説明

半導体装置の製造方法

【課題】洗浄処理での腐食を抑えた高性能で高品質の半導体装置を提供する。
【解決手段】例えば、LCOSデバイスにおける画素電極90を形成する際、画素電極90の材料となる層に、間口の開口幅A1に対して底部の開口幅A2が狭い溝91を形成して、個々の画素電極90を形成した後、洗浄処理を行う。溝91の間口を広くすることで、洗浄処理時の液の滞留が抑えられ、画素電極90の腐食が抑えられるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造においては、フォトリソグラフィ技術及びドライエッチング技術を利用し、導電層や絶縁層の加工を行い、配線や電極等を形成することが広く行われている。ドライエッチングでは、その加工表面にそのエッチャント成分等を含んだ物質が付着する場合があり、従来、そのような付着物を洗浄処理によって除去する技術等が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−323394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、配線や電極を形成するための導電層のパターニング後や、埋込配線を形成するために絶縁層に配線溝を形成した後に、付着物除去のための洗浄処理を行うと、導電層や絶縁層の加工表面に腐食が発生する場合がある。このような腐食は、導電層から微細な間隔の配線や電極を形成する際や、絶縁層に微細な開口幅の配線溝を形成する際に、より発生し易い。腐食は、形成する半導体装置の性能及び品質の低下を招くおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、基板の上方に第1の層を形成する工程と、前記第1の層に、間口の開口幅に対して底部の開口幅が狭い溝を形成する工程と、前記溝が形成された前記第1の層を洗浄する工程と、を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
開示の半導体装置の製造方法によれば、洗浄処理での腐食を効果的に抑えることができ、高性能、高品質の半導体装置を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】LCOSデバイスの一例の要部断面模式図である。
【図2】LCOSデバイスにおける画素電極形成面の一例の要部平面模式図である。
【図3】画素電極形成フローの一例の説明図であって、(A)は画素電極材料層形成工程の要部断面模式図、(B)はレジスト形成工程の要部断面模式図、(C)はエッチング工程の要部断面模式図、(D)はレジスト除去工程の要部断面模式図である。
【図4】洗浄処理後の画素電極断面の一例を模式的に示す図であって、(A)は画素電極間のギャップが広い場合、(B)は画素電極間のギャップが狭い場合である。
【図5】腐食の面内分布の一例を示す図であって、(A)は画素電極間のギャップが広い場合、(B)は画素電極間のギャップが狭い場合である。
【図6】腐食発生メカニズムの説明図である。
【図7】溝寸法と腐食発生との関係の一例の説明図である。
【図8】隣接する画素電極の一例の説明図であって、(A)は要部斜視模式図、(B)は(A)のM−M断面模式図である。
【図9】第1の溝の形成フローの一例の説明図であって、(A)は画素電極材料層形成工程の要部断面模式図、(B)は第1レジスト形成工程の要部断面模式図、(C)は第1エッチング工程の要部断面模式図、(D)は第1レジスト除去工程の要部断面模式図、(E)は第1洗浄処理工程の要部断面模式図である。
【図10】第2の溝の形成フローの一例の説明図であって、(A)は第2レジスト形成工程の要部断面模式図、(B)は第2エッチング工程の要部断面模式図、(C)は第2レジスト除去工程の要部断面模式図、(D)は第2洗浄処理工程の要部断面模式図である。
【図11】LCOSデバイスの構成例を示す図である。
【図12】素子及び層間絶縁膜形成工程の要部断面模式図である。
【図13】プラグ形成工程の要部断面模式図である。
【図14】配線形成工程の要部断面模式図である。
【図15】層間絶縁膜形成工程の要部断面模式図である。
【図16】ビア形成工程の要部断面模式図である。
【図17】画素電極形成工程の要部断面模式図である。
【図18】埋込絶縁膜形成工程の要部断面模式図である。
【図19】埋込絶縁膜平坦化工程の要部断面模式図である。
【図20】隣接する画素電極の第1の変形例の要部断面模式図である。
【図21】隣接する画素電極の第2の変形例の要部断面模式図である。
【図22】断面テーパ状の溝の形成フローの一例の説明図であって、(A)は画素電極材料層形成工程の要部断面模式図、(B)はレジスト形成工程の要部断面模式図、(C)はエッチング過程の要部断面模式図、(D)はエッチング後の要部断面模式図、(E)はレジスト除去及び洗浄処理後の要部断面模式図である。
【図23】第1の溝の形成フローの一例の説明図であって、(A)は層間絶縁膜形成工程の要部断面模式図、(B)は第1レジスト形成工程の要部断面模式図、(C)は第1エッチング工程の要部断面模式図、(D)は第1レジスト除去工程の要部断面模式図、(E)は第1洗浄処理工程の要部断面模式図である。
【図24】第2の溝の形成フローの一例の説明図であって、(A)は第2レジスト形成工程の要部断面模式図、(B)は第2エッチング工程の要部断面模式図、(C)は第2レジスト除去工程の要部断面模式図、(D)は第2洗浄処理工程の要部断面模式図である。
【図25】溝の要部断面斜視模式図である。
【図26】配線の形成フローの一例の説明図であって、(A)は配線材料形成工程の要部断面模式図、(B)は不要配線材料除去工程の要部断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
まず、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)デバイスの形成を例に、図面を参照して詳細に説明する。
LCOSデバイスは、複数の画素電極(反射電極)をマトリクス状に設けた基板と、透光性の共通電極を設けた基板との間に、液晶を封入した、反射型液晶表示装置である。
【0009】
