説明

半導体装置の製造方法

【課題】トレンチゲート型MOSFETのゲートを有する半導体素子の、歩留まりおよび信頼性を高める。
【解決手段】ゲート電極9aの加工時のエッチングガスとして、フッ素系のガスであるSFを使用することでエッチングの等方性を強め、ゲート電極9aの表面を滑らかに加工することができ、製品の歩留まりおよび信頼性を向上することができる。また、ゲート電極9aの加工時のn型単結晶シリコン基板1の温度を5℃とすることで、エッチング残渣が加工表面へ再付着するのを防ぎ、加工表面を滑らかな形状にすることにより、トレンチゲート型MOSFETの歩留まりおよび信頼性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造技術に関し、特に、トレンチゲート型MOSFETを有する半導体装置の製造に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パワーエレクトロニクス分野においては、装置の小型化に伴い高耐圧半導体装置が多用されるようになってきており、そのため高耐圧半導体装置に対して、より高耐圧化・大電流化が望まれている。高耐圧化のための構造としては、トレンチゲート型MOSFRET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)などが挙げられる。
【0003】
トレンチゲート型MOSFETなどパワーMOSFETのゲート電極加工の際のエッチングでは、異方性の強いマイクロ波エッチャーが使用され、エッチングガスとしてClガスおよびOガスが使用されるのが一般的である。
【0004】
特開2005−286055号公報(特許文献1)には、ゲート電極形成時のエッチバック工程でSF+He系のガスを用いたドライエッチングを行う工程を有するトレンチゲート型パワーMOSFETの製造技術が開示されている。
【0005】
特開2005−286056号公報(特許文献2)には、ゲート電極形成時のエッチバック工程でSF+He系のガスを用いたドライエッチングを行う工程を有するトレンチゲート型パワーMOSFETの製造技術が開示されている。
【0006】
特開2007−311547号公報(特許文献3)には、ゲート電極形成時のエッチバック工程でCF、Oの混合ガスを用いたCDE(Chemical Dry Etching)を行う工程を有するトレンチゲート型パワーMOSFETの製造技術が開示されている。
【特許文献1】特開2005−286055号公報
【特許文献2】特開2005−286056号公報
【特許文献3】特開2007−311547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した従来の技術で製造されたトレンチゲート型MOSFETには、ClガスまたはCl+Oガスによってゲート材料であるPoly―Si膜をエッチバックしたとき、Poly―Si膜の表面がPoly―Si膜を構成するグレインの影響により凸凹になり、歩留まりの低下や品質の低下の要因になる。この対策として、本発明者らはトレンチゲート型MOSFETのゲート電極をエッチバックするときのドライエッチングに等方性を持たせることを検討した。
【0008】
また、低温の半導体基板をエッチングした場合、フォトレジスト膜の残渣や反応生成物などが加工面に付着し、加工面が凸凹した状態になる。その結果、加工面が凸凹になったゲート電極と、絶縁膜を介して配置された上層の金属配線や他のゲート電極などの導電性膜との間隔が狭まり、それらの導電性膜と、加工面が凸凹になったゲート電極との間の耐圧が下がって歩留まりが低下する問題がある。
【0009】
本発明の目的は、トレンチゲート型MOSFETのゲート電極材料であるPoly―Si膜の表面を滑らかに加工し、製品の歩留まりおよび信頼性を向上させることができる技術を提供することにある。
【0010】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態の概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0012】
本発明の一実施の形態による半導体装置の製造方法は、
トレンチゲート型MOSFETを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)半導体基板を準備する工程、
(b)前記半導体基板の主面上に縦型の溝を形成する工程、
(c)前記(b)工程の後、前記溝の表面に酸化膜を形成する工程、
(d)前記(c)工程の後、前記溝内を含む前記主面上に、ゲート電極材料であるPoly−Si膜を形成する工程、
(e)前記(d)工程の後、前記Poly−Si膜をドライエッチングでエッチバックし、前記溝内に前記トレンチゲート型MOSFETのゲート電極を形成する工程、
(f)前記半導体基板の主面にソース領域を形成する工程、
(g)前記半導体基板の裏面にドレイン電極を形成する工程、
を含み、
