまでの所定の時間を、予め計測しておき、前記所定の時間、排気するようにしてもよい。
【0059】
<P64 サイクル処理工程>
排気処理の後、P62からP63の成膜、排気処理を繰り返す。
このように、良質な膜を積層することで、良質且つ所望の膜厚の膜を形成することができる。
【0060】
<P65 基板搬出工程>
以上のようにして所望の膜が形成された後に、窒素ガス等の不活性ガスが、不活性ガス供給源43から処理室1に供給される。不活性ガスにより、基板処理室1内が置換され、図示しない基板搬送室と同程度の圧力に復帰した後に、処理済みの基板2が処理室1の外部、即ち基板搬送室に搬出される。
【0061】
<実施例7>
続いて、図1、8を用いて、本発明の第七実施例の作用を説明する。
以下の動作は、制御部9が各構成を制御し、実施する。
図8は本発明の、ガス供給タイミング及び真空ポンプの動作を表した図である。実施例1(図2)と同様の表現は、同様の意味であるので、説明を省略する。
【0062】
<P71 基板搬入工程>
所定の処理がされた基板2が、基板搬入口(図示しない)から基板処理室1内の基板支持部3に支持される。所定の処理とは、例えば素子間に素子分離溝を形成した状態を言う。
続いて、排気管64を介して真空ポンプ63により、基板処理室1の内部が所定の真空度(例えば、20Pa)に減圧される。基板2の温度は、第一ガスと基板2のシリコン分子が結合しない温度、例えば100℃以下とする。
冷却部5及びヒータユニット6は、基板2の温度を第一ガスとシリコン分子が結合しない温度に調整する。冷却部5のみ、もしくはヒータユニット6のみで、基板2を所定の温度とすることができる場合は、いずれか一方のみ使用して、温度を調整しても良い。
【0063】
<P72 第一の基板処理工程>
次に、処理室1内に搬入された基板2の処理方法を説明する。
第一の基板処理工程において、所定の第一ガス(ガスA)が、第一ガス供給源13からガス導入管14を介して基板処理室1に供給される(S701)。このとき、窒素ガス等の不活性ガスが、第二ガス供給源23から処理室1に供給されるようにしてもよいが、本実施例では、不活性ガスを供給しない。
第一ガスが、基板処理室1に供給されている状態において、真空ポンプ63により基板処理室1内を所定の圧力に調整し、材料ガスに向けて、励起部4によって第一ガスを励起する。
【0064】
第一のガスを供給を開始し、所定の時間を経過後、第三ガス(ガスB)が、第三ガス供給源33からガス導入管14を介して基板処理室1に供給される(S702)。
このとき、窒素ガス等の不活性ガスが、第四ガス供給源43から処理室1に供給されるようにしてもよいが、本実施例では、不活性ガスを供給しない。
励起された第一ガス及び第三ガスは、第一ガスと基板2のシリコン分子が結合しない温度、である基板2上に晒される。晒された第一ガス及び第三ガスは、流動性を持つ状態で基板2上に吸着される。それが例えば素子間に流れ込み、素子間に絶縁膜を形成する。
励起された第一ガス(ガスA)と第二ガス(ガスB)が反応することで、不純物が少ない膜を形成することができる。また、予め安定した膜を形成することができる。
これにより、良質な膜を作ることができる。
【0065】
形成された膜は、所定の膜厚以下、例えば10nm以下とする。
10nm以下とすることで、後ほど説明する第二の基板処理工程において、膜中の不純物等の脱離、及び新たにドープされた材料の拡散を効率的にすることができる。
逆に、10nmより厚い場合、次の問題が考えられる。
第一に、不純物等の脱離が不十分となる点、第二に、新たにドープされた材料の拡散が不十分となる点が挙げられる。
不純物等の脱利が不十分となる点については、膜表面から10nmより深い箇所に不純物があった場合、膜中から膜表面への移動に時間がかかるため、所望の時間内に脱離することができなくなり、スループットが低くなってしまう。不純物の膜中の移動は、基板を加熱することで早くすることができるが、この場合、膜表面が変質し硬化されてしまうことがある。結果、その硬化層が不純物の離脱を邪魔することになり、膜中に不純物が取り残されてしまう。
一方、新たにドープされた材料の拡散が不十分という点については、新たにドープされた材料については、10nmより深い箇所にドープする場合、膜中の移動に時間がかかるため、所望の時間内に10nmより深い場所に材料を拡散させることができず、材料が不均一な状態となってしまう。また、時間をかけて拡散させることも考えられるが、スループットが低くなってしまう。
以上より、膜厚を10nm以内とすることが望ましい。
【0066】
<P73 第一の排気処理>
第一の基板処理の後、処理室1内の雰囲気を排気する(S703)。
ここでは、パージガスとして、第2ガス源23から窒素等の不活性ガスを供給することで、雰囲気中の不純物やパーティクルなどを処理室1から除去する。