図1はLCOSデバイスの一例の要部断面模式図、図2はLCOSデバイスにおける画素電極形成面の一例の要部平面模式図である。
この図1に示すLCOSデバイス1は、トランジスタ11及び保持容量12等が形成されて最上層に複数の画素電極13が形成された第1の基板10と、ガラス基板21の表面にITO(Indium Tin Oxide)電極22が形成された第2の基板20とを有している。
【0010】
第1,第2の基板10,20は、画素電極13の形成面とITO電極22の形成面とが対向するように配置され、このように配置された第1,第2の基板10,20の間に、液晶30、例えば垂直配向液晶が封入されている。液晶30と第1の基板10との間、及び液晶30と第2の基板20との間にはそれぞれ、配向膜40,50、例えば光安定無機配向膜が形成されている。
【0011】
このような構成を有するLCOSデバイス1の第1の基板10には、半導体基板14、例えばシリコン(Si)基板が用いられ、トランジスタ11及び保持容量12は、この半導体基板14の素子分離領域14aで画定された素子領域にそれぞれ形成されている。
【0012】
トランジスタ11は、ゲート絶縁膜11aを介して形成されたゲート電極11b、ゲート電極11b側壁に形成されたサイドウォール11c、及びゲート電極11b両側の半導体基板14内に形成された不純物拡散領域11d,11eを有している。不純物拡散領域11d,11eは、層間絶縁膜15を貫通するプラグ16a,16bを介して、層間絶縁膜15上に形成された第1層目の配線17a,17bに接続されている。
【0013】
保持容量12は、半導体基板14内に形成された不純物拡散領域を下部電極12aとし、下部電極12aに対向して誘電体層12bとなる絶縁膜を挟んで上部電極12cが形成されている。上部電極12cは、トランジスタ11の不純物拡散領域11dに電気的に接続された配線17aに、プラグ16cを介して接続されている。
【0014】
層間絶縁膜15及び配線17a,17b上には、さらに層間絶縁膜18が形成され、この層間絶縁膜18上に、複数の画素電極13が形成され、隣接する画素電極13間には、埋込絶縁膜19が形成されている。各画素電極13は、層間絶縁膜18を貫通するビア16dを介して、トランジスタ11及び保持容量12に電気的に接続された配線17aに接続されている。画素電極13は、図1及び図2に示すように、隣接する画素電極13間に埋込絶縁膜19を挟み、所定のギャップG、例えば200nm〜700nm程度のギャップGで、マトリクス状に配置されている。
【0015】
このLCOSデバイス1では、第1の基板10の各トランジスタ11のオン/オフ制御を行って、各画素電極13をそれぞれ所定電位に制御することができるようになっている。保持容量12は、画素電極13の電位変動を抑える役割を果たす。また、このLCOSデバイス1では、第2の基板20のITO電極22を所定電位に制御することができるようになっている。このように各画素電極13とITO電極22との電位を制御することにより、それらの間に挟まれた液晶30の光学特性が変調されるようになる。
【0016】
LCOSデバイス1では、光が第2の基板20側から入射し、ITO電極22、配向膜40、液晶30及び配向膜50を通過した光が、画素電極13で反射されるようになっている。このとき、上記のように各画素電極13とITO電極22との電位を制御し、液晶30の光学特性を制御することで、第2の基板20側から入射してくる光に対し、所望の画像を表示させることができるようになっている。
【0017】
なお、図1及び図2には、各画素電極13の側面を垂直にしたLCOSデバイス1を例示している。このように側面を垂直にした画素電極13は、次の図3に示すようなフローで形成することができる。
【0018】
図3は画素電極形成フローの一例の説明図であって、(A)は画素電極材料層形成工程の要部断面模式図、(B)はレジスト形成工程の要部断面模式図、(C)はエッチング工程の要部断面模式図、(D)はレジスト除去工程の要部断面模式図である。
【0019】
画素電極13の形成にあたっては、例えば、まず、図3(A)に示すように、層間絶縁膜18上の全面に、画素電極材料層13aを形成する。画素電極材料層13aとして、アルミニウム(Al)層、アルミニウム銅(AlCu)層等を形成することができる。Al層やAlCu層は、スパッタ法等を用いて形成することができる。
【0020】
次いで、画素電極材料層13aをパターニングするため、図3(B)に示すように、画素電極材料層13a上にレジスト60を形成する。そして、フォトリソグラフィ技術を用い、形成する画素電極13間の領域に対応する領域が開口されるように、レジスト60のパターニングを行う。
【0021】
そして、そのパターニング後のレジスト60をマスクにして、画素電極材料層13aのドライエッチングを行い、図3(C)に示すように、垂直な加工面の溝13bで分離された個々の画素電極13を形成する。このような溝13bを形成するドライエッチングには、例えば、塩素(Cl)を含むプラズマを用いることができる。このようにして溝13bを形成した後は、図3(D)に示すように、レジスト60をアッシング等で除去する。
【0022】
ところで、このようなフローで画素電極13を形成する場合、画素電極材料層13aのドライエッチング後やレジスト60の除去後には、図3(C),(D)に示したように、溝13b表面にエッチャント成分等を含んだ物質(付着物)70が付着することがある。例えば、Cl系プラズマを用いてドライエッチングを行うと、画素電極材料層13aの加工表面、即ち溝13b表面に、Clを含むポリマーが付着物70として付着する場合がある。また、レジスト60の残渣が付着物70として付着する場合もある。
【0023】
このようなCl系ポリマー等の付着物70をそのままにしておくと、それが原因となって画素電極13に腐食が発生し易くなる。そのため、ドライエッチングによる画素電極13の形成後には、所定の薬液を用いた洗浄処理により、そのような付着物70を除去することが望ましい。また、薬液洗浄後は、DIW(De-Ionized Water)等を用いた水洗処理を行い、画素電極13表面に付着した薬液を洗い流すことが望ましい。
【0024】