前記(e)工程では、SFガスを主体とするガスをエッチングガスとして使用し、さらにエッチング時の前記半導体基板の温度を摂氏5℃以上とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである
ゲート電極材料であるPoly−Si膜をドライエッチングする際、SFガスを主体とするガスをエッチングガスとして使用することにより、エッチングの等方性を強め、ゲート電極の表面を滑らかに加工することができる。
【0014】
また、ゲート電極加工時の半導体基板の温度を5℃とすることで、エッチング残渣が加工表面へ再付着するのを防ぎ、加工表面を滑らかな形状にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0016】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0017】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、実施例等において構成要素等について、「Aからなる」、「Aよりなる」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。
【0018】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0019】
また、材料等について言及するときは、特にそうでない旨明記したとき、または、原理的または状況的にそうでないときを除き、特定した材料は主要な材料であって、副次的要素、添加物、付加要素等を排除するものではない。たとえば、シリコン部材は特に明示した場合等を除き、純粋なシリコンの場合だけでなく、添加不純物、シリコンを主要な要素とする2元、3元等の合金(たとえばSiGe)等を含むものとする。
【0020】
また、以下の実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
また、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするために部分的にハッチングを付す場合がある。
【0022】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態は、トレンチゲート型nチャネルパワーMOSFETの製造方法に適用したものであり、図1〜図12を用いて説明する。
【0023】
まず、図1に示すように、n型の導電型を有する不純物(たとえばAs(ヒ素))が高濃度でドープされたn型単結晶シリコン基板(半導体基板)1の主面上に、CVD法によりn型エピタキシャル層2を堆積し、熱酸化法によりn型エピタキシャル層2上に酸化膜3を形成する。その後、イオン注入法によりn型エピタキシャル層2内にp型不純物(例えば、B(ボロン))を注入してから熱拡散を行い、p型不純物拡散層4を形成する。n型単結晶シリコン基板1は、縦型MOSFETのドレインとなる。
【0024】
次に、図2に示すように、イオン注入法により、p型不純物拡散層4内にn型の導電型を有する不純物(例えば、P(リン))を高濃度で注入する。この時の注入条件は、例えば、イオンの加速エネルギー40keV、ドーズ量5×1015atoms/cm、注入角度7°に設定される。その後、熱拡散を行うと、p型不純物拡散層4内にはn型不純物拡散層5が形成される。n型不純物拡散層5は、縦型MOSFETのソースとなる。
【0025】
次に、図3に示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)法により、酸化膜3上にマスク材(例えば、窒化シリコン)6を堆積する。さらに、マスク材6上にフォトリソグラフィ技術によりパターニングされたレジストパターン(図示しない)を形成し、レジストパターンをマスクとしてRIE(Reactive Ion Etching)によりマスク材6をエッチングする。この後、レジストパターンは除去する。
【0026】
続けて、図4に示すように、マスク材6をマスクとして、RIEにより酸化膜3及びn型エピタキシャル層2をエッチングする。その結果、n型エピタキシャル層2内には、トレンチ7が形成される。このエッチングは、トレンチ7がp型不純物拡散層4及びn型不純物拡散層5を突き抜けて、その底部がn型エピタキシャル層2に達するまで行われる。
【0027】
この後、H雰囲気中において温度約950℃の犠牲酸化を行い、トレンチ7の形成によりn型エピタキシャル層2に発生したダメージ(結晶欠陥など)の回復を行う。
【0028】
次に、図5に示すように、熱酸化法によりトレンチ7の内側の面上にゲート酸化膜8を形成する。この時、n型エピタキシャル層2上には酸素原子を透過させないマスク材6が配置されているため、ゲート酸化膜8はトレンチ7の面上にのみ形成される。
【0029】
次に、図6に示すように、マスク材6を除去した後、LPCVD(Low Pressure CVD)法により、トレンチ7内及び酸化膜3上に不純物(たとえばAs(ヒ素))を含んだ導電性Poly−Si膜9を堆積する。また、Poly−Si膜9上にレジスト膜を塗布した後、フォトリソグラフィ技術によりパターニングされたレジストパターン10を形成する。
