説明

半導体装置の製造方法

【課題】レジストポイゾニングを抑止して微細な配線構造を形成可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】配線層11上に、キャップ層12、第1層間絶縁膜13、エッチングストッパ層14、第2層間絶縁膜15、ハードマスク層16、ハードマスク層18を順次形成する。第1および/または第2層間絶縁膜13,15はlow−k材料からなる。次いでキャップ層12の表面を露出するビアホール19aを形成する。次いで、ビアホール19aに酸発生剤を含む樹脂、例えば化学増幅型レジスト材料からなる埋込み材21aを充填する。次いで、埋込み材21aにエネルギー線を照射して酸性物質を発生させ、第1および第2層間絶縁膜13,15に吸蔵されていた塩基性物質を埋込み材21aの酸性物質により中和させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュアルダマシン法による配線構造を形成する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の多機能化および高性能化に伴い、一つのチップに搭載されるトランジスタ数が飛躍的に伸びると共に、チップサイズの縮小化が同時に進行する、高集積化が進められている。このような半導体装置の高集積化に伴い、チップサイズの縮小化の元での配線数の増加が必要とされ、配線構造の高密度化が進められている。
【0003】
配線構造が高密度化すると、配線間の距離の短小化により配線容量Cの増加や、配線幅の縮小化による配線抵抗Rの増加による、いわゆるRC積による配線遅延が増加してくる。
【0004】
これを解決するために、また、配線容量の低減を目的として、層間絶縁膜に低誘電率材料、いわゆるlow−k膜が用いられている。low−k膜は、従来、層間絶縁膜として用いられてきたシリコン酸化膜(SiO2、比誘電率約4.3)よりも誘電率の低い材料であり、SiOC、多孔質シリカ等の無機絶縁膜や、ポリイミド系やテフロン(登録商標)系の有機絶縁膜が提案されている。
【0005】
また、配線遅延を低減するために、配線抵抗Rの低減を目的としてCu配線を用いたデュアルダマシン法による配線構造が採用されている。デュアルダマシン法は、垂直配線であるビアと配線層の配線を同時に形成する手法である。デュアルダマシン法は、ビアホールと配線溝を形成し、次いでそれらにCuを充填し、化学的機械研磨(CMP)法によりCuの表面を平坦化する。デュアルダマシン法の一つに、先にビアホールを形成し、次いで配線溝を形成する、いわゆる先ビア方式が採用されている。
【0006】
図1に示すように、先ビア方式では、配線層101上に積層された層間絶縁膜103,104にビアホール106aを形成した後に、ビアホール106aに樹脂からなる埋込み材108を充填している。これは、ビアホール106aの疎密は半導体装置の設計により生じるが、ビアホール106aが密に形成されている領域は、疎の領域よりも、この後に層間絶縁膜104上に塗布されるレジスト膜の表面の平坦性が低下する。そうすると、フォトリソグラフィ法によるレジスト膜110の露光の際に焦点合わせが困難になる。そのため、レジスト膜110を塗布する前にビアホール106aに埋込み材108を充填し、レジスト膜110の平坦化を改善している。
【特許文献1】特開2003−229481号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、層間絶縁膜103,104に使用されるlow−k膜は、比誘電率が低いだけでなく、密度もシリコン酸化膜よりも低い。そのため、膜中に成膜の際に使用されるプロセスガスやエッチングガスが取り込まれやすく、保持されるガス量もシリコン酸化膜の場合よりも極めて多くなるという性質がある。
【0008】
図1に示すように、露光工程では配線溝のパターンを化学増幅型レジスト材料からなるレジスト膜110に露光して潜像110aを形成する。次いで、図2に示すように、現像工程により露光された領域(潜像110aの領域)を、現像液を使用して溶解し、開口部110bを形成する。しかし、本来溶解されるべき領域にレジスト膜110cが残留してしまい解像不良が発生することがある。この現象はレジストポイゾニングあるいは単にポイゾニングと呼ばれている。レジストポイゾニングが発生すると、所望の配線構造が形成できず、配線の断線や導通不良を生じ、半導体装置の歩留まり低下や半導体装置の信頼性低下を招くという問題を生じる。