除去することで、P72にて形成した膜に、再度不純物やパーティクルが付着することを抑制する。
また、後述する第二の基板処理工程(P74)の第三ガスと、第一の基板処理工程(P72)の第一ガスが混合することを防ぐ。
このとき、排気中の有機物の分圧が、所定の分圧となるまで、残留ガス計測計8でモニタしながら排気するのが好ましい。この所定の分圧は、適切な値を予め実験等により求めておく。あるいは、排気中の有機物の分圧が所定の分圧となるまでの所定の時間を、予め計測しておき、前記所定の時間、排気するようにしてもよい。
【0067】
<P74 第二の基板処理工程>
第一の排気処理の後、第三ガス(ガスB)が、第三ガス供給源33からガス導入管14を介して基板処理室1に供給される(S704)。
このとき、窒素ガス等の不活性ガスが、第四ガス供給源43から処理室1に供給されるようにしてもよいが、本実施例では、不活性ガスを供給しない。
第一の基板処理で形成された膜に対して、ガスBを照射することで、膜とガスBが反応し、膜の不純物除去、膜質の改質、安定化を実現する。
これにより、良質な膜を作ることができる。
【0068】
第一の基板処理工程(P72)で形成された膜に対して、励起されたガスBを晒すことで、膜とガスBが反応し、膜の不純物除去、膜質の改質、安定化を実現する。
このときの基板2の温度は、ガスA(第一ガス)を材料とした膜と、基板2のシリコン分子が結合しない温度とする。このような温度とすることで、励起されたガスB(第二ガス)の成分が、膜中で早急に拡散することが可能となる。また、同時に、第一の基板処理工程(P72)で含まれた不純物を脱利させることができる。また、膜中に早急に拡散が可能であるので、膜の安定化、改質も可能である。
【0069】
<P75 第二の排気処理>
第二の基板処理工程(P74)の後、処理室1内の雰囲気を排気する(S705)。
ここでは、パージガスとして、第4ガス源44から窒素等の不活性ガスを供給することで、雰囲気中の不純物やパーティクルなどを処理室1から除去する。
除去することで、P74にて形成した膜に、再度不純物やパーティクルが付着することを抑制する。
このとき、排気中の有機物の分圧が、所定の分圧となるまで、残留ガス計測計8でモニタしながら排気するのが好ましい。この所定の分圧は、適切な値を予め実験等により求めておく。あるいは、排気中の有機物の分圧が所定の分圧となるまでの所定の時間を、予め計測しておき、前記所定の時間、排気するようにしてもよい。
【0070】
<P76 サイクル処理工程>
排気処理の後、P72からP75の成膜、排気処理を繰り返す。
このように、良質な膜を積層することで、良質且つ所望の膜厚の膜を形成することができる。
【0071】
なお、上記の(P72)(P74)における圧力は、すべて同一の圧力としてもよいし、必要に応じ、異なる圧力としてもよい。
また、基板温度は、第一ガスと基板2のシリコン分子が結合しない温度であれば良く、すべての工程で同一の基板温度としてもよいし、必要に応じ、異なる基板温度としてもよい。
【0072】
<P76 基板搬出工程>
以上のようにして所望の膜が形成された後に、窒素ガス等の不活性ガスが、不活性ガス供給源43から処理室1に供給される。不活性ガスにより、基板処理室1内が置換され、図示しない基板搬送室と同程度の圧力に復帰した後に、処理済みの基板2が処理室1の外部、即ち基板搬送室に搬出される。
【0073】
<実施例8>
続いて、図1、9を用いて、本発明の第八実施例の作用を説明する。
以下の動作は、制御部9が各構成を制御し、実施する。
図9は本発明の、ガス供給タイミング及び真空ポンプの動作を表した図である。実施例1(図2)と同様の表現は、同様の意味であるので、説明を省略する。
実施例8は、実施例7とほぼ同様であるが、第一の基板処理工程において、ガスAを供給する前に、ガスBを先に供給する点で異なる。次に実施例7との相違点のみ説明する。
【0074】
<P81 第一の基板処理工程>
基板が処理室1内に搬入された後、ガスBが処理室1内に供給される(S801)。ガスBを供給後、所定の時間が経過した後、ガスAが処理室1内に供給される(S802)。次に、ガスA及びガスBの供給を停止する。
【0075】
<P82 第一の排気工程>
第一の基板処理の後、処理室1内の雰囲気を排気する(S803)。
ここでは、パージガスとして、第2ガス源23及び第4ガス源44から窒素等の不活性ガスを供給することで、雰囲気中の不純物やパーティクルなどを処理室1から除去する。
除去することで、P81にて形成した膜に、再度不純物やパーティクルが付着することを抑制する。
このとき、排気中の有機物の分圧が、所定の分圧となるまで、残留ガス計測計8でモニタしながら排気するのが好ましい。この所定の分圧は、適切な値を予め実験等により求めておく。あるいは、排気中の有機物の分圧が所定の分圧となるまでの所定の時間を、予め計測しておき、前記所定の時間、排気するようにしてもよい。