【0030】
次に、図7に示すように、n型単結晶シリコン基板1の温度を5℃とする条件下で、レジストパターン10をマスクとし、SFを主体とするガスを用いたRIEによりPoly−Si膜9をエッチバックして、トレンチ7内にPoly−Si膜9からなるゲート電極9a、9bを形成した後、レジストパターン10を除去する。
【0031】
ここで、一般的にはゲート加工の際のエッチングガスとして主にCl+Oガスを用いるが、その場合、図12に示すトレンチゲート型MOSFETのゲート電極9aの表面ように、エッチングがゲート電極材料のPoly−Siのグレイン形状に影響され、加工表面が凸凹になり、歩留まりの低下や品質の低下の要因となる。
【0032】
本実施の形態では、エッチングガスとしてフッ素系のガスであるSFを使用することでエッチングの等方性を強め、ゲート電極材料のPoly−Siのグレインの形状に影響を受けず、ゲート電極9aの表面を滑らかに加工することが可能である。その結果、下流工程でのゲート電極9aの表面のPoly−Siの局所的消失を防ぎ、製品の歩留まりおよび信頼性を向上することができる。
【0033】
また、ゲート電極加工の工程では半導体基板の温度を−40℃等として低い温度で加工を行うことが多いが、半導体基板が低温の状態でエッチングを行なうと、図12に示すように、フォトレジスト膜やPoly−Siの残渣からなる反応生成物20がゲート酸化膜8やゲート電極9bの表面に再付着し、エッチングが均等に進行せずに加工表面が凸凹になる。このとき、ゲート電極9bの側面に付着した反応生成物20によってゲート電極9b上の層間絶縁膜11の厚さが薄くなり、ゲート電極9bと、層間絶縁膜11上に堆積された金属膜15との間の耐圧が低くなり、トレンチゲート型MOSFETの性能が下がり、歩留まりが低下する。
【0034】
本実施の形態では、ゲート電極加工時のn型単結晶シリコン基板1の温度を5℃とすることで、エッチング残渣が加工表面へ再付着するのを防ぎ、加工表面を滑らかな形状にすることにより、歩留まりおよびトレンチゲート型MOSFETの信頼性を高めることを可能としている。
【0035】
次に、図8に示すように、CVD法により、酸化膜3上にトレンチ7内のPoly−Si膜9を完全に覆う層間絶縁膜(例えば、酸化シリコン膜)11を堆積し、その上にレジスト膜を塗布した後、フォトリソグラフィ技術によりパターニングされたレジストパターン12を形成する。
【0036】
次に、図9に示すように、レジストパターン12をマスクとして、CDE(Chemical Dry Etching)などの等方性エッチングにより層間絶縁膜11をエッチングする。その結果、層間絶縁膜11には、レジストパターン12の下部まで入り込み、側面が曲面を有するトレンチ13aが形成される。
【0037】
続けて、レジストパターン12をマスクとして、RIEによりn型エピタキシャル層2をエッチングすることによって、n型エピタキシャル層2内にトレンチ13bを形成する。このエッチングは、トレンチ13bがn型不純物拡散層5を突き抜けて、その底部がp型不純物拡散層4に達するまで行われる。ただし、トレンチ13bの底部は、n型エピタキシャル層2に達しないようにすることが必要である。
【0038】
次に、図10に示すように、レジストパターン12をマスクとして、イオン注入法により、n型エピタキシャル層2内のp型不純物拡散層4内にp型不純物(例えば、BF)を注入する。この時の注入条件は、例えば、イオンの加速エネルギー35keV、ドーズ量1.0×1015atoms/cm、注入角度0°に設定される。
【0039】
ここで、注入角度(n型単結晶シリコン基板1の表面の鉛直線に対する角度)を0°に設定する理由は、トレンチ13bの側面に露出するn型不純物拡散層5の不純物濃度が薄くなったり、導電型が反転することを防止するためである。
【0040】
この後、熱拡散を行いp型不純物拡散層4内にp型コンタクト層14を形成した後、レジストパターン12を除去する。
【0041】
次に、図11に示すように、LPCVD法により、層間絶縁膜11上に、トレンチ13a、13bを完全に埋め込む金属膜(例えば、アルミニウム)15を堆積する。そして、この金属膜15をパターニングし、縦型MOSFETのソース電極を形成する(図示しない)。また、層間絶縁膜11の一部を除去し、ゲートパッド(図示しない)を露出させる。その後、n型単結晶シリコン基板1を洗浄した後、n型単結晶シリコン基板1の裏面にAu(金)からなる金属膜を蒸着する。続いて、その金属膜をウェットエッチングし、裏面電極16を形成することにより、トレンチゲート型MOSFETを完成する。なお、裏面電極16は、トレンチゲート型MOSFETのドレイン電極となる。
【0042】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。本実施の形態は、ダミーゲートを有するトレンチゲート型nチャネルパワーMOSFETの製造方法に適用したものであり、図13〜図23を用いて説明する。
【0043】