【0009】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、レジストポイゾニングを抑止して微細な配線構造を形成可能な半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一観点によれば、デュアルダマシン法による配線構造を形成する半導体装置の製造方法であって、配線層上に少なくともいずれか一方が低誘電率材料からなる第1の層間絶縁膜および第2の層間絶縁膜を順次形成する工程と、前記第1の層間絶縁膜および第2の層間絶縁膜を貫通するビアホールを形成する工程と、前記ビアホールに、酸発生剤を含む材料からなる埋込み材を充填する工程と、前記埋込み材に酸性物質を発生させる工程と、前記第2の層間絶縁膜および埋込み材を覆う化学増幅型レジスト膜を形成する工程と、前記化学増幅型レジスト膜に配線溝のパターンをビアホールを含む領域に形成する工程と、前記化学増幅型レジスト膜をマスクとして第2の層間絶縁膜をエッチングして配線溝を形成する工程と、前記ビアホールおよび配線溝に導電材料を充填する工程と、を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0011】
本発明によれば、ビアホールに充填した埋込み材に酸性物質を発生する酸発生剤を含む材料を用いることで、低誘電率材料の層間絶縁膜に吸蔵される塩基性物質を中和して、塩基性物質が化学増幅型レジスト膜の露光により発生した酸性物質に作用することを抑止できる。その結果、レジストポイゾニングの発生を抑止して微細な配線構造を形成できる。なお、本願明細書および特許請求の範囲において、低誘電率材料(low−k材料とも称する。)は、シリコン酸化膜(SiO2、比誘電率約4.3)よりも誘電率の低い材料をいう。また、low−k膜はlow−k材料からなる膜をいう。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ビアホールを充填する埋込み材に酸性物質を発生する材料を用いることで、レジストポイゾニングの発生を抑止して微細な配線構造を形成可能な半導体装置の製造方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本願発明者は、レジストポイゾニングの原因を以下のように解析し、本発明に到ったものである。すなわち、例えばポジ型の化学増幅型レジスト材料からなるレジスト膜は、露光光が照射された領域では、レジスト材料中に含まれる酸発生剤により酸性物質が生成される。次いで、レジスト膜を加熱(例えばプリベーキング)すると、その酸性物質が溶解抑止剤を分解しアルカリ性現像液に可溶な構造に変化させる。この露光あるいは加熱の際に、先の図1に示すように、層間絶縁膜103,104に吸蔵された塩基性物質、例えばアミノ基を有する化合物がビアホール106aの埋込み材108に流れ込む。これは、low−k材料がその上下をlow−k材料よりも緻密な構造を有するキャップ層102やエッチングストッパ層105に挟まれているため、塩基性物質は、比較的浸透し易い樹脂材料からなる埋込み材108に拡散・浸透し、さらにはその上方のレジスト膜110に達する。そうすると、塩基性物質の作用によりレジスト膜110中の酸性物質が中和され、溶解抑止剤に作用する酸性物質が不足してしまう。そのため、レジスト膜110の溶解抑止剤の機能を十分に停止できなくなり、図2に示すように現像工程後に本来溶解すべき領域にレジスト膜110cが残留してしまう。
【0014】
そこで、本願発明者は、上記の塩基性物質をレジスト膜110に到達させないように、塩基性物質を中和させる物質を発生させる埋込み材料を採用することで、レジストポイゾニングを抑制できることを見出した。
【0015】
以下図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
図3〜図10は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図である。
【0017】
最初に、図3の工程では、配線層11上に、キャップ層12、第1層間絶縁膜13、エッチングストッパ層14、第2層間絶縁膜15、ハードマスク層16、ハードマスク層18を順次形成する。具体的には、キャップ層12としてSiC膜(例えば厚さ70nm)、第1層間絶縁膜13および第2層間絶縁膜15としてlow−k膜であるSiOC膜(例えばそれぞれ厚さ550nm、370nm)、エッチングストッパ層14としてSiC膜(例えば厚さ30nm)、ハードマスク層16としてテトラエチルオルソシリケート(TEOS)膜(例えば厚さ30nm)、ハードマスク層18としてSiN膜18(例えば厚さ50nm)が使用される。これら各層12〜16,18は、化学的気相成長(CVD)法やスパッタ法を用いて形成される。
