半導体装置の製造方法
【課題】半導体装置を微細化することができるとともに半導体装置の特性のばらつきを低減することができる半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体の表面の一部にイオン注入マスクを形成する第1工程と、イオン注入マスクが形成されている領域以外の半導体の表面の露出領域の少なくとも一部に第1ドーパントのイオンを注入して第1ドーパント注入領域を形成する第2工程と、第1ドーパント注入領域の形成後にイオン注入マスクの一部を除去して半導体の表面の露出領域を拡大する第3工程と、拡大した半導体の表面の露出領域の少なくとも一部に第2ドーパントのイオンを注入して第2ドーパント注入領域を形成する第4工程と、を含む、半導体装置の製造方法である。
【解決手段】半導体の表面の一部にイオン注入マスクを形成する第1工程と、イオン注入マスクが形成されている領域以外の半導体の表面の露出領域の少なくとも一部に第1ドーパントのイオンを注入して第1ドーパント注入領域を形成する第2工程と、第1ドーパント注入領域の形成後にイオン注入マスクの一部を除去して半導体の表面の露出領域を拡大する第3工程と、拡大した半導体の表面の露出領域の少なくとも一部に第2ドーパントのイオンを注入して第2ドーパント注入領域を形成する第4工程と、を含む、半導体装置の製造方法である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、半導体装置を微細化することができるとともに半導体装置の特性のばらつきを低減することができる半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の一種であるSiC(炭化ケイ素)を用いたMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor;以下、「SiC−MOSFET」と言うこともある。)は、大きく分けて、選択イオン注入、活性化アニール、ゲート酸化膜形成、および電極形成の工程を経て作製されている。
【0003】
以下、図20〜図30の模式的断面図を参照して、従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例について説明する。
【0004】
まず、図20に示すように、SiC基板201の表面上にn型のSiC膜202をエピタキシャル成長させる。次に、図21に示すように、SiC膜202の表面全体にイオン注入マスク203を形成する。
【0005】
次いで、図22に示すように、イオン注入マスク203上にフォトリソグラフィ技術を利用して所定の開口部205を有するレジスト204を形成する。続いて、図23に示すように、開口部205の下方に位置する部分のイオン注入マスク203をエッチングにより除去して、SiC膜202の表面の一部を露出させる。
【0006】
その後、図24に示すように、レジスト204を除去し、露出したSiC膜202の表面にリンなどのn型ドーパントのイオンをイオン注入することによって、SiC膜202の表面にn型ドーパント注入領域206を形成する。
【0007】
次に、図25に示すように、SiC膜202の表面からイオン注入マスク203をすべて除去する。その後、図26に示すように、SiC膜202の表面全体にイオン注入マスク203を再度形成する。
【0008】
そして、図27に示すように、イオン注入マスク203の表面上にフォトリソグラフィ技術を利用してレジスト204を部分的に形成する。ここで、レジスト204の形成位置は、フォトリソグラフィ装置の精度等によって設定位置からずれることがある。
【0009】
次に、図28に示すように、レジスト204が形成されていないイオン注入マスク203の部分をエッチングにより除去することによって、SiC膜202の表面の一部を露出させる。
【0010】
続いて、図29に示すように、露出したSiC膜202の表面にアルミニウムなどのp型ドーパントのイオンをイオン注入することによって、SiC膜202の表面にp型ドーパント注入領域207を形成する。
【0011】
その後、イオン注入マスク203およびレジスト204を除去し、イオン注入マスク203およびレジスト204の除去後のウエハについて結晶性を回復するための活性化アニールを行なう。
【0012】
そして、図30に示すように、SiC膜202の表面上にゲート酸化膜208、ソース電極209およびドレイン電極211を形成し、ゲート酸化膜208の表面上にゲート電極210を形成する。その後、ソース電極209、ゲート電極210およびドレイン電極211にそれぞれ配線を付けてからウエハをチップ状に分割することによって、SiC−MOSFETが完成する。
【非特許文献1】松波弘之編著,「半導体SiC技術と応用」,日刊工業新聞社
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
SiCはドーパントの拡散係数が小さいため、拡散法ではなく、イオン注入法によって、n型ドーパントおよびp型ドーパントをそれぞれ導入する必要がある。
【0014】
しかしながら、上述したように、n型ドーパントおよびp型ドーパントのイオン注入のイオン注入マスクとなるレジストの形成位置がフォトリソグラフィ装置の精度等によってばらつくため、n型ドーパント注入領域とp型ドーパント注入領域との相対的な位置関係にばらつきが生じ、ひいてはSiC−MOSFETのゲート長にばらつきが生じてSiC−MOSFETの特性にばらつきが生じるという問題があった。また、半導体装置のさらなる微細化も要望されている。
【0015】
そこで、本発明の目的は、半導体装置を微細化することができるとともに半導体装置の特性のばらつきを低減することができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、半導体の表面の一部にイオン注入マスクを形成する第1工程と、イオン注入マスクが形成されている領域以外の半導体の表面の露出領域の少なくとも一部に第1ドーパントのイオンを注入して第1ドーパント注入領域を形成する第2工程と、第1ドーパント注入領域の形成後にイオン注入マスクの一部を除去して半導体の表面の露出領域を拡大する第3工程と、拡大した半導体の表面の露出領域の少なくとも一部に第2ドーパントのイオンを注入して第2ドーパント注入領域を形成する第4工程と、を含む、半導体装置の製造方法である。
【0017】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、第1ドーパント注入領域の形成用のイオン注入マスクを第2ドーパント注入領域の形成にも利用することができ、第1ドーパント注入領域と第2ドーパント注入領域との相対的な位置関係のばらつきを低減することができるため、半導体装置を微細化することができるとともに半導体装置の特性のばらつきを低減することができる。また、本発明の半導体装置の製造方法によれば、イオン注入マスクのパターンニング用のレジストの形成が1回で済むため、従来と比べて工程数を減少させることもできる。
【0018】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、イオン注入マスクは、タングステン、ケイ素、アルミニウム、ニッケルおよびチタンからなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。この場合には、イオン注入マスクが第1ドーパントおよび第2ドーパントのイオン注入のマスクとして機能するとともに、イオン注入マスクに半導体表面との密着を改善する密着改善層および半導体表面のエッチングを抑制することができるエッチングストップ層を含ませることができる。ここで、上記のタングステン、ケイ素、アルミニウム、ニッケルおよびチタンはそれぞれ、単体の形態でイオン注入マスクに含まれていてもよく、化合物の形態でイオン注入マスクに含まれていてもよい。
【0019】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、イオン注入マスクは2層以上からなっていてもよい。イオン注入マスクが2層以上からなっている場合には、第1ドーパント注
入領域の形成後にイオン注入マスクの一部を除去して半導体の表面の露出領域を拡大する際に、イオン注入マスクの厚さの減少を抑制しながらその幅を薄くすることができるため、第2ドーパントのイオン注入時のイオン注入マスクの信頼性が向上する。
【0020】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、イオン注入マスクは、第1イオン注入マスクと、第1イオン注入マスク上に形成された第2イオン注入マスクと、の2層からなっていてもよい。この場合には、第1ドーパント注入領域の形成後に第1イオン注入マスクの一部を除去して半導体の表面の露出領域を拡大する際に、第1イオン注入マスクの厚さの減少を抑制しながら第1イオン注入マスクの幅を薄くすることができるため、第2ドーパントのイオン注入時の第1イオン注入マスクの信頼性が向上する。
【0021】
また、上記において、第1イオン注入マスクがタングステンを主成分とし、第2イオン注入マスクが酸化ケイ素を主成分とすることが好ましい。この場合には、第1イオン注入マスクのエッチング時には第2イオン注入マスクがエッチングされにくく、第2イオン注入マスクのエッチング時には第1イオン注入マスクがエッチングされにくい傾向が特に大きくなり、第1イオン注入マスクの厚さの減少を抑制しながら第1イオン注入マスクの幅を薄くすることができるため、第2ドーパントのイオン注入時の第1イオン注入マスクの信頼性が向上する。
【0022】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、第1工程は半導体の表面上に第1イオン注入マスクと第2イオン注入マスクとをこの順序で積層してイオン注入マスクを形成した後にイオン注入マスクの一部をエッチングすることによって半導体の表面の一部を露出させることにより行なわれ、第3工程は第1ドーパント注入領域の形成後に第1イオン注入マスクを少なくともその幅方向にエッチングすることにより行なわれ、第3工程と第4工程との間には第2イオン注入マスクをエッチングにより除去する工程が含まれ、第4工程の後には第1イオン注入マスクをエッチングにより除去する工程が含まれていてもよい。この場合には、半導体装置の微細化および半導体装置の特性のばらつきの低減を達成することができるとともに従来よりも工程数を減少させることができる。
【0023】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、第2イオン注入マスクをエッチングするためのエッチング液またはエッチングガスによる第2イオン注入マスクの第1イオン注入マスクに対する選択比が2以上であることが好ましい。この場合には、第2ドーパントのイオン注入前に、第2イオン注入マスクのエッチングを抑制することができ、第1イオン注入マスクの厚さの減少を抑制しながら第1イオン注入マスクをその幅方向にエッチングすることができるため、第2ドーパントのイオン注入時の第1イオン注入マスクの信頼性が向上する。
【0024】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、第1工程におけるエッチングおよび第3工程におけるエッチングはそれぞれドライエッチングにより行なわれることが好ましい。この場合には、半導体の表面を露出させる第1工程においては第1イオン注入マスクおよび第2イオン注入マスクの厚さ方向のエッチングが進行する傾向にあり、半導体の表面の露出領域を拡大する第3工程においては第1イオン注入マスクおよび第2イオン注入マスクの幅方向のエッチングの制御が容易になる傾向にあるため、第1イオン注入マスクおよび第2イオン注入マスクのエッチング時においてこれらのイオン注入マスクが不要にエッチングされないようにすることができる。