まず、図13に示すように、n型の導電型を有する不純物(たとえばAs(ヒ素))が高濃度でドープされたn型単結晶シリコン基板(半導体基板)31の主面上に、CVD法によりn型エピタキシャル層32を堆積した後、イオン注入法によりn型エピタキシャル層32内にp型不純物(例えば、B)を注入してから熱拡散を行い、p型不純物拡散層33を形成する。n型単結晶シリコン基板31は、縦型MOSFETのドレインとなる。
【0044】
次に、図14に示すように、イオン注入法により、p型不純物拡散層33内にn型の導電型を有する不純物(例えば、P)を高濃度で注入する。この時の注入条件は、例えば、イオンの加速エネルギー40keV、ドーズ量5×1015atoms/cm、注入角度7°に設定される。その後、熱拡散を行うと、p型不純物拡散層33内にはn型不純物拡散層34が形成される。n型不純物拡散層34は、縦型MOSFETのソースとなる。
【0045】
次に、図15に示すように、CVD法により、p型不純物拡散層33上にマスク材(例えば、窒化シリコン)35を形成する。さらに、マスク材35上にフォトリソグラフィ技術によりパターニングされたレジストパターン(図示しない)を堆積し、レジストパターンをマスクとしてRIEによりマスク材35をエッチングする。この後、レジストパターンは除去する。
【0046】
続けて、図16に示すように、マスク材35をマスクとして、RIEによりn型エピタキシャル層32をエッチングする。その結果、n型エピタキシャル層32内には、トレンチ36が形成される。このエッチングは、トレンチ36がp型不純物拡散層33及びn型不純物拡散層34を突き抜けて、その底部がn型エピタキシャル層32に達するまで行われる。
【0047】
この後、H雰囲気中において温度約950℃の犠牲酸化を行い、トレンチ36の形成によりn型エピタキシャル層32に発生したダメージ(結晶欠陥など)の回復を行なった後、マスク材35を除去する。
【0048】
次に、図17に示すように、熱酸化法によりトレンチ36の内側の面上およびp型不純物拡散層33上に酸化膜37を形成する。
【0049】
次に、図18に示すように、LPCVD法により、トレンチ36内及び酸化膜37上に不純物(たとえばAs)を含んだ導電性Poly−Si膜38を堆積する。
【0050】
次に、図19に示すように、n型単結晶シリコン基板31の温度を5℃とする条件下で、SFを主体とするガスを用いたRIEにより、Poly−Si膜38をトレンチ36の底から1μmの距離までエッチングして後退させ、トレンチ36内にPoly−Si膜38からなるダミーゲート電極39を形成する。その後、熱酸化法により酸化膜37の表面上およびダミーゲート電極39上に酸化膜40を形成する。
【0051】
次に、図20に示すように、LPCVD法により、酸化膜40上に不純物(たとえばAs)を含んだ導電性Poly−Si膜41を堆積する。
【0052】
次に、図21に示すように、n型単結晶シリコン基板31の温度を5℃とする条件下で、SFを主体とするガスを用いたRIEによりPoly−Si膜41をエッチバックして、トレンチ36内の酸化膜40上にPoly−Si膜41からなるゲート電極42を形成する。
【0053】
ここで、ゲート電極加工時にCl+Oガスを主体とするエッチングガスを使用し、半導体基板の温度を−40℃として加工し、形成されたトレンチゲート型MOSFETの要部を図23に示す。この条件で形成されたゲート電極は、Cl+Oガスを主体とするエッチングガスを使用することにより異方性の強いエッチングでゲート電極が加工されるため、ダミーゲート電極39の表面が、ダミーゲート電極材料であるPoly−Siのグレインに影響されて凸凹になる。このため、ダミーゲート電極39上にあるゲート電極42との間の酸化膜40の厚さが均一でなくなり、ダミーゲート電極39とゲート電極42との耐圧が低下する。更に、ゲート電極42の表面のように、エッチングがゲート電極材料のPoly−Siのグレイン形状に影響され、加工表面が凸凹になり、ゲート電極42の表面のPoly−Siの局所的な消失が発生するため、歩留まりの低下や品質の低下の要因となる。
【0054】
また、半導体基板の温度を−40℃等とし、低い温度でゲート電極加工を行うことにより、フォトレジスト膜やPoly−Siの残渣からなる反応生成物50が酸化膜40やゲート電極42の表面に再付着し、エッチングが均等に進行せずに加工表面が凸凹になる。このとき、酸化膜40およびゲート電極42の上面に付着した反応生成物50によって、ゲート電極42と、層間絶縁膜43上に堆積された金属膜46との間の耐圧が低くなり、トレンチゲート型MOSFETの性能が下がり、歩留まりが低下する。
【0055】
本実施の形態では、実施の形態1と同様に、エッチングガスとしてフッ素系のガスであるSFを使用することでエッチングの等方性を強め、ゲート電極材料のPoly−Siのグレインの形状に影響を受けず、ダミーゲート電極39およびゲート電極42の表面を滑らかに加工することが可能である。その結果、下流工程でのゲート電極9aの表面のPoly−Siの局所的消失を防ぎ、製品の歩留まりおよび信頼性を向上することができる。