【0018】
第1層間絶縁膜13および第2層間絶縁膜15は、SiOC膜の他、low−k膜として、例えば、SiOFやBSG(SiO2−B23)膜(比誘電率3.5〜3.7)等の無機絶縁膜、ナノクラスタリングシリカ(NCS、触媒化成工業社製品名)やPorous SiLK(登録商標)Y(ダウケミカル社製品名)等のポーラスシリカ(比誘電率2.4)、ポーラスBlack Diamond(Applied Materials社製品名)、CORAL(登録商標、Novellus Systems社製)(比誘電率3.2)、HOSP(登録商標、Honeywell Electronic Materials社)(比誘電率2.5)等の有機シロキサンが挙げられる。
【0019】
図3の工程ではさらに、ハードマスク層18の表面にレジスト膜20を形成し、さらに、ビアホール19aを形成する位置に開口部を形成する。さらに、レジスト膜20をマスクとしてドライエッチングにより、例えばCF4ガスおよびO2ガスを使用してビアホール19aを形成する。ビアホール19aは、ハードマスク層18、ハードマスク層16、第2層間絶縁膜15、エッチングストッパ層14、および第1層間絶縁膜13を貫通し、キャップ層12の表面を露出する開口部である。さらに、レジスト膜20を除去する。
【0020】
次いで、図4の工程では、図3の構造体を覆うと共にビアホール19aを充填する埋込み材21aを形成する。埋込み材21aは、エネルギー線の照射あるいは/および加熱により酸性物質を発生する材料を使用する。埋込み材21aは、例えば、公知の化学増幅型レジスト材料を使用することができ、例えば、ベース樹脂としてポリビニルピロリドン樹脂、架橋剤としてメラミン化合物、酸発生剤としてオニウム塩を含む化学増幅型レジスト材料を用いることができる。埋込み材21aに使用する化学増幅型レジスト材料はポジ型でもネガ型でもよい。
【0021】
図4の工程ではさらに、埋込み材21aにエネルギー線の照射を行う。エネルギー線は、埋込み材21aから酸性物質が発生する波長および露光量に設定される。埋込み材21aが化学増幅型レジスト材料の場合は、露光光の波長および露光量は化学増幅型レジスト材料に通常用いられる条件と同等でよい。すなわち、化学増幅型レジスト材料が露光光として遠紫外光のKrF光(波長248nm)を使用するレジスト材料の場合は、エネルギー線としてKrF光を照射する。また、その露光量は、例えば700J/m2に設定する。なお、エネルギー線の照射する範囲は、埋込み材21a全体に照射してもよく、ビアホール19aが形成された領域のみでもよい。
【0022】
図4の工程ではさらに、図4に示す構造体全体を加熱する。これにより、第1および第2層間絶縁膜13,15中に保持された塩基性物質は、第1および第2層間絶縁膜13,15中をビアホール19aに向かって拡散・浸透し、埋込み材21aに到達する。一方、エネルギー線の照射により埋込み材21a中には酸性物質が発生しているので、埋込み材21aに浸透した塩基性物質は酸性物質により中和される。この工程における加熱温度および加熱時間は適宜選択されるが、例えば、130℃、90秒に設定される。なお、この加熱工程は、先のエネルギー線の照射により十分に図4に示す構造体が加熱される場合は必須ではない。また、エネルギー線の照射と加熱を同時に行ってもよい。
【0023】
次いで、図5の工程では、ドライエッチングによりハードマスク層18上の埋込み材21aを除去し、ビアホール19a中の埋込み材の表面の高さは、第2層間絶縁膜15の表面よりも高く、ハードマスク層18の表面よりも低く設定することが好ましい。これにより、第2層間絶縁膜15の側壁がわずかでもエッチングされることを抑制できる。これにより、ビアホール19aが横方向に広がることを抑制できるので、より微細な垂直配線を形成できる。
【0024】
次いで、図6の工程では、図5に示す構造体の表面を覆う保護膜22を形成する。保護膜22は、次の工程(図7)で使用するレジスト膜23の現像液に耐性を有する有機材料または無機材料を使用する。これにより、埋込み材21がレジスト膜23の現像工程で使用する現像液により溶解されることを抑止する。
【0025】