【0025】
また、本発明の半導体装置の製造方法においては、第3工程におけるイオン注入マスクの一部の除去をエッチングにより行ない、第3工程におけるエッチング後のイオン注入マスクの厚さを第4工程における第2ドーパントのイオンの注入マスクとして機能する厚さとすることができる。この場合には、イオン注入マスクが第2ドーパントのイオンの注入
マスクとして機能するため、第2ドーパント注入領域を不要な箇所にまで形成されないようにすることができる。
【0026】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、イオン注入マスクがタングステンを主成分としてもよい。イオン注入マスクがタングステンを主成分とする場合には、タングステンは高密度材料でイオン注入を阻止する能力が高いため、他の材料と比べてイオン注入マスクを薄く形成することができ、プロセスが簡易となる傾向にある点で好ましい。
【0027】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、第1工程は半導体の表面上にイオン注入マスクを形成した後にイオン注入マスクの一部をエッチングすることによって半導体の表面の一部を露出させることにより行なわれ、第3工程は第1ドーパント注入領域の形成後にイオン注入マスクを少なくともその幅方向にエッチングすることにより行なわれ、第4工程の後にはイオン注入マスクを除去する工程が含まれていてもよい。この場合には、半導体装置の微細化および半導体装置の特性のばらつきの低減を達成することができるとともに従来よりも工程数を減少させることができる。
【0028】
ここで、第1工程におけるエッチングおよび第3工程におけるエッチングはそれぞれドライエッチングにより行なわれることが好ましい。この場合には、半導体の表面を露出させる第1工程においてはイオン注入マスクの厚さ方向のエッチングが進行する傾向にあり、半導体の表面の露出領域を拡大する第3工程においてはイオン注入マスクの幅方向のエッチングの制御が容易になる傾向にあるため、イオン注入マスクのエッチング時においてイオン注入マスクを不要にエッチングしないようにすることができる。
【0029】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、半導体はバンドギャップエネルギが2.5eV以上であることが好ましい。この場合には、高耐圧かつ低損失で、耐熱性および耐環境性に優れた半導体装置を製造することができる傾向にある。
【0030】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、半導体は、炭化ケイ素を主成分とすることが好ましい。炭化ケイ素からなる半導体装置においては、ドーパントの注入後の活性化アニール温度が高温となるため、従来のSiデバイスのようなセルフアラインの手法を用いることができないため、本発明を特に好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、半導体装置を微細化することができるとともに半導体装置の特性のばらつきを低減することができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0033】
(実施の形態1)
以下、図1〜図10の模式的断面図を参照して、本発明の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
【0034】
まず、図1に示すように、SiC基板101の表面上にn型のSiC膜102をエピタキシャル成長させてウエハを形成する。次に、図2に示すように、SiC膜102の表面全体にタングステンからなる第1イオン注入マスク103aを形成し、第1イオン注入マスク103aの表面上に酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスク103bを形成する。これにより、第1イオン注入マスク103aと第2イオン注入マスク103bとの積層体からなるイオン注入マスク103が形成される。
【0035】
ここで、タングステンからなる第1イオン注入マスク103aおよび酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスク103bはそれぞれ、たとえば、スパッタリング法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法等によって形成することができる。
【0036】
また、タングステンからなる第1イオン注入マスク103aは、2μm以下の厚さに形成されることが好ましく、1μm以下の厚さに形成されることがより好ましい。また、酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスク103bは、0.5μm以下の厚さに形成されることが好ましく、0.3μm以下の厚さに形成されることがより好ましい。
【0037】
次いで、図3に示すように、第2イオン注入マスク103b上にたとえばフォトリソグラフィ技術を利用して所定の開口部105を有するレジスト104を形成する。続いて、図4に示すように、開口部105の下方に位置する部分の第1イオン注入マスク103aおよび第2イオン注入マスク103bをその厚さ方向にエッチングにより除去して、SiC膜102の表面の一部を露出させる。
【0038】
その後、図5に示すように、レジスト104を除去し、露出したSiC膜102の表面にリンなどのn型ドーパントのイオンをイオン注入することによって、SiC膜102の表面にn型ドーパント注入領域106を形成する。
【0039】
次に、図6に示すように、第1イオン注入マスク103aをその幅方向にエッチングすることによって、第1イオン注入マスク103aの幅を減少させる。これにより、SiC膜102の表面のうちn型ドーパント注入領域106が形成された領域以外の領域が露出し、SiC膜102の表面の露出領域が拡大する。
【0040】
ここで、第1イオン注入マスク103aのエッチングを行なうためのエッチング液またはエッチングガスとしては、第2イオン注入マスク103bよりも第1イオン注入マスク103aをエッチングしやすい材質のものが用いられる。
【0041】
続いて、図7に示すように、第1イオン注入マスク103a上の第2イオン注入マスク103bをエッチングにより除去する。ここで、第2イオン注入マスク103bをエッチングするためのエッチング液またはエッチングガスとしては、第1イオン注入マスク103aよりも第2イオン注入マスク103bをエッチングしやすい材質のものが用いられる。
【0042】
次いで、図8に示すように、上記のようにして拡大したSiC膜102の表面の露出領域にアルミニウムなどのp型ドーパントのイオンをイオン注入することによって、SiC膜102の表面にp型ドーパント注入領域107を形成する。
【0043】
そして、図9に示すように、第1イオン注入マスク103aを除去する。その後、第1イオン注入マスク103aの除去後のウエハについて結晶性を回復するとともに、イオン注入されたn型ドーパントおよびp型ドーパントのイオンを活性化するための活性化アニールを行なう。
【0044】
そして、図10に示すように、SiC膜102の表面上にゲート酸化膜108、ソース電極109およびドレイン電極111を形成し、ゲート酸化膜108の表面上にゲート電極110を形成した後に、ウエハをチップ状に分割することによって、SiC−MOSFETが完成する。
【0045】
このように、本実施の形態においては、n型ドーパント注入領域の形成用のイオン注入
マスクをp型ドーパント注入領域の形成にも利用することができるため、従来のように、n型ドーパント注入領域の形成用のイオン注入マスクとp型ドーパント注入領域の形成用のイオン注入マスクとを別々に形成する必要がない。
【0046】
したがって、従来に比べて、n型ドーパント注入領域とp型ドーパント注入領域との相対的な位置関係のばらつきを低減することができ、ゲート長を短くすることができることから、半導体装置の微細化につながる。また、そのばらつきの低減により半導体装置の特性のばらつきも低減することができる。
【0047】
また、イオン注入マスクのパターンニング用のレジストの形成が1回で済むため、従来と比べて工程数を減少させることもできる。
【0048】
なお、イオン注入マスク103は、タングステンからなる第1イオン注入マスク103aとSiC膜102の表面との間に、たとえばチタン、ニッケル、酸化ケイ素または窒化ケイ素等からなる層を含んでいてもよい。このような層は、イオン注入マスク103とSiC膜102との密着性を改善し、SiC膜102の表面のエッチングストップ層としても機能し得るためである。この層は、たとえば100nm以下の厚さに形成することができる。
【0049】
また、上記においては、第1イオン注入マスク103aとしてタングステンを用い、第2イオン注入マスク103bとして酸化ケイ素を用いたが、本発明においてはこの構成に限定されないことは言うまでもない。たとえば、第1イオン注入マスク103aに酸化ケイ素、窒化ケイ素または酸窒化ケイ素等のケイ素化合物を用い、第2イオン注入マスク103bにアルミニウムまたはチタン等の金属を用いることもできる。
【0050】
すなわち、第1イオン注入マスク103aとしては、第2イオン注入マスク103bのエッチングを行なうためのエッチング液またはエッチングガスに対して第2イオン注入マスク103bよりもエッチングされにくい材質のものを用いることができ、第2イオン注入マスク103bとしては、第1イオン注入マスク103aのエッチングを行なうためのエッチング液またはエッチングガスに対して第1イオン注入マスク103aよりもエッチングされにくい材質のものを用いることができる。
【0051】
なかでも、第1イオン注入マスク103aとしてはタングステンを用いることが好ましく、第2イオン注入マスク103bとしては酸化ケイ素を用いることが好ましい。この場合には、第1イオン注入マスク103aのエッチング時には第2イオン注入マスク103bがエッチングされにくく、第2イオン注入マスク103bのエッチング時には第1イオン注入マスク103aがエッチングされにくい傾向が特に大きくなり、第1イオン注入マスク103aの厚さの減少を抑制しながら第1イオン注入マスク103aの幅を薄くすることができるため、第2ドーパントのイオン注入時の第1イオン注入マスク103aの信頼性を向上することができる。
【0052】
なお、本発明において、イオン注入マスク103は、上記の2層の構成に限られず、1層であってもよく、3層以上であってもよい。
【0053】
また、第2イオン注入マスク103bをエッチングするためのエッチング液またはエッチングガスによる第2イオン注入マスク103bの第1イオン注入マスク103aに対する選択比が2以上であることが好ましい。この場合には、p型ドーパントのイオン注入前に、第2イオン注入マスク103bのエッチングを抑制することができ、第1イオン注入マスク103aの厚さの減少を抑制しながら第1イオン注入マスク103aをその幅方向にエッチングすることができるため、p型ドーパントのイオン注入時の第1イオン注入マ
スク103aの信頼性が向上する。
【0054】
なお、上記の選択比は、第1イオン注入マスク103aと第2イオン注入マスク103bとを同一の条件でエッチング液またはエッチングガスによってエッチングし、第1イオン注入マスク103aのエッチング速度と第2イオン注入マスク103bのエッチング速度との比(第1イオン注入マスク103aのエッチング速度/第2イオン注入マスク103bのエッチング速度)を求めることによって算出することができる。
【0055】