【0056】
また、ゲート電極加工時のn型単結晶シリコン基板31の温度を5℃とすることで、エッチング残渣が加工表面へ再付着するのを防ぎ、加工表面を滑らかな形状にすることにより、歩留まりおよびトレンチゲート型MOSFETの信頼性を高めることを可能としている。
【0057】
なお、これ以降の工程は実施の形態1と同様に行なう。すなわち、図22に示すように、酸化膜40上に層間絶縁膜(例えば、酸化シリコン膜)43およびフォトリソグラフィ技術によりパターニングされたレジストパターンを形成後、エッチングによりn型エピタキシャル層32に達するトレンチ44が形成される。続いて、イオン注入によりp型不純物拡散層33内にp型コンタクト層45を形成した後、レジストパターンを除去する。その後、LPCVD法により層間絶縁膜43上に金属膜(例えば、アルミニウム)46を堆積し、縦型MOSFETのソース電極、ゲートパッドを形成し、n型単結晶シリコン基板31の裏面にAu(金)からなる裏面電極47を形成することにより、ダミーゲートを有するトレンチゲート型MOSFETを完成する。なお、このダミーゲートの存在は、MOSFETのON抵抗を低下させる効果がある。
【0058】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の半導体装置の製造方法は、トレンチゲート型MOSFETを有する半導体素子の製造に幅広く利用されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の一実施の形態1である半導体装置に含まれるトレンチゲート型MOSFETの製造方法を説明する要部断面図である。
【図2】図1に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図3】図2に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図4】図3に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図12】従来の技術で製造されたトレンチゲート型MOSFETを示す要部断面図である。
【図13】本発明の一実施の形態2である半導体装置に含まれる、ダミーゲートを有するトレンチゲート型MOSFETの製造方法を説明する要部断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図23】従来の技術で製造された、ダミーゲートを有するトレンチゲート型MOSFETを示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1 n型単結晶シリコン基板(半導体基板)
2 n型エピタキシャル層
3 酸化膜
4 p型不純物拡散層
5 n型不純物拡散層
6 マスク材
7 トレンチ
8 ゲート酸化膜
9 Poly−Si膜
9a ゲート電極
9b ゲート電極
10 レジストパターン
11 層間絶縁膜
12 レジストパターン
13a、13b トレンチ
14 p型コンタクト層
15 金属膜
16 裏面電極
20 反応生成物
31 n型単結晶シリコン基板(半導体基板)
32 n型エピタキシャル層
33 p型不純物拡散層
34 n型不純物拡散層
35 マスク材
36 トレンチ
37 酸化膜
38 Poly−Si膜
39 ダミーゲート電極
40 酸化膜
41 Poly−Si膜
42 ゲート電極
43 層間絶縁膜
44 トレンチ
45 p型コンタクト層
46 金属膜
47 裏面電極
50 反応生成物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレンチゲート型MOSFETを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)半導体基板を準備する工程、
(b)前記半導体基板の主面上に縦型の溝を形成する工程、
(c)前記(b)工程の後、前記溝の表面に酸化膜を形成する工程、
(d)前記(c)工程の後、前記溝内を含む前記主面上に、ゲート電極材料であるPoly−Si膜を形成する工程、
(e)前記(d)工程の後、前記Poly−Si膜をドライエッチングでエッチバックし、前記溝内に前記トレンチゲート型MOSFETのゲート電極を形成する工程、
(f)前記半導体基板の主面にソース領域を形成する工程、
(g)前記半導体基板の裏面にドレイン電極を形成する工程、
を含み、
前記(e)工程では、SFガスを主体とするガスをエッチングガスとして使用し、さらにエッチング時の前記半導体基板の温度を摂氏5℃以上とすることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−141028(P2010−141028A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−314577(P2008−314577)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】