このような洗浄処理を行う場合、用いる薬液を適切に選択すれば、薬液による画素電極13の溶解を防止することができる。例えば、有機アミン溶液等、有機系溶液を用いることで、画素電極13の溶解を防止しつつ、Cl系ポリマー等の付着物70を選択的に除去することができる。
【0025】
ところが、このような洗浄処理の際には、除去しきれなかった付着物70が残って画素電極13表面に腐食が発生したり、残った付着物70と水により、或いは画素電極13表面に残る薬液と水により、画素電極13表面に腐食が発生したりする場合がある。このような腐食は、画素電極13間のギャップG、即ち溝13bの開口幅が狭くなるほど起こり易くなる。これは、溝13bの開口幅が狭くなるほど、その溝13b内に薬液や水等の液が滞留し易くなることが一因として挙げられる。
【0026】
図4は洗浄処理後の画素電極断面の一例を模式的に示す図であって、(A)は画素電極間のギャップが広い場合、(B)は画素電極間のギャップが狭い場合である。
例えば、画素電極13間のギャップG、即ち溝13bの開口幅が、700nmといったように、比較的広い場合には、図4(A)に示すように、画素電極13表面に腐食は発生し難い。洗浄処理時に、溝13bに流入した薬液や水等の液が滞留せず、溝13b内の液が比較的効率良く入れ替わるためである。
【0027】
一方、画素電極13間のギャップG、即ち溝13bの開口幅が、200nmといったように、比較的狭い場合には、図4(B)に示すように、画素電極13表面に腐食80が発生し易くなる。溝13bの開口幅が狭くなることで、洗浄処理時に、溝13bに流入した薬液や水等の液が滞留し易くなるためである。
【0028】
図5は腐食の面内分布の一例を示す図であって、(A)は画素電極間のギャップが広い場合、(B)は画素電極間のギャップが狭い場合である。
図5(A)には、1枚のウェーハに、ギャップGを700nmとして複数の画素電極13を形成した場合における、洗浄処理後に検出された腐食80の分布を例示している。また、図5(B)には、1枚のウェーハに、ギャップGを200nmとして複数の画素電極13を形成した場合における、洗浄処理後に検出された腐食80の分布を例示している。図5(A),(B)に示したように、画素電極13間のギャップGを狭くすると、洗浄処理後に検出される腐食80が著しく増加するようになる。
【0029】
図6は腐食発生メカニズムの説明図である。
上記のように、画素電極13表面の腐食は、画素電極材料層13aのドライエッチング後に行う洗浄処理時に発生し易い。洗浄処理時の化学反応速度は、用いる液の流速に反比例する。即ち、流速が遅いほど反応が進行し、流速が速いほど反応は進行しない。
【0030】
図6には、洗浄処理時の流体の状況を例示している。ここで、流体層厚hが1000μm、ウェーハ回転数が35rpm、ノズルから吐出される流体の流速がウェーハ面内で一定であるとし、ウェーハ中心から10cmのポイントにおける、任意の流体層厚yでの流速uを計算する。流速uの計算には、Uを流体層厚hでの流速とし、せん断変形速度を求める次式(1)を用いる。
【0031】
u=U×y/h ・・・(1)
流体は、画素電極13と接触するときに物理抵抗が最大で、流速が最小になる。この影響は、上層にも広がり、流体層表面に近づくほど、流速は大きくなっていく。35rpmでの流体の流速は、流体層表面で182mm/秒であるのに対し、画素電極13上面から100nm付近では0.018mm/秒となり、流速は1/10000になる。
【0032】
このように、画素電極13上面付近は流速が遅く、画素電極13間の溝13b内からの脱出力Eが小さいため、溝13b内に液が滞留してしまい易い。その結果、溝13b内の画素電極13表面には腐食80が発生し易くなる。
【0033】
図7は溝寸法と腐食発生との関係の一例の説明図である。
図7には、溝13bの開口幅A(nm)を一定にし、深さX(nm)をパラメータにして、X/A(=Z)を変化させた試料について腐食80の発生状況をモニタした結果の一例を示している。モニタの結果、Z<0.63のときに、腐食80の発生が著しく減少するようになることが判明した。
【0034】
従って、この図7に示す結果より、ドライエッチングによって画素電極13間に溝13bを形成する際に、その溝13bのZ値、即ち溝13bの開口幅Aに対する深さXの比を適正に設定すれば、画素電極13の腐食80の発生を抑えることができる。
【0035】
但し、LCOSデバイス1の場合、画素電極13の厚さは、所定値よりも薄くすることができない。画素電極13を薄くしすぎると、そのシート抵抗が増大してしまったり、入射光を透過させてしまったりするためである。従って、画素電極13間のギャップGを微細にして高精細化を図るために、画素電極13の厚さ、即ち溝13bの深さXを所定値以上確保しつつ、溝13bの開口幅Aを狭くしていくと、Z値が0.63を上回るようになり、腐食80の発生を回避し難くなる。
【0036】
そこで、ここでは、画素電極間のギャップを狭くしてもその表面の腐食を抑えることができるように、例えば次の図8に示すように、画素電極間に所定開口幅を有する断面階段状の溝を形成する。
【0037】
図8は隣接する画素電極の一例の説明図であって、(A)は要部斜視模式図、(B)は(A)のM−M断面模式図である。
この図8には、下地膜92上の隣接する画素電極90間に、開口幅A1で深さX1の第1の溝91aと、第1の溝91a内に形成された開口幅A2(<A1)で深さX2の第2の溝91bとを有する、断面階段状の溝91を形成した場合を例示している。例えば、このような断面階段状の溝91を、第1の溝91aがZ=X1/A1<0.63の条件を満たし、第2の溝91bがZ=X2/A2<0.63の条件を満たすように形成する。
【0038】
溝91の形成にあたっては、例えば次の図9及び図10に示すように、ドライエッチングによる第1の溝91aの形成後に洗浄処理を行い、ドライエッチングによる第2の溝91bの形成後に洗浄処理を行う。
【0039】
図9は第1の溝の形成フローの一例の説明図であって、(A)は画素電極材料層形成工程の要部断面模式図、(B)は第1レジスト形成工程の要部断面模式図、(C)は第1エッチング工程の要部断面模式図、(D)は第1レジスト除去工程の要部断面模式図、(E)は第1洗浄処理工程の要部断面模式図である。図10は第2の溝の形成フローの一例の説明図であって、(A)は第2レジスト形成工程の要部断面模式図、(B)は第2エッチング工程の要部断面模式図、(C)は第2レジスト除去工程の要部断面模式図、(D)は第2洗浄処理工程の要部断面模式図である。