また、上記において、図4に示す第1イオン注入マスク103aおよび第2イオン注入マスク103bの厚さ方向のエッチングはエッチングガスを用いたドライエッチングにより行なわれることが好ましい。また、図6に示す第1イオン注入マスク103aの幅方向のエッチングはエッチング液を用いたウエットエッチングにより行なうこともできるが、エッチングガスを用いたドライエッチングにより行なわれることが好ましい。
【0056】
すなわち、エッチングガスを用いたドライエッチングにおいては、通常、SiC基板101にバイアス電圧が印加され、エッチングガスはSiC基板101方向へある程度の指向性を持って進行するため、ウエットエッチングと比べて、第1イオン注入マスク103aおよび第2イオン注入マスク103bの厚さ方向のエッチングが進みやすくなる傾向にある。また、エッチング液を用いたウエットエッチングにおいては、等方性エッチングが進行しやすいため、ドライエッチングと比べて、第1イオン注入マスク103aの幅方向のエッチングが進みやすくなる傾向にあるが、エッチングの制御を容易にする観点からはエッチングガスを用いたドライエッチングにより第1イオン注入マスク103aの幅方向のエッチングを行なうことが好ましい。
【0057】
また、上記においては、半導体としてSiCを用いたが、SiC以外の半導体を用いてもよいことは言うまでもない。本発明において、半導体としては、たとえば、窒化ガリウム、ダイヤモンド、酸化亜鉛または窒化アルミニウム等を用いることができる。
【0058】
なかでも、本発明においては、バンドギャップエネルギが2.5eV以上の半導体を用いることが好ましい。この場合には、高耐圧かつ低損失で、耐熱性および耐環境性に優れた半導体装置を製造することができる傾向にある。
【0059】
また、上記においては、半導体装置としてSiC−MOSFETを作製する場合について説明したが、本発明においてはSiC以外の半導体を用いてSiC−MOSFET以外の半導体装置を作製してもよいことは言うまでもない。
【0060】
また、本発明においては、上記のp型とn型の導電型が入れ替わっていてもよいことは言うまでもない。
【0061】
(実施の形態2)
以下、図11〜図19の模式的断面図を参照して、本発明の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
【0062】
まず、図11に示すように、SiC基板101の表面上にn型のSiC膜102をエピタキシャル成長させてウエハを形成する。次に、図12に示すように、SiC膜102の表面全体にタングステンからなるイオン注入マスク103を形成する。
【0063】
次いで、図13に示すように、イオン注入マスク103の表面上にたとえばフォトリソグラフィ技術を利用して所定の開口部105を有するレジスト104を形成する。続いて、図14に示すように、開口部105の下方に位置する部分の注入マスク103をエッチ
ングにより除去して、SiC膜102の表面の一部を露出させる。
【0064】
その後、図15に示すように、レジスト104を除去し、露出したSiC膜102の表面にリンなどのn型ドーパントのイオンをイオン注入することによって、SiC膜102の表面にn型ドーパント注入領域106を形成する。
【0065】
次に、図16に示すように、イオン注入マスク103の等方性エッチングを行ない、イオン注入マスク103をその幅方向に除去して、イオン注入マスク103の幅を減少させる。これにより、SiC膜102の表面のうちn型ドーパント注入領域106が形成された領域以外の領域が露出し、SiC膜102の表面の露出領域が拡大する。
【0066】
なお、本実施の形態においては、上記の等方性エッチングによって、イオン注入マスク103全体がエッチングされることになるため、イオン注入マスク103の幅だけでなく高さも減少することになる。
【0067】
次いで、図17に示すように、上記のようにして拡大したSiC膜102の表面の露出領域にアルミニウムなどのp型ドーパントのイオンをイオン注入することによって、SiC膜102の表面にp型ドーパント注入領域107を形成する。
【0068】
そして、図18に示すように、イオン注入マスク103を除去する。その後、イオン注入マスク103の除去後のウエハについて結晶性を回復するための活性化アニールを行なう。
【0069】
そして、図19に示すように、SiC膜102の表面上にゲート酸化膜108、ソース電極109およびドレイン電極111を形成し、ゲート酸化膜108の表面上にゲート電極110を形成した後に、ウエハをチップ状に分割することによって、SiC−MOSFETが完成する。
【0070】
このように、本実施の形態においては、n型ドーパント注入領域の形成用のイオン注入マスクをp型ドーパント注入領域の形成にも利用することができ、n型ドーパント注入領域の形成用のイオン注入マスクとp型ドーパント注入領域の形成用のイオン注入マスクとを別々に形成する必要がない。
【0071】
したがって、従来に比べて、n型ドーパント注入領域とp型ドーパント注入領域との相対的な位置関係のばらつきを低減することができ、ゲート長を短くすることができることから、半導体装置の微細化につながる。また、そのばらつきの低減により半導体装置の特性のばらつきも低減することができる。
【0072】
また、イオン注入マスク103のパターンニング用のレジストの形成が1回で済むため、従来と比べて工程数を減少させることもできる。
【0073】
なお、本実施の形態においては、イオン注入マスク103としてタングステンを用いたが、これに限定されないことは言うまでもない。
【0074】
また、上記において、図16に示すエッチング後のイオン注入マスク103の厚さは、その後のp型ドーパントのイオンのイオン注入におけるイオン注入マスクとして機能する厚さとなっていることが好ましい。図16に示すエッチング後のイオン注入マスク103が後述するイオン注入のイオン注入マスクとして機能しない場合には、p型ドーパント注入領域107が不要な箇所にまで形成されてしまうためである。ここで、イオン注入マスクとして機能する厚さとは、イオン注入されるイオンの99.9%以上の注入を阻止する
ことができる厚さを意味する。
【0075】
たとえば、図16に示すエッチングによって、イオン注入マスク103の幅がその両側からxずつ減少する場合には、イオン注入マスク103の厚さがx以上減少することがあるが、x以上減少した後のイオン注入マスク103の厚さがイオン注入マスクとして機能する厚さ以上であればよい。
【0076】
また、上記において、図14に示すイオン注入マスク103の厚さ方向のエッチングはエッチングガスを用いたドライエッチングにより行なわれることが好ましい。また、図16に示すイオン注入マスク103のエッチングはエッチング液を用いたウエットエッチングにより行なうこともできるが、エッチングガスを用いたドライエッチングにより行なわれることが好ましい。
【0077】
上述したように、エッチングガスを用いたドライエッチングにおいては、エッチングガスがSiC基板101方向へある程度の指向性を持って進行するため、ウエットエッチングと比べてイオン注入マスク103の厚さ方向のエッチングが進みやすくなる傾向にある。また、エッチング液を用いたウエットエッチングにおいては、等方性エッチングが進行しやすいため、ドライエッチングと比べてイオン注入マスク103の幅方向のエッチングが進みやすくなる傾向にあるが、エッチングの制御を容易にする観点からはエッチングガスを用いたドライエッチングによりイオン注入マスク103の幅方向のエッチングを行なうことが好ましい。
【0078】
なお、本実施の形態におけるその他の説明は実施の形態1と同様である。
【実施例】
【0079】
(実施例1)
まず、SiC基板の表面上にn型のSiC膜をエピタキシャル成長させたウエハを作製した。ここで、エピタキシャル成長させたn型のSiC膜の膜厚は10μmであって、n型ドーパントの濃度は1×1015cm-3であった。
【0080】
次に、SiC膜の表面全体にタングステンからなる第1イオン注入マスクをスパッタリング法により形成し、第1イオン注入マスクに酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスクをスパッタリング法により形成した。ここで、第1イオン注入マスクの厚さは800nmであって、第2イオン注入マスクの厚さは100nmであった。
【0081】
次いで、フォトリソグラフィ技術を利用して、n型ドーパント注入領域を形成する箇所に開口部を有するようにパターンニングされたレジストを第2イオン注入マスク上に形成した。
【0082】
続いて、レジストの開口部から露出している部分の第2イオン注入マスクをCF4ガスによりエッチングして除去した。そして、上記のように除去された第2イオン注入マスクから露出した部分の第1イオン注入マスクをSF6ガスによりエッチングして、上記のレジストの開口部の下方に位置するSiC膜の表面を露出させた。
【0083】
ここで、CF4ガスは、タングステンからなる第1イオン注入マスクよりも酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスクの方を大きくエッチングするエッチングガスである。また、SF6ガスは、酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスクよりもタングステンからなる第1イオン注入マスクの方を大きくエッチングするエッチングガスである。
【0084】
その後、レジストを除去し、露出したSiC膜の表面にリンイオンをイオン注入するこ
とによって、SiC膜の表面の一部にn型ドーパント注入領域を形成した。ここで、n型ドーパント注入領域は、ドーズ量が1×1015cm-2の条件でリンイオンを注入することによって形成された。
【0085】
次に、アンモニア水溶液と過酸化水素水との混合溶液からなるエッチング液に2分間浸漬させることで、タングステンからなる第1イオン注入マスクの側面を0.5μmの厚さだけその幅方向にエッチングした。これにより、SiC膜の表面のうちn型ドーパント注入領域が形成された領域以外の領域が露出した。
【0086】
なお、アンモニア水溶液と過酸化水素水との混合溶液からなるエッチング液は、酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスクよりもタングステンからなる第1イオン注入マスクの方を大きくエッチングするエッチング液である。
【0087】
続いて、酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスクをバッファードフッ酸を用いたエッチングによりすべて除去した。ここで、バッファードフッ酸は、タングステンからなる第1イオン注入マスクよりも酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスクの方を大きくエッチングするエッチング液である。
【0088】
次いで、露出しているSiC膜の表面にアルミニウムイオンを注入することによって、SiC膜の表面にp型ドーパント注入領域を形成した。ここで、p型ドーパント注入領域は、ドーズ量が1×1014cm-2の条件でアルミニウムイオンを注入することによって形成された。
【0089】
次に、タングステンからなる第1イオン注入マスクをアンモニア水溶液と過酸化水素水との混合溶液からなるエッチング液を用いたエッチングによりすべて除去した。その後、ウエハを1700℃に加熱して活性化アニールを行ない、結晶性を回復させるとともに、イオン注入されたドーパントの活性化を行なった。
【0090】
続いて、SiC膜の表面に熱酸化法により酸化ケイ素からなるゲート酸化膜を100nmの膜厚で形成した。
【0091】
その後、ソース電極およびドレイン電極を形成し、さらに、ゲート酸化膜の表面上にゲート電極を形成した後に、ウエハをチップ状に分割することによって、SiC−MOSFETを完成させた。
【0092】
(実施例2)