また、保護膜22は、例えば、プラズマCVD装置を用いてSiH4ガス、NH3ガス、およびN2ガスの混合ガスを使用して形成されるSiN膜の反射防止膜を用いる。これらのガス流量や加熱温度を適宜選択することで、レジスト膜23の露光の際に、下地からの露光光の反射を抑制でき、より微細にパターニング可能となる。保護膜22は、さらに、埋込み材21の表面を平坦化して、レジスト膜23の表面をさらに平坦化できる。
【0026】
なお、保護膜22は、樹脂材料膜と無機材料膜をこの順に積層した積層体でもよい。樹脂材料膜は、例えば、化学増幅型以外のレジスト膜であり、無機材料膜は、例えばシリコン酸化膜、スピンオングラス(SOG)膜である。これにより、上述した反射防止膜と同様の効果が得られる。
【0027】
図6の工程ではさらに、保護膜22の表面に化学増幅型レジスト材料を塗布しレジスト膜23を形成する。化学増幅型レジスト材料としては、公知の材料を用いることができるが、例えば、モノマーとしてアダマンチルメタクリレートを用いた重合体と架橋剤として
4,4’−ジアジドフェニルメチレンからなるレジスト材料が挙げられる。
【0028】
図6の工程ではさらに、図8の工程で形成する配線溝のパターンをArF光またはKrF光によりレジスト膜23を露光して、レジスト膜23にその潜像23aを形成する。さらに、例えば130℃90秒のベーキングを行う。この際、従来は塩基性物質がレジスト膜23に浸透して、潜像23aの領域の酸性物質が中和され、レジストポイゾニングの原因となっていた。しかし、第1の実施の形態では先の図4の工程で、第1および第2層間絶縁膜13,15中の塩基性物質が埋込み材21から発生した酸性物質で十分に中和されているので、レジスト膜23に塩基性物質が浸透することが抑止されている。よってレジスト膜23のレジストポイゾニングを抑止できる。
【0029】
次いで図7の工程では、レジスト膜23を、現像液、例えば水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を使用して現像し、レジスト膜23に配線溝に対応する開口部23bを形成する。この際、保護膜22が形成されているので、現像液が直接埋込み材21に接触することが回避されるため埋込み材21が溶解されることはない。
【0030】
次いで、図8の工程では、ドライエッチングにより配線溝15aを形成する。具体的には、レジスト膜23をマスクとして例えばCF4ガスおよびO2ガスを使用して、反射防止膜22、ハードマスク層18、ハードマスク層16、第2層間絶縁膜15をエッチングし、エッチングストッパ層14の表面を露出させる。この際、埋込み材21もその表面の一部がエッチングされ、高さがエッチングストッパ層14の表面の高さ程度になる。
【0031】
次いで図9の工程では、アッシングによりレジスト膜23および埋込み材21を除去する。さらに、ドライエッチングにより、ビアホール19aの底面部分のキャップ層12、配線溝15aの底面部分のエッチングストッパ層14、およびハードマスク層18を除去する。これにより、配線層11の表面が露出される。
【0032】
次いで図10の工程では、ビアホール19aおよび配線溝15aの側面および底面に、スパッタ法により、例えばTa膜のバリアメタル層(不図示)、および例えばCu膜のシードメタル層(不図示)を順に形成する。さらに、めっき法によりビアホール19aおよび配線溝15aを充填し、図9の構造体を覆うCu膜(あるいはCuAl膜)を充填する。さらに、Cu膜の表面をCMP法により研磨し、Cu膜よりも研磨速度が遅いハードマスク層16の表面で停止する。なお、図10に示すように、ハードマスク層16は研磨により除去されてもよく、残留してもよい。以上により、デュアルダマシン法による配線構造体10が形成される。
【0033】
第1の実施の形態によれば、low−k膜に吸蔵されていた塩基性物質を埋込み材21が酸性物質を発生して中和させるので、塩基性物質が配線溝15aのパターンを形成するためのレジスト膜23の酸性物質に影響を与えることはない。したがって、レジストポイゾニングの発生を抑止でき、微細な配線構造を形成できる。
【0034】
なお、上述した第1の実施の形態において、第1および第2層間絶縁膜13,15をlow−k材料からなる例を示したが、第1および第2層間絶縁膜13,15のいずれか一方がlow−k材料であり、他方がlow−k材料以外の絶縁膜材料、例えばTEOS膜等からなる構成としてもよい。
【0035】
次に第1の実施の形態に係る実施例を説明する。
【0036】