【0040】
例えば、まず、図9(A)に示すように、画素電極90を形成する下地膜92上の全面に、画素電極材料層90a(導電層)として、Al層、AlCu層等をスパッタ法等で形成する。次いで、図9(B)に示すように、画素電極材料層90a上に、開口幅A1の第1の溝91aが形成される領域を開口した第1のレジスト61を形成する。
【0041】
次いで、図9(C)に示すように、その第1のレジスト61をマスクにして、Cl系プラズマを用いた画素電極材料層90aのドライエッチングを行い、開口幅A1で、画素電極材料層90aを貫通しない、深さX1の第1の溝91aを形成する。例えば、X1/A1<0.63の条件を満たすように、第1の溝91aを形成する。なお、このドライエッチングの際には、図9(C)に示したように、第1の溝91aの内面に付着物71が付着する場合がある。
【0042】
ドライエッチング後は、まず、図9(D)に示すように、第1のレジスト61をアッシング等で除去する。そして、所定の薬液洗浄と水洗を行うことで、図9(E)に示すように、内面に付着した付着物71を除去した第1の溝91aを得る。洗浄処理前の第1の溝91aを適切な寸法に制御しておくことにより、洗浄処理時には、第1の溝91a内面の腐食を効果的に抑えて、付着物71を除去することができる。
【0043】
このようにして第1の溝91aを形成した後は、図10(A)に示すように、第1の溝91a内に、より狭い開口幅A2の第2の溝91bが形成される領域を開口した第2のレジスト62を形成する。
【0044】
次いで、図10(B)に示すように、その第2のレジスト62をマスクにして、Cl系プラズマを用いた画素電極材料層90aのドライエッチングを行い、開口幅A2で、画素電極材料層90aを貫通する、深さX2の第2の溝91bを形成する。例えば、X2/A2<0.63の条件を満たすように、第2の溝91bを形成する。これにより、第1,第2の溝91a,91bによって分離された画素電極90が形成されるようになる。なお、このドライエッチングの際には、図10(B)に示したように、第2の溝91bの内面に付着物72が付着する場合がある。
【0045】
ドライエッチング後は、まず、図10(C)に示すように、第2のレジスト62をアッシング等で除去する。そして、所定の薬液洗浄と水洗を行うことで、図10(D)に示すように、内面に付着した付着物72を除去する。洗浄処理前の第2の溝91bを適切な寸法に制御しておくことにより、洗浄処理時には、第2の溝91b内面の腐食を効果的に抑えて、付着物72を除去することができる。
【0046】
このようなフローにより、開口幅A1で深さX1の第1の溝91a内に、第1の溝91aより狭い開口幅A2で深さX2の第2の溝91bが形成された、断面階段状の溝91が形成されるようになる。そして、開口幅A1で深さX1+X2の段差のない溝では洗浄処理時に腐食が発生するような場合でも、図8〜図10に例示するように間口が開口幅A1で底部が開口幅A2の断面階段状の溝91を形成すると、洗浄処理時の腐食が効果的に抑えられるようになる。
【0047】
腐食の抑制には、第1,第2の溝91a,91bの寸法をその要因の1つとして挙げることができる。また、間口が開口幅A1で底部が開口幅A2の断面階段状の溝91にすることで、同じ間口の開口幅A1で断面階段状としていない場合に比べ、溝91内の液量が減少するため、溝91内からの液の脱出力Eが大きくなることも要因の1つとして挙げることができる。
【0048】
また、ここでは、広い開口幅A1の第1の溝91aを形成した後、より狭い開口幅A2の第2の溝91bを形成する。この場合、第1の溝91aの形成時には、広い開口幅A1で且つその開口幅A1に対して所定の深さX1に制御しておくことで、腐食を効果的に抑えることができる。その後の第2の溝91bの形成時には、その開口幅A2が狭くなって液の滞留がより発生し易い状況になる。しかし、第1の溝91aの付着物71が除去されているため、たとえ第2の溝91b内に液が滞留したとしても、溝91における腐食は効果的に抑えられるようになる。
【0049】
このように、底部に対して間口の開口幅が広い断面階段状の溝91を形成することにより、この溝91内の液の滞留を抑え、溝91内の液を効率良く入れ替えることが可能になり、画素電極90の腐食を効果的に抑制することが可能になる。
【0050】
なお、図9及び図10には、レジストパターニング、ドライエッチング及び洗浄処理を繰り返して第1,第2の溝91a,91bを形成する場合を例示したが、第1の溝91aの形成後で第2の溝91bの形成前に行う洗浄処理は、省略することも可能である。この場合は、第2の溝91bの形成後に行う洗浄処理の際に、第1の溝91aの形成時に付着した付着物71、及び第2の溝91bの形成時に付着した付着物72を、一緒に除去するようにする。
【0051】
このような断面階段状の溝91で分離された画素電極90を適用したLCOSデバイスの一例を次の図11に示す。
図11はLCOSデバイスの構成例を示す図である。なお、図11では、図1に示した要素と同一の要素については同一の符号を付している。
【0052】
図11に示すLCOSデバイス100は、Si基板等の半導体基板14を用いてトランジスタ11及び保持容量12等が形成された第1の基板10(半導体装置)と、ガラス基板21の表面にITO電極22が形成された第2の基板20とを有している。
【0053】
第1の基板10の最上層には、層間絶縁膜15,18内に設けたプラグ16a,16c、配線17a及びビア16dを介して、トランジスタ11及び保持容量12に電気的に接続された、複数の画素電極90が形成されている。隣接する画素電極90間は、寸法が異なる第1,第2の溝91a,91bを有する断面階段状の溝91で分離されており、この溝91には、埋込絶縁膜19が埋め込まれている。
【0054】
第1,第2の基板10,20は、画素電極90の形成面とITO電極22の形成面とが対向するように配置され、間に液晶30が封入されている。液晶30と第1の基板10との間、及び液晶30と第2の基板20との間にはそれぞれ、配向膜40,50が形成されている。