まず、SiC基板の表面上にn型のSiC膜をエピタキシャル成長させたウエハを作製した。ここで、エピタキシャル成長させたn型のSiC膜の膜厚は10μmであって、n型ドーパントの濃度は1×1015cm-3であった。
【0093】
次に、SiC膜の表面全体にタングステンからなるイオン注入マスクをスパッタリング法により1600nmの膜厚で形成した。
【0094】
次いで、フォトリソグラフィ技術を利用して、n型ドーパント注入領域を形成する箇所に開口部を有するようにパターンニングされたレジストを上記のイオン注入マスク上に形成した。
【0095】
続いて、レジストの開口部から露出している部分のタングステンからなるイオン注入マスクをSF6ガスによりエッチングし、上記のレジストの開口部の下方に位置するSiC膜の表面を露出させた。
【0096】
その後、レジストを除去し、露出したSiC膜の表面にリンイオンをイオン注入することによって、SiC膜の表面の一部にn型ドーパント注入領域を形成した。ここで、n型ドーパント注入領域は、ドーズ量が1×1015cm-2の条件でリンイオンを注入することによって形成された。
【0097】
次に、SF6ガスを用いてタングステンからなるイオン注入マスクのドライエッチングを行なった。ここで、ドライエッチングの条件は、等方性エッチングに近い条件とした。ドライエッチング後のタングステンからなるイオン注入マスクの幅の減少量は800nmであり、イオン注入マスクの厚さの減少量は400nmであった。したがって、上記のドライエッチング後のイオン注入マスクの厚さは1200nmとなっていた。
【0098】
次いで、露出しているSiC膜の表面にアルミニウムイオンを注入することによって、SiC膜の表面にp型ドーパント注入領域を形成した。ここで、p型ドーパント注入領域は、ドーズ量が1×1014cm-2の条件でアルミニウムイオンを注入することによって形成された。
【0099】
ここで、アルミニウムイオンのイオン注入におけるイオン注入マスクとして機能する厚さは800nmであった。したがって、上記のドライエッチング後のイオン注入マスクの厚さは、アルミニウムイオンのイオン注入におけるイオン注入マスクとして機能する厚さを十分に有していることが確認された。
【0100】
次に、タングステンからなるイオン注入マスクをアンモニア水溶液と過酸化水素水との混合溶液からなるエッチング液を用いたエッチングによりすべて除去した。その後、ウエハを1700℃に加熱して活性化アニールを行ない、結晶性を回復させるとともに、イオン注入されたドーパントの活性化を行なった。
【0101】
続いて、SiC膜の表面に熱酸化法により酸化ケイ素からなるゲート酸化膜を100nmの膜厚で形成した。
【0102】
その後、ソース電極およびドレイン電極を形成し、さらに、ゲート酸化膜の表面上にゲート電極を形成した後に、ウエハをチップ状に分割することによって、SiC−MOSFETを完成させた。
【0103】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明によれば、半導体装置を微細化することができるとともに半導体装置の特性のばらつきを低減することができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図2】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図3】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図6】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図7】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図8】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図9】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図10】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図11】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図12】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図13】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図14】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図15】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図16】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図17】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図18】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図19】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図20】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図21】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図22】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図23】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図24】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図25】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図26】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図27】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図28】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図29】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図30】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0106】
101,201 SiC基板、102,202 SiC膜、103,203 イオン注入マスク、103a 第1イオン注入マスク、103b 第2イオン注入マスク、104,204 レジスト、105,205 開口部、106,206 n型ドーパント注入領域、107,207 p型ドーパント注入領域、108,208 ゲート酸化膜、109,209 ソース電極、110,210 ゲート電極、111,211 ドレイン電極。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、半導体装置を微細化することができるとともに半導体装置の特性のばらつきを低減することができる半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の一種であるSiC(炭化ケイ素)を用いたMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor;以下、「SiC−MOSFET」と言うこともある。)は、大きく分けて、選択イオン注入、活性化アニール、ゲート酸化膜形成、および電極形成の工程を経て作製されている。
【0003】
以下、図20〜図30の模式的断面図を参照して、従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例について説明する。
【0004】
まず、図20に示すように、SiC基板201の表面上にn型のSiC膜202をエピタキシャル成長させる。次に、図21に示すように、SiC膜202の表面全体にイオン注入マスク203を形成する。
【0005】
次いで、図22に示すように、イオン注入マスク203上にフォトリソグラフィ技術を利用して所定の開口部205を有するレジスト204を形成する。続いて、図23に示すように、開口部205の下方に位置する部分のイオン注入マスク203をエッチングにより除去して、SiC膜202の表面の一部を露出させる。
【0006】
その後、図24に示すように、レジスト204を除去し、露出したSiC膜202の表面にリンなどのn型ドーパントのイオンをイオン注入することによって、SiC膜202の表面にn型ドーパント注入領域206を形成する。
【0007】
次に、図25に示すように、SiC膜202の表面からイオン注入マスク203をすべて除去する。その後、図26に示すように、SiC膜202の表面全体にイオン注入マスク203を再度形成する。
【0008】
そして、図27に示すように、イオン注入マスク203の表面上にフォトリソグラフィ技術を利用してレジスト204を部分的に形成する。ここで、レジスト204の形成位置は、フォトリソグラフィ装置の精度等によって設定位置からずれることがある。
【0009】
次に、図28に示すように、レジスト204が形成されていないイオン注入マスク203の部分をエッチングにより除去することによって、SiC膜202の表面の一部を露出させる。
【0010】
続いて、図29に示すように、露出したSiC膜202の表面にアルミニウムなどのp型ドーパントのイオンをイオン注入することによって、SiC膜202の表面にp型ドーパント注入領域207を形成する。
【0011】
その後、イオン注入マスク203およびレジスト204を除去し、イオン注入マスク203およびレジスト204の除去後のウエハについて結晶性を回復するための活性化アニールを行なう。
【0012】
そして、図30に示すように、SiC膜202の表面上にゲート酸化膜208、ソース電極209およびドレイン電極211を形成し、ゲート酸化膜208の表面上にゲート電極210を形成する。その後、ソース電極209、ゲート電極210およびドレイン電極211にそれぞれ配線を付けてからウエハをチップ状に分割することによって、SiC−MOSFETが完成する。
【非特許文献1】松波弘之編著,「半導体SiC技術と応用」,日刊工業新聞社
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
SiCはドーパントの拡散係数が小さいため、拡散法ではなく、イオン注入法によって、n型ドーパントおよびp型ドーパントをそれぞれ導入する必要がある。
【0014】
しかしながら、上述したように、n型ドーパントおよびp型ドーパントのイオン注入のイオン注入マスクとなるレジストの形成位置がフォトリソグラフィ装置の精度等によってばらつくため、n型ドーパント注入領域とp型ドーパント注入領域との相対的な位置関係にばらつきが生じ、ひいてはSiC−MOSFETのゲート長にばらつきが生じてSiC−MOSFETの特性にばらつきが生じるという問題があった。また、半導体装置のさらなる微細化も要望されている。
【0015】
そこで、本発明の目的は、半導体装置を微細化することができるとともに半導体装置の特性のばらつきを低減することができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、半導体の表面の一部にイオン注入マスクを形成する第1工程と、イオン注入マスクが形成されている領域以外の半導体の表面の露出領域の少なくとも一部に第1ドーパントのイオンを注入して第1ドーパント注入領域を形成する第2工程と、第1ドーパント注入領域の形成後にイオン注入マスクの一部を除去して半導体の表面の露出領域を拡大する第3工程と、拡大した半導体の表面の露出領域の少なくとも一部に第2ドーパントのイオンを注入して第2ドーパント注入領域を形成する第4工程と、を含む、半導体装置の製造方法である。