本実施例は、上述した第1の実施の形態の埋込み材の材料として、PVP樹脂をベース樹脂とし、架橋剤としてメラミン化合物、酸発生剤としてオニウム塩からなるネガ型レジスト材料を用いた例である。このネガ型レジスト材料は、KrF線の照射により、酸発生剤が酸性物質を発生する。
【0037】
また、比較例として、埋込み材の材料として、ノボラック樹脂を用いた例である。この材料は、光の照射や加熱をしても酸性物質を発生しないものである。比較例は埋込み材料が実施例と異なる以外は同様の工程で形成したものである。
【0038】
上記の実施例および比較例の埋込み材を用いて、先の図4の工程では、KrF線を700J/m2の露光量で照射し、次いで130℃90秒の条件で加熱を行った。
【0039】
さらに、先の図6に示す構造体において、レジスト膜に配線幅が約140nmの配線パターンを形成した。なお、ビアホール径(直径)は140nmとした。
【0040】
図11は、レジスト膜の現像工程後の写真であり、説明の便宜のためレジスト膜の開口部の一部のスケッチを示している。(A)は実施例、(B)は比較例である。図11に示す写真は、先の図7に示す構造体の平面図に相当する。
【0041】
図11を参照するに、(B)に示す比較例では、開口部の一部にレジスト膜が残留しており、レジストポイゾニングが発生していた。一方、(A)に示す実施例では所望のパターンが形成されていた。これらにより、実施例はレジストポイゾニングの発生が抑止され、比較例よりも微細なパターンをレジスト膜に形成できることが分かる。
【0042】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、埋込み材にネガ型化学増幅型レジスト材料を用いる以外は第1の実施の形態と同様である。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0043】
図12は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一部を示す図である。
【0044】
まず、第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程では、第1の実施の形態の図3〜図5の工程と同様に行う。ただし、図4および図5に示す埋込み材21a(21)としてネガ型の化学増幅型レジスト材料を用いる。ネガ型の化学増幅型レジスト材料の場合は、露光光の照射により化学増幅型レジスト材料に含まれる酸発生物質から酸性物質が発生し、酸性物質が溶解抑止剤に作用して現像液に対して不溶な構造に変化させる。したがって、図4の工程において、露光および加熱により第1層間絶縁膜13および第2層間絶縁膜15から発生した塩基性物質を埋込み材21a(21)の酸性物質により中和する。また、埋込み材21a(21)は、ネガ型化学増幅型レジスト材料からなるので、露光および加熱により現像液に不溶な構造に変化している。
【0045】
次いで、図12の工程では、図5の表面に直接レジスト膜23を形成する。埋込み材21bは現像液に不溶な構造となっているので、図6に示す保護膜22を形成する必要はない。この後の工程は、図6のレジスト膜の露光工程から図10の工程までを第1の実施の形態と同様にして行う。以上により、デュアルダマシン法による配線構造が形成される。
【0046】
第2の実施の形態によれば、埋込み材21bの材料としてネガ型の化学増幅型レジスト材料を用いることで、埋込み材21bが現像液に不要な構造になるので、埋込み材21bを現像液から保護する保護膜を設ける必要がなく、第1の実施の形態の製造方法よりも工程数を低減でき、製造工程を簡略化できる。なお、第2の実施の形態に係る製造方法は、第1の実施の形態の製造方法と同様の効果を有することはいうまでもない。
【0047】
以上本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0048】
なお、以上の説明に関してさらに以下の付記を開示する。
(付記1) デュアルダマシン法による配線構造を形成する半導体装置の製造方法であって、
配線層上に少なくともいずれか一方が低誘電率材料からなる第1の層間絶縁膜および第2の層間絶縁膜を順次形成する工程と、
前記第1の層間絶縁膜および第2の層間絶縁膜を貫通するビアホールを形成する工程と、
前記ビアホールに、酸発生剤を含む材料からなる埋込み材を充填する工程と、
前記埋込み材に酸性物質を発生させる工程と、
前記第2の層間絶縁膜および埋込み材を覆う化学増幅型レジスト膜を形成する工程と、
前記化学増幅型レジスト膜に配線溝のパターンをビアホールを含む領域に形成する工程と、