【0055】
このように隣接する画素電極90間が断面階段状の溝91で分離されたLCOSデバイス100では、溝91の開口幅を、例えば、次のような寸法に設定する。即ち、底部の第2の溝91bについては、その開口幅A2を、隣接する画素電極90間のギャップGに設定し、上部の第1の溝91aについては、その開口幅A1を、第2の溝91bの開口幅A2より広い幅に設定する。このような断面階段状の溝91を形成しても、真上から見た画素電極90の形状は、ギャップGの断面階段状でない溝を形成したときと同等になる。そのため、一定の電極面積(反射面積)が確保され、形成過程での腐食が抑えられた、微細なギャップGのLCOSデバイス100が得られる。
【0056】
続いて、このようなLCOSデバイス100における第1の基板10の形成フローを、以下の図12〜図19を参照して順に説明する。
図12は素子及び層間絶縁膜形成工程の要部断面模式図である。
【0057】
まず、Si基板等の半導体基板14に素子分離領域14aを形成し、その素子分離領域14aで画定された複数の素子領域にそれぞれ、トランジスタ11及び保持容量12を形成していく。
【0058】
トランジスタ11は、例えば、まず、トランジスタ11を形成する素子領域上への絶縁膜の形成後、ポリシリコン等のゲート電極材料を堆積し、それら絶縁膜及びゲート電極材料を所定形状に加工することで、ゲート絶縁膜11a及びゲート電極11bを形成する。そして、所定導電型の不純物を所定条件でイオン注入して浅い低濃度の不純物拡散領域を形成した後、絶縁膜の形成とそのエッチバックによりサイドウォール11cを形成する。その後、さらに所定導電型の不純物を所定条件でイオン注入して深い高濃度の不純物拡散領域を形成することで、ソース/ドレインとして機能する不純物拡散領域11d,11eを形成する。
【0059】
保持容量12は、例えば、このトランジスタ11と共に形成することができる。その場合は、例えば、予め、保持容量12を形成する素子領域に選択的にイオン注入を行い、下部電極12aとなる不純物拡散領域を形成しておく。そして、トランジスタ11を形成する素子領域上と共に、この保持容量12を形成する素子領域上にも同時に絶縁膜及びゲート電極材料を形成し、それらをトランジスタ11のゲート加工時に同時に加工することで、誘電体層12b及び上部電極12cを形成する。なお、下部電極12aを形成するためのイオン注入は、保持容量12を形成する素子領域上への絶縁膜の形成後で、ゲート電極材料の形成前に、行うこともできる。
【0060】
トランジスタ11及び保持容量12の形成後は、全面にCVD(Chemical Vapor Deposition)法等を用いて層間絶縁膜15を形成し、CMP(Chemical Mechanical Polishing)により平坦化する。これにより、図12に示したような状態を得る。なお、ここでは、層間絶縁膜15を1層で図示しているが、層間絶縁膜15は、2層以上の絶縁膜の積層体であってもよい。
【0061】
図13はプラグ形成工程の要部断面模式図である。
層間絶縁膜15の平坦化まで行った後は、その層間絶縁膜15に、トランジスタ11の不純物拡散領域11d,11e及び保持容量12の上部電極12cに達するコンタクトホールを形成する。そして、プラグ材料の堆積と、その層間絶縁膜15上面に堆積された不要なプラグ材料のCMPによる除去とを行って、図13に示すような不純物拡散領域11d,11e及び上部電極12cに達するプラグ16a,16b,16cを形成する。
【0062】
図14は配線形成工程の要部断面模式図である。
プラグ16a,16b,16cの形成後は、図14に示すように、形成したプラグ16a,16cに接続される配線17a、及びプラグ16bに接続される配線17bを形成する。配線17a,17bは、例えば、まず、プラグ16a,16b,16cを形成した層間絶縁膜15上に、スパッタ法等を用い、AlCu等を用いて配線材料層を形成し、その後、形成した配線材料層をエッチングにより所定形状にパターニングすることによって形成する。
【0063】
図15は層間絶縁膜形成工程の要部断面模式図である。
配線17a,17bの形成後は、全面にCVD法等を用いて層間絶縁膜18を形成し、CMPにより平坦化する。これにより、図15に示したような状態を得る。なお、ここでは、層間絶縁膜18を1層で図示しているが、層間絶縁膜18は、2層以上の絶縁膜の積層体であってもよい。
【0064】
図16はビア形成工程の要部断面模式図である。
層間絶縁膜18の平坦化まで行った後は、その層間絶縁膜18に、トランジスタ11及び保持容量12に電気的に接続された配線17aに達するビアホールを形成する。そして、ビア材料の堆積と、その層間絶縁膜18上面に堆積された不要なビア材料のCMPによる除去とを行って、図13に示すような配線17aに達するビア16dを形成する。
【0065】
図17は画素電極形成工程の要部断面模式図である。
ビア16dの形成後は、図17に示すように、形成したビア16dに接続される画素電極90を形成する。画素電極90間は、断面階段状の溝91によって分離する。このような溝91で分離される画素電極90は、例えば、上記の図9及び図10に示したようなフローに従って形成する。
【0066】
即ち、まず、図9及び図10に示した下地膜92に相当する層間絶縁膜18上に、スパッタ法等を用い、AlCu等を用いて所定膜厚の画素電極材料層90aを形成する。そして、第1の溝91aを形成する領域に開口部を有する第1のレジスト61をマスクにしてドライエッチングを行い、その第1のレジスト61の除去及び洗浄処理を経て、第1の溝91aを形成する。次いで、第2の溝91bを形成する領域に開口部を有する第2のレジスト62をマスクにしてドライエッチングを行い、その第2のレジスト62の除去及び洗浄処理を経て、第1の溝91a内に第2の溝91bを形成する。
【0067】