【0017】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、第1ドーパント注入領域の形成用のイオン注入マスクを第2ドーパント注入領域の形成にも利用することができ、第1ドーパント注入領域と第2ドーパント注入領域との相対的な位置関係のばらつきを低減することができるため、半導体装置を微細化することができるとともに半導体装置の特性のばらつきを低減することができる。また、本発明の半導体装置の製造方法によれば、イオン注入マスクのパターンニング用のレジストの形成が1回で済むため、従来と比べて工程数を減少させることもできる。
【0018】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、イオン注入マスクは、タングステン、ケイ素、アルミニウム、ニッケルおよびチタンからなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。この場合には、イオン注入マスクが第1ドーパントおよび第2ドーパントのイオン注入のマスクとして機能するとともに、イオン注入マスクに半導体表面との密着を改善する密着改善層および半導体表面のエッチングを抑制することができるエッチングストップ層を含ませることができる。ここで、上記のタングステン、ケイ素、アルミニウム、ニッケルおよびチタンはそれぞれ、単体の形態でイオン注入マスクに含まれていてもよく、化合物の形態でイオン注入マスクに含まれていてもよい。
【0019】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、イオン注入マスクは2層以上からなっていてもよい。イオン注入マスクが2層以上からなっている場合には、第1ドーパント注
入領域の形成後にイオン注入マスクの一部を除去して半導体の表面の露出領域を拡大する際に、イオン注入マスクの厚さの減少を抑制しながらその幅を薄くすることができるため、第2ドーパントのイオン注入時のイオン注入マスクの信頼性が向上する。
【0020】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、イオン注入マスクは、第1イオン注入マスクと、第1イオン注入マスク上に形成された第2イオン注入マスクと、の2層からなっていてもよい。この場合には、第1ドーパント注入領域の形成後に第1イオン注入マスクの一部を除去して半導体の表面の露出領域を拡大する際に、第1イオン注入マスクの厚さの減少を抑制しながら第1イオン注入マスクの幅を薄くすることができるため、第2ドーパントのイオン注入時の第1イオン注入マスクの信頼性が向上する。
【0021】
また、上記において、第1イオン注入マスクがタングステンを主成分とし、第2イオン注入マスクが酸化ケイ素を主成分とすることが好ましい。この場合には、第1イオン注入マスクのエッチング時には第2イオン注入マスクがエッチングされにくく、第2イオン注入マスクのエッチング時には第1イオン注入マスクがエッチングされにくい傾向が特に大きくなり、第1イオン注入マスクの厚さの減少を抑制しながら第1イオン注入マスクの幅を薄くすることができるため、第2ドーパントのイオン注入時の第1イオン注入マスクの信頼性が向上する。
【0022】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、第1工程は半導体の表面上に第1イオン注入マスクと第2イオン注入マスクとをこの順序で積層してイオン注入マスクを形成した後にイオン注入マスクの一部をエッチングすることによって半導体の表面の一部を露出させることにより行なわれ、第3工程は第1ドーパント注入領域の形成後に第1イオン注入マスクを少なくともその幅方向にエッチングすることにより行なわれ、第3工程と第4工程との間には第2イオン注入マスクをエッチングにより除去する工程が含まれ、第4工程の後には第1イオン注入マスクをエッチングにより除去する工程が含まれていてもよい。この場合には、半導体装置の微細化および半導体装置の特性のばらつきの低減を達成することができるとともに従来よりも工程数を減少させることができる。
【0023】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、第2イオン注入マスクをエッチングするためのエッチング液またはエッチングガスによる第2イオン注入マスクの第1イオン注入マスクに対する選択比が2以上であることが好ましい。この場合には、第2ドーパントのイオン注入前に、第2イオン注入マスクのエッチングを抑制することができ、第1イオン注入マスクの厚さの減少を抑制しながら第1イオン注入マスクをその幅方向にエッチングすることができるため、第2ドーパントのイオン注入時の第1イオン注入マスクの信頼性が向上する。
【0024】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、第1工程におけるエッチングおよび第3工程におけるエッチングはそれぞれドライエッチングにより行なわれることが好ましい。この場合には、半導体の表面を露出させる第1工程においては第1イオン注入マスクおよび第2イオン注入マスクの厚さ方向のエッチングが進行する傾向にあり、半導体の表面の露出領域を拡大する第3工程においては第1イオン注入マスクおよび第2イオン注入マスクの幅方向のエッチングの制御が容易になる傾向にあるため、第1イオン注入マスクおよび第2イオン注入マスクのエッチング時においてこれらのイオン注入マスクが不要にエッチングされないようにすることができる。
【0025】
また、本発明の半導体装置の製造方法においては、第3工程におけるイオン注入マスクの一部の除去をエッチングにより行ない、第3工程におけるエッチング後のイオン注入マスクの厚さを第4工程における第2ドーパントのイオンの注入マスクとして機能する厚さとすることができる。この場合には、イオン注入マスクが第2ドーパントのイオンの注入
マスクとして機能するため、第2ドーパント注入領域を不要な箇所にまで形成されないようにすることができる。
【0026】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、イオン注入マスクがタングステンを主成分としてもよい。イオン注入マスクがタングステンを主成分とする場合には、タングステンは高密度材料でイオン注入を阻止する能力が高いため、他の材料と比べてイオン注入マスクを薄く形成することができ、プロセスが簡易となる傾向にある点で好ましい。
【0027】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、第1工程は半導体の表面上にイオン注入マスクを形成した後にイオン注入マスクの一部をエッチングすることによって半導体の表面の一部を露出させることにより行なわれ、第3工程は第1ドーパント注入領域の形成後にイオン注入マスクを少なくともその幅方向にエッチングすることにより行なわれ、第4工程の後にはイオン注入マスクを除去する工程が含まれていてもよい。この場合には、半導体装置の微細化および半導体装置の特性のばらつきの低減を達成することができるとともに従来よりも工程数を減少させることができる。
【0028】
ここで、第1工程におけるエッチングおよび第3工程におけるエッチングはそれぞれドライエッチングにより行なわれることが好ましい。この場合には、半導体の表面を露出させる第1工程においてはイオン注入マスクの厚さ方向のエッチングが進行する傾向にあり、半導体の表面の露出領域を拡大する第3工程においてはイオン注入マスクの幅方向のエッチングの制御が容易になる傾向にあるため、イオン注入マスクのエッチング時においてイオン注入マスクを不要にエッチングしないようにすることができる。
【0029】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、半導体はバンドギャップエネルギが2.5eV以上であることが好ましい。この場合には、高耐圧かつ低損失で、耐熱性および耐環境性に優れた半導体装置を製造することができる傾向にある。
【0030】
また、本発明の半導体装置の製造方法において、半導体は、炭化ケイ素を主成分とすることが好ましい。炭化ケイ素からなる半導体装置においては、ドーパントの注入後の活性化アニール温度が高温となるため、従来のSiデバイスのようなセルフアラインの手法を用いることができないため、本発明を特に好適に用いることができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、半導体装置を微細化することができるとともに半導体装置の特性のばらつきを低減することができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0033】
(実施の形態1)
以下、図1〜図10の模式的断面図を参照して、本発明の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
【0034】
まず、図1に示すように、SiC基板101の表面上にn型のSiC膜102をエピタキシャル成長させてウエハを形成する。次に、図2に示すように、SiC膜102の表面全体にタングステンからなる第1イオン注入マスク103aを形成し、第1イオン注入マスク103aの表面上に酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスク103bを形成する。これにより、第1イオン注入マスク103aと第2イオン注入マスク103bとの積層体からなるイオン注入マスク103が形成される。
【0035】
ここで、タングステンからなる第1イオン注入マスク103aおよび酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスク103bはそれぞれ、たとえば、スパッタリング法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法等によって形成することができる。
【0036】
また、タングステンからなる第1イオン注入マスク103aは、2μm以下の厚さに形成されることが好ましく、1μm以下の厚さに形成されることがより好ましい。また、酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスク103bは、0.5μm以下の厚さに形成されることが好ましく、0.3μm以下の厚さに形成されることがより好ましい。
【0037】
次いで、図3に示すように、第2イオン注入マスク103b上にたとえばフォトリソグラフィ技術を利用して所定の開口部105を有するレジスト104を形成する。続いて、図4に示すように、開口部105の下方に位置する部分の第1イオン注入マスク103aおよび第2イオン注入マスク103bをその厚さ方向にエッチングにより除去して、SiC膜102の表面の一部を露出させる。
【0038】
その後、図5に示すように、レジスト104を除去し、露出したSiC膜102の表面にリンなどのn型ドーパントのイオンをイオン注入することによって、SiC膜102の表面にn型ドーパント注入領域106を形成する。
【0039】
次に、図6に示すように、第1イオン注入マスク103aをその幅方向にエッチングすることによって、第1イオン注入マスク103aの幅を減少させる。これにより、SiC膜102の表面のうちn型ドーパント注入領域106が形成された領域以外の領域が露出し、SiC膜102の表面の露出領域が拡大する。
【0040】