【0076】
<P83 第二の基板処理工程>
第一の排気処理工程の後、第三ガス(ガスB)が、第三ガス供給源33からガス導入管14を介して基板処理室1に供給される(S804)。
このとき、窒素ガス等の不活性ガスが、第四ガス供給源43から処理室1に供給されるようにしてもよいが、本実施例では、不活性ガスを供給しない。
第一の基板処理で形成された膜に対して、ガスBを照射することで、膜とガスBが反応し、膜の不純物除去、膜質の改質、安定化を実現する。
これにより、良質な膜を作ることができる。
【0077】
<P85 第二の排気処理>
第二の基板処理工程(P84)の後、処理室1内の雰囲気を排気する(S805)。
ここでは、パージガスとして、第4ガス源44から窒素等の不活性ガスを供給することで、雰囲気中の不純物やパーティクルなどを処理室1から除去する。
除去することで、P84にて形成した膜に、再度不純物やパーティクルが付着することを抑制する。
このとき、排気中の有機物の分圧が、所定の分圧となるまで、残留ガス計測計8でモニタしながら排気するのが好ましい。この所定の分圧は、適切な値を予め実験等により求めておく。あるいは、排気中の有機物の分圧が所定の分圧となるまでの所定の時間を、予め計測しておき、前記所定の時間、排気するようにしてもよい。
【0078】
<P86 サイクル処理工程>
排気処理の後、P82からP85の成膜、排気処理を繰り返す。
このように、良質な膜を積層することで、良質且つ所望の膜厚の膜を形成することができる。
【0079】
なお、上記の(P82)(P84)における圧力は、すべて同一の圧力としてもよいし、必要に応じ、異なる圧力としてもよい。
また、基板温度は、第一ガスと基板2のシリコン分子が結合しない温度であれば良く、すべての工程で同一の基板温度としてもよいし、必要に応じ、異なる基板温度としてもよい。
【0080】
続いて、各実施例で使用する材料(ガス)の一例を次に示す。
例えば、絶縁膜であるシリコン酸化膜を形成する場合、ガスA、ガスBとして次のガスが考えられる。
シリコン系ガスである材料Aは、例えばシラン(SiH4),ジシラン(Si2H6),TMS,HMDSO,HMDS,TEOS,TRIES,OMCTS,TMCTS等が挙げられる。
また、材料Bである酸化性材料としては、O2,O3,N2Oが挙げられる。
【0081】
シリコン窒化膜を形成する場合は次のガスが考えられる。
シリコン系ガスである材料Aは、例えばシラン(SiH4),ジシラン(Si2H6),TMS,HMDSO,HMDS,TEOS,TRIES,OMCTS,TMCTS等が挙げられる。
また、材料Bである窒化系材料としては、N2,NH3,N2Oが挙げられる。
【0082】
シリコン炭化膜を形成する場合は次のガスが考えられる。
シリコン系ガスであるガスAは、例えばシラン(SiH4),ジシラン(Si2H6),TMS,HMDSO,HMDS,TEOS,TRIES,OMCTS,TMCTS等が挙げられる。
また、材料Bである炭化系ガスとして、CH3,CH4,C2H5が挙げられる。
【0083】
膜の安定化をするためには、次の材料の供給が考えられる。
シリコン系ガスであるガスAは、例えばシラン(SiH4),ジシラン(Si2H6),TMS,HMDSO,HMDS,TEOS,TRIES,OMCTS,TMCTS等が挙げられる。
また、材料Bである不活性ガスとしてHe、Arが挙げられる。
これにより、シリコン系ガスによって成膜した後、膜の安定化を図ることができる。
【符号の説明】
【0084】
1 基板処理室
2 基板
3 基板支持部
4 励起部
5 冷却部
6 ヒータユニット
7 残留ガス計測系
9 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の原料と基板に含まれたシリコン成分が結合しない温度で基板を支持するステップと、少なくとも第一の原料を含む材料を処理室に供給し、励起し、前記素子分離領域に、所望の厚みの堆積層を形成する第一の基板処理ステップとを有する第一処理と、第一の原料を含まず、第二の原料を含む材料を処理室に供給し、励起し、前記堆積層を反応、蒸発、もしくは改質する第二の基板処理ステップとを有する第二処理と、前記第一処理と前記第二処理を繰り返すよう処理する基板処理方法。



【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−54680(P2011−54680A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−200667(P2009−200667)
【出願日】平成21年8月31日(2009.8.31)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】