前記化学増幅型レジスト膜をマスクとして第2の層間絶縁膜をエッチングして配線溝を形成する工程と、
前記ビアホールおよび配線溝に導電材料を充填する工程と、を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記2) 前記埋込み材に酸性物質を発生させる工程は、エネルギー線を埋込み材に照射することを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記3) 前記埋込み材を充填する工程は、ビアホールおよび第2の層間絶縁膜を覆うように埋込み材を形成し、
前記エネルギー線の照射工程は、エネルギー線を埋込み材の全面に亘って照射することを特徴とする付記2記載の半導体装置の製造方法。
(付記4) 前記埋込み材を充填する工程は、ビアホールおよび第2の層間絶縁膜を覆うように埋込み材を形成し、
前記エネルギー線の照射工程は、エネルギー線をビアホールを覆う埋込み材の領域のみに選択的に照射することを特徴とする付記2記載の半導体装置の製造方法。
(付記5) 前記埋込み材は化学増幅型レジスト材料からなり、
前記埋込み材に酸性物質を発生させる工程は、前記化学増幅型レジスト材料の露光波長のエネルギー線を照射することを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記6) 前記埋込み材はネガ型の化学増幅型レジスト材料であることを特徴とする付記5記載の半導体装置の製造方法。
(付記7) 前記埋込み材に酸性物質を発生させる工程と、化学増幅型レジスト膜を形成する工程との間に、
前記埋込み材の表面に、前記化学増幅型レジスト膜の現像液に耐性を有する保護膜を形成する工程をさらに備えることを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記8) 前記保護膜は反射防止膜からなることを特徴とする付記7記載の半導体装置の製造方法。
(付記9) 前記埋込み材はポジ型の化学増幅型レジスト材料からなることを特徴とする付記7記載の半導体装置の製造方法。
(付記10) 前記埋込み材に酸性物質を発生させる工程の後に、第1の層間絶縁膜、第2の層間絶縁膜、および埋込み材からなる構造体を加熱する工程をさらに備えることを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記11) 前記低誘電率材料は、SiOC膜、SiOF、SiO2−B23膜、およびポーラスシリカ膜、有機シロキサン膜からなる群のうちいずれか一種であることを特徴とする付記1記載の半導体装置の製造方法。
(付記12) デュアルダマシン法による配線構造を形成する半導体装置の製造方法であって、
配線層上にキャップ層、低誘電率材料からなる第1の層間絶縁膜、エッチングストッパ層、低誘電率材料からなる第2の層間絶縁膜およびハードマスク層を順次形成する工程と、
前記第1の層間絶縁膜、エッチングストッパ層、第2の層間絶縁膜およびハードマスク層をエッチングして、キャップ層の表面を露出するビアホールを形成する工程と、
前記ビアホールに充填すると共にハードマスク層の表面を覆う酸発生剤を含む材料からなる埋込み材を形成する工程と、
前記埋込み材の略全面にエネルギー線を照射して酸性物質を発生させる工程と、
前記埋込み材、第1の層間絶縁膜および第2の層間絶縁膜を加熱する工程と
前記ハードマスク層および埋込み材を覆う化学増幅型レジスト膜を形成する工程と、
前記化学増幅型レジスト膜に配線溝のパターンをビアホールを含む領域に形成する工程と、
前記化学増幅型レジスト膜をマスクとして第2の層間絶縁膜をエッチングして配線溝を形成する工程と、
前記ビアホールおよび配線溝に導電材料を充填する工程と、
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】従来の先ビア方式による配線工程を示す図(その1)である。
【図2】従来の先ビア方式による配線工程を示す図(その2)である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その1)である。
【図4】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その2)である。
【図5】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その3)である。
【図6】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その4)である。