ここで、第1イオン注入マスク103aのエッチングを行なうためのエッチング液またはエッチングガスとしては、第2イオン注入マスク103bよりも第1イオン注入マスク103aをエッチングしやすい材質のものが用いられる。
【0041】
続いて、図7に示すように、第1イオン注入マスク103a上の第2イオン注入マスク103bをエッチングにより除去する。ここで、第2イオン注入マスク103bをエッチングするためのエッチング液またはエッチングガスとしては、第1イオン注入マスク103aよりも第2イオン注入マスク103bをエッチングしやすい材質のものが用いられる。
【0042】
次いで、図8に示すように、上記のようにして拡大したSiC膜102の表面の露出領域にアルミニウムなどのp型ドーパントのイオンをイオン注入することによって、SiC膜102の表面にp型ドーパント注入領域107を形成する。
【0043】
そして、図9に示すように、第1イオン注入マスク103aを除去する。その後、第1イオン注入マスク103aの除去後のウエハについて結晶性を回復するとともに、イオン注入されたn型ドーパントおよびp型ドーパントのイオンを活性化するための活性化アニールを行なう。
【0044】
そして、図10に示すように、SiC膜102の表面上にゲート酸化膜108、ソース電極109およびドレイン電極111を形成し、ゲート酸化膜108の表面上にゲート電極110を形成した後に、ウエハをチップ状に分割することによって、SiC−MOSFETが完成する。
【0045】
このように、本実施の形態においては、n型ドーパント注入領域の形成用のイオン注入
マスクをp型ドーパント注入領域の形成にも利用することができるため、従来のように、n型ドーパント注入領域の形成用のイオン注入マスクとp型ドーパント注入領域の形成用のイオン注入マスクとを別々に形成する必要がない。
【0046】
したがって、従来に比べて、n型ドーパント注入領域とp型ドーパント注入領域との相対的な位置関係のばらつきを低減することができ、ゲート長を短くすることができることから、半導体装置の微細化につながる。また、そのばらつきの低減により半導体装置の特性のばらつきも低減することができる。
【0047】
また、イオン注入マスクのパターンニング用のレジストの形成が1回で済むため、従来と比べて工程数を減少させることもできる。
【0048】
なお、イオン注入マスク103は、タングステンからなる第1イオン注入マスク103aとSiC膜102の表面との間に、たとえばチタン、ニッケル、酸化ケイ素または窒化ケイ素等からなる層を含んでいてもよい。このような層は、イオン注入マスク103とSiC膜102との密着性を改善し、SiC膜102の表面のエッチングストップ層としても機能し得るためである。この層は、たとえば100nm以下の厚さに形成することができる。
【0049】
また、上記においては、第1イオン注入マスク103aとしてタングステンを用い、第2イオン注入マスク103bとして酸化ケイ素を用いたが、本発明においてはこの構成に限定されないことは言うまでもない。たとえば、第1イオン注入マスク103aに酸化ケイ素、窒化ケイ素または酸窒化ケイ素等のケイ素化合物を用い、第2イオン注入マスク103bにアルミニウムまたはチタン等の金属を用いることもできる。
【0050】
すなわち、第1イオン注入マスク103aとしては、第2イオン注入マスク103bのエッチングを行なうためのエッチング液またはエッチングガスに対して第2イオン注入マスク103bよりもエッチングされにくい材質のものを用いることができ、第2イオン注入マスク103bとしては、第1イオン注入マスク103aのエッチングを行なうためのエッチング液またはエッチングガスに対して第1イオン注入マスク103aよりもエッチングされにくい材質のものを用いることができる。
【0051】
なかでも、第1イオン注入マスク103aとしてはタングステンを用いることが好ましく、第2イオン注入マスク103bとしては酸化ケイ素を用いることが好ましい。この場合には、第1イオン注入マスク103aのエッチング時には第2イオン注入マスク103bがエッチングされにくく、第2イオン注入マスク103bのエッチング時には第1イオン注入マスク103aがエッチングされにくい傾向が特に大きくなり、第1イオン注入マスク103aの厚さの減少を抑制しながら第1イオン注入マスク103aの幅を薄くすることができるため、第2ドーパントのイオン注入時の第1イオン注入マスク103aの信頼性を向上することができる。
【0052】
なお、本発明において、イオン注入マスク103は、上記の2層の構成に限られず、1層であってもよく、3層以上であってもよい。
【0053】
また、第2イオン注入マスク103bをエッチングするためのエッチング液またはエッチングガスによる第2イオン注入マスク103bの第1イオン注入マスク103aに対する選択比が2以上であることが好ましい。この場合には、p型ドーパントのイオン注入前に、第2イオン注入マスク103bのエッチングを抑制することができ、第1イオン注入マスク103aの厚さの減少を抑制しながら第1イオン注入マスク103aをその幅方向にエッチングすることができるため、p型ドーパントのイオン注入時の第1イオン注入マ
スク103aの信頼性が向上する。
【0054】
なお、上記の選択比は、第1イオン注入マスク103aと第2イオン注入マスク103bとを同一の条件でエッチング液またはエッチングガスによってエッチングし、第1イオン注入マスク103aのエッチング速度と第2イオン注入マスク103bのエッチング速度との比(第1イオン注入マスク103aのエッチング速度/第2イオン注入マスク103bのエッチング速度)を求めることによって算出することができる。
【0055】
また、上記において、図4に示す第1イオン注入マスク103aおよび第2イオン注入マスク103bの厚さ方向のエッチングはエッチングガスを用いたドライエッチングにより行なわれることが好ましい。また、図6に示す第1イオン注入マスク103aの幅方向のエッチングはエッチング液を用いたウエットエッチングにより行なうこともできるが、エッチングガスを用いたドライエッチングにより行なわれることが好ましい。
【0056】
すなわち、エッチングガスを用いたドライエッチングにおいては、通常、SiC基板101にバイアス電圧が印加され、エッチングガスはSiC基板101方向へある程度の指向性を持って進行するため、ウエットエッチングと比べて、第1イオン注入マスク103aおよび第2イオン注入マスク103bの厚さ方向のエッチングが進みやすくなる傾向にある。また、エッチング液を用いたウエットエッチングにおいては、等方性エッチングが進行しやすいため、ドライエッチングと比べて、第1イオン注入マスク103aの幅方向のエッチングが進みやすくなる傾向にあるが、エッチングの制御を容易にする観点からはエッチングガスを用いたドライエッチングにより第1イオン注入マスク103aの幅方向のエッチングを行なうことが好ましい。
【0057】
また、上記においては、半導体としてSiCを用いたが、SiC以外の半導体を用いてもよいことは言うまでもない。本発明において、半導体としては、たとえば、窒化ガリウム、ダイヤモンド、酸化亜鉛または窒化アルミニウム等を用いることができる。
【0058】
なかでも、本発明においては、バンドギャップエネルギが2.5eV以上の半導体を用いることが好ましい。この場合には、高耐圧かつ低損失で、耐熱性および耐環境性に優れた半導体装置を製造することができる傾向にある。
【0059】
また、上記においては、半導体装置としてSiC−MOSFETを作製する場合について説明したが、本発明においてはSiC以外の半導体を用いてSiC−MOSFET以外の半導体装置を作製してもよいことは言うまでもない。
【0060】
また、本発明においては、上記のp型とn型の導電型が入れ替わっていてもよいことは言うまでもない。
【0061】
(実施の形態2)
以下、図11〜図19の模式的断面図を参照して、本発明の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
【0062】
まず、図11に示すように、SiC基板101の表面上にn型のSiC膜102をエピタキシャル成長させてウエハを形成する。次に、図12に示すように、SiC膜102の表面全体にタングステンからなるイオン注入マスク103を形成する。
【0063】
次いで、図13に示すように、イオン注入マスク103の表面上にたとえばフォトリソグラフィ技術を利用して所定の開口部105を有するレジスト104を形成する。続いて、図14に示すように、開口部105の下方に位置する部分の注入マスク103をエッチ
ングにより除去して、SiC膜102の表面の一部を露出させる。
【0064】
その後、図15に示すように、レジスト104を除去し、露出したSiC膜102の表面にリンなどのn型ドーパントのイオンをイオン注入することによって、SiC膜102の表面にn型ドーパント注入領域106を形成する。
【0065】
次に、図16に示すように、イオン注入マスク103の等方性エッチングを行ない、イオン注入マスク103をその幅方向に除去して、イオン注入マスク103の幅を減少させる。これにより、SiC膜102の表面のうちn型ドーパント注入領域106が形成された領域以外の領域が露出し、SiC膜102の表面の露出領域が拡大する。
【0066】
なお、本実施の形態においては、上記の等方性エッチングによって、イオン注入マスク103全体がエッチングされることになるため、イオン注入マスク103の幅だけでなく高さも減少することになる。
【0067】
次いで、図17に示すように、上記のようにして拡大したSiC膜102の表面の露出領域にアルミニウムなどのp型ドーパントのイオンをイオン注入することによって、SiC膜102の表面にp型ドーパント注入領域107を形成する。
【0068】
そして、図18に示すように、イオン注入マスク103を除去する。その後、イオン注入マスク103の除去後のウエハについて結晶性を回復するための活性化アニールを行なう。
【0069】
そして、図19に示すように、SiC膜102の表面上にゲート酸化膜108、ソース電極109およびドレイン電極111を形成し、ゲート酸化膜108の表面上にゲート電極110を形成した後に、ウエハをチップ状に分割することによって、SiC−MOSFETが完成する。
【0070】
このように、本実施の形態においては、n型ドーパント注入領域の形成用のイオン注入マスクをp型ドーパント注入領域の形成にも利用することができ、n型ドーパント注入領域の形成用のイオン注入マスクとp型ドーパント注入領域の形成用のイオン注入マスクとを別々に形成する必要がない。
【0071】
したがって、従来に比べて、n型ドーパント注入領域とp型ドーパント注入領域との相対的な位置関係のばらつきを低減することができ、ゲート長を短くすることができることから、半導体装置の微細化につながる。また、そのばらつきの低減により半導体装置の特性のばらつきも低減することができる。
【0072】
また、イオン注入マスク103のパターンニング用のレジストの形成が1回で済むため、従来と比べて工程数を減少させることもできる。
【0073】
なお、本実施の形態においては、イオン注入マスク103としてタングステンを用いたが、これに限定されないことは言うまでもない。
【0074】
また、上記において、図16に示すエッチング後のイオン注入マスク103の厚さは、その後のp型ドーパントのイオンのイオン注入におけるイオン注入マスクとして機能する厚さとなっていることが好ましい。図16に示すエッチング後のイオン注入マスク103が後述するイオン注入のイオン注入マスクとして機能しない場合には、p型ドーパント注入領域107が不要な箇所にまで形成されてしまうためである。ここで、イオン注入マスクとして機能する厚さとは、イオン注入されるイオンの99.9%以上の注入を阻止する
ことができる厚さを意味する。
【0075】