このようにして第1,第2の溝91a,91bを形成する際には、例えば、第2の溝91bの開口幅A2を隣接する画素電極90間のギャップGに設定し、第1の溝91aの開口幅A1を第2の溝91bの開口幅A2より広い幅に設定する。さらに、例えば、第1の溝91aの開口幅A1に対する深さX1の比X1/A1、及び第2の溝91bの開口幅A2に対する深さX2の比X2/A2が、いずれも0.63未満となるように、第1,第2の溝91a,91bを形成する。
【0068】
このようにして断面階段状の溝91を形成することにより、一定の電極面積を確保することができると共に、洗浄処理時の溝91内の液の滞留を抑えて画素電極90の腐食を効果的に抑制することができる。
【0069】
図18は埋込絶縁膜形成工程の要部断面模式図、図19は埋込絶縁膜平坦化工程の要部断面模式図である。
画素電極90の形成後は、まず、図18に示したように、全面に、CVD法等を用いて、画素電極90間の溝91を埋め込む埋込絶縁膜19を形成する。なお、ここでは、埋込絶縁膜19を1層で図示しているが、埋込絶縁膜19は、2層以上の絶縁膜の積層体であってもよい。
【0070】
そして、全面に埋込絶縁膜19を形成した後は、画素電極90上面に形成された不要な埋込絶縁膜19のCMPによる除去を行って、図19に示すように、画素電極90間の溝91を埋込絶縁膜19によって埋め込む。
【0071】
なお、埋込絶縁膜19の不要部分を除去するCMPから画素電極90を保護するため、画素電極90の形成時にその上面に窒化チタン(TiN)等の保護膜を形成し、そのうえで埋込絶縁膜19の形成とその不要部分のCMPによる除去を行うようにしてもよい。このような保護膜を形成した場合には、埋込絶縁膜19の不要部分の除去後、ドライエッチングを行ってその保護膜を除去するようにしてもよい。
【0072】
以上のような形成フローにより、図11に示したようなLCOSデバイス100の第1の基板10を形成することができる。
なお、このような第1の基板10を用いてLCOSデバイス100を形成する場合には、まず、第1の基板10表面に所定の配向膜40を形成し、また、ガラス基板21上にITO電極22を形成した第2の基板20表面にも所定の配向膜50を形成する。そして、図示しない所定厚みのスペーサ等を挟んで第1,第2の基板10,20を対向させ、スペーサによって設けられた第1,第2の基板10,20間の空隙に所定の液晶30を注入する。これにより、図11に示したようなLCOSデバイス100が形成される。
【0073】
以上、隣接する画素電極90間を、第1,第2の溝91a,91bを有する断面階段状の溝91で分離する場合について説明した。なお、画素電極90間に形成する溝は、上記のような2段の構成に限定されるものではない。
【0074】
図20は隣接する画素電極の第1の変形例の要部断面模式図である。
この図20には、下地膜92上の隣接する画素電極90間に、第1,第2,第3の溝93a,93b,93cの3段の溝93が形成されている場合を例示している。このような3段の溝93を形成する場合にも、上記の図8に示した2段の溝91を形成する場合と同様、例えば、第1,第2,第3の溝93a,93b,93cについてそれぞれ、開口幅に対する深さの比Zが0.63未満となるような条件を適用する。また、このような3段の溝93は、2段の溝91について上記の図9及び図10に示したフローの例に従い、レジストパターニング、ドライエッチング及び洗浄処理を繰り返し、同様に形成することができる。
【0075】
画素電極90間には、勿論、このような3段の溝のほか、4段以上の溝も同様に形成することが可能である。このように3段以上の溝によって画素電極90間を分離することによっても、上記同様、一定の電極面積を確保しつつ、洗浄処理時の画素電極90の腐食を効果的に抑制することができる。
【0076】
また、以上の説明では、隣接する画素電極90間に断面階段状の溝を形成する場合について述べたが、隣接する画素電極90間に断面テーパ状の溝を形成することによっても、上記同様の効果を得ることが可能である。
【0077】
図21は隣接する画素電極の第2の変形例の要部断面模式図である。
この図21に示すように、下地膜92上の隣接する画素電極90間には、間口から底部に向かって開口幅が狭くなる断面テーパ状の溝94を形成するようにしてもよい。このような断面テーパ状の溝94は、例えば、次の図22に示すようなフローで形成することが可能である。
【0078】
図22は断面テーパ状の溝の形成フローの一例の説明図であって、(A)は画素電極材料層形成工程の要部断面模式図、(B)はレジスト形成工程の要部断面模式図、(C)はエッチング過程の要部断面模式図、(D)はエッチング後の要部断面模式図、(E)はレジスト除去及び洗浄処理後の要部断面模式図である。
【0079】
まず、図22(A)に示すように、画素電極90を形成する下地膜92上の全面に、画素電極材料層90aとしてAlCu層等を形成する。次いで、図22(B)に示すように、画素電極材料層90a上に、溝94が形成される領域を開口したレジスト63を形成する。このとき、レジスト63は、その開口部が、最終的な溝94の開口幅よりも狭い開口幅となるようにパターニングする。
【0080】
次いで、図22(C)に示すように、そのレジスト63をマスクにして、敢えてフォーカスを低下させた条件で、画素電極材料層90aのドライエッチングを行う。このような条件でドライエッチングを行うと、レジスト63の開口部に露出する画素電極材料層90aのエッチングが進行すると共に、レジスト63の膜減りが進行してその開口部の開口幅が広がる。
【0081】
このような状態でさらにドライエッチングを進めると、画素電極材料層90aのエッチングとレジスト63の開口部の広がりが進行していき、最終的には図22(D)に示すような、画素電極90間を分離する断面テーパ状の溝94が形成されるようになる。図22(A)におけるレジスト63のパターニング時には、このようなドライエッチング過程での膜減りと、形成する溝94の開口幅に基づき、開口部の開口幅を設定する。
【0082】
なお、このようにドライエッチングにより溝94を形成する過程では、溝94の内面にポリマー等の付着物73が付着する場合がある。
ドライエッチング後は、残ったレジスト63をアッシング等で除去し、さらに、所定の薬液洗浄と水洗を行うことで、図22(E)に示すような、内面に付着物73のない、溝94が得られるようになる。
【0083】