【図7】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その5)である。
【図8】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その6)である。
【図9】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その7)である。
【図10】第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程図(その8)である。
【図11】レジスト膜の現像工程後の写真であり、(A)は実施例、(B)は比較例である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程の一部を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
10 配線構造体
11 配線層
12 キャップ層
13 第1層間絶縁膜
14 エッチングストッパ層
15 第2層間絶縁膜
15a 配線溝
16、18 ハードマスク層
19a ビアホール
20,23 レジスト膜
21,21a,21b 埋込み材
22 保護膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デュアルダマシン法による配線構造を形成する半導体装置の製造方法であって、
配線層上に少なくともいずれか一方が低誘電率材料からなる第1の層間絶縁膜および第2の層間絶縁膜を順次形成する工程と、
前記第1の層間絶縁膜および第2の層間絶縁膜を貫通するビアホールを形成する工程と、
前記ビアホールに、酸発生剤を含む材料からなる埋込み材を充填する工程と、
前記埋込み材に酸性物質を発生させる工程と、
前記第2の層間絶縁膜および埋込み材を覆う化学増幅型レジスト膜を形成する工程と、
前記化学増幅型レジスト膜に配線溝のパターンをビアホールを含む領域に形成する工程と、
前記化学増幅型レジスト膜をマスクとして第2の層間絶縁膜をエッチングして配線溝を形成する工程と、
前記ビアホールおよび配線溝に導電材料を充填する工程と、を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記埋込み材に酸性物質を発生させる工程は、エネルギー線を埋込み材に照射することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記埋込み材は化学増幅型レジスト材料からなり、
前記埋込み材に酸性物質を発生させる工程は、前記化学増幅型レジスト材料の露光波長のエネルギー線を照射することを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記埋込み材はネガ型の化学増幅型レジスト材料であることを特徴とする請求項1〜3のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記埋込み材に酸性物質を発生させる工程と、化学増幅型レジスト膜を形成する工程との間に、
前記埋込み材の表面に、前記化学増幅型レジスト膜の現像液に耐性を有する保護膜を形成する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記埋込み材はポジ型の化学増幅型レジスト材料からなることを特徴とする請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記埋込み材に酸性物質を発生させる工程の後に、第1の層間絶縁膜、第2の層間絶縁膜、および埋込み材からなる構造体を加熱する工程をさらに備えることを特徴とする請求項1〜6のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記低誘電率材料は、SiOC膜、SiOF、SiO2−B23膜、およびポーラスシリカ膜、有機シロキサン膜からなる群のうちいずれか一種であることを特徴とする請求項1〜7のうち、いずれか一項記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−134597(P2007−134597A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−327878(P2005−327878)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】