たとえば、図16に示すエッチングによって、イオン注入マスク103の幅がその両側からxずつ減少する場合には、イオン注入マスク103の厚さがx以上減少することがあるが、x以上減少した後のイオン注入マスク103の厚さがイオン注入マスクとして機能する厚さ以上であればよい。
【0076】
また、上記において、図14に示すイオン注入マスク103の厚さ方向のエッチングはエッチングガスを用いたドライエッチングにより行なわれることが好ましい。また、図16に示すイオン注入マスク103のエッチングはエッチング液を用いたウエットエッチングにより行なうこともできるが、エッチングガスを用いたドライエッチングにより行なわれることが好ましい。
【0077】
上述したように、エッチングガスを用いたドライエッチングにおいては、エッチングガスがSiC基板101方向へある程度の指向性を持って進行するため、ウエットエッチングと比べてイオン注入マスク103の厚さ方向のエッチングが進みやすくなる傾向にある。また、エッチング液を用いたウエットエッチングにおいては、等方性エッチングが進行しやすいため、ドライエッチングと比べてイオン注入マスク103の幅方向のエッチングが進みやすくなる傾向にあるが、エッチングの制御を容易にする観点からはエッチングガスを用いたドライエッチングによりイオン注入マスク103の幅方向のエッチングを行なうことが好ましい。
【0078】
なお、本実施の形態におけるその他の説明は実施の形態1と同様である。
【実施例】
【0079】
(実施例1)
まず、SiC基板の表面上にn型のSiC膜をエピタキシャル成長させたウエハを作製した。ここで、エピタキシャル成長させたn型のSiC膜の膜厚は10μmであって、n型ドーパントの濃度は1×1015cm-3であった。
【0080】
次に、SiC膜の表面全体にタングステンからなる第1イオン注入マスクをスパッタリング法により形成し、第1イオン注入マスクに酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスクをスパッタリング法により形成した。ここで、第1イオン注入マスクの厚さは800nmであって、第2イオン注入マスクの厚さは100nmであった。
【0081】
次いで、フォトリソグラフィ技術を利用して、n型ドーパント注入領域を形成する箇所に開口部を有するようにパターンニングされたレジストを第2イオン注入マスク上に形成した。
【0082】
続いて、レジストの開口部から露出している部分の第2イオン注入マスクをCF4ガスによりエッチングして除去した。そして、上記のように除去された第2イオン注入マスクから露出した部分の第1イオン注入マスクをSF6ガスによりエッチングして、上記のレジストの開口部の下方に位置するSiC膜の表面を露出させた。
【0083】
ここで、CF4ガスは、タングステンからなる第1イオン注入マスクよりも酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスクの方を大きくエッチングするエッチングガスである。また、SF6ガスは、酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスクよりもタングステンからなる第1イオン注入マスクの方を大きくエッチングするエッチングガスである。
【0084】
その後、レジストを除去し、露出したSiC膜の表面にリンイオンをイオン注入するこ
とによって、SiC膜の表面の一部にn型ドーパント注入領域を形成した。ここで、n型ドーパント注入領域は、ドーズ量が1×1015cm-2の条件でリンイオンを注入することによって形成された。
【0085】
次に、アンモニア水溶液と過酸化水素水との混合溶液からなるエッチング液に2分間浸漬させることで、タングステンからなる第1イオン注入マスクの側面を0.5μmの厚さだけその幅方向にエッチングした。これにより、SiC膜の表面のうちn型ドーパント注入領域が形成された領域以外の領域が露出した。
【0086】
なお、アンモニア水溶液と過酸化水素水との混合溶液からなるエッチング液は、酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスクよりもタングステンからなる第1イオン注入マスクの方を大きくエッチングするエッチング液である。
【0087】
続いて、酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスクをバッファードフッ酸を用いたエッチングによりすべて除去した。ここで、バッファードフッ酸は、タングステンからなる第1イオン注入マスクよりも酸化ケイ素からなる第2イオン注入マスクの方を大きくエッチングするエッチング液である。
【0088】
次いで、露出しているSiC膜の表面にアルミニウムイオンを注入することによって、SiC膜の表面にp型ドーパント注入領域を形成した。ここで、p型ドーパント注入領域は、ドーズ量が1×1014cm-2の条件でアルミニウムイオンを注入することによって形成された。
【0089】
次に、タングステンからなる第1イオン注入マスクをアンモニア水溶液と過酸化水素水との混合溶液からなるエッチング液を用いたエッチングによりすべて除去した。その後、ウエハを1700℃に加熱して活性化アニールを行ない、結晶性を回復させるとともに、イオン注入されたドーパントの活性化を行なった。
【0090】
続いて、SiC膜の表面に熱酸化法により酸化ケイ素からなるゲート酸化膜を100nmの膜厚で形成した。
【0091】
その後、ソース電極およびドレイン電極を形成し、さらに、ゲート酸化膜の表面上にゲート電極を形成した後に、ウエハをチップ状に分割することによって、SiC−MOSFETを完成させた。
【0092】
(実施例2)
まず、SiC基板の表面上にn型のSiC膜をエピタキシャル成長させたウエハを作製した。ここで、エピタキシャル成長させたn型のSiC膜の膜厚は10μmであって、n型ドーパントの濃度は1×1015cm-3であった。
【0093】
次に、SiC膜の表面全体にタングステンからなるイオン注入マスクをスパッタリング法により1600nmの膜厚で形成した。
【0094】
次いで、フォトリソグラフィ技術を利用して、n型ドーパント注入領域を形成する箇所に開口部を有するようにパターンニングされたレジストを上記のイオン注入マスク上に形成した。
【0095】
続いて、レジストの開口部から露出している部分のタングステンからなるイオン注入マスクをSF6ガスによりエッチングし、上記のレジストの開口部の下方に位置するSiC膜の表面を露出させた。
【0096】
その後、レジストを除去し、露出したSiC膜の表面にリンイオンをイオン注入することによって、SiC膜の表面の一部にn型ドーパント注入領域を形成した。ここで、n型ドーパント注入領域は、ドーズ量が1×1015cm-2の条件でリンイオンを注入することによって形成された。
【0097】
次に、SF6ガスを用いてタングステンからなるイオン注入マスクのドライエッチングを行なった。ここで、ドライエッチングの条件は、等方性エッチングに近い条件とした。ドライエッチング後のタングステンからなるイオン注入マスクの幅の減少量は800nmであり、イオン注入マスクの厚さの減少量は400nmであった。したがって、上記のドライエッチング後のイオン注入マスクの厚さは1200nmとなっていた。
【0098】
次いで、露出しているSiC膜の表面にアルミニウムイオンを注入することによって、SiC膜の表面にp型ドーパント注入領域を形成した。ここで、p型ドーパント注入領域は、ドーズ量が1×1014cm-2の条件でアルミニウムイオンを注入することによって形成された。
【0099】
ここで、アルミニウムイオンのイオン注入におけるイオン注入マスクとして機能する厚さは800nmであった。したがって、上記のドライエッチング後のイオン注入マスクの厚さは、アルミニウムイオンのイオン注入におけるイオン注入マスクとして機能する厚さを十分に有していることが確認された。
【0100】
次に、タングステンからなるイオン注入マスクをアンモニア水溶液と過酸化水素水との混合溶液からなるエッチング液を用いたエッチングによりすべて除去した。その後、ウエハを1700℃に加熱して活性化アニールを行ない、結晶性を回復させるとともに、イオン注入されたドーパントの活性化を行なった。
【0101】
続いて、SiC膜の表面に熱酸化法により酸化ケイ素からなるゲート酸化膜を100nmの膜厚で形成した。
【0102】
その後、ソース電極およびドレイン電極を形成し、さらに、ゲート酸化膜の表面上にゲート電極を形成した後に、ウエハをチップ状に分割することによって、SiC−MOSFETを完成させた。
【0103】
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明によれば、半導体装置を微細化することができるとともに半導体装置の特性のばらつきを低減することができる半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図2】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図3】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図4】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図5】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図6】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図7】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図8】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図9】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図10】本発明の半導体装置の製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図11】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図12】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図13】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図14】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図15】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図16】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図17】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図18】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図19】本発明の半導体装置の製造方法の他の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図20】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図21】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図22】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図23】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図24】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図25】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図26】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図27】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図28】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図29】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【図30】従来のSiC−MOSFETの製造方法の一例の一部を図解する模式的な断面図である。