このような断面テーパ状の溝94を形成することによっても、上記同様、洗浄処理時の画素電極90の腐食を効果的に抑制することができる。
以上、LCOSデバイスにおける隣接する画素電極間の溝を、断面階段状或いは断面テーパ状に形成して、洗浄処理時の溝内面の腐食を抑える手法について説明した。なお、このような腐食を抑えるための手法は、画素電極間に限らず、溝形成後に洗浄処理を行うその他のプロセスに対しても同様に適用することができる。
【0084】
次に、配線の形成を例に、図面を参照して詳細に説明する。
上記手法は、例えば、層間絶縁膜(絶縁層)内に配線用の溝をドライエッチングにより形成し、その溝を配線材料で埋め込むことで配線を形成するようなプロセスにも適用可能である。以下に、上記手法を適用した、このような埋込配線の形成プロセスについて、図23〜図26を参照して順に説明する。
【0085】
図23は第1の溝の形成フローの一例の説明図であって、(A)は層間絶縁膜形成工程の要部断面模式図、(B)は第1レジスト形成工程の要部断面模式図、(C)は第1エッチング工程の要部断面模式図、(D)は第1レジスト除去工程の要部断面模式図、(E)は第1洗浄処理工程の要部断面模式図である。図24は第2の溝の形成フローの一例の説明図であって、(A)は第2レジスト形成工程の要部断面模式図、(B)は第2エッチング工程の要部断面模式図、(C)は第2レジスト除去工程の要部断面模式図、(D)は第2洗浄処理工程の要部断面模式図である。図25は溝の要部断面斜視模式図である。
【0086】
例えば、まず、図23(A)に示すように、第1の層間絶縁膜110上の全面に、配線用の溝を形成する第2の層間絶縁膜111を形成する。次いで、図23(B)に示すように、第2の層間絶縁膜111上に、開口幅A3の溝を形成する領域を開口した第1のレジスト64を形成する。なお、図示を省略するが、第1の層間絶縁膜110内には、予めビアや下層側の配線が形成されていてもよい。
【0087】
次いで、図23(C)に示すように、その第1のレジスト64をマスクにして第2の層間絶縁膜111のドライエッチングを行い、開口幅A3で、第2の層間絶縁膜111を貫通しない、深さX3の第1の溝112aを形成する。例えば、X3/A3<0.63の条件を満たすように、第1の溝112aを形成する。なお、このドライエッチングの際には、図23(C)に示したように、第1の溝112a内面に付着物74が付着する場合がある。
【0088】
ドライエッチング後は、まず、図23(D)に示すように、第1のレジスト64をアッシング等で除去する。そして、所定の薬液洗浄と水洗を行うことで、図23(E)に示すように、第1の溝112aの内面に付着した付着物74を除去する。洗浄処理前の第1の溝112aを適切な寸法に制御しておくことにより、洗浄処理時には、第1の溝112a内面の腐食を効果的に抑えて、付着物74を除去することができる。
【0089】
第1の溝112aの形成後は、図24(A)に示すように、第1の溝112a内に、より狭い開口幅A4の溝を形成する領域を開口した第2のレジスト65を形成する。
次いで、図24(B)に示すように、その第2のレジスト65をマスクにして第2の層間絶縁膜111のドライエッチングを行い、開口幅A4で、第2の層間絶縁膜111を貫通する、深さX4の第2の溝112bを形成する。例えば、X4/A4<0.63の条件を満たすように、第2の溝112bを形成する。これにより、第1,第2の溝112a,112bを有する溝112を得る。なお、このドライエッチングの際には、図24(B)に示したように、第2の溝112b内面に付着物75が付着する場合がある。
【0090】
ドライエッチング後は、まず、図24(C)に示すように、第2のレジスト65をアッシング等で除去する。そして、所定の薬液洗浄と水洗を行うことで、図24(D)及び図25に示すように、第2の溝112bの内面に付着した付着物75を除去する。このとき、洗浄処理前の第2の溝112bを適切な寸法に制御しておくことにより、洗浄処理時には、第2の溝112b内面の腐食を効果的に抑えて、付着物75を除去することができる。
【0091】
このようなフローにより、開口幅A3で深さX3の第1の溝112a内に、第1の溝112aより狭い開口幅A4で深さX4の第2の溝112bが形成された、断面階段状の配線用の溝112が形成されるようになる。開口幅A3で深さX3+X4の段差のない溝で洗浄処理時に腐食が発生してしまうような場合でも、このような断面階段状の溝112によれば、洗浄処理時の腐食が効果的に抑えられるようになる。
【0092】
このようにして溝112を形成した後は、溝112を所定の配線材料で埋め込み、配線を形成する。
図26は配線の形成フローの一例の説明図であって、(A)は配線材料形成工程の要部断面模式図、(B)は不要配線材料除去工程の要部断面模式図である。
【0093】
溝112の形成後は、まず、図26(A)に示すように、溝112を配線材料113で埋め込む。例えば、スパッタ法等を用いてTiN等のバリア層113a及び銅(Cu)等のシード層113bを形成した後、電解めっき法を用いてめっき層113cを形成して、溝112を配線材料113で埋め込む。その後、第2の層間絶縁膜111上面に形成された不要な配線材料113をCMPにより除去し、図26(B)に示すように、第2の層間絶縁膜111内に配線を形成する。
【0094】
なお、ここでは図示を省略するが、第1の層間絶縁膜110内に予めビアや配線が形成されている場合には、溝112は、そこに形成される配線の底が、その第1の層間絶縁膜110内に形成されているビアや配線に接続されるように形成することができる。
【0095】
このように、第2の層間絶縁膜111に断面階段状の溝112を形成することにより、その内面の腐食を抑え、高品質の配線を形成することが可能になる。また、ここでは2段の溝112を形成する場合を例示したが、3段以上の溝を形成しても、同様の効果を得ることができる。さらにまた、断面階段状の溝に限らず、第2の層間絶縁膜111に断面テーパ状の溝を形成しても、同様の効果を得ることができる。
【0096】