【符号の説明】
【0106】
101,201 SiC基板、102,202 SiC膜、103,203 イオン注入マスク、103a 第1イオン注入マスク、103b 第2イオン注入マスク、104,204 レジスト、105,205 開口部、106,206 n型ドーパント注入領域、107,207 p型ドーパント注入領域、108,208 ゲート酸化膜、109,209 ソース電極、110,210 ゲート電極、111,211 ドレイン電極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体の表面の一部にイオン注入マスクを形成する第1工程と、
前記イオン注入マスクが形成されている領域以外の前記半導体の表面の露出領域の少なくとも一部に第1ドーパントのイオンを注入して第1ドーパント注入領域を形成する第2工程と、
前記第1ドーパント注入領域の形成後に前記イオン注入マスクの一部を除去して前記半導体の表面の露出領域を拡大する第3工程と、
前記拡大した前記半導体の表面の露出領域の少なくとも一部に第2ドーパントのイオンを注入して第2ドーパント注入領域を形成する第4工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記イオン注入マスクは、タングステン、ケイ素、アルミニウム、ニッケルおよびチタンからなる群から選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記イオン注入マスクは2層以上からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記イオン注入マスクは、第1イオン注入マスクと、前記第1イオン注入マスク上に形成された第2イオン注入マスクと、の2層からなることを特徴とする、請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1イオン注入マスクがタングステンを主成分とし、前記第2イオン注入マスクが酸化ケイ素を主成分とすることを特徴とする、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1工程は、前記半導体の表面上に前記第1イオン注入マスクと前記第2イオン注入マスクとをこの順序で積層して前記イオン注入マスクを形成した後に前記イオン注入マスクの一部をエッチングすることによって前記半導体の表面の一部を露出させることにより行なわれ、
前記第3工程は、前記第1ドーパント注入領域の形成後に前記第1イオン注入マスクを少なくともその幅方向にエッチングすることにより行なわれ、
前記第3工程と前記第4工程との間には、前記第2イオン注入マスクをエッチングにより除去する工程が含まれ、
前記第4工程の後には、前記第1イオン注入マスクをエッチングにより除去する工程が含まれることを特徴とする、請求項4または5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2イオン注入マスクをエッチングするためのエッチング液またはエッチングガスによる前記第2イオン注入マスクの前記第1イオン注入マスクに対する選択比が2以上であることを特徴とする、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1工程におけるエッチングおよび前記第3工程におけるエッチングはそれぞれドライエッチングにより行なわれることを特徴とする、請求項6または7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第3工程における前記イオン注入マスクの一部の除去はエッチングにより行なわれ、前記第3工程におけるエッチング後の前記イオン注入マスクの厚さが前記第4工程における前記第2ドーパントのイオンの注入マスクとして機能する厚さとなっていることを特徴とする、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記イオン注入マスクがタングステンを主成分とすることを特徴とする、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1工程は、前記半導体の表面上に前記イオン注入マスクを形成した後に前記イオン注入マスクの一部をエッチングすることによって前記半導体の表面の一部を露出させることにより行なわれ、
前記第3工程は、前記第1ドーパント注入領域の形成後に前記イオン注入マスクを少なくともその幅方向にエッチングすることにより行なわれ、
前記第4工程の後には、前記イオン注入マスクを除去する工程が含まれることを特徴とする、請求項9または10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1工程におけるエッチングおよび前記第3工程におけるエッチングはそれぞれドライエッチングにより行なわれることを特徴とする、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記半導体は、バンドギャップエネルギが2.5eV以上であることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記半導体は、炭化ケイ素を主成分とすることを特徴とする、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
半導体の表面の一部にイオン注入マスクを形成する第1工程と、
前記イオン注入マスクが形成されている領域以外の前記半導体の表面の露出領域の少なくとも一部に第1ドーパントのイオンを注入して第1ドーパント注入領域を形成する第2工程と、
前記第1ドーパント注入領域の形成後に前記イオン注入マスクの一部を除去して前記半導体の表面の露出領域を拡大する第3工程と、
前記拡大した前記半導体の表面の露出領域の少なくとも一部に第2ドーパントのイオンを注入して第2ドーパント注入領域を形成する第4工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記イオン注入マスクは、タングステン、ケイ素、アルミニウム、ニッケルおよびチタンからなる群から選択された少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記イオン注入マスクは2層以上からなることを特徴とする、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記イオン注入マスクは、第1イオン注入マスクと、前記第1イオン注入マスク上に形成された第2イオン注入マスクと、の2層からなることを特徴とする、請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1イオン注入マスクがタングステンを主成分とし、前記第2イオン注入マスクが酸化ケイ素を主成分とすることを特徴とする、請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1工程は、前記半導体の表面上に前記第1イオン注入マスクと前記第2イオン注入マスクとをこの順序で積層して前記イオン注入マスクを形成した後に前記イオン注入マスクの一部をエッチングすることによって前記半導体の表面の一部を露出させることにより行なわれ、
前記第3工程は、前記第1ドーパント注入領域の形成後に前記第1イオン注入マスクを少なくともその幅方向にエッチングすることにより行なわれ、
前記第3工程と前記第4工程との間には、前記第2イオン注入マスクをエッチングにより除去する工程が含まれ、
前記第4工程の後には、前記第1イオン注入マスクをエッチングにより除去する工程が含まれることを特徴とする、請求項4または5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第2イオン注入マスクをエッチングするためのエッチング液またはエッチングガスによる前記第2イオン注入マスクの前記第1イオン注入マスクに対する選択比が2以上であることを特徴とする、請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1工程におけるエッチングおよび前記第3工程におけるエッチングはそれぞれドライエッチングにより行なわれることを特徴とする、請求項6または7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第3工程における前記イオン注入マスクの一部の除去はエッチングにより行なわれ、前記第3工程におけるエッチング後の前記イオン注入マスクの厚さが前記第4工程における前記第2ドーパントのイオンの注入マスクとして機能する厚さとなっていることを特徴とする、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記イオン注入マスクがタングステンを主成分とすることを特徴とする、請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記第1工程は、前記半導体の表面上に前記イオン注入マスクを形成した後に前記イオン注入マスクの一部をエッチングすることによって前記半導体の表面の一部を露出させることにより行なわれ、
前記第3工程は、前記第1ドーパント注入領域の形成後に前記イオン注入マスクを少なくともその幅方向にエッチングすることにより行なわれ、
前記第4工程の後には、前記イオン注入マスクを除去する工程が含まれることを特徴とする、請求項9または10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1工程におけるエッチングおよび前記第3工程におけるエッチングはそれぞれドライエッチングにより行なわれることを特徴とする、請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記半導体は、バンドギャップエネルギが2.5eV以上であることを特徴とする、請求項1から12のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記半導体は、炭化ケイ素を主成分とすることを特徴とする、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
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【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【公開番号】特開2008−147576(P2008−147576A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−336000(P2006−336000)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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