なお、ここでは、埋込配線の形成を例にして説明したが、上記手法は、Al配線のように、層間絶縁膜上に形成した配線材料層を所定形状にパターニングすることによって配線を形成するような場合にも同様に適用可能である。即ち、隣接する配線間を断面階段状や断面テーパ状の溝によって分離することで、その後、洗浄を行う場合には、配線の腐食を効果的に抑制することが可能になる。このような手法は、特に狭ピッチの配線を形成する場合に効果的である。
【0097】
なお、以上説明した洗浄処理において、用いる液は、溝を形成する対象物の材質や、形成時に溝に付着する付着物の材質等に応じ、適宜選択することができる。このような場合にも、上記手法を同様に適用し、上記同様の効果を得ることが可能である。
【0098】
以上説明した実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 基板の上方に第1の層を形成する工程と、
前記第1の層に、間口の開口幅に対して底部の開口幅が狭い溝を形成する工程と、
前記溝が形成された前記第1の層を洗浄する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0099】
(付記2) 前記第1の層は、導電層であることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3) 前記第1の層は、絶縁層であることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0100】
(付記4) 前記溝は、断面階段状であることを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記5) 前記溝を形成する工程は、
第1の開口幅を有する第1の溝を形成する工程と、
前記第1の溝が形成された前記第1の層を洗浄する工程と、
洗浄後、前記第1の溝内に、前記第1の開口幅より狭い第2の開口幅を有する第2の溝を形成する工程と、
を含むことを特徴とする付記4に記載の半導体装置の製造方法。
【0101】
(付記6) 前記第1の開口幅に対する前記第1の溝の深さの比、及び前記第2の開口幅に対する前記第2の溝の深さの比が、0.63未満であることを特徴とする付記5に記載の半導体装置の製造方法。
【0102】
(付記7) 前記溝は、断面テーパ状であることを特徴とする付記1乃至3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
(付記8) 前記溝を形成する工程は、
前記第1の層上にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクにして前記第1の層をエッチングする工程と、
エッチング後、前記レジストパターンを除去する工程と、
を含み、
前記レジストパターンの除去後、前記第1の層を洗浄することを特徴とする付記1乃至7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。
【0103】
(付記9) 基板の上方に形成され、間口の開口幅に対して底部の開口幅が狭い溝によって分離された少なくとも一対の導電層を有することを特徴とする半導体装置。
(付記10) 基板の上方に形成され、間口の開口幅に対して底部の開口幅が狭い溝によって分離された少なくとも一対の導電層を有する半導体装置を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【符号の説明】
【0104】
1,100 LCOSデバイス
10 第1の基板
11 トランジスタ
11a ゲート絶縁膜
11b ゲート電極
11c サイドウォール
11d,11e 不純物拡散領域
12 保持容量
12a 下部電極
12b 誘電体層
12c 上部電極
13,90 画素電極
13a,90a 画素電極材料層
13b,91,93,94,112 溝
14 半導体基板
14a 素子分離領域
15,18 層間絶縁膜
16a,16b,16c プラグ
16d ビア
17a,17b 配線
19 埋込絶縁膜
20 第2の基板
21 ガラス基板
22 ITO電極
30 液晶
40,50 配向膜
60,63 レジスト
61,64 第1のレジスト
62,65 第2のレジスト
70,71,72,73,74,75 付着物
80 腐食
91a,93a,112a 第1の溝
91b,93b,112b 第2の溝
92 下地膜
93c 第3の溝
110 第1の層間絶縁膜
111 第2の層間絶縁膜
113 配線材料
113a バリア層
113b シード層
113c めっき層
A,A1,A2,A3,A4 開口幅
X,X1,X2,X3,X4 深さ
G ギャップ
E 脱出力
h,y 流体層厚
U,u 流速

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の上方に第1の層を形成する工程と、
前記第1の層に、間口の開口幅に対して底部の開口幅が狭い溝を形成する工程と、
前記溝が形成された前記第1の層を洗浄する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1の層は、導電層であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記溝は、断面階段状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記溝は、断面テーパ状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記溝を形成する工程は、
前記第1の層上にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクにして前記第1の層をエッチングする工程と、
エッチング後、前記レジストパターンを除去する工程と、
を含み、
前記レジストパターンの除去後、前記第1の層を洗浄することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2010−225637(P2010−225637A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−68243(P2009−68243)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】